説明

血液レオロジー測定装置および血液レオロジー計測方法

【課題】 手首や指先等の部位で測定可能であり、かつ血圧測定を必要としない簡便、高精度及び小型の血液レオロジー測定装置及び血液レオロジー計測方法を提供する。
【解決手段】 生体表面から生体内の動脈血流に対する超音波の送受信を行う超音波送受信素子からなるセンサを用いて、時間変化する動脈の血流速度、拍動変位量、動脈径、動脈壁厚、心拍数(心拍周波数)、及び該血流速度と該拍動変位量の位相差または振幅比を検出し、前記位相差及び前記振幅比のうちいずれか一方と前記血管径と前記心拍周波数とを用いて演算を行い血液の運動粘性率を算出して血液レオロジーの指標値を得る

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体中を循環する体液の測定装置及び計測方法にかかわり、特に血液の状態を把握し健康の評価、疾患の診断、薬品の効果の評価等のために使用する血液レオロジー測定装置および血液レオロジー計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の健康状態を判断する検査項目のひとつとして、血液の流動性に着目した血液レオロジー測定が注目されている。血液レオロジーを測定する手段として、被験者より採血した一定量の血液が微小流路(マイクロチャネルアレイ)を通過する時間を計測するマイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置が開発されている(例えば、非特許文献1参照。)。現在においては、マイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置は、血液レオロジー測定における標準機とされている。
【0003】
しかし、マイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置による測定においては上記のように必ず採血を行う必要があり、測定が行えるのは医療機関に限られ、いつでもだれでもが手軽に健康状態を検査するというわけにはいかない。また、採血は被験者に対する肉体的および心理的な負担も大きく、1日あたりに計測できる回数もせいぜい数回までが限界であるため、時系列的に連続したデータが容易に得られないという問題がある。
ところで、血液レオロジーと生体内の血流速度は強い相関があると考えられている。すなわち、血液の粘性が高い場合、血流速度は遅く、一方、粘性が低い場合は血流速度が速いと考えられている。そのため、生体内の血流速度を計測することで、間接的に血液レオロジーを知ることが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
一方、血管内の血流速度から血液レオロジーの指標を算出するためには、前記特許文献1に記載されているように、血流速度の計測以外に、カフを用いて生体の血圧を測定する必要があるが、この血圧値と血流速度をもちいて血液レオロジー、すなわち、血液の運動粘性率の指標を算出する方法として、対象とする動脈内部の血流圧力を血圧値で近似するといった概念に基づく方法がある。
【特許文献1】特開2003−159250号公報
【非特許文献1】菊池佑二「毛細血管モデルを用いた全血流動性の測定」(食品研究成果情報,NO.11 1999年発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、血圧値と血流速度をもちいて血液レオロジー、すなわち、血液の運動粘性率の指標を算出する方法は、動脈内部の血流圧力を血圧値で近似している事が原因で、計測誤差が大きいという問題があった。さらには、血圧測定のための機構及び煩雑さ等の観点から、手首や指先等の部位で血液レオロジーを測定するために必要不可欠な装置の小型化が困難であるという問題もあった。
【0005】
そこで本願発明の目的は、手首や指先等の部位で測定可能かつ血圧測定を必要としない簡便、高精度及び小型の血液レオロジー測定装置及び血液レオロジー計測方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、生体表面から生体内の動脈血流に対する超音波の送受信を行う超音波送受信素子からなるセンサを用いて、時間変化する動脈の血流速度、拍動変位量、動脈径、動脈壁厚、心拍数(心拍周波数)、及び該血流速度と該拍動変位量の位相差または振幅比を検出し、前記位相差及び前記振幅比のうちいずれか一方と前記血管径と前記心拍周波数とを用いて演算を行い血液の運動粘性率を算出して血液レオロジーの指標値を得ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
図11は、本発明の効果を示す特性図であって、本発明に係る血液レオロジー装置にて測定した血流速度と拍動変位量の位相差から算出した血液レオロジーの指標値である運動粘性率νとマイクロチャネルアレイを用いた採血方式による血液レオロジーの指標である全血通過時間Tの相関を示している。縦軸はνを示しており、図11を見て縦軸の原点に近いほうがνは小さく、上方に行くほどνは大きな値となる。詳細については後述するが、νが小さいということは血液の粘性率が大きいということを意味している。
【0008】
一方、横軸は全血通過時間Tを示しており、図11を見て縦軸の原点に近いほうがTの値は小さく、図中、右方に行くほどTは大きな値となる。すなわち、全血通過時間Tの値が小さいということは、測定している血液がさらさらの血液であることを意味し、すなわち、νが大きな値となる。一方、全血通過時間Tの値が大きいということは、測定している血液が粘性率の高いどろどろの血液であることを意味している。すなわち、粘性率が高いということはνが小さいということであり、これらの関係を考慮して図11を見た場合、νと全血通過時間Tとは有意な相関を有しているとみなすことが可能である。
【0009】
従って、この図11からわかる通り、本発明に係る血液レオロジー測定装置は、血圧測定を必要せずに精度よく手首や指先で血液レオロジーを測定する事が可能となるので、簡便、高精度及び小型の血液レオロジー測定装置が供給でき、その結果、被験者から採血を行うことなく、専門家以外の誰でも手軽に正確なレオロジーを調べることができ、健康状態の確認に利用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】

図1に、本発明に係る血液レオロジー測定装置の構成を示すブロック図を示す。センサ部は、2対の超音波センサすなわち、超音波センサ1と超音波センサ4と前記2対の超音波センサとは独立な超音波センサ7より構成されている。超音波センサ1は発信素子2と受信素子3、超音波センサ4は発信素子5と受信素子6から構成されており、超音波センサ7は発信素子8と受信素子9から構成されている。発信素子2及び発信素子5は連続超音波発生回路10と接続しており、連続超音波発生回路10にて発生する電気信号を機械的超音波に変換して、生体内に超音波を発信させる。
【0011】
動脈内の血流に反射してドップラー信号を伴った超音波信号は、受信素子3及び受信素子6で電気信号に変換され、連続超音波検波回路11に入力され、ドップラー電気信号が検波される。この連続超音波発生回路10と連続超音波検波回路11の2種類の回路で超音波回路12が構成されている。バースト発生回路13は接続された発信素子8に対して電気的バースト信号を出力して、発信素子8を駆動し、該発信素子8は前記電気的バースト信号を超音波バースト信号に変換し、その超音波バーストを生体内に照射する。この照射された超音波バースト信号は、動脈にて反射して受信素子9にて電気信号に変換された後にバースト検波回路14に入力され、バースト検波回路14において動脈による反射バースト超音波が電気信号として検波される。このバースト発生回路13とバースト検波回路14の2種類の回路で超音波バースト回路15が構成されている。
【0012】
連続超音波検波回路11にて検波されたドップラー電気信号は、生体心拍と同期した周期的時間変化を伴う血流速度の信号成分を含んでいる。このドップラー電気信号から血流速度に対応する電気信号、即ち、血流速度信号を分離抽出するための装置が血流速度演算処理装置16である。また、バースト検波回路14にて検波された反射バースト超音波に対応する電気信号は、生体心拍と同期した周期的時間変化を伴う動脈の拍動変位と形状情報を含んでいる。電気信号から動脈の拍動変位量及び形状情報を分離抽出するための装置が血管情報演算処理装置17である。
【0013】
血流速度演算処理装置16から出力された血流速度信号と、血管情報演算処理装置17から出力された血管情報信号は、本発明に係るレオロジー演算処理装置18に入力される。このレオロジー演算処理装置18は、波形情報演算処理装置19、心拍周波数演算処理装置20、パラメータ演算処理装置21及びレオロジー指標演算処理装置22より構成されている。このレオロジー演算処理装置18にて検出されたレオロジー指標が出力装置23にて出力される。以上、図1は血流速度を測定する超音波センサ部と血管情報を測定する超音波センサ部が独立に配置されている実施形態である。
【0014】
図2に、本発明に係る第二の血液レオロジー測定装置の構成を示すブロック図を示す。センサ部は、2対の超音波センサすなわち、超音波センサ1と超音波センサ24で構成されている。超音波センサ24を構成している発信素子25と受信素子26は図1記載の超音波回路12と超音波バースト回路15の双方に切り替え回路27を介して接続されている。この切り替え回路27は、超音波センサ24の接続回路を周期的に超音波回路12と超音波バースト回路13に切り替える。
すなわち、超音波センサ24は、血流速度検出と血管情報検出の双方の機能を持つ事になる。血流速度検出は超音波周波数のドップラー偏移量測定、血管情報検出は反射バースト波の遅延時間等の測定に基づいて行われる。それゆえ、この図2記載の切り替え回路27における切り替えの周期の設定は、これらの測定物理量が測定可能な時間幅であれば良いので、単なる設計的事項にすぎない。この図2は、血流速度を測定する超音波センサ部が、血管情報を測定するセンシング機能も兼ね備えている実施形態である。
【0015】
以上の実施形態においては、血流速度を測定するための超音波センサを複数個使用した場合について説明したが、特に複数個の超音波センサを使用することに拘るものではなく、例えば1個の超音波センサ、即ち、発信素子2と受信素子3とからなる超音波センサ1のみであってもよい。しかし、好ましくは、超音波センサを本実施形態のように2個使用することが望ましい。それは、超音波センサを本実施形態(図8及び図9)のように、超音波の出射方向および受信感度の指向方向が互いに平行でない角度に配置された2個の超音波センサとして使用すると、見えない血管の流れる方向を特定し、例えば、指の接触位置によらず安定して、しかも高精度に測定が可能になるからである。
【0016】
まず、本発明に係るレオロジー指標演算処理装置18でおこなわれる演算処理の理論的背景を以下で説明する。図3は、心拍に同期して拍動する動脈の模式図であって、動脈28における圧力分布29によって、血流は動脈の軸方向であるZ軸方向と半径方向に血流速度分布30を生じる。この圧力分布29が血圧値と相関する事はいうまでもない。さらに、動脈壁31が弾性を持っているために、動脈壁31はZ軸方向と半径方向に振動変位を起こす。この振動変位が図中の拍動変位32である。さらに、この拍動変位32は拍動にともなってZ軸方向に波動として、動脈壁を伝搬する。この波動が脈波33である。 また、図3において、圧力分布29、血流速度分布30及び拍動変位32は流体力学におけるナビエ・ストークスの方程式および動脈壁の力学的運動方程式を用いて解析的に求める事が可能である。すなわち、心拍の角振動数をω、脈波の波数をk、動脈28の内径をR、動脈壁31の厚み、ヤング率、密度及びポアソン比をそれぞれh、E、ρ、σ、動脈28の圧力分布29をP、血流速度分布30の軸方向速度成分をV、動脈半径方向の拍動変位をξとすると、P、V、ξはベッセル関数Jを用いて次式にて決定される。
【0017】
【数1】

【0018】
【数2】

【0019】
【数3】

ここで、φ、Fは次式で定義された無次元関数である。
【0020】
【数4】

【0021】
【数5】

また、γは、動脈壁厚みh、動脈壁密度ρ及び動脈半径Rで以下のように定義された無次元パラメーターであり、次式で与えられている。
【0022】
【数6】

さらにαは、血液の運動粘性率ν、心拍周波数ω及び半径Rを用いて
【0023】
【数7】

と定義できる。
【0024】
図1、図2記載の実施形態で検出される血流速度は、(2)式で与えられる血流速度分布Vにおける最大速度成分を振幅とした波形として検出される。この最大速度成分Vは、近似的に次式で与えられる。
【0025】
【数8】

となる。ここで、Kに関する詳細はのべないが、αの値に依存する値であって、0.65〜1の値をとる。
以上の解析結果から、動脈内の心拍角振動数ωに同期して周期変動する軸方向の最大速度分布Vと拍動変位ξの位相差δは、(3)式と(8)式より、(9)式より決定される。
【0026】
【数9】

この位相差δは動脈内の圧力振幅Pとは無関係に無次元定数α、σ、γのみで決定される事が判明する。なぜならば、(9)式中に現れる、無次元関数F、Φはα、σ、γの関数であるからである。
【0027】
また、同様に動脈内の心拍角振動数ωに同期して周期変動する軸方向の最大速度分布Vと拍動変位ξの振幅比μは、(3)式と(8)式より、(10)及び(11)式で決定される。
【0028】
【数10】

【0029】
【数11】

ここで、Γは規格化振幅比である。この振幅比μは、(9)式で与えられる位相差δと同様に動脈内の圧力振幅Pとは無関係に、動脈内径R、動脈壁厚h、血液密度ρ、動脈ヤング率E及び無次元定数α、σ、γのみで決定される事が判明する。
【0030】
図4は、(9)式で計算される最大血流速度Vmと拍動変位ξの位相差δのα依存性を理論計算した特性図であって、本発明に係る血液レオロジーの指標の演算処理を説明するための特性図である。縦軸はα、横軸は位相差δである。この特性図の特性曲線34―Aは、生体組織での代表的なσ、γの値
σ=0.4〜0.6 γ=0.0〜0.3
では大きな変化がなく、ほぼαの値の変化で決定される事が判明した。このαは(7)式で定義されているように、心拍振動数ω、血液の運動粘性率ν及び動脈内半径Rで決定される。よってこの位相差δ、心拍振動数数ω及び動脈内径Rを測定すれば、動脈内の圧力Pに無関係に、血液の運動粘性率νが検出できることになる。すなわち、血圧を測定せずに血液の運動粘性率νが検出できる事に他ならない。
【0031】
図5は、(11)式で計算される最大血流速度Vmと拍動変位ξの規格化振幅比Γと(7)式で定義されたαの関係を理論計算した特性図であって、本発明に係る血液レオロジーの指標の演算処理を説明するための特性図である。縦軸はα、横軸は規格化振幅比Γである。この特性図の特性曲線34−Bは、生体組織での代表的な値σ、γの値
σ=0.4〜0.6 γ=0.0〜0.3
では大きな変化がなく、ほぼαの値の変化で決定される事が判明した。このαは(7)式で定義されているように、心拍振動数ω、血液の運動粘性率ν及び動脈内半径Rで決定される。よってこの規格化振幅比Γ、心拍振動数数ω動脈内径R、動脈壁厚hを測定すれば、通常、生体組織でのヤング率Eと血液密度ρは個体差もほとんどなく、一定値とみなせるので、動脈内の圧力Pに無関係に、血液の運動粘性率νが検出できることになる。すなわち、位相差と同様に血圧を測定せずに血液の運動粘性率νが検出できる事に他ならない。
【0032】
ちなみに、従来の血液レオロジーの検出方法は、(2)式より計算される最大血流速度Vを圧力振幅項Pで除算するかわりに、血圧値で除算するものであった。以上が本発明に係る演算処理の理論的背景である。また、(1)式から(9)式の式中に現れるjは虚数(−1の平方根)であり、計算値は複素数となるが、実際に意味のある物理量は、電子工学における交流理論と同様で、その実数部である事は言うまでもない事である。
【0033】
図6、図7は、本発明に係る血液レオロジ測定装置の血管情報演算処理装置17における演算処理を説明するための原理図である。図6は、図1記載の本発明に係る血液レオロジー測定装置の血管情報計測用の超音波センサ7を用いた、原理図である。
皮膚35に装着された超音波センサ7の超音波の発信素子8より、発信バースト波36が動脈37に向けて放射される。この放射された超音波バースト波は、動脈37の動脈外壁38と動脈内壁39に反射されるので、四種類の反射バースト波が受信素子9にて検出される。この四種類の反射バースト波がそれぞれ、第一反射バースト波40、第二反射バースト波41、第三反射バースト波42、第四反射バースト波43である。これら、四種類の反射バースト波において、第一反射バースト波40と第四反射バースト波43は、動動脈37の動脈外壁38にて反射する波であり、第二反射バースト波41と第三反射バースト波42が動脈内壁39にて反射する波である。また、図6において、動脈37と皮膚35の距離は動脈離間距離44、動脈37と皮膚35の角度は、動脈角度45である。
【0034】
これら四種類の反射バースト波は、それぞれ異なった時刻において受信素子9で検出される。図7は、受信素子9にて観測される四種類のバースト波の出力強度を図示した特性図である。図7において、縦軸は反射バースト信号波形46と発信バースト信号波形51の信号強度、横軸は時間である。図6記載の発信バースト波36は発信素子8より生体中に対して周期的に放射される。この放射周期εは、心拍周期に比較して十分小さい。n回目の発信バースト波36の放射時刻が図7記載の発信バースト波形51の出現時刻Tである。また、発信バースト波形51の信号強度はVである。ここで、第一回目のバースト波放射時刻を0とすると、n回目のバースト波放射時刻Tは、先の放射周期εを用いて、
【0035】
【数12】

となる。
動脈37から反射する反射バースト信号波形46は、四個のピーク出力をもっている。すなわち、第一反射バースト信号47、第二反射バースト信号48、第三反射バースト信号49及び第四反射バースト信号50である。この時、それぞれ、第一反射バースト波40は第一反射バースト信号47に、第二反射バースト波41は第二反射バースト信号48に、第三反射バースト波42は第三反射バースト信号49に、第四反射バースト波43は第三反射バースト信号50に対応している。また、第一から第四反射バースト信号は、前述の発信バースト波形51の出現時刻Tより遅れて出現し、それぞれ、T(1)、T(2)、T(3)、T(4)の時刻で観測される。ただし、この時間の遅れ量は、発信バースト波36の放射周期より十分小さい。また、信号強度はそれぞれ、V(1)、V(2)、V(3)、V(4)である。
【0036】
図6記載の動脈37は、心臓の周期的運動にともない拍動運動を行っている。それゆえ、前記信号波形の出現時刻T(1)〜T(4)及び信号強度V(1)〜V(4)も時間に対して周期的に変化する。この時の時間周期が生体の心拍周期に他ならない。
本発明に係る図1及び図2記載の血管情報演算処理装置17においては、図7で説明した反射バースト信号波形46と発信バースト信号波形51を任意の時間にて計測し、その波形情報として、それぞれの信号波形の出現時刻T(1)〜T(4)及びV(1)〜V(4)が計測され、これらの計測値から、表1記載のパラメータすなわち、遅延時間差Δτと振幅強度比が検出される。
【0037】
【表1】

表1記載の数値は、発信バースト波51の放射回数毎に計測される。この放射回数がサンプリング数である。この表1記載のパラメータを用いて、動脈37の血管形状情報と拍動変位量が検出される。以下で、血管形状情報を検出する演算処理と拍動変位量を検出する演算処理を説明する。
本発明に係る血管情報演算処理装置17にて検出される血管形状情報は、図6記載の動脈内径52、動脈外径53、動脈壁厚54、動脈壁厚55及び動脈内径と動脈壁厚の比(動脈壁厚/動脈内径)である。
前述の理論式(1)〜(11)における動脈半径Rは、本発明に係る血管情報演算処理装置17にて検出される動脈内径52の時間平均値に等しい。心拍周波数に同期して動脈内径52は周期的変化をする。動脈内径52は図7記載の第二反射バースト信号48と第三反射バースト信号49の遅延時間差Δτ(n)に比例する。すなわち、発信バースト波36のn回目放射時における動脈内径52をD(n)とすれば、
【0038】
【数13】

となる。このD(n)の時間平均値より、動脈内径Rは、
【0039】
【数14】

となる。ここで、mはサンプリング数である。
同様に動脈外径53は図7記載の第一反射バースト信号47と第四反射バースト信号50の遅延時間差に比例する。すなわち表1記載のΔτ(n)、Δτ(n)及びΔτ(n)の総和に比例する。よって、発信バースト波36のn回目放射時における動脈外径53をD(n)とすれば、
【0040】
【数15】

となる。このD(n)の時間平均値より、動脈外径53の平均値Dは、
【0041】
【数16】

となる。
さらに動脈肉厚54は、第一反射バースト信号47と第二反射バースト信号48の遅延時間差の時間平均に比例し、動脈肉厚55は、第三反射バースト信号49と第四反射バースト信号50の遅延時間差の時間平均に比例する。すなわち、動脈肉厚54の平均値をh、動脈肉厚55の平均値をhとすれば、
【0042】
【数17】

【0043】
【数18】

として検出される。通常、hとhは等しいので、動脈壁厚31の値hとしてどちらの値を採用しても問題ない。もし大きく異なる場合は、hとhの平均値を採用しても問題ない。すなわち、
【0044】
【数19】

としてもよい。さらに、動脈内径Rと動脈壁厚hの比、h/Rは、(14)式、(17)〜(19)式を用いて、
【0045】
【数20】

または、
【0046】
【数21】

または、
【0047】
【数22】

次に、拍動変位量を検出する演算処理を以下で説明する。拍動変位量は、動脈内径52の時間変化量または動脈外径の時間変化量から検出される。すなわち、(13)〜(16)式を用いて、
【0048】
【数23】

または
【0049】
【数24】

として検出される。通常、ξとξは等しいので、拍動変位量の値ξとしてどちらの値を採用しても問題ない。もし大きく異なる場合は、ξとξの平均値を採用しても問題ない。すなわち
【0050】
【数25】

としてもよい。
また他の方法として、図6記載の動脈離間距離44が、表1記載の第一バースト信号47の出現時刻T(1)と発信バースト信号波形51の出現時刻Tの遅延時間差Δτ(n)の時間変化に比例する事を利用して拍動変位量を決定しても問題ない。
【0051】
実際の生体中の反射バースト波は、生体中の各組織からの反射波が存在するので、図7にて示す動脈からの反射波以外に他の多くの反射波が存在する。それゆえ、数多くの反射波から、動脈からの反射波を検出する事が必要となる。まず、動脈からの反射波の大きな特徴は、心拍周波数に同期して周期的な変動を伴う事である。この周期的な変動は、前述の遅延時間差Δτにて観測されるだけでなく、表1記載の振幅強度比にても観測される。さらに、この振幅強度比の内、第一反射バースト波の振幅強度比は、動脈外形Dの大きさに比例する。
【0052】
本発明に係る血液レオロジー測定装置にて計測される血流速度は、計測部位中の最大の外径(内径)を持つ動脈の中を流れる血流の速度である。それゆえ、心拍周波数に同期する遅延時間差及び振幅強度を持つ信号を検出し、それらの信号から、最大の振幅強度比を持つ反射バースト波を選択することで、動脈からの反射波が選択される。
【0053】
次に、(10)〜(18)式にある動脈角度45の大きさθは、後述するように図1記載の血流速度演算処理装置16にて検出される。図8は、本発明に係るセンサ部の構造と生体内の動脈の位置関係を説明するための模式図であって、本発明に係る血液レオロジー測定装置に関する図1記載の実施例に対応する模式図である。2対の超音波センサ1と超音波センサ4及び超音波センサ7が同一のセンサ基板56に配置されている。該2対の超音波センサは、連続超音波の射出および受信の指向性の方向が互いに平行にならないように、センサ角度57をなすように傾けて配置されている。該センサ角度57の大きさはψである。またバースト波を送受信する超音波センサ7は、超音波センサ1及び超音波センサ4の中間位置に配置されている。
【0054】
また、超音波センサ1及び超音波センサ4は図1記載の超音波回路12に接続されている。超音波センサ1、超音波センサ2は動脈60に対する連続超音波の送信と該動脈60中を流れる血流に対する反射連続超音波の受信を行い、その受信された超音波の周波数成分から、血流速度成分が血流速度演算処理装置16にて検出される。また超音センサ7はバースト波の送受信を行い、バースト検波回路14を経て血管情報演算処理装置17にて拍動変位と血管形状情報の検出を行う。超音波センサ1、超音波センサ2及び超音波センサ7を構成している発信素子2と受信素子3、発信素子5と受信素子6及び発信素子8と受信素子9の材質は圧電セラミックスである。
【0055】
センサ基板56は音響整合層58を介在して生体表面61に装着される。生体組織59の内部に存在する動脈60とセンサ基板56とのなす角度が動脈角度45であり、その大きさはθである。動脈60に対して超音波センサ1と超音波センサ4で発信された連続超音波は動脈60の内部を流れる血流62に反射し、ドップラー効果によるドップラーシフト(周波数シフト)をともなった反射波超音波として超音波センサ1及び超音波センサ4の受信素子に受信される。
【0056】
受信された連続超音波は連続超音波検波回路11と血流速度演算処理装置16にてドップラーシフト量が検出される。さらに、この血流速度演算処理装置16においては、動脈角度θと血流速度Vも決定される。すわわち、超音波センサ1にて観測されるドップラーシフト量をΔf、超音波センサ4にて観測されるドップラーシフト量をΔf、血流62の血流速度をVとすると、Δf、Δf、は、
【0057】
【数26】

【0058】
【数27】

となるので、この二式を血流速度Vとθの連立方程式として、Vとθが決定できる。その結果、(10)式〜(18)式中のsinθは、
【0059】
【数28】

と決定できる。また、この(26)式よりθの値を求め、(24)式または(25)式に代入する事で、血流速度Vを検出する事ができる。
【0060】
図9は、本発明に係るセンサ部の構造と生体内の動脈の位置関係を説明するための第二の模式図であって、本発明に係る血液レオロジー測定装置に関する図2記載の実施例に対応する模式図である。2対の超音波センサ1と超音波センサ24が同一のセンサ基板63に配置されている。該2対の超音波センサは、超音波の射出および受信の指向性の方向が互いに平行にならないように、図8と同様にセンサ角度57をなすように傾けて配置されている。該センサ角度57の大きさはψである。さらに、超音波センサ1と超音波センサ24を構成している発信素子2と受信素子3、発信素子25と受信素子26の材質は圧電セラミックスである。
【0061】
図2の説明で述べたように、図9記載のセンサ構造にては、超音波センサ24を構成している発信素子25と受信素子26は図1記載の超音波回路12と超音波バースト回路15の双方に切り替え回路27を介して接続されている。この切り替え回路27は、超音波センサ24の接続回路を周期的に超音波回路12と超音波バースト回路13に切り替える。すなわち、超音波センサ24は、血流速度検出と血管情報検出の双方の機能を持つ事になる。この場合、求めるべき動脈角度64の大きさθは、超音波センサ24にて観測されるドップラーシフト量Δf、超音波センサ1にて観測されるドップラーシフト量Δfを用いて、
【0062】
【数29】

から決定できる。さらに、血流速度Vは、
【0063】
【数30】

と決定される。
【0064】
図10は、血流速度演算処理装置16において演算処理された心拍信号に同期して周期的変化する血流速度信号の波形(血流速度波形)65と血管情報演算処理装置17において演算処理された同じく心拍信号に同期して周期的変化する拍動変位波形66を示す説明図である。縦軸は出力強度であって、血流速度波形65においては、速度強度を表し、拍動変位波形66においては、(21)または(22)または(23)式にて、検出された拍動変位量ξを表している。横軸は時間である。図中の血流速度波形65及び拍動変位波形66は双方ともに時間間隔ΔTの範囲でN個のピーク値を持っている。
【0065】
すなわち、血流速度波形65においては、V(1)からV(N)のN個のピーク値、拍動変位波形66においては、ξ(1)からξ(N)のN個のピーク値である。 これらのピーク値は、血流速度波形65においては、そのベースライン67からの計測値であり、拍動変位波形66においては、そのベースライン68からの計測値である。それゆえ、これらのピーク値は、両波形の振幅強度である。
表2に図10記載の血流速度波形65のピーク値V(1)とその出現時刻τ(n)及び拍動変位波形66のピーク値ξ(n)とその出現時刻τ(n)をまとめて記す。
【0066】
【表2】

表2及び血流速度波形65のN個のピーク値は(2)式で与えられた血流速度分布の最大血流速度V対応している。
【0067】
次に、本発明に係るレオロジー演算処理装置18に内蔵されている波形情報演算処理装置19、心拍周波数演算処理装置20、パラメータ演算処理装置21及びレオロジー指標演算処理装置22について以下説明する。第一の演算処理装置である波形情報演算処理装置19は、表2に記載の波形情報(ピーク値)を検出するものであり、この波形情報演算処理装置19における波形に関する演算処理方法は、コンパレーターを用いたピーク検出方法等を用いた演算処理方法を採用している。
次に、第二の演算処理装置である心拍周波数演算処理装置20は、表2に記載の波形情報のうち、血流速度波形65または拍動変位波形66のピーク値出現の時刻間隔を以下の演算処理式(1)によって
【0068】
【数31】

または
【0069】
【数32】

をもとめ、さらに、以下の第二の演算処理式(2)
【0070】
【数33】

によって心拍周波数Fを検出する。この演算処理方法はピーク値を基準にした演算処理方法であるが、図10に記載の血流速度波形65と拍動変位波形66の最小値を基準にしてもなんら本質的に問題ない。
【0071】
本発明に係るレオロジー演算処理装置18に内蔵される第三の演算処理装置であるパラメータ演算処理装置21においては、血流速度波形65と拍動変位波形66の両波形から、演算処理によって、位相差または振幅比の少なくともどちらか一方が検出される。
【0072】
まず、位相差の検出について説明する。位相差の検出においては、表2記載のN個の血流速度波形65と拍動変位波形66のピーク出現時刻の時間差を、以下の演算処理式(3)、
【0073】
【数34】

によって求めると共に、この時間差ΔτVh(n)の平均値と心拍周波数演算処理装置19にて検出された心拍周波数Fを用いて、以下の演算処理式(4)
【0074】
【数35】

によって血流速度波形65と拍動変位波形66の位相差δを検出している。
【0075】
また、振幅比μにおいては、表2記載のN個の血流速度波形65と拍動変位波形66のピーク値の比V(n)/ξ(n)の平均値として検出される。すなわち、
【0076】
【数36】

として検出される。
以上の演算処理のうち、位相差に関する演算処理はピーク値を基準にした演算処理方法であるが、心拍周波数演算処理装置20と同様に図10に記載の血流速度波形65と拍動変位波形66の最小値を基準にしてもなんら本質的に問題ない。
【0077】
さらに本発明に係る波形情報演算処理装置19において、波形情報の演算処理手段としてフーリエ解析法、フェーズロックトループ(PLL)法などの一般的演算処理方法を採用することで、血流速度波形65及び拍動変波形66から直接、心拍周波数Fと位相差δを検出する構成であってもなんら問題はなく、適宜、変更可能である。
【0078】
本発明に係るレオロジー演算処理装置18に内蔵される第四の演算処理装置であるレオロジー指標演算処理装置22においては、血管情報演算処理装置17にて検出された動脈半径R等の血管情報、心拍周波数演算処理装置20にて検出された心拍周波数F及びパラメータ演算処理装置21にて検出された、血流速度波形65と拍動変波形66の位相差δまたは振幅比μより、運動粘性率νが検出される。
【0079】
以下で、血流速度波形65と拍動変波形66の位相差δより血液の運動粘性率νを決定する場合について説明する。この場合は、レオロジー指標演算処理装置22に記憶されている図4記載の特性曲線34−A、パラメータ演算処理装置21(演算処理式(4))にて検出された位相差δ、心拍周波数演算処理装置20(演算処理式(2))にて検出された心拍周波数F、及び血管情報演算処理装置17((14)式)にて検出された動脈半径Rより、血液運動粘性率νが決定される。まず、記憶されている特性曲線34−Aとパラメータ演算処理装置21にて検出された位相差δから、αの値が検出される。この検出されたαの値をαとすると、心拍周波数F及び動脈半径Rより、以下の演算処理式(6)より、求めるべき血液の運動粘性率νが決定される。
【0080】
【数37】

この演算処理式(6)を用いて、検出された運動粘性率νとマイクロチャネルアレイを用いた採血方式による血液レオロジーの指標である全血通過時間Tの相関を示した特性図が、図11である。先に説明したように、本発明に係る血液レオロジー測定装置にて検出した血液の運動粘性率νと全血通過時間Tは、高度の相関を持っている事が判明している。
【0081】
次に、血流速度波形65と拍動変波形66の振幅比μより血液の運動粘性率νを決定する場合について説明する。この場合は、図5記載の特性曲線34−B、血液密度ρ及び血管ヤング率Eがレオロジー指標演算処理装置22に記憶されている。さらにパラメータ演算処理装置21(演算処理式(5))にて検出された振幅比μ、心拍周波数演算処理装置20(演算処理式(2))にて検出された心拍周波数F、及び血管情報演算処理装置17((14)式、(20)式)にて検出された動脈半径R及びh/Rより、血液運動粘性率νが決定される。
まず、検出された振幅比μ、動脈半径R及びh/R、さらに記録されている血液密度ρ及び血管ヤング率Eより、(10)、(11)式で定義された規格化振幅比Γが検出される。
この検出された規格化振幅比をΓとすると、Γ
【0082】
【数38】

となる。
さらにこのΓと記録されている特性曲線34−Bをもちいて、αの値が検出される。この検出されたαの値をαとすると、心拍周波数F及び動脈半径Rより、以下の演算処理式(8)を用いて、求めるべき血液の運動粘性率νが決定される。
【0083】
【数39】

ちなみに、振幅比より運動粘性率νを算出するために、記憶されている血液密度ρ及び血管ヤング率Eの値は、それぞれ、生体の個体差はほとんどないので、図11記載の特性図と同等な検出精度が得られることが判明している。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、医療および健康維持・増進を目的として、体液の流動性を示す指標としての血液レオロジーと強い相関がある生体内の血流速度を計測することが可能であるだけでなく、生体(人体)の活動状況と生体各部における血流状態の相関を知るための計測においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る血液レオロジー測定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る血液レオロジー測定装置の構成を示す第二のブロック図
【図3】本発明に係る心拍に同期して拍動する動脈の模式図
【図4】本発明に係る血液レオロジーの指標算出のための演算処理を説明する特性図
【図5】本発明に係る血液レオロジーの指標算出のための演算処理を説明する特性図
【図6】本発明に係る血液レオロジーの指標算出のための演算処理を説明する模式図
【図7】本発明に係る血液レオロジーの指標算出のための演算処理を説明する模式図
【図8】本発明に係るセンサ部の構造と血液レオロジー測定を説明するための模式図
【図9】本発明に係るセンサ部の構造と血液レオロジー測定を説明するための第二の模式図
【図10】本発明に係る血流速度波形と拍動変位波形を示す説明図
【図11】本発明の効果を示す特性図
【符号の説明】
【0086】
1 超音波センサ
2 発信素子
3 受信素子
4 超音波センサ
5 発信素子
6 受信素子
7 超音波センサ
8 発信素子
9 受信素子
10 連続超音波発信回路
11 連続超音波検波回路
12 超音波回路
13 バースト発生回路
14 バースト検波回路
15 超音波バースト回路
16 血流速度演算処理装置
17 血管情報演算処理装置
18 レオロジー演算処理装置
19 波形情報演算処理装置
20 心拍数演算処理装置
21 パラメータ演算処理装置
22 レオロジー指標演算処理装置
23 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面から該生体内を測定し、前記生体内の動脈を流れる血液の血流速度に対応した血流速度波形を出力する第1の測定部と、同じく前記生体表面から該生体内を測定し、前記動脈の血管径の計測値、及び心臓の拍動運動にともなって伸縮する前記動脈血管径の変位量に対応した血管拍動変位波形を出力する第2の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の測定部とから出力された前記血流速度波形と前記血管拍動変位波形と前記血管径の計測値から前記動脈内の血液レオロジーを算出するレオロジー演算処理装置とからなることを特徴とする血液レオロジー測定装置。
【請求項2】
前記レオロジー演算処理装置は、前記第1の測定部から出力された前記血流速度波形、または前記第2の測定部から出力された前記血管拍動変位波形から心拍周波数を算出する心拍数演算処理装置と、前記血流速度波形と前記血管拍動変位波形とからそれぞれの波形の位相差または振幅比を算出するパラメータ演算処理装置と、算出された前記位相差及び前記振幅比のうちいずれか一方と前記血管径と前記心拍周波数とを用いて演算を行い血液の運動粘性率を算出するレオロジー指標演算処理装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項3】
前記レオロジー指標演算処理装置は、前記運動粘性率と前記心拍周波数と前記血管径との対応関係を記した特性表または関係式を記憶する記憶部を有し、該記憶部に記憶した前記特性表または関係式を用いて、前記運動粘性率を算出することを特徴とする請求項2に記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項4】
前記第1の測定部は、前記生体表面から前記生体内の動脈血流に対して超音波連続信号を送受信する第1の送受信部と、受信した超音波連続信号からドップラー偏移を受けたドップラーシフト信号を演算処理して前記前記血流速度波形を出力する血流速度演算処理装置とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項5】
前記第2の測定部は、前記生体表面から前記生体内の動脈対して超音波バースト信号を送受信する第2の送受信部と、受信した超音波バースト信号を演算処理して前記動脈の血管径の計測値及び前記血管拍動変位波形を出力する血管情報演算処理装置とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項6】
前記第1の送受信部は、前記超音波の出射方向および受信感度の指向方向が互いに平行でない角度に配置された2対の超音波センサ素子からなる第1のセンサ部と、前記第1のセンサ部を駆動し、受信した超音波を検波する第1の送受信回路部とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項7】
前記第2の送受信部は、前記生体内に対して前記超音波バースト信号を送受信する1対の超音波センサ素子からなる第2のセンサ部と、前記第2のセンサ部を駆動し、受信した超音波を検波する第2の送受信回路部とからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項8】
前記第1のセンサ部を構成する前記2対の超音波センサ素子のうちの1対の超音波センサ素子が前記第2のセンサ部を形成し、該第2のセンサ部に接続される前記第1の送受信回路部及び前記第2の送受信回路部との切り替えを行う切り替え回路部を有することを特徴とする請求項7に記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項9】
前記第1のセンサ部と前記第2のセンサ部が、同一基板上に配置されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の血液レオロジー測定装置。
【請求項10】
超音波を用いて生体表面から生体内の動脈を流れる血液の血液レオロジーを計測する血液レオロジー計測方法であって、
前記生体内の動脈を流れる血液の血流速度に対応した血流速度波形を計測する工程と、前記動脈の血管径を計測する工程と、心臓の拍動運動にともなって伸縮する前記動脈の血管径の変位量に対応した血管拍動変位波形を計測する工程と、計測された前記血流速度波形と前記血管拍動変位波形と前記血管径の計測値から前記動脈内の血液レオロジーを算出する工程とからなることを特徴とする血液レオロジー計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−218169(P2006−218169A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35885(P2005−35885)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】