説明

血液処理システムの遠心分離機

全血を収集して、その構成成分を分離する自動システムとして具現された連続フロー遠心分離機(CFC)を開示する。本発明のシステムはコンソールおよび使い捨てセットを有している。特定血液製品を作る種々の血液処理手順は、各プロセス用の特定の使い捨てセットを用いることにより実施される。連続フロー遠心分離機ディスクは、内側壁と、外側壁と、これらの壁間の分離チャネルとを有し、分離チャネルは、内側面(506)と、外側面(507)と、全血を分離チャネル内に導入するする入口ポート(594)と、濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポート(544)と、血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポート(584)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、血液の自動化された収集を行い、かつ、血液をその成分に分離する血液処理システムに関する。より詳しくは、本発明は、血液を2以上の成分に分離でき、かつ、前記血液処理システムに使用できる遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
成人の身体は、細胞部分および液体部分の両方からなる約10単位(すなわち、約5,000mL(ミリリットル))の全血を保有している。細胞部分(約45重量%)は、赤血球、白血球および血小板を有している。液体部分(約55重量%)は、血漿および可溶性血液タンパク質で形成されている。これらの各成分は、患者の体内に直接輸血して、広範囲の治療用途に使用できる。血液成分治療は、血液疾患および失血を含む血液状態の治療に使用されている。血小板治療も、化学療法の副作用の治療に使用されている。
【0003】
現在の世界の全血供給量は、毎年7500万単位であると見積もられており、毎年約4500万全血単位(whole blood units)が、北米、ヨーロッパ、日本およびオーストラリアの移動収集施設または固定収集施設でドナーから収集されている。米国では、収集量は1990年代に僅かに減少しており、2000年には、1310万単位、すなわち工業化された世界の収集量の29%まで減少している。収集量は、ヨーロッパが44%、日本が16%、工業化された世界の他国の全体が11%であると考えられている。献血量の75%は米国での移動セッティング(例えば、学校、オフィスおよびコミュニティセンター)で収集され、残りの25%は固定の血液センター施設で収集される。
【0004】
現在、血液の収集は、2つのプロセス、すなわち50年来の旧式手動プロセスによる収集および血液成分分離装置(apheresis)を用いた血液成分の収集を用いて行われている。手動プロセスは、1単位当り約75分から90分を要する。このプロセスは、ドナーからの手動による全血収集で開始され、約6分から約15分を要する。次に、全血の1単位および試験サンプルが、固定の血液成分研究所に搬送され、ここで、血液が、試験され、遠心分離され、圧出され、ラベル貼付され、白血球低減(leukoreduced)されかつ在庫に記載される。また、血小板を作るには、遠心分離およびハンドリングが必要になる。一般に、血液の収集および分離を行う手動方法は、血液成分分離装置等を用いる自動化された方法よりも効率が低い。例えば、血小板収集の手動方法では、治療用量を作るのに4回から6回の収集が必要になる。
【0005】
米国では、或る成分の収集は、血液成分分離装置を用いて頻繁に行われている。この自動化されたプロセスは、ドナー血液を収集し、所望成分を除去しかつ残りをドナーに戻す。例えば、プラスマフェレーシス(血漿)および血小板フェレーシス(血小板)は、特定成分の収集を行うべく開発された、自動化された血液成分分離方法である。プラスマフェレーシスは、血液を抜取り、血液を血漿および赤血球に分離し、かつ赤血球を身体に再注入して戻すことにより、身体から血漿を自動除去する方法である。血小板フェレーシスは、血液を抜取り、血液を赤血球、血漿および血小板に分離し、かつ赤血球および血漿を身体に再注入して戻すことにより、身体から血小板を自動除去する方法である。
【0006】
血液の供給は少量である。血液不足は非常に深刻で、このため2000年では、米国の全随意手術の7%が血液不足のため遅延しており、米国赤十字社(American Red Cross
:ARC)は、血液在庫が1日の供給分を下回ることを報告している。最近、ARCおよび世界中の他の血液機関は、「狂牛病」のため、ドナー適格に新たな制限を賦課した。このおよび他の厳重なドナー審査プログラムは、利用できるドナーのプールを8%減少させることを予測している。いずれにせよ、これらのプログラムの採用は、血液成分を必要とする積極的な医療処置の普及の高まりとともに、血液製品の広範囲の不足をもたらしている。
【0007】
また、ドナーベースも縮小している。健康な北米人の3%未満の人が定期的に献血する。米国内の適格ドナーの数は、2002年のレベルから約8%減少すると思われる。この減少は、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の種々の病気によりもたらされる血液の汚染を防止するためのより厳格なドナースクリーニングを含む種々の理由が予測される。標準的な手動収集および分離プロセスを含む現在の血液収集方法についての他のアプローチを奨励するため、ドナー人口に影響を与える取締りの風潮および問題も生じている。
【0008】
幾つかの自治体は、問題を埋め合せる部分的解決方法として、1人のドナーの採取中に2単位の赤血球の収集を提案している。或る研究は、2倍の重赤血球収集の採用により、必要ドナープールを6%減少できかつより少ないドナープールからの既存の血液供給要件に合致し続けることを示唆している。しかしながら、多くの血液バンクは、現在、二重赤血球収集を遂行するのに必要な能力または血液成分分離装置を保有していない。
【0009】
また、米国の殆どの血液バンクは、現在、五分五分のポジションまたはこれに近いポジションで活動している。老人医療保険会社および私的保険会社は、血液単位(blood units)の購入のための病院への返済を制限している。米国の血液センターは、管理されたヘルスケアシステムの成長に付随する通常の効果を経験し続けている。多くの血液センターでは、1単位の赤血球の収集および処理を行うための完全加算コストは、その販売価格を上回る。これは、病院が血液センターに価格圧力をかけていることによる。従って、血液センターは、五分五分のポジションを達成すべく費用を低減させることに彼らの努力を集中している。
【0010】
血液製品は生物学的製品であり、従って血液センターは、米国食品薬品局(FDA)の規則および確立された実務の下で活動しなければならない。手動の収集および処理方法を用いる場合の規則および実務に従った活動は、品質保証の莫大な負担を課し、このような状況で、米国内の血液センターの1/2以上が依然として活動できないでいる。また、血液バンク組織は、彼らの血液製品に大きな価格浸食を与えており、FDAにより命令されたコストが嵩む、新しい安全および品質調節方法および試験を吸収しなければならない。
【0011】
また、新しい規則が世界中で施行されている。例えば、白血球は、輸血を受ける少数の人に、好ましくない生理学的反応を引起こすことが判明している。このため、FDAの血液製品諮問委員会は、FDAが白血球の低減を命令することを正式に推奨しており、カナダおよび英国を含む世界中の国が白血球のフィルタリングを採用している。現在、白血球は、多くの時間および労力を消費する手動フィルタリング方法により、赤血球および血小板から分離されている。
【0012】
手動による血液収集および分離方法は幾つかの重大な欠点を有しているが、特殊なスタッフ、高価な機器および廃棄用品が不要であるため、一般に、自動化された方法に比べて非常に安価である。また、煩雑な(大きくて重い)血液成分分離装置は、大部分の献血が収集される移動収集施設で使用したくても、貸与および搬送することができない。これらの理由から、例えば、米国内で収集される65%までの血小板が血小板フェレーシスを用いて収集されているが、血液成分分離装置は、高割合で使用されておらずまたは1つ以上の赤血球製品が得られる現在の手動による血液収集および分離方法に取って代わるものとなっていない。同様に、2倍単位の収集を行う現在の方法が高価で比較的複雑であるという理由から、二重単位収集も行われていない。最後に、白血球フィルタリングのような幾つかの処理では、時間を消費しかつ高価な手動方法が僅かに使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、直接収集コストおよび処理コストを低減させ、収集手順および処理手順を自動化および標準化し、データ収集を自動化してエラーを最小にし、多くの処理(赤血球の単一単位および2倍単位の収集を含む)を遂行し、移動血液駆動(mobile blood drives)での遠隔施設並びに固定の血液センター施設での使用に首尾良く機能し、かつ血液の収集、処理および白血球フィルタリングが同時に行える血液収集および処理システムに関する。本発明はまた、上記血液収集および処理システムに組み込むことができる遠心分離機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態では、本発明は、コンソールおよび使い捨てセットを有する自動化された血液収集および分離システムに関する。使い捨てセットは、マニホルドと、連続フロー遠心分離機(CFC)(CFC駆動カップおよびシステム作動中にCFC駆動カップ内に存在するCFCディスクを含む)と、チューブを介して取付けられた種々のコンポーネンツ(例えば、溶液バッグ、血液製品バッグ、バクテリアフィルタ、白血球フィルタ、アクセスニードルを備えたドナー血液収集チューブ)とで構成できる。或いは、マニホルドおよびCFCディスクは、カセットを使用することなく、別々にコンソール内に取付けることができる。システムには、システムを通して流体を駆動するローラポンプ機構およびCFC駆動機構、システムを通る流体の流れを制御する一連の弁、およびこれらの流体の流れをモニタする圧力センサ、超音波センサおよび光学センサを設けることができる。システムの作動を制御しかつ種々の仕事の性能を知らせるための、システムの電子部品、ソフトウェア、ユーザインターフェースコンポーネンツ、バーコードリーダ、データ取得コンポーネンツを設けることができる。
【0015】
CFCディスクには、この周辺に配置され、または、この近くに配置される環状分離チャネル、または、環状分離チャネル内に位置する血漿棚の少なくとも1つを設けることができる。CFCディスクには更に、分離チャネルの最大半径に配置され、または、この近くに配置される赤血球出口ポートを設けることができる。CFCディスクの角度配向を行うための孔またはロッキングポートの少なくとも一方には、CFCディスクからマニホルドへの種々の流体ラインを設けることができる。CFCディスクには更に、流体および種々の血液製品を搬送するための種々の通路およびチューブを設けることができる。流体および血液製品は、一連の周方向チャネル(例えば、全血、赤血球、血漿、貯蔵溶液等の各流体製品または血液製品に1つのチャネル)を含むシール組立体を介して、CFCにおよびCFCから搬送される。
【0016】
他の態様では、本発明は、CFCおよび本発明の血液収集および処理システムを具現する、血液処理および収集手順を実行する種々のプロセスに関する。例えば一実施形態では、貯蔵溶液中の1単位の白血球低減されたRBCおよび1単位の血漿が作られる。他の実施形態では、ドナーから充分な全血が収集され、貯蔵溶液中に2単位の白血球低減されたRBCを作る。他の実施形態では、充分な全血が収集されて、貯蔵溶液中に白血球低減された1単位の白血球低減されたRBCおよび2単位の血漿を作る。他の実施形態では、ドナーからの充分な全血を処理して、所望体積の血漿のみを収集する。他の実施形態では、全血を収集して、貯蔵溶液、血漿およびバフィーコート中に1単位の白血球低減されたRBCを作る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の他の特徴および長所は、本発明の実施形態の種々の特徴を示す添付図面を参照して述べる以下の詳細な説明から明白になるであろう。
【0018】
本発明は血液収集および処理システムに関し、この血液収集および処理システムは、一実施形態では、連続フロー遠心分離機(continuous-flow centrifuge:CFC)を有している。CFCは、CFC駆動カップおよびCFCディスクを有している。血液収集および処理システムは、血液製品の収集および処理の少なくとも一方を行うための一連の異なるプロセスを遂行できる電磁機器を備えたコンソールを使用している。これらの異なるプロセスの各々に関連して、血液収集および処理システムは、システムのコンソールと相互作用する、対応する、異なる使い捨てセットを使用できる。使い捨てセットは、1つ以上の血液製品を作るべく、それぞれのプロセスに使用できる。例えば、各プロセスから得られる血液製品として、1以上の単位の、貯蔵(添加物)溶液中の白血球低減されかつパックされた赤血球と、1以上の単位の、血漿分別器の条件を満たす血漿および新鮮な凍結血漿と、1以上の単位のバフィーコートとがある。
【0019】
コンソールは、流体を駆動してCFCの回転速度を制御するための、使い捨てセットおよびCFC駆動システムを通して流体をポンプ送出するローラポンプ機構と、CFC駆動システムを通る流体の流れを制御するための一連の弁と、これらの流体の少なくとも位置または流れをモニタリングするための圧力センサ、超音波センサおよび光学センサとを有している。システムの作動を制御しかつ種々の仕事の性能を知らせるため、少なくともシステムの電子機器、ソフトウェア、ユーザインターフェースコンポーネンツ、バーコードリーダおよびデータ取得コンポーネンツの1つを設けることができる。
【0020】
使い捨てセットのCFC、および、他のコンポーネンツは、同時血液収集、抗凝固添加物、血液製品のバッグへの血液成分の分離および除去、赤血球貯蔵溶液の添加、および、赤血球の白血球濾過(red cell leukofiltration)を含む種々のシステム機能に関連して使用できる。これらのプロセスは、図1に示すように、ドナーからCFCディスクおよび白血球フィルタを通って血液成分バッグへと流れる連続フロー速度により生じる。図1は、本発明の連続フロープロセス中に生じる同時プロセス段階を示すものである。
【0021】
図1に示すように、抗凝固剤12は、血液がCFC500に到達する前に、ドナーの全血フロー11中にポンプ送出される。血液は、CFC500から、赤血球(RBC)および血漿に分離され、これらは別々の経路に流入する。赤血球貯蔵溶液15は、これが白血球フィルタ(leukofilter)150に流入する前に、パックされた赤血球フロー14中にポンプ送出される。赤血球は、白血球フィルタ150から、赤血球製品バッグ131内に収集される。血漿フロー13は、CFC500から血漿製品バッグ132内に流入する。赤血球製品および血漿製品は、ドナーから採取された1単位の全血から分離される。このプロセスは、自動化された血液収集および処理の全体的形態を示すものであるが、流体がドナーに戻されることは全くなく、これは血液成分分離装置とは考えられない。
【0022】
当業者ならば容易に理解されようが、1単位の全血は、米国では通常、450ml(ミリリットル)または500ml(ミリリットル)の体積を有している。この全血体積には、収集中に全血に添加される抗凝固剤の体積は含まれない。
【0023】
使い捨てセット:
図3に示すように、各使い捨てセットは、マニホルド210と、シール組立体600を備えたCFCディスク501と、チューブ230を介してマニホルドに取付けられた付加コンポーネンツとを有している。これらのコンポーネンツは、1つ以上の溶液バッグ(例えば抗凝固剤バッグ、貯蔵溶液バッグ)122、138と、血液製品バッグ(例えば赤血球バッグ、血漿バッグ)131、132と、空気バッグ128と、バクテリアフィルタ141、142と、白血球フィルタ150とを有している。貯蔵溶液バッグ122および抗凝固剤バッグ138をチューブ230に連結するのにルアロックコネクタ221、222を使用できる。ドナーから血液を吸引し、かつ、流体をドナーに戻す本発明のこれらの実施形態(すなわち、血液成分分離装置)には、ドナーアクセス副組立体115の他のコンポーネンツと一緒にアクセスニードルを備えたドナー血液収集チューブを含めることができる。
【0024】
図13には、ドナーアクセス副組立体115が、より詳細に示されている。ドナーアクセス副組立体は、キャップ116を備えたニードルと、ニードル安全ガード117と、VACUTAINERサンプルチューブのようなサンプルチューブと相互作用するように構成されたサンプルサイト21と、手動クランプ31、32、33と、サンプルパウチすなわちダイバージョンバッグ22とを有している。図13にはまた、マニホルドライン250への全血およびマニホルドライン251からの抗凝固剤が示されている。本発明の一実施形態では、ドナーからの最初の全血フローは、サンプルパウチすなわちダイバージョンバッグ22に流入する。次に、このパウチすなわちバッグ22がドナーラインからクランプおよびシールされ、血液サンプルが取出される。次に、サンプルパウチ22の下流側に配置された手動クランプ33のクランプが解除され、ドナーからの血液が、凝固剤の添加後に、マニホルドライン250への全血を介して、CFCディスク501にポンプ送出される。
【0025】
図4に示すように、マニホルド210およびCFCディスク501は、コンソールの前パネル705上に取付けられるように構成されている。前述のように、これらのコンポーネンツは、チューブおよび一連の付加コンポーネンツを介して互いに流体連通した状態に維持される。一実施形態では、マニホルド210およびCFCディスク501は、個々に、コンソールの前パネル705上に取付けられるように構成されている。他の実施形態では、マニホルド210およびCFCディスク501がカセットフレーム(図示せず)内に収容され、カセットフレームがコンソールの前パネル705上に取付けられるように構成されている。カセットフレームを前パネル705上に取付けると、マニホルド210およびCFCディスク501が前パネル705上に取付けられることになる。カセットフレームは、マニホルド210およびCFCディスク501を支持し、かつシステムが使用のために組立てられたときに、これらのコンポーネンツを、コンソールの前パネル705およびドア702上に取付けられたアクチュエータおよびセンサに対向させるのに充分な剛性をもつ射出成形プラスチックで形成できる。マニホルド210は、カセットフレームに接着するか、超音波融着することができ、CFCディスク501の静止シール組立体の支持構造体は、カセットフレームに取付けるか、接着することができる。
【0026】
図4に示すように、マニホルド210およびCFCディスク501がコンソールの前パネル705上に取付けられたならば、コンソールドア702が閉じられ、マニホルド210およびCFCディスク501を、コンソールドア702とコンソールの前パネル705との間に固定する。マニホルド210およびCFCディスク501がコンソールの垂直な前パネル705上に垂直に配向されることにより、使い捨てセットのコンポーネンツ内の液体から空気を分離する補助ができ、これにより、空気の除去が容易になる(空気は、垂直な流体通路に沿って上方に移動する)。また、全ての漏洩流体は、CFCディスク501を収容するウェル内のコンソールの底部に集合するように垂直表面に沿って下方に移動する傾向を有し、従って容易に見ることができる。これにより、流体の漏洩を容易に検出できるため、システムに安全性の特徴が付与される。
【0027】
マニホルド210(または、カセット)は、これらのマニホルド210(またはカセット)の整合孔または同様な要素と係合するピンにより、または、同様な機械的要素により、コンソールの前パネル705上の所定位置に固定される。コンソールドア702は、マニホルド210上に閉じられ、コンソールの前パネル705に対してマニホルド210を固定するように構成されている。本発明の種々の実施形態では、検出コンポーネンツ(例えば圧力センサ、超音波センサ)の特定要素はマニホルド210内に設けられ、これらのコンポーネンツの他の要素はコンソールの前パネル705内に設けられる。
【0028】
また、システムには、使い捨てセットのチューブ、および、他のコンポーネンツを通る流体の流れを制御する一連の弁を含めることができる。本発明の一実施形態では、弁はコンソールの前パネル705上に配置され、マニホルド210が前パネル705上に取付けられかつコンソールドア702が、その後に閉じられたときに、チューブが弁に機械的に流体連通されるように構成される。本発明のこの実施形態に関連して使用するには、ロータリピンチが適しているが、他の形式の弁も首尾良く使用できる。或いは、弁(または弁の特定要素)はマニホルド210上に配置することもできる。弁の他の要素はコンソールの前パネル705上に配置して、マニホルド210が前パネル705に取付けられたときに、マニホルド210の要素と相互作用するように構成できる。或いは、弁組立体の全体をマニホルド210上に配置することもできる。
【0029】
使い捨てセットでの特定コンポーネンツ、バッグおよびチューブおよびこれらの形状は、本発明のシステムで行われるべき特定プロセスに基いて選択される。本発明の一実施形態に従って使用される一形態が図2に示され、図2は、貯蔵溶液中の白血球低減された赤血球の1バッグと、血漿の1バッグとを作るプロセスを概略的に示すものである。従って、各プロセスの使い捨てセットに使用されるコンポーネンツおよびこれらのコンポーネンツの相互の形状(および、CFCディスクおよびマニホルドとの関係)も選択される。
【0030】
マニホルド:
図5から図7に示すように、マニホルド210は、システムを通る流体の流れを制御しかつモニタリングする一連のコンポーネンツを有している。種々の流体が、一連の流体流路240を介してマニホルド内を通って移動する。これらの流路240は、マニホルド210の種々のコンポーネンツ(例えば、検出コンポーネンツおよび付勢コンポーネンツ等)との流体連通を確立すべく、マニホルド210内に直接成形(モールディング)される。これらの流体は、マニホルドの外部のチューブを通って更に移動し、これにより、前述のように、マニホルドと、システムの使い捨てセットの他のコンポーネンツ並びにドナーとの流体連通が可能になる。
【0031】
マニホルド210は、このマニホルドとシステムの他のコンポーネンツとの間に取付けられるチューブを支持する。より詳しくは、マニホルド210は、マニホルドをコンソールの前パネル705に取付け次にコンソールドア702を閉じたときに、システムの他のコンポーネンツと相互作用するように構成された一連のチューブシステムを支持する。本発明の一実施形態では、図5から図7に示すように、チューブセグメントは、マニホルド210から外方に延びているフレーム280により所定位置に支持される。従って、特定のチューブセグメントの一端が、マニホルド210のアタッチメントフィッティングにより所定位置に支持され、他端が、チューブセグメントが通されるフレーム280の孔により支持される。
【0032】
例えば、選択されたチューブセグメントが、この態様で、コンソールの前パネル705のロータリ弁に対向して配置される。ロータリ弁は、チューブセグメントを通る流体の流れを遮断するように、充分大きい圧力をチューブセグメントに付与し、他の位置では、ロータリ弁は、チューブセグメントに殆ど圧力を付与せず、または、全く圧力を付与せず、従って、チューブセグメントを通る流体の自由な流れを可能にする。或いは図9に示すように、コンソールの前パネル705に取付けられるソレノイド弁412、ソレノイドシール408およびソレノイドワッシャ414を備えたソレノイド弁を使用できる(図27)。中央アーマチャすなわち弁プランジャ410はスプリング負荷されており、かつマニホルドの中間ボディ215内の流路の開口または弁オリフィス402に対して弾性弁ダイアフラム276を変形させて前記開口を閉塞し、弁コンポーネントへの流入または流出を防止する。ソレノイドが作動されると、弁プランジャ410が前記開口から引離され、流れを生じさせることができる。弁ダイアフラム276は、ソレノイドコンポーネンツに対向するマニホルドの中間ボディ215に配置されている。流路の一部である弁オリフィス402は、この周囲に隆起環状体を有し、弁プランジャ410が前記環状体にダイアフラム276を押付けて、弁オリフィス402および流路のシールを形成し、かつ、これらを閉じる。ソレノイドが付勢されると、弁プランジャ410がマニホルド210から引離され、弁ダイアフラム276が、その弾性により、弁オリフィス402から離れ、これにより流路が開かれる。弁ダイアフラム276は、弁プランジャ410により変形されないときは常開位置にあり、ソレノイド弁412を閉じようとする弁プランジャ410による変形に抵抗する。弁ダイアフラム276も負圧に抵抗し、流路内のこのような負圧に露出されているときは閉じることがない。
【0033】
また、選択されたチューブのセグメントは、コンソールの前パネル上の超音波センサに対向するように配置される。図12に示すように、マニホルドにより支持されたチューブのセグメントは、ヨーク形の超音波センサ450が3つの側面でチューブセグメント457を包囲するように構成されている。コンソールドア702が閉じられると、コンソールドア702に取付けられた1つ以上のフィンガ455が、チューブセグメント457をセンサ450のスロット内に押込み、チューブセグメント457を圧縮する。これにより、チューブセグメント457が押込まれてセンサ450の側面に確実に接触され、良好な音響カップリングが得られる。このスロットの対向する側面の材料面の内側に、センサのトランスデューサ要素が取付けられる。作動時に、センサ450は、チューブセグメント457を介して超音波を送出する。液体と、空気と、気泡との間の音響特性の差異が、センサ450およびその電子部品により測定される。これは、システムが故障したときに空気がドナーに流入することを安全に防止し、特定プロセスがシステムのチューブ内に気泡を生じさせることなく行われることを確保しかつ液体収容バッグから液体が空になった時点を検出する。本発明の他の実施形態では、任意のバッグまたは全部のバッグの体積は、バッグの重量により決定される。これは、コンソールに配置されるかディスプレイスクリーンの直ぐ下に配置された個々のスケール(図示せず)からバッグを吊下げることにより行うことができる。
【0034】
また、マニホルド210には、流体の流れを制御するための少なくとも1つのローラポンプチューブセクション231(コンソールの前パネルに少なくとも1つの対応ローラポンプを備えている)が設けられている。図5から図7に示した本発明の実施形態では、このような4つのチューブセグメント231が設けられている。また、図29に示すように、ローラポンプチューブセグメント231は、コンソールドア702が閉じられると、コンソール内のローラポンプ810と係合し、マニホルド210は、コンソールドア702とコンソールの前パネル705との間に固定される。その後、ローラポンプ810が回転すると、対応するチューブセグメント231を通って流体が押出され、これにより流体がシステムを通って駆動される。
【0035】
図7に示すように、マニホルド構造は4つの部品、すなわち、コンソールの前パネル内に配置された1つ以上の対応する圧力トランスデューサに関連して作動する1つ以上のダイアフラムをシールする後カバー214(コンソールの前パネルに最も近い部品)と、一方の側面から流体の流れチャネルが成形されている中間ボディ215と、全ての流体の流れチャネルをカバーしかつシールする前カバー213(コンソールドアに最も近い部品)と、チューブをフレーム280のスロット内に固定するクリップ216とを有している。図7に示す一実施形態では、後カバー214が、これと中間ボディ215との間でエラストマーダイアフラム272(独立モールディングまたはツーショットモールディングにより後カバー214に成形できる)を捕捉する。エラストマーダイアフラム272は、圧力センサ用の変形可能な表面を形成する。本発明の一実施形態(図示せず)では、コンソール内のソレノイドプランジャにより変形される弁ダイアフラムであって、中間ボディ215内に成形された管状ポートに接触して前記ポートを閉塞し、これにより、対応する流路を閉じる弁ダイアフラムが設けられている。他の例では、圧力ダイアフラムが圧力トランスデューサ面に接触して、トランスデューサ面を流体圧力に露出させる。前カバー213および後カバー214は、各コンポーネントおよびチャネルの各々の側面に沿って中間ボディ215に超音波融着され、チャネル間の流体漏洩および外部への流体漏洩を防止する。本発明の種々の実施形態および使い捨てセットの種々の設計に用いられる種々のプロセスに適合するように、マニホルドの設計変更を行うことができる。
【0036】
図10には、マニホルド内に一体成形できる正圧検出コンポーネンツの設計が示されている。また図10には、コンソールドア702と、マニホルド210と、圧力トランスデューサ302との間の相互作用が示されている。圧力の検出を行う可撓性エラストマー圧力ダイアフラム278の内側面(マニホルドの中間ボディ215に対面する側の面)は、流体および流路に露出されている。ダイアフラムの外側面は、コンソールドア702が閉じられかつマニホルド210がコンソールの前パネルに対して押付けられたときに、コンソールの前パネル(図10)に取付けられた圧力トランスデューサ302の面に接触する。マニホルド210に隣接して、圧力トランスデューサプレート304が配置されている。流路242は、圧力ダイアフラム278に隣接するマニホルドの中間ボディ215に対する流体の流入および流出を行う。圧力ダイアフラム278は圧力センサの面に接触しており、圧力センサはコンソールの前パネルに取付けられている。流体は、大きい可撓性を有する圧力ダイアフラム278を横切ってセンサ面に作用し、センサは、この圧力を高精度で測定する。トランスデューサ出力は、新しいカセットが装着される度毎に、かつマニホルド内の大気圧でプロセスが開始される前にゼロにリセットされる。
【0037】
図11には、真空ポンプ315、真空ライン317、圧力トランスデューサ312、313、圧力トランスデューサプレート314、Оリングシール318および圧力ダイアフラム279を備えた負圧検出コンポーネンツの設計が示されている。図11は、コンソールドア702が閉位置にあるところを示している。真空は、平らなセンサ面の外部であるが、エラストマー圧力ダイアフラム279および前パネル面の外縁部に形成されたシールの内部に加えられる。真空レベルは約400mmHgである。この場合、圧力ダイアフラム279が、コンソールの前パネル内に配置された圧力センサ面から引離される前に、約−350mmHgに低下した流体の負圧を測定できる。真空は、流体が負圧である間に、圧力ダイアフラム279を圧力センサ面と接触した状態に維持すべく機能する。この圧力センサはまた、正圧も測定する。流体圧力測定320は、圧力ダイアフラム279の内側面(マニホルドの中間ボディ215に対面する側の面)で行われる。小型電気モータにより駆動されるコンソール内の真空ポンプ315が、この真空レベルを発生する。圧力トランスデューサ313は、真空を測定し、かつ、その充分性を確保するのに使用される。この測定は、真空ポンプの作動および停止を周期的に行って電力浪費を低減させることができる。また、測定によりダイアフラムとコンソールの前パネルとの界面での漏洩も検出できる。真空ポンプ315からは、空気が大気10中にポンプ送出される。
【0038】
本発明の他の実施形態では、エラストマーダイアフラムではなく、剛性ダイアフラム(図示せず)を使用できる。剛性感圧プラスチックダイアフラムは、マニホルドと一体成形されかつコンソールの前パネルに対向して配置される。このようなダイアフラムは、直径が約7.62mmから約25.4mm(約0.3インチから約1.0インチ)の範囲内にあり、厚さが約0.508mmから約2.302mm(約0.020インチから約0.080インチ)の範囲内にある。プラスチックダイアフラムの小さい変形は、位置センサ(例えば、リニア可変ディファレンシャル変圧器)により測定される。
【0039】
図5から図8には、マニホルドの流体ポンピングコンポーネンツが示されており、これらのコンポーネンツには、ポンプチューブ231と、ポンプチューブ231へのコネクタ234と、チューブソケット232と、流体の流れチャネル240とが含まれる。4つの使い捨てポンプチューブ231のコンポーネンツは、ローラポンプ用として最適化された特性をもつように配合されかつ寸法を有する押出成形PVCチューブまたはシリコーンチューブで形成できる。このチューブは逆目フィッティングすなわちコネクタ234(これらのコネクタ234は、マニホルドの中間ボディ215(図7)の一部として成形されている)上で僅かに引っ張られる。
【0040】
ポンプチューブの内径は、所望の流体の流量、許容できる流体の「脈動(pulsatility)」度合い、およびポンプロータの速度範囲能力に基いて選択される。この内径は、正確な流量制御を達成すべく、正確に制御される。ポンプロータ速度は、ポンプロータを駆動する電気モータのエンコーダからのフィードバックを用いて正確に制御される。
【0041】
図8には、本発明の一実施形態によるマニホルド210およびCFCディスク501の流体ラインが示されている。貯蔵溶液を運ぶライン2、RBCを運ぶライン6、血漿を運ぶライン8、および抗凝固剤を運ぶライン12が示されている。また、図8には次の流体ラインすなわち、ドナーからマニホルドへの全血ライン250と、マニホルドからの抗凝固剤ライン251と、抗凝固剤バッグからマニホルドへの抗凝固剤ライン252と、マニホルドから遠心分離機への全血ライン253と、マニホルドからのRBCライン254と、マニホルドへの貯蔵溶液ライン255と、マニホルドからの血漿ライン256と、CFCディスクからマニホルドへの血漿ライン257と、マニホルドからの空気ライン258と、マニホルドからCFCディスクへの貯蔵溶液ライン259と、CFCディスクからマニホルドへのRBCラインが示されている。抗凝固剤のポンプチューブ流れ235、全血のポンプチューブ流れ236、溶液のポンプチューブ流れ237およびRBCのポンプチューブ流れ238が、マニホルド210およびコンソールに対して垂直に配置されている。圧力検出コンポーネンツP1、P2、P3およびP4、およびソレノイド弁コンポーネンツV1およびV2が、マニホルド210内で互いに垂直に配置されかつマニホルド210内の種々の流体圧力に連通している。本発明の他の実施形態では、前述のように、ソレノイド弁ではなくロータリ弁が使用される。
【0042】
当業者ならば、本発明には種々のマニホルド設計を使用できることが理解されよう。例えば、マニホルドの設計は、少なくとも、弁の省略、超音波センサの省略、チューブ連結箇所の減少のいずれかを行うことにより簡単化できる。
【0043】
他の実施形態では、図33Aから図33Fに示すように、弁には、4方ロータリチューブピンチ弁機構を設けることができる。この設計は、ロータ1210を4つの位置(図33Aから図33D)に回転させることを可能にし、かつ1つの機構で、2つの弁としてサ用する2つのチューブ1280の独立的開閉を制御できるようにする。図33Aに示すように、この設計は、3つのローラ1291、1292、1293を備えたポンプロータ1210を有し、これらのローラ1291、1292、1293は互いに90°の間隔を隔てて配置され、1つの間隔は180のギャップを有している(例えば、ローラ1291とローラ1293とは互いに180°の間隔を隔てている)。ローラ1291、1292および1293は、ロータ1210上で、互いに0°、180°および270°の位置に配置されている。ロータ1210は、マニホルドに取付けられた2つの平行水平チューブ1280と係合(一方のチューブ1280はロータ1210の上方で、他方のチューブ1280はロータ1210の下で係合)する。図33Bに示すように、両垂直方向のプレート、またはスプリング負荷ストップまたは剛性ストップ1270が、各チューブ1280の、ローラとは反対側の側部に配置されており、ロータ1210に対してマニホルドが整合しない場合(コンソールの前パネルに対して平行な平面内で約0.02インチから0.03インチの不整合)でもローラによる閉塞が確保されるようになっている。図33Fに示すように、電気−機械アクチュエータまたはモータ1250(例えば、ギヤモータのようなブラシレスD.C.モータ)が、直接的にまたは駆動ベルト1240およびプーリを介してロータ1210に連結されている。図33Eに示すように、ロータ1210および駆動ベルト1240は、コンソールの前パネル705内でベアリング1220およびベアリング支持体1225により支持されている。ロータ1210は、掃除のために着脱可能である。
【0044】
他の実施形態(図32Aから図32E)では、弁の設計に、2方ロータリチューブピンチ弁機構を含めることができる。この設計は、1つのローラ1290を備えた単一ロータを有している。この設計は、ロータ1210を3つの位置、すなわち両チューブ1280が開放した位置(図32A)、一方のチューブが閉じた位置(図32B)、および他方のチューブが閉じた位置(図32C)に回転することを可能にする。かくして、1つの機構が2つのチューブ1290の交互の開閉を制御できる。この設計では、一方のチューブが開いているときに、他方のチューブが閉じている。各チューブ内の流れは、単一のポンプにより(一度に)制御できる。ポンプは、停止しているときは、両チューブ290が流れることができない状態を作る。一方のチューブから他方のチューブへの流れは、ローラ1290により一方のチューブを閉塞することにより防止される。
【0045】
図32Bに示すように、両垂直方向のプレート、またはスプリング負荷ストップまたは剛性ストップ1270が、各チューブ1280の、ローラとは反対側の側部に配置されており、ロータ1210に対してマニホルドが整合しない場合(コンソールの前パネルに対して平行な平面内で約0.02インチから0.03インチの不整合)でもローラによる閉塞が確保されるようになっている。図32Eに示すように、電気−機械アクチュエータまたはモータ1250(例えば、ギヤモータのようなブラシレスD.C.モータ)が、直接的にまたは駆動ベルト1240およびプーリを介してロータ1210に連結されている。図32Dに示すように、ロータ1210および駆動ベルト1240は、コンソールの前パネル705内でベアリング1220およびベアリング支持体1225により支持されている。ロータ1210は、掃除のために着脱可能である。
【0046】
連続フロー遠心分離機:
本発明のCFCディスクは、数ある中で、全血をその構成成分に分離するのに使用できる。本発明のこの実施形態では、全血はCFCディスク内にポンプ送出される。血液は、CFCディスク内にポンプ送出される前に抗凝固処理され、CFCディスクは、全血が分離を行うのに充分な速度でCFCディスクに導入されるときには回転される。
【0047】
図15および図16には、本発明の一実施形態によるCFCディスクの分離チャネルが示されている。図15は、分離チャネル508の軸線505を通る縦断面図である。分離チャネル508の内側面506および外側面507の各々は、回転軸線505に対して傾斜して独立的に構成されており、両者の傾斜角度は同じでもよいし、異ならせることもできる。一実施形態では、内側面506および外側面507の両方とも、回転軸線505に対して約3°の角度で傾斜している。従って、分離チャネル508は、頂部から底部にかけて、その軸線に沿って半径が増大している。或る実施形態では、分離チャネル508は、内側面506と外側面507との間の分離が、チャネルの頂部と底部との間の距離より実質的に小さくなるようにして円錐状に延びている。他の実施形態では、回転軸線505に対する内側面506の傾斜角度および外側面507の傾斜角度のいずれか一方または両方は、全血が流入する最低部分から血漿が取出される最高部分にかけて変化している。かくして、チャネル508は、面506、507の一方または両方を湾曲させて形成することもできる。他の実施形態では、赤血球深さおよび赤血球が取出されるヘマトクリットを増大させるため、外側面507が、赤血球の出口ポート544の近傍で膨出している。この膨出は局部的なものでもよいし、チャネルの全周または一部に形成することもできる。
【0048】
図16はCFC分離チャネルの平面図であり、この例では、分離チャネル508の内側面および外側面が連続円錐状断面を有している。分離チャネル508は、軸線に対して垂直な任意平面に関して環状の形状を有し、CFCディスクの外周または外周の近くに位置している。赤血球出口ポート544は、分離チャネル508の頂部すなわち最大半径部分で赤血球を取出す。この形状は、システムの作動中にRBC層に大きい深さを与え、かつRBC出口ポート544で強いg−力およびパッキングを付与する。この形状は、RBC出口ポート544を通って取出されるRBCの強くパックされたRBCヘマトクリットを与え、かつRBC出口ポート544に血漿が引出されることを最小にする。全血入口ポート594は、RBC出口ポート544より小さい半径の位置に配置できる。
【0049】
CFCディスクの血漿棚581内には、血漿出口ポート584が配置されている。血漿出口ポート584および赤血球出口ポート544の各々は、全血入口ポート594とは約180°反対側に配置されているが、全血入口ポート594の位置は、赤血球出口ポート544および血漿出口ポート584に対して独立的に変えることができる。血漿出口ポート584は、赤血球出口ポート544の、分離チャネル508の半径よりも小さい半径の位置に配置される。他の実施形態では、血漿出口ポート584に対する血漿棚581の形状を変えることができる。一実施形態では、血漿棚581は、図16に示すように、血漿出口ポート584の両側に約90°に亘って延びており、リップに終端している。リップは、赤血球出口ポート544の半径より小さい、分離チャネル508の半径に位置するように構成されている。
【0050】
血漿棚は、分離チャネル内の大きい領域から血漿を収集し、かつ流れが血漿収集ポートに向かって移動するときに減少する流れ断面領域をもつ血漿収集ポートに血漿を向かわせるため、幾分ファンネル(漏斗)に似た形状を有している。この「ファンネル」形状の目的は、血漿が分離チャネル内および分離チャネルの近くを流れて、血漿中の全ての細胞(赤血球、白血球または血小板)が遠心力により分離されるように、局部的速度を維持することにある。半径方向内方への血漿の速度成分は、遠心力が作用する状態での各細胞の半径方向外方への速度より小さくなるようにする。これにより、細胞はRBC−血漿界面に移動され、血漿と一緒に血漿製品バッグに運ばれることはない。
【0051】
分離チャネル508内には、血漿の光学的検出通路531およびRBC界面の光学的検出通路532を配置できる。
【0052】
全血をその構成成分に分離すべくシステムが作動する間、全血は、全血入口ポート594を通って分離チャネル508に流入し、次に分離される。すなわち、約1/2は分離チャネル508を通って時計回り方向に流れ、残部は反時計回り方向に流れる。分離チャネル508内には、RBC541、血漿580およびバフィーコート層571が存在する。血漿棚581は、血漿を血漿出口ポート584に導く補助をする。血漿棚581は、血漿580が血漿出口ポート584に流れるための大きい断面領域を与え、細胞がこの血漿580から赤血球界面542(図15)に向かって沈殿できるようにして、血漿の細胞汚染を低減させる。血漿棚の高さは、1mmから10mmに定めることができる。システム外部の体積を最小化することを考慮して、ディスク内の血漿体積およびディスク全体の血液体積を最小にするには、血漿棚の高さは約2mmから6mmに維持するのが好ましい。
【0053】
貯蔵溶液および食塩水溶液がRBC出口ポート544を通過した後でかつ赤血球がCFCディスクの面シールに流入する前に、貯蔵溶液または食塩水溶液が、パックされたRBC541に添加される。溶液は、パックされたRBC541中にほぼ一定比率で定量される。この比率は、溶液ポンプおよび赤血球ポンプを用いて、マイクロプロセッサおよびソフトウェアにより制御される。貯蔵溶液の添加により、パックされた赤血球ヘマトクリットが約90%から約60%に低下し、かつ粘度が大幅に低下する。これにより、小さい圧力低下および小さい赤血球損傷で、RBCをCFCディスクから取出すことができる。図17に示すように、コネクタ586は、赤血球出口チューブ545と溶液チューブ547とを連結し、かつRBCへの溶液の導入を可能にする。
【0054】
シール組立体600および対応するチューブは、CFCディスクとマニホルドとの間の流体連通を行なう。シール組立体600は、CFCディスクの軸線を中心として配置されている。チューブには、CFCディスクからマニホルドへの血漿ライン257と、CFCディスクからマニホルドへのRBCライン260と、マニホルドからCFCディスクへの全血ライン253と、マニホルドからCFCディスクへの溶液ライン259とがある。CFCディスク内で分離された、パックされたRBCには、溶液をシール組立体600の周方向チャネルに通すことにより、赤血球貯蔵溶液または添加剤溶液、食塩水または他の溶液を添加できる。面シール要素を分離させ、または、そうでないならば、面シールの溶液チャネル内へのまたは該溶液チャネルからの流体漏洩を生じさせる虞れがある力を防止するには、溶液とRBCとの混合箇所の半径方向位置は、溶液チャネル内には、約−200mmHgから約200mmHgの範囲内、好ましくは、約+50mmHgの低圧を維持するように選択される。溶液とRBCとを混合させると、これらの溶液およびRBCが面シールを通って流れるときにRBCのヘマトクリットおよび粘度が低下し、これにより、面シールにより引起こされる圧力低下および赤血球損傷が低減される。
【0055】
図21に示すように、シール組立体600は静止シール606および回転シール604を有し、これらの両シールはセラミックで形成できるが、当業者ならば容易に理解されるように、他の材料を使用することもできる。CFCディスクが回転運動するとき、回転シール604はCFC分離チャネル508に対して移動しないが、静止シール606は分離チャネル508に対して自由に移動できる。シール組立体にはプラスチックの環状ガイド603を設けることができ、このガイド603には、回転シール604上で静止シール606をセンタリングする支持面615を有している。
【0056】
静止シール606および回転シール604により、一連のチャネル、すなわち、赤血球細胞(溶液添加後の赤血球細胞)をCFCディスクからマニホルドに搬送する中央チャネル656、全血をマニホルドからCFCディスクに搬送する第一周方向チャネル654、血漿をCFCディスクからマニホルドに搬送する第二周方向チャネル658、貯蔵溶液または食塩水をマニホルドからCFCディスクに搬送する第三周方向チャネル652が形成される。シール組立体600の対応チャネルに連通している中央カップリング、第一カップリング、第二カップリングおよび第三カップリングが、それぞれのチャネルを適当なチューブに連結し、チャネルとマニホルドとの間の流体連通を形成する。これらのカップリングは、ディストリビュータ619内に配置されている。
【0057】
溶液がRBCに添加されるコネクタ586の半径方向位置は厳格である。なぜならば、この位置は、面シールの周方向溝652内の溶液の圧力を決定するからである。これは、外側の幅狭面シールランドにより周囲大気から分離される、面シールの最外溝である。このランドは、使い捨てセットの使用前、使用中および使用後に流体密封シールを形成する。このシールは、非無菌大気がシールに流入して溶液がバクテリアで汚染されることを防止し、かつ溶液がシールから漏洩することを防止する。シールの周方向溝652内には溶液の僅かな正圧を維持することが望まれる。この正圧は、負圧により可能であるように、大気がシール内に漏洩することが弱められる。約+10mmHgから60mmHgゲージ圧の小さい正圧も、高い圧力により可能なように、シール面を分離しかつ漏洩または汚染を引起こす圧力を防止する。溶液がRBCに添加される、コネクタの半径方向位置は、遠心力フィールドが圧力に影響を与え、半径が大きいほど圧力が高くなるため、圧力に直接関連している。所望圧力が得られるこの最適半径方向位置は、分離チャネル内のRBCダクトの開口の半径方向位置から約7.62mmから約25.4mm(0.3インチから1.0インチ)の範囲内(前記開口の半径方向位置より、半径方向に小さい位置)にある。
【0058】
溶液はまた、面シール要素を冷却する機能を有し、かつ、これらの接触シール要素同士の回転摩擦を低減させる或る潤滑すなわち濡れを与える。
【0059】
図19に示すように、流れ導管として取付けチューブを用いる代わりに、一連の通路がCFCディスク内に成形される。第一通路553は、全血を、第一周方向チャネル654から、第一周方向チャネル654と全血入口ポート594とを連結する入口チューブ592に搬送する。第二通路552は、RBCを、赤血球出口ポート544に連結された赤血球出口チューブ545から、中央チャネル656に搬送する。第三通路555は、貯蔵溶液または食塩水を、第三周方向チャネルからコネクタ586に搬送する。第四通路557は、血漿を、血漿棚581から(血漿出口ポート584を介して)第二周方向チャネル658に搬送する。RBCは中央チャネルに通される。なぜならば、中央チャネルは、最小の摩擦および剪断力を有するからである。かくして、最も粘度が高くて損傷(例えば細胞破裂)を受け易いRBCが、小さい中央チャネルに通される場合ほどに損傷を受けることはない。全血は、次に最も近いチャネルを通る。なぜならば、全血は、遠心分離を受ける間に最も損傷を受け易いからである。
【0060】
図22は、図20に示したCFCディスクシール組立体を示す水平断面図である。図22から明らかなように、シール組立体は、シール面を一体に維持するのに、面シールスプリング621を使用している。これは、シールを備えたCFCディスクがコンソール内に装着された無菌パッケージから出されたときに重要であり、この場合、無菌パッケージは、コンソール内で作動中に、汚染された周囲大気がシール内に流入またはシールから流出こと並びにチャネル652、654、658間の漏洩を防止する。面シールスプリング621は、異常に高い圧力が溶液領域652または全血領域654に生じたときでも、シール組立体が漏洩を生じないようにすることを確保する。面シールスプリング621を圧縮状態に支持するキャップがスプリングの一端に使用されており、スプリングの他端は、ディストリビュータ619および面シール610に軸線方向圧縮力を付与する。キャップは、ディスクハウジングと係合してスプリング力に対抗してキャップの軸線方向移動を制限するための外側リップを有している。溶液領域652の正圧は、シール面の相対回転を妨げないように摩擦が充分に小さくなるように維持されている間でも、スプリングの強度と協働して、漏洩または汚染を防止できるように選択される。非常に強いスプリングを使用すると、摩擦が大きくなって、回転の問題が生じる。スプリング力は、溶液領域652内の圧力が0mmHgより充分に高いが過度に高くはない(100mmHgより低い)ときに、シール面を接触状態に維持しかつ良好な回転シールを得て、漏洩および汚染を確実に防止できる充分な大きさにする。
【0061】
CFCディスクは、コンソールの前パネル上で駆動カップに組立てられると、最初に駆動機構と係合し、この駆動機構内に容易に滑入する。駆動カップ内にCFCディスクを傾斜して配置するのに、ロッキングポート512を使用できる。CFCディスクの或るコンポーネンツが自由に回転できかつ遠心分離機の駆動機構内に正しくかつ安全に位置決めされかつ支持されるように、CFCディスクと係合するコンソールドアの蓋が使用される。図22には、CFCディスクシール組立体が、静止シールハウジング602上のコンソールドア係合ピース680を有しているところが示されている。
【0062】
静止シールハウジング602から突出している舌683が、コンソールドア係合ピース680のスロット684内に入りかつこのスロットと係合する。この係合は、ドアが閉じられると生じかつ静止シールハウジング602が回転することを防止する。
【0063】
静止シールハウジング602は、回転軸線(シールの中央RBCポートに沿う中心を有する)に沿う方向に自由に移動できる。その軸線方向移動は、シールに接触するシールハウジング602のリップ681または外側回転ハウジング601の取付けリングシート682により、一方向に制限される。反対方向の移動は、接触面689のリップ681により制限される。リップ681がシート682と接触面689との間にあるとき、リップはいかなる回転部品とも接触せず、分離チャネルを備えたディスク517は、静止状態に保持されたシールハウジング602およびリップ681と一緒に自由に回転する。
【0064】
図22に示すように、ドア(680)は、ドアが閉じられるときに、静止シールハウジング602を面シールスプリング621に対して押付け、かつ、静止シールハウジング602を一定距離だけ移動させる。これにより、係合リップ681が取付けリングシート682から分離され、ディスクを回転させることができる。
【0065】
シール要素606がディストリビュータ619に接合すなわち取付けられている。ディストリビュータ619は、静止シールハウジング602との係合により静止状態に保持される。シールハウジング602内には1つ以上のリブ685が軸線方向に配置され、かつディストリビュータ619のスロット686と係合する。このリブ・イン・スロット係合(rib-in-slot engagement)により、シールハウジング602を軸線方向に移動可能にし、一方、スプリング621は、ディストリビュータ619の軸線方向移動を防止しかつ静止シール要素606を回転シール要素604に対して強く押付けた状態に維持する。
【0066】
ドアを閉じた状態で、遠心分離機ディスクがコンソール内にないときは、スプリング621が、シールハウジング602を外側回転ハウジング601のシート682に対して押付ける。リップ681の1つ以上のリブすなわち突出部687は、外側回転ハウジング601の開スロット688と係合する。この係合により、これらの部品の間の相対回転が防止されるだけでなく、ドアが閉じられたときに、手動調節を全く必要とせずして、外側回転ハウジング601の舌683が係合ピース680のスロット684と自動的にかつ適正に係合するように、前記舌683を配向する。コンソールは、この係合を達成して、舌のスロット係合を可能にするため、駆動カップを固定した角度の方向に計測(clocks)する。ドアが閉じられると、リップ681の軸線方向移動は、リブ687をスロット688から係合離脱させるのに充分なものとなる。
【0067】
コンソール:
コンソールは、垂直な前パネルを含む包囲体を備えたコンソールボディと、底縁部に沿って水平方向にヒンジ止めされかつコンソールボディの前パネルに対面するドアと、ドア内に配置されたポンプ用のローラトラックと、コンソール内に取付けられた電気駆動モータおよび駆動機構を備えた4つのローラポンプと。前パネル上に取付けられた弁アクチュエータ、圧力トランスデューサおよび超音波センサ(これらは、使い捨てカセット内の検出コンポーネンツおよび付勢コンポーネンツと、前パネルとドアとの間に挿入されたマニホルドとの少なくとも一方と相互作用する)と、使い捨て可能な遠心分離機ディスクの外壁を支持する駆動カップを備えた前記ディスクを駆動する遠心分離機駆動システムと、マイクロプロセッサベースの制御電子部品および全ての電気機械コンポーネンツおよびユーザインターフェースコンポーネンツとインターフェースする電子部品と、本発明のシステムにより実行されるプロセスを実施し、プロセスを制御し、かつ、文献を付記するソフトウェアと、制限されかつ良く定められた範囲についてプロセスのユーザ制御を行い、ユーザにモニタリング機能および警告機能を付与し、かつ迅速かつ効率的なデータ収集を行うバーコードワンドリーダを形成するユーザインターフェースと、プロセスデータおよびシステムデータを、プリンタ、ポータブルメモリまたは血液バンクのコンピュータに伝達できるようにするデータポートと、可能出力を作動させるAC電源並びにバッテリ電源とで構成できる。
【0068】
コンソール内に配置される電子部品は、医療機器の電子システム条件を満たす安全性のための別のマイクロプロセッサを備えたマイクロプロセッサベースのコントロールを使用できる。電子PCボードは、種々のモータ、アクチュエータおよびセンサに電子的インターフェースを与える。
【0069】
図23から図26には、本発明の一実施形態によるコンソールの全体的デザインが示されている。図23には、コンソール700にユーザインターフェースディスプレイが取付けられたところが示されている。コンソールドア702は、ユーザがコンソールにアクセスすることを可能にする。コンソールドア702には、ドアハンドル703を取付けることができる。コンソール700の頂部に取付けられたユーザインターフェースディスプレイ790には、プロセスの特別機能のためのシール形プッシュボタン(ダイアフラムスイッチ)を設けることができる。また、ディスプレイ790には、ディスプレイおよび選択またはプロセスパラメータについてのプロセスの状態を表示するLCDカラーモニタを設けることができる。ユーザインターフェースディスプレイ790には、バッグハンガー85を設けることができる。バッグハンガー85は、種々の流体バッグ(例えば、食塩水または貯蔵溶液、RBC、血漿、抗凝固剤および空気バッグ)を吊下げるのに使用できる。バッグハンガー85は、ユーザインターフェースディスプレイ790の下に配置される。バッグハンガー85は、バッグの底部がコンソール700の上方に間隔を隔てるように配置される。
【0070】
本発明の一実施形態(図示せず)では、バッグハンガーには、吊下げられる各バッグの重量の測定を行う計量器が設けられる。この態様では、システムは、全ての個々のバッグの流体体積をその重量に基いてコンピュータ計算できる。この特徴は、例えば、バッグが所望体積等に到達したときに、「オフ」の機能を与えることを補助するため、システムの作動中にバッグの流体体積の表示を行なうのに使用できる。
【0071】
図26は、コンソールドア702が開位置にありかつユーザインターフェースディスプレイ790が取付けられているところを示している。ユーザインターフェースディスプレイ790は、ユーザが押すか、回転させることができるコントロールノブ792により制御される。コンソールボディ715は、電子コンポーネンツ、電気機械コンポーネンツおよび機械コンポーネンツを収容している。これらのコンポーネンツとして、システム全体に流体をポンプ送出するローラポンプモジュール800がある。4つの独立トラックを備えたローラポンプのロータトラック850およびシールハウジングガイド1600が、コンソールドア702上に配置されている。シールハウジングガイド1600は、遠心分離機ディスクの配向ガイドとして機能し、かつ、シールハウジング602を開く。遠心分離機ディスクを支持するコンソールの前パネル上には、遠心分離機駆動カップ1500が配置されている。
【0072】
図24から図26には、コンソール使用方法が示されている。図24は、貯蔵および搬送のための閉位置(すなわち、ユーザインターフェースディスプレイ790が使用されていない)にあるコンソールを示している。テレスコピックチューブ794は、ユーザインターフェースディスプレイ790を支持すべく機能する。図25は、ユーザインターフェースディスプレイ790が使用されておりかつコンソールドア702が閉じられた状態のコンソールを示している。図26は、コンソールドア702が開かれているコンソールを示している。
【0073】
図27は、コンソールボディ715の垂直前側に配置されるコンソールの前パネルを示すものである。前パネル705には、弁アクチュエータ910、圧力トランスデューサ930および超音波センサ960が配置されている。弁アクチュエータ910および圧力トランスデューサ930は、前パネル705の一部でありかつ前パネルに取付けられた弁プレートに取付けられている。弁アクチュエータ910は、使い捨て弁コンポーネンツに対向して配置されている。弁アクチュエータ910は、ソレノイド弁を用いる本発明の実施形態では、使い捨て弁コンポーネントのダイアフラムを移動させて流路オリフィス(図9)の開閉を行うソレノイド作動形プランジャを有している。この弁アクチュエータは、スプリングを使用して弁を閉じ、かつ電気的に付勢して弁を開く。弁を開いた状態に維持するのに要する電力は低レベルである。スプリング負荷構造は、システムまたは電源が故障したときに、流体の流れが全く生じないようにするフェールセーフの長所を有している。プランジャの移動は、ホール効果センサまたは光学センサにより独立的にモニタリングして、適正な弁機能およびソレノイド故障の警告の確認を行う。圧力トランスデューサ930は、マニホルドの圧力測定コンポーネンツ(図10および図11)の膜に直接的に連結される平面形標準器具である。超音波センサ960は、カセットフレームに取付けられる標準型の血液セットチューブに連結するのに使用される空気検出センサである。
【0074】
コンソールの前パネル705は、使い捨てCFCディスクを回転させる遠心分離機駆動カップ1500と、使い捨てカセットを前パネル705上に吊下げる配向ピン1502とを有している。CFC駆動カップ1500は更に、CFCディスクの配向およびロッキングを行うピン1505を有している。CFC駆動カップ1500は、コンソールの前パネル705に取付けられた遠心分離機バケット1510により包囲されている。
【0075】
コンソールの前パネル705上には、コンソールボディ715内に取付けられたポンプロータ810も示されている。前パネル705の底領域近くに配置された漏洩物収集ガター731が、漏洩物を漏洩物リザーバ732に導く。ヒンジ704が、コンソールドアを、前パネル705の水平底部に沿ってコンソールボディに取付ける。図28には、ヒンジ704と、閉位置にあるコンソールドア702とが示されている。コンソールドア702は、前パネル705に配置されたラッチ機構によりコンソールボディに固定されかつ位置決めされる。
【0076】
バッグ、ユーザ、ドナーおよび他の情報源からバーコードデータ(例えば、識別子、ロット番号、失効データ)を取得するためのバーコードリーダを設けることができる。例えば、カセットには、コンソールのバーコードスキャナ窓720により読取られるバーコードを付しておくことができる。これにより、実行されるプロセスのコンソールの識別が行える。また、これにより、カセットのキャリブレーション(例えば、ポンプチューブ、弁)、カセットのロット番号、および失効データが得られる。コンソールは、日付、時間、プロセス、および血液製品情報を与える。中央血液バンクのコンピュータには、プロセスデータおよびシステムデータ、プロセスパラメータ、警告、故障およびプロセス妥当性が提供される。
【0077】
図28には、遠心分離機駆動システムが示されている。遠心分離機駆動カップ1500は、コンソールの前パネル705内に配置されかつ使い捨てCFCディスク501を受入れかつ支持する。遠心分離機駆動カップ1500は、CFCディスクの外壁を支持する。駆動カップは、前パネル705の内部で駆動カップの周囲にシールドすなわち遠心分離機バケット1510を有している。遠心分離機駆動カップ1500はシャフト上に支持され、シャフトは両端部に間隔を隔てて配置されたベアリングを有し、これらのベアリングはシールドに取付けられた静止構造により支持されている。静止遠心分離機バケット1510は、コンソールの前パネル705の背部に取付けられている。これにより、流体がコンソールに流入することを防止する漏洩防止組立体が達成される。シャフトは、位置エンコーダを備えたブラシレスD.C.モータにより駆動できる。モータ駆動電子装置は、このエンコーダを使用して、ロータの必要な非常に滑らかな可変定速回転を達成する。遠心分離機駆動カップ1500は、CFCディスク501を支持し、かつ、角度的に配向する。シールハウジングガイド1600は、遠心分離機のシール組立体600のシールハウジング602(図18、図20および図22)を開くことができる。
【0078】
図27および図29には、ローラポンプ機構のコンポーネンツが示されている。コンソールボディ715にはローラポンプモジュール800が配置されており、4つの独立トラックを備えたローラポンプのロータトラック850がコンソールドア702上に配置されている。図27には、コンソールの前パネル702上のポンプロータ810が示されている。他の実施形態では、ローラポンプモジュールはコンソールドア702上に配置され、ローラポンプのロータトラック850はコンソールボディ715内に配置される。
【0079】
図5および図6に示すように、ポンプチューブ231は、互いに平行な4つのセグメントを有し、4つのセグメントは、マニホルドの中心平面と同じ平面内で両マニホルド面に平行に、マニホルドに取付けられている。これらの平行チューブは、2つのチューブからなる2つの組をなしており、各々の組において、2つのチューブは互いに平行であり、かつ、近接した間隔を隔てて隣接している。
【0080】
図29に示すように、ポンプロータ810は、コンソールドア702が閉じられかつ所定位置にロックされると、マニホルド210内でポンプチューブ231と係合する。コンソールドア702が開かれると、ポンプチューブ231が係合離脱される。コンソールドア702が閉じられると、各ポンプロータ810は、ポンプチューブ231の一セグメントをトラック851に対して押付けかつ閉塞する。各ロータのポンプローラ818は、コンソールドア702に取付けられた湾曲ブロックすなわちローラポンプトラック851に対してポンプチューブ231を圧縮して閉塞する。ローラポンプトラック851は、ポンプチューブ231の充分な閉塞を確保するが過度の力が加えられないようにするため、ポンプローラ818に対してスプリング負荷されている。ローラポンプトラック851は、この中心から或る距離を隔てた位置でコンソールの前パネル705に平行なアームにピボット連結されている。ローラポンプトラック851には、スプリング力の方向へのローラポンプトラック851の移動(ポンプロータ810に向かう方向の移動)を制限するストップが設けられている。スプリング力およびポンプロータ810によるチューブ圧縮力を、閉塞を確保するのに必要な最低レベルに制御することにより、このポンプ設計での溶血を最小にする。
【0081】
各ポンプロータ810は、この周囲に等間隔に配置された8個のポンプローラ818を有している。ポンプローラ818間の小さい間隔および比較的大きいロータ直径は、短いローラポンプトラック851の長さおよび短いポンプチューブ840のセグメントを達成する。このポンプチューブ840のセグメントは、ポンプロータ810およびローラポンプトラック851により、短く浅い弧に変形される。短いポンプチューブ840のセグメント840は、マニホルド210の全体的サイズおよびコストを最小にしかつ真直なポンプチューブ840が容易に係合して、短く浅い弧に変形されることを可能にする。これは、ポンプチューブ840をポンプロータ810とポンプトラック851との間に配置した状態で、マニホルド210をコンソールの前パネル705上に容易に装填することを可能にする。
【0082】
コンソールドア702が閉じられると、ポンプロータ810は、ローラポンプトラック851に対してポンプチューブ231の一セグメントを圧縮しかつ閉塞する。同心状の駆動シャフト830により支持されたポンプロータ810は、全部で4つのD.C.モータ806により駆動されるベルトドライブおよびプーリコンポーネンツ820により駆動される。コンソールの前パネル705内に取付けられたソレノイド弁アクチュエータおよび圧力センサコンポーネンツ900は、ポンプロータ810と同心状駆動シャフト830との間に配置される。
【0083】
図30は、CFCディスクおよびRBC界面光学検出器通路の縦断面図であり、回転する遠心分離機ディスクの分離チャネル508内の血漿−赤血球界面の位置を検出しかつ測定するのに使用される遠心分離機設計を示すものである。コンソールドア内の赤外光源1120が、分離チャネル508の半径方向幅の一部を横切って、分離チャネル508の一セグメントを全RBCの約40%から100%まで照明する。赤血球層およびバフィーコートは、光の通路を遮断するが、血漿はこの光を検出器に伝達する。光は、ディスク駆動カップ1500(外側ディスク壁517から半径方向外方に配置されている)の孔1501を通って光学検出器1110に導かれる。光学検出器1110は、分離チャネルの界面検出領域1115内にある赤血球−血漿界面の位置により決定されるように、分離チャネル508内の血漿の半径方向幅に比例する光量を受ける。この場合、アナログ検出器の出力電圧は、この界面が半径方向外方に移動するときには上昇し、半径方向内方に移動するときには低下する。界面位置のこの検出は、フィードバックループ内での連続フロー作動中に使用される。
【0084】
一次制御は、RBCポンプの流量(ロータからRBCを除去する流量)および血液ポンプの流量(ロータ内への全血の供給流量)により決定される。例えば、血液ポンプ流量に対するRBC流量の比率が増大すると、赤血球界面は半径方向外方に移動する。1つ以上の所望基準界面位置が確立される。図30に示すように、界面の実際の位置は、光学検出器により測定される。実際に負の基準位置(光学的アナログ値)のエラー信号が、適当な時定数または平均値をもつエラー信号に比例する上記流量比率を変化させる。この場合、このシステムおよび方法は、所望位置での赤血球−血漿界面を維持する。これらの位置は、この界面基準を半径方向内方に移動させて、分離チャネル508をRBCで漸次的にまたは段階的に増大させるようにプログラムされる。1つの目的は、献血が完了したときに、分離チャネル508をRBCで完全に充填することにある。
【0085】
献血(ドナーからの全血)は、好ましくは500mlに選択され、或いは、血液センターまたはユーザにより約400mlから500mlの他の値に予め選択される。バフィーコートに加え、約90%のヘマトクリットで、分離チャネルに、パックされたRBCを完全に充填する目的は、全ての血漿をこのチャネルから血漿製品バッグに取出して、この血漿製品の体積を最大化することにある。
【0086】
図30に示すように、分離チャネル508内のRBC界面は、CFCディスク内壁に成形されかつこのディスク内壁の一部であるプラスチックリブ1130を通して、赤外光源1120により照明される。リブ1130は、赤外光源1120に最も近いCFCディスクの一端から、分離チャネルの外壁(軸線に対して垂直な平らな壁)の約4mm以内に延びている。リブ1130は軸線方向に配向され、かつ一種の光パイプすなわち光導管として機能する。
【0087】
図31は、CFCディスクおよび血漿界面の光検出器通路の縦断面図である。血漿中の細胞、バフィーコートまたは可能ならば赤血球(あらゆる血漿汚染物)の存在を検出するのに、別の赤外光源1121および別のセンサが使用される。光路1106は、コンソールドア内の赤外光源1121から、分離チャネル508の一部を通り、更にディスク駆動カップ1500(外側ディスク壁517から半径方向外方に配置されている)の孔1503を通って、光学検出器1111まで延びている。何らかの実質的な汚染物が存在する場合には、検出器の出力電圧が低下する。この電圧の低下は、献血を終了させるのに使用でき、分離チャネル508がRBCで充填された時点およびバフィーコートが血漿出口ポート584(図10)の近くの血漿棚領域581内に絞り出された時点の信号を発する。或いは、この電圧低下は、RBCポンプ流量および血液ポンプ流量の少なくとも一方を減少させることによりRBC界面を制御するのに使用される。
【0088】
光学的検出を行う血漿通路は、分離チャネル508および血漿棚581の光学的検出領域の両方において非常に薄く(約4mm)することができる。これは、RBC界面の位置検出の精度に関する血漿の透過効果(透過効果はドナー毎に大きく変化する)を最小にすることを意図するものである。RBC−血漿界面の位置を正確に測定できるこれらの検出器から、非常に正確で、一定かつ反復性のあるアナログ出力信号を得ることが望まれる。また、血漿光源は、血漿棚581でのプラスチックの薄壁(約2mm)を通り、軸線方向に約4mmの厚さの血漿層を照明する。
【0089】
例:
下記の例は、本発明のシステムを用いて実施される或るプロセスを示すものである。
【0090】
例1:
血液収集および分離プロセス:
献血の開始前に、使い捨てセットがその無菌パッケージから取外され、コンソール上に吊下げられる。コンソールには、溶液バッグ(抗凝固剤、赤血球添加溶液および食塩水)も取付けられる。溶液バッグは予め取付けておくことができるが、これらのプロセスでは使い捨てセットの上方に取付けることも考えられる。溶液バッグにはルアロック型アタッチメントまたはスパイク状アタッチメントを設けることができる。無菌性を維持するため、これらのバッグからの流路内にはバクテリア(0.2ミクロン)フィルタが使用される。バッグは、コンソール上の設計位置に吊下げられる。献血の開始前に、コンソールキャリブレーションおよびシステムのソフトウェアステータスが自動的に遂行される。データの収集が、バーコードワンドリーダを用いてユーザが手動でかつコンソールを介して自動的に遂行される。
【0091】
本発明のプロセスは自動的である。自動プロセスは、しゃ血士(phlebotomist)(ユーザ)がアクセスニードルをドナーの静脈内に穿刺した後で、かつ抗凝固剤が添加されていないサンプルが、ニードル近くのサンプルサイトを形成するパウチまたはダイバータバッグ内に収容された後に開始する。次に、システムのスタートボタンが押されるか、システムが他の方法で付勢され、自動プロセスを開始する。
【0092】
各プロセスは、CFC使い捨てディスクに、抗凝固剤が添加された全血を充填すなわちプライミングすることにより開始する。CFCディスクは、約90mlの体積をもつ環状分離チャネルを有している。この体積は、最初に無菌空気が充填される。この空気は、分離チャネルに流入する全血により押し退けられる。空気はバッグに取出されて、後で、CFCディスクおよび使い捨てセットから血液成分をパージすなわち取出すのに使用される。
【0093】
血液が、ドナーと使い捨てセットとを連結するチューブ内でドナーから流れると、抗凝固剤が全血中に定量添加される。ドナーの血流に対する抗凝固剤の流れの比率は、約1から7の範囲内で一定であり、この比率は、現在、手動血液収集において使用されている。しかしながら、この比率は、血液成分をドナーに戻すプロセスでは、1から7と、1から14との間のいずれかで最適化される。
【0094】
CFCディスクの分離チャネルがドナーの血液で充填されると、定常作動が開始される。血液はドナーからCFC内に、ほぼ一定流量で流入し、パックされた赤血球、血漿およびバフィーコートへの全血の分離が連続的に行われ、赤血球および血漿が、CFCからほぼ一定流量で取出される。
【0095】
赤血球層と血漿との間の界面が、CFC分離チャネルの中央近くに形成される。光学検出器は、この界面の半径方向位置を測定する。この界面位置は、定常連続フロー作動の殆どに亘って、分離チャネルの中央または中央近くに維持されるように制御され、次に、界面が半径方向内方に移動され、全ての血漿を血漿製品バッグに押し退ける(取出す)。これは、最初に、RBCポンプ流量を変化させて、標準フィードバック制御法を用いて、分離チャネルから多量または少量のRBCを取出す。
【0096】
ドナーのヘマトクリットが40%より多いときは、RBCの流量が、一定のドナー血液流量で実質的に増大する。白血球フィルタを通る最も有効かつ安全な流量を維持するには、RBC流量は最大値を有する。RBC流量がこの最大流量に到達すると、ドナー流量が増大または減少して、赤血球−血漿界面をその所望位置に維持する。これは、実質的に40%より高いヘマトクリットを有しかつ予め設定した一定体積の全血を献血するドナーのうち、小割合のドナーの献血時間を長くするが、一定体積のRBCを献血するドナーの献血時間を長くすることはない。
【0097】
バフィーコートは、白血球(white cells)(leukocytesを含む)と血漿とからなる。バフィーコートの密度は赤血球より小さく、血漿より大きい。従って、バフィーコートは、赤血球−血漿界面で、分離チャネルの半径方向中央またはこの近くにおいて、半径方向に幅狭の白血球領域を形成する。パックされた赤血球は環状チャネルの最外部分にあり、チャネルの外壁に接している。血漿はチャネルの最内部分にあり、内壁に接している。バフィーコートは、定常状態の連続フロー分離プロセスの全体を通して、この赤血球−血漿界面に集合する。
【0098】
このプロセスのパージ部分すなわち成分取出し部分の間、バフィーコートは、CFCディスク内に残されて、他のバッグに取出されるか、使い捨てセットのチューブおよび他のコンポーネンツ内に残されて他のバッグに取出される。バフィーコートは、パックされた赤血球と一緒に白血球フィルタにポンプ送出されることはなく、或いは白血球フィルタを通ってポンプ送出されることはない。本発明の或る実施形態では、分離および献血段階の終時に、空気バッグまたは他のバッグ内のバフィーコートが取出される。全血からのバフィーコートのこの取出しにより、白血球フィルタにより取出すべき白血球の量が減少する。白血球濾過後のパックされた赤血球中の所望の白血球カウントは、約1×106である。バフィーコートの取出しによる血小板の減少も有益である。血小板は白血球フィルタ上に層を形成して、白血球フィルタを詰まらせてしまうため、結果として生じる溶血により白血球フィルタ圧力が増大し、かつ、溶血を回避する小流量で濾過しなければならない。従って、バフィーコートを取出すことにより、白血球低減が大きく補助され、小さいフィルタ体積をもつ小型で低コストのフィルタを用いて高流量の濾過が可能になり、従って、フィルタ内の赤血球損失が小さくなる。
【0099】
パックされた赤血球は、CFCディスクから、白血球フィルタを通ってRBC製品バッグ内にポンプ送出される。貯蔵溶液または添加溶液は、RBCの所望濃度またはヘマトクリットを達成する流量で、パックされたRBCの流れ中に定量流入される。これは、CFCディスク内で、RBCポンプの前に生じる。
【0100】
RBCポンプ流量は、白血球フィルタを通る流量が最適またはこの近くに維持されるように制御される。この最適流量は、献血時間または処理時間を長くしないように充分大きく、かつ高い白血球フィルタ入口圧力およびこの結果生じる溶血を防止するように充分小さい流量である。
【0101】
献血の終時に、選択された体積の全血またはRBCまたは血漿の少なくとも1つがドナーから採取されたならば、ニードルがドナーから取外される。献血アプローチの終時に、CFCディスク分離チャネルは、パックされた赤血球がほぼ完全に充填される。献血が終了すると、ドナーラインの血液は抗凝固剤の流れによりポンプ送出される。次に、RBCポンプの逆流により、バフィーコートが空気バッグ内にポンプ送出される。次に、前と同様に、貯蔵溶液をRBCに添加して、分離チャネルを充填するパックされた赤血球が、白血球フィルタを通してRBC製品バッグ内にポンプ送出される。
【0102】
貯蔵溶液は白血球フィルタ内にポンプ送出され、白血球フィルタ内に捕捉されたRBCをパージすなわち取出し、使い捨てセット内での赤血球損失を最小化しかつ全赤血球回収を最大化する。この目的に使用する貯蔵溶液の体積は、1単位の赤血球に添加できる最大量の貯蔵溶液により、および次にRBC製品バッグ内に収容される、白血球フィルタからの白血球の可能性ある遊離促進(liberation)により制限される。
【0103】
赤血球製品は、全血の1以上の単位から分離され、約90%のヘマトクリットにパックされ、貯蔵溶液が添加されかつ白血球濾過されている。赤血球製品は、プロセスの終時には、1つまたは2つの製品バッグ内に入れられる。血漿は、定常状態作動におけるように、全血ポンプおよびパックされたRBCポンプのディファレンシャル流量により血漿バッグ内に押出される。プロセスの終了は、白血球フィルタのパージが完了したときに生じる。製品バッグは、ここで密封されかたセットから取出される。次に、使い捨てセットがコンソールから取出され、セットは、バイオハザード物質として使い捨ての用意がなされる。
【0104】
例2:
1単位の白血球低減RBCおよび血漿:
本発明の一実施形態では、1単位の全血がドナーから収集され、貯蔵溶液および血漿中に1単位の白血球低減RBCが作られる。本発明のこの実施形態が、図2に示されている。図2に示すシステムは、ドナーニードル110と、サンプルパウチ22と、サンプルサイト21と、手動クランプ31、32、33と、超音波空気センサUS1、US2、US3と、ソレノイド弁V1、V2と、圧力センサP1、P2、P3、P4と、コネクタ71、72を介して取付けられた抗凝固剤バッグ138および貯蔵溶液バッグ122と、バクテリアフィルタ141、142と、抗凝固剤ポンプ162と、溶液ポンプ163と、血液ポンプ161と、RBCポンプ164と、空気バッグ128と、血漿バッグ132と、CFC500と、白血球フィルタ150と、RBCバッグ131と、ラインセグメント41に連結された空気パウチ25とを有している。
【0105】
図2に概略的に示すように、このプロセスは、ドナーから全血を自動的に採取し、抗凝固剤バッグ138から抗凝固剤を添加し、血液をCFC500内で濃縮赤血球および血漿に分離し、血漿を血漿バッグ132に取出し、溶液を濃縮赤血球に添加し、かつ赤血球を白血球フィルタ150を介してRBCバッグ131内にポンプ送出する。
【0106】
抗凝固剤バッグ138および貯蔵溶液バッグ72は、ルアロック型アタッチメントまたはスパイクアタッチメント等のコネクタ71、72を介して血液処理システムに取付けられている。バクテリアフィルタ141、142は、無菌性の維持を確保すべく、抗凝固剤バッグ138の流路および貯蔵溶液バッグ72の流路内で使用される。このプロセス中、抗凝固剤は、抗凝固剤ポンプ162を介してドナーラインにポンプ送出されて、ドナーからポンプ送出された第一量の血液の適正な抗凝固を確保する。ドナー静脈へのニードルアクセスは、標準態様で、しゃ血士により行われる。ドナーニードル110の近くの手動クランプ32を除去すると、抗凝固剤が、サンプルパウチ22近くのラインからパージされる。次に、サンプルパウチ22が、手動クランプ31が開かれ、血液がサンプルパウチ22を充填する。次に、サンプルパウチ22が手動クランプ31によりクランプされる。血液サンプルは、サンプルパウチ22から連続的に取出される。
【0107】
血液は、ドナーの静脈圧力により決定される流量でドナーからポンプ送出される。抗凝固剤は、ドナーニードル110の下流側および血液サンプルサイト21の上流側で血液中にポンプ送出される。血液流量に対する抗凝固剤の流量の比率は、一定である。
【0108】
血液が最初にドナーからポンプ送出されると、血液は、CFC500のディスク分離チャネルを充填する(プライミング(prime)する)。CFC500のディスクは適度の速度で回転され全ての空気の除去を確保しかつ血液はディスクのチャネルおよび通路を完全に充填する。空気は、後で使用するため、空気バッグ128内に押し退けられる。CFC500のディスク分離チャネルに全血が充填されると、速度が増大しかつ濃縮赤血球および血漿への定常状態連続フロー分離が開始される。赤血球は、全血流量によりおよび光学的に測定された赤血球界面位置により決定される速度でポンプ送出される。赤血球流量は、赤血球界面を、CFC500の分離チャネル内の所望の最適位置に維持するように調節される。血漿は血漿バッグ132内に流出する。
【0109】
赤血球がCFC500のディスクから流出すると、赤血球は、粘度および赤血球の損傷を低減させるため、面シールに流入する前に、貯蔵溶液または添加溶液と混合される。この貯蔵溶液は、赤血球流量に対する添加剤溶液の所望の一定比率を達成する流量で、溶液ポンプ163によりポンプ送出される。結合流れは、赤血球の白血球フィルタ150を通ってRBCバッグ131内に流入する。
【0110】
この連続フロープロセスは、献血の終時まで続けられる。ユーザはドナーから収集すべき全血またはRBCの体積を選択し、この体積が収集されると、較正された全血ポンプ161が停止する。赤血球および血漿の回収を最大化すべく、ドナーの血液ラインに抗凝固剤がパージされる。この時点で、全分離チャネルに赤血球が充填される。全血漿は血漿バッグ132に取出される。次に、赤血球はRBCポンプ164によりディスク内に戻され、バフィーコートおよび抗凝固剤を空気バッグ128内に押し退ける。次に、ニードルでのドナーラインがクランプされ、ニードルがドナーから取外される。
【0111】
RBCが、貯蔵溶液の添加後に、ロータから白血球フィルタ150を通ってRBCバッグ131内にポンプ送出されると、CFC500のディスク速度が低下されかつ空気が空気バッグ128からロータ内に流入する。赤血球をパージしかつ赤血球の回収を最大化するため、貯蔵溶液が赤血球ラインおよび白血球フィルタ150を通してポンプ送出される。次に、空気がRBCバッグ131および血漿バッグ132から除去される。RBCバッグ131に取付けられたラインセグメント41の端部の空気パウチ25または小さい可撓性バッグを用いて、RBCバッグ131から空気を収集し、かつ、セグメント41にRBCバッグ131からのRBCを充填する。次に、RBCバッグ131および血漿バッグ132がヒートシールされ、かつ、使い捨てセットが取外されて廃棄される。
【0112】
例3:
白血球低減RBC製品および血漿製品への全血分離:
ここでは、図2に示すプロセス(貯蔵溶液および血漿中の1単位の白血球低減RBCの製造)のユーザによる実施についてより詳細に説明する。システムのユーザプラグがスイッチをオンにしかつコンソールドアを閉じる。システムは作動温度範囲に温度上昇し、次に、昇圧を開始する。次に、システムはセルフチェックを行い、このチェックでは、例えばポンプ、弁およびセンサ等のコンポーネンツが適正に応答するか否かを内的にチェックする。ユーザは使い捨てセットのパックを開き、ユーザインターフェースディスプレイ790(図23)が「使い捨てセットの受入れ準備完了」の表示を行うまで待機する。ユーザは次に、コンソールドアを開き、コンソール内に使い捨てセットを設置し、コンソールドアを閉じ、ドアニードル110のラインをクランプし、サンプルパウチ22のラインをクランプし、ラインセグメント41をクランプし、予取付け形バッグ(抗凝固剤バッグ138、貯蔵溶液バッグ122、RBCバッグ131、血漿バッグ132および空気バッグ128)を吊下げ、かつ連続ボタンを押す。
【0113】
次に、システムは、使い捨てセットおよびシステムのセルフチェックを行う。この段階中、システムは、設置された使い捨てセットの形式を、そのバーコードに基いて決定し、使い捨てセットが正しく設置されているか否かをチェックし、クランプされたラインをチェックし、使い捨てセットの一体性(例えば漏洩)をチェックし、内部システムポイントをチェックし、必要ならば空気を移動させ、かつトランスデューサのゼロ合わせを行う。ユーザインターフェースディスプレイが「使い捨てセットのプロトコルが…を処理する」を表示すると、プロトコルの確認が達成される。ユーザは、使い捨てセットが、遂行すべきプロトコルとの一致を認識したことを確認しかつ連続ボタンを押して「yes」にする。
【0114】
次に、献血を行うように使い捨てセットが用意される。ユーザインターフェースディスプレイは、「溶液を1FU当りのセットに取付ける」を読取る。ユーザは、スパイクアタッチメントまたはルアアタッチメントにより、抗凝固剤バッグ138および貯蔵溶液バッグ122を吊下げ、かつ連続ボタンを押す。サンプルパウチ22への抗凝固剤ラインがプライミングされる。抗凝固剤ポンプ162の時間/回転数および超音波空気センサUS2および流量による確認が確立される。チューブ内の抗凝固剤の量を減少させるため、バックポンプがシステムを反転させる。次に、ユーザはドナーを用意する。
【0115】
抗凝固剤のプライミングと同時に、CFC500への貯蔵溶液ラインがプライミングされる。溶液ポンプ163および超音波空気センサUS3および流量による確認が確立される。チューブ内の抗凝固剤の量を減少させるため、バックポンプがシステムを反転させる。次に、ユーザはドナーを用意する。
【0116】
抗凝固剤ラインのプライミングと同時に、CFC500への貯蔵溶液ラインがプライミングされる。溶液ポンプ163および超音波空気センサUS3および流量による確認が確立される。次に、ドナーに対してシステムの用意が整ったことの確認が確立され、ユーザインターフェースが「ドナーに対する用意が整った」ことを表示する。次に、ユーザは更に、ドナー、および、しゃ血士の用意を整え、ドナーニードル110のラインおよびサンプルパウチ22のラインのクランプを解除し、かつライン内の空気と一緒に一定体積の血液をサンプルバッグ22内に吸引する。次に、ユーザは、サンプルパウチ22のクランプおよびシールを解除し、サンプルパウチ22を使い捨てセットから取外し、かつサンプルパウチ22からVACUTAINERサンプルを取出す。次にユーザは、ボタンを押して血液の吸引を始動させる。
【0117】
献血が開始されかつ血液がシステムをプライミングする。血液は、抗凝固剤を定量しながら、ドナー充填ラインからCFC500へと最大65ml/分で吸引される。次に、システムが一時休止して、ドナーラインの圧力トランスデューサNo.1でゼロであるかをチェックする。CFC500がプライミングされ、この間に全血がCFC500を充填し、同時に分離界面がスピニングされかつ分離界面が発生される。この時点で、全ての空気が空気バッグ128にパージされ、RBCポートおよび白血球ポートが血液で覆われる。全血がCFC500を充填するときにCFC500のプライミングが続けられ、血漿の光学センサが液体を検出するまで1分間当りの回転数(RPM)が増大(約1000RPMから約4000RPMに増大)し、僅かなRBCが引出されてシールをクリアにし、かつ全ての空気が空気バッグ128にパージされる。CFC500のプライミングの完了時に、CFCが約4000から4500RPMの作動速度で回転され、血漿ポートはクリアであり、血漿バッグ132への弁が切換えられる。
【0118】
白血球フィルタ150は、35mlの体積に対し約25ml/分の最大値でプライミングされる。この段階中、白血球フィルタ150が血液でプライミングされ、貯蔵溶液がRBCの流れに定量供給され、血漿が吸引され、白血球フィルタ150のプライミング中にCFC500内にRBC床が形成される。分離中に、血液が、ドナー圧力および白血球フィルタ150の最大約45ml/分の流量に許容できる速度で吸引される。これは、運転の定常状態部分である。血漿をパージする吸引体積の終時の予測時にRBC床が形成される。RBC床をパックしかつ血漿汚染を最小にするため、CFC500の速度は、約5000RPMに増大する。バフィーコートが血漿ポートに存在するようになるまで、RBC床が形成される。切換え弁V1、V2は、RBC床を形成し続け、バフィーコートおよび幾分かのRBCを血漿ラインおよび空気バッグ128内に押出す。
【0119】
ドナー吸引体積に到達すると、献血が終了する。血液ポンプ161と抗凝固剤ポンプ162との比率は、RBCのドナーラインをCFC500にパージすべく調節され、プロセスのこの段階では、空気バッグ128へのラインは開かれている。
【0120】
CFC500の回転は停止され、時計の6時の位置にあるRBCポートに戻る。ユーザはドナーを看護し、ドナーは、ユーザインターフェースディスプレイが「ニードルラインをクランプしかつドナーを取外す」を表示すると、システムから取外される。次に、ユーザは、ドナーニードル110のラインをクランプし、ドナーニードル110を取外し、ニードルプロテクタを使用し、かつドナーに無菌ゲージを適用する。
【0121】
RBCはCFC500からパージされる。CFC500からRBCを吸引すると、計時ドレンまたはディスクの光学的検出器により、空気を空気バッグ128(比率貯蔵溶液)から戻すことができる。この段階では、ユーザがドナーを看護する。白血球フィルタ150は、残余のRBCをパージすべく30mlの貯蔵溶液を白血球フィルタ150内にポンピングすることによりパージされる。ユーザインターフェースが「血漿製品バッグを反転させて空気をパージせよ」の表示を行うときは、血漿からの空気の排除が行われる。この時点で、ユーザは、血漿バッグ132を反転させ、空気除去ボタンを押しかつ保持し、空気が除去されるまで血漿バッグ132を圧搾し、チューブをバッグにシールしかつ押し続ける。
【0122】
ユーザインターフェースが「RBC製品バッグを反転させ、混合させかつ空気をパージせよ」の表示を行うときは、RBCの空気押出しが行われる。次に、ユーザはRBCバッグ131を反転させかつ混合し、空気がチューブラインセグメント41内のマークに到達するまで空気除去ボタンを押しかつ保持し、チューブを前記マークの位置でシールしかつ押し続ける。
【0123】
ユーザインターフェースが「プロセスは完了した。セットを取出して下さい」の表示を行ったときは、プロセスが完了される。次に、ユーザはコンソールドアを開き、使い捨てセットを取出し、抗凝固剤バッグ138、貯蔵溶液バッグ122、RBCバッグ131、血漿バッグ132および空気バッグ128を取出し、かつ使い捨てセットを適当に廃棄する。この時点で、システムは無バーコードを検出し、かつ「使い捨てセットを受入れる用意が整った」の旨のユーザインターフェースディスプレイにより表示されると、新しい使い捨てセットを受入れる用意が整えられる。
【0124】
例4:
2単位の白血球低減RBC:
本発明の他の実施形態では、ドナーから充分な全血が収集され、貯蔵溶液中に2単位の白血球低減RBCを作る。この実施形態が図34に示されている。このシステムは、ドナーニードル110と、サンプルパウチ22と、サンプルサイト21と、手動クランプ31、32、33、34と、超音波空気センサUS1、US2、US3、US4と、ロータリ弁RV1A、RV1B、RV2A、RV2B、RV3A、RV3Bと、圧力センサP1、P2、P3、P4と、抗凝固剤バッグ138と、貯蔵溶液バッグ122と、食塩水バッグ124と、バクテリアフィルタ141、142と、クロットフィルタ105と、抗凝固剤ポンプ162と、溶液ポンプ163と、血液ポンプ161と、RBCポンプ164と、血漿バッグ131と、CFC500と、白血球フィルタ150と、RBCバッグ132、133と、ラインセグメント41、42に連結された空気パウチ25、26とを有している。
【0125】
2RBCプロセスは、各単位について、180、200、210mlの最大ターゲット絶対RBC体積の白血球低減されたAS−5RBCの2つの製品(バッグ)を作る。全ての血漿はドナーに戻される。
【0126】
抗凝固剤(AC)ライン、貯蔵溶液(SS)ラインおよび食塩水ラインはプライミングされる。ターゲットRBC体積を蓄積しかつ全ての血漿を戻すため、各ドナーについて、全部で3から4回の吸引および戻しサイクルが使用される。
【0127】
最初のドナー吸引において、ディスクには抗凝固剤処理されたドナー血液が充填され、これにより、ディスク内および血漿保持バッグへのドナーライン内の空気が押し退けられる。最初は低速で回転し次に約4250RPMで回転するディスクは、血液を、パックされた赤血球とパックされた血漿とに分離する。全血がディスクに流入すると、RBCと血漿との界面が形成されかつ半径方向内方に移動する。RBCポンプは、界面がディスク内のパックされたRBCの約50mlに到達するまで、最初は停止されている。次に、この界面を、パックされたRBCの50mlと95mlとの間のどこかに維持するため、RBCポンプ速度が制御される。最大ディスク体積は約95mlである。RBCポンプは、貯蔵溶液の添加後に、RBCを、白血球フィルタを通してRBC製品バッグ内にポンプ送出する。この最初の吸引サイクルに特定されたドナー血液体積に到達したときは、ドナー吸引およびRBCポンプの流れが停止される。血漿は、この最初の吸引の全体を通して、血漿保持バッグへと流れる。
【0128】
次に、血漿バッグ内の全ての血漿を、全血ポンプによりこのバッグからドナーへとポンプ送出することにより、ドナーへの血漿の最初の戻りが開始される。ロータリ弁の1つ(RV1)が、血漿バッグとT継手(ディスクと全血ポンプとの間に配置されている)との間のチューブ連結を開く。この弁はまた、T継手とディスクとの間のチューブ連結を閉じて、ディスクからRBCがポンプ送出されることを防止する。この戻り流れ中に、幾分かのRBCが、ディスクから白血球フィルタを通ってRBC製品バッグへとゆっくりポンプ送出される。この戻り時に食塩水が血漿に添加され、このサイクルの終時および各吸引および戻りサイクルの終時に、ほぼゼロの血管内体積変化を達成する。
【0129】
第二ドナー吸引段階は、この第二吸引の終時に、RBC界面を、パックされたRBC体積の50mlと95mlとの間に制御する。この段階中に、RBCは、白血球フィルタを通ってRBC製品バッグにポンプ送出される。血漿は、血漿保持バッグに流れる。この段階は、この吸引中に特定体積のドナー血液が収集されたときに終了する。第二戻り段階は第一戻り段階と同様である。最終サイクルでない場合には、第三吸引および戻りサイクルは、第二サイクルと同様である。
【0130】
RBC製品バッグにポンプ送出されるRBCが、RBC製品バッグスケールで測定したターゲット体積に到達すると、最終(第三または第四)吸引段階が終了する。次に、ドナーへの最終戻りが、ディスクおよび血漿バッグ内の全ての内容物を、全血入口ポートを介してドナーにポンプ送出する。血漿バッグの内容物は、最初にドナーに戻される。この戻りは蓄積されたバフィーコートを含むことがある。またはバフィーコートはディスク内に留めてもよいし、白血球フィルタにポンプ送出してもよい。血漿バッグからの空気は、ディスクを埋め戻し(backfill)する。戻り血漿および全ての戻りRBCには、食塩水が添加される。ディスクおよびドナーラインからは、血漿およびRBCが空にされる。
【0131】
ここで、ドナーが、M2000システムとの連結から解放される。このプロセスは、白血球フィルタを貯蔵溶液でパージして、できる限り多くのRBCを除去することにより終了する。或いは、ディスクは、ドナーの連結を解放した後に、ほぼ完全に空にすることができる。残余のRBCおよびバフィーコートはディスク内に留まるか、白血球フィルタにポンプ送出される。次に、白血球フィルタがパージされる。
【0132】
例5:
1単位の白血球低減RBCおよび多単位の血漿(RBCPプロセス):
RBCPプロセスは、180mlから210mlの最大ターゲット絶対RBC体積の添加剤溶液中に1単位の白血球低減RBCを作る。このプロセスはまた、約450mlから550mlの最大ターゲット血漿体積を作る。血漿はドナーには全く戻されず、RBCのみがドナーに戻される。
【0133】
このプロセスは、図35に概略的に示されている。このシステムは、ドナーニードル110と、サンプルパウチ22と、サンプルサイト21と、手動クランプ31、32、33と、超音波空気センサUS1、US2、US3、US4と、ロータリ弁RV1、RV2、RV3と、圧力センサP1、P2、P3、P4と、抗凝固剤バッグ138と、貯蔵溶液バッグ122と、食塩水バッグ124と、バクテリアフィルタ141、142と、クロットフィルタ105と、抗凝固剤ポンプ162と、溶液ポンプ163と、血液ポンプ161と、RBCポンプ164と、空気バッグ128と、血漿バッグ131と、RBCバッグ132と、セグメントライン41に連結された空気パウチ25とを有している。
【0134】
抗凝固剤(AC)ライン、貯蔵溶液(SS)ラインおよび食塩水ラインはプライミングされる。これらの血液製品を得るには、ドナーの吸引段階および戻し段階の全部で多分3から8回のサイクルが必要である。サイクル数は、ドナーのヘマトクリット、体重、および体外および血管内体積の考察により定まる。
【0135】
最初のドナー吸引において、ディスクには抗凝固剤処理されたドナー血液が充填され、これにより、ディスク内および空気バッグへのドナーライン内の空気が押し退けられる。ディスクはパックされたRBCと血漿との界面を形成し、この界面は徐々に移動して、ディスクをパックされたRBC(多分、70mlから90mlのRBC)でほぼ完全に充填する。血漿は血漿製品バッグに流入する。貯蔵溶液を添加しかつ白血球フィルタに通した後に、幾分かのRBCがRBC製品バッグにポンプ送出される。
【0136】
最初の戻り段階において、ディスク内の全てのRBCが、全血ポンプおよびディスクの全血入口ポートを介してドナーに戻される。食塩水が、溶液ポンプによりこれらの赤血球内に定量供給される。パックされたRBCが取出されると、血漿がディスク内に流れて戻される。ディスクは、全戻り段階中に回転し続け、血漿と赤血球との分離を維持しかつ極めて赤血球の少ない血漿を達成する。
【0137】
これらの吸引段階および戻し段階は、2つの製品バッグの重量を別々に計量するスケールにより決定された絶対RBCターゲット体積および血漿ターゲット体積の両方が達成されるまで反復される。
【0138】
ディスクは、少なくともドナー吸引段階の後、およびディスク内の全てのパックされたRBCをRBC製品バッグ内にポンプ送出することにより血漿ターゲット体積に到達した後に、空にされる。空気バッグからの空気がディスクを埋め戻す。次に、白血球フィルタが貯蔵溶液によりパージされ、RBCの回収を改善する。
【0139】
ドナーは、最終ドナー吸引段階の直後に、このシステムから取外される。
【0140】
例6:
血漿オンリープロセス:
血漿オンリープロセスは、約450mlから800mlの最大ターゲット血漿体積を作る。血漿はドナーに全く戻されず、RBCのみがドナーに戻される。
【0141】
このプロセスの概略が図36に示されている。このシステムは、ドナーニードル110と、サンプルパウチ22と、サンプルサイト21と、手動クランプ31、32と、超音波空気センサUS1、US2、US3、US4と、ロータリ弁RV1、RV2、RV3と、圧力センサP1、P2、P4と、抗凝固剤バッグ138と、食塩水バッグ124と、バクテリアフィルタ141、142と、クロットフィルタ105と、抗凝固剤ポンプ162と、溶液ポンプ163と、血液ポンプ161と、空気バッグ128と、血漿バッグ131とを有している。
【0142】
抗凝固剤(AC)ライン、貯蔵溶液(SS)ラインおよび食塩水ラインはプライミングされる。これらの血液製品を得るには、ドナーの吸引段階および戻し段階の全部で多分3から8回のサイクルが必要である。サイクル数は、ドナーのヘマトクリット、体重、および体外および血管内体積の考察により定まる。
【0143】
最初のドナー吸引において、ディスクには抗凝固剤処理されたドナー血液が充填され、これにより、ディスク内および空気バッグへのドナーライン内の空気が押し退けられる。ディスクはパックされたRBCと血漿との界面を形成し、この界面は徐々に移動して、ディスクをパックされたRBC(多分、70mlから90mlのRBC)でほぼ完全に充填する。血漿は血漿製品バッグに流入する。貯蔵溶液を添加しかつ白血球フィルタに通した後に、幾分かのRBCがRBC製品バッグにポンプ送出される。
【0144】
最初の戻り段階において、ディスク内の全てのRBCが、全血ポンプおよびディスクの全血入口ポートを介してドナーに戻される。食塩水が、溶液ポンプによりこれらの赤血球内に定量供給される。パックされたRBCが取出されると、血漿がディスク内に流れて戻される。ディスクは、全戻り段階中に回転し続け、血漿と赤血球との分離を維持しかつ極めて赤血球の少ない血漿を達成する。
【0145】
これらの吸引段階および戻し段階は、2つの製品バッグの重量を別々に計量するスケールにより決定された絶対RBCターゲット体積および血漿ターゲット体積の両方が達成されるまで反復される。
【0146】
ディスクは、少なくともドナー吸引段階の後、およびディスク内の全てのパックされたRBCをRBC製品バッグ内にポンプ送出することにより血漿ターゲット体積に到達した後に、空にされる。空気バッグからの空気がディスクを埋め戻す。次に、白血球フィルタが貯蔵溶液によりパージされ、RBCの回収を改善する。
【0147】
ドナーは、最終ドナー吸引段階の直後に、このシステムから取外される。
【0148】
例7:
1単位の白血球低減されたRBC、血漿およびバフィーコート:
本発明の他の実施形態は、図2に示すものと同じ血液収集および処理プロセスを用いて、収集されたバフィーコートが製品バッグに取出される点を除き、貯蔵溶液および血漿中に1単位の白血球低減されたRBCを作る。全血がドナーから収集されて、貯蔵溶液、血漿およびバフィーコート中に1単位の白血球低減されたRBCを作る。
【0149】
バフィーコートおよび白血球と血小板との混合物が、CFC500(図2)内で赤血球と血漿との界面を形成する。バフィーコートおよび白血球と血小板との混合物は、献血および分離プロセスの全体を通して、CFC500のディスク分離チャネル内に収集される。図2に示すように、バフィーコートは、血漿除去の終時に空気バッグ128内にポンプ送出される。この実施形態では、幾分かの血漿と一緒にバフィーコートがCFC500から血小板製品バッグ内にポンプ送出される。血小板製品バッグは、バフィーコートのための取出しポートを備えた空気バッグ128で構成できる。
【0150】
以上、本発明の特定実施形態について説明したが、本発明の精神から逸脱することなく多くの変更をなし得るであろう。特許請求の範囲の記載は、このような変更が本発明の範囲および精神内に包含されるものとして、これらの変更をカバーするものである。従って、本願に開示した実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきであり、本発明の範囲は、本願の上記説明により定められるものではなく、特許請求の範囲の記載により定められるべきである。従って、特許請求の範囲の記載と均等の範囲および意味内に包含される全ての変更は、特許請求の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の一実施形態による連続フロープロセス中に生じる同時処理段階を示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態による、白血球低減された赤血球製品および血漿製品への全血分離を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による使い捨てセットを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による、図3の使い捨てセットが取付けられたコンソールを示す斜視図であり、コンソールのドアが開かれているところを示すものである。
【図5】本発明の一実施形態による、図4に示したマニホルド組立体の前側を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による、図4に示したマニホルド組立体の後側を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による、図6に示したマニホルド組立体を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による、図4に示したマニホルドおよび遠心分離機ディスクの流体ラインを示す図面である。
【図9】本発明の一実施形態による、ソレノイドが付勢されかつ弁が開いているときのドア、マニホルドおよびトランスデューサプレートの相互作用を示す水平断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による、ドア、マニホルドおよびトランスデューサプレートの相互作用および圧力検出コンポーネンツを示す水平断面図である。
【図11】本発明の一実施形態による、真空カップリングを備えた負圧検出を示す水平断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による超音波センサおよびチューブの水平断面図であり、ドア蓋と係合しているフィンガを示すものである。
【図13】本発明の一実施形態による、図3に示したドナーアクセス副組立体の斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態によるマニホルドを示す水平断面図である。
【図15】本発明の一実施形態による、遠心分離機ディスクの分離チャネルを示す概略縦断面図である。
【図16】本発明の一実施形態による、遠心分離機ディスクの分離チャネルを示す概略平面図である。
【図17】本発明の一実施形態による遠心分離機ディスクを示す斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態による遠心分離機ディスクの赤血球ポートおよび白血球ポートを通る縦断面図である。
【図19】本発明の一実施形態による遠心分離機ディスクを示す背面図である。
【図20】本発明の一実施形態による遠心分離機ディスクを示す斜視断面図である。
【図21】本発明の一実施形態による、図20に示した連続フロー遠心分離機ディスク面シールおよびその流路を示す縦断面図である。
【図22】本発明の一実施形態による、図21に示した遠心分離機ディスクのシール組立体を示す水平断面図である。
【図23】本発明の一実施形態に従って定置されたディスプレイを備えたコンソールの前側を示す斜視図である。
【図24】本発明の一実施形態によるコンソール定置方法を示す斜視図であり、コンソールが閉位置にあるところを示すものである。
【図25】本発明の一実施形態によるコンソール定置方法を示す斜視図であり、ユーザインターフェースが図23に示すように定置されているところを示すものである。
【図26】本発明の一実施形態によるコンソール定置方法を示す斜視図であり、、コンソールのドアが開かれているところを示すものである。
【図27】本発明の一実施形態によるコンソールの前パネルを示す正面図である。
【図28】本発明の一実施形態に従ってコンソール内に取付けられた連続フロー遠心分離機ディスクを示す縦断面図である。
【図29】本発明の一実施形態による、ローラポンプとチューブとの係合を示す垂直断面図である。
【図30】本発明の一実施形態による、連続フロー遠心分離機ディスクおよび赤血球インターフェース光学検出器通路を示す縦断面図である。
【図31】本発明の一実施形態による、連続フロー遠心分離機ディスクおよび血漿インターフェース光学検出器通路を示す縦断面図である。
【図32A】本発明の一実施形態による二方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図32B】本発明の一実施形態による二方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図32C】本発明の一実施形態による二方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図32D】本発明の一実施形態による二方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図32E】本発明の一実施形態による二方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33A】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33B】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33C】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33D】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33E】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図33F】本発明の一実施形態による四方ロータリチューブピンチ弁機構を示す図面である。
【図34】本発明の一実施形態による2単位の白血球低減RBCを作るプロセスを示す概略図である。
【図35】本発明の一実施形態によるRBCPプロセスを示す概略図である。
【図36】本発明の一実施形態による血漿オンリープロセスを示す概略図である。
【符号の説明】
【0152】
22 サンプルパウチ
110 ドナーニードル
122 貯蔵溶液バッグ
128 空気バッグ
131 赤血球製品バッグ
132 血漿製品バッグ
138 抗凝固剤バッグ
141、142 バクテリアフィルタ
150 白血球フィルタ
500 CFC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続フロー遠心分離機ディスクであって、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を前記分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を前記分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を前記分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
前記分離チャネルの内側面および外側面の各々は、回転軸線に対して非ゼロ角度で独立的に構成される、
ことを特徴とする連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項2】
前記第二出口ポート内への血漿の移動を容易にする血漿棚を更に有することを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項3】
前記第一出口ポートは前記ディスクの中心から第一半径方向距離に位置し、前記入口ポートは前記ディスクの中心から第二半径方向距離に位置し、第一半径方向距離は第二半径方向距離より大きいことを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項4】
前記第二出口ポートは前記ディスクの中心から第三半径方向距離に位置し、第一半径方向距離は第三半径方向距離より大きいことを特徴とする請求項3記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項5】
前記第二出口ポート内への血漿の移動を容易にする血漿棚を更に有し、前記血漿棚は、前記ディスクの中心から第四半径方向距離に設けられたリップを更に有していることを特徴とする請求項4記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項6】
前記分離チャネルは、前記ディスクの外周部または外周部の近くに配置されていることを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項7】
前記非ゼロ角度は、前記回転軸線に対し、前記分離チャネルの内側面および外側面の両方に関して約3°であることを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項8】
前記入口ポートは、前記第一出口ポートの約180°反対側に位置していることを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項9】
前記ディスクの中心領域または中心領域の近くに配置されたシール組立体を更に有し、前記シール組立体は静止シールおよび回転シールを備え、前記ディスクが回転運動するとき、前記回転シールは前記分離チャネルに対して実質的に移動せず、かつ、前記静止シールは前記分離チャネルに対して実質的に自由に移動することを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項10】
前記シール組立体は更に、
赤血球を搬送する中央チャネルと、
白血球を搬送する第一周方向チャネルと、
血漿を搬送する第二周方向チャネルと、
貯蔵溶液を搬送する第三周方向チャネルとを有し、
前記中央チャネル、前記第一周方向チャネル、前記第二周方向チャネル、前記第三周方向チャネルは、これらのチャネルに対応しており、かつ、前記静止シール上に配置された中央カップリング、第一カップリング、第二カップリングおよび第三カップリングを介して、血液処理装置のコンポーネンツに流体連通できる、
ことを特徴とする請求項9記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項11】
全血を前記第一周方向チャネルから搬送する第一通路と、全血を前記第一通路から前記入口ポートに搬送する入口チューブと、
赤血球を前記第一出口ポートから搬送する第一出口チューブと、赤血球を前記第一出口チューブから前記中央チャネルに搬送する第二通路と、
貯蔵溶液を前記第三周方向チャネルから搬送する第三通路と、貯蔵溶液を前記第三通路から前記第一出口ポートに搬送する貯蔵溶液チューブと、前記貯蔵溶液チューブを第一出口チューブと、
血漿を前記血漿棚から前記第二周方向チャネルに搬送する第四通路と、
を更に有することを特徴とする請求項10記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項12】
遠心分離機ディスクの駆動カップ内で前記ディスクを回転可能に配向する配向ピンと相互作用できる少なくとも1つの配向孔を更に有することを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項13】
互いに約180°隔てて配置された2つの配向孔を有することを特徴とする請求項12記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項14】
前記ディスクを通って軸線方向に配置された赤血球インターフェース光学検出器通路と、前記ディスクを通って軸線方向に配置された血漿インターフェース光学検出器通路とを更に有することを特徴とする請求項1記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項15】
前記回転シールおよび静止シールの各々がセラミックで形成されることを特徴とする請求項9記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項16】
前記静止シールと回転シールとの間の機械的接触を維持する静止シールハウジングを更に有することを特徴とする請求項9記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項17】
前記静止シールハウジングは、前記静止シールハウジングを前記ディスクに向けて一定軸線方向距離だけ移動させるのに充分な軸線方向力が静止シールハウジングに加えられたときにのみ、前記回転シールに対して静止シールを回転移動させることができることを特徴とする請求項16記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項18】
連続フロー遠心分離機ディスクであって、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を前記分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を前記分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を前記分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
前記分離チャネルの内側面および外側面の各々は、回転軸線に対して非ゼロ角度で独立的に構成されており、
静止シールおよび回転シールを備えたシール組立体と、
赤血球を搬送する中央チャネルと、白血球を搬送する第一周方向チャネルと、血漿を搬送する第二周方向チャネルと、貯蔵溶液を搬送する第三周方向チャネルと、
全血を前記第一周方向チャネルから搬送する第一通路と、全血を前記第一通路から前記入口ポートに搬送する入口チューブと、
赤血球を前記第一出口ポートから搬送する第一出口チューブと、赤血球を前記第一出口チューブから前記中央チャネルに搬送する第二通路と、
貯蔵溶液を前記第三周方向チャネルから搬送する第三通路と、貯蔵溶液を前記第一出口ポートに搬送する貯蔵溶液チューブと、前記貯蔵溶液チューブを第一出口チューブと、
血漿を前記血漿棚から前記第二周方向チャネルに搬送する第四通路とを更に有する、
ことを特徴とする連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項19】
前記第二出口ポート内への血漿の移動を容易にする血漿棚を更に有することを特徴とする請求項18記載の連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項20】
全血をその構成成分に分離する方法であって、
ドナーから全血を収集する段階と、
連続フロー遠心分離機ディスクを通して全血を処理する段階とを含み、
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を前記分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を前記分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を前記分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
前記分離チャネルの内側面および外側面の各々は、回転軸線に対して非ゼロ角度で独立的に構成されており、
前記方法は、さらに、
前記ディスクから一定体積の赤血球を収集する段階と、
前記ディスクから一定体積の血漿を収集する段階と、
に含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、前記第二出口ポート内への血漿の移動を容易にする血漿棚を更に有することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
赤血球に貯蔵溶液を添加する段階を更に含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
全血に抗凝固剤を添加する段階を更に含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記ディスクは、このディスクの軸線方向中心領域に位置し、または、この近くに位置するシール組立体を更に有し、前記シール組立体は静止シールおよび回転シールを備え、ディスク駆動カップ内のディスクが、回転シールに対する静止シールの回転移動を可能にするように配置する段階を更に有することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
連続フロー遠心分離機ディスクにおいて、
シール組立体と、
前記ディスクの外径、または、この近くでほぼ周方向に配置された分離チャネルと、
前記分離チャネルから赤血球を取出すための、前記ディスクの軸線から第一半径に配置された赤血球取出しポートと、
全血を分離チャネル内に導入するための、前記ディスクの軸線から第二半径に配置された全血入口ポートと、
前記分離チャネルから血漿を取出すための血漿ポートと、
流体を赤血球に導入するための、前記ディスクの前記軸線から第三半径に配置された流体添加コネクタとを有し、
前記第一半径は第二半径より大きく、第二半径は第三半径より大きいことを特徴とする連続フロー遠心分離機ディスク。
【請求項26】
血液の分離方法であって、
供給源から第一体積の全血を吸引する段階と、
前記第一体積の全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階とを含み、
連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面の各々が、回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置され、
前記方法は、さらに、
第一体積の血漿を収集する段階と、
第一体積の全血を処理した後に連続フロー遠心分離機ディスク内に残留している第一体積の赤血球の少なくとも一部を供給源に戻す段階と、
供給源から最終体積の全血を吸引する段階と、
前記最終体積の全血を連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階と、
最終体積の血漿を収集する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
全血をその構成成分に分離する方法であって、
供給源から全血を収集する段階と、
連続フロー遠心分離機ディスクを通して全血を処理する段階と、
第一体積の血漿を収集する段階と、
全血を処理した後に連続フロー遠心分離機ディスク内に残留している第一体積の赤血球の少なくとも一部を供給源に戻す段階と、
第二体積の血漿を収集する段階と、
所望の全体積の血漿が収集されるまで、赤血球を戻す段階および血漿を収集する段階を反復する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
血液をその構成成分に分離する装置であって、
供給源から全血を吸引するニードルと、
全血を処理する連続フロー遠心分離機ディスクとを有し、
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを備え、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面は、各々が回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置されており、
第一体積の血漿および最終体積の血漿を収集する第一収集リザーバと、
前記ニードルおよび第一収集リザーバを、連続フロー遠心分離機ディスクに流体的に連結するチューブと、
連続フロー遠心分離機ディスクと供給源との間のチューブに設けられた、第一体積の赤血球を供給源に戻すためのポンプと、
を更に有することを特徴とする装置。
【請求項29】
血液の分離方法であって、
供給源から第一体積の全血を吸引する段階と、
前記第一体積の全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階とを含み、
連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面の各々が、回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置され、
前記方法は、さらに、
第一体積の赤血球を収集する段階と、
第一体積の血漿を収集する段階と、
第一体積の赤血球の少なくとも一部を供給源に戻す段階と、
供給源から最終体積の全血を吸引する段階と、
前記最終体積の全血を連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階と、
最終体積の赤血球を収集する段階と、
最終体積の血漿を収集する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
全血をその構成成分に分離する方法であって、
供給源から全血を収集する段階と、
連続フロー遠心分離機ディスクを通して全血を処理する段階と、
第一体積の赤血球を収集する段階と、
第一体積の血漿を収集する段階と、
第一体積の赤血球の少なくとも一部を供給源に戻す段階と、
第二体積の赤血球を収集する段階と、
第二体積の血漿を収集する段階と、
所望の全体積の血漿が収集されるまで、赤血球を戻す段階、血漿を収集する段階および赤血球を収集する段階を反復する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
血液をその構成成分に分離する装置であって、
供給源から全血を吸引するニードルと、
全血を処理する連続フロー遠心分離機ディスクとを有し、
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを備え、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面は、各々が回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置されており、
第一体積の赤血球および最終体積の赤血球を収集する第一収集リザーバと、
第一体積の血漿および最終体積の血漿を収集する第二収集リザーバと、
前記ニードル、第一収集リザーバおよび第二収集リザーバを、連続フロー遠心分離機ディスクに流体的に連結するチューブと、
第一収集リザーバと連続フロー遠心分離機ディスクとの間のチューブに設けられた、第一体積の赤血球を供給源に戻すためのポンプとを更に有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項32】
血液の分離方法であって、
供給源から第一体積の全血を吸引する段階と、
前記第一体積の全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階とを含み、
連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを有し、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面の各々が、回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置され、
前記方法は、さらに、
第一体積の白血球低減された赤血球を収集する段階と、
第一体積の血漿を収集する段階と、
第一体積の血漿を供給源に戻す段階と、
供給源から最終体積の全血を吸引する段階と、
前記最終体積の全血を連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階と、
最終体積の白血球低減された赤血球を収集する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
全血をその構成成分に分離する方法であって、
供給源から全血を収集する段階と、
第一体積の全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階と、
第一体積の白血球低減された赤血球を、前記第一体積の全血から収集する段階と、
第一体積の血漿を、第一体積の全血からドナーに戻す段階と、
第二体積の全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理する段階と、
第二体積の白血球低減された赤血球を、前記第二体積の全血から収集する段階と、
第二体積の血漿を、第二体積の全血からドナーに戻す段階と、
所望の第三体積の白血球低減された赤血球が収集されるまで、付加全血を、連続フロー遠心分離機ディスクを通して処理しかつ分離された白血球低減された赤血球を収集する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
血液をその構成成分に分離する装置であって、
供給源から全血を吸引するニードルと、
全血を処理する連続フロー遠心分離機ディスクとを有し、
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを備え、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、
分離チャネルの前記内側面および外側面は、各々が回転軸線に対して一定角度をなして独立的に配置されており、
第一体積および最終体積の白血球低減された赤血球を収集する第一収集リザーバと、
第一体積の血漿を収集する第二収集リザーバと、
前記ニードル、第一収集リザーバおよび第二収集リザーバを、連続フロー遠心分離機ディスクに流体的に連結するチューブと、
第二収集リザーバと連続フロー遠心分離機ディスクとの間のチューブに設けられた、第一体積の血漿を供給源に戻すためのポンプとを更に有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項35】
血液分離システムの使い捨てセットであって、
供給源から血液を吸引するニードルと、
連続フロー遠心分離機ディスクとを有し、
前記連続フロー遠心分離機ディスクは、
内側ディスク壁と、
外側ディスク壁と、
前記内側ディスク壁と前記外側ディスク壁との間の分離チャネルとを備え、
前記分離チャネルは、
内側面と、
外側面と、
全血を分離チャネル内に導入する入口ポートと、
濃縮された赤血球を分離チャネルから取出す第一出口ポートと、
血漿を分離チャネルから取出す第二出口ポートとを備え、分離チャネルの前記内側面および外側面は、各々が回転軸線に対して非ゼロ角度をなして独立的に配置されており、
マニホルドを有し、前記マニホルドは、
後カバーおよび前カバーを備えたハウジングと、
ハウジングの内部の流路と、
少なくとも一部がハウジング内に配置され、かつ、1つ以上の流路に流体連通する1つ以上のエラストマーダイアフラムと、
1つ以上の流路に流体連通しておりかつ変形できる1つ以上の弁とを備え、前記弁の変形により1つ以上の流路が閉じ、
1つ以上の流路に流体連通する1つ以上のチューブセグメントとを更に備え、前記チューブセグメントは、圧迫されることにより、1つ以上のチューブセグメントを通して流体を移動させることができ、
前記使い捨てセットは、さらに、
連続フロー遠心分離機内で分離された血液成分を保持できる1つ以上の製品バッグと、
連続フロー遠心分離機を、ニードル、マニホルドおよび1つ以上の製品バッグに連結するチューブと、
を有することを特徴とする使い捨てセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図32D】
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【図32E】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図33E】
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【図33F】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2008−535575(P2008−535575A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505528(P2008−505528)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012867
【国際公開番号】WO2006/110470
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507335676)ミッション メディカル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】