説明

血液酸素飽和度の光学的測定のためのセンサ、その測定方法、及びその測定装置

【課題】 公知技術の欠点を克服した、血液の光学的酸素飽和度測定用の新規センサを提供すること。
【解決手段】 新規の光学的血液酸素飽和度測定センサについて、新規センサを用いた測定方法と装置とともに記載する。新規センサは、装置の中央に相互に近傍する位置にある2つのポイント状発光器と、発光器の周囲に同心的に設けられた少なくとも1つ、好ましくは2つの環状検出ターミナルとを含む。光源は、例えば、670〜940nmの範囲内の単色光をそれぞれ発する2つのレーザーダイオードにすることができる。検出装置は、例えば光ダイオードである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液が分布する組織に対して行われる血液パルス酸素飽和度測定のように、血液の無侵襲的な光学的酸素飽和度測定のための新規センサと、光学的酸素飽和度測定方法と、上記方法を実行するのに適切な装置とに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、光学パルス酸素飽和度測定技術のような公知技術を用いた血液の酸素飽和度測定方法が開示されている。この技術に関する参考文献は、米国特許第4,167,331号、米国特許第4,938,218号、ネルコー、リミテッド(NELLCOR LTD.)がスポンサーの小冊子「胎児の酸素生理学(Fetal Oxygen Physiology)」などがあり、このほかの参考文献もある。この方法によれば、血液が分布する組織に光を当て、組織による光吸収を適切な光センサで測定する。そして血液の心血管動作によって生じる吸収値の拍動性変化を利用して、対象となる性質、つまり血液の酸素飽和度を測定する。動脈血の酸素飽和度(SaO2)は、公知である以下の方程式によって定義される。
【0003】
【数1】

【0004】
式中、[HbO2]は血液の体積1単位中の酸化へモグロビン濃度で、[Hb]は還元ヘモグロビン濃度である。
【0005】
従来用いられてきたパルス酸素飽和度測定方法では、検査する組織に、少なくとも異なる2つの波長成分を有する光を照射して、以下の2つの物理的現象に基づいて測定を行う。
(a)2つの波長それぞれに於ける酸化ヘモグロビンの光吸収は、還元ヘモグロビンの光吸収と異なる。
(b)血液が分布する組織での各波長の光吸収には、光源とセンサの間にある組織中を流れる動脈血の体積が変動するために、拍動的な要素が見られる。
【0006】
従って、光源とセンサの間にある組織層の吸収での拍動的な要素が、動脈血の酸素飽和度を決定すると考えられる。
【0007】
当分野では、光学パルス酸素飽和度測定を効果的に実施するための、様々な種類のセンサが公知である。公知になった光学センサの中でも、胎児の動脈血の酸素飽和度を測定する専用センサは、特別なセンサとして分類される。
【0008】
基本的に、先行技術では、血液の光学的酸素飽和度測定を実施する2つの方法に関連して利用される2種類の光学センサが開示されている。つまり、いわゆる伝達センサを用いる伝達パルス酸素飽和度測定と、いわゆる反射センサあるいはトランスフレクタンス(transflectance)センサを用いる反射パルス酸素飽和度測定の2種類である。伝達パルス酸素飽和度測定では、例えば米国特許第4,938,213号に記載されているように、血液が分布する組織、例えば指や耳など、を通過する光を測定する。このとき発光器と伝達センサの検出部とは、検査する組織を間に挟んで向かい合わせに設けられる。一方、反射酸素飽和度測定では、例えば米国特許第5,228,440号、第5,247,932号、第5,099,842号、国際公開第WO90/01293号に記載されているように、発光器と光検出器の両方を備えた反射センサあるいはトランスフレクタンスセンサを用いるので、検査する組織の片側に光源と光検出器の両方が位置することになる。2種類のセンサの参考文献としては、例えば、米国特許第5,247,932号、ネルコー(NELLCOR)がスポンサーの「胎児の酸素飽和モニタリング(Fetal Oxygen Saturation Monitoring)」などを見てもよい。
【0009】
伝達方式と反射方式の操作は両方とも、適用に際して特定の制限があり、一般に精度は高いが、特に適用によっては不十分な結果になる場合もある。従って、例えば伝達方式に於いては、発光器と光センサとが検査組織を挟んで向かい合えるように、検査組織が完全に突出した状態になっている場合にしか、十分な結果が得られない。
【0010】
従って、通常、特に胎児の酸素飽和度測定に際しては、反射方式が最も頼りになる技術であることは明らかである。しかし残念なことに、従来の反射方式の精度は、伝達方式に比べてむしろ低い。これは組織での照射光の拡散度がわからないため、すなわち、センサによって受信される光信号と血液の酸素飽和度との間にある機能的な相互依存性がわからないためでもある。公知の反射方式の別の欠点は、照射された光が光源とセンサとの間の組織表面上で部分的に逸脱することと、組織の表面層による鏡面反射が生じることである。
【0011】
米国特許第5,009,842号には、光源と検出器との間の組織の外表面上での照射光の逸脱という問題を克服する手段を備えたセンサが開示されている。英国特許出願第2,269,012号では、主に、検査組織の接触面でのオプティカルファイバの出す位置とオプティカルファイバの検出位置との間の所定距離を選択することによって、皮膚のような血液分布組織の表面層や毛髪の表面層による光反射のために生じる光信号を選択して分離する方法が提唱されている。
【0012】
胎児用オキシメータは、通常アプリケータを備え、アプリケータは、少なくとも1つのほぼポイント状の光源(point-like light detector)と、光源から適切な間隔をあけて位置する少なくとも1つのほぼポイント状の光検出器とを備えたプレートを含むのが通常である。このようなアプリケータの欠点のひとつとして、アプリケータを皮膚の不均一な部分、例えば毛深い部分あるいは母斑などに用いると、検出器によって受信される光信号がゆがむことが挙げられる。例えば米国特許第5,099,842号に開示されるような種類の、比較的大きいサイズのオキシメータでさえ、光源と検出器はまだポイント状なので、操作者が胎児の皮膚の誤った部分に使用することは事実上好ましくないことである。
【0013】
重要なのは、伝達式及び反射式酸素飽和度測定の原理に基づく基本的な前提では、異なる光源から組織に照射される異なる波長光線の光路はほぼ等しい、とされていることを再認識することである。しかし、実際は、以上のような光路の長さは、波長それぞれの機能となる光散乱係数に依存する。したがって、酸素飽和度測定のために選択される光センサの波長と、それらに伴う光散乱係数とが、互いに著しく異なると、光路は実質的に等価であるという基本的な前提がくずれる。
【0014】
2つ以上のポイント状光源を用いる場合、皮膚の表面、血管、生物体のその他の部分の構成及び寄与が不均一であれば、問題を生じる可能性がある。したがって、もし所定の波長を発するポイント状光源の1つを不均一な皮膚のどこかに使用し、一方では、異なる波長を照射する別の光源を局所解剖学的には近傍であるが光学的には異なる場所に設けると、2つの異なる波長での異なる光散乱と吸収の結果、ほとんど最初から、2つの光源によって発せられる光の光路は等価にならない。検出器によって得られる光学エネルギーの全量は、検出器に到達した伝播光線によって運ばれるエネルギー部分の合計量として近似できる。これらの光線の光路は波長依存なので、エネルギーの各部分が異なる光路を通って検出器に伝わる。そのため、異なる波長をもつ光成分の減少は全て、相互に著しく異なり、血液の酸素飽和の評価でランダムな誤差を生む結果を伴う可能性がある。
【0015】
公知の血液酸素飽和度測定用センサの別の欠点は、2つの波長成分を有する光で組織を照射するための光源としてLEDを用いていることにある。LED光源は、例えば米国特許第4,938,218号のようにプローブ自体に設けられているか、例えば米国特許第5,099,842号、英国公開公報2,269,012号、国際公開第WO90/18549号、第WO90/01293号のようにオプティカルファイバを通じてプローブに接続されているかのどちらかである。以上のような光源は、血液の酸素飽和度測定に適した、例えば700nmと800nmを1組にした波長を提供することができる。しかし、2つの波長が互いに近い値になる程、酸素飽和度測定の精度が増すことは知られているにもかかわらず、LEDの場合、酸素飽和度測定で必要とする波長範囲内であっても、照射される2つの波長間を100nmよりも近づけることができない。
【特許文献1】米国特許第4,167,331号
【特許文献2】米国特許第4,938,218号
【特許文献3】米国特許第4,938,213号
【特許文献4】米国特許第5,228,440号
【特許文献5】米国特許第5,247,932号
【特許文献6】米国特許第5,099,842号
【特許文献7】国際公開第WO90/01293号
【特許文献8】国際公開第WO90/18549号
【特許文献9】英国特許出願第2,269,012号
【発明の開示】
【0016】
上記の従来技術を鑑みて、本発明は、公知技術の欠点を克服した、血液の光学的酸素飽和度測定用の新規センサを提供することを目的とする。
【0017】
さらに本発明の目的は、新規の血液の光学的酸素飽和度測定方法を提供することである。
【0018】
さらに本発明の別の目的は、新規センサを備えた血液の光学的酸素飽和度測定を実施するための装置と、その使用方法を提供することである。
【0019】
基本的に、本発明の目的は、少なくとも2つの異なる発光器によって発せられる異なる波長の光成分の光路が常に相互にほぼ等価であることと、皮膚の性質やその下にある組織の性質、また生理的条件の変化に左右されないことを確実にすれば、達成される。
【0020】
本発明の特徴によれば、無侵襲的な血液の光学的酸素飽和度測定用センサが提供される。本センサは、検査する被験者の血液が分布する体組織に操作時に面する接触面を有するアプリケータブロックを備えたキャリア本体を備える。アプリケータブロックは、相互に近傍する位置にあり且つ相手とは異なる波長光をそれぞれ発する少なくとも2つのポイント状発光器と、少なくとも2つの発光器の周囲に同心的に設けられたほぼ環状の少なくとも第1の光検出ターミナルとを備え、この光検出ターミナルは、光検出装置と連結され、前記体組織から到達する光を捕捉するための光捕捉端部を有する。
【0021】
本発明によるセンサは、適切な調整もされずに皮膚上に設けられたとしても、環状検出器の少なくとも一部は、不可解な妨害を受けずに皮膚と接触し、その結果、発光信号は、組織を通過した後で、検出ターミナルによって捕捉される。つまり、本発明によるセンサの信号対ノイズの比は、検出ターミナルの新規の特有な形状とセンサの幾何学的形状のために、著しく改善される。
【0022】
本発明によるセンサの第1の検出器がほぼ環状、つまり軸対称な形状をしているため、先行技術のポイント状検出器の場合だと光路の著しい逸脱を生んでいた組織構造での局部的な乱れも、所定の波長光の本来の平均光路に影響を与えないであろう。つまり、検出器が環状であることとセンサの幾何学的形状とが、所定の各波長の光路の安定を確実なものにする。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、アプリケータブロックは、前記第1の光検出ターミナルと同心で、第1のターミナルから間をあけて位置する第2のほぼ環状の光検出ターミナルを有する。以上のような形態を有するセンサを用いれば、さらに後述するような血液の酸素飽和度の変更された新規な評価方法を実施することができる。
【0024】
前記発光器はそれぞれ、アプリケータブロック内に位置する光源であってもよいし、あるいは接触しない発光端部(free, light emittingend)を有し且つ別の端部を通して光源に連結される発光ターミナルであってもよい。発光ターミナルの典型的な形状は、オプティカルファイバーの束である。
【0025】
光検出ターミナルは各々、接触しない光捕捉端部(free, light-acquiringend)を有し且つ別の端部を通じて光検出装置に連結される複数のオプティカルファイバからなるのが好ましい。
【0026】
発光ターミナルの発光端部をポイント状にする必要があるという規定は、発光端部のそれぞれが少ない面積を有する必要があることを意味する。2つのターミナルの典型例では、相互に補い合って1mm台の直径を有する環状プレートを共同で形成する。
【0027】
本発明によるセンサの光検出器は、例えば複数の光ダイオードを備えることもできる。本発明によるセンサの光源の例は、670mから940nmの範囲内の、好ましくは750nmから800nmの範囲内の互いに異なるが、非常に近い、例えば10〜20nm異なる波長の、少なくとも2つの異なった強い単色光を発散できるレーザーダイオードである。したがって、好ましい実施形態では、第1のレーザーダイオードが750nm〜760nmで発光し、第2のレーザーダイオードは780〜800nmで発光する。以上のような特徴は、従来の酸素飽和度測定装置に用いられてきたLEDのような光源では不可能である。レーザーダイオードは、さらに本来の照射範囲内であればどの波長の単色光でも、組織による線吸収を増やすことができるという利点を有する。
【0028】
以上全ての点を考慮して、本発明による光学センサにレーザーダイオードを用いると、酸素飽和度測定の基本的な必要事項、すなわち異なる波長の発散における光路の等価を満足させることができる。
【0029】
好ましくは、本発明によるセンサのキャリア本体は、不透明である。
【0030】
ある実施形態では、本発明によるセンサのキャリア本体内の前記アプリケータブロックは、前記接触面に対して垂直で且つ前記発光ターミナルを保持する軸状の貫通孔と、前記孔の周囲に同心的に設けられた、光検出ターミナルのそれぞれを収容する少なくとも1つのほぼ環状のスペースとを備える。
【0031】
前述の実施形態によるセンサのある特定の設計では、ターミナルの接触しない光捕捉端部が前記接触面と離れて収容用環状スペース内に据え込まれるように、各光検出ターミナルは、前記アプリケータブロックの前記ほぼ環状のスペース内に位置する。これによって前記環状スペースの空いた部分は、鏡面反射を排除するコリメータを構成する。非接触端部が接触面から離れる距離は、血液分布組織の比較的深い層から到達し且つアプリケータブロックの軸とほぼ平行向きの光だけを捕捉できる一方で、軸から実質的に逸脱した、組織の表層からの鏡面反射を排除できるような距離が選択される。
【0032】
ポイント状発光ターミナルと検出ターミナルとの間の距離が長くなると、逸脱の影響の克服を促すだけでなく、センサの感度の向上を促すことが見出された。しかし一方では、発光ターミナルと検出ターミナルとの間の距離が長くなることによって、検出される信号の強度は降下するので、発光ターミナルと検出ターミナルとの間の距離は実質的には限定される。また、臨床技師は、新生児や胎児のモニタリングに使用する場合は特に、大きさが最少のセンサを必要としているので、さらに限定が生じる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、各光検出ターミナルは、斜めに切断された光捕捉端部を有するオプティカルファイバを備える。このような形態では、センサの感度が向上し、これによって、検査する組織の比較的深く奥の層から反射された有効な光信号でさえも感知することができる。
【0034】
上記実施形態によれば、検出ターミナルのオプティカルファイバを構成する前記斜めに切断された光捕捉端部が接触面と同一平面かあるいは平行になるように、前記第1及び第2の環状検出ターミナルを保持する少なくとも1つの環状スペースは、斜めになって、接触面に向かって広がる側壁を備えることが好ましい。
【0035】
斜めに切断された光捕捉端部を備えたオプティカルファイバは、通常、ファイバの短い方の側壁に近い部分の端部に達する光線を受け付けず、長い方の側壁に近い部分の端部に達する光線を捕捉することは、先行技術から明らかである。しかし、先行技術では、以上のようなオプティカルファイバが、これまで、血液の光学的酸素飽和度測定用センサに用いられてきたことは何ら示唆されていない。
【0036】
上記センサでのオプティカルファイバの幾何学的形状は、光検出ターミナルがさらに有効な光学信号を捕捉できる組織の範囲を増やすことを可能にする。本発明に従えば、環状光検出ターミナルを構成するオプティカルファイバが斜めに切断された光捕捉端部を有するところでは、ターミナルは、検出ターミナルの輪よりも大きい内部半径を有する組織の環状検出ゾーンから有効な信号を捕捉することができる。
【0037】
以上のような特定構造のため、上記記載の光検出ターミナルは、発光ターミナルと光検出ターミナルとの間に生じる逸脱する光線を除く一方で、同時に、血液分布組織の比較的深い層から出る光の捕捉を促す。したがって、以上のようなセンサは、発光ターミナルと検出ターミナル間の距離を増やさなくても、また上述のセンサ本体の大きさの規定上限を上げなくても、感度が向上する。
【0038】
上記センサの好ましい実施形態では、オプティカルファイバを構成する検出ターミナルはそれぞれ、縦のファイバ軸に対して垂直な面に対して、鋭角に傾斜する斜めに切断された光捕捉端部を有する。プラスティックオプティカルファイバの場合、この鋭角は、約42°を超えない値であって、約20°〜22°の範囲内が好ましい。
【0039】
センサのキャリア本体は、例えば円筒形のように、適切な形状であればどれでもよく、またアプリケータブロックの接触面が本体の端面の1つを形成するように、本体は前記アプリケータブロックを1つの端部で保持する。
【0040】
上述したように、伝達式パルス酸素飽和度測定では、検査する血液分布組織の両面の間を発光された光が通過する。一方、反射式パルス酸素飽和度測定では、発光と検出とが組織の同じ表面で実施される。伝達式と反射式の両方法では、血液分布組織による光の吸収値の拍動的変化を利用して、対象となる性質を決定する。この拍動的変化は、通常発せられた光の強度と、単一検出器によって検出される光の強度との間の相関関係に基づいて決定される。
【0041】
本発明によれば、発光ターミナルから別々の距離を置いて位置する少なくとも1組の検出ターミナルによって捕捉された光の測定強度間で測定された関係に基づいて、拍動性変化を決定する新規の方法が記載されている。この方法では、発光ターミナルに最も近い検出ターミナルが、さらに離れた第2の検出ターミナルに対して、あたかも発光ターミナルであるかのようにみなすこともできる。
【0042】
この方法は、後述の物理的モデルに基づいている。光子は、試料内で或距離を移動した後、ランダムに散乱する。この過程が繰り返されて、光子は試料の境界から離れる。最初の方向に移動する光子は、「伝達」光子とみなされ、反対方向へ移動する光子は、「反射」光子とみなされる。30から40の段階を経ると、入射発散方向の「記憶」が全て失われ、好ましい伝播方向はなくなり、全ての方向に対して等方的に光の強度は減少する。光の伝播挙動に関する以上の説明では、発散方向以外に、伝達式酸素飽和度測定に用いられる非常によく知られたランバート−ビア(Lambert-Beer)の法則を、反射式酸素飽和度測定に適用することができる。
【0043】
上記の新規な方法に関連して、発光ターミナルの周囲の2つの同心リングに光検出ターミナルが配置された新規センサの実施形態では、検出ターミナルはそれらの間に、発光器から発する光があたかも伝達されるように照射される管状組織部を定義する。したがって以上のような本発明によるセンサは、伝達センサに似た反射センサとして記載してもよい。
【0044】
2つの同心検出ターミナルを有する本発明によるセンサでは、2つの真の発光ターミナルによって提供される照射光路は、第1の環状検出ターミナルから発光ターミナルまでの距離や照射された光の波長に左右されずに、環状検出ゾーン内のどんな種類の光学的乱れによる影響を均一に受ける。
【0045】
したがって、皮膚上のセンサがどの位置にあっても、下層組織の生理的条件が変化した場合でも、光の通った跡がほぼ等価になることは自動的に達成される。したがって、別の特徴によれば、本発明は、血液分布組織における、血液の無侵襲的な光学的酸素飽和度測定の方法を提供する。
【0046】
本方法は、相互に近傍する位置にある少なくとも2つの発光器と、前記少なくとも2つの発光器の周囲に同心的に設けられる少なくとも2つの光検出ターミナルとを支持し、且つ接触面を有するアプリケータブロックを備えた光学センサを提供する工程と、検査する下層組織がある被験者の皮膚部分に、皮膚側に向く接触面を利用して前記アプリケータブロックを置く工程と、少なくとも2つの異なる波長で前記発光器から光を連続して発する工程と、検査している組織から到達した光信号の強度を、前記少なくとも2つの光検出ターミナルによって、完全に捕捉して検出する工程と、前記少なくとも2つの環状光検出ターミナルによって、前記少なくとも2つの異なる波長のそれぞれで検出される光強度の比を決める工程と、上記比に基づいて血液の酸素飽和値を決める工程と、を含む。
【0047】
上記方法を実施する際に用いられるアプリケータブロックにおいて、前記発光器はそれぞれ、アプリケータブロックの中に位置する光源であってもよいし、あるいは、接触しない発光端部を有し且つ別の端部を通じて光源と連結する発光ターミナルであってもよい。発光ターミナルの形状の典型例は、オプティカルファイバの束である。
【0048】
上記方法は、動脈血の酸素飽和度を測定する際に適用できる。この場合、第1の光検出器と第2の光検出器との間の組織部分の動脈血の変動体積から、各波長での光吸収の拍動的要素が生じ、したがってこの吸収の拍動的要素は、酸素飽和度を示唆すると考えられる。
【0049】
上記方法を実施する際、時刻を2点とって2組の測定を実施する。第1点は、拍動性動脈血の圧力成分のゼロ(最小)点で、第2点はその頂(最大)点である。以上の2組の測定のそれぞれは、組織を2つの異なる波長光によって照射し、センサが有する検出ターミナルは2つだけであると仮定した場合、以下の2つの工程を含む。
【0050】
工程1−第2の波長を止めている間に、第1の波長光で組織を照射し、光信号を第1及び第2の検出器によって同時に記録する。
【0051】
工程2−第1の波長を止めている間に、第2の波長光で組織を照射し、光信号を第1及び第2の検出器によって同時に記録する。
【0052】
以上の測定に従った方法は、前記2点それぞれにおける2つの強度比を決定する工程であって、第1の強度比は、第1の波長での第1と第2の光検出器によって記録された光信号強度間の比であって、第2の強度比は、第2の波長での第1と第2の光検出器によって記録された光信号強度間の比であることを特徴とする工程と、前記第1と第2の波長それぞれの光信号の第1と第2の拍動的要素AC1とAC2、つまり各波長における頂点とゼロ点で計算される強度比間の差を計算する工程と、前記第1と第2の波長それぞれの光信号の第1と第2の一定要素DC1とDC2、つまり2つの波長における頂点とゼロ点で計算される2つの強度比間の平均をそれぞれ計算する工程と、動脈血の酸素飽和度SaO2を以下の方程式にしたがって計算する工程とを備える。
【0053】
【数2】

【0054】
式中K1とK2は校正定数(calibration constants)である。明細書中の方程式(1)と(2)とを比較すれば、当業者であるならば、先行技術にはない本発明の新規事項が容易にわかるだろう。
【0055】
さらに本発明の別の特徴によれば、無侵襲的な光学的血液酸素飽和度測定用装置は、以下の構成を備える。
【0056】
すなわち、検査する被験者の血液が分布した体組織に作動中に面する接触面を有するアプリケータブロックを備えたキャリア本体を有するセンサであって、該アプリケータブロックは、相互に近傍する位置にあり且つ相手とはそれぞれ違う波長の光を発する少なくとも2つのポイント状発光器と、前記少なくとも2つの発光ターミナルの周辺に同心的に設けられた、検査する組織から到達する光を捕捉するための接触しない光捕捉端部を有する少なくとも2つのほぼ環状の光検出ターミナルとを備えることを特徴とする該センサと、前記発光ターミナルと連結した、少なくとも2つの波長で光を発することができる少なくとも2つの光源と、前記少なくとも2つのほぼ環状の検出ターミナルと連結した少なくとも2つの光学検出器と、前記少なくとも2つの光源から前記発光ターミナルを通じて連続的に前記組織を照射して、前記少なくとも2つの検出ターミナルを通じて前記少なくとも2つの検出器によって得られる光強度の同期測定を得るのに適した制御手段と、前記同期測定の結果から対象となる性質を決定する演算処理機構とを備える。
【0057】
ひとつの実施形態によれば、前記発光器はアプリケータブロック内に位置する光源である。
【0058】
別の実施形態によれば、発光器は各々、接触しない光捕捉端部を有し且つ別の端部を通じて光検出装置に連結される複数のオプティカルファイバからなる。
【0059】
よりよく理解するために、添付した図面を参照して、限定ではない例示のみを用いて、本発明をさらに記載し図示することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1は、本発明によるセンサのキャリア本体のアプリケータブロックの接触面を示す。金属のような不透明な材料から作られると想定されたブロック1は、図示されるように、接触面2と、発光ターミナルとして役立つ2つの束のオプティカルファイバ4と5を保持する中央孔3とを有する。束4と5は、レーザーダイオード(不図示)にそれぞれ連結し、したがって2つの異なる波長の光を発することができる。ブロック1内に提供され、断続的に筋かい(brace)が入れられた複数のセグメント7からなるほぼ環状のスペース6は、基本的に、中央孔3の周囲に同心的に設けられ、環状光検出ターミナルを共に形成する複数のオプティカルファイバ9を収容する。センサのキャリア本体の内側では、オプティカルファイバが不図示の方法で一緒に束ねられ、同じく不図示の例えば光ダイオードのような検出器に連結されていると想定されている。
【0061】
ブロック1の筋かい8は、ブロックの中間区域10と外周区域11とに互いに接続されている。
【0062】
オプティカルファイバ9を構成する光検出器の光捕捉端部は、接触面2と同一平面か、あるいは面から内側に所定距離の間を開けて離れている。
【0063】
作動中に、2つの発光ターミナル4及び5が検査する組織上に光を発し、検出器(不図示)が、オプティカルファイバ9の光捕捉端部によって得られた光を変換及び変調して、さらに処理しやすい電気的信号に変える。
【0064】
図2及び3は、本発明による光学センサのキャリア本体内のアプリケータブロックの別の実施形態を概略して例示したものである。図示するように、アプリケータブロック20は接触面21と、2つの発光ターミナルを構成し且つ1対の光源(不図示)に接続されるオプティカルファイバの2つの束23及び24を保持する中央孔とを有する。図示するように、発光ターミナル23及び24の発光端部25及び26は、孔22の内側に引っ込んでいるので、接触面21から離れている。
【0065】
ブロック20はさらに、孔22と同心であって、互いにブロック20の中心区域30と中間区域31と連結する断続的な筋かい部材29を備えた4つのセグメント28からなる第1の環状スペース27を備える。第1の環状スペース27は、光検出ターミナルを共同して構成し且つ光捕捉端部33をそれぞれ有する複数のオプティカルファイバ32を収容する。
【0066】
第2の環状スペース35は、第1の環状スペース27の周囲に同心的に設けられ、第1の環状スペース27と同様、中間ブロック区域31を外周区域38と接続させる断続的な筋かい部材37を備える4つのセグメント36からなる。第2の環状スペース35は、第2の光検出ターミナルを共同して構成し且つ光捕捉端部40をそれぞれ有する複数のオプティカルファイバ39を収容する。図3に示すように、光捕捉端部40は接触面21から離れている。環状スペース27の空き部分41と、環状スペース35の空き部分42は、検査する組織から戻ってくる光のコリメータとして役に立つ。
【0067】
図2に示されるように、2つの発光ターミナル23と24はそれぞれ、半円形であり、2つのターミナルは相補形であって、例えば1mmの直径を有する円形プレートを共同で形成する。第1及び第2の環状スペースの直径はそれぞれ5mmと7mmにしてもよい。
【0068】
2つの発光ターミナルは、異なる波長の光を生成する2つの異なる光源(不図示)に連結され、環状スペース27と35にそれぞれ位置するオプティカルファイバ32と39によって構成される2つの光検出ターミナルは、光学検出装置(不図示)に連結される。
【0069】
操作時には、組織44上の皮膚部分にセンサ20を用いて、例えば約750nmと780nmの2つの波長で光を発するレーザーダイオードのような不図示の2つの光源から、発光ターミナルを通じて連続照射する。光は組織によって吸収されたり部分的に反射される。組織44の環状区域A内での光吸収の拍動的変化は、オプティカルファイバ32によって構成される第1の光検出ターミナルによって受信された光信号を全部、オプティカルファイバ39によって構成される第2の光検出ターミナルによって受信される光信号の全部と比較することによって算出できる。これら全信号の強度比は、所定の波長での、組織の環状区域A内での光の減少度を特徴づける。次に、照射した各波長で得られる上記の比を用いて、組織44の血液の酸素飽和度のような所望の性質を決定する。
【0070】
図4は、接触面53を備えたアプリケータブロック52を有する不透明な、ほぼ円筒形の本体51を備えた改良センサ50の軸方向断面図を概略して例示する。ブロック52は、チューブ55の低端部を保持する中央軸孔54を有する。チューブ55は、次第に水平部56に変わり、番号57で示したオプティカルファイバの束1つを収容し、少なくとも2つの光源(不図示)を発光ターミナルへと誘導する。
【0071】
ブロック52はさらに、孔54と同心の第1と第2の環状スロット58と59とを備え、隣接するブロック部分と本体部分とが不図示の方法で相互に適切に連結されている。スロット58と59は傾斜し、接触面53の方向にフレア状に広がるので、隣接するブロック部60と61は、図示されるように先が切り取られた円錐形を有する。スロット58と59は、第1と第2のオプティカルファイバの束63と64の接触しない光捕捉端部を収容し、束63と64は、第1と第2の検出ターミナルを構成し、本体51の内側スペースを通過し、ワイヤ67を通じてケーブル68と電気的に接続される光検出器65まで通っている。オプティカルファイバの束63と64の光捕捉端部は、それぞれ、端を斜めに切断されていて、ファイバの軸とともに鋭角を形成するので、各ファイバの光捕捉端部は、接触面53に対して同一平面かあるいは平行である。
【0072】
作動中は、チューブ56の外側端部は2つの光源(不図示)に連結されている。図5は、斜めになった切断面72を用いて組織の表面71と面するオプティカルファイバ70の検知範囲を概略的に例示する。ファイバ70は、切断端面72と、ファイバーの軸に垂直な平面73との間に形成される鋭角αによって特徴づけられると考えられる。ファイバ70の実際の検知範囲は、左側の光線74と右側の光線75との間に及び、角度αとファイバの光学的パラメータから算出することができる。当業者であれば容易に理解できる通り、大部分が光線74の左から面72に到達する鏡面反射と逸脱光とは検出器によって検出されない。一方、検出器は、光線74と75との間に制限されたむしろ広い領域での表面71に対してほぼ垂直な方向に、組織の深層で反射して到達した光を検出する。末端が切断された光学的ファイバ70の検知範囲は、長い方の側壁部分の方向に移っていることは誰でも理解できるであろう。角度αが約42°より超えない場合がファイバ70にとってふさわしく、角度αが約20°から約22°の範囲内にあるときが最も効果的であることが、発明者によって見出された。さらにまた、約20°から約22°の角度αで斜めに切断すると、視界距離が著しく増大する。
【0073】
図6は、端部が切断されたオプティカルファイバ80の概略図であって、図5のファイバ70とは異なり、ファイバ軸が組織の表面81に対して垂直である。しかし、ファイバ80の斜め切断面82は、面81に面する間は表面81に対して平行ではなく、切断面82と、面81に平行な故にファイバ軸に垂直な平面83との間に、鋭角αを形成する。図5の実施形態と同様、角度αが、左側の光線84と右側の光線85によって定義されるファイバ80の検知範囲を決定する。図5のファイバに類似して端部が切断された光学ファイバ80の検知範囲は、短い方から長い方の側壁へと移る。図5のように角度αの値は同様な制限が加えられる。
【0074】
図7は、本発明によるオキシメータ90の一実施形態のブロック図である。図示されるとおり、オキシメータ90は、検査する組織に連続照射するために2つの異なる波長光を生じる、例えば2つのレーザーダイオードのような2つの光源92と93とを含むプローブ91を備える。プローブはさらに、2つの光検出器94と95を備える。2つの光検出器94と95で受信した光信号は、電気的信号に変化及び変調される。電気的信号は、アナログ処理ユニット96によって増幅され、A/D変換器97によってデジタル化され、マイクロプロセッサ98に送信され、対象となる性質について計算されてから、ディスプレイ100上に表示される。プローブ91の光源92と93は、時間制御ユニット101を通してマイクロプロセッサ98によって制御される。
【0075】
対象となる性質をオキシメータ90で計測する方法は以下の通りである。
【0076】
動脈血成分の拍動的要素を示す光の強度グラフ上で、時間を2点とって計算を行う。第1点は、グラフのゼロ(最小)点であって、第2点は、グラフの頂(最大)点である。計測と計算は、以下の6つの工程を含む。
(a)第1の光源92をONにして、第2の光源93をOFFにして、第1の波長での第1信号を第1と第2の検出器94と95のそれぞれによって記録する。
(b)第2の光源93をONにして、第1の光源92をOFFにして、第2の波長での第2信号を第1と第2の検出器94と95のそれぞれによって記録する。
(c)光源を両方ともOFFにして、第1と第2の検出器94と95によって周囲光を記録する。
(d)アナログ処理ユニット96によって、検出信号を連続的にフィルタにかけて増幅し、ノイズや周囲光成分を取り除く。
(e)アナログ−デジタル(A/D)変換器97で一連の信号をアナログ処理ユニット96から受信し、デジタル化して、その結果生じるデジタル信号をマイクロプロセッサ98に送信する。
(f)マイクロプロセッサ98がDCとAC信号成分のデジタル抽出を行い、以下のアルゴリズムにしたがってSaO2を計算する。
【0077】
2つの強度比NとMをそれぞれ計算するために、2つの異なる時間の点、すなわち拍動性動脈血の圧力成分のゼロ点でのN1とN2と、拍動性動脈血の圧力成分の頂点でのM1とM2とを決める。2点N1とM1に対する第1の強度比は、第1の波長における第1及び第2の光検出器によって記録される光信号強度に基づくものであって、2点N2とM2に対する第2の強度比は、第2の波長での第1及び第2の光検出器によって記録される光信号強度に基づくものである。
【0078】
2つの波長のそれぞれに対して、信号の拍動的要素の特徴となるACすなわち、第1の波長に対するAC1と第2の波長に対するAC2が定義される。AC1とAC2のそれぞれは、特定の波長における頂点とゼロ点でそれぞれ計算された強度比の差である。
【0079】
2つの波長のそれぞれに対して、信号の一定要素の特徴となるDC、すなわち第1の波長に対するDC1と、第2の波長に対するDC2とが計算される。DC1とDC2のそれぞれは、与えられた波長における頂点とゼロ点でそれぞれ計算された2つの強度比の平均である。
【0080】
次にマイクロプロセッサは以下の計算をする。すなわち、
(i)比R1とR2を各波長で計算する。
【0081】
【数3】

【0082】
(ii)比を計算する。
【0083】
【数4】

【0084】
(iii)動脈血の酸素飽和度SaO2を計算する。
SaO2=K1xγ+K2
式中K1とK2は校正定数である。
【実施例】
【0085】
第1の光源92は755nmを発するレーザーダイオードであって、第2の光源93は、785nmを発するレーザーダイオードである。校正定数K1とK2は、検出器の幾何学的形状と大きさと、ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの吸収係数とに依存し、次式を有すると想定する。
【0086】
K1=2; K2=0.5
a)ゼロ点における第1の測定
1)第1の光源92をONにして、第2の光源93をOFFにして、第1の検出器94によって第1の信号I11(1)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I11(1)=1000
2)第1の光源92をONにして、第2の光源93をOFFにして、第2の検出器95によって第1の信号I12(1)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I12(1)=2500
3)ゼロ点における第1の波長での強度比N1を次式にしたがって計算する。:DC1(1)=I11(1)/I12(1)=1000/2500=0.4
4)第2の光源93をONにして、第1の光源92をOFFにして、第1の検出器94によって第2の信号I21(1)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I21(1)=800
5)第2の光源93をONにして、第1の光源92をOFFにして、第2の検出器によって第2の信号I22(1)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I22(1)=2300
6)ゼロ点における第2の波長での強度比N2を次式にしたがって計算する。:DC2(1)=I21(1)/I22(1)=800/2300=0.348
b)頂点における第2の測定
7)第1の光源92をONにして、第2の光源93をOFFにして、第1の検出器94によって第1の信号I11(2)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I11(2)=990
8)第1の光源92をONにして、第2の光源93をOFFにして、第2の検出器95によって第1の信号I12(2)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I12(2)=2460
9)頂点における第1の波長での強度比M1を次式にしたがって計算する。:DC1(2)=I11(2)/I12(2)=980/2490=0.394
10)第2の光源93をONにして、第1の光源92をOFFにして、第1の検出器94によって第2の信号I21(2)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憧部へ送信する。I21(2)=780
11)第2の光源93をONにして、第1の光源92をOFFにして、第2の検出器95によって第2の信号I22(2)を検出し、増幅し、マイクロプロセッサ98の記憶部へ送信する。I22(2)=2400
12)頂点における第2の波長での強度比M2を次式にしたがって計算する。:DC2(2)=I21(2)/I22(2)=780/2400=0.325
c)計算
13)第1の波長での拍動的要素の特徴となるAC1値は、M1−N1=0.349−0.4=−0.006と計算される。
【0087】
14)第2の波長での拍動的要素の特徴となるAC2値は、M2−N2=0.325−0.348=−0.023と計算される。
【0088】
15)第1の波長での一定要素の特徴となるDC1値は、(N1+M1)/2=(0.4+0.349)/2=0.397と計算される。
【0089】
16)第2の波長での一定要素の特徴となるDC2値は、(N2+M2)/2=(0.348+0.325)/2=0.337と計算される。2つの波長における2つの次の比を計算する。
【0090】
17)R1=AC1/DC1=(−0.006/0.397)=−0.015
18)R2=AC2/DC2=(−0.023/0.337)=−0.068
最後に
19)SaO2=K1(R1/R2)+K2=2×0.221+0.5=0.942
を計算する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明によるセンサのキャリア本体内のアプリケータブロックの一実施形態を示す拡大略平面図である。
【図2】アプリケータブロックの別の実施形態の拡大略平面図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】本発明によるセンサのアプリケータブロックを備えるキャリア本体のさらに別の実施形態を示す軸方向拡大断面図である。
【図5】本発明によるセンサの光検出ターミナル内のオプティカルファイバの一実施形態の光捕捉端部を光学的に説明するための図である。
【図6】オプティカルファイバの光捕捉端部の別の実施形態に関する類似図である。
【図7】本発明によるオキシメータのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液分布組織における、血液の無侵襲的な光学的酸素飽和度測定方法であって、
少なくとも2つの光発光ターミナルから少なくとも2つの異なる波長の光を連続して発する工程と、
鏡面反射と逸脱光を除く一方で、検査中の前記組織から到達し且つ前記2つの異なる波長のうち1つの波長で発せられた光をコリメートする工程と、
前記コリメートされた光を少なくとも2つの環状光検出ターミナルによって完全に捕捉することで、該光信号の強度を検出する工程と、
前記少なくとも2つの環状光検出ターミナルによって、少なくとも2つの異なる波長のそれぞれで検出される光強度間の比を決定する工程と、
前記比に基づいて前記組織に分布する血液の酸素飽和値を決定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記検出する工程は、前記少なくとも2つの光検出ターミナルによって前記光信号の強度を同時に検出することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発光ターミナルはそれぞれ、非接触の発光端部を有し且つ別の端部を通じて光源に連結される発光ターミナルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光源は、670〜940nmの範囲内の単色光をそれぞれ発するレーザーダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の光源は、750〜760nmの光を発し、第2の光源は780〜800nmの光を発することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの光検出ターミナルは、第1と第2の光検出器にそれぞれ接続され、さらに前記方法は、
測定を実施するために2点の時刻、つまり拍動性動脈血成分のゼロ点である第1点と、上記の頂点である第2点とを選択する工程と、
第1の波長光で照射すると同時に、組織から到達する信号を前記第1及び第2の光検出器によって記録し、続いて、第2の波長光で照射すると同時に、組織から到達する信号を前記第1及び第2の光検出器によって記録することを含む前記第1点及び第2点での測定をそれぞれ実施する工程と、
前記2点の時刻それぞれにおける2つの強度比を決定する工程であって、第1の強度比は、前記第1の波長での前記第1と第2の光検出器によって記録された光信号強度間の比であって、第2の強度比は、前記第2の波長での前記第1と第2の光検出器によって記録された光信号強度間の比である工程と、
前記第1と第2の波長それぞれでの光信号の第1と第2の拍動的要素AC1とAC2、つまり各波長における頂点とゼロ点で計算された強度比間の差を計算する工程と、
前記第1と第2の波長それぞれでの光信号の第1と第2の一定成分DC1とDC2、つまり2つの波長におけるゼロ点と頂点で計算された2つの強度比の平均をそれぞれ計算する工程と、
動脈血の酸素飽和度SaOを以下の方程式にしたがって計算する工程と:
SaO=K1[(AC1×DC2)/(DC1×AC2)]+K2
式中K1とK2は校正定数:
をさらに含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−51374(P2006−51374A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274776(P2005−274776)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【分割の表示】特願平9−502867の分割
【原出願日】平成8年6月6日(1996.6.6)
【出願人】(505315982)サイブロ メディカル リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CYBRO MEDICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】P.O.B. 600, Matam, 31000 Haifa, Israel
【Fターム(参考)】