衣料および衣料の製造方法
【課題】 裁断されたままの裁ち端をそのまま用い、その裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施し、ほつれやカールを無くすると共に、伸縮性を付与する衣料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 衣料1,11,21,31の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部6,7,15,16,17,30,38を設ける。その縁辺部6,7,15,16,17,30,38に熱可塑性エラストマー5,14,28,35の処理を施す。
【解決手段】 衣料1,11,21,31の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部6,7,15,16,17,30,38を設ける。その縁辺部6,7,15,16,17,30,38に熱可塑性エラストマー5,14,28,35の処理を施す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツ、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツ、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのように身体に密着して着用される衣料およびその衣料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショーツやガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムのウエスト部の履き口や裾口の開口縁辺部またはブラジャーのバック布の上下縁辺部やタンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツなどのトップスの首周り、袖口、裾口の開口縁辺部あるいはトップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などの履き口や裾口の開口縁辺部には、縁辺部がほつれないように端縁を折り返して2重にして縫着したり、また履き口は端縁を折り返して筒状部を形成し、その筒状部にゴム紐を挿通したり、あるいはゴムテープを縫着して取り付けたりして伸縮性を付与して着用中のずり上がりやずり下がりを防止している。
【0003】
上記のように端縁を折り返して2重に縫着したり、ゴムテープによる縫着は縫製の手間がかかると共に、その部分が凸部となり段差ができて肌に喰いこんで圧迫し、長い時間着用すると圧迫痕がつくばかりでなく、タイトなアウターを着用するとその凸部がアウターに現れ、不体裁でファッション性に優れないと言った問題点があった。
【0004】
これらの問題点を解決するために、上下に連続編成した1枚の編地で衣料を作る場合、縁始末不要な縁を形成するために、編地の所要位置に抜き糸を編み込んでおいて、その糸を引き抜くことによってほつれることのない縁部を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、近年は、裁断されたままの縁始末不要なフリーカット縁部を、ウエスト部や裾部の開口周縁部とする経編地の衣料が知られている。この経編地は、非弾性糸と弾性糸を同行させた1×1トリコット(デンビ組織)から形成されており、非弾性糸と弾性糸のうち少なくとも一方が閉じ目により編成されたものである(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−303331号公報
【特許文献2】特開2003−147618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の抜き糸による縁始末不要な縁の場合は、裾ラインが直線状のものしか得られなかった。裾ラインが直線状であると、衣料後側の裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側方向に向かう裾ラインを有する衣料の当該裾部に適用した場合、裾ラインが臀部の丸い膨らみの外側をカーブして包み込むようなラインにならないので、裾ラインが臀部の丸い膨らみの立体構造に沿いにくく、裾ラインが一部の部分で臀部の丸い膨らみの中腹部を通過するような状態になる。このような衣料は、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易いと言う問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2のフリーカット縁部の場合、フリーカット縁部を構成する経編地の引き裂き強度が弱いと言う欠点があり、特に、身体に密着して使用される伸縮性を有する衣料においては、衣料開口部の縁辺部が着用時に押し広げられて着用されるので、縁辺部がフリーカット縁部の場合に、編地の引き裂き強度が弱いと、耐久性の点で劣ると言った問題があるばかりでなく、トリコット編地はコスト高になる問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題として研究開発されたもので、裁断されたままの裁ち端をそのまま用い、その裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施し、ほつれやカールを無くすると共に、伸縮性を付与する衣料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部を設け、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施したことを特徴とする衣料を開発し、採用した。
【0010】
また、本発明では、上記のように構成した衣料において、前記衣料の縁辺部が、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部および/または裾口部である衣料、および前記衣料の縁辺部が、ブラジャーのバック布の上下辺あるいはタンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツなどトップスの首周り部および/または脇回り部、袖口部、裾口部である衣料、および前記衣料の縁辺部が、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着の履き口部および/または裾口部である衣料を開発し、採用した。
【0011】
また、本発明は、衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してなる衣料の製造方法において、前記衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する編織生地上に、所定の衣料の形状で、かつ少なくとも前記裁ち端の対向面の位置に長孔を穿設した版下を重合する工程と、その版下に熱可塑性エラストマー樹脂を流し込んで編織生地に樹脂を塗着する工程と、塗着された塗着層の上を裁断する裁断工程と、裁断された編織生地を所定の形状に組み立てる組み立て工程とからなることを特徴とする衣料の製造方法を開発し、採用した。
【0012】
また、本発明では、上記のように構成した衣料の製造方法において、熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性エラストマー樹脂である衣料の製造方法、および熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えてある衣料の製造方法、および熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって異なる種類の樹脂を塗着し伸縮率を変えてある衣料の製造方法を開発し、採用した。
【0013】
ここで、本発明で言う裁ち端とは、裁断されたままで縁部を折り返したり、別布を縫着したり、糸かがりなどによるほつれ防止のための縁始末の施されていない編織地や衣料の縁をさすものである。
【0014】
本発明で言う衣料としては、例えば、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどのボトム、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツ、キャミソールなどのトップス、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着、スリップ、ブラスリップなどのトップスとボトムが一体となったものを含む。
【0015】
本発明の縁辺部とは、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部や裾口部、タンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツ、キャミソールなどトップスの首周り部、脇回り部、袖口部、裾口部の他、ブラジャーのバック布、また、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着、スリップ、ブラスリップなどの履き口部や裾口部である。
【0016】
本発明の熱可塑性エラストマーとしては、樹脂溶液やエマルジョンのもの、粉末状のもの、フィルム状のものなど適宜なものが用いられ、エラストマー樹脂としては、ポリウレタン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、ポリオレフィン系エラストマー樹脂、ポリスチレン系エラストマー樹脂、ポリ塩化ビニール系エラストマー樹脂などが代表的なものであり、その中でも、ポリウレタン系エラストマー樹脂が弾力性に優れていることから最適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、裁断されたままの裁ち端を、衣料の少なくとも1つの縁辺部になるように形成し、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してあるから、エラストマーの弾性によって伸縮性が付与され、適度な締め付け力により衣料着用時にずり上がり、ずり下がりを防止できると共に、裁ち端のほつれやカールの発生を防ぐことができる。また、熱可塑性エラストマー部は硬直化することなく、肌当りが良好で着用感が良く、凸部にならずアウターへの悪影響がない。さらに、天然繊維の生地あるいは合成繊維の生地などあらゆる生地に使用でき、従来の高価なフリーカット生地に較べて材料費の低減化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の衣料の製造方法は、裁断されたままの裁ち端に、熱可塑性エラストマー樹脂を斑なく正確に確実に塗着できると共に、従来難しかった薄く塗着することが可能となり衣料の縁辺部に伸縮性を付与でき、その裁ち端に生じるほつれやカールを防ぐ着用感のよい衣料を比較的簡単に、かつ大量生産でき安価に供給できるものである。また縁辺部によって、塗着量の多少あるいは異なる樹脂を塗着することにより、伸縮率の異なる縁辺部を設けることができ、締め付け箇所に適した締め付け圧の衣料を容易に作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態1をショーツの例で説明する。図1は正面図、図2は背面図を示しており、1は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編製または織製された伸縮性生地からなるショーツで、このショーツ1は下腹部を覆う前身頃2と、臀部を覆う後身頃3と、前身頃2と後身頃3とを一連にする股部4とからなり、前身頃2の上部両側縁2a,2aと後身頃3の上部両側縁3a,3a間にホットメルトを介在して接合一体して形成されている。
【0020】
5は裁断されたままの裁ち端であるウエスト部の開口縁辺部6および/または裾部の開口縁辺部7に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、できるだけ薄くするのが好ましく、例えば、厚みを0.02〜0.07mmの範囲にするのが好ましい。これ以下になると伸縮性が劣ると共に、引っ張り強度も弱くなることから適さず、また、この範囲を超えると厚くなりすぎて硬く感じ着用感や風合いを損ねるので上記の範囲内が適している。
【0021】
8は股部4の内面に熱溶着で接合された綿の当て布、9は後身頃3のヒップトップ部で、押し当て加工を施してありヒップトップにフィットするようにしてある。
【0022】
このように構成されたショーツ1は、ウエスト部の開口縁辺部6や裾部の開口縁辺部7を、裁断されたままの縁始末不要な裁ち端としても、ポリウレタン樹脂層5により、ほつれやカールを防止できると共に、伸縮性が付与され従来のような縫製によるゴム紐が不要になり、ウエスト部を強く締め付ける圧迫感がなくなって着用感が良くなる。また、その部分が凸部にならないのでアウターへの悪影響がなくなる。
【0023】
つぎに、実施の形態2をタンクトップの例で説明する。図3は正面図、図4は背面図である。11は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編製または織製された伸縮性の編地または織地からなるタンクトップで、このタンクトップ11は胸部から腹部を覆う前身頃12と背中部を覆う後身頃13とから構成されている。
【0024】
14は裁断されたままの裁ち端である首部の開口縁辺部15および/または袖部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1と同様である。
【0025】
このように構成されたタンクトップ11は、首部の開口縁辺部15や袖口部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17を裁断されたままの縁始末不要な裁ち端としても、ポリウレタン樹脂層14により、ほつれやカールを防止できると共に、その首部の開口縁辺部15や袖口部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17を薄くすることができ、段差をなくして着用感や外観性、デザイン性に優れたタンクトップになる。
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態3をブラジャーの例で説明する。図5は正面図、図6はバック布の一方の正面図を示しており、ブラジャー21は左右一対のカップ布22,22と、この両カップ布22,22と連結する土台布23と、カップ布22,22の脇側から背中部にあてがわれるバック布24,24と、カップ布22,22の上端とバック布24,24の上辺を連結するストラップ25,25とで構成されている。
【0027】
上記のカップ布22、土台布23、ストラップ25はいずれも従来の公知のものと変わらないことから説明は省略し、バック布24について説明する。すなわち、図6に示すように、背中部に沿う部分が細帯体26に形成されており、その細帯体26から正面部のカップ布22に向かって上下辺が徐々に幅広くなるように形成され、その先端部をカップ布2の側縁部と縫着する弧状面27に形成されており、上辺部にはストラップ25を繋着する突出片28を有している。
【0028】
このバック布24は、緯方向および経方向の両方向に伸縮性を有するが、緯方向により大きな伸縮性を有する伸縮性経編であり、パワーネットなどが適している。29は裁断されたままの裁ち端であるバック布24の上下縁辺部30,30に沿って施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1,2と同様である。
【0029】
このように構成されたブラジャー21は、バック布24の上下縁辺部30,30を裁断
断されたままの生地としても、ポリウレタン樹脂層29により、伸縮性が付与されて従来
使用されていた厚いテープ材を縫着する必要がなくなり、縁ラインによる段差がなくなっ
てアウターに悪影響を与えることがない。
【0030】
つぎに、本発明の実施の形態4をボディスーツの例で説明する。図7は正面図、図8は背面図を示しており、このボディスーツ31は、ブラジャー部32とウエスト部33とガードル部34とを一体としたものであり、ブラジャー部32以外の部分が伸縮性素材から形成されている。35は裁断されたままの裁ち端である前身頃布36および後身頃布37の裾部の開口縁辺部38に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1,2,3と同様である。
【0031】
このように構成されたボディスーツ31は、裾部の開口縁辺部38を裁断されたままの
生地としても、ポリウレタン樹脂層35により、ほつれやカールを防止できると共に、伸縮性が付与されてテープ材が不要で薄くなり着用感がよくなる。
【0032】
つぎに、衣料の製造方法を実施の形態1で示すショーツの例で説明すると、図9に示すスクリーン印刷機41を使用して製造する。このスクリーン印刷機41は、方形状の枠体42の底面に目の粗い紗43を張設して形成したものであり、基台44に衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する伸縮生地45を載せる。枠体42の内側に図11に示すように、裁断されたままの裁ち端の対向面の位置のウエスト部46および股ぐり部47に長孔48の穿設された版下49を重ね合わせ、その版下49の上面からポリウレタン樹脂50(第一工業製薬社製 品番TP−26S)を流し込み、ゴムスクイーズ51を左右に動かしてポリウレタン樹脂50が紗43を介して押し出され、図12に示すように、ウエスト部の履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7にポリウレタン樹脂層5が塗着される。この時の樹脂付着量は3〜5グラムが好適であり、この範囲が厚さと伸縮性から最適である。
【0033】
また、ウエストの履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7のポリウレタンエラストマー樹脂50の塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えたり、用途や生地の種類によって異なる種類の樹脂または他の樹脂と混合することもあり、例えば、TP−26SとCAT−21(第一工業製薬社製)を3:7あるいは5:5の割合で混合する樹脂を使うこともある。
【0034】
ウエストの履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7に塗着されたポリウレタン樹脂層5の幅方向の中央部あたりを図13に示すように、バンドナイフやクリッカーなど(図示せず)で裁断する。裁断された編織生地片は、図14に示すように、ショーツ1の外観展開図に形成されており、前身頃2を上方に向けて折り曲げて行くと共に、後身頃3の両側端3a,3aを内方に折り曲げ、前記前身頃2の両側端2a,2aとホットメルトを介して熱溶着や接着、縫着などの接合による組み立てにより図1,2に示すようなショーツ1が出来上がる。
【0035】
出来上がったショーツ1は、履き口部の開口縁辺部6および裾口部の開口縁辺部7にポリウレタン樹脂が浸透し、帯状の薄い樹脂層5が形成されているから、伸縮性が付与されるのと相俟って縁辺部6,7のほつれやカールを生じない縁辺部6,7になると共に、従来のような縫い目が線状に突出するという外観上の不体裁がなく、おしゃれでファッション性に富み、しかも違和感なく肌に密着して、圧迫痕をつけることのないショーツの製作を容易に効率的に行うことができ、大量生産に適し製造コストの低下を図ることができるものである。
【0036】
前記実施形態2のタンクトップおよび実施形態3のブラジャー、実施形態4のボディスーツの製造方法については、実施形態1のショーツの製造方法と基本的に変わることがないので説明を省略する。
【0037】
以上、本発明の主要な実施の形態においては、いずれも裁ち端を縁辺部とし、熱可塑性エラストマー樹脂をスクリーン印刷機で塗着した例で説明したが、それらに限定されるものではなく、スプレーで塗着することもある。また、裁ち端以外の部分に熱可塑性エラストマー樹脂を塗着して生地の強度(伸度)に変化を持たせ着用圧をコントロールすることによりフィット感を高める場合もある。要するに発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更が可能であることは当然のことである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ショーツやシャツ、ブラジャーに限らず、ガードル、ボディスーツ、スパッツ、水着、レオタード、パンティストッキング、タイツなどから選ばれた衣料全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態のショーツを示す簡略正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のショーツを示す簡略背面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のタンクトップを示す簡略正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態のタンクトップを示す簡略背面図である。
【図5】本発明の第3実施形態のブラジャーを示す簡略正面図である。
【図6】バック布の簡略正面図である。
【図7】本発明の第4実施形態のボディスーツを示す簡略正面図である。
【図8】本発明の第4実施形態のボディスーツを示す簡略背面図である。
【図9】シルク印刷機で樹脂塗着する状態を示す簡略断面図である。
【図10】衣料を構成する編織生地の平面図である。
【図11】版下の平面図である。
【図12】編織生地に樹脂が塗着された状態の簡略平面図である。
【図13】塗着層の上を切断する状態の簡略平面図である。
【図14】切断した状態の簡略平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ショーツ
5 熱可塑性エラストマー
6 縁辺部
7 縁辺部
11 タンクトップ
14 熱可塑性エラストマー
15 縁辺部
16 縁辺部
17 縁辺部
21 ブラジャー
29 熱可塑性エラストマー
30 縁辺部
31 ボディスーツ
35 熱可塑性エラストマー
38 縁辺部
41 スクリーン印刷機
45 編織生地
48 孔
49 版下
50 熱可塑性エラストマー樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツ、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツ、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのように身体に密着して着用される衣料およびその衣料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショーツやガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムのウエスト部の履き口や裾口の開口縁辺部またはブラジャーのバック布の上下縁辺部やタンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツなどのトップスの首周り、袖口、裾口の開口縁辺部あるいはトップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などの履き口や裾口の開口縁辺部には、縁辺部がほつれないように端縁を折り返して2重にして縫着したり、また履き口は端縁を折り返して筒状部を形成し、その筒状部にゴム紐を挿通したり、あるいはゴムテープを縫着して取り付けたりして伸縮性を付与して着用中のずり上がりやずり下がりを防止している。
【0003】
上記のように端縁を折り返して2重に縫着したり、ゴムテープによる縫着は縫製の手間がかかると共に、その部分が凸部となり段差ができて肌に喰いこんで圧迫し、長い時間着用すると圧迫痕がつくばかりでなく、タイトなアウターを着用するとその凸部がアウターに現れ、不体裁でファッション性に優れないと言った問題点があった。
【0004】
これらの問題点を解決するために、上下に連続編成した1枚の編地で衣料を作る場合、縁始末不要な縁を形成するために、編地の所要位置に抜き糸を編み込んでおいて、その糸を引き抜くことによってほつれることのない縁部を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、近年は、裁断されたままの縁始末不要なフリーカット縁部を、ウエスト部や裾部の開口周縁部とする経編地の衣料が知られている。この経編地は、非弾性糸と弾性糸を同行させた1×1トリコット(デンビ組織)から形成されており、非弾性糸と弾性糸のうち少なくとも一方が閉じ目により編成されたものである(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−303331号公報
【特許文献2】特開2003−147618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の抜き糸による縁始末不要な縁の場合は、裾ラインが直線状のものしか得られなかった。裾ラインが直線状であると、衣料後側の裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側方向に向かう裾ラインを有する衣料の当該裾部に適用した場合、裾ラインが臀部の丸い膨らみの外側をカーブして包み込むようなラインにならないので、裾ラインが臀部の丸い膨らみの立体構造に沿いにくく、裾ラインが一部の部分で臀部の丸い膨らみの中腹部を通過するような状態になる。このような衣料は、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易いと言う問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2のフリーカット縁部の場合、フリーカット縁部を構成する経編地の引き裂き強度が弱いと言う欠点があり、特に、身体に密着して使用される伸縮性を有する衣料においては、衣料開口部の縁辺部が着用時に押し広げられて着用されるので、縁辺部がフリーカット縁部の場合に、編地の引き裂き強度が弱いと、耐久性の点で劣ると言った問題があるばかりでなく、トリコット編地はコスト高になる問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題として研究開発されたもので、裁断されたままの裁ち端をそのまま用い、その裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施し、ほつれやカールを無くすると共に、伸縮性を付与する衣料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部を設け、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施したことを特徴とする衣料を開発し、採用した。
【0010】
また、本発明では、上記のように構成した衣料において、前記衣料の縁辺部が、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部および/または裾口部である衣料、および前記衣料の縁辺部が、ブラジャーのバック布の上下辺あるいはタンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツなどトップスの首周り部および/または脇回り部、袖口部、裾口部である衣料、および前記衣料の縁辺部が、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着の履き口部および/または裾口部である衣料を開発し、採用した。
【0011】
また、本発明は、衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してなる衣料の製造方法において、前記衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する編織生地上に、所定の衣料の形状で、かつ少なくとも前記裁ち端の対向面の位置に長孔を穿設した版下を重合する工程と、その版下に熱可塑性エラストマー樹脂を流し込んで編織生地に樹脂を塗着する工程と、塗着された塗着層の上を裁断する裁断工程と、裁断された編織生地を所定の形状に組み立てる組み立て工程とからなることを特徴とする衣料の製造方法を開発し、採用した。
【0012】
また、本発明では、上記のように構成した衣料の製造方法において、熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性エラストマー樹脂である衣料の製造方法、および熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えてある衣料の製造方法、および熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって異なる種類の樹脂を塗着し伸縮率を変えてある衣料の製造方法を開発し、採用した。
【0013】
ここで、本発明で言う裁ち端とは、裁断されたままで縁部を折り返したり、別布を縫着したり、糸かがりなどによるほつれ防止のための縁始末の施されていない編織地や衣料の縁をさすものである。
【0014】
本発明で言う衣料としては、例えば、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどのボトム、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツ、キャミソールなどのトップス、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着、スリップ、ブラスリップなどのトップスとボトムが一体となったものを含む。
【0015】
本発明の縁辺部とは、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部や裾口部、タンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツ、キャミソールなどトップスの首周り部、脇回り部、袖口部、裾口部の他、ブラジャーのバック布、また、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着、スリップ、ブラスリップなどの履き口部や裾口部である。
【0016】
本発明の熱可塑性エラストマーとしては、樹脂溶液やエマルジョンのもの、粉末状のもの、フィルム状のものなど適宜なものが用いられ、エラストマー樹脂としては、ポリウレタン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、ポリオレフィン系エラストマー樹脂、ポリスチレン系エラストマー樹脂、ポリ塩化ビニール系エラストマー樹脂などが代表的なものであり、その中でも、ポリウレタン系エラストマー樹脂が弾力性に優れていることから最適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、裁断されたままの裁ち端を、衣料の少なくとも1つの縁辺部になるように形成し、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してあるから、エラストマーの弾性によって伸縮性が付与され、適度な締め付け力により衣料着用時にずり上がり、ずり下がりを防止できると共に、裁ち端のほつれやカールの発生を防ぐことができる。また、熱可塑性エラストマー部は硬直化することなく、肌当りが良好で着用感が良く、凸部にならずアウターへの悪影響がない。さらに、天然繊維の生地あるいは合成繊維の生地などあらゆる生地に使用でき、従来の高価なフリーカット生地に較べて材料費の低減化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の衣料の製造方法は、裁断されたままの裁ち端に、熱可塑性エラストマー樹脂を斑なく正確に確実に塗着できると共に、従来難しかった薄く塗着することが可能となり衣料の縁辺部に伸縮性を付与でき、その裁ち端に生じるほつれやカールを防ぐ着用感のよい衣料を比較的簡単に、かつ大量生産でき安価に供給できるものである。また縁辺部によって、塗着量の多少あるいは異なる樹脂を塗着することにより、伸縮率の異なる縁辺部を設けることができ、締め付け箇所に適した締め付け圧の衣料を容易に作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態1をショーツの例で説明する。図1は正面図、図2は背面図を示しており、1は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編製または織製された伸縮性生地からなるショーツで、このショーツ1は下腹部を覆う前身頃2と、臀部を覆う後身頃3と、前身頃2と後身頃3とを一連にする股部4とからなり、前身頃2の上部両側縁2a,2aと後身頃3の上部両側縁3a,3a間にホットメルトを介在して接合一体して形成されている。
【0020】
5は裁断されたままの裁ち端であるウエスト部の開口縁辺部6および/または裾部の開口縁辺部7に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、できるだけ薄くするのが好ましく、例えば、厚みを0.02〜0.07mmの範囲にするのが好ましい。これ以下になると伸縮性が劣ると共に、引っ張り強度も弱くなることから適さず、また、この範囲を超えると厚くなりすぎて硬く感じ着用感や風合いを損ねるので上記の範囲内が適している。
【0021】
8は股部4の内面に熱溶着で接合された綿の当て布、9は後身頃3のヒップトップ部で、押し当て加工を施してありヒップトップにフィットするようにしてある。
【0022】
このように構成されたショーツ1は、ウエスト部の開口縁辺部6や裾部の開口縁辺部7を、裁断されたままの縁始末不要な裁ち端としても、ポリウレタン樹脂層5により、ほつれやカールを防止できると共に、伸縮性が付与され従来のような縫製によるゴム紐が不要になり、ウエスト部を強く締め付ける圧迫感がなくなって着用感が良くなる。また、その部分が凸部にならないのでアウターへの悪影響がなくなる。
【0023】
つぎに、実施の形態2をタンクトップの例で説明する。図3は正面図、図4は背面図である。11は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編製または織製された伸縮性の編地または織地からなるタンクトップで、このタンクトップ11は胸部から腹部を覆う前身頃12と背中部を覆う後身頃13とから構成されている。
【0024】
14は裁断されたままの裁ち端である首部の開口縁辺部15および/または袖部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1と同様である。
【0025】
このように構成されたタンクトップ11は、首部の開口縁辺部15や袖口部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17を裁断されたままの縁始末不要な裁ち端としても、ポリウレタン樹脂層14により、ほつれやカールを防止できると共に、その首部の開口縁辺部15や袖口部の開口縁辺部16、裾口部の開口縁辺部17を薄くすることができ、段差をなくして着用感や外観性、デザイン性に優れたタンクトップになる。
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態3をブラジャーの例で説明する。図5は正面図、図6はバック布の一方の正面図を示しており、ブラジャー21は左右一対のカップ布22,22と、この両カップ布22,22と連結する土台布23と、カップ布22,22の脇側から背中部にあてがわれるバック布24,24と、カップ布22,22の上端とバック布24,24の上辺を連結するストラップ25,25とで構成されている。
【0027】
上記のカップ布22、土台布23、ストラップ25はいずれも従来の公知のものと変わらないことから説明は省略し、バック布24について説明する。すなわち、図6に示すように、背中部に沿う部分が細帯体26に形成されており、その細帯体26から正面部のカップ布22に向かって上下辺が徐々に幅広くなるように形成され、その先端部をカップ布2の側縁部と縫着する弧状面27に形成されており、上辺部にはストラップ25を繋着する突出片28を有している。
【0028】
このバック布24は、緯方向および経方向の両方向に伸縮性を有するが、緯方向により大きな伸縮性を有する伸縮性経編であり、パワーネットなどが適している。29は裁断されたままの裁ち端であるバック布24の上下縁辺部30,30に沿って施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1,2と同様である。
【0029】
このように構成されたブラジャー21は、バック布24の上下縁辺部30,30を裁断
断されたままの生地としても、ポリウレタン樹脂層29により、伸縮性が付与されて従来
使用されていた厚いテープ材を縫着する必要がなくなり、縁ラインによる段差がなくなっ
てアウターに悪影響を与えることがない。
【0030】
つぎに、本発明の実施の形態4をボディスーツの例で説明する。図7は正面図、図8は背面図を示しており、このボディスーツ31は、ブラジャー部32とウエスト部33とガードル部34とを一体としたものであり、ブラジャー部32以外の部分が伸縮性素材から形成されている。35は裁断されたままの裁ち端である前身頃布36および後身頃布37の裾部の開口縁辺部38に沿って帯状に薄く施されたポリウレタン樹脂層であり、前記実施の形態1,2,3と同様である。
【0031】
このように構成されたボディスーツ31は、裾部の開口縁辺部38を裁断されたままの
生地としても、ポリウレタン樹脂層35により、ほつれやカールを防止できると共に、伸縮性が付与されてテープ材が不要で薄くなり着用感がよくなる。
【0032】
つぎに、衣料の製造方法を実施の形態1で示すショーツの例で説明すると、図9に示すスクリーン印刷機41を使用して製造する。このスクリーン印刷機41は、方形状の枠体42の底面に目の粗い紗43を張設して形成したものであり、基台44に衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する伸縮生地45を載せる。枠体42の内側に図11に示すように、裁断されたままの裁ち端の対向面の位置のウエスト部46および股ぐり部47に長孔48の穿設された版下49を重ね合わせ、その版下49の上面からポリウレタン樹脂50(第一工業製薬社製 品番TP−26S)を流し込み、ゴムスクイーズ51を左右に動かしてポリウレタン樹脂50が紗43を介して押し出され、図12に示すように、ウエスト部の履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7にポリウレタン樹脂層5が塗着される。この時の樹脂付着量は3〜5グラムが好適であり、この範囲が厚さと伸縮性から最適である。
【0033】
また、ウエストの履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7のポリウレタンエラストマー樹脂50の塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えたり、用途や生地の種類によって異なる種類の樹脂または他の樹脂と混合することもあり、例えば、TP−26SとCAT−21(第一工業製薬社製)を3:7あるいは5:5の割合で混合する樹脂を使うこともある。
【0034】
ウエストの履き口部となる開口縁辺部6と脚部の裾口部となる開口縁辺部7に塗着されたポリウレタン樹脂層5の幅方向の中央部あたりを図13に示すように、バンドナイフやクリッカーなど(図示せず)で裁断する。裁断された編織生地片は、図14に示すように、ショーツ1の外観展開図に形成されており、前身頃2を上方に向けて折り曲げて行くと共に、後身頃3の両側端3a,3aを内方に折り曲げ、前記前身頃2の両側端2a,2aとホットメルトを介して熱溶着や接着、縫着などの接合による組み立てにより図1,2に示すようなショーツ1が出来上がる。
【0035】
出来上がったショーツ1は、履き口部の開口縁辺部6および裾口部の開口縁辺部7にポリウレタン樹脂が浸透し、帯状の薄い樹脂層5が形成されているから、伸縮性が付与されるのと相俟って縁辺部6,7のほつれやカールを生じない縁辺部6,7になると共に、従来のような縫い目が線状に突出するという外観上の不体裁がなく、おしゃれでファッション性に富み、しかも違和感なく肌に密着して、圧迫痕をつけることのないショーツの製作を容易に効率的に行うことができ、大量生産に適し製造コストの低下を図ることができるものである。
【0036】
前記実施形態2のタンクトップおよび実施形態3のブラジャー、実施形態4のボディスーツの製造方法については、実施形態1のショーツの製造方法と基本的に変わることがないので説明を省略する。
【0037】
以上、本発明の主要な実施の形態においては、いずれも裁ち端を縁辺部とし、熱可塑性エラストマー樹脂をスクリーン印刷機で塗着した例で説明したが、それらに限定されるものではなく、スプレーで塗着することもある。また、裁ち端以外の部分に熱可塑性エラストマー樹脂を塗着して生地の強度(伸度)に変化を持たせ着用圧をコントロールすることによりフィット感を高める場合もある。要するに発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更が可能であることは当然のことである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ショーツやシャツ、ブラジャーに限らず、ガードル、ボディスーツ、スパッツ、水着、レオタード、パンティストッキング、タイツなどから選ばれた衣料全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態のショーツを示す簡略正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のショーツを示す簡略背面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のタンクトップを示す簡略正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態のタンクトップを示す簡略背面図である。
【図5】本発明の第3実施形態のブラジャーを示す簡略正面図である。
【図6】バック布の簡略正面図である。
【図7】本発明の第4実施形態のボディスーツを示す簡略正面図である。
【図8】本発明の第4実施形態のボディスーツを示す簡略背面図である。
【図9】シルク印刷機で樹脂塗着する状態を示す簡略断面図である。
【図10】衣料を構成する編織生地の平面図である。
【図11】版下の平面図である。
【図12】編織生地に樹脂が塗着された状態の簡略平面図である。
【図13】塗着層の上を切断する状態の簡略平面図である。
【図14】切断した状態の簡略平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ショーツ
5 熱可塑性エラストマー
6 縁辺部
7 縁辺部
11 タンクトップ
14 熱可塑性エラストマー
15 縁辺部
16 縁辺部
17 縁辺部
21 ブラジャー
29 熱可塑性エラストマー
30 縁辺部
31 ボディスーツ
35 熱可塑性エラストマー
38 縁辺部
41 スクリーン印刷機
45 編織生地
48 孔
49 版下
50 熱可塑性エラストマー樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部を設け、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施したことを特徴とする衣料。
【請求項2】
前記衣料の縁辺部が、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部および/または裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記衣料の縁辺部が、ブラジャーのバック布の上下辺あるいはタンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツなどトップスの首周り部および/または脇回り部、袖口部、裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項4】
前記衣料の縁辺部が、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着の履き口部および/または裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項5】
衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してなる衣料の製造方法において、前記衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する編織生地上に、所定の衣料の形状で、かつ少なくとも前記裁ち端の対向面の位置に長孔を穿設した版下を重合する工程と、その版下に熱可塑性エラストマー樹脂を流し込んで編織生地に樹脂を塗着する工程と、塗着された塗着層の上を裁断する裁断工程と、裁断された編織生地を所定の形状に組み立てる組み立て工程とからなることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性エラストマー樹脂である請求項5に記載の衣料の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えてある請求項5に記載の衣料の製造方法。
【請求項8】
熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって異なる種類の樹脂を塗着し伸縮率を変えてある請求項5に記載の衣料の製造方法。
【請求項1】
衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部を設け、その縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施したことを特徴とする衣料。
【請求項2】
前記衣料の縁辺部が、ショーツ、ガードル、スパッツ、パンティストッキング、タイツなどボトムの履き口部および/または裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記衣料の縁辺部が、ブラジャーのバック布の上下辺あるいはタンクトップ、ランニングシャツ、Tシャツ、アンダーシャツなどトップスの首周り部および/または脇回り部、袖口部、裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項4】
前記衣料の縁辺部が、トップスとボトムが一体となったボディスーツ、レオタード、ワンピース水着の履き口部および/または裾口部である請求項1に記載の衣料。
【請求項5】
衣料の少なくとも1箇所に、裁断されたままの裁ち端の縁辺部に熱可塑性エラストマー処理を施してなる衣料の製造方法において、前記衣料を構成する裁断されたままの裁ち端を有する編織生地上に、所定の衣料の形状で、かつ少なくとも前記裁ち端の対向面の位置に長孔を穿設した版下を重合する工程と、その版下に熱可塑性エラストマー樹脂を流し込んで編織生地に樹脂を塗着する工程と、塗着された塗着層の上を裁断する裁断工程と、裁断された編織生地を所定の形状に組み立てる組み立て工程とからなることを特徴とする衣料の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性エラストマー樹脂である請求項5に記載の衣料の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって塗着量の多少を異ならして伸縮率を変えてある請求項5に記載の衣料の製造方法。
【請求項8】
熱可塑性エラストマー樹脂は縁辺部によって異なる種類の樹脂を塗着し伸縮率を変えてある請求項5に記載の衣料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−186829(P2007−186829A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7610(P2006−7610)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000138554)株式会社ユタックス (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000138554)株式会社ユタックス (18)
【Fターム(参考)】
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