説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】高濃度の界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物において、洗浄力、低温保存安定性に優れ、衣料の仕上がり性を損なわない液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)炭化水素基が7〜22の非イオン界面活性剤、或いは炭化水素基が7〜22の非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤及び/又は陽イオン界面活性剤とからなる界面活性剤30〜75質量%、並びに(b)下記一般式(1)で表される数平均分子量200〜2000の化合物を含有する液体洗浄剤組成物。
HO−(C24O)a−(AO)o−(C24O)b−(AO)p−(C24O)c−H (1)
(式中、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基を示し、“−”はC24O基及びAO基がブロック結合していることを示す。a、b、c、o、pは平均付加モル数であり、b=3〜20、c=3〜20、a+b+c=5〜30であり、o=1〜5、p=1〜5、o+p=2〜6である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄性能と低温での安定性に優れ、繊維の仕上がり性を損なわない衣料用の液体洗浄剤組成物に関する。なおここで衣料用とは、衣類に限らず、一般的な洗濯として水洗いの対象となる繊維製品を意味する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識が高まってきており、環境に対し負荷の少ない洗浄剤の登場が渇望されている。従来の洗浄剤より洗浄成分濃度が高い、いわゆる濃縮タイプの洗浄剤は、洗浄剤自身のサイズを小さくし、容器樹脂量の削減、輸送費の削減、使用後のゴミの削減等、環境に対する負荷を低減させるのに非常に有効であると考えられる。
【0003】
しかしながら、通常の液体洗浄剤において、洗浄成分である界面活性剤濃度を増加させると増粘やゲル化が起こり、著しく使用性を損ねてしまうという課題があった。これは、界面活性剤濃度の上昇により、組成物中に液晶や結晶といった粘度が著しく高い相を形成してしまうためである。更に、エチレンオキシドを付与した非イオン界面活性剤を高濃度含有する液体洗浄剤を用いて衣料を洗浄した場合、洗濯工程で繊維に吸着した界面活性剤の影響により衣料の仕上がり性が損なわれてしまう。
【0004】
ポリアルキレングリコール化合物を洗浄剤に配合することは知られており、例えば特許文献1〜3には、従来から液体洗浄剤に配合されることが知られている任意の成分として、分子量200〜数千のポリアルキレングリコール類が開示されているが、具体的に例示されているのはポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールである。
【0005】
特許文献4には、低泡性で洗浄力に優れる数平均分子量が350〜3万の特定構造を有するポリアルキレングリコール系化合物が開示されている。この化合物は、末端に炭素数4以上のアルキレンオキシ基を含む構造を有する。
【0006】
特許文献5には、特定の溶解度パラメーターを有する有機ビルダーとして、数平均分子量が4000以上のポリオキシアルキレングリコールを使用できることが開示されている。
【0007】
特許文献6には、平均分子量300〜4000の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物を配合する安定性に優れる液体洗浄剤が開示されている。
【0008】
一方高濃度の濃縮タイプの液体洗浄剤としては、特許文献7には、高級アルコールにエチレンオキシド(以下EOと表記することもある)、プロピレンオキシド(以下POと表記することもある)を付加した非イオン界面活性剤と特定の溶剤を配合した濃縮タイプの液体洗浄剤組成物が記載されている。本文及び実施例において好ましい非イオン界面活性剤として、EOを付加した後、POを付加した、EO/POブロックタイプの非イオン界面活性剤が記載されている。このようなタイプのノニオンは通常のEOタイプの非イオン界面活性剤より液晶、結晶抑制効果が高いものの、その効果は不十分であり、低温における安定性を完全に解決するものではなかった。
【0009】
特許文献8には、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重合型非イオン界面活性剤を配合した低泡性洗浄剤が開示されているが、濃縮型液体洗剤に用いた場合、低温における安定性に対する効果が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−138056号公報
【特許文献2】特開2009−173700号公報
【特許文献3】特開2001−152200号公報
【特許文献4】特開平7−292098号公報
【特許文献5】特開2002−53897号公報
【特許文献6】特開平6−17095号公報
【特許文献7】特開平8−157867号公報
【特許文献8】特開2008−156521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、高濃度の界面活性剤を含有する衣料用液体洗浄剤組成物において、洗浄力、低温保存安定性に優れ、衣料の仕上がり性を損なわない液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記(a)成分及び(b)成分を含有し、(a)成分の含有量が30〜75質量%である液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:下記(a1)成分である、又は下記(a1)成分と下記(a2)成分及び下記(a3)成分から選ばれる1種以上との組合せである、界面活性剤。
(a1)成分:非イオン界面活性剤
(a2)成分:陰イオン界面活性剤
(a3)成分:陽イオン界面活性剤
(b)成分:下記一般式(1)で表される数平均分子量200〜2000の化合物
HO−(C24O)a−(AO)o−(C24O)b−(AO)p−(C24O)c−H (1)
(式中、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基を示し、“−”はC24O基及びAO基がブロック結合していることを示す。a、b、c、o、pは平均付加モル数であり、b=3〜20、c=3〜20、a+b+c=5〜30であり、o=1〜5、p=1〜5、o+p=2〜6である。)
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物は、洗浄成分である界面活性剤を高濃度配合しているにもかかわらず、高い洗浄力を示し、且つ低温での保存安定性に優れ、衣料の仕上がり性に優れるものである。本発明の組成物は、衣料用液体洗浄剤組成物として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、(a1)成分、或いは、(a1)成分と(a2)成分及び/又は(a3)成分とである。すなわち、(a1)成分の界面活性剤であるか、又は(a1)と(a2)成分及び(a3)成分から選ばれる1種以上との組合せである、界面活性剤であって、少なくとも(a1)成分を含む界面活性剤である。
【0015】
泥汚れ等の洗浄性の点では、(a2)成分の陰イオン界面活性剤を(a1)成分の非イオン界面活性剤とともに用いることが好ましく、衣料の仕上がり性向上のためには、(a3)成分の陽イオン界面活性剤を(a1)成分の非イオン界面活性剤とともに用いることが好ましい。
【0016】
(a1)成分の非イオン界面活性剤としては、(a1−1)アルキル基の炭素数が8〜22の脂肪族アルコール、アルキル基の炭素数が7〜21の脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が8〜20の脂肪族アミン等の非共有電子対を持つ原子を1つ以上有する化合物に、EO、PO等のアルキレンオキシドを常法に従い付加させたもの、(a1−2)糖由来のポリオールを親水基とするもの、(a1−3)アミンオキシド、(a1−4)脂肪酸アミド系のもの、を挙げることができる。中でも、一般式(2)に示される非イオン界面活性剤が好ましく、エリ・袖口汚れに対して高洗浄力が得られる。
【0017】
1(CO)lO−[(C24O)m/(AO)n]R2 (2)
〔式中、R1は炭素数7〜22の鎖式炭化水素基であり、R2は水素原子、又は1〜3のアルキル基である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。lは0又は1の数である。m、nは平均付加モル数であって、mは8〜30の数であり、nは0〜5の数である。但しl=0のときmは12〜30であり、且つR2は水素原子である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
【0018】
一般式(2)中、R1は炭素数7〜22の炭化水素基であり、炭素数7〜18、更に7〜16の炭化水素基が好ましい。また、R1は直鎖の炭化水素基が好ましい。また、R1の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R1は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。酸素原子又はカルボニル炭素に結合するR1の炭素原子が第1炭素原子であることが洗浄力の点から好ましく、第1級アルコールから誘導された化合物であることが好ましい。
【0019】
一般式(2)の化合物を得る方法は、特に限定されるものではないが、l=0のときR2は水素原子であり、炭素数8〜22のアルコールにエチレンオキシドを付加反応すること、あるいはエチレンオキシドと炭素数3〜5のアルキレンオキシドを付加反応することによって得ることができる。
【0020】
またl=1のときR2は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基が好ましい。このような化合物は、アルコール(R2−OH)に炭素数3〜5のアルキレンオキシド及びエチレンオキシドを順序付けて、或いは同時に付加反応させて付加物とし、次にこれと脂肪酸または脂肪酸エステルとをそれぞれエステル化反応あるいはエステル交換反応させて製造する方法や、脂肪酸にアルキレンオキシドを順序付けて、或いは同時に付加させて付加物とし、つぎにこれとハロゲン化アルキルを反応させることにより、得ることができる。また、脂肪酸とアルコールとのエステル化物(R1COOR2)に、特定の触媒を用いてアルキレンオキシドをエステルの間に付加反応させる方法(特開平4−279552号公報参照)によっても製造することができる。
【0021】
一般式(2)中のmはエチレンオキシ基の平均付加モル数であり、8〜30の数、好ましくは9〜25、特に好ましくは10〜20である。l=0のときmは10以上である。nは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基の平均付加モル数であり、洗浄性能の点から下限値は0以上であり、好ましくは1以上であって、上限値は5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0022】
一般式(2)中のAOであるアルキレンオキシ基は、アルキレンオキシドの付加反応によって得られた場合はメチル分岐、エチル分岐ないしプロピル分岐した構造を有する。AOは、プロピレンオキシドを付加反応させて得られるオキシプロピレン基(以下、POと表記する場合がある)であることが好ましい。
【0023】
本発明では、一般式(2)の非イオン界面活性剤として、AOがプロピレンオキシ基であって、プロピレンオキシ基の平均付加モル数nが2〜4、特には2〜3であって、且つエチレンオキシ基の平均付加モル数mが8〜30、更には9〜25モル付加である化合物を用いることが、濯ぎ性および洗浄力に優れた液体洗浄剤組成物を得られることからより好ましい。
【0024】
一般式(2)の非イオン界面活性剤の製造に関して、R1−OH又はR2−OHのアルコキシル化に用いられる触媒は塩基触媒、酸触媒が挙げられる。このうち特に、コストの面から塩基触媒を使用することが好ましく、塩基として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、特には水酸化カリウムを使用することが最も好ましい。
【0025】
水酸化カリウムを触媒として使用する場合の製造条件の一例を以下に示す。まず原料となる炭素数7〜22の飽和もしくは不飽和の高級アルコール(R1−OHで表される化合物)に水酸化カリウムを仕込んだ後、窒素置換し、100〜110℃、1〜7kPaで30分〜1時間脱水を行い、100〜170℃、0.3〜0.6MPaでアルキレンオキシドの付加を行った後、添加した水酸化カリウムと当モル量の酸剤(酢酸、乳酸、グリコール酸等)で中和することによって得られる。なお、アルキレンオキシドの使用量は、一般式(2)のm、nの条件を満たすように、原料アルコールのモル数に応じて選定される。
【0026】
(a2)成分の陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はそのメチルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤等を挙げることができる。特に炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜18のアルキル硫酸エステル塩、エチレンオキシ基を平均0.2〜3モルと任意のポリオキシプロピレンを有するポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10〜18のアルキル又はアルケニル脂肪酸塩が好ましい。
【0027】
陰イオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンが好ましく、特に液安定性が向上するためアルカノールアミンが好ましい。また、陰イオン界面活性剤を酸形態で組成物中に配合してもよく、別途添加したアルカリ剤(アルカノールアミン等)で中和してもよい。アルカリ剤で中和した場合の質量は、塩ではなく酸として計算され、アルカリ剤は後述の(d)成分として取り扱う。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物は、繊維の仕上がり性を向上させるため、(a)成分として、(a3)成分の陽イオン界面活性剤を含有することができる。陽イオン界面活性剤としては、長鎖アルキル基を有する1級〜3級のアミン(但し後述のアルカノールアミンを除く)、長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を挙げることができ、好ましくは、窒素原子に結合する基として、途中にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基を1つ又は2つ有し、残りが水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシ基を有してもよいアルキル基であるアミン、及び、窒素原子に結合する基として、途中にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基を1つ又は2つ有し、残りが水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシ基を有してもよいアルキル基である第4級アンモニウム塩を挙げることができる。本発明では、炭素数6〜22の長鎖アルキル基を1つ有する第4級アンモニウム型界面活性剤、炭素数6〜22の長鎖アルキル基を1つ有する3級アミンが好ましい。中でも、界面活性剤として下記一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩型界面活性剤が好ましい。
【0029】
【化1】

【0030】
〔式中、R3は炭素数6〜22の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特には直鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R3中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0.1〜10である。R4、R5、R6は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、Xはハロゲン原子、CH3SO4又はCH3CH2SO4である。〕
【0031】
一般式(3)の第4級アンモニウム塩は、R3の炭素数は8〜20が好ましく、10〜18がより好ましく、10〜16が最も好ましい。また、R4、R5、R6は、それぞれメチル基、エチル基が好ましく、更にはメチル基がより好ましい。
【0032】
陽イオン界面活性剤としては、例えば下記(a3−1)〜(a3−4)が使用できるが、洗浄性能、安定性、柔軟性の点で、(a3−1)、(a3−3)を含有することがより好ましく、R3の炭素数は8〜20が好ましく、10〜18がより好ましく、10〜14が最も好ましい。(a3−1)を含有する場合(a3)成分中の50質量%以上、特には60質量%を占めることが洗浄性能と衣料の仕上がり性の点で最も好ましい。
【0033】
また、(a3)成分の陽イオン界面活性剤の全てが上記一般式(3)の化合物である必要はなく、他の構造の第4級アンモニウム塩やアミン塩などでもよい。
【0034】
(a3−1):R3の平均炭素数が6〜22の直鎖アルキル基であり、R4〜R6が炭素数1〜3のアルキル基であるトリアルキルアンモニウム塩。
(a3−2):R3の平均炭素数が6〜22の分岐アルキル基であり、R4〜R6が炭素数1〜3のアルキル基であるトリアルキルアンモニウム塩。
(a3−3):R3の平均炭素数が6〜22の直鎖アルキル基であり、R4がベンジル基であり、R5及びR6が炭素数1〜3のアルキル基であるアンモニウム塩。
(a3−4):R3の平均炭素数が6〜22の直鎖アルキル基であり、R3中に−(A’O)s−を含み、sが1〜5であり、R4〜R6が炭素数1〜3のアルキル基であるアンモニウム塩。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物において、(a)成分の含有量、更には(a1)成分と(a2)成分の合計の含有量は30〜75質量%であり、洗浄力の点から35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また上限値は、液体洗浄剤組成物の保存安定性の観点から75質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。なお上記範囲規定は(a2)成分及び/又は(a3)成分が0質量%である場合も含むものとする。
【0036】
本発明の液体洗浄剤組成物では、洗浄力および柔軟性の観点から、(a3)成分を含有する場合、(a)成分として(a1)成分と共に(a2)成分も含有することが好ましい。
【0037】
なお本発明では、本効果を損なわない程度に(a)成分以外の界面活性剤を配合してもよく、例えば両性界面活性剤を挙げることができる。しかしながら本発明では、界面活性剤は実質的に前記の(a1)成分〜(a3)成分からなることが好ましい。
【0038】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、下記一般式(1)で示される化合物であり、特定のブロック付加構造を有し、且つ両末端が親水性のエチレンオキシ基である点に特徴がある。
HO−(C24O)a−(AO)o−(C24O)b−(AO)p−(C24O)c−H (1)
(式中、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基を示し、“−”はC24O基及びAO基がブロック結合していることを示す。a、b、c、o、pは平均付加モル数であり、b=3〜20、c=3〜20、a+b+c=5〜30であり、o=1〜5、p=1〜5、o+p=2〜6である。)
【0039】
一般式(1)AOは、炭素数3〜5のアルキレンオキシ基を示し、特にプロピレンオキシ基であることが好ましい。a、b、c、o、pは平均付加モル数であり、bは独立して3〜20であり、好ましくは4〜18であり、より好ましくは5〜15である。a+b+cは5〜30であり、7〜25であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。bはaよりも大きいことが好ましい。また、bはcよりも大きいことが好ましい。a及びcは、それぞれ0ではなく、いずれも0.1〜10の範囲から上記要件を満たすように選定することができる。
【0040】
(b)成分は、例えば(a1)成分で述べた製造法において、高級アルコールの代わりに平均bモルのポリエチレングリコールを用い、このポリエチレングリコールに対し、プロピレンオキシドを2〜6モル、好ましくは2〜4モル付加し、十分熟成した後に再びエチレンオキシドを2〜(30−b)モル、好ましくは3〜(25−b)モル付加することによって得られる。なお、bは一般式(1)で示される数値と同義である。(b)成分は、数平均分子量が200〜2000であり、300〜1500が好ましく、400〜1200がより好ましい。前記方法で得られた反応生成物中の(b)成分の濃度及び数平均分子量は、ODS系の逆相カラムを用いたHPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)により確かめられる。展開媒としてメタノール/水=85/15(体積%比)で混合した溶媒を用い、数平均分子量は、標準品として数平均分子量が174、600、1470、7100のポリエチレングリコール(PEG;POLYMER LABORATRIES LTD.製)を用いて得られるピーク面積から検量線を作成して算出される。一方、(b)成分の濃度は上記から適宜選ばれるPEGを用いて濃度を変化させた場合のピーク面積から検量線を作成して算出することができる。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物において、(b)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の低温での保存安定性や冷水による液晶形成抑制のために、0.01〜3質量%、更に0.05〜2質量%、より更に0.1〜1.5質量%が好ましい。尚、(b)成分は、上述の(a1)成分、後述の(c)成分とは区別され、別に配合される。
【0042】
また、本発明の液体洗浄剤組成物において、(a)成分と(b)成分の含有量の合計、すなわち、(a1)+(a2)+(a3)+(b)は、洗浄力及び柔軟性を発揮するために、40〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が特に好ましい。
【0043】
<(c)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、低温での保存安定性の点で、(c)成分として、(b)成分以外の水混和性有機溶剤を含有することが好ましい。(c)成分の含有量は、組成物中5〜40質量%が好ましく、6〜35質量%がより好ましく、8〜25質量%が更に好ましい。また、低温安定性の観点から、(a)成分と(c)成分との質量比(a)/(c)、すなわち、〔(a1)+(a2)+(a3)〕/(c)、好ましくは(a1)成分と(a2)成分の合計と(c)成分との質量比〔(a1)+(a2)〕/(c)は、90/10〜50/50が好ましく、90/10〜60/30がより好ましく、85/15〜60/30が更に好ましい。
【0044】
(c)成分としては、洗浄性能、安定性の点で、水酸基及び/又はエーテル基を有する水混和性有機溶剤が好ましい。
【0045】
水混和性有機溶剤としては、(c1)エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルカノール類、(c2)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの炭素数2〜6のアルキレングリコール類やグリセリン、(c3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又は重量平均分子量400〜4000のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールなどの炭素数2〜4のアルキレングリコール単位からなるポリアルキレングリコール類、(c4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、又は1−エトキシ−2−プロパノールなどの炭素数2〜4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1〜5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、(c5)1−メチルグリセリンエーテル、2−メチルグリセリンエーテル、1,3−ジメチルグリセリンエーテル、1−エチルグリセリンエーテル、1,3−ジエチルグリセリンエーテル、トリエチルグリセリンエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテルなどの炭素数1〜8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類、(c6)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の、炭素数2〜3のアルキレングリコール単位を有する(ポリ)アルキレングリコールの芳香族エーテル類、が挙げられる。
【0046】
(c)成分は、組成物の粘度調整剤、ゲル化抑制剤として有効であり、上記の(c1)〜(c6)の分類から選ばれる1種以上を使用する。上記の(c1)アルカノール類、(c2)グリコール類、(c4)アルキルエーテル類、及び(c6)芳香族エーテル類から選ばれる溶剤を用いることが好ましく、より具体的にはエタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル及びトリエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる溶剤を1種、特には2種以上を併用することで効果的に組成物の粘度調整、ゲル化抑制を達成できることから更に好ましい。なおヒドロキシ基有する芳香族化合物にエチレンオキシドを反応させて得られる芳香族エーテル類は、エチレンオキシ基の付加モル数の異なる混合物として使用することができるが、エチレンオキシドが付加しなかった未反応物は除去して用いることが望まれる。
【0047】
<その他の成分>
〔(d)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物には、アルカリ剤〔以下、(d)成分という〕を配合することができる。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの他に、液体洗浄剤では一般的なアルカノールの炭素数が2〜4の1〜3つのアルカノール基を有するアルカノールアミンを挙げることができる。このうちアルカノールはヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は水素原子であるが、メチル基であってもアルカリ剤として使用することができる。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ、ジ、トリの混合物)等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明ではモノエタノールアミン、トリエタノールアミンが最も好ましい。
【0048】
(d)成分は後述するpH調整剤として用いることができる。また前記した(a)成分中に陰イオン界面活性剤が含まれるときの対塩として配合してもよい。
【0049】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(d)成分を、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.2〜7質量%含有する。なかでも、(d)成分としてアルカノールアミンを用いることがより好ましい。
【0050】
以下、更に本発明に使用できるその他の成分を示す
〔(e)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、キレート剤〔以下、(e)成分という〕を含有することができる。(e)成分のキレート剤は、液体洗浄剤に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、
ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、
ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、
アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属または低級アミン塩等が挙げられる。本発明では前記(d)成分であげたアルカノールアミンを塩とすることが好ましく、酸で配合し系中でアルカリ剤によって中和した塩であってもよい。
【0051】
(e)成分の組成物中の配合割合は、酸型とみなした場合に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.1〜4質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
【0052】
〔(f)成分〕
更に本発明の液体洗浄剤組成物には、次の(i)〜(xii)に示す成分を本発明の効果を損なわない程度で配合することができる。
(i)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマーなどの再汚染防止剤及び分散剤
(ii)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤
(iii)過酸化水素、過炭酸ナトリウムまたは過硼酸ナトリウム等の漂白剤
(iv)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤
(v)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素
(vi)ホウ素化合物、カルシウムイオン源(カルシウムイオン供給化合物)、ビヒドロキシ化合物、蟻酸等の酵素安定化剤
(vii)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料
(viii)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤
(ix)パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)などの可溶化剤
(x)オクタン、デカン、ドデカン、トリデカンなどのパラフィン類、デセン、ドデセンなどのオレフィン類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン化アルキル類、D−リモネンなどのテルペン類などの水非混和性有機溶剤。
(xi)その他、色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤
【0053】
以下に本発明の液体洗浄剤組成物中、前記任意成分を配合する場合の指標としての濃度を示すが、本効果を損なわない程度に適宜調整され、配合に適さない場合は除外される。(i)の再汚染防止剤及び分散剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(ii)の色移り防止剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(iii)の漂白剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(vi)の漂白活性化剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(v)の酵素の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vi)の酵素安定化剤の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vii)の蛍光染料の含有量は0.001〜1質量%が好ましい。(viii)の酸化防止剤の含有量は0.01〜2質量%が好ましい。(ix)の可溶化剤は0.1〜2質量%が好ましい。(x)の水非混和性有機溶剤は0.001〜2質量%が好ましい。(xi)のその他の成分は例えば公知の濃度で配合することができる。
【0054】
なお、上記任意成分のうち(ix)、(x)は液体洗浄剤組成物の安定性に影響を及ぼすのでその配合には特に注意を要する。
【0055】
本発明の組成物のpH(JIS Z 8802の7.2)は洗浄性能、安定性の点から5〜11、特には6〜10(25℃)が好ましい。
【0056】
本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で10〜500mPa・sが好ましく、50〜400mPa・sがより好ましく、100〜300mPa・sが更に好ましい。(c)成分や可溶化剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。
【0057】
本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物又は希釈液の粘度とする。
【0058】
本発明の液体洗浄剤組成物は、容器、例えば計量キャップとボトルとを含んで構成されるプラスチック容器に充填して容器入り液体洗浄剤物品、好ましくは容器入り衣料用液体洗浄剤物品とすることができる。ボトルの材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル(PVC)等のプラスチックを用いることができる。本発明の液体洗浄剤組成物を充填するための容器としては、プラスチック材の成型容器の内圧減少による減圧変形抑制の観点から、液体洗浄剤組成物の収容部を有するプラスチック容器であって、前記収容部が曲げ弾性率(JIS K7171)が2000MPa以上、好ましくは5000MPa以下、より好ましくは3000MPa以下のプラスチックから構成され、且つ肉厚が0.3〜1.5mmであるプラスチック容器が好ましく、通常は、ボトルがこのような曲げ弾性率と肉厚を満たすものが使用される。容器変形の理由としては、本発明の液体洗浄剤組成物は界面活性剤を高濃度で配合するため、ボトル内の空間に存在する酸素が溶解することが推測される。光の透過は界面活性剤、とりわけ非イオン界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物中への酸素の溶解性を促進することから、本発明では遮光性を有するボトルを用いることが好ましく、特に、本発明の液体洗浄剤組成物の酸素の溶解は光透過率は波長600nm〜700nmの範囲の光による影響が大きいことから、該波長について15%以下であることが好ましい。遮光性を高めるために酸化チタンやカーボンブラックを、容器を構成するプラスチックに添加することができる。
【0059】
また、詰め替え用の容器に充填した物品として、本発明の液体洗浄剤組成物は、保存安定性の観点から、可撓性の積層樹脂フィルムを貼り合わせて形成した袋状容器に封入されるのが好ましい。
【0060】
更に、袋本体の上部端縁部の一部に注出流路を有するノズル部を設け、レーザー加工やスコア加工等を施し、手で袋上端縁部を開封することでノズル部吐出口を形成できるものが使い易さの観点から好ましく、袋の形状としては、スタンディングパウチ形式の袋は、取り扱い易く、好ましい形式である。
【0061】
袋を形成するフィルムとしては、可撓性の単層樹脂フィルムを使用することも可能であるが、積層樹脂フィルムが使用するのが一般的である。積層樹脂フィルムの基材層としては、延伸ナイロンフィルム(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、シーラント層として無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、バリヤー層としてアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(VM−PET)、セラミック蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム箔等を例示することができる。
【0062】
特に、積層樹脂フィルムは3層以上からなる構成とし、中間層と最内層の間に印刷インキ(インキ層)が介在しない構成が好ましい。生産適性や落下強度、開封性や包材コストの面を考慮すると、外層(液体洗浄剤組成物に接する層から最も遠い層)より、PET(好ましくは厚さが9〜25μm)/[インキ層+接着剤層]/ONy(好ましくは厚さが15〜25μm)/接着剤層/LLDPE(好ましくは厚さが60〜200μm)の積層フィルムが最も好ましい。
【実施例】
【0063】
表1に示す各成分を混合して、本発明品及び比較品の組成物を得た。得られた各組成物を用い、下記の各評価を行った。結果を表1に示す。なお表2には本発明の液体洗浄剤組成物の配合例を示す。
【0064】
<洗浄力評価方法>
(1)洗浄力評価
(1−1)衿片の調製方法
衿汚れ試験布として、3日間着用した綿/ポリエステル混紡ワイシャツの衿部分を裁断し収集したもののうち汚れの程度が同じものを選別した。選別された衿汚れ試験布を半裁し、30cm×30cmの綿布に1枚ずつ縫い付け(以後、衿片と呼ぶ)、これを表1の液体洗浄剤組成物1つあたり6セット(全12枚)用意した。半裁した一方の6枚を本発明品又は比較品の液体洗浄剤組成物に用い、他方の6枚を洗浄力判定用指標洗剤に用いた。
【0065】
(1−2)洗浄水調整方法
洗浄に用いる水は、硬度成分としてカルシウム/マグネシウム=8/2(質量比)にするために、塩化カルシウム・2水和物25.14g及び塩化マグネシウム・6水和物8.70gを2966.13gのイオン交換水で溶解することによって得られた400°DH硬水を用い、洗浄力試験使用時にイオン交換水によって希釈し4°DHに調整して用いた。
【0066】
(1−3)判定方法
洗浄試験には、洗濯機(NA−FV8001;Panasonic社製)を用い、上記方法により調整した水を用いた。洗浄力の判定は、10人のパネラー(30代男性)によって行われた。表1の液体洗浄剤組成物で洗浄処理された衿片6枚と、洗剤をJIS K 3362:1998記載の指標洗剤に代えた以外は同様にして洗浄処理された衿片6枚との洗浄の程度を目視で判断した。対となる衿片のどちらが洗浄力に優れているかを判断し、評価用の液体洗浄剤組成物を用いた方が洗浄力に優れている場合を「+1」点、指標洗剤を用いた方が洗浄力に優れている場合を「−1」点とする(パネラー一人あたりの評価点の合計は「+6」〜「−6」の範囲となる)。1つの評価洗剤につきパネラー10人が評価し、パネラー10人の評価点の合計で洗浄力を評価した。合計点が+5〜−5の場合は、評価洗剤と指標洗剤の洗浄力は同等と判断でき、+6以上の場合は評価洗剤の方が洗浄力に優れると判断でき、−6以下の場合は評価洗剤の方が洗浄力に劣ると判断できる。
【0067】
(2)低温保存安定性評価
50mLのサンプルビン(No.6広口規格ビン、ガラス製、直径40mm、高さ80mmの円筒形)に、液体洗浄剤組成物を40mL充填し、蓋をした後、0℃の恒温室で20日間静置した。組成物の安定性は、目視で外観を観察し、下記の基準で判定した。
○;液晶、結晶を形成していない均一液体相であり、液安定性に優れる。
×;液晶形成、又は結晶形成、又は分離、又は析出が認められる。
【0068】
(3)仕上がり性の評価
一般的な洗浄成分である非イオン界面活性剤(エマルゲン108;花王(株))4.5gをイオン交換水50mLに予備溶解して洗剤溶液を作成し、1000倍希釈することで市販の木綿タオル(木綿100%)を洗濯した(Panasonic社製全自動洗濯機NA−F60E、水量45L、浴比20、水温20℃、洗濯コースは標準コース)。この操作を計3回繰り返した後、20℃、45%RHの条件で乾燥させ、評価用タオルとした。
【0069】
前述の方法で調製した評価用タオルを用いて、本発明品又は比較品の洗浄剤組成物によって洗濯を行い(Panasonic社製 全自動洗濯機:NA−F60E、標準コース、水量設定45L、浴比20、水温20℃、水の硬度4°DH、洗剤使用量0.5g;洗濯機の投入口を利用)、基準組成物(アタックバイオジェル;花王(株))で処理した木綿タオルの柔らかさを基準として、表1記載の洗浄剤組成物で処理した木綿タオルの柔らかさを10人のパネラー(20代〜40代女性10人)により下記の基準で判定し平均点を求めた。平均点が+0.3以上の場合、基準よりも柔軟性に優れると判断できる
基準と比較して柔らかい・・・・・1点
基準と同等の柔らかさ・・・・・・0点
基準と比較してかたい・・・・・−1点
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
(注)表中の成分は以下のものである。
(a)成分
(a1−1):一般式(2)中のR1が炭素数10〜14の直鎖アルキル基、lが0、mが12、nが0、R2が水素原子である非イオン界面活性剤
(a1−2):一般式(2)中のR1が炭素数10〜14の直鎖アルキル基、lが0、mが18、nが2、R2が水素原子であり、EOを平均9モル付加させた後、POを2モル、EOを9モルの順にブロック付加させた非イオン界面活性剤
(a1−3):一般式(2)中のR1が炭素数11の直鎖アルキル基、lが1、mが15、nが0、R2がCH3である非イオン界面活性剤
(a1−4):一般式(2)中のR1が炭素数10〜14の直鎖アルキル基、lが0、mが10、nが2、R2が水素原子であり、EOを平均7モル付加させた後、POを2モル、EOを3モルの順にブロック付加させた非イオン界面活性剤
【0073】
(a2−1):炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸
(a2−2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(炭素数10〜14の直鎖アルキル、EO平均付加モル数3)
(a2−3):ルナックL−55(商品名;炭素数10〜18のヤシ油系脂肪酸;花王株式会社製)
【0074】
(a3−1−1);直鎖アルキル(炭素数12)トリメチルアンモニウムクロライド
(a3−1−2);直鎖アルキル(炭素数16)トリメチルアンモニウムクロライド
(a3−3−1);直鎖アルキル(炭素数12〜16)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド
【0075】
(b)成分
(b−1):一般式(1)中のaが5、bが10、cが5、oが1、pが1である化合物(数平均分子量約1000)
(b−2):一般式(1)中のaが2、bが10、cが1、oが1、pが1である化合物(数平均分子量約580)
【0076】
(c)成分
(c−1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(c−2):プロピレングリコール
(c−3):トリエチレングリコールモノフェニルエーテル
(c−4):エタノール
【0077】
(d)成分
(d−1):モノエタノールアミン
(d−2):ジエタノールアミン
【0078】
(e)成分
(e−1):クエン酸
【0079】
(その他(f)成分)
(f−1):ポリマー(1):特開平10−60476号公報の4頁段落0020の合成例1の方法で合成した高分子化合物
(f−2):酵素:エバラーゼ16.0L−EX(商品名)(プロテアーゼ、ノボザイム社製)
(f−3):色素(1):緑色202号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分及び(b)成分を含有し、(a)成分の含有量が30〜75質量%である液体洗浄剤組成物。
(a)成分:下記(a1)成分である、又は下記(a1)成分と下記(a2)成分及び下記(a3)成分から選ばれる1種以上との組合せである、界面活性剤。
(a1)成分:非イオン界面活性剤
(a2)成分:陰イオン界面活性剤
(a3)成分:陽イオン界面活性剤
(b)成分:下記一般式(1)で表される数平均分子量200〜2000の化合物
HO−(C24O)a−(AO)o−(C24O)b−(AO)p−(C24O)c−H (1)
(式中、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基を示し、“−”はC24O基及びAO基がブロック結合していることを示す。a、b、c、o、pは平均付加モル数であり、b=3〜20、c=3〜20、a+b+c=5〜30であり、o=1〜5、p=1〜5、o+p=2〜6である。)
【請求項2】
(a1)成分が、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
1(CO)lO−[(C24O)m/(AO)n]R2 (2)
〔式中、R1は炭素数7〜22の鎖式炭化水素基であり、R2は水素原子、又は1〜3のアルキル基である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。lは0又は1の数である。m、nは平均付加モル数であって、mは8〜30の数であり、nは0〜5の数である。但しl=0のときmは12〜30であり、且つR2は水素原子である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
【請求項3】
(a3)成分が、下記一般式(3)で表される陽イオン界面活性剤である請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【化1】


〔式中、R3は炭素数6〜22の炭化水素基であり、R3中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0.1〜10である。R4、R5、R6は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、Xはハロゲン原子、CH3SO4又はCH3CH2SO4である。〕
【請求項4】
(c)成分として、(b)成分以外の水混和性有機溶剤を含有する請求項1〜3何れか記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−201996(P2011−201996A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69731(P2010−69731)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】