説明

衣料用漂白洗浄剤組成物

【課題】優れた除菌効果、除臭効果を奏する衣料用漂白洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属植物等特定の植物抽出物を固形分換算で0.005〜10質量%、(B)ノニオン界面活性剤、(C)無機過酸化物、(D)下記式で表される1種以上の漂白活性化剤を含有する衣料用漂白洗浄剤組成物。
[化1]


[式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数7〜13のアルキル基またはアルケニル基であり;Mは水素原子または当該漂白活性化剤に水溶性を与える陽イオンである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料用漂白洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄剤に関する技術は、主に泥や油汚れ等の洗浄効果や、製剤化した際の製品の安定化に関するものであった。
近年、消費者の衛生意識の向上や清潔志向の高まりにより、例えば衣料用洗浄剤分野においても、除菌や除臭効果を付与することが期待されてきた。しかしながら、現状では、洗浄剤の除菌や除臭効果については充分とは言えず、例えば、雑菌が多く付着した靴下や下着などを洗濯する場合、従来の洗浄剤では同じ浴内の他の衣類にも雑菌が付着するという懸念がある。このため、多くの主婦は洗濯物を仕分けして別々に洗濯しているというのが実情である。
【0003】
このような事情に鑑み、一般家庭向けの洗浄剤に除菌効果を付与するために、安全性、低環境負荷を考慮して植物由来の成分による殺菌・抗菌成分を配合した洗浄剤等も提案されてきた。
例えば、ヒノキ油を含有する洗浄剤(特許文献1)、カテキン誘導体を必須成分とする除菌洗浄剤(特許文献2)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載のものは残念ながら実効が明確ではない。
【0004】
そして、最近になって、ある種の植物抽出物は優れた抗菌・防腐作用を有することが開示された(特許文献3)。これらの植物抽出物は、種々の組成物中での防腐作用に対しては充分な効力を発揮できる。また、植物抽出物は、安全性が高く、低環境負荷であり、この点においても有利である。
【特許文献1】特開2000−328096号公報
【特許文献2】特開平10−273698号公報
【特許文献3】特開2003−113013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によると、前記特許文献3に記載の植物抽出物の除菌効果、除臭効果は、衣料用洗浄剤等に使用するには充分とは言えない。
そこで、本発明においては、優れた除菌効果、除臭効果を奏する衣料用漂白洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の衣料用漂白洗浄剤組成物は、(A)フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属植物、バラ科Rosa(ローザ)属植物、シソ科Mosla(モスラ)属植物、ショウガ科Amomum(アモマム)属植物のうちから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を固形分換算で0.005〜10質量%、
(B)ノニオン界面活性剤、
(C)無機過酸化物、
(D)下記一般式(I)で表される漂白活性化剤及び/又は下記一般式(II)で表される漂白活性化剤、
を含有することを特徴とする。
【化1】

[式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数7〜13のアルキル基またはアルケニル基であり;Mは水素原子または当該漂白活性化剤に水溶性を与える陽イオンである。]
本発明の衣料用漂白洗浄剤組成物は、さらに酵素を含むことが好ましい。
なお、本特許請求の範囲及び明細書において、「除菌」とは、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効量減少させることをいう。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、優れた除菌効果、除臭効果を奏する衣料用漂白洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の衣料用漂白洗浄剤組成物は、(A)フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属植物、バラ科Rosa(ローザ)属植物、シソ科Mosla(モスラ)属植物、ショウガ科Amomum(アモマム)属植物のうちから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を固形分換算で0.005〜10質量%[(A)成分という];(B)ノニオン界面活性剤[(B)成分という];(C)無機過酸化物[(C)成分という];(D)前記一般式(I)で表される漂白活性化剤及び/又は下記一般式(II)で表される漂白活性化剤[(D)成分という]、を含有することを特徴とする。
【0009】
「(A)成分」
(A)成分は、フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属植物、バラ科Rosa(ローザ)属植物、シソ科Mosla(モスラ)属植物、ショウガ科Amomum(アモマム)属植物のうちから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物である。
【0010】
フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属に属する植物としては、メラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)、メラレウカ・クゥインクェネルウィア(M.quinquenervia)等が挙げられる。
バラ科Rosa(ローザ)属の植物としては、ローザ・ダマスクローズ(Rosa damascena)、ローザ・ガリカ(R.gallica)、ハマナス(R.rugosa)等が挙げられる。
シソ科Mosla(モスラ)属の植物としては、ヤマジソ(Mosla japonica)、ホソバヤマジソ(M.chinensis)、イヌコウジュ(M.scabra)等が挙げられる。
ショウガ科Amomum(アモマム)属植物としては、アモマム・クサンティオイデス(Amomum xanthioides)、アモマム・ツァオコ(A.tsao−ko)、アモマム・キネンセ(A.chinense)などが挙げられる。
これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0011】
これらの植物の用部に特に限定はないが、地上部を用いることが好ましい。
特にフトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属は葉部、バラ科Rosa(ローザ)属は花部は果実部を用いることが好ましい。
ショウガ科Amomum(アモマム)属植物は果実部を用いることが特に好ましい。
【0012】
植物抽出物は、植物を生のまま、あるいは乾燥したものを適当な大きさに切断したり、粉砕加工したものから抽出を行うことによって液体状のものとして得ることができる。
【0013】
抽出は、溶媒抽出、水蒸気蒸留、超臨界抽出等、通常工業的に用いられている方法によって行うことができる。抽出溶媒が使用上無害なものであれば、抽出液をそのまま衣料用漂白洗浄剤組成物に混合して用いることができる。また、抽出液を適宜な溶媒で希釈した希釈液を衣料用漂白洗浄剤組成物に混合してもよい。あるいは抽出液を濃縮して、濃縮エキスとしたり、凍結乾燥などにより乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したもの等を用いることもできる。
【0014】
上記植物抽出物を得るために用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、アセトン、モノテルペン類などの一般に用いられる有機溶媒、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類及び水などを挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの溶媒の中でも、エタノール、水、1,3−ブチレングリコール、モノテルペン類やこれらの混合溶剤が望ましく、特にエタノールが好ましい。
【0015】
なお、抽出処理は、冷浸、温浸、加熱環流、パーコレーション法などの常法によって行うことができる。溶媒抽出の他に、水蒸気蒸留、炭酸ガスを超臨界状態にして行う超臨界抽出によって得た抽出物(エキス)も同様に利用でき、中でも水蒸気蒸留が特に好ましい抽出方法として挙げられる。超臨界抽出では、抽出助剤としてヘキサン、エタノールなどを用いることもできる。
また、植物抽出物は精製してもよい。
植物抽出物の精製は、植物抽出物を活性炭処理、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどで行うことができる。
なお、上述の植物抽出物を得るための条件、例えば抽出温度、抽出pH等については特に制限することはない。
【0016】
また、植物抽出物としては、上述の抽出方法を用いて抽出された市販製品も好適に利用できる。
植物抽出物の市販製品として好適なものとしては、例えば、メラレウカ属植物抽出物としてはティーツリーオイル、ローザ属植物抽出物としてはローズオイル、モスラ属植物抽出物としてはヤマジソオイル等が利用できる。
また、アモマム属植物抽出物としては、縮砂が好ましい。
【0017】
衣料用漂白洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量は固形分換算で0.005〜10質量%であり、好ましくは0.3〜3質量%である。0.005質量%以上であることにより、本発明の効果が得られる。上限値以下であることにより、他の成分とのバランスの点で好ましい。
【0018】
「(B)成分」
(B)成分としては、従来より洗浄剤において使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0019】
具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。
【0020】
衣料用漂白洗浄剤組成物中の(B)成分の配合量は、本発明の効果と他の配合成分とのバランスから、衣料用漂白洗浄剤組成物中、好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは2〜30質量%である。
(B)成分以外の界面活性剤を併用する場合は、界面活性剤全体として好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは2〜40質量%、さらには5〜30質量%が好適である。
【0021】
「(C)成分」
(C)成分としては、例えば過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。特に経時安定性の点から、過炭酸ナトリウムが好ましい。
(C)成分としては、例えば洗浄剤に含まれ水分等との接触による分解を防止するために、その表面にコーティング処理を施したものが種々提案されている。例えば、特許第2918991号公報に記載のように、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥して造粒されたものなどが好適に利用できる。
【0022】
(C)成分の衣料用漂白洗浄剤組成物中での配合量は、本発明の効果の点から0.5〜40質量%とするのがよく、さらに好ましくは1〜20質量%配合するのがよい。
【0023】
「(D)成分」
(D)成分は、上記一般式(I)で表される漂白活性化剤および/または上記一般式(II)で表される漂白活性化剤である。
式(I)及び(II)において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数7〜13のアルキル基またはアルケニル基であり、それぞれ、炭素数7〜11が好ましく、炭素数9〜11がより好ましい。
Mは水素又は(D)成分に水溶性を与える陽イオン(塩形成カチオン)であり、陽イオンとしては、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンなどのアミン類等の塩形成カチオンが挙げられる。
【0024】
式(I)の漂白活性化剤としては、具体的には、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等があげられる。
とりわけ、4-デカノイルオキシ安息香酸、4-デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0025】
式(II)の漂白活性化剤としては、具体的には、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸;オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等が挙げられる。
【0026】
(D)成分は、貯蔵時の保存安定性の点から、造粒物又は成型物として配合されることが好ましい。造粒物又は成型物中の漂白活性化剤の含有量は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%であるのが好ましい。含有量がこの範囲外では造粒した効果が充分に得られ難くなる場合がある。
これらはポリエチレングリコールや炭素数12〜20の飽和脂肪酸や重量平均分子量1000〜1000000のポリアクリル酸やその塩から選ばれるバインダー化合物を用いて造粒物又は成型物にすることが好ましい。ポリエチレングリコールとしては好ましくはポリエチレングリコール1000〜20000(平均分子量500〜25000)で、より好ましくは平均分子量2600〜9300、特に好ましくは平均分子量5000〜9300のものが良好である。また、炭素数12〜20の飽和脂肪酸としては、好ましくは炭素数14〜20、より好ましくは炭素数14〜18の飽和脂肪酸である。なお、本発明におけるポリエチレングリコールの平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。また、ポリアクリル酸やその塩の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。このようなバインダー物質は造粒物中に好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%使用する。
【0027】
また、該造粒物には漂白活性化剤の洗濯浴中での溶解性を改善するためにポリオキシアルキレンアルキルエーテル、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩あるいはこれらの混合物等の界面活性剤と併用するのが好ましく、造粒物中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数は10〜15が好ましく、好ましくはエチレンオキサイド(以下EOと略す)及び/又はプロピレンオキサイド(以下POと略す)の付加体である。平均付加モル数はEO、PO、あるいはEOとPOの混合の何れも場合も、合計で好ましくは4〜30、より好ましくは5〜15であり、EO/POのモル比は、好ましくは5/0〜1/5、より好ましくは5/0〜1/2である。オレフィンスルホン酸塩としてはアルキル基の炭素数が14〜18であるα−オレフィンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩が好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩としてはアルキル基の炭素数が10〜14である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩が好ましい。また、アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10〜18であり、しかもナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、特にラウリル硫酸エステルナトリウム又はミリスチル硫酸エステルナトリウムが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、またナトリウム塩が良好である。ここでオキシエチレン基の平均重合度(以下、平均重合度をPOEで示す)は1〜10、好ましくは1〜5が良好であり、特にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)が良好である。
【0028】
本発明では上記漂白活性化剤の造粒物を任意の方法で製造することができる。また、バインダー物質は予め融解して添加することで好ましい結果を得ることができる。バインダー物質は40〜100℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは50〜90℃で融解させて添加する。これらは均一になるまで撹拌混合された後、通常の造粒機により製剤化される。好ましい造粒法として押し出し造粒を挙げることができ、平均粒径が500〜5000μm、好ましくは500〜3000μmの造粒物にすることが好ましい。また、その他の造粒法としてはブリケット機による錠剤形状にすることも好ましい造粒法として挙げることができる。
ここで、上記漂白活性化剤は、貯蔵中に漂白剤又は漂白洗浄剤中のアルカリ成分と水分の存在により加水分解を生じ、漂白及び殺菌効果が失われることが知られている。そこで、本発明において、上記漂白活性化剤は、このような分解を防ぐために、上記バインダーや界面活性剤に加えて、フィルム形成性重合体、ゼオライト等と混合して造粒物として配合することがより好ましい。
【0029】
衣料用漂白洗浄剤組成物中における(D)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜4質量%がより好ましい。下限値以上であることにより漂白効果が向上し、上限値以下であれば、それを超える場合と同様の漂白効果が得られる。
【0030】
「酵素」
衣料用漂白洗浄剤組成物には、酵素を配合するとさらに効果が向上するため好ましい。
酵素は特に限定することなく用いることができるが、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
プロテアーゼは、通常洗剤に用いられるものであれば特に限定されない。プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、ズブチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA及びB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA及びB等が挙げられる。
プロテアーゼとしては、特開昭51−8401号公報、特開昭46−43551号公報、特開昭46−42956号公報、特開昭59−59189号公報、特開昭54−62386号公報、特開昭48−2794号公報、特開昭50−16435号公報、特開昭53−18594号公報、特開昭55−46711号公報、特開昭57−42310号公報、特開昭58−16200号公報、特開昭56−24512号公報、特開昭47−1832号公報、特開昭52−35758号公報、特開昭50−34633号公報、特公昭46−41596号公報、特開昭58−134990号公報、特開昭55−14086号公報、特開昭51−82783号公報、特開昭51−125407号公報、特開昭55−39794号公報、特開昭46−1840号公報、特開昭46−23989号公報、特開昭58−15282号公報、特開昭61−280278号公報、特開平4−197182号公報、特公平3−79987号公報、特開平5−25492号公報などに記載されているものも使用することができる。
また、これらの精製分画物はもちろん、粗酵素及びそれらの造粒物も当然使用できる。入手可能な市販酵素としては、サビナーゼ(Savinase)、アルカラーゼ(Alcalase)、エバラーゼ(Everlase)、カンナーゼ(Kannase)、エスペラーゼ(Esperaze)(ノボザイムズ社製)、API21(昭和電工(株)製)、マクサターゼ(Maxtaze)、マクサカル(Maxacal)、ピュラフェクト(Purafect)、マクサぺム(ジェネンコア社製)、KAP(花王(株)製)、特開平5−25492号公報記載のプロテアーゼK−14、K−16(以上、全て商品名)等を挙げることができる。このうち、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
プロテアーゼとしては、サビナーゼ、エバラーゼ(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、特にサビナーゼが好ましい。
【0031】
リパーゼとは、International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)の推薦(1992)に従って、Enzyme Classification 番号E.C.3.1.1(カルボン酸エステルヒドロラーゼ)下で分類された酵素を示す。
つまり、リパーゼは、モノ−、ジ−及びトリグリセリド、リン脂質(すべての種類)、チオエステル、コレステロールエステル、ワックス−エステル、クチン、スベリン、合成エステル等の脂質の少なくとも1つに存在するエステル結合のタイプの少なくとも1つに対して加水分解活性を示す酵素である。つまり、リパーゼは、従来、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ又はクチナーゼ等として称せられているものを含んでおり、天然に存在する酵素、及び天然に存在する酵素に比べて1又は複数のアミノ酸残基が変性されている変異体を包含する。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、リポラーゼウルトラ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼを挙げることができる。
リパーゼとしては、リポラーゼウルトラ、ライペックス(LIPEX)(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、特にライペックスが好ましい。
【0032】
アミラーゼとしては、デンプンやグリコーゲンなどのα−1,4結合を加水分解するα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−グルコシターゼ、グルコアミラーゼと、デンプンやグリコーゲンなどのα−1,6結合を加水分解するグルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、アミロ−1,6グルコシターゼ/4−αグルカノトランスフェラーゼ、オリゴ−1,6−グルコシターゼなどが含まれる。
かかるアミラーゼは、でんぷんを加水分解する酵素であれば特に限定されず、1種類または2種類以上を組み合わせて使用できる。
アミラーゼを以下に例示する。入手可能な市販酵素としては、以下の物が例示される。ターマミル(Termamyl)、デュラミル(Duramyl)、ステインザイム(Stainzyme)、プロモザイム(Promozyme)200L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、マキサミル(Maxamyl)(商品名、ジェネンコア社製)、天野製薬社のプルラナーゼアマノ、DB−250、Aerobacter aerogenes ATCC9621由来のプルラナーゼ(以上、商品名;クルードまたは結晶化品が生化学工業社より発売)。
アミラーゼとしては、ターマミル、デュラミル、ステインザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、特にステインザイムが好ましい。
【0033】
セルラーゼの具体例としては、セルザイム、ケアザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、KAC500(商品名、花王(株)製)、特開昭63−264699号公報の請求項4記載のセルラーゼ等を挙げることができる。
【0034】
酵素は、上記のものを1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、通常の造粒法に基づき、安定剤、フィラー、増量剤、増白剤、バインダー及びコーテイング剤等との造粒物としたものを、洗剤粒子、被覆無機粒子、漂白活性化剤粒子、無機過酸化物粒子とともに、ドライブレンドした状態で使用すると好適である。また、2種以上の酵素の造粒に際しては別々に造粒してもよいし、酵素を混合し、同一造粒物としてもよい。通常、酵素造粒物中の酵素の配合量としては、酵素タンパク量として0.1〜10質量%程度であり、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
【0035】
酵素含有粒子の造粒方法としては、特開昭53−6484号公報、特開昭60−262900号公報、特開昭62−257990号公報、特開平1−112983号公報、特表平3−503775号公報、特表平4−503369号公報、特開2000−178593号公報記載の方法等が挙げられる。
上記酵素含有粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,000μmが好ましく、より好ましくは300〜700μmである。
【0036】
酵素の配合量は、酵素タンパク量として、通常、衣料用漂白洗浄剤組成物全体に対して下限値は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、特に好ましくは0.003質量%以上であって、上限値は、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、特に好ましくは0.02質量%以下の量で含まれることが好ましい。該配合量が0.001質量%以上であることにより本発明の効果が向上する。上限値を超えて配合しても効果は変わらない。
【0037】
また、衣料用漂白洗浄剤組成物には、その他の任意の成分を配合可能である。例えば、洗浄剤成分として既知の成分を適宜配合することができる。
洗浄剤成分としては、例えば(B)成分以外の界面活性剤、洗浄ビルダー、吸油性担体、粘土鉱物、酵素、蛍光増白剤、帯電防止剤、表面改質剤、再汚染防止剤、粒子強度保持剤、還元剤、消泡剤、香料類、色素類、柔軟性付与剤等が挙げられる。
【0038】
アニオン界面活性剤としては、従来より洗剤において使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、各種のアニオン界面活性剤を使用することができる。例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)
(2)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩(AS)又はアルケニル硫酸塩
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)
(4)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテル硫酸塩(AES)又はアルケニルエーテル硫酸塩
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩
(7)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩
(8)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸(α−SF)塩又はそのメチル、エチルもしくはプロピルエステル等
アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、AOS、α−SF、AESのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)が好ましい。このうち、炭素数10〜14のアルキル基を有するLASのアルカリ金属塩、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩及び炭素数12〜18のα−SFのアルカリ金属塩が好ましい。
【0039】
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(上記長鎖アルキルは炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基、短鎖アルキル(フェニル基、ヒドロキシ基等の置換基や炭素間にエーテル結合を有していてもよい)は炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。)
【0040】
両性界面活性剤の例としては、イミダゾリン系やアミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。特に好ましい両性界面活性剤としては、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやラウリン酸アミドプロピルベタインが挙げられる。
【0041】
本発明の衣料用漂白洗浄剤組成物は、上述の様に、例えば、バインダーやビルダー等の無機粉体等を用いて、常法にしたがって(B)成分を含む造粒物、(C)成分を含む造粒物、(D)成分を含む造粒物、必要に応じて配合する酵素を含む造粒物を製造し、これらを粉体混合するとともに液体状の(A)成分を噴霧することにより調製することができる。
なお、上述の任意成分は、上述の様に(B)成分、(C)成分、(D)成分をそれぞれ配合した造粒粒子を製造する際に配合することもできるし、これらを粉体混合する際に混合することができる。
【0042】
本発明の衣料用漂白洗浄剤組成物においては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の相乗効果によって、優れた除菌効果及び除臭効果が得られる。
【実施例】
【0043】
下記の実施例において特に明記のない場合の組成は、「%」は質量%、表中の各成分の量は表1については純分としての配合量を示し、表2〜4は記載成分の配合量で示した。なお、植物抽出物[(A)成分]の配合量は固形物換算で示す。
【0044】
<洗浄剤粒子の製造>
下記製造方法により、洗浄剤粒子A1〜A5を得た。
【0045】
[洗浄剤粒子の調製方法1]
下記表1に示す組成に従って、以下の手順で洗浄剤粒子A1を調製した。
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにα−SF−Na(α−SFのナトリウム塩)とノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA1(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)と蛍光剤とを添加した。さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部(2.0%相当量(対各粒子、以下同じ)の捏和時添加用、3.2%相当量の粉砕助剤用、1.5%相当量の表面被覆用の各A型ゼオライトを除く)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0046】
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたα−SF−Naの水性スラリー(水分濃度25%)に、ノニオン界面活性剤の一部(α−SF−Naに対して25%)を添加し、水分を11%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合濃縮物を得た。
上述の噴霧乾燥粒子、この混合濃縮物、2.0%相当量のA型ゼオライト、0.5%相当量の噴霧添加用を除く残りのノニオン界面活性剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
【0047】
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を3.2%相当量添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。最後に水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1.5%相当量の微粉A型ゼオライトを加え、0.5%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して粒子を得た。
【0048】
得られた粒子の一部を着色するために、界面活性剤含有粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)その表面に色素の20%水分散液を噴霧し、洗浄剤粒子A1(平均粒子径550μm、嵩密度0.84g/cm)を得た。
また、洗浄剤粒子A1の調製方法と同様にして、洗浄剤粒子A2、A4(平均粒子径550μm、嵩密度0.85g/cm)を得た。
【0049】
[洗浄剤粒子の調製方法2]
下記表1に示す組成に従って、以下の手順で洗浄剤粒子A3を調製した。まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を50℃に調整した。これに硫酸ナトリウム及び蛍光剤を添加し、10分間撹拌した。続いて、炭酸ナトリウムを添加した後に、PAS(ポリアクリル酸ナトリウム塩)を添加し、さらに10分間撹拌した後、塩化ナトリウム及び粉末A型ゼオライトの一部を添加した。さらに、30分間撹拌して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
【0050】
得られた噴霧乾燥用スラリーの温度は50℃であった。このスラリーを、圧力噴霧ノズルを具備した向流式噴霧乾燥装置で噴霧乾燥を行い、水分3%、嵩密度が0.50g/cm、平均粒子径が250μmの噴霧乾燥粒子を得た。
これとは別に、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤を、80℃の温度条件で混合して、含水量10%の界面活性剤組成物を調製した。LAS−Naは水酸化ナトリウム水溶液で中和した溶液状で使用した。
そして、得られた噴霧乾燥粒子を、鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、ジャケットには80℃の温水を10L/分の流量で流しながら、主軸(150rpm)とチョッパー(4000rpm)の撹拌を開始した。そこに上記で調製した界面活性剤組成物を2分間かけて投入し、その後に5分間撹拌した後、層状珪酸塩(後述する商品名SKS−6、平均粒子径5μm)及び粉末A型ゼオライトの一部(10%相当量)を投入して2分間撹拌することによって粒子を得た。
【0051】
得られた粒子と、粉末A型ゼオライトの一部(2%相当量)をVブレンダーで混合し、香料を噴霧した後、界面活性剤含有粒子の一部を着色するために、洗浄剤粒子の調製方法1と同様の方法で色素の20%水分散液を噴霧し、洗浄剤粒子A3(平均粒子径300μm、嵩密度0.78g/cm)を得た。
【0052】
[洗浄剤粒子の調製方法3(ノニオン界面活性剤粒子)]
以下の手順で洗浄剤粒子A5を調製した。
粉末A型ゼオライト47質量部、炭酸ナトリウム15質量部、セルロース3質量部(すべて温度25℃)を鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、主軸200rpm、チョッパー200rpmの撹拌を開始した。撹拌開始後30秒後にノニオン界面活性剤A23質量部を予め60℃に加熱して均一混合したもの)及び水(温度60℃)を2分で添加して、ジャケット温度30℃の条件で撹拌造粒を平均粒子径1000μmになるまで継続して洗浄剤粒子A5を得た。
【0053】
<被覆無機粒子の調製方法>
下記製造方法により、被覆無機粒子を得た。
炭酸ナトリウム85質量部を、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入し(充填率30容積%)、主軸200rpmの撹拌を開始した(チョッパーは停止)。撹拌開始後10秒後にMA剤3質量部を30秒で添加し、造粒・被覆操作を行った。
引き続きレ−ディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸7質量部を30秒で添加し被覆した。
【0054】
<漂白活性化剤造粒物の調整方法>
・漂白活性化剤造粒物Aの調製方法
漂白活性化剤として4−デカノイルオキシ安息香酸(三井化学(株)製)70質量部、PEG(商品名:ポリエチレングリコール#6000M(ライオン(株)製))20質量部、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(商品名:リポランPJ−400(ライオン(株)製))5質量部の割合で合計5000gになるようにホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型(商品名)に投入し、混練押し出しすることにより径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型(商品名)に導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒子径約700μmの漂白活性化剤造粒物Aを得た。
【0055】
・漂白活性化剤造粒物Bの調製方法
はじめに漂白活性化剤4−デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成を、原料として4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学(株)製 試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製 試薬)、デカン酸クロライド(東京化成工業(株)製 試薬)、アセトン(関東化学(株)製 試薬)を用い、以下の方法で行った。
予め脱水処理した4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム3000g(15.3mol)をN,N−ジメチルホルムアミド9000g中に分散させ、スターラーで撹拌しながらデカン酸クロライド2918g(15.3mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶を行って精製し、4−デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶を得た。収率は91%であった。
漂白活性化剤として、4−デカノイルオキシ安息香酸の代わりに上記の方法で合成した4−デカイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた他は、漂白活性化剤造粒物Aと同様にして、漂白活性化剤造粒物Bを調製した。
【0056】
・漂白活性化剤造粒物Cの調製方法
はじめに漂白活性化剤4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成を、原料として4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学(株)製 試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製 試薬)、ラウリン酸クロライド(東京化成工業(株)製 試薬)、アセトン(関東化学(株)製 試薬)を用い、以下の方法で行った。
予め脱水処理した4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム3000g(15.3mol)をN,N−ジメチルホルムアミド9000g中に分散させ、スターラーで撹拌しながらラウリン酸クロライド3347g(15.3mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶を行って精製し、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶を得た。収率は90%であった。
次に以下の方法で漂白活性化剤造粒物を調製した。
漂白活性化剤として、4−デカイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりに上記の方法で合成した4−ドデカイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた他は、漂白活性化剤造粒物Aと同様にして、漂白活性化剤造粒物Cを調製した。
【0057】
<衣料用漂白洗浄剤組成物の調製>
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、上述の様にして製造した洗浄剤粒子や被覆無機粒子、無機過酸化物粒子、及び漂白活性化剤粒子や、必要に応じて酵素粒子を添加し、表2〜4に示す組成に従って植物抽出物を噴霧しつつ、5分間混合し粒状洗剤組成物を得た。
【0058】
実施例中で用いた原料を下記に示す。なお市販品については商品名をメーカー名を示した。また、炭素数は炭化水素基の炭素数を示し、炭素数の比は、その炭素数の炭化水素基を有する化合物どうしの質量比を示す。
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm)。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm)。
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
・MA1:アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa塩、アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)。
・ポリアクリル酸ナトリウム:MW(重量平均分子量)=10000(日本純薬(株)製、アロンビスS又は日本化薬(株)製、パナカヤク)。
・塩化ナトリウム:日精のやき塩C(日本製塩(株)製)。
・層状珪酸塩:結晶性層状ケイ酸ナトリウム (クラリアントトクヤマ社製SKS−6)。
・ラウリン酸:日本油脂(株)製、NAA−122、融点43℃。
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)。
・α−SF−Na(ナトリウム塩):炭素数14:炭素数16=18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製、AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)。
・LAS−K(カリウム塩):直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200(ライオン(株)製)LAS−H(純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化カリウム水溶液で中和する)。表1中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・LAS−Na(ナトリウム塩):直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製ライポンLH−200(LAS−H純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化ナトリウム水溶液で中和する)。表1中の配合量は、LAS−Naとしての質量%を示す。
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:炭素数12:11.7%、炭素数14:0.4%、炭素数16:29.2%、炭素数18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、炭素数18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)。
*F0、F1、F2とは脂肪酸中の二重結合の数である。
・ノニオン界面活性剤A:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%)。
・ノニオン界面活性剤B(AE EO7モル):ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなるノニオン界面活性剤。具体的には、商品名ECOROL26(ECOGREEN社製、炭素数12〜16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン7モル付加体。
・色素A:群青(大日精化工業(株)製、Ultramarine Blue)。
・色素B:Pigment Green 7(大日精化工業(株)製)。
・香料A:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A。
・香料B:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物B。
・香料C:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物C。
・香料D:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物D。
・実施例8で使用した酵素粒子:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX(ライペックス)50T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)/セルザイム0.7T(ノボザイムズ製)=3/1/5/1(質量比)の混合物。
・実施例9で使用した酵素粒子:サビナーゼ12T(ノボザイム製)/LIPEX100T(ノボザイム製)/ステインザイム12T(ノボザイム製)=4/3/3(質量比)の混合物。
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物。
・過炭酸ナトリウム:三菱瓦斯化学(株)製、SPC−D、有効酸素量13.2%、平均粒子径760μm。
・過ホウ酸ナトリウム:ペルボン(三菱ガス化学(株)製)。
・ホワイトカーボン:トクシールN((株)トクヤマ製)。
・セルロース:J.RETTENMIER&SOEHNE社製、ARBOCEL FD−600/30、平均繊維長:45μm、平均繊維厚(直径):25μm。
【0059】
・ティーツリーオイル;ローズオイル;ヤマジソオイル;縮砂の植物抽出物。
以下の調製例にて製造した。
<植物抽出物の調整例>
〔調製例1〕
フトモモ科メラレウカ属植物(M.alternifolia:ティーツリー)葉部、バラ科ローザ属植物(R.damascena)花部、シソ科モスラ属植物(M.japonica:ヤマジソ)地上部を乾燥し、各乾燥物1kgを水蒸気蒸留することにより、それぞれの抽出物を得た。
〔調製例2(縮砂)〕
ショウガ科アモマム属植物(A.xanthioides)地上部および種子を乾燥、粉砕して粗末とし、各粗末10gを70%エタノールに浸漬し、室温で5日間抽出した。残渣をろ別して得られた抽出液を減圧濃縮し、抽出物を得た。
【0060】
・PEG#6000(MW6000のポリエチレングリコール、ライオン(株)社製)
・AOS−Na(ナトリウム塩)粉末品(リポランPJ−400 ライオン(株) 社製)
【0061】
<評価>
上述の様にして製造した衣料用漂白洗浄剤組成物を用いて以下の評価を行った。評価結果を表2〜4にあわせて示した。
[除臭効果評価方法]
衣料用漂白洗浄剤組成物を使用して、下記洗濯方法に従って繊維類を洗濯、乾燥した後、繊維類の臭いを嗅ぎ、下記評価基準に従って悪臭の除臭効果を評価した。
【0062】
(1)洗濯方法。
家庭で半年間使用した手拭きタオル10枚を各々通常生活で約1日使用した後、全自動洗濯機(松下電器製、NA−F70SD1)に入れ、温度約20℃、衣料3kg、硬度約3゜DHの水道水を注水し、おまかせコースで洗濯を行った。洗剤投入量は、洗濯機の洗剤量表示に従った。なお、浴比合わせの衣料は新品の綿100%の肌シャツ(BVD製)を用い、市販合成洗剤トップ(ライオン(株)製)、全自動洗濯機(松下電器産業(株)製、NA−F70SD1)、温度約20℃、硬度約3゜DHの水道水を注水し、おまかせコースで洗濯を5回行ったものを用いた。
【0063】
(2)乾燥方法。
洗濯終了後、室温約25℃、湿度90%RHの室内で干して、5時間乾燥を行った。
【0064】
(3)評価基準。
(1)(2)に記した洗濯・乾燥方法で処理したタオルを6名のパネラーで官能評価を行った。下記評価基準を基に点数化し、6名の平均点で判定した。
5:強烈な臭い。
4:強い臭い。
3:楽に感知できる臭い。
2:何のにおいかわかる弱い臭い。
1:かすかに感じられる臭い。
0:臭わない。
このうち、0点以上1点未満を◎、1点以上2点未満を○、2点以上3点未満を△、3点以上を×とした。
【0065】
[洗浄力評価方法]
U.S.Testing社のTerg−O−Tometerを使用し、これに人工汚染布(平野油脂社製)を10枚とメリヤス布をいれて浴比を30倍に調節した。所定硬度と温度(ドイツ3°DH(塩化カルシウムをイオン交換水に溶解して調製),25℃)の水900mLを入れた後、衣料用漂白洗浄剤組成物を0.45g添加して120rpmで10分間洗浄後、1分間流水すすぎを行い、脱水乾燥して洗浄布とした。下記で表されるクベルカムンク式により洗浄率を求めた。
【0066】
クベルカムンク式:。
洗浄率(%)=(洗浄前K/S − 洗浄後K/S)/(洗浄前K/S − 原布K/S)×100。
ここで、K/S=(1−R)/2R、Rは、日本電色製の色彩計Σ−90を用いて測定される反射率である。そして、洗浄力の評価は、試験布10枚の平均値で行った。なお、評価基準を以下に設定した。
洗浄力 ◎:75%以上。
○:50%以上75%未満。
×:50%未満。
○以上を合格としたが、実施例、比較例全て○〜◎の範囲であった。
【0067】
[除菌活性評価試験]
(1)試験法の概要。
適当な汚れ(モデルとしてウマ血清を使用)と共に細菌を試験片(綿布)に接種し乾燥した後、あらかじめ負荷布を巻き付けたスピンドルに試験片を挿入した。スピンドルをそれぞれ対照試料溶液及び試験試料溶液を入れた試験容器に投入し、試験容器を25℃で10分間、1分当たり60回転の速度で回転させた。スピンドルを容器から取り出し、直ちに試験片を不活性化剤に投入し、試験試料の細菌の増殖を抑制したり、死滅させる性質を不活性化させた。その後、適切な方法で試験片から細菌を洗い出し、試験片に残存する細菌の生菌数を定量した。
【0068】
(2)試料溶液の調製。
表2〜4に示した衣料用漂白洗浄剤組成物20gに対して滅菌硬水(硬度3°DH)30Lを添加して溶解したものを試験試料溶液とした。ポリソルベート80を0.05(w/v)(質量/容量)%となるように滅菌硬水(硬度3°DH)で希釈した水溶液を対照試料溶液とした。
【0069】
(3)供試菌液の調製。
供試菌株(大腸菌:Escherichia coli ATCC 8739株)を、あらかじめ組織培養フラスコ水平培地に植菌し、37℃で18時間培養した。この培養フラスコに、りん酸緩衝液10mLと滅菌済みのガラスビーズ5gを加え、ガラスビーズを寒天の表面で転がして、生育した菌体を回収した。回収した菌液約3mLを新しい試験管に移し、試験管撹拌器で充分に撹拌した。この菌液1.0mLを正確に採取して新しい試験管に移し、適当量のりん酸緩衝液を加えて、生菌数が5.0×10〜5.0×10CFU/mLとなるように調製し、試験管撹拌器で均一になるように撹拌した。生菌数を調整した後、菌液1.9mLを正確に採取して新しい試験管に移し、ウマ血清溶液0.1mLを加えて試験管撹拌器で短時間(2〜3秒)撹拌した。これを供試菌液とした。なお、試験菌液の生菌数は、10倍希釈系列希釈液を調製し、混釈平板培養法によって測定した。
【0070】
(4)試験操作。
(i)あらかじめ滅菌、調湿した試験片(2.5cm×3.75cmの綿布)3枚に供試菌液を20μLずつ接種した。
(ii)調温(35℃)、および塩化アンモニウム飽和水溶液で調湿した密閉容器内に試験片を入れ、20分間乾燥させた。
(iii)試験片をスピンドルに巻いた負荷布の間に挿入した。
(iv)試験容器(容量約500mLの広口ガラス瓶)に試験試料溶液または対照試料溶液をそれぞれ250mLずつ入れた。
(v)試験片を挿入したスピンドルを試料溶液の入った試験容器に入れて容器を密封し、回転速度60回転/分で10分間回転させた。
(vi)スピンドルから試験片3枚を取り出し、不活性化剤(SCDLP培地)30mLを入れたビニール袋に移し、試験片を揉み洗いすることにより試験片に残存する細菌を抽出した。
(vii)抽出した菌液の一部を採取し、滅菌したりん酸緩衝生理食塩水に添加して10倍段階希釈(10希釈)した。
(viii)各希釈液から菌液を採取し、滅菌済みシャーレ2枚にそれぞれ1.0mLずつ分注した。あらかじめ45℃に保温したニュートリエント寒天培地を、これらのシャーレ1枚当たりに15mL加え、よく混合した。シャーレのふたをして室温で放置し、培地が固まった後、シャーレを倒置して37℃で40時間培養した。
【0071】
(5)残存菌数の測定。
培養後のSCD寒天平板に生育したコロニー数をカウントし、希釈倍数を勘案のうえ、試験片に残存した生菌数(CFU/試験片)を算出した。
【0072】
(6)除菌性能(除菌効果)評価基準。
対照試料溶液を用いた場合の残存菌数をSc(CFU/試験片)、試験試料溶液を用いた場合の残存菌数をSt(CFU/試験片)としたとき、各試験試料の除菌性能(除菌活性)Eを次式で算出した。
E=log(Sc)−log(St)。
このとき、E値が大きいほど除菌性能が高く、以下の基準で各組成物の除菌性能を判定した。
◎:E≧3、○:3>E≧2、×:E<2。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
表2〜4に示した結果より、本発明に係る実施例においては、必須成分の相乗効果により、除菌効果、除臭効果に優れることが明らかとなった。また、洗浄力においても充分実用に耐えうる良好な結果が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フトモモ科Melaleuca(メラレウカ)属植物、バラ科Rosa(ローザ)属植物、シソ科Mosla(モスラ)属植物、ショウガ科Amomum(アモマム)属植物のうちから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を固形分換算で0.005〜10質量%、
(B)ノニオン界面活性剤、
(C)無機過酸化物、
(D)下記一般式(I)で表される漂白活性化剤及び/又は下記一般式(II)で表される漂白活性化剤、
を含有することを特徴とする衣料用漂白洗浄剤組成物。
【化1】

[式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数7〜13のアルキル基またはアルケニル基であり;Mは水素原子または当該漂白活性化剤に水溶性を与える陽イオンである。]
【請求項2】
さらに酵素を含む請求項1に記載の衣料用漂白洗浄剤組成物。



【公開番号】特開2007−169573(P2007−169573A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373050(P2005−373050)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】