説明

衣服にて着用者のパラメータを監視する記録計、およびその使用法

高い機械的ストレスによって分けられる活動を実際の状態において行なう人の物理的および/または生体医学的なパラメータに関する情報は、その活動の実行中に着用される衣服に備えられまたはその一部を形成するセンサー(10,12,16,18,20,22,30)によって、検知される。その活動を実行する全段階の間において、その情報はディジタル形式のデータに変換されて、電子記録装置(100)つまり記録計に格納される。その格納されたデータは、他の人によって、さらに、その活動が行なわれ場所から離れた位置および/またはその後において用いてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速スピード等、身体に作用する高い機械的ストレスによって区別される活動を実際に行なう間に、人の物理的および/または生体医学的な状態に関してのデータを記録する、いわゆる記録計(data logger)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物理的な力を使う間に、もっぱら人の生体医学的パレメータを検出するための手段と関連付けられる記録計は、米国特許6,206,837号に開示されているように知られており、その検出されるパラメータは人の呼吸の中にある。しかし、そのパラメータを検出するために用いられる手段は、マスクが問題の場合には、実際の状態における活動の現実的な実施には適合しない。その結果、この種の装置は、研究室において用いられるだけである。
【0003】
また、身体へのストレスに対抗および/または除くことが可能な解決法の提案によって、モータースポーツ用の衣料製品は、それらの製品のエンドユーザに最大限の保護をもたらす試みが知られており、例えば、自動車やオートバイのレース中にアクシデントが生じた場合に、その身体は重大な結果を受ける。
【0004】
さらに、エレクトロニクス技術と協同して、いわゆる消極防護システム(passive protection systems)を構成する不燃性かつ強い抵抗性の素材の開発に加えて、いわゆる”インテリジェント衣料”や”積極防護システム(active protection systems)”の設計が可能である。例えば、特許出願WO‐A‐01 19850は、モーターサイクリストのジャケットと、ベスト(waistcoat)つまり”ジレ(gilet)”を含み、それは、エアークッション、つまり”エアーバッグ”を形成する3つの膨張式バッグを含み、さらに背部用の硬い防護を含む。そのジャケットは加速度センサーを含み、それによって検出されたデータは中央処理装置に送られて、危険な事態(パイロットが受ける落下や衝撃)において各電動バルブを始動さる。その各電動バルブは、通常は平らでかつジャケットの中に隠された前記膨張式バックに、3つのガスシリンダを接続する。注目すべきは、このシステムの主目的は、危険な事態において防護システムの自動的な起動を確保することであり、このシステムは、正常な使用において、すなわち事故以外の状態において、モーターサイクリストの生体医学的なデータの記録を予想しない。その同じ特許出願においては、光ファイバーセンサを組み入れた複合繊維材料を用いて、ジャケットとベストを製造することが予想され、その光ファイバーセンサは、ジャケットに縫い付けられたディスプレイに、機械的、物理的、および熱のパレメータに関する情報をリアルタイムに送る。この情報は、衣服を着用する人の専用であって、記録はされない。しかし、パイロットとモーターサイクルの相対的な加速度以外には、必要とされるパラメータに関して正確な指示が与えられない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主目的は、遠方の位置の他の人および/またはその後のためにも、上述の要求の多い活動の実行中、すなわち実際の状況において、直接検出される物理的および/または生体医学的なパラメータに関する情報を提供することであり、それは、人によって着用される衣服の少なくとも1つの手段によって提供される。前記の検出は、危険な事態(落下、衝撃など)の間のみに行なわれるだけではなく、前記の活動が行なわれている間であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的は、他の目的と共に、特許請求の範囲に記載の特徴的な構成にしたがって記録計を用いることにより達成される。
【0007】
前記の使用の特定構成、および、そこから生じる利点は、制限されない一例を通して与えられる明細書から、より明らかに現れるであろう。その一例において、人が関与する活動はモーターサイクリング競争であり、また着用される衣服はボディースーツである。本明細書においては、添付図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
モーターサイクリング競争において、パイロットは、速度、加速度、ライディング姿勢、サーキットの特徴などのような変わりやすいシリーズに応じて、様々なライディングポジションをとる。それぞれのライディングポジションに関して、パイロットの体の全ての部分は、様々な力を受ける。それらの力は2つのタイプであり、ボディースーツを通して動きをパイロットの体に伝えるものと、パイロットが動く範囲内の本例の場合は空気である流体によって、ボディースーツに加えられ、そして体自体に掛かるものである。
【0009】
本発明によれば、ボディースーツは記録計100(図1参照)を含み、それは、ボディースーツの空気力学的な”こぶ(hump)”などのような通常保護されている位置に収納される。記録計は、接続手段120によって複数のセンサー10,12,16,18,20,22,30に接続され、それらのセンサーは数を変えることができ、またボディースーツの様々な部分に位置付けられる。また記録計は、各センサーによって供給される情報を取得して処理するための手段102を含む。また、記録計はメモリ構造104を含み、それは、各センサーによって検出されたパラメータに関するデータを記録し、さらに望ましくは、パラメータデータを格納する。また記録計は、データを遠隔送信するための手段106を含んでもよい。
【0010】
図1のシステムの配置は、図2aおよび2bに示されるが実際には、各センサーは、それらが人の体に直接接触してもよいにも拘らずボディースーツ内に組み込まれる。
【0011】
前記ボディースーツは、肩、首、肘、および脊髄の端部の部位に、人体上のボディースーツによって加えられる圧力を検出するための各センサー10,16,18,22がそれぞれ備えられ、その圧力は、それが派生してからの力の方向に応じて正または負である。各センサーは、例えば、Takscan社によって製造される”FlexiForce”の各モデルの中から選んでもよい。他の解決策は、単一のセンサーではなくて、より小さい各センサーの列を備えることを想定する。したがって、モニターされる表面積を増大させること、それと同時に、問題となっている表面積に関してのより大きい鮮明度をデータ内にて得ることが可能である。
【0012】
さらにボディースーツは、腰部内における背中の中央に位置する温度センサー30と、首の下に位置する加速度計12と、心拍を検知するための2つのプレート20と、を含む。全てのセンサーの位置、タイプ、および数を用途に応じて変えることができることは明らかである。
【0013】
その上、それらの構造的特徴、およびボディースーツが作られる素材のタイプ(皮革、伸縮性繊維、網目繊維など)に応じて、各センサーをボディースーツの構造内に組み込んだり、人の体に物理的に接触する面および/または反対(外側)の面に設置してもよい。
【0014】
記録計100は、レーシングのボディースーツの堅い空気力学的な”こぶ(hump)”(不図示)に配置される。当然ながら、例えば、モーターサイクル上に記録計100を設置する等、他の配置も可能である。それがボディースーツに配置される場合、記録計100は、ボディースーツ内に組み込みあるいは組み込まれない可撓性の各接続手段120によって、各センサーに接続される。各接続部120は、例えば、銅製のリード線、光ファイバーなどの多様な種類であってもよく、またセンサーによって生じる信号のタイプ(電圧、電流、光など)に対応するそれぞれの状況において、選択することができる。したがって、情報の電気信号への変換は、様々な変換システム(例えば、光子から電気的な変量、または逆も同様)の手段によって行なうことができ、また関連するインターフェースは、センサー出力あるいは記録計100のインプットのいずれに直接接続してもよい。
【0015】
パイロットの体の様々な部位に及ぼされる圧力の記録および分析、そしてパイロットの体に受けられる圧力の検出の実現性のために、記録計100の多くの適用が予想できる。例えば、プロフェッショナルなレーシングチームの場合には、パイロットのライディングテクニックを評価して、それに関する不具合を補正することが可能である。その結果、人や操縦車両のパフォーマンスの改善をもたらし、さらにサーキットに合わせた効果的なレース戦略の計画の可能性をもたらす。
【0016】
ストレスを知ることにより、個人的な用途のために特別に設計される衣服の開発が可能である。例えば、保護システムの構成や位置を臨機応変に再評価することにより、安全性と信頼性に関しての利点と共に、彼/彼女の活動に関して最適化された衣服をパイロットに提供することが可能である。それらの結果、人の体にもたらされる危険な事態のダイナミックな記録のアクセスを有することは、例えば、事故の場合における市民や犯罪者の責任の確定、および評価の準備や保証金請求を解決する目的のために、法律部門においても関心の可能性がある。
【0017】
危険な事態に関するデータ(あるいは、どんな場合であろうとも全てデータであって、事故以外の活動中に検出されるものを含む)を処理して、監視するオペレータに送ることができる。このようにして、危険な事態に関するデータの例えば医師などの特定のオペレータへの迅速な送信は、可能な限り迅速かつ効果的にもたらされる援助を可能にする。たとえデータがベースステーションに送られないとしても、救急隊員は、事故に苦しむ人に接するとすぐに、彼/彼女の状態についての情報を正確に取得することができことは明らかである。なぜならば、その情報が格納されていて、それを理解できる形式で記録計100から引き出すことができるからである。
【0018】
特許請求の範囲に記載の本発明の保護範囲は、さらに、他の変形や実施例を含む。特に、働きをするために着用される衣服は、ボディースーツと異なる形態、すなわちジャケットやズボンだけでなく、頭を保護するためのヘルメットや他の衣服、あるいは靴や手袋のような手足を保護するための衣服であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、モータサイクルレース中の人に関する物理的および/または生体医学的なデータを記録するためのシステムのブロックを示す。
【図2】図2aおよび図2bは、システムの一部を形成する種々のセンサーの人体に対しての位置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録するための電子装置(100)の使用法であって、
センサー手段(10,12,16,18,22,30)による情報の検知と、
前記情報のディジタル形式のデータへの変換と、
前記データの前記装置への送信と、
前記装置内における前記データの格納と、
を含み、
前記情報は、人体への高い機械的ストレスによって分けられる活動を、実際の状態において行なう人の物理的および/または生体医学的なパラメータに関するものであり、
前記情報の検知は、前記活動を実行する全段階の間において行なわれ、
前記センサー(10,12,16,18,22,30)は、前記活動の実行中に人に着用される衣服に配備され、またはその一部を形成する
ことを特徴とする電子装置の使用法。
【請求項2】
前記センサーは、
人体上の衣服が及ぼす圧力を検知するためのセンサー(10,16,18,22)と、
他のセンサーとして、衣服の温度および/または体の温度、人の動脈圧、心拍を検知するためのセンサー(3)および/または湿度センサーと、
を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置の使用法。
【請求項3】
活動が車両上の人によって行われるときに、前記センサーのいくつかは人と車両との間の加速度を検知することを特徴とする請求項2に記載の電子装置の使用法。
【請求項4】
前記電子装置は、前記活動の実行中に人に着用される衣服に配備され、またはその一部を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子装置の使用法。
【請求項5】
前記装置(100)への前記データの送信を確保する接続手段(120)が、前記活動の実行中に人に着用される衣服に配備され、またはその一部を形成することを特徴とする請求項4に記載の電子装置の使用法。
【請求項6】
人体への高い機械的ストレスによって分けられる活動を、実際の状態において行なう人によって着用される衣服であって、
物理的なパラメータを検知するためのセンサー(10,12,16,18,22)および/または生体医学的なパラメータを検知するセンサー(20,30)を含み、それらは前記衣服の構造内に組み込まれる
ことを特徴とする衣服。
【請求項7】
人体への高い機械的ストレスによって分けられる活動を、実際の状態において行なう人によって着用される衣服であって、
物理的なパラメータを検知するためのセンサー(10,12,16,18,22)および/または生体医学的なパラメータを検知するセンサー(20,30)を含み、それらは、人の体と物理的に接触する衣服の表面および/または衣服の反対面に備えられる
ことを特徴とする衣服。
【請求項8】
センサー(10,12,16,18,20,22,30)によって検知されるディジタル形式の情報を取得して処理するための手段(102)と、関連するメモリ構成と、を含む電子部品(100)用のハウジング好ましくは衝撃から保護される位置が備わり、
前記電子部品(100)への前記情報の送信を確保する接続手段(120)を含みおよび/または収納する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の衣服。
【請求項9】
モーターサイクルまたはカーレースなどの高速スポーツのためのボディースーツなどであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の衣服。
【請求項10】
人の頭を保護するためのヘルメットなどのタイプであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の衣服。
【請求項11】
人の手足を保護するための履物や手袋などのタイプであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の衣服。
【請求項12】
前記電子装置のメモリ構成(104)に格納されるデータの遠隔送信手段(106)用のハウジングが備わることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の衣服。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528521(P2006−528521A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521402(P2006−521402)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006117
【国際公開番号】WO2005/013816
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(502016471)アルパインスターズ リサーチ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (9)
【Fターム(参考)】