説明

衣装シミュレーションシステム、衣装シミュレーション方法、及び衣装シミュレーションプログラム

【課題】Web上で実行されるWebアプリケーションや、店舗等などに備えられたスタンドアローンソフトなど、ぞれぞれの利用状況に対応した処理を、共通のエンジンプログラムを用いて実行する。
【解決手段】衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションシステムであって、ユーザーを撮影したユーザー画像Yを取得するとともに、サンプルとなる人物のサンプル画像Sを取得し、ユーザー画像Yの取得経路の種別を設定し、この設定に従って、ユーザー画像Y又はサンプル画像Sのいずれかを基準画像として選択し、基準色抽出部113において、選択された基準画像から基準色を抽出し、画像合成部114において、基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、基準色に基づいて、被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェディングドレスなどの衣装を、画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションに用いられる衣装シミュレーションシステム、衣装シミュレーション方法、及び衣装シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結婚式を予定している新郎新婦は、式場選びや式の日取り、衣装、料理等を決定する必要がある。そのため、新郎新婦は、それらを決定するために、式場に何度も出向いて、プランナーと長時間にわたって打ち合わせを行っており、多大な時間と手間を要していた。特に、結婚式当日に着用するウェディングドレスなどの衣装は、顧客の多種多様な嗜好に対応しなければならないため、その数も大幅に増加しており、それらの衣装から希望する衣装を選択するには、多くの時間がかかってしまう問題があった。
【0003】
そこで、顧客が実際に衣装を試着しなくても、衣装を試着した雰囲気を画像として表示させる、画像処理を用いたウェディングドレスの試着シミュレーションシステムが提案されている(例えば、非特許文献1)。このシステムでは、ユーザーの体型データに基づいて、ドレスが選択され、そのドレス画像に現在のユーザーの顔を組み込み、ユーザーのドレス姿を画面上に表示させることで、ユーザーに合ったウェディングドレスを選択することができる。
【0004】
ところが、特許文献1に開示された技術は、ユーザーの体型にあったウェディングドレスを選択することができるものの、単にドレス画像の顔部分に顔写真を合成する技術であるため、ユーザーの顔が合成された画像データを閲覧すると、ユーザーの顔の肌色と、ドレス画像部分のモデルとなった人物の肌の色が異なり、実際にユーザーがドレスを着用したような雰囲気を出すことができないという問題があった。
【0005】
このような問題を解決すべく、画像を合成する際、違和感がないように加工処理する技術がある(例えば、特許文献2)。この特許文献2に開示された技術では、顔写真とカツラの画像とを合成する際に、生え際付近をユーザーの肌色に合わせて補正することで、合成写真に違和感がないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−147619号公報
【特許文献2】特開2003−8881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示された技術によって合成された画像は、常に、ユーザーの肌色を基準として、他の画像が補正されてしまうため、利用状況によって変化するユーザーのニーズに、対応できないという問題があった。すなわち、ユーザーが試着シミュレーションシステムを利用するシチュエーションとしては、例えば、式場や衣装会社を選ぶ際に、どのようなサービスや設備、衣装のバリエーションがあるかを予め調べるために利用する場合や、既に式場等が決定しており、本格的に衣装を選択するために利用する場合とがある。
【0008】
前者の場合、自宅のパーソナルコンピュータからインターネットを通じて、Web上の情報を検索し、Webページなどで提供されている衣装の試着シミュレーションを行うサービスを利用することがある。このWeb上の試着シミュレーションでは、専用のWebアプリケーションがWebサーバーから提供され、このWebアプリケーションを利用する際、ユーザーが、自宅なので自分自身を撮影し、アップロードし、その画像をシミュレーションに用いる。このとき、ユーザーが自身が写真を撮影するため、撮影条件が良くない画像データを用いられることが多い。
【0009】
ところで、このWebアプリケーションにおいて、自宅でユーザー自身が用意した画像データを使用する場合に、ユーザーの顔の肌色に合わせた合成方法を用いると、ユーザーが想像する自己のウェディングドレス姿における雰囲気とのギャップが大きくなり、正確なシミュレーションができないという問題があった。
【0010】
一方、後者の場合には、店舗において、コーディネータとともに、スタンドアローン型のアプリケーションを用いて、試着シミュレーションが実行され。この場合、プロのカメラマンが専用の撮影設備等により撮影するため、使用される写真も良好であり、その写真を自己の体型や、肌の色に合わせて合成写真を補正することで、実際に着用した際の雰囲気を表現させることができ、ユーザーの要望に添った衣装やメイク等のトータルコーディネートが可能となる。
【0011】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、ウェディングドレスなどの衣装を、画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションにおいて、Web上で実行されるWebアプリケーションや、店舗等などに備えられたスタンドアローンソフトなど、ぞれぞれの利用状況に対応した処理を、共通のエンジンプログラムを用いて実行できる衣装シミュレーションシステム、衣装シミュレーション方法、及び衣装シミュレーションプログラムを提供することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションシステムであって、ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するユーザー画像取得部と、サンプルとなる人物のサンプル画像を複数蓄積するサンプル画像蓄積部と、サンプル画像蓄積部から、任意のサンプルの画像を取得するサンプル画像取得部と、ユーザー画像の取得経路の種別を設定する取得経路設定部と、取得経路設定部における設定に従って、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出部と、基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、基準色に基づいて、被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成部と、ユーザーに関する情報に基づいて、合成画像を加工する画像加工部とを有する。
【0013】
他の発明は、ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーション方法であって、
(1)ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するとともに、サンプルとなる人物のサンプル画像を取得する画像取得ステップと、
(2)ユーザー画像の取得経路の種別を設定し、この設定に従って、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出ステップと、
(3)基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、基準色に基づいて、被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成ステップと、
(4)ユーザーに関する情報に基づいて、合成画像を加工する画像加工ステップとを有する。
【0014】
このような発明によれば、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれか一方の画像を基準画像として選択して、選択されなかった画像を基準画像の基準色に基づいて加工し、これらのユーザー画像とサンプル画像とを合成するので、合成された画像は、例えば、肌の色が統一され、違和感のない合成画像を生成することができる。
【0015】
特に、本発明では、この基準画像の選択は、ユーザー画像の取得経路に応じて決定できるので、例えば、ユーザーのパーソナルコンピュータからインターネットを通じてアップロードされた画像である場合には、基準画像をサンプル画像として合成画像を生成させることで、撮影条件が不良なユーザー画像であっても、肌色が良好なウェディング姿の画像を合成でき、ユーザー画像の撮影環境の影響を受けることなく、試着シミュレーションを実行することができる。一方、店舗内において撮影され、取得された画像である場合には、基準画像をユーザー画像として合成画像を生成することで、ユーザー自身の肌の色に合わせて合成画像を生成することができる。その結果、実際に着用した際の雰囲気を表現させることができ、より具体的な衣装やメイク等のトータルコーディネートが可能となる。
【0016】
そして、本発明によれば、ユーザー画像の取得経路に応じて基準画像の選択方法を切り替えるだけで、共通のモジュールプログラムを使用しつつ、その利用環境に応じたシミュレーションが行えるため、システムやプログラムの開発費を大幅に低減することができる。
【0017】
上記発明において、画像加工部は、合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成する機能をさらに備え、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を合成画像に対して行うとともに、変形処理に用いたパラメータに応じて、付加画像を変形して、付加画像を合成画像に合成することが好ましい。この場合には、挙式時に使用されるネックレス、ティアラ、グローブなどの小物を合成写真に追加する機能を有しているので、様々なウェディングドレス姿をシミュレートすることができる。特に、本発明では、付加画像を追加する際、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を行うことができるので、自己の体型に応じたウェディングドレス姿を表示させ、実際に試着したような画像を生成することができる。
【0018】
また、上記発明において、画像加工部は、合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施す機能をさらに備えていることが好ましい。この場合には、合成画像が、サンプル画像、又はユーザー画像のいずれかの基準色とした場合であっても、その肌の色に合わせて、メイクアップ加工のパラメータを設定することができるので、スタンドアローン型の使用や、Web上での使用によって異なる肌の色に追従して、メイクアップ加工を可能にすることができる。
【0019】
さらに、他の発明は、ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションプログラムであって、コンピューターに、
(1)ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するとともに、サンプルとなる人物のサンプル画像を取得する画像取得ステップと、
(2)ユーザー画像の取得経路の種別を設定し、この設定に従って、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出ステップと、
基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、基準色に基づいて、(3)被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成ステップと、
(4)ユーザーに関する情報に基づいて、合成画像を加工する画像加工ステップとを有する処理を実行させる。
【0020】
このような発明によれば、衣装シミュレーションプログラムを使用することで、特別な処理装置を必要とせず、種々の情報処理装置を上述した衣装シミュレーション装置とし、衣装シミュレーション方法を様々な情報処理装置において実現することができる。すなわち、この衣装シミュレーションプログラムを、汎用的なコンピューターやICチップにインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する衣装シミュレーション装置が構成され、衣装シミュレーション方法を容易に構築することができる。
【0021】
なお、このプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またスタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。そして、このような衣装シミュレーションプログラムは、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することができ、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステムや方法を実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、この発明によれば、ユーザーに対して、ウェディングドレスなどの衣装を、画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションサービスを提供する際、Web上で実行されるWebアプリケーションや、店舗等などに備えられたスタンドアローンソフトなど、ぞれぞれの利用状況に対応した処理を、共通のエンジンプログラムを用いて実行することができる。その結果、本発明によれば、ユーザー画像の取得経路に応じて基準画像の選択方法を切り替えるだけで、共通のモジュールプログラムを使用しつつ、その利用環境に応じたシミュレーションが行えるため、システムやプログラムの開発費を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの全体構成を示す概念図である。
【図2】(a)は、本実施形態に係るスタンドアローン型の情報処理端末として動作する、衣装シミュレーションシステムを構成する各装置の内部構造を示すブロック図であり、(b)は、本実施形態に係るWebサーバーとして動作する、衣装シミュレーションシステムを構成する各装置の内部構造を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る情報処理端末の内部構造を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの画像合成の動作を模式的に示す説明図である。
【図5】実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの色補正の動作を模式的に示す説明図である。
【図6】実施形態に係るウィンドウに表示された画像加工画面を示す説明図である。
【図7】実施形態に係るウィンドウに表示された付加画像追加画面を示す説明図である。
【図8】実施形態に係るウィンドウに表示されたメイクアップ加工画面を示す説明図である。
【図9】実施形態に係る衣装シミュレーション方法を示すフローチャート図である。
【図10】実施形態に係るウィンドウに表示された画像合成画面を示す説明図である。
【図11】実施形態に係る肌色測定センサーの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る衣装シミュレーションシステムの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの全体構成を示す概念図である。
【0025】
(システムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態における衣装シミュレーションシステムは、ユーザー7に対して、ウェディングドレスなどの衣装を仮想的に試着させるシミュレーションサービスで利用可能なシステムである。本実施形態では、所定の言語で作成された本発明の衣装シミュレーションプログラムを、各種の情報処理装置10であるコンピューターにインストールすることで、種々の情報処理装置10を衣装シミュレーション装置として動作させ、衣装シミュレーション方法を実現することができる。
【0026】
具体的には、本実施形態では、単一のエンジンプログラムを備えた衣装シミュレーションプログラムを、異なる利用環境で稼動する各種の情報処理装置10(10a及び10b)にそれぞれインストールし、その利用環境におけるユーザー画像の取得経路の設定を切り替えることで、異なる使用形態に対応した衣装シミュレーションシステムをそれぞれ構築させることができる。
【0027】
詳述すると、図1(a)に示すような、店舗9に設置された汎用的なコンピューターである店舗側装置10aに、本発明の衣装シミュレーションプログラムをインストールした場合には、この衣装シミュレーションプログラムは、スタンドアローンで独立的に動作し、店舗用の衣装シミュレーションアプリケーションとして使用される。そして、この店舗9では、ウェディングコーディネートを受けるべく来店したユーザー7aを、店舗内の撮影機器で撮影し、その撮影した画像データを、サンプル画像と合成して表示部2aに表示させる。
【0028】
一方、通信ネットワーク5に接続された情報処理端末10bに、本発明の衣装シミュレーションプログラムをインストールした場合には、この衣装シミュレーションプログラムは、Webアプリケーションとしてサーバー上で動作し、ウェブ上のバーチャル衣装シミュレーションサービス用として使用される。そして、このバーチャル衣装シミュレーションサービスでは、通信ネットワーク5に接続された複数のユーザー7bが使用するユーザー端末6からのアクセスを受付け、ユーザーが自分で用意した画像をアップロードさせ、そのアップロードされた画像データをサンプル画像と合成して、ユーザーの表示部2bに表示させる。
【0029】
(各装置、及びその内部構造)
次いで、これらの衣装シミュレーションシステムを構成する各装置と、各装置の内部構造について説明する。図2(a)は、本実施形態に係るスタンドアローン型の情報処理端末として動作する、衣装シミュレーションシステムの内部構造を示すブロック図であり、(b)は、本実施形態に係るWebサーバーとして動作する、衣装シミュレーションシステムの内部構造を示すブロック図である。図11は、本実施形態に係る肌色測定センサーの構成を示す斜視図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0030】
(1)スタンドアローン型
先ず、スタンドアローン型の情報処理端末における衣装シミュレーションシステムについて説明する。この場合には、図2(a)に示すように、店舗9内に設置された情報処理装置である店舗側装置10aと、カメラ3aとを備えている。
【0031】
店舗9は、結婚式、披露宴などの婚礼のための施設を提供する結婚式場や、ウェディングドレス等の衣装を販売又は貸し出しする店舗であって、来店したユーザー7aを撮影する設備等を備えている。カメラ3aは、静止画、又は動画を撮影する撮像装置であって、レンズと、CCD、又はCMOSである固定撮像素子から構成され、入射された被写体像を表す光がCCDの受光面に結像され、カメラ信号処理回路及びA/D変換器等を介して、店舗側装置10aに画像データが入力される。
【0032】
また、店舗9内で使用される店舗側装置10aには、ユーザーの肌色を直接測定する肌色測定センサー4が備えられている。肌色測定センサー4は、例えば、皮膚表面に特定波長の光を入射させ、その反射光を受光して特定波長における皮膚の反射率を測定する分光測色計等である。具体的に、肌色測定センサー4は、図11に示すように、ハンディ型の分光測色計であり、先端部に備えられたレンズ41と、本体内部に備えられた白色LEDと、RGBカラーセンサーとを有している。そして、肌色測定センサー4は、この白色LEDを光源として、白色光を皮膚に照射し、皮膚表面からの反射光をレンズ41を介して受光する。この受光された反射光は、本体内部においてRGB検出用カラーセンサーで測定され、色変換することで肌色データとして取得される。なお、この肌色センサー4には、分光測色計で得られる分光反射率データの他、メラニン含有量やヘモグロビン含量等を計測して、肌色データとして取得する機能を追加してもよい。
【0033】
店舗側装置10aは、CPUによる演算処理機能、及び通信インターフェースによる通信処理機能を備えたユーザー端末であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピューターや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、店舗側端装置10aには、記憶部120と、アプリケーション実行部110と、表示部2aと、入出力インターフェース101とが備えられている。
【0034】
表示部2aは、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、液晶ディスプレイ等の表示デバイスとそのディスプレイの表示駆動回路とを含み、ディスプレイ上に画像や文字等を表示する。
【0035】
記憶部120は、各種データを蓄積するメモリ装置等であり、アプリケーションデータや、各機能モジュールにおいて表示される画像データ、ユーザーの名前や住所等の個人情報等などが蓄積されている。そして、記憶部120は、サンプル画像蓄積部120aを有している。
【0036】
サンプル画像蓄積部120aは、サンプルとなる人物のサンプル画像や、ウェディングドレスや、グローブ、ネックレス等のアクセサリーのサンプル画像を複数蓄積するモジュールである。なお、本実施形態において、人物のサンプル画像には、丸顔、面長顔、又は四角顔など、顔の形が異なるサンプル画像を複数有している。また、このサンプル画像としては、顔の各形毎に、肌色の明るさや色合いなど、肌色の種類が異なるバリエーションも含まれており、顔の形状のパターンと肌色の種類とが対応付けられて記憶されている。
【0037】
アプリケーション実行部110は、OS上において、ブラウザソフトや画像再生アプリケーションなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、本実施形態においては、取得したユーザー画像とサンプル画像を合成する機能を有している。
【0038】
入力インターフェース101aは、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスであり、出力インターフェース101bは、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。本実施形態においては、入力インターフェース101aを介して、カメラ3a、及び肌色測定センサー4が接続されており、カメラ3aで撮影された画像データや、肌色測定センサー4で計測された肌色データが店舗側装置10aに入力される。
【0039】
(2)Web型衣装シミュレーションシステム
一方、Web上で使用される衣装シミュレーションシステムには、図2(b)に示すように、通信ネットワーク5に接続されたサーバー装置10bと、ユーザー端末6とを有し、ユーザー端末6にカメラ3bが備えられている。
【0040】
通信ネットワーク5は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(FTTHなどの光回線、ADSL回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型のIP網であり、このIP網には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0041】
ユーザー端末6は、CPUによる演算処理機能、及び通信インターフェースによる通信処理機能を備えたユーザー端末であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピューターや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピューターやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機等が含まれる。
【0042】
そして、ユーザー端末6は、通信インターフェース62と、入力インターフェース61aと、出力インターフェース61bと、ブラウザ部63と、表示部2bとを備えている。
【0043】
ブラウザ部63は、通信ネットワーク5であるインターネットにアクセスして、データの送受信を行うソフトウェアである。このブラウザ部63は、Webページを閲覧するためのアプリケーションソフトであり、インターネットからHTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどをダウンロードし、レイアウトを解析して表示・再生する。また、フォームを使用してユーザーがデータをWebサーバーに送信したり、JavaScriptやFlash、及びJava(登録商標)などで記述されたアプリケーションソフトを動作させたりすることも可能である。
【0044】
そして、ブラウザ部63は、出力インターフェース61bにより、映像や音声を出力することができるとともに、入力インターフェース61aにより、マウスやキーボードなどの操作デバイスからの操作信号が、ユーザー操作として入力される。そして、このブラウザ部63によって、Webページを表示するとともに、Webページ上におけるクリックや文字入力などのユーザー操作が可能となる。
【0045】
通信インターフェース62は、データ通信を行うための通信インターフェースであり、無線等による非接触通信や、ケーブル,アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。入力インターフェース61aは、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスであり、出力インターフェース61bは、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。本実施形態においては、入力インターフェース61aを介して、カメラ3bが接続されており、カメラ3bで撮影された画像データがユーザー端末6に入力される。
【0046】
表示部2bは、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、液晶ディスプレイ等の表示デバイスとそのディスプレイの表示駆動回路とを含み、ディスプレイ上に画像や文字等を表示する。カメラ3bは、静止画、又は動画を撮影する撮像装置であって、レンズと、CCD、又はCMOSである固定撮像素子から構成され、入射された被写体像を表す光がCCDの受光面に結像され、カメラ信号処理回路及びA/D変換器等を介して、ユーザー端末6に画像データが送信される。
【0047】
一方、サーバー装置10bは、CPUによる演算処理機能、及び通信インターフェースによる通信処理機能を備えた情報処理端末であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピューターや、機能を特化させた専用装置により実現することができる。特に、本実施形態において、サーバー装置10bは、例えば、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバーコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアによって実現されるWebサーバー機能を有しており、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、Webブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じて、インターネットなどのIP網を通じて、これらの情報を送信する。
【0048】
そして、本実施形態において、サーバー装置10bは、記憶部120と、アプリケーション実行部110と、通信インターフェース102とを有している。
【0049】
記憶部120は、各種データを蓄積するメモリ装置等であり、アプリケーションデータや、各機能モジュールにおいて表示される画像データ、ユーザーの名前や住所等の個人情報等などが蓄積されている。そして、記憶部120は、サンプル画像蓄積部120aを有している。
【0050】
サンプル画像蓄積部120aは、サンプルとなる人物のサンプル画像や、ウェディングドレスや、グローブ、ネックレス等のアクセサリーのサンプル画像を複数蓄積している。また、本実施形態において、人物のサンプル画像には、丸顔、面長顔、又は四角顔など、顔の形や、肌色の種類が異なるサンプル画像が複数枚含まれている。すなわち、このサンプル画像としては、顔の各形毎に、肌色の明るさや色合いなど、肌色の種類が異なるバリエーションも含まれており、顔の形状のパターンと肌色の種類とが対応付けられて記憶されている。
【0051】
アプリケーション実行部110は、OS上において、ブラウザソフトや画像再生アプリケーションなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、本実施形態においては、画像データの選択処理や合成・加工処理を実行する。通信インターフェース102は、データ通信を行うための通信インターフェースであり、無線等による非接触通信や、ケーブル,アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。
【0052】
(アプリケーション実行部110の内部構造)
次いで、店舗側装置10a、及びサーバー装置10bにおけるアプリケーション実行部110の内部構造について説明する。図3は、店舗側装置10a、及びサーバー装置10bの内部構造を示すブロック図であり、図4は、本実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの画像合成の動作を模式的に示す説明図であり、図5は、衣装シミュレーションシステムの色補正の動作を模式的に示す説明図である。また、図6は、本実施形態に係るウィンドウに表示された画像加工画面を示す説明図であり、図7は、本実施形態に係るウィンドウに表示された付加画像追加画面を示す説明図であり、図8は、本実施形態に係るウィンドウに表示されたメイクアップ加工画面を示す説明図である。
【0053】
このアプリケーション実行部110は、具体的にはCPU等の演算処理装置であり、CPUの他やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールである。本実施形態では、このアプリケーション実行部110で、衣装シミュレーションプログラムを読み込んで実行することによりCPU上に種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。
【0054】
アプリケーション実行部110には、画像データの選択に係るモジュールとして、操作信号取得部103と、ユーザー画像取得部111と、サンプル画像取得部115とが含まれる。
【0055】
操作信号取得部103は、ユーザーによる操作信号を受信するモジュールであり、受信した操作信号を解析し、ユーザー操作に応じた処理を他のモジュールに実行させる。特に、本実施形態において、この操作信号取得部103は、画像合成処理や、取得経路の種別設定等のユーザー操作に関する信号を受信し、アプリケーション実行部110の各モジュールを実行させる。
【0056】
ユーザー画像取得部111は、ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するモジュールである。本実施形態において、ユーザー画像取得部111は、入力インターフェース101a、又は通信インターフェース102を介して、ユーザー画像を取得する。なお、肌色測定センサー4によってユーザーの肌色が測定された場合には、測定されたユーザーの肌色データも入力される。
【0057】
サンプル画像取得部115は、サンプル画像蓄積部120aから、任意のサンプルの画像を取得するモジュールである。本実施形態において、サンプル画像取得部115は、取得したユーザー画像における顔の輪郭部分を、顔認識技術を用いて解析し、ユーザーの顔の形状が、丸顔か、面長顔か、四角顔等のカテゴリーにいずれかに属するかを決定する。そして、その決定されたカテゴリーに属するサンプル画像をサンプル画像蓄積部120aから抽出する。ここで、顔認識技術とは、顔の輪郭部分を特徴点として抽出する技術であって、主成分分析を使った固有顔、線形判別分析、弾性バンチグラフマッチング、隠れマルコフモデル、ニューロン動機づけによるダイナミックリンク照合などが種々の技法を用いることができる。この際、サンプル画像取得部115は、ユーザー画像の肌色についても解析し、決定された顔の形状のカテゴリー内から、ユーザー画像の肌色に近似する肌色を有するサンプル画像を取得する。
【0058】
また、アプリケーション実行部110には、画像データの合成・加工処理に係るモジュールとして、取得経路設定部112と、基準色抽出部113と、画像合成部114と、画像加工部116と、出力信号生成部104とが備えられている。
【0059】
取得経路設定部112は、ユーザー画像の取得経路の種別を設定するモジュールであり、衣装シミュレーションプログラムに対し、手動又は自動で設定されることで、画像を合成する際の基準画像を、ユーザー画像とするか、サンプル画像とするかが決定される。ここで、本実施形態において、コンピューターを店舗側装置10aとして使用する場合には、取得経路を周辺接続機器経路と設定し、コンピューターをWeb上のサーバー装置10bとして使用する場合には、取得経路をWeb経路と設定する。なお、この取得経路設定部112における取得経路の種別の設定は、例えば、衣装シミュレーションプログラムをインストールする際に、ユーザーに選択を要求したり、インストール後にユーザーによる任意の選択操作にて手動で設定されるようにしてもよく、又は、インストール対象となった情報処理装置10の機能(OSやドライバ、ファームウェアの種類、外部デバイスやプラグインの有無など)を自動的に検出して、その検出された機能に応じて自動的に設定するようにしてもよい。
【0060】
基準色抽出部113は、取得経路設定部112での設定に従って、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出するモジュールである。本実施形態において、基準色抽出部113は、取得経路設定部112での設定が周辺接続機器経路と設定されている場合には、ユーザー画像を基準画像とし、そのユーザー画像の肌色を基準色としたり、肌色測定センサー4によって測定された肌色データを基準色として抽出する。一方、基準色抽出部113は、取得経路設定部112での設定がWeb経路と設定されている場合には、サンプル画像を基準画像として抽出し、サンプル画像の肌色を基準色として抽出する。
【0061】
画像合成部114は、基準画像として選択されなかった画像を加工画像とし、基準色に基づいて、加工画像を加工するとともに、加工した加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成するモジュールである。具体的に、画像を合成する処理においては、図4に示すように、ユーザー画像の顔部分Y1を、顔認識技術を用いて、目、鼻、口、及び輪郭を解析し、目、鼻、口を含む顔の中心部分Pを決定する。そして、合成するサンプル画像の顔部分S1に応じて、ユーザー画像Yを拡大・縮小したり、ユーザー画像Yの傾きを補正して、合成する顔部分Y1を切り出す。そして、サンプル画像の顔部分S1に、切り出したユーザー画像の顔部分Y1を嵌め込む。
【0062】
さらに、画像合成部114は、画像の色を補正する処理を実行する。本実施形態において、合成画像の色補正は、基準画像がユーザー画像か、サンプル画像かを判断し、基準画像として選択されなかった画像を加工画像とし、基準色に基づいて、加工画像を加工する。具体的に、画像合成部114は、例えば、基準画像がユーザー画像であった場合には、図5(a)に示すように、サンプル画像の顔部分S1にユーザー画像の顔部分Y1を合成するとともにサンプル画像の顔の周辺部分S2と、上半身部分S3とをユーザー画像の顔部分Y1の肌色に補正する。
【0063】
一方、基準画像がサンプル画像で合った場合には、図5(b)に示すように、サンプル画像の顔部分S1にユーザー画像の顔部分Y1を合成するとともに、ユーザー画像の顔部分Y1をサンプル画像の顔の周辺部分S2と、上半身部分S3の肌の色に補正する。なお、本実施形態においては、基準画像と加工画像とを合成した後に色の補正を処理したが、本発明は、これに限定するものではなく、加工画像の色を補正した後に基準画像と加工画像とを合成する構成であってもよい。
【0064】
画像加工部116は、合成画像を加工するモジュールであり、ユーザーに関する情報に基づく合成画像を加工する機能を有している。具体的には、図6(a)に示すように、体型等に関する情報の各項目243が表示されたパラメータ画面240が表示され、ユーザーが各項目243のスライダ241を調整するか、入力値欄242に数値を入力することで、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を合成画像に対して行い、図6(b)に示すように、全体画面210に表示されたユーザーの全体姿211が変更されるようになっている。
【0065】
また、画像加工部116は、合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成する機能を有している。具体的には、図7に示すように、ウィンドウ200に表示されたパーツ画面220において、髪型、ドレス、アクセサリー等のアイコン画像221が表示され、このアイコン画像221のいずれかが選択されることで、全体画面210部分に表示されたユーザーの全体姿211に、ドレスやアクセサリーのアイコン画像221が追加して合成されるようになっている。なお、この際、画像加工部116は、変形処理に用いたパラメータに応じて、付加画像を変形して、付加画像を合成画像に合成する機能を有している。すなわち、例えば、ユーザーに関する情報を変更し、ユーザーの全体姿のサイズ等が変更された場合には、付加画像であるドレス画像や、アクセサリー画像についても、同比率で変更されて合成されるようになっている。
【0066】
さらに、画像加工部116は、合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施す機能を有している。具体的に、このメイクアップ加工は、図8に示すように、ウィンドウ200にメイクアップ加工処理画面250と、顔部分の拡大画面260が表示され、メイクアップ加工処理画面250に表示された各スライダ251を変更させたり、つけまつげなどのアイコン画像252を選択することで、顔部分の拡大画面260の肌色をRGBにより補正させたり、アイコン画像を追加させたりする。
【0067】
この際、画像加工部116は、取得経路の種別、基準色に関する情報、及び被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、色変更処理に関するパラメータを設定する。なお、このメイクアップされたメイクデータは、記憶部120に保存することができる。
【0068】
出力信号生成部104は、ユーザー画像取得部111で取得されたユーザー画像や、アプリケーション実行部110によって実行された画像合成処理や、加工処理の実行結果を映像信号及び音声信号に変換し、表示部2a,2bやスピーカーで出力可能な信号に生成するモジュールである。なお、本実施形態では、サンプル画像とユーザー画像との合成画像のみを表示させるものではなく、合成写真と式場の写真を合成し、挙式風景画像を生成し、表示させることもでき、挙式トータルでの雰囲気を再現させることができる。
【0069】
(衣装シミュレーションプログラム)
本実施形態係る衣装シミュレーションシステム及び衣装シミュレーション方法は、所定の言語で記述されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することができる。すなわち、このプログラムを、ユーザー端末やWebサーバ等のコンピュータやICチップにインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを容易に構築することができる。このプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またスタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。
【0070】
そして、このようなプログラムは、汎用コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。本実施形態は書き込み不可のCD−ROMやDVD−ROM中にあるコンテンツに対してリンクを設けることができる特徴を有する。
【0071】
そして、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピュータや専用コンピュータを用いて、上述したシステムや方法を実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0072】
このような発明によれば、衣装シミュレーションプログラムを使用することで、特別な処理装置を必要とせず、種々の情報処理装置を上述した衣装シミュレーション装置とし、衣装シミュレーション方法を様々な情報処理装置において実現することができる。
【0073】
(衣装シミュレーション方法)
以上の構成を有する衣装シミュレーションシステム又は衣装シミュレーションプログラムを動作させることによって、本発明の衣装シミュレーション方法を実施することができる。図9は、本実施形態に係る衣装シミュレーションシステムの動作を示すフローチャート図であり、図10は、本実施形態に係るウィンドウに表示された画像合成画面を示す説明図である。
【0074】
先ず、ユーザー画像の取得経路の種別を設定する(S101)。本実施形態においては、店舗側装置10aに衣装シミュレーションプログラムをインストールした場合には、設定を周辺接続機器経路と設定し、サーバー装置10bに衣装シミュレーションプログラムをインストールした場合には、設定をWeb経路と設定する。次いで、ユーザーをカメラ3a、3bによって撮影し、そのユーザー画像データを、入力インターフェース101a、又は通信インターフェース102を介して、店舗側装置10a、又はサーバー装置10bに送信する。
【0075】
店舗側装置10a、又はサーバー装置10bは、ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するとともに(S102)、サンプルとなる人物のサンプル画像を取得する(S103)。この際、サンプル画像取得部115は、取得したユーザー画像における顔の輪郭部分を、顔認識技術を用いて解析して、ユーザーの顔の形状が、丸顔か、面長顔か、四角顔等のカテゴリーにいずれかに属するかを決定する。さらに、サンプル画像取得部115は、ユーザー画像の肌色についても解析し、決定された顔の形状のカテゴリー内から、ユーザー画像の肌色に近似する肌色を有するサンプル画像を決定する。そして、その決定されたカテゴリーに属する顔の形のサンプル画像をサンプル画像蓄積部120aから抽出し、図10に示すように、ユーザーの顔の形と、肌色の種類に近似するサンプル画像を表示する。
【0076】
さらに、店舗側装置10a、又はサーバー装置10bは、種別設定に従って、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれかを基準画像として選択し(S104)、選択された基準画像から基準色を抽出する(S105)。具体的には、店舗側装置10aでは、取得経路設定部112での設定が周辺接続機器経路と設定されており、基準色抽出部113は、ユーザー画像を基準画像とし、そのユーザー画像の肌色を基準色として抽出したり、肌色測定センサー4によって測定された肌色データを基準色として抽出する。一方、サーバー装置10bでは、取得経路設定部112での設定がWeb経路と設定されており、基準色抽出部113は、サンプル画像を基準画像として抽出し、サンプル画像の肌色を基準色として抽出する。
【0077】
そして、図10に示すように、ウィンドウ200に表示された顔合成画面230において、サンプル画像231と、ユーザー画像232とが表示され、ユーザーによって、MIXボタン235がクリックされると、画像合成部114は、基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、基準色に基づいて、被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を基準画像へ合成し、合成画像を生成する(S106)。
【0078】
詳述すると、先ず、画像合成部114は、ユーザー画像の顔部分Y1を顔認識技術及び特徴点抽出技術を用いて解析し、図4に示すように、目、鼻、口を含む顔の中心部分Pを決定する。そして、合成するサンプル画像の顔の大きさに応じて、ユーザー画像を拡大・縮小したり、ユーザー画像Yの傾きを補正して、合成する顔部分Y1を切り出す。そして、サンプル画像の顔部分S1に、切り出したユーザー画像の顔部分Y1を嵌め込む。
【0079】
次ぎに、画像の色を補正する。画像合成部114は、先ず、基準色抽出部113によって選択された基準画像を判別し、その基準画像の肌部分の色を決定する。そして、画像合成部114は、加工画像を基準画像の肌色に補正する。具体的に、基準画像がユーザー画像であった場合には、図5(a)に示すように、サンプル画像の顔部分S1にユーザー画像の顔部分Y1を合成するとともに、サンプル画像の顔の周辺部分S2と、上半身部分S3とをユーザー画像の顔部分Y1の肌色に補正する。
【0080】
一方、基準画像がサンプル画像で合った場合には、図5(b)に示すように、サンプル画像の顔部分S1にユーザー画像の顔部分Y1を合成するとともに、ユーザー画像の顔部分Y1をサンプル画像の顔の周辺部分S2と、上半身部分S3の肌の色に補正する。そして、図10に示したウィンドウ200の「この画像を使用する」ボタンをクリックすることで、全体画面210にユーザーの顔が表示された全体姿211が表示させる。
【0081】
さらに、ユーザーは、ユーザーに関する情報に基づいて、合成画像を加工する(S107)。本実施形態における合成画像の加工は、図9(b)に示すように、先ず、合成写真に対して、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を行う(S201)。具体的には、図6(a)に示すように、ユーザーがウィンドウ200に表示されたパラメータ画面240の各項目243のスライダ241を調整したり、入力値欄242に数値を入力する。そして、画像加工部116は、その調整又は数値入力に応じて、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を合成画像に対して行い、図6(b)に示すように、全体画面210に表示されたユーザーの全体姿211を変更する。
【0082】
次いで、画像加工部116は、合成画像に対して、部分的な画像を付加画像として追加して合成する(S202)。具体的には、図7に示すように、パーツ画面220に表示されたアイコン画像221をユーザーが選択すると、全体画面210部分に表示されたユーザーの全体姿211に、アイコン画像221が追加して合成され、表示される。この際、画像加工部116は、変形処理に用いたパラメータに応じて、付加画像についても同比率で変形し、付加画像を合成画像に合成し、表示する。
【0083】
また、ユーザーは、合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を実行する(S203)。この際、画像加工部116は、図10に示すように、取得経路の種別、基準色に関する情報、及び被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、色変更処理に関するメイクアップ加工処理画面250のパラメータを設定する。
【0084】
なお、本実施形態においては、衣装シミュレーションシステム、衣装シミュレーション方法、及び衣装シミュレーションプログラムを用いて、ウェディングドレスの衣装を画面上において仮想的に試着させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、衣装の画像と人物及び動物等の画像とを合成して画面上に仮想的に試着させることができればよく、例えば、七五三用の衣装、成人式用の衣装、キャラクタ衣装、及びペット衣装等の様々な衣装を用いてもよい。
【0085】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、ユーザー画像又はサンプル画像のいずれか一方の画像を基準画像として選択し、選択されなかった画像を基準画像の基準色に基づいて加工し、これらのユーザー画像とサンプル画像とを合成するので、合成された画像は、例えば、肌の色が統一され、違和感のない合成画像を生成することができる。
【0086】
特に、本実施形態では、この基準画像の選択は、ユーザー画像Yの取得経路に応じて決定することができるので、例えば、ユーザーのパーソナルコンピュータからインターネットを通じてアップロードされた画像である場合には、基準画像をサンプル画像Sとして合成画像を生成することで、撮影条件が不良なユーザー画像Yであっても、合成されたウェディング姿の画像を良好な画像にすることができ、ユーザーに対して、サービスを提供する会社のウェディングドレスに対する興味を促すことができる。
【0087】
一方、店舗内において、撮影機器から転送され、USB等の周辺機器接続ケーブルを通じて取得された画像である場合には、基準画像をユーザー画像Yとして合成画像を生成することで、自己の肌の色に合わせて合成画像を生成することができ、実際に着用した際の雰囲気を表現させることができる。
【0088】
本実施形態において、画像加工部116は、合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成する機能をさらに備え、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を合成画像に対して行うとともに、変形処理に用いたパラメータに応じて、付加画像を変形して、付加画像を合成画像に合成するので、挙式時に使用されるネックレス、ティアラ、グローブなどの小物のアイコン画像221を全体画面210の全体姿211に追加するので、様々なウェディングドレス姿をシミュレートすることができる。特に、本実施形態では、付加画像を追加する際、画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を行うことができるので、自己の体型に応じたウェディングドレス姿を表示させることができる、実際に試着したような画像を生成することができる。
【0089】
また、本実施形態において、画像加工部116は、合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施す機能を備えているので、自己の顔を合成したウェディングドレス姿の顔部分にメイクアップすることができ、さらに、実際にウェディングドレスを着た際の雰囲気を提供することができる。特に、本実施形態において、メイクアップ加工機能は、取得経路の種別、基準色に関する情報、及び被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、色変更処理に関するパラメータを設定するので、合成画像が、サンプル画像S、又はユーザー画像Yのいずれかの基準色とした場合であっても、その肌の色に合わせたメイクアップ加工が可能なパラメータを設定することができ、スタンドアローン型の使用や、Web上での使用によって異なる肌の色に追従して、メイクアップ加工を可能にすることができる。
【符号の説明】
【0090】
P…中心部分
S…サンプル画像
S1…サンプル画像の顔部分
S2…サンプル画像の顔の周辺部分
S3…サンプル画像の上半身部分
Y…ユーザー画像
Y1…ユーザー画像の顔部分
2(2a,2b)…表示部
3(3a,3b)…カメラ
4…肌色測定センサー
5…通信ネットワーク
6…ユーザー端末
7(7a,7b)…ユーザー
9…店舗
10…情報処理装置
10a…店舗側装置
10b…サーバー装置
41…先端部
61a…入力インターフェース
61b…出力インターフェース
62…通信インターフェース
63…ブラウザ部
101…入出力インターフェース
101a…入力インターフェース
102…通信インターフェース
103…操作信号取得部
104…出力信号生成部
110…アプリケーション実行部
111…ユーザー画像取得部
112…取得経路設定部
113…基準色抽出部
114…画像合成部
115…サンプル画像取得部
116…画像加工部
120…記憶部
120a…サンプル画像蓄積部
200…ウィンドウ
210…全体画面
210…合成写真
211…全体姿
220…パーツ画面
221…アイコン画像
230…顔合成画面
231…サンプル画像
232…ユーザー画像
235…MIXボタン
240…パラメータ画面
241…スライダ
242…入力値欄
243…項目
250…メイクアップ加工処理画面
251…スライダ
252…アイコン画像
260…顔部分の拡大画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションシステムであって、
ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するユーザー画像取得部と、
サンプルとなる人物のサンプル画像を複数蓄積するサンプル画像蓄積部と、
前記サンプル画像蓄積部から、任意のサンプルの画像を取得するサンプル画像取得部と、
前記ユーザー画像の取得経路の種別を設定する取得経路設定部と、
前記取得経路設定部における設定に従って、前記ユーザー画像又は前記サンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出部と、
前記基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、前記基準色に基づいて、該被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を前記基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成部と、
前記ユーザーに関する情報に基づいて、前記合成画像を加工する画像加工部と
を有することを特徴とする衣装シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記画像加工部は、前記合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成する機能をさらに備え、
画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を前記合成画像に対して行うとともに、前記変形処理に用いたパラメータに応じて、前記付加画像を変形して、前記付加画像を前記合成画像に合成する
ことを特徴とする請求項1に記載の衣装シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記画像加工部は、前記合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施す機能をさらに備え、
前記取得経路の種別、前記基準色に関する情報、及び前記被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、前記色変更処理に関するパラメータを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の衣装シミュレーションシステム。
【請求項4】
ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーション方法であって、
ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するとともに、サンプルとなる人物のサンプル画像を取得する画像取得ステップと、
前記ユーザー画像の取得経路の種別を設定し、この設定に従って、前記ユーザー画像又は前記サンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出ステップと、
前記基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、前記基準色に基づいて、該被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を前記基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成ステップと、
前記ユーザーに関する情報に基づいて、前記合成画像を加工する画像加工ステップと
を有することを特徴とする衣装シミュレーション方法。
【請求項5】
前記画像加工ステップでは、
前記合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成し、
画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を前記合成画像に対して行うとともに、前記変形処理に用いたパラメータに応じて、前記付加画像を変形して、前記付加画像を前記合成画像に合成する
ことを特徴とする請求項4に記載の衣装シミュレーション方法。
【請求項6】
前記画像加工ステップでは、
前記合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施し、
前記取得経路の種別、前記基準色に関する情報、及び前記被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、前記色変更処理に関するパラメータを設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の衣装シミュレーション方法。
【請求項7】
ユーザーに対して、衣装を画面上で仮想的に試着させる衣装シミュレーションプログラムであって、コンピューターに、
ユーザーを撮影したユーザー画像を取得するとともに、サンプルとなる人物のサンプル画像を取得する画像取得ステップと、
前記ユーザー画像の取得経路の種別を設定し、この設定に従って、前記ユーザー画像又は前記サンプル画像のいずれかを基準画像として選択し、選択された基準画像から基準色を抽出する基準色抽出ステップと、
前記基準画像として選択されなかった画像を被加工画像とし、前記基準色に基づいて、該被加工画像を加工するとともに、加工した被加工画像を前記基準画像へ合成し、合成画像を生成する画像合成ステップと、
前記ユーザーに関する情報に基づいて、前記合成画像を加工する画像加工ステップと
を有する処理を実行させることを特徴とする衣装シミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記画像加工ステップでは、
前記合成画像に対して、さらに部分的な画像を付加画像として追加して合成し、
画像のサイズ、縦横比、形状のいずれかを含む変形処理を前記合成画像に対して行うとともに、前記変形処理に用いたパラメータに応じて、前記付加画像を変形して、前記付加画像を前記合成画像に合成する
ことを特徴とする請求項7に記載の衣装シミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記画像加工ステップでは、
前記合成画像の一部に着色、色調変更、明度変更、又は画像合成のいずれかの色変更処理を含むメイクアップ加工を施し、
前記取得経路の種別、前記基準色に関する情報、及び前記被加工画像に対する加工に関する情報に基づいて、前記色変更処理に関するパラメータを設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の衣装シミュレーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−94048(P2012−94048A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242237(P2010−242237)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
2.JavaScript
【出願人】(598167899)株式会社フジミック (7)
【Fターム(参考)】