説明

表示パネル、表示装置、および表示モジュール

【課題】 実際の表示に使われない領域の有効な利用を図った表示パネル、表示装置、および表示モジュールを提供する。
【解決手段】 有機ELパネル2には、輝度検出センサ51、温度センサ52、および2つの照度センサ53,54の4つのセンサが、実表示領域8aと実表示領域以外の領域8bとを有する発光エリア8のうち、実表示領域以外の領域8bに配置されている。実際の表示に使われない実表示領域以外の領域8bを有効に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両、航空機、船舶、電車等の移動体に搭載され、移動体の速度、エンジン回転数等を画像表示する有機ELパネル等の表示パネル、表示装置、および表示モジューに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される車両用表示装置として、光センサを計器盤の表面に設置したものが知られている(特許文献1参照)。この従来の車両用表示装置は、スピードメータ等を配置した計器盤と、文字・絵情報等を表示する情報表示パネルとを備える。透光性文字板を有する計器盤の裏面には照明ランプが配置されており、スピードメータ内の各種情報を表示するインジケータに隣接して光センサが設けられている。この光センサの検出結果に従って計器盤上での実際の照度を検出し、この検出結果に基づいて照明ランプを調光して運転者が見やすい照明を行うようになっている。
【0003】
また、車両のインストルメントパネルに搭載される車両用情報表示装置として、液晶ディスプレイ装置によって構成される一つの画面(マルチディスプレイ装置)内に、複数の表示をさせるようにしたものが知られている(特許文献2参照)。このような車両用情報表示装置では、表示パネルとして一つの液晶パネルを使っている。
【特許文献1】特開2001−260707号公報
【特許文献2】特開2004−291731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献2に記載されているような従来の車両用情報表示装置では、一つの液晶パネル内に複数の表示をさせる構成であるため、次のような問題がある。
その表示装置を車両のインストルメントパネルに搭載してスピードメータ等のメータを画像表示させる場合、液晶パネルの発光エリアには、実際の表示に使用している実表示領域(メータ等を画像表示する円形の表示部)と、実表示領域以外の領域とができ、その発光エリアが有効に利用されていない。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、実際の表示に使われない領域の有効な利用を図った表示パネル、表示装置、および表示モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における表示パネルは、複数の画素がマトリクス状に配置された発光エリアと前記画素が配置されない非発光エリアとを含み、各画素の電気光学素子を駆動して画像を表示する表示パネルにおいて、前記発光エリアは、画像表示に用いられる実表示領域と、実表示領域以外の領域とを有し、前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとの少なくとも一方に配置された少なくとも一つのセンサを備えることを要旨とする。
【0007】
これによれば、実表示領域以外の領域と非発光エリアとの少なくとも一方に少なくとも一つのセンサを配置しているので、実際の表示に使われない領域を有効に利用することができる。 ここで、「電気光学素子」とは、電気的な作用により光学特性が変化する素子の意であり、例えば、液晶、エレクトロルミネッセンス素子である有機EL素子等を含む。
【0008】
この表示パネルにおいて、前記少なくとも一つのセンサとして外光の照度を検出する照度センサが、前記非発光エリアに配置されていることを要旨とする。
これによれば、非発光エリアに配置された照度センサにより、表示パネルに実際に当たっている光の照度を正確に検出することができる。これにより、照度センサで検出した信号を使って、外光や車室内の明るさに応じてパネルの明るさを変える制御等を行うことができる。
【0009】
この表示パネルにおいて、前記少なくとも一つのセンサとしてパネルの温度を検出する温度センサが、前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域に配置されていることを要旨とする。
【0010】
これによれば、実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域に配置された温度センサにより、表示パネルの温度を正確に検出することができる。これにより、温度センサで検出した信号を使って、パネルの温度に応じてRGB(赤、緑、青)の色バランスを変えたり、表示デザインを変えたりする制御を行うことができる。例えば、表示パネルが有機ELパネルであって、この有機ELパネルでメータ等を画像表示する場合、パネル温度が高いときには、熱に弱い色の有機EL素子を極力発光させないように制御したり、数字や目盛り等の背景色を熱に弱い色から熱に強い色に変えたりする制御を行うことができる。このような制御により、熱に弱い色の有機EL素子の発光寿命の劣化を抑制することができる。ここで、熱に弱い有機EL素子とは、熱をかけることにより、輝度劣化が著しく加速されるような素子をいう。
【0011】
この表示パネルにおいて、前記表示パネルは、前記電気光学素子としてエレクトロルミネッセンス素子が前記各画素に設けられたエレクトロルミネッセンスパネルであり、前記少なくとも一つのセンサとして前記エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度を検出する輝度検出センサが、前記実表示領域以外の領域に配置されていることを要旨とする。
【0012】
これによれば、実表示領域以外の領域に配置された輝度検出センサによりエレクトロルミネッセンス素子の発光輝度を検出することができるので、ある期間使用した後に、エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度がどのくらいであるかを知ることができる。また、輝度検出センサは、発光エリア内の実表示領域以外の領域に配置されているので、その実表示領域以外の領域内にある画素のエレクトロルミネッセンス素子で実際に発光した光の輝度を検出してモニタすることができる。このため、従来のエレクトロルミネッセンスパネルのように、エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度を検出するためにダミー画素を設ける必要がない。ちなみに、従来のエレクトロルミネッセンスパネルでは、発光エリア内にある画素の発光輝度は検出できないので、アクティブエリアの外側にダミー画素を設けて、そのダミー画素の発光輝度をモニタするようにしている。
【0013】
本発明における表示装置は、前記表示パネルを用いた表示装置において、前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、該パネルカバーには、前記パネル表面の、前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域内に外部光を導入する外部光導入用孔が設けられており、前記照度センサは、前記パネル表面上の前記外部光導入用孔から外部光が導入される位置に配置されているとともに、前記外部光導入用孔内に収容されていることを要旨とする。
【0014】
これによれば、発光エリア内の実際の表示に使われない領域である実表示領域以外の領域を有効に利用した表示装置を実現することができる。また、表示パネルのパネル表面に取り付けられるパネルカバーの一部を利用して照度センサを配置することができる。
【0015】
本発明における表示装置は、前記表示パネルを用いた表示装置において、前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、前記温度センサは前記パネル表面の前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域内に配置されているとともに、前記パネルカバーに設けられた温度センサ収容凹部に収容されていることを要旨とする。
【0016】
これによれば、発光エリア内の実際の表示に使われない領域である実表示領域以外の領域を有効に利用した表示装置を実現することができる。また、表示パネルのパネル表面に取り付けられるパネルカバーの一部を利用して温度センサを配置することができる。
【0017】
本発明における表示装置は、前記表示パネルを用いた表示装置において、前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、前記輝度検出センサは、前記複数の画素のうち前記実表示領域以外の領域内にある画素の前記エレクトロルミネッセンス素子で発光した光を受光する位置にあって、前記パネルカバーに設けられた輝度検出センサ収容凹部に収容されていることを要旨とする。
【0018】
これによれば、発光エリア内の実際の表示に使われない領域である実表示領域以外の領域を有効に利用した表示装置を実現することができる。また、表示パネルのパネル表面に取り付けられるパネルカバーの一部を利用して輝度検出センサを配置することができる。
【0019】
本発明における表示モジュールは、前記表示パネルを複数個並べて配置し、該複数個の表示パネルで異なる画像を表示させるように構成したことを要旨とする。
これによれば、複数個の表示パネルで異なる画像を表示させる表示モジュールにおいて、各表示パネルの発光エリア内の実表示領域以外の領域を有効に利用することができる。
【0020】
本発明における表示モジュールは、前記表示パネルを備え、前記表示パネルの発光エリア内の複数の実表示領域で異なる画像を表示させるように構成したことを要旨とする。
これによれば、1枚のパネルで異なる画像を表示させる表示モジュールにおいて、表示パネルの発光エリア内の実表示領域以外の領域を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明において同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る表示装置1を図1〜図4に基づいて説明する。
【0022】
この表示装置1は、移動体として自動車等の車両に搭載されてスピードメータやタコメータ等のメータを画像表示するものである。本実施形態に係る表示装置1は、一例として、自動車等の車両40のインストルメントパネル41(図9参照)に搭載されて、スピードメータの画像を表示するようになっている。
【0023】
表示装置1は、図1および図2に示すように、エレクトロルミネッセンスパネルとしての有機ELパネル2と、この有機ELパネル2の表面(パネル表面3)に取り付けられたパネルカバー20とを備える。
【0024】
表示パネルとしての有機ELパネル2は、図2に示すように、エレクトロルミネッセンス素子としての有機EL素子221をそれぞれ有する複数の画素220がマトリクス状に配置された発光素子基板11と、複数の画素220を密封するように発光素子基板11に接合された封止基板12とを備える。図2では複数の画素220のうちの一つのみを示し
てある。この有機ELパネル2は、複数の画素220の各有機EL素子221で発光した光が図3の矢印で示すように、有機ELパネル2のパネル表面3側から出射するボトムエミッションタイプの有機ELパネルである。なお、そのパネル表面3は、発光素子基板11の表面である。
【0025】
有機ELパネル2の光出射面であるパネル表面3には、外部入射光がその表面で反射するのを抑制するために図示を省略した円偏光板が貼付けられている。この円偏光板は、有機ELパネル2の発光エリア8のうち、スピードメータを画像表示する実表示領域8a全体を覆うように配置されている。その発光エリア8は、図2において符号「8」で示す矩形の領域全体である。この発光エリア8の周囲が、いわゆる額縁と呼ばれる非発光エリア9(図2参照)になっている。そして、発光エリア8は、画像表示に用いられる実表示領域8aと、実表示領域以外の領域8b(図1および図2の斜線で示す領域)とを有する。つまり、この実表示領域以外の領域8bは、発光エリア8のうち、画像表示に使用されない領域である。
【0026】
有機ELパネル2の発光素子基板11上には、図3では図示を省略してあるが、陽極として機能する矩形状の画素電極がマトリクス状に形成されており、各画素電極上に、例えば、正孔注入/輸送層と発光層とが順次積層形成され、発光層が形成された基板のほぼ全面に渡って陰極が形成されている。また、各画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)等が電気的に接続されており、各画素電極、その上に形成された正孔注入/輸送層、発光層、および陰極により、各画素220の有機EL素子221(図2参照)が構成されている。つまり、図2に示す一つの画素の有機EL素子221は、透明な画素電極と、正孔注入/輸送層と、発光層と、共通電極である陰極とで構成されている。さらに、発光素子基板11上には、複数の電源線、複数の信号線、および複数の制御線を含む複数の配線の端子部(図示省略)が形成されている。
【0027】
封止基板12は、例えば透明なガラス基板で作製されている。封止基板12は、複数の画素220全体を密封するように発光素子基板11に接合されている。また、有機ELパネル2は、発光素子基板11と封止基板12との間の空間に収納され、水分を吸収可能な乾燥剤(図示省略)を備えている。
【0028】
このような有機ELパネル2を有する表示装置1はさらに、図1および図2に示すように、発光素子基板11に接続される2つフレキシブル配線基板13,13を備える。これら2つのフレキシブル配線基板13の各出力側端子部(図示省略)と、発光素子基板11の端子部(図示省略)とは、異方性導電膜の接着剤を介して熱圧着することで電気的に接続される。また、各フレキシブル配線基板13には、データ線駆動回路として構成されたドライバIC14がそれぞれ実装されている。
【0029】
これら2つのフレキシブル配線基板13は、図示を省略した外部の制御回路とそれぞれ電気的に接続され、各種の表示用画像データ、制御信号、電源等の信号がその制御回路から図示を省略した接続ケーブルを介して各フレキシブル配線基板13に入力されるようになっている。本実施形態では有機ELパネル2の実表示領域8aでスピードメータの画像を表示させるので、この画像表示に必要な表示用画像データとして、車情報データとしての車速に基づいて作製された画像データが外部の制御回路から供給される。
【0030】
パネルカバー20は、有機ELパネル2のパネル表面3に固定される。このパネルカバー20の中央部には、有機ELパネル2の実表示領域8aで表示される画像を外部に見せるための円形の開口部(貫通孔)21が設けられている(図1,図3参照)。
【0031】
そして、本実施形態に係る表示装置1で用いる有機ELパネル2の特徴は、発光エリア
8内の実表示領域以外の領域8bに配置された少なくとも一つのセンサを備える点にある。具体的には、有機ELパネル2には、図1および図2に示すように、少なくとも一つのセンサとして、輝度検出センサ51、温度センサ52、および2つの照度センサ53,54の4つのセンサが、実表示領域以外の領域8bに配置されている。
【0032】
輝度検出センサ51は、有機EL素子221の発光輝度を検出するセンサで、例えばフォトダイオード(PD)等の受光素子で構成される。輝度検出センサ51は、図1および図2に示すように実表示領域以外の領域8b内にある画素220の有機EL素子221で発光した光を受光する位置に配置されており、画像表示には使用されない画素220の有機EL素子221で発光した光の輝度を検出する。つまり、表示装置1は、図示を省略した走査線駆動回路とデータ線駆動回路としてのドライバIC14,14は、実表示領域8aと実表示領域以外の領域8bとを含む発光エリア8全体に含まれる複数の画素220を走査して各画素の有機EL素子221を発光させるようになっている。そのため、この表示装置1は、実表示領域以外の領域8b内にある画素例えば一つの画素220の有機EL素子221で発光する光を利用し、その光を輝度検出センサ51で受けて、その発光輝度を検出するようになっている。
【0033】
輝度検出センサ51は、図1,図2および図3に示すように、実表示領域以外の領域8b内にある一つの画素220の有機EL素子221で発光する光を受光する位置にあって、パネル表面3に貼付部51b、51bが貼り付けられた基板51aのパネル表面3と対向する側の面に固定されている。このような構成を有する輝度検出センサユニットが、パネルカバー20に設けられた輝度検出センサ収容凹部22に収容されている。なお、符号「51c」は、輝度検出センサ51に接続された配線である。
【0034】
温度センサ52は、有機ELパネル2の温度を検出するセンサで、この温度センサとして例えば熱電対、半導体の温度センサ等が使用される。この温度センサ52は、図1,図2および図3に示すように、実表示領域以外の領域8b内にあってパネル表面3に貼り付けられているとともに、パネルカバー20に設けられた温度センサ収容凹部23に収容されている。
【0035】
上記パネルカバー20にはさらに、図1および図4に示すように、パネル表面3の実表示領域以外の領域8b内に外部光を導入する2つの外部光導入用貫通孔24,25が設けられている。外光の照度を検出する2つの照度センサ53,54はそれぞれ、パネル表面3上の外部光導入用貫通孔24,25から外部光が導入される位置に配置されているとともに、外部光導入用貫通孔24,25内に収容されている。
【0036】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○発光エリア8の実表示領域以外の領域8bに輝度検出センサ51、温度センサ52、および2つの照度センサ53,54の4つのセンサを配置しているので、実際の表示に使われない実表示領域以外の領域8bを有効に利用することができる。
【0037】
○実表示領域以外の領域8bに配置された2つの照度センサ53,54により、有機ELパネル2に実際に当たっている光(外光或いは車室内の光)の照度を正確に検出することができる。これにより、照度センサ53,54で検出した信号を使って、外光や車室内の明るさに応じて有機ELパネル2の明るさを変える制御等を行うことができる。
【0038】
○実表示領域以外の領域8bに配置された温度センサ52により、有機ELパネル2の温度を正確に検出することができる。これにより、温度センサ52で検出した信号を使って、有機ELパネル2の温度に応じてRGB(赤、緑、青)の各画素の色バランスを変えたり、表示デザインを変えたりする制御を行うことができる。
【0039】
○実表示領域以外の領域8bに配置された輝度検出センサ51により、ある期間使用した後に、有機EL素子221の発光輝度がどのくらいであるかを輝度検出センサ51で検出して知ることができる。
【0040】
○輝度検出センサ51は、発光エリア8内の実表示領域以外の領域8bに配置されているので、その実表示領域以外の領域8b内にある一つの画素220の有機EL素子221で実際に発光した光の輝度を検出してモニタすることができる。このため、従来のエレクトロルミネッセンスパネルのように、有機EL素子の発光輝度を検出するために有機ELパネル2にダミー画素を設ける必要がない。
【0041】
○輝度検出センサ51を含む輝度検出センサユニットがパネルカバー20の輝度検出センサ収容凹部22に収容され、温度センサ52がパネルカバー20の温度センサ収容凹部23に収容されている。また、2つの照度センサ53,54は、パネルカバー20の2つの外部光導入用貫通孔24,25内にそれぞれ収容されている。このようにして、有機ELパネル2のパネル表面3に取り付けられるパネルカバー20の一部を利用して4つのセンサを配置することができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る移動体の表示モジュール10を図5〜図9に基づいて説明する。
この移動体の表示モジュール10は、上記第1実施形態で説明した有機ELパネル2を複数個(本例では3つ)並べて配置し、これらの有機ELパネルで異なる画像を表示させるように構成したものである。
【0043】
移動体の表示モジュール10は、図5に示すように、3つの有機ELパネル2a,2b,2cを備え、一例として、真中の有機ELパネル2aにより、車速をアナログ表示するスピードメータの目盛り91、数字92および指針93を表示する。また、右側の有機ELパネル2bによりエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの目盛り94、数字95および指針96を表示し、左側の有機ELパネル2cでカーナビゲーション装置の地図情報等の画像97を表示する。また、有機ELパネル2cでは、テレビの画像やDVD装置の画像も表示できる。
【0044】
この移動体の表示モジュール10で用いた3つの有機ELパネル2a,2b,2cのうち、有機ELパネル2a,2cは、上記4つのセンサ51〜54を備えていない点と、各パネルに一つのフレキシブル配線基板13a(図8参照)が接続されている点を除き、上記有機ELパネル2と同じ構成を有する。また、有機ELパネル2bは、一つのフレキシブル配線基板13aが接続されている点を除き、上記有機ELパネル2と同じ構成を有する。
【0045】
この有機ELパネル2bには、上記有機ELパネル2と同様に、輝度検出センサ51、温度センサ52、および2つの照度センサ53,54の4つのセンサが、実表示領域82aと実表示領域以外の領域82bとを有する発光エリア8のうち、実表示領域以外の領域82b(図5で斜線で示す領域)に配置されている。一方、有機ELパネル2aについては、実表示領域81aと実表示領域以外の領域81bとを有する発光エリア8のうち、実表示領域以外の領域81b(図5で斜線で示す領域)にはセンサが配置されていない。有機ELパネル2cも同様に、実表示領域83aと実表示領域以外の領域83bとを有する発光エリア8のうち、実表示領域以外の領域83b(図5で斜線で示す領域)にはセンサが配置されていない。
【0046】
移動体の表示モジュール10では、3つの有機ELパネル2a,2b,2cは図6に示
すパネルカバー30に、真中の有機ELパネル2aの非発光エリア9と左右の有機ELパネル2b、2cの各非発光エリア9が平面的に重なるように配置されている(図8参照)。このパネルカバー30は、図6〜図8に示すように、3つの有機ELパネル2a,2b,2cの各表面側がそれぞれ固定される高さの異なる3つのパネル取り付け面30a,30b,30cを有する。また、このパネルカバー30には、有機ELパネル2aの実表示領域81a、有機ELパネル2bの実表示領域82a、および有機ELパネル2cの実表示領域83aにそれぞれ対応する部分に円形の開口部33,34および矩形の開口部35が設けられている。
【0047】
さらに、このパネルカバー30には、上記パネルカバー20と同様に、輝度検出センサ51を収容する輝度検出センサ収容凹部36と、温度センサ52を収容する温度センサ収容凹部37と、2つの照度センサ53,54を収容する外部光導入用貫通孔38,39とが設けられている(図6,図7参照)。
【0048】
なお、この移動体の表示モジュール10では、図8に示す各フレキシブル配線基板13aには、車速およびエンジン回転数にそれぞれ基づいて作製されたスピードメータおよびタコメータの各画像を表示させるための表示用画像データが上記外部の制御回路から供給される。また、カーナビゲーション装置(図示省略)の地図画面の画像97を表示させるための画像データが制御回路から供給されるようになっている。このような構成を有する移動体の表示モジュール10を自動車等の車両40のインストルメントパネル41に搭載した状態を図9に示してある。
【0049】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○3つの有機ELパネル2a,2b,2cで異なる画像を表示させる移動体の表示モジュール10において、有機ELパネル2bの発光エリア8内の実表示領域以外の領域83bを有効に利用することができる。
【0050】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記第1実施形態では、温度センサ52と照度センサ53,54を有機ELパネル2の実表示領域以外の領域8bに配置したが、温度センサと照度センサについては、非発光エリア9に配置しても良い。つまり、これらのセンサは、実表示領域以外の領域8bと非発光エリア9とを含む領域内に配置可能である。これに対して、輝度検出センサ51は、有機EL素子221で発光した光を受ける必要があるため、発光エリア8内の実表示領域以外の領域8bに配置する必要がある。
【0051】
・上記第1実施形態では、電気光学素子として発光素子である有機EL素子を用いているが、電気光学素子として液晶を用いてもよい。そして,マトリクス状に配置された複数の画素の液晶が駆動されて画像を表示する液晶パネルを用いた液晶表示装置にも本発明は適用可能である。
【0052】
・上記第1実施形態では、表示パネルとして有機ELディスプレイに用いる有機ELパネルを一例として説明したが、放電を用いた蛍光型のプラズマディスプレイに用いる表示パネル、電子放出素子を用いたディスプレイ(FED)やSED(Surface−Conduction
Electron−Emitter Display)に用いる表示パネルにも本発明は適用可能で、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
・上記第1実施形態では、有機ELパネル2の実表示領域以外の領域8b内に4つのセンサを配置した構成を一例として説明したが、本発明はこの構成に限定されない。その実表示領域以外の領域8bに配置するセンサの種類や数を適宜変更した構成にも本発明は適
用可能である。例えば、実表示領域以外の領域8bに、輝度検出センサ51、温度センサ52および照度センサ53のうちの1種類のセンサのみを1個或いは複数個配置する構成であっても良い。また、これら3種類のセンサをその実表示領域以外の領域8bにそれぞれ複数個ずつ配置する構成であってもよい。
【0054】
・上記第2実施形態では、3つの有機ELパネル2a,2b,2cのうち有機ELパネル2bの実表示領域以外の領域82bに4つのセンサを配置したが、有機ELパネル2a,2cの実表示領域以外の領域81b,83bのいずれか一方或いは両方にも1個或いは複数個のセンサを配置しても良い。
【0055】
・上記各実施形態では、エレクトロルミネッセンス素子として有機EL素子221を用いた有機ELパネルについて説明したが、無機EL素子を用いた無機ELパネル、これを用いた表示装置や移動体の表示モジュールにも適用可能である。
【0056】
・上記各実施形態では、自動車等の車両に搭載される表示装置1や、表示モジュールとしての移動体の表示モジュール10を一例として説明したが、本発明は、自動車等の車両以外に、航空機、船舶、電車等の移動体のインストルメントパネルや計器盤に搭載して、各種のメータ等の計器を画像表示するのに広く適用可能である。
【0057】
・上記第2実施形態では、異なる画像を表示する複数(本例では一例として3つ)の有機ELパネル2a,2b,2cを備えた移動体の表示モジュール10を一例として説明したが、本発明はこのような移動体の表示モジュールに限定されない。本発明は、有機ELパネル2の発光エリア8内の複数の実表示領域(例えば3つの表示領域)で異なる画像を表示させる(マルチ表示させる)ように構成された表示モジュールに広く適用可能である。
【0058】
・上記各実施形態では、発光素子基板側から光が出射するボトムエミッションタイプの有機ELパネルについて一例として説明したが、本発明は、封止部材側から光が出射するトップエミッションタイプの有機ELパネル、およびこれを用いた表示装置や移動体の表示モジュールにも適用可能である。
【0059】
・上記第2実施形態に係る移動体の表示モジュール10では、有機ELパネルの数を「3」としているが、その数は一例であって、本発明は「3」以外の複数の有機ELパネルを用いた移動体の表示モジュールに適用可能である。
【0060】
・上記第2実施形態に係る移動体の表示モジュール10では、同じ大きさの3つの有機ELパネル2a,2b,2cを用いているが、大きさの異なる複数の有機ELパネルを用いた移動体の表示モジュールにも本発明は適用可能である。例えば、自動車等の車両に実装し、3つの有機ELパネルのうち真中のパネルでスピードメータを表示する場合には、スピードメータの視認性を向上させるために、真中のパネルを大きくして上に位置させ、左右のパネルを小さくして真中のパネルよりも下げるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を示す平面図。
【図2】同表示装置の表示パネルを示す平面図。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図。
【図4】図1のB−B線に沿った断面図。
【図5】第2実施形態に係る移動体の表示モジュールを示す平面図。
【図6】同表示モジュールのパネルカバーを示す斜視図。
【図7】同パネルカバーを裏側から見た斜視図。
【図8】第2実施形態に係る移動体の表示モジュールを裏側から見た斜視図。
【図9】同表示モジュールが搭載された車両内部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0062】
1…表示装置、3…パネル表面、8…発光エリア、8a,81a,82a,83a…実表示領域、8b,81b,82b,83b…実表示領域以外の領域、20,30…パネルカバー、21,33,34,35…開口部、22,36…輝度検出センサ収容凹部、23,37…温度センサ収容凹部、24,25,38,39…外部光導入用孔、51…輝度検出センサ、52…温度センサ、53,54…照度センサ、97…画像、220…画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された発光エリアと前記画素が配置されない非発光エリアとを含み、各画素の電気光学素子を駆動して画像を表示する表示パネルにおいて、
前記発光エリアは、画像表示に用いられる実表示領域と、実表示領域以外の領域とを有し、
前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとの少なくとも一方に配置された少なくとも一つのセンサを備えることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルにおいて、
前記少なくとも一つのセンサとして外光の照度を検出する照度センサが、前記非発光エリアに配置されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示パネルにおいて、
前記少なくとも一つのセンサとしてパネルの温度を検出する温度センサが、前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域に配置されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示パネルにおいて、
前記表示パネルは、前記電気光学素子としてエレクトロルミネッセンス素子が前記各画素に設けられたエレクトロルミネッセンスパネルであり、前記少なくとも一つのセンサとして前記エレクトロルミネッセンス素子の発光輝度を検出する輝度検出センサが、前記実表示領域以外の領域に配置されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一つに記載の表示パネルを用いた表示装置において、
前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、該パネルカバーには、前記パネル表面の、前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域内に外部光を導入する外部光導入用孔が設けられており、
前記照度センサは、前記パネル表面上の前記外部光導入用孔から外部光が導入される位置に配置されているとともに、前記外部光導入用孔内に収容されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の表示パネルを用いた表示装置において、
前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、
前記温度センサは前記パネル表面の前記実表示領域以外の領域と前記非発光エリアとを含む領域内に配置されているとともに、前記パネルカバーに設けられた温度センサ収容凹部に収容されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項4に記載の表示パネルを用いた表示装置において、
前記表示パネルのパネル表面に取り付けられ、前記実表示領域に対応する部分に開口部が設けられたパネルカバーを備え、
前記輝度検出センサは、前記複数の画素のうち前記実表示領域以外の領域内にある画素の前記エレクトロルミネッセンス素子で発光した光を受光する位置にあって、前記パネルカバーに設けられた輝度検出センサ収容凹部に収容されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の表示パネルを複数個並べて配置し、該複数個の表示パネルで異なる画像を表示させるように構成したことを特徴とする表示モジュール。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の表示パネルを備え、前記表示パネルの発光エリア内の複数の実表示領域で異なる画像を表示させるように構成したことを特徴とする表示モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−251601(P2006−251601A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70491(P2005−70491)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】