説明

表示パネル、表示装置、表示モジュール、および電子機器

【課題】 表示パネルの温度を低く抑えることができ、表示パネルの寿命を長くすることができる表示パネル、表示装置、表示モジュール、および電子機器を提供する。
【解決手段】 有機ELパネル2には、そのパネル表面2aの非発光エリア9に放熱板6が設けられている。この有機ELパネル2では、発光エリア8全体で画像を表示するので、その発光エリア8全体が実表示領域であり、放熱板6はそのパネル表面2aの非発光エリア9に設けられている。放熱板6がパネル表面2a側に伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面2a側での発熱を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネル等の表示パネル、表示装置、表示モジュール、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルが、低消費比電力、高視野角、高コントラスト比で他の装置より優れているとして注目されている。自発光型の素子を使う有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置では、表示パネルに熱を持つため、表示パネルの放熱が必要である。従来、プラズマディスプレイパネル用放熱装置として、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。この放熱装置では、所定の隙間をあけて対向配置され、一方がプラズマディスプレイパネルの背面に熱伝導性シートを介して伝熱可能に接合される2枚の伝熱板の間に、放熱フィンが設けられている。放熱フィンは凹凸形状の繰り返しにより形成されたコルゲートフィンからなり、フィン長手方向が伝熱板の長辺及び短辺に対して傾斜することにより、伝熱板の間に傾斜した通気路を形成している。また、特許文献1に記載されたプラズマ表示装置では、プラズマディスプレイパネル用放熱装置がプラズマディスプレイパネルの背面側に伝熱可能に設けられている。
【特許文献1】特開2000−242182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、本発明者が実験した結果、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置に用いる表示パネルでは、複数の画素の各発光素子で発生した熱は、パネル表面(光出射面)とは反対側のパネル背面側に伝わるだけでなく、パネル表面側にも伝わるので、そのパネル表面を冷却すると、表示パネルの冷却効果が高いことがわかった。例えば、発光素子基板と封止基板を備え、発光素子基板側から光が出射するボトムエミッションタイプの有機ELパネルの場合、各発光素子で発生した熱は、発光素子基板と封止基板内部の間に収納された乾燥剤を介して封止基板側へ伝わるだけでなく、発光素子基板側にも伝わる。
【0004】
上記特許文献1に記載されているような従来の表示装置では、表示パネルの背面側に放熱板や放熱構造を設けてその背面側で放熱する構造をとっていた。そのため、パネルの冷却効果が十分ではなく、パネル温度を十分に下げることができないという問題があった。特に、有機ELパネルの場合、有機ELパネルの温度上昇を抑えることが寿命対策に重要となる。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、表示パネルの温度を低く抑えることができ、表示パネルの寿命を長くすることができる表示パネル、表示装置、表示モジュール、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における表示パネルは、基板上に、発光素子を有する画素が複数配置された発光エリアと、前記画素が配置されない非発光エリアとを含む表示パネルにおいて、前記発光エリアは、画像表示に用いられる実表示領域と、実表示領域以外の領域とを有し、前記実表示領域以外の領域に放熱板を設けたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、実表示領域以外の領域に設けた放熱板がパネルに伝わる熱を奪って放熱
するので、パネルの発熱を抑制することができる。したがって、表示パネルの温度を低く抑えることができ、表示パネルの寿命を長くすることができる。
【0008】
この表示パネルにおいて、前記非発光エリアにも放熱板を設けたことを要旨とする。
これによれば、非発光エリアにも設けた放熱板がパネルに(例えばパネル表面に)伝わる熱を奪って放熱するので、パネルの発熱(例えばパネル表面側での発熱)を抑制することができる。
【0009】
この表示パネルにおいて、基板上に、発光素子を有する画素が複数配置された発光エリアと、前記画素が配置されない非発光エリアとを含む表示パネルにおいて、前記非発光エリアに放熱板を設けたことを要旨とする。
【0010】
これによれば、非発光エリアに設けた放熱板がパネルに(例えばパネル表面に)伝わる熱を奪って放熱するので、パネルの発熱(例えばパネル表面側での発熱)を抑制することができる。
【0011】
この表示パネルにおいて、前記放熱板は、前記発光エリアに対応する部分が打ち抜かれた環状の板であり、該環状の放熱板が、前記非発光エリア全体に設けられていることを要旨とする。
【0012】
これによれば、環状の放熱板が非発光エリア全体でパネルに伝わる熱を奪って放熱するので、パネルの発熱を効果的に抑制することができる。
この表示パネルにおいて、前記放熱板の表面には、複数の舌片を曲げ起こした複数のフィンが設けられていることを要旨とする。
【0013】
これによれば、放熱板の表面の複数のフィンにより、パネルに伝わる熱をさらに効果的に奪って放熱することができるので、表示パネルの温度をさらに低く抑えることができ、表示パネルの寿命をさらに長くすることができる。
【0014】
この表示パネルにおいて、前記放熱板の少なくとも両側には、前記表示パネルの両側部に弾発的に係合する係合部が形成されていることを要旨とする。
これによれば、放熱板の少なくとも両側にある係合部を表示パネルの両側部に弾発的に係合させることで、両面テープや接着剤を使わずに放熱板を表示パネルに固定することができる。また、放熱板がパネル表面に直に接触して固定されることで、パネル表面に伝わる熱を放熱板が熱伝導により直接に奪って放熱するので、高い放熱効果が得られ、パネル表面側での発熱をより効果的に抑制することができる。また、放熱板の表示パネルへの取り付けも簡単になる。
【0015】
この表示パネルにおいて、前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを要旨とする。
これによれば、エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機ELパネル等のエレクトロルミネッセンスパネルの寿命を長くすることができる。
【0016】
この表示パネルにおいて、前記放熱板を、パネル表面側に設けたことを要旨とする。
本発明者が実験した結果、複数の画素の各発光素子で発生した熱は、パネル表面とは反対側のパネル背面側に伝わるだけでなく、パネル表面側にも伝わるので、そのパネル表面を冷却すると、表示パネルの冷却効果が高いことがわかった。これによれば、パネル表面の実表示領域より外側の領域に設けた放熱板がパネル表面に伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面側での発熱を抑制することができる。したがって、表示パネルの温度を低く抑えることができ、表示パネルの寿命を長くすることができる。
【0017】
ここで、「パネル表面」は発光素子で発光した光が出射する側の面(光出射面)をいう。例えば、表示パネルが、発光素子基板と封止基板とを備え、発光素子基板側から光が出射するボトムエミッションタイプの場合、光が出射する発光素子基板の表面がパネル表面となる。
【0018】
本発明における表示装置は、前記表示パネルを有することを要旨とする。これによれば、表示パネルの寿命の長い表示パネルを実現できる。
本発明における表示モジュールは、前記表示パネルを複数個並べて配置し、該複数個の表示パネルで異なる画像を表示させるように構成したことを要旨とする。これによれば、複数個の表示パネルで異なる画像を表示させる表示モジュールにおいて、各表示パネルの寿命を長くすることができるとともに、高品質な表示を長期間にわたって維持することができる。
【0019】
本発明における表示モジュールは、前記表示パネルを備え、前記表示パネルの発光エリア内の複数の表示領域で異なる画像を表示させるように構成したことを要旨とする。これによれば、1枚のパネルで異なる画像を表示させる表示モジュールにおいて、表示パネルの寿命を長くすることができるとともに、高品質な表示を長期間にわたって維持することができる。
【0020】
本発明における電子機器は、前記表示パネルを用いたことを要旨とする。これによれば、表示パネルの寿命を長くすることができるとともに、高品質な表示を長期間にわたって維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明において同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る表示装置1を図1〜図5に基づいて説明する。
【0022】
この表示装置1は、図1および図2に示すように、エレクトロルミネッセンスパネルとしての有機ELパネル2(表示パネル)と、この有機ELパネル2の表面(パネル表面2a)に設けられた放熱板6とを備える有機ELディスプレイである。表示パネルとしての有機ELパネル2は、自発光型のエレクトロルミネッセンス素子(発光素子)としての有機EL素子221をそれぞれ有する複数の画素220がマトリクス状に配置された発光素子基板11と、複数の画素220を密封するように発光素子基板11に接合された封止基板12とを備える。図1では複数の画素220のうちの一つのみを示してある。この有機ELパネル2は、複数の画素220の各有機EL素子221で発光した光が図1の矢印で示すように、有機ELパネル2のパネル表面2a(図3参照)側から出射するボトムエミッションタイプの有機ELパネルである。なお、そのパネル表面2aは、発光素子基板11の表面である。
【0023】
有機ELパネル2の光出射面であるパネル表面2aには、外部入射光がその表面で反射するのを抑制するために円偏光板7が貼付けられている。この円偏光板7は、各有機ELパネル2の発光エリア8全体を覆うように配置されている。この有機ELパネル2では、発光エリア8の周囲が、いわゆる額縁と呼ばれる非発光エリア9(図2参照)になっている。
【0024】
有機ELパネル2の発光素子基板11上には、図3では図示を省略してあるが、陽極として機能する矩形状の画素電極がマトリクス状に形成されており、各画素電極上に、例え
ば、正孔注入/輸送層と発光層とが順次積層形成され、発光層が形成された基板のほぼ全面に渡って陰極が形成されている。また、各画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)等が電気的に接続されており、各画素電極、その上に形成された正孔注入/輸送層、発光層、および陰極により、各画素220の有機EL素子221(図3参照)が構成されている。つまり、図3に示す一つの画素の有機EL素子221は、透明な画素電極と、正孔注入/輸送層と、発光層と、共通電極である陰極とで構成されている。さらに、発光素子基板11上には、複数の電源線、複数の信号線、および複数の制御線を含む複数の配線の端子部(図示省略)が形成されている。
【0025】
封止基板12は、図3に示すように、矩形状の凸部12aを有する有底筒状に形成されており、例えば透明なガラス基板で作製されている。封止基板12は、複数の画素220全体を密封するように凸部12aの端面が発光素子基板11に接着剤51で接合されている(図3参照)。また、有機ELパネル2は、図3に示すように、発光素子基板11と封止基板12との間の空間に収納され、水分を吸収可能な乾燥剤52(図3参照)を備えている。この乾燥剤52は、封止基板12の内面12bに接着剤で固定されている。
【0026】
また、表示装置1は、図2および図4に示すように、有機ELパネル2の他に、封止基板12の表面に固定されたパネルコネクト基板16と、このパネルコネクト基板16のほぼ中央に固定された取り付けベース17とを備える。この取り付けベース17は、有機ELパネル2を複数個並べて図11に示すようなベースプレート5に固定する際に必要となる部材であり、通常の表示装置には無くてもよい。さらに表示装置1は、左右2つのパネル制御基板22,23と、有機ELパネル2の左右両側に2つずつ配置された合計4つのフレキシブル配線基板24,25,26および27とを備える。
【0027】
図4に示すパネル制御基板22,23には、例えば、車情報データおよび画像データ等に基づいて外部の回路でそれぞれ作成されて供給される各種の表示用画像データを使って有機ELパネル2に画像表示をさせるパネル制御回路がそれぞれ設けられている。ここで、「車情報データ」は、移動体が自動車等の車両の場合、車の運転情報を表わす車速、エンジン回転数等のデータである。また、「画像データ」は、車両に搭載されるカーナビゲーション装置、テレビ、ビデオ装置等の他のシステムからの画像データ、HDD,DVD等の記憶装置からの画像データを含む。
【0028】
パネル制御基板22のパネル制御回路は、2つのフレキシブル配線基板24,25を介して有機ELパネル2上の複数の配線等とそれぞれ電気的に接続される。パネル制御基板23のパネル制御回路は、2つのフレキシブル配線基板26,27を介して有機ELパネル2上の複数の配線等とそれぞれ電気的に接続される。このような電気的接続を得るために、フレキシブル配線基板24,25上の複数の配線の入力端側は、パネル制御基板22に設けられた4箇所のコネクタ28に接続されている。また、フレキシブル配線基板24,25上の複数の配線の出力端側は、発光素子基板11上の複数の配線等と異方性導電膜(ACF)を介して電気的に接続されている。同様に、フレキシブル配線基板26,27上の複数の配線の入力端側は、パネル制御基板23に設けられた4箇所のコネクタ29に接続されている。また、フレキシブル配線基板26,27上の複数の配線の出力端側は、発光素子基板11上の複数の配線等と異方性導電膜を介して電気的に接続されている(図4参照)。
【0029】
これら2つのパネル制御基板22の各パネル制御回路は、例えば図示を省略した外部の回路とそれぞれ電気的に接続され、上記各種の表示用画像データ、制御信号、電源等の信号が外部の回路から図示を省略した接続ケーブルを介して入力される。その接続ケーブルが接続されるコネクタ31,32がパネル制御基板22,23にそれぞれ設けられている(図4参照)。
【0030】
このような構成を有する表示装置1の特徴は、図1および図2に示すように、有機ELパネル2のパネル表面2aの実表示領域より外側の領域に放熱板6を設けた点にある。なお、第1実施形態に係る表示装置1では、発光エリア8全体で各種の画像データに基づき画像を表示するので、有機ELパネル2のパネル表面2aの「実表示領域」は発光領域である発光エリア8である。したがって、この表示装置1では、放熱板6はそのパネル表面2aの非発光エリア9に設けられている。
【0031】
放熱板6は、ステンレス鋼(SUS)の薄板であり、有機ELパネル2の発光エリア8に対応する矩形状の部分がプレス加工で打ち抜かれた環状の板である。この環状の放熱板6が、有機ELパネル2のパネル表面2aの非発光エリア9全体に設けられている。この放熱板6の両側には、発光素子基板11の両側部に係合する曲げ加工された折曲げ部6a、6bが形成されている。このような形状の放熱板6は、図2および図3に示すように、両面テープ53によって有機ELパネル2のパネル表面2aに貼り付けられている。
【0032】
図1に示す有機ELパネル2では、複数の画素220の各有機EL素子221で発生した熱は、図3の矢印54で示すように有機ELパネル2のパネル表面2aとは反対側のパネル背面2b側に伝わるだけでなく、同図の矢印55で示すようにそのパネル表面2a側にも伝わる。なお、本例の表示装置1では、有機ELパネル2のパネル背面2b側に伝わった熱は、さらにパネルコネクト基板16、パネル制御基板22,23等に伝わって外部に逃げる。有機ELパネル2のパネル表面2a側に伝わった熱は、放熱板6に熱伝導で伝わり、放熱板6により放熱されるので、パネル表面2aでの発熱が抑制される。
【0033】
図5には、第1実施形態に係る表示装置1の有機ELパネル2を連続通電した場合における、そのパネル表面2aの中央の温度を測定した結果を示す。図5で曲線56は図1に示す放熱板6の無い有機ELパネルの測定結果を、曲線57はその放熱板6を有する有機ELパネル2の測定結果をそれぞれ示す。図5の曲線56,57から明らかなように、放熱板6を有する有機ELパネル2の方が放熱板6の無い有機ELパネルよりも、パネル表面2aの中央の温度がより低くなることが分かる。
【0034】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネル2のパネル表面2aの実表示領域より外側の領域に設けた放熱板6がパネル表面2a側に伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面2a側での発熱を抑制することができる。したがって、有機ELパネル2の温度を低く抑えることができ、有機ELパネル2の寿命を長くすることができる。
【0035】
○パネル表面2aの非発光エリア9に設けられた放熱板6がパネル表面に伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面2a側での発熱を抑制することができる。
○ステンレス鋼の薄板である環状の放熱板6が、有機ELパネル2のパネル表面2aの非発光エリア9全体に設けられている。これにより、環状の放熱板6がパネル表面2aの非発光エリア9全体でパネル表面2aに伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面2a側での発熱を効果的に抑制することができる。
【0036】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態に係る表示装置の有機ELパネルに用いる放熱板6Aを示している。
【0037】
この放熱板6Aの表面には、複数の舌片を曲げ起こした複数のフィン60が設けられている。本例の放熱板6Aでは、矩形環状に連なる4つの帯状部61〜64のうち対向する2つの帯状部62,64の表面に、複数のフィン60がそれぞれ設けられている。これら
のフィン60は、放熱板6Aをプレスで抜いてできる複数の舌片を曲げ起こしたものである。第2実施形態に係る表示装置におけるフィン60以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0038】
以上のように構成された第2実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○有機ELパネル2のパネル表面2aに伝わる熱を放熱板6に設けた複数のフィン60の表面全体で放熱するので、パネル表面2a側での発熱をより効果的に抑制することができる。
【0039】
○放熱板6Aの表面の複数のフィン60により、有機ELパネルに伝わる熱をさらに効果的に奪って放熱することができるので、有機ELパネルの温度をさらに低く抑えることができ、表示パネルの寿命をさらに長くすることができる。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る表示装置1Bを、図7および図8に基づいて説明する。この表示装置1Bでは、有機ELパネル2に用いる放熱板6Bの両側には、有機ELパネル2の両側部に弾発的に係合する係合部65が2つずつ形成されている。各係合部65は、弾性変形する係合片65aと、この係合片65aの先端に形成された係合爪65bとを有する。
【0041】
このような構成を有する4つの係合部65の各係合片65aを弾性変形させて、各係合爪65bを図8に示すように有機ELパネル2のパネル制御基板22の角部に係合させることで、放熱板6Bが有機ELパネル2に固定される。
【0042】
以上のように構成された第3実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○放熱板6Bの両側に2つずつ設けた4つの係合部65の各係合爪65bを有機ELパネル2のパネル制御基板22の角部に弾発的に係合させることで、両面テープや接着剤を使わずに放熱板6Bを有機ELパネル2に固定することができる。
【0043】
○放熱板6Bが有機ELパネル2のパネル表面2aに直に接触して固定されることで、パネル表面2aに伝わる熱を放熱板6Bが熱伝導により直接に奪って放熱するので、高い放熱効果が得られ、パネル表面2a側での発熱をより効果的に抑制することができる。
【0044】
○放熱板6Bの有機ELパネル2への取り付けも簡単になる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る表示装置1Cを、図9および図10に基づいて説明する。この表示装置1Cは、移動体として自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載されて、スピードメータ等の画像を表示させる。この表示装置1Cでは、発光エリア8は、画像表示に用いられる実表示領域8aと、実表示領域以外の領域8bとを有する。つまり、この実表示領域以外の領域8bは、発光エリア8のうち、画像表示に使用されない領域である。
【0045】
有機ELパネル2に用いる放熱板6Cは、図9に示すように、有機ELパネル2のパネル表面2aの非発光エリア9と、発光エリア8のうち円形の実表示領域8aより外側の実表示領域以外の領域8bとを含む領域に設けられている。そのため、放熱板6Cは、ステンレス鋼の矩形の薄板を、円形の実表示領域8aに対応する円形の開口部66aをプレスで抜いた形状を有する。
【0046】
また、本例の有機ELパネル2は、円形の実表示領域8aの上部左右の方向表示部8c、8dで、方向指示器42(図12参照)の操作により左右の矢印67a,67bのいずれかを、図10に示すように画像表示するようになっている。そのため、パネル表面2a上には、円形の実表示領域8aを覆う円形の円偏光板7aと、2つの方向表示部8c、8
dをそれぞれ覆う矩形の円偏光板7b、7cとが設けられている。また、本例の放熱板6Cは、図9に示すように、円形の開口部66aのほかに、2つの方向表示部8c、8dにそれぞれ対応する2つの矩形の開口部66b、66cをプレスで抜いた形状を有する。
【0047】
このような構成を有する表示装置1Cを図示を省略した車両のインストルメントパネルに搭載する場合には、有機ELパネル2のパネル表面2aに固定された図9に示す放熱板6Cの表面に、図10に示すようにカバープレート68を固定する。このカバープレート68には、放熱板6Cの開口部66a,66b、66cにそれぞれ対応する開口部68a,68b、68cが形成されている。このようなカバープレート68を表示装置1Cの取り付けた場合における、表示装置1Cによる表示状態を図10で示している。
【0048】
有機ELパネル2は、その実表示領域8aで、車速をアナログ表示するスピードメータの目盛り91、数字92および指針93を画像表示するとともに、方向表示部8c、8dで、左右の矢印67a,67bのいずれかを画像表示する。
【0049】
以上のように構成された第4実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○放熱板6Cは、有機ELパネル2のパネル表面2aの非発光エリア9と、その発光エリア8内の実表示領域以外の領域8bとを含む広い面積(但し、左右の方向表示部8c、8dを除いた面積)で、パネル表面2aに伝わる熱を奪って放熱するので、パネル表面2a側での発熱を効果的に抑制することができる。
【0050】
○このような構成の表示パネルは、移動体として自動車等の車両に搭載されて、スピードメータ等の画像を表示させる場合に特に有効となる。すなわち、表示パネルでスピードメータ等の画像を表示させる場合、発光エリア8内に、例えば円形の実表示領域8aより外側に実表示領域以外の領域8bができるので、その実表示領域以外の領域8bも使って、パネル表面に伝わる熱をより広い面積で奪うことができ、パネル表面側での発熱をより効果的に抑制できる。
【0051】
(移動体の表示モジュール)
次に、表示パネルを用いた表示モジュールとしての移動体の表示モジュールの一実施形態を図11〜図13に基づいて説明する。
【0052】
本実施形態に係る移動体の表示モジュール10は、図11に示すように、上記第1実施形態で説明した有機ELパネル2と同じ有機ELパネル2,3,4をそれぞれ用いた3つの表示装置1をベースプレート5にその長手方向に並べて取り付けて構成されている。
【0053】
このベースプレート5はパネル取り付け面が平坦なプレートであるので、3つの表示装置1の各取り付けベース17の厚さを異ならせることで、各表示装置1のパネル取り付け面からの高さ位置を変えてある。ここでは、真中の有機ELパネル2の取り付けベース17の厚さを左右の有機ELパネル3,4の取り付けベース17の厚さよりも大きくすることで、各有機ELパネル2,3,4のパネル取り付け面からの高さ位置を変えて隣合うパネルの非発光エリア9同士が平面的に重なるような配置を可能にしている。
【0054】
このような構成を有する移動体の表示モジュール10を自動車等の車両40のインストルメントパネル41に搭載した状態を図12に示してある。また、この表示モジュール10による表示状態を図13に示してある。なお、図13で符号30は3つの表示装置1の各有機ELパネル2,3,4の表面に取り付けたパネルカバーである。このパネルカバー30には、各有機ELパネル2,3,4の実表示領域にそれぞれ対応する位置に円形の開口部33,34と、矩形の開口部35とが形成されている。
【0055】
この移動体の表示モジュール10は、一例として図13に示すように、真中の有機ELパネル2により、車速をアナログ表示するスピードメータの目盛り91、数字92および指針93を表示する。また、右側の有機ELパネル3によりエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの目盛り94、数字95および指針96を表示し、左側の有機ELパネル4でカーナビゲーション装置の地図情報等の画像97を表示する。また、有機ELパネル4では、テレビの画像やDVD装置の画像も表示できる。
【0056】
以上のように構成された一実施形態に係る移動体の表示モジュール10によれば、以下の作用効果を奏する。
○複数個の有機ELパネル2〜4で異なる画像を表示させる移動体の表示モジュール10において、各有機ELパネル2〜4の寿命を長くすることができるとともに、高品質な表示を長期間にわたって維持することができる。
【0057】
(電子機器)
次に、上記各実施形態で説明した表示装置1の有機ELパネル2を用いた電子機器について説明する。この有機ELパネル2は、図14に示すようなモバイル型のパーソナルコンピュータに適用できる。図14に示すパーソナルコンピュータ70は、キーボード71を備えた本体部72と、有機ELパネル2を用いた表示ユニット73とを備えている。
【0058】
なお、上記有機ELパネル2を電子機器に適用する場合、図1〜図4に示す有機ELパネル2のうち、少なくとも発光素子基板11と、封止基板12と、放熱板6と、4つのフレキシブル配線基板24〜27のうちの少なくとも一つを備えた構成の有機ELパネルを用いることができる。
【0059】
このパーソナルコンピュータ70によれば、表示ユニット73の寿命を長くすることができるとともに、高品質な表示を長期間にわたって維持することができる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0060】
・上記各実施形態では、表示パネルとして有機ELディスプレイに用いる有機ELパネルを一例として説明したが、放電を用いた蛍光型のプラズマディスプレイに用いる表示パネル、電子放出素子を用いたディスプレイ(FED)やSED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)に用いる表示パネルにも本発明は適用可能で、上記各実施
形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
・上記各実施形態では、図1〜図4に示すような構成の有機ELパネルを用いた表示装置1について一例として説明したが、本発明は、少なくとも発光素子基板11と、封止基板12と、放熱板6とを備えた構成の有機ELパネルおよびこの有機ELパネルを用いた表示装置に広く適用可能である。
【0062】
・上記各実施形態では、放熱板をステンレス鋼の薄板で作製したが、ステンレス鋼に代えて、熱伝導率の大きい金属の薄板で放熱板を作製した構成してもよい。
・上記各実施形態では、表示パネルとしての有機ELパネル2のパネル表面2a側での発熱を放熱板で抑制するようにしているが、有機ELパネル2のパネル背面2b側にも放熱板を設ける構成にも本発明は適用される。
【0063】
・図11〜図13で説明した移動体の表示モジュール10では、異なる画像を表示する複数(本例では一例として3つ)の有機ELパネル2〜4を備えた構成において、各有機ELパネルのパネル表面2a側での発熱を抑制するようにしたが、本発明はこれに限定されない。本発明は、有機ELパネル2の発光エリア8内の複数の表示領域(例えば3つの表示領域)で異なる画像を表示させるように構成の移動体の表示モジュールにおいて、そ
のパネル表面側での発熱を放熱板で抑制するようにした構成にも適用可能である。
【0064】
・上記各実施形態では、発光素子基板側から光が出射するボトムエミッションタイプの有機ELパネルについて一例として説明したが、本発明は、封止部材側から光が出射するトップエミッションタイプの有機ELパネルにも適用可能である。この場合、放熱板を設ける「パネルの表面」とは、有機ELパネルの光出射面側である封止部材側の表面をいう。
【0065】
・図11に示す移動体の表示モジュール10では、有機ELパネルの数を「3」としているが、その数は一例であって、本発明は「3」以外の複数の有機ELパネルを用いた移動体の表示モジュールに適用可能である。
【0066】
・図11〜図13に示す移動体の表示モジュール10では、同じ大きさの3つの有機ELパネル2〜4を用いているが、大きさの異なる複数の有機ELパネルを用いた移動体の表示モジュールにも本発明は適用可能である。例えば、自動車等の車両に実装し、3つの有機ELパネルのうち真中のパネルでスピードメータを表示する場合には、スピードメータの視認性を向上させるために、真中のパネルを大きくして上に位置させ、左右のパネルを小さくして真中のパネルよりも下げるのが好ましい。
【0067】
・また、図9および図10に示す上記第4実施形態に係る表示装置1Cのように、発光エリア8が実表示領域8aと実表示領域以外の領域8bとを有する有機ELパネルを備える構成において、上記放熱板を実表示領域以外の領域8bにのみ設けた構成にも本発明は適用可能である。
【0068】
・図14では、有機ELパネル2を用いた電子機器の一例としてパーソナルコンピュータについて説明したが、上記各実施形態で説明した有機ELパネル2は、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話、デジタルカメラ等の各種の電子機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を示す斜視図。
【図2】同表示装置を示す分解斜視図。
【図3】同表示装置に用いる有機ELパネルの一部を示す断面図。
【図4】同表示装置の裏面側を示す斜視図。
【図5】同表示装置と従来の表示装置のパネル温度を測定した結果を示すグラフ。
【図6】同有機ELパネルを示す断面図。
【図7】第2実施形態に係る表示装置を示す斜視図。
【図8】同表示装置における放熱板の係合部を示す断面図。
【図9】第4実施形態に係る表示装置を示す分解斜視図。
【図10】同表示装置による表示状態を示す平面図。
【図11】一実施形態に係る移動体の表示モジュールを示す斜視図。
【図12】同表示モジュールが搭載された車両内部を斜視図。
【図13】同表示モジュールの表示状態を示す平面図。
【図14】電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す斜視図。
【符号の説明】
【0070】
1…表示装置、2a…パネル表面、2b…パネル背面、6,6A,6B,6C…放熱板、2〜4…有機ELパネル、8…発光エリア、8a…実表示領域、8b…実表示領域以外の領域、9…非発光エリア、10…表示モジュール、11…発光素子基板、12…封止基板、40…車両、60…フィン、65…係合部、97…画像、220…画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、発光素子を有する画素が複数配置された発光エリアと、前記画素が配置されない非発光エリアとを含む表示パネルにおいて、
前記発光エリアは、画像表示に用いられる実表示領域と、実表示領域以外の領域とを有し、
前記実表示領域以外の領域に放熱板を設けたことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルにおいて、
前記非発光エリアにも放熱板を設けたことを特徴とする表示パネル。
【請求項3】
基板上に、発光素子を有する画素が複数配置された発光エリアと、前記画素が配置されない非発光エリアとを含む表示パネルにおいて、
前記非発光エリアに放熱板を設けたことを特徴とする表示パネル。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表示パネルにおいて、
前記放熱板は、前記発光エリアに対応する部分が打ち抜かれた環状の板であり、該環状の放熱板が、前記非発光エリア全体に設けられていることを特徴とする表示パネル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の表示パネルにおいて、
前記放熱板の表面には、複数の舌片を曲げ起こした複数のフィンが設けられていることを特徴とする表示パネル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の表示パネルにおいて、
前記放熱板の少なくとも両側には、前記表示パネルの両側部に弾発的に係合する係合部が形成されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の表示パネルにおいて、
前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする表示パネル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の表示パネルにおいて、
前記放熱板を、パネル表面側に設けたことを特徴とする表示パネル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の表示パネルを有することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の表示パネルを複数個並べて配置し、該複数個の表示パネルで異なる画像を表示させるように構成したことを特徴とする表示モジュール。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の表示パネルを備え、前記発光エリア内の複数の表示領域で異なる画像を表示させるように構成したことを特徴とする表示モジュール。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の表示パネルを用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−251600(P2006−251600A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70490(P2005−70490)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】