説明

表示具及び表示具付きコネクタ

【課題】配線盤のコネクタ部のように狭隘な場所に表示具を取り付ける場合に、表示具による煩雑さを回避できるようにする。
【解決手段】識別対象となる光ファイバコード100に取り付けられ、当該光ファイバコード100の識別標識を表示する表示具において、識別標識を表記される表示札11と、表示札11に連結され、当該表示札11に復元力を加える巻入器12と、巻入器12の復元力により、表示札11を内部に収納するケース13と、ケース13を光ファイバコード100に取り付ける取付バンド14とを備え、識別標識を表示する場合は、表示札11がケース13から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札11がケース13の内部に収納されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光配線盤に連結される光ファイバコードの用途・接続先などを表示する表示札に適用可能な表示具及び表示具付きコネクタに関する。
【0002】
詳しくは、復元機構部の復元力により収納部に収納される表示札部を備え、当該表示札部が、識別標識を表示する場合は収納部から外部に引き出され、表示しない場合は収納部の内部に収納されるようにして、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにすると共に、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
光通信用の配線には、光ファイバコードと呼ばれる、例えば直径2mmの比較的細いコードが用いられることが多く、これらの光ファイバコードのコネクタには、外径8.5mm程度の小型のコネクタプラグが使用されている場合が多い。
【0004】
また、これらのコネクタプラグが接続される光ファイバコード用の光配線盤は、光ファイバコードの細さ及びコネクタプラグの小ささを活かして省スペースに貢献するべく、全体的に小さく形成されていることが多くなる。従って、光配線盤における光ファイバコードの配線密度が高くなるとともに、コネクタプラグ間の間隔も狭くなる。
【0005】
一方、これらの光ファイバコードの配線変更作業における配線の誤認を防止し、作業性を向上する為には、各光ファイバコードに、用途・接続先などを記した表示札を付けることが有効である。
【0006】
図13は、光ファイバコードが接続される光配線盤101の構成例を示す斜視図である。図13に示す光配線盤101は、複数の光接続ユニット102がこの例では横方向に3つ並べられて構成されている。光接続ユニット102(図6参照)は、一方の面と、対向する他方の面に、複数のアダプタ103を有し、互いに対面する位置のアダプタ103に差し込まれた光ファイバコード100を光通信可能に接合させるものである。
【0007】
光配線盤101には、アダプタ103が、例えば30mmピッチで配置されている。従って、アダプタ103に接続された光ファイバコード100は密集状態となる。このように密集状態となっている光ファイバコード100に表示札50を取り付けた場合、表示札50が互いに重なり合う等して、非常に煩雑となってしまう。
【0008】
このような光ファイバコード用の表示札に関連して、特許文献1に示すケーブル用識別タグが開示されている。このケーブル用識別タグによれば、識別用の表示部に連結された取付用のスパイラル管を備え、スパイラル管を開いてから螺旋状にケーブルに巻き付けるようにすることにより、ケーブル用識別タグをケーブルの側面方向から取り付けるというものである。これにより、容易に識別用タグをケーブルに取り付けられるようになると共に、スパイラル管をケーブルに取り付ける際に、ケーブルを屈曲させることなくケーブル用識別タグを取り付けられるというものである。
【0009】
【特許文献1】特開2004−297848号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来例に係るケーブル用識別タグによれば、ケーブルのコネクタ部ではなく、配線部に取り付けるものであり、識別用タグとコネクタ部との間に所定の距離が生じてしまう。
【0011】
従って、コネクタ部の用途・接続先を確認する場合には、識別用タグからコネクタ部までをたぐって確認を行う必要があり、その際に他の配線との誤認が生じるおそれがある。また、確認作業に手間が掛かるので、作業効率が下がるおそれがある。
【0012】
そこで本発明は、上述の問題に鑑み創作されたものであり、配線盤のコネクタ部のように狭隘な場所に表示具を取り付ける場合に、表示具による煩雑さ、及び他の配線との誤認を回避できるようにした表示具及び表示具付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の請求項1に係る表示具は、識別対象となる目的物に取り付けられ、当該目的物の識別標識を表示する表示具において、識別標識を表記される表示札部と、表示札部に連結され、当該表示札部に復元力を加える復元機構部と、復元機構部の復元力により、表示札部を内部に収納する収納部と、収納部を目的物に取り付ける取付部とを備え、識別標識を表示する場合は、表示札部が収納部から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札部が収納部の内部に収納されることを特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項1に係る表示具によれば、識別標識を表記される表示札部が、連結される復元機構部の復元力により、収納部に収納されるものである。これにより、識別標識を表示する場合は、表示札部が収納部から外部に引き出され、表示しない場合は、表示札部が収納部の内部に収納される。
【0015】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。これを、配線盤に連結された配線のコネクタ部に応用した場合、抜き差しする配線の誤認を防止できるとともに、配線変更作業における効率を向上できる。
【0016】
また、必要な表示札部だけを引き出して確認することができるので、他の表示札部との誤認を防止できる。
【0017】
この発明の請求項5に係る表示具は、識別対象となる目的物に取り付けられ、当該目的物の識別標識を表示する表示具において、識別標識を表記される折曲可能な表示札部と、表示札部を目的物に取り付ける取付部とを備え、識別標識を表示する場合は、表示する方向に識別標識を向けるように表示札部が折り曲げられ、識別標識を表示しない場合は、表示札部が目的物に沿って伸ばされることを特徴とするものである。
【0018】
この発明の請求項5に係る表示具によれば、識別標識を表記される折曲可能な表示札部が、識別標識を表示する場合は、表示する方向に識別標識を向けて折り曲げられ、表示しない場合は目的物に沿って伸ばされる。
【0019】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。
【0020】
この発明の請求項6に係る表示具付きコネクタは、配線の識別標識を表示する表示具付きコネクタにおいて、識別標識を表記される表示札部と、表示札部に連結され、当該表示札部に復元力を加える復元機構部と、復元機構部の復元力により、表示札部を内部に収納する収納部とを備え、識別標識を表示する場合は、表示札部が収納部から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札部が収納部の内部に収納されることを特徴とするものである。
【0021】
この発明の請求項6に係る表示具付きコネクタによれば、識別標識を表記される表示札部が、連結される復元機構部の復元力により、収納部に収納されるものである。これにより、識別標識を表示する場合は、表示札部が収納部から外部に引き出され、表示しない場合は、表示札部が収納部の内部に収納される。
【0022】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に当該コネクタが配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の請求項1及び請求項6に係る表示具及び表示具付きコネクタによれば、復元機構部の復元力により収納部に収納される表示札部を備え、当該表示札部が、識別標識を表示する場合は収納部から外部に引き出され、表示しない場合は収納部の内部に収納される。この構成により、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。
【0024】
この発明の請求項5に係る表示具によれば、形状変更可能な表示札部を備え、当該表示札部が、識別標識を表示する場合は表示する方向に識別標識を向けて状態を折り曲げられ、表示しない場合は目的物に沿って状態を伸ばされる。この構成により、識別標識を表示しない通常時において表示札部が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
続いて、この発明に係る表示具及び表示具付きコネクタについて、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0026】
まず、本発明に係る第1の実施例としての巻入式表示具10の取り付け対象となる光ファイバコード100について簡単に説明をする。図1は、光ファイバコード100の構成例を示す斜視図である。図1に示す光ファイバコード100は、識別対象となる目的物の一例を構成し、光通信用の配線として用いられるものである。光ファイバコード100は、光コード2及びコネクタプラグ1により構成される。
【0027】
光コード2は、例えば2mm程度の比較的細い直径を有し、光信号の伝送経路を構成するものである。光コード2は、例えば直径0.9mmの光ファイバ芯線を、抗張力繊維等で補強し、更にプラスチック樹脂等で被覆するようにして構成される。
【0028】
光コード2の端部にはコネクタプラグ1が接続されている。コネクタプラグ1は、フェルール3、つまみ4、プラグフレーム5、フード6を備えて構成され、例えば短手方向の外径を8.5mm、長手方向の外径を55mm程度の大きさに形成されている。
【0029】
光コード2の光ファイバ芯線の端部には、フェルール3が接続され、光信号の送受信部を構成する。フェルール3は、例えばステンレス綱で構成され、入光する光を後段の光コード2に伝送するとともに、光コード2から出光した光を後段の接続先に伝送する。
【0030】
フェルール3は、プラグフレーム5の内部に納められている。プラグフレーム5は、例えばプラスチックで構成され、フェルール3を外力から保護する。
【0031】
プラグフレーム5は、更につまみ4内部に納められる。つまみ4は、例えばプラスチックで構成され、滑り止め用の溝部4aを表面に有し、コネクタプラグ1の抜き差しの際に、把持される部位となる。作業者は、つまみ4の溝部4aの周辺を、例えば人差し指と親指でつまむことにより、コネクタプラグ1の抜き差しを行う。
【0032】
つまみ4から外部に出る光コード2は、フード6に被覆されている。フード6は、柔軟性を有する例えばプラスチックで構成され、光コード2に加わる曲げ力及び張力等を緩和する。このようにして、光ファイバコード100が構成される。光ファイバコード100のつまみ4には、破線に示すような巻入式表示具10が連結される。
【0033】
図2は、本発明に係る巻入式表示具10の構成例を示す斜視図である。図2に示す巻入式表示具10は、表示具の一例を構成し、光ファイバコード100の識別標識を表示するものである。
【0034】
巻入式表示具10は、表示札11、巻入器12、ケース13及び取付バンド14により構成され、識別標識を表示する場合は、表示札11をケース13から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札11をケース13の内部に収納されるものである。
【0035】
表示札11は、表示札部の一例を構成し、用途や接続先等の識別標識が表記される。表示札11は、札部11a及びストッパー11bにより構成される。札部11aは、充分な引張り強度を有するとともに、柔軟性を有する素材、例えば、合成樹脂フィルムにより、帯状に構成される。札部11aの一方の端部には、ストッパー11bが接続される。ストッパー11bは、例えばプラスチックのような素材で、開閉部を有する円筒形状に構成される。ストッパー11bは、札部11aの端部を把持する等して札部11aに連結され、札部11aが完全にケース13の内部に巻入れられることを防ぐ。
【0036】
札部11aの他方の端部は、巻入器12に接続される。巻入器12は、復元機構部の一例を構成し、表示札11をケース13に巻入れる為の復元力を加えるものである。
【0037】
巻入器12は、主軸12a、巻取筒12d、固定具12eと、連結具12b(図3参照)及び捻りコイルスプリング12c(図3参照)とを備えて構成される。
【0038】
主軸12aは、所定の径を有する棒形状に形成される。主軸12aは、例えばプラスチックにより形成され、両端部に連結される固定具12e1及び12e2(以下、両者を合わせて固定具12eともよぶ)により、ケース13の両底面の内側に強固に固定される。
【0039】
固定具12eは、例えばプラスチックにより、多角形の薄い柱状に形成される。固定具12eは、例えばケース13両底面の内側に突出する部位、固定爪13b(固定爪13b1及び13b2の両者を指す)に嵌合されて、ケース13に固定される(図4参照)。
【0040】
また、主軸12aには、コイルスプリング12cの一方の端部が、連結具12bを介して連結されている(図3参照)。
【0041】
捻りコイルスプリング12cは、表示札11をケース13に巻き入れる弾性体(バネ)の一例を構成し、一方の端部に引き出す方向の張力が加えられると、捻られて端部を引き出され、張力から解放されると元の形状に戻る性質を有するものである。コイルスプリング12cには、主軸12aを貫通できる内径を有する、例えば金属性のコイルスプリングが用いられる。
【0042】
捻りコイルスプリング12cの他方の端部は、巻取筒12dに連結される。巻取筒12dは、例えばプラスチックにより、一方の底面、図2においては上方の底面に主軸12aを貫通できる開口部12d1(図3参照)を開口されるとともに、他方の底面、図2では下方の底面を全開口された筒状の容器形状に形成される。捻りコイルスプリング12cの端部は、例えば、巻取筒12dの上面の針孔に通される等して、強固に連結される。このように巻入器12を構成することにより、巻取筒12dは、主軸12aに対して、復元可能に回転するようになる。
【0043】
巻入器12の巻取筒12dの外面には、上述の表示札11が連結される。巻取筒12dは、主軸12aを回転軸として復元可能に回転し、表示札11に張力が加わった時には表示札11を引き出され、張力から解放された時には表示札11を巻入れるように動作する。
【0044】
表示札11を連結された巻入器12は、ケース13の内部に納められる。ケース13は、収納部の一例を構成し、巻入器12の復元力により、表示札11を内部に収納するものである。ケース13は、この例では、プラスチックにより円筒形状の容器に形成される。この例では、ケース13は、蓋部13c及び円筒容器部13dにより構成される。蓋部13c及び円筒容器部13dの底面の内側には、固定爪13bが突出するように形成される。固定爪13bは、例えば、固定具12eの大きさに合わせた六角形の凹部を中心部に有するように形成される(図4参照)。
【0045】
ケース13の側面には、スリット13aが開口される。スリット13aは、表示札11を巻出す又は巻入れる為の取り出し口を構成し、上述の札部11aの幅よりも大きく、ストッパー11bの幅よりも小さい大きさに開口される。
【0046】
また、ケース13の一方の底面には、取付バンド14が連結される。取付バンド14は、取付部の一例を構成し、ケース13を光ファイバコード100に取り付けるものである。取付バンド14は、例えば復元力を有するプラスチックにより構成され、図1に示した光ファイバコード100のコネクタプラグ1を把持するようになされる。
【0047】
取付バンド14は、開口部14aを開口させて、例えば、図1に示した溝部4aのような比較的接触抵抗が高い部位を挟むようにして閉口されることにより、巻入式表示具10をコネクタプラグ1に取り付ける。このようにして、巻入式表示具10が構成される。以下で、図3〜図5を参照しながら巻入式表示具10の製造(組立)方法について説明をする。
【0048】
図3A〜Dは、巻入式表示具10の組立例(その1)を示す断面図である。ここでは、巻入式表示具10に係る巻入器12の組立方法について説明をする。巻入器12を組み立てる場合、まず、図3Aに示す固定具12e1を準備する。
【0049】
固定具12e1は、主軸12aをケース13の上面に連結させる為のものである。従って、例えば六角形のような多角形状に形成するとよい。固定具12e1を製造する場合、例えば、外接円の直径が5〜8mm程度の六角柱状の凹部を有する金型を準備し、プラスチック樹脂を1〜3mm程度の高さまで流し込んで固めて形成する。また形成された固定具12eの一方の面には、主軸12aを嵌め込める円柱状の凹部12e11を開口するようにする。
【0050】
次に、図3Bに示す巻取筒12dを準備する。巻取筒12dは、上方の底面に主軸12aを貫通できる開口部12d1を開口されるとともに、下方の底面を全部開口された筒状の容器に形成される。巻取筒12dを製造する場合は、例えば直径6〜8mmの円筒状の凹部を有する金型に、凹部より小さい、例えば直径4〜7mmの円筒状の金型を、底面を1〜2mm程度浮かせた状態で固定した金型に、例えばプラスチック樹脂を4〜5mmの高さまで流し込んで固めるようにする。またこの時、内側の円筒状の金型の底面に、予め開口部12d1を象った凸部を形成しておくとよい。
【0051】
次に、巻取筒12dに納められる、図3Cに示す部位を組み立てる。図3Cに示す部位は、主軸12a、連結具12b、捻りコイルスプリング12c及び固定具12e2を組み立てることにより形成される。これらを組み立てるには、まず主軸12aを準備する。
【0052】
主軸12aは、例えばプラスチックにより、強度を確保できる最小限度の大きさ、この例では直径3〜4mm程度、高さ5〜6mm程度の棒形状に形成される。主軸12aを製造する場合は、円筒状の凹部を有する金型にプラスチック樹脂を流し込んで形成するようにするとよい。
【0053】
主軸12aの底面部には、固定具12e2を連結する。固定具12e2は、図3Aに示した固定具12e1と同柱状に形成されるものである。主軸12aは、固定具12e2に形成される凹部12e21に嵌め込まれ、例えば強力な接着剤により強固に連結される。またこの固定具12e2は、予め主軸12aと一体化させて作成してもよい。
【0054】
主軸12aには、捻りコイルスプリング12cが、主軸12aを貫通するようにして係合される。係合された捻りコイルスプリング12cの一方の端部は、連結具12bを介して主軸12aに連結される。捻りコイルスプリング12cのもう一方の端部は、巻取筒12dに強固に連結されるようになる。
【0055】
連結具12bも所定の金型にプラスチック樹脂又はゴム樹脂等を流し込んで形成するようにするとよい。連結具12bは、例えば、中心部に主軸12aを貫通できる孔を開口されたドーナッツ形状に形成する。連結具12bを製造する場合は、円筒状の凹部を有する金型に液化させた用材を流し込んで固めた後、ドリル等で中心部に主軸12aを貫通させる円筒状の孔を開口するようにして形成するとよい。
【0056】
連結具12bは、開口された中心部の孔に主軸12aを通して、強力な接着剤等で主軸12aに連結される。また連結具12bも、予め主軸12aと一体化して作成してもよい。
【0057】
このようにして図3Cの部位を組み立てたら、図3Dに示す巻入器12を組み立てる。図3Dに示す巻入器12を組み立てる場合、まず、図3Cの部位を巻取筒12dの底面から入れて、捻りコイルスプリング12cを連結させる。巻取筒12dの上面の所定の部位には、捻りコイルスプリング12c連結用の針孔が開口され、捻りコイルスプリング12cの一方の端部は、この針孔に差し込んだ後で折り曲げられ、巻取筒12dに強固に連結される。
【0058】
次に巻取筒12dの開口部12d1から主軸12aの上端部を出して、図3Aに示した固定具12e1の凹部12e11に嵌め込み、強力な接着剤等で固定する。このようにして巻入器12を組み立てることができる。
【0059】
組み立てられた巻入器12の巻取筒12dには、図3Dに破線で示すように、札部11aを連結させる。札部11aは、合成樹脂フィルムを、この例では、幅3.5mm、長さ50mm〜100mm程度の帯状に切る等して形成されるものである。札部11aを巻取筒12dに連結するには、札部11aの一方の端部を、巻取筒12dの表面に、例えば強力な接着剤で貼り付けるようにする。またこの段階では、札部11aの他方の端部にはストッパー11bを連結させないようにする。
【0060】
このようにして、巻入器12に係る部位を組み立てることができる。次に、この巻入器12に係る部位をケース13に入れて、光ファイバコードに取り付けられる形状に組み立てる方法について説明をする。
【0061】
図4A〜Dは、巻入式表示具10の組立例(その2)を示す断面図である。ここでは、上述のように組み立てられた巻入器12に係る部位をケース13に収納する為、まず、図
4Aに示す蓋部13cを準備する。
【0062】
蓋部13cは、この例では、固定爪13b1を突出させた円盤状に形成される。蓋部13cを製造する場合は、例えば直径12mmの円筒状の凹部を開口された金型を準備する。この円筒状の凹部の底面には、更に固定爪13b1を象った凹部を形成するようにする。この金型に、例えば高さ1〜2mmの高さまでプラスチック樹脂を流し込んで固めて、蓋部13cを形成する。
【0063】
図4Bに示す巻入器12に係る部位は、上面の固定具12e1を、蓋部13cの固定爪13b1に嵌め込まれて固定される。また、下面の固定具12e2は、円筒容器部13dの固定爪13b2に嵌め込まれるようになる。
【0064】
図4Cの円筒容器部13dは、蓋部13cと同じ大きさ、例えば直径12mmの円形の底面と、高さ6mmの側面を有する形状に形成される。円筒容器部13dを製造する場合、例えば直径12mmの円筒状の凹部を開口された金型に、凹部より小さい、例えば直径10mmの円筒状の金型を、底面を1〜2mm浮かせた状態で固定させた金型を準備する。この時、内側の円筒状の金型の底面には、固定爪13b2を象った凹部を形成するようにする。この金型に、例えばプラスチック樹脂を流し込んで固めることにより、円筒容器部13dが形成される。
【0065】
金型から出した円筒容器部13dの側面には、スリット13aを開口する。スリット13aは、電動カッター等で、表示札11の太さよりも多少大きい幅の細長いスリット状に開口される。
【0066】
円筒容器部13dの底面に連結される図4Dに示す取付バンド14は、例えば強い復元力を有する帯状のプラスチックを曲加工して形成される。取付バンド14は、この例では取付時に開口部14aを有するように形成したが、それに限られることはなく、取付時に両端部を連結させるような形状にしてもよい。また、ゴムのような伸縮性を有する素材で輪形状に形成して、つまみ4に取り付けられるようにしてもよい。もしくは、強力なテープで取付バンド14を形成して、つまみ4に直接貼り付けるようにしてもよい。
【0067】
図5は巻入式表示具10の組立例(その3)を示す断面図である。図5に示す巻入式表示具10を組み立てる場合、まず、円筒容器部13dに、図4Bに示した巻入器12に係る部位を入れ、底面の固定具12e2を円筒容器部13dの固定爪13b2に嵌め込む。この時、強力な接着剤等でより強固に連結させるようにしてもよい。
【0068】
連結させたら、札部11aの解放されている一方の端部をスリット13aから外部に引き出して、引き出された端部にストッパー11bを連結させる。この時、張力を外部から加えられない通常状態で、札部11aに多少の復元力が加わり、ストッパー11bがスリット13aに引きつけられている状態になるように調整するとよい。
【0069】
次に蓋部13cを円筒容器部13dの上部からかぶせて、例えば接着剤で連結させ、ケース13を密封する。この時、蓋部13cの固定爪13b1が巻入器12の上面の固定具12e1を嵌め込んで固定するようにする。
【0070】
最後に、ケース13の底面に、例えば強力な接着剤により取付バンド14を連結させる。以上のようにして巻入式表示具10を組み立てることができる。
【0071】
図6は、巻入式表示具10の取付例を示す斜視図である。図6に示す巻入式表示具10は、光接続ユニット102に接続された光ファイバコード100に取り付けられている。巻入式表示具10を取り付ける場合、表示札11のストッパー11bが、光ファイバコード100の差込方向に対して横方向になるようにすると、光コード2方向に表示札11を引き出しやすい(破線L1の方向)。またこの例では、表示札11の巻入れ方向は、破線L2に示す方向にするとよい。
【0072】
図7は、巻入式表示具10の取扱例を示す斜視図である。図7に示す巻入式表示具10は、表示札11がケース13から引き出された状態を示している。このように、識別標識を表示する時は、表示札11は、ストッパー11bを把持されてケース13から引き出される。識別標識を表示しない時は、表示札11は、ストッパー11bを離されることにより、巻入器12の復元力によりケース13内部に巻き入れられる。表示札11を巻き入れられた通常状態の巻入式表示具10は、図6に示した状態に戻る。
【0073】
このように第1の実施例に係る巻入式表示具10によれば、識別標識を表記される表示札11が、連結される巻入器12の復元力により、ケース13に収納されるものである。これにより、識別標識を表示する場合は、表示札11がケース13から外部に引き出され、表示しない場合は、表示札11がケース13の内部に収納される。
【0074】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札11が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に目的物が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。これを、光配線盤に連結された光ファイバコード100のコネクタプラグ1に応用した場合、抜き差しする光コード2の誤認を防止できるとともに、配線変更作業における効率を向上できる。また必要な表示札11だけを引き出して確認することができるので、他の表示札11との誤認を防止できる。
【0075】
またこの例では、巻き取り用のバネとして、捻りコイルスプリング12cを使用するようにしたが、これに限られることはなく、螺旋状に巻かれた渦巻きバネを使用するようにしてもよい。図3に示した巻入器12に渦巻きバネを連結させる場合は、渦巻きバネの内側の端部を、例えば強力な接着剤で主軸12aの側面に連結し、渦巻きバネの外側の端部を、巻取筒12dの内側面に強固に連結するようにするとよい。このように渦巻きバネを用いることにより、巻入式表示具10の薄型化を実現できる。
【0076】
また、巻き取り用の弾性体として、バネに換えてゴムのようなものを使用してもよい。ゴムを使用することにより、軽量化、低コスト化が実現できる。
【0077】
また、巻取筒12dの回転を停止できる固定機構を、巻入器12に形成し、当該固定機構を、ケース13の側面の例えばボタンのような操作手段により操作できるようにしてもよい。このように構成することにより、表示札11が引き出された状態に固定できるようになるので、作業に必要な複数の表示札11を参照しながら、配線作業を行うことができるようになる。
【実施例2】
【0078】
図8は、本発明に係る第2の実施例としての引入式表示具20の構成例を示す斜視図である。図8に示す引入式表示具20は、表示具の一例を構成し、光ファイバコード100のつまみ4に取り付けられるものである。
【0079】
引入式表示具20は、表示札21、引入器22、ケース23及び取付バンド24により構成され、識別標識を表示する場合は、表示札21がケース23から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札21がケース23の内部に収納されるものである。
【0080】
表示札21は、表示札部の一例を構成し、用途や接続先等の識別標識を表記される。表示札21は、札部21a及びストッパー21bにより構成される。札部21aは、充分な引張り強度を有するとともに、柔軟性を有する素材、例えば、合成樹脂フィルムにより帯状に形成される。
【0081】
札部21aの一方の端部には、ストッパー21bが接続される。ストッパー21bは、例えばプラスチックのような素材で例えば開閉部を有する円筒形状に構成され、札部21aの端部を把持する等して札部21aに連結され、札部21aが完全にケース23の内部に引き入れられることを防ぐ。札部21aの他方の端部には、孔部21a1が開口されている。
【0082】
札部21aには、引入器22が接続される。引入器22は、復元機構部の一例を構成し、表示札21をケース23に引き入れる為の復元力を加えるものである。
【0083】
引入器22は、コイルスプリング22c及び連結具22bを備えて構成される。連結具22bは、札部21aの端部を把持して補強するようになされる。連結具22bは、例えば金属製の強力なクリップのように形成され、札部21aの端部を把持して固定するものである。連結具22bには、把持した札部21aの孔部21a1と重なり合う位置に孔部22b1が開口される。孔部21a1及び孔部22b1にはコイルスプリング22cの一方の端部が挿入された後、折り曲げられて連結される。
【0084】
コイルスプリング22cは、表示札21をケース23に引き入れるバネの一例を構成し、一方の端部に引き出す方向の張力が加えられると、伸びて端部を引き出され、張力から解放されると元の形状に戻る性質を有する。コイルスプリング22cには、例えば金属性のコイルスプリングが用いられる。
【0085】
コイルスプリング22cのもう一方の端部は、ケース23の内部に納められて固定される。ケース23は、収納部の一例を構成し、引入器22の復元力により、表示札21を内部に収納するものである。ケース23は、この例では、プラスチックにより表示札21を収納できる長さを有する略円筒形状の容器に形成される。ケース23は、挿入部23aからコイルスプリング22cが納められる位置までの部位は円筒形状に形成されるが、取付バンド24への取付部23b周辺においては平形状につぶされたような形状に形成される。
【0086】
取付部23bには、コイルスプリング22cを固定する為の孔部23cが開口される。ケース23の内部に納められたコイルスプリング22cの一方の端部は孔部23cから挿入される固定ピン27により固定される。
【0087】
ケース23の取付部23bには、取付バンド24が連結される。取付バンド24は、取付部の一例を構成し、ケース23を光ファイバコード100に取り付けるものである。取付バンド24は、例えばプラスチックにより構成され、光ファイバコード100のコネクタプラグ1を把持するようになされる。このようにして、引入式表示具20が構成される。以下で、引入式表示具20の(製造)組立方法について説明をする。
【0088】
図9は、引入式表示具20の組立例を示す斜視図である。図9に示すようにして引入式表示具20を製造する(組み立てる)場合、まず、表示札21を準備する。
【0089】
表示札21の札部21aは、例えば、合成樹脂フィルムを幅3.5mm、長さ50mm〜100mm程度の帯状に切る等して形成される。札部21aの一方の端部には、ストッパー21bを連結する。ストッパー21bは、例えばプラスチックにより、ケース23の挿入部23aに入り込まない大きさ又は形状に形成されている。札部21aの他方の端部には、コイルスプリング22cを連結する為の孔部21a1を開口する。表示札21の孔部21a1を開口した端部には連結具22bを連結する。
【0090】
連結具22bは、例えば金属により開閉可能な形状に形成される。連結具22bの開閉時の接合部には、札部21aを確実に把持できるように、噛み込み爪を形成するとよい。もしくは、連結具22bで札部21aを把持する際に、接合面を強力な接着剤で連結するようにしてもよい。連結具22bには、孔部21a1と重なる位置に孔部22b1を開口する。孔部22b1には、コイルスプリング22cの一方の端部を挿入する。
【0091】
コイルスプリング22cには、例えば金属製のコイルスプリングが用いられる。コイルスプリング22cには、充分な伸縮性と復元力を有するバネを使用するようにする。コイルスプリング22cの他方の端部は、ケース23の取付部23bに連結させる。
【0092】
ケース23は、例えばプラスチックにより、略円筒形状に形成される。ケース23を製造する場合は、適度な硬度を有する、例えば内径4〜5mmのプラスチック管を、表示札21及びコイルスプリング22cを納められる長さ、例えば60〜110mmに切って、一方の端部の対向する2つの面に孔部23cを貫通開口するようにする。
【0093】
ケース23の取付部23bにコイルスプリング22cの端部を連結するには、開口された孔部23cから固定ピン27を挿入して、ケース23内部でコイルスプリング22cを引っ掛けるようにして固定し、ケース23の対向する面の孔部23cからケース23外に固定ピン27を出してから端部を折り曲げるようにするとよい。こうすることにより、コイルスプリング22cの端部を固定できるとともに、取付部23bのつぶれたような形状を形成することができる。
【0094】
形成された取付部23bには、強力な接着剤により取付バンド24を連結する。また、取付バンド24にも孔部を開口し、固定ピン27を挿入して、取付部23bと取付バンド24とを固定するようにしてもよい。こうすると、ケース23と取付バンド24とを、より強固に連結することができる。このようにして、引入式表示具20を組み立てることができる。
【0095】
組み立てられた引入式表示具20は、図8の二点鎖線に示したようにして、識別標識を表示する時は、表示札21が、ストッパー21bを把持されてケース23から引き出される。識別標識を表示しない時は、表示札21が、ストッパー21bを解放されることにより、引入器22の復元力でケース23内部に引き入れられる。表示札21を引き入れられた通常状態の引入式表示具20は、図8に実線で示した状態に戻る。
【0096】
このように、第2の実施例に係る引入式表示具20によれば、識別標識を表記される表示札21が、連結される引入器22の復元力により、ケース23に収納されるものである。
【0097】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札21が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所にコネクタプラグ1が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。また、ケース23がコネクタプラグ1に沿うように配置されるので、コネクタプラグ1の取付時の厚みの上昇を最小限に抑えられる。
【実施例3】
【0098】
図10は、本発明に係る第3の実施例としての表示具付きコネクタプラグ30の構成例を示す斜視図である。図10に示す表示具付きコネクタプラグ30は、表示具付きコネクタの一例を構成し、連結される配線(光コード2)の識別標識を表示するものである。
【0099】
表示具付きコネクタプラグ30は、図1に示したコネクタプラグ1と巻入式表示具とが一体化されて構成されるものであり、コネクタプラグとしての構成部材に加え、表示札31、巻入器32、ケース33を備えて構成される。表示具付きコネクタ30は、識別標識を表示する場合は、表示札31をケース33から外部に引き出され、識別標識を表示しない場合は、表示札31をケース33の内部に収納されるものである。
【0100】
表示札31は、表示札部の一例を構成し、用途や接続先等の識別標識を表記される。表示札31は、札部31a及びストッパー31bにより構成される。札部31aのストッパー31bが連結されない方の端部は、巻入器32に接続される(図11参照)。
【0101】
巻入器32は、復元機構部の一例を構成し、表示札31をケース33に巻入れる為の復元力を加えるものである。
【0102】
巻入器32は、主軸32a、巻取筒32d、固定具32e、連結具32b及び捻りコイルスプリング32cを備えて構成される(図11参照)。巻入器32は、図3に示した巻入器12の中心部に、コード2を挿入できる孔部を開口された形状に構成される。
【0103】
主軸32aは、中心部に光コード2を貫通できる孔を開口された棒形状に形成される。主軸32aは、例えばプラスチックにより形成され、両端部に連結される固定具32eにより、ケース33の両底面の内側に強固に固定される。
【0104】
固定具32eは、例えばプラスチックにより、中心部に光コード2を貫通できる孔を開口された多角形の薄い柱状に形成される。固定具32eは、例えばケース33両底面の内側に突出する部位、固定爪33bに嵌合されて、ケース33に固定される。このようにして巻入器32が構成される。なお、巻入器32のその他の部材は、図3において説明した同名の部材と同じ構成であるので、ここでは詳細は割愛する。
【0105】
ケース33の一方の底面は、フード36に連結される。フード36は、柔軟性を有する例えばプラスチックで構成され、光コード2に加わる曲げ力及び張力等を緩和するものである。このようにして、表示具付きコネクタ30が構成される。以下で、表示具付きコネクタプラグ30の組立(製造)方法について説明をする。
【0106】
図11は、表示具付きコネクタプラグ30の組立例を示す断面図である。表示具付きコネクタプラグ30を製造する(組み立てる)場合、まず、蓋部33cを準備する。蓋部33cを製造する場合は、図4Aに示した蓋部13cの金型と同様の金型に、例えばプラスチック樹脂を流し込んで固めた部材の中心部に、孔部33c3を開口すればよい。同様に、円筒容器部33dを製造する場合は、図4Cに示した円筒容器部13dの金型と同様の金型に、プラスチック樹脂を流し込んで固めた部材の中心部に、孔部33d3を開口すればよい。
【0107】
次に、巻入器32を製造するには、図3に示した巻入器12と同様の手順で組み立てるようにするが、この時、上述のように、主軸32a及び固定具32eの中心部には、光コード2を貫通できる孔部32a3及び32e3を開口するようにする。
【0108】
上述のような部材を準備したら、それぞれの光コード2用に開口した孔部が同一線上になるように組み立てる。組み立てるには、まず、円筒容器部33dの固定爪33bに巻入器32の固定具32eを固定し、札部31aをスリット33aから外部に引き出して、ストッパー31bを連結する。
【0109】
次に上面から蓋部33cを連結させて固定する。次にフード36を円筒容器部33dの底面に、強力な接着剤で固定する。フード36には、光コード2を貫通させる孔部36aが開口される。最後に、光コード2を各部材の孔部に貫通させ、コネクタプラグのつまみ4の下方から挿入して、端部には、図1に示したフェルール3に連結させる。このようにして、表示具付きコネクタプラグ30を製造する(組み立てる)ことができる。
【0110】
組み立てられた表示具付きコネクタプラグ30は、図10の二点鎖線に示したようにして、識別標識を表示する時は、表示札31が、ストッパー31bを把持されてケース33から引き出される。識別標識を表示しない時は、表示札31は、ストッパー31bを離されることにより、巻入器32の復元力によりケース33内部に引き入れられる。表示札31を引き入れられた通常状態の表示具付きコネクタ30は、図10に実線で示した状態に戻る。
【0111】
このように、第3の実施例に係る表示具付きコネクタプラグ30によれば、識別標識を表記される表示札31が、連結される巻入器32の復元力により、ケース33に収納されるものである。
【0112】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札31が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所に表示具付きコネクタ30が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。また、ケース33がフード36と一体化して製造される(組み立てられる)ので、表示具付きコネクタプラグ30の大きさへの影響を最小限に抑えられる。
【実施例4】
【0113】
図12は、本発明に係る第4の実施例としての折曲式表示具40の構成例を示す斜視図である。図12に示す折曲式表示具40は、表示具の一例を構成し、光ファイバコード100のつまみ4に取り付けられるものである。
【0114】
折曲式表示具40は、表示札41、取付バンド44により構成され、識別標識を表示する場合は、表示する方向に識別標識を向けるように表示札41が折り曲げられ、識別標識を表示しない場合は、表示札41がコネクタプラグ1に沿って伸ばされるものである。
【0115】
表示札41は、折曲可能な表示札部の一例を構成し、用途や接続先等の識別標識を表記される。表示札41は、例えば、復元力を有するプラスチック製の板バネにより構成され、外力が加わった間は状態を折り曲げられ、外力から解放されると直線状に戻るようになされる。
【0116】
図12に示す折曲式表示具40を製造する(組み立てる)場合、まず、表示札41を準備する。表示札41には、例えば幅10mm、長さ30〜60mm程度のプラスチック製の板バネを使用する。表示札41の一方の端部には、例えば孔部を開口する。
【0117】
表示札41は、実施例1の取付バンド14と同様に形成された取付バンド44に連結する。表示札41は、例えば固定ピン47により、取付バンド44に連結する。このようにして、折曲式表示具40を製造する(組み立てる)ことができる。
【0118】
このように第4の実施例に係る折曲式表示具40によれば、識別標識を表記される折曲可能な表示札41が、識別標識を表示する場合は、表示する方向に識別標識を向けて折り曲げられ、表示しない場合はコネクタプラグ1に沿って伸ばされる。
【0119】
従って、識別標識を表示しない通常時において表示札41が邪魔にならないようにできるので、狭隘な場所にコネクタプラグ1が配された場合に生じる表示具による煩雑さを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
この発明は、光配線盤に連結される光ファイバコードの用途・接続先などを表示する表示札に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】第1の実施例としての光ファイバコード100の構成例を示す斜視図である。
【図2】巻入式表示具10の構成例を示す斜視図である。
【図3】(A)〜(D)は、巻入式表示具10の組立例(その1)を示す断面図である。
【図4】(A)〜(D)は、巻入式表示具10の組立例(その2)を示す断面図である。
【図5】巻入式表示具10の組立例(その3)を示す断面図である。
【図6】巻入式表示具10の取付例を示す斜視図である。
【図7】巻入式表示具10の取扱例を示す斜視図である。
【図8】第2の実施例としての引入式表示具20の構成例を示す斜視図である。
【図9】引入式表示具20の組立例を示す斜視図である。
【図10】第3の実施例としての表示具付きコネクタプラグ30の構成例を示す斜視図である。
【図11】表示具付きコネクタプラグ30の組立例を示す断面図である。
【図12】第4の実施例としての折曲式表示具40の構成例を示す斜視図である。
【図13】光配線盤101の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0122】
1・・・コネクタプラグ、2・・・光コード、3・・・フェルール、4・・・つまみ、5・・・プラグフレーム、6・・・フード、10・・・巻入式表示具、11・・・表示札、12・・・巻入器、13・・・ケース、14・・・取付バンド、20・・・引入式表示具、30・・・表示具付きコネクタプラグ、40・・・折曲式表示具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別対象となる目的物に取り付けられ、当該目的物の識別標識を表示する表示具において、
前記識別標識を表記される表示札部と、
前記表示札部に連結され、当該表示札部に復元力を加える復元機構部と、
前記復元機構部の復元力により、前記表示札部を内部に収納する収納部と、
前記収納部を前記目的物に取り付ける取付部とを備え、
前記識別標識を表示する場合は、前記表示札部が前記収納部から外部に引き出され、
前記識別標識を表示しない場合は、前記表示札部が前記収納部の内部に収納されることを特徴とする表示具。
【請求項2】
前記復元機構部は、
前記表示札部を前記収納部に巻き入れる弾性体を有することを特徴とする請求項1に記載の表示具。
【請求項3】
前記収納部は、
前記表示札部を収納できる長さを有し、
前記復元機構部は、
前記表示札部を前記収納部に引き入れる弾性体を有することを特徴とする請求項1に記載の表示具。
【請求項4】
前記取付部は、
電気又は光通信用の配線のコネクタ部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の表示具。
【請求項5】
識別対象となる目的物に取り付けられ、当該目的物の識別標識を表示する表示具において、
前記識別標識を表記される折曲可能な表示札部と、
前記表示札部を前記目的物に取り付ける取付部とを備え、
前記識別標識を表示する場合は、表示する方向に識別標識を向けるように前記表示札部が折り曲げられ、
前記識別標識を表示しない場合は、前記表示札部が前記目的物に沿って伸ばされることを特徴とする表示具。
【請求項6】
配線の識別標識を表示する表示具付きコネクタにおいて、
前記識別標識を表記される表示札部と、
前記表示札部に連結され、当該表示札部に復元力を加える復元機構部と、
前記復元機構部の復元力により、前記表示札部を内部に収納する収納部とを備え、
前記識別標識を表示する場合は、前記表示札部が前記収納部から外部に引き出され、
前記識別標識を表示しない場合は、前記表示札部が前記収納部の内部に収納されることを特徴とする表示具付きコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−164829(P2008−164829A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353001(P2006−353001)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】