説明

表示画面上でのパララックスバリア方式画面の位置調整方法

本発明は、三次元表示のための表示画面を形成するための、行iおよび列jからなるグリッドにおける画素x(i,j)を備えた表示画面上で、パララックスバリア方式画面を位置調整するための方法に関する。その際に、以下の各ステップが実施される:
位置決めマーカ(6a)を一時的に配置する;前記位置決めマーカ(6a)をカメラ(3)により観察する;表示画面(1)を相対的に位置調整する;位置決めマーカ(6a)を除去する;パララックスバリア方式画面(2)を表示画面(1)の画像領域に対して位置決めする;k=1,…,nおよびn=6またはn=7である異なる視点A(k)からなるテスト画像を行iおよび列jの画素x(i,j)上に表示する;カメラ(3)を用いてある一定の距離からパララックスバリア方式画面(2)を通して表示されたテスト画像を観察する;そしてパララックスバリア方式画面(2)を表示画面(1)に対して位置調整する。本発明による方法は迅速に実施できるため、三次元表示用の表示画面を製造するための産業上の利用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上でパララックスバリア方式画面の位置調整を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、パララックスバリア方式という専門領域に対する取り組みが存在していた。この分野での先駆者はフレデリック・イベスであり、彼は英国特許出願公開第190418672号明細書において、三次元表示のための「ラインスクリーン」を備えたシステムを開示している。さらにサムH.カプランの文献「パララックスバリア理論」(SMPTEジャーナル、1952年7月、59巻、7号、11−21ページ)には、三次元表示用バリアスクリーンを使用するための基本的認識が記載されている。
【0003】
しかし、自動立体画像システムの広範な普及は、長期間にわたっては成就しなかった。ようやく20世紀の1980年代になり、コンピュータ性能および新型ディスプレイ技術の進展のおかげで、三次元システムの実際の再興が始まったのである。90年代には、眼鏡不要の三次元可視化に関する特許出願数および刊行物が急増した。画期的成果をもたらしたのは、以下の発明者たちおよび寄稿者たちであった。
【0004】
特開平08−331605号公報において増谷健ら(三洋電機)は、透明なバリア要素がおよそカラー・サブピクセル(R、GまたはB)のサイズを有するステップバリアを開示している。この技術により、大半の自動立体画像システムにおいて、同時に複数の視点(少なくとも2つ、好ましくは2つ以上の視点)を表示するゆえに生じる、水平方向の解像度損失を部分的に垂直方向へも転換することが初めて可能となった。すべてのバリア方式においてと同様に、ここでの欠点も大きな輝度損失である。また、視聴者が横に移動した場合には、立体コントラストがほぼ100%からおよそ50%へ変化した後に再び100%へ増加するが、それにより視聴空間では三次元画像品質の変動がもたらされることになる。
【0005】
独国特許出願公開第10003326号明細書では、アルミン・グラスニクらは三次元印象を形成するための二次元構造の波長選択性フィルタアレイに関するバリア技術を発展させた。しかし、ここでも欠点とされるのは、二次元ディスプレイに比べて極めて低い、この種の三次元システムの輝度である。
【0006】
そして、ヴォルフガング・ツショッペらが出願した国際公開第2004/077839号は、輝度を改良したバリア技術に関するものである。特開平08−331605号公報および独国特許出願公開第10003326号明細書のステップバリア手法に基づき、透明バリアフィルタ要素対不透明バリアフィルタ要素の特殊コンタクト比が開示されており、それは表示された視点数をnとすると、1/n以上である。しかし、当該明細書において開示された構成および理論では、通常、不快なモアレ作用および/または極めて限定的な奥行き認知が生じるが、それは例えば特開平08−331605号公報の理論に比べて立体コントラストが大幅に減少するからである。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0051109号明細書(リムら)において、三次元表示画面の製造が記載されており、該表示画面では三次元画像形成装置(例えばレンズ、バリアスクリーンなど)が表示画面前に配置され、次いで位置決め調整時に接着結合剤が硬化される。その際に特徴的なのは、オペレータまたはカメラにより観察される黒線が引かれることである。ここでの特有な欠点は、単に黒線または黒領域による位置調整では、必ずしも必要とされる位置の適正さが得られないことである。これに対し、位置調整用テストパターンとして、それぞれ真っ白および真っ黒な領域という異なる画像内容を持つ、少なくとも一つの左画像および右画像を用いるその他の提案方法では、2つの分離した部分画像つまり左右の画像の分析が必要とされる。
【0008】
独国特許発明第10252830号明細書(マリ・モッタ)には、フラットパネルディスプレイ用の自動立体画像アダプタが記載されており、該アダプタは電子光学センサによる自動較正を行う。その際に使用されるテストパターンに関する記載がないため、最終較正の品質に関する結論を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】英国特許出願公開第190418672号明細書
【特許文献2】特開平08−331605号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第10003326号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/077839号
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0051109号明細書
【特許文献6】独国特許発明第10252830号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】サムH.カプラン、「パララックスバリア理論」、SMPTEジャーナル、1952年7月、59巻、7号、11−21ページ
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、できるかぎり簡略な手段によって三次元表示用の表示画面を形成するための、表示画面上でのパララックスバリア方式画面の位置を調整する方法を提供し、十分に正確な位置調整を短時間で実現することである。この点において、空間高さが過小または過大な空間においても、長い視聴距離(数メートル)を必要とする三次元表示用表示画面が、実現可能となる。
【0012】
上記目的は、本発明による、三次元表示のための表示画面を形成するための、行iおよび列jからなるグリッドにおける画素x(i,j)を備えた表示画面上に、パララックスバリア方式画面を位置調整するための方法により達成され、その方法は以下のステップを含む:
− 表示画面の画像領域の、好ましくはほぼ中央に位置決めマーカを一時的に配置する、
− 前記位置決めマーカをカメラを用いて観察し、それによって位置決めマーカは少なくとも1台の偏向ミラーにより投射され、カメラにより撮影された画像が、その画像領域のほぼ中央に一つの位置決めマーカを同様に含むモニタ上に表示される、
− 表示画面の相対的位置調整により、モニタ上の画像において両方の位置決めマーカが重なり、モニタ上の画像における表示画面の画像領域の左側、右側、上側または下側の画像エッジが、モニタの画像領域の左側、右側、上側、または下側の画像エッジに対して平行に配置される、
− 位置決めマーカを表示画面の画像領域から除去する。
− パララックスバリア方式画面を、表示画面の画像領域に対して位置決めする、
− k=1,…,nおよびn=6またはn=7である異なる視点A(k)からなる、行iおよび列jを持つ画素x(i,j)により形成されたテスト画像を表示する。
− カメラを用いて一定の距離からパララックスバリア方式画面を通して表示されたテスト画像を観察し、それによってカメラにより得られた画像がモニタに順々に表示される、
− モニタ上に表示された画像を用いて、パララックスバリア方式画面を表示画面に対して位置調整する。
【0013】
前提とされるのは、モニタ上でのカメラ画像の精密ピクセル表示である。好ましくは、カメラとモニタは同一解像度を有しており、カメラ画像は全画面モードでモニタに表示される。
【0014】
組立場所の大半では、横置き表示画面の前に、カメラを位置決めするための所要の高さが不足しているため、偏向ミラーが好ましくは天井に配置され、その光路が屈曲することにより、空間高さが低い場合でも表示画面までのカメラの長い距離(数メートル)が可能となる。
【0015】
この位置調整ステップは、原則的にオペレータによる手動方式、あるいはロボットによる自動方式、場合によってはオペレータおよびロボットの共同作業により実施することができる。
指数iは画素x(i,j)からなるグリッドの行を、指数jは列を表す。
テスト画像における6個所または7個所の視点数により、一方で効率的なテスト画像形成が可能となり、他方で適正な位置調整を行うための十分に良好なテスト作用が発揮される。
【0016】
パララックスバリア方式画面のパラメータ類は、例えば上述したカプランの文献から、二つの式(1)および(2)を活用して、簡便に計算できる。それにより、間隔s、画素x(i,j)のグリッドおよびパララックスバリア方式画面の間の距離、平均的に65mmと設定されている人の両眼間隔、視聴距離、バリアの透明部分の(水平)周期長、並びに前記透明部分のストライプ幅などのあらゆる所要関連値が得られる。同様に、上述のいくつかの文献により、当業者には自明であるパララックスバリア方式画面に対するその他の仕様情報が得られる。
必須ではないが大半の場合において、位置調整後にカメラにより得られる、表示されたテスト画像の画像は、n=6またはn=7の視点A(k)の一つの少なくとも40%の精密画素を含む。
【0017】
本発明による方法を、産業上の利用のためにさらに有利に構成するために、n=6またはn=7の少なくとも一つの視点A(k)、あるいは好ましくはすべての視点において、英数字符号、好ましくは型式番号および製造番号および/または認識マーク/認識対象物が含まれる。これにより、例えば画像において型式番号が見られる場合、また、オペレータまたはロボットがこの型式番号を実際に作業中の表示画面の型式番号と比較する場合に、ある特定の表示画面型式に対する適正なテスト画像を用いることが保証される。
【0018】
さらにパララックスバリア方式画面の位置調整後に、表示されたテスト画像の、カメラにより撮影された画像の別の保存ステップを実施できるが、その際に好ましくは、物理的表示画面および/またはそれに対して位置調整されたパララックスバリア方式画面に関して、例えば表示画面の製造番号の形式で前記画像に対する保存すべき画像ファイルの名称による明確な識別が行われる。これにより、所定の表示画面がパララックスバリア方式画面の関連位置調整によって適正に三次元状態に移行したことが、後の段階において確実に証明することができる。
【0019】
さらに、画素x(i,j)は、それぞれ個別のカラー・サブピクセル(R、GまたはB)あるいはカラー・サブピクセル(例えばRG、GB、RGBRまたはその他)あるいはフルカラー・ピクセルのクラスタに対応するが、ここでフルカラー・ピクセルとはRGBカラー・サブピクセルからなる白色混合画像、つまりRGB三重項、並びに画像形成技術に応じて、例えば投影表示画面において普及しているような実際的なフルカラー・ピクセルを意味する。
【0020】
表示画面に対する位置調整後に、パララックスバリア方式画面は、原則的に表示画面に対して一定距離sを保って適用される。それは、永続的配置とみなすことができる。
それに対して、パララックスバリア方式画面を位置調整ステップ後に表示画面に適用せずに、別のステップにおいてパララックスバリア方式画面および/または表示画面上にマーカを設けることにより、後に位置調整されたパララックスバリア方式画面を表示画面に対して配置し、この時点以降、本発明による方法全体の反復を省略することも可能である。
【0021】
表示画面として、好ましくはカラー液晶画面、プラズマディスプレイ、映写膜、LED式ディスプレイ、有機ELディスプレイ、SEDディスプレイ、VFDディスプレイなどを挙げることができる。
【0022】
パララックスバリア方式画面は、垂直に対して角度aをなして傾斜した透明部分および不透明部分を有する。このパララックスバリア方式画面はガラス基板からなり、その背面にはバリア構造が設けられている。
該バリア構造は、一方では背面が前記ガラス基板に装着されている感光した現像写真フィルムとすることができ、好ましくは写真フィルムのガラス基板への乳剤層が生じる。
あるいは、バリア構造の不透明領域は、ガラス基板に印刷された色により形成できる。その場合に、透明領域は当該領域への色を除外することによって簡便に得られる。
その他の製造方法は現在の技術レベルにおいて公知であり、ここでは詳細な説明を要しない。
【0023】
本発明による方法では、画素x(i,j)からなるグリッド上に提示されたテスト画像における種々の視点A(k)の画像部分データの配置は、有利には二次元周期パターンで行われるが、その際の水平および垂直方向の周期長は、好ましくはそれぞれ32個以下の画素x(i,j)しか有しない。このそれぞれ32個以下の画素x(i,j)という上限の例外も許容される。
【0024】
前記の二次元周期パターンの水平および垂直周期長が直角をはさむ二線として構成される角度は、基本的に垂直に対してパララックスバリア方式画面上の透明部分の傾斜角aに等しくすべきである。
有利には、パララックスバリア方式画面は阻害的反射光を阻止するための手段、すなわち好ましくは少なくとも一つの干渉光学的な反射防止層を有する。
位置調整されたパララックスバリア方式画面による表示画面上での後の三次元表示では、各視点A(k)は種々の他の三次元再現方法と同様に、光景または対象物のそれぞれ異なる透視位置に相当する。
【0025】
さらに有利なのは、偏向ミラーが表示画面の画像領域の中央垂線およびカメラの光軸の双方に対して、それぞれ45度の角度をなして配置されることである。但し現場条件に応じて、カメラおよび偏向ミラーが前記の好ましい相互位置以外の位置を占めることも可能である。
有利には、前記位置決めマーカは、好ましくは表示画面および/またはモニタの対角線により与えられる十字とすることができる。好ましくは、表示画面の画像領域のほぼ中央に位置決めマーカを一時的に配置するために、その外寸法が表示画面の画像領域の外寸法にほぼ等しい精密なテンプレートを用いることが有利であり、その際には位置決めマーカ形状がテンプレートから除去されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による方法を実施するための概略構成図である。
【図2】本発明による方法において使用される、パララックスバリア方式画面の例示的バリア構造図である。
【図3】テスト画像における種々の視点の画像部分データの例示的な画像組み合わせである。
【図4】本発明による方法において使用するための、位置決めマーカに対するテンプレートの例示的構造である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、いくつかの実施例に基づいて以下に詳しく説明される。
各図面は、いずれも縮尺表示ではない。これは、特に角度寸法についてもあてはまる。
図1は、本発明による方法を実施するための概略構成図である。行iおよび列jからなるグリッドにおける画素x(i,j)を備えた表示画面1上に、パララックスバリア方式画面2が距離sを以て位置調整され、それにより三次元表示のための表示画面が形成される。さらに同図から見てとれるのは、一般的に二次元画像を撮影するために適したカメラ3であるが、その出力信号は例示的にフレーム・グラバー・カードによりコンピュータ4に伝達される。コンピュータ4はこの信号を適切に変換し、モニタ5上で再現する。
【0028】
本発明による方法は、下記の各ステップにおいて実施される。
まず、位置決めマーカ6aが表示画面1の画像領域のほぼ中央あるいはエッジに一時的に配置される。次に位置決めマーカ6aを有する表示画面1がカメラ3により記録され、位置決めマーカ6aが図1の少なくとも1台の偏向ミラーにより投射され、さらにカメラ3により撮影された画像は、コンピュータ4を介してモニタ5上に表示される。モニタ5の画像領域の中央には、同様に好ましくは同一形状の位置決めマーカ6bが写される。位置決めマーカ6bはコンピュータ4によりとりわけ簡便に形成され、続いて表示画面1の画像と共にモニタ5上に示される。表示画面1の位置調整を行うことにより、モニタ5上の両位置決めマーカ6aおよび6bが重なるため、モニタ5上の画像における表示画面1の画像領域の左側、右側、上側または下側の画像エッジがモニタ5の画像領域の左側、右側、上側または下側の画像エッジに対して平行に配置される。ここで、位置決めマーカ6aが表示画面1の画像領域から除去され、パララックスバリア方式画面2が表示画面1の画像領域の前に位置決めされる。次いでk=1,…,nおよびn=6またはn=7である異なる視点A(k)からなる行iおよび列jの画素x(i,j)により、テスト画像が形成される。このようにして形成されたテスト画像は、カメラ3を用いてある一定の距離からパララックスバリア方式画面2を通して表示され、さらにモニタ5上に再現される。モニタ5上に表示された画像を用いて、パララックスバリア方式画面2が表示画面1に対して位置調整される。
【0029】
位置調整ステップは、オペレータにより例えば手動で行われる。
カメラ3は、パララックスバリア方式画面2に対して、好ましくは表示画面1に対する選択された三次元視聴距離に等しい距離を以て配置されている。この距離は、当業者にとって公知であるように、例えば上述のカプランの文献において記載されているその他のパラメータと関連して、通常、表示画面1とパララックスバリア方式画面2との間の距離sにより決定される。
【0030】
図1の偏向ミラー7により光線が屈曲されるため、空間高さが小さい場合でも、カメラ3から表示画面1までの長い距離(数メートル)が可能となる。好ましくは、カメラ3は偏向ミラー7によって表示画面1の平面中心に対して、光学的に垂直に位置決めされている。図1によれば、その際に必要とされるカメラ3から表示画面1までの光学距離は、距離XとYの合計となる。
さらに有利なのは、図1からも見てとれるように、偏向ミラー7が表示画面1の画像領域の中央垂線およびカメラ3の光軸の双方に対して、それぞれ45度の角度で配置されることである。
【0031】
図2には、本発明による方法において使用するためのパララックスバリア方式画面2の例示的なバリア構造が示されている。パララックスバリア方式画面2は、垂直に対して角度aをなして傾斜した透明部分および不透明部分を有する。このパララックスバリア方式画面はガラス基板からなり、その背面にはバリア構造が設けられている。ガラス製ではない(プラスチックなどの)基板からなる他の形態も可能である。
該バリア構造は、ここでは例えばガラス基板の背面に装着されている感光した現像写真フィルムであるが、その際に写真フィルムの乳剤層が、好ましくはガラス基板に面する。有利には、パララックスバリア方式画面2は阻害的反射光を阻止するための手段、すなわち好ましくは少なくとも一つの干渉光学的な反射防止層を有する。
【0032】
さらに図3には、画素x(i,j)上に表示されたテスト画像における種々の視点の画像部分データの例示的な画像組み合わせが示されている。本発明による方法では、画素x(i,j)からなるグリッド上に表示されたテスト画像における種々の視点A(k)の画像部分データは、二次元周期パターンで配置されることが好ましい。
前記の二次元周期パターンの水平および垂直周期長が直角をはさむ二線として構成される角度は、通常、垂直に対するパララックスバリア方式画面2上の透明部分の傾斜角aに等しくすべきである。
【0033】
位置決めマーカ6aおよび6bは、有利には2つの直交する、あるいは斜めに交差する線とすることができるが、図4に示されるように、好ましくは、少なくとも一方の線が表示画面1の対角線に沿って進行し、交点は表示画面の中央に配置される。表示画面1の画像領域のほぼ中央に位置決めマーカ6aを一時的に配置するために、好ましくはその外寸法が表示画面1の画像領域の外寸法に等しい精密なテンプレートが使用され、該位置決めマーカの形状がテンプレートから除去される。位置決めマーカ6bは、通常、同一形状を有するが、それは必ずしも必須ではない。
【0034】
本発明による方法を、産業上の利用のためにさらに有利に構成するために、n=6の、少なくとも一つ、好ましくはすべての視点A(k)において、英数字符号、好ましくは型式番号および製造番号および/または認識マーク/認識対象物が含まれる。それにより、所定の表示画面型に対する適正なテスト画像を用いることが保証される。
さらにパララックスバリア方式画面2の位置調整後に、表示されたテスト画像の、カメラ3により撮影された画像の別の保存ステップを実施できるが、その際に、好ましくは物理的表示画面1および/またはそれに対して位置調整されたパララックスバリア方式画面2に関して、例えば表示画面1の製造番号の形式で前記画像に対する保存すべき画像ファイルの名称による明確な識別が行われる。
【0035】
該実施例において、パララックスバリア方式画面2は、表示画面1に対する上記の所定間隔sを永続的に維持するためのスペーサによって固定される、すなわち接着あるいはねじ留めが行われる。
表示画面1は、好ましくはカラー液晶画面である。
位置調整されたパララックスバリア方式画面2による表示画面1上での後の三次元表示では、各視点A(k)は種々の他の三次元再現方法と同様に、光景または対象物のそれぞれ異なる透視位置に相当する。
【0036】
本発明による方法の可能な応用例について説明するために、その他の例示的な詳細およびパラメータについて以下に記載する。
本発明の効果は極めて多岐にわたる。特に本発明による方法により、比較的短時間で三次元表示用表示画面を形成するための、表示画面1上でパララックスバリア方式画面2の位置調整を行うことができる。さらに、本発明は、種々の大きさの表示画面に適用できるため、極めて応用性に富んでいる。しかも、前記の位置調整は手動、自動あるいは半自動で実施することができる。
それに加えて、空間高さの低い空間においても、必要に応じて長い視聴距離(数メートル)を有する三次元表示用表示画面を形成することができる。
本発明は、簡略かつ市販の手段を用いて実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元表示のための表示画面を形成するための、行iおよび列jからなるグリッドにおける画素x(i,j)を備えた表示画面(1)上に、パララックスバリア方式画面(2)を位置調整するための方法であって、以下のステップを含む:
− 前記表示画面(1)の画像領域に位置決めマーカ(6a)を一時的に大まかに配置する、
− 前記位置決めマーカ(6a)をカメラ(3)により観察し、それによって前記位置決めマーカ(6a)は少なくとも1台の偏向ミラー(7)により投射され、さらに前記カメラ(3)により撮影された画像は、画像領域のほぼ中央に同様に位置決めマーカ(6b)を含むモニタ(5)上に表示される、
− 前記表示画面(1)の相対的位置調整により、前記モニタ(5)上の前記画像において、両方の前記位置決めマーカ(6a,6b)が位置合わせされ、前記モニタ(5)上の前記画像における前記表示画面(1)の前記画像領域を画定するエッジが、前記モニタ(5)の前記画像領域を画定するエッジに対して平行に配置される、
− 前記位置決めマーカ(6a)を前記表示画面(1)の前記画像領域から除去する、
− 前記パララックスバリア方式画面(2)を、前記表示画面(1)の前記画像領域の前に位置決めする、
− k=1,…,nおよびn=6またはn=7である異なる視点A(k)からなる行iおよび列jを持つ画素x(i,j)により形成されたテスト画像を表示する、
− 前記カメラ(3)を用いてある一定の距離から、前記パララックスバリア方式画面(2)を通して表示された前記テスト画像を観察し、それによって前記カメラ(3)により撮影された画像を前記モニタ(5)上に表示する、
− 前記モニタ(5)上に表示された前記画像を用いて、前記パララックスバリア方式画面(2)を前記表示画面(1)に対して位置調整する。
【請求項2】
位置調整後に前記カメラ(3)により得られる、表示された前記テスト画像の前記画像は、n=6またはn=7の前記視点A(k)のいずれかの、少なくとも40%の精密画素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n=6またはn=7の少なくとも一つの前記視点A(k)あるいは好ましくはすべての視点に、型式番号および製造番号などの英数字符号および/または認識マーク/認識対象物が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パララックスバリア方式画面(2)の位置調整後に、表示された前記テスト画像の、前記カメラ(3)により撮影された前記画像の別の保存ステップを実施し、それによって好ましくは物理的前記表示画面(1)および/またはそれに対して位置調整された前記パララックスバリア方式画面(2)に関して、例えば前記表示画面(1)の製造番号の形式で前記画像に対する保存すべき画像ファイルの名称による明確な識別が行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記画素x(i,j)はカラー・サブピクセル(R、GまたはB)あるいはカラー・サブピクセル(例えばRGまたはGB)あるいはフルカラー・ピクセルのクラスタに対応することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表示画面(1)に対する位置調整後に、前記パララックスバリア方式画面(2)が永続的に前記表示画面(1)に対してある一定の距離sを保って適用されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パララックスバリア方式画面(2)を位置調整ステップ後に前記表示画面(1)に対して適用せず、別のステップにおいて前記パララックスバリア方式画面(2)および/または前記表示画面(1)上にマーカを設けることにより、後に位置調整された前記パララックスバリア方式画面(2)を前記表示画面(1)に対して配置できることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記表示画面(1)として、カラー液晶画面、プラズマディスプレイ、映写膜、LED式ディスプレイ、有機ELディスプレイ、SEDディスプレイあるいはVFDディスプレイが使用されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パララックスバリア方式画面(2)は、垂直に対して角度aをなして傾斜した透明部分および不透明部分を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パララックスバリア方式画面(2)はガラス基板からなり、その背面にはバリア構造が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア構造は前記ガラス基板の背面に装着されている感光した現像写真フィルムであり、前記写真フィルムの乳剤層が好ましくは前記ガラス基板に面することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バリア構造の不透明領域は、前記ガラス基板に印刷された色により形成されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記パララックスバリア方式画面(2)は阻害的反射光を阻止するための手段、すなわち好ましくは少なくとも一つの干渉光学的な反射防止層を有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記位置決めマーカ(6a,6b)は、2つの直交する、あるいは斜めに交差する線から形成され、少なくとも一方の前記線が前記表示画面(1)の対角線に沿って進行し、また交点はそれぞれ表示画面(1)およびモニタ(5)の中央に配置されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記偏向ミラー(7)が、前記表示画面(1)の前記画像領域の中央垂線および前記カメラ(3)の光軸の双方に対して、それぞれ45度の角度で配置されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記表示画面(1)の前記画像領域のほぼ中央に、前記位置決めマーカ(6a)を一時的に配置するために、その外寸法が前記表示画面(1)の前記画像領域の外寸法に等しい精密なテンプレートが使用され、前記位置決めマーカ(6a)の形状が前記テンプレートから除去されていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−540980(P2010−540980A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525187(P2010−525187)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【国際出願番号】PCT/DE2007/002134
【国際公開番号】WO2009/039800
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510075929)ワイズ ヴィジョン ホールディングス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】