表示装置、表示方法及び車両
【課題】表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置、表示方法及び車両を提供する。
【解決手段】映像投影部115と第1の放射体310と第2の放射体320とを備えたことを特徴とする表示装置が提供される。映像投影部は、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する。第1の放射体は、光束112に沿って設けられ、第1のマーカ光311を放射する。第2の放射体320は、光束112に沿い、光束112の進行の方向において第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられ、第2のマーカ光321を放射する。
【解決手段】映像投影部115と第1の放射体310と第2の放射体320とを備えたことを特徴とする表示装置が提供される。映像投影部は、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する。第1の放射体は、光束112に沿って設けられ、第1のマーカ光311を放射する。第2の放射体320は、光束112に沿い、光束112の進行の方向において第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられ、第2のマーカ光321を放射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例としてHUD(Head-Up Display)がある。HUDは、例えば車両用の表示装置や航空機のコックピット用の表示装置として用いられ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの画像形成装置により形成された表示映像を、例えばフロントガラス等に反射させて、車両や航空機を操縦する観視者に与える。HUDは、フロントガラス等で反射して観視者に到る表示映像を、フロントガラスを透過して観察者に到る外界映像に重畳させて観視者に与える。その結果、観視者は表示映像と外界映像とを同時に見ることが可能であり、HUDは、自然で見易い映像を提供できる。
【0003】
HUDは、呈示する映像を含む光束を観視者に投影する。この投影領域は一定の範囲に制御されることが多く、観視者の目の位置がこの投影領域内に入っている場合に、観視者はその映像を観視できる。このため、観視者の目の位置が投影領域の外にある場合には、投影領域の位置を移動させるか、目の位置を移動させる必要がある。このとき、投影領域が観視者によって認識できなければ、それらの位置の調整を行うことが困難である。
【0004】
また、例えばHUDから出射される光束を効率良く反射させるハーフミラー等のコンバイナ(半透過反射体)がフロントガラスに設けられている場合には、光束が反射する位置(すなわちHUDの表示位置)がある程度推定できるが、もしコンバイナが設けられない場合は、光束が反射する位置も観視者には分からない。
【0005】
このように従来のHUDにおいては、光束の投影領域が観視者にとって分からないため、例えば光束の投影領域の位置の調整が困難であり、また、HUDの表示が見えないときに観視者の頭をどちらに移動させれば見えるようになるかが分からず、使い難くかった。
【0006】
多くのHUDの表示は両眼で観視されるが、観視者が遠方を見ながらHUDの表示を同時に見ようとすると、HUDの表示映像が2重像となり見難く、逆に、HUDの表示映像を見ようとすると、両眼視差によって表示像は所定の奥行き位置に認識され、背景の遠方が認識し難い。このような両眼視差に起因した見難さを解決するために、また、知覚される奥行き感を増強させるために、片目で表示像を観視する単眼視HUDがある。このような単眼視のHUDの場合には、HUDから出射される光束の投影領域は片目だけに投影されるように特に小さい。このため、単眼視HUDにおいては、投影領域から目の位置がずれた時の上記の問題が特に顕在化する。
【0007】
特許文献1には、表示像の位置調整を行うコントロールスイッチを操作する際に表示像の表示範囲を視認しうるマークを点灯させるHUDが開示されている。この方法においては、そのマークとして、表示を行う表示器の縁部を点灯させるものであり、このマークが見える視角は、表示が見える視角と同様なので、表示が見えないときにはこのマークも見えないことが多い。このため、従来の技術では、投影領域の位置を推測することは、やはり困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−307977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置、表示方法及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、前記光束に沿って設けられ、第1のマーカ光を放射する第1の放射体と、前記光束に沿い、前記光束の進行の方向において前記第1の放射体よりも前記観視者の側に設けられ、第2のマーカ光を放射する第2の放射体と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0011】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、前記光束に沿って設けられ、前記光束よりも広い発散角を有するマーカ光を放射する放射体と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0012】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束と、第1のマーカ光と、前記映像を観視する観視者までの光路長が前記第1のマーカ光よりも短い第2のマーカ光と、を前記観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法が提供される。
【0013】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束と、前記光束の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光と、を観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法が提供される。
【0014】
本発明の別の一態様によれば、上記のいずれか1つに記載の表示装置と、前記表示装置から出射される前記光束及び前記マーカ光を前記観視者に向けて反射させるフロントガラスと、を備えたことを特徴とする車両が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置、表示方法及び車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の別の動作を例示する模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の変形例を例示する模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を例示する模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る表示装置11は、映像投影部115と第1の放射体と第2の放射体とを備える。
【0019】
映像投影部115は、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する。
【0020】
第1の放射体310は、光束112に沿って設けられ、第1のマーカ光311を放射する。
【0021】
第2の放射体320は、光束112に沿い、光束112の進行の方向において第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられ、第2のマーカ光321を放射する。
例えば、光束112は、各種の光学部品によって折り曲げられることができ、このような場合においても、第2の放射体320は、光束112の進行の方向において、第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられる。
すなわち、観視者100から見て、第1のマーカ光311の光路長よりも、第2のマーカ光321の光路長の方が短い。
【0022】
表示装置11は、任意の用途に用いることができるが、以下では、車載用のHUDとして用いる場合について説明する。
すなわち、表示装置11は、車両730(移動体)に搭載される。
車両730は、表示装置11が呈示する映像を観視する観視者100が搭乗する自動車、二輪車、列車及び航空機等の各種の移動体である。観視者100は、車両730に搭乗するヒトであり、例えば車両730を操縦する操縦者(運転者)とすることができる。
【0023】
表示装置11は、例えば車両730の中、すなわち、例えば、観視者100から見て車両730のダッシュボード720の奥に設けられる。
【0024】
映像投影部115は、例えば、映像を含む光束112を、観視者100の片目(目101)に向けて投影する。ただし、本発明はこれに限らず、映像投影部115は、映像を含む光束112を、観視者100の両目に向けて投影しても良い。
【0025】
映像投影部115が、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する際、光束112は、所定の発散角を有する。すなわち、光束112の発散角をある程度制限することによって、表示装置11が呈示する表示を所定の観視領域において、観視者100は観視する。
【0026】
このように、光束112の投影領域をある程度制限することで、光束112を明るくでき、例えば、装置の寿命が長くなり、また、消費電力も低減できる。
さらに、光束112の投影領域を観視者100の片目が入る領域に制限し、両目では表示を見ないように設計すると、両眼視差に起因した見難さが解決でき、また、知覚される奥行き感を増強させることもできる。
【0027】
なお、表示装置11が観視者100に呈示する映像は、表示オブジェクト180を含む。表示オブジェクト180は、例えば、表示装置11が搭載される車両730の運行情報に関する各種の像である。表示オブジェクト180は、例えば、車両730の進路を示す矢印、注意及び警告等の表示内容である。また、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の外界の任意の場所の番地等の位置情報、及び、道路の名称や周辺の建物等の名称情報等の任意の外界情報を含むことができる。さらに、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の現在位置や速度や燃料等の任意の車両情報を含むことができる。
【0028】
映像投影部115は、例えば、映像生成部130と映像形成部110と投影部120とを有する。
【0029】
映像生成部130は、表示オブジェクト180を含む映像に対応する映像信号を生成し、映像形成部110に供給する。
【0030】
映像形成部110は、供給された映像信号に基づいて、映像形成部110の画面に映像を形成する。
映像形成部110としては、例えば、LCDを用いることができる。ただし、後述するように、映像形成部110にはLCD以外の任意の画像形成装置を用いることができる。
【0031】
投影部120は、映像形成部110で形成された映像を観視者100の目101に投影する。
投影部120は、例えば、光源121とミラー126とを含む。光源121から出射した光は、映像形成部110に入射し、映像形成部110で形成された映像に基づいて変調された光束112となる。そして、アパーチャ等によって光束112の形状は整形され、光束112は、ミラー126を経て車両730の例えばフロントガラス710(ウインドシールド、透明板)に向けて出射する。この時、投影部120の図示しない各種の光学部品によって光束112の発散角(拡散角)が制御される。
【0032】
すなわち、ミラー126で反射された光束112は、例えばフロントガラス710に設けられる反射体711(コンバイナ)により反射され、観視者100の目101に投影される。そして観視者100は、反射体711を介して、表示オブジェクト180の虚像181を知覚する。反射体711は、透光性と反射性の両方を有するように設計され、観視者100は、外界の背景と、光束112に含まれる表示オブジェクト180を有する映像と、を同時に見ることができる。このように、表示装置11は、HUDとして使用できる。
【0033】
すなわち、映像投影部115は、光束112を反射して観視者100の目101に向けて投影する車両730のフロントガラス710を介して映像を観視者100に観視可能とさせる。このときフロントガラス710には、反射体711が含まれる。
【0034】
なお、本具体例は、投影部120と映像形成部110の構成の一例であり、映像を含む光束112を観視者100に投影できる構成であれば、投影部120及び映像形成部110には任意の構成を使用できる。
【0035】
なお、観視者100が片目で観視するように表示装置11が設計される場合には、観視者100の位置における光束112の投影領域は、観視者100が片目で映像を観視できるように制御される。例えば、観視者100の両眼の間隔は平均60mm(ミリメートル)であるので、観視者100の頭部105上における光束112の投影領域の左右方向の幅は60mm程度に制御され、片目に光束112が投影される。なお、映像の見易さから、観視者100の優位眼に映像を投影することが望ましく、片目としては優位眼が用いられることが望ましい。また、投影領域の投影位置及び投影範囲は、映像投影部115に用いられる光学部品を制御部(図示しない)によって制御することで、制御される。
【0036】
第1の放射体310及び第2の放射体320には、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
ただし、本発明はこれに限らず、第1の放射体310及び第2の放射体320には、電気エネルギーに基づいて光を発光する任意の発光体を用いることができ、例えば各種の電球、半導体レーザなどレーザ、各種のEL(Electro-Luminescence)素子などを用いることができる。
【0037】
また、第1の放射体310及び第2の放射体320には、入射した光を反射する任意の反射体を用いることができ、各種のミラーや散乱体等を用いることができる。
【0038】
さらに、第1の放射体310及び第2の放射体320には、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する任意の波長変換体を用いることができ、例えば入射した紫外線に基づいて、可視光を放射する蛍光体などを用いることができる。
【0039】
第1の放射体310は、光束112の進行の方向において、光束112の光源121の側に設けられる。すなわち、光束112の光路に沿って見たときに、第2の放射体320は、第1の放射体320よりも光源121から遠い側、すなわち、観視者100の側に設けられる。
【0040】
第1の放射体310及び第2の放射体320は、光束112が通過する領域の外側に設けられる。本具体例では、第2の放射体320は、ミラー126の位置に設けられ、ミラー126への光束112の入射領域の外側に設けられている。一方、第1の放射体310は、映像投影部115の各種の光学部品に取り付けることができる。ただし、第1の放射体310及び第2の放射体320が取り付けられる場所は任意である。
【0041】
そして、第1の放射体310から放射された第1のマーカ光311、及び、第2の放射体320から放射された第2のマーカ光321は、光束112と供に、観視者100の頭部105に投影される。
【0042】
なお、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角は、ある程度広く設定することができる。
第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角は、例えば、光束112の発散角よりも広い発散角度を有することができる。
これにより、観視者100の目101が光束112の投影領域の外にあり、観視者100が光束112の映像を観視できない場合においても、観視者100は、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とを観視することができる。そして、観視者100は、光路長が異なる第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とによって、光束112の投影領域の位置を認識することができる。
【0043】
図2〜図4は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、観視者100の位置と光束112の投影領域の位置との3種類の関係を例示している。図2(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合を例示している。図3(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合を例示している。図4(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合を例示している。図2(b)、図3(b)及び図4(b)は、それぞれ、図2(a)、図3(a)及び図4(a)に例示した状態における、観視者100から見たときの光束112の投影領域並びに第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置を例示している。
【0044】
図2(a)に表したように、本具体例の表示装置11においては、第2の放射体320は、ミラー126の縁部に取り付けられ、第1の放射体310は、ミラー126よりも映像形成部110の側の光学部品であるミラー125の縁部に取り付けられている。
【0045】
第1の放射体310は、ミラー125の下部に取り付けられている2つの下部LED310aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED310bと、を含む。すなわち、第1の放射体310は、例えば、ミラー125における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0046】
第2の放射体320は、ミラー126の下部に取り付けられている2つの下部LED320aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED320bと、を含む。すなわち、第2の放射体320は、例えば、ミラー126における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0047】
そして、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合は、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できる。すなわち、観視者100は、例えばフロントガラス710の反射体711に投影される光束112、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を知覚できる。
【0048】
図2(b)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合には、光束112の投影領域114は、第1のマーカ光311の上側の投影位置311aと下側の投影位置311bとの間に配置される。そして、第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び下側の投影位置311bは、第2のマーカ光321の上側の投影位置321aと下側の投影位置321bとの間に配置される。
【0049】
図3(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合、例えば観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できない。
【0050】
すなわち、図3(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の下側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。この時、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角を大きく設定することによって、観視者100によって知覚されることが可能である。そして、この場合には、第2のマーカ光321の4つの投影位置(第2のマーカ光321の上側の投影位置321a及び下側の投影位置321b)の下側に、第1のマーカ光311の4つの投影位置(上側の投影位置311a及び下側の投影位置311b)が配置される。このように、第1のマーカ光311の投影位置の中心が、第2のマーカ光321の投影位置の中心よりも下側にあることで、光束112の投影領域114が第1のマーカ光311の投影位置よりもさらに下側にあることが推測できる。
【0051】
そして、例えば、観視者100がその頭部105を下方に移動させることで、観視者100の目101が投影領域114に入り、観視者100は、表示を観視可能となる。また、例えば、表示装置11の例えば映像投影部115に含まれる光学部品(例えばミラー126等)の角度等を調節することで、観視者100の目101が投影領域114に入り、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0052】
図4(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合、例えば、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できない。
【0053】
すなわち、図4(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の上側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。この場合にも、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321は、観視者100によって知覚されることが可能であり、例えば、第2のマーカ光321の投影位置の上側に、第1のマーカ光311の投影位置が配置される。このように、第1のマーカ光311の投影位置の中心が、第2のマーカ光321の投影位置よりも上側にあることで、光束112の投影領域114が第1のマーカ光311の投影位置よりもさらに上側にあることが推測できる。
【0054】
この場合には、例えば、観視者100がその頭部105を上方に移動させることで、観視者100は表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0055】
このように、観視者100から見て、距離が近い(すなわち光路長が短い)第2の放射体320と、距離が遠い(すなわち光路長が長い)第1の放射体310と、を設けることで、光束112の投影領域114と、観視者100の目101の位置と、が相対的にずれた時に、第2のマーカ光321と第1のマーカ光311との間の相対的な位置を、そのずれの方向に対応させることができる。
【0056】
すなわち、観視者100の目101に対して光束112の投影領域114が相対的に下側にある場合(例えば図3(a)及び(b))は、第1のマーカ光311の投影位置(例えばその中心)は、第2のマーカ光321の投影位置(例えばその中心)よりも下側に配置される。そして、観視者100の目101に対して光束112の投影領域114が相対的に上側にある場合(例えば図4(a)及び(b))は、第1のマーカ光311の投影位置(例えばその中心)は、第2のマーカ光321の投影位置(例えばその中心)よりも上側に配置される。
【0057】
すなわち、観視者100から見て距離が近い(光路長さが短い)第2の放射体320と、距離が遠い(光路長が長い)第1の放射体310と、を設けることで、光束112の投影領域114と、観視者100の目101の位置と、が相対的にずれた時に、第2のマーカ光321の位置の変化量よりも、第1のマーカ光311の位置の変化量は大きくなる。そして、これを利用して、投影領域114と目101の位置のずれの方向が推測可能となる。
【0058】
このように表示装置11によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置が提供できる。
【0059】
なお、上記は、観視者100の目101の位置と、光束112の投影領域114と、が上下方向にずれる場合に関して説明したが、左右方向に関しても同様の動作が行われる。
【0060】
なお、第1の放射体310及び第2の放射体320は、光束112に沿って設けられており、これにより、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321は光束112の投影領域の位置に関連付けられている。すなわち、図2〜図4に関して説明したように、観視者100からみて光束112の投影領域114の位置が移動した場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置が変化する。そして、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置の変化に基づいて、光束112の投影領域114の位置が推測可能となる。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の別の動作を例示する模式図である。 すなわち、同図は、観視者100の目101が、図4の場合よりもさらに下側にある場合における、観視者100からみた時の光束112の投影領域並びに第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置を例示している。
【0062】
図5に表したように、観視者100の目101が、図4の場合よりもさらに下側にある場合、第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び第2のマーカ光321の上側の投影位置321aは反射体711の領域よりも上方に位置し、観視者100は上側の第1のマーカ光311及び上側の第2のマーカ光321を認識できない場合があり得る。この場合においても、観視者100は、下側の第1のマーカ光311と下側の第2のマーカ光321とを観視できるので、光束112の投影領域114の位置が上側にあることが推測できる。
【0063】
なお、観視者100の目101が、図3の場合よりもさらに上側にある場合も同様に、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0064】
このように、第1のマーカ光311の投影領域と、第2のマーカ光321の投影領域と、の相対的な位置関係を認識することで、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0065】
この時、第1のマーカ光311の投影領域の形状や大きさと、第2のマーカ光321の投影領域の形状と大きさと、は任意に設定できる。例えば、第2のマーカ光321の投影領域の大きさ(例えば第2のマーカ光321の上側の投影位置321a及び下側の投影位置321bで囲まれた領域の大きさ)は、第1のマーカ光311の投影領域の大きさ(例えば第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び下側の投影位置311bで囲まれた領域の大きさ)よりも大きく設定できる。これにより、第1のマーカ光311の投影領域と、第2のマーカ光321の投影領域と、の相対的な位置関係を把握し易くなる。
【0066】
また、上記においては、第1の放射体310及び第2の放射体320は、それぞれ4つのLEDを有し、その4つのLEDが長方形の頂点に配置されているが、本発明はこれに限らない。
【0067】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の変形例を例示する模式図である。
すなわち、同図は、光束112の進行方向とほぼ平行な方向からみた時の第1の放射体310及び第2の放射体320の形状を例示している。すなわち、同図は、観視者100から見たときの第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の形状をも例示している。
【0068】
図6(a)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、複数の円が枠状に連なった形状を有している。例えば、LEDを複数枠状に並べることでこの形状が実現できる。
【0069】
図6(b)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、長方形の枠状の形状を有している。例えば、枠状のEL層を用いたり、枠状の蛍光体を用いてこれに紫外線などを照射したり、枠状の散乱層に光を照射することによって、この形状が実現できる。
【0070】
図6(c)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、長方形の頂点に対応したL字形の形状を有している。
【0071】
図6(d)に表したように、第1の放射体310は、長方形の頂点に対応したL字形の形状を有しており、第2の放射体320は、長方形の頂点に配置された4つの円の形状を有している。このように、第1の放射体310と第2の放射体320とで、それを構成する要素の形状を異ならせても良い。これにより、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との区別がし易くなり、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、を認識し易くなる。
【0072】
図6(e)に表したように、第1の放射体310は、長方形の頂点に配置され、長方形の中心に向かう矢印の形状を有している。なお、第2の放射体320は、長方形の頂点に配置された4つの円の形状を有している。
このように、第1の放射体310の形状(すなわち、第1のマーカ光311の投影領域の形状)を、矢印のように、方向を認識可能な形状とすることで、第1のマーカ光311の投影領域の中心が認識し易くなる。
【0073】
図6(a)及び(b)に例示した枠状の形状、並びに、図6(c)及び(d)に例示したL字形の形状においても、方向を認識させることが可能であるが、図6(e)に例示した矢印の形状においては、方向を直感的に認識させることができる。このような形状として、例えば三角形などのように先端が尖った形状などが挙げられる。これにより、マーカ光の投影領域の位置(例えば中心の位置)を認識し易くなる。
【0074】
これにより、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、の相対関係を認識し易くなる。なお、このように方向を直感的に認識可能な形状(矢印や三角形の等のように先端が尖った形状)を第2の放射体320に適用しても良い。
【0075】
このように、マーカ光の投影領域の形状が、マーカ光の投影領域の位置を認識可能な形状を有していることで、マーカ光の投影領域の位置をより認識し易くなり、その結果、表示を視認できる領域の位置をより推測し易くなる。マーカ光の投影領域の位置としては、マーカ光の投影領域の中心の位置を採用することができる。
【0076】
図6(f)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、楕円形の縁状の形状を有している。このように、第1の放射体310及び第2の放射体320の形状は任意である。
【0077】
第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とで、形状の他、色(すなわち、波長特性)を異ならせても良い。これにより、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との区別がし易くなり、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、を認識し易くなる。
【0078】
第1の放射体310及び第2の放射体320の少なくともいずれかは、常時光を放射していても良いし、必要に応じて放射と、非放射(放射の強度が相対的に低い場合を含む)と、を切り替え可能にしても良い。
【0079】
例えば、第1の放射体310及び第2の放射体320として、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体を用いた場合には、例えば供給する電流をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。また、第1の放射体310及び第2の放射体320として、入射した光を反射する反射体を用いる場合には、例えばその入射光をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。さらに、第1の放射体310及び第2の放射体320として、入射した電磁波(例えば紫外線)とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体(例えば蛍光体)を用いた場合には、例えばその電磁波をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。
【0080】
上記の放射と非放射との切り替えは、例えばスイッチを設けることで、観視者100の操作によって行うことができる。これにより、観視者100は、例えば、投影領域の位置を調整する時(だけ)や、投影領域の位置を確認したい時(だけ)に、第1の放射体310及び第2の放射体320を放射状態にし、上記のマーカ光を見ることができる。このように、観視者100の要求に基づいた動作をさせることで便利な表示装置が提供できる。
【0081】
また、上記の放射と非放射との切り替えは、例えば観視者100が搭乗する車両の各種のスイッチと連動させても良く、例えば、エンジンの始動と供に放射を行い、例えば一定の時間が経過した後に非放射状態になるようにしても良い。
【0082】
上記の放射と非放射との切り替えは、観視者100の頭部105の位置を検出し、その位置と、光束112の投影領域の位置とが一定の関係になった場合に放射し、その関係とは別の関係になった場合に非放射状態にするようにしても良い。
【0083】
例えば、観視者100の頭部105の像を撮像し、その像に基づいて、観視者100の目101の位置を推定する。一方、その像から、光束112の投影領域の位置を推定する。そして、観視者100の目101が光束112の投影領域の外側に配置されたときに、上記の放射を行い、観視者100の目101が光束112の投影領域の内側に配置されたときには非放射状態にすることができる。これにより、必要な時に第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100は認識し、不必要な時には第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100が見ることがないので、観視者100の光束112に含まれる映像の観視を妨げることがなく、見易い表示を呈示できる。
【0084】
このように、放射と非放射との切り替えが可能であることが望ましい。なお、既に説明したように、放射と非放射は、光の明るさが明るい場合と、光の明るさが暗い場合と、に対応するものであり、非放射状態においても相対的に暗い光が放射されていても良い。
【0085】
さらに、観視者100の位置(特に目101の位置)が光束112の投影領域の外側にある場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100に向けて投影し、観視者100の位置(特に目101の位置)が光束112の投影領域の内側にある場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影しない(または明るさを低くする)ことを、自動的に切り替えることがさらに望ましい。
すなわち、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光(第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321)の強度を低くすることができる。すなわち、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低い。これにより、不必要なときは観視者100はマーカ光を見ることがなく、表示の映像の観視が妨げられず、必要な時に観視者100はマーカ光を見て映像を認識可能な領域を推測でき、より使い易くなる。
【0086】
さらに、例えば、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの強度は、表示装置の動作の開始直後は高く、ある程度の時間の経過後に低くなるように設計することができる。
また、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの強度は、例えば搭載される車両730のエンジン始動やドアの開閉などの動作と関連付けられても良い。すなわち、車両730のエンジン始動やドアの開閉の直後はマーカ光の強度が高く、ある程度の時間の経過後に低くなるように設計することができる。
【0087】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)〜(c)は、第1の放射体310の構成及び動作の例を示している。
図7(a)に表したように、第1の放射体310は、発光体310cと遮光部331とを有する。遮光部331は、発光体310cから放射された第1のマーカ光311を特定の角度で遮光する。
【0088】
発光体310cには例えばLEDが用いられ、本具体例では、発光体310cは、枠状の治具のコーナー部分に設けられている。
【0089】
そして、発光体310cの、第1のマーカ光311の進行方向の側に遮光部331が設けられている。本具体例では、透明な基板の上に金属膜からなり、第1のマーカ光311を遮蔽する遮光部331が設けられている。そして、遮光部311の内部の開口部332の内側を光束112が通過可能となっている。ただし、遮光部331の構成は任意であり、遮光部331として例えば枠状の金属板等を用いても良い。
【0090】
発光体310cと遮光部331との位置関係は、例えば以下のように設定される。すなわち、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入り、観視者100が光束112の映像を観視可能なときに、第1のマーカ光311が遮光部331によって遮光される。そして、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第1のマーカ光311が遮光部331以外の部分を通過して第1のマーカ光311が観視者100に向かって投影されるように設定される。すなわち、遮光部331の形状、幅、位置等が設定される。
【0091】
すなわち、図7(a)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸に対してほぼ平行な方向の光は、遮光部331によって遮光される。
【0092】
そして、図7(b)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸よりも斜め上方向に進行する光は、遮光部331以外の部分を進行し、観視者100に向けて投影される。
【0093】
同様に、図7(c)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸よりも斜め下方向に進行する光は、遮光部331以外の部分を進行し、観視者100に向けて投影される。
【0094】
これにより、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入る場合には、第1のマーカ光311が遮光部331によって遮光され、観視者100は第1のマーカ光311を見ることがない。そして、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第1のマーカ光311が観視者100に向かって投影され、観視者100は、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0095】
なお、上記は、第1の放射体310の構成に関して説明したが、この構成は、第2の放射体320にも適用できる。すなわち、第2の放射体320は、発光体と、発光体から放射された第2のマーカ光321を特定の角度で遮光する遮光部と、を有することができる。そして、発光体と遮光部との位置関係は、例えば以下のように設定される。すなわち、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入り、観視者100が光束112の映像を観視可能なときに、第2のマーカ光321が遮光部によって遮光され、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第2のマーカ光321が遮光部以外の部分を通過して第2のマーカ光321が観視者100に向かって投影されるように設定される。
【0096】
なお、第1の放射体310及び第2の放射体320の少なくともいずれかが、指向性を有しており、特定の角度においてマーカ光の強度が強く、別の角度ではマーカ光の強度が弱くなるように設定しても良い。この指向性は、例えば各種のレンズ等の設計によって実現することができる。この場合にも、上記の遮光部と同様の効果が得られる。
【0097】
このようにして、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低くし、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光の強度を相対的に低くすることができる。
【0098】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。 図8に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11aにおいては、第1の放射体310及び第2の放射体320は、ミラー125とミラー126との間の位置に設けられている。このように、第1の放射体310及び第2の放射体320が取り付けられる場所は任意である。
【0099】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
例えば、図9に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11bの映像投影部115においては、光源121と映像形成部110との間にライトガイド122が設けられ、光源121からの光源光が映像形成部110に導入される。映像形成部110の光出射側には、リレーレンズ123、凹レンズ123e及びミラー126がこの順に設けられる。リレーレンズ123は、光の進む方向に順に配置された第1〜第4レンズ123a〜123dを有し、第2レンズ123bと第3レンズ123cとの間にアパーチャ124が設けられている。本具体例では、光源121、ライトガイド122、リレーレンズ123、凹レンズ123e及びミラー126が、投影部120に含まれる。
【0100】
光源121から出射した光源光は、映像形成部110によって映像を含む光束112となり、光束112は、リレーレンズ123、アパーチャ124、凹レンズ123e及びミラー126を経て、観視者100に投影される。
【0101】
そして、本具体例では、第1の放射体310及び第2の放射体320は、凹レンズ123eとミラー126との間の位置に設けられている。ただし、本発明はこれに限らず、第1の放射体310及び第2の放射体320の位置は任意であり、例えば、第1の放射体310を凹レンズ123eとミラー126との間の位置に設け、第2の放射体320をミラー126の位置または、ミラー126よりも観視者100の側(光束112の進行方向を基準にして)に設けても良い。また、例えば第1の放射体310は、凹レンズ123eよりも光源121の側の任意の位置に設けても良い。また、第1の放射体310及び第2の放射体320の両方を、ミラー126よりも観視者100の側に設けても良い。
【0102】
また、第1の放射体310及び第2の放射体320は、ミラー126よりも観視者100の側(光束112の進行の方向において)に設けても良く、この場合、例えば、第1の放射体310及び第2の放射体320は映像投影部115の筐体の中に配置されず、映像投影部115の筐体とは別体として設けても良い。
【0103】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
図10に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11cにおいては、第1の放射体310は、発光体310dと、発光体310dから放射された光の発散角を制御する発散角制御部310eと、を有する。発散角制御部310eには、例えば内側面に光吸収層を有する筒状体等を用いることができ、また、いわゆるコリメータを用いることができる。これにより、発光体310dから放射された光の発散角を狭めることができる。そして、光束112が片目に投影される場合には、第1のマーカ光311も片目に投影するようにしても良い。これにより、例えば、光束112によって呈示される映像と、第1のマーカ光311と、を片目で観視することができ、光束112によって呈示される映像が見易くなる。
【0104】
なお、上記は、第1の放射体310について説明したが、同様に、第2の放射体320は、発光体と、発光体から放射された光の発散角を制御する発散角制御部と、を有しても良い。これにより、発光体から放射された光の発散角を狭め、光束112が片目に投影される場合に、第2のマーカ光321も片目に投影するようにしても良い。これにより、例えば、光束112によって呈示される映像と、第2のマーカ光321と、を片目で観視することができ、表示が見易くなる。
【0105】
ただし、本発明はこれに限らず、例えば、光束112が片目に投影される場合においても、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの投影領域は、片目の範囲でも良く、また両目の範囲でも良く、任意である。
【0106】
本実施形態に係る表示装置においては、観視者100の側の第2の放射体320から放射される第2のマーカ光321がフロントガラス710(反射体711を含む)で反射する位置を見ることによって、フロントガラス710上で光束112が反射する位置、すなわち、HUDの表示領域を大まかに把握することができる。
【0107】
そして、さらに、第2の放射体320よりも光源121側の第1の放射体310を設け、第1の放射体310から放射される第1のマーカ光311の虚像の位置と、第2の放射体320から放射される第2のマーカ光321の虚像の位置と、の相対的な位置関係を把握することで、HUDの表示が見えない位置に観視者100の目101があっても、HUDの表示領域(光束112の投影領域114の位置)を推測することができる。
【0108】
これにより、HUDの表示領域の位置(光束112の投影領域の位置)を調整できる。また、観視者100が頭部105を移動させて目101を光束112の投影領域114の内部に入れることで、観視者100は、HUDの表示を観視することができる。
【0109】
そして、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との少なくともいずれかの輝度を、例えば任意のスイッチで変化させる機能を持たせることで、不必要な時には第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とを見えなくでき、呈示する映像及び外界の背景像を認識し易くなる。
【0110】
これにより、表示を視認できる領域の位置を推測することが容易になり、使い易いHUD型の表示装置が提供できる。
【0111】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図11に表したように、本発明の第2の実施形態に係る表示装置12は、映像投影部115と放射体350とを備える。
映像投影部115は、第1の実施形態に関して説明したものと同様とすることができるので説明を省略する。
【0112】
放射体350は、映像投影部115から観視者100に向かって投影される光束112に沿って設けられ、マーカ光351を放射する。そして、マーカ光351は、光束112の発散角よりも広い発散角を有する。
【0113】
放射体350は、第1の実施形態の場合と同様に、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体、入射した光を反射する反射体、及び、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体の少なくともいずれかを含むことができる。
【0114】
例えば、放射体350として、光束112の角度よりも広い角度で光(マーカ光351)を放射する例えばLEDを用いることができる。
【0115】
これにより、観視者100の目101が光束112の投影範囲の外にある場合においても、放射体350から放射されたマーカ光351は目101に到達できる。すなわち、観視者100がHUDの表示が見えない場合であっても、観視者100はマーカ光351を見ることができる。
【0116】
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、観視者100の位置と光束112の投影領域の位置との3種類の関係を例示している。
【0117】
図12(a)に表したように、本具体例の表示装置12においては、放射体350は、ミラー126の縁部に取り付けられている。すなわち、放射体350は、ミラー126の下部に取り付けられている2つの下部LED350aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED350bと、を含む。すなわち、放射体350は、例えば、ミラー126における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0118】
そして、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合は、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できる。すなわち、観視者100は、例えばフロントガラス710の反射体711に投影される光束112及びマーカ光351を知覚できる。
【0119】
この場合に、図12(b)に表したように、光束112の投影領域114は、マーカ光351の上側の投影位置351aと下側の投影位置351bとの間に配置される。
【0120】
図13(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合は、図13(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の下側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。
【0121】
この時、マーカ光351の発散角が光束112よりも大きいので、マーカ光351は観視者100によって知覚可能である。そして、マーカ光351の投影位置を知ることにより、フロントガラス上での光束112の反射位置が大まかに推測できる。そして、光束112の反射位置の推測結果により、観視者100は頭部105を下方向に少し移動させることで、光束112が見易くなり、結果として光束112の投影領域114を認識することができる。
【0122】
そして、例えば、観視者100がその頭部105を下方に移動させることで、観視者100は、表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の例えば映像投影部115に含まれる光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0123】
図14(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合は、図14(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の上側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。
【0124】
この時、マーカ光351の発散角が光束112よりも大きいので、マーカ光351は観視者100によって知覚可能である。そして、マーカ光351の投影位置を知ることにより、フロントガラス上での光束112の反射位置が大まかに推測できる。そして、光束112の反射位置の推測結果により、観視者100は頭部105を上方向に少し移動させることで、光束112が見易くなり、光束112の投影領域114を認識することができる。
【0125】
この場合には、例えば、観視者100がその頭部105を上方に移動させることで、観視者100は表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0126】
このように、光束112よりも大きい発散角を有するマーカ光351を放射する放射体350を設け、マーカ光351を光束112の投影領域114を探す手がかりとして用いることで、観視者100は、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0127】
このように表示装置12によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置が提供できる。
【0128】
なお、上記は、観視者100の目101の位置と、光束112の投影領域114と、が上下方向にずれる場合に関して説明したが、左右方向に関しても同様の動作が行われる。
【0129】
なお、本具体例では、放射体350は、ミラー126に付設されているが、放射体350が設けられる位置は任意である。例えば、放射体350は、映像投影部115の筐体の内部に組み込まれ、映像投影部115に含まれる各種の光学部品の近傍に設置することができ、また、放射体350は、映像投影部115よりも観視者100の側に設けられ、放射体350は、映像投影部115の筐体とは別体として設けられていても良い。
【0130】
すなわち、放射体350は、映像を含む光束112に沿って設けられ、光束112の進行を妨害しない任意の位置に設けることができる。
【0131】
また、放射体350は、例えば映像投影部115に含まれる投影部120や映像形成部110と一体となる構成を有していても良い。
【0132】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
図15に表したように、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置13においても、映像投影部115と放射体360とが設けられる。そして、この場合には、映像投影部115に含まれる投影部120の光源121の一部と、映像形成部110の一部と、が放射体360として利用されている。
【0133】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
図16に表したように、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置13においては、映像投影部115の投影部120の光源121は、内側部121aと外縁部121bとを有する。内側部121aは、映像を有する光束112を観視者100に向けて投影するための部分であり、外縁部121bは、マーカ光361のための部分である。
【0134】
内側部121aよりも外縁部121bの方が、発散角が大きい。これは、内側部121aと外縁部121bとで光学特性が異なる各種の光学シートなどを配置することによっても実現でき、また、内側部121aと外縁部121bとで、発光特性が異なる発光素子を設けても実現でき、その方法は任意である。
【0135】
このように、表示装置13においては、光源121の発光特性を内側部121aと外縁部121bとで変えることで、映像投影部115に含まれる投影部120の光源121の一部が放射体360となる。
【0136】
さらに、本具体例においては、光源121の光出射側に配置され、例えばLCD等からなる映像形成部110において、中央部332aと周辺部332bとが設けられる。すなわち、映像形成部110の中央部332aは、光源121の内側部121aから出射された光束が通過し、映像を含む光束112を形成する部分である。そして、映像形成部110の周辺部332bは、光源121の外縁部121bから出射された光(マーカ光361)が通過する部分である。そして、この場合は、映像形成部110の表示エリア(アクティブエリア)は、映像形成部110の中央部332aと周辺部332bとを含むように設定されている。これにより、映像形成部110の中央部332aでは、呈示する表示に対応して映像を生成し、周辺部332bでは、図6に例示した任意の形状のマーカ光361を生成するように、任意のパターンを生成することができる。
【0137】
このように、表示装置13においては、映像投影部115に含まれる映像形成部110の一部によって、マーカ光361の形状が制御されている。この意味では、映像形成部110の周辺部332bは、放射体360の一部と見なすこともできる。
【0138】
なお、本発明の実施形態に係る表示装置11、11a〜11c、12及び13において、映像形成部110としては、LCDの他に、DMD(Digital Micromirror Device)、及び、MEMS(Micro-electro-mechanical System)等の各種光スイッチを用いることができる。また、映像形成部110には、レーザプロジェクタやLEDプロジェクタなどを用いることもでき、その場合は、レーザビームやLEDからの光により映像を形成する。
【0139】
また、光源121には、LEDや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザなど各種のものを用いることができる。
【0140】
また、投影部120のリレーレンズ123及び凹レンズ123eは、任意の構成を有することができる。さらに、ミラー126には、例えばパワーを有する凹面鏡を用いることができ、映像を所定の比率で拡大または縮小できる。なお、投影部120には、例えば、非球面フレネルレンズ等を設け、フロントガラス710の形状に合わせて光束112の形(断面形状など)を制御できるように設計することもできる。
【0141】
本実施形態に係る表示装置12及び13においても、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低くして、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光の強度を相対的に低くすることができる。これにより、不必要なときは観視者100はマーカ光を見ることがなく、表示の映像の観視が妨げられず、必要な時に観視者100はマーカ光を見て映像を認識可能な領域を推測でき、より使い易くなる。
【0142】
なお、上記においては、表示装置が車両730等の移動体に搭載されるHUDとして応用される例について説明したが、本発明はこれに限らず、任意の表示装置に応用できる。例えば、片目で見ることで奥行き知覚を増強して呈示する、ゲームなどの娯楽用の他、医療用や各種のデザイン用に用いられる各種の表示装置にも応用することが可能である。
【0143】
(第3の実施の形態)
図17は、本発明の第3の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
図17に表したように、本実施形態に係る表示方法においては、映像を含む光束112と、第1のマーカ光311と、観視者100までの光路長が第1のマーカ光311よりも短い第2のマーカ光321と、を前記観視者に向けて投影する(ステップS10)。
【0144】
映像を含む光束112の投影には、既に説明した映像投影部115を用いることができる。また、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影には、それぞれ、既に説明した第1の放射体310及び第2の放射体320を用いることができる。
【0145】
この表示方法によれば、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影位置によって、光束112の投影領域114の位置を推測することができ、これにより、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示が可能となる。
【0146】
(第4の実施の形態)
図18は、本発明の第4の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
図18に表したように、本実施形態に係る表示方法においては、映像を含む光束112と、光束112の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光351と、を観視者100に向けて投影する(ステップS20)。
【0147】
映像を含む光束112の投影には、既に説明した映像投影部115を用いることができ、また、マーカ光351の投影には、既に説明した放射体350を用いることができる。また、マーカ光として、図15及び図16に説明したマーカ光361を用いることもでき、この場合には、マーカ光361は、映像投影部115に含まれる構成要素の少なくとも一部と一体化されても良い。
【0148】
光束112の投影領域114の位置が分かり難い場合においても、発散角が大きいマーカ光351(361)を用いることで、光束112の投影位置を推測することができ、これにより、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示が可能となる。
【0149】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施形態に係る車両には、本発明の実施形態に係るいずれかの表示装置が搭載される。
すなわち、例えば図1に表したように、本実施形態に係る車両730は、本発明の実施形態に係る表示装置11と、表示装置11から出射される光束112を観視者100に向けて反射させるフロントガラス710と、を備える。フロントガラス710は、それに付設される反射体711を含む。
【0150】
本実施形態に係る車両によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置を備えた車両が提供でき、便利な車両の運行が可能となる。
【0151】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置及び車両を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0152】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置、表示方法及び車両を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置、表示方法及び車両も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0153】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0154】
11、11a〜11c、12、13…表示装置、 100…観視者、 101…目、 105…頭部、 110…映像形成部、 112…光束、 114…投影領域、 115…映像投影部、 120…投影部、 121…光源、 121a…内側部、 121b…外縁部、 122…ライトガイド、 123…リレーレンズ、 123a〜123d…第1〜第4レンズ、 123e…凹レンズ、 124…アパーチャ、 125、126…ミラー、 130…映像生成部、 180…表示オブジェクト、 181…虚像、 310…第1の放射体、 310a…下部LED、 310b…上部LED、 310c、310d…発光体、 310e…発散角制御部、 311…第1のマーカ光、 311a、311b…投影位置、 320…第2の放射体、 320a…下部LED、 320b…上部LED、 321…第2のマーカ光、 321a、321b…投影位置、 331…遮光部、 332…開口部、 332a…中央部、 332b…周辺部、 350…放射体、 350a…下部LED、 350b…上部LED、 351…マーカ光、 351a、351b…投影位置、 360…放射体、 361…マーカ光、 710…フロントガラス、 711…反射体(コンバイナ)、 720…ダッシュボード、 730…車両(移動体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例としてHUD(Head-Up Display)がある。HUDは、例えば車両用の表示装置や航空機のコックピット用の表示装置として用いられ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの画像形成装置により形成された表示映像を、例えばフロントガラス等に反射させて、車両や航空機を操縦する観視者に与える。HUDは、フロントガラス等で反射して観視者に到る表示映像を、フロントガラスを透過して観察者に到る外界映像に重畳させて観視者に与える。その結果、観視者は表示映像と外界映像とを同時に見ることが可能であり、HUDは、自然で見易い映像を提供できる。
【0003】
HUDは、呈示する映像を含む光束を観視者に投影する。この投影領域は一定の範囲に制御されることが多く、観視者の目の位置がこの投影領域内に入っている場合に、観視者はその映像を観視できる。このため、観視者の目の位置が投影領域の外にある場合には、投影領域の位置を移動させるか、目の位置を移動させる必要がある。このとき、投影領域が観視者によって認識できなければ、それらの位置の調整を行うことが困難である。
【0004】
また、例えばHUDから出射される光束を効率良く反射させるハーフミラー等のコンバイナ(半透過反射体)がフロントガラスに設けられている場合には、光束が反射する位置(すなわちHUDの表示位置)がある程度推定できるが、もしコンバイナが設けられない場合は、光束が反射する位置も観視者には分からない。
【0005】
このように従来のHUDにおいては、光束の投影領域が観視者にとって分からないため、例えば光束の投影領域の位置の調整が困難であり、また、HUDの表示が見えないときに観視者の頭をどちらに移動させれば見えるようになるかが分からず、使い難くかった。
【0006】
多くのHUDの表示は両眼で観視されるが、観視者が遠方を見ながらHUDの表示を同時に見ようとすると、HUDの表示映像が2重像となり見難く、逆に、HUDの表示映像を見ようとすると、両眼視差によって表示像は所定の奥行き位置に認識され、背景の遠方が認識し難い。このような両眼視差に起因した見難さを解決するために、また、知覚される奥行き感を増強させるために、片目で表示像を観視する単眼視HUDがある。このような単眼視のHUDの場合には、HUDから出射される光束の投影領域は片目だけに投影されるように特に小さい。このため、単眼視HUDにおいては、投影領域から目の位置がずれた時の上記の問題が特に顕在化する。
【0007】
特許文献1には、表示像の位置調整を行うコントロールスイッチを操作する際に表示像の表示範囲を視認しうるマークを点灯させるHUDが開示されている。この方法においては、そのマークとして、表示を行う表示器の縁部を点灯させるものであり、このマークが見える視角は、表示が見える視角と同様なので、表示が見えないときにはこのマークも見えないことが多い。このため、従来の技術では、投影領域の位置を推測することは、やはり困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−307977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置、表示方法及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、前記光束に沿って設けられ、第1のマーカ光を放射する第1の放射体と、前記光束に沿い、前記光束の進行の方向において前記第1の放射体よりも前記観視者の側に設けられ、第2のマーカ光を放射する第2の放射体と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0011】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、前記光束に沿って設けられ、前記光束よりも広い発散角を有するマーカ光を放射する放射体と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0012】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束と、第1のマーカ光と、前記映像を観視する観視者までの光路長が前記第1のマーカ光よりも短い第2のマーカ光と、を前記観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法が提供される。
【0013】
本発明の別の一態様によれば、映像を含む光束と、前記光束の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光と、を観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法が提供される。
【0014】
本発明の別の一態様によれば、上記のいずれか1つに記載の表示装置と、前記表示装置から出射される前記光束及び前記マーカ光を前記観視者に向けて反射させるフロントガラスと、を備えたことを特徴とする車両が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置、表示方法及び車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の別の動作を例示する模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の変形例を例示する模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を例示する模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る表示装置11は、映像投影部115と第1の放射体と第2の放射体とを備える。
【0019】
映像投影部115は、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する。
【0020】
第1の放射体310は、光束112に沿って設けられ、第1のマーカ光311を放射する。
【0021】
第2の放射体320は、光束112に沿い、光束112の進行の方向において第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられ、第2のマーカ光321を放射する。
例えば、光束112は、各種の光学部品によって折り曲げられることができ、このような場合においても、第2の放射体320は、光束112の進行の方向において、第1の放射体310よりも観視者100の側に設けられる。
すなわち、観視者100から見て、第1のマーカ光311の光路長よりも、第2のマーカ光321の光路長の方が短い。
【0022】
表示装置11は、任意の用途に用いることができるが、以下では、車載用のHUDとして用いる場合について説明する。
すなわち、表示装置11は、車両730(移動体)に搭載される。
車両730は、表示装置11が呈示する映像を観視する観視者100が搭乗する自動車、二輪車、列車及び航空機等の各種の移動体である。観視者100は、車両730に搭乗するヒトであり、例えば車両730を操縦する操縦者(運転者)とすることができる。
【0023】
表示装置11は、例えば車両730の中、すなわち、例えば、観視者100から見て車両730のダッシュボード720の奥に設けられる。
【0024】
映像投影部115は、例えば、映像を含む光束112を、観視者100の片目(目101)に向けて投影する。ただし、本発明はこれに限らず、映像投影部115は、映像を含む光束112を、観視者100の両目に向けて投影しても良い。
【0025】
映像投影部115が、映像を含む光束112を観視者100に向けて投影する際、光束112は、所定の発散角を有する。すなわち、光束112の発散角をある程度制限することによって、表示装置11が呈示する表示を所定の観視領域において、観視者100は観視する。
【0026】
このように、光束112の投影領域をある程度制限することで、光束112を明るくでき、例えば、装置の寿命が長くなり、また、消費電力も低減できる。
さらに、光束112の投影領域を観視者100の片目が入る領域に制限し、両目では表示を見ないように設計すると、両眼視差に起因した見難さが解決でき、また、知覚される奥行き感を増強させることもできる。
【0027】
なお、表示装置11が観視者100に呈示する映像は、表示オブジェクト180を含む。表示オブジェクト180は、例えば、表示装置11が搭載される車両730の運行情報に関する各種の像である。表示オブジェクト180は、例えば、車両730の進路を示す矢印、注意及び警告等の表示内容である。また、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の外界の任意の場所の番地等の位置情報、及び、道路の名称や周辺の建物等の名称情報等の任意の外界情報を含むことができる。さらに、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の現在位置や速度や燃料等の任意の車両情報を含むことができる。
【0028】
映像投影部115は、例えば、映像生成部130と映像形成部110と投影部120とを有する。
【0029】
映像生成部130は、表示オブジェクト180を含む映像に対応する映像信号を生成し、映像形成部110に供給する。
【0030】
映像形成部110は、供給された映像信号に基づいて、映像形成部110の画面に映像を形成する。
映像形成部110としては、例えば、LCDを用いることができる。ただし、後述するように、映像形成部110にはLCD以外の任意の画像形成装置を用いることができる。
【0031】
投影部120は、映像形成部110で形成された映像を観視者100の目101に投影する。
投影部120は、例えば、光源121とミラー126とを含む。光源121から出射した光は、映像形成部110に入射し、映像形成部110で形成された映像に基づいて変調された光束112となる。そして、アパーチャ等によって光束112の形状は整形され、光束112は、ミラー126を経て車両730の例えばフロントガラス710(ウインドシールド、透明板)に向けて出射する。この時、投影部120の図示しない各種の光学部品によって光束112の発散角(拡散角)が制御される。
【0032】
すなわち、ミラー126で反射された光束112は、例えばフロントガラス710に設けられる反射体711(コンバイナ)により反射され、観視者100の目101に投影される。そして観視者100は、反射体711を介して、表示オブジェクト180の虚像181を知覚する。反射体711は、透光性と反射性の両方を有するように設計され、観視者100は、外界の背景と、光束112に含まれる表示オブジェクト180を有する映像と、を同時に見ることができる。このように、表示装置11は、HUDとして使用できる。
【0033】
すなわち、映像投影部115は、光束112を反射して観視者100の目101に向けて投影する車両730のフロントガラス710を介して映像を観視者100に観視可能とさせる。このときフロントガラス710には、反射体711が含まれる。
【0034】
なお、本具体例は、投影部120と映像形成部110の構成の一例であり、映像を含む光束112を観視者100に投影できる構成であれば、投影部120及び映像形成部110には任意の構成を使用できる。
【0035】
なお、観視者100が片目で観視するように表示装置11が設計される場合には、観視者100の位置における光束112の投影領域は、観視者100が片目で映像を観視できるように制御される。例えば、観視者100の両眼の間隔は平均60mm(ミリメートル)であるので、観視者100の頭部105上における光束112の投影領域の左右方向の幅は60mm程度に制御され、片目に光束112が投影される。なお、映像の見易さから、観視者100の優位眼に映像を投影することが望ましく、片目としては優位眼が用いられることが望ましい。また、投影領域の投影位置及び投影範囲は、映像投影部115に用いられる光学部品を制御部(図示しない)によって制御することで、制御される。
【0036】
第1の放射体310及び第2の放射体320には、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
ただし、本発明はこれに限らず、第1の放射体310及び第2の放射体320には、電気エネルギーに基づいて光を発光する任意の発光体を用いることができ、例えば各種の電球、半導体レーザなどレーザ、各種のEL(Electro-Luminescence)素子などを用いることができる。
【0037】
また、第1の放射体310及び第2の放射体320には、入射した光を反射する任意の反射体を用いることができ、各種のミラーや散乱体等を用いることができる。
【0038】
さらに、第1の放射体310及び第2の放射体320には、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する任意の波長変換体を用いることができ、例えば入射した紫外線に基づいて、可視光を放射する蛍光体などを用いることができる。
【0039】
第1の放射体310は、光束112の進行の方向において、光束112の光源121の側に設けられる。すなわち、光束112の光路に沿って見たときに、第2の放射体320は、第1の放射体320よりも光源121から遠い側、すなわち、観視者100の側に設けられる。
【0040】
第1の放射体310及び第2の放射体320は、光束112が通過する領域の外側に設けられる。本具体例では、第2の放射体320は、ミラー126の位置に設けられ、ミラー126への光束112の入射領域の外側に設けられている。一方、第1の放射体310は、映像投影部115の各種の光学部品に取り付けることができる。ただし、第1の放射体310及び第2の放射体320が取り付けられる場所は任意である。
【0041】
そして、第1の放射体310から放射された第1のマーカ光311、及び、第2の放射体320から放射された第2のマーカ光321は、光束112と供に、観視者100の頭部105に投影される。
【0042】
なお、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角は、ある程度広く設定することができる。
第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角は、例えば、光束112の発散角よりも広い発散角度を有することができる。
これにより、観視者100の目101が光束112の投影領域の外にあり、観視者100が光束112の映像を観視できない場合においても、観視者100は、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とを観視することができる。そして、観視者100は、光路長が異なる第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とによって、光束112の投影領域の位置を認識することができる。
【0043】
図2〜図4は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、観視者100の位置と光束112の投影領域の位置との3種類の関係を例示している。図2(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合を例示している。図3(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合を例示している。図4(a)は、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合を例示している。図2(b)、図3(b)及び図4(b)は、それぞれ、図2(a)、図3(a)及び図4(a)に例示した状態における、観視者100から見たときの光束112の投影領域並びに第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置を例示している。
【0044】
図2(a)に表したように、本具体例の表示装置11においては、第2の放射体320は、ミラー126の縁部に取り付けられ、第1の放射体310は、ミラー126よりも映像形成部110の側の光学部品であるミラー125の縁部に取り付けられている。
【0045】
第1の放射体310は、ミラー125の下部に取り付けられている2つの下部LED310aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED310bと、を含む。すなわち、第1の放射体310は、例えば、ミラー125における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0046】
第2の放射体320は、ミラー126の下部に取り付けられている2つの下部LED320aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED320bと、を含む。すなわち、第2の放射体320は、例えば、ミラー126における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0047】
そして、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合は、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できる。すなわち、観視者100は、例えばフロントガラス710の反射体711に投影される光束112、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を知覚できる。
【0048】
図2(b)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合には、光束112の投影領域114は、第1のマーカ光311の上側の投影位置311aと下側の投影位置311bとの間に配置される。そして、第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び下側の投影位置311bは、第2のマーカ光321の上側の投影位置321aと下側の投影位置321bとの間に配置される。
【0049】
図3(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合、例えば観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できない。
【0050】
すなわち、図3(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の下側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。この時、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の発散角を大きく設定することによって、観視者100によって知覚されることが可能である。そして、この場合には、第2のマーカ光321の4つの投影位置(第2のマーカ光321の上側の投影位置321a及び下側の投影位置321b)の下側に、第1のマーカ光311の4つの投影位置(上側の投影位置311a及び下側の投影位置311b)が配置される。このように、第1のマーカ光311の投影位置の中心が、第2のマーカ光321の投影位置の中心よりも下側にあることで、光束112の投影領域114が第1のマーカ光311の投影位置よりもさらに下側にあることが推測できる。
【0051】
そして、例えば、観視者100がその頭部105を下方に移動させることで、観視者100の目101が投影領域114に入り、観視者100は、表示を観視可能となる。また、例えば、表示装置11の例えば映像投影部115に含まれる光学部品(例えばミラー126等)の角度等を調節することで、観視者100の目101が投影領域114に入り、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0052】
図4(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合、例えば、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できない。
【0053】
すなわち、図4(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の上側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。この場合にも、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321は、観視者100によって知覚されることが可能であり、例えば、第2のマーカ光321の投影位置の上側に、第1のマーカ光311の投影位置が配置される。このように、第1のマーカ光311の投影位置の中心が、第2のマーカ光321の投影位置よりも上側にあることで、光束112の投影領域114が第1のマーカ光311の投影位置よりもさらに上側にあることが推測できる。
【0054】
この場合には、例えば、観視者100がその頭部105を上方に移動させることで、観視者100は表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0055】
このように、観視者100から見て、距離が近い(すなわち光路長が短い)第2の放射体320と、距離が遠い(すなわち光路長が長い)第1の放射体310と、を設けることで、光束112の投影領域114と、観視者100の目101の位置と、が相対的にずれた時に、第2のマーカ光321と第1のマーカ光311との間の相対的な位置を、そのずれの方向に対応させることができる。
【0056】
すなわち、観視者100の目101に対して光束112の投影領域114が相対的に下側にある場合(例えば図3(a)及び(b))は、第1のマーカ光311の投影位置(例えばその中心)は、第2のマーカ光321の投影位置(例えばその中心)よりも下側に配置される。そして、観視者100の目101に対して光束112の投影領域114が相対的に上側にある場合(例えば図4(a)及び(b))は、第1のマーカ光311の投影位置(例えばその中心)は、第2のマーカ光321の投影位置(例えばその中心)よりも上側に配置される。
【0057】
すなわち、観視者100から見て距離が近い(光路長さが短い)第2の放射体320と、距離が遠い(光路長が長い)第1の放射体310と、を設けることで、光束112の投影領域114と、観視者100の目101の位置と、が相対的にずれた時に、第2のマーカ光321の位置の変化量よりも、第1のマーカ光311の位置の変化量は大きくなる。そして、これを利用して、投影領域114と目101の位置のずれの方向が推測可能となる。
【0058】
このように表示装置11によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置が提供できる。
【0059】
なお、上記は、観視者100の目101の位置と、光束112の投影領域114と、が上下方向にずれる場合に関して説明したが、左右方向に関しても同様の動作が行われる。
【0060】
なお、第1の放射体310及び第2の放射体320は、光束112に沿って設けられており、これにより、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321は光束112の投影領域の位置に関連付けられている。すなわち、図2〜図4に関して説明したように、観視者100からみて光束112の投影領域114の位置が移動した場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置が変化する。そして、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置の変化に基づいて、光束112の投影領域114の位置が推測可能となる。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の別の動作を例示する模式図である。 すなわち、同図は、観視者100の目101が、図4の場合よりもさらに下側にある場合における、観視者100からみた時の光束112の投影領域並びに第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の位置を例示している。
【0062】
図5に表したように、観視者100の目101が、図4の場合よりもさらに下側にある場合、第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び第2のマーカ光321の上側の投影位置321aは反射体711の領域よりも上方に位置し、観視者100は上側の第1のマーカ光311及び上側の第2のマーカ光321を認識できない場合があり得る。この場合においても、観視者100は、下側の第1のマーカ光311と下側の第2のマーカ光321とを観視できるので、光束112の投影領域114の位置が上側にあることが推測できる。
【0063】
なお、観視者100の目101が、図3の場合よりもさらに上側にある場合も同様に、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0064】
このように、第1のマーカ光311の投影領域と、第2のマーカ光321の投影領域と、の相対的な位置関係を認識することで、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0065】
この時、第1のマーカ光311の投影領域の形状や大きさと、第2のマーカ光321の投影領域の形状と大きさと、は任意に設定できる。例えば、第2のマーカ光321の投影領域の大きさ(例えば第2のマーカ光321の上側の投影位置321a及び下側の投影位置321bで囲まれた領域の大きさ)は、第1のマーカ光311の投影領域の大きさ(例えば第1のマーカ光311の上側の投影位置311a及び下側の投影位置311bで囲まれた領域の大きさ)よりも大きく設定できる。これにより、第1のマーカ光311の投影領域と、第2のマーカ光321の投影領域と、の相対的な位置関係を把握し易くなる。
【0066】
また、上記においては、第1の放射体310及び第2の放射体320は、それぞれ4つのLEDを有し、その4つのLEDが長方形の頂点に配置されているが、本発明はこれに限らない。
【0067】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の変形例を例示する模式図である。
すなわち、同図は、光束112の進行方向とほぼ平行な方向からみた時の第1の放射体310及び第2の放射体320の形状を例示している。すなわち、同図は、観視者100から見たときの第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の形状をも例示している。
【0068】
図6(a)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、複数の円が枠状に連なった形状を有している。例えば、LEDを複数枠状に並べることでこの形状が実現できる。
【0069】
図6(b)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、長方形の枠状の形状を有している。例えば、枠状のEL層を用いたり、枠状の蛍光体を用いてこれに紫外線などを照射したり、枠状の散乱層に光を照射することによって、この形状が実現できる。
【0070】
図6(c)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、長方形の頂点に対応したL字形の形状を有している。
【0071】
図6(d)に表したように、第1の放射体310は、長方形の頂点に対応したL字形の形状を有しており、第2の放射体320は、長方形の頂点に配置された4つの円の形状を有している。このように、第1の放射体310と第2の放射体320とで、それを構成する要素の形状を異ならせても良い。これにより、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との区別がし易くなり、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、を認識し易くなる。
【0072】
図6(e)に表したように、第1の放射体310は、長方形の頂点に配置され、長方形の中心に向かう矢印の形状を有している。なお、第2の放射体320は、長方形の頂点に配置された4つの円の形状を有している。
このように、第1の放射体310の形状(すなわち、第1のマーカ光311の投影領域の形状)を、矢印のように、方向を認識可能な形状とすることで、第1のマーカ光311の投影領域の中心が認識し易くなる。
【0073】
図6(a)及び(b)に例示した枠状の形状、並びに、図6(c)及び(d)に例示したL字形の形状においても、方向を認識させることが可能であるが、図6(e)に例示した矢印の形状においては、方向を直感的に認識させることができる。このような形状として、例えば三角形などのように先端が尖った形状などが挙げられる。これにより、マーカ光の投影領域の位置(例えば中心の位置)を認識し易くなる。
【0074】
これにより、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、の相対関係を認識し易くなる。なお、このように方向を直感的に認識可能な形状(矢印や三角形の等のように先端が尖った形状)を第2の放射体320に適用しても良い。
【0075】
このように、マーカ光の投影領域の形状が、マーカ光の投影領域の位置を認識可能な形状を有していることで、マーカ光の投影領域の位置をより認識し易くなり、その結果、表示を視認できる領域の位置をより推測し易くなる。マーカ光の投影領域の位置としては、マーカ光の投影領域の中心の位置を採用することができる。
【0076】
図6(f)に表したように、第1の放射体310及び第2の放射体320は、楕円形の縁状の形状を有している。このように、第1の放射体310及び第2の放射体320の形状は任意である。
【0077】
第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とで、形状の他、色(すなわち、波長特性)を異ならせても良い。これにより、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との区別がし易くなり、第1のマーカ光311の投影領域の位置と、第2のマーカ光321の投影領域の位置と、を認識し易くなる。
【0078】
第1の放射体310及び第2の放射体320の少なくともいずれかは、常時光を放射していても良いし、必要に応じて放射と、非放射(放射の強度が相対的に低い場合を含む)と、を切り替え可能にしても良い。
【0079】
例えば、第1の放射体310及び第2の放射体320として、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体を用いた場合には、例えば供給する電流をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。また、第1の放射体310及び第2の放射体320として、入射した光を反射する反射体を用いる場合には、例えばその入射光をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。さらに、第1の放射体310及び第2の放射体320として、入射した電磁波(例えば紫外線)とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体(例えば蛍光体)を用いた場合には、例えばその電磁波をオン・オフすることで、放射と非放射とが切り替え可能となる。
【0080】
上記の放射と非放射との切り替えは、例えばスイッチを設けることで、観視者100の操作によって行うことができる。これにより、観視者100は、例えば、投影領域の位置を調整する時(だけ)や、投影領域の位置を確認したい時(だけ)に、第1の放射体310及び第2の放射体320を放射状態にし、上記のマーカ光を見ることができる。このように、観視者100の要求に基づいた動作をさせることで便利な表示装置が提供できる。
【0081】
また、上記の放射と非放射との切り替えは、例えば観視者100が搭乗する車両の各種のスイッチと連動させても良く、例えば、エンジンの始動と供に放射を行い、例えば一定の時間が経過した後に非放射状態になるようにしても良い。
【0082】
上記の放射と非放射との切り替えは、観視者100の頭部105の位置を検出し、その位置と、光束112の投影領域の位置とが一定の関係になった場合に放射し、その関係とは別の関係になった場合に非放射状態にするようにしても良い。
【0083】
例えば、観視者100の頭部105の像を撮像し、その像に基づいて、観視者100の目101の位置を推定する。一方、その像から、光束112の投影領域の位置を推定する。そして、観視者100の目101が光束112の投影領域の外側に配置されたときに、上記の放射を行い、観視者100の目101が光束112の投影領域の内側に配置されたときには非放射状態にすることができる。これにより、必要な時に第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100は認識し、不必要な時には第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100が見ることがないので、観視者100の光束112に含まれる映像の観視を妨げることがなく、見易い表示を呈示できる。
【0084】
このように、放射と非放射との切り替えが可能であることが望ましい。なお、既に説明したように、放射と非放射は、光の明るさが明るい場合と、光の明るさが暗い場合と、に対応するものであり、非放射状態においても相対的に暗い光が放射されていても良い。
【0085】
さらに、観視者100の位置(特に目101の位置)が光束112の投影領域の外側にある場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321を観視者100に向けて投影し、観視者100の位置(特に目101の位置)が光束112の投影領域の内側にある場合に、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影しない(または明るさを低くする)ことを、自動的に切り替えることがさらに望ましい。
すなわち、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光(第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321)の強度を低くすることができる。すなわち、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低い。これにより、不必要なときは観視者100はマーカ光を見ることがなく、表示の映像の観視が妨げられず、必要な時に観視者100はマーカ光を見て映像を認識可能な領域を推測でき、より使い易くなる。
【0086】
さらに、例えば、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの強度は、表示装置の動作の開始直後は高く、ある程度の時間の経過後に低くなるように設計することができる。
また、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの強度は、例えば搭載される車両730のエンジン始動やドアの開閉などの動作と関連付けられても良い。すなわち、車両730のエンジン始動やドアの開閉の直後はマーカ光の強度が高く、ある程度の時間の経過後に低くなるように設計することができる。
【0087】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)〜(c)は、第1の放射体310の構成及び動作の例を示している。
図7(a)に表したように、第1の放射体310は、発光体310cと遮光部331とを有する。遮光部331は、発光体310cから放射された第1のマーカ光311を特定の角度で遮光する。
【0088】
発光体310cには例えばLEDが用いられ、本具体例では、発光体310cは、枠状の治具のコーナー部分に設けられている。
【0089】
そして、発光体310cの、第1のマーカ光311の進行方向の側に遮光部331が設けられている。本具体例では、透明な基板の上に金属膜からなり、第1のマーカ光311を遮蔽する遮光部331が設けられている。そして、遮光部311の内部の開口部332の内側を光束112が通過可能となっている。ただし、遮光部331の構成は任意であり、遮光部331として例えば枠状の金属板等を用いても良い。
【0090】
発光体310cと遮光部331との位置関係は、例えば以下のように設定される。すなわち、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入り、観視者100が光束112の映像を観視可能なときに、第1のマーカ光311が遮光部331によって遮光される。そして、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第1のマーカ光311が遮光部331以外の部分を通過して第1のマーカ光311が観視者100に向かって投影されるように設定される。すなわち、遮光部331の形状、幅、位置等が設定される。
【0091】
すなわち、図7(a)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸に対してほぼ平行な方向の光は、遮光部331によって遮光される。
【0092】
そして、図7(b)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸よりも斜め上方向に進行する光は、遮光部331以外の部分を進行し、観視者100に向けて投影される。
【0093】
同様に、図7(c)に表したように、例えば、第1のマーカ光311のうち、光束112の軸よりも斜め下方向に進行する光は、遮光部331以外の部分を進行し、観視者100に向けて投影される。
【0094】
これにより、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入る場合には、第1のマーカ光311が遮光部331によって遮光され、観視者100は第1のマーカ光311を見ることがない。そして、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第1のマーカ光311が観視者100に向かって投影され、観視者100は、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0095】
なお、上記は、第1の放射体310の構成に関して説明したが、この構成は、第2の放射体320にも適用できる。すなわち、第2の放射体320は、発光体と、発光体から放射された第2のマーカ光321を特定の角度で遮光する遮光部と、を有することができる。そして、発光体と遮光部との位置関係は、例えば以下のように設定される。すなわち、光束112の投影領域114の内側に観視者100の目101が入り、観視者100が光束112の映像を観視可能なときに、第2のマーカ光321が遮光部によって遮光され、投影領域114の外側に観視者100の目101がある場合には、第2のマーカ光321が遮光部以外の部分を通過して第2のマーカ光321が観視者100に向かって投影されるように設定される。
【0096】
なお、第1の放射体310及び第2の放射体320の少なくともいずれかが、指向性を有しており、特定の角度においてマーカ光の強度が強く、別の角度ではマーカ光の強度が弱くなるように設定しても良い。この指向性は、例えば各種のレンズ等の設計によって実現することができる。この場合にも、上記の遮光部と同様の効果が得られる。
【0097】
このようにして、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低くし、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光の強度を相対的に低くすることができる。
【0098】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。 図8に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11aにおいては、第1の放射体310及び第2の放射体320は、ミラー125とミラー126との間の位置に設けられている。このように、第1の放射体310及び第2の放射体320が取り付けられる場所は任意である。
【0099】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
例えば、図9に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11bの映像投影部115においては、光源121と映像形成部110との間にライトガイド122が設けられ、光源121からの光源光が映像形成部110に導入される。映像形成部110の光出射側には、リレーレンズ123、凹レンズ123e及びミラー126がこの順に設けられる。リレーレンズ123は、光の進む方向に順に配置された第1〜第4レンズ123a〜123dを有し、第2レンズ123bと第3レンズ123cとの間にアパーチャ124が設けられている。本具体例では、光源121、ライトガイド122、リレーレンズ123、凹レンズ123e及びミラー126が、投影部120に含まれる。
【0100】
光源121から出射した光源光は、映像形成部110によって映像を含む光束112となり、光束112は、リレーレンズ123、アパーチャ124、凹レンズ123e及びミラー126を経て、観視者100に投影される。
【0101】
そして、本具体例では、第1の放射体310及び第2の放射体320は、凹レンズ123eとミラー126との間の位置に設けられている。ただし、本発明はこれに限らず、第1の放射体310及び第2の放射体320の位置は任意であり、例えば、第1の放射体310を凹レンズ123eとミラー126との間の位置に設け、第2の放射体320をミラー126の位置または、ミラー126よりも観視者100の側(光束112の進行方向を基準にして)に設けても良い。また、例えば第1の放射体310は、凹レンズ123eよりも光源121の側の任意の位置に設けても良い。また、第1の放射体310及び第2の放射体320の両方を、ミラー126よりも観視者100の側に設けても良い。
【0102】
また、第1の放射体310及び第2の放射体320は、ミラー126よりも観視者100の側(光束112の進行の方向において)に設けても良く、この場合、例えば、第1の放射体310及び第2の放射体320は映像投影部115の筐体の中に配置されず、映像投影部115の筐体とは別体として設けても良い。
【0103】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る別の表示装置の構成の一部を例示する模式図である。
図10に表したように、本実施形態に係る別の表示装置11cにおいては、第1の放射体310は、発光体310dと、発光体310dから放射された光の発散角を制御する発散角制御部310eと、を有する。発散角制御部310eには、例えば内側面に光吸収層を有する筒状体等を用いることができ、また、いわゆるコリメータを用いることができる。これにより、発光体310dから放射された光の発散角を狭めることができる。そして、光束112が片目に投影される場合には、第1のマーカ光311も片目に投影するようにしても良い。これにより、例えば、光束112によって呈示される映像と、第1のマーカ光311と、を片目で観視することができ、光束112によって呈示される映像が見易くなる。
【0104】
なお、上記は、第1の放射体310について説明したが、同様に、第2の放射体320は、発光体と、発光体から放射された光の発散角を制御する発散角制御部と、を有しても良い。これにより、発光体から放射された光の発散角を狭め、光束112が片目に投影される場合に、第2のマーカ光321も片目に投影するようにしても良い。これにより、例えば、光束112によって呈示される映像と、第2のマーカ光321と、を片目で観視することができ、表示が見易くなる。
【0105】
ただし、本発明はこれに限らず、例えば、光束112が片目に投影される場合においても、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の少なくともいずれかの投影領域は、片目の範囲でも良く、また両目の範囲でも良く、任意である。
【0106】
本実施形態に係る表示装置においては、観視者100の側の第2の放射体320から放射される第2のマーカ光321がフロントガラス710(反射体711を含む)で反射する位置を見ることによって、フロントガラス710上で光束112が反射する位置、すなわち、HUDの表示領域を大まかに把握することができる。
【0107】
そして、さらに、第2の放射体320よりも光源121側の第1の放射体310を設け、第1の放射体310から放射される第1のマーカ光311の虚像の位置と、第2の放射体320から放射される第2のマーカ光321の虚像の位置と、の相対的な位置関係を把握することで、HUDの表示が見えない位置に観視者100の目101があっても、HUDの表示領域(光束112の投影領域114の位置)を推測することができる。
【0108】
これにより、HUDの表示領域の位置(光束112の投影領域の位置)を調整できる。また、観視者100が頭部105を移動させて目101を光束112の投影領域114の内部に入れることで、観視者100は、HUDの表示を観視することができる。
【0109】
そして、第1のマーカ光311と第2のマーカ光321との少なくともいずれかの輝度を、例えば任意のスイッチで変化させる機能を持たせることで、不必要な時には第1のマーカ光311と第2のマーカ光321とを見えなくでき、呈示する映像及び外界の背景像を認識し易くなる。
【0110】
これにより、表示を視認できる領域の位置を推測することが容易になり、使い易いHUD型の表示装置が提供できる。
【0111】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図11に表したように、本発明の第2の実施形態に係る表示装置12は、映像投影部115と放射体350とを備える。
映像投影部115は、第1の実施形態に関して説明したものと同様とすることができるので説明を省略する。
【0112】
放射体350は、映像投影部115から観視者100に向かって投影される光束112に沿って設けられ、マーカ光351を放射する。そして、マーカ光351は、光束112の発散角よりも広い発散角を有する。
【0113】
放射体350は、第1の実施形態の場合と同様に、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体、入射した光を反射する反射体、及び、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体の少なくともいずれかを含むことができる。
【0114】
例えば、放射体350として、光束112の角度よりも広い角度で光(マーカ光351)を放射する例えばLEDを用いることができる。
【0115】
これにより、観視者100の目101が光束112の投影範囲の外にある場合においても、放射体350から放射されたマーカ光351は目101に到達できる。すなわち、観視者100がHUDの表示が見えない場合であっても、観視者100はマーカ光351を見ることができる。
【0116】
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、観視者100の位置と光束112の投影領域の位置との3種類の関係を例示している。
【0117】
図12(a)に表したように、本具体例の表示装置12においては、放射体350は、ミラー126の縁部に取り付けられている。すなわち、放射体350は、ミラー126の下部に取り付けられている2つの下部LED350aと、ミラー126の上部に取り付けられている2つの上部LED350bと、を含む。すなわち、放射体350は、例えば、ミラー126における光束112の入射領域を取り囲むように、入射領域の中心から入射領域の4つの頂点へ向かう方向の延長線上に設けられている。
【0118】
そして、観視者100の目101が、光束112の投影領域内にある場合は、観視者100は、表示装置11が呈示する表示を観視できる。すなわち、観視者100は、例えばフロントガラス710の反射体711に投影される光束112及びマーカ光351を知覚できる。
【0119】
この場合に、図12(b)に表したように、光束112の投影領域114は、マーカ光351の上側の投影位置351aと下側の投影位置351bとの間に配置される。
【0120】
図13(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の上側にある場合は、図13(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の下側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。
【0121】
この時、マーカ光351の発散角が光束112よりも大きいので、マーカ光351は観視者100によって知覚可能である。そして、マーカ光351の投影位置を知ることにより、フロントガラス上での光束112の反射位置が大まかに推測できる。そして、光束112の反射位置の推測結果により、観視者100は頭部105を下方向に少し移動させることで、光束112が見易くなり、結果として光束112の投影領域114を認識することができる。
【0122】
そして、例えば、観視者100がその頭部105を下方に移動させることで、観視者100は、表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の例えば映像投影部115に含まれる光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0123】
図14(a)に表したように、観視者100の目101が、光束112の投影領域の下側にある場合は、図14(b)に表したように、光束112の投影領域114は、例えば反射体711の上側に配置され、観視者100は光束112の投影領域114の位置を認識し難い。
【0124】
この時、マーカ光351の発散角が光束112よりも大きいので、マーカ光351は観視者100によって知覚可能である。そして、マーカ光351の投影位置を知ることにより、フロントガラス上での光束112の反射位置が大まかに推測できる。そして、光束112の反射位置の推測結果により、観視者100は頭部105を上方向に少し移動させることで、光束112が見易くなり、光束112の投影領域114を認識することができる。
【0125】
この場合には、例えば、観視者100がその頭部105を上方に移動させることで、観視者100は表示を観視可能となり、また、例えば、表示装置11の光学部品の角度等を調節することで、観視者100は、表示を観視可能となる。
【0126】
このように、光束112よりも大きい発散角を有するマーカ光351を放射する放射体350を設け、マーカ光351を光束112の投影領域114を探す手がかりとして用いることで、観視者100は、光束112の投影領域114の位置を推測できる。
【0127】
このように表示装置12によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置が提供できる。
【0128】
なお、上記は、観視者100の目101の位置と、光束112の投影領域114と、が上下方向にずれる場合に関して説明したが、左右方向に関しても同様の動作が行われる。
【0129】
なお、本具体例では、放射体350は、ミラー126に付設されているが、放射体350が設けられる位置は任意である。例えば、放射体350は、映像投影部115の筐体の内部に組み込まれ、映像投影部115に含まれる各種の光学部品の近傍に設置することができ、また、放射体350は、映像投影部115よりも観視者100の側に設けられ、放射体350は、映像投影部115の筐体とは別体として設けられていても良い。
【0130】
すなわち、放射体350は、映像を含む光束112に沿って設けられ、光束112の進行を妨害しない任意の位置に設けることができる。
【0131】
また、放射体350は、例えば映像投影部115に含まれる投影部120や映像形成部110と一体となる構成を有していても良い。
【0132】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式図である。
図15に表したように、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置13においても、映像投影部115と放射体360とが設けられる。そして、この場合には、映像投影部115に含まれる投影部120の光源121の一部と、映像形成部110の一部と、が放射体360として利用されている。
【0133】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
図16に表したように、本発明の第2の実施形態に係る別の表示装置13においては、映像投影部115の投影部120の光源121は、内側部121aと外縁部121bとを有する。内側部121aは、映像を有する光束112を観視者100に向けて投影するための部分であり、外縁部121bは、マーカ光361のための部分である。
【0134】
内側部121aよりも外縁部121bの方が、発散角が大きい。これは、内側部121aと外縁部121bとで光学特性が異なる各種の光学シートなどを配置することによっても実現でき、また、内側部121aと外縁部121bとで、発光特性が異なる発光素子を設けても実現でき、その方法は任意である。
【0135】
このように、表示装置13においては、光源121の発光特性を内側部121aと外縁部121bとで変えることで、映像投影部115に含まれる投影部120の光源121の一部が放射体360となる。
【0136】
さらに、本具体例においては、光源121の光出射側に配置され、例えばLCD等からなる映像形成部110において、中央部332aと周辺部332bとが設けられる。すなわち、映像形成部110の中央部332aは、光源121の内側部121aから出射された光束が通過し、映像を含む光束112を形成する部分である。そして、映像形成部110の周辺部332bは、光源121の外縁部121bから出射された光(マーカ光361)が通過する部分である。そして、この場合は、映像形成部110の表示エリア(アクティブエリア)は、映像形成部110の中央部332aと周辺部332bとを含むように設定されている。これにより、映像形成部110の中央部332aでは、呈示する表示に対応して映像を生成し、周辺部332bでは、図6に例示した任意の形状のマーカ光361を生成するように、任意のパターンを生成することができる。
【0137】
このように、表示装置13においては、映像投影部115に含まれる映像形成部110の一部によって、マーカ光361の形状が制御されている。この意味では、映像形成部110の周辺部332bは、放射体360の一部と見なすこともできる。
【0138】
なお、本発明の実施形態に係る表示装置11、11a〜11c、12及び13において、映像形成部110としては、LCDの他に、DMD(Digital Micromirror Device)、及び、MEMS(Micro-electro-mechanical System)等の各種光スイッチを用いることができる。また、映像形成部110には、レーザプロジェクタやLEDプロジェクタなどを用いることもでき、その場合は、レーザビームやLEDからの光により映像を形成する。
【0139】
また、光源121には、LEDや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザなど各種のものを用いることができる。
【0140】
また、投影部120のリレーレンズ123及び凹レンズ123eは、任意の構成を有することができる。さらに、ミラー126には、例えばパワーを有する凹面鏡を用いることができ、映像を所定の比率で拡大または縮小できる。なお、投影部120には、例えば、非球面フレネルレンズ等を設け、フロントガラス710の形状に合わせて光束112の形(断面形状など)を制御できるように設計することもできる。
【0141】
本実施形態に係る表示装置12及び13においても、光束112の投影領域114内に到達するマーカ光の強度は、投影領域114外に到達するマーカ光の強度よりも低くして、観視者100の目101が光束112の投影領域114内にあるときは、投影領域114外にあるときよりも、目101に入射するマーカ光の強度を相対的に低くすることができる。これにより、不必要なときは観視者100はマーカ光を見ることがなく、表示の映像の観視が妨げられず、必要な時に観視者100はマーカ光を見て映像を認識可能な領域を推測でき、より使い易くなる。
【0142】
なお、上記においては、表示装置が車両730等の移動体に搭載されるHUDとして応用される例について説明したが、本発明はこれに限らず、任意の表示装置に応用できる。例えば、片目で見ることで奥行き知覚を増強して呈示する、ゲームなどの娯楽用の他、医療用や各種のデザイン用に用いられる各種の表示装置にも応用することが可能である。
【0143】
(第3の実施の形態)
図17は、本発明の第3の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
図17に表したように、本実施形態に係る表示方法においては、映像を含む光束112と、第1のマーカ光311と、観視者100までの光路長が第1のマーカ光311よりも短い第2のマーカ光321と、を前記観視者に向けて投影する(ステップS10)。
【0144】
映像を含む光束112の投影には、既に説明した映像投影部115を用いることができる。また、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影には、それぞれ、既に説明した第1の放射体310及び第2の放射体320を用いることができる。
【0145】
この表示方法によれば、第1のマーカ光311及び第2のマーカ光321の投影位置によって、光束112の投影領域114の位置を推測することができ、これにより、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示が可能となる。
【0146】
(第4の実施の形態)
図18は、本発明の第4の実施形態に係る表示方法を示すフローチャート図である。
図18に表したように、本実施形態に係る表示方法においては、映像を含む光束112と、光束112の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光351と、を観視者100に向けて投影する(ステップS20)。
【0147】
映像を含む光束112の投影には、既に説明した映像投影部115を用いることができ、また、マーカ光351の投影には、既に説明した放射体350を用いることができる。また、マーカ光として、図15及び図16に説明したマーカ光361を用いることもでき、この場合には、マーカ光361は、映像投影部115に含まれる構成要素の少なくとも一部と一体化されても良い。
【0148】
光束112の投影領域114の位置が分かり難い場合においても、発散角が大きいマーカ光351(361)を用いることで、光束112の投影位置を推測することができ、これにより、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示が可能となる。
【0149】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施形態に係る車両には、本発明の実施形態に係るいずれかの表示装置が搭載される。
すなわち、例えば図1に表したように、本実施形態に係る車両730は、本発明の実施形態に係る表示装置11と、表示装置11から出射される光束112を観視者100に向けて反射させるフロントガラス710と、を備える。フロントガラス710は、それに付設される反射体711を含む。
【0150】
本実施形態に係る車両によれば、表示を視認できる領域の位置を容易に推測できるHUD型の表示装置を備えた車両が提供でき、便利な車両の運行が可能となる。
【0151】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置及び車両を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0152】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置、表示方法及び車両を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置、表示方法及び車両も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0153】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0154】
11、11a〜11c、12、13…表示装置、 100…観視者、 101…目、 105…頭部、 110…映像形成部、 112…光束、 114…投影領域、 115…映像投影部、 120…投影部、 121…光源、 121a…内側部、 121b…外縁部、 122…ライトガイド、 123…リレーレンズ、 123a〜123d…第1〜第4レンズ、 123e…凹レンズ、 124…アパーチャ、 125、126…ミラー、 130…映像生成部、 180…表示オブジェクト、 181…虚像、 310…第1の放射体、 310a…下部LED、 310b…上部LED、 310c、310d…発光体、 310e…発散角制御部、 311…第1のマーカ光、 311a、311b…投影位置、 320…第2の放射体、 320a…下部LED、 320b…上部LED、 321…第2のマーカ光、 321a、321b…投影位置、 331…遮光部、 332…開口部、 332a…中央部、 332b…周辺部、 350…放射体、 350a…下部LED、 350b…上部LED、 351…マーカ光、 351a、351b…投影位置、 360…放射体、 361…マーカ光、 710…フロントガラス、 711…反射体(コンバイナ)、 720…ダッシュボード、 730…車両(移動体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、
前記光束に沿って設けられ、第1のマーカ光を放射する第1の放射体と、
前記光束に沿い、前記光束の進行の方向において前記第1の放射体よりも前記観視者の側に設けられ、第2のマーカ光を放射する第2の放射体と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、
前記光束に沿って設けられ、前記光束よりも広い発散角を有するマーカ光を放射する放射体と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記放射体は、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体、入射した光を反射する反射体、及び、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記マーカ光の投影領域の形状は、前記マーカ光の前記投影領域の中心の位置を認識可能な形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記光束の投影領域内に到達する前記マーカ光の強度は、前記投影領域外に到達する前記マーカ光の強度よりも低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
映像を含む光束と、第1のマーカ光と、前記映像を観視する観視者までの光路長が前記第1のマーカ光よりも短い第2のマーカ光と、を前記観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法。
【請求項7】
映像を含む光束と、前記光束の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光と、を観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記表示装置から出射される前記光束及び前記マーカ光を前記観視者に向けて反射させるフロントガラスと、
を備えたことを特徴とする車両。
【請求項1】
映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、
前記光束に沿って設けられ、第1のマーカ光を放射する第1の放射体と、
前記光束に沿い、前記光束の進行の方向において前記第1の放射体よりも前記観視者の側に設けられ、第2のマーカ光を放射する第2の放射体と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
映像を含む光束を観視者に向けて投影する映像投影部と、
前記光束に沿って設けられ、前記光束よりも広い発散角を有するマーカ光を放射する放射体と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記放射体は、電気エネルギーに基づいて光を発光する発光体、入射した光を反射する反射体、及び、入射した電磁波とは異なる波長を有する光を放出する波長変換体の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記マーカ光の投影領域の形状は、前記マーカ光の前記投影領域の中心の位置を認識可能な形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記光束の投影領域内に到達する前記マーカ光の強度は、前記投影領域外に到達する前記マーカ光の強度よりも低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
映像を含む光束と、第1のマーカ光と、前記映像を観視する観視者までの光路長が前記第1のマーカ光よりも短い第2のマーカ光と、を前記観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法。
【請求項7】
映像を含む光束と、前記光束の発散角よりも広い発散角を有するマーカ光と、を観視者に向けて投影することを特徴とする表示方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記表示装置から出射される前記光束及び前記マーカ光を前記観視者に向けて反射させるフロントガラスと、
を備えたことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−262161(P2010−262161A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113454(P2009−113454)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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