説明

表示装置、表示装置の光量調整方法ならびに電子機器

【課題】表示手段に光を照射する光源の色度を一定に保ちつつ、輝度を十分に下げるコントロールを行うこと。
【解決手段】本発明は、画像を表示する表示手段と、表示手段に光を照射するLEDアレイ11と、LEDアレイ11の光量をパルス幅変調によって制御するコントローラ13とを備えており、コントローラ13が、LEDアレイ11の光量をパルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する表示装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段に光源から光を照射して画像を表示する表示装置、表示装置の光量調整方法ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョンを含む液晶ディスプレイにおいて、バックライトにLED(Light Emitting Diode)デバイスを用いる利点の一つとして、輝度コントロールの範囲がCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)方式よりも広いという点である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このCCFLでも輝度をコントロールすることは行われおり、主に、電圧調光と電流調光の2つの方式がある。前者は、トランスに印加する電圧をフィードバックして、その電圧を可変して調光する方式であり、調光範囲は、一般的に50〜100%までといわれている。
【0004】
後者は、出力電流をフィードバックして、トランスに印加する電圧を可変して調光する方式であり、調光範囲は電圧調光と同じで50%〜100%程度といわれている。また、その他の方法として、PWM調光(Pulse Width Modulation)がある。この方式の場合では、調光範囲は拡大し、10%〜100%程度であるといわれている。
【0005】
したがって、たとえ調光としてPWM制御したとしても10%以下の領域は困難であり、10%以下の領域まで調光しようと考えるならば、LEDデバイスを使ったバックライトが優れているといわれている。
【0006】
近年の高品質を求めるテレビのような表示装置では、いかなる輝度レベルでも色温度を一定にしなければならなく、常に色温度を検出して、色度を一定保つようにフィードバックされた制御システムで駆動が必要となる。
【0007】
そこで、LEDバックライトを用いた輝度のコントロールが必要となっている。ここで、LEDバックライトの輝度コントロールの方法は以下に示すものが考えられている。
(1)時間的に輝度を調節するPWM(Pulse Width Modulation)方式。
これは、パルス幅変調、変調信号に応じて、一定周期、一定振幅のパルスの幅を変えて、変調するパルス変調方式のことである。信号波の振幅が大きいときはパルスの幅は大きくなり、振幅が小さいときはパルスの幅は小さくなる。
(2)LEDに流す電流(電流波高値)を可変する方式。
(3)上記(1)、(2)を両方使用する方式。
【0008】
例えば、LEDバックライトの一例として、Red(赤)のLED、Green(緑)のLED、Blue(青)のLEDアレイが配置された構成となっているものとする。なお、このように3色のLEDで構成しなければいけない理由はなく、これら3色以外にも他の色のLED等を混在させてもよい。
【0009】
このようなLEDバックライトに対する輝度をコントロールする上記3つの方法について具体的に説明する。
【0010】
(1)PWMを可変させて輝度コントロールする場合
各RGBのLEDのPWMは、任意のホワイトバランスとするため、各RGBでパルス幅が調整されている。各RGBの点灯比率が高い(例えば50%以上)PWMに設定されているならば、PWMのみによって調光しても、電流波高値は一定の値を保ったままであり、PWMと輝度の関係は線形性を保つ。点灯比率が低い(例えば10%以下)PWMに設定されたならば、電流波形は細くなり、立上がり立下り特性の影響を受けやすくなる。また、LEDをドライブする回路設計の観点からいえば、10%以下にしても電流波高値とPWMを安定して出力するような、高度なLEDドライバの設計を要求されることになる。
【0011】
(2)LEDに流す電流(電流波高値)を可変させて輝度コントロールする場合
輝度コントロールを電流波高値を可変させることによって行う方法では、波高値を低い電流まで可変しなければならないので、この場合もまた、LEDを点灯するドライバ回路に高い設計を必要とすることになる。
【0012】
(3)PWMも波高値も両方可変させて、輝度コントロールする場合
PWMも波高値も共に可変させて、輝度をコントロールすると調光範囲を上記(1)、(2)より広げることはできるが、色度を一定に保ちながら輝度を下げたり上げたりするように制御するアルゴリズムを複雑化させてしまう欠点がある。制御の単純化を考えれば、PWMか波高値のどちらかを輝度コントロールの可変として用いて、他方を色度が一定になるように調整する制御が好ましい。
【0013】
【特許文献1】特開2005−310997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、一般的に考えられる上記の3つの光量調整方法では、色度を一定に保ちつつ、輝度を十分に下げることが困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、画像を表示する表示手段と、表示手段に光を照射する光源と、光源の光量をパルス幅変調によって制御する制御手段とを備えており、制御手段が、光源の光量をパルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する表示装置である。
【0016】
このような本発明では、光源の光量をパルス幅変調により調整するにあたり、パルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間とを設け、これらの比率によって光量を調整することから、パルス幅変調のパルス幅を色度が一定に保てる幅にした状態で光源の輝度を十分に下げることができるようになる。
【0017】
ここで、制御手段は、光源の光量を予め設定された光量以上の光量に調整する場合はその光量に対応するパルス幅変調のパルス幅に至るまで点灯期間の比率を100%としてパルス幅による制御を行い、予め設定された光量未満の光量に調整する場合はパルス幅を一定にして点灯期間の比率による制御を行う。これにより、予め設定された光量以上の光量を得る場合にはパルス幅変調のみで調整し、予め設定された光量未満の光量を得る場合にはパルス幅変調のパルス幅を一定にして点灯期間と非点灯期間との比率による制御を行い、色度の安定と輝度の調整との両立を図ることができる。
【0018】
また、光量のフィードバック制御を行う場合に光源の光量を受光手段で検出するには、点灯期間内の一定期間に受光手段での光量を検出するようにする。
【0019】
また、本発明は、画像を表示する表示手段に光を照射する光源の光量をパルス幅変調によって制御する表示装置の光量調整方法において、光源の光量をパルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する表示装置の光量調整方法である。
【0020】
このような本発明では、光源の光量をパルス幅変調により調整するにあたり、パルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間とを設け、これらの比率によって光量を調整することから、パルス幅変調のパルス幅を色度が一定に保てる幅にした状態で光源の輝度を十分に下げることができるようになる。
【0021】
ここで、光源の光量を予め設定された光量以上の光量に調整する場合はその光量に対応するパルス幅変調のパルス幅に至るまで点灯期間の比率を100%としてパルス幅による制御を行い、予め設定された光量未満の光量に調整する場合はパルス幅を一定にして点灯期間の比率による制御を行う。これにより、予め設定された光量以上の光量を得る場合にはパルス幅変調のみで調整し、予め設定された光量未満の光量を得る場合にはパルス幅変調のパルス幅を一定にして点灯期間と非点灯期間との比率による制御を行い、色度の安定と輝度の調整との両立を図ることができる。
【0022】
また、光源の光量を受光手段で検出し、その検出した光量に基づき光源の光量をフィードバック制御するにあたり、受光手段による光量の検出を、点灯期間内の一定期間に行うようにする。
【0023】
また、本発明は、筐体に表示装置が設けられた電子機器において、この表示装置として、画像を表示する表示手段と、表示手段に光を照射する光源と、光源の光量をパルス幅変調によって制御する制御手段とを備えており、制御手段が、光源の光量をパルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御するものである。
【0024】
このような本発明では、表示装置に設けられた光源の光量をパルス幅変調により調整するにあたり、パルス幅変調による点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間とを設け、これらの比率によって光量を調整することから、パルス幅変調のパルス幅を色度が一定に保てる幅にした状態で光源の輝度を十分に下げることができ、電子機器の表示装置における輝度コントロールの幅を広げることができる。
【発明の効果】
【0025】
したがって、本発明よれば、表示手段に光を照射する光源の色度を一定に保ちつつ、輝度を十分に下げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0027】
<LEDバックライトの配置>
図1は、LEDバックライトの配置を説明する模式平面図である。LEDバックライトは、表示装置1における表示手段(例えば、液晶パネル)の背面に配置され、表示手段に光を与えるものであり、LEDバックライトではRGB各色のLEDを複数個配置して1つのユニットUを構成し、このユニットUを縦横に配置した構成となっている。液晶パネル等の表示手段の面積が大きいほど多くのユニットUを縦横に配置するが、面積の小さな表示手段の場合には1つのユニットUで対応してもよい。
【0028】
<ユニットの構成>
図2は、LEDバックライトに用いられるLEDのユニットの構成を説明する模式図で、(a)は配置図、(b)は回路図である。1つのユニットには、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色のLED(R−LED、G−LED、B−LED)が所定の並び順で配置されており、同じ色のLEDが複数個直列に接続されている。したがって、1つのユニットに対して3色に対応した入力線および出力線が設けられ、入力線から出力線にかけて与える電流によって各色のLEDを発光させることができる。なお、本実施形態ではRGB3色のLEDを用いてユニットを構成しているが、本発明はこの3色の組み合わせに限定されるものではない。
【0029】
<一般的なPWM(パルス幅変調)による調光>
図3は、LEDバックライトにおける一般的なPWMによる調光について説明する模式図である。各RGBのLEDのPWMは、任意のホワイトバランスとするため、各RGBでパルス幅が調整されている。各RGBの点灯比率が高い(例えば50%以上)PWMに設定されているならば、PWMのみによって調光しても、電流波高値は一定の値を保ったままであり、PWMと輝度の関係は線形性を保つことができる。
【0030】
一方、PWMの点灯比率が低い(例えば10%以下)PWMに設定される場合、電流波形は細くなり、立ち上がり立ち下り特性の影響を受けやすくなる。図3は、PWMの点灯比率を下げた場合の状態を説明する模式図である。PWMの点灯比率が非常に低くなると立ち上がりや立ち下がりにおける応答特性が悪化し、精度の高い矩形を得られなくなってしまう。また、LEDをドライブする回路設計の観点からいえば、10%以下にしても電流波高値とPWMを安定して出力するような、高度なLEDドライバの設計を要求される。
【0031】
<本実施形態に係るPWM調光>
図4は、本実施形態に係る表示装置の光量調整方法を説明する模式図である。本実施形態に係る表示装置の光量調整方法は、光源の光量をPWMによって調整するにあたり、PWMによる点灯期間と光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御するものである。
【0032】
図4に示すように、RGB各色のLEDの点灯を、従来のPWM(Main−PWM)による点灯期間と、LEDを発光させない非点灯期間との繰り返しとして、これらの期間の比率によってLEDへ与えられる平均電流量を制御する。
【0033】
つまり、PWMによる点灯期間では、RGB各色のLEDについてホワイトバランスを考慮した各色ごとに一定のパルス幅をもって一般的なPWMによる点灯を行う。PWMによる点灯とともに、各LEDを点灯させない非点灯期間を設け、PWMによる点灯期間と非点灯期間とを所定の周波数で繰り返す。この点灯期間と非点灯期間との比率を変えることでPWMによる点灯期間のパルス幅が一定であってもLEDへ与えられる平均電流量を調整でき、PWMによるパルス幅が一定であっても全体としてそのパルス幅でPWM調光した場合より低い光量(輝度)を実現できることになる。
【0034】
ここで、PWMによる点灯期間とLEDを発光させない非点灯期間との繰り返し周波数は、点灯期間でのPWM周波数より低い周波数(Sub−PWM)とする。このようなPWMによる点灯期間とLEDを発光させない非点灯期間との繰り返しでこれらの比率を調整して光量を制御することで、PWMによるパルス幅を色度を一定にできる値に保ちながら、全体の輝度をそのパルス幅でPWM調光した場合より下げることが可能となる。
【0035】
本実施形態では、Main−PWMの周波数を例えば40kHz程度とし、Sub−PWMの周波数を例えば120Hz程度とする。この2つのPWMを可変させることによって、低い輝度であっても色度を一定にすることができる。
【0036】
<具体的な調光方法>
[1]Sub−PWMのみで輝度コントロールする方法
LEDバックライトで、任意の色度で最大の輝度設定をした時の各RGBのMain−PWM値(パルス幅)を、MPMR、MPMG、MPMBとする。また、PWMの分解能は、例えば10Bitとする。また、各RGBの電流波高値をIr、Ig、Ibとする。
その時、各RGBの平均電流は、次のようになる。
Red…(MPMR/1024)×Ir
Green…(MPMG/1024)×Ig
Blue…(MPMB/1024)×Ib
【0037】
各RGBのSub−PWMをSPMR、SPMG、SPMBとする。また、そのSub−PWMの分解能を10Bitとすると、輝度を下げた場合の各RGBの平均電流は、次のようになる。
Red…(MPMR/1024)×Ir×(SPMR/1024)
Green…(MPMG/1024)×Ig×(SPMG/1024)
Blue…(MPMB/1024)×Ib×(SPMB/1024)
【0038】
ここで、Sub−PWMのみで輝度コントロールを行う場合、Main−PWMのMPMR、MPMG、MPMBは、色度一定に制御させるために可変できるものとする。設定として、例えば輝度コントロールを10%まで下げるようにするには、SPMR、SMPG、SPMBを110くらいまで下げればよいことになり、SPMR、SPMG、SPMBの可変範囲は、110〜1024となる。
【0039】
図5は、Sub−PWMのみで輝度コントロールを行う場合のパルス制御について説明する図で、(a)は輝度50%、(b)は輝度25%、(c)は輝度10%の例である。いずれの例でも、PWMによる点灯期間とLEDを発光させない非点灯期間との比率に応じて全体輝度が決定されることになる。
【0040】
[2]Main−PWMとSub−PWMの両方で輝度コントロールする方法
輝度最大から途中まで(例えば、25%まで)は、Main−PWMで調光し、さらに輝度をさげる時(例えば、25%から10%の期間)は、Sub−PWMで調光する方法である。
【0041】
Sub−PWMの周波数が、映像信号の垂直周波数(50Hz〜120Hz)程度にくらべ、十分に大きい場合であるならば、Sub−PWMのみで輝度コントロールすることで問題はないが、同じ程度の周波数の場合においては、水平方向のジッタがあらわれ、左右の画ズレ(キザキザ感)が、輝度が高い時に見えやすくなるという現象がある。また、垂直周波数と全く同じ場合には、バックライトの点灯・非点灯タイミングと液晶駆動が完全同期してしまうため、バックライトの非点灯しているタイミングの画面部(例えば、50%の調光であるならば、全画面のうち半分)は、固定した暗さになってしまう。そのため、全く同じ周波数で調光させる場合は、バックライトブリンキング(説明省く)のように、画面上のバックライトの点灯を分割して、バックライトを点灯・非点灯しなければならない。以上より、Sub−PWMの周波数が、映像信号の周波数に比べ十分に大きくない場合は、上記で説明したように、Main−PWMとSub−PWMとを混在させた輝度コントロールを行う方がギザギザ感を感じにくい映像となる。
【0042】
<表示装置の構成>
上記[1]、[2]共に、色度を一定に保つためには、図6に示すような表示装置の構成が必要となる。すなわち、表示装置1は、表示手段(例えば、液晶パネル)に光を照射するバックライトユニット10と、バックライトユニット10のLEDアレイ11に駆動のための電流を与えるLEDドライバ12と、LEDドライバ12からLEDアレイ11に与える電流をパルス幅変調によって制御するコントローラ13とを備えている。
【0043】
また、LEDアレイ11から出射される光の量を検出するカラーフォトセンサ15が設けられており、このカラーフォトセンサ15で受光したレベルをA/Dコンバータ14でデジタル変換し、コントローラ13にフィードバックさせる制御システム(アルゴリズム)となっている。なお、カラーフォトセンサ15は、後述するスイッチ16によって検出のタイミングが制御される。つまり、コントローラ13から与えられる指示によってスイッチ16が閉状態となった期間でカラーフォトセンサ15による検出値をA/Dコンバータ14へ送ることができる。
【0044】
また、表示装置には温度センサ17が設けられており、温度センサ17によって検出した温度に基づきコントローラ13がLEDドライバ12に指示を与え、LEDに与える電流を制御する。
【0045】
ここで、色度を一定にさせる方法として、上記[1]、[2]共に各RGBのMain−PWMを可変させる方法が適している。各RGBのPWMにおいて、MPMR、MPMG、MPMBの時を調光レベル100%と定義すると、50%に調光する場合、各PWMは、MPMR×50/100、MPMG×50/100、MPMB×50/100となるとは限らない。色度を一定にするためには、輝度を変えた時のジャンクション温度の変化等の原因で、各PWMを若干可変させる必要があり、(MPMR×50/100)±Δpmr、(MPMG×50/100)±Δpmg、(MPMB×50/100)±Δpmrというように、各PWMを微調整することになる。
【0046】
随時色度を検出するのはカラーフォトセンサ15であり、調光されても色度を一定に保つように、コントローラ13による計算結果のもと、Δpmr、Δpmg、Δpmbはそれぞれ変動する。
【0047】
また、バックライト温度、また、輝度の可変に影響せずに、色度を一定に維持できるようにするためには、温度センサ17とカラーフォトセンサ15とによって検出した値を用いてフィードバック制御する。つまり、LEDデバイスは、図11のように温度により、発光効率やピーク波長がかわるため、随時、温度と各色の輝度レベルをみて、コントローラ13内にそれらのデータを取り込み、演算処理をして、色度が一定になるようにする。
【0048】
図7は、カラーフォトセンサおよびその後段の回路を説明する回路図であり、(a)はスイッチとしてアナログスイッチICを用いた例、(b)はスイッチとしてFETスイッチを用いた例である。いずれの例でも、カラーフォトセンサ15とA/Dコンバータ14との間にスイッチ16が設けられており、コントローラ13から与えられるサンプリングパルスによってスイッチ16が動作するようになっている。コントローラ13からサンプリングパルスが与えられたときにスイッチ16が閉状態となり、カラーフォトセンサ15によって検出した信号をA/Dコンバータ14からコントローラ13へ送ることになる。
【0049】
ここで、図8に示すように、輝度コントロールをSub−PWMを使わずに、Main−PWMのみで輝度を下げようとした場合、図8上図から下図に示すように、パルス幅の低下にともないカラーフォトセンサによる光量のサンプリング前のレベルは一様に下がってしまう。これにより、輝度が下がった分、カラーフォトセンサの読み値(サンプリング前の電圧レベルを意味する)も下がり、色度を一定化する精度を下げてしまうことになる。
【0050】
一方、図9に示すように、Sub−PWMを用いて輝度コントロールする方法では、輝度を下げる場合、図9上図から下図に示すように、Main−PWMのパルス幅は一定にした状態でSub−PWMを可変する(輝度を低下させる場合には、非点灯期間を増加させる)ことで制御するため、カラーフォトセンサによるサンプリングをMain−PWMによる点灯期間に合わせれば、パルス幅はある一定の値より小さくなることはなく、全体の輝度レベルを下げてもカラーフォトセンサの読み値を低下させずに検出を行うことができる。
【0051】
なお、この場合、カラーフォトセンサの読み値にSub−PWMにおける点灯期間と非点灯期間とのうち点灯期間の比率を掛ける演算を行うことで、LEDバックライト全体の平均光量を算出することができる。このような検出によって、カラーフォトセンサの読み値の低下をなくし、色度一定化の精度を落とすことなく、制御することが可能となる。
【0052】
また、先に説明したように、Main−PWMとSub−PWMの両方を使う方法の場合、輝度最大に対して予め設定した値(例えば、25%)までは、Main−PWMで調光し、この値より輝度を下げる場合(例えば、25%から10%程度まで)は、Sub−PWMで調光するという方法を用いる。
【0053】
つまり、コントローラは、LEDバックライトの光量のPWM制御において、LEDバックライトの光量を予め設定された光量以上の光量に調整する場合はその光量に対応するPWMのパルス幅に至るまで点灯期間の比率を100%、非点灯期間の比率を0%としてPWMによるパルス幅制御で光量調整を行い、予め設定された光量未満の光量に調整する場合はPWMにおけるパルス幅を一定にして点灯期間と非点灯期間との比率による制御を行う。
【0054】
図10は、単純にMain−PWMのみで調光した場合と、予め設定された光量未満の調光でSub−PWMで調光する場合とを比較する図である。図10(a)に示すように、単純にMain−PWMのみで調光した時のカラーフォトセンサの読み値は、輝度の低下に伴い下がる傾向となるが、図10(b)に示すように、予め設定した輝度より低下する場合にSub−PWMで調光するようになると、輝度を下げてカラーフォトセンサの読み値が一定となる。つまり、Sub−PWMで調光する場合にはMain−PWMのパルス幅が一定となるため、Main−PWMでの点灯期間にカラーフォトセンサで光量検出すれば、一定のパルス幅に対応したカラーフォトセンサの読み値を確保でき、輝度が低い場合でも正確な検出によって安定したフィードバック制御を行うことが可能となる。
【0055】
<電子機器への適用例>
本実施形態に係る表示装置は、図12に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上に、液晶素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量、受光素子等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部を設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
【0056】
以上説明した本実施形態に係る表示装置は、図13〜図17に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本実施形態が適用される電子機器の一例について説明する。
【0057】
図13は、本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル120やフィルターガラス130等から構成される映像表示画面部110を含み、その映像表示画面部110として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0058】
図14は、本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0059】
図15は、本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0060】
図16は、本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0061】
図17は、本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0062】
<表示撮像装置>
本実施形態に係る表示装置は、以下のような表示撮像装置に適用可能である。また、この表示撮像装置は、先に説明した各種電子機器に適用可能である。図18には、表示撮像装置の全体構成を表すものである。この表示撮像装置は、I/Oディスプレイパネル2000と、バックライト1500と、表示ドライブ回路1200と、受光ドライブ回路1300と、画像処理部1400と、アプリケーションプログラム実行部1100とを備えている。
【0063】
I/Oディスプレイパネル2000は、複数の画素が全面に渡ってマトリクス状に配置された液晶パネル(LCD(Liquid Crystal Display))からなり、線順次動作をしながら表示データに基づく所定の図形や文字などの画像を表示する機能(表示機能)を有すると共に、後述するようにこのI/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体を撮像する機能(撮像機能)を有するものである。また、バックライト1500は、例えば複数の発光ダイオードが配置されてなるI/Oディスプレイパネル2000の光源であり、後述するようにI/Oディスプレイ2000の動作タイミングに同期した所定のタイミングで、高速にオン・オフ動作を行うようになっている。
【0064】
表示ドライブ回路1200は、I/Oディスプレイパネル2000において表示データに基づく画像が表示されるように(表示動作を行うように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。
【0065】
受光ドライブ回路1300は、I/Oディスプレイパネル2000において受光データが得られるように(物体を撮像するように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。なお、各画素での受光データは、例えばフレーム単位でフレームメモリ1300Aに蓄積され、撮像画像として画像処理部14へ出力されるようになっている。
【0066】
画像処理部1400は、受光ドライブ回路1300から出力される撮像画像に基づいて所定の画像処理(演算処理)を行い、I/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)を検出し、取得するものである。なお、この検知する処理の詳細については後述する。
【0067】
アプリケーションプログラム実行部1100は、画像処理部1400による検知結果に基づいて所定のアプリケーションソフトに応じた処理を実行するものであり、例えば検知した物体の位置座標を表示データに含むようにし、I/Oディスプレイパネル2000上に表示させるものなどが挙げられる。なお、このアプリケーションプログラム実行部1100で生成される表示データは表示ドライブ回路1200へ供給されるようになっている。
【0068】
次に、図19を参照してI/Oディスプレイパネル2000の詳細構成例について説明する。このI/Oディスプレイパネル2000は、表示エリア(センサエリア)2100と、表示用Hドライバ2200と、表示用Vドライバ2300と、センサ読み出し用Hドライバ2500と、センサ用Vドライバ2400とを有している。
【0069】
表示エリア(センサエリア)2100は、バックライト1500からの光を変調して表示光を出射すると共にこのエリアに接触または近接する物体を撮像する領域であり、発光素子(表示素子)である液晶素子と後述する受光素子(撮像素子)とがそれぞれマトリクス状に配置されている。
【0070】
表示用Hドライバ2200は、表示ドライブ回路1200から供給される表示駆動用の表示信号および制御クロックに基づいて、表示用Vドライバ2300と共に表示エリア2100内の各画素の液晶素子を線順次駆動するものである。
【0071】
センサ読み出し用Hドライバ2500は、センサ用Vドライバ2400と共にセンサエリア2100内の各画素の受光素子を線順次駆動し、受光信号を取得するものである。
【0072】
次に、図20を参照して、表示エリア2100における各画素の詳細構成例について説明する。この図17に示した画素3100は、表示素子である液晶素子と受光素子とから構成されている。
【0073】
具体的には、表示素子側には、水平方向に延在するゲート電極3100hと垂直方向に延在するドレイン電極3100iとの交点に薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)などからなるスイッチング素子3100aが配置され、このスイッチング素子3100aと対向電極との間に液晶を含む画素電極3100bが配置されている。そしてゲート電極3100hを介して供給される駆動信号に基づいてスイッチング素子3100aがオン・オフ動作し、オン状態のときにドレイン電極3100iを介して供給される表示信号に基づいて画素電極3100bに画素電圧が印加され、表示状態が設定されるようになっている。
【0074】
一方、表示素子に隣接する受光素子側には、例えばフォトダイオードなどからなる受光用のセンサ3100cが配置され、電源電圧VDDが供給されるようになっている。また、この受光センサ3100cには、リセットスイッチ3100dとコンデンサ3100eが接続され、リセットスイッチ3100dによってリセットされながら、コンデンサ3100eにおいて受光量に対応した電荷が蓄積されるようになっている。そして蓄積された電荷は読み出しスイッチ3100gがオンとなるタイミングで、バッファアンプ3100fを介して信号出力用電極3100jに供給され、外部へ出力される。また、リセットスイッチ3100dのオン・オフ動作はリセット電極3100kにより供給される信号により制御され、読み出しスイッチ3100gのオン・オフ動作は、読出し制御電極3100kにより供給される信号により制御される。
【0075】
次に、図21を参照して、表示エリア2100内の各画素とセンサ読み出し用Hドライバ2500との接続関係について説明する。この表示エリア2100では、赤(R)用の画素3100と、緑(G)用の画素3200と、青(B)用の画素3300とが並んで配置されている。
【0076】
各画素の受光センサ3100c,3200c,3300cに接続されたコンデンサに蓄積された電荷は、それぞれのバッファアンプ3100f,3200f,3300fで増幅され、読み出しスイッチ3100g,3200g,3300gがオンになるタイミングで、信号出力用電極を介してセンサ読み出し用Hドライバ2500へ供給される。なお、各信号出力用電極には定電流源4100a,4100b,4100cがそれぞれ接続され、センサ読み出し用Hドライバ2500で感度良く受光量に対応した信号が検出されるようになっている。
【0077】
次に、本実施の形態の表示撮像装置の動作について詳細に説明する。
【0078】
まず、この表示撮像装置の基本動作、すなわち画像の表示動作および物体の撮像動作について説明する。
【0079】
この表示撮像装置では、アプリケーションプログラム実行部1100から供給される表示データに基づいて、表示用ドライブ回路1200において表示用の駆動信号が生成され、この駆動信号により、I/Oディスプレイ2000に対して線順次表示駆動がなされ、画像が表示される。また、このときバックライト1500も表示ドライブ回路1200によって駆動され、I/Oディスプレイ2000と同期した点灯・消灯動作がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】LEDバックライトの配置を説明する模式平面図である。
【図2】LEDバックライトに用いられるLEDのユニットの構成を説明する模式図である。
【図3】LEDバックライトにおける一般的なPWMによる調光について説明する模式図である。
【図4】本実施形態に係る表示装置の光量調整方法を説明する模式図である。
【図5】Sub−PWMのみで輝度コントロールを行う場合のパルス制御について説明する図である。
【図6】表示装置の構成を説明するブロック図である。
【図7】カラーフォトセンサおよびその後段の回路を説明する回路図である。
【図8】輝度コントロールをMain−PWMのみで行う場合を説明する図である。
【図9】Sub−PWMを用いて輝度コントロールする場合を説明する図である。
【図10】単純にMain−PWMのみで調光した場合と、予め設定された光量未満の調光でSub−PWMで調光する場合とを比較する図である。
【図11】温度に対するピーク波長の変化を示す図である。
【図12】フラット型のモジュール形状の例を示す模式図である。
【図13】本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図14】本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図である。
【図15】本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図16】本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図17】本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【図19】図1に示したI/Oディスプレイパネルの構成例を表すブロック図である。
【図20】各画素の構成例を表す回路図である。
【図21】各画素とセンサ読み出し用Hドライバとの接続関係を説明するための回路図である。
【符号の説明】
【0081】
1…表示装置、10…バックライトユニット、11…LEDアレイ、12…LEDドライバ、13…コントローラ、14…A/Dコンバータ、15…カラーフォトセンサ、17…温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に光を照射する光源と、
前記光源の光量をパルス幅変調によって制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、前記光源の光量を前記パルス幅変調による点灯期間と前記光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記光源の光量を予め設定された光量以上の光量に調整する場合はその光量に対応するパルス幅変調のパルス幅に至るまで前記点灯期間の比率を100%として前記パルス幅による制御を行い、前記予め設定された光量未満の光量に調整する場合は前記パルス幅を一定にして前記点灯期間の比率による制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記光源の光量を検出する受光手段と、
前記受光手段による光量の検出の有無を切り換えるスイッチとを備えており、
前記制御手段は、前記点灯期間内の一定期間に前記受光手段での光量の検出を行うよう前記スイッチに制御信号を与える
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
画像を表示する表示手段に光を照射する光源の光量をパルス幅変調によって制御する表示装置の光量調整方法において、
前記光源の光量を前記パルス幅変調による点灯期間と前記光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する
ことを特徴とする表示装置の光量調整方法。
【請求項5】
前記光源の光量を予め設定された光量以上の光量に調整する場合はその光量に対応するパルス幅変調のパルス幅に至るまで前記点灯期間の比率を100%として前記パルス幅による制御を行い、前記予め設定された光量未満の光量に調整する場合は前記パルス幅を一定にして前記点灯期間の比率による制御を行う
ことを特徴とする請求項4記載の表示装置の光量調整方法。
【請求項6】
前記光源の光量を受光手段で検出し、その検出した光量に基づき前記光源の光量をフィードバック制御するにあたり、前記受光手段による光量の検出を、前記点灯期間内の一定期間に行う
ことを特徴とする請求項4記載の表示装置の光量調整方法。
【請求項7】
筐体に表示装置が設けられた電子機器において、
前記表示装置は、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に光を照射する光源と、
前記光源の光量をパルス幅変調によって制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段が、前記光源の光量を前記パルス幅変調による点灯期間と前記光源を点灯させない非点灯期間との比率によって制御する
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−99701(P2009−99701A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268576(P2007−268576)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】