説明

表示装置およびその製造方法

【課題】容易に製造することが可能な構造を備える表示装置を提供する。
【解決手段】各サブピクセルは、1つの有機EL素子が設けられる素子形成領域と、コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域とから構成され、複数のピクセルは、前記第2基板の表面上において、第1方向に延在する複数本の直線に沿ってそれぞれ配置され、第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルの素子非形成領域は、前記第1方向に沿って配置され、第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルに設けられる複数のサブピクセルの素子形成領域は、第2方向に沿って配置され、第2基板上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、全てのサブピクセルの素子非形成領域は前記第1方向に沿って配置され、同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域は前記第1方向に沿って配置される、表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)素子を光源として使用する表示装置は、多数の有機EL素子と、これら多数の有機EL素子を駆動するための駆動回路とを含んで構成される(たとえば特許文献1参照)。表示装置は、たとえば駆動回路と多数の有機EL素子とをそれぞれ別々の基板(第1基板および第2基板)に形成しておき、駆動回路が形成された第1基板と、多数の有機EL素子が形成された第2基板とを貼合することにより作製される。なお第1基板上の駆動回路と第2基板上の有機EL素子とは、たとえば第1基板と第2基板との間隔を所定の距離に保持するコンタクトスペーサーを介して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−114910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL素子を個別に発光駆動する表示装置では、駆動回路から出力される信号を各有機EL素子に個別に入力する必要がある。そのため、駆動回路から出力される信号を有機EL素子に入力するさいの経路となるコンタクトスペーサーは、有機EL素子ごとに個別に設けられる。すなわち有機EL素子の数だけコンタクトスペーサーが設けられることになる。
【0005】
表示装置では、たとえば格子状に形成された隔壁が基板上に設けられており、この隔壁によって略四角形状に区画された領域に、有機EL素子がそれぞれ設けられる。上記コンタクトスペーサーの設置面積は、有機EL素子の設置面積よりも小さいため、コンタクトスペーサーは、たとえば格子状に区画された略四角形状の領域において、有機EL素子が設けられるべき略四角形状の領域を侵食するように、略四角形状の四隅のいずれかに配置される。
【0006】
有機EL素子を構成する発光層などを塗布法で形成する場合、発光層用のインクを、それぞれ発光層が形成されるべき部位に選択的に滴下する必要がある一方で、コンタクトスペーサーが設けられる領域へのインクの滴下を避ける必要がある。しかしながら、コンタクトスペーサーが、有機EL素子の設けられる領域に侵食して設けられる場合、コンタクトスペーサーの設けられる領域へのインクの滴下を避けるには、インクを高精度に塗布する必要があるが、そのような塗布法はインクジェットプリント法などの一部の塗布法に限られている。またたとえインクジェットプリント法などを適用したとしても、コンタクトスペーサーの設けられる領域へのインクの滴下が発生するおそれもあり、歩留まりが低下するおそれがある。
【0007】
したがって本発明の目的は、容易に製造することが可能な構造を備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、駆動回路が形成された第1基板と、前記駆動回路により駆動される有機EL素子が形成された第2基板とが貼合されて構成され、複数の有機EL素子を含んで構成されるピクセルを、複数備える表示装置であって、
前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくともいずれか一方は、いずれか他方に向けて延在する複数のコンタクトスペーサーを有し、
前記駆動回路と前記有機EL素子とはコンタクトスペーサーに形成される導電膜を介して電気的に接続され、
各ピクセルは複数のサブピクセルから構成され、
第2基板上において、各サブピクセルは、1つの有機EL素子が設けられる素子形成領域と、コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域とから構成され、
複数のピクセルは、前記第2基板の表面上において、互いに所定の間隔をあけて所定の第1方向に延在する複数本の直線に沿ってそれぞれ配置され、
第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルの素子非形成領域は、前記第1方向に沿って配置され、
第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルに設けられる複数のサブピクセルの素子形成領域は、前記第2基板の表面上において前記第1方向と直交する第2方向に沿って配置され、
第2基板上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、全てのサブピクセルの素子非形成領域は前記第1方向に沿って配置され、同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域は前記第1方向に沿って配置される、表示装置に関する。
【0009】
また本発明は、第1基板上において各ピクセルは、第1基板の厚み方向の一方から見て、それぞれ第2基板上の対応するピクセルと重なる位置に配置され、
第1基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルは、前記第1方向に沿って配置される、表示装置に関する。
【0010】
また本発明は、第2基板上には、前記素子形成領域と、前記コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域とを分画する隔壁が設けられている、表示装置に関する。
【0011】
また本発明は、前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、各サブピクセルの素子形成領域をそれぞれ個別に囲むように形成されている、表示装置に関する。
【0012】
また本発明は、前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、各サブピクセルの素子非形成領域をそれぞれ個別に囲むように形成されている、表示装置に関する。
【0013】
また本発明は、前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、第2方向に隣り合う各サブピクセルの素子形成領域間に設けられ、第1方向に延在する複数本の隔壁部材から構成される、表示装置に関する。
【0014】
また本発明は、有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の層を含んで構成され、
1または複数の層のうちの少なくとも1層は、複数のピクセルに跨って、直線状に連続して塗布形成されている、表示装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容易に塗布法で製造することが可能な構造を備える表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】各基板上の1つのピクセルを拡大して模式的に示す平面図である。
【図3】各基板上の複数のピクセルを拡大して模式的に示す平面図である。
【図4】第2基板8上における、有機EL素子17の一方の電極9およびこの一方の電極9から延在する配線を模式的に示す平面図である。
【図5】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図6】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図7】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図8】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図9】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図10】第1基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図11】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図12】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図13】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図14】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図15】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図16】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図17】第2基板上に素子等を形成する工程を説明するための図である。
【図18】第1基板と第2基板とを貼合する工程を説明するための図である。
【図19】ストライプバンクを構成する隔壁を備える第2基板8を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の表示装置について説明する。
【0018】
図1は本実施形態の表示装置の構成を模式的に示す断面図である。図2は、各基板上の1つのピクセルを拡大して模式的に示す平面図である。図3は、各基板上の複数のピクセルを拡大して模式的に示す平面図である。なお図1は、図2の切断面線I−Iから見たピクセルの断面図に対応する。
【0019】
本実施形態の表示装置は、駆動回路が形成された第1基板1と、前記駆動回路により駆動される有機EL素子が形成された第2基板8とが貼合されて構成され、複数の有機EL素子を含んで構成されるピクセルを、複数備える表示装置であって、前記第1基板1および前記第2基板8のうちの一方から他方に延在する複数のコンタクトスペーサー12を有し、前記駆動回路と前記有機EL素子とはコンタクトスペーサー12に形成された導電膜を介して電気的に接続され、各ピクセルは複数のサブピクセルから構成され、第2基板8上において、各サブピクセルは、1つの有機EL素子が設けられる素子形成領域22と、コンタクトスペーサー12が設けられる素子非形成領域23とから構成され、複数のピクセルは、前記第2基板8の表面上において、互いに所定の間隔をあけて所定の第1方向Xに延在する複数本の直線に沿ってそれぞれ配置され、第2基板8上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルの素子非形成領域23は、前記第1方向Xに沿って配置され、第2基板8上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルに設けられる複数のサブピクセルの素子形成領域22は、前記第2基板8の表面上において前記第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って配置され、前記第2基板上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、全てのサブピクセルの素子非形成領域23は前記第1方向Xに沿って配置され、同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域22は前記第1方向Xに沿って配置される。
【0020】
本実施形態の表示装置はいわゆるアクティブマトリクス型の表示装置21である。表示装置21は、第1基板1と第2基板8とを貼合することにより構成される。
【0021】
第1基板1には、有機EL素子17に所定の信号を入力する駆動回路が設けられている。また第2基板8には、多数の有機EL素子17が設けられている。これら第1基板1上に設けられる駆動回路と第2基板8上に設けられる有機EL素子とは、コンタクトスペーサー12を介して電気的に接続される。
【0022】
表示装置21は多数のピクセルを備える。このピクセルは、それぞれ複数のサブピクセルから構成される。たとえば1つのピクセルは、(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルR、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルG、(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBから構成される。なお1つのピクセルは、3つのサブピクセルから構成されるものに限られるわけではなく、たとえば白色の光を出射するためのサブピクセルをさらに備えることもある。本実施形態では、1つのピクセルは、3つのサブピクセルR,G,Bから構成される。なお本明細書ではサブピクセルについて、赤色、緑色、青色の各光を出射するサブピクセルを特定する場合には、それぞれ符号にR,G,Bを付すことがある。
【0023】
図2(1)は、第2基板8上の1つのピクセルの配置を模式的に示す平面図である。第2基板8上において、各サブピクセルは2つの領域から構成される。すなわち、1つのサブピクセルは、1つの有機EL素子が設けられる素子形成領域22と、コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域23とから構成される。なお図2(1)、(2)ではコンタクトスペーサーの配置される領域を黒丸で示している。
【0024】
第2基板8上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルの素子非形成領域は、所定の第1方向Xに沿って配置される。たとえば(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子非形成領域23R、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGの素子非形成領域23G、(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBの素子非形成領域23Bが、第1方向Xに延在する直線上にこの順番で配置される。
【0025】
また第2基板8上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルに設けられる複数のサブピクセルの素子形成領域は、所定の第2方向Yに沿って配置される。この第2方向Yは、前記第2基板8の表面上において第1方向Xと直交する方向である。たとえば(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子形成領域22R、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGの素子形成領域22G、(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBの素子形成領域22Bが、第2方向Yに延在する直線上にこの順番で配置される。
【0026】
図3(1)は、第2基板8上の複数のピクセルの配置を模式的に示す平面図である。
【0027】
複数のピクセルは、前記第2基板8の表面上において、互いに所定の間隔をあけて所定の第1方向Xに延在する複数本の直線に沿ってそれぞれ配置される。本実施形態では、前記複数本の直線は、第2方向Yに一定の間隔をあけて配置されるものである。したがって本実施形態では第1方向Xに沿って複数のピクセルが整列して配置されるとともに、第2方向Yにも、当該第2方向Yに沿って複数のピクセルが整列して配置される。換言すると複数のピクセルはいわゆるマトリクス状に配置される。
【0028】
前記第2基板8上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、全てのサブピクセルの素子非形成領域23は第1方向Xに沿って配置される。すなわち全てのサブピクセルの素子非形成領域23は、第1方向Xに延在する直線上に配置される。本実施形態では、1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、前述した(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子非形成領域23R、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGの素子非形成領域23G、(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBの素子非形成領域23Bが、これら3つの素子非形成領域23を1つのまとまりとして、この順をかえずに第1方向Xに延在する直線上に繰り返し順次配置される。
【0029】
前記第2基板8上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域は第1方向Xに沿って配置される。本実施形態では、(1)赤色の光を出射するための複数のサブピクセルが、同じ種類に属するサブピクセルであり、(2)緑色を出射するための複数のサブピクセルが同じ種類に属するサブピクセルであり、(3)青色を出射するための複数のサブピクセルが同じ種類に属するサブピクセルである。
【0030】
本実施形態では、(1)赤色の光を出射するための複数のサブピクセルの素子形成領域22Rが、第1方向Xに延在する所定の直線上に配置され、(2)緑色を出射するための複数のサブピクセルの素子形成領域22Gが、第1方向Xに延在する所定の直線上に配置され、(3)青色を出射するための複数のサブピクセルの素子形成領域22Bが、第1方向Xに延在する所定の直線上に配置される。
【0031】
このように同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域を第1方向Xに沿って配置されることにより、有機EL素子を形成する際に、第1方向Xに沿って同じ種類のインクを塗布することができる。塗布法はとくに限定されるわけではないが、このようにサブピクセルの素子形成領域を第1方向Xに沿って配置することにより、いわゆるノズルコート法、スリットコート法やインクジェットプリント法等の無版印刷法、もしくは、フレキソ印刷、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、μコンタクトプリント法等の有版印刷法によって、容易に同じ種類のインクを塗布することができる。
【0032】
本実施形態では、素子形成領域22と、素子非形成領域23とは、1つサブピクセルごとにわけられるのではなく、1つのピクセルを単位として2つの領域にわけられる。このようにすることで、従来の技術のように素子形成領域を素子非形成領域が侵食するように配置されることを防ぐことができ、略四角形状の素子形成領域22を設けることができる。そのため、素子形成領域22が歪な形をとることを防ぐことができ、インクを塗布する際に、素子非形成領域23にインクが塗布されることを防ぐことができ、歩留まりを向上することができる。
【0033】
図2(2)は第1基板1上の1つのピクセルを模式的に示す平面図である。
【0034】
本実施形態では、第1基板上において各ピクセルは、第1基板1の厚み方向Zの一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)、それぞれ第2基板8上の対応するピクセルと重なる位置に配置される。すなわち図2(1)に示される第2基板8上のピクセルと、図2(2)に示される第1基板1上のピクセルとは、平面視で重なるように配置される。なおこの第1基板1の厚み方向Zは、第1方向Xに垂直な方向であって、かつ第2方向Yにも垂直な方向である。
【0035】
第1基板1上のピクセルは、第2基板8上に設けられる各サブピクセルの有機EL素子17をそれぞれ個別に駆動するため信号を出力するため、第2基板8上に設けられる各サブピクセルに対応するサブピクセルを備える。すなわち本実施形態の第1基板1上のピクセルは、(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRを駆動するサブピクセル24R、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGを駆動するサブピクセル24G、および(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBを駆動するサブピクセル24Bから構成される。
【0036】
そして、第1基板1上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセル24は、第1方向Xに沿って配置される。
【0037】
図1に示すように本実施形態ではコンタクトスペーサー12は、略柱状に形成されるため、第1基板1上の1つのピクセルにおいても、コンタクトスペーサー12が配置される領域(換言すると、コンタクトスペーサー12と接続するためのコンタクトホール14が配置される領域)は、第2基板8上のコンタクトスペーサー12が配置される領域(すなわち素子非形成領域23)の配置と同じように配置される。すなわち、第1基板1上においてコンタクトホール14の配置される領域は、第1方向Xに沿って延在する直線上に配置される。
【0038】
このように、第1基板1においては、(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRを駆動するサブピクセル24R、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGを駆動するサブピクセル24G、および(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBを駆動するサブピクセル24Bの配列方向(第1方向X)と、コンタクトホール14の配置される領域の配列方向(第1方向X)とを一致させることができるため、平面視で、コンタクトホール14の配置される領域に連続して、各サブピクセルを形成することができる。仮に第1基板1上のピクセルを、図2(1)に示すような配置、すなわちコンタクトホール14の配置される領域と、駆動回路を形成する領域を分離するような配置にすると、駆動回路とコンタクトホール14の配置される領域とを所定の配線で電気的に接続する必要があるが、その場合には配線の配置を考慮する必要があり、設計が難しくなるが、図2(2)に示すような配置にすることで、図1に示すように、駆動回路に用いられるトランジスタのドレイン電極5bをそのままコンタクトスペーサー12との接続部として使う事ができ、設計が容易になる。更に本方式の様にコンタクトスペーサー12とコンタクトホール14を一対とした構造をとる事で、第1基板1上に平坦化膜の形成やドレイン電極から平坦化膜上への引出配線を行う製造プロセスが省略でき、製造工程も削減することが可能となる。
【0039】
図3(2)は第1基板1上の複数のピクセルの配置を模式的に示す平面図である。
【0040】
前述したように本実施形態では、第1基板1上において各ピクセルは、第1基板1の厚み方向の一方から見て、それぞれ第2基板8上の対応するピクセルと重なる位置に配置されるため、第2基板8上のピクセルと同様に、マトリクス状に配置される。
【0041】
図1に示すように、本実施形態では、第2基板8上には、隔壁11が設けられており、この隔壁11によって、素子形成領域22と、素子非形成領域23とが区分けされている。すなわち本実施形態では隔壁11aは、素子形成領域22と、素子非形成領域23との間に、第1方向Xに延在するように配置されている(図2(1)参照)。
【0042】
さらには、本実施形態では隔壁11は、素子形成領域22において、サブピクセルごとに、素子形成領域22を区分けしている。すなわち本実施形態では隔壁11bは、素子形成領域22において、隣り合うサブピクセルの間に、第1方向Xに延在するように、配置されている(図2(1)参照)。
【0043】
さらには、本実施形態では隔壁11は、素子非形成領域23において、素子形非成領域23をサブピクセルごとに区分けしている。本実施形態では隔壁11cは、素子非形成領域23において、隣り合うサブピクセルの間に、第2方向Yに延在するように、配置されている(図2(1)参照)。すなわち本実施形態では、各コンタクトスペーサー12毎に、当該コンタクトスペーサー12を取り囲むように隔壁11が形成されている。
【0044】
なお有機EL素子を区分けする隔壁の形態には、いわゆるボックスバンクと、ストライプバンクの2種類があり、本発明はいずれの形態にも適用可能である。図3(1)はボックスバンクからなる隔壁11を示している。ボックスバンクでは、平面視において、隔壁11は1つの有機EL素子の四辺を囲むように形成される。すなわち隔壁11eは、第1方向Xに隣り合うピクセルの間に、第2方向Yにも延在するように配置される。したがって本実施形態では隔壁11は、素子形成領域において格子状に形成される。本発明の方式は、ストライプバンクの方がより好ましいが、本実施形態に於いてはボックスバンクを用いた場合について述べる。
【0045】
有機EL素子17は、それぞれ第2基板8上において、隔壁11によって区分けされた領域に設けられる。本実施形態では、たとえば(1)赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子形成領域22Rには、赤色の光を出射する有機EL素子が設けられ、(2)緑色の光を出射するためのサブピクセルGの素子形成領域22Gには、緑色の光を出射する有機EL素子が設けられ、(3)青色の光を出射するためのサブピクセルBの素子形成領域22Bには、青色の光を出射する有機EL素子が設けられる。有機EL素子は、一対の電極9,15と、該電極間に設けられる発光層16とを含んで構成される。出射する光の色は、たとえば発光層16の材料の構成を各種の有機EL素子において異ならせることにより、異ならせることができる。なお、有機EL素子は一対の電極間に、発光層16だけでなく、必要に応じて所定の層を備えることがある。他の実施形態として、白色光を出射する有機EL素子を設けて、カラーフィルターを使用して、出射する光の色を異ならせてもよい。
【0046】
図4は、第2基板8上における、有機EL素子17の一方の電極9およびこの一方の電極9から延在する配線を模式的に示す平面図である。同種類の光を出射するサブピクセルの素子形成領域22と、素子非形成領域23とは、第2基板8上に形成された配線18によって電気的に接続される。すなわち素子形成領域22から上記配線18が延在し、さらにこの配線18が素子非形成領域23にまで延在する。この素子非形成領域23にまで延在する配線をコンタクトスペーサー下部接続電極25と記載する。本実施形態ではコンタクトスペーサー下部接続電極25上にコンタクトスペーサー12が形成される。たとえば赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子形成領域22Rと、赤色の光を出射するためのサブピクセルRの素子非形成領域23Rとは、第2基板8上に形成された配線18Rによって電気的に接続される。具体的には、有機EL素子の一対の電極のうちの、第2基板8側に設けられる一方の電極9と、コンタクトスペーサー下部接続電極25とが、上記配線18を介して電気的に接続される。
【0047】
図1に示すように、第1基板1上には、第2基板8上に設けられる各サブピクセルの有機EL素子17をそれぞれ個別に駆動する信号を出力するため、第2基板8上に設けられる各サブピクセルに対応するサブピクセルを備える。各サブピクセルは、トランジスタやストレージキャパシタおよびこれらを電気的に接続する配線などを含んで構成される。なお回路構成は図1に示すものにとくに限定されない。
【0048】
図1には、緑色の光を出射するためのサブピクセルGを駆動するサブピクセル24Gが示されている。なお図示はされていないが、赤色または青色の光を出射するためのサブピクセルR,Bを駆動するサブピクセルも、緑色の光を出射するためのサブピクセルGを駆動するサブピクセル24Gと同じ構成である。
【0049】
図1に示す駆動回路は2個のトランジスタ(第1および第2トランジスタ)を備える。第1および第2トランジスタは、それぞれゲート電極2a,2b、ソース電極4a,4bおよびドレイン電極5a,5bを含んで構成される。ソース電極4a,4bとドレイン電極5a,5bとは、所定の間隔をあけて配置される。このソース電極4a,4bとドレイン電極5a,5bとの間には、半導体層6a,6bが設けられる。さらに、ソース電極4a,4bおよびドレイン電極5a,5bと、ゲート電極2a,2bとの間には、ゲート絶縁膜3が介在している。また本実施形態では、また第1トランジスタのドレイン電極5aと、第2トランジスタのゲート電極2bとが、ゲート絶縁膜3に形成されたスルーホール中の導電体19を介して電気的に接続される。
【0050】
さらには、第2トランジスタのドレイン電極5bは、コンタクトスペーサー12との接続領域に設けられるコンタクトホール14の下部電極も兼ねている。さらに、ゲート絶縁膜3を介して対向するゲート電極2bとソース電極4bによって、ストレージキャパシタも構成される。これら駆動回路上には、当該駆動回路を覆う保護膜7が形成される。
【0051】
第1基板1上においてコンタクトスペーサー12の配置される領域には、保護膜7を貫通するコンタクトホール14が形成される。このコンタクトホール14によって、前述した第2トランジスタのドレイン電極5bの表面が保護膜7から露出する。
【0052】
第1基板および第2基板のうちの少なくともいずれか一方は、いずれか他方に向けて延在する複数のコンタクトスペーサーを有する。すなわちコンタクトスペーサー12は第1基板1と第2基板8との間に介在する。コンタクトスペーサー12は、第1基板1および第2基板8を貼合した状態で、第1基板1の厚み方向Zに延在するものであればよく、たとえば貼合前に、第1基板1および第2基板8の一方の基板に配置すればよく、またたとえば貼合前に、第1基板1および第2基板8の両方の基板に配置し、これを貼合することによって接続してもよい。本実施形態では貼合する前に、第2基板8にコンタクトスペーサー12を配置し、両基板を貼合することによって、第1基板1および第2基板8の間に介在するコンタクトスペーサー12を設けている。
【0053】
第1基板1上の駆動回路と第2基板8上の有機EL素子とはコンタクトスペーサー12を介して電気的に接続される。
【0054】
コンタクトスペーサー12は、導電性を示すものであればよく、本実施形態ではたとえば柱形状の絶縁構造体と、この構造体の表面に形成された金属膜とから構成される。このコンタクトスペーサー12によって、第1基板1上の第2トランジスタのドレイン電極5bと、第2基板8上の有機EL素子17の一方の電極9とが電気的に接続される。さらにこのコンタクトスペーサー12によって、第1基板1と第2基板8との間隔が所定の間隔に保持される。
【0055】
前述したように第2基板8上において、コンタクトスペーサー12が設けられる領域には、有機EL素子17の一方の電極9から延在する配線18が設けられる。この配線18上に、コンタクトスペーサー12が設けられることにより、コンタクトスペーサー12と、有機EL素子17の一方の電極9とが電気的に導通する。本実施形態では、後述するようにコンタクトスペーサー12の表面の金属膜を発光層16上に形成される他方の電極15と同時形成することにより、コンタクトスペーサー12と配線18との電気的な導通を図ることができる。
【0056】
また本実施形態では第2トランジスタのドレイン電極5bとコンタクトスペーサー12の他端とは接合部材20を介して接続される。コンタクトホール14の側面は、さらにドレイン電極5に接続された導電膜で覆われていることが好ましいが、必ずしもこの限りではない。本実施形態では、接合部材20は、両基板を貼合する前は流動性を有するものもしくは、ペースト状のものであり、貼合した後に接合部材20を乾燥固化もしくは加熱固化することにより、確実な導通が実現できる。
【0057】
以上のように構成された第1基板1と第2基板8とは、コンタクトスペーサー12の先端部がコンタクトホール14内に挿入されて、導電性の接合部材20を固化することによって固定される。
【0058】
以下、実施形態1の表示装置の製造方法について説明する。本実施形態ではまず(1)第1基板1上に駆動回路を形成し、つぎに(2)第2基板8上に有機EL素子を形成し、さらに、(3)第1基板1と第2基板8とを貼合し、表示装置21を作製する。なおこの(1)の工程と(2)の工程とはいずれを先におこなってもよいし同時に行ってもよい。以下、(1)(2)(3)の各工程について順次説明する。
【0059】
(1)第1基板1上に駆動回路を形成する工程
まず第1基板1を用意する(図5参照)。第1基板1には、樹脂、ガラス、金属、金属ホイルなど種々の材料からなる基板を選択できる。また第1基板1には、リジットな基板だけでなく、たとえば樹脂からなるフレキシブルな基板を用いることができる。有機EL素子17からの光を第2基板8から取出す構成の表示装置では、少なくとも第2基板8が光透過性を示す基板であればよく、第1基板1は透明であっても不透明であってもよい。
【0060】
さらに上記樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、全芳香族ポリアミド(別名:アラミド)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM、別名:ポリアセタール)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)等を選択することができる。
【0061】
つぎに、第1基板1上に所定の素子を形成することを可能にするために、第1基板1をたとえば公知の所定の方法で洗浄する。基板の洗浄は、適宜、基板の材質に適した方法によっておこなわれる。
【0062】
また、第1基板1の上には、平坦化膜、接着膜、バリア膜、もしくは、これらの機能を複数有する膜が成膜されていてもよく、その膜の材質は、無機膜でも有機膜でもよい。また、無機膜と有機膜を組み合わせた積層膜を成膜してもよく、基板の材質や目的に合わせて適宜選択できる。
【0063】
無機膜は、ゾルーゲルや前駆体を含む液から塗布法により形成してもよいし、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法を含むCVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法で形成してもよい。無機膜としては、例えば、SiOx,SiNx,SiOxNy、Al2O3等の酸化物や窒化物が挙げられる。なお本明細書中、塗布法には印刷法も含まれる。
【0064】
有機膜は、CVD法やPVD法で成膜することができ、高分子化合物などの塗布・焼成で形成してもよい。有機膜の材料については、目的に沿うものが選択されるが、パリレン、エポキシ樹脂、PS(Polystyrene)樹脂、PVP(Poly-4-vinylphenol)樹脂、PMMA(Poly(methyl methacrylate))樹脂などが挙げられる。
【0065】
つぎに第1基板1上に、所定のパターンの導電性薄膜を形成する(図6参照)。この導電性薄膜によって、第1および第2トランジスタのゲート電極2a、2bが構成される。さらには、この導電性薄膜によって、上記ゲート電極2a、2b以外の駆動回路を構成する受動素子の電極、配線及び外部接続端子などが構成される。
【0066】
この導電性薄膜は、スパッタリング法、真空蒸着法などのPVD法や、導電性インクを第1基板1上に塗布する方法で基板1上に導電性薄膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法により所定の形状にパターニングを実施することにより形成される。
【0067】
導電性薄膜として選択される材料は、特に制限されるものではないが、Au、Ag、Cu、Mo、W、Ti、Al、Pd、Pt、Ta等の金属、これらの金属の合金、これらの金属の化合物が挙げられ、導電性が高い材料が好ましい。
【0068】
またたとえば第1基板1上に導電性薄膜を形成した後に、この導電性薄膜をパターニングするのではなく、たとえば有版印刷法もしくは無版印刷法により、直接的に所定のパターンの導電性薄膜を形成してもよい。このように、直接的に所定のパターンの導電性薄膜を形成することにより工程を簡略化することができる。
【0069】
有版印刷もしくは無版印刷により導電性薄膜を成膜する場合に使用するインクには種々の導電性インクを用いることができる。使用するインクは、導電性の高い材料を含むインクが好ましく、たとえばPEDOT/PSSなどの導電性高分子化合物を含むインク、無機材料のナノパーティクル微粒子を分散させた微粒子分散インク、銀塩などの金属化合物インクがあげられる。微粒子分散インクの微粒子としては、ナノ−Au、ナノ−Ag、ナノ−Cu、ナノ−Pd、ナノ−Pt、ナノ−Ni、ナノ−ITO、ナノ−酸化銀、ナノ−酸化銅等の微粒子を挙げることができる。なおナノ−酸化銀やナノ−酸化銅を含む微粒子分散インクには、還元剤を混合して用いてもよい。
【0070】
またさらにはめっき法により導電性薄膜を形成してもよい。たとえばフォトリソグラフィ法や、有版印刷法もしくは無版印刷法により、あらかじめ所定のパターンの活性層を第1基板1上に形成しておき、この基板上に、無電解めっき法や、無電解めっき法と電解めっき法の組合せにより所定の位置に導電性薄膜を形成してもよい。
【0071】
ゲート電極2a,2bを構成する導電性薄膜の膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、50nm〜1μmであり、より好ましくは、50nm〜300nmである。
【0072】
つぎにゲート絶縁膜3を形成する(図7参照)。
【0073】
ゲート絶縁膜3には高分子化合物材料からなる有機絶縁膜を用いることが好ましい。高分子化合物材料としては、PS樹脂、PVP樹脂、PMMA樹脂、含フッ素樹脂、PI(Polyimide)樹脂、PC(Polycarbonate)樹脂、PVA(Polyvinyl alcohol)樹脂やこれらの樹脂に含有される繰り返し単位を複数含む共重合体などがあげられる。これらのなかでも高分子化合物材料としては、耐溶剤性などのプロセス耐性や安定性に優れる、架橋性を有する共重合体を用いることが好ましい。たとえばゲート絶縁膜3は、スピンコート法により高分子化合物材料を成膜することにより形成することができる。
【0074】
つぎに、ゲート絶縁膜3上に形成される後述の第1トランジスタのドレイン電極5aと、第2トランジスタのゲート電極2bとの電気的な導通を確保するために、ゲート絶縁膜3の所定の部位にコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールはたとえばフォトリソグラフィ法によって形成することができる。
【0075】
なお他の実施の形態では、ゲート絶縁膜3を成膜した後にコンタクトホールを形成するのではなく、所定の部位に選択的にゲート絶縁膜3をパターン形成することにより、コンタクトホールが形成されたゲート絶縁膜3を形成することが好ましい。たとえば有版印刷法もしくは無版印刷法によりゲート絶縁膜3をパターン形成することにより、コンタクトホールが形成されたゲート絶縁膜3を得ることができる。また感光性樹脂をゲート絶縁膜3の形成に用いることにより、フォトリソグラフィ法で所定のパターンのゲート絶縁膜3を形成することができる。
【0076】
ゲート絶縁膜3の膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、10nm〜1μmであり、より好ましくは、100nm〜600nmである。
【0077】
ゲート絶縁膜3を塗布法により形成する際に使用するインクの溶媒は、当該インクが塗布される下層に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば前記下層を溶解し難い溶媒を用いることが好ましい。以下において説明する各層を形成する工程においても、ゲート絶縁膜3の形成するさいの工程と同様に、塗布法により形成する際に使用するインクの溶媒は、当該インクが塗布される下層に対してダメージを与えないものが好ましく、たとえば前記下層を溶解し難い溶媒を用いることが好ましい。
【0078】
つぎにゲート絶縁膜3上に所定のパターンの導電性薄膜を形成する(図8参照)。この導電性薄膜によって、第1および第2トランジスタのソース電極4a,4b、ドレイン電極5a,5bが構成される。さらには、この導電性薄膜によって、上記電極以外の駆動回路を構成する受動素子の電極、配線及び外部接続端子などが構成される。
【0079】
第1および第2トランジスタのソース電極4a,4b、ドレイン電極5a,5bを構成する所定のパターンの導電性薄膜は、前述の第1および第2トランジスタのゲート電極2a、2bを構成する導電性薄膜の説明において例示した材料および方法で形成することができる。なお、第1および第2トランジスタのソース電極4a,4b、ドレイン電極5a,5bを構成する所定のパターンの導電性薄膜は、前述の第1および第2トランジスタのゲート電極2a、2bを構成する導電性薄膜と同じ材料および同じ方法で形成する必要はない。
【0080】
第1および第2トランジスタのソース電極4a,4b、ドレイン電極5a,5bの膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、50nm〜1μmであり、より好ましくは、100nm〜600nmである。
【0081】
つぎに第1および第2トランジスタの半導体層6a,6bを形成する(図9参照)。
【0082】
たとえば半導体層6a,6bは、当該半導体層6a,6bが形成されるべき部位にのみ、選択的に半導体層6a,6bとなる材料を成膜することによって形成してもよい。具体的にはメタルマスクなどのマスクを介して、真空蒸着法によって半導体層6a,6bとなる材料を所定の領域のみに成膜することによって半導体層6a,6bを形成してもよい。また半導体層6a,6bとなる薄膜をまず形成し、フォトリソグラフィ法によってこの薄膜をパターニングすることにより、半導体層6a,6bが形成されるべき部位に半導体層6a,6bを形成してもよい。さらには、半導体層6a,6bを形成すべき部位に開口部を有する樹脂膜を形成し、その後、一面に半導体層6a,6bを真空蒸着法で成膜してもよい。なお樹脂膜の開口部は、第1基板1から離間するほどその断面が小さくなる、逆テーパー形状に形成される。このような逆テーパー形状の開口部を樹脂膜に形成することにより、開口部内に形成された半導体層6a,6bと、樹脂膜上に形成された半導体層と同じ材料の薄膜とが切断されることになり、樹脂膜がセパレーターとしても機能する。また、有版印刷法もしくは無版印刷法により、当該半導体層6a,6bが形成されるべき部位にのみ、選択的に半導体層6a,6bとなる材料を成膜することによって半導体層6a,6bを形成することが好ましい。
【0083】
有版印刷法もしくは無版印刷法により半導体層6a,6bを形成する際に使用するインクには、無機半導体材料の分散インクや低分子化合物、高分子化合物などの有機半導体材料を含むインク等を用いることができるが、高分子有機半導体材料を含むインクを用いることが好ましい。また有版印刷法もしくは無版印刷法によって半導体層6a,6bを成膜した後に、半導体層6a,6bのモルフォロジーを制御するため、または溶媒を揮発するために、適宜、焼成処理を施してもよい。半導体層6a,6bの膜厚は、素子特性に好ましくない影響を与えない範囲であれば特に制限はないが、好ましくは、15nm〜1000nmであり、より好ましくは、15nm〜150nmである。
【0084】
無機半導体材料の分散インクとしては、ZnO、IGZO、ZTO、ITO、IZOなどの酸化物半導体のナノ粒子分散インク、ゾル−ゲル液や前駆体、およびSiなどの無機半導体のナノ粒子分散インクなどがあげられる。
【0085】
有機半導体材料としては、ペンタセン(Pentacene)や銅フタロシアニン等の蒸着により成膜しうる低分子化合物、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(6,13-bis(triisopropylsilylethynyl)pentacene(Tips-Pentacene))、13,6−N−スルフィニルアセトアミドペンタセン(13,6-N-sulfinylacetamidopentacene(NSFAAP))、6,13−ジヒドロ−6,13−メタノペンタセン−15−オン(6,13-Dihydro-6,13-methanopentacene-15-one(DMP))、ペンタセン−N−スルフィニル−n−ブチルカルバマート付加物(Pentacene-N-sulfinyl-n-butylcarbamate adduct)、ペンタセン−N−スルフィニル−tert−ブチルカルバマート(Pentacene-N-sulfinyl-tert-butylcarbamate)等のペンタセン前駆体、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン([1]Benzothieno[3,2-b]benzothiophene(BTBT))、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、可溶性基としてアルキル基等を有するオリゴチオフェン等の低分子化合物又はオリゴマー、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等のポリチオフェン、フルオレンコポリマー(例えば、フルオレンジイル基とチオフェンジイル基とを有する共重合体)等の高分子化合物等があげられる。
【0086】
つぎに保護膜7を形成する(図10参照)。なお保護膜7は半導体層6a,6bに対して可能な限りダメージを与えない成膜手法によって形成することが好ましい。
【0087】
保護膜7は、たとえば真空蒸着法、原子層堆積法(ALD)法、スピンコート法などの塗布法を用いてに一面に絶縁性薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により所定の形状にパターニングすることにより形成される。このパターニングの際に、第2トランジスタのドレイン電極5の表面の一部が露出するコンタクトホール14が形成される。さらには有版印刷法もしくは無版印刷法により、直接所定のパターンで保護膜7を形成することが好ましい。
【0088】
印刷する材料は、無機材料の分散インク、ゾルーゲル材料、低分子化合物、高分子化合物になどの有機材料を含むインク等の種々の材料が選択できるが、高分子材料を含むインクが好ましい。
【0089】
保護膜7の材料としては、無機や有機SOG(スピンオングラス)材料のほか、前述のゲート絶縁膜3において例示した材料と同様のものをあげることができる。
【0090】
保護膜7の膜厚は、特に制限は無いが、好ましくは、50nm〜5μmであり、より好ましくは、500nm〜1.5μmである。
【0091】
なおコンタクトホール14の側面には、第2トランジスタのドレイン電極5bに接続される導電性薄膜を形成することが好ましい。
【0092】
(2)第2基板8上への有機EL素子の形成
まず第2基板8を用意する(図11参照)。第2基板8には水蒸気などのガスに対する高いバリア性を有する基板を用いることが好ましい。なお本実施形態では第2基板8には、光透過性を示す基板が用いられる。
【0093】
つぎに、第2基板8上に所定の素子を形成することを可能にするために、第2基板8をたとえば公知の所定の方法で洗浄する。基板の洗浄は、適宜、基板の材質に適した方法によっておこなわれる。
【0094】
また第2基板8上には、前述した第1基板1と同様に、平坦化膜、接着膜、バリア膜、もしくは、これらの機能を複数有する膜を成膜してもよい。これらの膜の材料および形成方法は、前述と同様である。
【0095】
つぎに、第2基板8上に所定のパターンの導電性薄膜を形成する(図12参照)。この導電性薄膜によって、有機EL素子17の一方の電極9が構成される。さらには、この導電性薄膜によって、有機EL素子17の一方の電極9から素子非形成領域23にまで延在する配線18も構成される(図4参照)。
【0096】
本実施形態では、光透過性を示す導電性薄膜を形成する態様について説明する。この導電性薄膜は、スパッタリング法や真空蒸着法などのPVD法により導電性薄膜を第2基板8上に一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法により所定の形状にパターニングすることにより形成することができる。
【0097】
導電性薄膜の材料には、例えばITO、IZO、ZTO、ZnO、IGZOなどの金属酸化物材料から選択することができ、可視光透過率や導電性が高い材料からなる導電膜が好ましい。もしくは、配線18を兼ねることからより導電性が高い材料が好ましく、Au、Ag、Cu、Mo、W、Ti、Al、Pd、Pt、Ta等の金属によるメッシュ電極等の様な光を透過することができる格子状の電極を形成してもよい。
【0098】
有機EL素子17の一方の電極9を構成する導電性薄膜は、たとえば有版印刷法もしくは無版印刷法により、直接的に所定のパターンで形成することが好ましい。このように、直接的に所定のパターンの導電性薄膜を形成することにより工程を簡略化することができる。
【0099】
有版印刷もしくは無版印刷により有機EL素子17の一方の電極9を構成する導電性薄膜を形成する場合に使用するインクには、種々の導電性インクを用いることができる。使用するインクは、導電性の高い材料を含むインクが好ましく、たとえばPEDOT/PSSなどの導電性高分子化合物を含むインク、無機材料のナノパーティクル微粒子を分散させた微粒子分散インク、銀塩などの金属化合物インクがあげられる。微粒子分散インクの微粒子としては、ナノ−Au、ナノ−Ag、ナノ−Cu、ナノ−Pd、ナノ−ITO、ナノ−酸化銀、ナノ−酸化銅等の微粒子を挙げることができる。これらの材料を所定の光透過率となる厚さに形成した電極や、メッシュ構造に導電性材料を形成した電極も使用することができ、これらのうえにさらに透明導電材料を積層した構造の電極や、メッシュ構造の電極の段差を平坦化する平坦化電極を組み合わせた電極も使用することができる。ナノ−酸化銀やナノ−酸化銅を含む微粒子分散インクには、還元剤を混合して用いてもよい。
【0100】
つぎに隔壁11を形成する(図13参照)。隔壁11は、本実施形態では、コンタクトスペーサー12が設けられる領域を囲むように形成され、さらには、各有機EL素子17間にも形成される。本実施形態では、逆テーパー形状の隔壁11を形成する。本明細書において隔壁11が逆テーパー形状とは、隔壁11の先端ほど、その幅が幅広になる形状を意味する。このような逆テーパー形状の隔壁11を形成することにより、たとえば真空蒸着によって導電性薄膜を形成するさいに、隔壁11の端部で導電性薄膜が切断される。すなわちこの逆テーパー形状の隔壁11がセパレーターとしても機能する。
【0101】
逆テーパー形状の隔壁11の材料には、逆テーパー形状への加工が可能な永久材であって電気絶縁性が高い永久材を使用することができる。このような隔壁11の材料としては、光パターニングが可能な材料であって電極や有機発光層16に悪影響を与えるガスを隔壁形成後に放出しない材料であることが好ましく、このような観点からは、たとえばZPN2464(ZEON社製)を使用することができる。隔壁11には撥水処理を施してもよい。隔壁11の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.5μm以上4.0μm以下が好ましい。
【0102】
なお逆テーパー形状の隔壁11を形成する前に、適宜、隔壁11が設けられる部位に下地層を形成するようにしてもよい。下地層は、SiOx、SiOxNy、SiNx等の無機材料や電気絶縁性が高い無機又は有機の永久材を用いることができるが、無機材料の方が電気絶縁性が高く、かつ下地層の高さを低くできるので好ましい。この下地層の厚さは電気絶縁性が保たれれば特に制限は無いが、例えば、10nm以上500nm以下に設定される。
【0103】
つぎに、有機EL素子17の一方の電極9から配線18を介して延在するコンタクトスペーサー下部接続電極25上にコンタクトスペーサー12を形成する(図14参照)。
【0104】
前述したように本実施形態ではコンタクトスペーサー12は絶縁構造体と金属膜とから構成される。この絶縁構造体の材料としては例えば、順テーパー形状への加工が可能な永久材であって電気絶縁性が高く、かつ厚膜化が可能な永久材を使用することができる。なお本明細書において順テーパー形状とは、先端ほどその幅が狭くなる形状を意味する。このような絶縁構造体の材料としては、光パターニングが可能な材料であって電極や有機発光層16に悪影響を与えるガスを絶縁構造体形成後に放出しない材料であることが好ましい。具体的には、東レ製のフォトニース(感光性ポリイミド)が用いられる。コンタクトスペーサー12の高さは、隔壁11の厚さと第1基板1のドレイン電極5b上に設けられたコンタクトホール14の深さとの和よりも長ければよく、好ましくは、隔壁11の厚さとコンタクトホール14の深さとの和よりも1.5倍以上、より好ましくは、2倍以上長く設定される。
【0105】
絶縁構造体の形状は、柱形状であることが好ましい。また、この絶縁構造体の表面には、有機EL素子の一方の電極9とドレイン電極5とを導通させる導電膜が形成される。
【0106】
この導電膜は、有機EL素子17の他方の電極15を蒸着により形成する際に、同時に形成される。なお逆テーパー形状の隔壁11を設けた場合、隔壁11の端部で導電性薄膜が切断されるため、有機EL素子17の他方の電極15と一方の電極9との電気絶縁性が保たれる。
【0107】
つぎに有機EL素子を形成する(図15、図16参照)。有機EL素子17は、前述したように一対の電極9,16と、該電極間に設けられる発光層16とを含んで構成される。なお一対の電極間には、発光層16以外にも、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などが設けられる。これらは公知の材料によって、たとえば蒸着法や塗布法により形成され、塗布法が好ましい。塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等をあげることができ、これらのなかでも、パターニング塗布が可能な無版印刷法または有版印刷法が好ましく、具体的にはインクジェットプリント法、ノズルコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリント法等が好ましい。なお、複数の層を積層する場合には、すべての層を塗布法で形成するのではなく、たとえば低分子化合物などを蒸着法等によって成膜してもよい。
【0108】
一対の電極間に、発光層16などを形成したのち、前述したように本実施形態では他方の電極15を蒸着法によって形成する。
【0109】
(3)第1基板1と第2基板8とを貼合する工程
まずコンタクトスペーサー12の先端部に、導電性インク若しくは導電性ペーストからなる接合部材層を形成する(図17参照)。この接合部材層はたとえばナノパーティクルAgインクもしくはAgペーストからなる。たとえば転写印刷法により、コンタクトスペーサー12の先端部に接合部材層を形成する。すなわち、まず接合部材層が塗布された転写用印刷版を準備し、その接合部材層に第2基板8のコンタクトスペーサー12を押し当て、その先端部に接合部材層を付着させることにより、コンタクトスペーサー12の先端部に接合部材層を形成する。
【0110】
なおコンタクトスペーサー12の先端部への接合部材層の形成は、転写印刷法に限定されるものではなく、第1基板1のコンタクトホール14に直接、インクジェット法やドロップキャスト法により例えばナノパーティクルAgインクを塗布するようにしてもよい。
【0111】
その他の塗布方法としては、マイクロコンタクトプリント法、スクリーン印刷法、凸版印刷法などの有版印刷手法が適用でき、これらの方法によって、導電性インクもしくは導電性ペーストなどの接合部材を、コンタクトスペーサー12の先端部へ塗布もしくはコンタクトホール14内に充填することができる。
【0112】
導電性インクは、溶媒中に無機ナノ粒子が分散されていることが好ましい。無機ナノ粒子は、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Ni、ITO、Al、硫化銀、酸化銀及び酸化銅のナノ粒子からなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0113】
導電性ペーストは、PbSn合金、SnAg合金、およびAgからなる群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいてもよく、ポリマーを含んでいてもよい。
【0114】
つぎに第1基板1と第2基板8とを貼合する(図18参照)。たとえばアライメント可能な貼り合わせ装置を用いて、コンタクトスペーサー12の先端部がコンタクトホール14に対向するように第1基板1と第2基板8とをアライメントマークを基準に位置合わせした後、両基板を近接させてコンタクトスペーサー12の先端部をコンタクトホール14内に挿入し、接合部材層を固化する。アライメント精度は、±5μm以下であることが望ましい。
【0115】
接合部材層の固化方法は、選択される接合部材の種類に応じて適宜選択され、例えば、加熱固化もしくは乾燥固化されるが、加熱を伴う場合には加熱温度は150℃以下であることが好ましい。
【0116】
加熱固化とは、例えば、分散剤を含有する銀ナノ粒子を接合部材として用いる場合であって分散剤の脱離温度もしくは分解温度が常温以上の場合、脱離温度もしくは分解温度よりも高い温度にて焼成し、分散剤を脱離もしくは分解させて銀ナノ粒子同士を直接接触させ、固化させることを指す。ナノ粒子の表面は非常に活性なため、銀ナノ粒子同士が直接触れることで低温でも溶融し、凝集して金属膜となり固化する。
【0117】
乾燥固化とは、例えば、接着性導電ペーストを接合部材として用いる場合、接着性導電ペースト中の分散溶媒を乾燥させることで導電フィラーとして入っている銀粒子同士を接触させ、固化させることを指す。もしくは、分散剤を含有する銀ナノ粒子を接合部材として用いる場合であって常温で分散剤が脱離もしくは分解しうる場合、時間をかけて分散溶媒を乾燥させ、分散剤を脱離もしくは分解させることで銀ナノ粒子が金属膜になり固化させることを指す。
【0118】
以上のようにして第1基板1と第2基板8とが貼り合わされ、有機EL素子17の一方の電極9と、第2トランジスタのドレイン電極5bとが電気的に接続される。
【0119】
つぎにシーラント層13を形成して表示装置21を封止する。シーラント層13は、基板内部全体に充填されてもよいし、貼り合わせた基板の内、外形の小さい方の基板の外周部のみに塗布されていてもよい。基板がフレキシブル樹脂基板の場合は、基板の全面に充填硬化されて封止されることが好ましい。シーラント層の材質には特に制限は無いが、第1基板1上の駆動回路や有機EL素子17に影響を与えないものが好ましく、例えば、エポキシ樹脂系の封止材などが用いられる。さらには、シーラント層に用いられる封止材が、水蒸気や酸素等のガス補足機能を含有していることが好ましい。
【0120】
以上のようにして、コンタクトスペーサー12の先端部がコンタクトホール14で固定され、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置21が製造される。
【0121】
以上説明したように、本実施形態では、素子形成領域22と、素子非形成領域23とは、1つサブピクセルごとにわけられるのではなく、1つのピクセルを単位として2つの領域にわけられる。このようにすることで、従来の技術のように素子形成領域を素子非形成領域が侵食するように配置されることを防ぐことができ、略四角形状の素子形成領域22を設けることができる。そのため、素子形成領域22がいびつな形をとることを防ぐことができ、ノズルコート法やインクジェットプリント法によってインクを塗布する際に、素子非形成領域23にインクが塗布されることを防ぐことができ、歩留まりを向上することができる。
【0122】
また、このような構成の第2基板8に対して、有機EL素子を駆動するための回路が形成された第1基板1において、コンタクトスペーサー12の配置に合わせて、第1基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルは、前記第1方向に沿って配置される。そのため、平面視で、コンタクトスペーサー12の配置される領域に連続して、各サブピクセルを形成することができる。かりに第1基板上のピクセルを、図2(1)に示すような配置、すなわちコンタクトスペーサー12の配置される領域と、駆動回路を形成する領域を分離するような配置にすると、駆動回路とコンタクトスペーサー12の配置される領域とを所定の配線で電気的に接続する必要があるが、その場合には配線の配置を考慮する必要があり、設計が難しくなるが、図2(2)に示すような配置にすることで、配線の配置の設計が容易になる。
【0123】
以上の実施形態では、有機EL素子17を個々に囲むいわゆるボックスバンクを構成する隔壁11を備える表示装置について説明したが、他の実施形態では隔壁11は、いわゆるストライプバングを構成する隔壁を設けてもよい。図19はストライプバンクを構成する隔壁を備える第2基板8を模式的に示す平面図である。
【0124】
前述の実施形態では、隔壁11eは、第1方向Xに隣り合うピクセルの間にも、第2方向Yにも延在するように配置されているが(図2(1)参照)、本実施形態では、隔壁は、第2方向Yに隣り合うサブピクセル間に、第1方向Xに延在するように配置され、第1方向Xに隣り合うピクセルの間には設けられない。すなわち素子形成領域において、隔壁は、第1方向Xに延在する複数本の隔壁部材から構成される。
【0125】
このような隔壁を形成した場合、たとえばノズルコート法によって、発光層などの一対の電極間に設けられる層を容易に形成することができる。
【0126】
またこの場合、発光層などの一対の電極間に設けられる層の少なくとも一層は、複数のピクセルに跨って、直線状に連続して形成される。
【0127】
以上、本発明に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置の有機EL素子について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、溶液を塗布することで形成可能な表示装置全般に適用する事が可能である。
【0128】
なお前述の実施形態では、第2基板8にあらかじめコンタクトスペーサー12を形成し、これを第1基板1と貼合する形態について説明したが、他の実施形態では、第1基板1にあらかじめコンタクトスペーサーを形成し、これを第2基板8と貼合してもよい。この形態では、第1基板1上に形成したコンタクトスペーサーの先端に、接合部材層を形成し、これをこの場合の第2基板8のコンタクトホール下部電極に相当するコンタクトスペーサー下部接続電極25に接合し、固化することにより、第1基板と第2基板とを貼合する。
【0129】
また以上の実施形態ではいわゆるボトムゲート型のトランジスタによって構成された駆動回路について説明したが、駆動回路の構成はとくに前述の実施形態に限られず、たとえばトップゲート型のトランジスタによって駆動回路を構成してもよい。
【0130】
以上のように構成された本発明に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置は、有機EL素子を塗布形成する場合の最良の構成ではあるが、当然のことながら、低分子有機ELの様に真空蒸着法で形成する有機EL素子をはじめ、塗布法以外で形成する表示素子についても適用する事は可能である。
【0131】
更に、第1基板1に形成される薄膜トランジスタは本実施形態で記載の有機半導体や有機絶縁膜、フレキシブル基板等で作成された物に限定されず、低温ポリシリコン半導体、アモルファスシリコン半導体、酸化物半導体、カーボンナノチューブやグラフェンなどを半導体層として用いた薄膜トランジスタアレイを用いても良い。
【符号の説明】
【0132】
1 第1基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 半導体
7 保護膜
8 第2基板
9 一方の電極
11 隔壁
12 コンタクトスペーサー
13 シーラント層
14 コンタクトホール
15 他方の電極
16 発光層
17 有機EL素子
18 配線
19 導電体
20 接合部材
21 表示装置
22 素子形成領域
23 素子非形成領域
24 サブピクセル
25 コンタクトスペーサー下部接続電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路が形成された第1基板と、前記駆動回路により駆動される有機EL素子が形成された第2基板とが貼合されて構成され、複数の有機EL素子を含んで構成されるピクセルを、複数備える表示装置であって、
前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくともいずれか一方は、いずれか他方に向けて延在する複数のコンタクトスペーサーを有し、
前記駆動回路と前記有機EL素子とはコンタクトスペーサーに形成される導電膜を介して電気的に接続され、
各ピクセルは複数のサブピクセルから構成され、
第2基板上において、各サブピクセルは、1つの有機EL素子が設けられる素子形成領域と、コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域とから構成され、
複数のピクセルは、前記第2基板の表面上において、互いに所定の間隔をあけて所定の第1方向に延在する複数本の直線に沿ってそれぞれ配置され、
第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルの素子非形成領域は、前記第1方向に沿って配置され、
第2基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルに設けられる複数のサブピクセルの素子形成領域は、前記第2基板の表面上において前記第1方向と直交する第2方向に沿って配置され、
第2基板上の1つの直線上に配列される複数のピクセルにおいて、全てのサブピクセルの素子非形成領域は前記第1方向に沿って配置され、同種類の光を放射するサブピクセルの素子形成領域は前記第1方向に沿って配置される、表示装置。
【請求項2】
第1基板上において各ピクセルは、第1基板の厚み方向の一方から見て、それぞれ第2基板上の対応するピクセルと重なる位置に配置され、
第1基板上の1つのピクセルにおいて、当該ピクセルを構成する複数のサブピクセルは、前記第1方向に沿って配置される、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
第2基板上には、前記素子形成領域と、前記コンタクトスペーサーが設けられる素子非形成領域とを分画する隔壁が設けられている、請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、各サブピクセルの素子形成領域をそれぞれ個別に囲むように形成されている、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、各サブピクセルの素子非形成領域をそれぞれ個別に囲むように形成されている、請求項3または4記載の表示装置。
【請求項6】
前記隔壁は、さらに、第2基板の厚み方向の一方からみて、第2方向に隣り合う各サブピクセルの素子形成領域間に設けられ、第1方向に延在する複数本の隔壁部材から構成される、請求項3または5記載の表示装置。
【請求項7】
有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の層を含んで構成され、
1または複数の層のうちの少なくとも1層は、複数のピクセルに跨って、直線状に連続して塗布形成されている、請求項5記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25972(P2013−25972A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158654(P2011−158654)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】