説明

表示装置及びその点灯システム

【課題】 暗黒始動特性に優れた表示装置及びその点灯システムを提供する。
【解決手段】 本発明の表示装置は、フロントケース1a、バックケース1bと、バックケース1b内部に配置された、ガラスバルブ31の端部に外部電極32a、32bを有する放電ランプ3と、ガラスバルブ31の近傍に配置されたLED4とを具備し、放電ランプ3の点灯中はLED4を消灯し、放電ランプ3の消灯中はLED4を点灯する。その放電ランプ3とLED4の点灯・消灯の切替は、電源スイッチ1011により行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビやパーソナルコンピューター等の表示装置及びその点灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ等の表示装置は、それ自体は発光しないため別途光源を必要とする。その光源としてはバックライトが用いられる。バックライトは、筐体内部に冷陰極放電ランプなどのランプを配置した構成となっている。
【0003】
このようなバックライトの内部は外部の光が入射しない、いわゆる暗黒空間となっており、その空間下ではランプの始動特性が良くないことが知られている。そこで、特開平1−130462号公報(以下、特許文献1)のように、ランプ近傍に発光ダイオード(以下、LED)や小型電球などの補助光源を配置して放電ランプの始動開始を促す試みがされている。
【0004】
補助光源の点灯制御に関してもいくつか提案がなされている。例えば、特開平1−294348号公報(以下、特許文献2)には、その図16に示されているように、ランプへの点灯命令と同時に補助光源を点灯させ、タイマーによりあらかじめ定められた時間経過後に補助光源を消灯する内容が記載されている。また、特開2001−313189号公報(以下、特許文献3)には、その図3に示されているように、インバータ点灯装置の出力電圧を検出して、出力電圧が所定以上の場合は補助光源を点灯させ、出力電圧が所定以下になったら補助光源を消灯する内容が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平1−130462号公報
【特許文献2】特開平1−294348号公報
【特許文献3】特開2001−313189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3は、放電ランプが点灯開始されたと同時に補助光源を点灯する方式であるため、放電ランプに初期電子が供給されるまでに時間を要する。したがって、放電ランプの放電開始にタイムラグが生じ、短時間ではあるが放電遅れが発生してしまう。
【0007】
本発明の目的は、暗黒始動特性に優れた表示装置及びその点灯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、筐体と、前記筐体内部に配置された、放電容器の端部に電極を有する放電ランプと、前記放電容器の近傍に配置された補助光源とを具備し、前記放電ランプの点灯直前に前記補助光源が点灯していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、暗黒始動特性に優れた表示装置及びその点灯システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態の表示装置について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の表示装置について説明するための図である。
【0011】
表示装置の筐体は、フロントフレーム101とバックフレーム102により構成されている。フロントフレーム101は表示装置において発光面となる開口部が形成されており、その開口部には液晶パネル103が配置されている。また、フロントフレーム101には、表示装置をオン状態又はオフ状態に切り替えるための電源スイッチ1011が配置されている。バックフレーム102は、有底開口のケースの下部にスタンドが取着された形状となっており、その有底開口のケースの内部にはバックライト104が配置される。
【0012】
バックライト104の構成について詳しく説明する。図2はバックライトについて説明するための図、図3は図2のA−A’の矢印方向の断面について説明するための図である。
【0013】
バックライト104の筐体は、例えば白色プラスチックからなるフロントケース1aとバックケース1bにより構成されている。フロントケース1aには、後述する放電ランプ3からの光を取り出すための開口部1a1が形成されている。バックケース1bは有底開口形状であり、その内壁面には、反射シートや銀蒸着などにより高反射性の反射面が形成されている。また、バックケース1bの底部には、金属製のランプホルダ2a、2bが配置されている。
【0014】
バックケース1bの内部には、細長形状の放電ランプ3が複数本、それぞれの管軸がほぼ平行になるように配置されている。本実施の形態の放電ランプ3は外部電極放電ランプであり、すなわち、内部にネオンやアルゴンなどの希ガスと水銀が封入されるとともに、内壁面に蛍光体層が形成されたガラスバルブ31の両端に外部電極32a、32bが形成された構成となっている。なお、放電ランプ3は、外部電極32a、32bを一対のランプホルダ2a、2bによって保持することにより、放電ランプ3の機械的保持と電気的接続が行われる。
【0015】
放電ランプ3のガラスバルブ31の近傍には、補助光源としてLED4が配置されている。このLED4は、表面実装型の青色発光ダイオードであり、回路基板上に抵抗等の素子を備えたLED点灯回路5(第1の点灯回路)に実装されている。ここで、「ガラスバルブ31の近傍にLED4を配置」とは、ガラスバルブ31を照射可能な位置にLED4を配置することを意味であるが、好適には外部電極32a又は32bの境界から30mm以内、最適には2mm以内のガラスバルブ31を照射するようにLED4を配置するのが望まれる。このように外部電極32a又は32b付近のガラスバルブ31部分をLED4で照射することにより、少ない光出力(例えば、ガラス照度が1lux程度)で確実に暗黒始動させることができるようになるため、消費電力を低減することができる。なお、LED4及びLED点灯回路5には、放電ランプ点灯時の高電圧によって破壊されないよう、ランプに対して十分な距離を保ったりする等の絶縁対策が実施されている。
【0016】
また、バックケース1bの内部には、例えば白色プラスチックからなるサイドカバー6a、6bが、各放電ランプ3の外部電極32a、32bに沿って配置される。このサイドカバー6a、6bには、各放電ランプ3を挿通可能な穴を有する傾斜部6a1、6b1が形成されている。傾斜部6a1、6b1は、外部電極32a、32bの境界付近に跨るように位置される。つまり、傾斜部6a1、6b1により、点灯中、非発光部となる外部電極32a、32bの大部分を開口部1a1に対して遮蔽できるため輝度ムラを抑制することができる。また、傾斜部6a1、6b1を20°〜70°の傾斜角度にすることにより、光反射効率を高め、輝度ムラを抑制することができる。
【0017】
バックケース1bの開口部には、拡散板7が配置されている。なお、拡散板7の他に、所望により拡散シート、プリズムシートなどの光学シートを目的に合わせて一枚、又は複数枚使用することができる。
【0018】
バックケース1b底部の裏側には、放電ランプ点灯回路8(第2の点灯回路)が配置され、各放電ランプ3と電器的に接続されている。放電ランプ点灯回路8は、回路基板上にトランス、コンデンサ、抵抗等の素子が組まれた一般的な回路である。なお、外部電極32a、32bに印加する電圧を低くするために両高圧の回路構成としている。
【0019】
ここで、本実施の形態の表示装置の電気的な接続について、図4の回路図を参照して説明する。
【0020】
表示装置は、例えば家庭用のAC100Vの交流電源ACPSにより電力が供給される。交流電源ACPSには、電源スイッチ1011が接続されている。電源スイッチ1011はそのオンオフ操作によりその出力側の導通状態が切り替わるようになっており、オン時に導通する側には、所望の電圧等に調整するための電源回路PSC1を介して、放電ランプ点灯回路8、さらに複数の放電ランプ3が並列接続されている。一方、電源スイッチ1011のオフ時に導通する側には、所望の電圧等に調整するための電源回路PSC2を介して、LED点灯回路5、さらにLED4が接続されている。
【0021】
次に、本実施の形態の表示装置の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、電源スイッチ1011がオフの状態では、放電ランプ点灯回路8は駆動しておらず、放電ランプ3は消灯状態である。一方、LED点灯回路5は駆動しており、LED4は点灯状態が維持されている。つまり、表示装置が待機状態であっても、LED4が照射している範囲は暗黒空間になっておらず、LED4から光を受けている放電ランプ3には初期電子がチャージし続けられている。
【0023】
電源スイッチ1011がオンに切り替わると、LED点灯回路5はオフの状態になって、LED4が消灯する。一方、放電ランプ点灯回路8はオンの状態になって、放電ランプ3が点灯する。その際、電源スイッチ1011がオフの間、LED4によって照射されていたガラスバルブ31内部はすでに初期電子の濃度が十分に高くなっているため、放電ランプ点灯回路8のオンとほぼ同時に放電ランプ3を点灯させることができる。また、電源スイッチ1011がオン状態の間、LED4は消灯状態であるため、駆動状態の表示装置の発光面上にLED4の光よる輝度ムラ等が発生することはない。
【0024】
そして、電源スイッチ1011がオフに切り替わると、放電ランプ点灯回路8がオフの状態になって放電ランプ3が消灯する代わりに、LED点灯回路5がオンの状態になってLED4が点灯する。
【0025】
このような点灯サイクルを電源スイッチ1011と連動させて行うことにより、LED4の点灯・消灯を制御するLED点灯回路5の回路をシンプルにすることができる。すなわち、電源スイッチ1011のオンオフ操作はユーザーによって行われているので、LED4の点灯・消灯もユーザーによって行われているのと同じになり、LED4を消灯するためのタイマーや検出回路を必要とせず、回路の複雑化、大型化、コストアップ等を防止できる。
【0026】
また、放電ランプ3の点灯中、LED4は消灯しているため、放電ランプ3からの熱が伝わってLED4の温度が過度に上昇し、短寿命になることを防止できる。さらに、表示装置が待機状態でもLED4は点灯しているが、LED4の消費電力量は微々たるものなので電力上昇はさほど問題とはならない。
【0027】
したがって、第1の実施の形態では、LED点灯回路5、放電ランプ点灯回路8には、交流電源ACPSからの入力を入切可能な電源スイッチ1011が電気的に接続されており、電源スイッチ1011をオンにすると、LED点灯回路5がオフの状態になりLED4が消灯するとともに、放電ランプ点灯回路8がオンの状態になり放電ランプ3が点灯し、電源スイッチ1011をオフにすると、LED点灯回路5がオンの状態になりLED4が点灯するとともに、放電ランプ点灯回路8がオフの状態になり放電ランプ3が消灯することにより、放電ランプ3の点灯前にLED4から光が照射されている放電ランプ3は暗黒状態ではなく常に初期電子がチャージされているため、瞬時に点灯可能となり、暗黒始動特性に優れた表示装置を提供できる。また、放電ランプ3の点灯中、LED4は点灯していないため、LED4の光が発光面上に現れて輝度ムラを発生させることを防止できるとともに、点灯中のLED4が放電ランプ3の熱によって温度上昇して、短寿命になることを防止することができる。
【0028】
また、LED4のオンオフ操作は、ユーザーの表示装置の電源スイッチ1011のオンオフ操作によって行われるので、LED点灯回路5の複雑化、大型化、コストアップ等を防止できる。さらに、LED4を放電ランプ3の電極32a近傍のガラスバルブ31に配置することで少ない光出力でも確実な暗黒始動が可能となり、LED4の消費電力を低減でき、従来とあまり変わらない消費電力で本発明を実現できる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態の表示装置について説明するための断面図である。この第2の実施の形態の各部について、図3の第1の実施の形態の表示装置の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0030】
この実施の形態では、外部電極32a、32b及びガラスバルブ31の一部を覆うように傾斜部6a1、6b1を位置し、外部電極32a側のガラスバルブ31付近にLED4を配置している。つまり、LED4はサイドカバー6a内に配置された状態となっている。したがって、サイドカバー6a内の広範囲をLED4の光で満たすことができ、電源スイッチ1011のオフ時、多くの放電ランプ3に初期電子を供給でき、さらに安定した暗黒始動特性を得ることができる。なお、LED4の光はサイドカバー6a内にとどまり表示装置の発光面には現れないため、LED4を常時点灯させる形態を採用することもできる。
【0031】
したがって、第1の実施の形態では、外部電極32a、32b及びガラスバルブ31の一部を覆うように傾斜部6a1、6b1を位置させ、そのガラスバルブ31付近にLED4を配置することにより、第1の実施の形態よりも優れた暗黒始動特性を実現できる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0033】
本実施の形態では放電ランプ3として、外部電極放電ランプを使用しているが、冷陰極放電ランプ、熱陰極放電ランプなどでもよく、種類や形状、大きさ等に制限はない。
【0034】
LED4は、青色の表面実装型のLEDに限られない。すなわち、砲弾型のLEDでもよく、発光色は白色、緑色などでもよい。また、UV−LEDを用いてもよい。さらに、所望により、LED4を複数配置してもよい。
【0035】
LED4の配置に関しては、放電ランプ3の外部電極32a、32bの一方を高圧、他方を低圧(例えば、アース)で点灯する場合は、高圧側にLED4を配置する必要がある。また、第2の実施の形態において、LED4をサイドカバー6a、6bの内側、例えば傾斜部6a1、6b1に取り付けてもよい。また、バックケース1bにLED入射用の穴を形成し、その穴から放電ランプ3に光を照射させても良い。
【0036】
また、LED4は必ずしもLED点灯回路5に実装されている必要はない。また、LED点灯回路5は基板上に形成されているものでなくてもよく、LED4を結ぶハーネス途中に抵抗を直列接続したようなものでもよい。さらに、一つの基板上にLED点灯回路5と放電ランプ点灯回路8を形成したものであっても良い。
【0037】
切替手段としては、表示装置に取着されている電源スイッチ1011に限られず、例えば、液晶テレビのオンオフを操作するリモートコントローラの電源スイッチ等であってもよく、要はユーザーによって電源のオンオフ操作がされていると同視できる手段もこれに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態の表示装置について説明するための図。
【図2】バックライトについて説明するための図。
【図3】図2のA−A’の矢印方向の断面について説明するための図。
【図4】本実施の形態の表示装置の電気的な接続について説明するための回路図。
【図5】本実施の形態の表示装置の動作について説明するためのフローチャート図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の表示装置について説明するための断面図。
【符号の説明】
【0039】
101 フロントフレーム
1011 電源スイッチ
102 バックフレーム
103 液晶パネル
104 バックライト
1a フロントケース
1b バックケース
3 放電ランプ
31 ガラスバルブ
32a、32b 外部電極
4 LED
5 LED点灯回路
6a、6b サイドカバー
8 放電ランプ点灯回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内部に配置された、放電容器の端部に電極を有する放電ランプと、前記放電容器の近傍に配置された補助光源とを具備し、
前記放電ランプの点灯直前に前記補助光源が点灯していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記放電ランプの点灯中は前記補助光源を消灯し、前記放電ランプの消灯中は前記補助光源を点灯することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
筐体と、前記筐体内部に配置された、放電容器の端部に電極を有する放電ランプと、前記放電容器の近傍に配置された補助光源と、前記補助光源に電気的に接続された第1の点灯回路と、前記放電ランプに電気的に接続された第2の点灯回路とを具備し、
前記第1、第2の点灯回路には、主電源からの入力を入切可能な切替手段が電気的に接続されており、
前記切替手段をオンにすると、前記第1の点灯回路がオフの状態になり前記補助光源が消灯するとともに、前記第2の点灯回路がオンの状態になり前記放電ランプが点灯し、
前記切替手段をオフにすると、前記第1の点灯回路がオンの状態になり前記補助光源が点灯するとともに、前記第2の点灯回路がオフの状態になり前記放電ランプが消灯することを特徴とする表示装置の点灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−21151(P2009−21151A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183985(P2007−183985)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】