説明

表示装置及び画像形成装置

【課題】画面を次の操作を阻害しない形で表示することによって、次の操作を容易に行うことが出来る表示装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置が、表示部と、操作部と、前記操作部が所定画面の画面表示指示を受け付けると、当該所定画面の表示サイズ及び表示候補位置に基づいて前記所定画面が既に表示されている画面における画面部品の表示を阻害する度合いを示す阻害量を算出し、当該阻害量が所定のしきい値以下の場合に、その表示候補位置及び表示サイズに基づいて前記表示部に前記所定画面を表示させる表示制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、複写機等の画像形成装置には、ユーザの操作を補助する為に、タッチパネルなどのディスプレイ上に、操作の方法を説明する為のヘルプ画面を表示する機能が搭載されたものがある。
例えば、下記特許文献1には、ポインティングデバイス及びキーボードのどちらを使用してもツールチップ形式のヘルプ画面を表示することが出来る説明文表示方法が開示されており、下記特許文献2には、機器内のトラブル処理等の操作ガイダンス画面の表示時にそのガイダンス画面の内容をオペレータの操作指示に応じて異ならせ、処理操作を簡単に行えるようにする表示入力装置が開示されている。また、下記特許文献3には、画像形成装置において、操作画面のボタンが押下されるとそのボタンに該当する機能についての説明を表示する画像形成装置及び操作表示の表示方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−338126号公報
【特許文献2】特開平11−191822号公報
【特許文献3】特開2006−15594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、ヘルプ画面がディスプレイの固定的な位置に表示される為に、次に操作を望むボタン等の画面部品の上にヘルプ画面が表示されることがあり、そのような場合に、ユーザはボタンを操作する為に、ヘルプ画面を一度閉じなければならなった。したがって、上記従来技術では、ヘルプ画面を表示した場合に、ヘルプ画面の内容を確認した後にすぐ次の操作を行うことが出来ない場合があり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情を鑑みたものであり、画面を次の操作を阻害しない形で表示することによって、次の操作を容易に行うことが出来る表示装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、表示装置に係る第1の解決手段として、表示部と、操作部と、前記操作部が所定画面の画面表示指示を受け付けると、当該所定画面の表示サイズ及び表示候補位置に基づいて前記所定画面が既に表示されている画面における画面部品の表示を阻害する度合いを示す阻害量を算出し、当該阻害量が所定のしきい値以下の場合に、その表示候補位置及び表示サイズに基づいて前記表示部に前記所定画面を表示させる表示制御手段とを備えるという手段を採用する。
【0006】
本発明では、表示装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、画面部品に関する履歴情報を記憶する記憶部と、前記履歴情報に基づいて前記画面部品の重要度を算出する重要度算出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記所定画面の表示候補位置、表示サイズ及び前記画面部品の重要度に基づいて前記阻害量を算出するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、表示装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記表示サイズは変動可能であるという手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、上記第1〜3のいずれかの解決手段を採用する表示装置を具備するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置において、操作部が所定画面の画面表示指示を受け付けると、当該所定画面の表示サイズ及び表示候補位置に基づいて前記所定画面が既に表示されている画面における画面部品の表示を阻害する度合いを示す阻害量を算出し、当該阻害量が所定のしきい値以下の場合に、その表示候補位置及び表示サイズに基づいて表示部に所定画面を表示させることによって、所定画面が既に表示されている画面の画面部品の表示を阻害することを避けることが出来る為、ユーザは所定画面を表示した後でも次の操作を容易に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の画像形成装置の一つである複写機能及び印刷機能を併せ持つ複合機に関する。
図1は、本実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。複合機Aは、画像読取部1、用紙搬送部2、画像形成部3、操作表示部4、記憶部5及び制御部6を備えている。なお、操作表示部4は、本実施形態における表示手段と操作手段との両方の機能を有するものである。
【0011】
画像読取部1は、図示しない原稿台にセットされた原稿に対して走査状に照明光を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサによって受光してアナログ電圧信号に変換した後、当該アナログ電圧信号をデジタル変換することにより、原稿の画像データを生成するものである。なお、画像読取部1は、画像データを制御部6に出力し、一方、制御部6は、原稿の画像データを画像形成部3に出力する。
【0012】
用紙搬送部2は、図示しない用紙トレイに収納されている用紙を画像形成部3に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
画像形成部3は、制御部6の制御の下、画像読取部1が制御部6に出力した画像データに基づいて、用紙搬送部2から搬送される用紙にトナーを転写し、当該トナーの定着処理を行う。
操作表示部4は、タッチパネル4a、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、やその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示を制御部6に出力すると共に、制御部6の制御の下、タッチパネル4aに種々の画面を表示する。
【0013】
記憶部5は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成されている。ROMは、制御部6が実行する所定の制御プログラムやその他各種データを記憶し、RAMは、制御部6が制御プログラムを実行するときのワークエリアである。なお、ROMには、ユーザによって設定されたヘルプ画面表示設定の設定値が記憶されている。このヘルプ画面表示設定の設定値がONの場合に、タッチパネル4aはヘルプ画面の表示を行い、OFFの場合には、タッチパネル4aはヘルプ画面の表示を行わない。
【0014】
また、ROMは、画面部品の各種情報が登録された画面部品情報テーブルや各画面の幅情報及び高さ情報も記憶する。図2を参照して上記画面部品情報テーブルについて説明する。図2は、画面部品情報テーブルを示す模式図である。画面部品情報テーブルは、各画面部品に割り振られた画面部品IDごとに、画面部品種類、画面部品が属する画面のIDを示すを示す所属画面ID、表示領域、画面部品のユーザによるアクセス頻度、画面部品のユーザによるアクセスの順序、画面部品のユーザによるアクセス時刻が登録されている。なお画面部品とは、各画面を構成するボタン及びテキストフィールド等の構成要素のことである。
【0015】
制御部6は、記憶部5に記憶されている制御プログラムや、操作表示部4が受け付ける操作指示等に基づいて複合機Aの全体動作を制御する。また、この制御部6は、その機能要素として表示制御処理部6a、表示開始位置範囲算出処理部6b、表示候補領域算出処理部6c、重要度算出処理部6d、及び阻害量算出処理部6eを有している。
【0016】
表示制御処理部6aは、タッチパネル4aが受け付ける所定画面の画面表示指示に基づいて阻害量算出処理部6eが算出した阻害量が所定のしきい値以下の場合に、所定画面の表示候補位置及び表示サイズに基づいてタッチパネル4aに所定画面を表示させる処理(表示制御処理)を実行するものである。なお、阻害量とは、画面表示指示のあった所定画面が、既に表示されている他の画面の表示を阻害する度合いを数値化したものである。
【0017】
表示開始位置範囲算出処理部6bは、画面表示指示のあった所定画面の表示サイズ及びこの所定画面を表示することが可能なタッチパネル4a上の領域から、所定画面の表示開始位置の範囲を算出する処理(表示開始位置範囲算出処理)を実行するものである。
表示候補領域算出処理部6cは、表示開始位置範囲算出処理部6bによって算出された所定画面の表示開始位置の範囲に基づいて表示候補位置を算出すると共に表示候補位置及び表示サイズに基づいて表示候補領域を表示候補領域テーブルに登録する処理(表示候補領域算出処理)を実行するものである。
【0018】
重要度算出処理部6dは、記憶部5に記憶されている各画面の画面部品のアクセス頻度等に基づき、タッチパネル4a上の画面部品の重要度を算出し、算出した重要度を重要度テーブルに登録する処理(重要度算出処理)を実行するものである。
阻害量算出処理部6eは、表示候補領域算出処理部6cによって算出された表示候補領域及び重要度算出処理部6dによって算出された重要度に基づいて、阻害量を算出する処理(阻害量算出処理)を実行するものである。
この、表示制御処理部6a、表示開始位置範囲算出処理部6b、表示候補領域算出処理部6c、重要度算出処理部6d及び阻害量算出処理部6eの動作の詳細については後述する。
【0019】
次に、上記構成の複合機Aの動作について図3、図4、図5、図6及び図7に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
本複合機Aは、ユーザがタッチパネル4aに表示されるヘルプキーを操作することにより、印刷操作における所定機能を説明する為のヘルプ画面をタッチパネル4aに表示する。
【0020】
まず、ユーザは複合機Aの所定機能に関するヘルプ画面Pを表示する為に、タッチパネル4aに表示されたヘルプキーを押下する。
表示制御処理部6aは、ヘルプキー押下によってタッチパネル4aがヘルプ画面Pの画面表示指示を受け付けたか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわちヘルプ画面Pの画面表示指示を受け付けていない場合には、ヘルプ画面Pの画面表示指示を受け付けるまで待機し、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわちヘルプ画面Pの画面表示指示を受け付けた場合には、ヘルプ画面表示設定がONか否か判定する(ステップS2)。
【0021】
表示制御処理部6aは、ステップS2において『NO』と判定した場合には、すなわちヘルプ画面表示設定がOFFである場合は、ヘルプ画面Pを表示せず、ステップS2において『YES』と判定した場合には、すなわちヘルプ画面表示設定がONである場合には、表示開始位置範囲算出処理部6bが表示開始位置範囲算出処理を実行する(ステップS3)。
【0022】
以下から、図4を参照して、上記ステップS3において実行される表示開始位置範囲算出処理の詳細を説明する。図4は、表示開始位置範囲算出処理を示すフローチャートである。
表示開始位置範囲算出処理部6bは、ヘルプ画面Pの幅情報(ヘルプ画面幅W1)及び高さ情報(ヘルプ画面高さH1)を記憶部5から取得し(ステップS11)、タッチパネル4aの表示面上の幅情報(タッチパネル幅W2)及び高さ情報(タッチパネル高さH2)を取得する(ステップS12)。表示開始位置範囲算出処理部6bは、上記ヘルプ画面幅W1、ヘルプ画面高さH1、タッチパネル幅W2及びタッチパネル高さH2に基づいて、タッチパネル4aの表示面においてヘルプ画面Pの表示を許容される表示開始位置の範囲を示す表示開始位置範囲R1を算出する(ステップS13)。
【0023】
上記表示開始位置範囲R1について、図8を参照して説明する。図8は、タッチパネル4aにおけるヘルプ画面Pの表示開始位置範囲R1を示す模式図である。
図8の実線矢印はタッチパネル4aのX軸方向を示し、点線矢印はY軸方向を示し、点C1はタッチパネル4a上の座標(0,0)を示す。表示開始位置範囲R1のX軸方向の範囲は、X軸方向座標『0』からタッチパネル幅W2とヘルプ画面幅W1の差、すなわちX軸方向座標『0』〜『W2−W1』になる。また、表示開始位置範囲R1のY軸方向の範囲は、Y軸方向座標『0』からタッチパネル高さH2とヘルプ画面高さH1の差、すなわちY軸方向座標『0』〜『H2−H1』が範囲となる。
【0024】
表示開始位置範囲算出処理部6bが、ステップS3における表示開始位置範囲算出処理を完了すると、表示候補領域算出処理部6cが、表示候補領域算出処理を実行する(ステップS4)。以下から、図5のフローチャートを参照して、上記ステップS4の表示候補領域算出処理の詳細を説明する。
【0025】
まず、表示候補領域算出処理部6cは、表示開始位置範囲R1のY軸方向の下限である『0』を表示候補位置Y座標Y1に初期値として設定し(ステップS21)、表示候補位置Y座標Y1の値が表示開始位置範囲R1のY軸方向の上限『H2−H1』を超えたか否か判定し(ステップS22)、ステップS22において『NO』と判定した場合には、すなわち表示候補位置Y座標Y1が『H2−H1』を超えていないと判定した場合には、表示候補位置X座標X1に表示開始位置範囲R1のX軸方向の下限『0』を初期値として設定し(ステップS23)、表示候補位置X座標X1が表示開始位置範囲R1のX軸方向の上限『W2−W1』を超えたか否か判定する(ステップS24)。
【0026】
表示候補領域算出処理部6cは、ステップS24において『NO』と判定した場合には、すなわち表示候補位置X座標X1が『W2−W1』を超えていないと判定した場合は、ヘルプ画面Pの表示候補位置X座標X1、表示候補位置Y座標Y1、ヘルプ画面幅W1及びヘルプ画面高さH1を表示候補領域として表示候補領域テーブルに登録し(ステップS25)、新たな表示候補位置を算出する為に表示候補X座標X1に10を加算し(ステップS26)、ステップ24に移行する。
【0027】
表示候補領域算出処理部6cは、ステップ24において『YES』と判定した場合には、すなわち表示候補位置X座標X1が『W2−W1』を超えていると判定した場合には、表示候補位置Y座標Y1に10を加算し(ステップS27)、ステップS22を実行する。
表示候補領域算出処理部6cは、ステップS22おいて『YES』と判定した場合には、すなわち表示候補Y座標Y1が『H2−H1』を超えたと判定した場合には、表示候補領域算出処理を終了する。
【0028】
図9の表示候補領域テーブルを示す模式図を参照して、表示候補領域テーブルの詳細について説明する。
表示候補領域テーブルには、表示候補領域IDごとに表示候補領域を示す表示候補X軸座標X1、表示候補X軸座標Y1、ヘルプ画面幅W1及びヘルプ画面高さH1が登録されている。表示候補領域IDは、ステップS25において表示候補領域が表示候補領域テーブルに登録される際に、1から順番に割り当てられる識別番号である。
【0029】
表示候補領域算出処理部6cが、ステップS4における表示候補領域算出処理を完了すると、重要度算出処理部6dが、重要度算出処理を実行する(ステップS5)。以下から、図6のフローチャートを参照して、上記ステップS5の重要度算出処理の詳細を説明する。
【0030】
まず、重要度算出処理部6dは、記憶部5に記憶されている画面部品情報テーブルに基づいて、ヘルプ画面Pによって表示が阻害される既に表示済の画面Vの全ての画面部品のアクセス順序の重要度(アクセス順序重要度)を算出したか否か判定し(ステップS31)、ステップS31において『NO』と判定した場合には、すなわち 全ての画面部品のアクセス順序重要度の算出が完了していない場合には、画面部品情報テーブルのアクセス順序に基づいて画面部品のアクセス順序重要度を算出し(ステップS32)、アクセス順序重要度をアクセス順序重要度テーブルに登録し(ステップS33)、ステップS31に移行する。画面部品情報テーブルのアクセス順序は、アクセス時刻に基づいて、最も最近にアクセスされた画面部品に1から順番に数値が割り振られ、アクセスされていない画面部品には0xFFFFが割り振られる。
【0031】
上記ステップS32におけるアクセス順序重要度の算出方法について図2を参照して詳細を説明する。各画面部品のアクセス順序重要度は、画面表示情報テーブルのアクセス順序に基づき、アクセス順序が1の画面部品の場合は、重要度に100が割り当てられる。また、アクセス順序が2〜5の画面部品の場合は重要度に50、アクセス順序が6〜20の画面部品の場合は重要度に30、アクセス順序が21以上の場合は重要度に0が割り当てられる。
【0032】
図10は各種重要度テーブルを示す模式図である。図10の(a)は、アクセス順序重要度テーブルを示す。図10の(a)を参照して、アクセス順序重要度テーブルついて詳細を説明する。アクセス順序重要テーブルは、タッチパネル4a上の表示面における画面部品の表示領域を示す部分領域ごとに、アクセス順序重要度が登録されている。アクセス順序重要度テーブルの部分領域には、上記ステップS32においてアクセス順序重要度が算出された画面部品の表示領域を示す開始X座標、開始Y座標、幅及び高さが登録されている。
【0033】
重要度算出処理部6dは、ステップS31において『YES』と判定した場合には、すなわち全ての画面部品のアクセス順序重要度の算出が完了した場合に、次にアクセス頻度の重要度(アクセス頻度重要度)の算出を行う為、画面部品情報テーブルに基づいて画面Vの全ての画面部品のアクセス頻度重要度の算出が完了したか否か判定し(ステップS34)、ステップS34において『NO』と判定した場合には、すなわち全ての画面部品のアクセス頻度重要度の算出が完了していない場合には、画面部品情報テーブルのアクセス頻度に基づいてアクセス頻度重要度を算出し(ステップS35)、アクセス頻度重要度をアクセス頻度重要度テーブルに登録し(ステップS36)、ステップS34に移行する。なお、画面部品情報テーブルのアクセス頻度は、所定の時間内のアクセス回数に基づいて0〜100の数値が割り当てられ、数値が大きいほど画面部品のアクセスの頻度が高いことを示す。ステップS35におけるアクセス頻度重要度は、図2に示す画面表示情報テーブルのアクセス頻度の数値がそのまま割り当てられる。
【0034】
図10の(b)は、アクセス頻度重要度テーブルを示す。図10の(b)を参照して、アクセス頻度重要度テーブルついて詳細を説明する。アクセス頻度重要度テーブルは、アクセス順序重要度テーブルと同様に、画面部品の表示領域を示す部分領域ごとに、アクセス頻度重要度が登録されている。アクセス頻度重要度テーブルの部分領域には、上記ステップS35においてアクセス頻度重要度が算出された画面部品の表示領域を示す開始X座標、開始Y座標、幅及び高さが登録されている。
【0035】
重要度算出処理部6dが、ステップS5における重要度算出処理を完了すると、阻害量算出処理部6eが阻害量算出処理を実行する(ステップS6)。
以下から、図7のフローチャートを参照して、ステップS6の阻害量算出処理の詳細を説明する。
まず、阻害量算出処理部6eは、表示候補位置テーブルに登録されているヘルプ画面Pの表示候補領域のいずれかを選択し(ステップS41)、この表示候補領域がアクセス順序重要度テーブルに登録されている画面Vの全ての部分領域に対する阻害量(アクセス順序個別阻害量I1)の算出が完了したか否か判定し(ステップS42)、ステップS42において『NO』と判定した場合には、すなわちアクセス順序個別阻害量I1の算出が完了していない場合には、アクセス順序重要度テーブルに登録されているいずれかの部分領域を選択し、この部分領域が選択した表示候補領域と重なる領域の面積(重畳領域O1)を算出し(ステップS43)、選択した部分領域における重量領域O1の割合を算出し、その割合に対して部分領域のアクセス順序重要度を乗算し、アクセス順序個別阻害量I1を算出する(ステップS44)。
【0036】
すなわち、アクセス順序個別阻害量I1は下記の式により求められる。
(重畳領域O1÷部分領域の面積)×部分領域のアクセス順序重要度
阻害量算出処理部6eは、上述した式によって算出したアクセス順序個別阻害量I1をアクセス順序阻害量J1に加算し(ステップS45)、その後にステップS42に移行する。上記ステップS45においてアクセス順序阻害量J1にアクセス順序個別阻害量I1を加算することによって、画面Vの全ての画面部品に対するアクセス順序個別阻害量I1の合計値、すなわち画面V全体におけるアクセス順序に基づく阻害量を算出する。
【0037】
阻害量算出処理部6eは、ステップS42において『YES』と判定した場合には、すなわちアクセス順序重要度テーブルに登録されている画面Vの全ての部分領域に対するアクセス個別阻害量I1の算出が完了したと判定した場合には、次にアクセス頻度に対する阻害量を算出する為、アクセス頻度重要度テーブルに登録されている画面Vの全ての部分領域に対する阻害量(アクセス頻度個別阻害量I2)の算出が完了したか否か判定し(ステップS46)、テップS46において『NO』と判定した場合には、すなわちアクセス頻度個別阻害量I2の算出が完了していない場合には、アクセス頻度重要度テーブルに登録されているいずれかの部分領域を選択し、この部分領域が選択した表示候補領域と重なる領域の面積(重畳領域O2)を算出し(ステップS47)、選択した部分領域における重量領域O2の割合を算出し、その割合に対して部分領域のアクセス頻度重要度を乗算し、アクセス頻度個別阻害量I1を算出する(ステップS48)。
【0038】
すなわち、アクセス頻度個別阻害量I2は下記の式により求めれれる。
(重畳領域O2÷部分領域の面積)×部分領域のアクセス頻度重要度
阻害量算出処理部6eは、上述した式によって算出したアクセス頻度個別阻害量I2をアクセス頻度阻害量J2に加算し(ステップS49)、その後にステップS46に移行する。上記ステップS49においてアクセス頻度阻害量J2にアクセス頻度個別阻害量I2を加算することによって、画面Vの全ての画面部品に対するアクセス順序個別阻害量I1の合計値、すなわち画面V全体におけるアクセス頻度に基づく阻害量を算出する。
【0039】
阻害量算出処理部6eは、上記ステップS46において『YES』と判定した場合には、すなわちアクセス頻度個別阻害量I2の算出が完了している場合には、アクセス順序阻害量J1及びアクセス頻度阻害量J2それぞれに重要性比率を乗算し、その乗算によって求めれた値を加算することにより阻害量の合計値(全体阻害量)を算出する(ステップS50)。各阻害量に乗算される重要性比率は、全体阻害量における各阻害量の重要性によって決まり、重要性の高さに比例して数値は大きくなる。
例えば、全体阻害量は下記の式によって求められる。
(アクセス順序阻害量J1×2/3)+(アクセス頻度阻害量J2×1/3)
【0040】
阻害量算出処理部6eは、ステップS6において阻害量算出処理を完了すると、表示制御処理部6aは、全体阻害量が所定のしきい値以下であるか判定し(ステップS7)、ステップS7において『NO』と判定した場合には、すなわち全体阻害量が所定のしきい値以下でない場合には、阻害量算出処理部6eはステップS6において再び阻害量算出処理を実行し、上記ステップS41において次の表示候補領域を選択して、全体阻害量を算出する。表示制御処理部6aは、ステップ7において『YES』と判定した場合には、すなわち阻害量量が所定のしきい値以下である場合には、タッチパネル4aに全体阻害量の算出に用いた表示候補領域へヘルプ画面Pを表示させる(ステップS8)。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る複合機Aによれば、ユーザによって画面表示指示のあるヘルプ画面Pの表示候補領域を洗い出し、ヘルプ画面Pによって表示が阻害される画面Vの画面部品のアクセス順序及びアクセス頻度によってアクセス順序重要度及びアクセス頻度重要度を算出し、この表示候補領域、アクセス順序重要度及びアクセス頻度重要度に基づいて全体阻害量を算出し、この全体阻害量が所定のしきい値以下の場合に全体阻害量の算出に用いられた表示候補領域にヘルプ画面Pを表示する為、ヘルプ画面Pを表示した後の次に操作をする可能性の高い画面部品、すなわちアクセス順序重要度またはアクセス頻度重要度の高い画面部品の表示を阻害しない形でヘルプ画面Pを表示することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、ヘルプ画面Pの表示サイズを固定した値として表示候補領域を算出し、その表示候補領域に基づいて全体阻害量を算出したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ユーザによる画面表示指示のあったヘルプ画面の幅及び高さが変動可能として、表示所定領域算出処理において表示候補位置の算出と共にヘルプ画面の幅及び高さをそれぞれの範囲に基づいて変動させた表示候補サイズを算出し、この表示候補位置と表示候補サイズの組み合わせに応じた表示候補領域を表示候補領域テーブルに登録するようにしてもよい。表示開始位置だけでなく表示サイズも制御することによって、より緻密に画面部品を阻害しない形でヘルプ画面の表示することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aの画面部品情報テーブルを示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機Aの表示制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合機Aの表示開始位置範囲算出処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る複合機Aの表示候補領域算出処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る複合機Aの重要度算出処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る複合機Aの阻害量算出処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る複合機Aのタッチパネル4aにおけるヘルプ画面Pの表示開始位置範囲R1を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る複合機Aの表示候補領域テーブルを示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る複合機Aの重要度テーブルを示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
A…複合機、1…画像読取部、2…用紙搬送部、3…画像形成部、4…操作表示部、4a…タッチパネル、5…記憶部、6…制御部、6a…表示制御処理部、6b…表示開始位置範囲算出処理部、6c…表示候補領域算出処理部、6d…重要度算出処理部、6e…阻害量算出処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
操作部と、
前記操作部が所定画面の画面表示指示を受け付けると、当該所定画面の表示サイズ及び表示候補位置に基づいて前記所定画面が既に表示されている画面における画面部品の表示を阻害する度合いを示す阻害量を算出し、当該阻害量が所定のしきい値以下の場合に、その表示候補位置及び表示サイズに基づいて前記表示部に前記所定画面を表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画面部品に関する履歴情報を記憶する記憶部と、
前記履歴情報に基づいて前記画面部品の重要度を算出する重要度算出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記所定画面の表示候補位置、表示サイズ及び前記画面部品の重要度に基づいて前記阻害量を算出することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示サイズは変動可能であることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置を具備することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−237708(P2009−237708A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80535(P2008−80535)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】