説明

表示装置及び画像表示方法

【課題】縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための表示画面をそのまま利用して、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示する場合であっても、ティアリングを生じさせることなく画像を表示する。
【解決手段】(2a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン総数Rの1/2であるR/2行まで終了すると、次々画像データPCをRAM5の書き込み列ライン1〜R/2行までの記憶領域に書き込む。同様にして、(3a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン総数R行まで終了すると、次々画像データPCをRAM5の書き込み列ラインR/2+1〜R行までの書き込みを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上に画像を表示する表示装置及び画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶表示装置としては、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を専ら表示するための横長表示画面を有するものと、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を専ら表示するための縦長表示画面を有するもの(例えば下記特許文献1参照)とが製造されている。
【0003】
図5(a)は、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための縦長表示画面を有する液晶表示装置の一例を示す図である。この液晶表装置50は、縦長の表示画面51を有する。そして、通常の使用形態としては縦長アスペクト比を有する画像P1を表示画面51に表示させる。このとき、図5(b)に示すように、次に表示させるべき画像の画像データである次画像データP2は、水平方向の1ラインずつ(1行ずつ)であって、順次垂直方向にてRAM52に書き込まれる。また、ゲートスキャンも同様に最上端部から水平方向の1ラインずつであって、順次垂直方向に行われる。
【0004】
したがって、図5(c)に示すように、RAM内において、ゲートスキャンよりも先に残りのデータを書き換えれば、ゲートスキャンに伴って読み出される1ラインのデータは、全て同一画像データの成分であることから、ティアリングが発生することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−171830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を専ら表示するための液晶表装置50をそのまま利用して、図6(a)に示す横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像P3を表示する装置に用いることが想定される。この場合、図6(b)に示すように、RAM52への次画像データP4の書き込みは、右端部から垂直方向の1ラインずつ(1列ずつ)であって、順次左方向に書き込まれることになる。しかし、ゲートスキャンは、図5の場合と同様に水平方向の1ラインずつであって、順次垂直方向に行われる(図5(b)(c))。その結果、図6(c)に示すように、斜め線からなるティアリングTが発生する。
【0007】
すなわち、ゲートスキャンとRAMへの書き出しを同時にした場合について説明すると、1ラインの画像データの読み出し時は、図7(a)に示すように、1ライン中に前の画像データ成分DO1と次の画像データ成分DN1とが混在する。2ラインの画像データの読み出し時は、図7(b)に示すように、1ライン中に前の画像データ成分DO2と次の画像データの成分DN2とが混在し、3ラインの画像データの読み出し時は、図7(c)に示すように、1ライン中に前の画像データの成分DO3と次の画像データの成分DN3とが混在し、4ラインの画像データの読み出し時は、図7(d)に示すように、1ライン中に前の画像データの成分DO4と次の画像データの成分DN4とが混在する。
【0008】
このため、表示画面51において、前の画像データの成分DO1,DO2・・・と、後の画像データの成分DN1、DN2・・・との境界線上に斜状の線分からなる斜め線ティアリングTが生じてしまう。
【0009】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、所定方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための表示画面をそのまま利用して、他の方向に長尺なアスペクト比を有する画像を表示する場合であっても、ティアリングを生じさせることない表示装置及び画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る表示装置にあっては、請求項1記載の発明に係る表示装置にあっては、所定方向に長尺なアスペクト比を有する表示画面部と、この表示画面部に対応する記憶領域を有し、画像を表す画像データを記憶する記憶部と、この記憶部に書き込まれた画像データを1行ずつ前記表示画面部に転送する転送部と、この転送部により転送された画像データに基づき、前記表示画面部を表示駆動する駆動部と、前記記憶部の記憶領域を複数に分割し、分割された記憶領域に記憶されていた画像データの前記転送部による転送が終了する毎に、次に前記表示画面部に表示すべき画像を表す次画像データを、当該記憶領域に書き込む書込手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の発明に係る表示装置にあっては、前記書込手段は、前記記憶部の記憶領域を二分割することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3記載の発明に係る表示装置にあっては、前記書込手段は、前記転送部により前記画像データが1行ずつ前記表示画面部に転送される毎に、前記分割された記憶領域に一列ずつ次画像データを書き込むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4記載の発明に係る表示装置にあっては、前記書込手段は、前記次画像データを、当該記憶領域に最大行数で書き込むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5記載の発明に係る表示装置にあっては、前記所定の方向とは縦方向であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6記載の発明に係る画像表示方法にあっては、所定方向に長尺なアスペクト比を有する表示画面部と、この表示画面部に対応する記憶領域を有し、画像を表す画像データを記憶する記憶部とを備える表示装置における画像表示方法であって、前記記憶部に書き込まれた画像データを1行ずつ前記表示画面部に転送し、この転送された画像データに基づき、前記表示画面部を表示駆動し、前記記憶部の記憶領域を複数に分割し、分割された記憶領域に記憶されていた画像データの前記転送部による転送が終了する毎に、次に前記表示画面部に表示すべき画像を表す次画像データを、当該記憶領域に書き込む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための表示画面をそのまま利用して、他の方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示する場合であっても、ティアリングを生じさせることなく画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる液晶表示装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図2】TFT−LCDの液晶パネルの基本構成を示す回路図である。
【図3】TG回路の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の動作を示す遷移図である。
【図5】縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための縦長表示画面を有する液晶表示装置及びその表示例を示す図である。
【図6】縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を専ら表示するための液晶表装置をそのまま利用して、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示した場合を示す図である。
【図7】ティアリング発生状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施の形態における液晶表示装置1の回路構成の一例を示す図である。液晶表示装置1は、液晶表示画面部2、ゲートドライバ3、ソースドライバ4、RAM5、データI/O6、タイミング発生回路(以下、TG回路7という)、及び制御I/O8を具備する。
【0019】
液晶表示画面部2は、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を専ら表示するため、縦方向に長尺なアスペクト比を有する。また、液晶表示画面部2は、ゲートドライバ3及びソースドライバ4から供給される信号に応答して画像を表示するものであって、本実施の形態においては、アクティブマトリックス駆動をするTFT−LCD(薄膜トランジスタタイプの液晶パネル)を用いる。TFT−LCDは、薄膜トランジスタ(TFT)と、液晶画素とをガラス基板上にアレイ状に配列したパネルである。
【0020】
すなわち、液晶表示画面部2は、対向するガラス基板と、カラーフィルタと、バックライトと、を主に具備し、その一方のガラス基板上の水平方向に走査線(ゲート線)が、垂直方向にデータ線が、それぞれ配列され、ゲート線とデータ線の交点に該当する位置に個々の画素電極が配置され、他方のガラス基板に共通電極とカラーフィルタが形成されている。ガラス基板間には液晶が充填され、ゲート線・データ線から供給される信号(電圧)に応じて画素電極と共通電極間の液晶の配列を変化させ、バックライトから入射される光の透過量を制御する。また、他方のガラス基板には、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルターが配置され、各画素を透過する光量に応じた色の濃淡を示し、その組み合わせによって、様々な色合いの表示を実現する。
【0021】
データI/O6は、外部から入力される信号をRAM5に出力するものであり、また、制御I/O8は、外部から入力される表示信号や制御信号をTG回路7に出力したり、TG回路7から出力される制御信号を外部に出力したりする。
【0022】
図2は、液晶表示画面2すなわちTFT−LCDの基本構成を示す回路図である。ゲート線10とデータ線11の交点に該当する位置に、TFT12と、TFTのドレイン電極Dに接続された画素電極と、共通電極13に挟まれた液晶からなる画素容量14、及び絶縁膜を介して共通電極13に接続された補助容量電極からなる補助容量15が配置され、ゲート線10はTFT12のゲート電極Gに接続され、データ線11はTFT12のソース電極Sに接続される。ゲート線10に順次パルス電圧(走査信号)を印加すると、これに接続されるTFT12のゲート電極Gに電圧がかかり、TFT12のソース電極S・ドレイン電極D間にチャネルが形成される。同時に、データ線11から信号電圧が印加されると、TFT12のソース・ドレイン間に電流が流れ、画素容量14及び補助容量15に電荷が蓄積される。1ラインの走査が終了し、TFT12のゲートにかかる電圧が中断されると、TFT12がオフ状態となり、ソース・ドレイン間の電流の流れが止まり、画素容量14及び補助容量15に電荷が保持される。画素電極と共通電極に挟まれた液晶には、画素容量14に充電された電荷により電圧が印加されて配列を変化させることとなる。このように、TFT−LCDでは、TFTがスイッチング素子となって、画素にかかる電圧を制御する。
【0023】
ゲートドライバ3は、液晶表示画面部2の個々のゲート線10に対して順次走査信号を印加する。具体的には、シフトレジスタを有し、TG回路7から指示されるタイミングでゲート線1本毎に走査信号を印加し、全てのゲート線10に順に走査信号を印加する。
【0024】
ソースドライバ4は、液晶表示画面部2の個々のデータ線11に対して、信号電圧を供給する。具体的には、シフトレジスタを有し、TG回路7から指定されるタイミングで、後述するように画像データが記憶されるRAM5から転送される画像データに基づいて生成した信号電圧を、データ線11に印加する。なお、TG回路7は、ゲートドライバ3やソースドライバ4によるゲート線10、データ線11のシフトに応答してRAM5から読み出すデータのアドレスを演算する。そして、データを読み出すタイミングで、RAM5からデータを読み出してソースドライバ4に転送させる。また、TG回路7からソースドライバ4へ、各色画素の設定値が表示データ信号として印加される。
【0025】
RAM5は、液晶表示画面部2の各画素に対応する記憶領域を有し、データI/O6から入力される表示データ信号をTG回路7により指定されるアドレスに書き込み、また、TG回路7から指定されるアドレスの表示データ信号を読み出して、ソースドライバ4に出力する。なお、RAM5は、例えば、液晶表示画面部2が132×176のドット数(1ドット=赤・緑・青の3画素分)を有する場合には、例えば、132×176×16(ビット)の記憶容量を有する。16ビットの内訳は、赤と青がそれぞれ5ビット、緑が6ビットである。すなわち、赤と青については、2階調まで表現を可能とし、緑については、2階調までの表現を可能としている。
【0026】
TG回路7は、タイミングパルスを生成して、ゲートドライバ3やソースドライバ4の駆動タイミングを指示したり、RAM5の読み書き動作のタイミングを制御する等の処理を行う。また、RAM5への読み出し、及び、書き込む際のアドレス演算処理、などの動作、処理を行う。
【0027】
次に、以上の構成にかかる縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための液晶表示装置1において、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示する場合における動作について説明する。したがって、以下の説明において、画像データは横向き画像を表すものであり、液晶表示画面部2に既に表示されている画像の画像データを画像データPAといい、現画像データPAの次に表示する画像の画像データを次画像データPBといい、次画像データPBによる画像の次に表示する画像の画像データを次々画像データPCという。
【0028】
図3(a)(b)は、TG回路7の動作を示すフローチャートである。また、図4は、本実施の形態の動作を示す図であり、左列((a)列)がRAM5の記憶状態を経時的に示し、右列((b)列)が対応する液晶表示画面部2の表示状態を経時的に示す。図4において、(1a)は、RAM5に次画像データPBの全データを格納し終わった状態を示す。
【0029】
この状態になると、TG回路7は、図3(a)のフローチャートに示すように、RAM5の読み出しラインアドレスを指定する変数rを「1」にして(ステップSA1)、この変数rによりスキャン位置(1ライン目)を指定する。また、TG回路7は、ゲート線アドレスを記憶する変数gを「1」にして(ステップSA2)、1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示をゲートドライバ3に出力する。
【0030】
一方、図4(1b)に示すように、液晶表示画面部2は、現画像データPAを画素が保持しているが、前述したTG回路7による1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示により、次画像データPBの1ライン目が書き込み中の状態となる。
【0031】
すると、TG回路7は、RAM5の読み出しラインアドレスを指定する変数rをインクリメントして「r+1」にし(ステップSA3)、この変数r=r+1により、スキャン位置(次ライン目)を指定する。また、TG回路7は、ゲート線アドレスを記憶する変数gをインクリメントして「g+1」にし(ステップSA4)、g+1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示をゲートドライバ3に出力する。このTG回路7によるg+1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示により、次画像データPBのg+1ライン目が書き込み中の状態となる。
【0032】
次に、TG回路7は、変数rの値がR/2となったか否かを判断する動作を行う(ステップSA5)。ここで、「R」はRAM5の読み出しラインアドレスを指定される読み出し行ラインの総数であり、液晶表示画面2の走査線(ゲート線10)の総数でもある。つまり、ステップSA5では、図4(2a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン行総数Rの1/2であるR/2行まで終了したか否かを判断する動作を行う。
【0033】
そして、r=R/2となるまで、ステップSA3とステップSA4の動作を繰り返す。したがって、この動作が繰り返されることにより、RAM5からは順次1行ずつ次々画像データPCが読み出され、液晶表示画面2においては順次ゲート線10に走査信号が印加されて、次画像データPBが1ラインずつ書き込まれていく。
【0034】
その結果、図4(2a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン総数Rの1/2であるR/2行まで終了すると、つまりRAM5の1/2領域までの読み出しが終了すると、次々画像データPCをRAM5の書き込み列ライン1〜R/2行までの記憶領域に書き込むことを許可する信号である第1許可信号を発生する(ステップSA6)。
【0035】
このとき、図4(2b)に示すように、液晶表示画面部2は、現画像データPAを画素が保持しているが、TG回路7によるR/2番目のゲート線10に走査信号を印加する指示により、次画像データPBのR/2番目ラインまでの書き込みが終了した状態となる。
【0036】
次に、TG回路7は、RAM5の読み出しラインアドレスを指定する変数rをインクリメントして「r+1」にし(ステップSA7)、この変数r=r+1により、スキャン位置(次ライン目)を指定する。また、TG回路7は、ゲート線アドレスを記憶する変数gをインクリメントして「g+1」にし(ステップSA8)、g+1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示をゲートドライバ3に出力する。このTG回路7によるg+1番目のゲート線10に走査信号を印加する指示により、次画像データPBのg+1ライン目が書き込み中の状態となる。
【0037】
次に、TG回路7は、変数rの値がRとなったか否かを判断する動作を行う(ステップSA9)。ここで、「R」は前述のように、RAM5の読み出しラインアドレスを指定される読み出し行ラインの総数であり、液晶表示画面2の走査線(ゲート線10)の総数でもある。つまり、ステップSA9では、図4(3a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン行総数であるR行まで終了したか否かを判断動作を行う。
【0038】
そして、r=Rとなるまで、ステップSA7とステップSA8の動作を繰り返す。したがって、この動作が繰り返されることにより、RAM5からは順次1行ずつ次々画像データPCが読み出され、液晶表示画面2においては順次ゲート線10に走査信号が印加されて、次画像データPBが1ラインずつ書き込まれていく。
【0039】
その結果、図4(3a)に示すように、RAM5からのデータの読み出しがRAM5の読み出しライン総数R行まで終了すると、次々画像データPCをRAM5の書き込み列ラインR/2+1〜R行までの書き込みを許可する信号である第2許可信号を発生する(ステップSA10)。
【0040】
このとき、図4(3b)に示すように、液晶表示画面部2は、TG回路7によるR番目のゲート線10に走査信号を印加する指示により、次画像データPBのR番目ラインまでの書き込みが終了した状態となる。これにより、次画像データPBの最終ラインまでの読み出しが完了し、図4(3b)に示すように、液晶表示画面部2には、最終ラインまでを含む次画像データPBに基づく画像全体が表示されることとなる。
【0041】
しかる後に、TG回路7は、前述したステップSA1からの動作を繰り返す。
【0042】
また、TG回路7は、以上に説明した図3(a)のフローチャートに示した動作と並行して、図3(b)のフローチャートに示す動作を行う。すなわち、前記ステップSA6での動作により前記第1許可信号を発生済みであるか否かをチェックする動作を行う(ステップSB1)。第1許可信号が発生済みであるならば、TG回路7は、RAM5の読み出しラインアドレスを指定する変数wをに初期値「0」を設定する(ステップSB2)。
【0043】
引き続き、TG回路7は、変数wをインクリメントして「1」にし、RAM5の書き込み列ラインを指定する(ステップSB3)。このとき、TG回路7は、書き込み行数をR/2に制限して、次々画像データPCを書き込む(ステップSB4)。
【0044】
次に、TG回路7は、変数wの値がRAM5における列の総数であるmとなったか否かをチェックする動作を行う(ステップSB5)。w=mとなっていないならば、TG回路7は、w=mとなるまで、図3(a)のフローチャートに示した書き込み動作と同期して、ステップSB3及びステップSB4の動作を繰り返す。
【0045】
つまり、書き込み行数R/2までの記憶領域に制限して、RAM5に次々画像データPCを垂直方向の1ラインずつであって、順次水平方向に書き込む。これにより、図4(2a)に双方向矢印で示すように、RAM5において既に次画像データPBの読み出しを完了している1〜1〜R/2行までに、次々画像データPCが書き込まれる。
【0046】
このようにして、RAM5において読み出しラインに接触しないように書き込みを行ってゆくと、やがて変数wの値がRAM5における列の総数であるmとなる(ステップSB7;YES)。すると、TG回路7は、前記ステップSA10での動作により前記第2許可信号を発生済みであるか否かをチェックする動作を行う(ステップSB6)。第1許可信号が発生済みであるならば、TG回路7は、RAM5の読み出しラインアドレスを指定する変数wをに初期値「0」を設定する(ステップSB7)。
【0047】
引き続き、TG回路7は、変数wをインクリメントして「1」にし、RAM5の書き込み列ラインを指定する(ステップSB8)。このとき、TG回路7は、書き込み行数をR/2+1〜Rに制限して、次々画像データPCを書き込む(ステップSB9)。
【0048】
次に、TG回路7は、変数wの値がRAM5における列の総数であるmとなったか否かをチェックする動作を行う(ステップSB10)。w=mとなっていないならば、TG回路7は、w=mとなるまで、図3(a)のフローチャートに示した書き込み動作と同期して、ステップSB8及びステップSB9の動作を繰り返す。
【0049】
つまり、書き込み行数R/2+1〜Rの記憶領域に制限して、RAM5に次々画像データPCを垂直方向の1ラインずつであって、順次水平方向に書き込む。すなわち、前記ステップSB3及びステップSB4の繰り返し動作により、RAM5の書き込み列ラインR/2までへの次々画像データPCの書き込みを行ったことから、残る列ラインR/2+1〜Rまでに、RAM5に次々画像データPCを垂直方向の1ラインずつであって、順次水平方向に書き込む。
【0050】
これにより、図4(3a)に双方向矢印で示すように、RAM5において既に次画像データPBの読み出しを完了しているR/2+1〜R行までに、次々画像データPCが書き込まれる。このようにして、RAM5において読み出しラインに接触しないように書き込みを行ってゆくと、やがて変数wの値がRAM5における列の総数であるmとなる(ステップSB10;YES)。すると、TG回路7は、前述したステップSB1からの動作を再開する。
【0051】
したがって、本実施の形態によれば、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための液晶表示画面部2をそのまま利用して、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示する場合であっても、時間的に相前後する画像データを混在させることなくRAM5から読み出すことができる。よって、相前後する画像データが混在した状態で読み出されて液晶表示画面部2に転送されることに起因するティアリングを防止することができる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、RAM5の記憶領域を最小分割数である二分割にして、画像データの読み出しを終了する毎に当該記憶領域への書き込みを行うようにしたことから、TG回路7の動作を単純化することができる。しかし、RAM5の記憶領域を三分割する等、更に複数に分割して、画像データの読み出しを終了する毎に当該読み出しを終了した記憶領域への書き込みを行うようにしてもよい。これにより、各記憶領域への書き込みを細分化して、処理速度を高めることができる。
【0053】
また、RAM5読み出しを終了した記憶領域の全域に次々画像データPCを書き込むようにしたが、マージンを持たせて最大行数以下で次々画像データPCを当該記憶領域に書き込み、ステップSA1に戻る直前に、残りの次々画像データPCを全て書き込むようにしてもよい。このようにすれば、マージンにより、相前後する画像データが混在した状態で読み出されて液晶表示画面部2に転送されることを確実に回避することができ、ティアリングをより確実に防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示するための液晶表示画面部をそのまま利用して、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示する場合について説明した。しかし、これとは逆に、横方向に長尺なアスペクト比を有する横向き画像を表示するための液晶表示画面部をそのまま利用して、縦方向に長尺なアスペクト比を有する縦向き画像を表示する場合であっても、本発明を適用することにより、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 液晶表示装置
2 液晶表示画面部
3 ゲートドライバ
4 ソースドライバ
5 RAM
6 データI/O
7 TG回路
8 制御I/O
10 ゲート線
11 データ線
PA 現画像データ
PB 次画像データ
PC 次々画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に長尺なアスペクト比を有する表示画面部と、
この表示画面部に対応する記憶領域を有し、画像を表す画像データを記憶する記憶部と、
この記憶部に書き込まれた画像データを1行ずつ前記表示画面部に転送する転送部と、
この転送部により転送された画像データに基づき、前記表示画面部を表示駆動する駆動部と、
前記記憶部の記憶領域を複数に分割し、分割された記憶領域に記憶されていた画像データの前記転送部による転送が終了する毎に、次に前記表示画面部に表示すべき画像を表す次画像データを、当該記憶領域に書き込む書込手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記書込手段は、前記記憶部の記憶領域を二分割することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記書込手段は、前記転送部により前記画像データが1行ずつ前記表示画面部に転送される毎に、前記分割された記憶領域に一列ずつ次画像データを書き込むことを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記書込手段は、前記次画像データを、当該記憶領域に最大行数で書き込むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の表示装置。
【請求項5】
前記所定の方向とは縦方向であることを特徴とする請求項1から4にいずれか記載の表示装置。
【請求項6】
所定方向に長尺なアスペクト比を有する表示画面部と、この表示画面部に対応する記憶領域を有し、画像を表す画像データを記憶する記憶部とを備える表示装置における画像表示方法であって、
前記記憶部に書き込まれた画像データを1行ずつ前記表示画面部に転送し、
この転送された画像データに基づき、前記表示画面部を表示駆動し、
前記記憶部の記憶領域を複数に分割し、分割された記憶領域に記憶されていた画像データの前記転送部による転送が終了する毎に、次に前記表示画面部に表示すべき画像を表す次画像データを、当該記憶領域に書き込む、
ことを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−174958(P2011−174958A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36787(P2010−36787)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】