表示装置及び端末装置
【課題】複数の視点に向けて夫々画像を表示することができる表示装置において、レンチキュラレンズのレンズ形状及び反射板の凹凸構造を変えることなく、表示の品質低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供する。
【解決手段】反射型液晶表示パネル2は、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位としての画素対がマトリクス状に設けられた立体表示用の液晶パネルである。レンチキュラレンズ3は左右画素からの光を分離するために設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。レンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2との間には、異方性散乱素子である異方性散乱シート6が設けられている。
【解決手段】反射型液晶表示パネル2は、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位としての画素対がマトリクス状に設けられた立体表示用の液晶パネルである。レンチキュラレンズ3は左右画素からの光を分離するために設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。レンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2との間には、異方性散乱素子である異方性散乱シート6が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点に向けて夫々画像を表示することができる表示装置、端末装置に関し、特に表示装置の構造に起因する画質の劣化を低減可能な表示装置、端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の技術進展により、表示パネルはモニタ及びテレビ受像機等の大型の端末装置から、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ及び自動販売機等の中型の端末装置、パーソナルTV、PDA(Personal Digital Assistance:個人用情報端末)、携帯電話、携帯ゲーム機等の小型の端末装置にまで搭載され、様々な場所で使用されている。特に、液晶を使用した液晶表示装置は、薄型、軽量、小型、低消費電力等の利点を有するため、多くの端末装置に搭載されている。現在の表示装置は正面方向以外の視点から観察した場合でも、正面方向と同じ内容が視認されるが、視点により異なる画像が視認可能な表示装置も開発されており、次世代の表示装置として期待されている。このように、複数の視点に向けて夫々異なる画像を表示可能な装置の一例として、立体画像表示装置を挙げることができる。立体画像表示装置は、その機能としては、左右の視点に対して異なる画像、即ち左右両眼に視差画像を提示することが必要となる。
【0003】
この機能を具体的に実現する方法は眼鏡を使用する方式と眼鏡を使用しない方式に大別することができる。このうち、眼鏡を使用する方式には、色の違いを利用したアナグリフ方式、及び偏光を利用した偏光眼鏡方式等があるが、本質的に眼鏡をかける煩わしさを避けることができない。そのため、近年では眼鏡を使用しない眼鏡なし方式が盛んに検討されている。
【0004】
眼鏡なし方式には、レンチキュラレンズ方式、パララックスバリア方式等がある。特許文献1に記載されているように、レンチキュラレンズ方式は複数の視点に対して画像を分離する手段としてレンチキュラレンズを使用する方式である。レンチキュラレンズは一方の面が平面から構成され、その反対面に一方向に延びるかまぼこ状の凸部(シリンドリカルレンズ)が、その長手方向が相互に平行になるように複数個形成されたものである。レンチキュラレンズ方式の立体画像表示装置では、観察者側から順に、レンチキュラレンズ、表示パネルが配置されており、レンチキュラレンズの焦点面に表示パネルの画素が位置している。表示パネルにおいては、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列されている。このとき、相互に隣接する画素からなる群は、レンチキュラレンズの各凸部に対応している。これにより、各画素からの光は、レンチキュラレンズの凸部により左右の眼に向かう方向に振り分けられる。左右の眼に相互に異なる画像を認識させることが可能となり、観察者は立体画像を認識できることになる。
【0005】
一方、パララックスバリア方式は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリットが形成されたバリア(遮光板)を画像分離手段として使用する方式である。左眼用の画像を表示する画素及び右眼用の画像を表示する画素からなる群は、パララックスバリアのスリットに対応して配置される。この結果、観察者の右眼は左眼用の画像を表示する画素をバリアで遮られて視認できず、右眼用の画像を表示する画素のみを視認することになり、同様に観察者の左眼は右眼用の画像を表示する画素を視認できず、左眼用の画像を表示する画素のみを視認することになる。この結果、視差画像を表示した場合、観察者は立体画像を認識することが可能となる。
【0006】
パララックスバリア方式は、当初考案された際には、パララックスバリアが画素と眼との間に配置されていたこともあり、目障りで視認性が低い点が問題であった。しかし、近時の液晶表示装置の実現に伴って、パララックスバリアを表示パネルの裏側に配置することが可能となって視認性が改善された。このため、パララックスバリア方式の立体画像表示装置については、現在盛んに検討が行われている。ただし、パララックスバリア方式が不要な光線をバリアにより「隠す」方式であるのに対し、レンチキュラレンズ方式は光の進む向きを変える方式であり、レンチキュラレンズ方式は原理的に表示画面の明るさの低下がないという利点を有する。このため、レンチキュラレンズ方式は、特に高輝度表示及び低消費電力性能が重視される携帯機器等への適用が検討されつつある。
【0007】
また、複数の視点に向けて夫々異なる画像を表示可能な装置の他の例として、複数の異なる画像を複数視点に同時に表示可能な複数画像同時表示装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。これは、レンチキュラレンズによる画像の振分機能を利用して、観察する方向毎に異なる画像を同時に同一条件で表示するディスプレイである。これにより、1台の複数画像同時表示装置が、この表示装置に対して相互に異なる方向に位置する複数の観察者に対して、相互に異なる画像を同時に提供することができる。特許文献2には、この複数画像同時表示装置を使用することにより、通常の1画像表示装置を同時に表示したい画像の数だけ用意する場合と比較して、設置スペース及び電気代を削減できると記載されている。
【0008】
このように、異なる視点に向けて夫々異なる画像を表示するため、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の光学部材を配置した表示装置が盛んに検討されているが、単に光学部材を設けただけでは幾つかの問題が発生することを本発明者は見出し、これまでに、この解決のための構成を提案してきた。
【0009】
一例では、特許文献1に記載のように、画素に凹凸構造を有する反射板を設けた反射型
表示パネル及び半透過型表示パネルを使用した場合、観察位置によって部分的に表示の輝
度が低下する領域が発生し、観察位置を変えると輝度が低下した位置では表示が暗くなっ
たように見え、場合によっては暗線状の模様が画像に重畳して観察される。この表示の輝
度変化により、表示品質が低下して観察される問題が発生する。この問題の原因は、レンチキュラレンズにより集光された外光が、反射板上に形成された凹凸構造で反射される際に、凹凸構造を構成する斜面の傾斜角に依存して反射角が変化することにある。そこで特許文献1では、レンチキュラレンズの焦点距離が反射板とレンズとの距離と異なるように配置する方法、凹凸構造がレンチキュラレンズにより集光された光を複数回反射するように凹凸構造の斜面を設定する方法、シリンドリカルレンズの配列方向において前記凹凸構造におけるある傾斜角を持つ斜面の存在確率が前記画素中で均一となるように凹凸構造を設定する方法が提案されている。
【0010】
また、光学部材を設けた場合に発生する別の問題としては、特許文献3に記載のように、透過型表示装置に画像分離用の光学部材を組み合わせた場合、透過型表示装置の照明部材に形成された凹凸構造の影響により、表示画像に縞模様が重畳され、表示品質が著しく低下する問題がある。この問題の原因は、照明部材に形成された凹凸構造により、照明部材から出射する光線の指向性に面内分布が発生し、画像分離用の光学部材によってこの面内分布が拡大観察されることにある。この問題は、薄型化等で照明部材の凹凸構造がレンチキュラレンズの焦点面に近付くに従い、より顕在化する。そこで特許文献3では、凹凸構造における隣接する凸部間の距離を、レンチキュラレンズのレンズピッチに画素と凹凸構造との距離を乗じ、焦点距離で除した値より小さくする等、使用するレンチキュラレンズによって凹凸構造を変えることにより、表示品質の低下を抑制する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−280079号公報
【特許文献2】特開平06−332354号公報
【特許文献3】特開2006−17820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の課題、即ち反射板に形成された凹凸構造による画質低下、又は照明部材に形成された凹凸構造による画質低下に対して、凹凸構造又はレンチキュラレンズの性能を変更することで解決する上述の方法では、以下に示すような問題点が発生する。即ち、レンズ等の光学素子、並びに、反射板の凹凸構造及び照明部材の凹凸構造を変更しなければならないという問題点がある。特に、これらの部材として一般的な規格品を使用する場合には、変更の選択肢が存在しない可能性がある。また、レンズ又は照明部材等の立体的な形状を有する部材では、表面形状を変える場合には金型から変える必要があるため、大規模な変更となってしまう。そこで、レンズ面及び凹凸の構造を変えることなく、より簡便に問題点を解決する方法が期待されている。
【0013】
また、本発明者がレンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の光学部材を設けた表示装置を鋭意検討したところ、これらの表示装置では、隣接する画素の境界領域等、表示に寄与しない領域の模様が、レンズ又はスリットの配列方向に平行な線となって観察され、画質を低下させるという問題点があることが判明した。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、画像分離用の光学部材を設けた表示装置において、レンチキュラレンズのレンズ形状及び反射板の凹凸構造を変えることなく、反射型表示の品質低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、レンチキュラレンズのレンズ形状及び照明部材に形成された凹凸構造を変えることなく、透過型表示の品質低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、表示に寄与しない領域の模様がレンズ及びスリットの配列方向に平行な線となって観察されることによる画質の低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、表示装置に異方性散乱部を設けることにより、レンズ及びバリアなど画像分離用の光学手段の画像分離効果を大幅に損なうことなく、画像振分部(画像分離用光学手段)と表示パネルとの組合せによる表示画質の低下を抑制することを特徴とする。このためには、表示パネルの画素に対して入射又は出射する光に対して、画像分離方向における散乱がそれ以外の方向における散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部を配置することが好ましい。これにより、表示画質の低下を抑制できるだけでなく、画像振分部及び表示パネルの構造を変える必要がないため、低コスト化が可能となる。
【0018】
特に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向を画像分離方向と直交する方向とすることにより、画像振分部(画像分離用光学手段)による画像分離効果を損なうことなく、画質の向上が可能となる。そして、前記異方性散乱部を前記表示パネルの画素よりも画像振分部(画像分離手段)側に配置することが好ましい。このとき、画素に反射板を有する表示パネルと組合せて、この反射板に形成された凹凸構造と画像振分部による画質の低下を抑制でき、反射表示の高画質化が可能となる。また、半透過型又は透過型の表示ぱねると組み合わせて、隣接する画素の境界と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下を抑制でき、高画質化が可能となる。
【0019】
また、本発明の表示装置において、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向は、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向とすることができる。そして、この第1の方向に沿って、前記画像振分部は前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける。この場合に、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置することにより、異方性散乱部による画質劣化を抑制する効果を最大にすることができる。そして、特に前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を設けた場合に高画質化が可能となる。面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により、光を面状に出射するが、本発明により画像振分部と面状光源の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができるからである。また、異方性散乱部を使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の画像振分用の光学部材を設けた表示装置において、光学部材の画像振分方向と表示面内で直交する方向における散乱が、画像振分方向における散乱よりも大きな異方性散乱部を設けることにより、反射板上に形成された凹凸構造の影響を低減し、高画質化を実現できる。また、照明部材に形成された凹凸構造の影響を低減し、高画質化を実現することができる。更には、画像振分方向と平行な線分となって観察される非表示領域の影響を低減し、高画質化を実現することができる。
【0021】
このようにして、本発明によれば、画像振分部と表示パネルの構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、高画質化が可能となる。また、画像振分部及び表示パネルの構造を変える必要がないため、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の異方性散乱シートを示す上面図である。
【図3】画像振分部の画像振分方向と異方性拡散シートの散乱方向との関係を示す上面図である。
【図4】本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【図5】本実施形態の反射型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。
【図6】レンチキュラレンズを使用した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図7】レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するため、曲率半径最小時を示した光学モデル図である。
【図8】レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するため、曲率半径最大時を示した光学モデル図である。
【図9】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示した断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が大きい場合を示す。
【図10】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示した断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が小さい場合を示す。
【図11】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点から充分離れた位置に存在する場合を示す断面図である。
【図12】異方性散乱構造のZ軸方向における位置を算出するための光学モデル図である。
【図13】パララックスバリアを使用した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図14】パララックスバリアの画像分離条件を算出するため、スリットの開口幅最大時を示した光学モデル図である。
【図15】異方性散乱構造のZ軸方向における位置を算出するための光学モデル図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図20】図19に示す導光板及びLEDを示す上面図である。
【図21】図19に示す導光板及びLEDを示す断面図である。
【図22】本実施形態の透過型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。
【図23】表示パネルの背面側にパララックスバリアを配置した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図24】本発明の第6の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図25】本発明の第1比較例に係る表示装置を示す断面図である。
【図26】本第1比較例に係る表示パネルの画素を示す上面図である。
【図27】本第1比較例に係る表示装置を観察者が視認した場合の表示画面の視認像を示す図である。
【図28】本発明の第7の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図29】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図30】最大観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。
【図31】最小観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。
【図32】視力の定義を示す概念図である。
【図33】本発明の第8の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図34】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図35】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素の別の例を示す上面図である。
【図36】本発明の第9の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図37】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図38】本発明の第10の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図39】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図40】本発明の第11の実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【図41】本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図42】本発明の第12の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図43】本発明の第13の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図44】本発明の第14の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図45】本発明の第15の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図46】本発明の第16の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図47】本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す斜視図である。
【図48】フライアイレンズを示す上面図である。
【図49】表示装置の構成要素である異方性散乱シートに関し、(a)に本発明の第1実施形態の散乱特性を示し(b)に本第16実施形態の散乱特性を示した図である。
【図50】本発明の第17の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図51】本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す上面図である。
【図52】本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。
【図53】横軸に表示面内の角度をとり縦軸に散乱性能をとって本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の構成例について、説明する。本発明に係る表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部とを有することを特徴とする。
【0024】
また、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向とすることにより、画像振分部の画像振分効果への悪影響を最低限に抑制した上で、異方性散乱部による画質の向上を実現できる。
【0025】
更に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向から前記第1の方向に回転した方向とすることにより、前記第1方向及び前記第2方向の散乱を容易に調整することができ、大きな部材変更を防止できるため、低コスト化が可能となる。
【0026】
更にまた、前記異方性散乱部は、一方向に延びる凸部又は凹部が形成された構造とすることができ、また、一方向に延びる複数のプリズムが相互に平行に配列された一次元配列プリズム構造を有していてもよい。更にまた、一方向に延びる複数のシリンドリカルレンズが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズ構造を有し、レンチキュラレンズのピッチは前記画素の配列ピッチよりも小さくてもよい。
【0027】
また、前記異方性散乱部は、例えば、前記画像振分部と前記表示パネルとの間に配置される。これにより、画像振分部と表示パネルの構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、特に反射型の表示パネルを使用する際に、反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制できる。
【0028】
この場合に、前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有するように構成することができる。これにより、一般的な異方性散乱シートを使用でき、また異方性散乱効果の変更が必要になった際にも、他の部材への影響を最低限にすることができる。
【0029】
更にまた、前記異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の画像振分部側に配置することができる。これにより、画像振分部との望ましくない相互作用を低減することができ、高画質化が可能となる。
【0030】
更にまた、前記異方性散乱部を、前記画像振分部と一体化することにより、異方性散乱部の異方性散乱構造を支持する部分を不要にできるため、薄型化が可能になる。また、異方性散乱部と画像振分部とを別々に形成して組み合わせる場合と比較して、一体形成が可能になるため、部材数の削減が可能となり、組み立て工数も削減できるため、低コスト化が可能になる。更には、組み立て時における異方性散乱部と画像振分部との位置変動をなくすことができるため、ばらつきを低減することができる。
【0031】
更にまた、前記異方性散乱部は、前記画像振分部の表示パネル側の面に形成することにより、画像振分部を製造する際に裏面に異方性散乱部を同時に形成できるため、製造コストを低減でき、低コスト化が可能になる。
【0032】
この場合に、前記異方性散乱部は、前記画像振分部を固定するための粘着層に形成することにより、異方性散乱構造を成型するための金型と、異方性散乱構造を転写するプロセスが不要になるため、低コスト化が可能となる。
【0033】
又は、前記異方性散乱部は、前記画像振分部の内部構造に形成することにより、粘着層をより多くの選択肢から選択することができ、低コスト化が可能となる。
【0034】
又は、前記異方性散乱部は、前記表示パネルに形成することができ、この場合に、前記表示パネルは光学フィルムを有し、前記異方性散乱部は前記光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する異方性散乱粘着層とすることができる。
【0035】
本発明の表示装置において、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置されるとすることができる。この場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向となるようにすることが好ましい。このように、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置することにより、異方性散乱部による画質劣化を抑制する効果を最大にすることができる。
【0036】
また、前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有し、この異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の背面側に配置することができる。これにより、画像振分部の画像振分効果への悪影響を最低限に抑制した上で、異方性散乱部による画質の向上を実現できる。
【0037】
また、本発明の表示装置は、前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を有し、この面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により光を面状に出射するように構成することができる。これにより、画像振分部の画像振分効果を損なうことなく、画像振分部と面状光源の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、異方性散乱部を使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【0038】
また、前記面状光源は導光板を有し、この導光板に凹凸構造が形成されていてもよく、更にまた、前記面状光源は輝度向上用の光学部材を有し、この輝度向上用の光学部材が凹凸構造を有していてもよい。これにより、輝度向上用の光学部材の選択肢を増やすことができ、低コスト化が可能となる。
【0039】
本発明の表示装置は、前記表示パネルが、例えば、透過型である。本発明においては、隣接する画素の境界と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下を抑制でき、高画質化が可能となる。更には、背面に面状光源を設ける際に、面状光源と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下も抑制でき、高画質化が可能となる。
【0040】
また、前記表示パネルは、例えば、画素に反射板を有する表示パネルであり、この反射板に凹凸構造が形成されていてもよい。これにより、反射板の凹凸形状と画像振分部による画質の低下を抑制でき、反射表示の高画質化が可能となる。
【0041】
この場合に、前記反射板は前記画素の一部の領域に形成された半透過型の表示パネルとすることができる。これにより、透過表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、透過表示の品質を向上することができる。また反射表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、反射表示の品質を向上することができる。即ち、半透過型表示装置における透過表示、反射表示の品質を向上することができる。
【0042】
この場合に、前記反射板が形成された反射表示用の領域と、前記画素の光を透過する透過表示用の領域とが、前記第2方向に繰り返し配列されていてもよい。これにより、異方性散乱部による画質低下の抑制効果を最大限発揮することができる。
【0043】
更にまた、前記表示パネルは、例えば、液晶表示パネルを好適に使用することができる。この液晶表示パネルは、例えば、横電界モード又はマルチドメイン垂直配向モードの液晶表示パネルである。本発明においては、液晶層の配向分割手段と画像振分部に起因する画質の低下を抑制でき、広視野角の表示装置が実現できる。
【0044】
更にまた、例えば、前記表示パネルの前記表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有し、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向である。カラーストライプの配列方向が前記第2方向である場合には、前記第1方向に延びる画素境界領域の割合が大きくなるが、本発明によりこの影響を低減することができるため、高画質化が可能となる。
【0045】
更にまた、前記表示単位は正方形の中に形成されているように構成することができる。これにより、表示画像の縦横の解像度を一致させることができ、より高画質化が実現できる。
【0046】
更にまた、前記表示単位における各画素は、その表示領域の周囲に遮光領域を有し、前記第2方向に沿って延びる遮光領域がこの第2方向に対して傾斜するように構成することができる。これにより、表示画像を視認できる範囲を広げることができ、本発明の効果をより発揮することができる。
【0047】
更にまた、前記表示単位における各画素は台形状の表示領域を有しており、隣接する画素に対して点対称に配置されるように構成することができる。これにより、特に薄膜トランジスタを使用したアクティブマトリクス方式の表示パネルに好適に適用でき、高開口率化が可能となる。
【0048】
本発明の表示装置は、例えば、前記画像振分部が、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイである。これにより、画像分離手段による光の損失が発生しないため、明るい表示が可能となる。
【0049】
本発明の表示装置は、例えば、前記画像振分部が、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアである。これにより、フォトリソグラフィ技術を用いて容易に作製可能であるため、低コスト化が可能となる。
【0050】
本発明に係る端末装置は、前記表示装置を有することを特徴とする。また、この端末装置は、例えば、携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機である。
【0051】
本発明に係る表示パネルは、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、表示面内において出射する光の散乱に異方性をもたせ、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けることを特徴とする。
【0052】
本発明に係る光学部材は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルに使用される光学部材において、入射した光を相互に異なる方向に振り分ける面状の画像振分部と、この画像振分部の面内において散乱に異方性をもたせる異方性散乱部と、を有することを特徴とする。本発明によれば、表示パネルと組み合わせて、高画質の表示装置を実現することができる。
【0053】
この場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が、前記画像振分部の画像振分方向と直交する方向とすることができる。
【0054】
更にまた、前記光学部材は基板を有し、この基板の相対する面に前記画像振分部と異方性散乱部とがそれぞれ形成されルように構成することができる。
【0055】
更にまた、前記光学部材は基板を有し、この基板中に異方性散乱部を形成することができる。
【0056】
更にまた、前記光学部材は粘着層を有し、この粘着層は異方性散乱部とすることができる。
【0057】
本発明に係る他の表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向とは散乱の程度が異なる方向を有する異方性散乱部とを有することを特徴とする。
【0058】
この表示装置においては、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と同等であるか、又は前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向とは異なるものである。後者の場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が複数存在する。
【0059】
なお、前記異方性散乱部の散乱が極小となる方向が、前記第1の方向又はこの第1の方向と直交する第2の方向であることが好ましい。
【0060】
更に、前記表示パネルは、前記第1の方向に延伸する非表示領域を有することが好ましい。
【0061】
更にまた、前記画像振分部は、例えば、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイである。この場合に、例えば、前記第1の方向における前記レンズのピッチをLとし、前記第1の方向における視点数をNとし、前記レンズと前記画素との距離をHとするとき、前記レンズと前記異方性散乱部との距離H1が、L×H/(L+3×N×P)以下である。
【0062】
更にまた、前記画像振分部は、例えば、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアである。
【0063】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置、端末装置、表示パネル及び光学部材について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態に係る表示装置、端末装置、表示パネル及び光学部材について説明する。図1は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図2は図1に示す異方性散乱シートを示す上面図であり、図3は図1に示す表示装置の画像振分部の画像振分方向と異方性散乱シートの散乱方向との関係を示す上面図であり、図4は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【0064】
図1に示すように、本第1実施形態に係る表示装置は、表示パネルとして反射型液晶表示パネル2を使用し、レンチキュラレンズ3が具備された反射型液晶表示装置1である。レンチキュラレンズ3は、反射型液晶表示パネル2の表示面側、即ち使用者側に配置されている。また、レンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2との間には、異方性散乱素子である異方性散乱シート6が設けられている。即ち、反射型液晶表示装置1においては、使用者に向かって、反射型液晶表示パネル2、異方性散乱シート6及びレンチキュラレンズ3がこの順に積層されている。
【0065】
反射型液晶表示パネル2は、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位としての画素対がマトリクス状に設けられた立体表示用の液晶パネルである。レンチキュラレンズ3は左右画素からの光を分離するために設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向に設定されている。これにより、シリンドリカルレンズ3aの延伸する方向、即ち長手方向は、表示面内において配列方向と直交する方向となる。なお、シリンドリカルレンズ3aはかまぼこ状の凸部を有し、その長手方向と直交する方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズである。シリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、即ちレンズの頂点と、画素(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)との間の距離に設定されている。
【0066】
なお、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向において、左眼用画素4Lから右眼用画素4Rに向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、シリンドリカルレンズ3aの長手方向をY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rからレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、即ち、使用者に向かう方向であり、使用者は反射型液晶表示パネル2の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。即ち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0067】
上述の如くXYZ直交座標系を設定すると、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向となり、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが夫々Y軸方向に一列に配列されている。また、X軸方向における画素対の配列周期はシリンドリカルレンズの配列周期と略等しくなっている。このX軸方向において、1対の画素対がY軸方向に配列してなる列が、一つのシリンドリカルレンズ3aに対応している。
【0068】
反射型液晶表示パネル2においては、微小な間隙を設定して配置された2枚の基板2a、2bの間に、液晶層5が挟まれて構成されており、−Z側に配置された基板2bの+Z側の表面には反射板4が形成されている。反射板4の表面には凹凸構造41が多数設けられており、この凹凸構造41により反射板4の表面は拡散反射面となっている。即ち、反射板4に対し、特定方向から入射した外光は、反射板4の表面の凹凸構造41により、種々の方向に拡散して反射し、観察者方向にも反射する。これにより正反射成分を低減できるため、光源模様の映り込みが発生しない角度において、明るい反射表示を実現することができる。また、光源が拡散光を発する場合には、単なる鏡面反射と比較して、正面方向に反射する光の成分を増やすことができるため、明るい反射表示が実現できる。
【0069】
図2に示すように、異方性散乱シート6の+Z方向側の表面には、異方性散乱構造61が形成されている。即ち、この異方性散乱部、即ち異方性散乱手段としての異方性散乱シート6は、透明基板とこの透明基板の表面に形成された異方性散乱構造61とを有するものである。また、異方性散乱構造61は、XY平面内においてX軸方向に延びる帯状の凸部であり、異方性散乱シート6の表面に複数形成されている。これにより、異方性散乱シート6の+Z方向側の表面をY軸方向に沿ってなぞると、多数の異方性散乱構造61を横断することになる。即ち、この表面は、Y軸方向には凹凸が多い。これに対して、この表面をX軸方向に沿ってなぞっても、少数の異方性散乱構造61しか横断しないか、又は全く横断しない。従って、この表面は、X軸方向には凹凸が少ない。
【0070】
より一般的に表現すれば、異方性散乱シート6の表面は、特定方向には凹凸が多く、この特定方向と直交する方向に対しては凹凸を少なくなっている。そして、本実施形態においては、凹凸が多い前記特定方向は、Y軸方向に設定されている。これにより、この異方性散乱シート6は、Y軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっている。図3に示すように、XY平面内において、Y軸方向とX軸方向の間の角度における散乱性能は、異方性散乱構造61の形状に依存するが、本実施形態ではY軸方向からX軸方向に回転するに従って、急速に散乱性能が低下する特性となっている。
【0071】
一般的に、レンチキュラレンズ3等の画像振分部、即ち画像振分手段や画像分離手段による画像振分効果は、散乱手段を設置すると低減されてしまう傾向にある。これは例えば本実施形態の例では、左眼用画素4Lの反射板4において反射した光が、散乱手段により大きく散乱された場合、右眼用画素4Rにて反射された光と同様に、使用者の右眼にも入射してしまうからである。上述のように、本実施形態においては、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの長手方向はY軸方向に設定され、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向に設定されているため、レンチキュラレンズ3はX軸方向に画像振分効果を有する。これに対して、異方性散乱シート6は、Y軸方向の散乱が最大となり、X軸方向の散乱が最小となるように設定されている。即ち、本実施形態における反射型液晶表示装置1では、異方性散乱シート6の散乱性能がレンチキュラレンズ3の画像振分効果に与える影響が最小限になるよう配置されている。なお、本発明においては、レンチキュラレンズは画像振分手段であるものとして記述している。厳密には、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズが、左眼用画素の光と右眼用画素の光を異なる方向に分離する手段である。そしてこれにより、レンチキュラレンズは左眼用の画像と右眼用の画像を異なる方向に振り分けることができる。本発明においては、これらの現象を含め、レンチキュラレンズが画像振分効果を有するものとして扱っている。
【0072】
更に、本実施形態における反射型液晶表示装置1では、異方性散乱シート6とレンチキュラレンズ3は密着しておらず、異方性散乱シート6と反射型液晶表示パネル2も密着していない。即ち、3者の間隙には、空気層が設けられた構造となっている。
【0073】
図4に示すように、本実施形態に係る端末装置は携帯電話9である。この携帯電話9には、前述の反射型液晶表示装置1が搭載されている。そして、反射型液晶表示装置1のX軸方向が携帯電話9の画面の横方向となり、反射型液晶表示装置1のY軸方向が携帯電話9の画面の縦方向となっている。
【0074】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作について説明する。図5は図1に示す反射型液晶表示装置において、X軸に平行な線分で反射型液晶表示装置を切断した断面における光学モデルを示す図である。図5に示すように、本実施形態の表示装置は反射型であるため、外光を表示に利用する。先ず、反射型液晶表示装置1に入射する外光のうち、ある平行光成分の光89に着目して動作を説明する。レンチキュラレンズ3に入射した光89は、レンチキュラレンズ3により集光される。前述のように、レンチキュラレンズ3の焦点距離は、反射板4に焦点を結ぶように設定されている。
【0075】
ここで、異方性散乱シート6の影響を除外した場合について考えると、レンチキュラレンズにより集光された光は、反射板の表面で焦点を結ぶことになる。この焦点が凹凸構造の斜面に存在する場合には、斜面により斜め方向に反射される。この結果、反射された光は、使用者の方向とは異なる方向に進行し、実質的に表示には寄与しない。これに対して、凹凸構造の平坦部に焦点を結んだ場合には、正面方向に反射されることになり、反射光は使用者の方向に進行するため、表示に寄与する。このようにして、外光の角度、使用者の位置により、表示に明るい領域と暗い領域が発生するため、表示画像に明るさの違いが重畳して観察され、画質が低下してしまう。
【0076】
これに対して、本発明ではレンチキュラレンズ3と反射板4との間に異方性散乱シート6が設けられている。この異方性散乱シート6は、前述のようにY軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっている。このため、レンチキュラレンズ3により集光された光は、反射板4の表面において、X軸方向に若干の散乱を伴って集光される。これにより、異方性散乱シート6がない場合と比較して、反射板を照射する面積が大きくなっている。そしてY軸方向においては、X軸方向よりも大きな散乱を有しているため、反射板を照射する面積をより大きくすることができる。これにより、レンチキュラレンズ3により集光された光は、反射板4上の凹凸構造41の斜面部及び平坦部など様々な場所を照射することになる。換言すれば、表示装置に入射された平行光は、レンチキュラレンズ3によりX軸方向に集光されるが、異方性散乱シート6によってX軸方向に若干散乱され、Y軸方向に大きく散乱される。即ち、平行光が入射した場合でも、Y軸方向に大きな散乱特性を有する異方性拡散光が入射した場合と等価にすることができる。次に、反射光は様々な角度に進行する。このうち一部の光は、再度レンチキュラレンズ3を通過し、左右画像が分離されて使用者の方向に進行し、立体表示が実現される。なお、レンチキュラレンズ3を通過する前に、再度異方性散乱シート6を通過するが、この時の異方性散乱の効果によっても、凹凸構造に起因する画質劣化を低減できる。
【0077】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、レンチキュラレンズと反射板との間に異方性散乱シートが設けられ、異方性散乱シートの散乱が最小となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向に配置されている。そして、散乱が最大となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向と直交して配置されている。これにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。等方性散乱を使用してしまうと、レンチキュラレンズの画像振分効果と凹凸構造に起因する表示品質低下を抑制する効果を両立させることが困難である。異方性散乱を採用することにより、これらの両立が可能となる。そして、平行光が入射した場合でも、異方性散乱シートなどの異方性散乱手段により、異方性を有する拡散光が入射した場合と等価にできる。換言すれば、異方性散乱手段が、入射光の平行光成分を異方性を有する拡散光に変換する。この異方性を有する拡散光は、レンチキュラレンズの画像振分効果を損なわないように設定されている。これにより、平行光が入射した際の画質を向上できるだけでなく、スポットライト等の比較的s指向性が高い光が入射した際の画質を向上することができる。即ち、照明条件に依存せず、高い表示画質を実現することができる。また、反射板の凹凸構造が大きな場合には、暗線状の模様だけでなく、凹凸構造のピッチに起因した粒状感により画質が低下するが、本実施形態ではレンチキュラレンズの画像振分効果を持たない方向の散乱を大きく設定できるため、この粒状感による画質の低下も抑制でき、表示品質を向上することができる。更にまた、本実施形態における異方性散乱シートは、XY平面内においてY軸方向から若干傾いた方向に対しても散乱性能を有するため、この斜め方向の散乱を用いて暗線状の模様を低減でき、表示品質を向上できる。更には、レンチキュラレンズ及び反射板の凹凸構造を変更する必要がなく、例えば透過型表示装置と反射型表示装置とで同じレンチキュラレンズを使用できることになるため、製造に必要な部材の種類を削減でき、低コスト化が可能となる。本実施形態においては、異方性散乱シートを使用しているため、XY平面内におけるシートの角度を変更するだけで、X軸方向、Y軸方向の散乱性能を容易に調整することが可能となる。これにより、例えばX軸方向の散乱性能が不足する場合には、X軸方向の散乱性能が大きくなるように異方性散乱シートを配置するだけで済み、大きな部材変更等を防止できるため、低コスト化が可能となる。
【0078】
なお、本実施形態における異方性散乱シートの配置角は、散乱が最小となる方向がレンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向に配置するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、角度を付けて配置されても良い。これにより、前述のように、XY平面内におけるシートの角度を変更するだけで、X軸方向、Y軸方向の散乱性能を容易に調整することが可能となり、大規模な部材変更をせずに散乱性能を調整できるため、低コスト化が可能となる。
【0079】
更に、本実施形態においては、異方性散乱構造61が異方性散乱シート6の+Z方向側の表面に形成された凸部である例を示したが、異方性散乱構造61は異方性散乱シート6の−Z方向側の表面に形成されていてもよい。但し、異方性散乱構造61がレンチキュラレンズ3の焦点に近付いて配置されると、異方性散乱構造61によってはその構造自体に起因した画質の劣化が発生する危険性が高まるため、焦点から離れた面となる+Z方向側の表面に形成される方が好ましい。即ち、異方性散乱構造が形成された面をレンチキュラレンズ側に向けて配置することにより、画質の劣化を抑制することができる。なお、凸部ではなく凹部であってもよい。また、異方性散乱シートは、散乱に異方性があるものであればどのようなものでも使用できる。一例として、異方性散乱のパターンが加工された母型を準備し、ホットエンボス法若しくは2P法で型のパターンを転写したフィルムを使用してもよく、一次元のホログラムパターンが形成されたホログラフィックディフューザを使用してもよく、又は、一般的な等方性の散乱シートを延伸して異方性を持たせたものでもよい。等方性の散乱シートを延伸して異方性を持たせる場合には、原反となる等方性の散乱シートは、表面凹凸構造により散乱を有し、延伸により表面凹凸構造に異方性を生じさせた異方性散乱シートでもよい。また、原反となる等方性の散乱シートが、シート内部に屈折率の異なる材料を含有しており、延伸により屈折率の異なる材料の分布に異方性が発生し、これにより異方性散乱を生じさせた異方性散乱シートでもよい。
【0080】
更には、異方性散乱のパターンは、一次元のプリズムが多数配置された一次元プリズムアレイであってもよく、一次元のレンズ体であるシリンドリカルレンズが多数配置された一次元レンズアレイであってもよい。なお、画像振分部として使用するレンチキュラレンズは、左眼用画素と右眼用画素の表示する画像をある所定の角度で分離するように設定するが、異方性散乱部としての一次元レンズアレイは、このような画像分離効果を持たないように配置される。一例では、画素よりも非常に細かいピッチでレンズが配列される。また、レンズ焦点が画素に配置されないように、焦点距離がレンズ−画素間距離の数倍又は数分の1に設定される。このような一次元光学素子を使用する場合には、表示面となるXY平面内において、回転角を付けて配置するのが効果的である。即ち、異方性散乱部の散乱が最大となる方向が第2の方向から第1の方向に回転した方向とするのが好ましい。
【0081】
本実施形態における異方性散乱シート6は、レンチキュラレンズ3との間隙、又は反射型液晶表示パネル2との間隙に空気層が存在する構造として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、間隙は所定の屈折率を有する粘着材又は接着剤等で埋められていてもよい。これにより、レンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとの位置が変動するのを抑制でき、界面での反射を低減することもできるため、表示品質をより高めることができる。なお、本実施形態に記載のように、異方性散乱部として表面に凹凸構造が形成された異方性散乱シートを使用する場合には、凹凸構造と同じ屈折率の材料で固定すると散乱効果がなくなってしまうため、屈折率の異なる材料を使用するのが適当である。なお、本実施形態のように異方性散乱部を異方性散乱シートとして別途構成することの利点は、一般的な異方性散乱シートを使用でき、また異方性散乱効果の変更が必要になった際にも、他の部材への影響を最低限にできることにある。
【0082】
更に、本実施形態における表示パネルは、反射型液晶表示パネルを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹凸構造を有する反射板を使用する表示パネルに対して、効果的に適用することができる。例えば、反射表示だけでなく透過表示も可能な半透過型液晶表示パネルを使用する場合について適用することもできるし、液晶表示パネル以外の反射型表示パネルを使用する場合についても適用できる。半透過型液晶表示パネルにおいては、透過領域の比率が大きい微反射型液晶表示パネル、及び反射領域の比率が大きい微透過型液晶表示パネルにおいても、本実施形態と同様に適用可能である。また、液晶表示パネルの駆動方法は、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)方式及びTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式でもよいし、STN(Super Twisted Nematic liquid crystal)方式等のパッシブマトリクス方式であってもよい。
【0083】
更に、本実施形態においては、左眼用画素及び右眼用画素のみが設けられた2眼式立体表示装置の場合について説明したが、本発明はN眼式(Nは2より大きい整数)の場合においても適用可能である。
【0084】
更にまた、本実施形態においては、カラーフィルタを用いたカラー表示に加え、複数色の光源を時分割で点灯する方式を併用して、カラー画像を表示することもできる。
【0085】
本実施形態におけるレンチキュラレンズは、レンズ面が使用者側の方向である+Z方向の面に配置された場合の構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レンズ面が表示パネル側の方向である−Z方向の面に配置されていてもよい。この場合、レンズ−画素間距離を小さくすることができるため、高精細化への対応で有利である。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができる。これにより、高画質化が可能となる。
【0086】
なお、本実施形態においては、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向がX軸方向であり、異方性散乱手段はX軸方向よりもY軸方向に大きな散乱特性を有するものとして説明した。そして、図4においては、表示装置の表示面が、X軸方向に平行な辺とY軸方向に平行な辺とから構成されるように記載した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、表示面においてシリンドリカルレンズの配列方向が回転配置されていてもよい。この時には、図4において、XY平面を回転させたものとして考えればよい。即ち、シリンドリカルレンズの配列方向と、異方性散乱手段の散乱特性が、本実施形態の構成を満たすことが重要である。
【0087】
本実施形態における画像振分部はレンチキュラレンズを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像振分部としてスリットアレイを使用したパララックスバリア方式に対しても適用することができる。レンチキュラレンズが高さ方向の構造を有する三次元形状であるのに対して、パララックスバリアは平面的な二次元形状を有し、フォトリソグラフィ技術を用いて容易に作製可能であるため、低コスト化が可能となる。但し、上述のように、レンチキュラレンズを使用した場合には、画像分離手段による光の損失が発生しない。従って、明るい反射表示を実現する点ではレンチキュラレンズ方式の方が有利である。
【0088】
次に、レンチキュラレンズが画像振分手段としての作用するための条件について詳述する。本実施形態においては、画像振分手段は、左眼用画素と右眼用画素が配列する第1の方向、即ちX軸方向に沿って、各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けなければならない。そこでまず、画像振分効果を最大限に発揮する場合について、図6を使用して説明する。
【0089】
レンチキュラレンズ3の主点、即ち頂点と画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。また、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rの各1個のピッチをPとする。このとき、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示画素の配列ピッチは2Pとなる。
【0090】
また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける画素の拡大投影像の周期、即ち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの投影像の幅の周期を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離をWLとし、反射型液晶表示パネル2の中心に位置する左眼用画素4Lと右眼用画素4Rからなる表示画素の中心と、X軸方向における反射型液晶表示パネル2の端に位置する表示画素の中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる画素数を2m個とする。
【0091】
シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3aの材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が成立する。また、下記数式7乃至9が成立する。
【0092】
[数式1]
n×sinα=sinβ
【0093】
[数式2]
OD×tanβ=e
【0094】
[数式3]
H×tanα=P
【0095】
[数式4]
n×sinγ=sinδ
【0096】
[数式5]
H×tanγ=C
【0097】
[数式6]
OD×tanδ=WL
【0098】
[数式7]
WP−WL=C
【0099】
[数式8]
WP=2×m×P
【0100】
[数式9]
WL=m×L
【0101】
前述のようにまず画像振分効果を最大限に発揮する場合について考えるが、これはレンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズの焦点距離fと等しく設定した場合である。これにより、下記数式10が成立する。そして、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式11により求まる。
【0102】
[数式10]
f=H
【0103】
[数式11]
r=H×(n−1)/n
【0104】
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nはレンズ等の材質により決定される。そして、これらから導出されるレンズの配列ピッチL、レンズと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、レンズの曲率半径rである。即ち、レンズと画素との距離Hが固定の場合には、レンズの曲率半径を理想状態から変更すると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。即ち、分離が有効となる曲率半径の範囲を求めれば良い。
【0105】
まず、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径範囲の最小値を算出する。図7に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としH−fを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。これより、下記数式12が成立し、焦点距離の最小値fminを求めることができる。
【0106】
[数式12]
fmin=H×L/(L+P)
【0107】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式11を使用して、曲率半径の最小値rminは、下記数式13のように求めることができる。
【0108】
[数式13]
rmin=H×L×(n−1)/(L+P)/n
【0109】
次に、最大値を算出する。図8に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としf−Hを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。
これより、下記数式14が成立し、焦点距離の最大値fmaxを求めることができる。
【0110】
[数式14]
fmax=H×L/(L−P)
【0111】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式11を使用して、曲率半径の最小値rmaxは、下記数式15のように求めることができる。
【0112】
[数式15]
rmax=H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0113】
以上まとめると、レンズが画像振分効果を発揮するためには、レンズの曲率半径が数式13及び数式15により示される下記数式16の範囲に存在する必要がある。
【0114】
[数式16]
H×L×(n−1)/(L+P)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0115】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0116】
次に、異方性散乱構造のZ軸方向における望ましい位置について説明する。前述の異方性散乱構造がX軸方向に全く散乱成分を持たない場合には、Z軸方向のどの場所に位置しても、特に大きな問題とはならない。しかし一般的には、X軸方向にも若干の散乱成分が発生する。そして、このX軸方向の散乱を発生する構造が均一に存在していれば大きな問題とはならない。しかし、X軸方向においてある部分にはX軸方向の散乱構造が存在し、それ以外の部分には存在しないような場合では、この散乱構造のZ軸方向における位置が、画質を左右する非常に重要なパラメータとなる。
【0117】
この現象について図9乃至図11を用いて説明する。図9は、異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示す断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が大きい場合を示す。また、図10は異方性散乱構造の影響が小さい場合を示す。図11は異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点から充分離れた位置に存在する場合を示す断面図である。異方性散乱構造は、その散乱性能が最大となる方向はY軸方向であるが、X軸方向にも若干の散乱を有する。そして、X軸方向にも散乱を有する部分は、異方性散乱構造の一部分のみである。ここでは特にX軸方向の散乱について着目することから、図9乃至図11では、X軸方向に散乱成分を有する部分のみを異方性散乱構造61として記載してある。
【0118】
図9に示すように、X軸方向に散乱する異方性散乱構造61が、シリンドリカルレンズ3aの焦点付近に存在する場合には、シリンドリカルレンズ3aから出射する光の大部分が、異方性散乱構造61の影響を受ける。しかし、図10に示すように、シリンドリカルレンズ3aから出射する光の角度を少し変えた場合、即ち観察者が少し斜め方向から観察した場合、異方性散乱構造61の影響は小さくなる。このように、観察者が表示装置を視認する角度に依存して、異方性散乱構造の影響が大きくなったり、小さくなったりする。異方性散乱構造の影響が大きい場合にはX軸方向の散乱が大きく、影響が小さい場合には散乱も小さいため、観察者には画質の低下として認識される。
【0119】
これに対し、図10に示すように、異方性散乱構造61がシリンドリカルレンズ3aの焦点から充分離れた位置に存在する場合には、常に異方性散乱構造61の影響を受けるため、観察者が画質の低下として認識することはない。このように、異方性散乱構造はレンズの焦点から離れて配置する方が好ましい。
【0120】
そこで次に、どの程度異方性散乱構造を焦点から離すのが良いか、詳述する。前述のように、X軸方向に散乱を有する異方性散乱構造が、X軸方向に一様に存在するのが望ましく、この場合には大きな問題にはならない。即ち、異方性散乱構造が細かく存在する方が望ましく、粗い場合に問題は大きくなる。例えば、異方性散乱構造のX軸方向における間隔がレンズの配列ピッチLよりも大きな場合には、異方性散乱構造が存在するシリンドリカルレンズと、存在しないシリンドリカルレンズが発生することになる。この場合、観察者には画質の低下として認識されるため、X軸方向に散乱を有する異方性散乱構造が複数存在する場合には、その間隔はレンズの配列ピッチL以下である方が好ましい。そこで、異方性散乱構造の間隔がLであり、一つのシリンドリカルレンズに一つの異方性散乱構造が対応する場合について考える。また、異方性散乱構造のX軸方向における幅が大きい方がより均質化でき好ましいので、ここでは、境界条件として、X軸方向における幅がゼロである場合について考える。更に、レンズの焦点距離が短い方が異方性散乱構造をレンズの焦点から離すのが困難になるので、数式12又は13で示される焦点距離最小条件について考える。
【0121】
更に前提条件として、メインローブだけでなく、1次サイドローブにおいても、異方性散乱構造が作用する場合について考える。前述のように、本実施形態においては、左右の画素から構成される表示単位とレンズが対応されて配置されている。一般的にメインローブとは、ある表示単位から出射して対応するレンズを通過した光を指す。1次サイドローブとは、ある画素対から出射して、その画素対に隣接する画素対と対応するレンズを通過した光を指す。メインローブは表示装置の正面方向に存在し、1次サイドローブはレンズの配列方向に沿って、斜めに傾斜した方向に存在することになる。
【0122】
図12に示すように、異方性散乱構造がレンズの光軸付近に存在する場合、レンズの焦点からある程度離れていると、メインローブだけでなく1次サイドローブにおいても、異方性散乱構造を作用させることができる。レンズの主点、即ち頂点から異方性散乱構造までの距離をH1とすると、異方性散乱構造から画素面までの距離はH−H1となる。そこで、隣接する画素対から出射した光が、異方性散乱構造61を通過して、シリンドリカルレンズ3aの端に入射する場合について考えると、レンズの配列ピッチの半分であるL/2を底辺とし、H1を高さとする三角形と、画素1.5N個分の距離1.5N×P(左右画素の場合はN=2)を底辺とし、H−H1を高さとする三角形に相似の関係が成立し、下記の数式17が成立する。
【0123】
[数式17]
L/2:H1=1.5N×P:H−H1
【0124】
数式17をH1について整理すると、下記数式18が得られる。
【0125】
[数式18]
H1=L×H/(L+3N×P)
【0126】
数式18により算出される値は境界条件であるため、数式19に示すように、この値より小さな範囲にあれば問題はない。なお、H1の下限はゼロであり、これはレンズの表面に異方性散乱構造が形成された場合である。
【0127】
[数式19]
H1≦L×H/(L+3N×P)
【0128】
なお、前提条件として、異方性散乱構造がレンズの光軸上に存在するものと仮定したが、上述のようにメインローブと隣接する1次サイドローブまで考慮しているため、光軸上以外の場所に存在する場合についても、この条件により対応することができる。
【0129】
以上まとめると、レンズの頂点と異方性散乱構造との距離がL×H/(L+3N×P)以下となるように配置することで、X軸方向に沿った散乱性を有する異方性散乱構造が充分に微細化されていない場合でも本発明を適用でき、画質の向上が実現できる。
【0130】
次に、画像振分手段としてパララックスバリアを使用した場合において、パララックスバリアが画像振分作用を有効に発揮するための条件について詳述する。まず、図13を使用して、パララックスバリア方式について説明する。
【0131】
パララックスバリア7は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリット7aが形成されたバリア(遮光板)である。換言すれば、パララックスバリアは、振分方向となる第1の方向と直交する第2の方向に延びるスリットが、前記第1の方向に沿って複数本配列するように形成された光学部材である。左眼用画素4Lからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過するすると、領域ELに向けて進行する光束となる。同様に、右眼用画素4Rからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過すると、領域ERに向けて進行する光束となる。このとき、観察者が左眼552を領域ELに位置させ、右眼551を領域ERに位置させた場合に、観察者は立体画像を認識することができる。
【0132】
次に、表示パネルの前面にスリット状の開口部を有するパララックスバリアが配置された立体画像表示装置について、その各部のサイズを詳細に説明する。図13に示すように、パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7と観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。仮に支持基板が存在しない場合には、屈折率nを空気の屈折率である1にすればよい。このように定義すると、スリット7aから出射する光は、バリア層を支持する基板から出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。スリット7aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式20乃至25が成立する。また、下記数式26乃至28が成立する。
【0133】
[数式20]
n×sinα=sinβ
【0134】
[数式21]
OD×tanβ=e
【0135】
[数式22]
H×tanα=P
【0136】
[数式23]
n×sinγ=sinδ
【0137】
[数式24]
H×tanγ=C
【0138】
[数式25]
OD×tanδ=WL
【0139】
[数式26]
WP−WL=C
【0140】
[数式27]
WP=2×m×P
【0141】
[数式28]
WL=m×L
【0142】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0143】
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nは支持基板等の材質により決定される。そして、これらから導出されるスリットの配列ピッチL、パララックスバリアと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、スリットの開口幅S1である。即ち、バリアと画素との距離Hが固定の場合、スリットの開口幅S1が小さい程、左右の画素の像は明確に分離される。ピンホールカメラと同様の原理である。そして、開口幅S1が大きくなると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。
【0144】
パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、レンズ方式よりも直感的に算出することができる。図14に示すように、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの境界から出射した光は、スリット7aを通過する際にその開口幅である幅S1に狭めらる。そして、距離OD進行して観察面に到達するが、分離作用が存在するためには、この観察面における幅がe以下でなければならない。この幅より広がった場合には、左右画素の投影周期よりも大きくなるため、分離されないことになる。このときのスリット7aの開口幅S1は、スリットピッチLの半分である。即ち、パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、スリットピッチの1/2以下である。
【0145】
次に、パララックスバリア方式において、異方性散乱構造のZ軸方向での望ましい位置について説明する。図15に示すように、パララックスバリア方式においても、レンズ方式と同様に考えることができる。従って、レンズの配列ピッチLをスリット7aの開口幅S1として扱い、前述の数式19に適用することで、下記数式29を得ることができる。
【0146】
[数式29]
H1≦S1×H/(S1+3N×P)
【0147】
以上まとめると、パララックスバリアと異方性散乱構造との距離がS1×H/(S1+3N×P)以下となるように配置することで、X軸方向に沿った散乱性を有する異方性散乱構造が充分に微細化されていない場合でも本発明を適用でき、画質の向上が実現できる。
【0148】
更にまた、本実施形態においては、端末装置として携帯電話を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA、パーソナルTV、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータ等の各種の携帯端末装置に適用することができる。また、携帯端末装置のみならず、キャッシュディスペンサ、自動販売機、モニタ及びテレビジョン受像機等の各種の固定型の端末装置に適用することもできる。
【0149】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱シートが、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとの間に配置されていた。これに対して、本第2の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズのレンズ面が形成された面と反対側の面に異方性散乱構造が設けられ、レンチキュラレンズと一体形成されている点が異なる。
【0150】
即ち、図16に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置11においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ31が反射型液晶表示装置11の最表面となる+Z方向側に設けられ、多数のシリンドリカルレンズ31aがレンチキュラレンズ31の使用者側の面となる+Z方向の面に形成されている。そして、レンチキュラレンズ31の反射型液晶表示パネル2側の面となる−Z方向の面には、異方性散乱部である異方性散乱構造62が形成されている。一例では、異方性散乱構造62は、ホットエンボス法を用いてレンチキュラレンズ31にレンズ面を形成する際に、異方性散乱構造用の金型を裏面にセットしてプレスすることにより、レンズ面と同時に形成することができる。この方法以外にも、斜方ブラスターなどの異方性ブラスターを使用して一方向に延伸する模様を付ける技術や、ラビング技術のように一方向にこする技術を好適に使用することもできる。また、レンチキュラレンズ31と反射型液晶表示パネル2とは粘着材51で固定されており、この粘着材51は、その屈折率の値がレンチキュラレンズ31の屈折率の値とは異なる材料が使用されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0151】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第1の実施形態と比較して、異方性散乱部がレンチキュラレンズと一体形成されているため、異方性散乱部の異方性散乱構造を支持する部分を不要にできるため、薄型化が可能になる。また、異方性散乱部と画像振分部とを別々に形成して組み合わせる場合と比較して、一体形成が可能になるため、部材数の削減が可能となり、組み立て工数も削減できるため、低コスト化が可能になる。更には、組み立て時における異方性散乱部と画像振分部との位置変動をなくすことができるため、ばらつきを低減することができる。なお、本実施形態においては、異方性散乱部と画像振分部とを一体形成した特別なレンチキュラレンズを準備する必要があるが、レンズのピッチ及び曲率は変える必要がなく、従来の金型を使用できるため、低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができ、高画質化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0152】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図17は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第2の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱構造が、画像振分部であるレンチキュラレンズのレンズ面が形成された面と反対側の面に形成されていた。これに対して、本第3の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとが異方性散乱性能を有する異方性散乱糊63を用いて貼合されている点が異なる。
【0153】
即ち、図17に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置12においては、レンチキュラレンズ3のシリンドリカルレンズ3aが形成された面と反対側の面に、異方性散乱糊63が塗布され、この異方性散乱糊63によりレンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2とが貼合されている。異方性散乱糊63は、一例では、ファイバ状又はロッド状に加工された材料が、糊の中に配向分散されており、両者は異なる屈折率を有しているものである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0154】
本実施形態においては、前述の第2の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第2の実施形態と比較して、異方性散乱構造を成型するための金型と、異方性散乱構造を転写するプロセスが不要になるので、低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱糊に含有されるファイバ状又はロッド状の材料は、非常に微細な構造を有するため、散乱の面内均一性が高い。これにより、一層の高画質化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0155】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図18は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第3の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとが異方性散乱性能を有する異方性散乱糊63を用いて貼合されていた。これに対して、本第4の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ自体がその内部に異方性散乱構造を有する点が異なる。
【0156】
即ち、図8に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置13においては、レンチキュラレンズ32の基材が異方性散乱を有しており、これによりレンチキュラレンズ32自体が異方性散乱性能を有するものとなっている。異方性散乱性能を有する基材を作製する方法としては、基材作製時に屈折率の異なるファイバ状又はロッド状の材料を配向分散させる方法と、等方性散乱を有する基材を延伸して散乱に異方性を持たせる方法等を好適に使用することができる。このようにして作製した異方性散乱性能を有する基材に対して、例えばホットエンボス法を用いて表面にレンズ形状を転写し、異方性散乱を有するレンチキュラレンズ32を作製することができる。レンチキュラレンズ32は、粘着材52により反射型液晶表示パネル2に固定されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0157】
本実施形態においては、前述の第3の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第2の実施形態と比較した場合には、レンチキュラレンズと屈折率の異なる粘着材を使用する必要がない。更に、前述の第3の実施形態と比較した場合には、異方性散乱糊を使用する必要がない。即ち、前述の第2又は第3の実施形態と比較して、使用可能な粘着材及び糊の選択肢を大幅に増やすことができるため、前述の第2又は第3の実施形態の特徴に加え、より低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができ、高画質化が可能となる。
【0158】
なお、本実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ自体がその内部に異方性散乱構造を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の構成部材がその内部に異方性散乱性能を有していてもよい。一例では、表示パネルにプラスチック基板が使用され、このプラスチック基板が異方性散乱性能を有していてもよい。また、液晶表示パネルに使用される偏光板又は位相差板が異方性散乱を有していてもよい。更に、表示パネルに設けられる光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する粘着層を、異方性散乱粘着層とすることもできる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0159】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図19は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図20は図19に示す導光板及びLEDを示す上面図であり、図21は図19に示す導光板及びLEDを示す断面図である。
【0160】
図19に示すように、本実施形態の透過型液晶表示装置14においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、透過型液晶表示パネル21、異方性散乱シート64及びバックライトユニット8が設けられている。透過型液晶表示パネル21は、前述の本発明の第1の実施形態における反射型液晶表示パネル2と同様に、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素41L及び右眼用画素41Rにより構成されている。また、各表示画素はシリンドリカルレンズ3aの長手方向に沿って配列されており、レンチキュラレンズ3は、この配列された表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ3aが対応するように配置されているのも同様である。即ち、本実施形態の透過型液晶表示装置14においては、画像振分部としてのレンチキュラレンズ及び表示パネルの基本的な構成は本発明の第1実施形態と同じであり、表示パネルがバックライトとしての面状光源を必要とする透過型である点が異なる。なお、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、即ちレンズの頂点と、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rとの間の距離に設定されている。バックライトユニット8は、光源となるLED81と、光源から出射した光を伝搬して面状光源化するための導光板82と、から構成されている。図20に示すように、LED81は導光板82の−Y側の面に配置されている。LED81から出射した光は、導光板82の−Y方向の面から導光板82内に入射し、導光板内を全反射しながら伝搬する。
【0161】
図20に示すように、導光板82の+Z側の表面には、多数のドット83(凹凸構造)が配置されている。このドット83は、一例では導光板82に印刷により形成され、導光板内を伝搬する光に対して全反射条件を打ち破り、光を+Z方向に取り出す役割を担うものである。図21に示すように、導光板82に−Y側の面に配置されたLED81から発した光は、導光板に入射すると、前述のように導光板内を全反射しながら伝搬するが、これは光がドット83の形成されていない部分に入射した場合である。全反射しながら伝搬する光が、ドット83の部分に入射すると、ドットの形状により全反射条件が崩壊する。これにより、導光板内を伝搬する光は、導光板外に取り出され、導光板は面状光源として作用することになる。このように、ドットが形成された導光板では、ドットの部分から光が取り出されることになる。換言すると、ドットが形成された面状光源を微視的に観察した場合、ドットの部分はそれ以外の部分よりも明るいことになる。なお、このような微視的な明るさの違いは、ドットが形成された導光板だけで発生するものではなく、微小な溝など何らかの構造を導光板に設けることにより全反射条件を崩し、導光板から光を取り出す場合には共通して発生する現象である。即ち、微小な凹凸形状を有する導光板では、その凹凸構造に起因して、出射する光が微視的な面内分布を有する。
【0162】
本実施形態における異方性散乱シート64は、基本的な構造は本発明の第1の実施形態における異方性散乱シート6と同様のものであるが、散乱が最大となる方向がX軸方向に設定され、散乱が最小となる方向がY軸方向に設定されている点が異なる。更に、異方性散乱構造641は、異方性散乱シート64の−Z側の面に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0163】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る透過型液晶表示装置の動作について説明する。図22は図19に示す本実施形態の透過型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。図22に示すように、本実施形態における表示装置は透過型であるため、導光板82から出射し、表示パネル21に入射する光を利用して表示が実現される。今、透過型液晶表示パネル21の表示画素のある一点を通過し、その画素と対応するシリンドリカルレンズに入射する光に着目すると、そのシリンドリカルレンズ3aに入射する光線群は、レンズピッチを底辺とし焦点距離を高さとする三角形を形成する。また、シリンドリカルレンズの焦点距離は、上述のようにレンズの頂点と画素との間の距離に設定されているため、シリンドリカルレンズから出射する光は平行光となる。
【0164】
ここで、異方性散乱シート64が存在しない場合について考えると、導光板82から出射され、前述の表示画素のある一点に向かう光線群は三角形を形成する。前述のように、導光板82から出射される光は、主としてドット83から出射されている。このため、導光板82から出射され、前述の表示画素のある一点に向かう光線群が形成する三角形の底辺にドットが含まれない場合、前述の表示画素のある一点を通過する光は存在しないことになる。一方で、ドットが含まれる場合には、前述の表示画素のある一点を通過する光は存在する。この表示画素上の点は、使用者が表示パネルを観察する角度によって変化し、これに伴ってこの点に向かう光線群が形成する三角形の底辺の位置も変化する。このため、異方性拡散シートが存在しない場合には、使用者の位置に依存して、表示に明るい領域と暗い領域が発生するため、表示画像に明るさの違いが重畳して観察され、画質が低下してしまう。
【0165】
これに対して、本実施形態においては異方性散乱シート64が存在するため、前述の表示画素のある一点に向かう光線群は、異方性散乱シート64が存在しない場合よりも、より広範囲から出射されることになる。これにより、前述の表示画素のある一点に対して、ドット83が形成されていない部分が対応する可能性を小さくできる。即ち、画像振分部であるレンチキュラレンズとバックライトユニット等の面状光源の構造物による画質の低下を抑制することができる。
【0166】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、レンチキュラレンズとバックライトユニットとの間に異方性散乱シートが設けられ、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分方向となるように配置されている。また、異方性散乱シートが配置されているのは、表示パネルとバックライトユニットとの間である。これにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズとバックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。散乱シートとして異方性散乱でなく等方性散乱のものを使用した場合には、バックライトユニット8から出射した光は様々な方向に散乱されるため、正面方向の輝度が低下する問題が発生するが、本実施形態の如く異方性散乱シートを使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【0167】
本実施形態においては、異方性散乱シートの異方性散乱構造が形成された面をバックライトユニット8側に向けて配置するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示パネル21側に向けて配置することもできる。但し、レンチキュラレンズ3の焦点近傍に異方性散乱構造が配置されると、異方性散乱構造の影響が出る場合があるため、焦点から離して配置するのが好ましい。即ち、異方性散乱構造が形成された面をバックライトユニット8側に向けて配置することにより、画質の劣化をより低減することが可能となる。
【0168】
また、本実施形態においては、表面にドット83のパターンが形成された導光板82を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述のように微小な構造を有する光学素子を使用する場合に対して、同様に適用することができる。また、上述の説明ではドットパターンが導光板82のレンチキュラレンズ3側の面に形成されている例について説明したが、これと反対側の面、即ち導光板の−Z側の面に微小な構造が形成されている場合に対しても、同様に適用することができる。即ち、微小な構造を有し、この構造に起因して出射光がミクロな面内分布を有していれば、本発明を適用することができる。このような具体的な例としては、導光板では、微小な溝を設けて光を外部に取り出す方式と、微小な構造物を設けて出射光の指向性を制御するホログラム方式などを挙げることができる。また、微小な構造を有する光学素子は、導光板に限定されるものではなく、導光板から出射した光を制御するための光学シートに対しても同様に適用することができる。このような光学シートの一例としては、+Z側の面に多数のプリズムが形成され、このプリズム構造による屈折を利用して出射光の指向性を高める上向きプリズムシートと、−Z側の面に多数のプリズムが形成され、このプリズム構造による屈折及び全反射を利用して出射光の指向性を高める下向きプリズムシートが挙げられる。本実施形態においては、これらのプリズムシートの選択肢を増やすことができ、低コスト化が可能となる。更にまた、多数の微小ドットを介して導光板と光学シートが密着配置され、この密着ドット構造を用いて導光板より光を取り出す方式に対しても同様に適用することができる。
【0169】
更に、本実施形態においては、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分方向と平行となるように配置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の角度を設けて配置することもできる。
【0170】
更にまた、本実施形態においては、異方性散乱部として異方性散乱シートを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の他の実施形態に記載の異方性散乱部を好適に使用することもできる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0171】
また、本実施形態における表示パネルは、透過型液晶表示パネルを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バックライトを使用する表示パネルに対して効果的に適用することができる。例えば、液晶表示パネル以外の透過型表示パネルを使用する場合についても同様に適用できる。
【0172】
更に、レンチキュラレンズを使用した場合だけでなく、パララックスバリアを使用した場合でも同様に適用することができる。
【0173】
なお、照明手段としてのバックライトの構成要素である導光板や光学シートなどの光学部材においては、発光の面内均一性など光学的な特性の制約が存在するため、ピッチなどの構造にも制約がある。従って、画像振分手段と組み合わせる際に微細な方が好ましいとしても、微細化は一般的に困難である。これに対し、異方性散乱構造はバックライトの構造とは独立して微細化が可能なため、画像振分手段に近接して配置することができ、高画質化が可能となる。
【0174】
次に、画像振分手段としてパララックスバリアを使用し、特に表示パネルの光源側にパララックスバリアを配置した場合について詳述する。まず、図23を使用して、表示パネルの背面側にパララックスバリアを配置した場合について説明する。図23に示すように、パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7を含めた表示パネルの厚みをHtとし、表示パネルと観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。仮に支持基板が存在しない場合には、屈折率nを空気の屈折率である1にすればよい。このように定義すると、スリット7aから出射して画素を通過した光は、表示パネルから出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aから出射した光に着目し、表示パネルの観察者側の端面における入射角及び出射角を夫々α及びβとする。X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおいても、同様に入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。スリット7aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式30乃至35が成立する。また、下記数式36乃至38が成立する。
【0175】
[数式30]
n×sinα=sinβ
【0176】
[数式31]
OD×tanβ=e+P×Ht/H
【0177】
[数式32]
H×tanα=P
【0178】
[数式33]
n×sinγ=sinδ
【0179】
[数式34]
H×tanγ=C×Ht/H
【0180】
[数式35]
OD×tanδ=WP−(Ht/H−1)×C
【0181】
[数式36]
WP−WL=C
【0182】
[数式37]
WP=2×m×P
【0183】
[数式38]
WL=m×L
【0184】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0185】
そして、リア型のパララックスバリア方式においても、画像の分離が有効になるスリット幅の範囲は、フロント型と同様にスリットピッチLの半分である。
【0186】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図24は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第5の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱シートが、透過型液晶表示パネルとバックライトユニットの間に配置され、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分方向と平行に配置され、異方性散乱シートの異方性散乱構造は異方性散乱シートのバックライトユニット側の面に形成されていた。これに対して、本第6の実施形態においては、表示パネルとして各画素に透過用の表示領域と反射用の表示領域とを有する半透過型液晶表示パネルが使用され、異方性散乱シートはレンチキュラレンズと透過型液晶表示パネルとの間に配置され、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向がレンチキュラレンズの画像振分方向と直交する方向に配置されている点が異なる。また、異方性散乱シートの異方性散乱構造は、異方性散乱シートのレンチキュラレンズ側の面に形成されている。
【0187】
即ち、図24に示すように、本実施形態に係る半透過型画像表示装置15においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、異方性散乱シート65、半透過型液晶表示パネル22及びバックライトユニット8が設けられている。更に、異方性散乱シート65の散乱が最大となる方向はY軸方向に設定され、レンチキュラレンズの画像振分方向であるX軸方向と直交している。更にまた、異方性散乱シート65の異方性散乱構造651は、異方性散乱シート65の+Z側の面に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第5の実施形態と同様である。
【0188】
本実施形態においては、前述の第5の実施形態と同様に、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズとバックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、また異方性散乱シートを使用することにより散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。また、前述の第5の実施形態と比較して、異方性散乱部をレンチキュラレンズと半透過型液晶表示パネルとの間に配置することにより、反射表示時にレンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。即ち、バックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下と、反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を同時に低減することができる。
【0189】
また、本実施形態においては、異方性散乱シートの異方性散乱構造が形成された面をレンチキュラレンズ側に向けて配置するものとして説明したが、表示パネル側に向けて配置する場合と比較して、異方性散乱構造をレンチキュラレンズの焦点から離れて配置することができるため、画質の劣化をより低減することが可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第5の実施形態と同様である。
【0190】
ここで、以降の実施形態について説明する前に、本発明の第7実施形態乃至第10実施形態に共通する課題として、前述の本発明者が新たに見出した問題点について説明する。この問題点とは即ち、レンチキュラレンズ等の画像振分部を設けた表示装置において、隣接する画素の境界領域等、表示に寄与しない領域の模様が、レンズ又はスリットの配列方向に平行な線となって観察され、画質を低下させるという問題である。本発明者は画像振分部を設けた表示装置の高画質化について、鋭意検討を行った。その結果、表示画像に重畳して画像振分方向に延伸する縞模様が、従来の画像振分部を持たない表示装置よりも目立って視認される現象を見出し、以下に示す知見を得たので、この知見について図を使用して説明する。図25は本発明の第1比較例に係る表示装置を示す断面図であり、図26は図25に示す表示パネルの画素を示す上面図であり、図27は図25に示す表示装置を観察者が視認した場合の表示画面の視認像を示す図である。
【0191】
図25に示すように、本第1比較例の透過型液晶表示装置116においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ103、透過型液晶表示パネル123が設けられている。透過型液晶表示パネル123は、前述の本発明の第5の実施形態における透過型液晶表示パネル21と同様に、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素142L及び右眼用画素142Rにより構成されている。レンチキュラレンズ103は、前述の第5の実施形態と同様に、表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ103aが対応するように配置されている。
【0192】
図26に示すように、本第1比較例の透過型液晶表示パネル123においては、左眼用画素142L及び右眼用画素142Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域140を有している。遮光領域140は、隣接画素の影響を取り除いたり、配線を設ける領域を確保する目的で形成されるものである。本第1比較例においては、表示画素がX軸方向及びY軸方向に配列されるため、遮光領域140はX軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。このような遮光領域の形状は、通常の液晶表示パネルによく見られるものである。
【0193】
このような遮光領域の形状を有する表示パネルに画像振分部であるレンチキュラレンズを設けて観察すると、正面方向の観察者は左眼用画素142L及び右眼用画素142RのそれぞれA−A線、B−B線の部分を観察することになる。この結果、図27に示すように、観察者は遮光領域として、Y軸方向に延びる線分は観察できず、X軸方向に延びる線分のみを視認することになる。即ち、画像振分方向に延伸する遮光領域のみを視認し、画像振分方向と直交する方向の遮光領域は視認されない。レンチキュラレンズを設けない場合、使用者は縦横方向の格子模様を視認していたが、レンチキュラレンズを設けることにより観察者は画像振分方向のみの遮光領域を視認することになり、画像振分方向に延伸する縞模様となって認識されることになる。一例では、本第1比較例の場合には、画像振分方向が左右方向に相当するため、横方向の縞模様が表示画像に重畳して視認される。この縞模様により、表示画像の品質が低下することになる。
【0194】
また、この縞模様について本発明者は更に鋭意検討したところ、表示パネルの解像度が低い方が、より大きな問題となることが判明した。これは、解像度の低い方が縞の幅及び間隔が大きくなり、使用者が容易に視認できるためと考えられる。また、立体画像表示装置の場合には、表示画像の縦横の解像度が一致すると、特に大きな問題となることが判明した。これは、縦横の解像度が異なる場合には、その縦横解像度の違いが横方向の縞模様と重畳して観察者に視認されるが、この縦横解像度の違いの方が横方向の縞模様よりも大きな問題となるため、相対的に縞模様の方が問題にならないためと考えられる。更にまた、画像振分部としてパララックスバリアを使用する場合よりも、レンチキュラレンズを使用する場合の方が大きな問題となることが判明した。これは、パララックスバリアの場合には、スリットとそれ以外の領域が画像振分方向と垂直な方向に延びる縞模様を形成するため、この縞模様の方が相対的に大きな問題となるためと考えられる。一般的にレンチキュラレンズを使用した場合には、パララックスバリアの場合に発生する模様は発生しないため、画像振分方向と平行な方向に延びる縞模様が問題となる。
【0195】
本発明の第7の実施形態は、上述の課題も解決することができるものである。図28は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図29は図28に示す表示パネルの画素を示す上面図である。
【0196】
図28に示すように、本第7の実施形態の透過型液晶表示装置16においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66、透過型液晶表示パネル23が設けられている。透過型液晶表示パネル23は、前述の図25及び図26に記載の透過型液晶表示パネル123と同じものである。即ち、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素42L及び右眼用画素42Rにより構成されている。レンチキュラレンズ3は、前述の第5の実施形態と同様に、表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ3aが対応するように配置されている。本実施形態における異方性散乱シート66は、本発明の第1実施形態と同様に、その散乱が最大となる方向がレンチキュラレンズ3の画像振分方向と直交する方向に配置され、散乱が最小となる方向が画像振分方向と平行な方向に配置されている。また、異方性散乱シート66の異方性散乱構造661は、異方性散乱シート66の+Z側の面、即ちレンチキュラレンズ側の面に形成されている。
【0197】
図29に示すように、本第7の実施形態の透過型液晶表示パネル23においては、左眼用画素42L及び右眼用画素42Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域40を有している。前述の本発明の第1比較例と同様に、表示画素がX軸方向及びY軸方向に配列されるため、遮光領域40はX軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である
【0198】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る透過型液晶表示装置の動作及び効果について説明する。前述のレンチキュラレンズを設けた透過型液晶表示装置においては、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向に延びる遮光領域が縞模様となって視認されるが、本実施形態においてはレンチキュラレンズの画像振分方向と垂直な方向に大きな散乱を有する異方性散乱シートが設けられているため、画像振分方向と平行な方向の縞模様は異方性散乱シートにより低減される。また、異方性散乱シートの散乱が最小となる方向は、画像振分方向と平行に配置されているため、画像振分効果への悪影響を最小限に留めることができる。
【0199】
本実施形態においては、適用する画素ピッチに対し、画像振分部の画像振分方向に延びる遮光領域の幅が大きな表示パネルに対して、より効果を発揮することができる。このような表示パネルの例として、カラー表示を実現するため、赤緑青のカラーフィルタが画像振分方向と平行な方向に延びる横ストライプ型の表示パネルが挙げられる。このようなカラーストライプの配列方向が画像振分方向と直交する方向である横ストライプ型の表示パネルにおいては、異なるカラーの境界が画像振分方向と直交する方向に配置されるため、画像振分方向に延伸する遮光領域の割合が大きくなるからである。そして本発明を好適に適用でき、この画像振分方向に延伸する遮光領域の影響を低減できるため、高画質化が可能となる。なお、画素ピッチがより大きな表示パネルの方が、より効果的に適用することができるのはいうまでもない。これは、画素ピッチの大きな表示パネルの方が、縞模様のピッチが大きくなり、使用者に視認されやすくなるためである。
【0200】
また、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の画像振分部を有する表示装置において、左眼用画像及び右眼用画像等の表示画像の縦横の解像度が一致する場合に対し、特に好適に適用し、大きな効果を発揮することができる。これは、縦横の解像度が異なる場合には、その解像度の違いに埋もれて、縞模様が相対的に気にならなくなるからである。即ち、表示画像の縦横の解像度が一致することにより、相対的に画像振分方向と平行な方向の縞模様が目立ち、本発明によりこの縞模様を効果的に低減できるからである。更にまた、画像振分部としてパララックスバリアを使用する場合よりも、レンチキュラレンズを使用する場合に対し、大きな効果を発揮することができる。これは、レンチキュラレンズの方がバリアの模様のない高品質の表示が可能なため、相対的に画像振分方向と平行な方向の縞模様が目立ち、この縞模様を効果的に低減できるからである。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1又は第5の実施形態と同様である。
【0201】
ここで、縞模様、即ちレンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向に延伸する遮光領域の視認性について詳述する。視認性は人間の視力、観察距離にも依存する。観察距離に関しては、立体ディスプレイでは立体視域が存在するため、その視域中における使用が前提となる。そこで、まず立体視域について説明する。
【0202】
図30は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最大観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。表示パネルの任意の左眼用画素から出射した光は、レンチキュラレンズにより所定の領域に向けて偏向される。この領域が左眼領域71Lである。同様に、右眼用画素から出射した光は、右眼領域71Rに向けて偏向される。そして、使用者が左眼領域71Lに左眼551を位置させ、右眼領域71Rに右眼552を位置させると、左右の眼に異なる画像を入射させることができる。これらの画像が視差画像であれば、使用者は立体画像を視認することになる。
【0203】
但し、左眼領域71L及び右眼領域71Rの任意の位置に各々の眼を配置することはできない。これは、両眼間隔による制約が存在するからである。文献によると、人間の両眼間隔は概ね一定であり、一例では、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil A. Dodgson, “Variation and extrema of human interpupillary
distance”, Proc. SPIE vol.5291)。従って、立体表示装置を設計する場合には、両眼間隔の値を62乃至65mmの範囲に設定することが適当であり、63mm程度の値が使用される。左眼領域及び右眼領域のサイズにこの両眼間隔の制約を加えて立体視域を算出する必要がある。
【0204】
ここで、左眼領域及び右眼領域の幅について説明する。前述のように、最適観察距離ODにおける各画素の拡大投影像の周期をeとしているが、この値は両眼間隔と等しく設定するのが好ましい。周期eが両眼間隔より小さい場合には、周期eに制限され立体視域幅が小さくなってしまう。また、周期eが両眼間隔より大きい場合には、立体視域幅は周期eにより制限されないが、両眼間隔により制限される。しかも、斜め方向に発生するサイドローブを利用しての視認が困難になる。このため、周期eを大きくしても、立体視域幅が拡大することはない。以上の理由から、周期eは両眼間隔と等しく設定される。
【0205】
すると、立体視域における最大観察距離は、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位から出射した光の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の中央から出射した光線に着目する。このとき、WLを底辺とし最適観察距離ODを高さとする三角形と、e/2を底辺としFD−ODを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記数式39が成立し、これを整理すると、下記数式40に示すように最大観察距離FDが得られる。
【0206】
[数式39]
WL:OD=e/2:FD−OD
【0207】
[数式40]
FD=OD×(WL+e/2)/WL
【0208】
次に、最小観察距離を算出する。図31は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最小観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。立体視域における最小観察距離は、表示パネルのX軸方向の端から出射した光線の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の図右端から出射した光線に着目する。このとき、WL+e/2を底辺とし最小観察距離NDを高さとする三角形と、e/2を底辺としOD−NDを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記数式41が成立し、これを整理すると、下記数式42に示すように最小観察距離NDが得られる。
【0209】
[数式41]
e/2:OD−ND=WL+e/2:ND
【0210】
[数式42]
ND=OD×(WL+e/2)/(WL+e)
【0211】
以上により、立体視域71が算出された。これは、図30又は図31に示すように、ダイヤモンド状の四角形となる。そのX軸方向における幅は、画素の拡大投影像の周期eの半分である。Y軸方向における幅は、最大観察距離FDと最小観察距離NDとの差分となる。
【0212】
遮光領域の視認性については、この立体視域に使用者が位置した際に、認識できないことが好ましい。例えば、立体視域において表示装置からの最遠端となる最大観察距離FDから視認できないことは必須であるし、最適観察距離ODから視認できない方が好ましい。更には、最小観察距離NDから視認できなければ完璧である。
【0213】
そこで、次に遮光領域の視認性、即ち視距離と遮光領域の幅の関係について詳述する。使用者が遮光領域を視認できないようにするためには、遮光領域の幅を観察者の視力による分解能以下に設定する必要がある。図32に示すように、観察者の視力と識別可能な最小視角との関係は、下記数式43により与えられる。
【0214】
[数式43]
視力=1/視角(分)
【0215】
一般的に視力は1.0であり、上記数式43から、視力1.0である観察者の最小視角は1分、即ち1/60度と算出される。そしてこのとき、観察距離D(mm)における観察者の眼の分解能は、D×tan(1/60)(mm)となる。なお、tan中の角度単位は「度」であり、具体的な数値としては、tan(1/60)は0.00029である。従って、遮光領域、即ち表示に寄与しない領域の幅をD×tan(1/60)(mm)より小さくすることにより、遮光領域の幅を眼の分解能よりも小さくでき、使用者による遮光領域の視認を防止できる。
【0216】
以上まとめると、遮光領域の幅は、FD×tan(1/60)より小さくする必要があり、FD×tan(1/60)より小さい方が好ましい。更には、ND×tan(1/60)より小さければ、立体視域の全ての場所において、使用者による遮光領域の視認を防止できる。
【0217】
そして、特に本実施形態によれば、上記の制約を緩和して、より遮光領域の幅が大きな場合においても、使用者による遮光領域の視認性を低下させて、表示品質を向上することができる。即ち、画像振分手段の画像振分方向と平行な方向に延伸する遮光領域の幅が、ND×tan(1/60)以上である場合に本発明を効果的に適用することができる。
【0218】
なお、上記の説明は、左右画像の分離性能を最大にしたレンズの場合について説明したが、分離性能を最大にしたピンホール状のバリアの場合にも、同様に適用することができる。そして、レンズの場合にはデフォーカス設定、即ちレンズの焦点面を画素面からずらして配置した場合には、立体視域は上記よりも狭くなる。バリアの開口を大きくした場合でも同様である。ただし、このように立体視域を狭くした場合には、最適観察距離ODは変化せず、最大観察距離FDが小さくなって最適観察距離ODに近付き、最小観察距離NDが大きくなって最適観察距離ODに近付くことになる。従って、分離性能が最大となる場合について算出した上記の条件は、分離性能を低下させた場合にも同様に適用できることになる。
【0219】
なお、本実施形態の構成により、画像振分手段の画像振分方向と直交する方向に延伸する遮光領域の影響を低減することもできる。立体表示装置において、縦方向、即ちY軸方向に延伸する非表示領域は、レンズなどの画像振分手段により観察面に拡大投影される。本実施形態においては、画像振分方向であるX軸方向の散乱を、分離性能が大幅に悪化しない程度に残しておくことにより、この影響を低減することができる。
【0220】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図33は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図34は図33に示す表示パネルの画素を示す上面図である。前述の第7の実施形態においては、透過型液晶表示パネルの遮光領域が、X軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状であった。これに対して、本第8の実施形態においては、透過型液晶表示パネルの遮光領域の形状が異なる。即ち、X軸方向に延びる線分は直線状であるが、Y軸方向に延びる線分はY軸に対して傾斜している。
【0221】
即ち、図33に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置17においては、前述の本発明の第7実施形態における透過型液晶表示装置16と比較して、透過型液晶表示パネル24が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第7実施形態と同様である。
【0222】
図34に示すように、本第8実施形態の透過型液晶表示パネル24においては、左眼用画素43L及び右眼用画素43Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域42を有している。そして、左眼用画素43L及び右眼用画素43Lが隣接する方向であるX軸方向に対し、遮光領域42が延びる線分の方向は、X軸方向と平行になっている。これに対して、Y軸方向に延びる遮光領域42の線分は、Y軸方向に対して傾斜した線分の集合体となっている。この結果、画素の光を透過する領域は、略平行四辺形状に形成されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素の光を透過する領域は、X軸に対して線対称な略平行四辺形状に形成されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域42の線分は、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第7の実施形態と同じである。
【0223】
本実施形態においては、前述の第7実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、Y軸方向に延びる遮光領域の線分がジグザグ形状となっているため、Y軸方向に延びる遮光領域がレンチキュラレンズの画像振分効果によって使用者に拡大表示され、左眼用画像と右眼用画像の境界に輝度の低下した領域が発生する現象を抑制できる。この場合、画像振分方向となるX軸方向においては、前述の第7実施形態と比較して、より広い範囲で画像を視認できるため、X軸方向の縞模様を低減できない場合にはより大きな問題となるが、本実施形態では異方性散乱部を用いて縞模様が低減できるため、前述の第7実施形態よりも大きな効果を発揮することができる。
【0224】
本実施形態においては、Y軸方向に延びる遮光領域の線分が、Y軸方向に対して一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば一画素内で複数回ジグザグに配置されていてもよいし、逆に複数画素の周期でジグザグ形状が形成されていてもよい。また、ジグザグ形状は、Y軸方向から+X方向又は−X方向に傾斜した線分から構成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、曲線で構成されていてもよい。更には、画素の光を透過する領域が略平行四辺形状に形成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、一例では各画素が略台形状に形成され、隣接する画素においてこの略台形状の開口が回転対称に配置されていてもよい。
【0225】
図35は本実施形態に適用可能な表示パネルの画素の別の実施例を示す上面図である。図35に示すように、透過型液晶表示パネル24aにおいては、左眼用画素43La及び右眼用画素43Raが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域42aを有しており、この遮光領域42aにより囲まれた光を透過する領域は、略台形状に形成されている。そして、左眼用画素43Laと右眼用画素43Raは、回転対称の関係に配置されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素は、その光を透過する領域が回転対称の関係に配置されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域42aの一本の線分に着目すると、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっており、更にX軸方向に隣接しY軸方向に延びる遮光領域42aの別の線分に着目すると、ジグザグ形状がY軸対称になっている。本実施例においては、前述の効果に加え、特に薄膜トランジスタを使用したアクティブマトリクス方式の表示パネルに好適に適用でき、高開口率化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1又は第5の実施形態と同様である。
【0226】
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図36は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図37は図36に示す表示パネルの画素を示す上面図である。本第8実施形態においては、横電界方式の透過型液晶表示パネルを使用している点が異なる。
【0227】
図36に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置18においては、前述の本発明の第8実施形態における透過型液晶表示装置17と比較して、横電界方式の透過型液晶表示パネル25が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第8実施形態と同様である。
【0228】
図37に示すように、本第9実施形態の透過型液晶表示パネル25は横電界方式の液晶表示パネルであり、左眼用画素44L及び右眼用画素44RにはXY平面内に横電界を発生させるための櫛歯電極48が形成されている。また、左眼用画素44L及び右眼用画素44Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域43を有している。遮光領域43の基本的な形状は、前述の図34に示す第8実施形態と同様であるが、本実施形態の表示パネルは横電界方式であり、隣接画素からの横電界の影響を低減するため、また櫛歯電極48の設置のために、遮光領域の幅がより大きくなっている点が異なる。即ち、左眼用画素44L及び右眼用画素44Rが隣接する方向であるX軸方向に対し、遮光領域43が延びる線分の方向は、X軸方向と平行になっている。これに対して、Y軸方向に延びる遮光領域43の線分は、Y軸方向に対して傾斜した線分の集合体となっている。この結果、画素の光を透過する領域は、略平行四辺形状に形成されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素の光を透過する領域は、X軸に対して線対称な略平行四辺形状に形成されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域43の線分は、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっている。櫛歯電極48は、遮光領域43のジグザグ形状と平行に形成され、Y軸方向に所定の角度を有している。なお、ジグザグ形状に形成された遮光領域43の幅は、隣接画素の横電界の影響を低減するため、前述の第8実施形態と比較して、より広く形成されている。また、X軸方向に延びる遮光領域43の線分の幅は、前述の第8実施形態と比較して、より広く形成されているが、これは横電界方式においては櫛歯電極の櫛歯部分に配線するため、櫛歯電極の付け根部分に横電界が発生できない領域が生じ、この領域を遮光する必要があるからである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第8の実施形態と同じである。
【0229】
本実施形態においては、前述の第8実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、液晶表示パネルのインプレインスイッチングモードの駆動に好適に使用することができ、櫛歯電極の付け根部分に形成される遮光領域に起因する縞模様を効果的に低減できる。更に、櫛歯電極の上は、横電界が弱く液晶分子が十分に駆動されずに透過率が低下し、この透過率のムラによって表示画質が低下するが、本実施形態においては異方性散乱シートの異方性散乱効果により、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、この表示画質の低下を抑制することができる。
【0230】
本実施形態においては、液晶表示パネルのインプレインスイッチングモードの駆動に好適に使用することができ、広い角度範囲に渡って階調反転の発生しない広視野角表示が実現できる。このような液晶モードの他の例としては、例えば、インプレインスイッチングモードと同様に横電界モードであるフリンジ・フィールド・スイッチングモード及びアドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチングモードがあり、同様に適用することができる。なお、櫛歯電極は、アルミニウム等の金属材料により形成された不透明電極、又はITO(Indium tin oxide:酸化インジウム錫)等により形成された透明電極のどちらでもよく、いずれの場合においても同様の効果が得られる。
【0231】
更に、本実施形態においては、液晶表示パネルは横電界モードに限定されるものではなく、表示画素の電極構造や凹凸構造等に起因して、一画素内に透過率の分布を発生させる液晶モードに好適に適用することができる。このような液晶モードの例としては、上述のモードの他に、マルチドメイン化した垂直配向モードであるマルチドメイン・ヴァーティカル・アライメントモード、パターンド・ヴァーティカル・アライメントモード・アドヴァンスト・スーパー・ヴイモード等が挙げられる。このマルチドメイン化した垂直配向モードの場合、ドメイン間の境界部に光を透過しない領域が発生するからである。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第8の実施形態と同様である。
【0232】
なお、表示パネルの表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有するが、本発明においては、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向とすることができる。また、前記表示単位は正方形の中に形成されているようにすることができる。
【0233】
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図38は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図39は図38に示す表示パネルの画素を示す上面図である。本第10実施形態においては、前述の第7の実施形態と比較して、各画素の表示領域に透過表示用の領域と反射表示用の領域とを兼ね備えた半透過型液晶表示パネルを使用している点が異なる。
【0234】
即ち、図38に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置19においては、前述の本発明の第7実施形態における透過型液晶表示装置16と比較して、半透過型液晶表示パネル26が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第7実施形態と同様である。
【0235】
図39に示すように、本第10の実施形態の透過型液晶表示パネル26においては、左眼用画素45L及び右眼用画素45Rが、それぞれの画素の表示領域の周囲に遮光領域44を有している。遮光領域44は、X軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。そして、各画素の遮光領域44に囲まれた表示領域には、透過用表示領域と反射用表示領域が形成されている。具体的には、左眼用画素45Lには透過用表示領域45Ltと反射用表示領域45Lrとが形成され、それぞれの表示領域は画素をY軸方向に二分するように配置されている。右眼用画素45Rにも同様に透過用表示領域45Rtと反射用表示領域45Rrが形成されている。即ち、複数の画素に渡って見ると、透過用表示領域及び反射用表示領域は、夫々、X軸方向に延びる横線状となっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第7の実施形態と同様である。
【0236】
本実施形態においては、前述の第7実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、透過表示、反射表示の際に発生する画像振分方向の縞模様を低減することができる。例えば、透過表示の場合、特に周囲が暗く外光が表示に寄与しない場合には、反射用表示領域は遮光領域と同様に視認される。従って、異方性散乱部が存在しない場合には、遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域も縞模様として視認され、表示品質が大幅に低下することになる。本実施形態においては、透過表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、透過表示の品質を向上することができる。同様に、反射表示の場合、特に周囲が明るく反射表示が支配的で透過表示が視認されない場合には、透過用表示領域は遮光領域と同様に視認される。従って、異方性散乱部が存在しない場合には、遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域も縞模様として視認され、表示品質が大幅に低下することになる。本実施形態においては、反射表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、反射表示の品質を向上することができる。即ち、本実施形態においては、半透過型表示装置における透過表示及び反射表示の品質を向上させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第7の実施形態と同様である。
【0237】
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図40は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図であり、図41は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【0238】
図40及び図41に示すように、本実施形態における反射型画像表示装置10は、端末装置としての携帯電話91に組み込まれている。そして、本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの長手方向、即ちY軸方向が画像表示装置の横方向、即ち、画像の水平方向であり、シリンドリカルレンズ3aの配列方向、即ちX軸方向が縦方向、即ち、画像の垂直方向である点が異なっている。
【0239】
また、図40に示すように、反射型液晶表示パネル27には、各1つの第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sからなる画素対が複数個、マトリクス状に配列されている。そして、1つの画素対における第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sの配列方向は、シリンドリカルレンズ3aの配列方向となるX軸方向であり、画面の縦方向(垂直方向)である。また、各画素4F及び4Sの構造は、前述の第1実施形態と同様である。更にまた、異方性散乱シート67の散乱が最大となる方向はX軸方向に配置され、散乱が最小となる方向はY軸方向に配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0240】
次に、本実施形態に係る画像表示装置の動作について説明するが、基本的な動作は前述の第1実施形態と同様であり、表示する画像が異なる。反射型液晶表示パネル27の第1視点用画素4Fが第1視点用の画像を表示し、第2視点用画素4Sが第2視点用の画像を表示する。第1視点用の画像及び第2視点用の画像は、相互に視差がある立体画像ではなく、表示内容が相互に異なる平面画像である。また、両画像は相互に独立した画像であってもよいが、相互に関連する情報を示す画像であってもよい。
【0241】
本実施形態においては、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができるだけでなく、観察者が携帯電話91の角度を変えるだけで、第1視点用の画像又は第2視点用の画像を選択して観察できるという利点がある。特に、第1視点用の画像と第2視点用の画像との間に関連性がある場合には、観察角度を変えるという簡単な手法で夫々の画像を切り換えて交互に観察できるため、利便性が大幅に向上する。なお、第1視点用の画像と第2視点用の画像とを横方向に配列した場合には、観察位置によっては、右眼と左眼とで異なる画像を観察する場合がある。この場合、観察者は混乱し、各視点の画像を認識できなくなる。これに対して、本実施形態に示すように、複数視点用の画像を縦方向に配列した場合には、観察者は各視点用の画像を必ず両眼で観察できるため、これらの画像を容易に認識できる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態は、前述の第2乃至第10の実施形態のいずれかの実施形態と組み合わせることもできる。
【0242】
なお、前述の第1乃至第11の実施形態においては、携帯電話等に搭載され、1人の観察者の左右の眼に相互に視差がある画像を供給して立体画像を表示するか、1人の観察者に複数種類の画像を同時に供給する画像表示装置の例を示したが、本発明に係る画像表示装置はこれに限定されず、大型の表示パネルを備え、複数の観察者に相互に異なる複数の画像を供給するものであってもよい。後述の第12実施形態以降についても同様である。
【0243】
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。図42は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第12の実施形態においては、異方性散乱シートの代わりに異方性散乱層681が基板2aの内側に設けられている点が大きく異なる。即ち、異方性散乱層をパネルの内部に内蔵した、インセル型の表示パネルである
【0244】
図42に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置111においては反射型液晶表示パネル28が使用されている。反射型液晶表示パネル28を構成する基板において、反射板4が形成されておらず、観察者側となる+Z方向側に配置されている基板2aの液晶層5側に、異方性散乱層681が配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0245】
本実施形態においては、前述の第1実施形態と同様に、異方性散乱層を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、従来と同様のレンチキュラレンズやガラス基板を使用でき、異方性散乱シートや異方性散乱糊を使用する必要がない。このため、使用部材を低減でき、低コスト化、薄型化が可能となる。更には、異方性散乱層を反射板と近接配置できるため、表示面内や厚み方向における位置精度を向上でき、誤差の低減が可能であり、画質が向上できる。
【0246】
本実施形態における異方性散乱層は、前述の2P法の他に、フォトリソグラフィ技術を使用して形成することもできる。また、異方性散乱層のかわりに、基板2aの液晶層側の表面に異方性散乱構造が設けられていてもよい。異方性散乱構造の液晶側にオーバーコート層が設けられていてもよい。これにより異方性散乱構造に起因する凹凸を平坦化して、液晶分子の配向性を向上することができる。更に、異方性散乱層は、カラー表示をするためのカラーフィルタの色層に含まれていてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0247】
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。図43は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第12の実施形態と比較して、本第13の実施形態においては、異方性散乱層681がパターン化されている点が異なる。
【0248】
即ち、図43に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置112においては反射型液晶表示パネル29が使用されている。異方性散乱層681は、基板2aの液晶層5側に配置されている。所謂インセル型である。そして、異方性散乱層681が表示面内全面ではなく、部分的に配置されている。そして、この異方性散乱層681の位置は、反射板の凹凸構造の位置と対応させて配置されている。一例では、反射板の凹凸構造の表示面内における位置と、異方性散乱層681の表示面内における位置が同じである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第12の実施形態と同様である。
【0249】
本実施形態においては、反射板の凹凸構造に対応させて異方性散乱層を配置することにより、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。問題が発生する部分にのみ異方性散乱層を配置することができるため、その他の部分に与える影響を低減することができる。例えば半透過型液晶表示パネルにも好適に適用でき、透過表示領域には影響を与えないように、反射表示領域にのみ異方性散乱層を配置することもできる。
【0250】
本実施形態においては、異方性散乱効果が表示面内において分布を有している点が重要である。このため、異方性散乱層はパターン化されずに、散乱効果が面内分布を有し、必要な部分にのみ散乱効果が存在しても良い。即ち、散乱層の散乱効果に面内分布を持たせ、反射板の凹凸構造近傍のみ異方性散乱効果を高めるのも有効である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第12の実施形態と同様である。
【0251】
次に、本発明の第14の実施形態について説明する。図44は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第14の実施形態においては、異方性散乱シートの代わりにレンズの曲面部分に異方性散乱構造が設けられている点が大きく異なる。
【0252】
即ち、図44に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置113においては、多数のシリンドリカルレンズ33aを有するレンチキュラレンズ33が使用されている。レンチキュラレンズ33は、隣接するシリンドリカルレンズ33aの谷の部分に、異方性散乱構造691が設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0253】
本実施形態においては、レンズの曲面部分に異方性散乱構造を設けることにより、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点から離して配置することができるため、高画質化が可能となる。更に、隣接するシリンドリカルレンズの谷の部分に異方性散乱構造を設けているので、収差が少なく画像分離性能に優れた光軸付近においては、画像分離性能は損なわれない。即ち、画像分離性能に優れた部分は画像分離に利用し、画像分離性能が低下した部分を異方性散乱に使用することで、両性能の両立が可能となる。
【0254】
なお、本実施形態においては、レンチキュラレンズ自体を変更する必要はあるものの、既存の金型に追加の加工を施すことで対応できる。このため、レンチキュランレンズのレンズ形状、即ちレンズとして作用する部分の形状は変更せずに済む。異方性散乱構造を金型に追加する場合には、隣接するレンズの谷の部分が金型では凸の部分になるため、この頂上部分に加工を施せばよい。金型の谷の部分に加工を施すよりも、頂上部分に加工を施す方が容易である。具体的には、金型をレンズの配列方向にのみ研磨して、意図的にキズを設けてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0255】
次に、本発明の第15の実施形態について説明する。図45は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第15の実施形態においては、異方性散乱シートが使用されず、レンチキュラレンズより観察者側に保護板が設けられ、この保護板が異方性散乱性能を有する点が異なる。
【0256】
即ち、図45に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置114においては、レンチキュラレンズ3の観察者側である+Z方向側に保護板79が配置されている。保護板79は、外部から表示パネル2やレンチキュラレンズ3を保護するための板である。そして、保護板79が異方性散乱性能を有している。異方性散乱の方向など、基本的な異方性散乱の性能は前述の第1実施形態と同様である。また、本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0257】
本実施形態においては、表示パネルやレンチキュラレンズを変更することなく、本発明を適用することができ、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。
【0258】
本実施形態においては、保護板のレンチキュラレンズ側の側面である−Z側の面に、異方性散乱構造が形成されていてもよい。また、保護板の替わりにタッチパネルが配置されていてもよい。なお、異方性散乱効果を有する部分がレンチキュラレンズから離れると、表示自体がぼやけてしまうので、極力レンズに近い部分に配置されるのが好ましい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0259】
次に、本発明の第16の実施形態について説明する。図46は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図47は本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す斜視図であり、図48はフライアイレンズを示す上面図であり、図49は異方性散乱シートに関し(a)に本発明の第1実施形態の散乱特性を示し(b)に本第16実施形態の散乱特性を示した図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第16の実施形態においては、レンチキュラレンズの代わりにフライアイレンズが使用されている点が異なる。更に、異方性散乱シートは、X状に強い散乱を有する2軸散乱特性を有する。即ち本実施形態は、表示面内における複数の方向に対して、画像振分効果を実現する。これにより、画面を回転させても立体視が可能な表示装置や、左右方向のみならず上下方向に視点を動かした場合でも異なる視差画像を視認可能なインテグラル・フォトグラフィ方式の表示装置に好適に適用できる。
【0260】
図46に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置115においては、構成要素は異なるものの、Z軸方向の基本的な構成は、前述の第1実施形態と同様である。即ち、反射型表示パネル2の表示面側にはフライアイレンズ34が配置されている。そして、反射型表示パネル2とフライアイレンズ34との間には、異方性散乱シート601が配置されている。
【0261】
図47又は図48に示すように、フライアイレンズ34は、反射型表示パネル2の画素からの光を異なる方向に分離するため設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のマイクロレンズ34aが二次元配列したレンズアレイである。特に本実施形態においては、フライアイレンズ34がX軸方向のみならずY軸方向にも分離作用を持つように、マイクロレンズ34aは二次元の球面形状を有している。そして、マイクロレンズ34aの配列方向は、X軸方向及びY軸方向に設定されている。これにより、フライアイレンズ34は、少なくとも左眼用画素4L及び右眼用画素4Rから構成される表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと組合せることにより、X軸方向のみならずY軸方向にも異なる画像を表示することができる。なおこのときには、Y軸方向に隣接する表示単位が、上下視点用の画像表示を担当することになる。
【0262】
特に本実施形態においては、マイクロレンズ34aのX軸方向におけるピッチが、Y軸方向におけるピッチと同じ場合について考える。即ち、マイクロレンズ34aのX軸方向のピッチをaと定めると、Y軸方向のピッチもaである。このように、両方向のピッチが同じマイクロレンズを使用する場合には、表示パネルにおいても両方向のピッチが同じ画素を使用するのが好ましい。
【0263】
図49に示すグラフ図は、XY平面内における散乱の強さを、原点からの距離で表現したものである。このグラフ図を参照して、前述の第1実施形態の異方性散乱シート6の散乱特性と、本第16実施形態の異方性散乱シート601の散乱特性とを比較する。図49(a)に示すように、前述の第1実施形態においては、異方性散乱シート6の散乱特性は、Y軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっていた。これに対し、図49(b)に示すように、本第16実施形態においては、異方性散乱シート601の散乱特性は、±45°方向の散乱が最大となっており、0°方向及び90°方向、即ちX軸方向とY軸方向の散乱が最小となっている。即ち、散乱が最大となる方向は振分方向の中間である。換言すれば、振分方向のなす角を2分する方向の散乱が最大となっている。なお、このようなX状の2軸散乱特性は、二次元のホログラムパターンが記録されたホログラフィックディフューザにより実現することができる。
【0264】
この異方性散乱シート601の散乱特性と、フライアイレンズ34の振分方向との関係を説明しておく。フライアイレンズ34はX軸方向とY軸方向に振分効果を有するため、振分方向とその直交方向に関しては、どちらも散乱は最小でほぼ同じである。そして、散乱が最大となる方向が、振分方向とは異なっている。これは、振分方向における散乱の特性と、それ以外の方向における散乱の特性が異なっていることを意味する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0265】
本実施形態においては、フライアイレンズの画像振分方向となる0°方向及び90°方向での異方性散乱シートの散乱性能は最小となっている。これにより、異方性散乱シートはフライアイレンズの画像振分効果を損なうことがない。そして、画像振分効果が重要ではない斜め方向、即ち±45°方向において、散乱性能を高めている。これにより、画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制して、表示品質の改善が可能となる。更に、表示面内において複数の方向に画像振分効果を有する表示装置に対しても、本発明を効果的に適用することができる。
【0266】
なお、本実施形態においては、振分方向のなす角を2分する方向の散乱が最大となるものとして説明したが、散乱が最大となる角度方向は概ね2分する方向であればよい。必ずしも厳密に2分する方向である必要はない。
【0267】
また、本実施形態においては、画像振分用の光学手段としてフライアイレンズを使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。2枚のレンチキュラレンズを直交配置させてもよいし、更に多くの枚数のレンチキュラレンズを直交以外の角度で配置してもよい。更には、ピンホールを二次元状に配置したパララックスバリアを使用することもできる。
【0268】
また、異方性散乱シートは、表示面内において±45°の2方向に最大の散乱を有するものとして説明したが、更に多くの方向に強い散乱を有する、多軸性の異方性散乱性能を有していてもよい。更には、強い散乱を有する2方向の散乱強度が、異なる値を有していてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0269】
次に、本発明の第17の実施形態について説明する。図50は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図51は本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す上面図であり、図52は本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図であり、図53は横軸に表示面内の角度をとり縦軸に散乱性能をとって本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。本第17実施形態においては、前述の第16実施形態と比較して、フライアイレンズを構成するマイクロレンズの配列ピッチが異なる。このピッチの変更に合わせて、異方性散乱特性を最適化したのが本実施形態である。
【0270】
図50に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置117においては、反射型液晶表示パネル29、異方性散乱シート602、フライアイレンズ35が使用されている。
【0271】
図51に示すように、フライアイレンズ35を構成するマイクロレンズ35aは、X軸方向のピッチがaであり、Y軸方向のピッチはbである。即ち、X軸方向とY軸方向のピッチが異なる値を有している。また、このフライアイレンズ35に合わせて、反射型液晶表示パネル29のX軸方向とY軸方向のピッチも異なる値となっている。このように、X軸方向とY軸方向の画素ピッチが異なる具体例としては、表示単位を構成する単位画素のX軸方向のピッチが、Y軸方向の1/3になっている場合が挙げられる。通常のカラー表示パネルでは、赤青緑の3原色の画素を有しているため、ある方向の画素ピッチは、その直交方向の画素ピッチの1/3となっている。このような表示パネルを使用すると、マイクロレンズのX軸方向におけるピッチは、Y軸方向のピッチと異なる値となる。また、このようにピッチが異なる別の例として、画素のX軸方向とY軸方向のピッチは同じであるものの、X軸方向とY軸方向の視点数が異なる場合が挙げられる。例えば、X軸方向の視点数は2であり、Y軸方向の視点数が4である場合には、Y軸方向におけるマイクロレンズのピッチは、X軸方向におけるピッチの約4倍となる。このように、使用する表示パネルの構成や実現すべき表示特性に依存して、マイクロレンズのピッチは異なる値をとることになる。
【0272】
図52に示すように、異方性散乱シート602においては、前述の第16実施形態と同様にX状の2軸散乱特性を有するが、散乱が最大となる方向が異なる。即ち、散乱が最大となる方向は、X軸方向から+θ/2回転した方向と、−θ/2回転した方向である。ここで、角度θは、散乱が最大となる二つの方向のクロス角である。クロス角はθ及び180°−θの2種類が存在するが、本実施形態においては0°≦θ≦90°と定義し、角度の小さな方をクロス角とする。このクロス角θを使用すれば、散乱が最大となる方向の配置角は、±θ/2となる2方向である、と表現することもできる。
【0273】
そして、図53に示すように、異方性散乱特性の散乱性能が極小値となる方向が、0°方向と90°方向である。
【0274】
次に本実施形態のフライアイレンズにおけるX軸方向のレンズピッチaとY軸方向のレンズピッチb、及び散乱が最大となる方向のクロス角θ、配置角±θ/2の関係について詳述する。本実施形態においては、この3種類のパラメータa、b、θに下記数式44の関係が成立する。
【0275】
[数式44]
tan(θ/2)=b/a
【0276】
これは即ち、フライアイレンズを構成するマイクロレンズの対角方向に、異方性散乱手段の散乱が最大となる方向を配置したことに他ならない。またこれにより、フライアイレンズの画像振分方向における散乱性能を低減することができる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第16の実施形態と同様である。
【0277】
本実施形態においては、フライアイレンズの画像振分方向となる0°方向及び90°方向での異方性散乱シートの散乱性能は最小となっている。これにより、異方性散乱シートはフライアイレンズの画像振分効果を損なうことがない。そして、画像振分効果が重要ではない斜め方向において、散乱性能を高めている。これにより、画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制して、表示品質の改善が可能となる。特に、X軸方向とY軸方向とで画素ピッチや視点数が異なる表示装置に対して、本発明を好適に適用することができる。
【0278】
なお、フライアイレンズの配列方向がX軸方向と異なる角度である場合においては、この角度分をオフセットとして追加することで、本実施形態を適用することができる。
【0279】
更に、前記数式44は、本発明の最大の効果が発揮可能な条件について規定したものであり、本発明はこの数式により算出される数値に限定されるものではない。一例では、前述の第16実施形態において異方性散乱の方向はそのままでフライアイレンズにおけるレンズピッチのみ変更することも可能であるし、逆にピッチは変えずに異方性散乱の配置角やクロス角を変更することも可能である。
【0280】
なお、本第17実施形態において、フライアイレンズのY軸方向におけるレンズピッチbをX軸方向におけるレンズピッチaとしたのが、前述の第16実施形態である。この時、数式44により、tan(θ/2)=a/a=1となり、θ/2=45°が得られる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第16の実施形態と同様である。
【0281】
なお、上述の各実施形態は各々単独で実施してもよいが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0282】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限定されない。
【0283】
(付記1)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部とを有することを特徴とする表示装置。
【0284】
(付記2)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0285】
(付記3)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向から前記第1の方向に回転した方向であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0286】
(付記4)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる凸部又は凹部が形成された構造であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載の表示装置。
【0287】
(付記5)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる複数のプリズムが相互に平行に配列された一次元配列プリズム構造を有することを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【0288】
(付記6)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる複数のシリンドリカルレンズが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズ構造を有し、レンチキュラレンズのピッチは前記画素の配列ピッチよりも小さいことを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【0289】
(付記7)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部と前記表示パネルとの間に配置されることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0290】
(付記8)
前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有することを特徴とする付記7に記載の表示装置。
【0291】
(付記9)
前記異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の画像振分部側に配置されていることを特徴とする付記8に記載の表示装置。
【0292】
(付記10)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部と一体化されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0293】
(付記11)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部の表示パネル側の面に形成されたことを特徴とする付記10に記載の表示装置。
【0294】
(付記12)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部を固定するための粘着層に形成されたことを特徴とする付記11に記載の表示装置。
【0295】
(付記13)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部の内部構造に形成されたことを特徴とする付記11に記載の表示装置。
【0296】
(付記14)
前記異方性散乱部は、前記表示パネルに形成されたことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0297】
(付記15)
前記表示パネルは光学フィルムを有し、前記異方性散乱部は前記光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する異方性散乱粘着層であることを特徴とする付記14に記載の表示装置。
【0298】
(付記16)
前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置されることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0299】
(付記17)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする付記16に記載の表示装置。
【0300】
(付記18)
前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有し、この異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の背面側に配置されていることを特徴とする付記17に記載の表示装置。
【0301】
(付記19)
前記表示装置は、前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を有し、この面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により光を面状に出射することを特徴とする付記1乃至18のいずれか一に記載の表示装置。
【0302】
(付記20)
前記面状光源は導光板を有し、この導光板に凹凸構造が形成されていることを特徴とする付記19に記載の表示装置。
【0303】
(付記21)
前記面状光源は輝度向上用の光学手段を有し、この輝度向上用の光学手段が凹凸構造を有することを特徴する付記19に記載の表示装置。
【0304】
(付記22)
前記表示パネルは透過型であることを特徴とする付記1乃至21のいずれか一に記載の表示装置。
【0305】
(付記23)
前記表示パネルは画素に反射板を有する表示パネルであり、この反射板に凹凸構造が形成されていることを特徴とする付記1乃至21のいずれか一に記載の表示装置。
【0306】
(付記24)
前記反射板は前記画素の一部の領域に形成された半透過型の表示パネルであることを特徴とする付記23に記載の表示装置。
【0307】
(付記25)
前記反射板が形成された反射表示用の領域と、前記画素の光を透過する透過表示用の領域とが、前記第2方向に繰り返し配列されることを特徴とする付記24に記載の表示装置。
【0308】
(付記26)
前記表示パネルが液晶表示パネルであることを特徴とする付記22乃至25のいずれか一に記載の表示装置。
【0309】
(付記27)
前記液晶表示パネルは、横電界モード又はマルチドメイン垂直配向モードの液晶表示パネルであることを特徴とする付記26に記載の表示装置。
【0310】
(付記28)
前記表示パネルの前記表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有し、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向であることを特徴とする付記22乃至27のいずれか一に記載の表示装置。
【0311】
(付記29)
前記表示単位は正方形の中に形成されていることを特徴とする付記22乃至28のいずれか一に記載の表示装置。
【0312】
(付記30)
前記表示単位における各画素は、その表示領域の周囲に遮光領域を有し、前記第2方向に沿って延びる遮光領域がこの第2方向に対して傾斜していることを特徴とする付記22乃至29のいずれか一に記載の表示装置。
【0313】
(付記31)
前記表示単位における各画素は台形状の表示領域を有しており、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする付記22乃至30のいずれか一に記載の表示装置。
【0314】
(付記32)
前記画像振分部は、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイであることを特徴とする付記1乃至31のいずれか一に記載の表示装置。
【0315】
(付記33)
前記画像振分部は、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアであることを特徴とする付記1乃至31のいずれか一に記載の表示装置。
【0316】
(付記34)
付記1乃至33のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0317】
(付記35)
携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記34に記載の端末装置。
【0318】
(付記36)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、表示面内において出射する光の散乱に異方性をもたせ、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けることを特徴とする表示パネル。
【0319】
(付記37)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルに使用される光学部材において、入射した光を相互に異なる方向に振り分ける面状の画像振分部と、この画像振分部の面内において散乱に異方性をもたせる異方性散乱部と、を有することを特徴とする光学部材。
【0320】
(付記38)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が、前記画像振分部の画像振分方向と直交する方向であることを特徴とする付記37に記載の光学部材。
【0321】
(付記39)
前記光学部材は基板を有し、この基板の相対する面に前記画像振分部と異方性散乱部とがそれぞれ形成されたことを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0322】
(付記40)
前記光学部材は基板を有し、この基板中に異方性散乱部が形成されたことを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0323】
(付記41)
前記光学部材は粘着層を有し、この粘着層が異方性散乱部であることを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0324】
(付記42)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向とは散乱の程度が異なる方向を有する異方性散乱部とを有することを特徴とする表示装置。
【0325】
(付記43)
前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と同等であることを特徴とする付記42に記載の表示装置。
【0326】
(付記44)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向とは異なることを特徴とする付記43に記載の表示装置。
【0327】
(付記45)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が複数存在することを特徴とする付記44に記載の表示装置。
【0328】
(付記46)
前記異方性散乱部の散乱が極小となる方向が、前記第1の方向又はこの第1の方向と直交する第2の方向であることを特徴とする付記43に記載の表示装置。
【0329】
(付記47)
前記表示パネルは、前記第1の方向に延伸する非表示領域を有することを特徴とする付記42に記載の表示装置。
【0330】
(付記48)
前記画像振分部は、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイであることを特徴とする付記42乃至47に記載の表示装置。
【0331】
(付記49)
前記第1の方向における前記レンズのピッチをLとし、前記第1の方向における視点数をNとし、前記レンズと前記画素との距離をHとするとき、前記レンズと前記異方性散乱部との距離H1が、L×H/(L+3×N×P)以下であることを特徴とする付記48に記載の表示装置。
【0332】
(付記50)
前記画像振分部は、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアであることを特徴とする付記42乃至47のいずれか一に記載の表示装置。
【0333】
(付記51)
付記42乃至50のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0334】
(付記52)
携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記51に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0335】
1、11、12、13、10、111、112、113、114、115、117;反射
型液晶表示装置
14、16、17、18;透過型液晶表示装置
15、19;半透過型液晶表示装置
2、27、28、29;反射型液晶表示パネル
2a、2b;基板
21、23、24、24a、25;透過型液晶表示パネル
22、26;半透過型液晶表示パネル
3、31、32、33;レンチキュラレンズ
3a、31a、32a、33a;シリンドリカルレンズ
34、35;フライアイレンズ
34a、35a;マイクロレンズ
37;パララックスバリア
37a;スリット
4L、41L、42L、43L、43La、44L、45L、46L;左眼用画素
4R、41R、42R、43R、43Ra、44R、45R、46R;右眼用画素
45Lt、45Rt;透過用表示領域
45Lr、45Rr;反射用表示領域
4F;第1視点用画素
4S;第2視点用画素
4;反射板
40、42、42a、43、44;遮光領域
41;凹凸構造
48;櫛歯電極
5;液晶層
51、52;粘着材
6、64、65、66、67、601、602;異方性散乱シート
61、62、641、651、661、671、691;異方性散乱構造
63;異方性散乱糊
681;異方性散乱層
71;立体視域
71L;左眼領域
71R;右眼領域
79;保護板
8;バックライトユニット
81;LED
82;導光板
83;ドット
89;光
9、91;携帯電話
116;透過型液晶表示装置
103;レンチキュラレンズ
103a;シリンドリカルレンズ
123;透過型液晶表示パネル
142L;左眼用画素
142R;右眼用画素
140;遮光領域
551;左眼
552;右眼
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点に向けて夫々画像を表示することができる表示装置、端末装置に関し、特に表示装置の構造に起因する画質の劣化を低減可能な表示装置、端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の技術進展により、表示パネルはモニタ及びテレビ受像機等の大型の端末装置から、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ及び自動販売機等の中型の端末装置、パーソナルTV、PDA(Personal Digital Assistance:個人用情報端末)、携帯電話、携帯ゲーム機等の小型の端末装置にまで搭載され、様々な場所で使用されている。特に、液晶を使用した液晶表示装置は、薄型、軽量、小型、低消費電力等の利点を有するため、多くの端末装置に搭載されている。現在の表示装置は正面方向以外の視点から観察した場合でも、正面方向と同じ内容が視認されるが、視点により異なる画像が視認可能な表示装置も開発されており、次世代の表示装置として期待されている。このように、複数の視点に向けて夫々異なる画像を表示可能な装置の一例として、立体画像表示装置を挙げることができる。立体画像表示装置は、その機能としては、左右の視点に対して異なる画像、即ち左右両眼に視差画像を提示することが必要となる。
【0003】
この機能を具体的に実現する方法は眼鏡を使用する方式と眼鏡を使用しない方式に大別することができる。このうち、眼鏡を使用する方式には、色の違いを利用したアナグリフ方式、及び偏光を利用した偏光眼鏡方式等があるが、本質的に眼鏡をかける煩わしさを避けることができない。そのため、近年では眼鏡を使用しない眼鏡なし方式が盛んに検討されている。
【0004】
眼鏡なし方式には、レンチキュラレンズ方式、パララックスバリア方式等がある。特許文献1に記載されているように、レンチキュラレンズ方式は複数の視点に対して画像を分離する手段としてレンチキュラレンズを使用する方式である。レンチキュラレンズは一方の面が平面から構成され、その反対面に一方向に延びるかまぼこ状の凸部(シリンドリカルレンズ)が、その長手方向が相互に平行になるように複数個形成されたものである。レンチキュラレンズ方式の立体画像表示装置では、観察者側から順に、レンチキュラレンズ、表示パネルが配置されており、レンチキュラレンズの焦点面に表示パネルの画素が位置している。表示パネルにおいては、右眼用の画像を表示する画素と左眼用の画像を表示する画素とが交互に配列されている。このとき、相互に隣接する画素からなる群は、レンチキュラレンズの各凸部に対応している。これにより、各画素からの光は、レンチキュラレンズの凸部により左右の眼に向かう方向に振り分けられる。左右の眼に相互に異なる画像を認識させることが可能となり、観察者は立体画像を認識できることになる。
【0005】
一方、パララックスバリア方式は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリットが形成されたバリア(遮光板)を画像分離手段として使用する方式である。左眼用の画像を表示する画素及び右眼用の画像を表示する画素からなる群は、パララックスバリアのスリットに対応して配置される。この結果、観察者の右眼は左眼用の画像を表示する画素をバリアで遮られて視認できず、右眼用の画像を表示する画素のみを視認することになり、同様に観察者の左眼は右眼用の画像を表示する画素を視認できず、左眼用の画像を表示する画素のみを視認することになる。この結果、視差画像を表示した場合、観察者は立体画像を認識することが可能となる。
【0006】
パララックスバリア方式は、当初考案された際には、パララックスバリアが画素と眼との間に配置されていたこともあり、目障りで視認性が低い点が問題であった。しかし、近時の液晶表示装置の実現に伴って、パララックスバリアを表示パネルの裏側に配置することが可能となって視認性が改善された。このため、パララックスバリア方式の立体画像表示装置については、現在盛んに検討が行われている。ただし、パララックスバリア方式が不要な光線をバリアにより「隠す」方式であるのに対し、レンチキュラレンズ方式は光の進む向きを変える方式であり、レンチキュラレンズ方式は原理的に表示画面の明るさの低下がないという利点を有する。このため、レンチキュラレンズ方式は、特に高輝度表示及び低消費電力性能が重視される携帯機器等への適用が検討されつつある。
【0007】
また、複数の視点に向けて夫々異なる画像を表示可能な装置の他の例として、複数の異なる画像を複数視点に同時に表示可能な複数画像同時表示装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。これは、レンチキュラレンズによる画像の振分機能を利用して、観察する方向毎に異なる画像を同時に同一条件で表示するディスプレイである。これにより、1台の複数画像同時表示装置が、この表示装置に対して相互に異なる方向に位置する複数の観察者に対して、相互に異なる画像を同時に提供することができる。特許文献2には、この複数画像同時表示装置を使用することにより、通常の1画像表示装置を同時に表示したい画像の数だけ用意する場合と比較して、設置スペース及び電気代を削減できると記載されている。
【0008】
このように、異なる視点に向けて夫々異なる画像を表示するため、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の光学部材を配置した表示装置が盛んに検討されているが、単に光学部材を設けただけでは幾つかの問題が発生することを本発明者は見出し、これまでに、この解決のための構成を提案してきた。
【0009】
一例では、特許文献1に記載のように、画素に凹凸構造を有する反射板を設けた反射型
表示パネル及び半透過型表示パネルを使用した場合、観察位置によって部分的に表示の輝
度が低下する領域が発生し、観察位置を変えると輝度が低下した位置では表示が暗くなっ
たように見え、場合によっては暗線状の模様が画像に重畳して観察される。この表示の輝
度変化により、表示品質が低下して観察される問題が発生する。この問題の原因は、レンチキュラレンズにより集光された外光が、反射板上に形成された凹凸構造で反射される際に、凹凸構造を構成する斜面の傾斜角に依存して反射角が変化することにある。そこで特許文献1では、レンチキュラレンズの焦点距離が反射板とレンズとの距離と異なるように配置する方法、凹凸構造がレンチキュラレンズにより集光された光を複数回反射するように凹凸構造の斜面を設定する方法、シリンドリカルレンズの配列方向において前記凹凸構造におけるある傾斜角を持つ斜面の存在確率が前記画素中で均一となるように凹凸構造を設定する方法が提案されている。
【0010】
また、光学部材を設けた場合に発生する別の問題としては、特許文献3に記載のように、透過型表示装置に画像分離用の光学部材を組み合わせた場合、透過型表示装置の照明部材に形成された凹凸構造の影響により、表示画像に縞模様が重畳され、表示品質が著しく低下する問題がある。この問題の原因は、照明部材に形成された凹凸構造により、照明部材から出射する光線の指向性に面内分布が発生し、画像分離用の光学部材によってこの面内分布が拡大観察されることにある。この問題は、薄型化等で照明部材の凹凸構造がレンチキュラレンズの焦点面に近付くに従い、より顕在化する。そこで特許文献3では、凹凸構造における隣接する凸部間の距離を、レンチキュラレンズのレンズピッチに画素と凹凸構造との距離を乗じ、焦点距離で除した値より小さくする等、使用するレンチキュラレンズによって凹凸構造を変えることにより、表示品質の低下を抑制する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−280079号公報
【特許文献2】特開平06−332354号公報
【特許文献3】特開2006−17820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の課題、即ち反射板に形成された凹凸構造による画質低下、又は照明部材に形成された凹凸構造による画質低下に対して、凹凸構造又はレンチキュラレンズの性能を変更することで解決する上述の方法では、以下に示すような問題点が発生する。即ち、レンズ等の光学素子、並びに、反射板の凹凸構造及び照明部材の凹凸構造を変更しなければならないという問題点がある。特に、これらの部材として一般的な規格品を使用する場合には、変更の選択肢が存在しない可能性がある。また、レンズ又は照明部材等の立体的な形状を有する部材では、表面形状を変える場合には金型から変える必要があるため、大規模な変更となってしまう。そこで、レンズ面及び凹凸の構造を変えることなく、より簡便に問題点を解決する方法が期待されている。
【0013】
また、本発明者がレンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の光学部材を設けた表示装置を鋭意検討したところ、これらの表示装置では、隣接する画素の境界領域等、表示に寄与しない領域の模様が、レンズ又はスリットの配列方向に平行な線となって観察され、画質を低下させるという問題点があることが判明した。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、画像分離用の光学部材を設けた表示装置において、レンチキュラレンズのレンズ形状及び反射板の凹凸構造を変えることなく、反射型表示の品質低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、レンチキュラレンズのレンズ形状及び照明部材に形成された凹凸構造を変えることなく、透過型表示の品質低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、表示に寄与しない領域の模様がレンズ及びスリットの配列方向に平行な線となって観察されることによる画質の低下を抑制し、高画質化を実現できる表示装置、端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、表示装置に異方性散乱部を設けることにより、レンズ及びバリアなど画像分離用の光学手段の画像分離効果を大幅に損なうことなく、画像振分部(画像分離用光学手段)と表示パネルとの組合せによる表示画質の低下を抑制することを特徴とする。このためには、表示パネルの画素に対して入射又は出射する光に対して、画像分離方向における散乱がそれ以外の方向における散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部を配置することが好ましい。これにより、表示画質の低下を抑制できるだけでなく、画像振分部及び表示パネルの構造を変える必要がないため、低コスト化が可能となる。
【0018】
特に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向を画像分離方向と直交する方向とすることにより、画像振分部(画像分離用光学手段)による画像分離効果を損なうことなく、画質の向上が可能となる。そして、前記異方性散乱部を前記表示パネルの画素よりも画像振分部(画像分離手段)側に配置することが好ましい。このとき、画素に反射板を有する表示パネルと組合せて、この反射板に形成された凹凸構造と画像振分部による画質の低下を抑制でき、反射表示の高画質化が可能となる。また、半透過型又は透過型の表示ぱねると組み合わせて、隣接する画素の境界と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下を抑制でき、高画質化が可能となる。
【0019】
また、本発明の表示装置において、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向は、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向とすることができる。そして、この第1の方向に沿って、前記画像振分部は前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける。この場合に、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置することにより、異方性散乱部による画質劣化を抑制する効果を最大にすることができる。そして、特に前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を設けた場合に高画質化が可能となる。面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により、光を面状に出射するが、本発明により画像振分部と面状光源の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができるからである。また、異方性散乱部を使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の画像振分用の光学部材を設けた表示装置において、光学部材の画像振分方向と表示面内で直交する方向における散乱が、画像振分方向における散乱よりも大きな異方性散乱部を設けることにより、反射板上に形成された凹凸構造の影響を低減し、高画質化を実現できる。また、照明部材に形成された凹凸構造の影響を低減し、高画質化を実現することができる。更には、画像振分方向と平行な線分となって観察される非表示領域の影響を低減し、高画質化を実現することができる。
【0021】
このようにして、本発明によれば、画像振分部と表示パネルの構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、高画質化が可能となる。また、画像振分部及び表示パネルの構造を変える必要がないため、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の異方性散乱シートを示す上面図である。
【図3】画像振分部の画像振分方向と異方性拡散シートの散乱方向との関係を示す上面図である。
【図4】本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【図5】本実施形態の反射型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。
【図6】レンチキュラレンズを使用した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図7】レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するため、曲率半径最小時を示した光学モデル図である。
【図8】レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するため、曲率半径最大時を示した光学モデル図である。
【図9】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示した断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が大きい場合を示す。
【図10】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示した断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が小さい場合を示す。
【図11】異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点から充分離れた位置に存在する場合を示す断面図である。
【図12】異方性散乱構造のZ軸方向における位置を算出するための光学モデル図である。
【図13】パララックスバリアを使用した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図14】パララックスバリアの画像分離条件を算出するため、スリットの開口幅最大時を示した光学モデル図である。
【図15】異方性散乱構造のZ軸方向における位置を算出するための光学モデル図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図20】図19に示す導光板及びLEDを示す上面図である。
【図21】図19に示す導光板及びLEDを示す断面図である。
【図22】本実施形態の透過型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。
【図23】表示パネルの背面側にパララックスバリアを配置した場合の光学モデルを示す断面図である。
【図24】本発明の第6の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図25】本発明の第1比較例に係る表示装置を示す断面図である。
【図26】本第1比較例に係る表示パネルの画素を示す上面図である。
【図27】本第1比較例に係る表示装置を観察者が視認した場合の表示画面の視認像を示す図である。
【図28】本発明の第7の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図29】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図30】最大観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。
【図31】最小観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。
【図32】視力の定義を示す概念図である。
【図33】本発明の第8の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図34】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図35】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素の別の例を示す上面図である。
【図36】本発明の第9の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図37】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図38】本発明の第10の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図39】本実施形態に係る透過型液晶表示パネルの画素を示す上面図である。
【図40】本発明の第11の実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【図41】本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図42】本発明の第12の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図43】本発明の第13の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図44】本発明の第14の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図45】本発明の第15の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図46】本発明の第16の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図47】本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す斜視図である。
【図48】フライアイレンズを示す上面図である。
【図49】表示装置の構成要素である異方性散乱シートに関し、(a)に本発明の第1実施形態の散乱特性を示し(b)に本第16実施形態の散乱特性を示した図である。
【図50】本発明の第17の実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【図51】本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す上面図である。
【図52】本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。
【図53】横軸に表示面内の角度をとり縦軸に散乱性能をとって本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の構成例について、説明する。本発明に係る表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部とを有することを特徴とする。
【0024】
また、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向とすることにより、画像振分部の画像振分効果への悪影響を最低限に抑制した上で、異方性散乱部による画質の向上を実現できる。
【0025】
更に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向から前記第1の方向に回転した方向とすることにより、前記第1方向及び前記第2方向の散乱を容易に調整することができ、大きな部材変更を防止できるため、低コスト化が可能となる。
【0026】
更にまた、前記異方性散乱部は、一方向に延びる凸部又は凹部が形成された構造とすることができ、また、一方向に延びる複数のプリズムが相互に平行に配列された一次元配列プリズム構造を有していてもよい。更にまた、一方向に延びる複数のシリンドリカルレンズが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズ構造を有し、レンチキュラレンズのピッチは前記画素の配列ピッチよりも小さくてもよい。
【0027】
また、前記異方性散乱部は、例えば、前記画像振分部と前記表示パネルとの間に配置される。これにより、画像振分部と表示パネルの構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、特に反射型の表示パネルを使用する際に、反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制できる。
【0028】
この場合に、前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有するように構成することができる。これにより、一般的な異方性散乱シートを使用でき、また異方性散乱効果の変更が必要になった際にも、他の部材への影響を最低限にすることができる。
【0029】
更にまた、前記異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の画像振分部側に配置することができる。これにより、画像振分部との望ましくない相互作用を低減することができ、高画質化が可能となる。
【0030】
更にまた、前記異方性散乱部を、前記画像振分部と一体化することにより、異方性散乱部の異方性散乱構造を支持する部分を不要にできるため、薄型化が可能になる。また、異方性散乱部と画像振分部とを別々に形成して組み合わせる場合と比較して、一体形成が可能になるため、部材数の削減が可能となり、組み立て工数も削減できるため、低コスト化が可能になる。更には、組み立て時における異方性散乱部と画像振分部との位置変動をなくすことができるため、ばらつきを低減することができる。
【0031】
更にまた、前記異方性散乱部は、前記画像振分部の表示パネル側の面に形成することにより、画像振分部を製造する際に裏面に異方性散乱部を同時に形成できるため、製造コストを低減でき、低コスト化が可能になる。
【0032】
この場合に、前記異方性散乱部は、前記画像振分部を固定するための粘着層に形成することにより、異方性散乱構造を成型するための金型と、異方性散乱構造を転写するプロセスが不要になるため、低コスト化が可能となる。
【0033】
又は、前記異方性散乱部は、前記画像振分部の内部構造に形成することにより、粘着層をより多くの選択肢から選択することができ、低コスト化が可能となる。
【0034】
又は、前記異方性散乱部は、前記表示パネルに形成することができ、この場合に、前記表示パネルは光学フィルムを有し、前記異方性散乱部は前記光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する異方性散乱粘着層とすることができる。
【0035】
本発明の表示装置において、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置されるとすることができる。この場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向となるようにすることが好ましい。このように、前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置することにより、異方性散乱部による画質劣化を抑制する効果を最大にすることができる。
【0036】
また、前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有し、この異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の背面側に配置することができる。これにより、画像振分部の画像振分効果への悪影響を最低限に抑制した上で、異方性散乱部による画質の向上を実現できる。
【0037】
また、本発明の表示装置は、前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を有し、この面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により光を面状に出射するように構成することができる。これにより、画像振分部の画像振分効果を損なうことなく、画像振分部と面状光源の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、異方性散乱部を使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【0038】
また、前記面状光源は導光板を有し、この導光板に凹凸構造が形成されていてもよく、更にまた、前記面状光源は輝度向上用の光学部材を有し、この輝度向上用の光学部材が凹凸構造を有していてもよい。これにより、輝度向上用の光学部材の選択肢を増やすことができ、低コスト化が可能となる。
【0039】
本発明の表示装置は、前記表示パネルが、例えば、透過型である。本発明においては、隣接する画素の境界と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下を抑制でき、高画質化が可能となる。更には、背面に面状光源を設ける際に、面状光源と画像振分部との組み合わせに起因する画質の低下も抑制でき、高画質化が可能となる。
【0040】
また、前記表示パネルは、例えば、画素に反射板を有する表示パネルであり、この反射板に凹凸構造が形成されていてもよい。これにより、反射板の凹凸形状と画像振分部による画質の低下を抑制でき、反射表示の高画質化が可能となる。
【0041】
この場合に、前記反射板は前記画素の一部の領域に形成された半透過型の表示パネルとすることができる。これにより、透過表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、透過表示の品質を向上することができる。また反射表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、反射表示の品質を向上することができる。即ち、半透過型表示装置における透過表示、反射表示の品質を向上することができる。
【0042】
この場合に、前記反射板が形成された反射表示用の領域と、前記画素の光を透過する透過表示用の領域とが、前記第2方向に繰り返し配列されていてもよい。これにより、異方性散乱部による画質低下の抑制効果を最大限発揮することができる。
【0043】
更にまた、前記表示パネルは、例えば、液晶表示パネルを好適に使用することができる。この液晶表示パネルは、例えば、横電界モード又はマルチドメイン垂直配向モードの液晶表示パネルである。本発明においては、液晶層の配向分割手段と画像振分部に起因する画質の低下を抑制でき、広視野角の表示装置が実現できる。
【0044】
更にまた、例えば、前記表示パネルの前記表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有し、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向である。カラーストライプの配列方向が前記第2方向である場合には、前記第1方向に延びる画素境界領域の割合が大きくなるが、本発明によりこの影響を低減することができるため、高画質化が可能となる。
【0045】
更にまた、前記表示単位は正方形の中に形成されているように構成することができる。これにより、表示画像の縦横の解像度を一致させることができ、より高画質化が実現できる。
【0046】
更にまた、前記表示単位における各画素は、その表示領域の周囲に遮光領域を有し、前記第2方向に沿って延びる遮光領域がこの第2方向に対して傾斜するように構成することができる。これにより、表示画像を視認できる範囲を広げることができ、本発明の効果をより発揮することができる。
【0047】
更にまた、前記表示単位における各画素は台形状の表示領域を有しており、隣接する画素に対して点対称に配置されるように構成することができる。これにより、特に薄膜トランジスタを使用したアクティブマトリクス方式の表示パネルに好適に適用でき、高開口率化が可能となる。
【0048】
本発明の表示装置は、例えば、前記画像振分部が、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイである。これにより、画像分離手段による光の損失が発生しないため、明るい表示が可能となる。
【0049】
本発明の表示装置は、例えば、前記画像振分部が、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアである。これにより、フォトリソグラフィ技術を用いて容易に作製可能であるため、低コスト化が可能となる。
【0050】
本発明に係る端末装置は、前記表示装置を有することを特徴とする。また、この端末装置は、例えば、携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機である。
【0051】
本発明に係る表示パネルは、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、表示面内において出射する光の散乱に異方性をもたせ、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けることを特徴とする。
【0052】
本発明に係る光学部材は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルに使用される光学部材において、入射した光を相互に異なる方向に振り分ける面状の画像振分部と、この画像振分部の面内において散乱に異方性をもたせる異方性散乱部と、を有することを特徴とする。本発明によれば、表示パネルと組み合わせて、高画質の表示装置を実現することができる。
【0053】
この場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が、前記画像振分部の画像振分方向と直交する方向とすることができる。
【0054】
更にまた、前記光学部材は基板を有し、この基板の相対する面に前記画像振分部と異方性散乱部とがそれぞれ形成されルように構成することができる。
【0055】
更にまた、前記光学部材は基板を有し、この基板中に異方性散乱部を形成することができる。
【0056】
更にまた、前記光学部材は粘着層を有し、この粘着層は異方性散乱部とすることができる。
【0057】
本発明に係る他の表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向とは散乱の程度が異なる方向を有する異方性散乱部とを有することを特徴とする。
【0058】
この表示装置においては、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と同等であるか、又は前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向とは異なるものである。後者の場合に、前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が複数存在する。
【0059】
なお、前記異方性散乱部の散乱が極小となる方向が、前記第1の方向又はこの第1の方向と直交する第2の方向であることが好ましい。
【0060】
更に、前記表示パネルは、前記第1の方向に延伸する非表示領域を有することが好ましい。
【0061】
更にまた、前記画像振分部は、例えば、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイである。この場合に、例えば、前記第1の方向における前記レンズのピッチをLとし、前記第1の方向における視点数をNとし、前記レンズと前記画素との距離をHとするとき、前記レンズと前記異方性散乱部との距離H1が、L×H/(L+3×N×P)以下である。
【0062】
更にまた、前記画像振分部は、例えば、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアである。
【0063】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置、端末装置、表示パネル及び光学部材について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態に係る表示装置、端末装置、表示パネル及び光学部材について説明する。図1は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図2は図1に示す異方性散乱シートを示す上面図であり、図3は図1に示す表示装置の画像振分部の画像振分方向と異方性散乱シートの散乱方向との関係を示す上面図であり、図4は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【0064】
図1に示すように、本第1実施形態に係る表示装置は、表示パネルとして反射型液晶表示パネル2を使用し、レンチキュラレンズ3が具備された反射型液晶表示装置1である。レンチキュラレンズ3は、反射型液晶表示パネル2の表示面側、即ち使用者側に配置されている。また、レンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2との間には、異方性散乱素子である異方性散乱シート6が設けられている。即ち、反射型液晶表示装置1においては、使用者に向かって、反射型液晶表示パネル2、異方性散乱シート6及びレンチキュラレンズ3がこの順に積層されている。
【0065】
反射型液晶表示パネル2は、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位としての画素対がマトリクス状に設けられた立体表示用の液晶パネルである。レンチキュラレンズ3は左右画素からの光を分離するために設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向に設定されている。これにより、シリンドリカルレンズ3aの延伸する方向、即ち長手方向は、表示面内において配列方向と直交する方向となる。なお、シリンドリカルレンズ3aはかまぼこ状の凸部を有し、その長手方向と直交する方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズである。シリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、即ちレンズの頂点と、画素(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)との間の距離に設定されている。
【0066】
なお、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向において、左眼用画素4Lから右眼用画素4Rに向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、シリンドリカルレンズ3aの長手方向をY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rからレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、即ち、使用者に向かう方向であり、使用者は反射型液晶表示パネル2の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。即ち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0067】
上述の如くXYZ直交座標系を設定すると、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向となり、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが夫々Y軸方向に一列に配列されている。また、X軸方向における画素対の配列周期はシリンドリカルレンズの配列周期と略等しくなっている。このX軸方向において、1対の画素対がY軸方向に配列してなる列が、一つのシリンドリカルレンズ3aに対応している。
【0068】
反射型液晶表示パネル2においては、微小な間隙を設定して配置された2枚の基板2a、2bの間に、液晶層5が挟まれて構成されており、−Z側に配置された基板2bの+Z側の表面には反射板4が形成されている。反射板4の表面には凹凸構造41が多数設けられており、この凹凸構造41により反射板4の表面は拡散反射面となっている。即ち、反射板4に対し、特定方向から入射した外光は、反射板4の表面の凹凸構造41により、種々の方向に拡散して反射し、観察者方向にも反射する。これにより正反射成分を低減できるため、光源模様の映り込みが発生しない角度において、明るい反射表示を実現することができる。また、光源が拡散光を発する場合には、単なる鏡面反射と比較して、正面方向に反射する光の成分を増やすことができるため、明るい反射表示が実現できる。
【0069】
図2に示すように、異方性散乱シート6の+Z方向側の表面には、異方性散乱構造61が形成されている。即ち、この異方性散乱部、即ち異方性散乱手段としての異方性散乱シート6は、透明基板とこの透明基板の表面に形成された異方性散乱構造61とを有するものである。また、異方性散乱構造61は、XY平面内においてX軸方向に延びる帯状の凸部であり、異方性散乱シート6の表面に複数形成されている。これにより、異方性散乱シート6の+Z方向側の表面をY軸方向に沿ってなぞると、多数の異方性散乱構造61を横断することになる。即ち、この表面は、Y軸方向には凹凸が多い。これに対して、この表面をX軸方向に沿ってなぞっても、少数の異方性散乱構造61しか横断しないか、又は全く横断しない。従って、この表面は、X軸方向には凹凸が少ない。
【0070】
より一般的に表現すれば、異方性散乱シート6の表面は、特定方向には凹凸が多く、この特定方向と直交する方向に対しては凹凸を少なくなっている。そして、本実施形態においては、凹凸が多い前記特定方向は、Y軸方向に設定されている。これにより、この異方性散乱シート6は、Y軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっている。図3に示すように、XY平面内において、Y軸方向とX軸方向の間の角度における散乱性能は、異方性散乱構造61の形状に依存するが、本実施形態ではY軸方向からX軸方向に回転するに従って、急速に散乱性能が低下する特性となっている。
【0071】
一般的に、レンチキュラレンズ3等の画像振分部、即ち画像振分手段や画像分離手段による画像振分効果は、散乱手段を設置すると低減されてしまう傾向にある。これは例えば本実施形態の例では、左眼用画素4Lの反射板4において反射した光が、散乱手段により大きく散乱された場合、右眼用画素4Rにて反射された光と同様に、使用者の右眼にも入射してしまうからである。上述のように、本実施形態においては、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの長手方向はY軸方向に設定され、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向に設定されているため、レンチキュラレンズ3はX軸方向に画像振分効果を有する。これに対して、異方性散乱シート6は、Y軸方向の散乱が最大となり、X軸方向の散乱が最小となるように設定されている。即ち、本実施形態における反射型液晶表示装置1では、異方性散乱シート6の散乱性能がレンチキュラレンズ3の画像振分効果に与える影響が最小限になるよう配置されている。なお、本発明においては、レンチキュラレンズは画像振分手段であるものとして記述している。厳密には、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズが、左眼用画素の光と右眼用画素の光を異なる方向に分離する手段である。そしてこれにより、レンチキュラレンズは左眼用の画像と右眼用の画像を異なる方向に振り分けることができる。本発明においては、これらの現象を含め、レンチキュラレンズが画像振分効果を有するものとして扱っている。
【0072】
更に、本実施形態における反射型液晶表示装置1では、異方性散乱シート6とレンチキュラレンズ3は密着しておらず、異方性散乱シート6と反射型液晶表示パネル2も密着していない。即ち、3者の間隙には、空気層が設けられた構造となっている。
【0073】
図4に示すように、本実施形態に係る端末装置は携帯電話9である。この携帯電話9には、前述の反射型液晶表示装置1が搭載されている。そして、反射型液晶表示装置1のX軸方向が携帯電話9の画面の横方向となり、反射型液晶表示装置1のY軸方向が携帯電話9の画面の縦方向となっている。
【0074】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作について説明する。図5は図1に示す反射型液晶表示装置において、X軸に平行な線分で反射型液晶表示装置を切断した断面における光学モデルを示す図である。図5に示すように、本実施形態の表示装置は反射型であるため、外光を表示に利用する。先ず、反射型液晶表示装置1に入射する外光のうち、ある平行光成分の光89に着目して動作を説明する。レンチキュラレンズ3に入射した光89は、レンチキュラレンズ3により集光される。前述のように、レンチキュラレンズ3の焦点距離は、反射板4に焦点を結ぶように設定されている。
【0075】
ここで、異方性散乱シート6の影響を除外した場合について考えると、レンチキュラレンズにより集光された光は、反射板の表面で焦点を結ぶことになる。この焦点が凹凸構造の斜面に存在する場合には、斜面により斜め方向に反射される。この結果、反射された光は、使用者の方向とは異なる方向に進行し、実質的に表示には寄与しない。これに対して、凹凸構造の平坦部に焦点を結んだ場合には、正面方向に反射されることになり、反射光は使用者の方向に進行するため、表示に寄与する。このようにして、外光の角度、使用者の位置により、表示に明るい領域と暗い領域が発生するため、表示画像に明るさの違いが重畳して観察され、画質が低下してしまう。
【0076】
これに対して、本発明ではレンチキュラレンズ3と反射板4との間に異方性散乱シート6が設けられている。この異方性散乱シート6は、前述のようにY軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっている。このため、レンチキュラレンズ3により集光された光は、反射板4の表面において、X軸方向に若干の散乱を伴って集光される。これにより、異方性散乱シート6がない場合と比較して、反射板を照射する面積が大きくなっている。そしてY軸方向においては、X軸方向よりも大きな散乱を有しているため、反射板を照射する面積をより大きくすることができる。これにより、レンチキュラレンズ3により集光された光は、反射板4上の凹凸構造41の斜面部及び平坦部など様々な場所を照射することになる。換言すれば、表示装置に入射された平行光は、レンチキュラレンズ3によりX軸方向に集光されるが、異方性散乱シート6によってX軸方向に若干散乱され、Y軸方向に大きく散乱される。即ち、平行光が入射した場合でも、Y軸方向に大きな散乱特性を有する異方性拡散光が入射した場合と等価にすることができる。次に、反射光は様々な角度に進行する。このうち一部の光は、再度レンチキュラレンズ3を通過し、左右画像が分離されて使用者の方向に進行し、立体表示が実現される。なお、レンチキュラレンズ3を通過する前に、再度異方性散乱シート6を通過するが、この時の異方性散乱の効果によっても、凹凸構造に起因する画質劣化を低減できる。
【0077】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、レンチキュラレンズと反射板との間に異方性散乱シートが設けられ、異方性散乱シートの散乱が最小となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向に配置されている。そして、散乱が最大となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向と直交して配置されている。これにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。等方性散乱を使用してしまうと、レンチキュラレンズの画像振分効果と凹凸構造に起因する表示品質低下を抑制する効果を両立させることが困難である。異方性散乱を採用することにより、これらの両立が可能となる。そして、平行光が入射した場合でも、異方性散乱シートなどの異方性散乱手段により、異方性を有する拡散光が入射した場合と等価にできる。換言すれば、異方性散乱手段が、入射光の平行光成分を異方性を有する拡散光に変換する。この異方性を有する拡散光は、レンチキュラレンズの画像振分効果を損なわないように設定されている。これにより、平行光が入射した際の画質を向上できるだけでなく、スポットライト等の比較的s指向性が高い光が入射した際の画質を向上することができる。即ち、照明条件に依存せず、高い表示画質を実現することができる。また、反射板の凹凸構造が大きな場合には、暗線状の模様だけでなく、凹凸構造のピッチに起因した粒状感により画質が低下するが、本実施形態ではレンチキュラレンズの画像振分効果を持たない方向の散乱を大きく設定できるため、この粒状感による画質の低下も抑制でき、表示品質を向上することができる。更にまた、本実施形態における異方性散乱シートは、XY平面内においてY軸方向から若干傾いた方向に対しても散乱性能を有するため、この斜め方向の散乱を用いて暗線状の模様を低減でき、表示品質を向上できる。更には、レンチキュラレンズ及び反射板の凹凸構造を変更する必要がなく、例えば透過型表示装置と反射型表示装置とで同じレンチキュラレンズを使用できることになるため、製造に必要な部材の種類を削減でき、低コスト化が可能となる。本実施形態においては、異方性散乱シートを使用しているため、XY平面内におけるシートの角度を変更するだけで、X軸方向、Y軸方向の散乱性能を容易に調整することが可能となる。これにより、例えばX軸方向の散乱性能が不足する場合には、X軸方向の散乱性能が大きくなるように異方性散乱シートを配置するだけで済み、大きな部材変更等を防止できるため、低コスト化が可能となる。
【0078】
なお、本実施形態における異方性散乱シートの配置角は、散乱が最小となる方向がレンチキュラレンズの画像振分効果を発揮する方向に配置するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、角度を付けて配置されても良い。これにより、前述のように、XY平面内におけるシートの角度を変更するだけで、X軸方向、Y軸方向の散乱性能を容易に調整することが可能となり、大規模な部材変更をせずに散乱性能を調整できるため、低コスト化が可能となる。
【0079】
更に、本実施形態においては、異方性散乱構造61が異方性散乱シート6の+Z方向側の表面に形成された凸部である例を示したが、異方性散乱構造61は異方性散乱シート6の−Z方向側の表面に形成されていてもよい。但し、異方性散乱構造61がレンチキュラレンズ3の焦点に近付いて配置されると、異方性散乱構造61によってはその構造自体に起因した画質の劣化が発生する危険性が高まるため、焦点から離れた面となる+Z方向側の表面に形成される方が好ましい。即ち、異方性散乱構造が形成された面をレンチキュラレンズ側に向けて配置することにより、画質の劣化を抑制することができる。なお、凸部ではなく凹部であってもよい。また、異方性散乱シートは、散乱に異方性があるものであればどのようなものでも使用できる。一例として、異方性散乱のパターンが加工された母型を準備し、ホットエンボス法若しくは2P法で型のパターンを転写したフィルムを使用してもよく、一次元のホログラムパターンが形成されたホログラフィックディフューザを使用してもよく、又は、一般的な等方性の散乱シートを延伸して異方性を持たせたものでもよい。等方性の散乱シートを延伸して異方性を持たせる場合には、原反となる等方性の散乱シートは、表面凹凸構造により散乱を有し、延伸により表面凹凸構造に異方性を生じさせた異方性散乱シートでもよい。また、原反となる等方性の散乱シートが、シート内部に屈折率の異なる材料を含有しており、延伸により屈折率の異なる材料の分布に異方性が発生し、これにより異方性散乱を生じさせた異方性散乱シートでもよい。
【0080】
更には、異方性散乱のパターンは、一次元のプリズムが多数配置された一次元プリズムアレイであってもよく、一次元のレンズ体であるシリンドリカルレンズが多数配置された一次元レンズアレイであってもよい。なお、画像振分部として使用するレンチキュラレンズは、左眼用画素と右眼用画素の表示する画像をある所定の角度で分離するように設定するが、異方性散乱部としての一次元レンズアレイは、このような画像分離効果を持たないように配置される。一例では、画素よりも非常に細かいピッチでレンズが配列される。また、レンズ焦点が画素に配置されないように、焦点距離がレンズ−画素間距離の数倍又は数分の1に設定される。このような一次元光学素子を使用する場合には、表示面となるXY平面内において、回転角を付けて配置するのが効果的である。即ち、異方性散乱部の散乱が最大となる方向が第2の方向から第1の方向に回転した方向とするのが好ましい。
【0081】
本実施形態における異方性散乱シート6は、レンチキュラレンズ3との間隙、又は反射型液晶表示パネル2との間隙に空気層が存在する構造として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、間隙は所定の屈折率を有する粘着材又は接着剤等で埋められていてもよい。これにより、レンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとの位置が変動するのを抑制でき、界面での反射を低減することもできるため、表示品質をより高めることができる。なお、本実施形態に記載のように、異方性散乱部として表面に凹凸構造が形成された異方性散乱シートを使用する場合には、凹凸構造と同じ屈折率の材料で固定すると散乱効果がなくなってしまうため、屈折率の異なる材料を使用するのが適当である。なお、本実施形態のように異方性散乱部を異方性散乱シートとして別途構成することの利点は、一般的な異方性散乱シートを使用でき、また異方性散乱効果の変更が必要になった際にも、他の部材への影響を最低限にできることにある。
【0082】
更に、本実施形態における表示パネルは、反射型液晶表示パネルを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹凸構造を有する反射板を使用する表示パネルに対して、効果的に適用することができる。例えば、反射表示だけでなく透過表示も可能な半透過型液晶表示パネルを使用する場合について適用することもできるし、液晶表示パネル以外の反射型表示パネルを使用する場合についても適用できる。半透過型液晶表示パネルにおいては、透過領域の比率が大きい微反射型液晶表示パネル、及び反射領域の比率が大きい微透過型液晶表示パネルにおいても、本実施形態と同様に適用可能である。また、液晶表示パネルの駆動方法は、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)方式及びTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式でもよいし、STN(Super Twisted Nematic liquid crystal)方式等のパッシブマトリクス方式であってもよい。
【0083】
更に、本実施形態においては、左眼用画素及び右眼用画素のみが設けられた2眼式立体表示装置の場合について説明したが、本発明はN眼式(Nは2より大きい整数)の場合においても適用可能である。
【0084】
更にまた、本実施形態においては、カラーフィルタを用いたカラー表示に加え、複数色の光源を時分割で点灯する方式を併用して、カラー画像を表示することもできる。
【0085】
本実施形態におけるレンチキュラレンズは、レンズ面が使用者側の方向である+Z方向の面に配置された場合の構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レンズ面が表示パネル側の方向である−Z方向の面に配置されていてもよい。この場合、レンズ−画素間距離を小さくすることができるため、高精細化への対応で有利である。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができる。これにより、高画質化が可能となる。
【0086】
なお、本実施形態においては、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向がX軸方向であり、異方性散乱手段はX軸方向よりもY軸方向に大きな散乱特性を有するものとして説明した。そして、図4においては、表示装置の表示面が、X軸方向に平行な辺とY軸方向に平行な辺とから構成されるように記載した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、表示面においてシリンドリカルレンズの配列方向が回転配置されていてもよい。この時には、図4において、XY平面を回転させたものとして考えればよい。即ち、シリンドリカルレンズの配列方向と、異方性散乱手段の散乱特性が、本実施形態の構成を満たすことが重要である。
【0087】
本実施形態における画像振分部はレンチキュラレンズを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像振分部としてスリットアレイを使用したパララックスバリア方式に対しても適用することができる。レンチキュラレンズが高さ方向の構造を有する三次元形状であるのに対して、パララックスバリアは平面的な二次元形状を有し、フォトリソグラフィ技術を用いて容易に作製可能であるため、低コスト化が可能となる。但し、上述のように、レンチキュラレンズを使用した場合には、画像分離手段による光の損失が発生しない。従って、明るい反射表示を実現する点ではレンチキュラレンズ方式の方が有利である。
【0088】
次に、レンチキュラレンズが画像振分手段としての作用するための条件について詳述する。本実施形態においては、画像振分手段は、左眼用画素と右眼用画素が配列する第1の方向、即ちX軸方向に沿って、各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けなければならない。そこでまず、画像振分効果を最大限に発揮する場合について、図6を使用して説明する。
【0089】
レンチキュラレンズ3の主点、即ち頂点と画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。また、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rの各1個のピッチをPとする。このとき、各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示画素の配列ピッチは2Pとなる。
【0090】
また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける画素の拡大投影像の周期、即ち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの投影像の幅の周期を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離をWLとし、反射型液晶表示パネル2の中心に位置する左眼用画素4Lと右眼用画素4Rからなる表示画素の中心と、X軸方向における反射型液晶表示パネル2の端に位置する表示画素の中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる画素数を2m個とする。
【0091】
シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3aの材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が成立する。また、下記数式7乃至9が成立する。
【0092】
[数式1]
n×sinα=sinβ
【0093】
[数式2]
OD×tanβ=e
【0094】
[数式3]
H×tanα=P
【0095】
[数式4]
n×sinγ=sinδ
【0096】
[数式5]
H×tanγ=C
【0097】
[数式6]
OD×tanδ=WL
【0098】
[数式7]
WP−WL=C
【0099】
[数式8]
WP=2×m×P
【0100】
[数式9]
WL=m×L
【0101】
前述のようにまず画像振分効果を最大限に発揮する場合について考えるが、これはレンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズの焦点距離fと等しく設定した場合である。これにより、下記数式10が成立する。そして、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式11により求まる。
【0102】
[数式10]
f=H
【0103】
[数式11]
r=H×(n−1)/n
【0104】
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nはレンズ等の材質により決定される。そして、これらから導出されるレンズの配列ピッチL、レンズと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、レンズの曲率半径rである。即ち、レンズと画素との距離Hが固定の場合には、レンズの曲率半径を理想状態から変更すると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。即ち、分離が有効となる曲率半径の範囲を求めれば良い。
【0105】
まず、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径範囲の最小値を算出する。図7に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としH−fを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。これより、下記数式12が成立し、焦点距離の最小値fminを求めることができる。
【0106】
[数式12]
fmin=H×L/(L+P)
【0107】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式11を使用して、曲率半径の最小値rminは、下記数式13のように求めることができる。
【0108】
[数式13]
rmin=H×L×(n−1)/(L+P)/n
【0109】
次に、最大値を算出する。図8に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、画素ピッチPを底辺としf−Hを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。
これより、下記数式14が成立し、焦点距離の最大値fmaxを求めることができる。
【0110】
[数式14]
fmax=H×L/(L−P)
【0111】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式11を使用して、曲率半径の最小値rmaxは、下記数式15のように求めることができる。
【0112】
[数式15]
rmax=H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0113】
以上まとめると、レンズが画像振分効果を発揮するためには、レンズの曲率半径が数式13及び数式15により示される下記数式16の範囲に存在する必要がある。
【0114】
[数式16]
H×L×(n−1)/(L+P)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0115】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0116】
次に、異方性散乱構造のZ軸方向における望ましい位置について説明する。前述の異方性散乱構造がX軸方向に全く散乱成分を持たない場合には、Z軸方向のどの場所に位置しても、特に大きな問題とはならない。しかし一般的には、X軸方向にも若干の散乱成分が発生する。そして、このX軸方向の散乱を発生する構造が均一に存在していれば大きな問題とはならない。しかし、X軸方向においてある部分にはX軸方向の散乱構造が存在し、それ以外の部分には存在しないような場合では、この散乱構造のZ軸方向における位置が、画質を左右する非常に重要なパラメータとなる。
【0117】
この現象について図9乃至図11を用いて説明する。図9は、異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点付近に存在する場合を示す断面図であり、特に異方性散乱構造の影響が大きい場合を示す。また、図10は異方性散乱構造の影響が小さい場合を示す。図11は異方性散乱構造がシリンドリカルレンズの焦点から充分離れた位置に存在する場合を示す断面図である。異方性散乱構造は、その散乱性能が最大となる方向はY軸方向であるが、X軸方向にも若干の散乱を有する。そして、X軸方向にも散乱を有する部分は、異方性散乱構造の一部分のみである。ここでは特にX軸方向の散乱について着目することから、図9乃至図11では、X軸方向に散乱成分を有する部分のみを異方性散乱構造61として記載してある。
【0118】
図9に示すように、X軸方向に散乱する異方性散乱構造61が、シリンドリカルレンズ3aの焦点付近に存在する場合には、シリンドリカルレンズ3aから出射する光の大部分が、異方性散乱構造61の影響を受ける。しかし、図10に示すように、シリンドリカルレンズ3aから出射する光の角度を少し変えた場合、即ち観察者が少し斜め方向から観察した場合、異方性散乱構造61の影響は小さくなる。このように、観察者が表示装置を視認する角度に依存して、異方性散乱構造の影響が大きくなったり、小さくなったりする。異方性散乱構造の影響が大きい場合にはX軸方向の散乱が大きく、影響が小さい場合には散乱も小さいため、観察者には画質の低下として認識される。
【0119】
これに対し、図10に示すように、異方性散乱構造61がシリンドリカルレンズ3aの焦点から充分離れた位置に存在する場合には、常に異方性散乱構造61の影響を受けるため、観察者が画質の低下として認識することはない。このように、異方性散乱構造はレンズの焦点から離れて配置する方が好ましい。
【0120】
そこで次に、どの程度異方性散乱構造を焦点から離すのが良いか、詳述する。前述のように、X軸方向に散乱を有する異方性散乱構造が、X軸方向に一様に存在するのが望ましく、この場合には大きな問題にはならない。即ち、異方性散乱構造が細かく存在する方が望ましく、粗い場合に問題は大きくなる。例えば、異方性散乱構造のX軸方向における間隔がレンズの配列ピッチLよりも大きな場合には、異方性散乱構造が存在するシリンドリカルレンズと、存在しないシリンドリカルレンズが発生することになる。この場合、観察者には画質の低下として認識されるため、X軸方向に散乱を有する異方性散乱構造が複数存在する場合には、その間隔はレンズの配列ピッチL以下である方が好ましい。そこで、異方性散乱構造の間隔がLであり、一つのシリンドリカルレンズに一つの異方性散乱構造が対応する場合について考える。また、異方性散乱構造のX軸方向における幅が大きい方がより均質化でき好ましいので、ここでは、境界条件として、X軸方向における幅がゼロである場合について考える。更に、レンズの焦点距離が短い方が異方性散乱構造をレンズの焦点から離すのが困難になるので、数式12又は13で示される焦点距離最小条件について考える。
【0121】
更に前提条件として、メインローブだけでなく、1次サイドローブにおいても、異方性散乱構造が作用する場合について考える。前述のように、本実施形態においては、左右の画素から構成される表示単位とレンズが対応されて配置されている。一般的にメインローブとは、ある表示単位から出射して対応するレンズを通過した光を指す。1次サイドローブとは、ある画素対から出射して、その画素対に隣接する画素対と対応するレンズを通過した光を指す。メインローブは表示装置の正面方向に存在し、1次サイドローブはレンズの配列方向に沿って、斜めに傾斜した方向に存在することになる。
【0122】
図12に示すように、異方性散乱構造がレンズの光軸付近に存在する場合、レンズの焦点からある程度離れていると、メインローブだけでなく1次サイドローブにおいても、異方性散乱構造を作用させることができる。レンズの主点、即ち頂点から異方性散乱構造までの距離をH1とすると、異方性散乱構造から画素面までの距離はH−H1となる。そこで、隣接する画素対から出射した光が、異方性散乱構造61を通過して、シリンドリカルレンズ3aの端に入射する場合について考えると、レンズの配列ピッチの半分であるL/2を底辺とし、H1を高さとする三角形と、画素1.5N個分の距離1.5N×P(左右画素の場合はN=2)を底辺とし、H−H1を高さとする三角形に相似の関係が成立し、下記の数式17が成立する。
【0123】
[数式17]
L/2:H1=1.5N×P:H−H1
【0124】
数式17をH1について整理すると、下記数式18が得られる。
【0125】
[数式18]
H1=L×H/(L+3N×P)
【0126】
数式18により算出される値は境界条件であるため、数式19に示すように、この値より小さな範囲にあれば問題はない。なお、H1の下限はゼロであり、これはレンズの表面に異方性散乱構造が形成された場合である。
【0127】
[数式19]
H1≦L×H/(L+3N×P)
【0128】
なお、前提条件として、異方性散乱構造がレンズの光軸上に存在するものと仮定したが、上述のようにメインローブと隣接する1次サイドローブまで考慮しているため、光軸上以外の場所に存在する場合についても、この条件により対応することができる。
【0129】
以上まとめると、レンズの頂点と異方性散乱構造との距離がL×H/(L+3N×P)以下となるように配置することで、X軸方向に沿った散乱性を有する異方性散乱構造が充分に微細化されていない場合でも本発明を適用でき、画質の向上が実現できる。
【0130】
次に、画像振分手段としてパララックスバリアを使用した場合において、パララックスバリアが画像振分作用を有効に発揮するための条件について詳述する。まず、図13を使用して、パララックスバリア方式について説明する。
【0131】
パララックスバリア7は、細い縦縞状の多数の開口、即ち、スリット7aが形成されたバリア(遮光板)である。換言すれば、パララックスバリアは、振分方向となる第1の方向と直交する第2の方向に延びるスリットが、前記第1の方向に沿って複数本配列するように形成された光学部材である。左眼用画素4Lからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過するすると、領域ELに向けて進行する光束となる。同様に、右眼用画素4Rからパララックスバリア7に向けて出射した光は、スリット7aを透過すると、領域ERに向けて進行する光束となる。このとき、観察者が左眼552を領域ELに位置させ、右眼551を領域ERに位置させた場合に、観察者は立体画像を認識することができる。
【0132】
次に、表示パネルの前面にスリット状の開口部を有するパララックスバリアが配置された立体画像表示装置について、その各部のサイズを詳細に説明する。図13に示すように、パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7と観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。仮に支持基板が存在しない場合には、屈折率nを空気の屈折率である1にすればよい。このように定義すると、スリット7aから出射する光は、バリア層を支持する基板から出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。スリット7aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式20乃至25が成立する。また、下記数式26乃至28が成立する。
【0133】
[数式20]
n×sinα=sinβ
【0134】
[数式21]
OD×tanβ=e
【0135】
[数式22]
H×tanα=P
【0136】
[数式23]
n×sinγ=sinδ
【0137】
[数式24]
H×tanγ=C
【0138】
[数式25]
OD×tanδ=WL
【0139】
[数式26]
WP−WL=C
【0140】
[数式27]
WP=2×m×P
【0141】
[数式28]
WL=m×L
【0142】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0143】
上記のパラメータについてまとめると、画素の配列ピッチPは表示パネルにより決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは表示装置の設定により決定される値である。屈折率nは支持基板等の材質により決定される。そして、これらから導出されるスリットの配列ピッチL、パララックスバリアと画素との距離Hは、各画素からの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、スリットの開口幅S1である。即ち、バリアと画素との距離Hが固定の場合、スリットの開口幅S1が小さい程、左右の画素の像は明確に分離される。ピンホールカメラと同様の原理である。そして、開口幅S1が大きくなると、左右の画素の像がぼやけて、明確に分離しなくなる。
【0144】
パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、レンズ方式よりも直感的に算出することができる。図14に示すように、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの境界から出射した光は、スリット7aを通過する際にその開口幅である幅S1に狭めらる。そして、距離OD進行して観察面に到達するが、分離作用が存在するためには、この観察面における幅がe以下でなければならない。この幅より広がった場合には、左右画素の投影周期よりも大きくなるため、分離されないことになる。このときのスリット7aの開口幅S1は、スリットピッチLの半分である。即ち、パララックスバリアにおいて分離が有効になるスリット幅の範囲は、スリットピッチの1/2以下である。
【0145】
次に、パララックスバリア方式において、異方性散乱構造のZ軸方向での望ましい位置について説明する。図15に示すように、パララックスバリア方式においても、レンズ方式と同様に考えることができる。従って、レンズの配列ピッチLをスリット7aの開口幅S1として扱い、前述の数式19に適用することで、下記数式29を得ることができる。
【0146】
[数式29]
H1≦S1×H/(S1+3N×P)
【0147】
以上まとめると、パララックスバリアと異方性散乱構造との距離がS1×H/(S1+3N×P)以下となるように配置することで、X軸方向に沿った散乱性を有する異方性散乱構造が充分に微細化されていない場合でも本発明を適用でき、画質の向上が実現できる。
【0148】
更にまた、本実施形態においては、端末装置として携帯電話を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA、パーソナルTV、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータ等の各種の携帯端末装置に適用することができる。また、携帯端末装置のみならず、キャッシュディスペンサ、自動販売機、モニタ及びテレビジョン受像機等の各種の固定型の端末装置に適用することもできる。
【0149】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱シートが、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとの間に配置されていた。これに対して、本第2の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズのレンズ面が形成された面と反対側の面に異方性散乱構造が設けられ、レンチキュラレンズと一体形成されている点が異なる。
【0150】
即ち、図16に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置11においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ31が反射型液晶表示装置11の最表面となる+Z方向側に設けられ、多数のシリンドリカルレンズ31aがレンチキュラレンズ31の使用者側の面となる+Z方向の面に形成されている。そして、レンチキュラレンズ31の反射型液晶表示パネル2側の面となる−Z方向の面には、異方性散乱部である異方性散乱構造62が形成されている。一例では、異方性散乱構造62は、ホットエンボス法を用いてレンチキュラレンズ31にレンズ面を形成する際に、異方性散乱構造用の金型を裏面にセットしてプレスすることにより、レンズ面と同時に形成することができる。この方法以外にも、斜方ブラスターなどの異方性ブラスターを使用して一方向に延伸する模様を付ける技術や、ラビング技術のように一方向にこする技術を好適に使用することもできる。また、レンチキュラレンズ31と反射型液晶表示パネル2とは粘着材51で固定されており、この粘着材51は、その屈折率の値がレンチキュラレンズ31の屈折率の値とは異なる材料が使用されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0151】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第1の実施形態と比較して、異方性散乱部がレンチキュラレンズと一体形成されているため、異方性散乱部の異方性散乱構造を支持する部分を不要にできるため、薄型化が可能になる。また、異方性散乱部と画像振分部とを別々に形成して組み合わせる場合と比較して、一体形成が可能になるため、部材数の削減が可能となり、組み立て工数も削減できるため、低コスト化が可能になる。更には、組み立て時における異方性散乱部と画像振分部との位置変動をなくすことができるため、ばらつきを低減することができる。なお、本実施形態においては、異方性散乱部と画像振分部とを一体形成した特別なレンチキュラレンズを準備する必要があるが、レンズのピッチ及び曲率は変える必要がなく、従来の金型を使用できるため、低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができ、高画質化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0152】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図17は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第2の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱構造が、画像振分部であるレンチキュラレンズのレンズ面が形成された面と反対側の面に形成されていた。これに対して、本第3の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとが異方性散乱性能を有する異方性散乱糊63を用いて貼合されている点が異なる。
【0153】
即ち、図17に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置12においては、レンチキュラレンズ3のシリンドリカルレンズ3aが形成された面と反対側の面に、異方性散乱糊63が塗布され、この異方性散乱糊63によりレンチキュラレンズ3と反射型液晶表示パネル2とが貼合されている。異方性散乱糊63は、一例では、ファイバ状又はロッド状に加工された材料が、糊の中に配向分散されており、両者は異なる屈折率を有しているものである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0154】
本実施形態においては、前述の第2の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第2の実施形態と比較して、異方性散乱構造を成型するための金型と、異方性散乱構造を転写するプロセスが不要になるので、低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱糊に含有されるファイバ状又はロッド状の材料は、非常に微細な構造を有するため、散乱の面内均一性が高い。これにより、一層の高画質化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0155】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図18は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第3の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズと反射型液晶表示パネルとが異方性散乱性能を有する異方性散乱糊63を用いて貼合されていた。これに対して、本第4の実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ自体がその内部に異方性散乱構造を有する点が異なる。
【0156】
即ち、図8に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置13においては、レンチキュラレンズ32の基材が異方性散乱を有しており、これによりレンチキュラレンズ32自体が異方性散乱性能を有するものとなっている。異方性散乱性能を有する基材を作製する方法としては、基材作製時に屈折率の異なるファイバ状又はロッド状の材料を配向分散させる方法と、等方性散乱を有する基材を延伸して散乱に異方性を持たせる方法等を好適に使用することができる。このようにして作製した異方性散乱性能を有する基材に対して、例えばホットエンボス法を用いて表面にレンズ形状を転写し、異方性散乱を有するレンチキュラレンズ32を作製することができる。レンチキュラレンズ32は、粘着材52により反射型液晶表示パネル2に固定されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0157】
本実施形態においては、前述の第3の実施形態と同様に、異方性散乱部を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、前述の第2の実施形態と比較した場合には、レンチキュラレンズと屈折率の異なる粘着材を使用する必要がない。更に、前述の第3の実施形態と比較した場合には、異方性散乱糊を使用する必要がない。即ち、前述の第2又は第3の実施形態と比較して、使用可能な粘着材及び糊の選択肢を大幅に増やすことができるため、前述の第2又は第3の実施形態の特徴に加え、より低コスト化が可能となる。更に、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点からより離して配置することができ、高画質化が可能となる。
【0158】
なお、本実施形態においては、画像振分部であるレンチキュラレンズ自体がその内部に異方性散乱構造を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の構成部材がその内部に異方性散乱性能を有していてもよい。一例では、表示パネルにプラスチック基板が使用され、このプラスチック基板が異方性散乱性能を有していてもよい。また、液晶表示パネルに使用される偏光板又は位相差板が異方性散乱を有していてもよい。更に、表示パネルに設けられる光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する粘着層を、異方性散乱粘着層とすることもできる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0159】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図19は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図20は図19に示す導光板及びLEDを示す上面図であり、図21は図19に示す導光板及びLEDを示す断面図である。
【0160】
図19に示すように、本実施形態の透過型液晶表示装置14においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、透過型液晶表示パネル21、異方性散乱シート64及びバックライトユニット8が設けられている。透過型液晶表示パネル21は、前述の本発明の第1の実施形態における反射型液晶表示パネル2と同様に、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素41L及び右眼用画素41Rにより構成されている。また、各表示画素はシリンドリカルレンズ3aの長手方向に沿って配列されており、レンチキュラレンズ3は、この配列された表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ3aが対応するように配置されているのも同様である。即ち、本実施形態の透過型液晶表示装置14においては、画像振分部としてのレンチキュラレンズ及び表示パネルの基本的な構成は本発明の第1実施形態と同じであり、表示パネルがバックライトとしての面状光源を必要とする透過型である点が異なる。なお、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、即ちレンズの頂点と、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rとの間の距離に設定されている。バックライトユニット8は、光源となるLED81と、光源から出射した光を伝搬して面状光源化するための導光板82と、から構成されている。図20に示すように、LED81は導光板82の−Y側の面に配置されている。LED81から出射した光は、導光板82の−Y方向の面から導光板82内に入射し、導光板内を全反射しながら伝搬する。
【0161】
図20に示すように、導光板82の+Z側の表面には、多数のドット83(凹凸構造)が配置されている。このドット83は、一例では導光板82に印刷により形成され、導光板内を伝搬する光に対して全反射条件を打ち破り、光を+Z方向に取り出す役割を担うものである。図21に示すように、導光板82に−Y側の面に配置されたLED81から発した光は、導光板に入射すると、前述のように導光板内を全反射しながら伝搬するが、これは光がドット83の形成されていない部分に入射した場合である。全反射しながら伝搬する光が、ドット83の部分に入射すると、ドットの形状により全反射条件が崩壊する。これにより、導光板内を伝搬する光は、導光板外に取り出され、導光板は面状光源として作用することになる。このように、ドットが形成された導光板では、ドットの部分から光が取り出されることになる。換言すると、ドットが形成された面状光源を微視的に観察した場合、ドットの部分はそれ以外の部分よりも明るいことになる。なお、このような微視的な明るさの違いは、ドットが形成された導光板だけで発生するものではなく、微小な溝など何らかの構造を導光板に設けることにより全反射条件を崩し、導光板から光を取り出す場合には共通して発生する現象である。即ち、微小な凹凸形状を有する導光板では、その凹凸構造に起因して、出射する光が微視的な面内分布を有する。
【0162】
本実施形態における異方性散乱シート64は、基本的な構造は本発明の第1の実施形態における異方性散乱シート6と同様のものであるが、散乱が最大となる方向がX軸方向に設定され、散乱が最小となる方向がY軸方向に設定されている点が異なる。更に、異方性散乱構造641は、異方性散乱シート64の−Z側の面に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0163】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る透過型液晶表示装置の動作について説明する。図22は図19に示す本実施形態の透過型液晶表示装置において、X軸方向に平行な線分で切断した断面における光学モデルを示す図である。図22に示すように、本実施形態における表示装置は透過型であるため、導光板82から出射し、表示パネル21に入射する光を利用して表示が実現される。今、透過型液晶表示パネル21の表示画素のある一点を通過し、その画素と対応するシリンドリカルレンズに入射する光に着目すると、そのシリンドリカルレンズ3aに入射する光線群は、レンズピッチを底辺とし焦点距離を高さとする三角形を形成する。また、シリンドリカルレンズの焦点距離は、上述のようにレンズの頂点と画素との間の距離に設定されているため、シリンドリカルレンズから出射する光は平行光となる。
【0164】
ここで、異方性散乱シート64が存在しない場合について考えると、導光板82から出射され、前述の表示画素のある一点に向かう光線群は三角形を形成する。前述のように、導光板82から出射される光は、主としてドット83から出射されている。このため、導光板82から出射され、前述の表示画素のある一点に向かう光線群が形成する三角形の底辺にドットが含まれない場合、前述の表示画素のある一点を通過する光は存在しないことになる。一方で、ドットが含まれる場合には、前述の表示画素のある一点を通過する光は存在する。この表示画素上の点は、使用者が表示パネルを観察する角度によって変化し、これに伴ってこの点に向かう光線群が形成する三角形の底辺の位置も変化する。このため、異方性拡散シートが存在しない場合には、使用者の位置に依存して、表示に明るい領域と暗い領域が発生するため、表示画像に明るさの違いが重畳して観察され、画質が低下してしまう。
【0165】
これに対して、本実施形態においては異方性散乱シート64が存在するため、前述の表示画素のある一点に向かう光線群は、異方性散乱シート64が存在しない場合よりも、より広範囲から出射されることになる。これにより、前述の表示画素のある一点に対して、ドット83が形成されていない部分が対応する可能性を小さくできる。即ち、画像振分部であるレンチキュラレンズとバックライトユニット等の面状光源の構造物による画質の低下を抑制することができる。
【0166】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述の如く、本実施形態においては、レンチキュラレンズとバックライトユニットとの間に異方性散乱シートが設けられ、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が、レンチキュラレンズの画像振分方向となるように配置されている。また、異方性散乱シートが配置されているのは、表示パネルとバックライトユニットとの間である。これにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズとバックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。散乱シートとして異方性散乱でなく等方性散乱のものを使用した場合には、バックライトユニット8から出射した光は様々な方向に散乱されるため、正面方向の輝度が低下する問題が発生するが、本実施形態の如く異方性散乱シートを使用することにより、散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。
【0167】
本実施形態においては、異方性散乱シートの異方性散乱構造が形成された面をバックライトユニット8側に向けて配置するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示パネル21側に向けて配置することもできる。但し、レンチキュラレンズ3の焦点近傍に異方性散乱構造が配置されると、異方性散乱構造の影響が出る場合があるため、焦点から離して配置するのが好ましい。即ち、異方性散乱構造が形成された面をバックライトユニット8側に向けて配置することにより、画質の劣化をより低減することが可能となる。
【0168】
また、本実施形態においては、表面にドット83のパターンが形成された導光板82を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述のように微小な構造を有する光学素子を使用する場合に対して、同様に適用することができる。また、上述の説明ではドットパターンが導光板82のレンチキュラレンズ3側の面に形成されている例について説明したが、これと反対側の面、即ち導光板の−Z側の面に微小な構造が形成されている場合に対しても、同様に適用することができる。即ち、微小な構造を有し、この構造に起因して出射光がミクロな面内分布を有していれば、本発明を適用することができる。このような具体的な例としては、導光板では、微小な溝を設けて光を外部に取り出す方式と、微小な構造物を設けて出射光の指向性を制御するホログラム方式などを挙げることができる。また、微小な構造を有する光学素子は、導光板に限定されるものではなく、導光板から出射した光を制御するための光学シートに対しても同様に適用することができる。このような光学シートの一例としては、+Z側の面に多数のプリズムが形成され、このプリズム構造による屈折を利用して出射光の指向性を高める上向きプリズムシートと、−Z側の面に多数のプリズムが形成され、このプリズム構造による屈折及び全反射を利用して出射光の指向性を高める下向きプリズムシートが挙げられる。本実施形態においては、これらのプリズムシートの選択肢を増やすことができ、低コスト化が可能となる。更にまた、多数の微小ドットを介して導光板と光学シートが密着配置され、この密着ドット構造を用いて導光板より光を取り出す方式に対しても同様に適用することができる。
【0169】
更に、本実施形態においては、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分方向と平行となるように配置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の角度を設けて配置することもできる。
【0170】
更にまた、本実施形態においては、異方性散乱部として異方性散乱シートを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の他の実施形態に記載の異方性散乱部を好適に使用することもできる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0171】
また、本実施形態における表示パネルは、透過型液晶表示パネルを使用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バックライトを使用する表示パネルに対して効果的に適用することができる。例えば、液晶表示パネル以外の透過型表示パネルを使用する場合についても同様に適用できる。
【0172】
更に、レンチキュラレンズを使用した場合だけでなく、パララックスバリアを使用した場合でも同様に適用することができる。
【0173】
なお、照明手段としてのバックライトの構成要素である導光板や光学シートなどの光学部材においては、発光の面内均一性など光学的な特性の制約が存在するため、ピッチなどの構造にも制約がある。従って、画像振分手段と組み合わせる際に微細な方が好ましいとしても、微細化は一般的に困難である。これに対し、異方性散乱構造はバックライトの構造とは独立して微細化が可能なため、画像振分手段に近接して配置することができ、高画質化が可能となる。
【0174】
次に、画像振分手段としてパララックスバリアを使用し、特に表示パネルの光源側にパララックスバリアを配置した場合について詳述する。まず、図23を使用して、表示パネルの背面側にパララックスバリアを配置した場合について説明する。図23に示すように、パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7を含めた表示パネルの厚みをHtとし、表示パネルと観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。仮に支持基板が存在しない場合には、屈折率nを空気の屈折率である1にすればよい。このように定義すると、スリット7aから出射して画素を通過した光は、表示パネルから出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aから出射した光に着目し、表示パネルの観察者側の端面における入射角及び出射角を夫々α及びβとする。X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおいても、同様に入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。スリット7aの配列ピッチLと画素の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式30乃至35が成立する。また、下記数式36乃至38が成立する。
【0175】
[数式30]
n×sinα=sinβ
【0176】
[数式31]
OD×tanβ=e+P×Ht/H
【0177】
[数式32]
H×tanα=P
【0178】
[数式33]
n×sinγ=sinδ
【0179】
[数式34]
H×tanγ=C×Ht/H
【0180】
[数式35]
OD×tanδ=WP−(Ht/H−1)×C
【0181】
[数式36]
WP−WL=C
【0182】
[数式37]
WP=2×m×P
【0183】
[数式38]
WL=m×L
【0184】
なお上記においては、左眼用画素と右眼用画素とを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の表示装置に対して同様に適用することができる。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれる画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0185】
そして、リア型のパララックスバリア方式においても、画像の分離が有効になるスリット幅の範囲は、フロント型と同様にスリットピッチLの半分である。
【0186】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図24は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第5の実施形態においては、異方性散乱部である異方性散乱シートが、透過型液晶表示パネルとバックライトユニットの間に配置され、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向が画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分方向と平行に配置され、異方性散乱シートの異方性散乱構造は異方性散乱シートのバックライトユニット側の面に形成されていた。これに対して、本第6の実施形態においては、表示パネルとして各画素に透過用の表示領域と反射用の表示領域とを有する半透過型液晶表示パネルが使用され、異方性散乱シートはレンチキュラレンズと透過型液晶表示パネルとの間に配置され、異方性散乱シートの散乱が最大となる方向がレンチキュラレンズの画像振分方向と直交する方向に配置されている点が異なる。また、異方性散乱シートの異方性散乱構造は、異方性散乱シートのレンチキュラレンズ側の面に形成されている。
【0187】
即ち、図24に示すように、本実施形態に係る半透過型画像表示装置15においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、異方性散乱シート65、半透過型液晶表示パネル22及びバックライトユニット8が設けられている。更に、異方性散乱シート65の散乱が最大となる方向はY軸方向に設定され、レンチキュラレンズの画像振分方向であるX軸方向と直交している。更にまた、異方性散乱シート65の異方性散乱構造651は、異方性散乱シート65の+Z側の面に形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第5の実施形態と同様である。
【0188】
本実施形態においては、前述の第5の実施形態と同様に、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズとバックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができ、また異方性散乱シートを使用することにより散乱方向を限定することができるため、正面輝度の低下を抑制することができる。また、前述の第5の実施形態と比較して、異方性散乱部をレンチキュラレンズと半透過型液晶表示パネルとの間に配置することにより、反射表示時にレンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができる。即ち、バックライトユニットの凹凸構造に起因する表示品質の低下と、反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を同時に低減することができる。
【0189】
また、本実施形態においては、異方性散乱シートの異方性散乱構造が形成された面をレンチキュラレンズ側に向けて配置するものとして説明したが、表示パネル側に向けて配置する場合と比較して、異方性散乱構造をレンチキュラレンズの焦点から離れて配置することができるため、画質の劣化をより低減することが可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第5の実施形態と同様である。
【0190】
ここで、以降の実施形態について説明する前に、本発明の第7実施形態乃至第10実施形態に共通する課題として、前述の本発明者が新たに見出した問題点について説明する。この問題点とは即ち、レンチキュラレンズ等の画像振分部を設けた表示装置において、隣接する画素の境界領域等、表示に寄与しない領域の模様が、レンズ又はスリットの配列方向に平行な線となって観察され、画質を低下させるという問題である。本発明者は画像振分部を設けた表示装置の高画質化について、鋭意検討を行った。その結果、表示画像に重畳して画像振分方向に延伸する縞模様が、従来の画像振分部を持たない表示装置よりも目立って視認される現象を見出し、以下に示す知見を得たので、この知見について図を使用して説明する。図25は本発明の第1比較例に係る表示装置を示す断面図であり、図26は図25に示す表示パネルの画素を示す上面図であり、図27は図25に示す表示装置を観察者が視認した場合の表示画面の視認像を示す図である。
【0191】
図25に示すように、本第1比較例の透過型液晶表示装置116においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ103、透過型液晶表示パネル123が設けられている。透過型液晶表示パネル123は、前述の本発明の第5の実施形態における透過型液晶表示パネル21と同様に、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素142L及び右眼用画素142Rにより構成されている。レンチキュラレンズ103は、前述の第5の実施形態と同様に、表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ103aが対応するように配置されている。
【0192】
図26に示すように、本第1比較例の透過型液晶表示パネル123においては、左眼用画素142L及び右眼用画素142Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域140を有している。遮光領域140は、隣接画素の影響を取り除いたり、配線を設ける領域を確保する目的で形成されるものである。本第1比較例においては、表示画素がX軸方向及びY軸方向に配列されるため、遮光領域140はX軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。このような遮光領域の形状は、通常の液晶表示パネルによく見られるものである。
【0193】
このような遮光領域の形状を有する表示パネルに画像振分部であるレンチキュラレンズを設けて観察すると、正面方向の観察者は左眼用画素142L及び右眼用画素142RのそれぞれA−A線、B−B線の部分を観察することになる。この結果、図27に示すように、観察者は遮光領域として、Y軸方向に延びる線分は観察できず、X軸方向に延びる線分のみを視認することになる。即ち、画像振分方向に延伸する遮光領域のみを視認し、画像振分方向と直交する方向の遮光領域は視認されない。レンチキュラレンズを設けない場合、使用者は縦横方向の格子模様を視認していたが、レンチキュラレンズを設けることにより観察者は画像振分方向のみの遮光領域を視認することになり、画像振分方向に延伸する縞模様となって認識されることになる。一例では、本第1比較例の場合には、画像振分方向が左右方向に相当するため、横方向の縞模様が表示画像に重畳して視認される。この縞模様により、表示画像の品質が低下することになる。
【0194】
また、この縞模様について本発明者は更に鋭意検討したところ、表示パネルの解像度が低い方が、より大きな問題となることが判明した。これは、解像度の低い方が縞の幅及び間隔が大きくなり、使用者が容易に視認できるためと考えられる。また、立体画像表示装置の場合には、表示画像の縦横の解像度が一致すると、特に大きな問題となることが判明した。これは、縦横の解像度が異なる場合には、その縦横解像度の違いが横方向の縞模様と重畳して観察者に視認されるが、この縦横解像度の違いの方が横方向の縞模様よりも大きな問題となるため、相対的に縞模様の方が問題にならないためと考えられる。更にまた、画像振分部としてパララックスバリアを使用する場合よりも、レンチキュラレンズを使用する場合の方が大きな問題となることが判明した。これは、パララックスバリアの場合には、スリットとそれ以外の領域が画像振分方向と垂直な方向に延びる縞模様を形成するため、この縞模様の方が相対的に大きな問題となるためと考えられる。一般的にレンチキュラレンズを使用した場合には、パララックスバリアの場合に発生する模様は発生しないため、画像振分方向と平行な方向に延びる縞模様が問題となる。
【0195】
本発明の第7の実施形態は、上述の課題も解決することができるものである。図28は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図29は図28に示す表示パネルの画素を示す上面図である。
【0196】
図28に示すように、本第7の実施形態の透過型液晶表示装置16においては、使用者側から順に、レンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66、透過型液晶表示パネル23が設けられている。透過型液晶表示パネル23は、前述の図25及び図26に記載の透過型液晶表示パネル123と同じものである。即ち、表示パネルの表示画素が隣接する左眼用画素42L及び右眼用画素42Rにより構成されている。レンチキュラレンズ3は、前述の第5の実施形態と同様に、表示画素の列に1つのシリンドリカルレンズ3aが対応するように配置されている。本実施形態における異方性散乱シート66は、本発明の第1実施形態と同様に、その散乱が最大となる方向がレンチキュラレンズ3の画像振分方向と直交する方向に配置され、散乱が最小となる方向が画像振分方向と平行な方向に配置されている。また、異方性散乱シート66の異方性散乱構造661は、異方性散乱シート66の+Z側の面、即ちレンチキュラレンズ側の面に形成されている。
【0197】
図29に示すように、本第7の実施形態の透過型液晶表示パネル23においては、左眼用画素42L及び右眼用画素42Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域40を有している。前述の本発明の第1比較例と同様に、表示画素がX軸方向及びY軸方向に配列されるため、遮光領域40はX軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である
【0198】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る透過型液晶表示装置の動作及び効果について説明する。前述のレンチキュラレンズを設けた透過型液晶表示装置においては、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向に延びる遮光領域が縞模様となって視認されるが、本実施形態においてはレンチキュラレンズの画像振分方向と垂直な方向に大きな散乱を有する異方性散乱シートが設けられているため、画像振分方向と平行な方向の縞模様は異方性散乱シートにより低減される。また、異方性散乱シートの散乱が最小となる方向は、画像振分方向と平行に配置されているため、画像振分効果への悪影響を最小限に留めることができる。
【0199】
本実施形態においては、適用する画素ピッチに対し、画像振分部の画像振分方向に延びる遮光領域の幅が大きな表示パネルに対して、より効果を発揮することができる。このような表示パネルの例として、カラー表示を実現するため、赤緑青のカラーフィルタが画像振分方向と平行な方向に延びる横ストライプ型の表示パネルが挙げられる。このようなカラーストライプの配列方向が画像振分方向と直交する方向である横ストライプ型の表示パネルにおいては、異なるカラーの境界が画像振分方向と直交する方向に配置されるため、画像振分方向に延伸する遮光領域の割合が大きくなるからである。そして本発明を好適に適用でき、この画像振分方向に延伸する遮光領域の影響を低減できるため、高画質化が可能となる。なお、画素ピッチがより大きな表示パネルの方が、より効果的に適用することができるのはいうまでもない。これは、画素ピッチの大きな表示パネルの方が、縞模様のピッチが大きくなり、使用者に視認されやすくなるためである。
【0200】
また、レンチキュラレンズ及びパララックスバリア等の画像振分部を有する表示装置において、左眼用画像及び右眼用画像等の表示画像の縦横の解像度が一致する場合に対し、特に好適に適用し、大きな効果を発揮することができる。これは、縦横の解像度が異なる場合には、その解像度の違いに埋もれて、縞模様が相対的に気にならなくなるからである。即ち、表示画像の縦横の解像度が一致することにより、相対的に画像振分方向と平行な方向の縞模様が目立ち、本発明によりこの縞模様を効果的に低減できるからである。更にまた、画像振分部としてパララックスバリアを使用する場合よりも、レンチキュラレンズを使用する場合に対し、大きな効果を発揮することができる。これは、レンチキュラレンズの方がバリアの模様のない高品質の表示が可能なため、相対的に画像振分方向と平行な方向の縞模様が目立ち、この縞模様を効果的に低減できるからである。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1又は第5の実施形態と同様である。
【0201】
ここで、縞模様、即ちレンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向に延伸する遮光領域の視認性について詳述する。視認性は人間の視力、観察距離にも依存する。観察距離に関しては、立体ディスプレイでは立体視域が存在するため、その視域中における使用が前提となる。そこで、まず立体視域について説明する。
【0202】
図30は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最大観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。表示パネルの任意の左眼用画素から出射した光は、レンチキュラレンズにより所定の領域に向けて偏向される。この領域が左眼領域71Lである。同様に、右眼用画素から出射した光は、右眼領域71Rに向けて偏向される。そして、使用者が左眼領域71Lに左眼551を位置させ、右眼領域71Rに右眼552を位置させると、左右の眼に異なる画像を入射させることができる。これらの画像が視差画像であれば、使用者は立体画像を視認することになる。
【0203】
但し、左眼領域71L及び右眼領域71Rの任意の位置に各々の眼を配置することはできない。これは、両眼間隔による制約が存在するからである。文献によると、人間の両眼間隔は概ね一定であり、一例では、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil A. Dodgson, “Variation and extrema of human interpupillary
distance”, Proc. SPIE vol.5291)。従って、立体表示装置を設計する場合には、両眼間隔の値を62乃至65mmの範囲に設定することが適当であり、63mm程度の値が使用される。左眼領域及び右眼領域のサイズにこの両眼間隔の制約を加えて立体視域を算出する必要がある。
【0204】
ここで、左眼領域及び右眼領域の幅について説明する。前述のように、最適観察距離ODにおける各画素の拡大投影像の周期をeとしているが、この値は両眼間隔と等しく設定するのが好ましい。周期eが両眼間隔より小さい場合には、周期eに制限され立体視域幅が小さくなってしまう。また、周期eが両眼間隔より大きい場合には、立体視域幅は周期eにより制限されないが、両眼間隔により制限される。しかも、斜め方向に発生するサイドローブを利用しての視認が困難になる。このため、周期eを大きくしても、立体視域幅が拡大することはない。以上の理由から、周期eは両眼間隔と等しく設定される。
【0205】
すると、立体視域における最大観察距離は、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位から出射した光の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の中央から出射した光線に着目する。このとき、WLを底辺とし最適観察距離ODを高さとする三角形と、e/2を底辺としFD−ODを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記数式39が成立し、これを整理すると、下記数式40に示すように最大観察距離FDが得られる。
【0206】
[数式39]
WL:OD=e/2:FD−OD
【0207】
[数式40]
FD=OD×(WL+e/2)/WL
【0208】
次に、最小観察距離を算出する。図31は、レンチキュラレンズ方式の表示装置において、最小観察距離を算出するための光学モデルを示す断面図である。立体視域における最小観察距離は、表示パネルのX軸方向の端から出射した光線の軌跡と、左眼領域又は右眼領域のX軸方向における中心線との交点となる。そこで、表示パネルのX軸方向の端に位置する表示単位において、この表示単位の図右端から出射した光線に着目する。このとき、WL+e/2を底辺とし最小観察距離NDを高さとする三角形と、e/2を底辺としOD−NDを高さとする三角形に相似の関係が成立する。したがって、下記数式41が成立し、これを整理すると、下記数式42に示すように最小観察距離NDが得られる。
【0209】
[数式41]
e/2:OD−ND=WL+e/2:ND
【0210】
[数式42]
ND=OD×(WL+e/2)/(WL+e)
【0211】
以上により、立体視域71が算出された。これは、図30又は図31に示すように、ダイヤモンド状の四角形となる。そのX軸方向における幅は、画素の拡大投影像の周期eの半分である。Y軸方向における幅は、最大観察距離FDと最小観察距離NDとの差分となる。
【0212】
遮光領域の視認性については、この立体視域に使用者が位置した際に、認識できないことが好ましい。例えば、立体視域において表示装置からの最遠端となる最大観察距離FDから視認できないことは必須であるし、最適観察距離ODから視認できない方が好ましい。更には、最小観察距離NDから視認できなければ完璧である。
【0213】
そこで、次に遮光領域の視認性、即ち視距離と遮光領域の幅の関係について詳述する。使用者が遮光領域を視認できないようにするためには、遮光領域の幅を観察者の視力による分解能以下に設定する必要がある。図32に示すように、観察者の視力と識別可能な最小視角との関係は、下記数式43により与えられる。
【0214】
[数式43]
視力=1/視角(分)
【0215】
一般的に視力は1.0であり、上記数式43から、視力1.0である観察者の最小視角は1分、即ち1/60度と算出される。そしてこのとき、観察距離D(mm)における観察者の眼の分解能は、D×tan(1/60)(mm)となる。なお、tan中の角度単位は「度」であり、具体的な数値としては、tan(1/60)は0.00029である。従って、遮光領域、即ち表示に寄与しない領域の幅をD×tan(1/60)(mm)より小さくすることにより、遮光領域の幅を眼の分解能よりも小さくでき、使用者による遮光領域の視認を防止できる。
【0216】
以上まとめると、遮光領域の幅は、FD×tan(1/60)より小さくする必要があり、FD×tan(1/60)より小さい方が好ましい。更には、ND×tan(1/60)より小さければ、立体視域の全ての場所において、使用者による遮光領域の視認を防止できる。
【0217】
そして、特に本実施形態によれば、上記の制約を緩和して、より遮光領域の幅が大きな場合においても、使用者による遮光領域の視認性を低下させて、表示品質を向上することができる。即ち、画像振分手段の画像振分方向と平行な方向に延伸する遮光領域の幅が、ND×tan(1/60)以上である場合に本発明を効果的に適用することができる。
【0218】
なお、上記の説明は、左右画像の分離性能を最大にしたレンズの場合について説明したが、分離性能を最大にしたピンホール状のバリアの場合にも、同様に適用することができる。そして、レンズの場合にはデフォーカス設定、即ちレンズの焦点面を画素面からずらして配置した場合には、立体視域は上記よりも狭くなる。バリアの開口を大きくした場合でも同様である。ただし、このように立体視域を狭くした場合には、最適観察距離ODは変化せず、最大観察距離FDが小さくなって最適観察距離ODに近付き、最小観察距離NDが大きくなって最適観察距離ODに近付くことになる。従って、分離性能が最大となる場合について算出した上記の条件は、分離性能を低下させた場合にも同様に適用できることになる。
【0219】
なお、本実施形態の構成により、画像振分手段の画像振分方向と直交する方向に延伸する遮光領域の影響を低減することもできる。立体表示装置において、縦方向、即ちY軸方向に延伸する非表示領域は、レンズなどの画像振分手段により観察面に拡大投影される。本実施形態においては、画像振分方向であるX軸方向の散乱を、分離性能が大幅に悪化しない程度に残しておくことにより、この影響を低減することができる。
【0220】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図33は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図34は図33に示す表示パネルの画素を示す上面図である。前述の第7の実施形態においては、透過型液晶表示パネルの遮光領域が、X軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状であった。これに対して、本第8の実施形態においては、透過型液晶表示パネルの遮光領域の形状が異なる。即ち、X軸方向に延びる線分は直線状であるが、Y軸方向に延びる線分はY軸に対して傾斜している。
【0221】
即ち、図33に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置17においては、前述の本発明の第7実施形態における透過型液晶表示装置16と比較して、透過型液晶表示パネル24が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第7実施形態と同様である。
【0222】
図34に示すように、本第8実施形態の透過型液晶表示パネル24においては、左眼用画素43L及び右眼用画素43Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域42を有している。そして、左眼用画素43L及び右眼用画素43Lが隣接する方向であるX軸方向に対し、遮光領域42が延びる線分の方向は、X軸方向と平行になっている。これに対して、Y軸方向に延びる遮光領域42の線分は、Y軸方向に対して傾斜した線分の集合体となっている。この結果、画素の光を透過する領域は、略平行四辺形状に形成されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素の光を透過する領域は、X軸に対して線対称な略平行四辺形状に形成されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域42の線分は、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第7の実施形態と同じである。
【0223】
本実施形態においては、前述の第7実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、Y軸方向に延びる遮光領域の線分がジグザグ形状となっているため、Y軸方向に延びる遮光領域がレンチキュラレンズの画像振分効果によって使用者に拡大表示され、左眼用画像と右眼用画像の境界に輝度の低下した領域が発生する現象を抑制できる。この場合、画像振分方向となるX軸方向においては、前述の第7実施形態と比較して、より広い範囲で画像を視認できるため、X軸方向の縞模様を低減できない場合にはより大きな問題となるが、本実施形態では異方性散乱部を用いて縞模様が低減できるため、前述の第7実施形態よりも大きな効果を発揮することができる。
【0224】
本実施形態においては、Y軸方向に延びる遮光領域の線分が、Y軸方向に対して一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば一画素内で複数回ジグザグに配置されていてもよいし、逆に複数画素の周期でジグザグ形状が形成されていてもよい。また、ジグザグ形状は、Y軸方向から+X方向又は−X方向に傾斜した線分から構成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、曲線で構成されていてもよい。更には、画素の光を透過する領域が略平行四辺形状に形成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、一例では各画素が略台形状に形成され、隣接する画素においてこの略台形状の開口が回転対称に配置されていてもよい。
【0225】
図35は本実施形態に適用可能な表示パネルの画素の別の実施例を示す上面図である。図35に示すように、透過型液晶表示パネル24aにおいては、左眼用画素43La及び右眼用画素43Raが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域42aを有しており、この遮光領域42aにより囲まれた光を透過する領域は、略台形状に形成されている。そして、左眼用画素43Laと右眼用画素43Raは、回転対称の関係に配置されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素は、その光を透過する領域が回転対称の関係に配置されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域42aの一本の線分に着目すると、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっており、更にX軸方向に隣接しY軸方向に延びる遮光領域42aの別の線分に着目すると、ジグザグ形状がY軸対称になっている。本実施例においては、前述の効果に加え、特に薄膜トランジスタを使用したアクティブマトリクス方式の表示パネルに好適に適用でき、高開口率化が可能となる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1又は第5の実施形態と同様である。
【0226】
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図36は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図37は図36に示す表示パネルの画素を示す上面図である。本第8実施形態においては、横電界方式の透過型液晶表示パネルを使用している点が異なる。
【0227】
図36に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置18においては、前述の本発明の第8実施形態における透過型液晶表示装置17と比較して、横電界方式の透過型液晶表示パネル25が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第8実施形態と同様である。
【0228】
図37に示すように、本第9実施形態の透過型液晶表示パネル25は横電界方式の液晶表示パネルであり、左眼用画素44L及び右眼用画素44RにはXY平面内に横電界を発生させるための櫛歯電極48が形成されている。また、左眼用画素44L及び右眼用画素44Rが、それぞれの画素の光を透過する領域の周囲に遮光領域43を有している。遮光領域43の基本的な形状は、前述の図34に示す第8実施形態と同様であるが、本実施形態の表示パネルは横電界方式であり、隣接画素からの横電界の影響を低減するため、また櫛歯電極48の設置のために、遮光領域の幅がより大きくなっている点が異なる。即ち、左眼用画素44L及び右眼用画素44Rが隣接する方向であるX軸方向に対し、遮光領域43が延びる線分の方向は、X軸方向と平行になっている。これに対して、Y軸方向に延びる遮光領域43の線分は、Y軸方向に対して傾斜した線分の集合体となっている。この結果、画素の光を透過する領域は、略平行四辺形状に形成されている。また、Y軸方向において相互に隣接する画素の光を透過する領域は、X軸に対して線対称な略平行四辺形状に形成されている。この結果、Y軸方向に延びる遮光領域43の線分は、Y軸方向から+X方向に傾斜した線分と、Y軸方向から−X方向に傾斜した線分とが、Y軸方向において一画素毎に繰り返し配置されたジグザグ形状となっている。櫛歯電極48は、遮光領域43のジグザグ形状と平行に形成され、Y軸方向に所定の角度を有している。なお、ジグザグ形状に形成された遮光領域43の幅は、隣接画素の横電界の影響を低減するため、前述の第8実施形態と比較して、より広く形成されている。また、X軸方向に延びる遮光領域43の線分の幅は、前述の第8実施形態と比較して、より広く形成されているが、これは横電界方式においては櫛歯電極の櫛歯部分に配線するため、櫛歯電極の付け根部分に横電界が発生できない領域が生じ、この領域を遮光する必要があるからである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第8の実施形態と同じである。
【0229】
本実施形態においては、前述の第8実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、液晶表示パネルのインプレインスイッチングモードの駆動に好適に使用することができ、櫛歯電極の付け根部分に形成される遮光領域に起因する縞模様を効果的に低減できる。更に、櫛歯電極の上は、横電界が弱く液晶分子が十分に駆動されずに透過率が低下し、この透過率のムラによって表示画質が低下するが、本実施形態においては異方性散乱シートの異方性散乱効果により、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、この表示画質の低下を抑制することができる。
【0230】
本実施形態においては、液晶表示パネルのインプレインスイッチングモードの駆動に好適に使用することができ、広い角度範囲に渡って階調反転の発生しない広視野角表示が実現できる。このような液晶モードの他の例としては、例えば、インプレインスイッチングモードと同様に横電界モードであるフリンジ・フィールド・スイッチングモード及びアドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチングモードがあり、同様に適用することができる。なお、櫛歯電極は、アルミニウム等の金属材料により形成された不透明電極、又はITO(Indium tin oxide:酸化インジウム錫)等により形成された透明電極のどちらでもよく、いずれの場合においても同様の効果が得られる。
【0231】
更に、本実施形態においては、液晶表示パネルは横電界モードに限定されるものではなく、表示画素の電極構造や凹凸構造等に起因して、一画素内に透過率の分布を発生させる液晶モードに好適に適用することができる。このような液晶モードの例としては、上述のモードの他に、マルチドメイン化した垂直配向モードであるマルチドメイン・ヴァーティカル・アライメントモード、パターンド・ヴァーティカル・アライメントモード・アドヴァンスト・スーパー・ヴイモード等が挙げられる。このマルチドメイン化した垂直配向モードの場合、ドメイン間の境界部に光を透過しない領域が発生するからである。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第8の実施形態と同様である。
【0232】
なお、表示パネルの表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有するが、本発明においては、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向とすることができる。また、前記表示単位は正方形の中に形成されているようにすることができる。
【0233】
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図38は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図39は図38に示す表示パネルの画素を示す上面図である。本第10実施形態においては、前述の第7の実施形態と比較して、各画素の表示領域に透過表示用の領域と反射表示用の領域とを兼ね備えた半透過型液晶表示パネルを使用している点が異なる。
【0234】
即ち、図38に示すように、本実施形態における透過型液晶表示装置19においては、前述の本発明の第7実施形態における透過型液晶表示装置16と比較して、半透過型液晶表示パネル26が使用されている点が異なる。それ以外の構成要素であるレンチキュラレンズ3、異方性散乱シート66に関しては、前述の第7実施形態と同様である。
【0235】
図39に示すように、本第10の実施形態の透過型液晶表示パネル26においては、左眼用画素45L及び右眼用画素45Rが、それぞれの画素の表示領域の周囲に遮光領域44を有している。遮光領域44は、X軸方向に延びる多数の線分とY軸方向に延びる多数の線分を組み合わせた形状になっている。そして、各画素の遮光領域44に囲まれた表示領域には、透過用表示領域と反射用表示領域が形成されている。具体的には、左眼用画素45Lには透過用表示領域45Ltと反射用表示領域45Lrとが形成され、それぞれの表示領域は画素をY軸方向に二分するように配置されている。右眼用画素45Rにも同様に透過用表示領域45Rtと反射用表示領域45Rrが形成されている。即ち、複数の画素に渡って見ると、透過用表示領域及び反射用表示領域は、夫々、X軸方向に延びる横線状となっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第7の実施形態と同様である。
【0236】
本実施形態においては、前述の第7実施形態と同様に、異方性散乱シートの異方性散乱効果により、画像振分部であるレンチキュラレンズの画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズの画像振分方向と平行な方向の縞模様を低減することができ、高画質化が可能となる。本実施形態では特に、透過表示、反射表示の際に発生する画像振分方向の縞模様を低減することができる。例えば、透過表示の場合、特に周囲が暗く外光が表示に寄与しない場合には、反射用表示領域は遮光領域と同様に視認される。従って、異方性散乱部が存在しない場合には、遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域も縞模様として視認され、表示品質が大幅に低下することになる。本実施形態においては、透過表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、反射用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、透過表示の品質を向上することができる。同様に、反射表示の場合、特に周囲が明るく反射表示が支配的で透過表示が視認されない場合には、透過用表示領域は遮光領域と同様に視認される。従って、異方性散乱部が存在しない場合には、遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域も縞模様として視認され、表示品質が大幅に低下することになる。本実施形態においては、反射表示の際に、異方性散乱部により遮光領域に起因する縞模様のみならず、透過用表示領域に起因する縞模様も低減できるため、反射表示の品質を向上することができる。即ち、本実施形態においては、半透過型表示装置における透過表示及び反射表示の品質を向上させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第7の実施形態と同様である。
【0237】
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図40は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図であり、図41は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
【0238】
図40及び図41に示すように、本実施形態における反射型画像表示装置10は、端末装置としての携帯電話91に組み込まれている。そして、本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの長手方向、即ちY軸方向が画像表示装置の横方向、即ち、画像の水平方向であり、シリンドリカルレンズ3aの配列方向、即ちX軸方向が縦方向、即ち、画像の垂直方向である点が異なっている。
【0239】
また、図40に示すように、反射型液晶表示パネル27には、各1つの第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sからなる画素対が複数個、マトリクス状に配列されている。そして、1つの画素対における第1視点用画素4F及び第2視点用画素4Sの配列方向は、シリンドリカルレンズ3aの配列方向となるX軸方向であり、画面の縦方向(垂直方向)である。また、各画素4F及び4Sの構造は、前述の第1実施形態と同様である。更にまた、異方性散乱シート67の散乱が最大となる方向はX軸方向に配置され、散乱が最小となる方向はY軸方向に配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0240】
次に、本実施形態に係る画像表示装置の動作について説明するが、基本的な動作は前述の第1実施形態と同様であり、表示する画像が異なる。反射型液晶表示パネル27の第1視点用画素4Fが第1視点用の画像を表示し、第2視点用画素4Sが第2視点用の画像を表示する。第1視点用の画像及び第2視点用の画像は、相互に視差がある立体画像ではなく、表示内容が相互に異なる平面画像である。また、両画像は相互に独立した画像であってもよいが、相互に関連する情報を示す画像であってもよい。
【0241】
本実施形態においては、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造に起因する表示品質の低下を抑制することができるだけでなく、観察者が携帯電話91の角度を変えるだけで、第1視点用の画像又は第2視点用の画像を選択して観察できるという利点がある。特に、第1視点用の画像と第2視点用の画像との間に関連性がある場合には、観察角度を変えるという簡単な手法で夫々の画像を切り換えて交互に観察できるため、利便性が大幅に向上する。なお、第1視点用の画像と第2視点用の画像とを横方向に配列した場合には、観察位置によっては、右眼と左眼とで異なる画像を観察する場合がある。この場合、観察者は混乱し、各視点の画像を認識できなくなる。これに対して、本実施形態に示すように、複数視点用の画像を縦方向に配列した場合には、観察者は各視点用の画像を必ず両眼で観察できるため、これらの画像を容易に認識できる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態は、前述の第2乃至第10の実施形態のいずれかの実施形態と組み合わせることもできる。
【0242】
なお、前述の第1乃至第11の実施形態においては、携帯電話等に搭載され、1人の観察者の左右の眼に相互に視差がある画像を供給して立体画像を表示するか、1人の観察者に複数種類の画像を同時に供給する画像表示装置の例を示したが、本発明に係る画像表示装置はこれに限定されず、大型の表示パネルを備え、複数の観察者に相互に異なる複数の画像を供給するものであってもよい。後述の第12実施形態以降についても同様である。
【0243】
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。図42は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第12の実施形態においては、異方性散乱シートの代わりに異方性散乱層681が基板2aの内側に設けられている点が大きく異なる。即ち、異方性散乱層をパネルの内部に内蔵した、インセル型の表示パネルである
【0244】
図42に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置111においては反射型液晶表示パネル28が使用されている。反射型液晶表示パネル28を構成する基板において、反射板4が形成されておらず、観察者側となる+Z方向側に配置されている基板2aの液晶層5側に、異方性散乱層681が配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0245】
本実施形態においては、前述の第1実施形態と同様に、異方性散乱層を用いることにより、レンチキュラレンズの画像振分効果を大きく損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、従来と同様のレンチキュラレンズやガラス基板を使用でき、異方性散乱シートや異方性散乱糊を使用する必要がない。このため、使用部材を低減でき、低コスト化、薄型化が可能となる。更には、異方性散乱層を反射板と近接配置できるため、表示面内や厚み方向における位置精度を向上でき、誤差の低減が可能であり、画質が向上できる。
【0246】
本実施形態における異方性散乱層は、前述の2P法の他に、フォトリソグラフィ技術を使用して形成することもできる。また、異方性散乱層のかわりに、基板2aの液晶層側の表面に異方性散乱構造が設けられていてもよい。異方性散乱構造の液晶側にオーバーコート層が設けられていてもよい。これにより異方性散乱構造に起因する凹凸を平坦化して、液晶分子の配向性を向上することができる。更に、異方性散乱層は、カラー表示をするためのカラーフィルタの色層に含まれていてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0247】
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。図43は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第12の実施形態と比較して、本第13の実施形態においては、異方性散乱層681がパターン化されている点が異なる。
【0248】
即ち、図43に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置112においては反射型液晶表示パネル29が使用されている。異方性散乱層681は、基板2aの液晶層5側に配置されている。所謂インセル型である。そして、異方性散乱層681が表示面内全面ではなく、部分的に配置されている。そして、この異方性散乱層681の位置は、反射板の凹凸構造の位置と対応させて配置されている。一例では、反射板の凹凸構造の表示面内における位置と、異方性散乱層681の表示面内における位置が同じである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第12の実施形態と同様である。
【0249】
本実施形態においては、反射板の凹凸構造に対応させて異方性散乱層を配置することにより、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。問題が発生する部分にのみ異方性散乱層を配置することができるため、その他の部分に与える影響を低減することができる。例えば半透過型液晶表示パネルにも好適に適用でき、透過表示領域には影響を与えないように、反射表示領域にのみ異方性散乱層を配置することもできる。
【0250】
本実施形態においては、異方性散乱効果が表示面内において分布を有している点が重要である。このため、異方性散乱層はパターン化されずに、散乱効果が面内分布を有し、必要な部分にのみ散乱効果が存在しても良い。即ち、散乱層の散乱効果に面内分布を持たせ、反射板の凹凸構造近傍のみ異方性散乱効果を高めるのも有効である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第12の実施形態と同様である。
【0251】
次に、本発明の第14の実施形態について説明する。図44は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第14の実施形態においては、異方性散乱シートの代わりにレンズの曲面部分に異方性散乱構造が設けられている点が大きく異なる。
【0252】
即ち、図44に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置113においては、多数のシリンドリカルレンズ33aを有するレンチキュラレンズ33が使用されている。レンチキュラレンズ33は、隣接するシリンドリカルレンズ33aの谷の部分に、異方性散乱構造691が設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0253】
本実施形態においては、レンズの曲面部分に異方性散乱構造を設けることにより、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。また、異方性散乱構造が形成された面を、レンチキュラレンズの焦点から離して配置することができるため、高画質化が可能となる。更に、隣接するシリンドリカルレンズの谷の部分に異方性散乱構造を設けているので、収差が少なく画像分離性能に優れた光軸付近においては、画像分離性能は損なわれない。即ち、画像分離性能に優れた部分は画像分離に利用し、画像分離性能が低下した部分を異方性散乱に使用することで、両性能の両立が可能となる。
【0254】
なお、本実施形態においては、レンチキュラレンズ自体を変更する必要はあるものの、既存の金型に追加の加工を施すことで対応できる。このため、レンチキュランレンズのレンズ形状、即ちレンズとして作用する部分の形状は変更せずに済む。異方性散乱構造を金型に追加する場合には、隣接するレンズの谷の部分が金型では凸の部分になるため、この頂上部分に加工を施せばよい。金型の谷の部分に加工を施すよりも、頂上部分に加工を施す方が容易である。具体的には、金型をレンズの配列方向にのみ研磨して、意図的にキズを設けてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0255】
次に、本発明の第15の実施形態について説明する。図45は本実施形態に係る表示装置を示す断面図である。前述の本発明の第1の実施形態と比較して、本第15の実施形態においては、異方性散乱シートが使用されず、レンチキュラレンズより観察者側に保護板が設けられ、この保護板が異方性散乱性能を有する点が異なる。
【0256】
即ち、図45に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置114においては、レンチキュラレンズ3の観察者側である+Z方向側に保護板79が配置されている。保護板79は、外部から表示パネル2やレンチキュラレンズ3を保護するための板である。そして、保護板79が異方性散乱性能を有している。異方性散乱の方向など、基本的な異方性散乱の性能は前述の第1実施形態と同様である。また、本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0257】
本実施形態においては、表示パネルやレンチキュラレンズを変更することなく、本発明を適用することができ、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制することができる。
【0258】
本実施形態においては、保護板のレンチキュラレンズ側の側面である−Z側の面に、異方性散乱構造が形成されていてもよい。また、保護板の替わりにタッチパネルが配置されていてもよい。なお、異方性散乱効果を有する部分がレンチキュラレンズから離れると、表示自体がぼやけてしまうので、極力レンズに近い部分に配置されるのが好ましい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0259】
次に、本発明の第16の実施形態について説明する。図46は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図47は本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す斜視図であり、図48はフライアイレンズを示す上面図であり、図49は異方性散乱シートに関し(a)に本発明の第1実施形態の散乱特性を示し(b)に本第16実施形態の散乱特性を示した図である。前述の本発明の第1実施形態と比較して、本第16の実施形態においては、レンチキュラレンズの代わりにフライアイレンズが使用されている点が異なる。更に、異方性散乱シートは、X状に強い散乱を有する2軸散乱特性を有する。即ち本実施形態は、表示面内における複数の方向に対して、画像振分効果を実現する。これにより、画面を回転させても立体視が可能な表示装置や、左右方向のみならず上下方向に視点を動かした場合でも異なる視差画像を視認可能なインテグラル・フォトグラフィ方式の表示装置に好適に適用できる。
【0260】
図46に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置115においては、構成要素は異なるものの、Z軸方向の基本的な構成は、前述の第1実施形態と同様である。即ち、反射型表示パネル2の表示面側にはフライアイレンズ34が配置されている。そして、反射型表示パネル2とフライアイレンズ34との間には、異方性散乱シート601が配置されている。
【0261】
図47又は図48に示すように、フライアイレンズ34は、反射型表示パネル2の画素からの光を異なる方向に分離するため設けられた画像分離用の光学部材であり、多数のマイクロレンズ34aが二次元配列したレンズアレイである。特に本実施形態においては、フライアイレンズ34がX軸方向のみならずY軸方向にも分離作用を持つように、マイクロレンズ34aは二次元の球面形状を有している。そして、マイクロレンズ34aの配列方向は、X軸方向及びY軸方向に設定されている。これにより、フライアイレンズ34は、少なくとも左眼用画素4L及び右眼用画素4Rから構成される表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと組合せることにより、X軸方向のみならずY軸方向にも異なる画像を表示することができる。なおこのときには、Y軸方向に隣接する表示単位が、上下視点用の画像表示を担当することになる。
【0262】
特に本実施形態においては、マイクロレンズ34aのX軸方向におけるピッチが、Y軸方向におけるピッチと同じ場合について考える。即ち、マイクロレンズ34aのX軸方向のピッチをaと定めると、Y軸方向のピッチもaである。このように、両方向のピッチが同じマイクロレンズを使用する場合には、表示パネルにおいても両方向のピッチが同じ画素を使用するのが好ましい。
【0263】
図49に示すグラフ図は、XY平面内における散乱の強さを、原点からの距離で表現したものである。このグラフ図を参照して、前述の第1実施形態の異方性散乱シート6の散乱特性と、本第16実施形態の異方性散乱シート601の散乱特性とを比較する。図49(a)に示すように、前述の第1実施形態においては、異方性散乱シート6の散乱特性は、Y軸方向の散乱が最大となっており、X軸方向の散乱が最小となっていた。これに対し、図49(b)に示すように、本第16実施形態においては、異方性散乱シート601の散乱特性は、±45°方向の散乱が最大となっており、0°方向及び90°方向、即ちX軸方向とY軸方向の散乱が最小となっている。即ち、散乱が最大となる方向は振分方向の中間である。換言すれば、振分方向のなす角を2分する方向の散乱が最大となっている。なお、このようなX状の2軸散乱特性は、二次元のホログラムパターンが記録されたホログラフィックディフューザにより実現することができる。
【0264】
この異方性散乱シート601の散乱特性と、フライアイレンズ34の振分方向との関係を説明しておく。フライアイレンズ34はX軸方向とY軸方向に振分効果を有するため、振分方向とその直交方向に関しては、どちらも散乱は最小でほぼ同じである。そして、散乱が最大となる方向が、振分方向とは異なっている。これは、振分方向における散乱の特性と、それ以外の方向における散乱の特性が異なっていることを意味する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0265】
本実施形態においては、フライアイレンズの画像振分方向となる0°方向及び90°方向での異方性散乱シートの散乱性能は最小となっている。これにより、異方性散乱シートはフライアイレンズの画像振分効果を損なうことがない。そして、画像振分効果が重要ではない斜め方向、即ち±45°方向において、散乱性能を高めている。これにより、画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制して、表示品質の改善が可能となる。更に、表示面内において複数の方向に画像振分効果を有する表示装置に対しても、本発明を効果的に適用することができる。
【0266】
なお、本実施形態においては、振分方向のなす角を2分する方向の散乱が最大となるものとして説明したが、散乱が最大となる角度方向は概ね2分する方向であればよい。必ずしも厳密に2分する方向である必要はない。
【0267】
また、本実施形態においては、画像振分用の光学手段としてフライアイレンズを使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。2枚のレンチキュラレンズを直交配置させてもよいし、更に多くの枚数のレンチキュラレンズを直交以外の角度で配置してもよい。更には、ピンホールを二次元状に配置したパララックスバリアを使用することもできる。
【0268】
また、異方性散乱シートは、表示面内において±45°の2方向に最大の散乱を有するものとして説明したが、更に多くの方向に強い散乱を有する、多軸性の異方性散乱性能を有していてもよい。更には、強い散乱を有する2方向の散乱強度が、異なる値を有していてもよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0269】
次に、本発明の第17の実施形態について説明する。図50は本実施形態に係る表示装置を示す断面図であり、図51は本実施形態に係る表示装置の構成要素であるフライアイレンズを示す上面図であり、図52は本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図であり、図53は横軸に表示面内の角度をとり縦軸に散乱性能をとって本実施形態に係る異方性散乱シートの散乱特性を示した図である。本第17実施形態においては、前述の第16実施形態と比較して、フライアイレンズを構成するマイクロレンズの配列ピッチが異なる。このピッチの変更に合わせて、異方性散乱特性を最適化したのが本実施形態である。
【0270】
図50に示すように、本実施形態に係る反射型液晶表示装置117においては、反射型液晶表示パネル29、異方性散乱シート602、フライアイレンズ35が使用されている。
【0271】
図51に示すように、フライアイレンズ35を構成するマイクロレンズ35aは、X軸方向のピッチがaであり、Y軸方向のピッチはbである。即ち、X軸方向とY軸方向のピッチが異なる値を有している。また、このフライアイレンズ35に合わせて、反射型液晶表示パネル29のX軸方向とY軸方向のピッチも異なる値となっている。このように、X軸方向とY軸方向の画素ピッチが異なる具体例としては、表示単位を構成する単位画素のX軸方向のピッチが、Y軸方向の1/3になっている場合が挙げられる。通常のカラー表示パネルでは、赤青緑の3原色の画素を有しているため、ある方向の画素ピッチは、その直交方向の画素ピッチの1/3となっている。このような表示パネルを使用すると、マイクロレンズのX軸方向におけるピッチは、Y軸方向のピッチと異なる値となる。また、このようにピッチが異なる別の例として、画素のX軸方向とY軸方向のピッチは同じであるものの、X軸方向とY軸方向の視点数が異なる場合が挙げられる。例えば、X軸方向の視点数は2であり、Y軸方向の視点数が4である場合には、Y軸方向におけるマイクロレンズのピッチは、X軸方向におけるピッチの約4倍となる。このように、使用する表示パネルの構成や実現すべき表示特性に依存して、マイクロレンズのピッチは異なる値をとることになる。
【0272】
図52に示すように、異方性散乱シート602においては、前述の第16実施形態と同様にX状の2軸散乱特性を有するが、散乱が最大となる方向が異なる。即ち、散乱が最大となる方向は、X軸方向から+θ/2回転した方向と、−θ/2回転した方向である。ここで、角度θは、散乱が最大となる二つの方向のクロス角である。クロス角はθ及び180°−θの2種類が存在するが、本実施形態においては0°≦θ≦90°と定義し、角度の小さな方をクロス角とする。このクロス角θを使用すれば、散乱が最大となる方向の配置角は、±θ/2となる2方向である、と表現することもできる。
【0273】
そして、図53に示すように、異方性散乱特性の散乱性能が極小値となる方向が、0°方向と90°方向である。
【0274】
次に本実施形態のフライアイレンズにおけるX軸方向のレンズピッチaとY軸方向のレンズピッチb、及び散乱が最大となる方向のクロス角θ、配置角±θ/2の関係について詳述する。本実施形態においては、この3種類のパラメータa、b、θに下記数式44の関係が成立する。
【0275】
[数式44]
tan(θ/2)=b/a
【0276】
これは即ち、フライアイレンズを構成するマイクロレンズの対角方向に、異方性散乱手段の散乱が最大となる方向を配置したことに他ならない。またこれにより、フライアイレンズの画像振分方向における散乱性能を低減することができる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第16の実施形態と同様である。
【0277】
本実施形態においては、フライアイレンズの画像振分方向となる0°方向及び90°方向での異方性散乱シートの散乱性能は最小となっている。これにより、異方性散乱シートはフライアイレンズの画像振分効果を損なうことがない。そして、画像振分効果が重要ではない斜め方向において、散乱性能を高めている。これにより、画像振分効果を損なうことなく、レンチキュラレンズと反射板の凹凸構造の組み合わせに起因する表示品質の低下を抑制して、表示品質の改善が可能となる。特に、X軸方向とY軸方向とで画素ピッチや視点数が異なる表示装置に対して、本発明を好適に適用することができる。
【0278】
なお、フライアイレンズの配列方向がX軸方向と異なる角度である場合においては、この角度分をオフセットとして追加することで、本実施形態を適用することができる。
【0279】
更に、前記数式44は、本発明の最大の効果が発揮可能な条件について規定したものであり、本発明はこの数式により算出される数値に限定されるものではない。一例では、前述の第16実施形態において異方性散乱の方向はそのままでフライアイレンズにおけるレンズピッチのみ変更することも可能であるし、逆にピッチは変えずに異方性散乱の配置角やクロス角を変更することも可能である。
【0280】
なお、本第17実施形態において、フライアイレンズのY軸方向におけるレンズピッチbをX軸方向におけるレンズピッチaとしたのが、前述の第16実施形態である。この時、数式44により、tan(θ/2)=a/a=1となり、θ/2=45°が得られる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第16の実施形態と同様である。
【0281】
なお、上述の各実施形態は各々単独で実施してもよいが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0282】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限定されない。
【0283】
(付記1)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と異なるように散乱させる異方性散乱部とを有することを特徴とする表示装置。
【0284】
(付記2)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0285】
(付記3)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第2の方向から前記第1の方向に回転した方向であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0286】
(付記4)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる凸部又は凹部が形成された構造であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載の表示装置。
【0287】
(付記5)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる複数のプリズムが相互に平行に配列された一次元配列プリズム構造を有することを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【0288】
(付記6)
前記異方性散乱部は、一方向に延びる複数のシリンドリカルレンズが相互に平行に配列されたレンチキュラレンズ構造を有し、レンチキュラレンズのピッチは前記画素の配列ピッチよりも小さいことを特徴とする付記4に記載の表示装置。
【0289】
(付記7)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部と前記表示パネルとの間に配置されることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0290】
(付記8)
前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有することを特徴とする付記7に記載の表示装置。
【0291】
(付記9)
前記異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の画像振分部側に配置されていることを特徴とする付記8に記載の表示装置。
【0292】
(付記10)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部と一体化されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0293】
(付記11)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部の表示パネル側の面に形成されたことを特徴とする付記10に記載の表示装置。
【0294】
(付記12)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部を固定するための粘着層に形成されたことを特徴とする付記11に記載の表示装置。
【0295】
(付記13)
前記異方性散乱部は、前記画像振分部の内部構造に形成されたことを特徴とする付記11に記載の表示装置。
【0296】
(付記14)
前記異方性散乱部は、前記表示パネルに形成されたことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0297】
(付記15)
前記表示パネルは光学フィルムを有し、前記異方性散乱部は前記光学フィルムを前記表示パネルの基板に固定する異方性散乱粘着層であることを特徴とする付記14に記載の表示装置。
【0298】
(付記16)
前記異方性散乱部は、前記表示パネルの背面側に配置されることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0299】
(付記17)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする付記16に記載の表示装置。
【0300】
(付記18)
前記異方性散乱部は、透明基板と、この透明基板の表面に形成された異方性散乱構造と、を有し、この異方性散乱部の異方性散乱構造が形成された面は、前記表示装置の背面側に配置されていることを特徴とする付記17に記載の表示装置。
【0301】
(付記19)
前記表示装置は、前記表示パネルの背面に光を面状に出射する面状光源を有し、この面状光源はその表面又は内部に形成された凹凸構造により光を面状に出射することを特徴とする付記1乃至18のいずれか一に記載の表示装置。
【0302】
(付記20)
前記面状光源は導光板を有し、この導光板に凹凸構造が形成されていることを特徴とする付記19に記載の表示装置。
【0303】
(付記21)
前記面状光源は輝度向上用の光学手段を有し、この輝度向上用の光学手段が凹凸構造を有することを特徴する付記19に記載の表示装置。
【0304】
(付記22)
前記表示パネルは透過型であることを特徴とする付記1乃至21のいずれか一に記載の表示装置。
【0305】
(付記23)
前記表示パネルは画素に反射板を有する表示パネルであり、この反射板に凹凸構造が形成されていることを特徴とする付記1乃至21のいずれか一に記載の表示装置。
【0306】
(付記24)
前記反射板は前記画素の一部の領域に形成された半透過型の表示パネルであることを特徴とする付記23に記載の表示装置。
【0307】
(付記25)
前記反射板が形成された反射表示用の領域と、前記画素の光を透過する透過表示用の領域とが、前記第2方向に繰り返し配列されることを特徴とする付記24に記載の表示装置。
【0308】
(付記26)
前記表示パネルが液晶表示パネルであることを特徴とする付記22乃至25のいずれか一に記載の表示装置。
【0309】
(付記27)
前記液晶表示パネルは、横電界モード又はマルチドメイン垂直配向モードの液晶表示パネルであることを特徴とする付記26に記載の表示装置。
【0310】
(付記28)
前記表示パネルの前記表示単位はカラー表示を実現するためのストライプ状のカラー画素配列を有し、そのカラーストライプの配列方向が前記第2方向であることを特徴とする付記22乃至27のいずれか一に記載の表示装置。
【0311】
(付記29)
前記表示単位は正方形の中に形成されていることを特徴とする付記22乃至28のいずれか一に記載の表示装置。
【0312】
(付記30)
前記表示単位における各画素は、その表示領域の周囲に遮光領域を有し、前記第2方向に沿って延びる遮光領域がこの第2方向に対して傾斜していることを特徴とする付記22乃至29のいずれか一に記載の表示装置。
【0313】
(付記31)
前記表示単位における各画素は台形状の表示領域を有しており、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする付記22乃至30のいずれか一に記載の表示装置。
【0314】
(付記32)
前記画像振分部は、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイであることを特徴とする付記1乃至31のいずれか一に記載の表示装置。
【0315】
(付記33)
前記画像振分部は、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアであることを特徴とする付記1乃至31のいずれか一に記載の表示装置。
【0316】
(付記34)
付記1乃至33のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0317】
(付記35)
携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記34に記載の端末装置。
【0318】
(付記36)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルにおいて、表示面内において出射する光の散乱に異方性をもたせ、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けることを特徴とする表示パネル。
【0319】
(付記37)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルに使用される光学部材において、入射した光を相互に異なる方向に振り分ける面状の画像振分部と、この画像振分部の面内において散乱に異方性をもたせる異方性散乱部と、を有することを特徴とする光学部材。
【0320】
(付記38)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が、前記画像振分部の画像振分方向と直交する方向であることを特徴とする付記37に記載の光学部材。
【0321】
(付記39)
前記光学部材は基板を有し、この基板の相対する面に前記画像振分部と異方性散乱部とがそれぞれ形成されたことを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0322】
(付記40)
前記光学部材は基板を有し、この基板中に異方性散乱部が形成されたことを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0323】
(付記41)
前記光学部材は粘着層を有し、この粘着層が異方性散乱部であることを特徴とする付記37又は38に記載の光学部材。
【0324】
(付記42)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む複数の表示単位がマトリクス状に配列された表示パネルと、前記表示単位内において前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素とを配列した第1の方向に沿って、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける画像振分部と、前記表示パネルに対する入射光又は出射光に対し、前記第1の方向とは散乱の程度が異なる方向を有する異方性散乱部とを有することを特徴とする表示装置。
【0325】
(付記43)
前記第1の方向と直交する第2の方向における散乱が前記第1の方向の散乱と同等であることを特徴とする付記42に記載の表示装置。
【0326】
(付記44)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が前記第1の方向とは異なることを特徴とする付記43に記載の表示装置。
【0327】
(付記45)
前記異方性散乱部の散乱が最大となる方向が複数存在することを特徴とする付記44に記載の表示装置。
【0328】
(付記46)
前記異方性散乱部の散乱が極小となる方向が、前記第1の方向又はこの第1の方向と直交する第2の方向であることを特徴とする付記43に記載の表示装置。
【0329】
(付記47)
前記表示パネルは、前記第1の方向に延伸する非表示領域を有することを特徴とする付記42に記載の表示装置。
【0330】
(付記48)
前記画像振分部は、前記第1の方向にレンズが配列するように形成されたレンズアレイであることを特徴とする付記42乃至47に記載の表示装置。
【0331】
(付記49)
前記第1の方向における前記レンズのピッチをLとし、前記第1の方向における視点数をNとし、前記レンズと前記画素との距離をHとするとき、前記レンズと前記異方性散乱部との距離H1が、L×H/(L+3×N×P)以下であることを特徴とする付記48に記載の表示装置。
【0332】
(付記50)
前記画像振分部は、前記第1の方向に有限幅の開口が配列するように形成されたパララックスバリアであることを特徴とする付記42乃至47のいずれか一に記載の表示装置。
【0333】
(付記51)
付記42乃至50のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0334】
(付記52)
携帯電話、個人用情報端末、パーソナルテレビジョン、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記51に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0335】
1、11、12、13、10、111、112、113、114、115、117;反射
型液晶表示装置
14、16、17、18;透過型液晶表示装置
15、19;半透過型液晶表示装置
2、27、28、29;反射型液晶表示パネル
2a、2b;基板
21、23、24、24a、25;透過型液晶表示パネル
22、26;半透過型液晶表示パネル
3、31、32、33;レンチキュラレンズ
3a、31a、32a、33a;シリンドリカルレンズ
34、35;フライアイレンズ
34a、35a;マイクロレンズ
37;パララックスバリア
37a;スリット
4L、41L、42L、43L、43La、44L、45L、46L;左眼用画素
4R、41R、42R、43R、43Ra、44R、45R、46R;右眼用画素
45Lt、45Rt;透過用表示領域
45Lr、45Rr;反射用表示領域
4F;第1視点用画素
4S;第2視点用画素
4;反射板
40、42、42a、43、44;遮光領域
41;凹凸構造
48;櫛歯電極
5;液晶層
51、52;粘着材
6、64、65、66、67、601、602;異方性散乱シート
61、62、641、651、661、671、691;異方性散乱構造
63;異方性散乱糊
681;異方性散乱層
71;立体視域
71L;左眼領域
71R;右眼領域
79;保護板
8;バックライトユニット
81;LED
82;導光板
83;ドット
89;光
9、91;携帯電話
116;透過型液晶表示装置
103;レンチキュラレンズ
103a;シリンドリカルレンズ
123;透過型液晶表示パネル
142L;左眼用画素
142R;右眼用画素
140;遮光領域
551;左眼
552;右眼
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタを備えた、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、同一色のカラーフィルタを備えた前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列され、異なる色のカラーフィルタを備えた同一の視点用の画像を表示する画素が前記第1の方向に直交する第2の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた四角形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた台形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域を備え、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項8】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備え、前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた四角形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルの各画素の表示領域は台形であり、前記各画素は隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項13】
請求項8に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項14】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備え、前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた台形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域とを有し、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
請求項14に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項1】
カラーフィルタを備えた、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、同一色のカラーフィルタを備えた前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列され、異なる色のカラーフィルタを備えた同一の視点用の画像を表示する画素が前記第1の方向に直交する第2の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた四角形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた台形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域を備え、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項8】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備え、前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた四角形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルの各画素の表示領域は台形であり、前記各画素は隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項13】
請求項8に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【請求項14】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含み、前記各視点用の画像を表示する画素が所定の第1の方向に配列された表示単位が、マトリクス状に配列された表示パネルと、前記各画素から出射した光を相互に異なる前記第1の方向に沿った方向に振り分ける画像振分部と、前記第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向で散乱光強度が異なる異方性散乱部と、を備え、前記表示パネルの各画素は、前記第1の方向に延びる第1の辺と前記第1の辺に対して傾斜した辺で囲まれた台形の表示領域と、前記表示領域を囲む遮光領域とを有し、隣接する画素に対して点対称に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第2の方向であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記異方性散乱部は前記表示パネルの背面に配置されており、前記異方性散乱部での散乱が最大となる方向が前記第1の方向であることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示パネルの各画素は凹凸を有する反射板を備えることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
請求項14に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【公開番号】特開2013−8034(P2013−8034A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163158(P2012−163158)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−265912(P2007−265912)の分割
【原出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−265912(P2007−265912)の分割
【原出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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