表示装置及び電子ペーパー
【課題】低消費電力化が可能で、大面積化にも対応可能であり、しかも表示画面上に直接入力することで表示画面に下線やメモ等の表示もできるようにし、その場合に階調表現も可能にした、表示装置及び電子ペーパーを提供する。
【解決手段】表示の保持性を有する複数の画素50を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置である。複数の画素はそれぞれ、複数のサブ画素(50a、50b、50c)によって構成されている。サブ画素にはそれぞれ、データ線52に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子5と、選択線80a(80b、80c)に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチ7とが設けられている。選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチ90a(90b、90c)が接続されている。
【解決手段】表示の保持性を有する複数の画素50を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置である。複数の画素はそれぞれ、複数のサブ画素(50a、50b、50c)によって構成されている。サブ画素にはそれぞれ、データ線52に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子5と、選択線80a(80b、80c)に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチ7とが設けられている。選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチ90a(90b、90c)が接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接入力によって表示させる機能を有した表示装置と、電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶材料や電気泳動材料など、各種の電気光学材料を用いた表示装置が提供されている。
また、従来では、例えば発光ダイオードを用いたディスプレイパネル(表示装置)に対するデジタイジングタブレット(デジタイジング装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、デジタイジング装置としては、前記特許文献1における従来の技術においても開示されているように、いくつかのタイプのものが知られている。
【0003】
デジタイザ装置は、ユーザが文字や図を書いたり、デジタイザアレイに対してスタイラスの位置を指示したりすることにより、格子上に直接データ入力できるようにしたものである。具体的には、以下に示すようなタイプのものが知られている。
(1)容量性−抵抗性アレイに対してスタイラスの先端部を直接接触させるタイプ。
(2)ユーザがデータを入力し、所望の動作を実行する際に磁気先端構造のスタイラスあるいは電磁界発生型のスタイラスと相互作用する電磁デジタイザを用いるタイプ。
(3)デジタイジングアレイに信号を送信するためのRF送信器を備えるスタイラスからなるタイプ。
(4)パッドから反射するようにスタイラスの先端部内に配置される可視光源あるいは赤外光源のような光源を組み込むタイプ。
【0004】
このようなデジタイザ装置は、表示装置となるモニタに直接設けられ、あるいはモニタとは別に設けられている。一般に、表示装置の大きさに比べて大きな作業表面を必要とするデジタイザ装置は、表示装置とは別に用意され、可搬性やコンパクト性が重要な場合には、表示装置に直接組み込まれて一体型のデジタイザ装置として構成されている。
【特許文献1】特開2003−223272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のデジタイジング装置やこれを一体に備えた表示装置では、処理速度がプロセッサの能力に比例することから原理的に大面積化に対応することが困難であり、また、待機時にも電力を必要とすることなどから低消費電力化が困難である。さらに、本来の表示機能とは別に、表示画面上に直接入力することで表示画面に下線やメモ等の表示もできるようにしたいとの要望があり、その場合に、直接入力による表示について階調表現を行いたいとの要望もある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、低消費電力化が可能で、大面積化にも対応可能であり、しかも表示画面上に直接入力することで表示画面に下線やメモ等の表示もできるようにし、その場合に階調表現も可能にした、表示装置及び電子ペーパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る表示装置は、表示の保持性を有する複数の画素を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、第1サブ画素から第nサブ画素(ただし、nは2以上の自然数)までの複数のサブ画素によって構成され、
前記サブ画素にはそれぞれ、データ線に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子と、選択線に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチと、が設けられ、
前記選択線は、前記第1サブ画素に接続する第1選択線から第nサブ画素に接続する第n選択線までのn種の選択線を備えて構成され、
前記n種の選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチが接続されていることを特徴としている。
【0008】
この表示装置によれば、前記サブ画素にそれぞれ、選択スイッチング素子とは別に外部入力スイッチを設けているので、選択スイッチング素子によって通常の表示がなされた表示画面上に、すべての選択スイッチング素子を選択し外部入力スイッチを介して直接入力することにより、前記通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示をなさせることが可能になる。
また、前記各サブ画素に対応してそれぞれに選択線(第1選択線から第n選択線)を設け、これら選択線に対応して選択スイッチを接続しているので、外部入力スイッチを介して直接入力する際、例えば選択スイッチによってm種の選択線のみを選択し(ただし、mは1≦m<nを満たす自然数)、これによってm種類のサブ画素のみに外部入力可能となるよう選択することにより、相対的に狭い面積による表示、すなわち面積比でm/nでの相対的に淡い表示が可能になる。よって、選択スイッチング素子による画素種選択の仕方により、直接入力による表示濃淡(階調)を表現することが可能になる。
【0009】
また、外部入力スイッチをオンにしておく時間は直接入力の際に直感的に調整できるので、オン時間を長くすることで、この外部入力スイッチに対応するサブ画素への電荷のチャージ量(蓄積量)を多くすることができる。したがって、外部入力スイッチのオン時間を調節することでも、直接入力による表示濃淡(階調)を表現することが可能になる。
また、各画素の座標位置を常に検出する必要がないためプロセッサが不要になり、さらに画素が表示の保持性を有しているので、待機時においても電力を必要とすることなく表示を保持することができ、したがって低消費電力化が可能になる。
また、外部入力スイッチがサブ画素それぞれに対して設けられ、したがって画素が個々に独立して機能するようになっているので、表示画面の大面積化に伴い素子数が増えても、前記したようにプロセッサが不要であることなどから従来のような困難性を有することなく、大面積化への対応が容易になる。
【0010】
また、前記表示装置においては、前記複数のサブ画素が、それぞれ異なるカラー表示をなすよう構成されていてもよい。
このようにすれば、外部入力スイッチを介しての直接入力時、選択スイッチを適宜に選択することにより、前記通常の表示に対する下線やメモ等の別の表示を、所望のカラー表示でなさせることが可能になる。
【0011】
また、前記表示装置においては、前記外部入力スイッチは、感圧スイッチング素子であるのが好ましく、その場合に、前記感圧スイッチング素子はマイクロ電気機械スイッチであるのが好ましい。
外部入力スイッチを感圧スイッチング素子とすることにより、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
また、感圧スイッチング素子をマイクロ電気機械スイッチとすることで、アクティブマトリクス回路基板を公知の手法で製造する際、特殊な工程を必要とすることなく一般的な工程で感圧スイッチング素子(マイクロ電気機械スイッチ)を製造することができる。
【0012】
また、前記表示装置においては、前記選択スイッチは、感圧スイッチング素子であるのが好ましい。
このようにすれば、選択スイッチを感圧スイッチング素子とすることにより、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
【0013】
また、前記表示装置は、電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセルを一対の基板間に挟持して構成されたもので、前記一対の基板のうちの表示側の基板の外面に、保護フィルムが貼着されているのが好ましい。
このようにすれば、直接入力として前記の感圧スイッチング素子を押圧した際、入力面となる表示側基板の外面に保護フィルムが貼着されて保護されているので、直接入力の際の押圧力でマイクロカプセルが破壊されてしまうことが防止される。
【0014】
本発明の電子ペーパーは、前記の表示装置からなることを特徴としている。
この電子ペーパーによれば、前記したように通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示を追加することができ、しかも低消費電力化が可能な表示装置からなっているため、一般的な表示装置としてはもちろん、通常の紙と同様に機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、理解を容易にするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を示す要部断面図であって、図1中符号1は表示装置である。この表示装置1は、本実施形態では表示素子として電気泳動素子を有して構成されたもので、素子基板2と透明基板3を有し、これら基板2、3間に電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセル4を挟持したものである。図2(a)、(b)は、素子基板2の概略構成を示す図であって、図2(a)は素子基板2についての要部平面図、図2(b)は図2(a)のA−A’線で断面視した要部断面図である。なお、図1は、図2(a)のA−A’線で断面視した位置における、表示装置1全体の要部断面図である。
【0016】
図3は、表示装置1の等価回路図であり、図3中において符号50は単一の画素を示しす。画素50は、マトリクス状に配置されてなるもので、本実施形態では、第1サブ画素50aと第2サブ画素50bと第3サブ画素50cとからなっている。これら各サブ画素50a、50b、50cには、それぞれ、対応するサブ画素50a(50b、50c)を選択するための選択スイッチング素子5が設けられている。
【0017】
この選択スイッチング素子5は、薄膜トランジスタ(TFT)からなるもので、そのゲート電極に走査線51が接続されている。走査線51は、複数の選択スイッチング素子5の各ゲート電極に対して、制御部(図示せず)からの走査信号(選択信号)を与えるようになっている。また、選択スイッチング素子5のソース電極には、データ線52が接続されており、このデータ線52は、複数の選択スイッチング素子5の各ソース電極に対して、制御部(図示せず)からのデータ信号を与えるようになっている。
【0018】
選択スイッチング素子5のドレイン電極(画素電極6)側には、容量素子54が設けられており、この容量素子54は、マイクロカプセル4中の電気泳動分散液の電気分極状態を保持するようになっている。なお、画素50は、選択スイッチング素子5のドレイン電極となる画素電極6と、後述する共通電極17との間に、マイクロカプセル4を挟持するものである。
【0019】
また、本実施形態では、選択スイッチング素子5と並列的に、外部入力スイッチ7が設けられている。この外部入力スイッチ7は、選択スイッチング素子5とは異なり、その一方が選択線80a(80b、80c)に接続し、他方が画素電極6(ドレイン電極)に接続して、これら選択線80a(80b、80c)と画素電極6との間の接続のオンオフをなすものである。すなわち、後述するように外部からの加圧(押圧)による入力動作に感応して、選択線80a(80b、80c)からの信号を対応するサブ画素50a(50b、50c)に供給するためのものである。
【0020】
ここで、選択線80a(80b、80c)は、サブ画素50a〜50cにそれぞれ対応して設けられたもので、第1サブ画素50aに接続する選択線は第1選択線80aとなっており、第2サブ画素50bに接続する選択線は第2選択線80bとなっており、第3サブ画素50cに接続する選択線は第3選択線80cとなっている。
【0021】
また、これら三種の選択線80a〜80cにはそれぞれ、接続配線85a(85b、85c)を介して選択スイッチ90a、90b、90cが接続されている。選択スイッチ90a、90b、90cは、例えば機械スイッチとして構成されたもので、配線(図示せず)を介して制御部(図示せず)に接続されたものである。このような構成によって選択スイッチ90a、90b、90cは、オン動作させられることにより、制御部(図示せず)からの選択データ信号を対応する選択線80側に供給するようにし、また、オフ動作させられることにより、選択線80側への選択データ信号の供給を停止するようになっている。
【0022】
本実施形態では、第1選択スイッチ90aは、第1接続配線85aに設けられたもので、第1接続配線85aは、第1選択線80aに接続したものとなっている。また、第2選択スイッチ90bは、第2接続配線85bに設けられたもので、第2接続配線85bは、第2選択線80bに接続したものとなっている。さらに、第3選択スイッチ90bは、第3接続配線85bに設けられたもので、第3接続配線85bは、第3選択線80cに接続したものとなっている。
【0023】
このような構成により、第1選択スイッチ90aによって第1サブ画素50aの外部入力スイッチ7のみが選択され、第2選択スイッチ90bによって第2サブ画素50bの外部入力スイッチ7のみが選択され、第3選択スイッチ90cによって第3サブ画素50cの外部入力スイッチ7のみが選択されるようになっている。
したがって、選択スイッチ90a〜90cのうちのどれをオンにするか選択することにより、外部入力時の階調表現を選択することができる。すなわち、一つのみオンにして残りはオフにすると全体の3分の1の画素にしか入力できないが、二つをオン、もしくは三つ全てをオンにすることにより、全体の3分の2の画素、もしくは全ての画素に入力することができるため、結果的に面積階調による階調表示(濃淡表示)を実現することができる。また、全ての選択スイッチをオフにしておくことにより、外部入力による書き込みを禁止(不能に)することができる。
【0024】
図1、図2(a)、(b)に示したように素子基板2は、ガラスや石英などの耐熱性基板(基板2a)の上に、下地絶縁膜8を介してTFT(薄膜トランジスタ)からなる選択スイッチング素子5を多数形成し、さらにこれら選択スイッチング素子5にそれぞれ対応して画素電極6を形成したもので、これによってアクティブマトリクス基板として構成されたものである。選択スイッチング素子5は、前記の下地絶縁膜8の上に設けられた半導体膜9と、この半導体膜9上にゲート絶縁膜10を介して設けられたゲート電極11と、半導体9のソース領域(図示せず)に接続するソース電極12と、半導体9のドレイン領域(図示せず)に中継電極13を介して接続する画素電極(ドレイン電極)6とを有して構成されたものである。
【0025】
ここで、ゲート電極11は、前記したように走査線51に接続しており、ソース電極12は、データ線52に接続している。このような構成によって選択スイッチング素子5は、走査線51によってそのゲート電極11が選択されると、データ線52からソース領域に流れる信号を、ドレイン領域側の中継電極13を介して画素電極6に流すようになっている。なお、この選択スイッチング素子5のドレイン領域には、容量線53に接続する容量素子67が形成されている。
【0026】
また、ゲート電極11や容量線53の上には、これらを覆って第1層間絶縁膜14が形成されており、ソース電極12は、第1層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホール(図示せず)を通って該第1層間絶縁膜14上に電気的に引き出され、ここに形成されている。中継電極13も、該ソース電極12と同様に、コンタクトホール(図示せず)を通って該第1層間絶縁膜14上に電気的に引き出され、該第1層間絶縁膜14上に形成されている。
【0027】
また、第1層間絶縁膜14上には、ソース電極12、中継電極13を覆って第2層間絶縁膜15が形成され、この第2層間絶縁膜15上には、画素電極6が、コンタクトホール(図示せず)を通って電気的に引き出されたことにより、中継電極13に導通した状態に形成されている。
【0028】
また、この素子基板2には、前記したように選択スイッチング素子5と並列的に、外部入力スイッチ7が設けられている。この外部入力スイッチ7は、選択線80(第1選択線80a、又は第2選択線80b、又は第3選択線80c)の一部と、第2層間絶縁膜15に形成され、かつその底部に選択線80の一部を露出させる空隙部16と、画素電極6の一部と、からなる感圧型の機械スイッチである。
【0029】
すなわち、この外部入力スイッチ7は、後述するようにペン等によって表示面側となる透明基板3側が押圧(加圧)されることにより、図1中に二点鎖線で示すように空隙部16上に位置する画素電極6が凹み、空隙部16内に露出する選択線80の一部に接触する。すると、これらの間が導通し、選択線80が画素電極6に導通することにより、選択線80からの選択データ信号が画素電極6に供給され、したがって選択線80からの信号が対応するサブ画素50a(又は50b、50c)に供給されるようになる。なお、図1における空隙部16の幅と深さとの関係は、理解を容易にするため実際の寸法より深さを大幅に深くしているが、実際には、画素電極6の僅かな撓みにより、撓んだ画素電極6と選択線80の一部とが接触するように、その深さが浅く形成されている。
【0030】
ここで、空隙部16は、図2(a)に示すようにその開口形状が矩形であって、平面視した状態でそのほとんどが画素電極6の直下に形成されているが、後述するように工程上の理由により、その一部は画素電極6の外側に開口したものとなっている。また、外部入力スイッチ7は、前記したように空隙部16の直上に位置する画素電極6の一部が、入力部として機能する感圧部となっている。この感圧部の面積としては、サブ画素50a(50b、50c)の寸法によっても変わるものの、例えばサブ画素50a(50b、50c)の面積の30%から70%程度となるように形成されている。30%未満では、サブ画素50a(50b、50c)に占める感圧部(外部入力スイッチ7)の面積が小さくなりすぎ、感圧感度が低くなってしまうからである。また、70%を超えると、これに合わせてデータ線52の面積も大きくする必要があることから、他の構成要素の形成領域が狭くなり、製造条件が厳しくなるからである。
【0031】
図1に示したように透明基板3は、透明樹脂等からなるフィルム状で可撓性の透明基板3aの内面に、ITO等からなる透明の共通電極17を形成したもので、その外面側を表示面(観測面)側とするものである。ここで、この透明基板3aとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)などが好適に用いられる。
なお、可撓性の基板に限定するものではなく、薄く形成された無機ガラスや、硬質樹脂などを用いた構成であってもよい。
【0032】
このような構成からなる素子基板2と透明基板3との間には、特に前記の画素電極6上にマイクロカプセル4が配置されており、これによってマイクロカプセル4は、表示装置1の表示領域を形成している。マイクロカプセル4は、前述したように表示材料としての電気泳動分散液を封入したもので、全てがほぼ同一の直径に形成されたものであり、直径が例えば約30μm程度に形成されたものである。なお、本実施形態では、図1に示すように、マイクロカプセル4は予め加圧された状態で素子基板2と透明基板3との間に挟持されており、これによって各マイクロカプセル4は、球状でなく、側面が楕円状となる偏平な形状となっている。
【0033】
電気泳動分散液は、電気泳動粒子と、これを分散させる液相分散媒とからなるものである。液相分散媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0034】
また、電気泳動粒子は、液相分散媒中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)である。
この電気泳動粒子としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ、ジイスアゾン、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アントラキノン系染料、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
さらに、これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
マイクロカプセル4の壁膜を形成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物が使用できる。
【0036】
なお、この第1実施形態の表示装置1においては、マイクロカプセル4に電気泳動粒子が二種類封入されており、一方が負に、他方が正に帯電している。これら二種類の電気泳動粒子としては、例えば白色顔料である二酸化チタンと、黒色顔料であるカーボンブラックが用いられる。そして、このような白色、黒色の二種類の電気泳動粒子を用いることにより、例えば文字等の表示をなす場合に、黒色の電気泳動粒子によって文字等を表示し、白色の電気泳動粒子によってその背景を表示することができる。
また、電気泳動粒子を一種類のみ用い、これを共通電極17側、あるいは画素電極6側に泳動させることで、表示をなすようにしてもよい。
【0037】
また、これらマイクロカプセル4は、例えば透明基板3に対して、その共通電極17上にてバインダ18により固定されている。このバインダ18としては、マイクロカプセル4の壁膜に対する親和性が良好で、共通電極17に対する密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものが使用可能である。例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂等を用いることができる。
【0038】
一方、これらマイクロカプセル4は、素子基板2に対して、その画素電極6上にて例えば両面接着シート(図示せず)により固定されている。この両面接着シートは、例えば厚さが約25μm程度に形成されたゴム系やアクリル系などの粘着性を有するもので、素子基板2の画素電極6上に固着され、かつマイクロカプセル4に固着することにより、マイクロカプセル4を素子基板2上に保持固定している。なお、このような両面接着シートを用いることなく、この素子基板2側についても、前記のバインダ18を用いて接着するようにしてもよい。
このような構成によってマイクロカプセル4は、素子基板2と透明基板3との間に挟着され、表示装置1を構成している。
【0039】
また、本実施形態では、特に透明基板3の外面に透明な保護フィルム19が貼着されている。この保護フィルム19としては、各種の透明フィルムが使用可能であり、前記した透明基板3aと同様の材料、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)なども使用可能である。
【0040】
この保護フィルム19は、直接入力のため透明基板3側を押圧し、前記の外部入力スイッチ7を加圧することでオンした際、透明基板3側への押圧力によってマイクロカプセル4が破壊されてしまうのを防止するためのものである。すなわち、外部入力スイッチ7をオンにすべく、透明基板3側を押圧した際、この押圧力をマイクロカプセル4も受けることになる。その際、透明基板3側の許容曲率半径r1が、マイクロカプセル4の許容できる曲率半径r2を下回らないように、r1≧r2となるように設計する必要がある。そして、透明基板3単独ではこの条件が満たされないような場合には、保護フィルム19を貼着することで透明基板3を補強し、これによって過剰な押圧によるマイクロカプセル4の破壊を防止しているのである。
【0041】
例えば、外部入力スイッチ7の空隙部16の最小幅をW、外部入力スイッチ7の空隙部16の最大深さをh、マイクロカプセル4が許容できる最小曲率半径をr(=r2)とすると、空隙部16の深さhは、(1次までのマクローリン展開に基づき)以下の式を満たすようにして設計される。
h<W2/8r …式
具体的には、空隙部16の最小幅Wが200μmであり、マイクロカプセル4が許容できる(耐えうる)曲率半径r(=r2)が1cmである場合、W2/8r=500nmとなるため、空隙部16の深さを、マージンをとって例えば450nmに設計すればよいことになる。
そして、このような条件のもとで、マイクロカプセル4が耐えうる曲率半径r(=r2)を、透明基板3側の曲率半径r1が下回らないように、保護フィルム19を貼着し、透明基板3と補強フィルム19を合わせた基板全体の曲率半径r1が、r2以上となるように補強すればよいのである。
【0042】
また、この表示装置1には、前記した走査線51やデータ線52、選択線80(第1選択線80a、第2選択線80b、第3選択線80c)に各信号を供給するための制御部(図示せず)が設けられており、この制御部に表示データが入力され、あるいは予めメモリ(図示せず)に記憶された表示データに基づき、表示を行うようになっている。すなわち、一般の表示装置が備える通常の表示機能を有したものとなっているのである。
【0043】
次に、このような構成からなる表示装置1の製造方法を説明する。
まず、図4(a)に示すように、後述するレーザーアニール工程での熱に耐えうる基板2a(ガラス基板、石英基板など)を用意し、その表面(内面)にSiO2等からなる下地絶縁膜8を形成する。続いて、下地絶縁膜8上にポリシリコンからなる半導体膜9を形成する。この半導体膜9の形成方法としては、例えばCVD法等によってアモルファスシリコンを堆積し、レーザーアニール法で多結晶化してポリシリコンとした後、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて所望形状にパターニングすることにより、所望の形状の半導体膜9を得る。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、半導体膜9を覆ってゲート絶縁層10を形成し、さらにその上にAl等からなる導電膜(図示せず)を形成する。そして、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてこの導電膜をパターニングすることにより、ゲート電極11を含む走査線51と、容量線53とを形成する。次いで、ゲート電極11(走査線51)をマスクにして半導体膜9に例えばN型不純物をイオン注入し、ソース領域(図示せず)、ドレイン領域(図示せず)をそれぞれ形成する。
【0045】
次いで、図4(c)に示すように、半導体膜9および走査線51(ゲート電極11)、容量線53を覆ってSiO2等からなる第1層間絶縁膜14を形成する。続いて、ソース領域、ドレイン領域にそれぞれ通じるコンタクトホール20を形成する。
次いで、このコンタクトホール20を埋め込んだ状態でAl等からなる導電膜(図示せず)を形成し、さらにこの導電膜をパターニングすることにより、図5(a)に示すようにソース電極12を含むデータ線52と、中継電極13と、選択線80(第1選択線80a、第2選択線80b、第3選択線80c)を形成する。
【0046】
次いで、ソース電極12、中継電極13を覆って、CVD法等でSiO2やSiN等からなる第2層間絶縁膜15を形成する。続いて、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて第2層間絶縁膜15をパターニングし、図5(b)に示すように選択線80の直上に空隙部16を形成する。これにより、空隙部16の底部に選択線80を露出させる。
【0047】
次いで、第2層間絶縁膜15、及び後工程で形成する画素電極6との間で選択比がとれる材料を、CVD法等によって成膜し、図5(c)に示すように空隙部16を埋め込む。具体的には、CVD法によってアモルファスシリコンを堆積し、空隙部16を埋め込んだ状態に犠牲層21を形成する。
【0048】
続いて、CMP(化学機械研磨)法等により、第2層間絶縁膜15上の犠牲層21を除去し、空隙部16内にのみ犠牲層21を残す。その後、第2層間絶縁膜15をパターニングし、図6(a)に示すように中継電極13に通じるコンタクトホール22を形成する。
【0049】
なお、犠牲層21の形成に関しては、前記のCVD法等の気相法によることなく、例えばインクジェット法(液滴吐出法)等の液相法を採用することもできる。特に、インクジェット法を採用すれば、犠牲層の材料を選択的に配することができるため、空隙部16内にのみ犠牲層21を形成することが可能になり、CMP法等の処理が不要になる。空隙部16が、犠牲層の形成材料を受けてこれを外に流れ出させることなく、空隙部16内に溜めるように機能するため、第2層間絶縁膜15上に犠牲層が形成されてしまうことが容易に防止できるからである。
【0050】
次いで、このコンタクトホール22を埋め込んだ状態でAl等からなる導電膜(図示せず)を形成し、さらにこの導電膜をパターニングすることにより、図6(b)に示すように画素電極6を形成する。この画素電極6の厚さについては、例えば200nm〜300nm程度とされる。このような厚さにすれば、十分な可撓性と強度とを併せ持つようになる。すなわち、後述するように外部入力スイッチ7では、透明基板3側が押圧(加圧)されて弾性変形した際、画素電極6も空隙部16内に容易に撓んでデータ線52に接触するようになる。また、押圧力が解除されたことによる透明基板3側の弾性復帰に伴い、データ線52から容易に離間するようになる。そして、例えば前記厚さとすることで画素電極6は、前記した弾性変形・弾性復帰が、多数回(例えば数万回から数十万回)に亘って支障なく繰り返し動作可能となるのである。
【0051】
なお、この画素電極6については、図2(a)に示したように、空隙部16の開口部内、すなわち該空隙部16内の犠牲層21が外側に露出するように形成する。具体的には、空隙部16の矩形状開口部の短辺16aとなる両方の側を、外側に露出させる。寸法については、例えば両方にそれぞれ露出する細長い矩形状の長辺(空隙部16の開口部の短辺16a)が200μm程度、細長い矩形状の短辺16bが3μm程度とされる。
次いで、空隙部16内の犠牲層21をエッチングし、図6(c)に示すように空隙部16内の犠牲層21を除去する。エッチングとしては、例えばエッチンガスとしてXeF2を用いたドライエッチングが好適に採用される。ただし、他のエッチャントを用いたドライエッチングや、ウエットエッチングも採用可能である。
【0052】
なお、このようなエッチングによる犠牲層21の除去に要する時間を短縮するため、外側に露出する空隙部16内の犠牲層21の面積を大きくする目的で、空隙部16上に位置する画素電極6に多数の小さな貫通孔(図示せず)を開けるようにしてもよい。このような貫通孔を形成することで、例えば空隙部16の中心部における犠牲層21についても当初からエッチング除去することができ、犠牲層21除去に要する時間を短縮することができる。
このようにして、素子基板2が得られる。また、特に外部入力スイッチ7については、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)からなるスイッチ、すなわちマイクロ電気機械スイッチとなる。
【0053】
また、図1、図2、図4〜図6では示していないものの、本実施形態では、図3に示した選択スイッチ90a〜90cについて、選択スイッチング素子5と同じプロセスにより、この選択スイッチング素子5と同様の構成からなるTFT(薄膜トランジスタ)として形成している。また、例えば配線を外部に引き出し、接点スイッチ(通常の電気部品であるトグルスイッチや押しボタンスイッチなど)を設けても良いし、外部入力スイッチ7と同じプロセスにより、この外部入力スイッチ7と同様の構成からなる感圧スイッチング素子(マイクロ電気機械スイッチ)として形成してもよい。
【0054】
また、このような素子基板2とは別に、透明基板3aの内面に共通電極17を形成した透明基板3を用意する。次いで、共通電極17の内面に、バインダ18を用いてマイクロカプセル4を均一に固着するとともに、この透明基板3の外面に、保護フィルム19を貼着する。
そして、このようにして形成した透明基板3側を、両面接着シート(図示せず)を介して素子基板2の画素電極6側に接着・固定することにより、図1に示した表示装置1を得る。
【0055】
次に、この表示装置1による表示方法について、図1に戻って説明する。
この表示装置1は、画素電極6と共通電極17との間に印加する電圧(電界)の方向を変えることにより、マイクロカプセル4中の電気泳動粒子を所望の電極側に集め、これによって所望の表示が行えるようになっている。
【0056】
つまり、電気泳動粒子として例えば前記したように白色と黒色の二種類のものを用い、一方の粒子、例えば白色の粒子を負に帯電させ、他方の粒子となる黒色の粒子を正に帯電させておく。そして、表示を行うとき、所望の画素電極6に対して信号を入力することで、表示面となる透明基板3側(共通電極17側)が、画素電極6側に対して相対的に負になるように電界をかける(電圧を印加する)。すると、黒色の粒子が透明基板3側に、また白色粒子が素子基板2側にそれぞれ泳動する。したがって、例えば文字等の実質的な表示をなす部分が黒色の粒子によって透明基板3側に表示され、その背景となる部分が白色の粒子によって透明基板3側に表示されることにより、所望の表示がなされる。
【0057】
また、このような電気泳動粒子を分散させた電気泳動分散液を有してなる電気泳動素子は、表示の保持性を有している。すなわち、一旦所望の表示を行うと、その後電源を切って画素電極6と共通電極17との間に印加される電圧をゼロにしても、電気泳動粒子はそのままの状態に保持され、したがって電源が入っていたときの表示状態がそのままに保持される。また、画素電極6と共通電極17との間に逆の電圧を印加することにより、保持していた表示をキャンセルすることができる。したがって、例えば再度電源を入れ、新たに表示データを入力することにより、保持していた表示をキャンセルして新規な表示を行うことができる。
なお、この表示装置1においては、電源として例えば電池などを有していてもよく、専用のアダプターを介して外部電源から電力が供給されるように構成されていてもよい。もちろん、切換手段を有することにより、電源が選択できるようになっていてもよい。
【0058】
このような表示装置1により、例えば通常の表示機能で表示を行う場合、制御部から走査線51やデータ線52に電気信号を出力し、選択スイッチング素子5を介して各画素50の表示(黒表示または白表示)を調整し、表示面となる透明基板3側に所望の表示を行わせる。
【0059】
また、このように所望の表示をなさせた状態で、この表示内容に対して下線やメモ等を加えたい場合には、適宜な書き込みペンを用い、表示装置1の透明基板3側、本実施形態では保護フィルム19上に、書き込みを行う。なお、書き込みペンとしては、電源等を必要とせず、また磁気等による特別な機能を有する専用のものを用いることなく、そのペン先が適宜な太さ(幅)のもので、保護フィルム19を損傷しないようなものであれば、任意のものが使用可能である。また、適当なものが無い場合には、指先で書き込むことも可能である。
【0060】
また、このようにしてペン等で書き込みを行う際、特に書き込む線の濃淡、すなわち階調を設定したい場合には、前記の選択スイッチ90a〜90cのいずれかもしくは複数をオンすることにより、階調の設定が可能になる。
例えば、第1選択スイッチ90aを選択した場合には、図3に示すように、この第1選択スイッチ90aを介して制御部(図示せず)は、第1選択線80aのみに接続するようになる。よって、各サブ画素50a〜50cの外部入力スイッチ7のうちの、第1サブ画素50aのみが、外部入力可能な状態となる。したがって、書き込みによって画素50が押圧され、これによりサブ画素50a、50b、50cのそれぞれの外部入力スイッチ7がそれぞれオンされても、制御部からは、第1選択線80aのみにしか選択データ信号が供給されていないため、結果的に、サブ画素50aのみによる比較的狭い面積による表示、すなわち面積階調で1/3に相当する淡い表示しかなされないようになる。
【0061】
また、例えば第2選択スイッチ90bおよび第3選択スイッチ90cを選択した場合には、これら第2選択スイッチ90bおよび第3選択スイッチ90cを介して制御部(図示せず)は、第2選択線80b、第3選択線80cの全てに接続するようになる。よって、各サブ画素50bおよび50cの外部入力スイッチ7が、外部入力可能な状態となる。したがって、書き込みによって画素50が押圧され、これによりサブ画素50a、50b、50cのそれぞれの外部入力スイッチ7がそれぞれオンされたとしても、制御部からは、第2選択線80b、第3選択線80cにのみ選択データ信号が供給されるため、サブ画素50bおよび50cによる面積階調で2/3に相当する比較的濃い表示がなされるようになる。
【0062】
よって、第1選択スイッチ90aから第3選択スイッチ90cを適宜に選択し、選択スイッチ90の切り換えを行うことにより、直接入力による表示に関し、階調(濃淡)を表現することが可能になる。
なお、標準状態(初期状態)では、例えば第2選択スイッチ90bが選択された状態となっており、特に階調の設定を必要としない場合には、選択スイッチ90の切り換えを行うことなく、そのままの状態で書き込み(外部入力)を行うことができるようになっている。
【0063】
そして、このように必要に応じて階調設定を行った後、ペン等で書き込みを行うと、表示装置1は、書き込みによる押圧(加圧)がなされた画素50のうちの、選択されたサブ画素50a〜50cのみにおいて、例えば黒色の粒子が透明基板3側に、また白色粒子が素子基板2側にそれぞれ泳動することにより、黒色の表示がなされる。
すなわち、書き込みによる押圧がなされたサブ画素50a〜50cでは、外部入力スイッチ7を構成する空隙部16上の画素電極6がその押圧力を受け、空隙部16内に撓んで選択線80a〜80cに接触し、導通する。すると、制御部からの選択データ信号が該選択線80a〜80cを介して画素電極6に供給されることにより、このサブ画素50が黒色の表示をなすようになる。
【0064】
なお、このサブ画素50a〜50cがもともと黒色の表示をなすようになっている場合には、外部入力スイッチ7の動作によって表示は変わることなく、そのままに保持され、このサブ画素50a〜50cがもともと白色の表示をなすようになっている場合には、外部入力スイッチ7の動作によって表示が変わり、黒色の表示をなすようになる。
【0065】
したがって、多数の画素から表示面全体で考えた場合に、文字等を表示している部分の余白、すなわち白色を表示している部分に対し、ペン等によって下線等を書き込むことで、書き込んだ部分を白色表示から黒色表示に変化させることができる。よって、元々の表示に加えて、新たに直接書き込んだ部分を、併せて表示させることができるのである。なお、新たに書き込んだ部分についても、各画素50(各サブ画素50a〜50c)が表示の保持性を有していることから、書き込みが終了した後にも、その表示は消えることなくそのままに保持される。
【0066】
また、書き込みを行う際、外部入力スイッチ7をオンにしておく時間を変化させることで、この書き込み(直接入力)による表示に関して、その濃淡(階調)を表現することもできる。すなわち、書き込みを行う際に例えばゆっくりと線を引き、一つの一つの外部入力スイッチ7に対して長いオン動作をなさせることにより、これら外部入力スイッチ7に対応する画素電極6への電荷のチャージ量(蓄積量)を多くすることができる。このようにすることにより、比較的多くの黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ同程度の白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、比較的濃い(黒い)色の表示をなすことができる。
【0067】
また、速く線を引き、一つの一つの外部入力スイッチ7に対して短いオン動作をなさせた場合には、これら外部入力スイッチ7に対応する画素への電荷のチャージ量(蓄積量)を少なくすることができる。その場合、比較的少ない数の黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ同程度の白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、この画素については比較的淡い色(灰色)の表示をなすことができる。
【0068】
また、外部入力スイッチ7がオンされたときに、白色粒子が透明基板3に、黒色粒子が画素電極6側に、それぞれ泳動するように印加電圧を反転させるための部分消去ボタンを表示装置1に設けておくこともできる。この構成によれば、表示がなされた状態で、当該表示における所望の部分をペンによってなぞることで「消しゴム」のように消去することができる。なお、この場合、ペン先の太目のペンを用いると、部分消去の該当範囲を広くすることができる。
【0069】
また、所望の表示をなさせた状態でこの表示内容に対して加筆するのでなく、白紙の状態から直接入力で新たに書き込みたい場合には、例えば表示装置1に設けられたオールクリアーのボタンを押圧すると、通常の機能を用いて制御部から走査線51やデータ線52に電気信号を出力し、選択スイッチング素子5を介して各画素50の表示画面を全て白色表示にする。そして、その状態で前記したように書き込みを行うことにより、所望の表示をなさせるように構成しても良い。なお、前記のオールクリアーのボタンについても、外部入力スイッチ7と同様に、接点スイッチや感圧式のマイクロ電気機械スイッチによって形成してもよい。
【0070】
このような表示装置1にあっては、選択スイッチング素子5とは別に外部入力スイッチ7を設けているので、選択スイッチング素子5によって通常の表示がなされた表示画面上に、外部入力スイッチ7を介して直接入力(書き込み)を行うことにより、通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示をなさせることができる。
また、各サブ画素50a〜50cに対応してそれぞれに選択線(第1選択線80aから第3選択線80c)を設け、これら選択線80に対応して第1選択スイッチ90a〜第3選択スイッチ90cを接続しているので、これら選択スイッチ90の切り換えにより、直接入力による表示に関し、階調(濃淡)を表現することができる。
【0071】
また、各画素50(各サブ画素50a〜50c)の座標位置を常に検出する必要がないためプロセッサが不要になり、さらに画素50が表示の保持性を有しているので、待機時においても電力を必要とすることなく表示を保持することができる。したがって、低消費電力化が可能になる。
また、外部入力スイッチ7が画素50のそれぞれに対応して設けられ、したがって個々に独立して機能するようになっているので、表示画面の大面積化に伴い素子数が増えても、前記したようにプロセッサが不要であることなどから従来のような困難性を有することなく、大面積化への対応が容易になる。
また、外部入力スイッチ7が感圧スイッチング素子からなっているため、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
【0072】
なお、前記実施形態では、外部入力によって黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、この画素について黒色を表示させ、下線等の実質的な表示をなさせるようにしたが、例えば選択スイッチ90a〜90cとは別に、電圧印加の極性を反転させるスイッチ(図示せず)を設けておき、予めこれを選択(オン)しておくことにより、すでに表示されている箇所を外部入力によって部分的に白色表示させ、これにより部分消去することも可能になる。
【0073】
次に、本発明の表示装置の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態の表示装置が前記第1実施形態の表示装置1と異なるところは、透明基板3に赤色のカラーフィルタ(図示せず)、緑色のカラーフィルタ(図示せず)、青色のカラーフィルタ(図示せず)が設けられ、これによってカラー表示がなされるよう構成されている点と、図7に示すように、四つのサブ画素50a〜50dによって一つの画素(図示せず)が構成されている点である。
【0074】
すなわち、この実施形態では、前記の各サブ画素50a〜50cに対応して、カラーフィルタが配設されている。また、サブ画素50dに対しては、カラーフィルタが設けられることなく、したがってこのサブ画素50dは、電気泳動粒子による白色あるいは黒色(またはその中間色)を表示するようになっている。
【0075】
また、選択スイッチ90a〜90dについては、図7に示したように、第1選択スイッチ90aによって赤色のカラーフィルタに対応するサブ画素50aの外部入力スイッチ7のみが選択され、第2選択スイッチ90bによって緑色のカラーフィルタに対応するサブ画素50bの外部入力スイッチ7のみが選択され、第3選択スイッチ90cによって青色のカラーフィルタに対応するサブ画素50cの外部入力スイッチ7のみが選択され、第4選択スイッチ90dによってサブ画素50dの外部入力スイッチ7のみが選択されるようになっている。
【0076】
このような構成によってサブ画素50a〜50dからなる画素は、電気泳動粒子として白色と黒色の二種類のものを用いた場合、例えば前記の電圧印加の極性を反転させるスイッチ(図示せず)のような反転機構を備えることなどにより、R(赤)、G(緑)、B(青)、RとGの中間色、GとBの中間色、BとRの中間色、電気泳動粒子の色である白色および黒色の、合計8種類の色の表示が可能となる。
【0077】
したがって、この表示装置にあっては、外部入力スイッチ7を介しての直接入力時、選択スイッチ90a〜90dを適宜に選択することにより、通常の表示に対する下線やメモ等の別の表示を、所望の色(カラー)で表示することができる。
また、通常の表示に関しても、もちろん前記の8種類の色を基調とする、各種のカラー表示が可能になる。
【0078】
次に、本発明の表示装置の第3実施形態を、図8〜図11を参照して説明する。なお、図8は表示装置の模式側断面図、図9は表示装置の等価回路図、図10は表示装置の画素領域を示す平面構成図、図11(a)は図10のA−A’矢視断面図、図11(b)は図10のB−B’矢視断面図である。
この第3実施形態の表示装置が前記第1実施形態の表示装置と異なるところは、主に、外部入力スイッチ7を構成する感圧スイッチング素子として、マイクロ電気機械スイッチに代えて、圧電素子による外部入力スイッチを採用した点である。
【0079】
本実施形態における表示装置は、図8に示すように、アクティブマトリックス基板である素子基板31と、素子基板31と対向配置された透明基板32と、素子基板31及び透明基板32に挟持された電気泳動層33とを備えている。ここで、表示装置30は、透明基板32の外面(電気泳動層33から離間する側)が表示面となっている。また、表示装置30は、透明基板32の外面の全面を被覆する保護フィルム34を備えている。
また、表示装置30は、電気泳動層33が形成された領域内に画像表示領域が設けられている。
【0080】
そして、表示装置30の画像表示領域には、図9に示すように、複数の画素(図示せず)がマトリックス状に配置され、これら画素は、前記実施形態と同様に、例えば隣り合う三つのサブ画素35からなっている。
複数のサブ画素35のそれぞれには、画素電極41と、画素電極41をスイッチング制御するためのTFTからなる選択スイッチング素子42と、圧電素子からなる外部入力スイッチ43とが設けられている。また、画像表示領域には、選択線80、複数のデータ線(信号線)45、走査線46、分極処理線47及び容量線48が格子状に配置されている。
【0081】
選択スイッチング素子42は、ソースがデータ線45に接続され、ゲートが走査線46に接続され、ドレインが画素電極41に接続されている。また、外部入力スイッチ43は、選択スイッチング素子42と同様の構成を有しており、ソースが選択線80に接続され、ゲートが分極処理線27に接続され、ドレインが画素電極41に接続されている。そして、保持容量44は、画素電極41と共通電極49との間に形成される容量成分と並列接続するように付与されており、画像信号及び直接入力による信号を保持する構成となっている。
【0082】
データ線45は、画像表示領域の外部に設けられた図示しない駆動回路(制御部)から供給される画像信号を各サブ画素35に供給する構成となっている。また、走査線46は、駆動回路から供給される走査信号を画素領域15に供給する構成となっている。また、選択線80は、前記実施形態と同様に、接続配線(図示せず)を介して該選択線80に接続された選択スイッチ(図示せず)のオン・オフ動作により、選択データ信号を選択的に供給する構成となっている。そして、容量線28は、各画素領域15に設けられた保持容量24を接続している。さらに、分極処理線27は、各画素領域15に設けられた外部入力スイッチ43のゲートを接続している。
【0083】
次に、表示装置30の詳細な構成について、図10及び図11(a)、(b)を参照しながら説明する。なお、図10及び図11は、サブ画素35の構成の一例を示すものであって、設計に応じて各部材の配置を適宜変更してもよい。ここで、図10では、透明基板32の図示を省略している。また、図2において、平面視でほぼ矩形状のサブ画素35の一辺に沿う方向をX軸方向、これと直交する他の一辺に沿う方向をY軸方向とする。
素子基板31は、基板本体61と、基板本体61の内側(電気泳動層33側)の表面に順次積層されたゲート絶縁膜62、層間絶縁膜63、圧電強誘電体膜(圧電体膜、強誘電体膜)64及び保護膜65とを備えている。また、素子基板31は、基板本体61の内側の表面に配置された半導体層71、72と、ゲート絶縁膜62の内側の表面に配置された走査線46と、層間絶縁膜63の内側の表面に配置されたデータ線45、接続電極73及び容量電極(一方の容量電極)74と、圧電強誘電体膜64の内側の表面に配置された分極処理線47及び容量線48と、保護膜65の内側の表面に配置された画素電極41とを備えている。
【0084】
基板本体61は、前記実施形態における基板2aと同様のものである。
ゲート絶縁膜62は、例えばSiO2(二酸化シリコン)などの絶縁材料で構成されており、基板本体61上に形成された半導体層71、72を覆うように設けられている。
層間絶縁膜63は、例えばSiO2(二酸化シリコン)やSiNx(窒化シリコン)などの絶縁材料で構成されており、ゲート絶縁膜62及びゲート絶縁膜62上に形成された走査線46を覆うように設けられている。
【0085】
圧電強誘電体膜64は、例えばフッ化ビニリデン(VDF)と三フッ化エチレン(TrFE)との共重合体(誘電率が例えば6〜13、圧電定数が例えば0.32〜0.38Vm/N)などの圧電効果を有する有機材料からなる強誘電体で構成されている。そして、圧電強誘電体膜64は、層間絶縁膜63上に形成されたデータ線45、選択線80、接続電極43及び容量電極44を覆うように設けられている。また、圧電強誘電体膜64は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH1を介して半導体層42の後述するチャネル領域72aを被覆している。
保護膜65は、例えばアクリルなどで構成されており、圧電強誘電体膜64上に形成された分極処理線47及び容量線48を覆うように設けられている。
【0086】
半導体層71は、図10及び図11(a)、(b)に示すように、平面視でゲート絶縁膜62を介して走査線46と重なる領域を含んで形成され、ポリシリコンなどの無機半導体で構成されている。そして、半導体層71には、平面視でゲート絶縁膜62を介して走査線46と重なる領域にチャネル領域71aが設けられている。さらに、半導体層71には、ポリシリコンに不純物イオンを打ち込むことによって形成されたソース領域71b及びドレイン領域71cが設けられている。この半導体層71を主体として、選択スイッチング素子42が構成される。
なお、選択スイッチング素子42としては、半導体層71のソース領域71b及びドレイン領域71cにそれぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と相対的に低い低濃度(LDD:Lightly Doped Drain)領域とを形成したLDD構造を採用してもよい。
【0087】
半導体層72は、半導体層71と同様に、平面視でゲート絶縁膜62を介して分極処理線47と重なる領域を含んで形成され、ポリシリコンなどの無機半導体で構成されている。そして、半導体層72には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して分極処理線47と重なる領域にチャネル領域72aが設けられている。さらに、半導体層72には、ポリシリコンに不純物イオンを打ち込むことによって形成されたソース領域(一方のドープ領域)72b及びドレイン領域(他方のドープ領域)72cが設けられている。この半導体層72及び圧電強誘電体膜64を主体として、外部入力スイッチ43が構成される。
なお、外部入力スイッチ43としては、選択スイッチング素子42と同様に、LDD構造を採用してもよい。
【0088】
走査線46は、平面視で矩形状の画素領域15の一辺方向(Y軸方向)に沿って配置されており、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料で構成されている。また、走査線46には、平面視でゲート絶縁膜62を介してチャネル領域71aと重なってゲート電極として機能する分岐部46aが設けられている。
【0089】
データ線45は、平面視で画素領域15の他の一辺方向(X軸方向)に沿って配置されており、例えばAl/Cu(銅)などの金属材料で構成されている。また、データ線45には、平面視でゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を介して半導体層71のソース領域71bと重なる分岐部45aが設けられている。この分岐部45aは、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH2を介して半導体層71のソース領域71bに接続されている。
【0090】
また、選択線80は、データ線45と同じ金属材料で構成されたもので、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH3を介して半導体層72のソース領域72bに接続されている。なお、この選択線80には、接続配線(図示せず)を介して選択スイッチ(図示せず)が接続されているのは、前記実施形態と同様である。
【0091】
接続電極73は、例えばAl/Cuなどの金属材料で構成されている。そして、接続電極73は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH4を介して半導体層71のドレイン領域71cに接続されると共に、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH5を介して半導体層72のドレイン領域72cに接続されている。
容量電極74は、接続電極73と一体的に形成されており、圧電強誘電体膜64を介して容量線48の後述する分岐部48aと重なっている。
【0092】
分極処理線47は、平面視でサブ画素35の一辺方向(Y軸方向)に沿って配置されており、例えばAgやNiなどの金属材料やポリアニリンなどの電子導電性高分子材料などにより構成されている。データ線25は有機圧電強誘電体膜と直に接触する配線であるため、前記配線を形成する材料の成膜方法は、前記強誘電体膜にプラズマ等の熱プロセスダメージを与えない方法、すなわち、めっき法やインクジェット成膜、スピンコート法などの液相成膜法が適当である。また、分極処理線47には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して半導体層72のチャネル領域72aと重なってゲート電極として機能する分岐部47aが設けられている。そして、分極処理線47は、電圧を印加することにより、各サブ画素35における外部入力スイッチ43を構成する圧電強誘電体膜64の分極処理を行う構成となっている。
容量線48は、平面視でサブ画素35のY軸方向に沿って配置されており、分極処理線47と同材料で構成されている。また、容量線48には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して容量電極74と重なる分岐部(他方の容量電極)48aが設けられている。そして、これら容量電極74、圧電強誘電体膜64及び分岐部48aによって保持容量44が構成されている。
【0093】
画素電極41は、例えばCuなどの金属材料で構成されており、平面視でほぼ矩形状を有している。なお、画素電極41としては、AlやAu(金)、Ag、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)などの金属やこれらの合金のほか、ITO(インジウムスズ酸化物)などの導電性酸化物類や、ポリアニリンなどの電子導電性高分子類、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂などのマトリックス樹脂中にNaCl、LiClO4、KClなどのイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子類を用いてもよい。
また、画素電極41は、圧電強誘電体膜64及び保護膜65を貫通するコンタクトホールH6を介して接続電極73と接続されている。これにより、画素電極41と半導体層71のドレイン領域71c及び半導体層72のドレイン領域72cとが導通する。
【0094】
一方、透明基板32は、図10及び図11(a)、(b)に示すように、基板本体70と、基板本体70の電気泳動層33側の表面に積層された共通電極49とを備えたものである。
基板本体70は、前記実施形態における透明基板3aと同様のもので、必要に応じ、各サブ画素35に対応し、あるいは各画素に対応してカラーフィルタが設けられたものである。
電気泳動層33は、前記実施形態と同様に、多数のマイクロカプセル4が密に配置されてなる構成となっている。
【0095】
次に、以上のような構成の表示装置30の動作について説明する。
まず、通常の画像表示方法について説明する。画像表示領域の外部に設けられた駆動回路(制御部)により走査線46から走査信号を入力すると、選択スイッチング素子42が一定期間だけオン状態となる。そして、オン状態となった選択スイッチング素子42に画像信号が入力されることで、画素電極41に画像信号が書き込まれる。書き込まれた画像信号は、画素電極41と共通電極49との間で保持される。そのため、例えば画素電極41が正、共通電極49が負となるような画像信号を入力すると、画素電極41と共通電極49との間に配置された電気泳動層33を構成して正に帯電している黒色の電気泳動粒子52が共通電極49に移動する。これにより、画素領域15の黒表示が行われる。以上のようにして、通常の画像表示を行う。
【0096】
このとき、電気泳動層33が表示の保持性を有しているため、画素領域15の表示状態は保持される。したがって、一度所望の表示を行えば他の表示を行うまで電力を供給する必要がなく、再び信号が供給されるまで表示状態が保持される。また、画素電極41に入力された画像信号は、保持容量24で保持される。なお、画素電極41と共通電極49との間に逆の電圧、すなわち画素電極41が負、共通電極49が正となるような信号を入力することで、画像の表示状態がキャンセルされる。
【0097】
次に、通常の画像表示のほかに下線やメモなどの直接入力による他の画像表示方法について説明する。透明基板32側から例えばペンなどにより画素領域(サブ画素15)に圧力を加えると、圧電強誘電体膜64に圧電変換による電荷が発生する。これにより、外部入力スイッチ43が一定期間だけオン状態となる。そして、オン状態となった外部入力スイッチ43に選択線80から信号が入力されることで、画素電極41に信号が書き込まれる。これにより、圧力が加えられたサブ画素35の黒表示が行われる。以上のようにして、直接入力による他の画像表示を行う。
【0098】
なお、この実施形態においても、選択線80に接続する選択スイッチを適宜に選択・オンすることにより、外部入力による書き込みの階調を設定することができる。
【0099】
続いて、サブ画素35の画像の読み取り方法について説明する。容量線48からパルス信号である読出信号を保持容量44に向けて入力すると、入力した信号は、保持容量44及び選択スイッチング素子42を経てデータ線45から外部に出力される。このとき、読出信号の入力に合わせて走査線46から選択スイッチング素子42に走査信号を入力することで、読出信号を入力したサブ画素35に設けられた選択スイッチング素子42をオン状態とする。ここで、保持容量44で保持されている電荷量(分極の向き)に応じて、出力される読出信号の強度が変化する。以上のようにして、サブ画素35の表示状態を外部から読み出すことができる。
【0100】
このような構成の表示装置にあっては、特に外部入力スイッチ43を構成する圧電体膜と保持容量44を構成する強誘電体膜として圧電強誘電体膜64を用いることで、これらを同一工程で形成することができる。また、圧電強誘電体膜64を有機材料で構成することで、安価な液相法を適用できて製造コストの削減が図れると共に、無機材料で構成することと比較して低温プロセスを用いることができる。
【0101】
次に、本発明の電子ペーパーを説明する。
図12は、本発明の電子ペーパーの一態様を示す斜視図である。この電子ペーパー110は、前記表示装置からなる表示ユニット1と、本体部111と、操作部112などから構成されたものである。
電子ペーパー110は、内蔵する記憶部のデータなどを表示ユニット1に表示するとともに、当該データが表示された状態で、ペン113により所望の内容を加筆することが可能な、いわゆる「電子お絵かきボード」である。また、操作部112には、前述のオールクリアボタンや、部分消去ボタンが含まれている。
このような電子ペーパー110は、営業マンが少人数の商談において商品説明をする際に用いるのに好適であり、例えば、商品のカタログが表示されている状態で、商品のアッピールポイントを強調しながら説明することができる。
【0102】
図13は、本発明における異なる態様の電子ペーパー120を示す図である。電子ペーパー120は、前記表示装置1の基板2aを可撓性材料によって構成した表示ユニット131と、当該表示ユニットと同等の柔軟性を有する本体部121と、複数のメンブレンスイッチから構成された操作部122などから構成されている。なお、ポリオレフィン系樹脂フィルムなどの可撓性材料によって基板2aを構成するためには、例えば、本出願人による特開平10−125929号公報や、特開平10−125931号公報などに記載されている技術を好適に用いることができる。
【0103】
操作部122には、前述のオールクリアボタンや、部分消去ボタンなどが含まれており、当該ボタン部分をペン113や、指で押すことにより希望する機能を実現することができる。また、複数のボタンは、外部入力スイッチ7によって形成しても良い。この場合、表示ユニット131の外周部に前述したプロセスにより、必用な数量の外部入力スイッチ7を形成する。
電子ペーパー120の態様は、紙に近いものであり、例えば、1mm以下の厚さに構成することができる。このため、軽量で持ち易く、例えば、薄手のペーパフォルダによって持ち歩き、必要な場面で取り出して、その場で要点をマーキングしながら説明するなど、使い勝手に優れている。
【0104】
このような電子ペーパー110、120によれば、前述したように直接入力による書き込みが可能であり、また、低消費電力化、大面積化への対応が可能になり、さらに、書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることが可能になる。
なお、本発明の表示装置の応用としては、前記電子ペーパー以外にも、例えば電子ノートや電子ブック、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの、表示部を備えた機器等を挙げることができる。
【0105】
また、本発明の表示装置は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前記実施形態では、マイクロカプセル4の保護等を目的として透明基板3の外面に保護フィルム19を貼着したが、本発明はこれに限定されることなく、透明基板3の強度が十分であれば、保護フィルム19の貼着を省略することもできる。
また、前記実施形態では電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセル4を用いたが、マイクロカプセル4を用いることなく、電気泳動分散液を直接基板間に挟持し、封止するようにしてもよい。
【0106】
また、前記実施形態では、表示装置の各画素を構成する表示素子が電気泳動素子である例を示したが、特に表示の保持性を有するものであれば、電気泳動素子以外の表示素子を用いた表示装置にも適用可能である。例えば、コレステリック液晶を用いた液晶素子からなる表示装置や、酸化還元反応を用いたエレクトロクロミック素子からなる表示装置、さらには、異なる二つの色を有する粒子を反転させることで表示を行う素子からなる表示装置などにも、本発明を適用することができる。
【0107】
また、選択スイッチ90(90a、90b、90c)としては、前記したように機械スイッチ部のみから形成するのに代えて、例えば、図14に示すように、画素領域における選択スイッチング素子5等と同様に作り込んでもよい。すなわち、接続配線85にTFT素子部87のソース側とドレイン側とを接続するとともに、これらソース側とドレイン側との間を機械スイッチ89で接続してもよい。このように構成することで、機械スイッチ89によって選択スイッチ90をオンオフ動作させるのとは別に、TFT素子部87によって電気的に選択スイッチ90をオンオフ動作させることもできるようになる。
【0108】
また、画素50を構成するサブ画素の数については、三つに限定されることなく、二つあるいは四つ以上のいずれにしてもよい。その場合、選択線、選択スイッチの数についても、もちろんサブ画素の数に対応して変更される。
さらに、選択スイッチング素子としてTFT素子を用いているが、画素電極をスイッチング制御する素子であれば、TFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)など他の素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態の、概略構成を示す要部断面図図である。
【図2】(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A’線要部断面図である。
【図3】図1、図2に示した表示装置の等価回路図である。
【図4】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図5】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図6】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図7】本発明の表示装置の第2実施形態の、等価回路図である。
【図8】本発明の表示装置の第3実施形態の、模式断面図である。
【図9】図10に示した表示装置の等価回路図である。
【図10】画素領域を示す要部平面図である。
【図11】(a)は図10のA−A’矢視断面図、(b)は図10のB−B’矢視断面図である。
【図12】本発明の電子ペーパーの概略構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の異なる態様の電子ペーパーの概略構成を示す斜視図である。
【図14】選択スイッチの別の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0110】
1…表示装置、2、31…素子基板、3、32…透明基板、4…マイクロカプセル、5、42…選択スイッチング素子、6、41…画素電極、7、43…外部入力スイッチ、16…空隙部、17、49…共通電極、19、34…保護フィルム、35…サブ画素、50…画素、50a、50b、50c、50d…サブ画素、46、51…走査線、45、52…データ線、48、53…容量線、80…選択線、80a…第1選択線、80b…第2選択線、80c…第3選択線、90…選択スイッチ、90a…第1選択スイッチ、90b…第2選択スイッチ、90c…第3選択スイッチ、90d…第4選択スイッチ、110、120…電子ペーパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接入力によって表示させる機能を有した表示装置と、電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶材料や電気泳動材料など、各種の電気光学材料を用いた表示装置が提供されている。
また、従来では、例えば発光ダイオードを用いたディスプレイパネル(表示装置)に対するデジタイジングタブレット(デジタイジング装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、デジタイジング装置としては、前記特許文献1における従来の技術においても開示されているように、いくつかのタイプのものが知られている。
【0003】
デジタイザ装置は、ユーザが文字や図を書いたり、デジタイザアレイに対してスタイラスの位置を指示したりすることにより、格子上に直接データ入力できるようにしたものである。具体的には、以下に示すようなタイプのものが知られている。
(1)容量性−抵抗性アレイに対してスタイラスの先端部を直接接触させるタイプ。
(2)ユーザがデータを入力し、所望の動作を実行する際に磁気先端構造のスタイラスあるいは電磁界発生型のスタイラスと相互作用する電磁デジタイザを用いるタイプ。
(3)デジタイジングアレイに信号を送信するためのRF送信器を備えるスタイラスからなるタイプ。
(4)パッドから反射するようにスタイラスの先端部内に配置される可視光源あるいは赤外光源のような光源を組み込むタイプ。
【0004】
このようなデジタイザ装置は、表示装置となるモニタに直接設けられ、あるいはモニタとは別に設けられている。一般に、表示装置の大きさに比べて大きな作業表面を必要とするデジタイザ装置は、表示装置とは別に用意され、可搬性やコンパクト性が重要な場合には、表示装置に直接組み込まれて一体型のデジタイザ装置として構成されている。
【特許文献1】特開2003−223272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のデジタイジング装置やこれを一体に備えた表示装置では、処理速度がプロセッサの能力に比例することから原理的に大面積化に対応することが困難であり、また、待機時にも電力を必要とすることなどから低消費電力化が困難である。さらに、本来の表示機能とは別に、表示画面上に直接入力することで表示画面に下線やメモ等の表示もできるようにしたいとの要望があり、その場合に、直接入力による表示について階調表現を行いたいとの要望もある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、低消費電力化が可能で、大面積化にも対応可能であり、しかも表示画面上に直接入力することで表示画面に下線やメモ等の表示もできるようにし、その場合に階調表現も可能にした、表示装置及び電子ペーパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る表示装置は、表示の保持性を有する複数の画素を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、第1サブ画素から第nサブ画素(ただし、nは2以上の自然数)までの複数のサブ画素によって構成され、
前記サブ画素にはそれぞれ、データ線に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子と、選択線に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチと、が設けられ、
前記選択線は、前記第1サブ画素に接続する第1選択線から第nサブ画素に接続する第n選択線までのn種の選択線を備えて構成され、
前記n種の選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチが接続されていることを特徴としている。
【0008】
この表示装置によれば、前記サブ画素にそれぞれ、選択スイッチング素子とは別に外部入力スイッチを設けているので、選択スイッチング素子によって通常の表示がなされた表示画面上に、すべての選択スイッチング素子を選択し外部入力スイッチを介して直接入力することにより、前記通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示をなさせることが可能になる。
また、前記各サブ画素に対応してそれぞれに選択線(第1選択線から第n選択線)を設け、これら選択線に対応して選択スイッチを接続しているので、外部入力スイッチを介して直接入力する際、例えば選択スイッチによってm種の選択線のみを選択し(ただし、mは1≦m<nを満たす自然数)、これによってm種類のサブ画素のみに外部入力可能となるよう選択することにより、相対的に狭い面積による表示、すなわち面積比でm/nでの相対的に淡い表示が可能になる。よって、選択スイッチング素子による画素種選択の仕方により、直接入力による表示濃淡(階調)を表現することが可能になる。
【0009】
また、外部入力スイッチをオンにしておく時間は直接入力の際に直感的に調整できるので、オン時間を長くすることで、この外部入力スイッチに対応するサブ画素への電荷のチャージ量(蓄積量)を多くすることができる。したがって、外部入力スイッチのオン時間を調節することでも、直接入力による表示濃淡(階調)を表現することが可能になる。
また、各画素の座標位置を常に検出する必要がないためプロセッサが不要になり、さらに画素が表示の保持性を有しているので、待機時においても電力を必要とすることなく表示を保持することができ、したがって低消費電力化が可能になる。
また、外部入力スイッチがサブ画素それぞれに対して設けられ、したがって画素が個々に独立して機能するようになっているので、表示画面の大面積化に伴い素子数が増えても、前記したようにプロセッサが不要であることなどから従来のような困難性を有することなく、大面積化への対応が容易になる。
【0010】
また、前記表示装置においては、前記複数のサブ画素が、それぞれ異なるカラー表示をなすよう構成されていてもよい。
このようにすれば、外部入力スイッチを介しての直接入力時、選択スイッチを適宜に選択することにより、前記通常の表示に対する下線やメモ等の別の表示を、所望のカラー表示でなさせることが可能になる。
【0011】
また、前記表示装置においては、前記外部入力スイッチは、感圧スイッチング素子であるのが好ましく、その場合に、前記感圧スイッチング素子はマイクロ電気機械スイッチであるのが好ましい。
外部入力スイッチを感圧スイッチング素子とすることにより、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
また、感圧スイッチング素子をマイクロ電気機械スイッチとすることで、アクティブマトリクス回路基板を公知の手法で製造する際、特殊な工程を必要とすることなく一般的な工程で感圧スイッチング素子(マイクロ電気機械スイッチ)を製造することができる。
【0012】
また、前記表示装置においては、前記選択スイッチは、感圧スイッチング素子であるのが好ましい。
このようにすれば、選択スイッチを感圧スイッチング素子とすることにより、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
【0013】
また、前記表示装置は、電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセルを一対の基板間に挟持して構成されたもので、前記一対の基板のうちの表示側の基板の外面に、保護フィルムが貼着されているのが好ましい。
このようにすれば、直接入力として前記の感圧スイッチング素子を押圧した際、入力面となる表示側基板の外面に保護フィルムが貼着されて保護されているので、直接入力の際の押圧力でマイクロカプセルが破壊されてしまうことが防止される。
【0014】
本発明の電子ペーパーは、前記の表示装置からなることを特徴としている。
この電子ペーパーによれば、前記したように通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示を追加することができ、しかも低消費電力化が可能な表示装置からなっているため、一般的な表示装置としてはもちろん、通常の紙と同様に機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、理解を容易にするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を示す要部断面図であって、図1中符号1は表示装置である。この表示装置1は、本実施形態では表示素子として電気泳動素子を有して構成されたもので、素子基板2と透明基板3を有し、これら基板2、3間に電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセル4を挟持したものである。図2(a)、(b)は、素子基板2の概略構成を示す図であって、図2(a)は素子基板2についての要部平面図、図2(b)は図2(a)のA−A’線で断面視した要部断面図である。なお、図1は、図2(a)のA−A’線で断面視した位置における、表示装置1全体の要部断面図である。
【0016】
図3は、表示装置1の等価回路図であり、図3中において符号50は単一の画素を示しす。画素50は、マトリクス状に配置されてなるもので、本実施形態では、第1サブ画素50aと第2サブ画素50bと第3サブ画素50cとからなっている。これら各サブ画素50a、50b、50cには、それぞれ、対応するサブ画素50a(50b、50c)を選択するための選択スイッチング素子5が設けられている。
【0017】
この選択スイッチング素子5は、薄膜トランジスタ(TFT)からなるもので、そのゲート電極に走査線51が接続されている。走査線51は、複数の選択スイッチング素子5の各ゲート電極に対して、制御部(図示せず)からの走査信号(選択信号)を与えるようになっている。また、選択スイッチング素子5のソース電極には、データ線52が接続されており、このデータ線52は、複数の選択スイッチング素子5の各ソース電極に対して、制御部(図示せず)からのデータ信号を与えるようになっている。
【0018】
選択スイッチング素子5のドレイン電極(画素電極6)側には、容量素子54が設けられており、この容量素子54は、マイクロカプセル4中の電気泳動分散液の電気分極状態を保持するようになっている。なお、画素50は、選択スイッチング素子5のドレイン電極となる画素電極6と、後述する共通電極17との間に、マイクロカプセル4を挟持するものである。
【0019】
また、本実施形態では、選択スイッチング素子5と並列的に、外部入力スイッチ7が設けられている。この外部入力スイッチ7は、選択スイッチング素子5とは異なり、その一方が選択線80a(80b、80c)に接続し、他方が画素電極6(ドレイン電極)に接続して、これら選択線80a(80b、80c)と画素電極6との間の接続のオンオフをなすものである。すなわち、後述するように外部からの加圧(押圧)による入力動作に感応して、選択線80a(80b、80c)からの信号を対応するサブ画素50a(50b、50c)に供給するためのものである。
【0020】
ここで、選択線80a(80b、80c)は、サブ画素50a〜50cにそれぞれ対応して設けられたもので、第1サブ画素50aに接続する選択線は第1選択線80aとなっており、第2サブ画素50bに接続する選択線は第2選択線80bとなっており、第3サブ画素50cに接続する選択線は第3選択線80cとなっている。
【0021】
また、これら三種の選択線80a〜80cにはそれぞれ、接続配線85a(85b、85c)を介して選択スイッチ90a、90b、90cが接続されている。選択スイッチ90a、90b、90cは、例えば機械スイッチとして構成されたもので、配線(図示せず)を介して制御部(図示せず)に接続されたものである。このような構成によって選択スイッチ90a、90b、90cは、オン動作させられることにより、制御部(図示せず)からの選択データ信号を対応する選択線80側に供給するようにし、また、オフ動作させられることにより、選択線80側への選択データ信号の供給を停止するようになっている。
【0022】
本実施形態では、第1選択スイッチ90aは、第1接続配線85aに設けられたもので、第1接続配線85aは、第1選択線80aに接続したものとなっている。また、第2選択スイッチ90bは、第2接続配線85bに設けられたもので、第2接続配線85bは、第2選択線80bに接続したものとなっている。さらに、第3選択スイッチ90bは、第3接続配線85bに設けられたもので、第3接続配線85bは、第3選択線80cに接続したものとなっている。
【0023】
このような構成により、第1選択スイッチ90aによって第1サブ画素50aの外部入力スイッチ7のみが選択され、第2選択スイッチ90bによって第2サブ画素50bの外部入力スイッチ7のみが選択され、第3選択スイッチ90cによって第3サブ画素50cの外部入力スイッチ7のみが選択されるようになっている。
したがって、選択スイッチ90a〜90cのうちのどれをオンにするか選択することにより、外部入力時の階調表現を選択することができる。すなわち、一つのみオンにして残りはオフにすると全体の3分の1の画素にしか入力できないが、二つをオン、もしくは三つ全てをオンにすることにより、全体の3分の2の画素、もしくは全ての画素に入力することができるため、結果的に面積階調による階調表示(濃淡表示)を実現することができる。また、全ての選択スイッチをオフにしておくことにより、外部入力による書き込みを禁止(不能に)することができる。
【0024】
図1、図2(a)、(b)に示したように素子基板2は、ガラスや石英などの耐熱性基板(基板2a)の上に、下地絶縁膜8を介してTFT(薄膜トランジスタ)からなる選択スイッチング素子5を多数形成し、さらにこれら選択スイッチング素子5にそれぞれ対応して画素電極6を形成したもので、これによってアクティブマトリクス基板として構成されたものである。選択スイッチング素子5は、前記の下地絶縁膜8の上に設けられた半導体膜9と、この半導体膜9上にゲート絶縁膜10を介して設けられたゲート電極11と、半導体9のソース領域(図示せず)に接続するソース電極12と、半導体9のドレイン領域(図示せず)に中継電極13を介して接続する画素電極(ドレイン電極)6とを有して構成されたものである。
【0025】
ここで、ゲート電極11は、前記したように走査線51に接続しており、ソース電極12は、データ線52に接続している。このような構成によって選択スイッチング素子5は、走査線51によってそのゲート電極11が選択されると、データ線52からソース領域に流れる信号を、ドレイン領域側の中継電極13を介して画素電極6に流すようになっている。なお、この選択スイッチング素子5のドレイン領域には、容量線53に接続する容量素子67が形成されている。
【0026】
また、ゲート電極11や容量線53の上には、これらを覆って第1層間絶縁膜14が形成されており、ソース電極12は、第1層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホール(図示せず)を通って該第1層間絶縁膜14上に電気的に引き出され、ここに形成されている。中継電極13も、該ソース電極12と同様に、コンタクトホール(図示せず)を通って該第1層間絶縁膜14上に電気的に引き出され、該第1層間絶縁膜14上に形成されている。
【0027】
また、第1層間絶縁膜14上には、ソース電極12、中継電極13を覆って第2層間絶縁膜15が形成され、この第2層間絶縁膜15上には、画素電極6が、コンタクトホール(図示せず)を通って電気的に引き出されたことにより、中継電極13に導通した状態に形成されている。
【0028】
また、この素子基板2には、前記したように選択スイッチング素子5と並列的に、外部入力スイッチ7が設けられている。この外部入力スイッチ7は、選択線80(第1選択線80a、又は第2選択線80b、又は第3選択線80c)の一部と、第2層間絶縁膜15に形成され、かつその底部に選択線80の一部を露出させる空隙部16と、画素電極6の一部と、からなる感圧型の機械スイッチである。
【0029】
すなわち、この外部入力スイッチ7は、後述するようにペン等によって表示面側となる透明基板3側が押圧(加圧)されることにより、図1中に二点鎖線で示すように空隙部16上に位置する画素電極6が凹み、空隙部16内に露出する選択線80の一部に接触する。すると、これらの間が導通し、選択線80が画素電極6に導通することにより、選択線80からの選択データ信号が画素電極6に供給され、したがって選択線80からの信号が対応するサブ画素50a(又は50b、50c)に供給されるようになる。なお、図1における空隙部16の幅と深さとの関係は、理解を容易にするため実際の寸法より深さを大幅に深くしているが、実際には、画素電極6の僅かな撓みにより、撓んだ画素電極6と選択線80の一部とが接触するように、その深さが浅く形成されている。
【0030】
ここで、空隙部16は、図2(a)に示すようにその開口形状が矩形であって、平面視した状態でそのほとんどが画素電極6の直下に形成されているが、後述するように工程上の理由により、その一部は画素電極6の外側に開口したものとなっている。また、外部入力スイッチ7は、前記したように空隙部16の直上に位置する画素電極6の一部が、入力部として機能する感圧部となっている。この感圧部の面積としては、サブ画素50a(50b、50c)の寸法によっても変わるものの、例えばサブ画素50a(50b、50c)の面積の30%から70%程度となるように形成されている。30%未満では、サブ画素50a(50b、50c)に占める感圧部(外部入力スイッチ7)の面積が小さくなりすぎ、感圧感度が低くなってしまうからである。また、70%を超えると、これに合わせてデータ線52の面積も大きくする必要があることから、他の構成要素の形成領域が狭くなり、製造条件が厳しくなるからである。
【0031】
図1に示したように透明基板3は、透明樹脂等からなるフィルム状で可撓性の透明基板3aの内面に、ITO等からなる透明の共通電極17を形成したもので、その外面側を表示面(観測面)側とするものである。ここで、この透明基板3aとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)などが好適に用いられる。
なお、可撓性の基板に限定するものではなく、薄く形成された無機ガラスや、硬質樹脂などを用いた構成であってもよい。
【0032】
このような構成からなる素子基板2と透明基板3との間には、特に前記の画素電極6上にマイクロカプセル4が配置されており、これによってマイクロカプセル4は、表示装置1の表示領域を形成している。マイクロカプセル4は、前述したように表示材料としての電気泳動分散液を封入したもので、全てがほぼ同一の直径に形成されたものであり、直径が例えば約30μm程度に形成されたものである。なお、本実施形態では、図1に示すように、マイクロカプセル4は予め加圧された状態で素子基板2と透明基板3との間に挟持されており、これによって各マイクロカプセル4は、球状でなく、側面が楕円状となる偏平な形状となっている。
【0033】
電気泳動分散液は、電気泳動粒子と、これを分散させる液相分散媒とからなるものである。液相分散媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0034】
また、電気泳動粒子は、液相分散媒中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)である。
この電気泳動粒子としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ、ジイスアゾン、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、アントラキノン系染料、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
さらに、これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
マイクロカプセル4の壁膜を形成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物が使用できる。
【0036】
なお、この第1実施形態の表示装置1においては、マイクロカプセル4に電気泳動粒子が二種類封入されており、一方が負に、他方が正に帯電している。これら二種類の電気泳動粒子としては、例えば白色顔料である二酸化チタンと、黒色顔料であるカーボンブラックが用いられる。そして、このような白色、黒色の二種類の電気泳動粒子を用いることにより、例えば文字等の表示をなす場合に、黒色の電気泳動粒子によって文字等を表示し、白色の電気泳動粒子によってその背景を表示することができる。
また、電気泳動粒子を一種類のみ用い、これを共通電極17側、あるいは画素電極6側に泳動させることで、表示をなすようにしてもよい。
【0037】
また、これらマイクロカプセル4は、例えば透明基板3に対して、その共通電極17上にてバインダ18により固定されている。このバインダ18としては、マイクロカプセル4の壁膜に対する親和性が良好で、共通電極17に対する密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものが使用可能である。例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂等を用いることができる。
【0038】
一方、これらマイクロカプセル4は、素子基板2に対して、その画素電極6上にて例えば両面接着シート(図示せず)により固定されている。この両面接着シートは、例えば厚さが約25μm程度に形成されたゴム系やアクリル系などの粘着性を有するもので、素子基板2の画素電極6上に固着され、かつマイクロカプセル4に固着することにより、マイクロカプセル4を素子基板2上に保持固定している。なお、このような両面接着シートを用いることなく、この素子基板2側についても、前記のバインダ18を用いて接着するようにしてもよい。
このような構成によってマイクロカプセル4は、素子基板2と透明基板3との間に挟着され、表示装置1を構成している。
【0039】
また、本実施形態では、特に透明基板3の外面に透明な保護フィルム19が貼着されている。この保護フィルム19としては、各種の透明フィルムが使用可能であり、前記した透明基板3aと同様の材料、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)なども使用可能である。
【0040】
この保護フィルム19は、直接入力のため透明基板3側を押圧し、前記の外部入力スイッチ7を加圧することでオンした際、透明基板3側への押圧力によってマイクロカプセル4が破壊されてしまうのを防止するためのものである。すなわち、外部入力スイッチ7をオンにすべく、透明基板3側を押圧した際、この押圧力をマイクロカプセル4も受けることになる。その際、透明基板3側の許容曲率半径r1が、マイクロカプセル4の許容できる曲率半径r2を下回らないように、r1≧r2となるように設計する必要がある。そして、透明基板3単独ではこの条件が満たされないような場合には、保護フィルム19を貼着することで透明基板3を補強し、これによって過剰な押圧によるマイクロカプセル4の破壊を防止しているのである。
【0041】
例えば、外部入力スイッチ7の空隙部16の最小幅をW、外部入力スイッチ7の空隙部16の最大深さをh、マイクロカプセル4が許容できる最小曲率半径をr(=r2)とすると、空隙部16の深さhは、(1次までのマクローリン展開に基づき)以下の式を満たすようにして設計される。
h<W2/8r …式
具体的には、空隙部16の最小幅Wが200μmであり、マイクロカプセル4が許容できる(耐えうる)曲率半径r(=r2)が1cmである場合、W2/8r=500nmとなるため、空隙部16の深さを、マージンをとって例えば450nmに設計すればよいことになる。
そして、このような条件のもとで、マイクロカプセル4が耐えうる曲率半径r(=r2)を、透明基板3側の曲率半径r1が下回らないように、保護フィルム19を貼着し、透明基板3と補強フィルム19を合わせた基板全体の曲率半径r1が、r2以上となるように補強すればよいのである。
【0042】
また、この表示装置1には、前記した走査線51やデータ線52、選択線80(第1選択線80a、第2選択線80b、第3選択線80c)に各信号を供給するための制御部(図示せず)が設けられており、この制御部に表示データが入力され、あるいは予めメモリ(図示せず)に記憶された表示データに基づき、表示を行うようになっている。すなわち、一般の表示装置が備える通常の表示機能を有したものとなっているのである。
【0043】
次に、このような構成からなる表示装置1の製造方法を説明する。
まず、図4(a)に示すように、後述するレーザーアニール工程での熱に耐えうる基板2a(ガラス基板、石英基板など)を用意し、その表面(内面)にSiO2等からなる下地絶縁膜8を形成する。続いて、下地絶縁膜8上にポリシリコンからなる半導体膜9を形成する。この半導体膜9の形成方法としては、例えばCVD法等によってアモルファスシリコンを堆積し、レーザーアニール法で多結晶化してポリシリコンとした後、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて所望形状にパターニングすることにより、所望の形状の半導体膜9を得る。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、半導体膜9を覆ってゲート絶縁層10を形成し、さらにその上にAl等からなる導電膜(図示せず)を形成する。そして、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてこの導電膜をパターニングすることにより、ゲート電極11を含む走査線51と、容量線53とを形成する。次いで、ゲート電極11(走査線51)をマスクにして半導体膜9に例えばN型不純物をイオン注入し、ソース領域(図示せず)、ドレイン領域(図示せず)をそれぞれ形成する。
【0045】
次いで、図4(c)に示すように、半導体膜9および走査線51(ゲート電極11)、容量線53を覆ってSiO2等からなる第1層間絶縁膜14を形成する。続いて、ソース領域、ドレイン領域にそれぞれ通じるコンタクトホール20を形成する。
次いで、このコンタクトホール20を埋め込んだ状態でAl等からなる導電膜(図示せず)を形成し、さらにこの導電膜をパターニングすることにより、図5(a)に示すようにソース電極12を含むデータ線52と、中継電極13と、選択線80(第1選択線80a、第2選択線80b、第3選択線80c)を形成する。
【0046】
次いで、ソース電極12、中継電極13を覆って、CVD法等でSiO2やSiN等からなる第2層間絶縁膜15を形成する。続いて、公知のリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて第2層間絶縁膜15をパターニングし、図5(b)に示すように選択線80の直上に空隙部16を形成する。これにより、空隙部16の底部に選択線80を露出させる。
【0047】
次いで、第2層間絶縁膜15、及び後工程で形成する画素電極6との間で選択比がとれる材料を、CVD法等によって成膜し、図5(c)に示すように空隙部16を埋め込む。具体的には、CVD法によってアモルファスシリコンを堆積し、空隙部16を埋め込んだ状態に犠牲層21を形成する。
【0048】
続いて、CMP(化学機械研磨)法等により、第2層間絶縁膜15上の犠牲層21を除去し、空隙部16内にのみ犠牲層21を残す。その後、第2層間絶縁膜15をパターニングし、図6(a)に示すように中継電極13に通じるコンタクトホール22を形成する。
【0049】
なお、犠牲層21の形成に関しては、前記のCVD法等の気相法によることなく、例えばインクジェット法(液滴吐出法)等の液相法を採用することもできる。特に、インクジェット法を採用すれば、犠牲層の材料を選択的に配することができるため、空隙部16内にのみ犠牲層21を形成することが可能になり、CMP法等の処理が不要になる。空隙部16が、犠牲層の形成材料を受けてこれを外に流れ出させることなく、空隙部16内に溜めるように機能するため、第2層間絶縁膜15上に犠牲層が形成されてしまうことが容易に防止できるからである。
【0050】
次いで、このコンタクトホール22を埋め込んだ状態でAl等からなる導電膜(図示せず)を形成し、さらにこの導電膜をパターニングすることにより、図6(b)に示すように画素電極6を形成する。この画素電極6の厚さについては、例えば200nm〜300nm程度とされる。このような厚さにすれば、十分な可撓性と強度とを併せ持つようになる。すなわち、後述するように外部入力スイッチ7では、透明基板3側が押圧(加圧)されて弾性変形した際、画素電極6も空隙部16内に容易に撓んでデータ線52に接触するようになる。また、押圧力が解除されたことによる透明基板3側の弾性復帰に伴い、データ線52から容易に離間するようになる。そして、例えば前記厚さとすることで画素電極6は、前記した弾性変形・弾性復帰が、多数回(例えば数万回から数十万回)に亘って支障なく繰り返し動作可能となるのである。
【0051】
なお、この画素電極6については、図2(a)に示したように、空隙部16の開口部内、すなわち該空隙部16内の犠牲層21が外側に露出するように形成する。具体的には、空隙部16の矩形状開口部の短辺16aとなる両方の側を、外側に露出させる。寸法については、例えば両方にそれぞれ露出する細長い矩形状の長辺(空隙部16の開口部の短辺16a)が200μm程度、細長い矩形状の短辺16bが3μm程度とされる。
次いで、空隙部16内の犠牲層21をエッチングし、図6(c)に示すように空隙部16内の犠牲層21を除去する。エッチングとしては、例えばエッチンガスとしてXeF2を用いたドライエッチングが好適に採用される。ただし、他のエッチャントを用いたドライエッチングや、ウエットエッチングも採用可能である。
【0052】
なお、このようなエッチングによる犠牲層21の除去に要する時間を短縮するため、外側に露出する空隙部16内の犠牲層21の面積を大きくする目的で、空隙部16上に位置する画素電極6に多数の小さな貫通孔(図示せず)を開けるようにしてもよい。このような貫通孔を形成することで、例えば空隙部16の中心部における犠牲層21についても当初からエッチング除去することができ、犠牲層21除去に要する時間を短縮することができる。
このようにして、素子基板2が得られる。また、特に外部入力スイッチ7については、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)からなるスイッチ、すなわちマイクロ電気機械スイッチとなる。
【0053】
また、図1、図2、図4〜図6では示していないものの、本実施形態では、図3に示した選択スイッチ90a〜90cについて、選択スイッチング素子5と同じプロセスにより、この選択スイッチング素子5と同様の構成からなるTFT(薄膜トランジスタ)として形成している。また、例えば配線を外部に引き出し、接点スイッチ(通常の電気部品であるトグルスイッチや押しボタンスイッチなど)を設けても良いし、外部入力スイッチ7と同じプロセスにより、この外部入力スイッチ7と同様の構成からなる感圧スイッチング素子(マイクロ電気機械スイッチ)として形成してもよい。
【0054】
また、このような素子基板2とは別に、透明基板3aの内面に共通電極17を形成した透明基板3を用意する。次いで、共通電極17の内面に、バインダ18を用いてマイクロカプセル4を均一に固着するとともに、この透明基板3の外面に、保護フィルム19を貼着する。
そして、このようにして形成した透明基板3側を、両面接着シート(図示せず)を介して素子基板2の画素電極6側に接着・固定することにより、図1に示した表示装置1を得る。
【0055】
次に、この表示装置1による表示方法について、図1に戻って説明する。
この表示装置1は、画素電極6と共通電極17との間に印加する電圧(電界)の方向を変えることにより、マイクロカプセル4中の電気泳動粒子を所望の電極側に集め、これによって所望の表示が行えるようになっている。
【0056】
つまり、電気泳動粒子として例えば前記したように白色と黒色の二種類のものを用い、一方の粒子、例えば白色の粒子を負に帯電させ、他方の粒子となる黒色の粒子を正に帯電させておく。そして、表示を行うとき、所望の画素電極6に対して信号を入力することで、表示面となる透明基板3側(共通電極17側)が、画素電極6側に対して相対的に負になるように電界をかける(電圧を印加する)。すると、黒色の粒子が透明基板3側に、また白色粒子が素子基板2側にそれぞれ泳動する。したがって、例えば文字等の実質的な表示をなす部分が黒色の粒子によって透明基板3側に表示され、その背景となる部分が白色の粒子によって透明基板3側に表示されることにより、所望の表示がなされる。
【0057】
また、このような電気泳動粒子を分散させた電気泳動分散液を有してなる電気泳動素子は、表示の保持性を有している。すなわち、一旦所望の表示を行うと、その後電源を切って画素電極6と共通電極17との間に印加される電圧をゼロにしても、電気泳動粒子はそのままの状態に保持され、したがって電源が入っていたときの表示状態がそのままに保持される。また、画素電極6と共通電極17との間に逆の電圧を印加することにより、保持していた表示をキャンセルすることができる。したがって、例えば再度電源を入れ、新たに表示データを入力することにより、保持していた表示をキャンセルして新規な表示を行うことができる。
なお、この表示装置1においては、電源として例えば電池などを有していてもよく、専用のアダプターを介して外部電源から電力が供給されるように構成されていてもよい。もちろん、切換手段を有することにより、電源が選択できるようになっていてもよい。
【0058】
このような表示装置1により、例えば通常の表示機能で表示を行う場合、制御部から走査線51やデータ線52に電気信号を出力し、選択スイッチング素子5を介して各画素50の表示(黒表示または白表示)を調整し、表示面となる透明基板3側に所望の表示を行わせる。
【0059】
また、このように所望の表示をなさせた状態で、この表示内容に対して下線やメモ等を加えたい場合には、適宜な書き込みペンを用い、表示装置1の透明基板3側、本実施形態では保護フィルム19上に、書き込みを行う。なお、書き込みペンとしては、電源等を必要とせず、また磁気等による特別な機能を有する専用のものを用いることなく、そのペン先が適宜な太さ(幅)のもので、保護フィルム19を損傷しないようなものであれば、任意のものが使用可能である。また、適当なものが無い場合には、指先で書き込むことも可能である。
【0060】
また、このようにしてペン等で書き込みを行う際、特に書き込む線の濃淡、すなわち階調を設定したい場合には、前記の選択スイッチ90a〜90cのいずれかもしくは複数をオンすることにより、階調の設定が可能になる。
例えば、第1選択スイッチ90aを選択した場合には、図3に示すように、この第1選択スイッチ90aを介して制御部(図示せず)は、第1選択線80aのみに接続するようになる。よって、各サブ画素50a〜50cの外部入力スイッチ7のうちの、第1サブ画素50aのみが、外部入力可能な状態となる。したがって、書き込みによって画素50が押圧され、これによりサブ画素50a、50b、50cのそれぞれの外部入力スイッチ7がそれぞれオンされても、制御部からは、第1選択線80aのみにしか選択データ信号が供給されていないため、結果的に、サブ画素50aのみによる比較的狭い面積による表示、すなわち面積階調で1/3に相当する淡い表示しかなされないようになる。
【0061】
また、例えば第2選択スイッチ90bおよび第3選択スイッチ90cを選択した場合には、これら第2選択スイッチ90bおよび第3選択スイッチ90cを介して制御部(図示せず)は、第2選択線80b、第3選択線80cの全てに接続するようになる。よって、各サブ画素50bおよび50cの外部入力スイッチ7が、外部入力可能な状態となる。したがって、書き込みによって画素50が押圧され、これによりサブ画素50a、50b、50cのそれぞれの外部入力スイッチ7がそれぞれオンされたとしても、制御部からは、第2選択線80b、第3選択線80cにのみ選択データ信号が供給されるため、サブ画素50bおよび50cによる面積階調で2/3に相当する比較的濃い表示がなされるようになる。
【0062】
よって、第1選択スイッチ90aから第3選択スイッチ90cを適宜に選択し、選択スイッチ90の切り換えを行うことにより、直接入力による表示に関し、階調(濃淡)を表現することが可能になる。
なお、標準状態(初期状態)では、例えば第2選択スイッチ90bが選択された状態となっており、特に階調の設定を必要としない場合には、選択スイッチ90の切り換えを行うことなく、そのままの状態で書き込み(外部入力)を行うことができるようになっている。
【0063】
そして、このように必要に応じて階調設定を行った後、ペン等で書き込みを行うと、表示装置1は、書き込みによる押圧(加圧)がなされた画素50のうちの、選択されたサブ画素50a〜50cのみにおいて、例えば黒色の粒子が透明基板3側に、また白色粒子が素子基板2側にそれぞれ泳動することにより、黒色の表示がなされる。
すなわち、書き込みによる押圧がなされたサブ画素50a〜50cでは、外部入力スイッチ7を構成する空隙部16上の画素電極6がその押圧力を受け、空隙部16内に撓んで選択線80a〜80cに接触し、導通する。すると、制御部からの選択データ信号が該選択線80a〜80cを介して画素電極6に供給されることにより、このサブ画素50が黒色の表示をなすようになる。
【0064】
なお、このサブ画素50a〜50cがもともと黒色の表示をなすようになっている場合には、外部入力スイッチ7の動作によって表示は変わることなく、そのままに保持され、このサブ画素50a〜50cがもともと白色の表示をなすようになっている場合には、外部入力スイッチ7の動作によって表示が変わり、黒色の表示をなすようになる。
【0065】
したがって、多数の画素から表示面全体で考えた場合に、文字等を表示している部分の余白、すなわち白色を表示している部分に対し、ペン等によって下線等を書き込むことで、書き込んだ部分を白色表示から黒色表示に変化させることができる。よって、元々の表示に加えて、新たに直接書き込んだ部分を、併せて表示させることができるのである。なお、新たに書き込んだ部分についても、各画素50(各サブ画素50a〜50c)が表示の保持性を有していることから、書き込みが終了した後にも、その表示は消えることなくそのままに保持される。
【0066】
また、書き込みを行う際、外部入力スイッチ7をオンにしておく時間を変化させることで、この書き込み(直接入力)による表示に関して、その濃淡(階調)を表現することもできる。すなわち、書き込みを行う際に例えばゆっくりと線を引き、一つの一つの外部入力スイッチ7に対して長いオン動作をなさせることにより、これら外部入力スイッチ7に対応する画素電極6への電荷のチャージ量(蓄積量)を多くすることができる。このようにすることにより、比較的多くの黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ同程度の白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、比較的濃い(黒い)色の表示をなすことができる。
【0067】
また、速く線を引き、一つの一つの外部入力スイッチ7に対して短いオン動作をなさせた場合には、これら外部入力スイッチ7に対応する画素への電荷のチャージ量(蓄積量)を少なくすることができる。その場合、比較的少ない数の黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ同程度の白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、この画素については比較的淡い色(灰色)の表示をなすことができる。
【0068】
また、外部入力スイッチ7がオンされたときに、白色粒子が透明基板3に、黒色粒子が画素電極6側に、それぞれ泳動するように印加電圧を反転させるための部分消去ボタンを表示装置1に設けておくこともできる。この構成によれば、表示がなされた状態で、当該表示における所望の部分をペンによってなぞることで「消しゴム」のように消去することができる。なお、この場合、ペン先の太目のペンを用いると、部分消去の該当範囲を広くすることができる。
【0069】
また、所望の表示をなさせた状態でこの表示内容に対して加筆するのでなく、白紙の状態から直接入力で新たに書き込みたい場合には、例えば表示装置1に設けられたオールクリアーのボタンを押圧すると、通常の機能を用いて制御部から走査線51やデータ線52に電気信号を出力し、選択スイッチング素子5を介して各画素50の表示画面を全て白色表示にする。そして、その状態で前記したように書き込みを行うことにより、所望の表示をなさせるように構成しても良い。なお、前記のオールクリアーのボタンについても、外部入力スイッチ7と同様に、接点スイッチや感圧式のマイクロ電気機械スイッチによって形成してもよい。
【0070】
このような表示装置1にあっては、選択スイッチング素子5とは別に外部入力スイッチ7を設けているので、選択スイッチング素子5によって通常の表示がなされた表示画面上に、外部入力スイッチ7を介して直接入力(書き込み)を行うことにより、通常の表示に対して下線やメモ等の別の表示をなさせることができる。
また、各サブ画素50a〜50cに対応してそれぞれに選択線(第1選択線80aから第3選択線80c)を設け、これら選択線80に対応して第1選択スイッチ90a〜第3選択スイッチ90cを接続しているので、これら選択スイッチ90の切り換えにより、直接入力による表示に関し、階調(濃淡)を表現することができる。
【0071】
また、各画素50(各サブ画素50a〜50c)の座標位置を常に検出する必要がないためプロセッサが不要になり、さらに画素50が表示の保持性を有しているので、待機時においても電力を必要とすることなく表示を保持することができる。したがって、低消費電力化が可能になる。
また、外部入力スイッチ7が画素50のそれぞれに対応して設けられ、したがって個々に独立して機能するようになっているので、表示画面の大面積化に伴い素子数が増えても、前記したようにプロセッサが不要であることなどから従来のような困難性を有することなく、大面積化への対応が容易になる。
また、外部入力スイッチ7が感圧スイッチング素子からなっているため、直接入力する際の書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることができる。
【0072】
なお、前記実施形態では、外部入力によって黒色粒子を透明基板3に泳動させ、かつ白色粒子を画素電極6側に泳動させることにより、この画素について黒色を表示させ、下線等の実質的な表示をなさせるようにしたが、例えば選択スイッチ90a〜90cとは別に、電圧印加の極性を反転させるスイッチ(図示せず)を設けておき、予めこれを選択(オン)しておくことにより、すでに表示されている箇所を外部入力によって部分的に白色表示させ、これにより部分消去することも可能になる。
【0073】
次に、本発明の表示装置の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態の表示装置が前記第1実施形態の表示装置1と異なるところは、透明基板3に赤色のカラーフィルタ(図示せず)、緑色のカラーフィルタ(図示せず)、青色のカラーフィルタ(図示せず)が設けられ、これによってカラー表示がなされるよう構成されている点と、図7に示すように、四つのサブ画素50a〜50dによって一つの画素(図示せず)が構成されている点である。
【0074】
すなわち、この実施形態では、前記の各サブ画素50a〜50cに対応して、カラーフィルタが配設されている。また、サブ画素50dに対しては、カラーフィルタが設けられることなく、したがってこのサブ画素50dは、電気泳動粒子による白色あるいは黒色(またはその中間色)を表示するようになっている。
【0075】
また、選択スイッチ90a〜90dについては、図7に示したように、第1選択スイッチ90aによって赤色のカラーフィルタに対応するサブ画素50aの外部入力スイッチ7のみが選択され、第2選択スイッチ90bによって緑色のカラーフィルタに対応するサブ画素50bの外部入力スイッチ7のみが選択され、第3選択スイッチ90cによって青色のカラーフィルタに対応するサブ画素50cの外部入力スイッチ7のみが選択され、第4選択スイッチ90dによってサブ画素50dの外部入力スイッチ7のみが選択されるようになっている。
【0076】
このような構成によってサブ画素50a〜50dからなる画素は、電気泳動粒子として白色と黒色の二種類のものを用いた場合、例えば前記の電圧印加の極性を反転させるスイッチ(図示せず)のような反転機構を備えることなどにより、R(赤)、G(緑)、B(青)、RとGの中間色、GとBの中間色、BとRの中間色、電気泳動粒子の色である白色および黒色の、合計8種類の色の表示が可能となる。
【0077】
したがって、この表示装置にあっては、外部入力スイッチ7を介しての直接入力時、選択スイッチ90a〜90dを適宜に選択することにより、通常の表示に対する下線やメモ等の別の表示を、所望の色(カラー)で表示することができる。
また、通常の表示に関しても、もちろん前記の8種類の色を基調とする、各種のカラー表示が可能になる。
【0078】
次に、本発明の表示装置の第3実施形態を、図8〜図11を参照して説明する。なお、図8は表示装置の模式側断面図、図9は表示装置の等価回路図、図10は表示装置の画素領域を示す平面構成図、図11(a)は図10のA−A’矢視断面図、図11(b)は図10のB−B’矢視断面図である。
この第3実施形態の表示装置が前記第1実施形態の表示装置と異なるところは、主に、外部入力スイッチ7を構成する感圧スイッチング素子として、マイクロ電気機械スイッチに代えて、圧電素子による外部入力スイッチを採用した点である。
【0079】
本実施形態における表示装置は、図8に示すように、アクティブマトリックス基板である素子基板31と、素子基板31と対向配置された透明基板32と、素子基板31及び透明基板32に挟持された電気泳動層33とを備えている。ここで、表示装置30は、透明基板32の外面(電気泳動層33から離間する側)が表示面となっている。また、表示装置30は、透明基板32の外面の全面を被覆する保護フィルム34を備えている。
また、表示装置30は、電気泳動層33が形成された領域内に画像表示領域が設けられている。
【0080】
そして、表示装置30の画像表示領域には、図9に示すように、複数の画素(図示せず)がマトリックス状に配置され、これら画素は、前記実施形態と同様に、例えば隣り合う三つのサブ画素35からなっている。
複数のサブ画素35のそれぞれには、画素電極41と、画素電極41をスイッチング制御するためのTFTからなる選択スイッチング素子42と、圧電素子からなる外部入力スイッチ43とが設けられている。また、画像表示領域には、選択線80、複数のデータ線(信号線)45、走査線46、分極処理線47及び容量線48が格子状に配置されている。
【0081】
選択スイッチング素子42は、ソースがデータ線45に接続され、ゲートが走査線46に接続され、ドレインが画素電極41に接続されている。また、外部入力スイッチ43は、選択スイッチング素子42と同様の構成を有しており、ソースが選択線80に接続され、ゲートが分極処理線27に接続され、ドレインが画素電極41に接続されている。そして、保持容量44は、画素電極41と共通電極49との間に形成される容量成分と並列接続するように付与されており、画像信号及び直接入力による信号を保持する構成となっている。
【0082】
データ線45は、画像表示領域の外部に設けられた図示しない駆動回路(制御部)から供給される画像信号を各サブ画素35に供給する構成となっている。また、走査線46は、駆動回路から供給される走査信号を画素領域15に供給する構成となっている。また、選択線80は、前記実施形態と同様に、接続配線(図示せず)を介して該選択線80に接続された選択スイッチ(図示せず)のオン・オフ動作により、選択データ信号を選択的に供給する構成となっている。そして、容量線28は、各画素領域15に設けられた保持容量24を接続している。さらに、分極処理線27は、各画素領域15に設けられた外部入力スイッチ43のゲートを接続している。
【0083】
次に、表示装置30の詳細な構成について、図10及び図11(a)、(b)を参照しながら説明する。なお、図10及び図11は、サブ画素35の構成の一例を示すものであって、設計に応じて各部材の配置を適宜変更してもよい。ここで、図10では、透明基板32の図示を省略している。また、図2において、平面視でほぼ矩形状のサブ画素35の一辺に沿う方向をX軸方向、これと直交する他の一辺に沿う方向をY軸方向とする。
素子基板31は、基板本体61と、基板本体61の内側(電気泳動層33側)の表面に順次積層されたゲート絶縁膜62、層間絶縁膜63、圧電強誘電体膜(圧電体膜、強誘電体膜)64及び保護膜65とを備えている。また、素子基板31は、基板本体61の内側の表面に配置された半導体層71、72と、ゲート絶縁膜62の内側の表面に配置された走査線46と、層間絶縁膜63の内側の表面に配置されたデータ線45、接続電極73及び容量電極(一方の容量電極)74と、圧電強誘電体膜64の内側の表面に配置された分極処理線47及び容量線48と、保護膜65の内側の表面に配置された画素電極41とを備えている。
【0084】
基板本体61は、前記実施形態における基板2aと同様のものである。
ゲート絶縁膜62は、例えばSiO2(二酸化シリコン)などの絶縁材料で構成されており、基板本体61上に形成された半導体層71、72を覆うように設けられている。
層間絶縁膜63は、例えばSiO2(二酸化シリコン)やSiNx(窒化シリコン)などの絶縁材料で構成されており、ゲート絶縁膜62及びゲート絶縁膜62上に形成された走査線46を覆うように設けられている。
【0085】
圧電強誘電体膜64は、例えばフッ化ビニリデン(VDF)と三フッ化エチレン(TrFE)との共重合体(誘電率が例えば6〜13、圧電定数が例えば0.32〜0.38Vm/N)などの圧電効果を有する有機材料からなる強誘電体で構成されている。そして、圧電強誘電体膜64は、層間絶縁膜63上に形成されたデータ線45、選択線80、接続電極43及び容量電極44を覆うように設けられている。また、圧電強誘電体膜64は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH1を介して半導体層42の後述するチャネル領域72aを被覆している。
保護膜65は、例えばアクリルなどで構成されており、圧電強誘電体膜64上に形成された分極処理線47及び容量線48を覆うように設けられている。
【0086】
半導体層71は、図10及び図11(a)、(b)に示すように、平面視でゲート絶縁膜62を介して走査線46と重なる領域を含んで形成され、ポリシリコンなどの無機半導体で構成されている。そして、半導体層71には、平面視でゲート絶縁膜62を介して走査線46と重なる領域にチャネル領域71aが設けられている。さらに、半導体層71には、ポリシリコンに不純物イオンを打ち込むことによって形成されたソース領域71b及びドレイン領域71cが設けられている。この半導体層71を主体として、選択スイッチング素子42が構成される。
なお、選択スイッチング素子42としては、半導体層71のソース領域71b及びドレイン領域71cにそれぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と相対的に低い低濃度(LDD:Lightly Doped Drain)領域とを形成したLDD構造を採用してもよい。
【0087】
半導体層72は、半導体層71と同様に、平面視でゲート絶縁膜62を介して分極処理線47と重なる領域を含んで形成され、ポリシリコンなどの無機半導体で構成されている。そして、半導体層72には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して分極処理線47と重なる領域にチャネル領域72aが設けられている。さらに、半導体層72には、ポリシリコンに不純物イオンを打ち込むことによって形成されたソース領域(一方のドープ領域)72b及びドレイン領域(他方のドープ領域)72cが設けられている。この半導体層72及び圧電強誘電体膜64を主体として、外部入力スイッチ43が構成される。
なお、外部入力スイッチ43としては、選択スイッチング素子42と同様に、LDD構造を採用してもよい。
【0088】
走査線46は、平面視で矩形状の画素領域15の一辺方向(Y軸方向)に沿って配置されており、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料で構成されている。また、走査線46には、平面視でゲート絶縁膜62を介してチャネル領域71aと重なってゲート電極として機能する分岐部46aが設けられている。
【0089】
データ線45は、平面視で画素領域15の他の一辺方向(X軸方向)に沿って配置されており、例えばAl/Cu(銅)などの金属材料で構成されている。また、データ線45には、平面視でゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を介して半導体層71のソース領域71bと重なる分岐部45aが設けられている。この分岐部45aは、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH2を介して半導体層71のソース領域71bに接続されている。
【0090】
また、選択線80は、データ線45と同じ金属材料で構成されたもので、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH3を介して半導体層72のソース領域72bに接続されている。なお、この選択線80には、接続配線(図示せず)を介して選択スイッチ(図示せず)が接続されているのは、前記実施形態と同様である。
【0091】
接続電極73は、例えばAl/Cuなどの金属材料で構成されている。そして、接続電極73は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH4を介して半導体層71のドレイン領域71cに接続されると共に、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホールH5を介して半導体層72のドレイン領域72cに接続されている。
容量電極74は、接続電極73と一体的に形成されており、圧電強誘電体膜64を介して容量線48の後述する分岐部48aと重なっている。
【0092】
分極処理線47は、平面視でサブ画素35の一辺方向(Y軸方向)に沿って配置されており、例えばAgやNiなどの金属材料やポリアニリンなどの電子導電性高分子材料などにより構成されている。データ線25は有機圧電強誘電体膜と直に接触する配線であるため、前記配線を形成する材料の成膜方法は、前記強誘電体膜にプラズマ等の熱プロセスダメージを与えない方法、すなわち、めっき法やインクジェット成膜、スピンコート法などの液相成膜法が適当である。また、分極処理線47には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して半導体層72のチャネル領域72aと重なってゲート電極として機能する分岐部47aが設けられている。そして、分極処理線47は、電圧を印加することにより、各サブ画素35における外部入力スイッチ43を構成する圧電強誘電体膜64の分極処理を行う構成となっている。
容量線48は、平面視でサブ画素35のY軸方向に沿って配置されており、分極処理線47と同材料で構成されている。また、容量線48には、平面視で圧電強誘電体膜64を介して容量電極74と重なる分岐部(他方の容量電極)48aが設けられている。そして、これら容量電極74、圧電強誘電体膜64及び分岐部48aによって保持容量44が構成されている。
【0093】
画素電極41は、例えばCuなどの金属材料で構成されており、平面視でほぼ矩形状を有している。なお、画素電極41としては、AlやAu(金)、Ag、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)などの金属やこれらの合金のほか、ITO(インジウムスズ酸化物)などの導電性酸化物類や、ポリアニリンなどの電子導電性高分子類、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂などのマトリックス樹脂中にNaCl、LiClO4、KClなどのイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子類を用いてもよい。
また、画素電極41は、圧電強誘電体膜64及び保護膜65を貫通するコンタクトホールH6を介して接続電極73と接続されている。これにより、画素電極41と半導体層71のドレイン領域71c及び半導体層72のドレイン領域72cとが導通する。
【0094】
一方、透明基板32は、図10及び図11(a)、(b)に示すように、基板本体70と、基板本体70の電気泳動層33側の表面に積層された共通電極49とを備えたものである。
基板本体70は、前記実施形態における透明基板3aと同様のもので、必要に応じ、各サブ画素35に対応し、あるいは各画素に対応してカラーフィルタが設けられたものである。
電気泳動層33は、前記実施形態と同様に、多数のマイクロカプセル4が密に配置されてなる構成となっている。
【0095】
次に、以上のような構成の表示装置30の動作について説明する。
まず、通常の画像表示方法について説明する。画像表示領域の外部に設けられた駆動回路(制御部)により走査線46から走査信号を入力すると、選択スイッチング素子42が一定期間だけオン状態となる。そして、オン状態となった選択スイッチング素子42に画像信号が入力されることで、画素電極41に画像信号が書き込まれる。書き込まれた画像信号は、画素電極41と共通電極49との間で保持される。そのため、例えば画素電極41が正、共通電極49が負となるような画像信号を入力すると、画素電極41と共通電極49との間に配置された電気泳動層33を構成して正に帯電している黒色の電気泳動粒子52が共通電極49に移動する。これにより、画素領域15の黒表示が行われる。以上のようにして、通常の画像表示を行う。
【0096】
このとき、電気泳動層33が表示の保持性を有しているため、画素領域15の表示状態は保持される。したがって、一度所望の表示を行えば他の表示を行うまで電力を供給する必要がなく、再び信号が供給されるまで表示状態が保持される。また、画素電極41に入力された画像信号は、保持容量24で保持される。なお、画素電極41と共通電極49との間に逆の電圧、すなわち画素電極41が負、共通電極49が正となるような信号を入力することで、画像の表示状態がキャンセルされる。
【0097】
次に、通常の画像表示のほかに下線やメモなどの直接入力による他の画像表示方法について説明する。透明基板32側から例えばペンなどにより画素領域(サブ画素15)に圧力を加えると、圧電強誘電体膜64に圧電変換による電荷が発生する。これにより、外部入力スイッチ43が一定期間だけオン状態となる。そして、オン状態となった外部入力スイッチ43に選択線80から信号が入力されることで、画素電極41に信号が書き込まれる。これにより、圧力が加えられたサブ画素35の黒表示が行われる。以上のようにして、直接入力による他の画像表示を行う。
【0098】
なお、この実施形態においても、選択線80に接続する選択スイッチを適宜に選択・オンすることにより、外部入力による書き込みの階調を設定することができる。
【0099】
続いて、サブ画素35の画像の読み取り方法について説明する。容量線48からパルス信号である読出信号を保持容量44に向けて入力すると、入力した信号は、保持容量44及び選択スイッチング素子42を経てデータ線45から外部に出力される。このとき、読出信号の入力に合わせて走査線46から選択スイッチング素子42に走査信号を入力することで、読出信号を入力したサブ画素35に設けられた選択スイッチング素子42をオン状態とする。ここで、保持容量44で保持されている電荷量(分極の向き)に応じて、出力される読出信号の強度が変化する。以上のようにして、サブ画素35の表示状態を外部から読み出すことができる。
【0100】
このような構成の表示装置にあっては、特に外部入力スイッチ43を構成する圧電体膜と保持容量44を構成する強誘電体膜として圧電強誘電体膜64を用いることで、これらを同一工程で形成することができる。また、圧電強誘電体膜64を有機材料で構成することで、安価な液相法を適用できて製造コストの削減が図れると共に、無機材料で構成することと比較して低温プロセスを用いることができる。
【0101】
次に、本発明の電子ペーパーを説明する。
図12は、本発明の電子ペーパーの一態様を示す斜視図である。この電子ペーパー110は、前記表示装置からなる表示ユニット1と、本体部111と、操作部112などから構成されたものである。
電子ペーパー110は、内蔵する記憶部のデータなどを表示ユニット1に表示するとともに、当該データが表示された状態で、ペン113により所望の内容を加筆することが可能な、いわゆる「電子お絵かきボード」である。また、操作部112には、前述のオールクリアボタンや、部分消去ボタンが含まれている。
このような電子ペーパー110は、営業マンが少人数の商談において商品説明をする際に用いるのに好適であり、例えば、商品のカタログが表示されている状態で、商品のアッピールポイントを強調しながら説明することができる。
【0102】
図13は、本発明における異なる態様の電子ペーパー120を示す図である。電子ペーパー120は、前記表示装置1の基板2aを可撓性材料によって構成した表示ユニット131と、当該表示ユニットと同等の柔軟性を有する本体部121と、複数のメンブレンスイッチから構成された操作部122などから構成されている。なお、ポリオレフィン系樹脂フィルムなどの可撓性材料によって基板2aを構成するためには、例えば、本出願人による特開平10−125929号公報や、特開平10−125931号公報などに記載されている技術を好適に用いることができる。
【0103】
操作部122には、前述のオールクリアボタンや、部分消去ボタンなどが含まれており、当該ボタン部分をペン113や、指で押すことにより希望する機能を実現することができる。また、複数のボタンは、外部入力スイッチ7によって形成しても良い。この場合、表示ユニット131の外周部に前述したプロセスにより、必用な数量の外部入力スイッチ7を形成する。
電子ペーパー120の態様は、紙に近いものであり、例えば、1mm以下の厚さに構成することができる。このため、軽量で持ち易く、例えば、薄手のペーパフォルダによって持ち歩き、必要な場面で取り出して、その場で要点をマーキングしながら説明するなど、使い勝手に優れている。
【0104】
このような電子ペーパー110、120によれば、前述したように直接入力による書き込みが可能であり、また、低消費電力化、大面積化への対応が可能になり、さらに、書き込みペンとして、電源等を必要としない、単なる加圧が可能なペンを用いることが可能になる。
なお、本発明の表示装置の応用としては、前記電子ペーパー以外にも、例えば電子ノートや電子ブック、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの、表示部を備えた機器等を挙げることができる。
【0105】
また、本発明の表示装置は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前記実施形態では、マイクロカプセル4の保護等を目的として透明基板3の外面に保護フィルム19を貼着したが、本発明はこれに限定されることなく、透明基板3の強度が十分であれば、保護フィルム19の貼着を省略することもできる。
また、前記実施形態では電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセル4を用いたが、マイクロカプセル4を用いることなく、電気泳動分散液を直接基板間に挟持し、封止するようにしてもよい。
【0106】
また、前記実施形態では、表示装置の各画素を構成する表示素子が電気泳動素子である例を示したが、特に表示の保持性を有するものであれば、電気泳動素子以外の表示素子を用いた表示装置にも適用可能である。例えば、コレステリック液晶を用いた液晶素子からなる表示装置や、酸化還元反応を用いたエレクトロクロミック素子からなる表示装置、さらには、異なる二つの色を有する粒子を反転させることで表示を行う素子からなる表示装置などにも、本発明を適用することができる。
【0107】
また、選択スイッチ90(90a、90b、90c)としては、前記したように機械スイッチ部のみから形成するのに代えて、例えば、図14に示すように、画素領域における選択スイッチング素子5等と同様に作り込んでもよい。すなわち、接続配線85にTFT素子部87のソース側とドレイン側とを接続するとともに、これらソース側とドレイン側との間を機械スイッチ89で接続してもよい。このように構成することで、機械スイッチ89によって選択スイッチ90をオンオフ動作させるのとは別に、TFT素子部87によって電気的に選択スイッチ90をオンオフ動作させることもできるようになる。
【0108】
また、画素50を構成するサブ画素の数については、三つに限定されることなく、二つあるいは四つ以上のいずれにしてもよい。その場合、選択線、選択スイッチの数についても、もちろんサブ画素の数に対応して変更される。
さらに、選択スイッチング素子としてTFT素子を用いているが、画素電極をスイッチング制御する素子であれば、TFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)など他の素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態の、概略構成を示す要部断面図図である。
【図2】(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A’線要部断面図である。
【図3】図1、図2に示した表示装置の等価回路図である。
【図4】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図5】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図6】(a)〜(c)は図1に示した表示装置の製造工程説明図である。
【図7】本発明の表示装置の第2実施形態の、等価回路図である。
【図8】本発明の表示装置の第3実施形態の、模式断面図である。
【図9】図10に示した表示装置の等価回路図である。
【図10】画素領域を示す要部平面図である。
【図11】(a)は図10のA−A’矢視断面図、(b)は図10のB−B’矢視断面図である。
【図12】本発明の電子ペーパーの概略構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の異なる態様の電子ペーパーの概略構成を示す斜視図である。
【図14】選択スイッチの別の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0110】
1…表示装置、2、31…素子基板、3、32…透明基板、4…マイクロカプセル、5、42…選択スイッチング素子、6、41…画素電極、7、43…外部入力スイッチ、16…空隙部、17、49…共通電極、19、34…保護フィルム、35…サブ画素、50…画素、50a、50b、50c、50d…サブ画素、46、51…走査線、45、52…データ線、48、53…容量線、80…選択線、80a…第1選択線、80b…第2選択線、80c…第3選択線、90…選択スイッチ、90a…第1選択スイッチ、90b…第2選択スイッチ、90c…第3選択スイッチ、90d…第4選択スイッチ、110、120…電子ペーパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示の保持性を有する複数の画素を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、第1サブ画素から第nサブ画素(ただし、nは2以上の自然数)までの複数のサブ画素によって構成され、
前記サブ画素にはそれぞれ、データ線に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子と、選択線に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチと、が設けられ、
前記選択線は、前記第1サブ画素に接続する第1選択線から第nサブ画素に接続する第n選択線までのn種の選択線を備えて構成され、
前記n種の選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチが接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記複数のサブ画素は、それぞれ異なるカラー表示をなすよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記外部入力スイッチは、感圧スイッチング素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記感圧スイッチング素子は、マイクロ電気機械スイッチであることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記選択スイッチは、感圧スイッチング素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は、電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセルを一対の基板間に挟持して構成されたもので、前記一対の基板のうちの表示側の基板の外面に、保護フィルムが貼着されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示装置からなることを特徴とする電子ペーパー。
【請求項1】
表示の保持性を有する複数の画素を備えたアクティブマトリクス駆動の表示装置であって、
前記複数の画素はそれぞれ、第1サブ画素から第nサブ画素(ただし、nは2以上の自然数)までの複数のサブ画素によって構成され、
前記サブ画素にはそれぞれ、データ線に接続し、対応するサブ画素を選択するための選択スイッチング素子と、選択線に接続し、外部からの入力動作に感応して選択線からの信号を対応するサブ画素に供給するための外部入力スイッチと、が設けられ、
前記選択線は、前記第1サブ画素に接続する第1選択線から第nサブ画素に接続する第n選択線までのn種の選択線を備えて構成され、
前記n種の選択線には、これらを個々に選択しまたはその複数を選択する選択スイッチが接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記複数のサブ画素は、それぞれ異なるカラー表示をなすよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記外部入力スイッチは、感圧スイッチング素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記感圧スイッチング素子は、マイクロ電気機械スイッチであることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記選択スイッチは、感圧スイッチング素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は、電気泳動分散液を封入してなるマイクロカプセルを一対の基板間に挟持して構成されたもので、前記一対の基板のうちの表示側の基板の外面に、保護フィルムが貼着されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示装置からなることを特徴とする電子ペーパー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−191324(P2008−191324A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24407(P2007−24407)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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