説明

表示装置

【課題】表示装置の省電力化を図りながら、各光源の環境温度を最適化することを可能とする表示装置を提供する。
【解決手段】複数のLED10を有する投写型表示装置100が、LED10毎に設けられており、LED10の環境温度を調節する複数の冷却装置20と、LED10の状態をLED10毎に検出する照度センサ30と、照度センサ30によって検出されたLED10の状態とLED10毎に定められた目標状態とを比較して、LED10の状態と目標状態とを比較した結果に基づいて、複数の冷却装置20をそれぞれ制御する制御部92とを備え、制御部92が、複数の冷却装置20の消費電力の合計を調節部最大消費電力以下に保ちながら冷却装置20を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光源(例えば、赤色、緑色及び青色の光源)を有する表示装置が一般的に広く知られている。なお、表示装置とは、LCDディスプレイ、リアプロジェクションテレビ、プロジェクタなどである。
【0003】
また、光源の環境温度が高くなると、光源の照度や寿命が劣化するため、このような表示装置には、光源を冷却する冷却装置が設けられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
表示装置に設けられる冷却装置としては、各光源に対する冷却能力が一律に同じである冷却装置が挙げられる。このような冷却装置によれば、冷却能力の制御を一元化することができるため、冷却能力の制御が容易である。一方で、各光源の照度や寿命に対して環境温度が与える影響は光源の種類(色など)によって異なるため、各光源の環境温度を個別に最適化することが好ましい。
【0005】
また、各光源の照度や寿命などを光源毎に考慮して、各光源に対する冷却能力が個別に制御される冷却装置も提案されている。このような冷却装置によれば、各光源に対する冷却能力が個別に制御されるため、各光源の環境温度を個別に最適化することができる。
【特許文献1】特開2005−149943号公報(請求項1、図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、地球温暖化などの問題に対応するために、装置の省電力化が叫ばれている。これに伴って、上述した表示装置でも省電力化を図りたいという要望が高まっている。
【0007】
ここで、各光源に対する冷却能力が個別に制御される冷却装置では、冷却装置の全体に係る冷却能力は、光源毎に個別に制御される冷却能力の合計である。従って、冷却装置を有する表示装置の設置場所が高温となれば、各光源に対応する冷却能力がそれぞれ強化されるため、冷却装置の全体に係る冷却能力も強化される。すなわち、冷却装置を有する表示装置の設置場所が高温となった場合には、冷却装置の全体に係る消費電力が増加する。
【0008】
このように、各光源に対する冷却能力を個別に最適化しようとすると、表示装置(冷却装置)の全体に係る消費電力が増加してしまう場合があった。すなわち、各光源の環境温度の最適化のみを考慮すると、表示装置の省電力化を図ることができない場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、表示装置の省電力化を図りながら、各光源の環境温度を最適化することを可能とする表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の特徴は、複数の光源(LED10)を有する表示装置(投写型表示装置100)が、前記光源毎に設けられており、前記光源の環境温度を調節する複数の温度調節部(冷却装置20)と、前記光源の状態を前記光源毎に検出する状態検出部(照度センサ30)と、前記状態検出部によって検出された前記光源の状態と前記光源毎に定められた目標状態とを比較して、前記光源の状態と前記目標状態とを比較した結果に基づいて、前記複数の温度調節部をそれぞれ制御する制御部(制御部92)とを備え、前記制御部が、前記複数の温度調節部の消費電力の合計を調節部最大消費電力以下に保ちながら、前記温度調節部を制御することを要旨とする。
【0011】
かかる特徴によれば、制御部が、複数の温度調節部の消費電力の合計を調節部最大消費電力以下に保ちながら温度調節部を制御することによって、表示装置の設置場所が高温となった場合などに、表示装置の消費電力が無制限に増加することを抑制することができる。また、制御部が複数の温度調節部を個別に制御することによって、光源の環境温度を個別に最適化することができる。
【0012】
本発明の一の特徴は、本発明の上述した特徴において、前記制御部が、前記複数の光源の照度の比率(ホワイトバランス)を一定比率に保ちながら、前記温度調節部を制御することを要旨とする。
【0013】
本発明の一の特徴は、本発明の上述した特徴において、前記制御部が、前記光源の状態が前記目標状態に達さずに、前記複数の温度調節部の消費電力の合計が前記調節部最大消費電力を超えた場合に、前記複数の光源の照度の比率(ホワイトバランス)を一定比率に保ちながら、前記温度調節部を制御することを要旨とする。
【0014】
本発明の一の特徴は、本発明の上述した特徴において、前記制御部が、前記温度調節部に加えて、前記複数の光源をそれぞれ制御しており、前記複数の温度調節部の消費電力及び前記複数の光源の消費電力の合計を最大消費電力以下に保ちながら、前記温度調節部及び前記光源を制御することを要旨とする。
【0015】
本発明の一の特徴は、本発明の上述した特徴において、前記温度調節部が、前記光源の環境温度を液体の流量によって調節しており、前記制御部が、前記液体の流量を制御することを要旨とする。
【0016】
本発明の一の特徴は、本発明の上述した特徴において、前記光源の状態が、前記光源の照度又は前記光源の環境温度であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示装置の省電力化を図りながら、各光源の環境温度を最適化することを可能とする表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[第1実施形態]
(投写型表示装置の構成)
以下において、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100を示す図である。図1に示すように、投写型表示装置100は、投写レンズ80を有しており、投写レンズ80によって拡大された像をスクリーン200上に投写する。
【0021】
図2に示すように、投写型表示装置100は、複数のLED10と、複数の冷却装置20と、複数の照度センサ30と、複数のテーパロッド40と、複数の導光部材50と、複数の液晶パネル60と、ダイクロイックプリズム70と、投写レンズ80とを有する。
【0022】
LED10は、各色の光を発する光源(LED10r、LED10g及びLED10b)である。なお、LED10の照度(輝度)は、LED10の環境温度に依存する。
【0023】
冷却装置20は、LED10毎に設けられており、各LED10の環境温度を個別に調節する冷却装置(冷却装置20r、冷却装置20g及び冷却装置20b)である。具体的には、冷却装置20は、液冷や空冷などの方法で各LED10の環境温度を下げる装置であり、制御部(図2では、不図示)によって個別に制御される。また、各冷却装置20の冷却能力を上げようとすると、冷却装置20が消費する消費電力が大きくなる。
【0024】
例えば、液冷に係る冷却装置20で冷却能力を上げるためには、液体の流量を増やす必要がある。また、液体の流量を増やすためにポンプの駆動力を上げる必要があるため、冷却装置20の消費電力が大きくなる。一方、空冷に係る冷却装置20で冷却能力を上げるためには、空気の流量を増やす必要がある。また、空気の流量を増やすためにファンの駆動力を上げる必要があるため、冷却装置20の消費電力が大きくなる。
【0025】
なお、冷却装置20は、液冷や空冷に係る装置だけではなくて、ベルチェ素子などであってもよい。
【0026】
照度センサ30は、LED10が発する光の照度(輝度)をLED10毎に検出するセンサ(照度センサ30r、照度センサ30g及び照度センサ30b)である。なお、照度センサ30が配置される位置は、LED10が発する光の照度が検出可能であれば、どこに配置されてもよいことは勿論である。
【0027】
テーパロッド40は、各LED10が発する光を導光部材50側に導くロッド(テーパロッド40r、テーパロッド40g及びテーパロッド40b)であり、テーパ形状を有している。
【0028】
導光部材50は、各LED10が発する光を液晶パネル60側に導く部材(導光部材50r、導光部材50g及び導光部材50b)であり、角柱状の形状を有している。
【0029】
液晶パネル60は、各LED10が発する光を変調する光変調素子(液晶パネル60r、液晶パネル60g及び液晶パネル60b)である。
【0030】
ダイクロイックプリズム70は、各液晶パネル60から出射された光を合成して、合成された光を投写レンズ80側に出射する。
【0031】
投写レンズ80は、ダイクロイックプリズム70から出射された光を拡大して、スクリーン200上に映像を投写する。
【0032】
(投写型表示装置の機能ブロック)
以下において、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置の機能ブロックについて、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100の機能ブロックを示す図である。なお、図3では、本発明について明確に説明するために、投写型表示装置100の構成の一部が省略されている点に留意すべきである。
【0033】
図3に示すように、投写型表示装置100は、上述した構成に加えて、記憶部91と、制御部92とを有する。
【0034】
記憶部91は、LED10毎に定められた各LED10の照度の目標照度を記憶している。ここで、目標照度は、LED10毎に定められた照度の絶対値である。また、記憶部91は、各LED10の照度の比率に係る目標比率(ホワイトバランス)を記憶する。なお、ホワイトバランスは、LED10毎に定められた目標照度の比率によって算出されてもよい。
【0035】
さらに、記憶部91は、各冷却装置20の消費電力の合計に対して許容可能な最大消費電力を記憶している。なお、記憶部91は、最大消費電力に代えて、各冷却装置20の冷却能力の合計に対して許容可能な最大冷却能力を記憶していてもよい。
【0036】
制御部92は、各冷却装置20(冷却装置20r、冷却装置20g、冷却装置20b)、各照度センサ30(照度センサ30r、照度センサ30g及び照度センサ30b)及び記憶部91に接続されている。また、制御部92は、各冷却装置20に供給される電流を制御することによって、各冷却装置20の冷却能力を制御する。
【0037】
具体的には、制御部92は、各照度センサ30から取得する検出照度と記憶部91に記憶された目標照度とを比較して、検出照度が目標照度に達していないLED10に対応する冷却装置20の冷却能力を強化する。
【0038】
また、制御部92は、各冷却装置20の消費電力の合計を記憶部91に記憶された最大消費電力以下に保ちながら、各冷却装置20に供給する電流(冷却能力)を制御する。
【0039】
例えば、制御部92は、LED10の照度を目標照度に近づけるために、各冷却装置20の冷却能力を強化しようとすると、各冷却装置20の消費電力の合計が最大消費電力を超えてしまう場合には、記憶部91に記憶されたホワイトバランスを保ちながら、冷却装置20に供給する電流(冷却能力)を最適化する。すなわち、制御部92は、LED10の照度が目標照度となるまで冷却装置20の冷却能力を強化せずに、最大消費電力を超えない範囲内でホワイトバランスを保ちながら冷却装置20を最適に制御する。
【0040】
(照度制御の一例)
以下において、本発明の第1実施形態に係る照度制御の一例について、図面を参照しながら説明する。図4及び図5は、本発明の第1実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である。
【0041】
最初に、LED10の環境温度に応じて、LED10の照度が変化する例について、図4を参照しながら説明する。なお、図4において、縦軸はLED10の照度であり、横軸はLED10に供給される電流である。
【0042】
図4に示すように、電流―照度特性は、LED10の環境温度が低くなること(冷却能力を強化すること)によって向上し、LED10の環境温度が高くなること(冷却能力を緩和すること)によって低下する。例えば、LED10に供給される電流がIであり、目標照度がLである場合を例に挙げると、検出照度がLである場合には、冷却能力を強化することによってLED10の照度を目標照度(L)とすることができる。一方、検出照度がLである場合には、冷却能力を緩和することによってLED10の照度を目標照度(L)とすることができる。
【0043】
次に、検出照度と目標照度とを比較して、冷却装置20の冷却能力を制御する例について、図5を参照しながら説明する。なお、図5(a)は、記憶部91に記憶された目標照度の一例を示しており、図5(b)は、照度センサ30によって検出された検出照度の一例を示している。
【0044】
このような場合には、制御部92は、検出照度と目標照度との差分比率に応じて、各冷却装置20の冷却能力を以下のように割り当てる。具体的には、LED10rの差分比率(Rw)は、Rw=(30−20)/30≒0.33である。同様に、LED10gの差分比率(Gw)は、Gw=(60−50)/60≒0.17であり、LED10bの差分比率(Bw)は、Bw=(10−10)/10=0である。
【0045】
続いて、冷却装置20rに割り当てられる冷却能力の割合(R)は、R=Rw/(Rw+Gw+Bw)=0.33(0.33+0.17+0)=0.66となる。同様に、冷却装置20gに割り当てられる冷却能力の割合(G)は、G=Gw/(Rw+Gw+Bw)=0.17(0.33+0.17+0)=0.34となり、冷却装置20bに割り当てられる冷却能力の割合(B)は、B=Bw/(Rw+Gw+Bw)=0(0.33+0.17+0)=0となる。
【0046】
なお、制御部92は、算出された割合(割合(R)、割合(G)及び割合(B))に応じて、複数の冷却装置20の全体に許容される最大冷却能力を各冷却装置20に割り当てる。
【0047】
このように、制御部92が、検出照度と目標照度との差分比率に応じて各冷却装置20に冷却能力を割り当てることによって、各冷却装置20の冷却能力(消費電力)の合計が最大冷却能力(最大消費電力)を超えずに、ホワイトバランスを維持することができる。
【0048】
(投写型表示装置の動作)
以下において、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100の動作を示すフロー図である。
【0049】
図6に示すように、ステップ10において、投写型表示装置100は、LED10毎にLED10の照度を検出する。
【0050】
ステップ20において、投写型表示装置100は、ステップ10で検出された検出照度と記憶部91に記憶された目標照度と比較する。
【0051】
ステップ30において、投写型表示装置100は、検出照度が目標照度と一致するか否かをLED10毎に判定する。また、投写型表示装置100は、全てのLED10について検出照度が目標照度と一致する場合には、一連の処理を終了する。一方、投写型表示装置100は、検出照度が目標照度と一致しないLED10がある場合には、ステップ40の処理に移る。
【0052】
ステップ40において、投写型表示装置100は、各LED10の照度を目標照度と一致させるために必要な各冷却装置20の消費電力を見積もる。
【0053】
ステップ50において、投写型表示装置100は、ステップ40で見積もられた消費電力の合計(消費電力見積)が最大消費電力を超えるか否かを判定する。また、投写型表示装置100は、消費電力見積が最大消費電力を超える場合には、ステップ70の処理に移り、消費電力見積が最大消費電力以下である場合には、ステップ60の処理に移る。
【0054】
ステップ60において、投写型表示装置100は、各LED10の照度を目標照度と一致させるために、各冷却装置20に供給すべき電流を個別に決定する。具体的には、投写型表示装置100は、検出照度と目標照度との差分に応じて、低下させる必要がある温度を算出し、算出した温度だけLED10の環境温度を低下させるために必要な電流を決定する。
【0055】
ステップ70において、投写型表示装置100は、ホワイトバランスを維持しながら、各冷却装置20に供給すべき電流(各冷却装置20に割り当てるべき冷却能力)を決定する。具体的には、投写型表示装置100は、検出照度と目標照度との差分比率に応じて、冷却装置20に供給すべき電流(冷却装置20に割り当てるべき冷却能力)を決定する。
【0056】
ステップ80において、投写型表示装置100は、ステップ60又はステップ70で決定された電流(冷却能力)に従って冷却装置20を個別に制御する。
【0057】
なお、投写型表示装置100は、ステップ80の処理が終了すると、再びステップ10の処理に戻って、ステップ10〜ステップ80をループ処理することによって、LED10の環境温度を最適化する。
【0058】
(作用及び効果)
本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100によれば、制御部92が、複数の冷却装置20の消費電力の合計を最大消費電力以下に保ちながら冷却装置20を制御することによって、投写型表示装置100の設置場所が高温となった場合などに、投写型表示装置100の消費電力が無制限に増加することを抑制することができる。また、制御部92が複数の冷却装置20を個別に制御することによって、LED10の環境温度を個別に最適化することができる。
【0059】
また、本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100によれば、制御部92は、LED10の照度を目標照度と一致させようとすると、各冷却装置20の消費電力の合計が最大消費電力を超えてしまう場合に、LED10の照度が目標照度と一致するまで冷却装置20の冷却能力を強化せずに、ホワイトバランスを保ちながら冷却装置20を制御する。従って、投写型表示装置100の消費電力が無制限に増加することなく、LED10の照度を最適化することができる。
【0060】
[第2実施形態]
以下において、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0061】
具体的には、上述した第1実施形態では、投写型表示装置100は、冷却装置20に供給される電流(冷却能力)のみについて制御する。これに対して、第2実施形態では、投写型表示装置100は、冷却装置20に供給される電流(冷却能力)に加えて、LED10に供給される電流を制御する。
【0062】
(投写型表示装置の機能ブロック)
以下において、本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置の機能ブロックについて、図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置100の機能ブロックを示す図である。なお、図7では、上述した図3と同一の構成については同一の符号を付している。また、図7では、上述した図3と同様に、投写型表示装置100の構成の一部が省略されている点に留意すべきである。
【0063】
図7に示すように、投写型表示装置100は、LED10と、冷却装置20と、照度センサ30と、記憶部91と、制御部92とを有する。
【0064】
記憶部91は、各冷却装置20の消費電力及び各LED10の消費電力の合計に対する最大消費電力(冷却装置+光源)を記憶している。また、記憶部91は、LED10に供給することが許容される電流の最大定格をLED10毎に記憶している。
【0065】
制御部92は、冷却装置20、照度センサ30及び記憶部91に加えて、LED10にも接続されており、各冷却装置20に供給する電流(冷却能力)に加えて、各LED10に供給する電流を制御する。また、制御部92は、各冷却装置20の消費電力及び各LED10の消費電力の合計を記憶部91に記憶された最大消費電力(冷却装置+光源)以下に保つとともに、各LED10に供給される電流を記憶部91に記憶された最大定格以下に保ちながら、各冷却装置20に供給する電流及び各LED10に供給する電流を制御する。
【0066】
具体的には、制御部92は、冷却装置20に供給する電流を増やすことによってLED10の照度が向上する割合(以下、冷却装置電流制御効率)と、LED10に供給する電流を増やすことによってLED10の照度が向上する割合(以下、光源電流制御効率)とを比較する。
【0067】
また、制御部92は、光源電流制御効率が冷却装置電流制御効率よりも高い場合には、各LED10に供給する電流を各冷却装置20に供給する電流よりも優先して制御する。一方、制御部92は、光源電流制御効率が冷却装置電流制御効率以下である場合には、各冷却装置20に供給する電流を各LED10に供給する電流よりも優先して制御する。
【0068】
(照度制御の一例)
以下において、本発明の第2実施形態に係る照度制御の一例について、図面を参照しながら説明する。図8及び図9は、本発明の第2実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である。
【0069】
最初に、冷却装置電流制御効率について図8(a)及び図8(b)を参照しながら説明する。なお、図8(a)において、縦軸はLED10の照度であり、横軸はLED10の環境温度である。また、図8(b)において、縦軸はLED10の環境温度あり、横軸は冷却装置20に供給される電流であり、Tは投写型表示装置100の外気温である。
【0070】
図8(a)に示すように、LED10の照度は、LED10の環境温度が上がるに従って低下する。例えば、LED10の環境温度がTである場合には、LED10の照度はLであり、LED10の環境温度がTである場合には、LED10の照度はLである。
【0071】
なお、目標照度がLである場合を例に挙げると、LED10の照度がLである場合には、LED10の環境温度を上げることによってLED10の照度を下げることが可能である。一方、LED10の照度がLである場合には、LED10の環境温度を下げることによってLED10の照度を上げることが可能である。
【0072】
一方、図8(b)に示すように、冷却装置20に供給される電流(冷却装置20の消費電力)を増やすことによってLED10の環境温度が低下する割合(以下、環境温度低下割合)は、LED10の環境温度が外気温(T)に近づくに従って小さくなる。例えば、環境温度がTである場合には環境温度低下割合が高いが、環境温度がTである場合には環境温度低下割合が非常に低い。
【0073】
図8(a)及び図8(b)に示したように、LED10の環境温度が外気温(T)に近づくに従って環境温度低下割合が小さくなるため、冷却装置20に供給される電流(冷却装置20の消費電力)を増やしても、LED10の照度を上げることが難しくなる。すなわち、冷却装置電流制御効率は、LED10の環境温度が外気温(T)に近づくに従って小さくなる。
【0074】
次に、光源電流制御効率について図9を参照しながら説明する。なお、図9において、縦軸はLED10の照度であり、横軸はLED10に供給される電流である。
【0075】
図9に示すように、LED10の照度は、LED10に供給される電流(LED10の消費電力)が増えるに従って上昇する。例えば、LED10の照度が目標照度(L)である場合を例に挙げると、LED10に供給される電流はIであるが、LED10に供給される電流を最大定格(IMAX)まで上げると、LED10の照度はLMAXまで上昇する
このように、LED10の消費電力が最大定格(IMAX)を超えない範囲内であれば、LED10の照度を上げることが可能である。
【0076】
図8及び図9を参照しながら説明したように、冷却装置電流制御効率は、外気温(T)とLED10の環境温度との温度差によって制約を受け、光源電流制御効率は、各LED10の最大定格によって制約を受ける。
【0077】
(投写型表示装置の動作)
以下において、本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置100の動作を示すフロー図である。なお、図10において、ステップ10〜ステップ70の処理は、上述した図6と同様であるため、その説明については省略する。
【0078】
図10に示すように、ステップ110において、投写型表示装置100は、光源電流制御効率が冷却装置電流制御効率よりも高いか否かを判定する。また、投写型表示装置100は、光源電流制御効率が冷却装置電流制御効率よりも高い場合には、ステップ120の処理に移り、光源電流制御効率が冷却装置電流制御効率以下である場合には、ステップ40の処理に移る。
【0079】
なお、ステップ110は、ステップ30で検出照度が目標照度と一致しないLED10があると判定された場合に行われる処理である。
【0080】
ステップ120において、投写型表示装置100は、LED10の照度を目標照度と一致させるために、LED10に供給すべき電流を見積もる。具体的には、投写型表示装置100は、照度センサ30によって検出された検出照度と記憶部91に記憶された目標照度との差分に基づいて、LED10に供給すべき電流を見積もる。
【0081】
ステップ130において、投写型表示装置100は、ステップ120で見積もられた電流(供給電流見積)が最大定格を超えるか否かをLED10毎に判定する。また、投写型表示装置100は、供給電流見積が最大定格を超えるLED10がある場合には、ステップ40の処理に移り、供給電流見積が最大定格を超えるLED10がない場合には、ステップ140の処理に移る。
【0082】
ステップ140において、投写型表示装置100は、各LED10の照度を目標照度と一致させるために、各LED10に供給すべき電流を個別に決定する。具体的には、投写型表示装置100は、検出温度と目標温度との差分に応じて、LED10に供給すべき電流を決定する。
【0083】
ステップ80aにおいて、投写型表示装置100は、ステップ60、ステップ70又はステップ130で決定された供給電流に従って、LED10又は冷却装置20を個別に制御する。
【0084】
なお、投写型表示装置100は、ステップ80の処理が終了すると、再びステップ10の処理に戻って、ステップ10〜ステップ80をループ処理することによって、LED10の環境温度を最適化する。
【0085】
このように、投写型表示装置100がステップ10〜ステップ80をループ処理することによって、LED10に供給する電流を増やすことに起因してLED10の環境温度が増加しても、LED10の環境温度が最適化される。
【0086】
(作用及び効果)
本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置100によれば、制御部92は、各冷却装置20に供給される電流だけではなく、LED10に供給される電流を制御する。また、制御部92は、複数のLED10及び複数の冷却装置20の消費電力の合計が最大消費電力(光源+冷却装置)を超えない範囲内で、LED10及び冷却装置20を制御する。従って、LED10の環境温度が外気温(T)に近づいて冷却装置電流制御効率が低下する場合であっても、LED10の照度を効率的に高めることができる。その結果、投写型表示装置100の消費電力の増加を抑制することができる。
【0087】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、表示装置が投写型表示装置100であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。具体的には、表示装置は、複数の光源を有する表示装置であればよく、LCDディスプレイ、プロジェクタ、リアプロジェクションテレビなどであってもよい。
【0089】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、光源の状態を検出する状態検出部が照度センサ30であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。具体的には、状態検出部は、光源の環境温度を検出する温度センサであってもよい。
【0090】
なお、状態検出部が温度センサである場合には、制御部92は、光源の照度ではなくて、光源の環境温度を用いて、冷却装置20やLED10に供給される電流を制御する。
【0091】
さらに、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、光源がLED10であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。具体的には、光源が温度依存性を有していれば、本発明を適用可能であり、光源は、レーザダイオードなどであってもよい。
【0092】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、温度調節部がLED10の環境温度を下げる冷却装置20であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、温度調節部は、LED10の環境温度を下げるとともに、LED10の環境温度を上げることも可能な装置であってもよい。
【0093】
さらに、上述した第1実施形態及び第2実施形態では特に触れていないが、制御部92は、LED10の経時劣化を考慮して、冷却装置20やLED10に供給される電流を制御してもよい。
【0094】
また、上述した第2実施形態では、制御部92は、LED10に供給される電流の見積(供給電流見積)が最大定格を超える場合には、LED10に供給される電流を制御せずに、冷却装置20に供給される電流を制御するが、これに限定されるものではない。具体的には、制御部92は、供給電流見積が最大定格を超える場合であっても、最大定格内でLED10に供給される電流を制御するとともに、冷却装置20に供給される電流を制御することによって、各LED10の照度の向上を図ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100を示す図である(その1)。
【図2】本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100を示す図である(その2)。
【図3】本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100の機能ブロックを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である(その1)。
【図5】本発明の第1実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である(その2)。
【図6】本発明の第1実施形態に係る投写型表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置100の機能ブロックを示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である(その1)。
【図9】本発明の第2実施形態に係る照度制御の一例について説明するための図である(その2)。
【図10】本発明の第2実施形態に係る投写型表示装置100の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0096】
LED10、冷却装置20、照度センサ30、テーパロッド40、導光部材50、液晶パネル60、ダイクロイックプリズム70、投写レンズ80、記憶部91、制御部92、投写型表示装置100、スクリーン200

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する表示装置であって、
前記光源毎に設けられており、前記光源の環境温度を調節する複数の温度調節部と、
前記光源の状態を前記光源毎に検出する状態検出部と、
前記状態検出部によって検出された前記光源の状態と前記光源毎に定められた目標状態とを比較して、前記光源の状態と前記目標状態とを比較した結果に基づいて、前記複数の温度調節部をそれぞれ制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の温度調節部の消費電力の合計を調節部最大消費電力以下に保ちながら、前記温度調節部を制御することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の光源の照度の比率を一定比率に保ちながら、前記温度調節部を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光源の状態が前記目標状態に達さずに、前記複数の温度調節部の消費電力の合計が前記調節部最大消費電力を超えた場合に、前記複数の光源の照度の比率を一定比率に保ちながら、前記温度調節部を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記温度調節部に加えて、前記複数の光源をそれぞれ制御しており、
前記複数の温度調節部の消費電力及び前記複数の光源の消費電力の合計を最大消費電力以下に保ちながら、前記温度調節部及び前記光源を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記温度調節部は、前記光源の環境温度を液体の流量によって調節しており、
前記制御部は、前記液体の流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源の状態は、前記光源の照度又は前記光源の環境温度であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−322718(P2007−322718A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152475(P2006−152475)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】