表示装置
【課題】光反射面の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、ケース10と、ケース10内に一体に設けられた光反射面11と、光反射面11上の取付位置12に重ねられて固定される導光部材20と、ケース10と一体に設けられ、導光部材20を取付位置12に固定する固定爪13と、を有する。そして、固定爪13が、取付位置12の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部13aと、アーム部13aの先端に取付位置12に向けて突出して形成され且つ導光部材20の端部20aを係止する係止突起部13bと、を有している。
【解決手段】表示装置1は、ケース10と、ケース10内に一体に設けられた光反射面11と、光反射面11上の取付位置12に重ねられて固定される導光部材20と、ケース10と一体に設けられ、導光部材20を取付位置12に固定する固定爪13と、を有する。そして、固定爪13が、取付位置12の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部13aと、アーム部13aの先端に取付位置12に向けて突出して形成され且つ導光部材20の端部20aを係止する係止突起部13bと、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、光源の光を導く導光部材を有する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した従来の表示装置として、自動車に搭載された速度メータやタコメータ等として用いられる表示装置が一般的に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に速度メータとして示されている表示装置700は、図8に示すようにカップ形のケーシング711と、このケーシング711に収容される透明な導光部材712と、この導光部材712の上に重ねられる光拡散板713と、さらにこの光拡散板713の上に載置される目盛り板714と、これらケーシング711、導光部材712、光拡散板713、目盛り板714を貫通し、基端側がケーシング711に対して回転自在に支持された回転軸715と、この回転軸715の先端に一体的に固定された指針716と、この指針716及び目盛り板714の上からケーシング711に重ねられる透明なカバー717と、で主要部が構成されている。
【0004】
さらに、導光部材712は、光源からの光を導入するための環状の光入射端面部が一端側に形成された筒部726と、この筒部726の他端に一端側が続く漏斗状拡径部727と、筒部726の軸線に対して公差する平面に沿って延在する光を出射するために光出射面部728を表面側に有し且つ漏斗状拡径部727の他端側に続く平板部729とを備え、透明なアクリル樹脂などによって成形加工されている。また、平板部729の裏面には、それぞれ光の進行方向を変換するための複数の光偏向要素が形成されている。
【0005】
この表示装置700によれば、上述した導光部材712を備えているので、環状の光入射端面部から筒部726に入射した光を漏斗状拡径部727から平板部729に導き、その光出射面部728から出射させることができ、そのため、出射された光が光拡散板713で拡散されて目盛り板714を均一に照らすことができた。
【0006】
しかしながら、上述した表示装置700は、それを構成する部品点数が多いので、その分、組立工数も多く必要となり、製造コストを下げることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明者らは、表示装置の構成に着目して鋭意検討を行った結果、以下の表示装置を思いつくに至った。
【0008】
表示装置800は、図9に示すように、略円筒状に形成されたケース810と、ケース810内に一体に設けられ、中央部分が窪んだ円錐面状に形成された光反射面811と、光反射面811の中央部分に長円筒状に突出して設けられた導光部材取付部812と、光反射面811上の導光部材取付部812の外側近傍にケース810と一体に設けられた固定爪813と、固定爪813に端部820aを係止されることにより導光部材取付部812に重ねられて固定されている導光部材820と、光反射面811と相対するようにケース810の一端側の開口部に重ねて配設された文字板830と、ケース810の他端側の開口部に重ねて配設された配線板840と、導光部材820に設けられた入光面820bと相対するように配線板840の表面に配設された光源841と、前記配線板840の裏面に配設されたムーブメント842と、光反射面811、導光部材820、及び、文字板830を順次貫通し、基端側がムーブメント842の回転軸842aと連接されて回転自在に支持された指針軸851と、指針軸851の先端に固定され、文字板830上に設けられた指標を指示する指針852と、を有している。
【0009】
固定爪813は、図10に示すように、断面コ字状に形成された可撓性を有するアーム部813aと、アーム部813aの先端813a2に導光部材取付部812に向かって突出して設けられ且つ導光部材820の端部820aを係止する係止突起部813bと、で構成されている。アーム部813aの先端813a2は、導光部材取付部812の近傍に位置づけられ、アーム部813aの基端813a1は、アーム部813aの先端813a2より導光部材取付部812から離されて位置づけられている。アーム部813aの基端813a1は光反射面811(即ち、ケース810)に連接されている。係止突起部813bは、アーム部813aの先端813a2から基端813a1に向かうに従って徐々に導光部材取付部812に近づくように形成された傾斜面813b1と、傾斜面813b1と鋭角をなし且つアーム部813aの先端813a2が向かう方向と反対方向(図中、下方向)に向けて形成された係止面813b2とを有している。この係止面813b2は、導光部材820の端部820aに設けられた爪受面820a1と当接してそれを係止することにより、導光部材820を導光部材取付部812に固定する。
【0010】
導光部材820は、光源841の光を直接的に又は文字板830の裏面に反射させて間接的に光反射面811に導くものであり、そして、光反射面811は、導光部材820によって導かれた光を文字板830に向けて反射して、文字板830を均一に照らすものである。
【0011】
以上より、この表示装置800によれば、光反射面811がケース810内に一体に設けられているので、組み付けが必要な部品点数が少なくなり、組立工数を削減することができた。また、上述した形状の固定爪813を有しているので、導光部材820の端部820aを、この傾斜面813b1に当接させて押し込むことにより、アーム部813aがその先端813a2を基端813a1に近づけるように(図11、矢印F1方向)撓んだのち、係止面813b2が導光部材820の端部820aの爪受面820a1と当接して係止し、そのため、導光部材820を容易に導光部材取付部812に固定することができた。
【特許文献1】特開2003−270003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、表示装置800では、固定爪813がケース810と一体に光反射面811上に設けられているので、それが配設された箇所(図10のKで示される部分)の光反射面811が削られて、光を反射する面積が減少してしまうことになる。そのため、文字板830を照らす光量が減少し、また、文字板830全体を均一な光量で照らすことができないという問題があった。また、導光部材820を導光部材取付部812に固定するとき、図11に示すように、アーム部813aがその先端813a2を基端813a1に近づけるように、即ち、アーム部813aを縮めて圧縮する方向に撓ませるので、強い力で導光部材820を押し込む必要があり、例えば、力の弱い作業者が連続して組み付けを行う場合などに、疲労によって組み付け数が制限されてしまうことがあり、組立性が悪いという問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、光反射面の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ケースと、前記ケース内に一体に設けられた光反射面と、前記光反射面上の所定の取付位置に重ねられて固定される導光部材と、前記ケースと一体に設けられ、前記導光部材を前記取付位置に固定する固定爪と、を有する表示装置において、前記固定爪が、前記取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部と、前記アーム部の先端に前記取付位置に向けて突出して形成され且つ前記導光部材の端部を係止する係止突起部と、を有していることを特徴とする表示装置である。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記係止突起部が、前記アーム部の先端から基端に向かうに従って前記アーム部から離れるように形成された傾斜面と、前記傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面と、を有し、前記導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、前記係止面に当接されて係止される爪受面を有していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記導光部材の端部の前記爪受面側の角が丸められて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、固定爪が、取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部を備えているので、導光部材が重ねられる取付位置の内側にアーム部が位置づけられ、そのため、光反射面を削ることなく導光部材を固定する固定爪を設けることができる。また、係止突起部が、取付位置に向かって突出して設けられているので、導光部材を取付位置に固定するとき、アーム部の先端をその基端から離すように、即ち、アーム部を広げて伸ばす方向に撓ませるので、アーム部を圧縮する方向に撓ませることに比べて少ない力で足り、そのため、導光部材をより容易に光反射面上に固定することができる。よって、光反射面の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、固定爪の先端に設けられた係止突起部が、アーム部の先端から基端に向かうに従ってアーム部から離れるように形成された傾斜面を有しているので、導光部材を取付位置に固定するとき、導光部材の端部をこの傾斜面に当接して押し込むことにより、アーム部を広げて伸ばす方向に撓ませることができる。そして、係止突起部が、その傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面を有し、導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、係止面に当接されて係止される爪受面を有しているので、導光部材を取付位置に向かって押し込み続け、係止面と爪受面とが同一平面に位置づけられたとき、アーム部の撓みがその弾性によって元に戻り、係止面と爪受面とを当接させて、導光部材の端部を係止突起部に係止させることができる。そのため、アーム部を撓ませる組立治具等が不要となり、該組立治具等に係るコストを削減してさらに組立性を向上させることができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、導光部材の端部の爪受面側の角が丸められて形成されているので、係止突起部が導光部材の端部を容易に乗り越えて、係止面と爪受面とを容易に当接させることができ、そのため、導光部材の端部を係止突起部にスムースに係止させることができ、さらに組立性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を示す表示装置を図1〜図7を参照して説明する。
【0021】
図1において、1は本発明に係る表示装置であり、一例として、自動車の速度メータを示している。この表示装置1は、ケース10と、導光部材20と、文字板30と、配線板40と、指針部50と、を有している。
【0022】
ケース10は、図1、図4に示すように、合成樹脂等によって略円筒状に形成されており、その内部に表示装置1を構成する部材の一部を収容して、それらを衝撃や埃等から保護している。ケース10は、図示しないブラケット等を備え、コンビネーションメータ等に組み込まれて自動車のインスツルメントパネル等に取り付けられる。ケース10は、光反射面11と、導光部材取付部12と、固定爪13と、台部14と、を有している。
【0023】
光反射面11は、ケース10の一端部10Aの周縁からケース10の軸心に向かい徐々にケース10の他端部10B側に近づくように傾斜されたすり鉢状(円錐状)の面であり、ケース10の軸方向から見た平面視形状が略扇形に形成されている。光反射面11には、例えば、アルミニウム蒸着などの光を反射する処理が施されている。光反射面11の中央部分には長円形状の貫通穴11aが設けられている。
【0024】
導光部材取付部12は、光反射面11の貫通穴11aの周縁に沿って、光反射面11から突出して設けられた長円筒形状の突部である。導光部材取付部12は、長径方向に沿って相対する位置に、矩形状に形成された一対の位置決め穴12aが設けられている。また、導光部材取付部12は、短径方向に沿って相対する位置の外周縁が、それぞれ内側に向かって凹むように形成されており、それら位置に一対の固定爪13が設けられている。この導光部材取付部12には、導光部材20が重ねられて取り付けられる。なお、導光部材取付部12は、請求項中の取付位置に相当する。
【0025】
一対の固定爪13は、導光部材取付部12の内側からその外側に向けて互いに反対方向に延びて設けられており、その先端部分が後述する導光部材20の端部20aを係止して、導光部材20を導光部材取付部12に固定している。一対の固定爪13は、ケース10と一体に形成されている。固定爪13は、図2に示すように、アーム部13aと、係止突起部13bと、を有している。
【0026】
アーム部13aは、断面コ字状に形成されており、その基端13a1が導光部材取付部12に連接されており、その先端13a2が導光部材取付部12の外側に位置づけられるように形成されている。アーム部13aは、光反射面11との間に隙間Lが設けられており、アーム部13aの先端13a2をその基端13a1に対して接離する方向に撓ませることができる。
【0027】
係止突起部13bは、アーム部13aの先端13a2に導光部材取付部12に向かって突出して形成されており、傾斜面13b1と係止面13b2とを有している。傾斜面13b1は、アーム部13aの先端13a2から基端13a1に向かうに従い徐々にアーム部13aから離れるように(即ち、徐々に導光部材取付部12に近づくように)形成されている。係止面13b2は、この傾斜面13b1と鋭角をなし且つその平面部分をアーム部13aの基端13a1側に向けて(即ち、アーム部13aの先端13a2が向かう方向と反対方向(図中、下方向)に向けて)形成されている。
【0028】
台部14は、ケース10の一端部10Aと同じ高さに形成された略扇形の平面部である。台部14には、例えば、速度メータに加えて、燃料メータなどのサブメータを備えた複合メータとして表示装置を構成したときに、このサブメータのための指標を備えた文字板及び該指標を指示する指針等が台部14の表面に順次重ねて配置され、また、台部14の裏面側には、サブメータの指針を駆動するムーブメント等が配設される。なお、本実施形態はサブメータを備えず、それを構成する部材は配置されない。
【0029】
導光部材20は、例えば、アクリル樹脂などの透明な合成樹脂等で形成されており、入射された光を直接的又は間接的に光反射面11に導く部材である。導光部材20は、図1、図5に示すように、一対の端部20aと、入光面20bと、円筒部20cと、一対のピン20dと、導光部20eと、を備えている。
【0030】
導光部20eは、平面視略長円形状であり、その短手方向に相対する外周縁の中央部分がそれぞれ内側に向けて絞られて形成されている。
【0031】
導光部20eの上面側(即ち、導光部材取付部12と重ねられる面と反対に位置する面側)は、その外周縁から中心に向かって徐々に導光部20eの下面側(即ち、導光部材取付部12と重ねられる面側)に近づくようにすり鉢状(即ち、円錐面状)に形成されている。導光部20eの下面側は、導光部材取付部12及びその内側の貫通穴11aと嵌合するように、略円錐台形状に突出して形成されている。
【0032】
導光部20eの中心には、導光部20eを貫通する円筒部20cが設けられている。導光部20eの下面側に位置する円筒部20cの端部の周囲には、後述する光源41の光を導光部20eに導入する入光面20bが環状に設けられている。導光部20eの下面側でその長手方向に相対する外周縁近傍には、円柱状に突出した一対のピン20dが設けられている。
【0033】
導光部20eの下面側でその短手方向に相対する外周縁近傍には、先端が外側(即ち、係止突起部13bと対向する方向)に向けて突出するように断面略L字状に形成された一対の端部20aが設けられている。一対の端部20aは、請求項中の導光部材の端部に相当する。図2に示すように、端部20aには、その先端部分に導光部20eの上面側(図中、上方向)を向いた爪受面20a1が設けられている。また、端部20aの先端部分における爪受面20a1側の角20a2は丸められて形成されている。なお、本実施形態において、導光部材20の端部20aは断面略L字状に形成されているものであったが、これに限らず、先端が係止突起部13bと対向する方向に突出して形成され、その先端部分に固定爪13に係止される爪受面が設けられているものであれば、その形状は任意である。
【0034】
文字板30は、図3に示すように、透光性の合成樹脂で平板状に形成されており、その表面に現在の速度測定量を表示するための文字や記号等の複数の指標31を備えている。また、文字板30は、図1に示すように、その裏面が光反射面11と相対して、ケース10の一端部10A側に図示しない係止構造(例えば、互いに係止し合う複数の取付爪等)によって固定されている。文字板30の中央には、指針軸51を挿通する貫通穴が設けられている。
【0035】
文字板30の複数の指標31を設ける箇所には、文字板30の表面及び裏面とも何ら塗装が施されず、文字板30複数の指標31を設けない箇所には、文字板30の表面側に不透光性着色料が塗布されており、文字板30の裏面側に光を反射する反射材が塗布されている。そのため、導光部材20及び光反射面11によって、文字板30の裏面側から光が照射されると、一部の光が複数の指標31を通過してそれら発光させ、他の一部の光は反射材により光反射面11に向けて反射される。
【0036】
配線板40は、薄膜状の導体からなる配線パターンが設けられた周知のプリント基板であり、その一方の面には、導光部材20に入光させる光を発する複数の光源41が設けられ、その他方の面には、速度測定量に応じて指針52を駆動するムーブメント42が設けられている。また、これら以外にも、表示装置1の機能を実現するための図示しない電子部品が、この配線板40上に設けられている。配線板40は、複数の光源41が設けられた面をケース10内側に向けて、ケース10の他端部10Bに図示しない係止構造(例えば、互いに係止し合う複数の取付爪等)によって固定されている。
【0037】
光源41は、表面実装形の周知のLEDであり、ケース10の内側に位置する配線板40の一方の面上で、且つ、導光部材20の入光面20bと相対する位置に配設されている。光源41は、電源が供給されることによって、入光面20bに向けて光を発する。
【0038】
ムーブメント42は、周知のステッピングモータであり、ケース10の外側に位置する配線板40の他方の面上に図示しないねじ等によって固定されている。ムーブメント42の回転軸42aは、配線板40に設けられた図示しない貫通穴を通って、その先端がケース10内側に位置づけられている。ムーブメント42は、図示しない制御装置から送られて来る速度測定量に応じた制御信号に基づいて、回転軸42aを正逆方向に回転させる。
【0039】
指針部50は、文字板30の表面に位置づけられ、速度測定量に応じて文字板30に設けられた複数の指標31を指示する指針52と、一方の端部が指針52に連接され、他方の端部がムーブメント42の回転軸42aに固定され、この回転軸42aの回転を指針52に伝える指針軸51と、を有している。指針部50は、透明なアクリル樹脂などの合成樹脂で形成されており、指針軸51の他方の端部近傍に設けられた図示しない入光面から、図示しない指針部用光源の光を入光させることで指針52が発光する。
【0040】
次に、表示装置1のケース10に導光部材20を組み付けるときの動作について図2、図5〜図7を参照して説明する。
【0041】
図5に示すように、導光部材20を、ケース10に設けられた導光部材取付部12の上方に位置づけ、そして、導光部材取付部12の一対の位置決め穴12aに導光部材20の一対のピン20dを挿入するようにして、導光部材20を導光部材取付部12に重ねて配置する。
【0042】
このとき、図6に示すように、導光部材20の端部20aが、固定爪13に設けられた傾斜面13b1に当接しており、この状態から導光部材20を導光部材取付部12に向かって押し込むと、導光部材20の端部20aによって、傾斜面13b1に対し図中矢印F2の方向に力が生じ、アーム部13aが、その先端13a2と基端13a1とが離れる方向に広げられて撓む。
【0043】
そして、導光部材20をさらに押し込み続けると、図7に示すように、固定爪13の係止突起部13bが、導光部材20の端部20aの角20a2に沿って端部20aを乗り越え、図2に示すように、係止突起部13bの係止面13b2と端部20aの爪受面20a1とが当接して、固定爪13が、導光部材20の端部20aを係止して、導光部材20が導光部材取付部12に固定される。なお、図2においては、説明の便宜上、係止面13b2と爪受面20a1との間に隙間が設けられているが、実際には、係止面13b2と爪受面20a1とは互いに接している。
【0044】
以上より、本発明によれば、固定爪13が、導光部材取付部12の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部13aを備えているので、導光部材20が重ねられる箇所(即ち、導光部材取付部12内部)にアーム部13aが位置づけられ、そのため、光反射面11(即ち、図2中のKで示される箇所)を削ることなく導光部材20を固定する固定爪13を設けることができる。また、係止突起部13bが、導光部材取付部12に向かって突出して設けられているので、導光部材20を導光部材取付部12に固定するとき、アーム部13aの先端13a2をその基端13a1から離すように、即ち、アーム部13aを広げて伸ばす方向に撓ませるので、アーム部13aを圧縮する方向に撓ませることに比べて少ない力で足り、そのため、導光部材20をより容易に光反射面11上に固定することができる。よって、光反射面11の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる。
【0045】
また、固定爪13の先端に設けられた係止突起部13bが、アーム部13aの先端13a2から基端13a1に向かうに従ってアーム部13aから離れるように(即ち、導光部材取付部12に近づくように)形成された傾斜面13b1を有しているので、導光部材20を導光部材取付部12に固定するとき、導光部材20の端部20aをこの傾斜面13b1に当接して押し込むことにより、アーム部13aを広げて伸ばす方向に撓ませることができる。そして、係止突起部13bが、その傾斜面13b1と鋭角をなし且つアーム部13aの基端13a1側に向けて形成された係止面13b2を有し、導光部材20の端部20aが、係止突起部13bと対向する方向に突出して形成されており、さらに、係止面13b2に当接されて係止される爪受面20a1を有しているので、導光部材20を導光部材取付部12に向かって押し込み続け、係止面13b2と爪受面20a1とが同一平面に位置づけられたとき、アーム部13aの撓みがその弾性によって元に戻り、係止面13b2と爪受面20a1とを当接させて、導光部材20の端部20aを係止突起部13bに係止させることができる。そのため、アーム部13aを撓ませる組立治具等が不要となり、該組立治具等に係るコストを削減してさらに組立性を向上させることができる。
【0046】
また、導光部材20の端部20aの爪受面20a1側の角20a2が丸められて形成されているので、係止突起部13bが導光部材20の端部20aを容易に乗り越えて、係止面13b2と爪受面20a1とを容易に当接させることができ、そのため、導光部材20の端部20aを係止突起部13bにスムースに係止させることができ、さらに組立性を向上させることができる。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示す表示装置の断面図である。
【図2】図1中の楕円で囲った箇所の部分拡大図である。
【図3】図1の表示装置の正面図である。
【図4】図1の表示装置のケースの正面図である。
【図5】図1の表示装置のケース及び導光部材の分解立体図である。
【図6】図1の表示装置において導光部材の端部と固定爪とが当接した状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】図1の表示装置において固定爪が撓んだ状態をしめす部分拡大断面図である。
【図8】従来の表示装置を示す分解立体図である。
【図9】従来の他の表示装置を示す断面図である。
【図10】図9中の楕円で囲った箇所の部分拡大図である。
【図11】図9の表示装置において導光部材の端部と固定爪とが当接した状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 表示装置
10 ケース
11 光反射面
12 導光部材取付部(取付位置)
13 固定爪
13a アーム部
13b 係止突起部
13b1 傾斜面
13b2 係止面
20 導光部材
20a 導光部材の端部
20a1 爪受面
20a2 角
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、光源の光を導く導光部材を有する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した従来の表示装置として、自動車に搭載された速度メータやタコメータ等として用いられる表示装置が一般的に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に速度メータとして示されている表示装置700は、図8に示すようにカップ形のケーシング711と、このケーシング711に収容される透明な導光部材712と、この導光部材712の上に重ねられる光拡散板713と、さらにこの光拡散板713の上に載置される目盛り板714と、これらケーシング711、導光部材712、光拡散板713、目盛り板714を貫通し、基端側がケーシング711に対して回転自在に支持された回転軸715と、この回転軸715の先端に一体的に固定された指針716と、この指針716及び目盛り板714の上からケーシング711に重ねられる透明なカバー717と、で主要部が構成されている。
【0004】
さらに、導光部材712は、光源からの光を導入するための環状の光入射端面部が一端側に形成された筒部726と、この筒部726の他端に一端側が続く漏斗状拡径部727と、筒部726の軸線に対して公差する平面に沿って延在する光を出射するために光出射面部728を表面側に有し且つ漏斗状拡径部727の他端側に続く平板部729とを備え、透明なアクリル樹脂などによって成形加工されている。また、平板部729の裏面には、それぞれ光の進行方向を変換するための複数の光偏向要素が形成されている。
【0005】
この表示装置700によれば、上述した導光部材712を備えているので、環状の光入射端面部から筒部726に入射した光を漏斗状拡径部727から平板部729に導き、その光出射面部728から出射させることができ、そのため、出射された光が光拡散板713で拡散されて目盛り板714を均一に照らすことができた。
【0006】
しかしながら、上述した表示装置700は、それを構成する部品点数が多いので、その分、組立工数も多く必要となり、製造コストを下げることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明者らは、表示装置の構成に着目して鋭意検討を行った結果、以下の表示装置を思いつくに至った。
【0008】
表示装置800は、図9に示すように、略円筒状に形成されたケース810と、ケース810内に一体に設けられ、中央部分が窪んだ円錐面状に形成された光反射面811と、光反射面811の中央部分に長円筒状に突出して設けられた導光部材取付部812と、光反射面811上の導光部材取付部812の外側近傍にケース810と一体に設けられた固定爪813と、固定爪813に端部820aを係止されることにより導光部材取付部812に重ねられて固定されている導光部材820と、光反射面811と相対するようにケース810の一端側の開口部に重ねて配設された文字板830と、ケース810の他端側の開口部に重ねて配設された配線板840と、導光部材820に設けられた入光面820bと相対するように配線板840の表面に配設された光源841と、前記配線板840の裏面に配設されたムーブメント842と、光反射面811、導光部材820、及び、文字板830を順次貫通し、基端側がムーブメント842の回転軸842aと連接されて回転自在に支持された指針軸851と、指針軸851の先端に固定され、文字板830上に設けられた指標を指示する指針852と、を有している。
【0009】
固定爪813は、図10に示すように、断面コ字状に形成された可撓性を有するアーム部813aと、アーム部813aの先端813a2に導光部材取付部812に向かって突出して設けられ且つ導光部材820の端部820aを係止する係止突起部813bと、で構成されている。アーム部813aの先端813a2は、導光部材取付部812の近傍に位置づけられ、アーム部813aの基端813a1は、アーム部813aの先端813a2より導光部材取付部812から離されて位置づけられている。アーム部813aの基端813a1は光反射面811(即ち、ケース810)に連接されている。係止突起部813bは、アーム部813aの先端813a2から基端813a1に向かうに従って徐々に導光部材取付部812に近づくように形成された傾斜面813b1と、傾斜面813b1と鋭角をなし且つアーム部813aの先端813a2が向かう方向と反対方向(図中、下方向)に向けて形成された係止面813b2とを有している。この係止面813b2は、導光部材820の端部820aに設けられた爪受面820a1と当接してそれを係止することにより、導光部材820を導光部材取付部812に固定する。
【0010】
導光部材820は、光源841の光を直接的に又は文字板830の裏面に反射させて間接的に光反射面811に導くものであり、そして、光反射面811は、導光部材820によって導かれた光を文字板830に向けて反射して、文字板830を均一に照らすものである。
【0011】
以上より、この表示装置800によれば、光反射面811がケース810内に一体に設けられているので、組み付けが必要な部品点数が少なくなり、組立工数を削減することができた。また、上述した形状の固定爪813を有しているので、導光部材820の端部820aを、この傾斜面813b1に当接させて押し込むことにより、アーム部813aがその先端813a2を基端813a1に近づけるように(図11、矢印F1方向)撓んだのち、係止面813b2が導光部材820の端部820aの爪受面820a1と当接して係止し、そのため、導光部材820を容易に導光部材取付部812に固定することができた。
【特許文献1】特開2003−270003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、表示装置800では、固定爪813がケース810と一体に光反射面811上に設けられているので、それが配設された箇所(図10のKで示される部分)の光反射面811が削られて、光を反射する面積が減少してしまうことになる。そのため、文字板830を照らす光量が減少し、また、文字板830全体を均一な光量で照らすことができないという問題があった。また、導光部材820を導光部材取付部812に固定するとき、図11に示すように、アーム部813aがその先端813a2を基端813a1に近づけるように、即ち、アーム部813aを縮めて圧縮する方向に撓ませるので、強い力で導光部材820を押し込む必要があり、例えば、力の弱い作業者が連続して組み付けを行う場合などに、疲労によって組み付け数が制限されてしまうことがあり、組立性が悪いという問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、光反射面の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ケースと、前記ケース内に一体に設けられた光反射面と、前記光反射面上の所定の取付位置に重ねられて固定される導光部材と、前記ケースと一体に設けられ、前記導光部材を前記取付位置に固定する固定爪と、を有する表示装置において、前記固定爪が、前記取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部と、前記アーム部の先端に前記取付位置に向けて突出して形成され且つ前記導光部材の端部を係止する係止突起部と、を有していることを特徴とする表示装置である。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記係止突起部が、前記アーム部の先端から基端に向かうに従って前記アーム部から離れるように形成された傾斜面と、前記傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面と、を有し、前記導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、前記係止面に当接されて係止される爪受面を有していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記導光部材の端部の前記爪受面側の角が丸められて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、固定爪が、取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部を備えているので、導光部材が重ねられる取付位置の内側にアーム部が位置づけられ、そのため、光反射面を削ることなく導光部材を固定する固定爪を設けることができる。また、係止突起部が、取付位置に向かって突出して設けられているので、導光部材を取付位置に固定するとき、アーム部の先端をその基端から離すように、即ち、アーム部を広げて伸ばす方向に撓ませるので、アーム部を圧縮する方向に撓ませることに比べて少ない力で足り、そのため、導光部材をより容易に光反射面上に固定することができる。よって、光反射面の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、固定爪の先端に設けられた係止突起部が、アーム部の先端から基端に向かうに従ってアーム部から離れるように形成された傾斜面を有しているので、導光部材を取付位置に固定するとき、導光部材の端部をこの傾斜面に当接して押し込むことにより、アーム部を広げて伸ばす方向に撓ませることができる。そして、係止突起部が、その傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面を有し、導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、係止面に当接されて係止される爪受面を有しているので、導光部材を取付位置に向かって押し込み続け、係止面と爪受面とが同一平面に位置づけられたとき、アーム部の撓みがその弾性によって元に戻り、係止面と爪受面とを当接させて、導光部材の端部を係止突起部に係止させることができる。そのため、アーム部を撓ませる組立治具等が不要となり、該組立治具等に係るコストを削減してさらに組立性を向上させることができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、導光部材の端部の爪受面側の角が丸められて形成されているので、係止突起部が導光部材の端部を容易に乗り越えて、係止面と爪受面とを容易に当接させることができ、そのため、導光部材の端部を係止突起部にスムースに係止させることができ、さらに組立性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を示す表示装置を図1〜図7を参照して説明する。
【0021】
図1において、1は本発明に係る表示装置であり、一例として、自動車の速度メータを示している。この表示装置1は、ケース10と、導光部材20と、文字板30と、配線板40と、指針部50と、を有している。
【0022】
ケース10は、図1、図4に示すように、合成樹脂等によって略円筒状に形成されており、その内部に表示装置1を構成する部材の一部を収容して、それらを衝撃や埃等から保護している。ケース10は、図示しないブラケット等を備え、コンビネーションメータ等に組み込まれて自動車のインスツルメントパネル等に取り付けられる。ケース10は、光反射面11と、導光部材取付部12と、固定爪13と、台部14と、を有している。
【0023】
光反射面11は、ケース10の一端部10Aの周縁からケース10の軸心に向かい徐々にケース10の他端部10B側に近づくように傾斜されたすり鉢状(円錐状)の面であり、ケース10の軸方向から見た平面視形状が略扇形に形成されている。光反射面11には、例えば、アルミニウム蒸着などの光を反射する処理が施されている。光反射面11の中央部分には長円形状の貫通穴11aが設けられている。
【0024】
導光部材取付部12は、光反射面11の貫通穴11aの周縁に沿って、光反射面11から突出して設けられた長円筒形状の突部である。導光部材取付部12は、長径方向に沿って相対する位置に、矩形状に形成された一対の位置決め穴12aが設けられている。また、導光部材取付部12は、短径方向に沿って相対する位置の外周縁が、それぞれ内側に向かって凹むように形成されており、それら位置に一対の固定爪13が設けられている。この導光部材取付部12には、導光部材20が重ねられて取り付けられる。なお、導光部材取付部12は、請求項中の取付位置に相当する。
【0025】
一対の固定爪13は、導光部材取付部12の内側からその外側に向けて互いに反対方向に延びて設けられており、その先端部分が後述する導光部材20の端部20aを係止して、導光部材20を導光部材取付部12に固定している。一対の固定爪13は、ケース10と一体に形成されている。固定爪13は、図2に示すように、アーム部13aと、係止突起部13bと、を有している。
【0026】
アーム部13aは、断面コ字状に形成されており、その基端13a1が導光部材取付部12に連接されており、その先端13a2が導光部材取付部12の外側に位置づけられるように形成されている。アーム部13aは、光反射面11との間に隙間Lが設けられており、アーム部13aの先端13a2をその基端13a1に対して接離する方向に撓ませることができる。
【0027】
係止突起部13bは、アーム部13aの先端13a2に導光部材取付部12に向かって突出して形成されており、傾斜面13b1と係止面13b2とを有している。傾斜面13b1は、アーム部13aの先端13a2から基端13a1に向かうに従い徐々にアーム部13aから離れるように(即ち、徐々に導光部材取付部12に近づくように)形成されている。係止面13b2は、この傾斜面13b1と鋭角をなし且つその平面部分をアーム部13aの基端13a1側に向けて(即ち、アーム部13aの先端13a2が向かう方向と反対方向(図中、下方向)に向けて)形成されている。
【0028】
台部14は、ケース10の一端部10Aと同じ高さに形成された略扇形の平面部である。台部14には、例えば、速度メータに加えて、燃料メータなどのサブメータを備えた複合メータとして表示装置を構成したときに、このサブメータのための指標を備えた文字板及び該指標を指示する指針等が台部14の表面に順次重ねて配置され、また、台部14の裏面側には、サブメータの指針を駆動するムーブメント等が配設される。なお、本実施形態はサブメータを備えず、それを構成する部材は配置されない。
【0029】
導光部材20は、例えば、アクリル樹脂などの透明な合成樹脂等で形成されており、入射された光を直接的又は間接的に光反射面11に導く部材である。導光部材20は、図1、図5に示すように、一対の端部20aと、入光面20bと、円筒部20cと、一対のピン20dと、導光部20eと、を備えている。
【0030】
導光部20eは、平面視略長円形状であり、その短手方向に相対する外周縁の中央部分がそれぞれ内側に向けて絞られて形成されている。
【0031】
導光部20eの上面側(即ち、導光部材取付部12と重ねられる面と反対に位置する面側)は、その外周縁から中心に向かって徐々に導光部20eの下面側(即ち、導光部材取付部12と重ねられる面側)に近づくようにすり鉢状(即ち、円錐面状)に形成されている。導光部20eの下面側は、導光部材取付部12及びその内側の貫通穴11aと嵌合するように、略円錐台形状に突出して形成されている。
【0032】
導光部20eの中心には、導光部20eを貫通する円筒部20cが設けられている。導光部20eの下面側に位置する円筒部20cの端部の周囲には、後述する光源41の光を導光部20eに導入する入光面20bが環状に設けられている。導光部20eの下面側でその長手方向に相対する外周縁近傍には、円柱状に突出した一対のピン20dが設けられている。
【0033】
導光部20eの下面側でその短手方向に相対する外周縁近傍には、先端が外側(即ち、係止突起部13bと対向する方向)に向けて突出するように断面略L字状に形成された一対の端部20aが設けられている。一対の端部20aは、請求項中の導光部材の端部に相当する。図2に示すように、端部20aには、その先端部分に導光部20eの上面側(図中、上方向)を向いた爪受面20a1が設けられている。また、端部20aの先端部分における爪受面20a1側の角20a2は丸められて形成されている。なお、本実施形態において、導光部材20の端部20aは断面略L字状に形成されているものであったが、これに限らず、先端が係止突起部13bと対向する方向に突出して形成され、その先端部分に固定爪13に係止される爪受面が設けられているものであれば、その形状は任意である。
【0034】
文字板30は、図3に示すように、透光性の合成樹脂で平板状に形成されており、その表面に現在の速度測定量を表示するための文字や記号等の複数の指標31を備えている。また、文字板30は、図1に示すように、その裏面が光反射面11と相対して、ケース10の一端部10A側に図示しない係止構造(例えば、互いに係止し合う複数の取付爪等)によって固定されている。文字板30の中央には、指針軸51を挿通する貫通穴が設けられている。
【0035】
文字板30の複数の指標31を設ける箇所には、文字板30の表面及び裏面とも何ら塗装が施されず、文字板30複数の指標31を設けない箇所には、文字板30の表面側に不透光性着色料が塗布されており、文字板30の裏面側に光を反射する反射材が塗布されている。そのため、導光部材20及び光反射面11によって、文字板30の裏面側から光が照射されると、一部の光が複数の指標31を通過してそれら発光させ、他の一部の光は反射材により光反射面11に向けて反射される。
【0036】
配線板40は、薄膜状の導体からなる配線パターンが設けられた周知のプリント基板であり、その一方の面には、導光部材20に入光させる光を発する複数の光源41が設けられ、その他方の面には、速度測定量に応じて指針52を駆動するムーブメント42が設けられている。また、これら以外にも、表示装置1の機能を実現するための図示しない電子部品が、この配線板40上に設けられている。配線板40は、複数の光源41が設けられた面をケース10内側に向けて、ケース10の他端部10Bに図示しない係止構造(例えば、互いに係止し合う複数の取付爪等)によって固定されている。
【0037】
光源41は、表面実装形の周知のLEDであり、ケース10の内側に位置する配線板40の一方の面上で、且つ、導光部材20の入光面20bと相対する位置に配設されている。光源41は、電源が供給されることによって、入光面20bに向けて光を発する。
【0038】
ムーブメント42は、周知のステッピングモータであり、ケース10の外側に位置する配線板40の他方の面上に図示しないねじ等によって固定されている。ムーブメント42の回転軸42aは、配線板40に設けられた図示しない貫通穴を通って、その先端がケース10内側に位置づけられている。ムーブメント42は、図示しない制御装置から送られて来る速度測定量に応じた制御信号に基づいて、回転軸42aを正逆方向に回転させる。
【0039】
指針部50は、文字板30の表面に位置づけられ、速度測定量に応じて文字板30に設けられた複数の指標31を指示する指針52と、一方の端部が指針52に連接され、他方の端部がムーブメント42の回転軸42aに固定され、この回転軸42aの回転を指針52に伝える指針軸51と、を有している。指針部50は、透明なアクリル樹脂などの合成樹脂で形成されており、指針軸51の他方の端部近傍に設けられた図示しない入光面から、図示しない指針部用光源の光を入光させることで指針52が発光する。
【0040】
次に、表示装置1のケース10に導光部材20を組み付けるときの動作について図2、図5〜図7を参照して説明する。
【0041】
図5に示すように、導光部材20を、ケース10に設けられた導光部材取付部12の上方に位置づけ、そして、導光部材取付部12の一対の位置決め穴12aに導光部材20の一対のピン20dを挿入するようにして、導光部材20を導光部材取付部12に重ねて配置する。
【0042】
このとき、図6に示すように、導光部材20の端部20aが、固定爪13に設けられた傾斜面13b1に当接しており、この状態から導光部材20を導光部材取付部12に向かって押し込むと、導光部材20の端部20aによって、傾斜面13b1に対し図中矢印F2の方向に力が生じ、アーム部13aが、その先端13a2と基端13a1とが離れる方向に広げられて撓む。
【0043】
そして、導光部材20をさらに押し込み続けると、図7に示すように、固定爪13の係止突起部13bが、導光部材20の端部20aの角20a2に沿って端部20aを乗り越え、図2に示すように、係止突起部13bの係止面13b2と端部20aの爪受面20a1とが当接して、固定爪13が、導光部材20の端部20aを係止して、導光部材20が導光部材取付部12に固定される。なお、図2においては、説明の便宜上、係止面13b2と爪受面20a1との間に隙間が設けられているが、実際には、係止面13b2と爪受面20a1とは互いに接している。
【0044】
以上より、本発明によれば、固定爪13が、導光部材取付部12の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部13aを備えているので、導光部材20が重ねられる箇所(即ち、導光部材取付部12内部)にアーム部13aが位置づけられ、そのため、光反射面11(即ち、図2中のKで示される箇所)を削ることなく導光部材20を固定する固定爪13を設けることができる。また、係止突起部13bが、導光部材取付部12に向かって突出して設けられているので、導光部材20を導光部材取付部12に固定するとき、アーム部13aの先端13a2をその基端13a1から離すように、即ち、アーム部13aを広げて伸ばす方向に撓ませるので、アーム部13aを圧縮する方向に撓ませることに比べて少ない力で足り、そのため、導光部材20をより容易に光反射面11上に固定することができる。よって、光反射面11の減少を抑えるとともに、組立性を向上させることができる。
【0045】
また、固定爪13の先端に設けられた係止突起部13bが、アーム部13aの先端13a2から基端13a1に向かうに従ってアーム部13aから離れるように(即ち、導光部材取付部12に近づくように)形成された傾斜面13b1を有しているので、導光部材20を導光部材取付部12に固定するとき、導光部材20の端部20aをこの傾斜面13b1に当接して押し込むことにより、アーム部13aを広げて伸ばす方向に撓ませることができる。そして、係止突起部13bが、その傾斜面13b1と鋭角をなし且つアーム部13aの基端13a1側に向けて形成された係止面13b2を有し、導光部材20の端部20aが、係止突起部13bと対向する方向に突出して形成されており、さらに、係止面13b2に当接されて係止される爪受面20a1を有しているので、導光部材20を導光部材取付部12に向かって押し込み続け、係止面13b2と爪受面20a1とが同一平面に位置づけられたとき、アーム部13aの撓みがその弾性によって元に戻り、係止面13b2と爪受面20a1とを当接させて、導光部材20の端部20aを係止突起部13bに係止させることができる。そのため、アーム部13aを撓ませる組立治具等が不要となり、該組立治具等に係るコストを削減してさらに組立性を向上させることができる。
【0046】
また、導光部材20の端部20aの爪受面20a1側の角20a2が丸められて形成されているので、係止突起部13bが導光部材20の端部20aを容易に乗り越えて、係止面13b2と爪受面20a1とを容易に当接させることができ、そのため、導光部材20の端部20aを係止突起部13bにスムースに係止させることができ、さらに組立性を向上させることができる。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示す表示装置の断面図である。
【図2】図1中の楕円で囲った箇所の部分拡大図である。
【図3】図1の表示装置の正面図である。
【図4】図1の表示装置のケースの正面図である。
【図5】図1の表示装置のケース及び導光部材の分解立体図である。
【図6】図1の表示装置において導光部材の端部と固定爪とが当接した状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】図1の表示装置において固定爪が撓んだ状態をしめす部分拡大断面図である。
【図8】従来の表示装置を示す分解立体図である。
【図9】従来の他の表示装置を示す断面図である。
【図10】図9中の楕円で囲った箇所の部分拡大図である。
【図11】図9の表示装置において導光部材の端部と固定爪とが当接した状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 表示装置
10 ケース
11 光反射面
12 導光部材取付部(取付位置)
13 固定爪
13a アーム部
13b 係止突起部
13b1 傾斜面
13b2 係止面
20 導光部材
20a 導光部材の端部
20a1 爪受面
20a2 角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に一体に設けられた光反射面と、前記光反射面上の所定の取付位置に重ねられて固定される導光部材と、前記ケースと一体に設けられ、前記導光部材を前記取付位置に固定する固定爪と、を有する表示装置において、
前記固定爪が、前記取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部と、前記アーム部の先端に前記取付位置に向けて突出して形成され且つ前記導光部材の端部を係止する係止突起部と、を有している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記係止突起部が、前記アーム部の先端から基端に向かうに従って前記アーム部から離れるように形成された傾斜面と、前記傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面と、を有し、
前記導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、前記係止面に当接されて係止される爪受面を有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導光部材の端部の前記爪受面側の角が丸められて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に一体に設けられた光反射面と、前記光反射面上の所定の取付位置に重ねられて固定される導光部材と、前記ケースと一体に設けられ、前記導光部材を前記取付位置に固定する固定爪と、を有する表示装置において、
前記固定爪が、前記取付位置の内側から外側に延びて形成された可撓性を有するアーム部と、前記アーム部の先端に前記取付位置に向けて突出して形成され且つ前記導光部材の端部を係止する係止突起部と、を有している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記係止突起部が、前記アーム部の先端から基端に向かうに従って前記アーム部から離れるように形成された傾斜面と、前記傾斜面と鋭角をなし且つ前記アーム部の基端側に向けて形成された係止面と、を有し、
前記導光部材の端部が、前記係止突起部と対向する方向に突出して形成されており、さらに、前記係止面に当接されて係止される爪受面を有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導光部材の端部の前記爪受面側の角が丸められて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−294076(P2009−294076A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147805(P2008−147805)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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