説明

表示装置

【課題】表示システムに用いられる際、配線部材と作業のコストを抑え、操作が容易で、かつ適切な性能を有する表示装置を得る。
【解決手段】受信器31は長距離伝送線LL11からの差動アナログ映像信号を受けて不平衡の不平衡アナログ映像信号に変換し、内部配線であるアナログ映像信号線LA2上に出力する。受信器31内の周波数応答特性補正器11は主に長距離伝送線LL1によって減衰した周波数応答特性を補正し、遅延補正器12は伝播遅延量の差を補正する。送信器34はアナログ映像信号線LA2より不平衡アナログ映像信号を受け、平衡の差動アナログ映像信号に変換して、差動アナログ映像信号として長距離伝送線LL2上に送信する。映像出力回路36は不平衡映像信号として不平衡アナログ映像信号あるいは不平衡デジタル映像信号を映像信号線LV1上に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アナログ映像信号の長距離伝送を行う遠隔表示システムにおける表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像送出装置と表示装置とを互いに比較的離れた場所に設置する表示システムにおいて、アナログ映像信号を高周波変調せずに長距離伝送する際には、外乱ノイズへの耐性を高めるために長距離伝送路に平衡線路を用いて、差動アナログ映像信号で伝送する。
【0003】
差動アナログ映像信号は、高周波変調するよりもベースバンドのまま伝送するほうがより広い帯域で伝送可能である。ただし、上記長距離伝送線路や伝送ドライブ回路の周波数応答特性の影響があるので、周波数応答特性の補正回路と用いて補正パラメータに基づく調整が必要である。また、RGB3原色の信号のように、複数の信号を伝送する線路の伝播遅延量のずれも無視できなくなるので、上記伝播遅延量の補正回路を用いて補正パラメータに基づく調整が必要である。
【0004】
なお、周波数ごとの伝播遅延やドライブ回路の線形特性レベルごとのひずみも無視できない画質であれば、それぞれの補正回路を厳密に形成して付加する必要があるが、回路が高価になる。このため、本明細書においては、上記の伝播遅延補正の調整量で吸収することによって許容されるレベルの表示装置に適用する技術として説明する。
【0005】
従来のように、表示システムにおいて複数の表示装置を配置する例としては、特許文献1で開示されたインターホンシステムのように、複数の表示装置それぞれの外部に長距離映像信号の分岐装置を設けることにより、映像信号を複数の表示装置それぞれに分配していた。
【0006】
また、例えば、特許文献2や特許文献3において、長距離の映像伝送路のままで分配して、表示装置の外部に受信装置を配する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−304219号公報(段落[0018]〜[0056]、図1)
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0119594号明細書(段落[0016]〜[0056]、図4〜図6)
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0186407号明細書(段落[0002]〜[0106]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1等で開示された従来の表示装置は、上述したように、表示装置の外部に受信器(受信装置)を独立して設ける構成が一般的であった。このため、以下の(1)〜(3)の問題点を有していた。
【0009】
(1)装置レイアウトに応じて、外部の受信器と表示装置とを接続する長いケーブル、強いアンプ、及び外来電磁ノイズ対策回路が、映像信号と制御信号と電源のそれぞれに必要となる。
【0010】
(2)システム設置現場で、VGAケーブルやRS−232Cケーブルなどのねじ止めを伴うケーブルの配線作業量に伴う作業コストを要する。
【0011】
(3)受信器にパラメータを設定する際に、受信器自身が自動調整した結果を、手動で微調整したい場合には、受信器自身の調整スイッチを用いることになる。また、ホストコンピュータ側と表示装置のリモコン側と双方から調整制御したい場合に、受信器自身に調整制御ホストの切り替え装置を設ける必要がある。
【0012】
また、特許文献2,特許文献3等で開示された従来の表示装置は、分配器を表示装置の外部に受信器を独立して設けられた構成であったため、複数の長距離伝送信号線としての外部配線が必要であり、ケーブルの配線作業量に伴う作業コストが掛かるという問題点があった。
【0013】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、表示システムに用いられる際、配線部材と作業のコストを抑え、操作が容易で、かつ適切な性能を有する表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る請求項1記載の表示装置は、前記第1の長距離伝送線上の前記差動アナログ映像信号を不平衡アナログ映像信号に変換する受信器を備え、前記受信器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第1の補正パラメータに基づき補正する周波数応答特性補正器と、第2の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する遅延補正器とを含み、前記不平衡アナログ映像信号に基づき所定の表示デバイス上に映像表示する表示映像処理回路と、前記受信器内の前記周波数応答特性補正器及び前記遅延補正器に対し、前記第1及び第2の補正パラメータを付与する制御部と、前記不平衡アナログ映像信号を差動形式に変換して出力用差動アナログ映像信号を外部装置が接続可能な第2の長距離伝送線上に送信する送信器とをさらに備える。
【0015】
この発明に係る請求項2記載の表示装置は、所定の映像送信源から送信される差動アナログ映像信号を第1の長距離伝送線を介して伝送する表示システムに用いられる表示装置であって、前記第1の長距離伝送線上の前記差動アナログ映像信号を不平衡アナログ映像信号に変換する受信器を備え、前記受信器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第1の補正パラメータに基づき補正する周波数応答特性補正器と、第2の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する遅延補正器とを含み、前記不平衡アナログ映像信号に基づき所定の表示デバイス上に映像表示する表示映像処理回路と、前記受信器内の前記周波数応答特性補正器及び前記遅延補正器に対し、前記第1及び第2の補正パラメータを付与する制御部と、前記差動アナログ映像信号に対し所定の補正処理を施して出力用差動アナログ映像信号として前記第2の長距離伝送線上に分配する分配器をさらに備え、前記分配器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第3の補正パラメータに基づき補正する分配器用周波数応答特性補正器と、第4の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する分配器用遅延補正器とを含み、前記所定の補正処理は前記分配器用周波数応答特性補正器及び前記分配器用遅延補正器による補正処理を含む。
【発明の効果】
【0016】
この発明における請求項1記載の表示装置は、第1の長距離伝送線より差動アナログ映像信号を受ける受信器、及び第2の長距離伝送線より出力用差動アナログ映像信号を送信する送信器を内蔵したため、他の表示装置との接続を第2の長距離伝送線のみにより行うことができる。
【0017】
このため、請求項1記載の表示装置を含む表示システムの配線材料と作業コストを抑えることができる。また、受信器は周波数応答特性補正器及び遅延補正器を有しているため、表示装置は適切な性能を発揮することができる。
【0018】
加えて、内部の制御部の制御下で第1及び第2の補正パラメータを設定することができるため、受信器内における周波数応答特性補正器及び遅延補正器の補正内容の制御を容易に行うことができる。
【0019】
この発明における請求項2記載の表示装置は、第1の長距離伝送線より差動アナログ映像信号を受ける受信器、及び第2の長距離伝送線より出力用差動アナログ映像信号を分配する分配器を内蔵したため、他の表示装置との接続を第2の長距離伝送線のみにより行うことができる。
【0020】
このため、請求項2記載の表示装置を含む表示システムの配線材料と作業コストを抑えることができる。また、受信器は周波数応答特性補正器及び遅延補正器を有しているため、表示装置は適切な性能を発揮することができる。
【0021】
加えて、内部の制御部の制御下で第3及び第4の補正パラメータを設定することができるため、周波数応答特性補正器及び遅延補正器の補正内容の制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態2である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態3である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。
【図4】差動アナログ信号の長距離伝送路を用いた一般的な表示システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(前提技術)
ここで、本願発明の表示装置の特徴の理解を容易にするために、従来の一般的な表示システム例を説明する。
【0024】
図4は差動アナログ信号の長距離伝送路を用いた一般的な表示システムの構成を示す説明図である。
【0025】
図4に示すように、映像プレーヤ1は映像源として機能し、映像プレーヤ1から出力されるRGB3原色のベースバンド(つまり、無変調)信号であるアナログ映像信号はアナログ映像信号線LA1を介して送信器5に伝送される。
【0026】
ホストコンピュータ3は長距離伝送路を用いた表示システム全体を操作するシステム制御装置として機能し、ホストコンピュータ3はシステム制御信号線LS1を介して制御信号と応答信号を授受する。
【0027】
送信器5はアナログ映像信号線LA1に相当する3本のRGB信号線と、システム制御信号線LS1に相当する1本の制御線からなる合計4本の信号線から不平衡信号を入力し、この信号を平衡の差動信号に変換して差動アナログ映像信号として長距離伝送線LL1上に出力する。この際、送信器5は、長距離の伝送線路をさえもドライブ可能なパワーで差動アナログ映像信号を出力する。なお、長距離伝送線LL1はCAT5に代表される4対のツイストペアケーブルからなる。
【0028】
分配器7は長距離伝送線LL1上の差動アナログ映像信号を分岐させ、長距離伝送線LL11及び長距離伝送線LL12上に分配する。
【0029】
受信器10は長距離伝送線LL11から分配された差動アナログ映像信号を受けて不平衡の不平衡アナログ映像信号に変換する。受信器10は内部に周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12を有している。周波数応答特性補正器11は主に長距離伝送線LL1によって減衰した周波数応答特性を補正し、遅延補正器12は、長距離伝送線LL1を構成する4対のツイストペアケーブルが工業的に製造されているためにそれぞれに異なる線路長及び容量が主因と一般的に考えられている伝播遅延量の差を調整する。
【0030】
受信器10からの不平衡アナログ映像信号はアナログ映像信号線LA11を介して表示装置115内に取り込まれる。表示装置115は、表示パネル116、表示映像処理回路117、リモコン受信器119、及びMCU(Micro Controller Unit)120から構成される。
【0031】
MCU120はシステム制御信号線LS11を介して受信器10と接続されており、表示制御バスBD10を介して表示映像処理回路117と接続され、リモコン制御線LR10を介してリモコン受信器119と接続される。リモコン受信器119はリモコン118からの信号を受信し、リモコン制御線LR10を介してリモコン受信信号をMCU120に伝達する。MCU120は表示装置15の各構成要素(表示映像処理回路117等)を制御するメイン制御装置として機能する。なお、表示制御バスBD10はI2C形式等の表示制御信号線で構成される。
【0032】
表示パネル116は照明を備えた2次元液晶光学バルブ型表示デバイスに代表される表示パネルであり、表示映像処理回路117は表示パネル16の画素数と走査方式に併せて、アナログ映像信号線LA11を介して得られる不平衡アナログ映像信号をリサイズやスルーレートに代表されるスケール変換処理する。この際、表示映像処理回路117内の設定状況描画手段(OSD(On Screen Display))121は、リモコン118で操作された内容(リモコン受信信号)に基づきMCU19が設定し描画した内容を表示制御バスBD10を介して取得し、この描画内容を当該不平衡アナログ映像信号で規定される映像に重畳表示する。なお、表示映像処理回路117は一般にスケーラと呼ばれる。
【0033】
長距離伝送線LL12は分配器23に接続され、分配器23によって長距離伝送線LL121及びLL122にさらに分配される。受信器26は長距離伝送線LL121に接続される受信器、表示装置27は受信器26に接続され、内部に表示パネル28及び表示映像処理回路29を有する。
【0034】
ここで、映像信号線に一般的に用いられる技術の例を掲げる。例えば、受信器10と表示装置115との間を接続するアナログ映像信号線LA11は、一般的にVGAケーブルが用いられ、ケーブルにはミニD−SUB15ピンのコネクタが備わっている。VGAケーブルの場合、ロングケーブル補正回路を用いれば線路長は15m程度までが可能である。一方、表示装置115内での数10cmの内部配線であれば、高価な同軸ケーブルも短くてすみ、比較的単純なコネクタや回路で安価に実現できる。
【0035】
ここで、制御通信路に一般的に用いられる技術の例を掲げる。例えば、受信器10と表示装置115との間を接続するシステム制御信号線LS11は、一般的にRS−232C通信が用いられ、ケーブルにはミニD−SUB9ピンのコネクタが備わっている。RS−232Cの場合、線路長は比較的近距離で15mまで115.2kbps伝送が可能である。また、RS−422であれば1.5kmの長距離まで10Mbps伝送が可能である。RS−422と同様に長距離向きのRS−485を用いれば、複数の装置のバス接続も可能である。光ケーブルはさらに長距離が可能であるが、回路が高価である。一方、表示装置内での数10cmの内部配線であれば、単純なパラレルポートを用いたり、I2Cなどのシリアル通信を用いたりして、比較的単純な配線や回路で安価に実現できる。なお、リモコン118が有線か無線かは問題ではない。
【0036】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。なお、図4と同じ符号を付した構成物は基本的に図4で示した内容と同一であるため、説明を適宜省略する。
【0037】
図1に示すように、映像プレーヤ1は映像源として機能し、映像プレーヤ1から出力されるRGB3原色のベースバンド信号であるアナログ映像信号はアナログ映像信号線LA1を介して送信器5に伝送される。
【0038】
ホストコンピュータ3はシステム制御信号線LS1を介して制御信号と応答信号を授受する。送信器5は、主としてアナログ映像信号線LA1より得られるアナログ映像信号を差動アナログ映像信号に変換して長距離伝送線LL1(第1の長距離伝送線)に出力する。映像プレーヤ1及び送信器5は差動アナログ映像信号を長距離伝送線LL1を介して伝送する映像送信源として機能する。
【0039】
実施の形態1の表示装置30は、表示パネル16(所定の表示デバイス)、表示映像処理回路17、リモコン18、リモコン受信器19、MCU20、受信器31、送信器34、映像出力回路36及びシステム制御信号出力回路41を有している。
【0040】
制御部であるMCU20はリモコン制御線LR1を介してリモコン受信器19に接続され、表示制御バスBD1を介して表示映像処理回路17及び受信器31に接続され、システム制御信号線LS2を介して受信器31と接続され、システム制御信号線LS3を介して送信器34と接続され、システム制御信号線LS4を介してシステム制御信号出力回路41と接続される。システム制御信号線LS2〜LS4は内部配線用のコネクタケーブルからなる。
【0041】
受信器31は長距離伝送線LL11からの差動アナログ映像信号を受けて不平衡の不平衡アナログ映像信号に変換し、内部配線であるアナログ映像信号線LA2上に出力する。アナログ映像信号線LA2は内部配線用のコネクタケーブルからなる。アナログ映像信号線LA2には表示映像処理回路17、送信器34及び映像出力回路36が接続される。
【0042】
受信器31は内部に周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12を有している。周波数応答特性補正器11は主に長距離伝送線LL1によって減衰した周波数応答特性を補正し、遅延補正器12は長距離伝送線LL1を構成する4対のツイストペアケーブルが工業的に製造されているためにそれぞれに異なる線路長及び容量が主因と一般的に考えられている伝播遅延量の差を補正(調整)する。
【0043】
MCU20は受信器31に表示制御バスBD1によって内部的に容易に接続することができる。したがって、表示制御バスBD1を介することにより、周波数応答特性補正器11はMCU20からの周波数応答特性用の補正パラメータ(第1の補正パラメータ)に基づき上記補正処理を行い、同様にして遅延補正器12はMCU20からの遅延用の補正パラメータ(第2の補正パラメータ)に基づき上記補正処理を行うことができる。なお、周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12による補正処理は共に不平衡アナログ映像信号に変換された後に通常行われる。
【0044】
リモコン受信器19はリモコン18からの信号を受信し、リモコン制御線LR1を介してリモコン受信信号をMCU120に伝達する。MCU120は表示装置15の各構成要素(表示映像処理回路117等)を制御するメイン制御装置として機能する。なお、表示制御バスBD10はI2C形式等の表示制御信号線で構成される。
【0045】
表示パネル16は照明を備えた2次元液晶光学バルブ型表示デバイスに代表される表示パネルであり、表示映像処理回路17は表示パネル16の画素数と走査方式に併せて、受信器31よりアナログ映像信号線LA2を介して内部的に得られる不平衡アナログ映像信号をリサイズやスルーレートに代表されるスケール変換処理する。この際、表示映像処理回路17内の設定状況描画手段(OSD)21は、リモコン18で操作された内容(リモコン受信信号)に基づきMCU19が設定し描画した内容を表示制御バスBD10を介して取得し、この描画内容を当該不平衡アナログ映像信号により規定される映像に重畳表示する。なお、表示映像処理回路17は一般にスケーラと呼ばれる。
【0046】
送信器34はアナログ映像信号線LA2より不平衡アナログ映像信号を受け、平衡の差動アナログ映像信号に変換して、(出力用)差動アナログ映像信号として長距離伝送線LL2(第2の長距離伝送線)上に送信する。
【0047】
映像出力回路36はアナログ映像信号線LA2より不平衡アナログ映像信号を受け、この不平衡アナログ映像信号を外部にそのままベースバンドのアナログ信号として、またはデジタル映像信号に変換して映像信号線LV1上に出力する。すなわち、映像出力回路36は、不平衡映像信号として不平衡アナログ映像信号あるいは不平衡デジタル映像信号を映像信号線LV1上に出力する。
【0048】
システム制御信号出力回路41はシステム制御信号線LS4より受けたMCU20の制御内容を、システム制御信号線LS5を介して外部に出力する。
【0049】
表示装置37は長距離伝送の受信器を具備しない表示装置であり、表示パネル38、表示映像処理回路39及びMCU40を内部に有している。
【0050】
MCU40はシステム制御信号線LS5を介して得られる表示装置30のMCU20の制御信号に基づき、表示制御バスBD2で接続された表示映像処理回路39等の制御を行う。
【0051】
表示映像処理回路39は映像信号線LV1上より得られる映像信号をスケール変換処理して表示パネル38上に表示する。
【0052】
表示装置27用に外付けされている受信器26は長距離伝送線LL2に接続される。表示装置27は受信器26に接続され、内部に表示パネル28及び表示映像処理回路29を有する。
【0053】
このような構成において、表示装置30は、送信器5から長距離伝送線LL1を介して伝送された差動アナログ映像信号を内部の受信器31でベースバンド信号に変換する。
【0054】
このように、受信器31を表示装置30に内蔵したことによってMCU20から表示制御バス22を通じて、周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12用の上記第1及び第2の補正パラメータを直接設定して、補正処理が施されたベースバンドの不平衡アナログ映像信号をアナログ映像信号線LA2上に出力することができる。
【0055】
そして、アナログ映像信号線LA2上の不平衡アナログ映像信号が表示映像処理回路17によりスケール変換された後、表示パネル16において、映像プレーヤ1の映像がリモコン18やホストコンピュータ3で指定されたスケールサイズで表示される。
【0056】
また、受信器31からシステム制御信号線LS2がMCU20に入力し、MCU20からシステム制御信号線LS2及びLS3を介して制御信号が送信器34及びシステム制御信号出力回路41に適宜分配される。
【0057】
また、表示装置30内の送信器34から差動アナログ映像信号を外部の長距離伝送線LL2上に出力することにより、受信器26が隣接配置された表示装置27においても映像プレーヤ1の映像を受けて、表示パネル28に表示させることができる。
【0058】
さらに、表示装置30内の映像出力回路36から映像信号を外部の映像信号線LV1に出力し、システム制御出力回路41からMCU20の制御信号を出力することにより、長距離伝送の受信器を備えていない表示装置37においても、映像プレーヤ1の映像を受けて、ホストコンピュータ3またはリモコン18で操作した設定を反映したスケールサイズで表示させることができる。
【0059】
実施の形態1では、送信器34、映像出力回路36、及びシステム制御出力回路41とが表示装置30内部に設けられているため、送信器34、映像出力回路36及びシステム制御出力回路41を表示制御バスBD1相当のバスに接続してMCU20の制御下で各回路34,36,41の電源制御を行って省電力化を図ることができる。
【0060】
実施の形態1では、受信器31、送信器34、映像出力回路36及びシステム制御出力回路41がそれぞれ独立した回路として構成されて配線されているが、アナログ集積回路として同一回路に納めてもよい。
【0061】
実施の形態1では、システム制御信号線LS2〜LS4をMCU20から独立した信号線として構成して配線したが、RS−485等を用いて直接バス接続としてもよい。
【0062】
実施の形態1では、受信器31の周波数応答特性補正器11と遅延補正器12がハードウェア回路として構成されているが、周波数応答特性補正器11と遅延補正器12の処理内容が記述されたプログラムをメモリに格納し、コンピュータの演算処理装置(例えば、CPUやDSP)が当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0063】
実施の形態1では、送信器34、映像出力回路36、及び表示映像処理回路17を受信器31から得られる不平衡アナログ映像信号をアナログ映像信号線LA2を介して入力するように構成したが、受信器31の出力と各回路34,36,17との間に映像切り替え器(図示せず)を設ける対応が考えられる。すなわち、他の映像入力端子(図示せず)からの入力映像信号と、受信器31からの不平衡アナログ映像信号とを映像切り替え器が受け、MCU20からの表示制御バスBD1で適宜切り替えて、各回路34,36,17に出力するように構成してもよい。なお、上記映像入力端子の切り替えとシステム制御信号線LS2〜LS4を介したシステム制御信号の切り替えとの同時性は、問わない。
【0064】
このように、実施の形態1の表示装置30は、受信器31を内蔵することにより、MCU20との接続を内部の表示制御バスBD1を用いて行うことができ、表示映像処理回路17との接続を内部のアナログ映像信号線LA2を用いて行うことができる。その結果、図4で示した受信器10を表示装置115外に配置する構成に比べ、長距離伝送線LL11やアナログ映像信号線LA11、システム制御信号線LS11等の外部接続用の配線を不要にできる分、表示装置30を含む表示システム全体での減量化を図ることができる。
【0065】
また、実施の形態1の表示装置30は、長距離伝送線LL1より差動アナログ映像信号を受ける受信器31、及び長距離伝送線LL2より出力用の差動アナログ映像信号を送信する送信器34を内蔵したため、他の表示装置27との接続を長距離伝送線LL2のみを介して行うことができる。
【0066】
このため、実施の形態1の表示装置を含む表示システムの配線材料と作業コストを抑えることができる。また、受信器31は周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12を有しているため、実施の形態1の表示装置は適切な性能を発揮することができる。
【0067】
加えて、表示装置内部のMCU20の制御下で周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12用の(第1及び第2の)補正パラメータを設定することができるため、周波数応答特性補正器及び遅延補正器の補正内容の制御を容易に行うことができる。
【0068】
また、実施の形態1の表示装置は映像出力回路36を備えるため、受信器(26,31等)に相当する装置を備えていない他の表示装置38においても映像信号線LV1に接続することより、所定の映像送信源である映像プレーヤ1,送信器5から送信される差動アナログ映像信号に基づく映像表示を行うことができる。
【0069】
また、実施の形態1の構成の場合は、リモコン18の操作に応じてMPU20は、ホストコンピュータ3を介さずに、システム制御信号線LS3、送信器34、長距離伝送線LL2、受信器26の経路で次段の表示装置27を直接制御可能である。
【0070】
<実施の形態2>
図2はこの発明の実施の形態2である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。なお、図1あるいは図4と同じ符号を付した構成物は基本的に図1あるいは図4で示した内容と同一であるため、説明を適宜省略する。
【0071】
図2に示すように、実施の形態2の表示装置30Bにおいて、表示映像処理回路17BはOSD21に加え、(表示映像処理回路用)周波数応答特性補正器45を内蔵している点が、図1で示した実施の形態1の表示装置30の表示映像処理回路17と異なる。周波数応答特性補正器45は、MCU20からの周波数応答特性用の補正パラメータ(第5の補正パラメータ)に基づき周波数応答特性に関する補正処理を行う。
【0072】
このような構成において、受信器31の周波数応答特性補正器11の第1補正パラメータを手動であわせる際に、表示パネル16を参照して、表示画面の画質が適切になるようにしながら周波数応答特性補正器11の第1の補正パラメータを弱めに設定し、その代わりに表示パネル16を参照して周波数応答特性補正器45の周波数応答特性用の(第5の)補正パラメータを調整する。なお、第5の補正パラメータの調整は表示制御バスBD1を介してMCU20の制御下で行うことができる。
【0073】
このように、実施の形態2の表示装置30Bの表示映像処理回路17Bは周波数応答特性補正器45を含むため、表示パネル16上で映像表示させながら(第5の)補正パラメータに基づく周波数応答補正を行うことができる。
【0074】
<実施の形態3>
図3はこの発明の実施の形態3である表示装置を含み、差動アナログ映像信号の長距離伝送路を用いた表示システムの構成を示す説明図である。なお、図1あるいは図4と同じ符号を付した構成物は基本的に図1あるいは図4で示した内容と同一であるため、説明を適宜省略する。
【0075】
図3に示すように、実施の形態3の表示装置30Cでは、図1で示した実施の形態1の表示装置30内の送信器34に置き換えて分配器46を内蔵している。この分配器46は長距離伝送線LL1及び内部の差動アナログ映像信号線LF1を介して(出力用)差動アナログ映像信号を入力している。差動アナログ映像信号線LF1は分配器46の入力付近で分岐して終端している。
【0076】
分配器46は(分配器用)周波数応答特性補正器48及び(分配器用)遅延補正器49を内蔵しており、表示制御バスBD1を介してMCU20に接続される。周波数応答特性補正器48は主に長距離伝送線LL1及び差動アナログ映像信号線LF1によって減衰した周波数応答特性を補正する。遅延補正器49は長距離伝送線LL1を構成する4対のツイストペアケーブルの伝播遅延量の差を補正する。
【0077】
MCU20は分配器46に表示制御バスBD1によって内部的に容易に接続することができる。したがって、表示制御バスBD1を介することにより、周波数応答特性補正器48はMCU20からの周波数応答特性用の補正パラメータ(第3の補正パラメータ)に基づき上記補正処理を行い、同様にして遅延補正器49はMCU20からの遅延用の補正パラメータ(第4の補正パラメータ)に基づき上記補正処理を行うことができる。
【0078】
このような構成において、分配器46は差動アナログ映像信号線LF1から受けた差動アナログ映像信号を、直接にそのまま出力している。または、分配器46は、MCU20から表示制御バス22を通じて補正パラメータがそれぞれ調整された周波数応答特性補正器48及び遅延補正器49による補正処理(所定の補正処理)が施されて出力された、差動アナログ映像信号を長距離伝送線LL2を通じて次段の受信器26へ送信し、表示装置27による映像表示を可能にしている。
【0079】
なお、実施の形態3の構成の場合は、長距離伝送線LL1や長距離伝送線LL2にてシステム制御信号を送る信号線をRS−485に代表されるバス接続方式を用いる場合には、リモコン18の操作に応じてMPU20は、ホストコンピュータ3を介さずに、表示制御バスBD1、分配器46、長距離伝送線LL2、受信器26の経路で次段の表示装置27を直接制御可能である。
【0080】
実施の形態3の表示装置30Cは、長距離伝送線LL1より差動アナログ映像信号を受ける31、及び長距離伝送線LL2より出力用差動アナログ映像信号を分配する分配器46を内蔵したため、他の表示装置27との接続を長距離伝送線LL2のみを介して行うことができる。
【0081】
このため、実施の形態3の表示装置30Cを含む表示システムの配線材料と作業コストを抑えることができる。また、受信器31は周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12を有しているため、表示装置は適切な性能を発揮することができる。
【0082】
加えて、表示装置30C内部のMCU20の制御下で周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12用の(第1及び第2の)補正パラメータを設定することができるため、周波数応答特性補正器11及び遅延補正器12の補正内容の制御を容易に行うことができる。
【0083】
同様にして、表示装置30C内部のMCU20の制御下で(第3及び第4の)補正パラメータを設定することができるため、周波数応答特性補正器48及び遅延補正器49の補正内容の制御を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 映像プレーヤ、3 ホストコンピュータ、5、34 送信器、11,45,48 周波数応答特性補正器、12,49 遅延補正器、16,28,38 表示パネル、17,17B,29,39 表示映像処理回路、18 リモコン、19 リモコン受信器、20,40 MCU、21 OSD、27,30,30B,30C,37 表示装置、26,31 受信器、36 映像出力回路、41 システム制御信号出力回路、46 分配器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の映像送信源から送信される差動アナログ映像信号を第1の長距離伝送線を介して伝送する表示システムに用いられる表示装置であって、
前記第1の長距離伝送線上の前記差動アナログ映像信号を不平衡アナログ映像信号に変換する受信器を備え、前記受信器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第1の補正パラメータに基づき補正する周波数応答特性補正器と、第2の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する遅延補正器とを含み、
前記不平衡アナログ映像信号に基づき所定の表示デバイス上に映像表示する表示映像処理回路と、
前記受信器内の前記周波数応答特性補正器及び前記遅延補正器に対し、前記第1及び第2の補正パラメータを付与する制御部と、
前記不平衡アナログ映像信号を差動形式に変換して出力用差動アナログ映像信号を外部装置が接続可能な第2の長距離伝送線上に送信する送信器とをさらに備える、
表示装置。
【請求項2】
所定の映像送信源から送信される差動アナログ映像信号を第1の長距離伝送線を介して伝送する表示システムに用いられる表示装置であって、
前記第1の長距離伝送線上の前記差動アナログ映像信号を不平衡アナログ映像信号に変換する受信器を備え、前記受信器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第1の補正パラメータに基づき補正する周波数応答特性補正器と、第2の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する遅延補正器とを含み、
前記不平衡アナログ映像信号に基づき所定の表示デバイス上に映像表示する表示映像処理回路と、
前記受信器内の前記周波数応答特性補正器及び前記遅延補正器に対し、前記第1及び第2の補正パラメータを付与する制御部と、
前記差動アナログ映像信号に対し所定の補正処理を施して出力用差動アナログ映像信号として前記第2の長距離伝送線上に分配する分配器をさらに備え、前記分配器は、前記第1の長距離伝送線で減衰した周波数利得特性を第3の補正パラメータに基づき補正する分配器用周波数応答特性補正器と、第4の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する分配器用遅延補正器とを含み、前記所定の補正処理は前記分配器用周波数応答特性補正器及び前記分配器用遅延補正器による補正処理を含む、
表示装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2記載の表示装置であって、
前記不平衡アナログ映像信号に基づく不平衡映像信号を外部装置が接続可能な映像信号線上に出力する映像出力回路をさらに備え、前記不平衡映像信号は前記不平衡アナログ映像信号自体及び前記不平衡アナログ映像信号をデジタル変換した不平衡デジタル映像信号のうち少なくとも一つを含む、
表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうち、いずれか1項に記載の表示装置であって、
前記表示映像処理回路は、内部に第5の補正パラメータに基づき前記第1の長距離伝送線上での伝播遅延量を補正する、表示映像処理回路用周波数応答補正手段を含む、
の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−187176(P2010−187176A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29558(P2009−29558)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】