説明

表示装置

【課題】
フロントウィンドウに黒色系以外の印刷を施した場合でも、気泡の発生を抑え、フロントウィンドウと表示パネルなどとの接合を可能とした表示装置を提供すること。
【解決手段】
表示パネルと該表示パネルの表側に配置されたフロントウィンドウ(FW)とを有する表示装置において、該フロントウィンドウの裏面に印刷され、該表示パネルの表示領域の周囲に形成された厚みが20μm以上の色印刷部分20と、該色印刷部分に重ならないように、該色印刷部分の内側に配置され、該色印刷部分とほぼ同じ厚みを有する第1粘着膜31と、該色印刷部分20及び該第1粘着膜31を覆うように配置される第2粘着膜32とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に、フロントウィンドウを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤーなど、多くの携帯型の情報機器の表示装置に液晶モジュール(液晶表示装置)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの各種表示装置が利用されている。
【0003】
近年では、特許文献1に示すように、これらの表示装置には、表示パネルを保護するため、フロントウィンドウとして透明の保護カバーを貼り付けたハイブリッド構造が一般的となっている。また、図1に示すようなタッチパネル(TP)を備えた多機能な表示装置も提供され、表示パネルの表面側にタッチパネルやフロントウィンドウを順次貼り合わせる構造が提案されている。
【0004】
図1に示すタッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルガラス1に配線用のフレキシブル・プリント回路11が接続され、さらに必要に応じて、タッチパネルの動作を制御する電子部品12を設け、フレキシブル・プリント回路の他端には、インターフェース端子部13が形成されている。
【0005】
他方、フロントウィンドウ(FW)については、図2に示すように、フロントウィンドウの裏面には、表示パネルの画像表示領域を除き、印刷部分20が施されている。特に、液晶表示装置では、画像表示領域外からバックライト等の光が漏れないよう、当該印刷部分には黒色系の印刷が施されている。
【0006】
しかしながら、フロントウィンドウの印刷部分は、直接、利用者に観察される部分でもあるため、近年では黒色系以外の色でカラフルに印刷することが求められている。黒色系以外の色印刷では、漏れ光を防止するためには、印刷を黒色系の場合よりも厚くすることが不可欠となる。
【0007】
このようにフロントウィンドウに黒色系以外の色印刷部分を形成した場合には、図3及び4に示すように、フロントウィンドウ(FW)をタッチパネル(TP)又は表示パネルなどに貼り付ける際に、該色印刷部分20の近傍であって、粘着膜30とフロントウィンドウとの間(A)や、粘着膜30とタッチパネル(TP)などの間(B)には、気泡(粘着膜の欠損)が発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特願2009−085473号(出願日:2009年3月31日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、フロントウィンドウに黒色系以外の印刷を施した場合でも、気泡の発生を抑え、フロントウィンドウと表示パネルなどとの接合を可能とした表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、図5に示すように、フロントウィンドウに黒色系以外の色印刷部分20を設ける際に、黒色系による枠印刷部分21を設けることを考えた。これにより、印刷部分の厚みを薄い部分を形成し、この薄膜部分に粘着膜30が掛るように配置することを考えた。これにより、粘着膜には気泡は発生しないが、フロントウィンドウ(FW)の周辺部分に、タッチパネル(TP)や表示パネルなどと接合していない領域が、広く発生する原因となる。このため、フロントウィンドウとタッチパネルなどとの間で、剥離が生じ易くなり、新たな問題を生じることが判明した。
【0011】
本発明者らは、さらに工夫を重ね、以下に示すような特徴を有する表示装置を発明し、上述した課題の解決を図った。
(1) 表示パネルと該表示パネルの表側に配置されたフロントウィンドウとを有する表示装置において、該フロントウィンドウの裏面に印刷され、該表示パネルの表示領域の周囲に形成された厚みが20μm以上の色印刷部分と、該色印刷部分に重ならないように、該色印刷部分の内側に配置され、該色印刷部分とほぼ同じ厚みを有する第1粘着膜と、該色印刷部分及び該第1粘着膜を覆うように配置される第2粘着膜とを有することを特徴とする。
【0012】
(2) 上記(1)に記載の表示装置において、該色印刷部分に接触し、該色印刷部分の内側に形成された黒色系の枠印刷部分とを有し、該第1粘着膜は、該枠印刷部分に重なるが、該色印刷部分とは重ならないように、該色印刷部分の内側に配置されることを特徴とする。
【0013】
(3) 上記(2)に記載の表示装置において、該枠印刷部分の厚みは、10μm以下であることを特徴とする。
【0014】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表示装置において、該第2粘着膜には、タッチパネルが貼り付けられていることを特徴とする。
【0015】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の表示装置において、該表示パネルが液晶表示パネル又は有機エレクトロルミネッセンス表示パネルであり、該第2粘着層には、偏光板が貼り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のように、2つの粘着膜を利用することで、色印刷を施したフロントウィンドウであっても、気泡を発生させることなく、フロントウィンドウとタッチパネルなどを周囲部分まで接合できる表示装置を提供することが可能となる。また、薄い枠印刷部分を利用することで、色印刷部分と第1粘着膜との間に隙間が生じても、利用者には当該隙間が視認できず、表示装置の美観を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】タッチパネルの平面図である。
【図2】フロントウィンドウの平面図である。
【図3】フロントウィンドウとタッチパネルとを貼り合わせた場合の様子を示す平面図である。
【図4】図3の矢印X−X’における断面図である。
【図5】色印刷部分の内側に枠印刷部分を配置した例を示す断面図である。
【図6】本発明の表示装置を示す断面図である。
【図7】本発明の表示装置の組み立て方を説明する図である。
【図8】本発明の表示装置の他の組み立て方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る表示装置について、以下に詳細に説明する。図6は、本発明の表示装置の断面図を示す図である。
本発明の表示装置の特徴は、表示パネル(不図示)と該表示パネルの表側に配置されたフロントウィンドウ(FW)とを有する表示装置において、該フロントウィンドウの裏面に印刷され、該表示パネルの表示領域の周囲に形成された厚みが20μm以上の色印刷部分20と、該色印刷部分に重ならないように、該色印刷部分の内側に配置され、該色印刷部分とほぼ同じ厚みを有する第1粘着膜31と、該色印刷部分20及び該第1粘着膜31を覆うように配置される第2粘着膜32とを有することを特徴とする。
【0019】
第2粘着膜32の厚みに関しては、特に制約はないが、図6に示したように、第1粘着膜31よりも大きいサイズであり、貼り付けられるタッチパネル(TP)(タッチパネルガラス)よりは、小さいサイズであることが好ましい。
【0020】
また、色印刷部分20と第1粘着膜31との間には、可能な限り隙間を形成しないことが好ましい。このような隙間では、光が屈折し、表示画面の周囲への光漏れなどの不具合の原因となる。このような不具合を解消する方法として、図6に示すように枠印刷部分21を形成することも可能である。
【0021】
枠印刷部分21は、色印刷部分20に接触し、該色印刷部分の内側に形成されている。色は、黒色系が好ましく、当該枠印刷部分の厚みは、10μm以下とすることが必要である。また、枠印刷部分に重なるように第1粘着膜が配置されるため、枠印刷部分を厚くすると、色印刷部分と同様に、気泡が発生する原因となる。
【0022】
フロントウィンドウ(FW)とタッチパネル(TP)などとの貼り付けは、図7又は図8のような組み立て手順を採用することができる。図7は、フロントウィンドウ側に、予め2つの粘着膜を貼り付けておき、最後にタッチパネル(TP)と接合させる方法である。図8は、フロントウィンドウ側に第1粘着膜31を、タッチパネル側に第2粘着膜32を、各々貼り付け、最後に両者を貼り合わせる方法である。基本的には、いずれの方法も採用可能であるが、組立の途中で失敗した場合のやり直しを考慮すると、タッチパネルの価格がフロントウィンドウよりも高いため、図7のように最終段階でタッチパネルを貼り付ける方が、製造コストの増加を抑制することが可能である。
【0023】
フロントウィンドウに貼り付けるものとして、タッチパネルを例に説明したが、本発明の表示装置は、これに限らず、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置に利用される偏光板であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明によれば、フロントウィンドウに黒色系以外の印刷を施した場合でも、気泡の発生を抑え、フロントウィンドウと表示パネルなどとの接合を可能とした表示装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
20 色印刷部分
21 枠印刷部分
31 第1粘着膜
32 第2粘着膜
FW フロントウィンドウ
TP タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと該表示パネルの表側に配置されたフロントウィンドウとを有する表示装置において、
該フロントウィンドウの裏面に印刷され、該表示パネルの表示領域の周囲に形成された厚みが20μm以上の色印刷部分と、
該色印刷部分に重ならないように、該色印刷部分の内側に配置され、該色印刷部分とほぼ同じ厚みを有する第1粘着膜と、
該色印刷部分及び該第1粘着膜を覆うように配置される第2粘着膜とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
該色印刷部分に接触し、該色印刷部分の内側に形成された黒色系の枠印刷部分とを有し、
該第1粘着膜は、該枠印刷部分に重なるが、該色印刷部分とは重ならないように、該色印刷部分の内側に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、該枠印刷部分の厚みは、10μm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置において、該第2粘着膜には、タッチパネルが貼り付けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置において、該表示パネルが液晶表示パネル又は有機エレクトロルミネッセンス表示パネルであり、該第2粘着層には、偏光板が貼り付けられていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−221371(P2011−221371A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91925(P2010−91925)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】