説明

表示装置

【課題】 本発明では、配線における電圧降下に起因した表示ムラ、若しくはTFTの特
性ばらつきに起因した表示ムラを抑制し、また高精細な表示を可能とする表示装置を提供
することを課題とする。
【解決手段】 本発明の表示装置は、映像信号を伝達するための第1の配線と、発光素子
に電流を供給するための第2の配線とを有し、前記第1の配線と前記第2の配線とは互い
に平行に延びており、絶縁膜を挟んで、少なくとも一部が重なるように形成されているこ
とを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型の表示装置に関し、特に発光素子を備えたアクティ
ブマトリクス型の表示装置の配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ市場への参入を目的として、大型のエレクトロルミネッセンス(以後、E
Lと略記)表示装置の開発が進んでいる。
【0003】
ここで、表示装置の大型化に伴い配線長が増大すると、電圧降下が生じるという問題が
ある。電圧降下が生じると、EL素子に掛かる電圧が場所ごとに変わるため、表示ムラを
引き起こしてしまうという問題がある。
【0004】
上記の問題を解決するために、配線の膜厚を厚くした場合、成膜やエッチング等の工程
に多大な負担がかかる。また、配線の線幅を長くした場合も、基板上において配線が占め
る面積比率が大きくなり、高精細な表示装置を作製することが困難となる。
【0005】
また、表示装置が大型化すると、特にアクティブマトリクス型の表示装置に置いては、
EL素子に電気的信号を伝達するための薄膜トランジスタ(以後、TFTという)の基板
面内での特性ばらつきが大きくなり、表示ムラを生じる要因となる。
【0006】
TFTの特性ばらつきに起因した表示ムラを低減するための試みは、主にEL素子を駆
動するための回路構成を工夫することにより行われている(例えば、特許文献1)。しか
しながら、TFTの特性ばらつきを補償するための回路を設けることにより、基板面内に
おける当該回路の占有率が高くなり、画素部の開口率が低くなるといった問題が生じる。
【0007】
以上のように、表示装置の高精細化と、配線における電圧降下又はTFTの特性ばらつ
きに起因した表示ムラの抑制を両立することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−5710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の問題を鑑み、本発明では、配線における電圧降下に起因した表示ムラを抑制でき
、また高精細な表示装置を提供することを課題とする。また、TFTの特性ばらつきに起
因した表示ムラを抑制し、また高精細な表示を可能とする表示装置を提供することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示装置は、映像信号を伝達するための第1の配線と、発光素子に電流を供給
するための第2の配線とを有し、前記第1の配線と前記第2の配線とは互いに平行に延び
ており、絶縁膜を挟んで、少なくとも一部が重なるように形成されていることを特徴とし
ている。なお、発光素子は、一対の電極間に発光層が挟まれた構成と成っている。
【0011】
第1の配線が第2の配線よりも上層となるように重なってもよいし、若しくは第1の配
線が第2の配線よりも下層となるように重なってもよい。
【0012】
第1の配線と第2の配線とは必ずしも全ての領域が重なっている必要はなく、一部のみ
が重なっていてもよい。
【0013】
なお、発光素子の電極は、第1の配線又は第2の配線のうち、上層に形成された方の配
線と、同じ層で形成してもよい。このような構成とすることにより、画素電極(一対にな
っている発光素子の電極のうち、発光素子に信号を伝達するための回路と接続している側
の電極)形成の際、新たに絶縁膜を設ける必要がなくなり、成膜工程やコンタクトホール
開孔などの工程が簡略化される。
【0014】
上記のような構成とすることにより、第2の配線の線幅を長くして電圧降下を抑制する
場合において、第1の配線により占有される面の上方部又は下方部を有効に活用しながら
線幅を長くすることができる。従って、第2の配線の線幅の増加に起因した開口率の低下
を、極力低く抑えることができる。また、第1の配線と第2の配線が異なる層で形成され
ていることにより、第1の配線と第2の配線との間で生じる短絡を低減することもできる

【0015】
また本発明の表示装置は、映像信号を伝達するための第1の配線と、発光素子に電流を
供給するための第2の配線と、前記第1の配線及び前記第2の配線と平行に延びた第3の
配線とを有し、前記第1の配線と前記第2の配線とは、同じ層で形成されており、前記第
3の配線は、前記第1の配線及び前記第2の配線よりも上層又は下層に、絶縁膜を挟んで
、前記第1の配線又は前記第2の配線と、少なくとも一部が重なるように形成されており
、前記第2の配線と第3の配線とは接続していることを特徴としている。
【0016】
第1及び第2の配線が、第3の配線よりも上層となるように重なってもよいし、若しく
は第1および第2の配線が、第3の配線よりも下層となるように重なってもよい。
【0017】
なお、発光素子の電極は、第1の配線又は第3の配線のうち、上層に形成された方の配
線と、同じ層で形成してもよい。このような構成とすることにより、画素電極形成の際、
新たに絶縁膜を設ける必要がなくなり、成膜工程やコンタクトホール開孔などの工程が簡
略化される。
【0018】
上記のように、第1の又は第2の配線と、少なくとも一部が重なる第3の配線を設ける
ことにより、第1の又は第2の配線により占有される面の上方部又は下方部を有効に活用
しながら第2の配線の電圧降下を抑制することができる。
【0019】
本発明の表示装置は、映像信号を伝達するための第1の配線と、発光素子に電流を供給
するための第2の配線と、前記第1の配線及び前記第2の配線と平行に延びた第3の配線
とを有し、前記第1の配線と前記第2の配線とは、絶縁膜を挟んで、少なくとも一部が重
なるように形成されており、前記第3の配線は、絶縁膜を挟んで、前記第1又は第2の配
線のいずれかひとつと、少なくとも一部が重なるように形成されており、前記第2の配線
と前記第3の配線とは接続していることを特徴としている。
【0020】
第1の配線が第2の配線よりも上層となるように重なってもよいし、若しくは第1の配
線が第2の配線よりも下層となるように重なってもよい。
【0021】
また第1の配線と第2の配線とは必ずしも全ての領域が重なっている必要はなく、一部
のみが重なっていてもよい。
【0022】
第3の配線は、第1の配線よりも上層となるように重なってもよいし、若しくは第1の
配線よりも下層となるように重なってもよい。また、第2の配線よりも上層となるように
重なってもよいし、若しくは第2の配線よりも下層となるように重なってもよい。
【0023】
なお、発光素子の電極は、第1の配線又は第2の配線又は第3の配線のうち最上層に形
成された配線と、同じ層で形成してもよい。このような構成とすることにより、画素電極
形成の際、新たに絶縁膜を設ける必要がなくなり、成膜工程やコンタクトホール開孔など
の工程が簡略化される。
【0024】
上記のような構成とすることにより、第2の配線において生じる電圧降下をより低減す
ることができる。
【0025】
以上のように、本発明を適用することにより、発光素子へ電流を供給するための配線の
電圧降下に起因した表示ムラを抑制し、高画質・高精細な表示装置を作製できる。
【0026】
本発明の別の構成は、発光素子と、前記発光素子に流れる電流値を決定するための第1
のトランジスタと、映像信号によって前記発光素子の発光・非発光を決定する第2のトラ
ンジスタと、前記映像信号の入力を制御する第3のトランジスタと、前記映像信号に関わ
らず、前記発光素子を非発光状態にする第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタ
に接続し、前記映像信号を伝達するための第1の配線と、前記第2のトランジスタに接続
し、前記第1及び第2のトランジスタを介して前記発光素子に電流を供給するための第2
の配線と、前記第1のトランジスタのゲート電極に接続する第3の配線とを有し、前記第
1の配線と前記第2の配線と前記第3の配線とは、互いに平行に延びており、また前記第
1の配線と前記第3の配線とは、同じ層で形成されており、さらに、第1の配線及び第3
の配線と、第2の配線とは、絶縁膜を挟んで、少なくとも一部が重なるように形成されて
いることを特徴としている表示装置である。
【0027】
以上の構成とすることにより、TFTの特性ばらつきに起因した表示ムラを抑制し、さ
らに発光素子に電流を供給するための配線の電圧降下に起因した表示ムラを抑制すること
ができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、配線における電圧降下に起因した表示ムラを低減した、高画質・高精細
な表示装置を得ることができる。また、配線における電圧降下に起因した表示ムラと、ト
ランジスタの特性ばらつきに起因した表示ムラの両方を低減した、高画質・高精細な表示
装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一態様について説明する図。
【図2】画素部の回路について示す図。
【図3】本発明の一態様について説明する図。
【図4】画素部の回路について示す図。
【図5】本発明の一態様について説明する図。
【図6】外部回路とパネルの概要を示す図。
【図7】信号線駆動回路の一構成例を示す図。
【図8】本発明を適用した電子機器の一例を示す図。
【図9】本発明の一態様について説明する図。
【図10】本発明の一態様について説明する図。
【図11】本発明の一態様について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一態様について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異
なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から 逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の一態様について図1を用いて説明する。
【0031】
図1は、本発明を適用した表示装置の画素部の上面図である。また図9は図1のA−A
’における断面図である。
【0032】
図1において、映像信号を伝達するための配線としてソース信号線101(101a、
101b)、発光素子に電流を供給するための配線として電流供給線104(104a、
104b)が設けられている。ソース信号線101と電流供給線104とは、絶縁膜を挟
んで異なる層に、重なって形成されている。また互いに平行に延びている。なお、本実施
の形態においては、ソース信号線101の全体と電流供給線104とが重なっているが、
ソース信号線101の一部と電流供給線104の一部とが重なるような構造であってもよ
い。いずれにしろ、ソース信号線の上方部を活用して、電流供給線104の線幅を長くす
ることができる。また、本実施の形態においては、ソース信号線101よりも上層に電流
供給線104が設けられているが、これに限らず、ソース信号線よりも下層に電流供給線
が設けられた構造としてもよい。
【0033】
また、画素部には、ソース信号線101及び電流供給線104以外に、映像信号によっ
て前記発光素子の発光・非発光を決定する駆動用TFT110と、前記映像信号の入力を
制御するスイッチング用TFT111と、前記映像信号に関わらず、前記発光素子を非発
光状態にする消去用TFT112とが設けられている。
【0034】
本実施の形態では、電流供給線104は、ソース信号線101と同じ層に設けられた導
電膜120(120a、120b)を介して、駆動用TFT110に接続している。また
第1のゲート信号線102の一部がスイッチング用TFT111のゲート電極として機能
する。また、第2のゲート信号線103(103a、103b)の一部が消去用TFT1
12のゲート電極として機能する。さらに、駆動用TFT110はソース信号線101と
同じ層に設けられた導電膜121(121a、121b)を介して、発光素子の第1の電
極130(130a、130b、130c)と接続している。図1では図示していないが
、発光素子の第1の電極130が露出するように開口部が設けられた隔壁層、及び電界発
光層、発光素子の第2の電極が形成されている。発光素子の第1の電極130と、電界発
光層と、発光素子の第2の電極とが積層した部分は発光素子として機能する。
【0035】
図9において、51は電流供給線、52はソース信号線、53は発光素子の第1の電極
、54は発光素子、55は半導体層、56はゲート電極、57は隔壁層、58,59は絶
縁膜、60は保護膜、61は発光素子の第2の電極である。
【0036】
本実施の形態に示した画素部の回路構成は、図2の回路図のようになっている。本実施
の形態では、駆動用TFT210と、スイッチング用TFT211と、消去用TFT21
2とが設けられた構成となっているが、これに限らず、例えば、駆動用TFT210と、
スイッチング用TFT211のみからなる回路構成としてもよいし、上記以外のTFT又
は配線を設けた回路構成としてもよい。いずれにしろ、回路構成は、本実施の形態に示し
たものには限定されものではない。
【0037】
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタ(TFT)を用いているが、これに限らず
、例えばバルクのシリコンウエハやSOI(Silicon On Insulator)を用いて形成した
トランジスタであってもよい。トランジスタの構造に関しても、シングルゲート構造でも
よいし、あるいは複数のゲートを備えたマルチゲート構造でもよい。またトップゲート型
の構造でもよいし、ボトムゲート型のものでもよい。
【0038】
本発明を適用することにより、ソース信号線により占有される面の上方部又は下方部を
有効に活用しながら電流供給線の線幅を長くし、電流供給線の電圧降下を抑制することが
できる。従って、特に下面発光型若しくは両面発光型の表示装置に於いて、電流供給線の
線幅の増加に起因した開口率の低下を、極力低く抑えることができる。これにより、電圧
降下に起因した表示ムラが少なく、また高精細な表示が可能な表示装置を作製できる。ま
た、ソース信号線と電流供給線が異なる層で形成されていることにより、ソース信号線と
電流供給線との間で生じる短絡を低減することができ、高画質な表示装置を作製できる。
また表示装置製造の歩留まりが向上する。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の一態様について図3を用いて説明する。
【0040】
図3は、本発明を適用した表示装置の画素部の上面図である。また図10は図3のA−
A’における断面図である。
【0041】
図3において、映像信号を伝達するための配線としてソース信号線301(301a、
301b)、発光素子に電流を供給するための配線として電流供給線304(304a、
304b)が設けられている。ソース信号線301と電流供給線304とは、同じ層に形
成されており、互いに平行に延びている。さらに、ソース信号線301と電流供給線30
4の上には、絶縁膜を挟んで、ソース信号線301又は電流供給線304と平行に延びた
配線305が形成されている。また配線305と電流供給線304とは、接続孔を介して
接続している。なお、本実施の形態においては、ソース信号線301の一部と電流供給線
304全体とが、配線305と重なっている。しかし、これに限らず、ソース信号線の一
部と電流供給線の一部とが該配線と重なるような構造であってもよいし、若しくはソース
信号線全体と電流供給線全体とが該配線と重なるような構造であってもよい。いずれにし
ろ、電流供給線304の上方部を活用して、電流供給線304と接続する配線305を設
けることで、電流供給線304の電圧降下を抑制することができる。また、本実施の形態
においては、ソース信号線301および電流供給線304よりも上層に配線305が設け
られているが、これに限らず、配線305が、ソース信号線301および電流供給線30
4よりも下層に設けられた構造としてもよい。
【0042】
また、画素部には、ソース信号線301及び電流供給線304以外に、映像信号によっ
て前記発光素子の発光・非発光を決定する駆動用TFT310と、前記映像信号の入力を
制御するスイッチング用TFT311と、前記映像信号に関わらず、前記発光素子を非発
光状態にする消去用TFT312とが設けられている。
【0043】
図10において、30は電流供給線、31は配線、32はソース信号線、33は発光素
子の第1の電極、34は発光素子、35は半導体層、36はゲート電極、37は隔壁層、
38,39は絶縁膜、40は保護膜、41は発光素子の第2の電極である。
【0044】
本実施の形態では、第1のゲート信号線102の一部がスイッチング用TFT311の
ゲート電極として機能する。また、第2のゲート信号線303の一部が消去用TFT31
2のゲート電極として機能する。さらに、駆動用TFT310はソース信号線301と同
じ層に設けられた導電膜321(321a、321b)を介して、発光素子の第1の電極
330(330a、330b、330c)と接続している。図1では図示していないが、
発光素子の第1の電極330が露出するように開口部が設けられた隔壁層、及び電界発光
層、発光素子の第2の電極が形成されている。発光素子の第1の電極330と、電界発光
層と、発光素子の第2の電極とが積層した部分は発光素子として機能する。
【0045】
本実施の形態に示した画素部の回路構成は、図2の回路図のようになっている。本実施
の形態では、駆動用TFT210と、スイッチング用TFT211と、消去用TFT21
2とが設けられた構成となっているが、これに限らず、例えば、駆動用TFT210と、
スイッチング用TFT211のみからなる回路構成としてもよいし、上記以外のTFT又
は配線を設けた回路構成としてもよい。いずれにしろ、回路構成は、本実施の形態に示し
たものには限定されものではない。
【0046】
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタ(TFT)を用いているが、これに限らず
、例えばバルクのシリコンウエハやSOI(Silicon On Insulator)を用いて形成した
トランジスタであってもよい。トランジスタの構造に関しても、シングルゲート構造でも
よいし、あるいは複数のゲートを備えたマルチゲート構造でもよい。またトップゲート型
の構造でもよいし、ボトムゲート型のものでもよい。
【0047】
本発明を適用することにより、ソース信号線により占有される面の上方部又は下方部を
有効に活用しながら電流供給線の線幅を長くし、電流供給線の電圧降下を抑制することが
できる。従って、特に下面発光型若しくは両面発光型の表示装置に於いて、電流供給線の
線幅の増加に起因した開口率の低下を、極力低く抑えることができる。これにより、電圧
降下に起因した表示ムラが少なく、また高精細な表示が可能な表示装置を作製できる。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態1又は実施の形態2で示した表示装置では、電流供給線104又は配線30
5と、発光素子の第1の電極130又は330とは同じ層で設けられている。
【0049】
しかし、これに限らず、発光素子の第1の電極130,330を、絶縁膜を挟んで、電
流供給線104又は配線305よりも上層に設けた構造としてもよい。このような構造と
することにより、特に上面発光型の表示装置に於いては、開口部の設計に対する自由度が
上がり、開口率が向上する。
【0050】
また、表示装置の製造工程に於いては、発光素子の第1の電極130や330を形成す
るための透明導電膜を成膜後の平坦化工程が容易になる場合がある。
【実施例1】
【0051】
本実施例では、本発明を適用した表示装置の画素部の構成および駆動方法について説明
する。
【0052】
図4において、映像信号を伝達するための配線としてソース信号線701(701a、
701b)、発光素子に電流を供給するための配線として電流供給線704(704a、
704b)が設けられている。ソース信号線701と電流供給線704とは、絶縁膜を挟
んで異なる層に、重なって形成されている。また互いに平行に延びている。さらに、ソー
ス信号線701と同じ層で、ソース信号線701と平行に延びた電源線705が設けられ
ている。ソース信号線701及び電源線705の全体と、電流供給線704とが重なって
おり、ソース信号線701及び電源線705の上方領域を活用して、線幅が十分に長く、
電圧降下が抑制された電流供給線704が形成されている。
【0053】
なお、本実施例では、ソース信号線701及び電源線705よりも下層に電流供給線7
04が設けられているが、これに限らず、ソース信号線よりも上層に電流供給線が設けら
れた構造としてもよい。また、電流供給線が、ソース信号線又は電源線の一部のみと重な
る構造であってもよい。
【0054】
画素部には、ソース信号線701及び電流供給線704以外に、発光素子に流れる電流
値を決定するための電流制御用TFT711と、映像信号によって前記発光素子の発光・
非発光を決定する駆動用TFT710と、前記映像信号の入力を制御するスイッチング用
TFT712と、前記映像信号に関わらず、前記発光素子を非発光状態にする消去用TF
T713とが設けられている。電流制御用TFT711は、そのL/W(チャネル長/チ
ャネル幅)が駆動用TFT710よりも大きくなるよう設計されており、活性層が曲がり
くねった形状をしている。
【0055】
なお、図11は図4のA−A’における断面図である。図11において、絶縁膜18,
19は有機膜で形成されている。また、絶縁膜18の上にはスパッタ法により形成された
窒化膜が設けられている。なお、絶縁膜18,19は有機膜以外に酸化珪素膜などの無機
膜を用いて形成しても構わない。
【0056】
ソース信号線704は、電流供給線701と同じ層に設けられた導電膜720(720
a、720b)を介して、スイッチングTFT712に接続している。また第1のゲート
信号線702の一部がスイッチング用TFT712のゲート電極として機能する。また、
第2のゲート信号線703の一部が消去用TFT713のゲート電極として機能する。さ
らに、電源線705は、電流制御用TFT711のゲート電極に接続している。そして電
流制御用TFT711はソース信号線101と同じ層に設けられた導電膜720を介して
、発光素子の第1の電極730(730a、730b、730c)と接続している。発光
素子の第1の電極730と電流供給線701とは、同じ層で形成されている。図4では図
示していないが、発光素子の第1の電極730が露出するように開口部が設けられた隔壁
層、及び電界発光層、陰極が形成されている。発光素子の第1の電極730と、電界発光
層と、発光素子の第2の電極とが積層した部分は発光素子として機能する。
【0057】
図11において、10は電流供給線、11は電源線、12はソース信号線、13は発光
素子の第1の電極、14は発光素子、15は半導体層、16はゲート電極、17は隔壁層
、18,19は絶縁膜、20は保護膜、21は発光素子の第2の電極である。
【0058】
本実施例の画素部の回路構成は、図5の回路図のようになっている。
【0059】
図5では駆動用TFT811および電流制御用TFT810をpチャネル型トランジス
タとし、電流制御用TFT810のドレインと発光素子840の陽極とを接続している。
本実施例では、発光素子の第1の電極730が陽極として機能し、発光素子の第2の電極
が陰極として機能する。逆に駆動用TFT811および電流制御用TFT810をnチャ
ネル型TFTとするならば、電流制御用TFT810のソースと発光素子840の陰極と
を接続する。この場合、発光素子の第1の電極730が陰極として機能し、発光素子の第
2の電極が陽極として機能する。
【0060】
次に、図5に示した画素の駆動方法について説明する。図5に示す画素は、その動作を
書き込み期間、保持期間とに分けて説明することができる。まず書き込み期間において第
1のゲート信号線802が選択されると、第1のゲート信号線802にゲートが接続され
ているスイッチング用TFT812がオンになる。そして、ソース信号線801に入力さ
れた映像信号が、スイッチング用TFT812を介して駆動用TFT811のゲートに入
力される。なお、電流制御用TFT810はゲートが電源線805に接続されているため
、常にオン状態である。
【0061】
映像信号によって駆動用TFT811がオンになる場合は、電流供給線804を介して
電流が発光素子840に供給される。このとき駆動用TFT811は線形領域で動作して
いるが、発光素子840に流れる電流は、飽和領域で動作する電流制御用TFT810と
発光素子840の電圧電流特性によって決まる。そして発光素子840は、供給される電
流に見合った輝度で発光する。
【0062】
また映像信号によって電流制御用TFT810がオフになる場合は、発光素子840へ
の電流の供給は行なわれず、発光素子840は発光しない。
【0063】
保持期間では、第1のゲート信号線802の電位を制御することでスイッチング用TF
T812をオフにし、書き込み期間において書き込まれた映像信号の電位を保持する。書
き込み期間において駆動用TFT811をオンにした場合、映像信号の電位は容量素子8
14によって保持されているので、発光素子840への電流の供給は維持されている。逆
に、書き込み期間において駆動用TFT811をオフにした場合、発光素子840への電
流の供給は行なわれていない。なお、本実施例では容量素子814を設けた回路になって
いるが、特に設けなくてもよい。
【0064】
消去期間では、第2のゲート信号線803が選択されて消去用TFT813がオンにな
り、電流供給線804の電位が消去用TFT813を介して駆動用TFT811のゲート
に与えられる。よって、駆動用TFT811がオフになるため、発光素子840に強制的
に電流が供給されない状態を作り出すことができる。
【0065】
上記構成により、駆動用TFT811は飽和領域で動作する。このため電流制御用TF
T810のソース・ドレイン間電圧(Vds)に対するドレイン電流の変動は小さく、駆
動用TFT811のゲート・ソース間電圧(Vgs)の僅かな変動は、発光素子840に
流れる電流に影響しない。発光素子840に流れる電流は飽和領域で動作する電流供給用
TFT810により決定される。よって、電流制御用TFT810のゲート・ソース間に
設けられた容量素子814まの容量を大きくしたり、スイッチング用TFT812のオフ
電流を低く抑えなくても、発光素子840に流れる電流に影響しない。また、駆動用TF
T811のゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、TFTの特性ばらつ
き等に起因した輝度ばらつきが減り、表示ムラを低減することができる。
【0066】
本実施例に於いて、発光素子840は、発光素子の第1の電極730及び発光素子の第
2の電極は透明導電膜で形成されている。従って、上面及び下面(電界発光層を中心とし
て、TFTが形成された側を下面、その反対側を上面という。)の両側から光を採光する
ことができる。但し、これに限らず、上面のみ、若しくは下面のみから採光できる構造の
表示装置としてもよい。
【0067】
本発明を適用することにより、ソース信号線及び電源線により占有される面の下方部を
有効に活用しながら電流供給線の線幅を長くし、電流供給線の電圧降下を抑制することが
できる。従って、本実施例のように、下面側から採光する型の表示装置に於いて、電流供
給線の線幅の増加に起因した開口率の低下を、極力低く抑えることができる。これにより
、電圧降下に起因した表示ムラが少なく、また高精細な表示が可能な表示装置を作製でき
る。さらに、本実施例に示したような回路構成を有することにより、TFTの特性ばらつ
きに起因した表示ムラも低減でき、非常に高画質な表示画像を得ることができる。
【実施例2】
【0068】
本実施例では、実施例1で示した画素部を有するアクティブマトリクス型の表示装置の
構成及び駆動について説明する。
【0069】
図6に外部回路のブロック図とパネルの概略図を示す。
【0070】
図6に示すように、本発明を適用したアクティブマトリクス型表示装置は外部回路30
04及びパネル3010を有する。外部回路3004はA/D変換部3001、電源部3
002及び信号生成部3003を有する。A/D変換部3001はアナログ信号で入力さ
れた映像データ信号をデジタル信号に変換し、信号線駆動回路3006へ供給する。電源
部3002はバッテリーやコンセントより供給された電源から、それぞれ所望の電圧値の
電源を生成し、信号線駆動回路3006、走査線駆動回路3007、OLED素子301
1、信号生成部3003等に供給する。信号生成部3003には、電源、映像信号及び同
期信号等が入力され、各種信号の変換を行う他、信号線駆動回路3006及び走査線駆動
回路3007を駆動するためのクロック信号等を生成する。
【0071】
外部回路3004からの信号及び電源はFPCを通し、パネル3010内のFPC接続
部3005から内部回路等に入力される。
【0072】
また、パネル3010はガラス基板3008上に、FPC接続部3005、内部回路が
配置され、また、OLED素子3011を有する。内部回路は信号線駆動回路3006、
走査線駆動回路3007及び画素部3009を有する。図6には例として実施形態1に記
載の画素を採用しているが、前記画素部3009に本発明の実施形態に挙げたいずれかの
画素構成を採用することができる。
【0073】
基板中央には画素部3009が配置され、その周辺には、信号線駆動回路3006及び
走査線駆動回路3007が配置されている。OLED素子3011及び、前記発光素子の
対向電極は画素部3009全体面に形成されている。
【0074】
より詳しく、図7に信号線駆動回路3006のブロック図を示す。
【0075】
信号線駆動回路3006はD−フリップフロップ4001を複数段用いてなるシフトレ
ジスタ4002、データラッチ回路4003、ラッチ回路4004、レベルシフタ400
5及びバッファ4006等を有する。
【0076】
入力される信号はクロック信号線(S−CK)、反転クロック信号線(S−CKB)、
スタートパルス(S−SP)、デジタル映像信号(DATA)及びラッチパルス(Lat
chPulse)とする。
【0077】
まず、クロック信号、クロック反転信号及びスタートパルスのタイミングに従って、シ
フトレジスタ4002より、順次サンプリングパルスが出力される。サンプリングパルス
はデータラッチ回路4003へ入力され、そのタイミングで、デジタル映像信号を取り込
み、保持する。この動作が一列目から順に行われる。
【0078】
最終段のデータラッチ回路4003においてデジタル映像信号の保持が完了すると、水
平帰線期間中にラッチパルスが入力され、データラッチ回路4003において保持されて
いるデジタル映像信号は一斉にラッチ回路4004へと転送される。その後、レベルシフ
タ4005においてレベルシフトされ、バッファ4006において整形された後、信号線
S1からSnへ一斉に出力される。その際、走査線駆動回路3007によって選択された
行の画素へ、Hレベル、Lレベルが入力され、OLED素子3011の発光、非発光を制
御する。
【0079】
本実施例にて示したアクティブマトリクス型表示装置はパネル3010と外部回路30
04が独立されているが、これらを同一基板上に一体形成して作製してもよい。また、表
示装置は例として、OLEDを使用したものとしたが、OLED以外の発光素子を利用し
た発光装置でもよい。また、信号線駆動回路3006内にレベルシフタ4005及びバッ
ファ4006が無くてもよい。
【実施例3】
【0080】
本実施例においては、本発明を適用した電子機器について説明する。本発明を適用した
表示装置は、様々な電子機器に搭載して高画質・高精細な表示を得ることができる。また
テレビなどの大型の表示装置のみならず、携帯電話などの小型の電子機器にも搭載するこ
とができる。
【0081】
図8(A)は表示装置であり、筐体5501、支持台5502、表示部5503を含む
。本発明は表示部5503を有する表示装置に適用が可能である。
【0082】
図8(B)はビデオカメラであり、本体5511、表示部5512、音声入力5513
、操作スイッチ5514、バッテリー5515、受像部5516などによって構成されて
いる。
【0083】
図8(C)は、本発明を適用して作製したコンピュータであり、本体5501、筐体5
502、表示部5503、キーボード5504などによって構成されている。
【0084】
図8(D)は、本発明を適用して作製した携帯情報端末(PDA)であり、本体553
1には表示部5532と、外部インターフェイス5535と、操作ボタン5534等が設
けられている。また操作用の付属品としてスタイラス5532がある。
【0085】
図8(E)はデジタルカメラであり、本体5551、表示部(A)5552、接眼部5
553、操作スイッチ5554、表示部(B)5555、バッテリー5556などによっ
て構成されている。
【0086】
図8(F)は、本発明を適用して作製した携帯電話である。本体5561には表示部5
564と、音声出力部5562操作スイッチ5565、アンテナ5566等が設けられて
いる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタ上に第1の絶縁膜を有し、
前記第1の絶縁膜上に第1の配線を有し、
前記第1の配線上に第2の絶縁膜を有し、
前記第2の絶縁膜上に第2の配線及び画素電極を有し、
前記第1の配線と前記第2の配線とは、互いに平行に延びており、且つ、重なっており、
前記トランジスタのゲートは前記第1の配線及び前記第2の配線と重なっており、
前記トランジスタのソースまたはドレインの一方は前記第2の配線と電気的に接続されており、
前記トランジスタのソースまたはドレインの他方は前記画素電極と電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の配線と前記画素電極が同じ層に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記トランジスタは、活性層が曲がりくねった形状であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
発光素子、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、容量素子、第1の配線、第2の配線、第3の配線、第4の配線及び第5の配線を有し、
前記第1のトランジスタ乃至前記第4のトランジスタ、前記第4の配線及び前記第5の配線上に第1の絶縁膜を有し、
前記第1の絶縁膜上に前記第3の配線を有し、
前記第3の配線上に前記第2の絶縁膜を有し、
前記第2の絶縁膜上に前記第1の配線と前記第2の配線を有し、
前記第1の配線、前記第2の配線及び前記第3の配線は互いに平行に伸びており、且つ、前記第3の配線に前記第1の配線及び前記第2の配線が重なるように形成され、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の配線に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記発光素子に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の配線に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と、前記容量素子の一方の端子に電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第4の配線に電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の配線に電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記第5の配線に電気的に接続され、
前記容量素子の他方の端子は、前記第2の配線に電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項7において、
前記容量素子は、前記第2の配線と前記第2のトランジスタのゲートに前記第1の絶縁膜を挟むことにより形成されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−53711(P2011−53711A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264586(P2010−264586)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2004−126945(P2004−126945)の分割
【原出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】