説明

表示装置

【課題】 表示輝度が高く、表示品位に優れる表示装置を提供する。
【解決手段】 光源部11は、照明光B,R,Gを発する複数の発光素子11B,11R,11Gを有する。合成部12は、複数の照明光B,R,Gを合成する。表示パネル14は、合成部12にて合成された照明光B,R,Gが照射される。光源部11は、第一の色を有する第一の照明光Bを発する第一の発光素子11Bと、第二の色を有する第二の照明光Rを発する第二の発光素子11Rと、第三の色を有する第三の照明光Gを第一の発光素子11B及び第二の発光素子11Rよりも高輝度で発する第三の発光素子11Gと、を備える。合成部12は、第三の照明光Gが透過または反射すると共に、第一の照明光B及び第二の照明光Rを反射または透過する光学素子12cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに光を照射する発光素子を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用表示装置が種々提案され、例えば特許文献1に開示されている。車両用表示装置は、例えば、−30℃以下の低温時及び80℃以上の高温時でも動作保障され、且つ、高い効率を確保するために、反射型表示素子であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を備えた表示器を用いることが考えられる。前記表示器に備えられる照明手段は、通常、R(赤),G(緑),B(青)を発する発光ダイオードを列上に配置し、各発光ダイオードに対応した各ダイクロイックミラーを配置するものであり、各ダイクロイックミラーは各発光ダイオードの示す色の波長域で反射し、それ以外の波長域では透過する特性を有し、各色を合成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3000727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LCOSを用いた車両用表示装置は、合成光のうち、合成して白色を作る為には緑色発光ダイオードの光を最も多く必要とするが、複数のダイクロイックミラーを透過・反射した場合に、緑色発光ダイオードの光束が減衰し、輝度を低下させてしまうという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、表示輝度が高く、表示品位に優れる表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、照明光B,R,Gを発する複数の発光素子11B,11R,11Gを有する光源部11と、複数の前記照明光B,R,Gを合成する合成部12と、前記合成部12にて合成された照明光B,R,Gが照射される表示パネル14と、を備えた表示装置1であって、前記光源部11は、第一の色を有する第一の照明光Bを発する第一の発光素子11Bと、第二の色を有する第二の照明光Rを発する第二の発光素子11Rと、第三の色を有する第三の照明光Gを前記第一の発光素子11B及び前記第二の発光素子11Rよりも高輝度で発する第三の発光素子11Gと、を備え、前記合成部12は、前記第三の照明光Gが透過または反射すると共に、前記第一の照明光B及び前記第二の照明光Rを反射または透過する光学素子12cを有するものである。
【0006】
また、本発明は、前記光学素子12cは、ダイクロイックミラーまたはダイクロイックプリズムであるものである。
【0007】
また、本発明は、前記表示パネル14が反射型表示素子であるものである。
【0008】
また、本発明は、前記合成部12にて合成された前記照明光B,R,Gが透過または反射すると共に、前記表示パネル14が発した表示光L5を反射または透過させる偏光部材13を備えたものである。
【0009】
また、本発明は、前記表示パネル14が発した表示光L5が投影される投影部材30と、前記投影部材30の前側に配置されたカバー部材40と、を備えたものである。
【0010】
また、本発明は、前記カバー部材40は円偏光部材40bを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
合成部は、第一,第二の発光素子よりも高輝度で発する第三の発光素子が発した第三の照明光が光学素子で1回だけ透過または反射する構成になっているため、表示輝度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示す概観図。
【図2】同上実施形態を示す側面図。
【図3】同上実施形態を示す表示器の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
車両用表示装置1は、表示器10,自由曲面ミラー20,反射型スクリーン(投影部材)30,カバーガラス(カバー部材)40,バイザー50を備えている。車両用表示装置1は、フロントガラス2の下方に配置され、ステアリングホイール3の上から車両運転者4に視認される。表示器10は、光源部11,ミラー部(合成部)12,偏光部材13,液晶表示部(表示パネル)14,投射レンズ15を有している(図3参照)。
【0015】
光源部11は、青色発光ダイオード(第一の発光素子)11B,赤色発光ダイオード(第二の発光素子)11R,緑色発光ダイオード(第三の発光素子)11Gからなるものである。青色発光ダイオード11B,赤色発光ダイオード11R,緑色発光ダイオード11Gは、夫々、青色,赤色,緑色の光を発するものである。
【0016】
ミラー部12は、反射ミラー12a,ダイクロイックミラー(光学素子)12b,12cからなるものである。反射ミラー12aは、青色発光ダイオード11Bが発した光Bを反射させる。ダイクロイックミラー12bは、赤色発光ダイオード11Rが発した光Rを反射させると共に、反射ミラー12aで反射された光L1を透過させて、光Bと光Rとを合成した光L2を生成する。ダイクロイックミラー12cは、緑色発光ダイオード11Gが発した光Gを反射させると共に、光L2を透過させて、光Bと光Rと光Gとを合成した白色光L3を生成する。
【0017】
光Bと光Rと光Gとの混色光束比率は、1:3:6となっている。つまり、光Gの割合が最も高く、光Gが白色光L3の輝度に影響するため、光源部11とミラー部12とからなる照明手段は、光Gが反射のみで、ダイクロイックミラー12cを透過しない配置になっている。
【0018】
偏光部材13は、アルミワイヤグリッド偏光板からなるものである。偏光部材13は、入射した自然光のうち、第一の偏光方向の光を偏光透過光として透過させ、第二の偏光方向の光は反射する特性を有する。白色光L3は、偏光部材13を透過する。なお、偏光部材13と同じ機能を持つ光学部材としてプリズム型偏光ビームスプリッタがあり、偏光部材13の代わりに用いても良い。
【0019】
液晶表示部14は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)からなるものである。液晶表示部14には、偏光部材13を透過した光L4が入射する。液晶表示部材14は、各画素毎に選択して、偏光透過光の偏光方向を変えてなる偏光反射光として出射する。液晶表示部14にて反射された光(表示光L5)は、偏光部材13で更に反射される。
【0020】
投射レンズ15は、偏光部材13にて反射された表示光L6を拡大し、自由曲面ミラー20を介して、反射型スクリーン30に投射する。投射レンズ15は、1枚のレンズで構成しても良いし、複数のレンズで構成しても良い。また、光軸上で投射レンズ15を位置調整可能にしても良い。自由曲面ミラー20は、投射レンズ15からの表示光L7の歪み補正と拡大を行って反射させる。
【0021】
反射型スクリーン30には、自由曲面ミラー20からの表示光L8が投影され、表示像が形成される。カバーガラス40は、透光性樹脂からなる基部40aと、この基部40aの前面に貼着された円偏光部材40bとを有している。円偏光部材40bは、直線偏光板と1/4波長板とからなるものである。カバーガラス40は、外光の反射光が車両運転者4の視野に入らないように、湾曲形状になっており、反射型スクリーン30の前側に配置されている。また、円偏光部材40bを設けたことにより、反射型スクリーン30にて反射された外光が、カバーガラス40を透過することを防ぐことができる。
【0022】
表示器10,自由曲面ミラー20,反射型スクリーン30,カバーガラス40は、ハウジング60に収容されている。バイザー50は、ハウジング60に設けられており、上方からの外光が反射型スクリーン30に入射しないように、前記外光をカットする。
【0023】
合成部12は、青色発光ダイオード11B,赤色発光ダイオード11Rよりも高輝度で発する緑色発光ダイオード11Gが発した光Gが1回だけ反射する構成になっているため、白色光L3の輝度が高くなる。
なお、本実施形態の表示パネルは、液晶表示部14からなるものであったが、例えば表示パネルはDMD(Digital Micro Mirror Device)からなるものであっても良い。また、ダイクロイックミラー12b,12cは、ダイクロイックプリズムであっても良い。
【符号の説明】
【0024】
11 光源部
11B 赤色発光ダイオード(第一の発光素子)
11R 青色発光ダイオード(第二の発光素子)
11G 緑色発光ダイオード(第三の発光素子)
12 合成部
12c ダイクロイックミラー(光学素子)
13 偏光部材
14 液晶表示部(表示パネル)
40 カバーガラス(カバー部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発する複数の発光素子を有する光源部と、複数の前記照明光を合成する合成部と、前記合成部にて合成された照明光が照射される表示パネルと、を備えた表示装置であって、
前記光源部は、第一の色を有する第一の照明光を発する第一の発光素子と、第二の色を有する第二の照明光を発する第二の発光素子と、第三の色を有する第三の照明光を前記第一の発光素子及び前記第二の発光素子よりも高輝度で発する第三の発光素子と、を備え、
前記合成部は、前記第三の照明光が透過または反射すると共に、前記第一の照明光及び前記第二の照明光を反射または透過する光学素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光学素子は、ダイクロイックミラーまたはダイクロイックプリズムであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルが反射型表示素子であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記合成部にて合成された前記照明光が透過または反射すると共に、前記表示パネルが発した表示光を反射または透過させる偏光部材を備えたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルが発した表示光が投影される投影部材と、前記投影部材の前側に配置されたカバー部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記カバー部材は円偏光部材を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−113127(P2012−113127A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262006(P2010−262006)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】