説明

表示装置

【課題】視認者にとって裸眼での3次元表示を可能とする距離(表示画面と視認者の目との距離)範囲を拡大する。
【解決手段】表示装置が、複数の画素領域がマトリクス状に配設された表示パネルと、各々において透光状態又は遮光状態が選択される複数の光学シャッター領域がマトリクス状に配設されたシャッターパネルと、を有する。そして、表示パネルが複数の画素領域のそれぞれを表示素子単位として表示を行い、且つシャッターパネルが複数の光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第1の表示状態と、表示パネルが複数の画素領域の少なくとも2つを表示素子単位として表示を行い、且つシャッターパネルが複数の光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第2の表示状態と、を有する。この場合、第1の表示状態と第2の表示状態における3次元表示可能距離が異ならせることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。特に、3次元表示が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機などの大型表示装置から携帯電話などの小型表示装置に至るまで表示装置の普及が進んでいる。今後は、より付加価値の高い製品が求められており開発が進められている。近年では、より臨場感のある画像を再現するため、3次元表示が可能な表示装置の開発が進められている。
【0003】
3次元表示を行う表示方式としては、左目で見る画像と右目で見る画像とを分離するための眼鏡を用いる方式(画像分離方式ともいう)と、表示部において左目で見る画像と右目で見る画像を分離するための構成を追加し裸眼での3次元表示を可能にする裸眼方式と、がある。裸眼方式による3次元表示は、眼鏡を別途準備する必要がなく、利便性に優れている。裸眼方式による3次元表示は、携帯電話や携帯型遊技機等で普及しつつある。
【0004】
裸眼方式による3次元表示としては、表示部に視差バリアを追加する、所謂視差バリア方式(パララックスバリア方式とも言う)が知られている。視差バリア方式における視差バリアはストライプ状の遮光部であり、3次元表示から2次元表示に切り替えた際に解像度を低下させる原因になる。そのため視差バリア方式では、2次元表示と3次元表示とを切り替える場合に、パターニングされた透明電極を有する液晶パネルを用い、当該透明電極に印加する電圧を制御することで液晶層による透光または遮光を制御し、視差バリアの有無を切り替える構成が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−258013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、視差バリア方式にて3次元表示を行うには、表示画面と視認者の目とが特定の距離にある必要がある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、視認者にとって裸眼での3次元表示を可能とする距離(表示画面と視認者の目との距離)範囲を拡大することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は、複数の画素領域がマトリクス状に配設された表示パネルと、各々において透光状態又は遮光状態が選択される複数の光学シャッター領域がマトリクス状に配設されたシャッターパネルと、を有し、表示パネルが複数の画素領域のそれぞれを表示素子単位として表示を行い、且つシャッターパネルが複数の光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第1の表示状態と、表示パネルが複数の画素領域の少なくとも2つを表示素子単位として表示を行い、且つシャッターパネルが複数の光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第2の表示状態と、を有し、第1の表示状態における複数の光学シャッター領域の状態と第2の表示状態における複数の光学シャッター領域の状態が異なり、表示パネルから光が放出される方向にシャッターパネルが設けられる表示装置である。
【0009】
また、当該表示装置において、画素領域が、少なくとも3つの副画素を有し、第2の表示状態において、3つの副画素の少なくとも一を黒表示状態とする表示装置も本発明の一態様である。
【0010】
また、当該表示装置において、視認者と表示装置の距離を測定するセンサを有し、センサで測定された距離に応じて、光学シャッター領域を透光状態又は遮光状態とするかを選択する表示装置も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様により、視認者にとって裸眼での3次元表示を可能とする距離範囲を拡大することができる。そのため、利便性に優れた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示装置の模式図。
【図2】遮光部と表示パネルと視認者の関係を説明するための図。
【図3】遮光部と表示パネルと視認者の関係を説明するための図。
【図4】表示装置の利用形態図及びブロック図。
【図5】シャッターパネルの一態様を説明する図。
【図6】シャッターパネルの一態様を説明する図。
【図7】表示パネルの一態様を説明する図。
【図8】表示パネルの一態様を説明する図。
【図9】シャッターパネルの一態様を説明する図。
【図10】電子機器の一態様を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0014】
なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、信号波形、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0015】
なお、本明細書等にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。なお自然数は特に断りのない限り、1以上として説明する。
【0016】
(実施の形態1)
まず、本発明の一態様の表示装置について図1乃至4を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一態様の表示装置を示す模式図である。図1に示す表示装置は、複数の画素領域100がマトリクス状に配設された表示パネル10と、複数の光学シャッター領域200がマトリクス状に配設されたシャッターパネル20と、を有する。なお、複数の光学シャッター領域200は、複数の画素領域100よりも高精細に配設されている。換言すると、シャッターパネル20が有する光学シャッター領域200の個数は、表示パネル10が有する画素領域100の個数よりも多い。なお、図1では、視認者による視認の状況を表すため、視認者の左目31及び右目32を併記している。
【0018】
シャッターパネル20は、表示パネル10から光が放出される方向、すなわち表示装置を視認者が視認する側に設けられている。シャッターパネル20は、複数の光学シャッター領域200の透光状態又は遮光状態から選択される。すなわち、複数の光学シャッター領域200のそれぞれにおいて、視認者に視認される表示を遮ることが可能である。
【0019】
図2(A)は、図1に示す表示装置の破線A−Bにおける構成を示す模式図である。本実施の形態に係る表示パネル10においては、複数の画素領域のそれぞれを表示素子単位として、3次元用左目表示(L1〜L6)を行う画素領域に隣接する画素領域において3次元用右目表示(R1〜R6)を行うことが可能である。なお、3次元用左目表示(L1〜L6)又は3次元用右目表示(R1〜R6)を行う画素領域のそれぞれは、赤色表示を行う副画素(R)、緑色表示を行う副画素(G)、青色表示を行う副画素(B)を有する。さらに、本実施の形態に係るシャッターパネル20においては、左目31には3次元用左目表示(L1〜L6)を行う画素領域のみが視認され、右目32には3次元用右目表示(R1〜R6)を行う画素領域のみが視認されるように制御することが可能である。具体的には、左目31と3次元用右目表示(R1〜R6)を行う画素領域の間に存在する光学シャッター領域及び右目32と3次元用左目表示(L1〜L6)を行う画素領域の間に存在する光学シャッター領域を遮光状態(図2(A)中、黒色部)とし、それ以外の領域を透光状態とする。
【0020】
これにより、本発明の一態様に係る表示装置では、3次元表示を行うことが可能である。
【0021】
また、本実施の形態に係る表示装置においては、図2(A)に示す条件とは視認者と表示装置の間隔が異なる条件においても3次元表示を視認者に視認させることが可能である。
【0022】
図2(B)は、視認者と表示装置の間隔が図2(A)に示す間隔よりも狭い場合における本実施の形態に係る表示装置の構成を示す模式図である。本実施の形態に係る表示パネル10においては、2つの画素領域を表示素子単位として、3次元用左目表示(L1〜L3)を行う画素領域に隣接する画素領域において3次元用右目表示(R1〜R3)を行うことが可能である。具体的には、当該2つの画素領域に含まれる同色表示(赤、緑、青のいずれか)を行う2つの副画素に対して共通の画像信号を供給することによって、2つの画素領域を表示素子単位とすることが可能である。さらに、本実施の形態に係るシャッターパネル20においては、左目31には3次元用左目表示(L1〜L3)を行う画素領域のみが視認され、右目32には3次元用右目表示(R1〜R3)を行う画素領域のみが視認されるように制御することが可能である。具体的には、左目31と3次元用右目表示(R1〜R3)を行う画素領域の間に存在する光学シャッター領域及び右目32と3次元用左目表示(L1〜L3)を行う画素領域の間に存在する光学シャッター領域を遮光状態(図2(B)中、黒色部)とし、それ以外の領域を透光状態とする。
【0023】
これにより、本発明の一態様に係る表示装置では、視認者と表示装置の間隔が異なる2条件において3次元表示を行うことが可能である。
【0024】
なお、図2(A)、(B)に示す条件においてシャッターパネルに形成される複数のバリア(図2(A)、(B)における複数の黒色部)のそれぞれは、一つ又は複数の光学シャッター領域によって構成される。すなわち、当該バリアは、一つの光学シャッター領域によって構成されるとは限らない。
【0025】
また、図2(A)、(B)においては、R、G、Bによって構成される画素領域を例示したが、当該画素領域の構成はこれに限定されない。すなわち、それぞれが異なる色表示を行う3種の副画素の組み合わせによって画素領域を構成することも可能である。また、それぞれが異なる色表示を行う4種以上の副画素の組み合わせ(例えば、R、G、B、及びY(黄色表示を行う副画素))によって画素領域を構成することも可能である。
【0026】
また、図2(B)においては、3次元用左目表示(L1〜L3)又は3次元用右目表示(R1〜R3)を行う表示素子単位のそれぞれが有する6つの副画素の全てが赤色、緑色、及び青色のいずれか一の表示を行う構成について示したが、当該6つの副画素の1〜3の副画素において黒表示(K)を行う構成とすることも可能である。例えば、当該表示素子単位が有する2つの画素領域のうち一方が有する3つの副画素において赤色、緑色、及び青色のいずれか一の表示を行い、他方が有する副画素において黒表示(K)を行う構成(図3(A)参照)とすることが可能である。また、当該表示素子単位が有する2つの画素領域のうち表示に関与する副画素が、表示素子単位によって異なる構成(図3(B)参照)とすることも可能である。また、当該表示素子単位が有する2つの画素領域が有する6つの副画素の4つにおいて赤色、緑色、及び青色のいずれか一の表示を行い、残りの2つの副画素において黒表示(K)を行う構成(図3(C)参照)とすることなどが可能である。なお、図3(C)に示す構成の場合、特定の1色に関する表示を行う副画素のみが2つ存在し、且つ他の2色に関する表示を行う副画素が1つ存在することになる。この場合には、3色の輝度が均一になるようにそれぞれの副画素に入力される画像信号を調整することが好ましい。
【0027】
当該表示装置が、発光素子の発光を副画素毎に制御する構成の表示装置(例えば、有機エレクトロルミネッセンスを利用した表示装置)である場合、図3(A)〜(C)に示すように部分的に黒表示(K)を行うことによって消費電力を低減することが可能である。
【0028】
また、図2(B)、図3(A)、(B)、(C)のそれぞれにおいて、シャッターパネルに設けられるバリアの位置は異なるが、いずれにおいても3次元表示を行うことが可能である。すなわち、図2(B)、図3(A)、(B)、(C)のいずれの条件を採用するかは、シャッターパネルに設けられる複数の光学シャッター領域の配列等に応じて適宜選択することが可能である。
【0029】
また、図2(B)、図3(A)、(B)、(C)のそれぞれにおいては、表示素子単位が2つの画素領域を有する構成について例示したが、当該表示素子単位が3以上の画素領域を有する構成とすることも可能である。
【0030】
次いで図4(A)に、上記説明した本実施の形態における表示装置を視認者が用いる際の利用形態に関する模式図について示す。
【0031】
図4(A)には、表示装置300及び視認者301を示している。表示装置300には、上記説明した表示パネル及びシャッターパネルを具備する表示部302の他、距離センサ303及び角度センサ304を有する。距離センサ303及び角度センサ304は、表示装置300と視認者301との距離を測定するための手段として設けられるものであり、ここでは距離測定のための一構成例として示したものである。
【0032】
測定手段である距離センサ303及び角度センサ304は、表示装置300と視認者301との距離を測定する。なお距離の測定は、一例として、距離センサ303である赤外線センサ等による距離検出と、角度センサ304であるジャイロセンサ等による角度検出等と、を併せて、表示装置300と視認者301との精度の高い距離の測定をすることが好ましい。表示装置300は、前述の距離に応じて上述したシャッターパネル20での光学シャッター領域200による視差バリアの幅を可変する構成とする。すなわち本実施の形態における表示装置は、視認者301が表示装置300からの距離が一定とすることなく表示部302を視認したとしても、視認者の左目及び右目の両眼視差を生じさせることにより、視認者に3次元表示を知覚させることができる。
【0033】
次いで図4(B)には、図4(A)で説明した距離センサ303及び角度センサ304を具備する表示装置300のブロック図を示す。図4(B)に示す表示装置300のブロック図は、図4(A)で説明した表示部302、距離センサ303及び角度センサ304の他に、表示パネル311、シャッターパネル312、アプリケーションプロセッサ313、表示パネル制御回路314、シャッターパネル制御回路315、センサ制御回路316、画像データ切り替え回路317を有する。
【0034】
表示部302が有する表示パネル311及びシャッターパネル312は、上記図1で説明した表示パネル及びシャッターパネルである。そのため、上述した視認者との距離が変化しても3次元表示をすることができる。
【0035】
またセンサ制御回路316は、距離センサ303及び角度センサ304により視認者との距離の測定を行うことができる。センサ制御回路316で取得された表示装置と視認者との距離に関するデータは、アプリケーションプロセッサ313に出力される。
【0036】
アプリケーションプロセッサ313は、2次元表示または3次元表示をするための画像データが外部より供給される。アプリケーションプロセッサ313は、外部より供給される画像データ及びセンサ制御回路316より供給される表示装置と視認者との距離に関するデータに応じて、画像データ切り替え回路317の制御をする。画像データ切り替え回路317は、表示パネル311に供給する画像データを画素領域の表示素子単位に応じた変換を行う。そして表示パネル制御回路314は、変換された当該画像データに基づいて、表示パネル311の画像の表示制御をする。またアプリケーションプロセッサ313は、センサ制御回路316より供給される表示装置と視認者との距離に関するデータに応じてシャッターパネル制御回路315の制御をする。そしてシャッターパネル制御回路315は、シャッターパネル312の制御をする。
【0037】
以上説明した本実施の形態の構成により、視認者にとって裸眼での3次元表示を可能とする距離範囲を拡大することができる。そのため、利便性に優れた表示装置を実現できる。
【0038】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0039】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置におけるシャッターパネルの具体例について図5及び図6を用いて説明する。本実施の形態で示すシャッターパネルは、実施の形態1におけるシャッターパネル20の具体例である。
【0040】
シャッターパネルは遮光又は透光を切りかえる複数の光学素子を用いて構成される。光学素子としては一対の電極間に液晶を含む液晶素子を好適に用いることができる。液晶素子に電圧を印加することによって液晶の配向を制御し、遮光又は透光を選択的に制御する。
【0041】
図5(A)(B)にシャッターパネル500を示す。なお、図5(A)は、シャッターパネル500を示す平面図、図5(B)は図5(A)をY1−Y2で切断した断面図である。
【0042】
シャッターパネル500は、基板501に設けられた電極506(506a、506b、506c)と、基板502に設けられた電極505(505a、505b、505c)とが液晶503を挟持して構成されている。電極506(506a、506b、506c)は、ストライプ状に配置されており、さらに、電極506a、506b、506cは、それぞれ電極506a1と506a2、506b1と506b2、又は506c1と506c2に分割されている。本実施の形態においては、電極506a1(506b1、506c1)を挟むように両側に電極506a2(506b2、506c2)が配置されており、電極506a1(506b1、506c1)と、電極506a2(506b2、506c2)とは電気的に独立しており、異なる電位を供給し、制御することができる。
【0043】
また電極505(505a、505b、505c)は、電極506a、506b、506cと同様に、ストライプ状に配置されており、さらに、電極505a、505b、505cは、それぞれ電極505a1と505a2、505b1と505b2、又は505c1と505c2に分割されている。本実施の形態においては、電極505a1(505b1、505c1)を挟むように両側に電極505a2(505b2、505c2)が配置されており、電極505a1(505b1、505c1)と、電極505a2(505b2、505c2)とは電気的に独立しており、異なる電位を供給し、制御することができる。ストライプ状に配置された電極506a、506b、506cと電極505a、505b、505cとを格子状に液晶を介して重ね合わせることで、ドット状に液晶素子を形成することができ、より精細な遮光領域又は透光領域の制御が可能となる。
【0044】
なお、電極505a、505b、505c、電極506a、506b、506cは3つ以上に分割してもよく、該線幅もそれぞれ異なっていてもよい。
【0045】
図5(C)(D)に電極506a、506b、506c、電極505a、505b、505cに適用することのできる他の形状を、電極506bを例として示す。図5(C)は、電極506bを示す平面図、図5(D)は図5(C)をY3−Y4で切断した断面図である。
【0046】
図5(C)(D)に示す電極506bは、第1の液晶素子507b1の電極である電極506b1の両側に複数の線幅の細い第2の液晶素子507b2の電極506b2が設けられる例である。このように、第2の液晶素子の電極が複数あり、かつ第1の液晶素子の電極より線幅が細い形状であってもよい。
【0047】
電極506a1、506b1、506c1、電極506a2、506b2、506c2は、それぞれ液晶503を電極505と挟持して、電気的に独立して制御することができる第1の液晶素子507a1、507b1、507c1、第1の液晶素子507a1、507b1、507c1に隣り合う第2の液晶素子507a2、507b2、507c2を形成している。
【0048】
3次元表示を行う際、第1の液晶素子507a1、507b1、507c1、及び第2の液晶素子507a2、507b2、507c2を制御することによって、選択的に遮光領域を決定することができる。例えば、視認者がシャッターパネル500から比較的遠い場合、第1の液晶素子507a1、507b1、507c1のみを駆動して第1の遮光領域を形成して、視認者に3次元表示として第1の表示状態を提供し、視認者がシャッターパネル500に近い場合、第1の液晶素子507a1、507b1、507c1、及び第2の液晶素子507a2、507b2、507c2両方を駆動して第1の遮光領域より広い第2の遮光領域を形成して、視認者に3次元表示として第2の表示状態を提供することができる。
【0049】
また、液晶素子に電気的に接続するスイッチとして機能する素子を設け、それぞれの液晶素子をスイッチとして機能する素子によって制御することもできる。図6(A)(B)にスイッチとして機能する素子としてトランジスタを設け、液晶素子を駆動する例を示す。
【0050】
図6(A)のシャッターパネルには、トランジスタ520a1と電気的に接続する電極516a1を含む第1の液晶素子、該第1の液晶素子に隣接し、トランジスタ520a2と電気的に接続する電極516a2を含む第2の液晶素子、容量配線524が設けられている。図示しないが、電極516a1、516a2上には液晶を介して対となる電極が設けられている。
【0051】
トランジスタ520a1及びトランジスタ520a2は、配線521aと電気的に接続し、配線522a1、又は522a2とそれぞれ電気的に接続している。電極516a1を挟んで設けられた第2の液晶素子を構成する電極516a2は配線523により電気的に接続している。
【0052】
図6(B)のシャッターパネルには、さらに該第2の液晶素子に隣接し、トランジスタ520a3と電気的に接続する電極516a3を含む第3の液晶素子が設けられている例である。電極516a1を挟んで設けられた第2の液晶素子を構成する電極516a2は配線523により電気的に接続し、電極516a1、516a2を挟んで設けられた第3の液晶素子を構成する電極516a3は配線525により電気的に接続している。
【0053】
図6(B)ではトランジスタ520a1、520a2、520a3は半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極層、層間絶縁層、及びソース電極層が順に積層するトップゲート構造のプレーナ型のトランジスタの例を示す。配線523、525、容量配線524は配線521aと同工程で形成することができる。
【0054】
なお図6(A)(B)において、電極516a1、電極516a2、電極516a3の大きさ(面積)はほぼ同じ例を示すが、特に限定されず電極516a1、電極516a2、電極516a3の大きさはそれぞれ異なっていてもよい。また、電極516aを含む液晶素子の両側に配置される液晶素子はより多数(3つ以上)でもよい。
【0055】
3次元表示を行う際、第1の液晶素子、第2の液晶素子、及び第3の液晶素子を制御することによって、選択的に遮光領域を決定することができる。例えば、第1の液晶素子のみ駆動して形成する第1の遮光領域、第1の液晶素子及び第2の液晶素子を駆動して形成する第2の遮光領域、あるいは第1の液晶素子、第2の液晶素子、及び第3の液晶素子を駆動して形成する第3の遮光領域と、同一のシャッターパネルにおいて広さの異なる遮光領域を形成することができる。第1の液晶素子、第2の液晶素子、及び第3の液晶素子に電圧印加時に黒表示となる液晶素子を用いると、駆動する液晶素子を増加させるのに伴ってシャッターパネルにおいて遮光領域を拡大することができる。
【0056】
また、本実施の形態では図示しないが、シャッターパネルに偏光板、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどは適宜設ける。シャッターパネルは、様々な構成の透過型の液晶素子、及び様々な液晶モードを用いることができる。
【0057】
例えば、図5のように、一対の電極が液晶を挟持する構成であると、基板に概略垂直な電界を生じさせて、基板と垂直な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。また、図6において、液晶素子の電極をIPSモードやFFSモードで用いる構成とし、基板に概略平行(すなわち水平な方向)な電界を生じさせて、基板と平行な面内で液晶分子を動かして、階調を制御する方式を用いることができる。
【0058】
シャッターパネルに用いるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
【0059】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0060】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示した表示パネルに適用可能な表示パネルの構成例について図7及び図8を用いて説明する。
【0061】
表示パネルに設けられる表示素子としては、発光素子(発光表示素子ともいう)、液晶素子(液晶表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)素子、有機EL素子等が含まれる。
【0062】
図7に、表示素子として有機EL素子を適用した表示パネルの構成例を示す。図7(A)は表示パネルの平面図であり、図7(B)は、図7(A)のA−B及びC−Dにおける断面図である。素子基板410は、シール材405によって封止基板404と固着されており、駆動回路部(ソース側駆動回路401、ゲート側駆動回路403)、複数の画素を含む画素部402を有している。
【0063】
なお、配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における表示パネルには、表示パネル本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0064】
素子基板410上には駆動回路部(ソース側駆動回路401、ゲート側駆動回路403)及び画素部402が形成されている。図7(B)では、駆動回路部であるソース側駆動回路401と、画素部402中の3つの画素を示す。
【0065】
本実施の形態では、青(B)の画素420a、緑(G)の画素420b、赤(R)の画素420c、3色の画素を有する例を示す。なお、本実施の形態はこれに限られず、画素部402に少なくとも2色以上の画素を含むことで、多色表示を行う表示パネルとすることができる。または、単色表示を行う表示パネルとしてもよい。
【0066】
画素420a、420b、420cはそれぞれ、カラーフィルタ層434a、434b、434cと、発光素子418a、418b、418cと、該発光素子418a、418b、418cと電気的に接続し、スイッチング用トランジスタとして機能するトランジスタ412a、412b、412cと、を有している。
【0067】
カラーフィルタ層はそれぞれ各画素の色に対応して、遮光層435に設けられた開口を埋没するように設ければよい。例えば、青(B)の画素420aのカラーフィルタ層434aを青色とし、緑(G)の画素420bのカラーフィルタ層434bを緑色とし、赤(R)の画素420cのカラーフィルタ層434cを赤色とすればよい。
【0068】
また、発光素子418a、418b、418cはそれぞれ反射性を有する電極413a、413b、413cと、EL層431と、透光性を有する電極433と、を有する。反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する電極433は、一方が陽極として用いられ、他方が陰極として用いられる。
【0069】
EL層431は、少なくとも発光層を有する。また、EL層431は、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を有する積層構造とすることもできる。また、EL層を複数層積層させてもよく、EL層の一と他のEL層との間に電荷発生層を設けてもよい。なお、陽極と陰極の間に発光層を複数層積層することで、例えば白色発光を呈する発光素子とすることができる。
【0070】
なお、反射性を有する電極413a、413b、413cとEL層431との間に、透光性を有する導電層415a、415b、415cをそれぞれ設けてもよい。該透光性を有する導電層415a、415b、415cは、それぞれの画素において反射性を有する電極413a、413b、413cと透光性を有する電極433との光学距離を調整する機能を有する。各発光素子でマイクロキャビティにより所望のスペクトルを増強させることで、色純度の高い表示パネルを実現できる。
【0071】
なお、図7(B)では、白色発光する発光素子及びカラーフィルタを組み合わせたトップエミッション構造の表示パネルについて説明したが、当該表示パネルとして、塗り分け方式により形成した発光素子のトップエミッション構造の表示パネルを適用することも可能である。なお、塗りわけ方式とは、各画素にRGBの材料を蒸着法などにより塗り分ける方式である。
【0072】
ただし、発光層を画素毎にメタルマスクにより塗り分けせず、連続膜で形成することにより、メタルマスクを用いることによる歩留まりの低下や工程の複雑化を回避することができる。よって高精細で色再現性の高い表示パネルを実現することが可能となる。
【0073】
なお、ソース側駆動回路401はnチャネル型トランジスタ423とpチャネル型トランジスタ424とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、トランジスタで形成される種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上にソース側駆動回路及びゲート側駆動回路を形成する例を示すが、必ずしもその必要はなく、ソース側駆動回路及びゲート側駆動回路の一部、又は全部を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0074】
なお、反射性を有する電極413a、413b、413c及び透光性を有する導電層415a、415b、415cの端部を覆って絶縁物414が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0075】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物414の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物414として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0076】
さらにシール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより、素子基板410、封止基板404、及びシール材405で囲まれた空間407に発光素子418a、418b、418cが備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、有機樹脂、シール材405で充填される場合もある。有機樹脂及びシール材405には吸湿性を有する物質を含む材料を用いてもよい。
【0077】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0078】
本実施の形態のように、下地膜となる絶縁膜411を素子基板410とトランジスタの半導体層の間に設けてもよい。絶縁膜は、素子基板410からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による単層、又は積層構造により形成することができる。
【0079】
本実施の形態において、表示パネルに適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造もしくは3つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。
【0080】
ゲート電極層の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0081】
例えば、ゲート電極層の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金層またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した積層構造とすることが好ましい。
【0082】
ゲート絶縁層は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0083】
半導体層に用いる材料は特に限定されず、トランジスタ412a、412b、412c、423、424に要求される特性に応じて適宜設定すればよい。半導体層に用いることのできる材料の例を説明する。
【0084】
半導体層を形成する材料としては、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファスともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタリング法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0085】
半導体層として、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体を用いることができる。半導体層として単結晶半導体を用いると、トランジスタサイズを微細化することが可能となるため、表示部において画素をさらに高精細化することができる。半導体層として単結晶半導体を用いる場合には、単結晶半導体層が設けられたSOI基板を適用することができる。または、シリコンウエハ等の半導体基板を用いてもよい。
【0086】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0087】
また、酸化物半導体を用いてもよく、酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O系、In−Ga−O系や、一元系金属酸化物であるIn−O系、Sn−O系、Zn−O系などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0088】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0089】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、原子数比で、In/Zn=0.5〜50、好ましくはIn/Zn=1〜20、さらに好ましくはIn/Zn=1.5〜15とする。Znの原子数比を好ましい前記範囲とすることで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。ここで、化合物の原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0090】
酸化物半導体層として、単結晶構造ではなく、非晶質構造でもない構造であり、C軸配向を有した結晶(C Axis Aligned Crystal; CAACとも呼ぶ)を含む酸化物を用いることができる。
【0091】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層の材料としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、熱処理を行う場合には、この熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。例えば、Al単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて形成する。Alと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素を成分とする窒化物で形成する。
【0092】
トランジスタを覆う絶縁膜419は、乾式法や湿式法で形成される無機絶縁膜、有機絶縁膜を用いることができる。例えば、CVD法やスパッタリング法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ガリウム膜などを用いることができる。また、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。
【0093】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。シロキサン系樹脂は塗布法により成膜し、焼成することによって絶縁膜419として用いることができる。
【0094】
なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜419を形成してもよい。例えば、無機絶縁膜上に有機樹脂膜を積層する構造としてもよい。
【0095】
図8に表示素子として液晶素子を用いた表示パネルの例を示す。図8(A)は表示パネルの平面図であり、図8(B)は、図8(A)のE−Fにおける断面図である。なお、本実施の形態で示す液晶素子を含むパネルはシャッターパネルの構成に適宜用いることができる。
【0096】
図8(A)及び図8(B)において、第1の基板601上に設けられた画素部602と、走査線駆動回路604とを囲むようにして、シール材605が設けられている。また画素部602と、走査線駆動回路604の上に第2の基板606が設けられている。よって画素部602と、走査線駆動回路604とは、第1の基板601とシール材605と第2の基板606とによって、表示素子と共に封止されている。
【0097】
図8(A)においては、第1の基板601上のシール材605によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路603が実装されている。信号線駆動回路603と、走査線駆動回路604または画素部602に与えられる各種信号及び電位は、FPC618から供給されている。
【0098】
図8において、表示パネルは、接続端子電極615及び端子電極616を有しており、接続端子電極615及び端子電極616はFPC618が有する端子と異方性導電膜619を介して、電気的に接続されている。接続端子電極615は、液晶素子の第1の電極層630と同じ導電膜から形成され、端子電極616は、トランジスタ610、トランジスタ611のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0099】
また、第1の基板601上に設けられた画素部602と、走査線駆動回路604は、トランジスタを複数有しており、図8(B)では、画素部602に含まれるトランジスタ610と、走査線駆動回路604に含まれるトランジスタ611とを例示している。
【0100】
図8(B)において、表示素子である液晶素子613は、第1の電極層630、第2の電極層631、及び液晶層608を含む。なお、液晶層608を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜632、633が設けられている。第2の電極層631は第2の基板606側に設けられ、第1の電極層630と第2の電極層631とは液晶層608を介して積層する構成となっている。
【0101】
また、柱状のスペーサ635は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる。液晶層608の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
【0102】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0103】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の表示パネルの不良や破損を軽減することができる。よって表示パネルの生産性を向上させることが可能となる。
【0104】
また、液晶材料の固有抵抗率は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗率の値は、20℃で測定した値とする。
【0105】
液晶素子を有する表示パネル(液晶表示パネル)には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0106】
また、ノーマリーブラック型の液晶表示パネル、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示パネルとしてもよい。ここで、垂直配向モードとは、液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種であり、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
【0107】
また、本実施の形態で示す表示パネルにおいて、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、液晶表示パネルの光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
【0108】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、本実施の形態はカラー表示の表示パネルに限定されるものではなく、モノクロ表示の表示パネルに適用することもできる。
【0109】
以上で示した本実施の形態の表示パネルを、実施の形態1で示した表示パネルとして適用することで、本発明の一態様の表示装置を得ることができる。
【0110】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0111】
(実施の形態4)
本発明の一態様の表示装置は、タッチパネルと呼ばれる位置入力装置を有していてもよい。本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用可能なシャッターパネルであって、タッチパネルを具備するシャッターパネルの構成例を、図9を用いて説明する。
【0112】
図9(A)に本実施の形態で示すシャッターパネルの斜視図を示す。また、図9(B)に図9(A)のM−Nにおける断面図を示す。なお、図9(A)では図面の煩雑を避けるために、構成要素の一部(例えば、偏光板など)を省略して図示している。
【0113】
図9に示すシャッターパネル640は、第1の偏光板642と、液晶素子ユニット650と、液晶素子ユニット650に重畳して設けられたタッチパネルユニット660と、第2の偏光板648と、第2の偏光板648に接して設けられた基板652と、を有する。
【0114】
液晶素子ユニット650は、複数の液晶素子を有し、当該複数の液晶素子は、基板644と基板646との間に設けられている。複数の液晶素子の構成は、上記実施の形態2に示した構成を適用することができる。
【0115】
図9(B)において、矢印は光が放出される方向を示している。したがって、本発明の一態様の表示装置においては、第1の偏光板642側に表示パネルが配置される。
【0116】
タッチパネルユニット660としては、例えば静電容量方式を適用することができる。図9では、静電容量方式のうち、投影静電容量方式を用いる構成例を示す。タッチパネルユニット660は、複数の第1電極662と、第1電極662を覆う絶縁層666と、複数の第2電極664と、第2電極664を覆う絶縁層668とを有する。
【0117】
各第1電極662は、矩形状の導電膜661が複数接続された構成を有しており、各第2電極664は、矩形状の導電膜663が複数接続された構成を有している。また、複数の第1電極662と複数の第2電極664は、矩形状の導電膜661と矩形状の導電膜663の位置が互いにずれるように重なりあっている。なお、第1電極662と第2電極664の形状はこの構成に限定されない。
【0118】
第1電極662と第2電極664は、透光性を有する導電材料、例えば、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などで、形成することができる。
【0119】
本実施の形態で示すタッチパネルユニットを有するシャッターパネルの一例は、シャッターパネルを構成する第1の偏光板642と第2の偏光板648との間にタッチパネルユニット660を積層させた構造である。該構造にすることにより、表示装置においてシャッターパネルと、タッチパネルとを、別々に作製して配置する場合と比較して部品点数を削減することができる。よって表示装置の製造コストを削減することができる。また、表示装置の軽量化及び薄型化を図ることができる。
【0120】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0121】
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る表示装置は、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。本実施の形態においては、これら電子機器の具体例について図10を参照して説明する。
【0122】
図10(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5003または表示部5004に用いることができる。表示部5003または表示部5004に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図10(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0123】
図10(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5201、表示部5202、キーボード5203、ポインティングデバイス5204等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5202に用いることができる。表示部5202に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができるノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。
【0124】
図10(C)は携帯情報端末であり、筐体5401、表示部5402、操作キー5403等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5402に用いることができる。表示部5402に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯情報端末を提供することができる。
【0125】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 表示パネル
20 シャッターパネル
31 左目
32 右目
100 画素
200 光学シャッター領域
300 表示装置
301 視認者
302 表示部
303 距離センサ
304 角度センサ
311 表示パネル
312 シャッターパネル
313 アプリケーションプロセッサ
314 表示パネル制御回路
315 シャッターパネル制御回路
316 センサ制御回路
401 ソース側駆動回路
402 画素部
403 ゲート側駆動回路
404 封止基板
405 シール材
407 空間
408 配線
409 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
410 素子基板
411 絶縁膜
414 絶縁物
419 絶縁膜
423 nチャネル型トランジスタ
424 pチャネル型トランジスタ
431 EL層
433 電極
501 基板
502 基板
503 液晶
505 電極
506 電極
507 液晶素子
516 電極
523 配線
524 容量配線
525 配線
601 基板
602 画素部
603 信号線駆動回路
604 走査線駆動回路
605 シール材
606 基板
608 液晶層
610 トランジスタ
611 トランジスタ
613 液晶素子
615 接続端子電極
616 端子電極
618 FPC
619 異方性導電膜
630 電極
630 電極層
631 電極層
632 絶縁膜
633 絶縁膜
635 スペーサ
640 シャッターパネル
642 偏光板
644 基板
646 基板
648 偏光板
650 液晶素子ユニット
652 基板
660 タッチパネルユニット
661 導電膜
662 第1電極
663 導電膜
664 第2電極
666 絶縁層
668 絶縁層
100a 画素
100b 画素
200A 第1の液晶素子
200B 第2の液晶素子
412a トランジスタ
413a 電極
415a 導電層
418a 発光素子
420a 画素
420b 画素
420c 画素
434a カラーフィルタ層
434b カラーフィルタ層
434c カラーフィルタ層
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
500 シャッターパネル
505a 電極
506a 電極
5201 筐体
5202 表示部
5203 キーボード
5204 ポインティングデバイス
521a 配線
5401 筐体
5402 表示部
5403 操作キー
505a1 電極
506a1 電極
506a2 電極
507a1 液晶素子
507a2 液晶素子
516a1 電極
516a2 電極
516a3 電極
520a1 トランジスタ
520a2 トランジスタ
520a3 トランジスタ
522a1 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域がマトリクス状に配設された表示パネルと、
各々において透光状態又は遮光状態が選択される複数の光学シャッター領域がマトリクス状に配設されたシャッターパネルと、を有し、
前記表示パネルが複数の前記画素領域のそれぞれを表示素子単位として表示を行い、且つ前記シャッターパネルが複数の前記光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第1の表示状態と、
前記表示パネルが複数の前記画素領域の少なくとも2つを表示素子単位として表示を行い、且つ前記シャッターパネルが複数の前記光学シャッター領域のそれぞれを透光状態又は遮光状態とする第2の表示状態と、を有し、
前記第1の表示状態における複数の前記光学シャッター領域の状態と前記第2の表示状態における複数の前記光学シャッター領域の状態が異なり、
前記表示パネルから光が放出される方向に前記シャッターパネルが設けられる表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素領域が、少なくとも3つの副画素を有し、
前記第2の表示状態において、3つの前記副画素の少なくとも一を黒表示状態とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
視認者と前記表示装置の距離を測定するセンサを有し、
前記センサで測定された距離に応じて、前記光学シャッター領域を透光状態又は遮光状態とするかを選択する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185487(P2012−185487A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25920(P2012−25920)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】