説明

表示装置

【課題】モアレの発生を抑制できるようにする。
【解決手段】立体映像表示装置の画像が表示されるフィルタ面には、立体画像を表示するための各色の光を透過させるフィルタ領域を有するサブ画素が配置されている。そして、これらのサブ画素に表示された画像がパララックスバリアを介して、観察者の眼に知覚される。立体映像表示装置では、観察者の視点位置によらず、パララックスバリアを介して観察者の一方の眼に視認されるフィルタ面上の視認領域において、各色のフィルタ領域の開口率が略一定となるようになされている。これにより、観察者の視点位置の変化による視認領域内の輝度変化を抑制し、モアレを低減させることができる。本発明は、表示装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特にモアレの発生を抑制できるようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パララックスバリア方式(視差バリア方式)や、レンチキュラーレンズ方式などにより、特殊な眼鏡を必要とせずに立体画像を表示させる表示装置が知られている。
【0003】
このような表示装置では、視点の異なる画像が、それぞれ観察者の異なる眼で観察されるように画像表示が行なわれるが、表示装置の画像が表示される画素の領域と、画像が表示されない非画素の領域とが観察者に知覚され、モアレが生じてしまうことがあった。すなわち、画素の領域と非画素の領域との輝度差が大きいと、モアレが生じてしまう。
【0004】
そこで、パララックスバリアを利用して立体画像を表示する場合に、パララックスバリアのスリット領域を平行四辺形状とすることで、観察者に知覚される明るさの変化を滑らかにし、モアレを軽減させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−86506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、ある程度、モアレを軽減させることが可能となるが、その分、クロストークが発生してしまい、3Dとしての視認性が大きく低下してしまう。
【0007】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、モアレの発生を抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面の表示装置は、複数の視点の画像からなる立体画像を表示するための色光を発する領域を有する表示部と、異なる視点の前記画像が観察者の異なる眼で観察されるように、各視点の前記画像を光学的に分離する分離部とを備え、前記観察者により視認される、所定の視点の前記画像が表示されている前記表示部上の視認領域内において、前記立体画像を観察する前記観察者の視点位置によらず、前記立体画像の視差方向の各位置に前記色光を発する領域が存在する。
【0009】
前記表示部を、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とから構成し、前記視認領域内の前記視差方向の各位置において、前記遮光領域の前記視差方向と略垂直な垂直方向の幅の合計が略一定の値となるようにすることができる。
【0010】
前記表示部を、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とから構成し、前記立体画像を観察する前記観察者の視点位置によらず、前記視認領域内の前記遮光領域の面積が略一定の値となるようにすることができる。
【0011】
前記表示部を、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とから構成し、前記色光を発する領域を、前記色光を透過させるフィルタの一部に前記遮光領域となる遮光部を設けることにより形成し、前記遮光部を、前記フィルタにおける前記視差方向と略垂直な垂直方向の両側の端に設けることができる。
【0012】
本技術の第1の側面においては、複数の視点の画像からなる立体画像を表示するための色光を発する領域を有する表示部に各視点の前記画像が表示され、分離部において、異なる視点の前記画像が観察者の異なる眼で観察されるように、各視点の前記画像が光学的に分離される。また、前記観察者により視認される、所定の視点の前記画像が表示されている前記表示部上の視認領域内において、前記立体画像を観察する前記観察者の視点位置によらず、前記立体画像の視差方向の各位置に前記色光を発する領域が存在するようにされる。
【0013】
本技術の第2の側面の表示装置は、複数の視点画像からなる色光を発する領域を有する表示部と、各視点画像を光学的に分離する分離部とを備え、前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とからなり、前記遮光領域の前記視点画像が並ぶ方向と略垂直な垂直方向の幅の合計が略一定の値となる。
【0014】
本技術の第2の側面においては、複数の視点画像からなる色光を発する領域を有する表示部に各視点画像が表示され、分離部において、各視点画像が光学的に分離される。また、前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とから構成され、前記遮光領域の前記視点画像が並ぶ方向と略垂直な垂直方向の幅の合計が略一定の値となるようにされる。
【発明の効果】
【0015】
本技術の第1および第2の側面によれば、モアレの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】立体映像表示装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】表示部の構成例を示す図である。
【図3】立体画像の一例を示す図である。
【図4】カラーフィルタの配置例を示す図である。
【図5】視認領域内におけるフィルタ領域の開口率について説明する図である。
【図6】カラーフィルタの配置例を示す図である。
【図7】カラーフィルタの配置例を示す図である。
【図8】カラーフィルタの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本技術を適用した実施の形態について説明する。
【0018】
〈第1の実施の形態〉
[立体映像表示装置の構成例]
図1は、本技術を適用した立体映像表示装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【0019】
立体映像表示装置11は、パララックスバリア方式による3次元の立体画像と、2次元の平面画像との表示の切り替えを必要に応じて行ないながら、立体画像や平面画像を表示するものである。立体映像表示装置11は、表示部21、制御部22、およびパララックスバリア駆動部23から構成される。
【0020】
表示部21は、バックライト31、光変調パネル32、およびパララックスバリア33からなり、観察者の右眼で観察(知覚)される右眼用の画像と、観察者の左眼で観察される左眼用の画像とからなる3次元の立体画像や、2次元の平面画像を表示する。
【0021】
すなわち、バックライト31は、導光板、LED(Light Emitting Diode)等の光源、反射シートなどからなる画像ディスプレイ専用の照明装置であり、画像を表示させるための光を射出し、光変調パネル32に入射させる。
【0022】
光変調パネル32は、R,G,Bの各色のカラーフィルタ、液晶層、偏光板、薄膜トランジスタなどからなる液晶表示パネルであり、バックライト31から入射した光を透過させることで、画像を表示させる。このとき、光変調パネル32は、光変調パネル32に設けられた画素ごとに、光の透過率を変化させることで、画像の各画素の階調表示を行なう。
【0023】
パララックスバリア33は、偏光板やスイッチ液晶層などからなり、立体画像の表示時において、光変調パネル32から入射した光の一部を遮光し、残りの一部を透過させることで、右眼用と左眼用の画像を光学的に分離させる。また、パララックスバリア33は、平面画像の表示時においては、光変調パネル32から入射した光をそのまま透過させる。
【0024】
制御部22は、立体映像表示装置11の各部、すなわち表示部21やパララックスバリア駆動部23を制御する。例えば、制御部22は、表示部21の図示せぬ表示ドライバを駆動させて光変調パネル32に画像を表示させたり、バックライト31から光を射出させたりする。
【0025】
パララックスバリア駆動部23は、制御部22の制御にしたがって、パララックスバリア33を駆動させ、光変調パネル32からパララックスバリア33に入射する光の一部を遮光させることで、右眼用と左眼用の画像を分離させる。より具体的には、パララックスバリア駆動部23は、パララックスバリア33に、光を透過させるスリット領域と、光を遮光する遮光領域とを形成させる。
【0026】
[表示部の構成例]
次に、図1の表示部21の構成について説明する。図2は、表示部21のより詳細な構成例を示す図である。なお、図2において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。また、図2において横方向、奥行き方向、および縦方向を、それぞれx方向、y方向、およびz方向とする。
【0027】
図2では、光変調パネル32は、偏光板61、偏光板62、対向基板63、TFT(Thin Film Transistor)基板64、および液晶層65から構成されている。
【0028】
すなわち、対向して配置された偏光板61と偏光板62の間に、平板状の対向基板63とTFT基板64とが互いに対向するように設けられている。そして、対向基板63とTFT基板64との間に液晶層65が形成されている。
【0029】
対向基板63の液晶層65側の面には、画素ごとにカラーフィルタや対向電極が設けられている。特に、対向基板63の各画素の領域には、R,G,Bの各色のカラーフィルタが設けられている。また、TFT基板64の液晶層65側の面には、画素電極や駆動素子であるTFT(薄膜トランジスタ)が画素ごとに設けられている。
【0030】
液晶層65には、立体画像表示時に、左眼用の画像を表示するための光を透過させる透過部71L−1乃至透過部71L−4と、立体画像表示時に、右眼用の画像を表示するための光を透過させる透過部71R−1乃至透過部71R−4とが設けられている。光変調パネル32では、行列状に配置された各画素に1つの透過部が設けられている。
【0031】
立体画像または平面画像の表示時においては、対向基板63の対向電極と、TFT基板64の画素電極に電圧が印加されると、その電圧の大きさに応じて、透過部71L−1乃至透過部71R−4内に封入されている液晶分子の配向方向が変化する。これにより、バックライト31から光変調パネル32に入射した光の透過率が変化し、各画素を透過する光の量が、それらの画素に表示される画像の画素の画素値に対応する光量となる。
【0032】
なお、以下、透過部71L−1乃至透過部71L−4を個々に区別する必要のない場合、単に透過部71Lとも称し、透過部71R−1乃至透過部71R−4を個々に区別する必要のない場合、単に透過部71Rとも称する。また、以下、透過部71Lと透過部71Rを特に区別する必要のない場合、単に透過部71とも称する。
【0033】
光変調パネル32では、xy平面上において、透過部71Lと透過部71Rとがx方向に交互に設けられており、y方向には、透過部71Lまたは透過部71Rの何れかが連続して並べられている。
【0034】
したがって、立体画像の表示時において、光変調パネル32には、立体画像を構成する左眼用の画像上の矩形状の領域と、立体画像を構成する右眼用の画像上の矩形状の領域とがx方向に交互に並べられて表示されることになる。また、1つの画素、すなわち1つの透過部71を透過する光が、画像上の1つの画素を表示する光となる。
【0035】
ここで、立体画像を構成する左眼用と右眼用の画像は、互いに視差を有する画像であるが、図2におけるx方向が左眼用と右眼用の画像の視差の方向、つまり観察者の左右の眼が並ぶ方向である。以下においては、x方向を視差方向とも呼ぶこととする。
【0036】
また、2次元の平面画像の表示時においては、各透過部71は、バックライト31から入射してきた、平面画像を表示させるための光を透過させ、パララックスバリア33に入射させる。
【0037】
パララックスバリア33は、偏光板61、偏光板81、透明基板82、透明基板83、およびスイッチ液晶層84から構成されている。図2では、偏光板61は、光変調パネル32を構成する部材としても、パララックスバリア33を構成する部材としても用いられている。
【0038】
パララックスバリア33では、対向して配置された偏光板61と偏光板81の間に、平板状の透明基板82と透明基板83が互いに対向するように設けられている。そして、透明基板82と透明基板83との間にスイッチ液晶層84が形成されている。
【0039】
透明基板82と透明基板83のスイッチ液晶層84側の面には、電極が形成されており、これらの電極の一部または全部に電圧が印加されると、スイッチ液晶層84内の液晶分子の配向方向が変化する。これにより、スイッチ液晶層84には、パララックスバリア(視差バリア)が形成される。
【0040】
図2の例では、光変調パネル32から入射した光を透過させるスリット領域91−1乃至スリット領域91−4と、光変調パネル32から入射した光を遮光する遮光領域92−1乃至遮光領域92−4とからなるパララックスバリアが、スイッチ液晶層84に形成されている。
【0041】
なお、以下、スリット領域91−1乃至スリット領域91−4を個々に区別する必要のない場合、単にスリット領域91とも称し、遮光領域92−1乃至遮光領域92−4を個々に区別する必要のない場合、単に遮光領域92とも称する。
【0042】
図2では、スイッチ液晶層84に、y方向に長い矩形状のスリット領域91と遮光領域92とが視差方向(x方向)に交互に形成されている状態となっている。つまり、スイッチ液晶層84にはストライプ状のパララックスバリアが形成されている。ここで、遮光領域92が形成されている領域が、電極により電圧が印加された領域である。
【0043】
表示部21では、立体画像の表示時には、透明基板82と透明基板83の電極に電圧が印加されて、スイッチ液晶層84に図2に示すパララックスバリアが形成される。このような場合、光変調パネル32から射出され、偏光板61で直線偏光とされた光のうち、スリット領域91に入射した光は、そのままスリット領域91および偏光板81を透過する。これに対して、光変調パネル32から射出され、偏光板61で直線偏光とされた光のうち、遮光領域92に入射した光は、遮光領域92に吸収されてパララックスバリア33からは射出されない。
【0044】
また、表示部21では、平面画像の表示時には、透明基板82と透明基板83の電極に電圧は印加されず、スイッチ液晶層84にパララックスバリアが形成されない。つまり、スイッチ液晶層84の全領域がスリット領域と同じ状態となる。この場合、光変調パネル32から入射した光は全て、パララックスバリア33を透過して、観察者の左右の眼に入射することになる。
【0045】
[立体映像表示装置の動作の説明]
次に、立体映像表示装置11の動作について説明する。なお、図2に示すように、観察者は、表示部21のパララックスバリア33の表面からz方向に所定の距離(例えば、30cm)だけ離れた位置から、立体映像表示装置11に表示される画像を観察する。また、一般的な観察者の右眼ERと左眼ELとの間の距離は、6.5cm程度とされる。
【0046】
まず、3次元の立体画像が表示される場合について説明する。そのような場合、制御部22は、立体画像の画像信号に基づいて、光変調パネル32の画素ごとに、対向基板63の対向電極およびTFT基板64の画素電極に電圧を印加させる。これにより、立体画像の各画素を表示する透過部71は、それらの画素の画素値に応じた透過率で光を透過させるようになる。
【0047】
また、制御部22は、パララックスバリア駆動部23にパララックスバリア33の駆動を指示し、パララックスバリア駆動部23は、その指示に応じてパララックスバリア33を駆動させる。すなわち、パララックスバリア駆動部23は、透明基板82および透明基板83の電極に電圧を印加して、スイッチ液晶層84に、スリット領域91と遮光領域92とからなるパララックスバリアを形成させる。
【0048】
さらに、制御部22は、バックライト31から光を射出させる。バックライト31から射出された光は、偏光板62およびTFT基板64を透過して透過部71に入射する。そして、透過部71に入射した光は、立体画像の各画素の画素値に応じた透過率で透過部71を透過し、対向基板63、偏光板61、透明基板83、スリット領域91、透明基板82、および偏光板81を介して、観察者の眼に入射する。
【0049】
このとき、バックライト31から射出された光のうち、左眼用の透過部71Lを透過した光は、観察者の左眼ELに入射し、右眼用の透過部71Rを透過した光は、観察者の右眼ERに入射する。これにより、立体画像を構成する左眼用および右眼用の画像が観察者の左眼ELおよび右眼ERで知覚され、その結果、観察者により画像が立体的に知覚されることになる。
【0050】
例えば、バックライト31から射出され、左眼用の透過部71L−2を透過した光は、さらにスリット領域91−2を透過し、観察者の左眼ELに入射する。また、バックライト31から射出され、右眼用の透過部71R−2を透過した光は、さらにスリット領域91−2を透過し、観察者の右眼ERに入射する。
【0051】
また、バックライト31から射出され、透過部71を透過した後、遮光領域92に入射した光は、遮光領域92により吸収(遮光)され、観察者の眼には入射しない。すなわち、これらの光はパララックスバリアによりバリアされる。
【0052】
なお、表示部21では、各透過部71を透過するR,G,Bの各色の光が図2のxz平面上において、略同じ幅で広がって観察者の左眼ELおよび右眼ERに入射するようになされている。
【0053】
例えば、図2では、透過部71L−2を透過したR,G,Bの各色の光、および透過部71R−2を透過したR,G,Bの各色の光が、xz平面上において略同じ幅で広がって観察者の左眼ELおよび右眼ERに入射している。
【0054】
図2では、MLR1、MLG1、およびMLB1は、それぞれ透過部71L−2を透過したRの色の光、Gの色の光、およびBの色の光のそれぞれを表しており、これらの光は略同じ幅で広がって観察者の左眼ELに入射している。また、図2において、MRR1、MRG1、およびMRB1は、それぞれ透過部71R−2を透過したRの色の光、Gの色の光、およびBの色の光のそれぞれを表しており、これらの光も略同じ幅で広がって観察者の右眼ERに入射している。
【0055】
したがって、観察者の視点位置(左眼ELおよび右眼ER)が視差方向に移動したとしても、視差方向の各位置において、観察者の眼に入射するR,G,Bの各色の光の光量比が略一定となり、立体画像の色バランスが崩れてしまうことを抑制することができる。
【0056】
立体画像を表示させる場合、図3に示すように、互いに視差を有する右眼用の画像PRと左眼用の画像PLとから、立体画像PDが生成され、この立体画像PDが光変調パネル32に表示される。なお、図3中、横方向および縦方向は、x方向(視差方向)およびy方向に対応する方向である。
【0057】
立体画像PDは、例えば、画像PRと画像PLをそれぞれy方向に長い短冊状の矩形領域に分割し、画像PRから得られた矩形領域と、画像PLから得られた矩形領域とをx方向に交互に並べることで得られる画像である。このように、画像PRと画像PLからなる立体画像PDが光変調パネル32に表示される場合、立体画像PDを構成する左眼用の画像PLは、透過部71Lを有する画素に表示され、右眼用の画像PRは、透過部71Rを有する画素に表示されることになる。
【0058】
次に、立体映像表示装置11に2次元の平面画像を表示させる場合について説明する。この場合、制御部22は、平面画像の画像信号に基づいて、光変調パネル32の画素ごとに、画素電極等に対して電圧を印加させ、透過部71における光の透過率を、それらの画素の画素値に応じた透過率とさせる。
【0059】
また、制御部22は、パララックスバリア駆動部23を制御して、パララックスバリア33の電極に電圧が印加されず、パララックスバリアが形成されていない状態とするとともに、表示部21を制御し、バックライト31から光を射出させる。
【0060】
バックライト31から射出された光は、光変調パネル32およびパララックスバリア33を透過して、観察者の左右の眼に入射する。つまり、光変調パネル32の透過部71を有する画素のそれぞれに、平面画像の各画素が表示される。
【0061】
[フィルタ領域の配置について]
ところで、光変調パネル32の各画素には、例えば図4に示すように、バックライト31から入射した光のうちのR,G,Bの各色の成分のみを透過させてパララックスバリア33に入射させるカラーフィルタが設けられている。なお、図4において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0062】
また、図4では、光変調パネル32およびスイッチ液晶層84の一部が示されており、図中、横方向、縦方向、および奥行き方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。さらに、図4では説明のため、スイッチ液晶層84が光変調パネル32に対して、図中、下方向にずらされて図示されている。
【0063】
図4の例では、立体画像表示時に、光変調パネル32の領域121R−1および領域121R−2に右眼用の画像が表示され、領域121L−1および領域121L−2に左眼用の画像が表示されるようになされている。
【0064】
なお、以下、領域121R−1および領域121R−2を特に区別する必要のない場合、単に領域121Rと称し、領域121L−1および領域121L−2を特に区別する必要のない場合、単に領域121Lと称する。
【0065】
これらの領域121Rおよび領域121Lには、各画素を構成するサブ画素が設けられており、各サブ画素は、カラーフィルタや透過部71などから構成される。これらのサブ画素は、立体画像の画素の各色成分が表示される領域である。光変調パネル32では、右眼用の画像が表示される領域121Rと、左眼用の画像が表示される領域121Lとがx方向に交互に配置されている。
【0066】
例えば、領域121L−1には、G,B,Rの各色のカラーフィルタを有するサブ画素SBG11、サブ画素SBB11、およびサブ画素SBR11が設けられている。また、領域121R−1には、G,B,Rの各色のカラーフィルタを有するサブ画素SBG12、サブ画素SBB12、およびサブ画素SBR12が設けられている。
【0067】
各カラーフィルタは、対向基板63の液晶層65側の面(以下、フィルタ面と称する)に設けられているが、このフィルタ面において、サブ画素以外の領域は、光を遮光する遮光領域となっている。
【0068】
なお、図4では、各サブ画素に設けられたカラーフィルタのうち、Rの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域は、文字「R」が記された斜線が施されている領域とされている。また、各サブ画素に設けられたカラーフィルタのうち、Gの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域およびBの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域は、それぞれ文字「G」が記された縦線が施されている領域、および文字「B」が記された横線が施されている領域とされている。
【0069】
また、サブ画素SBG11には、Gの色の光のみを透過させるGのカラーフィルタのフィルタ領域131Gが設けられている。また、サブ画素SBB11、およびサブ画素SBR11には、Bの色の光のみを透過させるBのカラーフィルタのフィルタ領域131B、およびRの色の光のみを透過させるRのカラーフィルタのフィルタ領域131Rが設けられている。
【0070】
同様に、サブ画素SBG12、サブ画素SBB12、およびサブ画素SBR12には、G,B,Rの各色のカラーフィルタのフィルタ領域132G、フィルタ領域132B、およびフィルタ領域132Rが設けられている。
【0071】
さらに、各サブ画素には、各色の光を透過させるフィルタ領域の他に、光を遮光する遮光領域が設けられている。例えば、サブ画素SBG11では、フィルタ領域131G以外の領域が遮光領域となっており、フィルタ領域131Gの図中、下側に遮光領域が設けられている。この遮光領域は、フィルタ領域131Gとされる、平行四辺形状のサブ画素SBG11と同じ大きさのGのカラーフィルタの一部を、遮光部材で遮蔽することにより形成される。他のサブ画素についても、サブ画素SBG11と同様にして、フィルタ領域以外の部分が遮光領域とされている。
【0072】
特に、各サブ画素において、サブ画素内の遮光領域のy方向の長さは、x方向に隣接するサブ画素間にある遮光領域のy方向の長さと略等しくなるようになされている。例えば、サブ画素SBG11内の遮光領域の矢印M11により示されるy方向の長さと、サブ画素SBG11とサブ画素SBG12との間にある遮光領域の矢印M12により示されるy方向の長さとは、ともに12μmとなっている。なお、各サブ画素間にある遮光領域のy方向の幅は、x方向の各位置において略等しくなっている。
【0073】
また、光変調パネル32のフィルタ面では、y方向にR,G,Bの各色のサブ画素が順番に配置されており、x方向には、同じ色のサブ画素が並ぶように配置されている。さらに、互いにx方向に隣接するサブ画素の端同士は略平行となるようになされている。
【0074】
このように、フィルタ面には、バックライト31から入射した光のうち、R,G,Bの各色の光を透過させるフィルタ領域を有するサブ画素が行列状に設けられている。そして、これらのフィルタ領域を透過した各色の光の一部が、スリット領域91を介して観察者の眼に入射し、観察者により立体画像が知覚されることになる。
【0075】
例えば、バックライト31から入射し、領域121R−1内にあるフィルタ領域を透過した光は、スリット領域91−2を介して観察者の右眼に入射する。また、バックライト31から入射し、領域121L−1内にあるフィルタ領域を透過した光は、スリット領域91−2を介して観察者の左眼に入射する。
【0076】
[モアレの低減について]
ところで、立体画像を表示したときに生じるモアレを低減させるには、観察者の視点がx方向(視差方向)にずれた場合における、光変調パネル32上の観察者により視認される左眼用または右眼用の画像が表示される視認領域内の輝度の変動を低減させればよい。換言すれば、観察者の視点位置によらず、視認領域内において、他の領域と比べて輝度の低い遮光領域の面積が小さければよい。
【0077】
なお、視認領域とは、フィルタ面上の左眼用または右眼用の画像が表示される領域のうち、パララックスバリアによりバリアされずに、観察者の一方の眼により知覚される画像が表示されている領域である。すなわち、バックライト31からの光が全てフィルタ面を透過すると仮定した場合に、バックライト31からの光のうち、スリット領域91を介して観察者の片方の眼に入射する光が通るフィルタ面上の領域が視認領域である。
【0078】
このようなモアレを低減させるために、光変調パネル32では、フィルタ面のx方向の各位置において、必ずR,G,Bの各色のフィルタ領域が存在するようにサブ画素が配置されている。例えば、図4において、フィルタ面上のサブ画素SBG11とサブ画素SBG12とを含む領域内において、x方向の各位置において、必ずフィルタ領域131Gまたはフィルタ領域132Gの少なくとも一方が存在している。
【0079】
したがって、観察者の視認領域内に、サブ画素SBG11とサブ画素SBG12との間の遮光領域が含まれるような場合であっても、視認領域の輝度の低下、つまり視認領域を透過する光の光量の低下を低減させることができ、モアレの発生を抑制することができる。
【0080】
特に、サブ画素SBG11とサブ画素SBG12の間の遮光領域の面積は、サブ画素のフィルタ領域を、フィルタ領域131Gと同面積の長方形状の領域とした場合における、サブ画素間の遮光領域の面積と比べて大幅に小さく、モアレの発生が抑制されることが分かる。
【0081】
しかも、光変調パネル32では、x方向の各位置において、遮光領域のy方向の幅、つまりフィルタ領域のy方向の幅(複数のフィルタ領域があるときは、それらのy方向の幅の合計値)が、略同じ値となっている。
【0082】
そのため、例えば図5に示すように、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内にある各色のフィルタ領域の開口率、つまりフィルタ領域の面積が略一定となり、観察者の視点位置の変化により生じる視認領域内の輝度の変動を防止し、モアレの発生を抑制できる。
【0083】
なお、図5において、図4における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。また、図5において、横方向、縦方向、および奥行き方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。
【0084】
観察者の視点位置がx方向(視差方向)に変化すると、フィルタ面上における視認領域もx方向に移動する。例えば、5つの異なる視認領域Q11乃至視認領域Q15に注目すると、これらの視認領域Q11乃至視認領域Q15内におけるフィルタ領域131Gまたはフィルタ領域132Gからなる領域の面積は、等しくなる。換言すれば、視認領域Q11乃至視認領域Q15のそれぞれに設けられた遮光領域の面積は略等しくなっている。
【0085】
具体的には、例えば視認領域Q13内における、フィルタ領域131Gの領域の面積とフィルタ領域132Gの領域の面積の和は、視認領域Q12内にあるフィルタ領域131Gの領域の面積と等しい。
【0086】
このように、各色について、視認領域内のフィルタ領域(遮光領域)の面積が等しくなるようにフィルタ領域を形成すれば、観察者の眼に常に一定量の光が入射することになり、モアレの発生を抑制することができるようになる。
【0087】
また、光変調パネル32では、フィルタ面上における視認領域の位置によらず、視認領域内における各色のフィルタ領域のx方向の幅と、フィルタ領域の面積が略一定となるので、観察者の視点位置によって立体画像の色バランスが崩れてしまうことを抑制することができる。立体映像表示装置11では、3次元の立体画像を表示するときも、2次元の平面画像を表示するときも適切な色バランスを保つことができる。
【0088】
なお、以上においては、バックライト31とパララックスバリア33の間に光変調パネル32が配置されると説明したが、バックライト31と光変調パネル32の間にパララックスバリア33が配置されるようにしてもよい。そのような場合、バックライト31から射出された光は、パララックスバリア33を介して光変調パネル32に入射する。
【0089】
〈第2の実施の形態〉
[フィルタ領域の配置について]
また、以上においては、各サブ画素のフィルタ領域のy方向の一方の端側にのみ、遮光領域が設けられる場合について説明したが、フィルタ領域のy方向の両側の端に遮光領域が設けられるようにしてもよい。
【0090】
そのような場合、例えば図2の光変調パネル32の各サブ画素には、図6に示すように、フィルタ領域を挟み込むように遮光領域が設けられる。なお、図6において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0091】
また、図6では、光変調パネル32およびスイッチ液晶層84の一部が示されており、図中、横方向、縦方向、および奥行き方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。さらに、図6では説明のため、スイッチ液晶層84が光変調パネル32に対して、図中、下方向にずらされて図示されている。
【0092】
図6の例においても、図4における場合と同様に、立体画像表示時において、右眼用の画像が表示されるサブ画素からなる領域と、左眼用の画像が表示されるサブ画素からなる領域とがx方向に交互に並んでいる。また、それらの領域内の各サブ画素には、G,B,Rの各色のカラーフィルタのフィルタ領域と、遮光領域とが設けられている。
【0093】
なお、図6では、各サブ画素に設けられたカラーフィルタのうち、Rの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域は、文字「R」が記された斜線が施されている領域とされている。また、各サブ画素に設けられたカラーフィルタのうち、Gの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域およびBの色の光のみを透過させるカラーフィルタの領域は、それぞれ文字「G」が記された縦線が施されている領域、および文字「B」が記された横線が施されている領域とされている。
【0094】
例えば、サブ画素SBG21、サブ画素SBB21、およびサブ画素SBR21は、それぞれG,B,Rの各色のカラーフィルタのフィルタ領域161G、フィルタ領域161B、およびフィルタ領域161Rを有している。
【0095】
また、サブ画素SBG21内には、フィルタ領域161Gの図中、上下に隣接して遮光領域171−1と遮光領域171−2が設けられている。例えば、遮光領域171−1と遮光領域171−2のy方向の幅は、6μmなどとされる。つまり、サブ画素SBG21では、図4のサブ画素内の遮光領域と比べて面積が半分である2つの遮光領域が、フィルタ領域161Gの図中、上下に設けられている。
【0096】
したがって、例えば図6のサブ画素SBG21のフィルタ領域161Gの面積と、図4のサブ画素SBG11のフィルタ領域131Gの面積は等しく、それらのサブ画素SBG21とサブ画素SBG11内にある遮光領域の総面積も等しくなっている。
【0097】
同様に、サブ画素SBB21とサブ画素SBR21内にも、サブ画素SBG21と同じ位置関係で遮光領域が設けられている。すなわち、サブ画素SBB21には、フィルタ領域161Bの図中、上下に隣接して遮光領域171−3と遮光領域171−4が設けられ、サブ画素SBR21には、フィルタ領域161Rの図中、上下に隣接して遮光領域171−5と遮光領域171−6が設けられている。
【0098】
また、図6の例においては、各サブ画素内の遮光領域のy方向の長さの合計は、x方向に隣接するサブ画素間にある遮光領域のy方向の長さと略等しくなるようになされている。例えば、矢印M21により示される遮光領域のy方向の長さは12μmとされ、遮光領域171−1と遮光領域171−2のy方向の幅の合計も12μmとなっている。
【0099】
そのため、図6に示す例においても、図4における場合と同様に、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内にある各色のフィルタ領域の面積(開口率)、および遮光領域の面積が略一定となる。これにより、観察者の視点位置の変化により生じる視認領域内の輝度の変動を防止し、モアレの発生を抑制できる。
【0100】
しかも、図6の例では、図4の例と比べて、サブ画素内の遮光領域のy方向の幅が狭いので、つまり遮光領域の面積が小さいので、立体画像の表示時にも、平面画像の表示時においても観察者の眼に各遮光領域をより視認されにくくすることができる。
【0101】
例えば、サブ画素内の各遮光領域が大きいと、立体画像や平面画像の表示時に、周囲のフィルタ領域よりも輝度が低くなる遮光領域が黒いスジとして視認されてしまうことがある。このように、各遮光領域が観察者に視認されてしまうと、表示される画像の画質が低下してしまうことになる。そこで、図6の光変調パネル32では、サブ画素内において、遮光領域の全体の面積は図4の場合と同じであるが、各遮光領域を小さくし、それらの遮光領域を離れた位置に配置することで、遮光領域が視認されにくくなっている。
【0102】
また、図6の例では、図4の場合と比べて、フィルタ面において、遮光領域171−1などのサブ画素を構成する遮光領域が、y方向により短い周期で並んでいるので、さらに遮光領域が観察者に視認されにくくなっている。
【0103】
〈第3の実施の形態〉
[フィルタ領域の配置について]
さらに、以上においては、左眼用および右眼用の画像からなる立体画像を表示する場合について説明したが、立体映像表示装置11が3以上の複数の視点の画像からなる多視点の立体画像を表示するようにしてもよい。
【0104】
そのような場合、光変調パネル32のフィルタ面には、例えば図7に示すようにR,G,Bの各色のカラーフィルタを有するサブ画素が配置される。なお、図7において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。また、図中、横方向、縦方向、および奥行き方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。また、図7の例では、スイッチ液晶層84、つまりパララックスバリア33は、光変調パネル32とバックライト31の間に配置される。
【0105】
光変調パネル32のフィルタ面には、図中、左側に示すように、各色のフィルタ領域を有するサブ画素がxy方向に行列状に並べられて配置されている。なお、図7では、光変調パネル32およびスイッチ液晶層84の一部が示されており、説明のため、スイッチ液晶層84が光変調パネル32に対して、図中、右方向にずらされて図示されている。
【0106】
例えば、光変調パネル32に、視点V1乃至視点V4の4つの異なる視点の画像からなる多視点の立体画像が表示される場合、フィルタ面上の領域PVR1および領域PVR5に、1つの視点V1の画像が表示される。
【0107】
また、フィルタ面上の領域PVR2および領域PVR6に、視点V2の画像が表示され、領域PVR3に視点V3の画像が表示され、領域PVR4に視点V4の画像が表示される。つまり、フィルタ面上において、視点V1乃至視点V4の画像が、x方向に繰り返し順番に並べられて表示されることになる。
【0108】
そして、これらの視点V1乃至視点V4のうち、隣接して表示されている2つの視点の画像が、それぞれ観察者の左右の眼で知覚されて、立体画像が見えることになる。
【0109】
なお、図7では、各サブ画素のRのカラーフィルタの領域は、文字「R」が記された斜線が施されている領域とされている。また、Gのカラーフィルタの領域およびBのカラーフィルタの領域は、それぞれ文字「G」が記された縦線が施されている領域、および文字「B」が記された横線が施されている領域とされている。
【0110】
例えば、領域PVR1には、視点V1の画像が表示されるが、立体画像の表示時においては、領域PVR1内にあるR,B,Gの各色の光を透過させるサブ画素SBR51、サブ画素SBB51、およびサブ画素SBG51が1つの画素として機能する。つまり、サブ画素SBR51、サブ画素SBB51、およびサブ画素SBG51のそれぞれに、視点V1の画像の1つの画素のR,B,Gの成分のそれぞれが表示される。
【0111】
サブ画素SBR51には、バックライト31から入射した光のうち、Rの色の光のみを透過させるRのカラーフィルタのフィルタ領域201Rと、バックライト31から入射した光を遮光する遮光領域202−1とが設けられている。
【0112】
同様に、サブ画素SBB51には、Bの色のカラーフィルタのフィルタ領域201Bと、光を遮光する遮光領域202−2とが設けられており、サブ画素SBG51には、Gの色のカラーフィルタのフィルタ領域201Gと、光を遮光する遮光領域202−3とが設けられている。
【0113】
また、領域PVR5内にも、G,R,Bの各色のサブ画素SBG52、サブ画素SBR52、およびサブ画素SBB52が設けられている。そして、サブ画素SBG52には、Gの色のフィルタ領域203Gと、光を遮光する遮光領域204−1とが設けられている。さらに、サブ画素SBR52には、Rの色のフィルタ領域203Rと、光を遮光する遮光領域204−2とが設けられ、サブ画素SBB52には、Bの色のフィルタ領域203Bと、光を遮光する遮光領域204−3とが設けられている。
【0114】
ここで、遮光領域202−1乃至遮光領域202−3と、遮光領域204−1乃至遮光領域204−3は、それぞれ略長方形状の領域となっており、例えばxy平面上のこれらの遮光領域と同じ位置に、TFT基板64を構成するTFT等の電子部材が配置されている。
【0115】
このように、遮光領域と重なるように電子部材を配置することで、電子部材によりフィルタ領域における光の透過率が低下してしまうことを防止することができる。
【0116】
また、多視点の立体画像が表示される場合、透明基板82と透明基板83の電極に電圧が印加されると、スイッチ液晶層84には、図7中、右側に示すパララックスバリアが形成される。すなわち、バックライト31から入射した光を遮光する遮光領域211−1乃至遮光領域211−3と、バックライト31から入射した光を透過させるスリット領域212−1およびスリット領域212−2とからなるパララックスバリアが形成される。
【0117】
なお、以下、遮光領域211−1乃至遮光領域211−3を個々に区別する必要のない場合、単に遮光領域211とも称し、スリット領域212−1およびスリット領域212−2を個々に区別する必要のない場合、単にスリット領域212とも称する。
【0118】
図7に示すパララックスバリアは、y方向に長い矩形の遮光領域211とスリット領域212とが、x方向に交互に並んでおり、ストライプ状のバリアとなっている。このようなパララックスバリアが形成された場合、観察者が所定の視点位置から立体映像表示装置11を見ると、例えばフィルタ面上の領域Q31および領域Q32が、観察者の右眼の視認領域となる。
【0119】
すなわち、観察者の右眼には、視点V1乃至視点V4の画像のうち、領域Q31および領域Q32に表示される視点V1の画像のみが知覚されることになる。この場合、バックライト31からスリット領域212−1を介して入射し、領域Q31内の各フィルタ領域を透過した光は、観察者の右眼に入射する。同様に、バックライト31からスリット領域212−1を介して入射し、領域Q32内の各フィルタ領域を透過した光は、観察者の右眼に入射する。
【0120】
さらに、このとき、バックライト31からスリット領域212−1およびスリット領域212−2のそれぞれを通って入射し、フィルタ面上の領域PVR2および領域PVR6内にある各フィルタ領域を透過した光が、観察者の左眼に入射する。つまり、観察者の左眼には、領域PVR2および領域PVR6に表示されている視点V2の画像が知覚される。
【0121】
したがって、観察者には、視点V1の画像および視点V2の画像からなる立体画像が知覚されることになる。観察者の視点位置が移動すると、フィルタ面上の視認領域も移動し、観察者の左右の眼には、異なる視点の画像が観察されるようになる。
【0122】
このように多視点の立体画像を表示させる場合においても、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内にある各色のフィルタ領域の開口率(面積)が一定となるようになされている。
【0123】
具体的には、フィルタ面上のx方向の各位置において、サブ画素内のフィルタ領域のy方向の長さが略一定となるようになされている。換言すれば、フィルタ面上のx方向の各位置において、遮光領域のy方向の長さの合計値が略一定となるようになされている。
【0124】
例えば、サブ画素SBR51内の遮光領域202−1のy方向の長さは12μmとされる。また、サブ画素SBR51と、サブ画素SBR51の右側に隣接するサブ画素との間にある遮光領域の矢印M31および矢印M32に示す部分のy方向の長さは、それぞれ6μmとされる。ここで、遮光領域の矢印M31および矢印M32に示される部分は、x方向における同じ位置であり、これらの部分のy方向の長さの合計値(12(=6+6)μm)は、遮光領域202−1のy方向の長さと同じとなっている。
【0125】
図7では、x方向の各位置に、サブ画素内の遮光領域と、サブ画素間にある遮光領域とのうちの何れか一方のみが必ず存在するようになされているので、観察者の視認領域の位置によらず、遮光領域の面積が略一定となる。その結果、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内にある各色のフィルタ領域の面積(開口率)が一定となり、観察者の視点位置の変化により生じる視認領域内の輝度の変動を防止し、モアレの発生を抑制することができる。
【0126】
なお、光変調パネル32のフィルタ面における各色のサブ画素の配置は、図7に示した配置に限らず、どのような配置とされてもよい。また、スイッチ液晶層84に形成されるパララックスバリアもストライプ形状に限らず、平行四辺形状やステップ形状など、どのような形状のバリアであってもよい。
【0127】
〈第4の実施の形態〉
[フィルタ領域の配置について]
さらに、各サブ画素内に設けられる遮光領域の位置は、例えば図8に示すように、TFT基板64などに設けられたTFT等の電子部材の位置に応じて定められるようにしてもよい。
【0128】
なお、図8において、図7における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。また、図中、横方向、縦方向、および奥行き方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。さらに、図8では、各サブ画素のRのカラーフィルタの領域は、文字「R」が記された斜線が施されている領域とされている。また、Gのカラーフィルタの領域およびBのカラーフィルタの領域は、それぞれ文字「G」が記された縦線が施されている領域、および文字「B」が記された横線が施されている領域とされている。
【0129】
図8における各サブ画素は、図7におけるサブ画素とは、サブ画素内の遮光領域の位置のみが異なっており、その他の点では同じとなっている。また、図8のフィルタ面上における各色のサブ画素の配置も、図7における各色のサブ画素の配置と同じとなっている。
【0130】
すなわち、図7では、各サブ画素内において遮光領域が図7中、右側に配置されているのに対し、図8では、各サブ画素において遮光領域が図8中、左下に配置されている。
【0131】
例えば、図8において、サブ画素SBR51には、Rの色のフィルタ領域241Rと、遮光領域242−1とが設けられており、遮光領域242−1は、サブ画素SBR51内の図中、左下に位置している。
【0132】
同様に、サブ画素SBB51には、Bの色のフィルタ領域241Bと、遮光領域242−2とが設けられており、遮光領域242−2は、サブ画素SBB51内の図中、左下に位置している。また、サブ画素SBG51には、Gの色のフィルタ領域241Gと、遮光領域242−3とが設けられており、遮光領域242−3は、サブ画素SBG51内の図中、左下に位置している。
【0133】
そして、これらの遮光領域242−1乃至遮光領域242−3と重なるように、光変調パネル32を構成するTFT基板64などに設けられたTFT等の電子部材が配置されている。
【0134】
ここで、図8の例においても、観察者の視認領域の位置によらず、光変調パネル32のフィルタ面上のx方向の各位置において、遮光領域のy方向の長さの合計値が略一定となるようになされている。
【0135】
つまり、x方向の各位置に、サブ画素内の遮光領域と、サブ画素間の遮光領域とのうちの何れか一方のみが必ず存在し、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内における遮光領域の面積が略一定となるようになされている。したがって、観察者の視認領域の位置によらず、視認領域内にある各色のフィルタ領域の面積(開口率)が一定となり、観察者の視点位置の変化により生じる視認領域内の輝度の変動を防止し、モアレの発生を抑制することができる。
【0136】
なお、以上においては、立体画像をパララックスバリア方式により表示する場合について説明したが、レンチキュラーレンズ方式など、どのような方式で立体画像を表示するようにしてもよい。例えば、レンチキュラーレンズ方式で立体画像を表示する場合には、表示部21に設けられたレンチキュラーレンズにより、各視点の画像が分離される。
【0137】
また、以上においては、光変調パネル32に対向電極が設けられる構成を例として説明したが、光変調パネル32は、対向電極の設けられないインプレーンスイッチング方式により、各画素の光の透過率を変化させる構成とされてもよい。さらに、光変調パネル32に対向電極が設けられる場合においても、ツイストネマチック方式、垂直配向方式、電界効果複屈折方式等、どのような方式で各画素の透過率を変化させてもよい。
【0138】
図2のように、パララックスバリア33を光変調パネル32よりも観察者側に配置することにより、有機EL(Electro Luminescence)方式やプラズマディスプレイでの立体画像表示にも、本技術を適用することができる。
【0139】
また、以上においては、本技術を、立体画像を表示する立体映像表示装置に適用する場合を例に説明したが、本技術は、その他、マルチディスプレイなどの表示装置にも適用することができる。マルチディスプレイでは、例えば運転席や助手席など、異なる視点位置から同時に表示画面を見た場合に、視点位置ごとに異なる2次元画像が観察されるように、画像の表示が行なわれる。
【0140】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0141】
11 立体映像表示装置, 21 表示部, 32 光変調パネル, 33 パララックスバリア, 71L−1乃至71L−4,71R−1乃至71R−4,71 透過部, 84 スイッチ液晶層, 91−1乃至91−4,91 スリット領域, 92−1乃至92−4,92 遮光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視点の画像からなる立体画像を表示するための色光を発する領域を有する表示部と、
異なる視点の前記画像が観察者の異なる眼で観察されるように、各視点の前記画像を光学的に分離する分離部と
を備え、
前記観察者により視認される、所定の視点の前記画像が表示されている前記表示部上の視認領域内において、前記立体画像を観察する前記観察者の視点位置によらず、前記立体画像の視差方向の各位置に前記色光を発する領域が存在する
表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とからなり、前記視認領域内の前記視差方向の各位置において、前記遮光領域の前記視差方向と略垂直な垂直方向の幅の合計が略一定の値となる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とからなり、前記立体画像を観察する前記観察者の視点位置によらず、前記視認領域内の前記遮光領域の面積は略一定の値となる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とからなり、
前記色光を発する領域は、前記色光を透過させるフィルタの一部に前記遮光領域となる遮光部を設けることにより形成され、
前記遮光部は、前記フィルタにおける前記視差方向と略垂直な垂直方向の両側の端に設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の視点画像からなる色光を発する領域を有する表示部と、
各視点画像を光学的に分離する分離部と
を備え、
前記表示部は、前記色光を発する領域と光を遮光する遮光領域とからなり、前記遮光領域の前記視点画像が並ぶ方向と略垂直な垂直方向の幅の合計が略一定の値となる
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194274(P2012−194274A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56993(P2011−56993)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】