説明

表示装置

【課題】視認性とデザインの自由度とが両立された指標を表示する表示装置の提供。
【解決手段】複数の画像を組み合わせることにより形成されるスピードメータ画像10a等によって指標を表示するコンビネーションメータ100である。コンビネーションメータ100は、後面51に入射する光の一部を透過させ、前面52に入射する光の一部を反射するハーフミラー50と、ハーフミラー50の後面51に向けて投影した目盛画像12の光像により、ハーフミラー50の表示方向後側に目盛画像12を結像表示する第一ディスプレイ30と、ハーフミラー50の前面52に向けて投影した指針画像11の光像により、ハーフミラー50の表示方向後側であって表示方向において目盛画像12とは異なる位置に、指針画像11を結像表示する第二ディスプレイ40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像を組み合わせることにより形成される指標を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置によって表示される指標は、複数の画像並びに指針及び目盛等の構成を組み合わせることによって形成されている。このような指標を表示する表示装置の一種として、例えば特許文献1には、指針の画像及び目盛の画像を表示するカラー液晶パネルを備えた車両用メータユニットが開示されている。この車両用メータユニットは、目盛の画像と指針の画像とを組み合わせることにより、例えば車両の走行速度等の指標を表示する。
【0003】
また特許文献2には、入射する光の一部を透過させ他の一部を反射するハーフミラーと、ハーフミラーの後面側に位置する指針と、ハーフミラーの前面に向けて表示像を投影することによって、当該ハーフミラーの裏面側に当該表示像の虚像を表示するTFT型液晶画像ディスプレイと、を備える車両用表示装置が開示されている。この車両用表示装置では、ハーフミラーを透過して視認される指針と、TFT型液晶画像ディスプレイによって形成される目盛等の表示像の虚像とを組み合わせることにより、例えば車両の走行速度等の指標が表示される。この車両用表示装置では、表示像の虚像は、指標の表示方向において指針と一致する位置に結像表示される。これにより、指針と表示像の虚像との間で視差が生じないようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−128308号公報
【特許文献2】特開平09−257523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1に開示の車両用メータユニットでは、指針の画像及び目盛の画像は、共にカラー液晶パネルの表示面に表示される。組み合わされることにより指標を形成する指針の画像及び目盛の画像は、当該指標の表示方向において同一平面上に表示される。故に、指針の画像及び目盛の画像との間には、視差が生じ得ない。そのため、色相、明度、及び彩度等の表示色が、指針の画像と目盛の画像との間で互いに近似してしまうと、これら指針の画像及び目盛の画像は、一体的に認識されて、互いに区別されなくなってしまうのである。故に、指針の画像及び目盛の画像により形成される指標の直感的な視認性を確保しようとすると、これら指針の画像及び目盛の画像の表示色は、互いに近似しないように制約を受けてしまうのである。
【0006】
そこで、本願の発明者らは、特許文献2に開示の車両用表示装置において、指針に替えてTFT型液晶画像ディスプレイを設ける構成を想到した。TFT型液晶画像ディスプレイからハーフミラーの裏面に向けて指針等の画像を投影することによって、当該ハーフミラーを透過する光により、ハーフミラーの後面側に指針画像が結像表示される。
【0007】
しかし、特許文献2に開示の車両用表示装置に基づく上記の構成でも、指針の画像と目盛等の表示像の虚像との間に視差は生じない。そのため、色相、明度、及び彩度等の表示色が互いに近似していれば、異なるTFT型液晶画像ディスプレイによって投影されていても、指針の画像及び目盛の虚像は、互いに区別され難いままなのである。故に、指針の画像及び目盛の虚像により形成される指標の直感的な視認性を確保するためには、各TFT型液晶画像ディスプレイから投影される指針の画像及び目盛の画像の表示色は、互いに近似しないように制約を受けてしまうのである。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、視認性とデザインの自由度とが両立された指標を表示する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数の画像を組み合わせることにより形成される指標を表示する表示装置であって、入射する光の一部を透過させる透過面、及び入射する光の一部を反射する反射面、を有する半透過部材と、透過面に向けて投影した画像としての第一画像の光像を、半透過部材において透過させることにより、半透過部材の表示方向後側に第一画像を結像表示する第一表示手段と、反射面に向けて投影した画像としての第二画像の光像を、半透過部材にて反射させることにより、半透過部材の表示方向後側であって表示方向において第一画像とは異なる位置に、第二画像を結像表示する第二表示手段と、を備える表示装置とする。
【0010】
この発明によれば、第一表示手段によって透過面に第一画像が投影されると共に、第二表示手段によって反射面に第二画像が投影されることによって、半透過部材の表示方向後側には、第一画像及び第二画像が結像表示される。互いに組み合わされることにより指標を形成する第一画像及び第二画像は、当該指標の表示方向において異なる位置に結像表示される。故に、第一画像と第二画像との間には、視差が生じる。そのため、色相、明度、及び彩度等の表示色が、第一画像と第二画像との間で互いに近似している場合でも、第一画像と第二画像とは、視差によって互いに区別され得る。以上により、第一画像及び第二画像の表示色が自由に選択されても、第一画像及び第二画像により形成される指標の視認性は、確保され得る。したがって、表示装置に表示される指標は、高い視認性とデザインの高い自由度とが両立される。
【0011】
請求項2に記載の発明では、第二画像は、第一画像と異なる輝度にて表示されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第一画像と第二画像との間で、これらの表示色が互いに近似している場合でも、第一画像と第二画像とは、視差に加えて、輝度の違いによっても互いに区別され得るようになる。故に、第一画像及び第二画像の表示色が自由に選択されても、第一画像及び第二画像により形成される指標の視認性は、確実に確保され得る。したがって、表示装置に表示される指標は、高い視認性とデザインの高い自由度とが両立される。
【0013】
請求項3に記載の発明では、第一画像及び第二画像は、表示方向において互いに重なり合うことにより指標を形成することを特徴とする。
【0014】
この発明のように、第一画像及び第二画像が表示方向において互いに重なることにより指標を形成する形態では、これらの重なる部分において、第一画像と第二画像との境界が不明確になり易い。しかし、第一画像と第二画像との間に視差を生じさせることにより、これら第一画像と第二画像との境界は、明確になり得る。以上のように、第一画像と第二画像との区別を、視差を生じさせることにより容易にする作用は、第一画像及び第二画像が重なることによって指標を形成する形態において、顕著に発揮される。
【0015】
請求項4に記載の発明では、第一画像の表示色と、第二画像の表示色とが一致することを特徴とする。
【0016】
この発明のように、第一画像の表示色及び第二画像の表示色が一致している形態では、第一画像と第二画像との区別は、いっそう困難になり得る。しかし、第一画像の表示色と第二画像の表示色とが一致した形態でも、第一画像と第二画像との間に視差を生じさせることにより、これら第一画像と第二画像は、確実に区別され得る。以上のように、第一画像と第二画像との区別を、視差を生じさせることにより容易にする作用は、第一画像の表示色と第二画像の表示色とが一致した形態において、顕著に発揮される。
【0017】
請求項5に記載の発明では、第一画像は、環状に並べられた複数の目盛画像、を含み、第二画像は、複数の目盛画像が並ぶ方向に沿って回転し当該目盛画像と表示方向において重なることにより、指標を形成する指針画像、を含むことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、複数の目盛画像が並ぶ方向に沿って回転する指針画像が目盛画像と重なった場合、指針画像と目盛画像とは、一体的に認識され易くなる。すると、指針画像の指し示している位置は、直感的に視認され難くなる。しかし、目盛画像と指針画像との間に視差を生じさせる構成とすることにより、これら目盛画像及び指針画像は、確実に区別され得るようになる。このように、視差を生じさせることによって指標の視認性を高める効果は、環状に並べられた複数の目盛画像と回転する指針画像との組み合わせによってなる指標を表示する表示装置において、顕著に発揮される。
【0019】
請求項6に記載の発明では、指標は、表示装置の搭載されている自車両を、当該自車両の前方を走行する前走車両に追従走行させるための走行制御装置の作動状態を示し、第一画像は、車両の外観を模ることによって前走車両を表す画像、を含み、第二画像は、前走車両を表す画像よりも表示方向前側に結像表示され、自車両の外観を模ることによって当該自車両を表す画像、を含むことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、第二画像に含まれる自車両を表す画像は、第一画像に含まれる前走車両を表す画像よりも表示方向前側に結像表示される。故に、運転者から視認された状態では、自車両を表す画像は、前走車両を表す画像よりも手前側に結像表示されることとなる。これにより、自車両を表す画像と前走車両を表す画像との位置関係が、自車両と前走車両との位置関係に対応する。故に、指標は、自車両と前走車両との位置関係を直感的に示すことができる。以上のように、視差を生じさせることによって指標の視認性を高める効果は、自車両を前走車両に追従走行させるための走行制御装置の作動状態を示す指標を表示する表示装置において、顕著に発揮される。
【0021】
請求項7に記載の発明では、第一表示手段は、第一画像を形成する第一液晶パネル、及び第一液晶パネルに形成される第一画像の光像を透過面に向けて投影するための第一バックライト、を有し、第二表示手段は、第二画像を形成する第二液晶パネル、及び第二液晶パネルに形成される第二画像の光像を反射面に向けて投影するための第二バックライト、を有することを特徴とする。
【0022】
この発明では、第一画像は、半透過部材を透過した光により結像表示される。また、第二画像は、半透過部材にて反射した光により結像表示される。これらのような構成では、第一画像及び第二画像は、半透過部材における透過及び反射に起因して輝度が低下し易い。
【0023】
そこで、第一液晶パネルに形成される第一画像を透過面に向けて投影するための第一バックライトを第一表示手段に設けると共に、第二液晶パネルに形成される第二画像を反射面に向けて投影するための第二バックライトを第二表示手段に設ける。これら第一バックライト及び第二バックライトによって、半透過部材に投影される第一画像の光像及び第二画像の光像の輝度は、確実に確保され得る。以上により、第一画像及び第二画像は、十分な輝度にて結像表示されるようになるので、指標の視認性向上に貢献し得る。
【0024】
請求項8に記載の発明では、複数の画像を組み合わせることにより形成される指標を表示する表示装置であって、入射する光の一部を透過させる透過面、及び入射する光の一部を反射する反射面、を有する半透過部材と、透過面に向けて投影した画像としての第一画像の光像を、半透過部材において透過させることにより、半透過部材の表示方向後側に第一画像を結像表示する第一表示手段と、反射面に向けて投影した画像としての第二画像の光像を、半透過部材にて反射させることにより、半透過部材の表示方向後側に第一画像とは異なる輝度にて第二画像を結像表示する第二表示手段と、を備える表示装置とする。
【0025】
この発明よれば、第二画像は、半透過部材の表示方向後面側において、第一画像とは異なる輝度にて結像表示される。故に、色相、明度、及び彩度等の表示色が、第一画像と第二画像との間で互いに近似している場合でも、第一画像と第二画像とは、輝度の違いによって互いに区別され得る。以上により、第一画像及び第二画像の表示色が自由に選択されても、第一画像及び第二画像により形成される指標の視認性は、確保され得る。したがって、表示装置に表示される指標は、高い視認性とデザインの高い自由度とが両立される。
【0026】
ここで、請求項8に記載の発明には、請求項1の特徴部分である第一画像と第二画像との間に視差を生じさせる構成を組み合わせることができる。加えて、請求項8には、請求項3〜7を従属させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの機械的構成が示される図であって、図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータの電気的構成が示されるブロック図である。
【図4】スピードメータ画像を表示するための処理が示されるフローチャートである。
【図5】クルーズコントロール画像を表示するための処理が示されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ100の正面図である。図2は、コンビネーションメータ100の構造を説明するための断面図である。コンビネーションメータ100は、車両の車室内に設けられたインスツルメントパネル内に収容され、図1に示す正面側を運転席側に向けて配置されている。
【0030】
コンビネーションメータ100は、車両に関する種々の情報の表示する表示装置である。図1に示されるように、コンビネーションメータ100は、スピードメータ表示領域10及びマルチ表示領域20を備えている。
【0031】
スピードメータ表示領域10には、コンビネーションメータ100の搭載されている自車両の走行速度を指標として表示するための円形のスピードメータ画像10aが映し出される。スピードメータ画像10aによる走行速度の指標は、複数の目盛画像12、複数の数字画像13、及び指針画像11等を組み合わせることにより形成されている。
【0032】
複数の目盛画像12は、表示方向と直交する平面に沿って環状に並べられた矩形の画像である。目盛画像12は、円形のスピードメータ画像10aの外縁に沿って等間隔で並べられている。目盛画像12は、例えば白色の表示色にて表示される。尚、表示方向とは、後述する第一ディスプレイ30の表示面に対して直交し、当該表示面から運転者等の視認者側に向かう方向である。
【0033】
複数の数字画像13は、それぞれ数字を模った画像である。各数字画像13は、各目盛画像12の径方向内側に表示される。数字画像13は、例えば白色の表示色にて表示される。
【0034】
指針画像11は、円形のスピードメータ画像10aの中心から、径方向外側に位置する目盛画像12に向かって延伸する棒状の画像である。指針画像11は、複数の目盛画像12が並ぶ方向に沿って回転し、いずれかの目盛画像12を指し示す。指針画像11の径方向外側の端部が、表示方向において目盛画像12に重なり合うことにより、走行速度を示す指標は形成される。指針画像11は、目盛画像12及び数字画像13の表示色と一致するよう、例えば白色の表示色にて表示される。また指針画像11は、目盛画像12及び数字画像13よりも高い輝度にて表示される。
【0035】
マルチ表示領域20には、車両に搭載されたクルーズコントロール装置の作動状態を指標として表示するためのクルーズコントロール画像20aが映し出される。クルーズコントロール装置とは、自車両を所望の一定速度で走行させる(定速走行モード)、又は当該自車両の前方を走行する前走車両に自車両を追従走行させる(追従走行モード)ための走行制御装置である。運転者等の操作によってクルーズコントロール装置が作動を開始し、且つ当該クルーズコントロール装置が追従走行モードにて作動している場合に、クルーズコントロール画像20aは、マルチ表示領域20に表示される。クルーズコントロール画像20aによる作動状態の指標は、前走車両画像22、自車両画像21、及び車間制御画像23等の複数の画像を組み合わせることによって形成されている。
【0036】
前走車両画像22は、車両の外観を模った画像である。前走車両画像22は、前走車両を表す画像である。前走車両画像22は、正面側からコンビネーションメータ100を視認した場合の表示上において、自車両画像21よりも鉛直方向の上側に表示される。前走車両画像22は、例えば灰色の表示色にて表示される。
【0037】
自車両画像21は、自車両の外観を模った画像である。自車両画像21は、自車両を表す画像である。自車両画像21は、表示上において前走車両画像22よりも鉛直方向の下側に表示される。自車両画像21及び前走車両画像22の表示位置は、表示方向において互いに重なり合わないように設定されている。自車両画像21は、前走車両画像22の表示色よりも明度の高い、例えば白色の表示色にて表示される。加えて、自車両画像21は、前走車両画像22よりも高い輝度にて表示される。
【0038】
車間制御画像23は、表示上において前走車両画像22と自車両画像21との間に表示される画像であって、水平方向に延びる棒状の画像部を複数有している。複数の棒状の画像部は、鉛直方向に並べられており、例えば青色の表示色にて表示される。車間制御画像23は、前走車両画像22と同程度の輝度にて表示される。
【0039】
次に、コンビネーションメータ100の機械的構成を、図1及び図2に基づいて説明する。コンビネーションメータ100は、筐体60、ハーフミラー50、第一ディスプレイ30、及び第二ディスプレイ40を備えている。
【0040】
筐体60は、ポリプロピレン等の樹脂材料よりなる複数の部材を互いに組み付けることによって構成されている。筐体60は、第一ディスプレイ30、第二ディスプレイ40、及びハーフミラー50等を支持しており、これら要素30,40,50の相対位置を規定している。
【0041】
ハーフミラー50は、例えば、無色透明のアクリル樹脂等の板材の表面に、アルミニウムを蒸着させることにより形成されている。ハーフミラー50は、当該ハーフミラー50の表面に入射する光の一部を透過させると共に、表面に入射する光の一部を反射する特性を有する。ハーフミラー50は、その板厚方向を、コンビネーションメータ100の表示方向に対して傾斜させた姿勢で筐体60に固定されている。この配置により、ハーフミラー50の表示方向後側から後面51に入射し当該ハーフミラー50を透過した光と、ハーフミラー50の表示方向の前面52にて反射された光とが、正面側から視認される。本実施形態では、ハーフミラー50の表示方向の後面51が特許請求の範囲に記載の「透過面」に相当し、ハーフミラー50の表示方向の前面52が特許請求の範囲に記載の「反射面」に相当する。
【0042】
第一ディスプレイ30は、筐体60内に収容されている。第一ディスプレイ30は、当該第一ディスプレイ30に対して表示方向に位置するハーフミラー50に、表示面を向けた状態で当該筐体60に固定されている。第一ディスプレイ30は、液晶パネル31、バックライト32を有している。液晶パネル31は、表示面に配列された複数の画素を制御することによりカラー表示が可能なドットマトリクス方式の液晶パネルであって、例えば目盛画像12、数字画像13、前走車両画像22、及び車間制御画像23等の画像を形成する。バックライト32は、液晶パネル31の表示方向の後面側に配置されおり、液晶パネル31を後面側から照明する。バックライト32は、例えば複数の発光ダイオード等の光源、及びこれら発光ダイオードから放射された光を拡散させつつ液晶パネル31の後面側に導光する導光板等によって構成されている。
【0043】
以上の構成により、第一ディスプレイ30は、液晶パネル31に形成される目盛画像12、数字画像13、前走車両画像22、及び車間制御画像23等の光像をハーフミラー50の後面51に向けて投影する。第一ディスプレイ30は、後面51に向けて投影した各画像12,13,22,23の光像を、ハーフミラー50において透過させることにより、ハーフミラー50の表示方向後側に各画像12,13,22,23を結像表示する。
【0044】
第二ディスプレイ40は、筐体60に支持されており、ハーフミラー50の鉛直方向の上側に配置されている。第二ディスプレイ40は、表示面をハーフミラー50の前面52に向けた状態で筐体60に固定されている。第二ディスプレイ40は、液晶パネル41、バックライト42を有している。液晶パネル41は、表示面に配列された複数の画素を制御することによりカラー表示が可能なドットマトリクス方式の液晶パネルであって、例えば指針画像11、自車両画像21等の画像を形成する。バックライト42は、液晶パネル41の鉛直方向上側にあたる背面側に配置されおり、液晶パネル41を背面側から照明する。バックライト42は、例えば複数の発光ダイオード等の光源、及びこれら発光ダイオードから放射された光を拡散させつつ液晶パネル41の背面側に導光する導光板等によって構成されている。
【0045】
以上の構成により、第二ディスプレイ40は、液晶パネル41に形成される指針画像11及び自車両画像21等の光像をハーフミラー50の前面52に向けて投影する。第二ディスプレイ40は、前面52に向けて投影した各画像11,21の光像を、ハーフミラー50にて反射させることにより、ハーフミラー50の表示方向後側に各画像11,21を結像表示する。
【0046】
第二ディスプレイ40からハーフミラー50の前面52までの光路の長さをLP2(図2参照)とする。第二ディスプレイ40による各画像11,21は、ハーフミラー50の前面52から、表示方向に沿って、表示方向後側に当該光路の長さLP2だけ離れた位置に結像表示される。この光路の長さLP2は、第一ディスプレイ30からハーフミラー50の前面52までの光路の長さLP1(図2参照)よりも短い。故に、第二ディスプレイ40による各画像11,21は、第一ディスプレイ30による各画像12,13,22,23とは表示方向において異なる位置であって、当該各画像12,13,22,23よりも表示方向前側となる位置に、結像表示される。以上により、スピードメータ画像10aにおいては、指針画像11は、目盛画像12及び数字画像13よりも表示方向前側に結像表示される。また、クルーズコントロール画像20aにおいては、自車両画像21は、前走車両画像22及び車間制御画像23よりも表示方向前側に結像表示される。
【0047】
具体的に、光路の長さLP2と光路の長さLP1との差は、5ミリメートル以下であることが望ましい。これにより、スピードメータ画像10aにおいては、指針画像11と目盛画像12及び数字画像13との視差は、5ミリメートル以下になる。指針画像11と目盛画像12及び数字画像13との間の視差が増大すると、運転者等の視点位置の移動に起因して、指針画像11の指し示している目盛画像12の位置がずれて視認されてしまう場合が生じる。そこで、上述したように、指針画像11と目盛画像12及び数字画像13との間に設ける視差を制限する。これにより、スピードメータ画像10aに形成される指針表示は、運転者等に正確に視認されるようになる。
【0048】
次に、コンビネーションメータ100の電気的構成を、図3に基づいて説明する。
【0049】
コンビネーションメータ100は、インターフェース71、マイクロコンピュータ72、RAM73、ROM74、グラフィックコントローラ75、及びビデオRAM76を備えている。
【0050】
インターフェース71は、車載用のLocal Area Network(車内LAN)と接続されている。インターフェース71は、車内LANから、自車両に関する種々の情報、例えば、自車両の走行速度を示す情報、クルーズコントロール装置の作動状態を示す情報、及び自車両のアクセサリー(ACC)電源のON及びOFF状態を示す情報等を取得する。インターフェース71は、取得した情報をマイクロコンピュータ72に出力する。
【0051】
マイクロコンピュータ72は、プログラムを実行することにより、スピードメータ表示領域10及びマルチ表示領域20に表示される画像を形成するための演算処理を実施する。例えばマイクロコンピュータ72は、インターフェース71を通じて自車両の走行速度の情報を取得すると、当該走行速度に対応した指針画像11の振れ角度を算出する。またマイクロコンピュータ72は、クルーズコントロール装置の作動状態を取得すると、作動状態に対応したクルーズコントロール画像20aの表示態様を決定する。マイクロコンピュータ72による演算の結果は、グラフィックコントローラ75に出力される。
【0052】
RAM73は、マイクロコンピュータ72と接続されており、マイクロコンピュータ72が演算処理を行う際の作業領域として機能する。ROM74は、マイクロコンピュータ72及びグラフィックコントローラ75と接続されている。ROM74には、マイクロコンピュータ72及びグラフィックコントローラ75によって使用されるプログラムのデータが格納されている。加えてROM74には、グラフィックコントローラ75によって使用される各画像11〜13,21〜23の基となる画像データが格納されている。
【0053】
グラフィックコントローラ75は、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aを描画する描画用のプロセッサである。グラフィックコントローラ75は、ROM74から画像データを取得すると共に、マイクロコンピュータ72による演算結果に基づいて、これらスピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aを描画する。グラフィックコントローラ75は、第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40と接続されている。グラフィックコントローラ75は、描画された各画像10a,20aを第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40に表示させるため、各液晶パネル31,41の各画素を制御する。これにより、第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40には、画像11〜13,21〜23が形成される。
【0054】
ビデオRAM76は、グラフィックコントローラ75と接続されており、グラフィックコントローラ75が上述した描画処理を行う際の作業領域として機能する。ビデオRAM76には、第一ディスプレイ30によって表示される例えば目盛画像12及び前走車両画像22等の画像の描画処理に用いられる第一の作業領域と、第二ディスプレイ40によって表示される例えば指針画像11及び自車両画像21等の画像の描画処理に用いられる第二の作業領域とが確保されている。
【0055】
以上説明したコンビネーションメータ100の作動を、図4及び図5に基づいて説明する。
【0056】
まず、図4に示される処理について説明する。この処理は、スピードメータ表示領域10にスピードメータ画像10aを表示させるための処理である。この処理は、自車両のACC電源がON状態にされることにより、マイクロコンピュータ72及びグラフィックコントローラ75によって実施される。
【0057】
S101では、マイクロコンピュータ72は、インターフェース71を通じて、自車両の走行速度の情報を取得し、S102に進む。S102では、S101において取得した走行速度に基づいて、指針画像11の振れ角度を算出し、S103に進む。算出された振れ角度は、グラフィックコントローラ75に出力される。
【0058】
S103では、グラフィックコントローラ75は、目盛画像12及び数字画像13の基となる画像データをROM74から取得する。そして、ビデオRAM76に確保されている第一の作業領域に、目盛画像12及び数字画像13を描画し、S104に進む。
【0059】
S104では、グラフィックコントローラ75は、指針画像11の基となる画像データをROM74から取得する。そして、ビデオRAM76に確保されている第二の作業領域に、S102において算出された振れ角度に対応する指針画像11を描画し、S105に進む。
【0060】
S105では、グラフィックコントローラ75は、S103及びS104においてビデオRAM76の各作業領域に描画された指針画像11と目盛画像12及び数字画像13とを、第一ディスプレイ30と第二ディスプレイ40とに出力する。この各画像11〜13の出力は、自車両のACC電源がOFF状態にされるまで継続される。
【0061】
以上による各画像11〜13の出力によって、第一ディスプレイ30には、目盛画像12及び数字画像13が形成される。また第二ディスプレイ40には、指針画像11が形成される。以上の処理により形成された各画像11〜13がハーフミラー50に投影され、当該ハーフミラー50の表示方向後面側に結像されることにより、スピードメータ画像10aは、スピードメータ表示領域10に表示される。
【0062】
次に、図5に示される処理について説明する。この処理は、マルチ表示領域20にクルーズコントロール画像20aを表示させるための処理である。この処理は、運転者等の操作によってクルーズコントロール装置の作動が開始されることにより、マイクロコンピュータ72及びグラフィックコントローラ75によって実施される。
【0063】
S201では、マイクロコンピュータ72は、インターフェース71を通じて、クルーズコントロール装置の作動状態を示す情報を取得し、S202に進む。S202では、S201において取得した作動状態の情報、具体的には、クルーズコントロール装置が定速走行モードで自車両を制御しているのか、追従走行モードで自車両を制御しているのかというか情報に基づいて、クルーズコントロール画像20aの表示態様を決定し、S203に進む。
【0064】
S203では、グラフィックコントローラ75は、S202において決定された表示態様に対応する画像データを、ROM74から取得する。クルーズコントロール装置が追従走行モードで作動している場合には、前走車両画像22及び車間制御画像23の基となる画像データを取得する。そして、ビデオRAM76に確保されている第一の作業領域に、前走車両画像22及び車間制御画像23を描画し、S204に進む。尚、クルーズコントロール装置が定速走行モードで作動している場合には、グラフィックコントローラ75は、例えば『定速100km/h』という画像を第一の作業領域に描画する。
【0065】
S204は、グラフィックコントローラ75は、S202において決定された表示態様に対応する画像データを、ROM74から取得する。クルーズコントロール装置が追従走行モードで作動している場合には、自車両画像21の基となる画像データを取得する。そして、ビデオRAM76に確保されている第二の作業領域に、自車両画像21を描画し、S205に進む。尚、クルーズコントロール装置が定速走行モードで作動している場合には、グラフィックコントローラ75は、画像の描画を中止してもよく、又は、上述した追従走行モードと同様に、自車両画像21を描画してもよい。
【0066】
S205では、グラフィックコントローラ75は、S203及びS204においてビデオRAM76の各作業領域に描画された自車両画像21、前走車両画像22、車間制御画像23等を、第一ディスプレイ30と第二ディスプレイ40とに出力する。この各画像21〜23の出力は、クルーズコントロール装置の作動が中止された旨の情報がインターフェース71によって取得されるまで継続される。
【0067】
以上による各画像21〜23の出力によって、第一ディスプレイ30には、前走車両画像22及び車間制御画像23が形成される。また第二ディスプレイ40には、自車両画像21が形成される。以上の処理により形成された各画像21〜23がハーフミラー50に投影され、当該ハーフミラー50の後面側に結像されることにより、クルーズコントロール画像20aは、マルチ表示領域20に表示される。
【0068】
ここまで説明した本実施形態では、ハーフミラー50の表示方向後側には、第一ディスプレイ30による各画像12,13,22,23及び第二ディスプレイ40による各画像11,21が結像表示される。これらの第一ディスプレイ30による各画像12,13,22,23及び第二ディスプレイ40による各画像11,21は、表示方向において異なる位置に結像表示される。故に、スピードメータ表示領域10においては、指針画像11と目盛画像12及び数字画像13との間には、視差が生じる。そのため、色相、明度、及び彩度等の表示色が、指針画像11と目盛画像12及び数字画像13との間で互いに近似している場合でも、指針画像11と目盛画像12及び数字画像13とは、視差によって互いに区別され得る。
【0069】
またマルチ表示領域20においては、自車両画像21と前走車両画像22及び車間制御画像23との間には、視差が生じる。そのため、自車両画像21と前走車両画像22及び車間制御画像23との間で表示色が互いに近似している場合でも、自車両画像21と前走車両画像22及び車間制御画像23とは、視差によって互いに区別され得る。
【0070】
以上により、各画像11〜13,21〜23の表示色が自由に選択されても、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aの視認性は、確保され得る。したがって、コンビネーションメータ100によって表示されるスピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aは、高い視認性とデザインの高い自由度とが両立される。
【0071】
加えて本実施形態では、第一ディスプレイ30による各画像12,13,22,23と、第二ディスプレイ40による各画像11,21とは、互いに輝度が異なっているので、表示色が互いに近似している場合でも、互いに区別され得るようになる。故に、各画像11〜13,21〜23の表示色が自由に選択されても、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20a等の視認性は、確実に確保され得る。したがって、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aは、高い視認性とデザインの高い自由度とが両立される。
【0072】
また本実施形態では、指針画像11と目盛画像12とが表示方向において互いに重なることにより、スピードメータ画像10aによる指標は形成されている。指針画像11が目盛画像12と重なった場合、これらの重なる部分において指針画像11と目盛画像12との境界が不明確になり易い。故に、指針画像11及び目盛画像12は、一体的に認識されてしまうおそれがある。すると、指針画像11の指し示している位置が、直感的に視認され難くなる。しかし、目盛画像12と指針画像11との間に視差を生じさせる構成とすることにより、これら目盛画像12及び指針画像11の境界は、明確になる。よって、目盛画像12と指針画像11とは、確実に区別され得るようになる。このように、視差を生じさせることにより指針画像11と目盛画像12との区別を容易にし、ひいては視認性を向上させる効果は、指針画像11及び目盛画像12が重なることによってスピードメータ画像10aのような指標を形成する形態において、顕著に発揮される。
【0073】
さらに本実施形態では、指針画像11の表示色と目盛画像12の表示色とが一致しているので、これらの区別は、いっそう困難になり得る。しかし、指針画像11の表示色と目盛画像12の表示色とが一致している形態でも、指針画像11と目盛画像12との間に視差を生じさせることにより、これら指針画像11と目盛画像12は、確実に区別され得る。以上のように、指針画像11と目盛画像12との区別を、視差を生じさせることにより容易にする作用は、指針画像11の表示色と目盛画像12の表示色とが一致した形態において、顕著に発揮される。
【0074】
また加えて本実施形態のクルーズコントロール画像20aでは、自車両画像21は、前走車両画像22よりも表示方向前側に結像表示される。故に、運転者から視認された状態では、自車両画像21は、前走車両画像22よりも手前側に結像表示されることとなる。これにより、自車両画像21と前走車両画像22との位置関係が、自車両と前走車両との位置関係に対応する。故に、クルーズコントロール画像20aによる指標は、自車両と前走車両との位置関係を直感的に示すことができる。以上のように、視差を生じさせることによって指標の視認性を高める効果は、クルーズコントロール装置の作動状態を示すクルーズコントロール画像20a表示するコンビネーションメータ100において、顕著に発揮される。
【0075】
さらに加えて本実施形態では、各画像11〜13,21〜23は、ハーフミラー50における透過及び反射に起因して、結像表示されたときに輝度が低下し易い。そこで、第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40には、それぞれバックライト32,42が設けられている。これらバックライト32,42から放射される光によって各画像11〜13,21〜23がハーフミラー50に投影されることにより、各画像11〜13,21〜23の光像の輝度は、確実に確保され得る。以上により、各画像11〜13,21〜23は、十分な輝度にて結像表示されるようになるので、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aによる指標の視認性向上に貢献し得る。
【0076】
尚、本実施形態において、指針画像11及び自車両画像21が特許請求の範囲に記載の「第二画像」に相当し、目盛画像12及び前走車両画像22が特許請求の範囲に記載の「第一画像」に相当し、自車両画像21が特許請求の範囲に記載の「自車両を表す画像」に相当し、前走車両画像22が特許請求の範囲に記載の「前走車両を表す画像」に相当し、第一ディスプレイ30が特許請求の範囲に記載の「第一表示手段」に相当し、液晶パネル31が特許請求の範囲に記載の「第一液晶パネル」に相当し、バックライト32が特許請求の範囲に記載の「第一バックライト」に相当し、第二ディスプレイ40が特許請求の範囲に記載の「第二表示手段」に相当し、液晶パネル41が特許請求の範囲に記載の「第二液晶パネル」に相当し、バックライト42が特許請求の範囲に記載の「第二バックライト」に相当し、ハーフミラー50が特許請求の範囲に記載の「半透過部材」に相当し、ハーフミラー50の後面51が特許請求の範囲に記載の「透過面」に相当し、ハーフミラー50の前面52が特許請求の範囲に記載の「反射面」に相当し、コンビネーションメータ100が特許請求の範囲に記載の「表示装置」に相当する。
【0077】
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0078】
上記実施形態では、コンビネーションメータ100には、スピードメータ画像10aとクルーズコントロール画像20aとが共に表示されていた。しかし、コンビネーションメータは、スピードメータ画像及びクルーズコントロール画像のうちのいずれか一方のみを表示する形態であってもよい。又は、コンビネーションメータは、一つの表示領域に、スピードメータ画像とクルーズコントロール画像とを切り替えて表示する形態であってもよい。
【0079】
上記実施形態では、第二ディスプレイ40によって結像表示される指針画像11及び自車両画像21は、第一ディスプレイ30によって結像表示される目盛画像12及び前走車両画像22等よりも表示方向の前側に位置していた。しかし、第二ディスプレイ40により表示される画像の結像位置と、第一ディスプレイ30により表示される画像の結像位置とが異なっていれば、いずれの画像が表示方向の前側となってもよい。例えば、第二ディスプレイ40によって結像表示される指針画像11が、第一ディスプレイ30によって表示される目盛画像12の表示方向後側に位置していてもよい。
【0080】
上記実施形態では、第一ディスプレイ30からハーフミラー50までの光路の長さLP1及び第二ディスプレイ40からハーフミラー50までの光路の長さLP2は、スピードメータ表示領域10でもマルチ表示領域20でも同一であった。故に、表示方向に沿って生じる視差は、指針画像11と目盛画像12との間でも、自車両画像21と前走車両画像22との間でも同一となっていた。しかし、例えば複数のハーフミラーを用いることにより、スピードメータ表示領域10とマルチ表示領域20との間で、それぞれの光路の長さLP1とそれぞれの光路の長さLP2とが違っていてもよい。これにより、協働でスピードメータ画像10aの指針表示を形成する指針画像11と目盛画像12との間の視差が5ミリメートル以下に抑えられる一方で、自車両画像21と前走車両画像22との間の視差が5ミリメートルよりも大きくされていてもよい。また、第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40のうちの少なくとも一方を、複数のディスプレイによって構成することによって、スピードメータ表示領域10とマルチ表示領域20との間で、生じさせる視差の大きさが異なっていてもよい。
【0081】
上記実施形態では、一つのグラフィックコントローラ75が、液晶パネル31,41を共に制御していた。しかし、複数のグラフィックコントローラを回路に設け、第一ディスプレイ30及び第二ディスプレイ40が、それぞれ専用のグラフィックコントローラによって制御されていてもよい。
【0082】
上記実施形態では、指針画像11の表示色と目盛画像12の表示色は、一致していた。しかし、一つの指標を形成するための複数の画像同士で、表示色は、一致していても良く、又は異なっていてもよい。同様に、一つの指標を形成するための複数の画像同士の輝度も、同一であってもよく、又は異なっていてもよい。さらに、一つの指標を形成するための複数の画像同士は、指針画像11及び目盛画像12のように表示方向に重なる場合があってもよく、又は自車両画像21及び前走車両画像22のように表示方向に重ならなくてもよい。
【0083】
上記実施形態では、表示手段として、液晶パネル及びバックライトを有する液晶ディスプレイが用いられていた。しかし、ハーフミラーに画像を投影し、当該画像の結像表示が可能であれば、表示手段は、上記のものに限定されない。例えば、液晶パネルは、上記のようなドットマトリックス方式のものではなく、セグメント方式のものであってもよい。又は、表示手段として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネルが用いられてもよい。有機ELパネルを表示手段として用いる場合、当該有機ELに印加される電圧を制御することによって、各画像の輝度は調整され得る。
【0084】
上記実施形態では、半透過部材として、アクリル樹脂の板状部材に、アルミを蒸着させたハーフミラー50が用いられていた。しかし、入射する光の一部を透過させると共に他の一部を反射する特性を有していれば、種々の構成が、半透過部材として用いられてよい。例えば、アクリル樹脂に代えて、強化ガラスが、半透過部材の基材として用いられてもよい。さらに、半透過部材の透過率及び反射率は、各表示手段から半透過部材に投影される画像の輝度や、表示装置の設置される環境における外来光の多さに応じて、適宜変更されてよい。
【0085】
上記実施形態では、本発明を適用することにより、スピードメータ画像10a及びクルーズコントロール画像20aの視認性とデザインの自由度とを高めた例について説明した。しかし、本発明は、複数の画像を組み合わせることにより指標を形成する種々の表示装置全般に適用することができる。車両に搭載される表示装置、例えば、タコメータ、燃料計、及び水温計等に、本発明は適用されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 スピードメータ表示領域、10a スピードメータ画像、11 指針画像(第二画像)、12 目盛画像(第一画像)、13 数字画像、20 マルチ表示領域、20a クルーズコントロール画像、21 自車両画像(第二画像,自車両を表す画像)、22 前走車両画像(第一画像,前走車両を表す画像)、23 車間制御画像、30 第一ディスプレイ(第一表示手段)、31 液晶パネル(第一液晶パネル)、32 バックライト(第一バックライト)、40 第二ディスプレイ(第二表示手段)、41 液晶パネル(第二液晶パネル)、42 バックライト(第二バックライト)、50 ハーフミラー(半透過部材)、51 後面(透過面)、52 前面(反射面)、60 筐体、71 インターフェース、72 マイクロコンピュータ、73 RAM、74 ROM、75 グラフィックコントローラ、76 ビデオRAM、100 コンビネーションメータ(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を組み合わせることにより形成される指標を表示する表示装置であって、
入射する光の一部を透過させる透過面、及び入射する光の一部を反射する反射面、を有する半透過部材と、
前記透過面に向けて投影した前記画像としての第一画像の光像を、前記半透過部材において透過させることにより、前記半透過部材の表示方向後側に前記第一画像を結像表示する第一表示手段と、
前記反射面に向けて投影した前記画像としての第二画像の光像を、前記半透過部材にて反射させることにより、前記半透過部材の表示方向後側であって表示方向において前記第一画像とは異なる位置に、前記第二画像を結像表示する第二表示手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第二画像は、前記第一画像と異なる輝度にて表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第一画像及び前記第二画像は、表示方向において互いに重なり合うことにより前記指標を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第一画像の表示色と、前記第二画像の表示色とが一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第一画像は、環状に並べられた複数の目盛画像、を含み、
前記第二画像は、前記複数の目盛画像が並ぶ方向に沿って回転し当該目盛画像と表示方向において重なることにより、前記指標を形成する指針画像、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記指標は、
前記表示装置の搭載されている自車両を、当該自車両の前方を走行する前走車両に追従走行させるための走行制御装置の作動状態を示し、
前記第一画像は、車両の外観を模ることによって前記前走車両を表す画像、を含み、
前記第二画像は、前記前走車両を表す画像よりも表示方向前側に結像表示され、前記自車両の外観を模ることによって当該自車両を表す画像、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第一表示手段は、前記第一画像を形成する第一液晶パネル、及び前記第一液晶パネルに形成される前記第一画像の光像を前記透過面に向けて投影するための第一バックライト、を有し、
前記第二表示手段は、前記第二画像を形成する第二液晶パネル、及び前記第二液晶パネルに形成される前記第二画像の光像を前記反射面に向けて投影するための第二バックライト、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の画像を組み合わせることにより形成される指標を表示する表示装置であって、
入射する光の一部を透過させる透過面、及び入射する光の一部を反射する反射面、を有する半透過部材と、
前記透過面に向けて投影した前記画像としての第一画像の光像を、前記半透過部材において透過させることにより、前記半透過部材の表示方向後側に前記第一画像を結像表示する第一表示手段と、
前記反射面に向けて投影した前記画像としての第二画像の光像を、前記半透過部材にて反射させることにより、前記半透過部材の表示方向後側に前記第一画像とは異なる輝度にて前記第二画像を結像表示する第二表示手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−83613(P2012−83613A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230759(P2010−230759)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】