説明

表面プラズモン共鳴センサ

【課題】複数の成分を混合した溶液の複数の成分の濃度を求めることができるようにする。
【解決手段】電極16と金属薄膜14との間に、エタノール混合燃料を充填したときに、光源20によって、プリズム12を透過させて、複数の入射角で金属薄膜14に光を照射させ、光検出部22によって、金属薄膜14で反射された、光源20からの光を受光する。コンピュータ26によって、複数の入射角の各々における受光量に基づいて共鳴角を検出する。静電容量測定器24によって、電極16と金属薄膜14との間の静電容量を測定する。コンピュータ26によって、静電容量と屈折率との組み合わせと、2成分の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、検出された共鳴角に対応する屈折率と測定された静電容量とに対応する2成分の濃度の組み合わせを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン共鳴センサに係り、特に、複数の成分を混合した溶液の成分濃度を求める表面プラズモン共鳴センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面プラズモン共鳴センサの金属薄膜に対向電極が設けられ、直流電圧を印加して、試料溶液中の蛋白を高感度で検出する表面プラズモン共鳴センサ装置が知られている(特許文献1)。この装置では、金属薄膜と対向電極との間に交流電圧を印加して、試料のインピーダンスを測定し、溶液の電気伝導度を求めている。
【0003】
また、超高分解能および超高速応答時間で分子を検出するため、または分子の構造的および電子的変化を監視するために、表面プラズモン共鳴センサを利用する方法が知られている(特許文献2)。この方法では、電極を有するサンプルセルを用いており、また、電流、キャパシタンス及びこれらに類似するような電気化学的測定値をSPR測定値に統合し、検出分子に関する重要な補足情報を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−257702号公報
【特許文献2】特表2002−544516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、溶液の静電容量を知ることはできるが、共鳴角又は屈折率の測定結果と合わせて成分の濃度を求めることは示唆されておらず、複数の成分の濃度を求めることができない、という問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の技術では、電極に電位変調を与え、その結果を表面プラズモン共鳴の共鳴曲線の変化として、電極上に吸着された分子の界面キャパシタンスを抽出しているが、溶液全体の静電容量を電極間から測定することは示唆されておらず、複数の成分の濃度を求めることができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、複数の成分を混合した溶液の複数の成分の濃度を求めることができる表面プラズモン共鳴センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る表面プラズモン共鳴センサは、光透過媒体と、前記光透過媒体の表面に設けられた金属薄膜と、前記金属薄膜に対して前記光透過媒体と反対側であって、かつ、前記金属薄膜と対向するように設けられた電極と、前記光透過媒体を透過させて、前記金属薄膜の表面に対する複数の入射角で前記金属薄膜に光を照射させる光源と、前記金属薄膜で反射された、前記光源からの光を受光する受光部と、前記電極と前記金属薄膜との間に、3成分以上を混合した溶液を充填したときに、前記受光部によって受光された前記複数の入射角の各々における受光量に基づいて、前記金属薄膜において表面プラズモン共鳴が生じたときの、前記金属薄膜の表面に対する前記光の入射角である共鳴角を検出する共鳴角検出部と、前記電極と前記金属薄膜との間に前記溶液を充填したときに、前記電極と前記金属薄膜との間の静電容量を測定する静電容量測定部と、前記静電容量と前記共鳴角又は屈折率との組み合わせと、前記3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は該共鳴角に対応する屈折率と前記測定された前記静電容量とに対応する前記2成分以上の濃度の組み合わせを算出する濃度算出部と、を含んで構成されている。
【0009】
第1の発明に係る表面プラズモン共鳴センサによれば、電極と金属薄膜との間に、3成分以上を混合した溶液を充填したときに、光源によって、光透過媒体を透過させて、金属薄膜の表面に対する複数の入射角で金属薄膜に光を照射させ、受光部によって、金属薄膜で反射された、光源からの光を受光する。そして、共鳴角検出部によって、受光部によって受光された複数の入射角の各々における受光量に基づいて、金属薄膜において表面プラズモン共鳴が生じたときの、金属薄膜の表面に対する前記光の入射角である共鳴角を検出する。また、静電容量測定部によって、電極と金属薄膜との間に溶液を充填したときに、電極と金属薄膜との間の静電容量を測定する。
【0010】
そして、濃度算出部によって、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせと、3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、検出された共鳴角又は該共鳴角に対応する屈折率と測定された静電容量とに対応する2成分以上の濃度の組み合わせを算出する。
【0011】
このように、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせに基づいて、2成分以上の濃度の組み合わせを算出することにより、複数の成分を混合した溶液の複数の成分の濃度を求めることができる。
【0012】
第2の発明に係る表面プラズモン共鳴センサは、光透過媒体と、前記光透過媒体の表面に設けられた金属薄膜と、前記金属薄膜に対して前記光透過媒体と反対側であって、かつ、前記金属薄膜と対向するように設けられた電極と、3成分以上を混合した溶液について、最も屈折率が低くなる濃度の溶液を、前記電極と前記金属薄膜との間に充填したときに、前記金属薄膜において表面プラズモン共鳴が生じるときの前記金属薄膜の表面に対する光の入射角である、予め求められた共鳴角に対応する入射角で、前記光透過媒体を透過させて前記金属薄膜に光を照射させる光源と、前記金属薄膜で反射された、前記光源からの光を受光する受光部と、前記電極と前記金属薄膜との間に、前記3成分以上を混合した溶液を充填したときに、前記受光部によって受光された受光量に基づいて、前記共鳴角又は前記溶液の屈折率を検出する共鳴角検出部と、前記電極と前記金属薄膜との間に前記溶液を充填したときに、前記電極と前記金属薄膜との間の静電容量を測定する静電容量測定部と、前記静電容量と前記共鳴角又は屈折率との組み合わせと、前記3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は前記屈折率と前記測定された前記静電容量に対応する前記2成分以上の濃度の組み合わせを算出する濃度算出部と、を含んで構成されている。
【0013】
第2の発明に係る表面プラズモン共鳴センサによれば、電極と前記金属薄膜との間に、前記3成分以上を混合した溶液を充填したときに、光源によって、予め求められた共鳴角に対応する入射角で、光透過媒体を透過させて金属薄膜に光を照射させ、受光部によって、金属薄膜で反射された、光源からの光を受光する。
【0014】
そして、共鳴角検出部によって、受光部によって受光された受光量に基づいて、共鳴角又は溶液の屈折率を検出する。また、静電容量測定部によって、電極と金属薄膜との間に溶液を充填したときに、電極と金属薄膜との間の静電容量を測定する。
【0015】
そして、濃度算出部によって、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせと、3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、検出された共鳴角又は屈折率と測定された静電容量に対応する2成分以上の濃度の組み合わせを算出する。
【0016】
このように、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせに基づいて、2成分以上の濃度の組み合わせを算出することにより、複数の成分を混合した溶液の複数の成分の濃度を求めることができる。
【0017】
上記の溶液を、エタノールとガソリンと水とを成分とするエタノール混合燃料とすることができる。
【0018】
また、上記の溶液を、4成分を混合し、かつ4成分のうちの2成分の濃度変化に対する静電容量、及び共鳴角又は屈折率の特性が対応している溶液とし、濃度算出部は、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせと、4成分のうちの特性が対応する2成分以外の2成分の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、検出された共鳴角又は屈折率と測定された静電容量に対応する2成分の濃度の組み合わせを算出し、又は静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせと、特性が対応する2成分の合計濃度及び他の成分の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、検出された共鳴角又は屈折率と測定された静電容量に対応する2成分の合計濃度及び他の成分の濃度の組み合わせを算出するようにすることができる。
【0019】
上記の溶液を、水分を含む3成分以上を混合した溶液とし、静電容量測定部は、100kHz以上の周波数となる交流電圧を、電極と金属薄膜との間に印加して、静電容量を測定するようにすることができる。これによって、溶液中のイオン濃度に影響されずに、複数の成分の濃度を求めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の表面プラズモン共鳴センサによれば、静電容量と共鳴角又は屈折率との組み合わせに基づいて、2成分以上の濃度の組み合わせを算出することにより、複数の成分を混合した溶液の複数の成分の濃度を求めることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサの構成を示す概略図である。
【図2】表面プラズモン共鳴式のセンサを説明するための図である。
【図3】共鳴曲線の例を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサにおける光源及び光検出器の具体的な構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサのコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサにおける試料セルの構成を示す概略図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサの実験系の構成を示す概略図である。
【図8】エタノール濃度と共鳴角との関係を示すグラフである。
【図9】周波数と静電容量との関係を示すグラフである。
【図10】エタノール濃度と静電容量との関係を示すグラフである。
【図11】静電容量と共鳴角との関係を示すグラフである。
【図12】入射角と反射率との関係を示すグラフである。
【図13】エタノール濃度と反射率との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサのコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサ10は、プリズム12と、プリズム12の表面上に蒸着された金属薄膜14と、金属薄膜14と対向するように設けられた電極16と、測定対象の溶液(例えば、エタノール混合燃料)を金属薄膜14に接触させると共に、金属薄膜14と電極16との間に測定対象の溶液を充填させる溶液流路18と、プリズム12を透過させて金属薄膜14に光を照射する光源20と、金属薄膜14の反射光を受光する光検出器22と、金属薄膜14と電極16との間の静電容量を測定する静電容量測定器24と、光検出器22によって検出された光の受光量と静電容量測定器24によって測定された静電容量とに基づいて、溶液の成分濃度を求めるコンピュータ26とを備えている。
【0024】
ここで、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)式のセンサについて説明する。図2に示すように、プリズム12上に厚さ数十nm程度の金属薄膜14を蒸着し、その上に測定する試料を接触させる「クレッチマン配置」と呼ばれる構成が多く用いられる。ここで、光源からの光をプリズム12側から金属薄膜14へ向けて入射角θで照射して、その反射光のパワーを光検出器22で測定すると、図3に示すような、共鳴曲線と呼ばれる特性が得られ、ある入射角θcにおいて反射率が急激に低下する現象が生じる。
【0025】
これは、入射光が金属薄膜14中の表面近傍における自由電子の疎密波と共鳴して光のエネルギーが奪われるためで、この入射角θcは共鳴角と呼ばれ、試料の屈折率に応じて変化する。即ち、共鳴角を求めることで試料の屈折率を知ることができる。また、共鳴角の変化は、試料の屈折率変化に対して極めて敏感であり、かつ金属薄膜14の表面近傍の試料に対してのみ感度を有しているため、従来より、表面近傍の屈折率変化を高感度に検出するセンサとして、表面プラズモン共鳴式のセンサが用いられている。
【0026】
図4に示すように、本実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサ10では、光源20から照射された光は、レンズ30を介して金属薄膜14を照射している。また、光検出器22は、例えばラインセンサで構成されている。光源20から照射された光は、レンズ30によって集光されて、所定幅の範囲の入射角の光として、金属薄膜14に同時に照射され、ラインセンサで、広がりを持って出射する反射光(所定幅の範囲の入射角の光の反射光)を同時に受光する。このように、ラインセンサで構成される光検出器22は、所定幅の範囲の入射角の光の反射光の受光量を検出し、コンピュータ26へ出力する。
【0027】
静電容量測定器24は、100kHz以上の周波数となる交流電圧を、金属薄膜14と電極16との間に印加して、金属薄膜14と電極16との間の静電容量を測定している。
【0028】
次に、本実施の形態における測定対象の溶液の成分濃度を検出する原理について説明する。
【0029】
ある3成分以上が含まれた溶液において、一般的には屈折率を測定しただけでは変数の数に対して測定値の数が足りないため、各成分の濃度を求めることができない。その場合、溶液の組成に対する変化の傾向が屈折率とは異なる、他の物性値を測定し、屈折率と合わせて、各成分の濃度を求める方法が考えられる。静電容量式のセンサは、試料の誘電率変化等によって電極間の静電容量が変化することを利用したもので、溶液の濃度測定にも使用でき、測定された静電容量を、測定された屈折率と合わせることにより、各成分の濃度を求めることができる。
【0030】
そこで、本実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサ10のコンピュータ26は、図5に示すように、光検出器22によって検出された所定幅の範囲の入射角の受光量を取得する受光量取得部34と、所定幅の範囲の入射角の受光量の変化に基づいて、共鳴角を検出する共鳴角検出部36と、静電容量測定器24によって測定された静電容量を取得する静電容量取得部38と、溶液の静電容量と、屈折率との組み合わせに対する、2成分の各々の濃度の組み合わせの対応関係を表わすテーブルが予め記憶されたテーブル記憶部40と、検出された共鳴角に基づいて、溶液の屈折率を測定し、テーブル記憶部40に記憶されたテーブルに基づいて、静電容量測定器24によって測定された溶液の静電容量と、求められた屈折率とに対応する、各成分の濃度を算出する濃度算出部42とを備えている。
【0031】
濃度算出部42は、テーブル記憶部40に予め記憶されたテーブルを用いて、測定された溶液の静電容量と、求められた屈折率とに対応する、2成分(例えば、エタノールと水分)の各々の濃度を算出し、更に残りの成分(例えば、ガソリン)の濃度を算出する。
【0032】
なお、上記では、測定対象の溶液が、「3成分」を混合したものと説明したが、濃度が独立して変化する成分が3つという意昧である。例えば、エタノール混合燃料(ガソリンとエタノールと水)において、ガソリンは、様々な物質の混合した複数の成分から成るものではあるが、溶液に混合するために特定のガソリンを使用する、という条件において、当該ガソリンを、1成分とみなしている。
【0033】
また、3成分に加えて、溶液の屈折率と静電容量に影響が小さい微量な成分が、溶液に入っていてもよい。
【0034】
次に、第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサ10の作用について説明する。
【0035】
まず、溶液流路18に、測定対象のエタノール混合燃料を供給して、金属薄膜14と電極16との間に充填する。そして、光源20から光を照射して、金属薄膜14での反射光を光検出器22によって検出し、所定範囲の入射角(例えば、70°〜85°)に対する受光量を、コンピュータ26に出力する。また、静電容量測定器24によって、金属薄膜14と電極16との間の静電容量を測定し、コンピュータ26に出力する。
【0036】
コンピュータ26では、共鳴角検出部36によって、光検出器22から入力された、所定範囲の入射角に対する受光量の変化を表わす共鳴曲線を生成し、共鳴曲線から、反射率が低く傾きが0となる入射角を、共鳴角として検出する。
【0037】
そして、コンピュータ26は、濃度算出部42によって、検出された共鳴角に基づいて、測定対象のエタノール混合燃料の屈折率を算出し、テーブル記憶部40に記憶されているテーブルに基づいて、測定された静電容量と、算出された屈折率との組み合わせに対応する、エタノールと水分の各々の濃度を求め、それらの濃度から、ガソリンの濃度を求める。
【0038】
<実施例>
以下、実施例を用いて、エタノール混合燃料中の成分の濃度測定について具体的に説明する。
【0039】
はじめに、図6に示す電極付き試料セル50を作製した。縦横18mm×18mm、厚さ0.5mmのガラス基板13上に、金を厚さ約50nm蒸着して金属薄膜14を形成し、金属薄膜14の基板側を、半径10mm、高さ20mmの半円筒プリズム12上に、間に屈折率マッチングオイルを挟んで張り合わせた。金属薄膜14は一般的に化学的な安定性から金が多く用いられるが、その他の金属でも良く、より安価なアルミ等でも可能である。溶液試料が導入できる導入口18Aを有する溶液流路18を絶縁性の樹脂で作製し、その開口部を金属薄膜14上に合わせて接続して、試料が金属薄膜14と接触できるようにした。この時、溶液流路18と金属薄膜14の間にはOリングを挟み、周囲から押しつけて固定することで、試料が漏れないようにした。さらに、この溶液流路18には金属薄膜14と対向する位置に電極16を配置し、外部に端子16Aが出る構造とした。電極16は直径10mmで材質はステンレスに金メッキを施したものである。金属薄膜14と電極16間の距離は1mmである。さらに、金属薄膜14上の一部には金属製の端子14Aを設けた。
【0040】
次に、図7に示すように、試料セル50を実験系に配置した。この実験系では、He−Neレーザ52から出射した波長633nm、パワー約5mWのビームを、偏光子54に透過させた後、無偏光ビームスプリッタ56で2経路に分割し、片方を参照光とし、もう一方を測定光とした。なお、偏光子54を、金属薄膜14に対する入射光の偏波面が入射面に対して平行(p波)となる向きに固定した。参照光は、光パワーメータ(横河電機、AQ2201,AQ2200−241)で構成された光検出器22のセンサ22Aで受光してパワーを測定し、測定光は試料セル50に入射させて、ガラス基板13と金属薄膜14の界面で反射して試料セル50の外部に出射した光を、光検出器22のセンサ22Bで受光してパワーを測定した。この時、試料セル50は、モータで動作する自動回転ステージ58上に据え付けてあり、コンピュータ26で制御された自動ステージコントローラ60を介して、金属薄膜14に対する入射光の入射角θを制御した。また、センサ22Bは、回転中心軸を共有する別の自動回転ステージ(図示省略)に梁を介して設置し、同様に自動ステージコントローラ60を介して、試料セル50からの出射光を受光できる位置に制御した。これによって、任意の入射角θにおける測定光と参照光のパワーをそれぞれ測定することができる。また、これらの測定値はコンピュータ26に保存され、コンピュータ26のソフトウェアで両測定値の比を取ることによって、反射率に相当する値を得ることができる。この反射率と入射角θの関係から共鳴曲線が得られる。
【0041】
試料セル50の電極16の端子16Aと金属薄膜14上の端子14Aとの間には、インピーダンスアナライザ(Solartron,SI1260)で構成される静電容量測定器24を接続し静電容量を測定した。なお、本実験系では、試料セル50に対して平行光のビームを入射し、試料セル50と光検出器22のセンサ22Bを機械的に回転させて共鳴曲線を得る方式を用いたが、上記の実施の形態のように、光源の光を集光して金属薄膜14に照射し、広がりを持って出射する反射光をラインセンサ(光検出素子のアレイ)で検出して共鳴曲線を得る方式でも構わない。また、光源には波長633nm(赤色)のHe−Neレーザを用いたが、LEDなどでも良く、波長も可視光領域だけでなく近赤外領域であっても良い。
【0042】
試料として、エタノール濃度が0wt%〜100wt%までのエタノールとガソリンの混合溶液を用意し、これに、純水が7wt%と水道水が7wt%となるように添加したものも用意した。純水と水道水はイオン濃度が異なり、それぞれの電気伝導率は1μS/cm、86μS/cmである。ただし、エタノール濃度が低い(ガソリン濃度が高い)混合溶液には水を添加しても相分離を起こすため、相分離を起こさない、エタノール濃度が高い領域の混合溶液に対してのみ、水を添加した。この試料を、シリンジを用いて試料セル50の導入口18Aから溶液流路18に充填し、導入口18Aを封じた後、コンピュータ26の制御によって入射角θを70°〜85°まで0.1°刻みで変化させてそれぞれの反射率に相当する値を測定し共鳴曲線を得た。さらに、この共鳴曲線において、測定値の間を直線で補完した後、反射率が低く傾きが0となる入射角を求め、それを共鳴角とした。上記の実施の形態のように、この共鳴角から試料の屈折率に換算することも可能であるが、試料の濃度を求める際には換算する必要は無いためそのまま用いた。この後、静電容量測定器24で静電容量値を測定した。この時、電極16と金属薄膜14との間に印加する交流電圧は1Vで、周波数は100Hz〜1MHzまで変化させた。
【0043】
図8は共鳴角の測定結果である。エタノール濃度に対して共鳴角が単調に減少している。また、純水を添加した結果と水道水を添加した結果とでは同等の値が得られており、共鳴角(屈折率)は水の電気伝導率によって違いがないことが分かった。
【0044】
図9は測定された静電容量の周波数特性である。印加する交流の周波数が100Hz〜1kHz程度である場合においては、純水を添加した試料と水道水を添加した試料とで値が異なることが分かる。これは、含まれるイオンの応答が表れているためで、それぞれのイオン濃度が異なることによる。従って、この周波数範囲の交流を印加して静電容量を測定した場合、水のイオン濃度による変数が増えてしまい、共鳴角の測定結果と合わせても各成分の濃度を精度良く求めることができない。一方、100kHz程度以上の周波数の交流を印加する場合では、純水を添加した試料と水道水を添加した試料とで同等の値が得られていることが分かる。この周波数域では加えられた電場の変化に対してイオンが追随できないためである。従って、印加する交流の周波数として100kHz以上の値を用いることで、共鳴角の場合と同様に、水分のイオン濃度の違いによる測定値への影響が出ない。図10は1MHzの交流を印加して測定した静電容量の測定値である。エタノール濃度に対して単調に増加している。また、純水と水道水の結果に違いがないことが分かる。
【0045】
図8と図10の結果から各サンプルに対する共鳴角と静電容量の関係を示したのが図11である。上記図10より、水分を添加していない試料(0wt%)と7wt%添加した試料では曲線が分離しており、即ち、少なくとも各曲線で囲まれた領域内の、エタノール濃度と水濃度の組み合わせとなる試料であれば、測定された共鳴角と静電容量の組合せから、各成分の濃度を求めることができることを示している。また、エタノールと水分の濃度が求まれば、ガソリンの濃度は自動的に求まることは明らかである。
【0046】
コンピュータ26では、上記図11に相当する、屈折率(共鳴角に対応)と静電容量との組み合わせと、水の濃度とエタノール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルをテーブル記憶部40に予め記憶しておき、屈折率と静電容量の測定値から、対応するエタノールと水分の濃度を求める。
【0047】
なお、コンピュータ26において、上記図11の曲線を近似した関数をあらかじめ設定しておき、屈折率と静電容量の測定値から、演算処理によって、対応するエタノールと水分の濃度を求めるようにしてもよい。
【0048】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサによれば、測定された静電容量とエタノール混合燃料の屈折率との組み合わせに基づいて、エタノール濃度と水分濃度の組み合わせを算出することにより、エタノール混合燃料の各成分の濃度を求めることができる。
【0049】
また、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた測定により、極めて高感度に屈折率を測定できるので、センサの高い分解能を実現することができる。
【0050】
また、一つの小型センサで屈折率と静電容量が得られ、この2つの値から溶液中成分の濃度を求めることができるため、一つの小型センサで溶液中成分の濃度を求めることが可能である。
【0051】
エタノール混合燃料はエタノールとガソリンに加えて水が混入しており、燃料の組成変化に対して、屈折率と静電容量の変化の傾向が異なるため、両方の測定値から、エタノールとガソリンと、混入した水分の濃度を、それぞれ求めることができる。
【0052】
また、静電容量を測定する周波数が低いと、水の電気伝導率(純水や水道水などで異なる)の影響が出てしまうので、水の種類を固定する必要があるが、本実施の形態のように、静電容量を測定する周波数がおよそ100kHz以上であれば、水の種類には影響されずに、各成分の濃度を正確に求めることができる。
【0053】
近年、欧米やブラジルなどでは自動車用の燃料としてエタノールをガソリンに混合した燃料(エタノール混合燃料)の利用が進んでおり、そのエタノール濃度は5%〜100%まで様々である。これらの燃料で走行する自動車では、燃焼条件を最適化させるために、燃料中のエタノールとガソリンと、さらに最大7wt%程度混入している水分とのそれぞれの濃度を測定することが重要となり、小型で濃度測定が可能なセンサの実現が求められている。本実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサによって、そのようなセンサの実現が可能である。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、屈折率と静電容量との組み合わせと、水の濃度とエタノール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、共鳴角と静電容量との組み合わせと、水の濃度とエタノール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておくようにしてもよい。この場合には、コンピュータにおいて、屈折率を求めずに、検出した共鳴角と測定した静電容量から、対応するエタノールと水分の濃度を求めるようにすればよい。
【0055】
また、屈折率(又は共鳴角)と静電容量との組み合わせと、エタノール濃度(又は水の濃度)及びガソリン濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておき、屈折率(又は共鳴角)と測定した静電容量から、対応するエタノール(又は水)とガソリンの濃度を求めるようにしてもよい。
【0056】
次に、第2の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサについて説明する。なお、第2の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサの構成は、第1の実施の形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
第2の実施の形態では、4成分を混合した溶液を、測定対象としている点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0058】
第2の実施の形態では、例えば、アルコールと水に果糖とブドウ糖の4成分を混合した飲料を測定対象としている。この飲料では、果糖とブドウ糖とで、濃度変化が屈折率と静電容量に与える影響が概ね一緒である。
【0059】
第2の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサでは、コンピュータ26のテーブル記憶部40に、屈折率と静電容量との組み合わせと、水の濃度とアルコール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておき、コンピュータ26の濃度算出部42によって、屈折率と静電容量の測定値から、対応するアルコールと水分の濃度を算出する。また、コンピュータ26の濃度算出部42によって、糖分の濃度(果糖とブドウ糖の合計濃度)を求める。
【0060】
なお、第2の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
上記の実施の形態では、屈折率と静電容量との組み合わせと、水の濃度とアルコール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、屈折率と静電容量との組み合わせと、水(又はアルコール)の濃度及び糖分(果糖+ブドウ糖)の濃度の組み合わせとの対応関係を記憶しておいてもよい。
【0062】
また、共鳴角と静電容量との組み合わせと、水の濃度、アルコール濃度、及び糖分(果糖+ブドウ糖)の濃度のうちの2つの濃度の組み合わせとの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておくようにしてもよい。
【0063】
次に、第3の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
第3の実施の形態では、光検出器において、1つの入射角の反射光の受光量を検出している点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0065】
まず、第3の実施の形態における原理について説明する。
【0066】
共鳴角から屈折率を求める代わりに、反射光のパワー(又は反射率)から屈折率(又はそれに相関のある値)を求めることも可能である。図12は、エタノール濃度が0wt%〜100wt%で水分を添加していないエタノールとガソリンの混合試料の共鳴曲線である。上記図12で入射角θが73.0deg〜76.0deg(エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角付近)での、エタノール濃度に対する反射率を示したのが図13である。上記図13からわかるように、73.0deg〜75.0degにおいては、エタノール濃度範囲0wt%〜100wt%に対して、反射率が溶液の組成(屈折率)と一対一で対応している。一方、76.0degにおいてはエタノール濃度80wt%で極小値を取るため、この前後の屈折率を持つ試料に対しては反射率から屈折率を決定することができない。
【0067】
そこで、第3の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサでは、エタノール混合燃料において最も屈折率が低くなる成分濃度である、エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同等の入射角θ(例えば、73.0deg〜75.0deg)で、光源20からの光をプリズム12側から金属薄膜14へ向けて照射し、反射した光のパワーを単一の光検出器22(フォトダイオードなど)で測定する。厳密には、最も屈折率が低くなる成分濃度であるエタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同じか、当該共鳴角よりやや小さな入射角で、光源20からの光を金属薄膜14へ照射するのが好ましい。
【0068】
図14に示すように、コンピュータ26は、光検出器22によって検出された、エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同等の入射角の受光量を取得する受光量取得部34と、予め求められた反射光の受光量と試料の屈折率との対応関係に基づいて、取得した受光量に対応する屈折率を算出する屈折率算出部336と、静電容量取得部38と、テーブル記憶部40と、テーブル記憶部40に記憶されたテーブルに基づいて、静電容量測定器24によって測定された溶液の静電容量と、算出された屈折率とに対応する、各成分の濃度を算出する濃度算出部42とを備えている。
【0069】
次に、第3の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサの作用について説明する。
【0070】
まず、溶液流路18に、測定対象のエタノール混合燃料を供給して、金属薄膜14と電極16との間に充填する。そして、エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同等の入射角で、光源20から金属薄膜14へ光を照射して、金属薄膜14での反射光を光検出器22によって検出し、エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同等の入射角に対する受光量を、コンピュータ26に出力する。また、静電容量測定器24によって、金属薄膜14と電極16との間の静電容量を測定し、コンピュータ26に出力する。
【0071】
コンピュータ26では、屈折率算出部336によって、光検出器22から入力された受光量に基づいて、受光量と屈折率との対応関係から、屈折率を算出する。
【0072】
そして、コンピュータ26の濃度算出部42によって、テーブル記憶部40に記憶されているテーブルに基づいて、測定された静電容量と、算出された屈折率との組み合わせに対応する、エタノールと水分の各々の濃度を求め、それらの濃度から、ガソリンの濃度を求める。
【0073】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサによれば、エタノール濃度範囲0wt%〜100wt%において、エタノール濃度100wt%の試料の共鳴角と同等の入射角における受光量と溶液の(組成変化による)屈折率とが、一対一で結び付けられることを利用して、単一の光検出器で測定することが可能になり、また、光検出器を機械的に動作させる必要やラインセンサ(光検出器がアレイ状になったもの)を使用する必要がないので、安価に実現することができる。
【0074】
なお、上記の実施の形態では、コンピュータによって、受光量と屈折率との対応関係から、屈折率を算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、コンピュータによって、受光量と共鳴角との対応関係から、共鳴角を算出するようにしてもよい。この場合には、共鳴角と静電容量との組み合わせと、水の濃度とエタノール濃度との組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておき、算出した共鳴角と測定した静電容量から、対応するエタノールと水分の濃度を求めるようにすればよい。
【0075】
さらに、屈折率を算出する代わりに、受光量と静電容量との組み合わせと、水の濃度とエタノール濃度との組み合わせとの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておくようにしてもよい。この場合には、コンピュータにおいて、屈折率を求めずに、検出した受光量と測定した静電容量から、対応するエタノールと水分の濃度を求めるようにすればよい。
【0076】
また、上記の第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、測定対象となる溶液として、エタノール混合燃料や、アルコールと水に果糖とブドウ糖の4成分を混合した飲料を例に説明したが、これに限定されるものではなく、酒や牛乳を測定対象としてもよい。例えば、酒のアルコール濃度や牛乳の脂肪分割合などの測定に、本発明を適用することができる。
【0077】
また、共鳴角(又は屈折率)と静電容量との組み合わせと、2つの成分の濃度の組み合わせの対応関係を表わすテーブルを予め記憶しておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、共鳴角(又は屈折率)と静電容量との組み合わせと、3成分の濃度の組み合わせとの対応関係を示すテーブルを予め記憶しておいてもよい。
【0078】
また、共鳴角(又は屈折率)と静電容量との組み合わせと、2つの成分の濃度の組み合わせの対応関係を近似した関数を予め求めておき、当該関数を用いて、共鳴角(又は屈折率)と静電容量との組み合わせから、2つの成分の濃度を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 表面プラズモン共鳴センサ
12 プリズム
14 金属薄膜
16 電極
18 溶液流路
20 光源
22 光検出器
24 静電容量測定器
26 コンピュータ
30 レンズ
36 共鳴角検出部
40 テーブル記憶部
42 濃度算出部
336 屈折率算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過媒体と、
前記光透過媒体の表面に設けられた金属薄膜と、
前記金属薄膜に対して前記光透過媒体と反対側であって、かつ、前記金属薄膜と対向するように設けられた電極と、
前記光透過媒体を透過させて、前記金属薄膜の表面に対する複数の入射角で前記金属薄膜に光を照射させる光源と、
前記金属薄膜で反射された、前記光源からの光を受光する受光部と、
前記電極と前記金属薄膜との間に、3成分以上を混合した溶液を充填したときに、前記受光部によって受光された前記複数の入射角の各々における受光量に基づいて、前記金属薄膜において表面プラズモン共鳴が生じたときの、前記金属薄膜の表面に対する前記光の入射角である共鳴角を検出する共鳴角検出部と、
前記電極と前記金属薄膜との間に前記溶液を充填したときに、前記電極と前記金属薄膜との間の静電容量を測定する静電容量測定部と、
前記静電容量と前記共鳴角又は屈折率との組み合わせと、前記3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は該共鳴角に対応する屈折率と前記測定された前記静電容量とに対応する前記2成分以上の濃度の組み合わせを算出する濃度算出部と、
を含む表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項2】
光透過媒体と、
前記光透過媒体の表面に設けられた金属薄膜と、
前記金属薄膜に対して前記光透過媒体と反対側であって、かつ、前記金属薄膜と対向するように設けられた電極と、
3成分以上を混合した溶液について、最も屈折率が低くなる濃度の溶液を、前記電極と前記金属薄膜との間に充填したときに、前記金属薄膜において表面プラズモン共鳴が生じるときの前記金属薄膜の表面に対する光の入射角である、予め求められた共鳴角に対応する入射角で、前記光透過媒体を透過させて前記金属薄膜に光を照射させる光源と、
前記金属薄膜で反射された、前記光源からの光を受光する受光部と、
前記電極と前記金属薄膜との間に、前記3成分以上を混合した溶液を充填したときに、前記受光部によって受光された受光量に基づいて、前記共鳴角又は前記溶液の屈折率を検出する共鳴角検出部と、
前記電極と前記金属薄膜との間に前記溶液を充填したときに、前記電極と前記金属薄膜との間の静電容量を測定する静電容量測定部と、
前記静電容量と前記共鳴角又は屈折率との組み合わせと、前記3成分以上の成分のうちの2成分以上の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は前記屈折率と前記測定された前記静電容量に対応する前記2成分以上の濃度の組み合わせを算出する濃度算出部と、
を含む表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項3】
前記溶液を、エタノールとガソリンと水とを成分とするエタノール混合燃料とした請求項1又は2記載の表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項4】
前記溶液を、4成分を混合し、かつ前記4成分のうちの2成分の濃度変化に対する前記静電容量、及び前記共鳴角又は前記屈折率の特性が対応している溶液とし、
前記濃度算出部は、前記静電容量と前記共鳴角又は前記屈折率との組み合わせと、前記4成分のうちの前記特性が対応する2成分以外の2成分の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は前記屈折率と前記測定された前記静電容量に対応する前記2成分の濃度の組み合わせを算出し、又は前記静電容量と前記共鳴角又は前記屈折率との組み合わせと、前記特性が対応する2成分の合計濃度及び他の成分の濃度の組み合わせとの予め求められた関係に基づいて、前記検出された前記共鳴角又は前記屈折率と前記測定された前記静電容量に対応する前記2成分の合計濃度及び前記他の成分の濃度の組み合わせを算出する請求項1又は2記載の表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項5】
前記溶液を、水分を含む3成分以上を混合した溶液とし、
前記静電容量測定部は、100kHz以上の周波数となる交流電圧を、前記電極と前記金属薄膜との間に印加して、前記静電容量を測定する請求項1〜請求項4の何れか1項記載の表面プラズモン共鳴センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−257229(P2011−257229A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131036(P2010−131036)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】