説明

表面上で細菌胞子を除去する方法、およびこの方法に使用される殺胞子剤

3〜30重量%の過酸化水素を含み、6〜8のpH値を有する水性組成物と、1〜60分間、0〜35℃の温度で、表面を接触させることを含む、表面上で細菌胞子を除去する方法であって、いかなる発芽工程も含まない方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素を含むpH6〜8の水性組成物と表面を接触させることによって、表面上で細菌胞子を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌胞子は健康上のリスク要因である。それらは様々な分野で深刻な問題を引き起こし得、例えば2つだけ問題を挙げてみると、食品業界での食中毒および食品の損傷、または院内感染の原因になる。
【0003】
特開昭61―015672号公報から、発芽促進処理によって胞子を発芽させ、そのようにして形成された細菌の増殖型を過酸化水素によって殺すことによって細菌胞子を除去することは既知である。発芽を促進する物質には、グルコース(デキストロース)、アデノシン、酵素およびL−アラニンなどの第一級アルファ−アミノ酸が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今や、例えば、発芽促進処理を行うなどのいかなる発芽工程も実行することなく、過酸化水素を含み、6〜8の範囲のpH値を有する水性組成物と表面を接触させることを含む方法によって、表面上で細菌胞子を除去することが可能であることが見出された。周囲条件次第で、増殖型よりも胞子型が環境中に主に存在してもよい。細菌胞子は、細菌の増殖型より死滅させることが非常に難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは5〜20重量%、特に10〜20重量%の過酸化水素を含み、6〜8、好ましくは6.5〜7.5の範囲のpH値を有する水性組成物(以下、簡潔にする目的で「水性組成物」とも記載される)と、1〜60分間、好ましくは5〜30分間、最も好ましくは15〜30分間、0〜35℃、好ましくは15〜25℃の温度で、表面を接触させることを含む方法によって表面上で細菌胞子を除去する方法であるが、いかなる発芽工程も含まない方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、過酸化水素を含み、6〜8の範囲のpH値を有する水性組成物と表面を接触させることを含む、表面上で細菌胞子を除去する方法を提供する。本方法は、水性組成物との表面の接触の前または間にいかなる発芽工程も含まない。言い換えると、本発明による方法は、発芽促進条件への細菌胞子のいかなる意図的な暴露も、また例えばアミノ酸または単糖類などの発芽促進物質による表面の処理も含まない。驚くべきことに、本発明による方法は、いかなる発芽工程も発芽促進処理も実行することなく、十分な死滅率で表面上で細菌胞子を除去する能力を提供する。それどころか、1〜60分間、0〜35℃の温度で水性組成物と表面を接触させことで十分である。
【0007】
本発明による方法を、極限条件、すなわち、高温(0〜35℃の温度範囲の上限付近)で、長い接触時間(1〜60分間の時間範囲の上限付近)での高い過酸化水素含有量を有する水性組成物の使用を実行することができる。しかしながら、これは必ずしも必要というわけではなく、したがって、当業者はプロセス条件を選択する。例えば、温度条件が低い場合、長い接触時間および/または高い過酸化水素含有量を有する水性組成物を選択するために好都合であり、接触時間が短いか、または過酸化水素濃度が低い場合に同様のことが考えられる。
【0008】
本発明による方法で、細菌胞子は表面上で死滅する。表面は、多孔質表面であってもよく、または多孔質表面を含んでもよいが、好ましくは、表面はいわゆる「硬質」表面、すなわち、無孔、非浸漬表面である。表面は、様々な材料を含んでもよい。好ましくは、表面は木材、木材ベースの材料、プラスチック、セラミック、ガラス、コンクリート、金属および金属合金からなる群から選択される。金属および金属合金としては、アルミニウムおよびステンレス鋼を含む鋼が挙げられる。表面はコーティングされていても、されていなくてもよい。表面は、例えば、床、壁、天井、タイル、鏡、窓、ドア、ドアの取っ手、手摺り、家具、装置(equipment)、装置筐体(apparatus housing)およびベッドフレームからなる群から選択される基体の表面であってもよい。本方法は、表面が、食品を加工する場所(food processing areas)、診療室(doctor's offices)、病院、手術をする場所(surgical areas)および療養所の領域(nursing home areas)からなる群から選択される領域(areas)の基体の表面である表面を処理するために特に有用である。
【0009】
細菌胞子は、バチルス(bacillus)属およびクロストリジウム(clostridium)属などの胞子形成細菌の休眠胞子型である。本発明による方法によって、特に、枯草菌(bacillus subtilis)、バチルス セレウス(bacillus cereus)、クロストリジウム スポロゲンス(clostridium sporogenes)およびクロストリジウム ディフィシール(clostridium difficile)などの根絶が難しい顕著な耐性を有する細菌胞子の場合でさえも、表面の細菌胞子を排除することができることは都合がよい。前記バチルスの胞子が特に食品加工および食品処理において問題となるのに対し、クロストリジウム ディフィシール(clostridium difficile)の胞子は院内感染症の一般的理由である。殺胞子作用が本発明による方法の基本的な効果であるが、本発明による方法を実行する場合、表面の殺菌は、マイコバクテリウム、菌類およびウイルスを含む胞子形成細菌および非胞子形成細菌の増殖型の排除に関して達成されることが言及されるべきである。
【0010】
表面を接触させるための本発明による方法で使用される水性組成物は、そのpH値は8を超えないが、著しい殺胞子有効性を有する。それらによって、例えば、欧州標準EN 14347:2005、条項4および5に従って、生菌数の少なくとも4の10進対数(decimal log)(lg)減少(少なくとも99.99%の死滅率と同等)の実行が可能である。
【0011】
したがって、本発明は、3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは5〜20主量%、特に10〜20重量%の過酸化水素を含み、6〜8、好ましくは6.5〜7.5のpH値を有する水性組成物の形態の殺胞子剤にも関する。
【0012】
過酸化水素を含み、中性〜アルカリ性pH値を有する水性組成物、およびそれらの調製方法については、例えば、国際公開第96/01309号パンフレットおよび同第96/01310号パンフレットに開示されている。本発明による方法で使用される水性組成物が、中性に近いか、または中性である6〜8のpH値を有することは、それによって、より強い酸性または塩基性pH値を有する過酸化水素組成物による腐食またはその他の損傷などの攻撃の傾向がある表面の慎重な処理が可能となるため、都合がよい。
【0013】
材料適合性が水性組成物の唯一の利点ではない。水性組成物は環境にやさしい。殺胞子剤は、基本的にはアルコールまたは他の有機溶媒を含まない。組成物を、例えば24ヵ月以上の有用な貯蔵寿命を有するように調製することもできる。
【0014】
適切な量の少なくとも1種の塩基を添加することによって、そして場合により、水、好ましくは脱イオン水または蒸留水で所望の過酸化水素濃度まで希釈することによって、過酸化水素の水溶液のpH値を所望の値、すなわち、6〜8、好ましくは6.5〜7.5のpH値に調節することによって、水性組成物を調製することができる。pH値の調整は、従来のpHメーターを利用して調節することができる。
【0015】
過酸化水素の水溶液は、商業的に入手可能であり、典型的に、それらは、15〜50重量%、一般に15〜35重量%の過酸化水素を含み、そして1〜3.5の範囲の酸性pH値を有する。
【0016】
pH調整のために使用可能な塩基の例は、アルカリケイ酸塩、アルカリ炭酸塩であるが、特に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどのアルカリ水酸化物である。塩基の水溶液を使用することが好ましい。水による所望の過酸化水素濃度への希釈が実行される場合、pH調整の前、間または後に実行可能である。
【0017】
過酸化水素、水および塩基を除き、水性組成物は、例えば全体の割合で0〜15重量%、好ましくは0.05〜5重量%の少なくとも1種の補助添加剤を含んでなってもよい。例としては、ポリエトキシ化アルコールなどの陰イオン性、両性、そして特に非イオン性界面活性剤;硬水金属イオン封鎖剤;腐食抑制剤;粘度調整剤;芳香剤;染料;そして特に遷移金属イオン封鎖(錯体化、キレート化)剤などの過酸化物分解安定剤が含まれる。
【0018】
遷移金属イオン封鎖剤の例には、ジメチルグリオキシム、トリアザシクロアルカン化合物、特に1,4,7−トリアザシクロノナン(TACN)またはジピリジルアミン(DPA)などの配位子として窒素供与体を有する化合物;エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(EDTA)およびそのアルカリ塩、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’,N’’−五酢酸(DTPA)およびそのアルカリ塩、ニトリロ−2,2’,2’’−三酢酸(NTA)およびそのアルカリ塩のようなカルボン酸誘導体;1,2−ジアミノシクロヘキシルテトラ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩などのホスホン酸誘導体が含まれる。
【0019】
水性組成物は、ホスホニウム塩、スルホニウム塩または第4級アンモニウム塩などのアンモニウム塩などのいかなる陽イオン性界面活性剤もプラスに帯電した相間移動剤も含まれない。
【0020】
好ましい水性組成物は、少なくとも1種の遷移金属イオン封鎖剤と、場合により、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を補助添加剤として含む。
【0021】
好ましい水性組成物は、以下の組成:
3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは5〜20重量%、特に10〜20重量%の過酸化水素と、
0.05〜0.5重量%の水酸化アルカリと、
0.005〜1重量%の少なくとも1種の遷移金属イオン封鎖剤と、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
0〜10重量%、好ましくは0重量%の、陰イオン性および両性界面活性剤;硬水金属イオン封鎖剤;腐食抑制剤;粘度調整剤;芳香剤および染料からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる補助添加剤とを有し、
残りの重量%の割合は水であり、これにより100重量%となる。
【0022】
好ましい水性組成物は、過酸化水素の水溶液を残りの成分と混合することによって調製することができ、ここで残りの成分は、水性調製物または水溶液の形態であってもよい。潜在的または実際に遷移金属化合物の痕跡量の形態で不純物を含む過酸化水素の水溶液ならびに残りの成分が少なくとも1種の遷移金属金属イオン封鎖剤を含む場合、これは好都合である。
【0023】
特に利用者の都合および再現性上の理由で、1成分のすぐに使える(one−component ready−to−use)製品、すなわち、本発明による方法で表面を接触させるために直接使用することができる製品の形態で利用者(本発明による方法を実施する人)に水性組成物を供給することが好ましい。しかしながら、利用者に水性組成物の水性濃縮物を供給することも可能である。そのような水性濃縮物は、水性組成物の調製に関する利用者の前提において使用可能である1成分組成物の形態でもある。そのために、利用者は、所望の適切な混合比で水性濃縮物を水、好ましくは脱イオン水または蒸留水で希釈する必要があるだけである。
【0024】
表面への水性組成物の適用が拭くことによって実行される場合、利用者に、水性組成物を浸み込ませたワイプを供給することも可能である。
【0025】
本発明による方法において、表面を、1〜60分、好ましくは5〜30分、最も好ましくは15〜30分間、水性組成物と接触させる。当然、接触時間をより長く続けてもよいが、1〜60分、好ましくは5〜30分、最も好ましくは15〜30分の接触時間で、本発明による方法の殺胞子効果を達成するために十分である。
【0026】
表面と水性組成物との間の接触工程は、その表面上で細菌胞子が死滅する/除去される基体次第で特に選択される様々な適用方法による水性組成物の適用によって実行されてもよい。表面を接触させる適用方法としては、ワイピング、ブラッシング、浸漬、すすぎおよび噴霧が挙げられ、これらからなる群から選択されてよい。典型的に、接触させるための適用方法は噴霧である。
【0027】
使用される適用方法次第で、必要な接触時間を確実にするために、適用を繰り返し実行してもよい。ある場合、水性組成物の適用後、水性組成物がその殺胞子効果を行った後、無菌水ですすいでもよいが、しかしながら、一般に実際的ではなく、そして表面は、水性組成物を適用した後に0〜35℃の温度で空気中で乾燥させられる。
【実施例】
【0028】
Pbwは重量による部を意味する。
【0029】
実施例1(pH7の殺胞子剤の調製):
40pbwの蒸留水、0.5pbwのUnivar Ltd.からのCaflon DE−0600(非イオン性界面活性剤、エトキシル化イソデカノール)、0.3pbwのUnivar Ltd.からDequest(登録商標)2066(=0.075pbwのナトリウムジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート))および42.9pbwの過酸化水素(35重量%水溶液)の混合物を、適切な量の水酸化ナトリウムの47重量%水溶液の添加によって、pH7に調節した(pHメーター統制)。蒸留水を添加し、pH7の殺胞子剤100pbwを得た。過酸化水素濃度は15重量%であった。
【0030】
比較例A(pH9の殺胞子剤の調製):
pHが9に調節されたことが異なるが、実施例1を繰り返した。
【0031】
実施例2(クロストリジウム ディフィシール(clostridium difficile)胞子に対する殺胞子活性試験):
クロストリジウム ディフィシール(clostridium difficile) NCTC 11209の休眠胞子に対する実施例1の生成物の殺胞子有効性を、クロストリジウム(clostridium)属胞子の用途に応用される欧州標準EN 14347:2005、条項4および5に従って決定した。
【0032】
実施例1の生成物80pbwを、胞子を含有する蒸留水20pbwと混合した。予め発芽を実行しなかった。初期の接種原濃度は3.94×107胞子/mlであった。試験温度は20℃であり、接触時間は15分であった。生菌数の十進対数減少は>5.595であった。
【0033】
実施例3(バチルス セレウス(bacillus cereus)に対する殺胞子活性試験):
バチルス セレウス(bacillus cereus) NCIMB 11925の休眠胞子に対する実施例1の生成物の殺胞子有効性を、AFNOR NFT 72−230 ’Water Miscible Neutralisable Antiseptics and Disinfectants used in the liquid state−determining sporicidal action−Dilution−Neutralisation method(液体状態で使用される水混和性中和可能消毒剤および殺菌剤−殺胞子性作用の測定−希釈中和法)’の方法に従って決定した。バチルス セレウス(bacillus cereus)胞子を調製するための手順と、試験接触時間への修正は、それ相応になされ、バチルス(bacillus)接種原を調製するための媒体は、Oxoid SR099E選択性補助剤とともに使用されるOxoid バチルス セレウス(bacillus cereus)選択性寒天(CM0167)であった。
【0034】
実施例1の生成物90pbwを、胞子を含有する蒸留水10pbwと混合した。予め発芽を実行しなかった。初期の接種原濃度は1.70×108胞子/mlであった。試験温度は22℃であり、接触時間は45分であった。生菌数の十進対数減少は>7.23であった。
【0035】
比較例B(バチルス セレウス(bacillus cereus)に対する殺胞子活性試験):
実施例1の生成物の代わりに比較例Aの生成物を使用したことが異なるが、実施例3を繰り返した。生菌数の十進対数減少は>6.46であった。
【0036】
実施例3の結果を比較例Bと比較すると、実施例1に従って調製されたpHがより低い組成物は、pH7においてより有効であった(生菌数でより優勢な減少があった)ことが示される。また、比較例Aの組成物と対照的に、アルカリ性媒体に感応性である表面上で実施例1の組成物を使用することができるという利点もある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜30重量%の過酸化水素を含み、6〜8のpH値を有する水性組成物と、1〜60分間、0〜35℃の温度で、表面を接触させることを含む、表面上で細菌胞子を除去する方法であって、前記方法がいかなる発芽工程も含まない方法。
【請求項2】
水性組成物が5〜25重量%の過酸化水素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水性組成物が6.5〜7.5のpH値を有する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水性組成物が、
0.05〜0.5重量%の水酸化アルカリと、
0.005〜1重量%の少なくとも1種の遷移金属イオン封鎖剤と、
0〜10重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
0〜10重量%の、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、硬水金属イオン封鎖剤、腐食抑制剤、粘度調整剤、芳香剤および染料からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる補助添加剤とをさらに含み、
残りの重量%の割合は水であり、これにより100重量%となる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水組成物が、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、硬水金属イオン封鎖剤、腐食抑制剤、粘度調整剤、芳香剤、染料および過酸化物分解安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の補助添加剤を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
接触時間が5〜30分である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
温度が15〜25℃である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
表面が、木材、木材ベースの材料、プラスチック、セラミック、ガラス、コンクリート、金属および金属合金からなる群から選択される請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
表面が、床、壁、天井、タイル、鏡、窓、ドア、ドアの取っ手、手摺り、家具、装置、装置筐体およびベッドフレームからなる群から選択される基体の表面である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
表面が、食品を加工する場所、診療室、病院、手術をする場所および療養所の領域からなる群から選択される領域の基体の表面である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
細菌胞子が、枯草菌(bacillus subtilis)、バチルス セレウス(bacillus cereus)、クロストリジウム スポロゲンス(clostridium sporogenes)およびクロストリジウム ディフィシール(clostridium difficile)からなる群から選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
接触工程が、ワイピング、ブラッシング、浸漬、すすぎおよび噴霧適用からなる群から選択される適用方法によって実行される請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
3〜30重量%の過酸化水素を含み、6〜8のpH値を有する水性組成物の形態の殺胞子剤。
【請求項14】
5〜25重量%の過酸化水素を含む請求項13に記載の殺胞子剤。
【請求項15】
pH値が6.5〜7.5である請求項13または14に記載の殺胞子剤。
【請求項16】
3〜30重量%の過酸化水素と、
0.05〜0.5重量%の水酸化アルカリと、
0.005〜1重量%の少なくとも1種の遷移金属イオン封鎖剤と、
0〜10重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
0〜10重量%の、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、硬水金属イオン封鎖剤、腐食抑制剤、粘度調整剤、芳香剤および染料からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる補助添加剤とを含み、
残りの重量%の割合は水であり、これにより100重量%となる請求項13に記載の殺胞子剤。
【請求項17】
遷移金属イオン封鎖剤が、ジメチルグリオキシム、1,4,7−トリアザシクロノナン、ジピリジルアミン、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸およびそのアルカリ塩、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’,N’’−五酢酸およびそのアルカリ塩、ニトリロ−2,2’,2’’−三酢酸およびそのアルカリ塩、1,2−ジアミノシクロヘキシルテトラ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩、ならびにエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびそのアルカリ塩からなる群から選択される請求項16のいずれか一項に記載の殺胞子剤。
【請求項18】
陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、硬水金属イオン封鎖剤、腐食抑制剤、粘度調整剤、芳香剤、染料および過酸化物分解安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の補助添加剤を含む請求項15〜19のいずれか一項に記載の殺胞子剤。

【公表番号】特表2011−504873(P2011−504873A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511398(P2010−511398)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/066233
【国際公開番号】WO2008/154461
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】