説明

表面上にパラジウムを含む金属粒子を有する電子供与表面を有する生体適合性基体

新規基体は、生体適合性に関連する表面特性を改変することを可能とする。該基体は、電子供与表面を有し、それは該表面上に金属粒子を有することを特徴とし、該金属粒子は、パラジウム、および、金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属粒子の量は約 0.001 〜約 8μg/cm2である。基体は様々な用途が示唆され、例えば、疎水性、タンパク質吸着、組織内殖、補体活性化、炎症応答、血栓形成性、摩擦係数、および表面の堅さを改変する用途が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、反復可能および制御された様式で生体適合性に関する表面特性を改変することを可能とするナノ粒子を有する新規な基体に関する。改変されうる表面特性の例としては、これらに限定されないが、疎水性、タンパク質吸着、組織内殖、補体活性化、炎症応答、血栓形成性、摩擦係数、および表面の堅さが挙げられる。本発明はさらに、該新規な基体を含む対象にも関する。本発明はさらに該基体の使用に関する。最後に、本発明はさらにかかる基体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
表面特性を有用な特性を達成するように改変することが常に望まれてきた。特に、生体適合性対象に関して重要である表面特性を改変することを可能にすることが望まれている。様々な目的での既知の表面改変の例を以下に記載する。
【0003】
US6,224,983は接着性、抗微生物および生体適合性被覆を有する、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムおよびオスミウムからなる群から選択される1以上の金属の1以上の塩への曝露により安定化された銀の層を含む物品を開示する。銀の層の厚さは2-2000オングストローム (10-10 m)の範囲であり、さらに開示された範囲は2-350オングストロームおよび2-50オングストロームである。銀の層の厚さの例として、 50オングストローム、350オングストローム、500オングストローム、および1200オングストロームもある。基体は、ラテックス、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ABS ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたは合成ゴムであり得る。
【0004】
US 5,965,204は、表面をスズイオンで活性化した後沈着された銀の層を含む被覆を有する非導電性基体でできた物品の調製方法を開示している。白金群の金属または金をさらに含む被覆も開示されている。銀の層の厚さは2-2000オングストロームの範囲であり、2-350オングストロームおよび2-50オングストロームの範囲も開示されている。銀の層の厚さの例として50オングストローム、350オングストローム、500オングストローム、および1200オングストロームもある。
【0005】
US 5,747,178は、銀の層の沈着によりできた物品を開示している。この層は接着性、抗微生物および生体適合性とされている。銀の層は1以上の白金群の金属または金の塩溶液へ曝すことにより安定化されうる。銀の層の厚さは2-2000オングストロームの範囲であり、さらに2-350オングストロームおよび2-50オングストロームの範囲が開示されている。厚さ50オングストローム、350オングストローム、500オングストローム、および1200オングストロームの銀の層の例もある。物品は、ラテックス、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ABS ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたは合成ゴムからできたものであり得る。
【0006】
US 5,395,651は、銀の被覆を有する非導電性材料を含む抗微生物装置の調製方法を開示している。この被覆はまた、白金群の金属および/または金も含む。 方法は以下の工程を含む: 1被覆すべき表面を活性化する工程; 2銀を表面に沈着させる工程; 3白金群の金属 および/または金の塩で表面を処理する工程、これは薄い被覆が生じるよう十分な時間のみ行うべきである; 4水によりすすぐ工程。工程 3の処理は白金 またはパラジウムの塩を金と組み合わせて利用しうる。白金群の金属 および/または 金の被覆の厚さについては言及されていない。被覆は単に薄い被覆であると記載されているに過ぎない。銀の被覆の上の金属粒子についても言及されていない。銀の層の厚さは2-2000オングストロームの範囲であり、さらに 2-350オングストロームおよび2-50オングストロームの範囲が開示されている。厚さ50オングストローム、350オングストローム、500オングストローム、および 1200オングストロームの銀の層の例もある。
【0007】
US 5,320,908 は、本質的に1以上の白金群の金属または金が重なった銀の層からなる接着性、抗微生物、および生体適合性被覆を開示している。被覆はヒトの眼にとって透明であり得る。銀の層の厚さは2-2000オングストロームの範囲であり、2-350オングストローム および2-50オングストロームの範囲も開示されている。厚さ50オングストローム、350オングストローム、500オングストローム、および1200オングストロームの銀の層の例もある。物品は、ラテックス、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ABS ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたは合成ゴムからなりうる。
【0008】
US 5 695 857は、1つの第一金属および第二の貴金属(より貴な金属(nobler metal))のいくつかの層を有する抗微生物表面を開示している。抗微生物活性のある金属は例えば、白金、金、銀、亜鉛、スズ、アンチモンおよびビスマスであり得る。貴金属は、例えば白金、オスミウム、イリジウム、パラジウム、金、銀および炭素からなる群から選択され得る。表面は生体液とともに用いられ、基体と接触していない各層は不連続であり、下の層が曝される。表面の一例は金または白金で被覆された銀である。別の例は、銀と組み合わされた銅、銅銀合金と組み合わされた銅、金と組み合わされた銅または金と組み合わされた銀銅合金である。
【0009】
CH 654 738 A5は、 ステンレス鋼でできた外科的インプラントを開示しており、それは銅の第一層および銀、金、ロジウム または パラジウムの第二層により被覆されている。銀は殺菌作用を有すると記載されている。CH 654 738 A5は 明示的にステンレス鋼が10μm 銅および5μm (50 000オングストローム) パラジウムで被覆された表面を開示している。CH 654 738 A5に開示されるすべての表面は10μm 銅 (100 000オングストローム)の層および10μm 銀 または 5μm 金 または 5μm パラジウムを有する。
【0010】
WO 2005/073289は金属ナノ粒子を含むポリマー複合体でできた繊維を開示する。多くの金属は抗微生物作用を有すると記載されている。抗微生物繊維が言及されている。一例は抗微生物創傷保護剤に用いられる親水性 繊維である。抗微生物特性を有する繊維は Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Sn、Cu、Sb、BiまたはZnまたはそれらの組合せを含みうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の短い概要
表面に関する技術水準における問題は、生体適合性であって、疎水性、タンパク質吸着、組織内殖、補体活性化、炎症応答、血栓形成性、摩擦係数、および表面の堅さを反復可能に改変することが出来る、表面の提供方法である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは技術水準における上記問題は、パラジウムおよび金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属粒子が表面に存在する電子供与表面を有する基体 であって、該金属粒子の量が 約 0.001 〜約 8μg/cm2である基体によって解決できることを見いだした。本発明のさらなる態様は添付の従属項に規定され、引用により本明細書に含まれる。
【0013】
説明
定義
本発明を詳細に開示および記載する前に、本発明は本明細書に開示された特定の配置、方法の工程および材料に限定されず、かかる配置、方法の工程および材料はいくらか変動しうることを理解されたい。また本明細書において用いる用語は、特定の態様を記載する目的でのみ用いられており、限定の意図はないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその均等物にのみ限定されるからである。
【0014】
本明細書および請求の範囲において用いる場合、単数形「ある」、「1つの」および「その」は特に断りの無い限り複数形も含むことを注意すべきである。
【0015】
以下の用語を明細書および請求の範囲にわたって用いる。
【0016】
本明細書において用いる場合、「生体適合性」は、材料が特定の用途で適切な宿主応答を行う能力である。
【0017】
本明細書において用いる場合、「バイオフィルム」は、微生物が包埋されている薄層である。バイオフィルムは微生物が表面に定着する際に生じる。
【0018】
本明細書において用いる場合、「補体活性化」は、成分 C1からC9の連鎖反応によって活性化されうる血漿中の因子の複雑なシステムであり、多数の生物学的作用を引き起こすものである。補体活性化は2つの様式で起こる:a)古典的なC1からC9、または b) 代替的には、C3の直接活性化によるもの。
【0019】
「接触角」。固体表面上の所与の液滴について、接触角は固体表面と固体と接触する点からの液滴半径に接する線との間に形成される角度の測定値である。
【0020】
本明細書において用いる場合、「電子供与材料」は別のより貴な材料と関連して、より貴な材料に電子を移動させる能力を有する材料である。一例は、より貴な金属とともにあるより貴でない金属である。
【0021】
本明細書において用いる場合、「電子供与表面」は、電子供与材料を含む表面層である。
【0022】
本明細書において用いる場合、表面の「疎水性」は表面と水との相互作用を記載する。疎水性表面はほとんどまたはまったく水を吸収する傾向を有さず、水はその表面上で「玉のようになる」傾向がある。表面の疎水性という用語はまたその表面エネルギーと密接に関係している。表面エネルギーが表面とすべての分子との相互作用を記載するのに対し、疎水性は表面と水との相互作用を記載する。
【0023】
本明細書において用いる場合、「接触角のヒステリシス」は、前進および後退する接触角値の間の差異である。表面上の水滴の前進する接触角は、水と空気の間の境界が表面上を移動して湿らせる場合の接触角であり、後退する角度は水と空気の境界があらかじめ湿った表面上から離れる場合の接触角である。
【0024】
「炎症応答」は組織がウイルス、細菌、外傷、化学物質、熱、冷またはその他のあらゆる有害な刺激により損傷される場合に起こる。ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニンおよびその他を含む化学物質が特化した細胞により放出される。これら化学物質は組織マクロファージおよび白血球を引きつけて外来物質を飲み込み破壊する領域に位置づけさせる。
【0025】
「改変する」とは、特性の低下または向上を意味する。
【0026】
「貴」とは本明細書において比較の意味で用いられる。それはそれらがどのように互いに相互作用するかに依存して互いに金属を含む材料に関連するように用いられる。2つの金属が電解質中に沈められ、互いに電気的に接続している場合、「より貴でない金属」は電界腐食を経験している金属を示すのに用いられる。「より貴な」という用語はもう一方の金属を示すのに用いられる。電子は「より貴でない」 金属から「より貴な」金属へと移動する。
【0027】
本明細書において用いる場合、「タンパク質吸着」は、タンパク質と表面との間の全引力に起因して表面にタンパク質が付着する現象である。
【0028】
本明細書において用いる場合、「基体」は、本発明により処理される基剤である。
【0029】
「組織内殖」は、細胞が表面上で増殖しはじめ、新しい組織を形成するプロセスである。
【0030】
本明細書において用いる場合、「血栓形成性」は、血液の凝固を誘発する基体の能力である。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明によると、基体は所望の特性を示すよう処理される。基体は広範な材料から構成されうる。一つの態様において、基体は電子供与表面を有する材料から構成される。別の態様において、それは電子供与表面を有さない材料から構成される。電子供与表面の場合、金属粒子を電子供与表面に直接適用してもよい。表面が電子供与性でない場合、電子供与表面を作るには電子供与材料の層が適用されなければならない。
【0032】
本発明は電子供与表面を有する基体を含み、該表面上に金属粒子が存在することを特徴とし、該金属粒子はパラジウムおよび金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属粒子の量は約 0.001〜 約 8 μg/cm2である。該金属粒子の好ましい量は約 0.01〜約 4 μg/cm2である。該金属粒子の特に好ましい量は約 0.01〜 約 1 μg/cm2である。
【0033】
基体自体が電子供与性であるか、または基体上に電子供与材料の層が適用される。電子供与材料が基体上に適用される場合、それは約 0.05〜約 12 μg/cm2の量で適用される。
【0034】
電子供与材料はかならずしも電子供与表面を有していなくてもよい。一例はアルミニウムであり、それは空気中では電子供与表面ではない酸化物層を獲得する。
【0035】
電子供与材料は、電子供与表面を形成する能力があるいずれかの材料であり、例えば、導電性ポリマーまたは金属である。金属の場合、それはパラジウム、金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群における金属のいずれよりも貴ではない必要がある。
【0036】
電子供与表面としての使用のために好ましい金属は、銀、銅および亜鉛からなる群から選択される金属である。
【0037】
本発明の一つの態様において、基体はポリマー性基体である。
【0038】
一つの態様において、基体は以下からなる群から選択される:ラテックス、ビニル、ビニル基を含むポリマー、ポリウレタンウレア、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、スチレン、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルのコポリメリゼート(copolymerisate)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、およびポリイミド、またはそれらの混合物。
【0039】
本発明の別の態様において、基体は、天然ポリマー、分解可能ポリマー、食用ポリマー、生分解性ポリマー、環境に優しいポリマー、および医療グレードポリマーからなる群から選択される。
【0040】
本発明の別の態様において、基体は金属である。
【0041】
基体のための好ましい金属は、ステンレス鋼、医療グレード鋼、チタン、医療グレードチタン、コバルト、クロムおよびアルミニウムまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
本発明の別の態様において、基体は、ガラス、無機質、ゼオライト、石およびセラミックスからなる群から選択される。
【0043】
本発明の別の態様において、基体は、紙、木、織り繊維、繊維、セルロース繊維、革、炭素、炭素繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリパラフェニレンテレフタルアミドからなる群から選択される。
【0044】
本発明の別の態様において、基体は粒子の形状を有する。
【0045】
本発明の一つの態様において、本発明による基体を含む対象が提供される。本発明による基体を含む対象の例としては、医療機器、医療装置、使い捨て商品、医用使い捨て商品が挙げられる。
【0046】
粒子は常にパラジウムを含んでいなければならない。パラジウムに加えて少なくとも1つのその他の金属が存在する。金属粒子中のパラジウムとその他の金属との比は約 0.01:99.99〜約 99.99:0.01が本発明において利用できる。約 0.5:99.5 〜約 99.8:0.2の比が好ましい。特に好ましい比は約 2:98 〜約 95:5である。 さらに特に好ましい比は、5:95〜95:5である。別の態様において、比は約 10:90 〜約 90:10である。
【0047】
本発明の一つの態様において、該金属粒子は、パラジウムに加えて金を含む。
【0048】
本発明者らは該金属粒子の平均サイズ が約 10 〜約 10000オングストロームである場合に有利な特性が達成されることを見いだした。
【0049】
一つの態様において該金属粒子の平均サイズは約 100 〜約 600オングストロームである。
【0050】
本発明の別の側面において、本明細書に記載する基体を含む対象が提供される。
【0051】
本明細書に記載する基体を含む医療機器も提供される。
【0052】
本明細書に記載する基体を含む使い捨て商品も提供される。
【0053】
本発明はまた、本明細書に記載する基体を含む歯科用物品、ならびに歯科用機器、歯科インプラント、および歯科用品を提供する。
【0054】
金属粒子の適用量は μg/cm2にて表され、金属粒子は被覆層を形成せず、該電子供与表面上に均一に分布した粒子またはクラスターであることを認識しなければならない。
【0055】
電子供与材料の適用層は好ましくは、均一であり、表面上に実質的に凝集塊またはクラスターがないように適用される。電子供与表面層が均質かつ均一であれば、μg/cm2 における適用量はオングストロームにて厚さに変換できる。0.05-4μg/cm2 の適用量は約 4.8-380オングストローム、0.5-8μg/cm2 は約 48-760オングストローム、そして 0.8-12μg/cm2 は約 76-1140オングストロームに対応する。
【0056】
本発明の一つの態様において、電子供与表面は市販の実質的に純粋な銀の層であり、それは少量の不純物の可能性を排除するものではない。
【0057】
基体が電子供与表面を有さず電子供与表面層の沈着が必要である場合、沈着は以下からなる群から選択される方法を用いて行われる: 化学蒸着、スパッタリング、および金属塩を含む溶液からの金属の沈着。実質的にクラスターまたは凝集塊のない均一な層が沈着の結果である。好ましくは、沈着は第一の層が基体に対して良好な付着を有するように行われる。
【0058】
被覆された基体の調製のための本発明の一つの態様を記載する。電子供与表面を有さない基体のために、方法は以下の工程のいくつかまたはすべてを含む:
1.前処理
2.すすぎ
3.活性化
4.電子供与表面の沈着
5.すすぎ
6.金属粒子の沈着
7.すすぎ
8.乾燥。
【0059】
電子供与表面を有する対象について、方法は以下の工程を含む:
1.すすぎ
2. 金属粒子の沈着
3.すすぎ
4.乾燥。
【0060】
以下、電子供与表面を有さない基体についての工程1 〜9の一つの態様をより詳細に記載する。
【0061】
前処理は0.0005 〜30 g/lのスズイオンを含有するスズ塩の水溶液中で行われうる。pH は1 〜4であり、塩酸 および/または 硫酸により調整される。処理時間は室温で2-60 分間である。前処理の後、表面を脱塩水ですすぐが、乾燥はさせない。
【0062】
活性化してすすいだ基体を沈着溶液に移す。沈着溶液のpHは8以上である。それは銀塩、亜鉛塩、および銅塩からなる群から選択される金属塩を含む。本発明の一つの態様において、塩は硝酸銀 (AgNO3)である。金属塩は約 0.10 g/l以下、好ましくは 約 0.015 g/lの有効量にて用いられる。金属含量が約 0.10 g/lを超えると、溶液中または容器壁上で元素金属が不均質に形成され得る。金属含量が有効量を下回ると、所望の時間内にフィルムを形成するには金属が不十分となる。
【0063】
沈着溶液の第二の成分は、金属含有塩を元素金属へと還元する還元剤である。還元剤は化学的還元が達成されるのに十分な量存在しなければならない。許容される還元剤には、 ホルムアルデヒド、硫酸ヒドラジン、水酸化ヒドラジン、および次リン酸が含まれる。本発明の一つの態様においてそれは約 0.001 ml/l溶液の量で存在する。還元剤の濃度が高すぎると溶液および容器壁上にわたって金属の沈着が起こり、濃度が低すぎると基体上への金属の形成が不十分となりうる。当業者は常套の実験により本明細書を鑑みて還元剤の所望の量を決定できる。
【0064】
沈着溶液のもう一つの成分は還元された金属が微細な金属粉末として溶液から直接沈降したり、容器の壁に沈降したりすることを防ぐために沈着反応を遅らせるのに十分な量にて存在する沈着制御剤である。使用可能な沈着制御剤には、インベルトースとしても知られる転化糖、コハク酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、およびアンモニアが含まれる。沈着制御剤は 好ましくは約 0.05 g/l溶液の量にて存在する。存在量が少なすぎると、均一な金属表面の代わりに金属クラスターの沈降が起こりうる。存在量が多すぎると、金属含有塩が目的の基体への所望の沈降のために安定となりすぎる可能性がある。
【0065】
還元剤および沈着制御剤の濃度は、基体材料、所望のフィルムの厚さ、沈着条件および溶液中の金属濃度に応じて所望の結果を達成するように必要により調整される。例えば、薄いフィルムのためには、金属塩濃度は比較的低いであろうし、還元剤および沈着制御剤の濃度も同様であろう。当業者は本明細書を鑑みて常套の実験により沈着制御剤の所望の量を決定できる。
【0066】
沈着溶液の調製において、溶液の成分のそれぞれは好ましくは個別に脱塩水に溶解される。様々な前溶液を上記濃度を達成するために正しい量にて次いで混合し、必要であれば希釈する。
【0067】
金属塩と還元剤の組合せにより、基体表面上に沈着されるのに好適な状態にて金属が塩から還元されるのが可能となる。この方法は完成した金属フィルムの基体表面への良好な付着の達成のために特に有益である。良好な付着はほぼすべての用途において重要である。
【0068】
基体表面は適当な手順により沈着溶液に曝される。溶液への浸漬が通常好ましいが、溶液は噴霧または刷毛塗りなどのいずれの便宜な技術によっても適用されうる。金属フィルムは金属塩の濃度によって制御されうる速度にて溶液から均一に沈着する。薄いフィルムが要求される場合、沈着温度を沈着が制御可能にゆっくり行われるように十分に低く維持する。
【0069】
電子供与表面として作用する金属層を適用するその他の方法を本発明において適用できる。電子供与表面を達成するその他の方法は、化学蒸着およびスパッタリングである。
【0070】
上記の金属沈着の後、基体は金属からなる電子供与表面を有する。この金属沈着は、基体が最初から電子供与表面を有さない場合のみ必要である。基体が既に電子供与表面を有する場合、金属粒子は金属層のさらなる追加なしに表面に沈着しうる。後者の場合、粒子の適用の前に基体を徹底的に清浄にする。
【0071】
製造方法の次の工程は金属粒子の沈着である。
【0072】
一つの態様において金属のコロイド懸濁液を用いてパラジウムおよび少なくとももう1つの金属を含む粒子を表面上に得る。金属粒子は所望の粒子の懸濁液から沈着する。懸濁液中の金属粒子の組成は好ましい値に応じて調整される。電子供与表面を有する基体は金属粒子の懸濁液に約数秒から約数分間またはそれ以上の時間浸漬される。
【0073】
金属粒子の懸濁液はいくつかの方法で製造されうる。一つの態様において金属粒子の懸濁液は所望のサイズの金属粒子が形成されるような条件下で還元される金属塩の水溶液から作られる。好適な量の金属塩、還元剤および安定化剤の混合によりこれが達成される。上記と同じ還元剤および安定化剤が粒子懸濁液の作成において使用できる。当業者は本明細書を鑑みて常套の実験により所望の粒子サイズを得るための還元剤および安定化剤の所望の量を決定できる。別の態様において、市販の金属粒子のコロイド懸濁液が使用される。所望の組成の金属粒子が懸濁液の作成に使用される。
【0074】
一つの態様において、金属粒子の懸濁液は脱塩水でパラジウムおよび金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属粒子の市販の濃縮コロイド溶液を希釈することにより作られる。基体は懸濁液で約数秒から約数分間またはそれ以上の時間処理される。処理の後、基体は溶媒または水、例えば脱塩水ですすがれ、室温で放置され乾燥される。
【0075】
一つの特定の非限定的態様において、市販の金属粒子は75% パラジウムおよび25% 金からなる。
【0076】
したがって本発明によると、特定の所望の表面を有する基体を得ることが出来る。例えば、75% パラジウムおよび25% 金からなる粒子を備える銀電子供与表面または85% パラジウム および15% ルテニウムからなる粒子を備える銅電子供与表面を有する基体を調製することが出来る。
【0077】
かかる基体を生産するための柔軟かつ制御され反復可能な方法により提供される利点の一つは多種多様な基体が生産されうることである。本明細書に記載するように、特定の基体は既存の基体よりも改善された特性を有する。例えば、本発明による特定の基体はそれが適用される基体の疎水性の驚くべき有利な改変をもたらしうる。請求項 1による 基体によりこのように改変しうるその他の特性としては、タンパク質吸着、組織内殖、補体活性化、炎症応答、血栓形成性、摩擦係数、および表面の堅さが挙げられる。
【0078】
即ち、基体が適用される対象の表面特性を改変するために、粒子サイズ、粒子の組成および粒子の量を調整することが可能である。
【0079】
本発明者らは請求項 1による基体を使用することによりこれを達成することが可能であることを見いだした。具体的には表面特性を改変するために、粒子サイズ、粒子の組成および粒子の量を調整することが可能である。
【0080】
本発明による基体は多くの目的のために利用できる。これらは、基体の疎水性、タンパク質吸着、組織内殖、補体活性化、炎症応答、血栓形成性、摩擦係数、および表面の堅さを改変することが望ましいあらゆる用途における使用に好適である。
【0081】
基体の特性は低下させることも上昇させることも出来る。したがって特徴を上昇させる少なくとも1つの領域および特徴を低下させる少なくとも1つの領域を示す対象が提供される。一例はタンパク質吸着を低下させる領域およびタンパク質吸着を上昇させる領域を有する対象である。別の例は、組織内殖を低下させる領域および組織内殖を上昇させる領域を有する対象である。
【0082】
本発明による基体はまた、電子供与表面を有する基体であって、該表面上に金属粒子を有し、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体を含む。
【0083】
本発明は、本発明による基体を含む対象に対するタンパク質吸着を改変するための本発明による基体の使用を提供する。
【0084】
本発明は、本発明による基体を含む対象の上の組織内殖を改変するための本発明による基体の使用を提供する。
【0085】
本発明は、本発明による基体を含む対象によってもたらされる補体活性化を改変するための本発明による基体の使用を提供する。
【0086】
本発明は、本発明による基体を含む対象によってもたらされる炎症応答を改変するための本発明による基体の使用を提供する。
【0087】
本発明は、本発明による基体を含む対象によってもたらされる血液凝固を改変するための本発明による基体の使用を提供する。
【0088】
添付の請求の範囲による基体のさらなる利点は摩擦係数を改変する可能性を提供することである。したがって本発明による基体を含む対象の摩擦係数の改変のための本発明による基体の使用が提供される。
【0089】
本発明のその他の特徴およびそれに付随する利点は明細書および実施例を読むと当業者に明らかであろう。
【0090】
本発明は本明細書に示した特定の態様に限定されないことを理解されたい。以下の実施例は例示の目的で提供されるものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。本発明の範囲は添付の請求の範囲およびその均等物にのみ限定される。
【実施例】
【0091】
実施例 1
金属粒子の量の関数としての表面の疎水性
銀の均一な層を以下の方法にしたがってガラス基体上に沈着させた。基体をクロム酸洗浄溶液に5 分間58℃で浸漬し、次いで脱塩水ですすいだ。基体表面を塩化第一スズ水溶液中での浸漬により活性化し、次いで脱塩水ですすいだ。基体表面を次いで銀イオンを含む3 沈着溶液中での浸漬により銀の均一な層でめっきした(plate)。これにより約 115オングストロームの厚さに対応する適用量1.2μg/cm2の銀表面が得られた。23% パラジウムおよび77% 金からなる粒子を次いで第一の銀表面上に金/パラジウムの金属粒子を含む希釈懸濁液中への浸漬により沈着させた。金属粒子の懸濁液を金塩およびパラジウム塩を還元剤で還元し、 懸濁液を安定化剤で安定化させることにより作った。基体を次いで脱塩水ですすぎ、乾燥させた。
【0092】
様々な量の沈着した粒子を有する基体を上記方法を用いて作った。粒子の量はそれぞれ 0、0.02、0.11、0.15、および0.19 μg/cm2 であった。0 μg/cm2のサンプルについては粒子は表面上に沈着しておらず、したがってそれは銀表面からなる。
【0093】
様々な基体上の平衡における水滴の静的接触角を測定した。前進および後退する接触角をウィルヘルミー法を用いて測定した。
【0094】
前進および後退する接触角の値の差異は接触角ヒステリシスと呼ばれ、 測定について計算した。実験結果を表1に示す。
【0095】
表1
【表1】

【0096】
基体の表面疎水性はこのように改変される一方、表面は本実施例による基体に固有のいくつかのその他の有用な特性、例えば生体適合性を示す。
【0097】
実施例 2
金属粒子の量の関数としてのタンパク質吸着
銀の均一な層を二酸化ケイ素基体上に沈着させた。基体を20% 硫酸洗浄溶液に10 分間 室温で浸漬し、次いで脱塩水ですすいだ。基体表面を塩化第一スズ水溶液への浸漬により活性化し、脱塩水ですすいだ。基体表面を次いで銀イオンを含む沈着溶液の4 浴に浸漬することにより銀の均一な層でめっきした。これにより約 77 オングストロームの厚さに対応する0.8 μg/cm2の適用量を有する銀表面が得られた。95% パラジウムおよび5% 金からなる粒子を次いでPd/Au-粒子の希釈懸濁液への浸漬により第一の銀表面上に沈着させた。金属粒子の適用量はそれぞれ0.05、0.12、0.48および0.59 μg/cm2であった。基体を脱塩水ですすぎ、乾燥させた。
【0098】
フィブリノーゲンの吸着をQCM-D法により研究した。フィブリノーゲンは肝臓で合成され血漿中にみられる糖タンパク質である。QCM-Dは散逸をモニターする石英結晶微量天秤である。
【0099】
適用した金属粒子の関数としてのフィブリノーゲンの吸着量を表2に示す。
【0100】
表2
【表2】

【0101】
実施例 3
ポリエステル繊維の網をまず5% 水酸化カリウム 溶液で5分間30℃ですすいだ。脱塩水中で繰り返しすすいだ後、基体を1 g/l 塩化第一スズの酸性溶液に室温で10分間浸漬した。脱塩水ですすいだ後、それを2 g/l 硫酸銅、5 g/l 水酸化ナトリウム、50 g/l クエン酸ナトリウムおよび0.005 ml/l ホルムアルデヒドを含むめっき浴に10分間35℃で浸漬した。約 200 オングストロームの銅層が得られ、脱塩水で新たにすすいだ後、基体をそれぞれ0.05 g/lのパラジウム粒子および金粒子を含む粒子懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.4 μg/cm2であった。
【0102】
実施例 4
PMMA の基体を5% 塩酸で 2 分間清浄にし、次いで脱塩水ですすいだ後、0.02 g/l のスズイオンを含むpH2.5の溶液に浸漬した。すすいだ後、基体を0.005 g/lの銀イオン、0.02 ml/l アンモニア、0.05 g/l 水酸化カリウムおよび 0.0005 ml/l ホルムアルデヒドを含む溶液に5 分間室温で浸漬した。これにより0.12 μg/cm2 の銀を有する表面が得られた。すすいだ後、それを0.005 g/l パラジウム および0.002 g/l 金粒子を含む粒子懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.05 μg/cm2であった。
【0103】
実施例 5
不織ポリイミド基体をNaOH の12% 溶液に40℃で 10 分間浸漬した。脱塩水で繰り返しすすいだ後、それを0.5 g/l 塩化第一スズを含むアルコール溶液に5 分間室温で浸漬した。すすいだ後、それを実施例 3にしたがって銅浴に浸漬した。2 μg/cm2の銅層が得られた。すすいだ後、それを懸濁液の総重量に対して計算して1% のPdおよび0.2%の金粒子を含む懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.6 μg/cm2であった。
【0104】
実施例 6
ナイロン繊維を5% NaOHで10 分間40℃で清浄にし脱塩水ですすいだ後、pH 2.2の 0.6 g/l 塩化第一スズ溶液に15 分間室温で浸漬した。この後、表面は0.8 μg/cm2の銀量を含んでいた。新たにすすいだ後、それを実施例 2にしたがって銀浴に浸漬し、 新たにすすいだ後、1% Pdおよび0.05% Au 粒子を含む懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.12 μg/cm2であった。
【0105】
実施例 7
アルミニウムの基体を10% 硝酸および3% フッ化水素酸の溶液中で60℃で20 分間処理した。すすいだ後、基体を3 g/l 塩化第一スズの酸性溶液に浸漬し、新たに すすいだ後、実施例 2による銀浴に浸漬した。この工程の後、約80 オングストロームの銀量が表面上に得られた。さらにすすいだ後、基体を1% Pdおよび2% Au 粒子を含む懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.7 μg/cm2であった。
【0106】
実施例 8
PTFEの基体を水酸化ナトリウム水溶液中で5 分間エッチング処理した。すすぎおよび乾燥の後、それを 0.7 g/l 塩化第一スズを含む溶液に20 分間室温で浸漬した。基体をすすいだ後、0.2 g/l 硝酸銀、0.5 ml/l アンモニアおよび水酸化ナトリウムを含む pH 10.5のめっき浴に5 分間浸漬した。この工程の後約 2.2 μg/cmの銀量が表面上に得られた。新たにすすいだ後、それを3% Pd および0.1% Au 粒子を含む懸濁液に5 分間室温で浸漬した。金属粒子の適用量は0.03 μg/cm2であった。
【0107】
実施例 9
ガラスプレートを10% 硫酸 および1% フッ化水素酸で室温で15 分間すすいだ。すすいだ後、それを1% フッ化スズ 溶液に浸漬し、 新たにすすいだ後、実施例 2による銀浴に浸漬した。この工程の後、約140 オングストロームの銀量が表面上に得られた。新たにすすいだ後それを1% ルテニウムおよび2% パラジウム 粒子を含む懸濁液に浸漬した。金属粒子の適用量は0.25 μg/cm2であった。
【0108】
実施例 10
ステンレス鋼基体を15% 硝酸および5% HFの溶液に室温で30 分間浸漬し、次いで脱塩水ですすいだ。実施例 11の工程にしたがってプロセスを続けた。金属粒子の適用量は0.9 μg/cm2であった。
【0109】
実施例 11
チタンの棒を18% 硝酸および2% HFの溶液 で20 分間室温で清浄にした。電子供与表面の適用および金属粒子の適用を実施例 11のように行った。金属粒子の適用量は0.6 μg/cm2であった。
【0110】
実施例 12
散逸をモニターする石英結晶微量天秤 (QCM-D)による表面に誘導される補体活性化の検出
異物応答の定量を表面に結合した補体因子 C3bに対するウサギ-抗ヒト抗体の結合をモニターすることによって間接的に達成する。
【0111】
軟組織への導入から数秒の間に、異物は補体系から大いに注目を受けることになる。補体系は約 30 種類のタンパク質を含み、C3がもっとも豊富である。高濃度の体液タンパク質(即ち、アルブミン、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチン)の後で、補体系はその場でのもっとも速い作用因子の一つであり、宿主を侵入する細菌および真菌から保護することを目的とするだけでなく、免疫系に異物が系に入ったことを警告することを目的とする。
【0112】
いかなる特定の科学的理論にも拘束されずに、本発明者らは、補体因子 3 (C3) が導入された表面に結合すると、それは C3 コンバターゼにより切断され、 可溶性 C3a、および表面に結合したC3bを形成すると考える。表面に結合したC3bは次いでコンバターゼ自体として作用し、引き続くC3の切断をカスケード様式で引き起こす。C3bに対する受容体は 、赤血球、マクロファージ、単球、多形核白血球およびB 細胞にみられ、これらはいずれも組織における炎症および創傷治癒の制御に重要である。C3の表面に対する結合を制御する正確なメカニズムはいまだに知られていない。しかし、C3bに対して特異的な抗体はインビトロでQCM-Dにより容易に測定でき、バイオマテリアルの免疫応答特性の定量的情報を与える。この新しい方法は、表面に結合したC3bの検出のためのあらゆるその他の既知の方法と良好な一致を示す。
【0113】
材料および方法
表面の調製
モデル表面としてAu (s)、Ti (s) (それぞれQSX301 および QSX310)によりスパッタされた標準的 QCM-D 結晶を用いた。実施例 2に記載の方法を用いて本発明による被覆を標準的 SiO2 QCM-D 結晶 (QSX 303、Q-Sense Sweden)上に適用した。
【0114】
血液製品
我々は5名の健康なドナー(Sahlgrenska University Hospital、Geoteborg、Sweden)から新鮮な全血を受け取った。血液を室温でおよそ 4 時間凝固させて補体活性血清を得た。血清を次いで4000 rpmで20 分間遠心分離し(Hettich Universal 16 R)、その後上清を取り出し、上記のように再遠心分離し、-70℃で保存した。
【0115】
表面に誘導される補体活性化の検出のために、血清をCaCl2 (0.15 mM)およびMgCl2 (0.5 mM)を追加したベロナール緩衝生理食塩 (VBS++)で1:5に希釈し、血清タンパク質の改変した QCM-D-結晶への吸着を20 分間モニターし、次いで緩衝液で5 分間すすいだ。すすぎの後、VBS++ (Sigma)に1:20に希釈したウサギ-抗ヒト C3b 抗体を添加した。陰性および陽性対照のために、ヒト IgG (1mg/ml) (Sigma)であらかじめ被覆した標準的 金 QCM-D 結晶を用いた。陰性対照は測定の前に56℃で30 分間熱不活性化した。
【0116】
すべての実験はCaCl2 (0.15 mM) およびMgCl2 (0.5 mM)を含むベロナール緩衝生理食塩水(VBS++)で室温で行ったが、例外として陰性対照についてはVBS- -を用いた。すべての QCM-D 測定は装置D300 (Q-sense、Sweden)で行った。
【0117】
結果
上記のように被覆したSiO2 表面は0.35-0.61 μg/cm2の量の銀を有していた。粒子における金の量は以下の表に示すように変動しており、補体活性化は表に示すように測定された。
【0118】
【表3】

【0119】
実施例 13
バイオマテリアル表面上での血小板付着および可溶性補体因子 C3a産生
バイオマテリアルに曝された新鮮な全血における血小板の消費を用いて、所望のバイオマテリアルの血栓形成性を定量する。さらに、活性化補体因子 3の可溶性画分(C3a)を用いてバイオマテリアル表面からの補体活性化をモニターする。
【0120】
背景
血小板(plateletまたはthrombocytes)は、健康な血液に通常存在する小皿状の無核細胞断片である。それらは血管壁の保全に重要な役割を果たし、損傷領域に動員され、活性化されて栓を形成し、出血および血液損失を防ぐ。血小板は特定のバイオマテリアル表面に付着し、活性化され、望ましくない、危険である可能性のある凝血塊を形成することがあることも知られている。
【0121】
可溶性 C3aは補体因子 3 (C3)からそれが細菌または異物表面に結合し、活性化された際に切断される小さいタンパク質である。C3aは多形核(PMN)単球のための化学誘引物質として作用し、肥満細胞からのヒスタミン放出のシグナルを伝達するアナフィラトキシー(anaphylatoxic)特性も有する。
【0122】
材料および方法
実験チャンバ
実験チャンバは簡単にはPMMA 顕微鏡スライドに接着する2つのPMMA環から構成され、2つのウェルを構築する。全血の添加後、試験すべき材料を2つのウェルの上の蓋として配置し、クリップにより適切な位置に保持する。チャンバを次いで37℃の水中で60 分間22 rpmで回転する皿にマウントする。
【0123】
血液
血液を1名の健康なドナーから得、可溶性ヘパリン (Leo Pharma)を含む2x ヘパリン処置バイアルに回収し、終濃度1.0 IU ヘパリン/mlとした。収集した血液を次いですぐに実験チャンバに移した。
【0124】
血小板計数
実験チャンバ中でのインキュベーションの後、血液を EDTA (Fluka)に添加し、終濃度 4mMとした。血小板を次いでCoulter AcT diffTM (Coulter Corporation) 自動細胞計数装置で計数した。
【0125】
C3a 分析
血小板計数の後、血液を4600 gで10 分間+4℃で遠心分離し、上清 (血漿)を保存し、-70℃で測定時まで貯蔵した。
【0126】
血漿を1/300に希釈し、モノクローナル 4SD17.3 (Uppsala university、Sweden)を捕捉抗体として用いるサンドウィッチ ELISAで分析した。結合したC3aをビオチン化 ウサギ 抗ヒト C3a (Dako)、次いで HRP-結合ストレプトアビジン (Amersham Biosciences)で検出した。精製C3aの溶液に対して較正したザイモサン-活性化血清を標準として用いた。
【0127】
結果
実施例 2に示す方法にしたがってガラス上に製造された被覆された対象の銀表面濃度は約 1.3 μg/cm2であった。
【0128】
【表4】

【0129】
血液血小板数およびC3a 吸着。ガラス上の被覆は銀表面濃度約 1.3 μg/cm2であった。
【表5】

【0130】
実施例 14
炎症応答の測定
材料
NHSp-2 (Immunologisk institutt、Rikshospitalet、Oslo 、Norwayからの正常ヒト血清プール)、健康血液ドナーからの血清。
【0131】
PDMS (ポリジメチルシロキサン) でできた30 cmチューブを実施例 2に記載の手順にしたがって被覆した。30cm PVC チューブを対照として用いた。
【0132】
設定: 7タイプのチューブ、非処理およびPVC、三連(全部で21)。
【0133】
方法:
1)血清を氷上に置いた。
2)ゼロサンプルを除いた。750μlを15μl EDTA 0,5Mを有するチューブに直接添加した。サンプルを氷上で維持した。
3)750 μl 血清を各チューブに添加した。
4)チューブをローター( 5 rpm)に37℃で取り付け、30 分間インキュベートした。
5)血清をピペットで取り出し、15μl EDTA 0.5Mを有するチューブに添加した。サンプルを氷上に置き、TCC (可溶性末端 C5b-9 補体複合体)について分析した。
【0134】
TCCを捕獲抗体としての活性化されているがネイティブではないC9に曝されたネオエピトープに高度に特異的なモノクローナル aE11 抗体に基づく二重抗体酵素イムノアッセイを用いて分析した。方法は元々以下の文献に記載され:
Mollnes TE、Lea T、Froeland SS、Harboe M. “Quantification of the terminal complement complex in human plasma by an enzyme-linked immunosorbent assay based on monoclonal antibodies against a neoantigen of the complex”、Scand J Immunol 22:197-202. 1985
その後以下の文献で改変されたものである:
Mollnens TE, Redl H、Hoegaesen K、Bengtsson A、Garred P、Speilberg L、Lea T、Oppermann M、Goetze O、Schlag G.“Complement activation in septic baboons detected by neoepitope specific assays for C3b/iC3b/C3c、C5a and the terminal C5b-9 complement complex (TCC)”、Clin Exp Immunol 91:295-300. 1993。
【0135】
結果
銀表面濃度の量は1μg/cm2であった。
【表6】

【0136】
銀表面の量は1μg/cm2であった。
【表7】

【0137】
実施例 15
インビトロおよびインビボでの細胞接着
初代正常ヒト皮膚線維芽細胞 (NHDF、Karocell Tissue Engineering AB、Stockholm、Sweden)、継代7を用いた。細胞をDMEM+GlutaMAX(商標)-1 (Gibco、UK)、10% 胎児ウシ血清 (FBS、Gibco、UK) および 1% 抗生物質-抗真菌剤 (Gibco、UK)を含む完全線維芽細胞培地中で組織培養フラスコで37℃、5% CO2および湿度95%にて培養した。二酸化ケイ素の10種類の基体を実施例 2に記載の方法にしたがって被覆し、無菌的にパンチで直径15 mmのディスクとし、24-ウェルプレートに適合させた。ディスクを無菌 PBS (リン酸緩衝食塩水、Gibco、UK)に浸漬し、1 mlの細胞懸濁液 (17000 細胞/ml)を二酸化ケイ素ディスクおよび空のPS-ウェル(ポリスチレン、Falcon、BD Biosciences、Belgium)に播き、24時間および72時間三連でインキュベートした。すべてのサンプルからの培地を回収し、400gで、5 分間遠心分離し、-70℃で保存した後、細胞放出因子のELISA (酵素結合免疫吸着測定法) 分析を行った。各材料につき2つのディスクを完全培地とともに細胞無しでインキュベートし、バックグラウンド値を評価した。
【0138】
細胞量
表面および周囲の培地に付随している細胞量をNucleoCounter(登録商標)-システム (ChemoMetec A/S、Denmark)によって測定した。簡単に説明すると、細胞を溶解緩衝液および安定化緩衝液(システムに備えられている)で処理した。溶解したサンプルを細胞核を染色する蛍光ヨウ化プロピジウムであらかじめ被覆したNucleoCassette(商標)にロードし、NucleoCounter(登録商標)で定量した。
【0139】
細胞生存度
細胞生存度を、細胞膜損傷のマーカーである培地中の乳酸デヒドロゲナーゼ含量(LDH)を、ピルビン酸から乳酸のLDH媒介変換の分光光度的評価を用いて (C-Laboratory、Sahlgrenska University Hospital、Goeteborg、Sweden)測定することにより判定した。
【0140】
サイトカイン測定
TGF-β1 (トランスフォーミング増殖因子ベータ1) およびI型コラーゲンの量をELISAキット (Human TGF-β1、Quantikine(登録商標)、R&D Systems、UK; Human collagen type1 ELISA KIT、Cosmo Bio Co.、Japan)により 製造業者の指示にしたがってSpectraVmax ELISA リーダー (Molecular Devices、UK)にて検出した。
【0141】
インビボ
6種類の二酸化ケイ素の基体(直径10 mm)を実施例 2に記載の方法を用いて被覆し、滅菌した。標準的 ペレット餌および水を与えた雌性スプラーグドーリーラット(200-250 g)を、2,7% イソフルランおよび空気の混合物(Univentor 400 Anaesthesia Unit、Univentor、Malta)で麻酔し、0.01 mg Temgesicを鎮痛剤として皮下に手術前に与えた。ラットを剪毛し、 70% エタノール中の5 mg/ml クロロヘキシジンで清浄にし、各ラットにそれぞれのインプラントタイプの1つを背中の皮下に(s.c.)与えた。創傷は2 縫合糸 (Ethilon 5-0 FS-3、Ethicon(登録商標)、Johnson & Johnson、Belgium)で閉じた。植え込み期間は初期炎症プロセスの評価のためには1および3日間であり、線維性カプセル形成および後期炎症応答の調査のためには21 日間であった (n=8 ラット/期間)。外植を行った際に、動物を2,7% イソフルランと空気の混合物による短い麻酔の後にペントバルビタール (60 gL-1)の過剰用量により屠殺した。インプラントおよび周囲の滲出液を回収した。滲出細胞をHBSS (ハンクス平衡塩溶液、Gibco、UK) の繰り返しの吸引によりポケットから得、氷上に維持した。滲出液を400gで、5 分間遠心分離し、上清を-70℃で維持した。すべての植え込み研究はLocal Ethical Committee for Laboratory Animalsにより認可されたものであった。
【0142】
細胞量および細胞タイプ
滲出液中の細胞の濃度およびタイプ(細胞/ml)をTurk染色によりBurker チャンバ中で光学顕微鏡により計数し、遠心分離した滲出液中およびインプラント上の細胞量をNucleoCounter(登録商標)-システムにより判定した。
【0143】
細胞生存度
細胞生存度は光学顕微鏡を用いたトリパンブルー排除およびLDH 評価 (C-Laboratory、Sahlgrenska University Hospital、Goteborg、Sweden)により判定した。
【0144】
サイトカイン判定
TGF-β1 (トランスフォーミング増殖因子ベータ1)およびMCP-1 (単球化学誘引物質 タンパク質-1) の量をELISAキット(Rat TGF-β1、Quantikine(登録商標)、R&D Systems、UK; Amersham Monocyte Chemoattractant Protein-1 [(r)MCP-1]、Rat、Biotrak ELISA System、GE Healthcare、UK)により製造業者の指示に従って、SpectraVmax ELISA リーダー (Molecular Devices、UK)にて検出した。
【0145】
インビトロ研究からの結果
試験対象上の金属量は以下の通りであった; Ag: 0.8-0.9 μg/cm2 およびPd: 0.1 μg/cm2
【表8】

【0146】
第二の実験セットにおいて、試験対象上の金属量は以下の通りであった; Ag: 0.8-0.9μg/cm2 および Au: 0.05-0.09μg/cm2
【表9】

【0147】
インビボ研究からの結果
Pdの量をディスク上でインビボで変動させた。Agの量はすべてのサンプルについて約 1 μg/cm2 であった(PMN = 多形核)。
【表10】

【0148】
【表11】

【表12】

【0149】
Auの量をディスク上でインビボで変動させた。Agの量はすべてのサンプルについて約 1 μg/cm2 であった (PMN = 多形核)。
【表13】

【表14】

【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与表面を有する生体適合性基体であって、該表面上に金属粒子が存在することを特徴とし、該金属粒子が、パラジウム、および、金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体。
【請求項2】
該電子供与表面が約 0.05 〜約 12 μg/cm2の量にて適用された電子供与材料の層である請求項 1の基体。
【請求項3】
該電子供与層が、パラジウム、金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および白金からなる群における金属のいずれよりも貴ではない金属である請求項 2の基体。
【請求項4】
該電子供与層が、銀、銅および亜鉛からなる群から選択される金属である請求項 3の基体。
【請求項5】
該基体がポリマー性基体である請求項1-4のいずれかの基体。
【請求項6】
該ポリマー性基体が、ラテックス、ビニル、ビニル基を含むポリマー、ポリウレタンウレア、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、スチレン、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルのコポリメリゼート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、およびポリイミド、またはそれらの混合物からなる群から選択される請求項 5の基体。
【請求項7】
該ポリマー性基体が、天然ポリマー、分解可能ポリマー、食用ポリマー、生分解性ポリマー、環境に優しいポリマー、および医療グレードポリマーからなる群から選択される請求項 5の基体。
【請求項8】
該基体が金属である請求項1-4のいずれかの基体。
【請求項9】
該金属が、ステンレス綱、医療グレード鋼、チタン、医療グレードチタン、コバルト、およびクロムまたはそれらの混合物からなる群から選択される請求項 8の基体。
【請求項10】
該基体が、ガラス、無機質、ゼオライト、石およびセラミクスからなる群から選択される請求項1-4のいずれかの基体。
【請求項11】
該基体が、紙、木、織り繊維、繊維、セルロース繊維、革、炭素、炭素繊維、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリパラフェニレンテレフタルアミドからなる群から選択される請求項1-4のいずれかの基体。
【請求項12】
該基体が粒子の形状を有する請求項1-11のいずれかの基体。
【請求項13】
金属粒子の量が約 0.01 〜約 4 μg/cm2である請求項1-12のいずれかの基体。
【請求項14】
該金属粒子におけるパラジウムの非パラジウム金属に対する比が約 0.01:99.99 〜約 99.99:0.01である請求項1-13のいずれかの基体。
【請求項15】
該金属粒子におけるパラジウムの非パラジウム金属に対する比が約 0.5:99.5 〜約 99.8:0.2である請求項1-13のいずれかの基体。
【請求項16】
該金属粒子におけるパラジウムの非パラジウム金属に対する比が約 2:98 〜約 95:5である請求項1-13のいずれかの基体。
【請求項17】
該金属粒子がパラジウムに加えて金を含む請求項1-16のいずれかの基体。
【請求項18】
該金属粒子の平均サイズが約 10-10000 オングストロームである請求項1-17のいずれかの基体。
【請求項19】
該金属粒子の平均サイズが約 100-600 オングストロームである請求項1-18のいずれかの基体。
【請求項20】
請求項1-19のいずれかの基体を含む対象。
【請求項21】
該対象が医療機器である請求項 20の対象。
【請求項22】
該対象が使い捨て商品である請求項 20の対象。
【請求項23】
該対象が歯科用品である請求項 20の対象。
【請求項24】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象に対するタンパク質吸着を改変するための、使用。
【請求項25】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象に対する組織内殖を改変するための、使用。
【請求項26】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象によって引き起こされる補体活性化を改変するための、使用。
【請求項27】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象によって引き起こされる炎症応答を改変するための、使用。
【請求項28】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象によって引き起こされる血液凝固を改変するための、使用。
【請求項29】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象の摩擦係数を改変するための、使用。
【請求項30】
表面上に金属粒子を有する電子供与表面を有する基体であって、該金属粒子がパラジウムを含み、該金属粒子の量が約 0.001 〜約 8 μg/cm2である基体、または請求項1-19のいずれかの基体の、該基体を含む対象の表面の堅さを改変するための、使用。
【請求項31】
以下の工程を含む請求項1-19のいずれかの基体の製造方法:
a.該基体上への懸濁液からの金属粒子の沈着、
b.該基体のすすぎ、および、
c.該基体の乾燥。
【請求項32】
金属粒子の沈着の前に該基体上に電子供与材料を沈着させる工程をさらに含む請求項 31の方法。

【公表番号】特表2009−536043(P2009−536043A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504165(P2009−504165)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050225
【国際公開番号】WO2007/117213
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508301032)バクティガード・アクチボラゲット (3)
【氏名又は名称原語表記】BACTIGUARD AB
【Fターム(参考)】