説明

表面保護フィルム

【課題】広幅の巻回体とした場合でも、巻回体を無理なく巻戻すことができるとともに、巻回体保管中での離型層シリコーンの粘着剤層への移行を極力抑えた表面保護フィルムを提供すること。
【解決手段】共押出により得られた表面保護フィルムであって、ホモポリプロピレンを主成分とし、超高分子量ポリシロキサンが0.5〜5重量%含まれてなる基材層と、ポリオレフィンからなる中間層と、粘着剤層とがこの順に積層されて構成される表面保護フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体表面への塵埃の付着、被着体表面の傷つきを防止するために用いられる表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、光学デバイス、金属板、塗装鋼板、樹脂板、ガラス板等の様々な物品や部材を、運搬、加工又は養生する際に、これらの表面への汚れの付着や表面の傷つきを防止するために表面保護フィルムが用いられている。
【0003】
この種の表面保護フィルムは、基材に粘着剤層が積層されて構成される。表面保護フィルムは、例えば、合成樹脂等からなる基材に、エラストマー等を含む粘着剤溶液を塗布したり、基材と粘着剤層とを共押出するなどして製造されている。
近年、液晶ディスプレイ用の光学部材に表面保護フィルムが使用されている。光学部材にはプリズムシートや拡散フィルムなど表面が凹凸形状になっているものがあり、これらの面に貼り付ける場合、接触面積が稼げないために粘着力の強い粘着剤層を形成する必要がある。
一般的に表面保護フィルムは、例えば、長尺状のフィルムをロール状に巻回した巻回体として工業的に製造されている。このような巻回体とした表面保護フィルムでは、巻回体を展開する際に、外層の表面保護フィルムを内層の表面保護フィルムから容易に剥離することができる、すなわち巻回体の巻戻しを容易にできることが強く求められている。そのため、強粘着力を有する粘着剤層は、巻き内側の表面保護フィルムの背面に対しても強く粘着しないように、通常よりも高い離型性を発揮する離型処理が必要になる。
【0004】
離型処理された表面保護フィルムとして、ポリオレフィン系樹脂からなる基材と、粘着剤層とが積層され、基材の背面(基材の粘着剤層積層側に対する反対面、以下同じ)が固体によって摩擦処理されている表面保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、表面保護フィルムの離型層を形成する方法として、ポリオルガノシロキサンをグラフト鎖として有するポリエチレンからなる基材と、粘着剤層とが積層されている表面保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、基材と粘着剤層との間に、ポリオレフィン系樹脂からなる中間層が設けられている構成も示されている。ポリオルガノシロキサンをグラフト鎖として有するポリエチレンを用いて基材を構成することによって、経時後に巻回体を良好に巻戻しすることができるとされている。
【0006】
他方、下記の特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂を含有する表層と、熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤層とが共押出法にて積層成膜された後、表層の粘着剤層が積層されている側とは反対側の背面に離型剤からなる離型層が塗工法により形成された表面保護シートが開示されている。
また、特許文献4には、粘着剤層へのシリコーンの移行を防止する手段として、ポリシロキサンを含むポリオレフィン樹脂組成物層にコロナ放電処理を施す積層体の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平2−252777号公報
【特許文献2】特開平2−252782号公報
【特許文献3】特開2003−41216号公報
【特許文献4】特開平5−131598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような基材の背面に対する固体による摩擦処理は、インラインで比較的簡便に行うことができるが、摩擦処理をするのみでは、巻回体の巻戻し性を十分に高めるに至っていないのが現状である。また、基材を構成するポリオレフィン系樹脂の選択によって、摩擦処理による巻戻し性の改善効果にばらつきがある。
【0008】
また、一般に、特許文献2に記載されているポリオルガノシロキサンは離型性が高いため、比較的良好な離型性が得られるが、やはり巻回体の巻き戻し性は十分には改善することができない。さらに、遊離のポリオルガノシロキサンが樹脂中に存在するため、これらが粘着剤層へ移行し、粘着力を低下させ、剥がれの原因となる。
【0009】
さらに、特許文献3に記載されているように、離型剤を塗布して離型層を形成する場合、離型層の厚みを1〜1000nmに薄膜化形成すると、被着体への汚染低減効果が大きいとされている。しかし、離型剤の粘着面への移行は十分に抑制できず、粘着力を低下させることに変わりない。
【0010】
また、特許文献4のようなコロナ放電処理によって、粘着剤層へのシリコーンの移行が抑制できるが、表面処理によって、カルボニル基、カルボキシル基などの極性基が生成され、結局、離型性を低下させることとなる。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、広幅の巻回体とした場合でも、巻回体を無理なく巻戻すことができるとともに、巻回体保管中での離型層シリコーンの粘着剤層への移行を極力抑えた表面保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記の課題及び既存の表面保護シートについて鋭意研究を行った結果、超高分子量ポリジメチルシロキサンをホモポリプロピレン(PP)に添加した層を備えることで、良好な巻き戻し性を付与することができるとともに、巻回体での保管時におけるポリオルガノシロキサンの粘着剤層への移行を最小限に止めることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0013】
本発明の表面保護フィルムは、共押出により得られた表面保護フィルムであって、ホモポリプロピレンを主成分とし、超高分子量ポリシロキサンが0.5〜5重量%含まれてなる基材層と、ポリオレフィンからなる中間層と、粘着剤層とがこの順に積層されて構成されることを特徴とする。
このような表面保護フィルムでは、粘着剤層がスチレン系の熱可塑性エラストマーを主成分とする層であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表面保護フィルムによれば、粘着剤層に対して高い離型性を付与することができる。その結果、本発明の表面保護フィルムを巻回体、特に幅広の巻回体とする場合においても、巻回体を無理なく巻戻すことができる。
また、巻回体の保管中におけるポリオルガノシロキサンの粘着剤層への移行を極力抑えることができ、粘着剤層の粘着力の低下、さらに、被着体への粘着剤層の残渣による汚染を防止することができる表面保護フィルムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の表面保護フィルムは、基材層と、中間層と、粘着剤層とがこの順に積層されて構成される。つまり、基材層の一面に中間層が積層され、中間層の基材層が積層されている側とは反対側に粘着材層が積層されて構成されている。
【0016】
基材層は、ホモポリプロピレンを主成分とするとともに、超高分子量ポリジメチルシロキサンを含有する組成物から形成される。
基材層は、ホモポリプロピレンを主成分として含有する。ここで、主成分とは、基材層を構成する成分の中で最も重量が多い成分を指す。基材層の全重量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは、70重量%以上が挙げられる。ホモポリプロピレンは、一般に、ブロックポリプロピレンコポリマーやランダムポリプロピレンコポリマーに比べて立体規則性が高い。立体規則性の高い材料は、結晶化度及び同一分子間の親和性が高く、他分子との親和性が低いので、粘着剤層に粘着し難い。よって、立体規則性の高いホモポリプロピレンを用いることで、基材層の背面に粘着された表面保護フィルムの剥離性がより一層高められ、巻回体をより一層容易に展開することが可能となる。
【0017】
なお、基材層を構成する樹脂成分としてホモポリプロピレン以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、他のポリオレフィンを含有してもよい。ポリオレフィンとしては特に制限されず、例えば、プロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー;低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー;エチレン−α−オレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他モノマーとのオレフィン系ポリマー等が挙げられる。なお、本発明の課題達成を阻害しない範囲とは、例えば、基材層の全重量に対して、50重量%程度以下、さらに40重量%程度以下が挙げられる。
【0018】
超高分子量ポリジメチルシロキサンは、分子量が100万程度以上のポリジメチルシロキサンであり、常温では、ガム状の固体である。具体的には、動粘度で106mm2/s以上、好ましくは5×106mm2/s以上、さらに好ましくは107mm2/s以上のものである。
【0019】
超高分子量ポリジメチルシロキサンの添加量は0.5〜5重量%程度であることが適している。添加量が少量すぎると離型性が得られず、多すぎると粘着剤層への移行が増大し、粘着力を低下させるなど不具合が生じることがある。
【0020】
基材層には、必要に応じ、添加剤を用いてもよい。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、帯電防止剤等の公知のものが挙げられる。さらに、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、可塑剤、アンチブロッキング剤等の公知のものを、添加剤として適宜配合することができる。
【0021】
基材層の膜厚は、特に制限されないが、コスト、成形性を考慮すると0.1〜50μm程度が適当であり、0.5〜30μm程度又は0.5〜10μm程度、さらに2〜20μmがより好ましい。
【0022】
本発明の表面保護フィルムにおける中間層は、基材層と粘着剤層との間に設けられている。中間層は、基材層と粘着剤層との双方の層と密着性が良好であるものが好ましい。
中間層のポリオレフィンの種類は、特に限定されるものでなく、例えば、ポリプロピレンまたはプロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー;低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー;エチレン−α−オレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他モノマーとのオレフィン系ポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中間層のポリオレフィンは、成形性、密着性の点で、基材層に用いられているポリオレフィンと同種のもの、つまり、ホモポリプロピレンを用いることが好ましい。
中間層の膜厚は、特に制限されないが、コスト、成形性を考慮すると1〜50μm程度が適当であり、さらに2〜20μm程度がより好ましい。
【0023】
粘着剤層を構成する材料としては、特に限定されないが、ゴム系樹脂成分を主成分とする粘着剤組成物が好ましく用いられる。
ゴム系樹脂成分としては、特に限定されるものではなく、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどの粘着剤のベースポリマーとして用いられているものを使用することができる。なかでもスチレン系エラストマーを用いると、表面保護フィルムを共押出により容易に形成することができ、被着体に対して良好な仮着性を有する表面保護フィルムを提供することができる。
【0024】
スチレン系エラストマーは、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン共重合体−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン共重合体−スチレン(SEPS)等のA−B−A型ブロックポリマー;スチレン−ブタジエン(SB)、スチレン−イソプレン(SI)、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン/プロピレン共重合体(SEP)等のA−B型ブロックポリマー;スチレン−ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体;スチレン−エチレン−ブチレン共重合体−オレフィン結晶(SEBC)等のA−B−C型のスチレン−オレフィン結晶系ブロックポリマー;オレフィン結晶−エチレン/ブチレン共重合体−オレフィン結晶(CEBC)等のC−B−C型のオレフィン結晶系ブロックポリマー;エチレン−α−オレフィン、エチレン−プロピレン−α−オレフィン、プロピレン−α−オレフィン等のオレフィン系エラストマー、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。これらのゴム系樹脂成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
特に、ゴム系樹脂成分がオレフィンに由来する不飽和二重結合を有する場合には、この不飽和二重結合は、耐熱性、耐候性を高める観点から、少ないほうが好ましく、必要に応じて水素添加されていることが好ましい。
スチレン系エラストマーにおいて、オレフィン系重合体ブロック(B)である共役ジエン重合体ブロック中、またはスチレンと、オレフィンである共役ジエンとのランダム共重合体ブロック(B’)中の共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が、水素添加により飽和されていることが好ましい。より好ましい水素添加の割合は90%以上、さらに好ましくは95〜100%である。耐熱性及び耐候性を確保するためである。
【0026】
スチレン系エラストマーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、30000〜400000の範囲が好ましく、より好ましくは50000〜200000の範囲である。粘着剤層の凝集力を確保するとともに、表面保護フィルムを剥離する際の被着体への糊残りを防止するためである。また、適当な粘着力を確保し、粘着剤組成物の調製又は表面保護フィルムの製造時に、溶液粘度及び溶融粘度の増大を防止するためである。
【0027】
粘着剤層を構成する材料として粘着付与剤を用いることにより、粘着剤層の粘着力を効果的に高めることができる。この場合には、表面保護フィルムを被着体から剥離する際の糊残りを防止できる使用量で使用することが好ましい。例えば、粘着付与剤の配合割合は、ゴム系樹脂成分100重量部に対し、40重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
【0028】
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などの、一般的に粘着剤に使用されるものを特に制限なく使用することができる。これら粘着付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、剥離性及び耐候性などを高めるために、水添系の粘着付与剤を用いることがより好ましい。また、オレフィン樹脂とのブレンド物として市販されている粘着付与剤を用いてもよい。
【0029】
粘着剤層を構成する材料として、さらに、軟化剤を用いると、粘着剤層の粘着力を効果的に高めることができる。
軟化剤としては、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンやそれらの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、例えば、片末端または両末端にOH基、COOH基を有するものが例示される。具体的には、水添ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンモノオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンモノオールなどが挙げられる。
なかでも、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等のジエン系ポリマーの水添物、オレフィン系軟化剤等が好ましい。粘着剤層の粘着力を適度に高めることができるからである。このような軟化剤としては、例えば、クラレ社製の商品名「クラプレンLIR−200」等が用いられる。これら軟化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
軟化剤の数平均分子量は特に制限されないが、5000〜10万の範囲が好ましく、1万〜5万の範囲がより好ましい。粘着剤層からの被着体への物質移行を抑制して重剥離化等を防止することができるとともに、粘着力の向上を確保することができるからである。
【0031】
ゴム系樹脂成分と軟化剤とを含む粘着剤組成物を用いて粘着剤層を構成する場合、軟化剤の配合量は特に制限されないが、ゴム系樹脂成分と軟化剤との合計100重量部に対し、軟化剤の配合割合は40重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。高温や屋外暴露後に被着体から剥離する際の糊残りを低減することができるからである。
【0032】
なお、粘着剤層を構成する材料として、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて他の添加剤を用いてもよい。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着昂進防止剤などの公知のものが挙げられる。
紫外線吸収剤及び酸化防止剤等は、上記と同様のものが挙げられる。
接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。
【0033】
粘着剤層の厚みは特に制限されないが、0.5〜50μm程度であり、好ましくは1〜30μmであり、さらに好ましくは2〜30μmである。
従って、表面保護フィルムの総膜厚は、10〜200μm程度が適当であり、20〜150μm、さらに30〜100μmがより好ましい。
【0034】
本発明の表面保護フィルムの基材は、インフレーション法、Tダイ法等の公知の方法で共押出することにより積層一体化して製造することができる。
また、本発明の表面保護フィルムは、例えば、長尺状のフィルムをロール状に巻回した巻回体として工業的に製造される。表面保護フィルムが巻回体とされる場合には、基材層の粘着剤層が形成されている側と反対側に、別の部位の粘着剤層が密着することになる。本発明では、このような場合においても、また、表面保護フィルムが、例えば、比較的広幅の巻回体等とされた場合においても、基材層から粘着剤層を容易に剥離することができる。すなわち、巻回体を無理なく巻戻すことができる。
【0035】
以下、本発明の表面保護フィルムの実施例を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
基材層を構成する材料として、融点165℃、密度0.91g/cm3、MFR12g/10分のホモPP100重量部およびペレット状の超高分子量ポリジメチルシロキサン(商品名:GENIOPLAST、ワッカー・ケミー社製)0.5重量部をドライブレンドで供給した。
中間層を構成する材料として、基材層に用いたものと同じホモPP100重量部を用意した。
粘着剤層を構成する材料として、スチレン系エラストマー(SEBS、クレイトンポリマー社製、品番:クレイトンG1657)100重量部に、粘着付与剤としてのアルコンP−125(荒川化学工業社製)5重量部を配合した粘着剤組成物を、2軸押出機で混練し、ペレタイズしたものを用意した。
【0037】
上記各材料をTダイ法により共押出し、基材層(厚さ6μm)/中間層(厚さ28μm)/粘着剤層(厚さ6μm)の3層構成からなる表面保護フィルム(幅1300mm)を巻き取った。
【0038】
(実施例2)
基材層の超高分子量ポリジメチルシロキサン(商品名:GENIOPLAST、ワッカー・ケミー社製)を5重量部にしたこと以外は、実施例1と同様に製膜し、巻き取った。
【0039】
(比較例1)
基材層および中間層をブロックPPコポリマー(プライムポリマー社製、J715M)としたこと以外は実施例1と同様にして製膜し、巻き取った。
【0040】
(比較例2)
基材層に低分子ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、SH200、動粘度100000mm2/s)を用いたこと以外は実施例2と同様にして製膜し、巻き取った。
【0041】
(比較例3)
超高分子量ポリジメチルシロキサンを7重量部としたこと以外は実施例1と同様にして製膜し、巻き取った。
【0042】
(評価)
(1)広幅の巻回体の巻戻し性
1300mmの広幅の各巻回体のフィルム端部を手で把持して引っ張り、1m程巻回体を巻き戻した。巻き戻す際に、表面保護フィルムに部分的な伸長や変形があるか否かを目視で観察した。部分的な伸長や変形がない場合を「○」、部分的な伸長や変形がある場合を「×」と判断した。
【0043】
(2)移行性
巻回体として巻き取る前にサンプリングした表面保護フィルムの粘着力Aに対する巻回体として巻き取った後にサンプリングした表面保護フィルムの粘着力Bの粘着力の比(B/A)を評価した。
平坦なアクリル板に、2kgのゴムローラーを用いて、各表面保護フィルムを粘着剤層側から2m/分の速度で貼り付けた。これを23℃±2℃の室内に30分間放置した。しかる後、JIS Z 0237に準拠し、アクリル板から表面保護フィルムを剥離し、25mm幅における180度剥離強度を引張速度30m/分で測定し、粘着力A、Bとした。粘着力の比(B/A)を百分率で表し、85%以上である場合を「○」、65%以上、85%未満である場合を「△」、65%未満である場合を「×」と判断した。
結果を表1に示す。なお、表中、PDMSはポリジメチルシロキサンを示す。
【0044】

【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共押出により得られた表面保護フィルムであって、
ホモポリプロピレンを主成分とし、超高分子量ポリジメチルシロキサンが0.5〜5重量%含まれてなる基材層と、ポリオレフィンからなる中間層と、粘着剤層とがこの順に積層されて構成されることを特徴とする表面保護フィルム。
【請求項2】
粘着剤層が、スチレン系の熱可塑性エラストマーを主成分とする層である請求項1に記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2008−308559(P2008−308559A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156799(P2007−156799)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】