表面処理システム、表面処理方法、及びシステムにより処理される部品
【課題】部品のフレッティング疲労耐性を改善することができるシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】システム、方法、及び部品が開示される。システム及び方法は、部品を加熱して加熱面を形成するように構成されて配置された誘導加熱器と、加熱面に流体を印加して部品の処理面を形成するように配置されたノズル装置とを含む。処理面は、圧縮残留応力を含み、部品におけるフレッティング疲労を含む疲労に対する耐性を増大させる結果となる。
【解決手段】システム、方法、及び部品が開示される。システム及び方法は、部品を加熱して加熱面を形成するように構成されて配置された誘導加熱器と、加熱面に流体を印加して部品の処理面を形成するように配置されたノズル装置とを含む。処理面は、圧縮残留応力を含み、部品におけるフレッティング疲労を含む疲労に対する耐性を増大させる結果となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部品を製造及び処理するシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、流体を誘導加熱して金属部品に印加するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの圧縮機ブレードダブテールのような金属部品は、疲労及びフレッティング疲労の両方によって不具合が発生する可能性が高い。疲労は、材料の引張強さを下回る周期的荷重が表面亀裂を引き起こして進展させるプロセスとして説明することができる。フレッティング疲労は、例えば、約50〜約200μmの小振幅の滑動運動が亀裂を引き起こし進展させる疲労の特別な形態として説明することができる。滑動運動は、研磨性の酸化摩耗製品の生産を通じて通常の疲労プロセスを悪化させる可能性がある。フレッティング疲労は、翼形部ダブテールなどの部品及び/又はガス又は蒸気タービンロータにおける取付部において生じる可能性がある。通常の疲労亀裂及びフレッティング疲労亀裂の両方は、部品の内部に進展する表面開始の微少亀裂である。部品が高い温度勾配を有し、表面が内部よりも高温である場合には、フレッティング疲労が形成される可能性が高い。部品の表面に近接した圧縮残留応力は、疲労亀裂及びフレッティング疲労亀裂の両方が形成される可能性を低減する。
【0003】
公知のシステムにおいて、レーザ衝撃処理を用いて、部品の表面における圧縮残留応力を増大させることによりフレッティング疲労耐性を改善させることができる。レーザ衝撃処理を用いることには幾つかの欠点がある。例えば、レーザ衝撃処理は、高強度衝撃波が発生することに起因して、ブレードダブテールのような部品に損傷を与える可能性がある。衝撃波は、ベース材料の表面で反射し、引張応力を発生させる。引張応力は、既存の欠陥及び亀裂を進展させ、ベース材料の不具合につながる可能性がある。加えて、レーザ衝撃処理により望ましくないコストアップとなる。
【0004】
別の公知のシステムにおいて、コーティングは、フレッティング疲労耐性を改善させるために圧縮機ブレードダブテールに施工される。コーティングの施工には、幾つかの欠点がある。例えば、Alumaziteコーティングの施工は、コーティングとベース材料(例えば、約15.5%のクロム、約6.3%のニッケル、約0.8%のモリブデン、約0.03%の炭素、及び残部の鉄を含む合金のような、マルテンサイトステンレス鋼)の間の接合部にて応力の引張特性に起因して早期に不具合が生じる場合がある。これは、コーティングが亀裂から剥離したときにベース材料への亀裂の進展が生じる可能性がある。これにより、ベース材料の耐腐食性が低下し、ベース材料の隙間腐食が生じる可能性がある。加えて、コーティングにより望ましくないコストアップとなる可能性がある。
【0005】
別の公知のシステムにおいて、部品を処理するのに水ジェット衝撃が用いられる。水ジェット衝撃は、デブリを除去し、部品の表面を清浄にする。水ジェット衝撃には、幾つかの欠点がある。例えば、水ジェット衝撃は、フレッティング疲労耐性を改善することはなく、部品の表面付近の圧縮残留応力を増大させることもない。
【0006】
上記の欠点を生じることのない、部品のフレッティング疲労耐性を改善することができるシステム及び方法が当該技術分野で望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6135857号明細書
【発明の概要】
【0008】
一実施形態によれば、表面処理システムは、誘導処理モード中に部品を加熱して加熱表面を形成するように構成及び配置された誘導加熱器と、流体印加モード中に、流体を部品の加熱面に該流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で印加して処理面を形成するように配置されたノズル装置とを含む。処理面は圧縮残留応力を含む。
【0009】
別の実施形態によれば、誘導加熱器により部品を誘導加熱してこれにより加熱面を形成するステップと、流体のキャビテーション圧力を上回る圧力でノズル装置により加熱面に流体を印加し、これにより処理面を形成するステップと、を含む。処理面は圧縮残留応力を含む。
【0010】
別の実施形態によれば、表面処理された部品は、圧縮残留応力を含む処理面を含み、該処理面は、誘導加熱して加熱面を形成し、加熱面に流体を印加することにより形成される。処理面は、部品の内部又は未処理の面よりも大きなフレッティング疲労に対する耐性を含む。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図2】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図3】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図4】図1の例示的な表面処理システムにおいて方向4−4で見た拡大断面斜視図。
【図5】図2の例示的な表面処理システムにおいて方向5−5で見た拡大断面斜視図。
【図6】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図7】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図8】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図9】図8の例示的な表面処理部品の線9−9に沿った断面図。
【図10】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【図11】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【図12】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
可能な限り、同じ要素を示すために図面全体を通じて同じ参照符号が使用される。金属部品のフレッティング疲労耐性を改善することができる表面処理システム及び表面処理プロセスが提供される。本システム及び方法は、圧縮残留応力を増大させ、これによりフレッティング疲労耐性を改善する。本開示の実施形態は、誘導加熱及び水ジェットピーニングの自動化を可能にし、誘導加熱器の有効寿命を向上させ、部品の表面に近接して圧縮残留応力を発生させ、部品の表面下の亀裂又は亀裂の進展を低減又は排除し、及びこれらの組合せを行う。
【0014】
本開示によれば、「疲労」及び「フレッティング疲労」の両方の可能性が低減される。従って、以下で使用される用語「疲労」及び「フレッティング疲労」は、本開示の関連において同義的に使用される。
【0015】
図1〜2を参照すると、システム100は、誘導加熱器102及びノズル装置104を含む。システム100は、金属部品106を誘導加熱するように構成される。金属部品106は、あらゆる好適な金属又は金属組成物を含む。例えば、種々の実施形態では、金属部品106は、限定ではないが、オーステナイト鋼、鋼鉄/ニッケル合金、マルテンサイト/ベイナイト・ステンレス鋼、その他を含む、あらゆるタイプの合金を含む。一実施形態では、部品106は、約15%未満のクロム、約5%未満のニッケル、約2%未満のマンガン、及び約3%未満のモリブデンを有するマルテンサイト/ベイナイト・ステンレス鋼の合金を含む。一実施形態では、部品106は、誘導処理モード及び/又は流体印加モード中に部品106の移動を拘束するためにハードウェア(図示せず)により固定される。
【0016】
誘導加熱モード中、部品106は、誘導加熱器102により加熱されて加熱表面(図9に関連して以下で説明する)を形成する。図1を参照すると、一実施形態では、部品106は、誘導加熱器102のチャンバ108内で加熱される。一実施形態では、誘導加熱器102は、位置決めハードウェア(図示せず)及び/又は位置決め機器(図示せず)により位置決めすることができる。一実施形態では、チャンバ108は、ほぼ円筒形であり、同軸関係又は単体構造関係で位置付けられる誘導加熱器102及びノズル装置104によって形成される。この実施形態では、部品106又は部品106の一部は、チャンバ108内に位置付け可能であり、及び/又はシステム100は、部品106又は部品106の一部の周辺又はこれに近接して位置付け可能である。
【0017】
別の実施形態では、図2を参照すると、部品106は、誘導加熱器102に近接させる(例えば、誘導加熱器102に隣接して位置付けている、或いは、誘導加熱器102に近接した外部円周方向領域103内にある)ことによって加熱される。この実施形態では、部品106の内部表面107は、誘導加熱器102により加熱される。一実施形態では、加熱された表面は次に冷却され、或いは冷却が可能になる。
【0018】
図1〜2を参照すると、ノズル装置104は、流体印加モード中に部品106又は部品106の一部に流体を加えるように構成される。誘導加熱器102と同様に、一実施形態では、ノズル装置104は、チャンバ108内で部品106又は部品106の一部に流体を加えることができる。一実施形態では、ノズル装置104は、位置決めハードウェア(図示せず)及び/又は位置決め機器(図示せず)により位置決めすることができる。一実施形態では、ノズル装置104は、図2に示すように、ノズル装置104に近接した(例えば、ノズル装置104に隣接して位置付けている、或いは、ノズル装置104に近接した外部円周方向領域103内にある)部品106又は部品106の一部に流体を加えることができる。
【0019】
一実施形態では、ノズル装置104は、1以上のノズル105(水ジェットピーニング用の超高圧水ジェットノズル又はノズル装置104内で動作可能なあらゆる他のノズルを含む好適なノズル)を含む。ノズル装置104は、流体を部品106に印加する。一実施形態では、ノズルパラメータは、あらゆる好適なコンピュータと連動して動作可能な制御プログラム(図示せず)を使用することにより調整可能であり協働される。一実施形態では、ノズル105の1以上は、所定の圧力又は所定の圧力範囲(例えば、約1360bar超、約2000〜約3500bar、約2000〜約3700bar、約3000bar、或いは約3500bar)で動作するように構成される。一実施形態では、ノズル105の1以上は、所定速度で、或いは所定の速度範囲内(例えば、250m/分、500m/分、約560m/分、約1120m/分、約250〜約500m/分、又は約560〜約1120m/分)で流体を印加するように構成される。
【0020】
一実施形態では、ノズル105の1以上は、部品106から所定距離109又は所定の距離範囲内(例えば、約0.25mm、約0.5mm、約2mm、約0.5〜約2mm、約0.25〜約0.5mm)に、及び/又は他のノズル105から所定距離111又は所定の距離範囲内(例えば、約0.6cm、約7.5cm、約15cm、約0.6〜約15cm、約0.6〜約7.5cm)に位置決めされる。図4〜5を参照すると、一実施形態では、ノズル105は、所定の角度115又は所定の角度範囲内(例えば、約75度、約90度、又は約75〜90度)に向けられる。
【0021】
図1〜2は、実質的に円筒形の幾何形状を示しているが、システム100はあらゆる好適な幾何形状とすることができる。例えば、図3に示すように、一実施形態では、システム100は、パドルと同様の実質的に平面形状である。一実施形態では、システム100は、実質的に立方体、実質的に直線状、金属部品106に対応する形状(例えば、圧縮機ブレード、圧縮機ダブテール、又はロータの幾何形状に対応する)、或いはこれらの組合せである。
【0022】
誘導加熱器102は、1以上の誘導コイル110を含む。図1と図4を参照すると、一実施形態では、誘導コイル110は、システム100内で実質的に螺旋状配列の向きにされる。一実施形態では、誘導コイル110は、外側壁302(実質的に外側シリンダを形成する)と内側壁304(実質的に内側シリンダを形成する)の内部に収容される。ノズル装置104は、外側壁302(図2及び4を参照)、内側壁304(図1及び3を参照)、又は両方の上もしくは内部に位置付けられる。図4を参照すると、一実施形態では、コイル110は、流体を移送して誘導加熱器102から流体に熱を伝達するための流体通路112を含み、これにより誘導加熱器102の耐用期間が延びることになる。誘導加熱モード中に、流体は、入口(図示せず)を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口(図示せず)を通って流体通路112から流出する。一実施形態では、誘導加熱モード中、流体は収集され、冷却されて、コイル110を通って再循環される。流体印加モード中、バルブ(図示せず)は、印加されることになるノズル装置104を通って流体の一部又は全てを部品106に配向する。一実施形態では、流体印加モード中、流体は、収集され、精製されて、再循環される。
【0023】
一実施形態では、流体は、流体印加モード中にスーパーキャビテーション条件下で印加される(例えば、流体は、流体の沸点付近の温度又は流体のキャビテーション圧力に対応する温度にある)。スーパーキャビテーションは、流体の内部にガスの泡を発生させるキャビテーション作用を使用して、流体中に懸濁している物体が気泡により完全に覆われることにより該物体を極めて高速で移動させることができるようにするものである。スーパーキャビテーションにより、物体に作用する抗力が低減され(例えば、約1000分の1に)、物体を所定の速度範囲で部品106に印加することが可能になる。一実施形態では、流体中に懸濁された物体は研磨材である。好適な流体は水である。好適な研磨材は、例えば、実質的に球形の幾何形状及び/又は所定の粒径又は粒径範囲(例えば、約80メッシュ、約400メッシュ、又は約80〜約400メッシュ)を有する炭化ケイ素又は氷片である。
【0024】
一実施形態では、図6に示すように、システム100は、ノズル装置104につながる流体通路112を含み、流体通路112及びノズル装置104はコイル110に近接しており、流体通路112及びノズル装置104はコイル110から分離されている。この実施形態では、コイル110は流体により冷却され、システム100は、ノズル装置104及びコイル110が部品106又は部品106の一部に近接しているように位置付けることができる。この実施形態では、誘導加熱モード中に、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口604を通って流体通路112から流出する。流体印加モード中、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、ノズル装置104を通って部品106に印加される。誘導加熱モードと流体印加モードの間の調整は、限定ではないが、バルブなどの流れ制御機構を含む、あらゆる好適な機構により達成される。
【0025】
別の実施形態では、図7に示すように、システムは、ノズル装置104に通じた流体通路112の周りに巻かれるコイル110を含む。この実施形態では、コイル110は、流体通路112により冷却され、システム100は、ノズル装置104及びコイル110が部品106又は部品106の一部に近接しているように位置付けることができる。この実施形態では、誘導加熱モード中に、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口604を通って流体通路112から流出する。流体印加モード中、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、ノズル装置104を通って部品106に印加される。誘導加熱モードと流体印加モードの間の調整は、限定ではないが、流体の印加を阻止するようにノズル装置110を調整することを含む、あらゆる好適な機構により達成される。
【0026】
図8〜9を参照すると、部品106はタービンブレードである。タービンブレードの表面116は、上述の誘導加熱器102により加熱され、加熱面を形成する。所定深さ114により定められる部品106のサブ層902は、移行ゾーンとして作動し、誘導加熱器102により表面116よりも低い程度に加熱される。部品106の内部120は、さらに低い程度に加熱され、又は、誘導加熱により実質的に影響を受けない。同様に、未処理部分904は、さらに低い程度に加熱され、又は、誘導加熱により実質的に影響を受けない。例示的なプロセスにおいて、部品106は、(例えば、部品106の表面116上で)誘導加熱器102により加熱される。誘導加熱は、(例えば、部品106の表面116上で)圧縮残留応力を形成する。一実施形態では、形成される圧縮残留応力(例えば、所定深さ114まで延びる)は、AC電流の周波数、コイル表面積、コイル110と部品106との間の距離、他の好適なパラメータ、又はこれらの組合せを増減することにより調整される。
【0027】
AC電流は、所定周波数及び所定電流密度でコイル110を流れる。一実施形態では、部品106の別の部分(例えば、部品106の表面116)と比較して(例えば、所定深さ114の)加熱を減少させるために、周波数が減少され及び/又は電流密度が増大される。一実施形態では、AC電流は、第1の所定周波数(例えば、約100kHz)から第2の所定周波数(例えば、約1MHz)まで調整可能であり、及び/又は電流密度は、第1の所定電流密度(例えば、約15×106amp/m2)から第2の電流密度(例えば、約5×106amp/m2)まで調整可能である。
【0028】
図10及び11を参照すると、周波数が増大(例えば、図11に示す100kHzから図10に示す1000kHzまで)すると、表面116の温度が上昇する。これにより所定深さ114における加熱が減少し、温度上昇は、金属部品106の表面116に局所化されると同時に、内部120の加熱も減少又は排除される。図10及び12を参照すると、電流密度の増大(例えば、図12に示す5×106amp/m2から、図10に示す15×106amp/m2まで)により、表面116の温度が実質的に均一に上昇する。これらの調整及び/又は以下で説明される他の調整の関係は、部品106の表面116、所定深さ114、内部120、他の好適な部分及びこれらの組合せにおける相対温度ひいては圧縮残留応力の制御に使用される。
【0029】
再度、図1〜2を参照すると、一実施形態では、金属部品106と誘導加熱器102(又はコイル110)との間の距離113は調整可能である。例えば、一実施形態では、誘導加熱器102(又はコイル110)との間の距離113が増大すると、これにより表面116(図9を参照)、所定深さ(図9を参照)、内部120(図9を参照)及びこれらの組合せ間に大きな温度勾配が形成され、これにより圧縮残留応力が増大する。一実施形態では、コイル110は、第1の所定断面積(例えば、約15cm2)を有する第1の位置から第2の所定断面積(例えば、約225cm2)を有する第2の位置まで位置決め可能である。
【0030】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、新規の教示事項並びに添付の請求項に記載の主題の利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値(例えば、温度、圧力、その他)、取付配置、材料の使用、配向、その他の変形形態)。あらゆるプロセス又は方法ステップの順序又は配列は、代替の実施形態に応じて変更され、又は再配列することができる。従って、本発明の真の精神の範囲内にあるこのような変更形態及び変更全ては、添付の請求項によって保護されるものとする点を理解されたい。さらに、これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする(すなわち、本発明を実施するのに現在企図される最良の形態に関連しないもの、又は請求項に記載された本発明を実現するのに関連しないもの)。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。このような開発の取り組みは、複雑で時間を要するものであるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、実験を伴わずに、設計、製作、及び製造の日常的な業務である。
【符号の説明】
【0031】
100 システム
102 誘導加熱器
103 外部円周方向領域
104 ノズル装置
105 ノズル
106 金属部品
107 内部表面
108 チャンバ
109 所定距離
110 誘導コイル
111 所定距離
113 距離(金属部品106と誘導加熱器102(又はコイル110)との間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部品を製造及び処理するシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、流体を誘導加熱して金属部品に印加するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの圧縮機ブレードダブテールのような金属部品は、疲労及びフレッティング疲労の両方によって不具合が発生する可能性が高い。疲労は、材料の引張強さを下回る周期的荷重が表面亀裂を引き起こして進展させるプロセスとして説明することができる。フレッティング疲労は、例えば、約50〜約200μmの小振幅の滑動運動が亀裂を引き起こし進展させる疲労の特別な形態として説明することができる。滑動運動は、研磨性の酸化摩耗製品の生産を通じて通常の疲労プロセスを悪化させる可能性がある。フレッティング疲労は、翼形部ダブテールなどの部品及び/又はガス又は蒸気タービンロータにおける取付部において生じる可能性がある。通常の疲労亀裂及びフレッティング疲労亀裂の両方は、部品の内部に進展する表面開始の微少亀裂である。部品が高い温度勾配を有し、表面が内部よりも高温である場合には、フレッティング疲労が形成される可能性が高い。部品の表面に近接した圧縮残留応力は、疲労亀裂及びフレッティング疲労亀裂の両方が形成される可能性を低減する。
【0003】
公知のシステムにおいて、レーザ衝撃処理を用いて、部品の表面における圧縮残留応力を増大させることによりフレッティング疲労耐性を改善させることができる。レーザ衝撃処理を用いることには幾つかの欠点がある。例えば、レーザ衝撃処理は、高強度衝撃波が発生することに起因して、ブレードダブテールのような部品に損傷を与える可能性がある。衝撃波は、ベース材料の表面で反射し、引張応力を発生させる。引張応力は、既存の欠陥及び亀裂を進展させ、ベース材料の不具合につながる可能性がある。加えて、レーザ衝撃処理により望ましくないコストアップとなる。
【0004】
別の公知のシステムにおいて、コーティングは、フレッティング疲労耐性を改善させるために圧縮機ブレードダブテールに施工される。コーティングの施工には、幾つかの欠点がある。例えば、Alumaziteコーティングの施工は、コーティングとベース材料(例えば、約15.5%のクロム、約6.3%のニッケル、約0.8%のモリブデン、約0.03%の炭素、及び残部の鉄を含む合金のような、マルテンサイトステンレス鋼)の間の接合部にて応力の引張特性に起因して早期に不具合が生じる場合がある。これは、コーティングが亀裂から剥離したときにベース材料への亀裂の進展が生じる可能性がある。これにより、ベース材料の耐腐食性が低下し、ベース材料の隙間腐食が生じる可能性がある。加えて、コーティングにより望ましくないコストアップとなる可能性がある。
【0005】
別の公知のシステムにおいて、部品を処理するのに水ジェット衝撃が用いられる。水ジェット衝撃は、デブリを除去し、部品の表面を清浄にする。水ジェット衝撃には、幾つかの欠点がある。例えば、水ジェット衝撃は、フレッティング疲労耐性を改善することはなく、部品の表面付近の圧縮残留応力を増大させることもない。
【0006】
上記の欠点を生じることのない、部品のフレッティング疲労耐性を改善することができるシステム及び方法が当該技術分野で望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6135857号明細書
【発明の概要】
【0008】
一実施形態によれば、表面処理システムは、誘導処理モード中に部品を加熱して加熱表面を形成するように構成及び配置された誘導加熱器と、流体印加モード中に、流体を部品の加熱面に該流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で印加して処理面を形成するように配置されたノズル装置とを含む。処理面は圧縮残留応力を含む。
【0009】
別の実施形態によれば、誘導加熱器により部品を誘導加熱してこれにより加熱面を形成するステップと、流体のキャビテーション圧力を上回る圧力でノズル装置により加熱面に流体を印加し、これにより処理面を形成するステップと、を含む。処理面は圧縮残留応力を含む。
【0010】
別の実施形態によれば、表面処理された部品は、圧縮残留応力を含む処理面を含み、該処理面は、誘導加熱して加熱面を形成し、加熱面に流体を印加することにより形成される。処理面は、部品の内部又は未処理の面よりも大きなフレッティング疲労に対する耐性を含む。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図2】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図3】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図4】図1の例示的な表面処理システムにおいて方向4−4で見た拡大断面斜視図。
【図5】図2の例示的な表面処理システムにおいて方向5−5で見た拡大断面斜視図。
【図6】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図7】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図8】本開示による例示的な表面処理システムの一実施形態の斜視図。
【図9】図8の例示的な表面処理部品の線9−9に沿った断面図。
【図10】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【図11】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【図12】本開示による例示的な表面処理方法を比較して示す経時的な温度のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
可能な限り、同じ要素を示すために図面全体を通じて同じ参照符号が使用される。金属部品のフレッティング疲労耐性を改善することができる表面処理システム及び表面処理プロセスが提供される。本システム及び方法は、圧縮残留応力を増大させ、これによりフレッティング疲労耐性を改善する。本開示の実施形態は、誘導加熱及び水ジェットピーニングの自動化を可能にし、誘導加熱器の有効寿命を向上させ、部品の表面に近接して圧縮残留応力を発生させ、部品の表面下の亀裂又は亀裂の進展を低減又は排除し、及びこれらの組合せを行う。
【0014】
本開示によれば、「疲労」及び「フレッティング疲労」の両方の可能性が低減される。従って、以下で使用される用語「疲労」及び「フレッティング疲労」は、本開示の関連において同義的に使用される。
【0015】
図1〜2を参照すると、システム100は、誘導加熱器102及びノズル装置104を含む。システム100は、金属部品106を誘導加熱するように構成される。金属部品106は、あらゆる好適な金属又は金属組成物を含む。例えば、種々の実施形態では、金属部品106は、限定ではないが、オーステナイト鋼、鋼鉄/ニッケル合金、マルテンサイト/ベイナイト・ステンレス鋼、その他を含む、あらゆるタイプの合金を含む。一実施形態では、部品106は、約15%未満のクロム、約5%未満のニッケル、約2%未満のマンガン、及び約3%未満のモリブデンを有するマルテンサイト/ベイナイト・ステンレス鋼の合金を含む。一実施形態では、部品106は、誘導処理モード及び/又は流体印加モード中に部品106の移動を拘束するためにハードウェア(図示せず)により固定される。
【0016】
誘導加熱モード中、部品106は、誘導加熱器102により加熱されて加熱表面(図9に関連して以下で説明する)を形成する。図1を参照すると、一実施形態では、部品106は、誘導加熱器102のチャンバ108内で加熱される。一実施形態では、誘導加熱器102は、位置決めハードウェア(図示せず)及び/又は位置決め機器(図示せず)により位置決めすることができる。一実施形態では、チャンバ108は、ほぼ円筒形であり、同軸関係又は単体構造関係で位置付けられる誘導加熱器102及びノズル装置104によって形成される。この実施形態では、部品106又は部品106の一部は、チャンバ108内に位置付け可能であり、及び/又はシステム100は、部品106又は部品106の一部の周辺又はこれに近接して位置付け可能である。
【0017】
別の実施形態では、図2を参照すると、部品106は、誘導加熱器102に近接させる(例えば、誘導加熱器102に隣接して位置付けている、或いは、誘導加熱器102に近接した外部円周方向領域103内にある)ことによって加熱される。この実施形態では、部品106の内部表面107は、誘導加熱器102により加熱される。一実施形態では、加熱された表面は次に冷却され、或いは冷却が可能になる。
【0018】
図1〜2を参照すると、ノズル装置104は、流体印加モード中に部品106又は部品106の一部に流体を加えるように構成される。誘導加熱器102と同様に、一実施形態では、ノズル装置104は、チャンバ108内で部品106又は部品106の一部に流体を加えることができる。一実施形態では、ノズル装置104は、位置決めハードウェア(図示せず)及び/又は位置決め機器(図示せず)により位置決めすることができる。一実施形態では、ノズル装置104は、図2に示すように、ノズル装置104に近接した(例えば、ノズル装置104に隣接して位置付けている、或いは、ノズル装置104に近接した外部円周方向領域103内にある)部品106又は部品106の一部に流体を加えることができる。
【0019】
一実施形態では、ノズル装置104は、1以上のノズル105(水ジェットピーニング用の超高圧水ジェットノズル又はノズル装置104内で動作可能なあらゆる他のノズルを含む好適なノズル)を含む。ノズル装置104は、流体を部品106に印加する。一実施形態では、ノズルパラメータは、あらゆる好適なコンピュータと連動して動作可能な制御プログラム(図示せず)を使用することにより調整可能であり協働される。一実施形態では、ノズル105の1以上は、所定の圧力又は所定の圧力範囲(例えば、約1360bar超、約2000〜約3500bar、約2000〜約3700bar、約3000bar、或いは約3500bar)で動作するように構成される。一実施形態では、ノズル105の1以上は、所定速度で、或いは所定の速度範囲内(例えば、250m/分、500m/分、約560m/分、約1120m/分、約250〜約500m/分、又は約560〜約1120m/分)で流体を印加するように構成される。
【0020】
一実施形態では、ノズル105の1以上は、部品106から所定距離109又は所定の距離範囲内(例えば、約0.25mm、約0.5mm、約2mm、約0.5〜約2mm、約0.25〜約0.5mm)に、及び/又は他のノズル105から所定距離111又は所定の距離範囲内(例えば、約0.6cm、約7.5cm、約15cm、約0.6〜約15cm、約0.6〜約7.5cm)に位置決めされる。図4〜5を参照すると、一実施形態では、ノズル105は、所定の角度115又は所定の角度範囲内(例えば、約75度、約90度、又は約75〜90度)に向けられる。
【0021】
図1〜2は、実質的に円筒形の幾何形状を示しているが、システム100はあらゆる好適な幾何形状とすることができる。例えば、図3に示すように、一実施形態では、システム100は、パドルと同様の実質的に平面形状である。一実施形態では、システム100は、実質的に立方体、実質的に直線状、金属部品106に対応する形状(例えば、圧縮機ブレード、圧縮機ダブテール、又はロータの幾何形状に対応する)、或いはこれらの組合せである。
【0022】
誘導加熱器102は、1以上の誘導コイル110を含む。図1と図4を参照すると、一実施形態では、誘導コイル110は、システム100内で実質的に螺旋状配列の向きにされる。一実施形態では、誘導コイル110は、外側壁302(実質的に外側シリンダを形成する)と内側壁304(実質的に内側シリンダを形成する)の内部に収容される。ノズル装置104は、外側壁302(図2及び4を参照)、内側壁304(図1及び3を参照)、又は両方の上もしくは内部に位置付けられる。図4を参照すると、一実施形態では、コイル110は、流体を移送して誘導加熱器102から流体に熱を伝達するための流体通路112を含み、これにより誘導加熱器102の耐用期間が延びることになる。誘導加熱モード中に、流体は、入口(図示せず)を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口(図示せず)を通って流体通路112から流出する。一実施形態では、誘導加熱モード中、流体は収集され、冷却されて、コイル110を通って再循環される。流体印加モード中、バルブ(図示せず)は、印加されることになるノズル装置104を通って流体の一部又は全てを部品106に配向する。一実施形態では、流体印加モード中、流体は、収集され、精製されて、再循環される。
【0023】
一実施形態では、流体は、流体印加モード中にスーパーキャビテーション条件下で印加される(例えば、流体は、流体の沸点付近の温度又は流体のキャビテーション圧力に対応する温度にある)。スーパーキャビテーションは、流体の内部にガスの泡を発生させるキャビテーション作用を使用して、流体中に懸濁している物体が気泡により完全に覆われることにより該物体を極めて高速で移動させることができるようにするものである。スーパーキャビテーションにより、物体に作用する抗力が低減され(例えば、約1000分の1に)、物体を所定の速度範囲で部品106に印加することが可能になる。一実施形態では、流体中に懸濁された物体は研磨材である。好適な流体は水である。好適な研磨材は、例えば、実質的に球形の幾何形状及び/又は所定の粒径又は粒径範囲(例えば、約80メッシュ、約400メッシュ、又は約80〜約400メッシュ)を有する炭化ケイ素又は氷片である。
【0024】
一実施形態では、図6に示すように、システム100は、ノズル装置104につながる流体通路112を含み、流体通路112及びノズル装置104はコイル110に近接しており、流体通路112及びノズル装置104はコイル110から分離されている。この実施形態では、コイル110は流体により冷却され、システム100は、ノズル装置104及びコイル110が部品106又は部品106の一部に近接しているように位置付けることができる。この実施形態では、誘導加熱モード中に、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口604を通って流体通路112から流出する。流体印加モード中、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、ノズル装置104を通って部品106に印加される。誘導加熱モードと流体印加モードの間の調整は、限定ではないが、バルブなどの流れ制御機構を含む、あらゆる好適な機構により達成される。
【0025】
別の実施形態では、図7に示すように、システムは、ノズル装置104に通じた流体通路112の周りに巻かれるコイル110を含む。この実施形態では、コイル110は、流体通路112により冷却され、システム100は、ノズル装置104及びコイル110が部品106又は部品106の一部に近接しているように位置付けることができる。この実施形態では、誘導加熱モード中に、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、コイル110の内部を冷却し、出口604を通って流体通路112から流出する。流体印加モード中、流体は、入口602を通って流体通路112に流入し、ノズル装置104を通って部品106に印加される。誘導加熱モードと流体印加モードの間の調整は、限定ではないが、流体の印加を阻止するようにノズル装置110を調整することを含む、あらゆる好適な機構により達成される。
【0026】
図8〜9を参照すると、部品106はタービンブレードである。タービンブレードの表面116は、上述の誘導加熱器102により加熱され、加熱面を形成する。所定深さ114により定められる部品106のサブ層902は、移行ゾーンとして作動し、誘導加熱器102により表面116よりも低い程度に加熱される。部品106の内部120は、さらに低い程度に加熱され、又は、誘導加熱により実質的に影響を受けない。同様に、未処理部分904は、さらに低い程度に加熱され、又は、誘導加熱により実質的に影響を受けない。例示的なプロセスにおいて、部品106は、(例えば、部品106の表面116上で)誘導加熱器102により加熱される。誘導加熱は、(例えば、部品106の表面116上で)圧縮残留応力を形成する。一実施形態では、形成される圧縮残留応力(例えば、所定深さ114まで延びる)は、AC電流の周波数、コイル表面積、コイル110と部品106との間の距離、他の好適なパラメータ、又はこれらの組合せを増減することにより調整される。
【0027】
AC電流は、所定周波数及び所定電流密度でコイル110を流れる。一実施形態では、部品106の別の部分(例えば、部品106の表面116)と比較して(例えば、所定深さ114の)加熱を減少させるために、周波数が減少され及び/又は電流密度が増大される。一実施形態では、AC電流は、第1の所定周波数(例えば、約100kHz)から第2の所定周波数(例えば、約1MHz)まで調整可能であり、及び/又は電流密度は、第1の所定電流密度(例えば、約15×106amp/m2)から第2の電流密度(例えば、約5×106amp/m2)まで調整可能である。
【0028】
図10及び11を参照すると、周波数が増大(例えば、図11に示す100kHzから図10に示す1000kHzまで)すると、表面116の温度が上昇する。これにより所定深さ114における加熱が減少し、温度上昇は、金属部品106の表面116に局所化されると同時に、内部120の加熱も減少又は排除される。図10及び12を参照すると、電流密度の増大(例えば、図12に示す5×106amp/m2から、図10に示す15×106amp/m2まで)により、表面116の温度が実質的に均一に上昇する。これらの調整及び/又は以下で説明される他の調整の関係は、部品106の表面116、所定深さ114、内部120、他の好適な部分及びこれらの組合せにおける相対温度ひいては圧縮残留応力の制御に使用される。
【0029】
再度、図1〜2を参照すると、一実施形態では、金属部品106と誘導加熱器102(又はコイル110)との間の距離113は調整可能である。例えば、一実施形態では、誘導加熱器102(又はコイル110)との間の距離113が増大すると、これにより表面116(図9を参照)、所定深さ(図9を参照)、内部120(図9を参照)及びこれらの組合せ間に大きな温度勾配が形成され、これにより圧縮残留応力が増大する。一実施形態では、コイル110は、第1の所定断面積(例えば、約15cm2)を有する第1の位置から第2の所定断面積(例えば、約225cm2)を有する第2の位置まで位置決め可能である。
【0030】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、新規の教示事項並びに添付の請求項に記載の主題の利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値(例えば、温度、圧力、その他)、取付配置、材料の使用、配向、その他の変形形態)。あらゆるプロセス又は方法ステップの順序又は配列は、代替の実施形態に応じて変更され、又は再配列することができる。従って、本発明の真の精神の範囲内にあるこのような変更形態及び変更全ては、添付の請求項によって保護されるものとする点を理解されたい。さらに、これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする(すなわち、本発明を実施するのに現在企図される最良の形態に関連しないもの、又は請求項に記載された本発明を実現するのに関連しないもの)。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。このような開発の取り組みは、複雑で時間を要するものであるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、実験を伴わずに、設計、製作、及び製造の日常的な業務である。
【符号の説明】
【0031】
100 システム
102 誘導加熱器
103 外部円周方向領域
104 ノズル装置
105 ノズル
106 金属部品
107 内部表面
108 チャンバ
109 所定距離
110 誘導コイル
111 所定距離
113 距離(金属部品106と誘導加熱器102(又はコイル110)との間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理システムであって、
誘導処理モード中に部品を加熱して加熱表面を形成するように構成及び配置された誘導加熱器と、
流体印加モード中に、流体を前記部品の加熱面に該流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で印加して処理面を形成するように配置されたノズル装置と
を備えており、前記処理面が圧縮残留応力を含む、表面処理システム。
【請求項2】
前記誘導加熱器が前記流体を加熱するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記誘導加熱器が2以上の誘導コイルを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記誘導加熱器の配置により、前記部品が内部に位置付けられるように構成されたチャンバが形成される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記チャンバが実質的に円筒形である、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記ノズル装置が前記チャンバ内で同軸に位置付けられる、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記ノズル装置が前記誘導加熱器と一体構造である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記ノズル装置が前記誘導加熱器を通して流体を移送するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記誘導加熱器が、AC電流、電流密度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記誘導加熱器が、前記部品と前記誘導加熱器との間の距離、前記誘導加熱器の表面積及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記ノズル装置は、流体圧力、流体速度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記ノズル装置は、前記部品と前記ノズル装置との間の距離、第1のノズルと第2のノズルとの間の距離ほり、第1のノズルの角度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記流体が研磨材を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記研磨材が炭化ケイ素である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記誘導加熱器が流体通路を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
表面処理方法であって、
部品と、該部品を加熱して加熱面を形成するように構成され配置された誘導加熱器及び前記部品の加熱面に流体を印加するように配置されたノズル装置を備えたシステムと、を準備するステップと、
前記誘導加熱器により前記部品を誘導加熱してこれにより加熱面を形成するステップと、
流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で前記ノズル装置により前記加熱面に流体を印加し、これにより処理面を形成するステップと
を含んでおり、前記処理面が圧縮残留応力を含む、方法。
【請求項17】
前記誘導加熱器を用いて前記流体を加熱するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記誘導加熱器を用いた前記流体の加熱が、前記誘導加熱器内で前記流体が通路を通って移送されることにより生じる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記方法により前記部品のフレッティング疲労耐性が増大する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
圧縮残留応力を含む処理面を備えた表面処理された部品であって、前記処理面が、誘導加熱して加熱面を形成し、加熱面に流体を印加することにより形成され、前記処理面が、部品の内部又は未処理の面よりも大きなフレッティング疲労に対する耐性を含む、部品。
【請求項1】
表面処理システムであって、
誘導処理モード中に部品を加熱して加熱表面を形成するように構成及び配置された誘導加熱器と、
流体印加モード中に、流体を前記部品の加熱面に該流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で印加して処理面を形成するように配置されたノズル装置と
を備えており、前記処理面が圧縮残留応力を含む、表面処理システム。
【請求項2】
前記誘導加熱器が前記流体を加熱するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記誘導加熱器が2以上の誘導コイルを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記誘導加熱器の配置により、前記部品が内部に位置付けられるように構成されたチャンバが形成される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記チャンバが実質的に円筒形である、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記ノズル装置が前記チャンバ内で同軸に位置付けられる、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記ノズル装置が前記誘導加熱器と一体構造である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記ノズル装置が前記誘導加熱器を通して流体を移送するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記誘導加熱器が、AC電流、電流密度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記誘導加熱器が、前記部品と前記誘導加熱器との間の距離、前記誘導加熱器の表面積及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記ノズル装置は、流体圧力、流体速度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記ノズル装置は、前記部品と前記ノズル装置との間の距離、第1のノズルと第2のノズルとの間の距離ほり、第1のノズルの角度及びこれらの組合せからなる群から選択された調整可能パラメータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記流体が研磨材を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記研磨材が炭化ケイ素である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記誘導加熱器が流体通路を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
表面処理方法であって、
部品と、該部品を加熱して加熱面を形成するように構成され配置された誘導加熱器及び前記部品の加熱面に流体を印加するように配置されたノズル装置を備えたシステムと、を準備するステップと、
前記誘導加熱器により前記部品を誘導加熱してこれにより加熱面を形成するステップと、
流体のキャビテーション圧力を上回る圧力で前記ノズル装置により前記加熱面に流体を印加し、これにより処理面を形成するステップと
を含んでおり、前記処理面が圧縮残留応力を含む、方法。
【請求項17】
前記誘導加熱器を用いて前記流体を加熱するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記誘導加熱器を用いた前記流体の加熱が、前記誘導加熱器内で前記流体が通路を通って移送されることにより生じる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記方法により前記部品のフレッティング疲労耐性が増大する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
圧縮残留応力を含む処理面を備えた表面処理された部品であって、前記処理面が、誘導加熱して加熱面を形成し、加熱面に流体を印加することにより形成され、前記処理面が、部品の内部又は未処理の面よりも大きなフレッティング疲労に対する耐性を含む、部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−176484(P2012−176484A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−31202(P2012−31202)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31202(P2012−31202)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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