説明

表面処理剤を含む高屈折率無機酸化物ナノ粒子、重合性樹脂組成物、及び物品

表面改質された無機酸化物粒子、高屈折率を有する表面改質された無機ナノ粒子、及び重合性樹脂を含む、マイクロ構造フィルムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
いくつかの実施形態では、少なくとも1.60の屈折率を有する表面改質された無機ナノ粒子が説明される。一実施形態では、このナノ粒子は、カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む化合物を含む、表面処理剤で表面改質される。別の実施形態では、表面処理剤の90〜100重量%は、(メタ)アクリレート末端基を含む1種以上の化合物で構成され、この表面処理剤はオルガノシラン化合物を含まない。
【0002】
他の実施形態では、有機成分及び本明細書で説明され具体化された表面改質された無機ナノ粒子を含む、重合性樹脂組成物が説明される。
【0003】
他の実施形態では、マイクロ構造表面を有するマイクロ構造フィルムが説明され、このマイクロ構造は、有機成分と、カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16エステル単位を含む化合物を含む表面処理剤で表面改質された、少なくとも10重量%の無機ナノ粒子とを含む、重合性樹脂組成物の反応生成物を含む。
【0004】
これらの実施形態のそれぞれでは、表面処理化合物は、次の一般式を有する化合物を含むことが好ましい。
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、
nの平均は、1.1〜6であり、
L1は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子又はエステル基によって置換され、
L2は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子によって置換され、
Yは、
【0007】
【化2】

【0008】
であり、
Zは、C〜Cのアルキル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む、末端基である。)
【発明を実施するための形態】
【0009】
輝度向上フィルムは、一般に、照明装置の軸上の輝き(本明細書で「輝度」と呼ばれる)を増強する。輝度向上フィルムは、光透過性のマイクロ構造フィルムとすることができる。マイクロ構造のトポグラフィーは、フィルム表面上の複数個のプリズムとすることができ、その結果、フィルムを使用して反射及び屈折により光を方向転換させることができる。プリズムの高さは、典型的には約1〜約75マイクロメートルの範囲である。ラップトップコンピュータ、時計などに見られるような光学ディスプレイ中で使用される場合、マイクロ構造の光学フィルムは、ディスプレイから散逸する光を、光学ディスプレイを通る垂直軸から所望の角度で配置される一組の平面内に制限することによって、光学ディスプレイの輝度を増大させることができる。結果として、ディスプレイから許容範囲の外部に出るであろう光は、反射してディスプレイ内へ戻り、そこでその光の一部が「再利用」され、ディスプレイから放出可能な角度でマイクロ構造フィルムに戻されることができる。この再利用は、ディスプレイに所望の輝度レベルを提供するために必要な電力消費量を低減することができることから、有用である。
【0010】
参考として本明細書に組み込まれる、米国特許第5,183,597号(Lu)及び同第5,175,030号(Luら)に記載されているように、マイクロ構造を有する物品(例えば、輝度向上フィルム)は、(a)重合性組成物を調製する工程と、(b)重合性組成物を、マスターの陰画マイクロ構造成形表面上に、マスター上のキャビティをかろうじて充填するのに十分な量で付着させる工程と、(c)重合性組成物のビードを、その少なくとも一方が可撓性である、予備形成されたベース(例えば、基材)とマスターとの間で移動させることによって、キャビティを充填する工程と、(d)組成物を硬化させる工程と、を含む方法によって調製することができる。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキした銅若しくは黄銅のような金属製であってもよく、又は重合条件下で安定であって、好ましくは重合化した材料をマスターからきれいに取り出すことができる表面エネルギーを有する、熱可塑性材料であってもよい。ベースへの光学層の接着を促進するために、ベースフィルムの1つ以上の表面に、任意に下地処理又は他の処理を施すことができる。
【0011】
本明細書では、表面改質された無機酸化物ナノ粒子、重合性樹脂組成物、及び有機成分中に分散した表面改質された無機ナノ粒子を含む重合性樹脂の反応生成物を含む重合構造を含む物品が説明される。この重合構造は、ベース基材層及び光学層で構成される、光学素子あるいは光学製品であってもよい。ベース基材層及び光学層は、典型的には、異なるポリマー材料から形成される。
【0012】
本明細書で使用するとき、「重合性組成物」とは、有機成分及び表面改質された無機ナノ粒子を含む、組成物全体を指す。「有機成分」とは、表面改質された無機ナノ粒子を除く、組成物の成分の全てを指す。表面処理剤は通常、無機ナノ粒子表面に吸着するか、又は付着するため、表面処理剤は、有機成分の一部分とは見なされない。表面改質された無機ナノ粒子の重量%は、無機ナノ粒子単独の濃度よりも大きい。表面改質されたナノ粒子の重量%は、無機ナノ粒子の重量%よりも約20%大きいことが一般的である。例えば、40重量%の無機ナノ粒子を含む組成物は、約56重量%の表面改質された無機ナノ粒子を含む。
【0013】
重合性樹脂は、一般に、エチレン性不飽和モノマーの混合物を含む。この混合物は、典型的には、少なくとも1種の二官能性芳香族(メタ)アクリレートモノマー、及び多量の(例えば、芳香族)単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、典型的には、低分子量(例えば、450g/モル未満)、及び少なくとも1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、若しくは1.58の屈折率を有する。
【0014】
表面改質された(例えば、コロイド状)ナノ粒子は、物品若しくは光学素子の、耐久性及び/又は屈折率を向上させるのに有効な量で、重合構造中に存在する。表面改質された無機ナノ粒子の総量は、重合性樹脂若しくは光学物品中に、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%の量で存在し得る。その濃度は、重合性樹脂組成物が、マイクロ構造フィルム作製の流延プロセス及び硬化プロセスでの使用に適した粘度を有するように、典型的には70重量%未満であり、より典型的には60重量%未満である。
【0015】
このような粒子の寸法は、有意な可視光線の散乱を回避するべく選択される。光学特性又は材料特性を最適化するため、及び全般的な組成物コストを低下させるために、複数の種類の無機酸化物粒子の混合物を用いることが望ましい場合がある。表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、1nm、5nm、又は10nmを超える(例えば、非会合性)一次粒径又は会合粒径を有する、酸化物粒子であってもよい。一次粒径又は会合粒径は、一般的には、100nm、75nm、又は50nm未満である。典型的には、一次粒径又は会合粒径は、40nm、30nm、又は20nm未満である。ナノ粒子は、非会合であることが好ましい。それらの測定値は、透過電子顕微鏡(TEM)に基づき得る。ナノ粒子としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、これらの混合物、又はこれらの混合酸化物のような金属酸化物を挙げることができる。表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、実質的に完全に凝縮可能である。
【0016】
完全凝縮ナノ粒子(シリカを例外として)は、典型的には、55%を超える、好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える結晶化度(単離金属酸化物粒子として測定した場合)を有する。例えば、結晶化の程度は、最大で約86%以上の範囲にすることができる。結晶化の程度は、X線回折法によって判定することができる。凝縮結晶性のナノ粒子(例えばジルコニアナノ粒子)は、高い屈折率を有するが、非晶質ナノ粒子は、典型的には、より低い屈折率を有する。
【0017】
ジルコニアナノ粒子及びチタニアナノ粒子は、5〜50nm、又は5〜15nm、又は8nm〜12nmの粒径を有し得る。ジルコニアナノ粒子は、耐久性物品又は光学素子中に、10〜70重量%、又は30〜60重量%の量で存在し得る。本発明の組成物及び物品中で使用されるジルコニアは、Nalco Chemical Co.より商標名「Nalco OOSSOO8」で、及びBuhler AG Uzwil,Switzerlandより商標名「Buhler zirconia Z−WO sol」で入手可能である。
【0018】
ジルコニア粒子は、本明細書に参考として組み込まれる、米国特許出願第61/017326号、及び米国特許第7,241,437号に記載の水熱技術を使用して、調製することができる。形成後のナノ粒子は、典型的には、酢酸のような、吸着揮発性酸(すなわち、6個以下の炭素原子を有するモノカルボン酸)を含む。
【0019】
表面改質は、無機酸化物(例えば、ジルコニア)粒子に表面改質剤を付着させて、表面特性を改質することを伴う。無機粒子の表面改質の全体的な目標は、均質な成分、及び好ましくは低い粘度を有し、高輝度のフィルムに調製可能な(例えば、流延プロセス及び硬化プロセスを使用して)樹脂を提供することである。
【0020】
ナノ粒子は、有機成分との適合性を改善するために表面改質される場合が多い。表面改質されたナノ粒子は、有機成分中で、非会合、非粒塊、又はこれらの組み合わせである場合が多い。結果として得られる、これらの表面改質されたナノ粒子を含有する光管理フィルムは、高い光学的透明性、及び低いヘイズを有する傾向がある。ジルコニアのような、高屈折率の表面改質されたナノ粒子の添加は、重合化された有機材料のみを含有するフィルムと比べて、輝度向上フィルムのゲインを増大させることができる。
【0021】
ナノ粒子の表面上に吸着する非反応性の揮発性酸(例えば酢酸)は、本明細書で説明するような、様々な(例えば、不揮発性の)カルボン酸化合物によって置換されると推測される。表面処理剤の使用に加えて、(例えば、輝度向上フィルムに)非反応性の揮発性酸含有量を低減するための更なる処理工程(例えば、熱処理)を施すこともできる。検出可能な量(0.01重量%〜0.1重量%)が存在する場合もあるが、輝度向上フィルムの非反応性の揮発性酸含有量は、一般的に5重量%未満である。不揮発性酸の総量は、特に不揮発性酸が樹脂の有機成分と反応し、十分な高屈折率を有する場合、最大50重量%までの範囲にすることができる。典型的には、表面改質された粒子、重合樹脂、又は重合構造の、不揮発性酸含有量の範囲は、1重量%〜20重量%である。
【0022】
モノカルボン酸(すなわち、1分子あたり1個のカルボン酸基を含有する)表面処理剤は、式A−Bで表すことができ、A基は、(例えば、ジルコニア又はチタニアの)ナノ粒子の表面に付着可能なモノカルボン酸基であり、Bは、様々な異なる官能基を含む相溶化基である。カルボン酸基は、吸着及び/又はイオン結合の形成によって、表面に付着することができる。相溶化基Bは、一般的には、(例えば輝度向上)マイクロ構造光学物品の重合性樹脂と相溶性であるように選択される。相溶化基Bは、反応性であっても、又は非反応性であってもよく、極性であっても、又は非極性であってもよい。
【0023】
相溶化基Bは、(例えば輝度向上)マイクロ構造光学物品の有機成分と共重合可能であるように、反応性であることが好ましい。例えば、(メタ)アクリレート相溶化基のようなフリーラジカル重合可能基は、(メタ)アクリレート官能性有機モノマーと共重合して、良好な均質性を備えた輝度向上物品を作り出すことができる。
【0024】
本明細書に記載の(例えば、ジルコニア)無機ナノ粒子は、カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む化合物を含む、表面処理剤によって、表面改質される。より高い分子量のエステル単位を有する化合物を、低濃度であっても用いることにより、重合性樹脂の光学的透明性が改善され得ることが判明している。この化合物は、典型的には、次の一般式を有する。
【0025】
【化3】

【0026】
(式中、
nの平均は1.1〜6であり、
L1は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子又はエステル基によって置換され、
L2は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子によって置換され、
Yは、
【0027】
【化4】

【0028】
であり、
Zは、C〜Cのアルキル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む、末端基である。)
いくつかの実施形態では、L2は、C6〜C8のアルキル基を含み、nの平均は、1.5〜2.5である。Zは、好ましくは、C〜Cのアルキル基を含む。Zは、(メタ)アクリレート末端基を含むことが好ましい。
【0029】
カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位を含む表面改質材は、ヒドロキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレートなどのヒドロキシポリカプロラクトンを、脂肪族無水物又は芳香族無水物と反応させることから誘導することができる。このヒドロキシポリカプロラクトン化合物は、典型的には、分子の分布を有する重合混合物として入手可能である。分子の少なくとも一部分は、C〜Cのエステル繰り返し単位を有し、すなわち、nは少なくとも2である。しかしながら、この混合物はまた、nが1である分子も含むため、ヒドロキシポリカプロラクトン化合物混合物に関するnの平均は、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5となり得る。いくつかの実施形態では、nの平均は、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5である。
【0030】
好適なヒドロキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート化合物は、Cognisより商標名「Pemcure 12A」で、及びSartomerより商標名「SR495」(344g/モルの分子量を有すると報告されている)で市販されている。
【0031】
好適な脂肪族無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水スベリン酸、及び無水グルタル酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、脂肪族無水物は、無水コハク酸であることが好ましい。
【0032】
芳香族無水物は、比較的高い屈折率を有する(例えば、少なくとも1.50の屈折率)。芳香族無水物から誘導されたもののような表面処理化合物を含有させることにより、重合性樹脂組成物全体の屈折率を上昇させることができる。好適な芳香族無水物としては、例えば、無水フタル酸が挙げられる。
【0033】
代表的な反応スキームを以下に示す。
【0034】
【化5】

【0035】
カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む化合物は、ここで説明するように、唯一の表面処理剤であって、重合性樹脂組成物の最大約50重量%の濃度で用いることができる。
【0036】
無機ナノ粒子は、好ましくは、ここで第2の化合物と組み合わせて説明するように、モノカルボン酸末端基、及びC3〜C8のエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む、第1の化合物を含む、表面処理剤を含む。この実施形態では、第1の化合物の量は、最大20重量%の第2の化合物と組み合わせて、重合性樹脂の0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0037】
第2の表面処理剤は、好ましくは、(例えば、不揮発性の)モノカルボン酸末端基、及び有機成分と共重合する(メタ)アクリレート末端基などの反応性基を有する相溶化基を含む、別の化合物を含む。この表面処理剤は、好ましくは、重合性樹脂の有機成分と反応する多量の化合物(例えば、(メタ)アクリレート官能性化合物)をナノ粒子が含むような量で用いられる、化合物の組み合わせを含む。表面処理剤の反応性化合物の、非反応性化合物に対する化学量論量は、典型的には、少なくとも1:1、又は2:1、又は3:1、又は4:1、又は5:1である。いくつかの好ましい実施形態では、表面処理剤の反応性化合物の、非反応性化合物に対する化学量論量は、典型的には、少なくとも6:1、又は7:1、又は8:1、又は9:1以上である。表面処理剤は、85重量%〜100重量%の、1種以上の反応性化合物を含み得、各化合物は、モノカルボン酸末端基を、(メタ)アクリレート末端基と組み合わせて有する。
【0038】
一実施形態では、第2の表面処理剤は、上述の脂肪族無水物又は芳香族無水物と、ヒドロキシル(例えば、C〜Cの)アルキル(メタ)アクリレートとの反応によって調製される、(メタ)アクリレート官能化化合物であることが好ましい。
【0039】
この種類の表面改質剤の例は、コハク酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、マレイン酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、及びグルタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、マレイン酸モノ−(4−アクリロイルオキシ−ブチル)エステル、コハク酸モノ−(4−アクリロイルオキシ−ブチル)エステル、及びグルタル酸モノ−(4−アクリロイルオキシ−ブチル)エステルである。これらの化学種は、参考として本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/121465号に示されている。この種類の他の脂肪族表面改質剤としては、モノ(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールサクシネート、又は無水マレイン酸若しくは無水グルタル酸から製造される類似の材料が挙げられる。
【0040】
他の表面処置化合物を、芳香族無水物から調製することができる。このような分子の例は、フタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、及びフタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−ブチル)エステルであり、これらは国際公開第2008/121465号で説明されるように、無水フタル酸から調製できる。別の反応性表面改質剤は、β−カルボキシルエチルアクリレートである。
【0041】
いくつかの実施形態では、モノカルボン酸末端基、及びC3〜C8のエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む第1の化合物が、モノカルボン酸末端基、及び非反応性相溶化基を含む第2の化合物と組み合わせて用いられる。「非反応性」とは、相溶化基が有機成分と反応しないことを意味する。
【0042】
一例は、(例えば、ポリエーテル基)水溶性テイルを含む、モノカルボン酸化合物である。このような表面処理剤は、ジルコニア粒子又はチタニア粒子に、極性の性質を付与することができる。
【0043】
ポリエーテルテイルは、一般式−O−R−を有する、繰り返し二官能性アルコキシラジカルを含む。好ましいR基は、一般式−C2n−を有し、例えば、メチレン、エチレン、及びプロピレン(n−プロピレン及びi−プロピレンを含む)、又はこれらの組み合わせを含む。R基の組み合わせは、例えば、ランダム型コポリマー又はブロック型コポリマーとして提供されてもよい。
【0044】
ポリエーテルテイルを有する好ましい部類のモノカルボン酸は、一般的には、次式によって表すことができる。
【0045】
CH−[O−(CH−X−COOH
(式中、
Xは、二価有機連結基であり、
xは、約1〜10の範囲であり、
yは、約1〜4の範囲である。)
Xの代表例としては、−X−(CH−が挙げられ、式中、Xは、−O−S−、−C(O)O−、−C(O)NH−であり、nは約1〜3の範囲である。
【0046】
ポリエーテルカルボン酸の例としては、化学構造CHO(CHCHO)CHCOOHを有する2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(以後、MEEAA)、及び化学構造CHOCHCHOCHCOOHを有する2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(以後、MEAA)が挙げられる。MEAA及びMEEAAは、Milwaukee,Wis.のAldrich Chemical Co.より、それぞれカタログ番号40,701−1及び40,700−3として市販されている。
【0047】
ポリエーテル相溶化テイルを有する他の表面改質剤としては、脂肪族無水物とポリアルキレンオキシドモノエーテルとの反応によって一般に調製されるものが挙げられる。この種類の表面改質剤としては、コハク酸モノ[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、マレイン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、及びグルタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルが挙げられる。これらの分子は、国際公開第2008/121465号に記載されている。2種以上のポリエーテルカルボン酸の混合物もまた、用いることができる。
【0048】
他の態様では、モノカルボン酸末端基、及びC3〜のエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む第1の化合物が、比較的高い屈折率を有する(例えば、屈折率は少なくとも1.50)相溶化剤と組み合わせて用いられる。フタレート基のような芳香族基を1つ以上含有する相溶化剤は、有利なことに高屈折率を有し、それゆえ、そうした相溶化剤を含有させることによって、重合性組成物全体の屈折率を上昇させることができる。屈折率を上昇させる他の方法としては、表面改質剤分子中に、イオウ原子又は臭素原子を含ませることが挙げられる。
【0049】
国際公開第2008/121465号に示される反応スキームによって、様々なフタレート系材料を作り出すことができ、それらの材料としては、例えば、フタル酸モノ−(2−フェニルスルホニル−エチル)エステル、例えばフタル酸モノ−(2−フェノキシ−エチル)エステル、及びフタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルが挙げられる。
【0050】
加えて、表面処理剤は、少なくとも1種のモノカルボン酸又はジカルボン酸を更に含み得る。代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、並びに種々のジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は、分子量が比較的低いことが好ましい。ジカルボン酸は、直鎖であっても、又は分枝鎖であってもよい。これらの酸としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、スベリン酸、フタル酸、及びイタコン酸が挙げられる。
【0051】
コロイド状分散体中の粒子の表面改質は、様々な方法で達成することができる。そのプロセスは一般に、無機粒子分散体と表面改質剤との混合を必要とする。所望により、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、及び1−メチル−2−ピロリジノンのような共溶媒を、その時点で添加することができる。共溶媒は、表面改質剤並びに表面改質された粒子の溶解度を向上させることができる。無機ゾル及び表面改質剤を含む混合物を、その後、室温又は高温で、混合あり又は混合なしで、反応させる。
【0052】
表面改質された粒子を、次に、様々な方法で硬化性(すなわち重合性)樹脂組成物中に組み込むことができる。好ましい態様では、溶媒交換手順が利用され、表面改質されたゾルに樹脂を添加し、続いて水及び共溶媒(使用する場合)を蒸発によって除去することにより、重合性樹脂中に粒子を分散させたままの状態にする。蒸発工程は、例えば、蒸留、回転蒸発、又はオーブン乾燥により、達成可能である。別の態様では、所望の場合、表面改質された粒子を水不混和性溶媒中に抽出し、その後、溶媒交換を行なってもよい。あるいは、表面改質されたナノ粒子を重合性樹脂に組み込む別の方法は、改質された粒子を乾燥して粉末にした後、樹脂材料を添加して、粒子を樹脂材料中に分散させることを伴う。この方法における乾燥工程は、例えば、オーブン乾燥又は噴霧乾燥のような、このシステムに好適な従来の手段によって達成することができる。
【0053】
有機成分並びに重合性組成物は、好ましくは実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、及び0.5重量%未満の(例えば、有機)溶媒を有する重合性組成物を指す。溶媒の濃度は、ガスクロマトグラフィーのような既知の方法によって測定することができる。0.5重量%未満の溶媒濃度が好ましい。
【0054】
有機成分の構成成分は、好ましくは、有機成分が低粘度を有するように選択される。一般的には、有機成分の粘度は、先に用いた組成物の有機成分よりも実質的に低い。有機成分の粘度は、1000cps未満であり、典型的には900cps未満である。有機成分の粘度は、コーティング温度において、800cps未満、700cps未満、600cps未満、又は500cps未満にすることができる。本明細書で使用するとき、粘度は、(最大1000sec−1の剪断速度で)動的応力レオメーター(Dynamic Stress Rheometer)を使用して、25mm平行プレートで測定される。更に、有機成分の粘度は、コーティング温度では、典型的には、少なくとも10cps、より典型的には、少なくとも50cps、更により典型的には、少なくとも100cps、最も典型的には、少なくとも200cpsである。
【0055】
コーティング温度は、典型的には、周囲温度(すなわち、25℃)〜180°F(82℃)の範囲である。コーティング温度は、170°F(77℃)未満、160°F(71℃)未満、150°F(66℃)未満、140°F(60℃)未満、130°F(54℃)未満、又は120°F(49℃)未満であってもよい。有機成分は、重合性組成物の融点が、コーティング温度よりも低いという条件で、固体であってもよく、又は固体成分を含んでもよい。有機成分は、室温で液体であってもよい。
【0056】
有機成分並びに重合性組成物は、ほとんどの製品用途に関して、少なくとも1.47の屈折率を有し、これに対して回転フィルムの重合性樹脂組成物は1.44までの低い屈折率を有し得る。有機成分又は重合性組成物の屈折率は、少なくとも1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、又は1.60であってもよい。ナノ粒子を含む重合性組成物は、1.70までの高い屈折率を有し得る。(例えば、少なくとも、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、又は1.69)可視光スペクトルにおける高い透過性もまた、一般的に好ましい。
【0057】
重合性組成物は、好ましくは5分未満の時間スケールで、エネルギー硬化可能である(例えば、75マイクロメートルの厚さを有する輝度向上フィルムの場合)。重合性組成物は、好ましくは、一般に45℃を超えるガラス転移温度を提供するように十分に架橋される。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)、変調DSC、又は動的機械測定などの当該技術分野で既知の方法によって測定することができる。重合性組成物は、従来のフリーラジカル重合法によって重合化することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、有機成分は、好ましくは、1種以上の(例えば、単官能性)ビフェニルモノマーを、2つ以上の(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種の芳香族(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて含む。
【0059】
単官能性ビフェニルモノマーは、末端ビフェニル基(ここで、2つのフェニル基は融合しておらず、結合によって繋がっている)又は連結基(例えばQ)で繋がれた2つの芳香族基を含む末端基を含む。例えば、連結基がメタンである場合、末端基はビフェニルメタン基である。あるいは、連結基が−(C(CH−である場合、末端基は4−クミルフェニルである。単官能性ビフェニルモノマーはまた、好ましくは(例えば、紫外線)放射に曝露することによって重合可能な、1つのエチレン性不飽和基も含む。単官能性ビフェニルモノマーは、好ましくは、1つの(メタ)アクリレート基、又は1つのチオ(メタ)アクリレート基を含む。アクリレート官能基が一般的に好ましい。いくつかの態様では、ビフェニル基は、エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基に直接結合する。この種類の代表的なモノマーは、2−フェニル−フェニルアクリレートである。ビフェニルモノ(メタ)アクリレートモノマー又はビフェニルチオ(メタ)アクリレートモノマーは、所望により1つ以上のヒドロキシル基で置換される(例えば1〜5個の炭素の)アルキル基を更に含み得る。この種類の代表的な種は、2−フェニル−2−フェノキシエチルアクリレートである。
【0060】
有機成分は、1つのビフェニル(メタ)アクリレートモノマー、又は2つ以上のビフェニル(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせを含み得る。このようなビフェニルモノマーの総量は、一般的に、有機成分の少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%である。単官能性ビフェニルモノマーの総量は、90重量%以下、より一般的には約75重量%以下(例えば、70重量%、65重量%、60重量%未満)である。いくつかの実施形態では、ビフェニルモノマーの総量は、有機成分の30重量%〜50重量%の範囲である。
【0061】
一実施形態では、次の一般式を有する単官能性ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーが用いられる。
【0062】
【化6】

【0063】
(式中、R1は、H又はCHであり、
Xは、O又はSであり、
nは、0〜10の範囲であり(例えばnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)、
Lは、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基(すなわちメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基)であり、所望によりヒドロキシ基で置換される。)
別の実施形態では、単官能性ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、次の一般式を有する。
【0064】
【化7】

【0065】
(式中、R1は、H又はCHであり、
Xは、O又はSであり、
Qは、−(C(CH−、−CH、−C(O)−、−S(O)−、及び−S(O)−から選択され、
nは、0〜10の範囲であり(例えばnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)、
Lは、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり(すなわちメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基)、所望によりヒドロキシ基で置換される。)
Toagosei Co.Ltd.(Japan)より市販の、いくつかの特定のモノマーとしては、例えば、商標名「TO−2344」で入手可能な2−フェニル−フェニルアクリレート、商標名「TO−2345」で入手可能な4−(−2−フェニル−2−プロピル)フェニルアクリレート、及び商標名「TO−1463」で入手可能な2−フェニル−2−フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0066】
単官能性ビフェニル(例えば、(メタ)アクリレート)モノマーを含有させることにより、有機成分の屈折率の上昇、及び粘度の低減による重合性組成物の加工性の改善が、同時に可能になる。これらのモノマーは、比較的高い(すなわち、25重量%を超える)濃度の(例えば、より低屈折率の)二官能性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを用いる場合に、特に有利である。
【0067】
有機成分は、好ましくは、少なくとも5重量%、典型的には、約80重量%を超える二官能性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを含む。
【0068】
好適な二官能性ウレタン(メタ)アクリレートは、Sartomerより商標名「CN965」、「CN968」、「CN981」、「CN983」、「CN984」、「CN972」、及び「CN978」で市販され、Cognisより商標名「Photomer 6210」、「Photomer 6217」、「Photomer 6230」、「Photomer 6623」、「Photomer 6891」、及び「Photomer 6892」で市販され、並びにUCBより商標名「Ebecryl 1290」、「Ebecryl 2001」、及び「Ebecryl 4842」、で市販されている。
【0069】
好適な二官能性ポリエステル(メタ)アクリレートは、Sartomerより商標名「CN292」で市販され、Cognisより商標名「Photomer 5010」、「Photomer 5429」、「Photomer 5430」、「Photomer 5432」、「Photomer 5662」、「Photomer 5806」、及び「Photomer 5920」で市販され、並びにUCBより商標名「Ebecryl 80」、「Ebecryl 81」、「Ebecryl 83」、「Ebecryl 450」、「Ebecryl 524」、「Ebecryl 525」、「Ebecryl 585」、「Ebecryl 588」、「Ebecryl 810」、及び「Ebecryl 2047」で市販されている。
【0070】
好適な(メタ)アクリレート化アクリル系オリゴマーも、市販されており、又は当該技術分野で既知の方法によって調製することができる。
【0071】
重合性組成物は、次の一般構造を有する主要部分を含む、芳香族二官能性(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。
【0072】
【化8】

【0073】
式中、各R1は、独立して、水素又はメチルである。各R2は、独立して、水素又は臭素である。各Zは、独立して、−C(CH−、−CH−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、又は−S(O)−であり、各Qは、独立して、O又はSである。いくつかの実施形態では、Zは、好ましくは−C(CH−であり、Qは、好ましくはOである。典型的には、R1基は、同一である。典型的には、R2基もまた、互いに同一である。Lは連結基である。Lは、独立して、分枝鎖又は直鎖のC〜C12アルキル基(すなわち、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、又はC12)を含み得る。アルキル基の炭素鎖は、所望により、1つ以上の酸素基で置換することができる。更に、アルキル基の炭素原子は、所望により、1つ以上のヒドロキシル基で置換することができる。例えば、Lは、−CHCH(OH)CH−であってもよい。典型的には、連結基は同一である。一実施形態では、アルキル基は、C10である。別の実施形態では、アルキル基は、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、又は4個以下の炭素原子を含む。
【0074】
ジ(メタ)アクリレートモノマーは、合成しても、あるいは購入してもよい。本発明で使用するとき、主要部分とは、ここで述べた特定構造を含有するモノマーの、少なくとも60〜70重量%を意味する。他の反応生成物も、このようなモノマーの合成の副生成物として典型的に存在することは、一般的に認識される。
【0075】
ジ(メタ)アクリレートモノマーは、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応生成物であってもよい。第1のモノマーは、UCB Corporation(Smyrna,GA)より、商標名「RDX−51027」で入手することができる。この材料は、2−プロペン酸、(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]エステルの主要部分を含む。
【0076】
種々の(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマーが市販されている。例えば、(メタ)アクリレート化芳香族エポキシ(改質エポキシアクリレートとして記載される)は、Sartomer(Exton,PA)より、商標名「CN118」、「CN115」、及び「CN112C60」で入手可能である。(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマー(エポキシアクリレートオリゴマーとして記載される)は、Sartomerより、商標名「CN2204」で入手可能である。更に、(メタ)アクリレート化芳香族エポキシオリゴマー(トリメチロールプロパントリアクリレート40%とブレンドしたエポキシノボラックアクリレートとして記載される)は、Sartomerより、商標名「CN112C60」で入手可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、先に記載した構造体のようなビスフェノールAから誘導される。他の実施形態では、芳香族エポキシアクリレートは、ビスフェノールAとは異なるモノマーから誘導される。
【0078】
1つの代表的なビスフェノールAエトキシル化ジアクリレートモノマーは、Sartomerより、商標名「SR602」(20℃で610cpsの粘度、及び2℃のガラス転移温度(Tg)を有すると報告されている)で市販されている。別の代表的なビスフェノールAエトキシル化ジアクリレートモノマーは、Sartomerより、商標名「SR601」(20℃で、1080cpsの粘度、及び60℃のTgを有すると報告されている)で市販されている。
【0079】
有機成分は、所望により、最大約50重量%の(例えば、0〜50の範囲のいずれかの量)の反応性希釈剤(すなわち、単官能性ビフェニルモノマー以外のもの)を含む。反応性希釈剤は、(メタ)アクリレートのようなモノエチレン性不飽和モノマー、又はモノマーのN−置換若しくはN,N−二置換(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドである。これらとしては、N−アルキルアクリルアミド、及びN,N−ジアルキルアクリルアミド、特にC1〜4アルキル基を含有するものが挙げられる。例には、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタムがある。
【0080】
希釈剤は、1.50を超える(例えば、1.55を超える)屈折率を有することができる。このような反応性希釈剤は、ハロゲン化されてもよく、又は非ハロゲン化(例えば非臭素化)されてもよい。1つの代表的な高屈折率の任意選択的モノマーは、Daiichi Kogyo Seiyaku Co.Ltd(Kyoto,Japan)より、商標名「BR−31」で市販の、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0081】
好適な反応性希釈剤としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、2−ナフチルチオエチルアクリレート、1−ナフチルチオエチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチルアクリレート、2−ブロモフェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルオキシエチルアクリレート、2−ナフチルオキシエチルアクリレート、フェノキシ−2−メチルエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,4−ジブロモ−6−sec−ブチルフェニルアクリレート、2,4−ジブロモ−6−イソプロピルフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートが挙げられる。ペンタブロモベンジルアクリレート及びペンタブロモフェニルアクリレートなどの、他の高屈折率モノマーもまた用いることができる。
【0082】
ビフェニル(メタ)アクリレートモノマーは、典型的には、ビフェニルモノマーよりも低い屈折率を有する、(例えば、最大25重量%の)単官能性反応性希釈剤と組み合わせて用いられる。
【0083】
好ましい希釈剤は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、特にフェノキシエチルアクリレート(PEA)である。フェノキシエチルアクリレートは、複数の供給元から市販されており、それらとしては、Sartomerによる、商標名「SR339」、Eternal Chemical Co.Ltd.による、商標名「Etermer 210」、及びToagosei Co.Ltdによる、商標名「TO−1166」が挙げられる。ベンジルアクリレートは、AlfaAeser Corp(Ward Hill,MA)より市販されている。
【0084】
有機成分は、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を含む架橋剤を、所望により含み得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、少なくとも約2重量%の量で重合性組成物中に存在し得る。典型的には、架橋剤の量は、約25重量%以下である。架橋剤は、約5質量%〜約15質量%の範囲のいずれかの量で存在し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、有機成分は5重量%未満の架橋剤を含むか、又は架橋剤を実質的に含まない。
【0086】
いくつかの実施形態では、重合性樹脂組成物は、臭素を実質的に含まない(すなわち、1重量%未満含有する)ことが好ましい。他の実施形態では、臭素と塩素とを組み合わせた総量は1重量%未満である。いくつかの態様では、重合性樹脂組成物は、実質的に非ハロゲン化(すなわち、臭素、塩素、フッ素、及びヨウ素を合計で1重量%未満含有する)されている。
【0087】
UV硬化性の重合性組成物は、少なくとも1つの光反応開始剤を含む。1つの光反応開始剤又は光反応開始剤のブレンドを、本発明の輝度向上フィルムに用いることができる。一般的には、光反応開始剤は、(例えば、樹脂の加工温度で)少なくとも部分的に可溶性であり、重合化後に実質的に無色である。UV光源に曝露した後、光反応開始剤が実質的に無色であるならば、光反応開始剤が有色(例えば黄色)であってもよい。
【0088】
好適な光反応開始剤には、モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシドが挙げられる。市販のモノ又はビスアシルホスフィンオキシド光反応開始剤としては、BASF(Charlotte,NC)より、商標名「Lucirin TPO」で市販の、2,4,6−トリメチルベンゾイルビフェニルホスフィンオキシド(trimethylbenzoybiphenylphosphine oxide)、更に商標名「Lucirin TPO−L」でBASFより市販の、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、及びCiba Specialty Chemicalsより、商標名「Irgacure 819」で市販の、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。他の好適な光反応開始剤としては、Ciba Specialty Chemicalsより、商標名「Darocur 1173」で市販の、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、並びにCiba Specialty Chemicalsより、商標名「Darocur 4265」、「Irgacure 651」、「Irgacure 1800」、「Irgacure 369」、「Irgacure 1700」、及び「Irgacure 907」で市販の、他の光反応開始剤が挙げられる。
【0089】
光反応開始剤は、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で使用することができる。より好ましくは、光反応開始剤は約0.5〜約5重量%の濃度で使用される。5重量%を超える量は、輝度向上フィルムの黄変を引き起こす傾向の観点から一般的に不利である。他の光反応開始剤もまた、当業者によって決定され得るように、適切に用いられてもよい。
【0090】
フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤のような界面活性剤を、所望により重合性組成物中に含ませて、表面張力を低減させ、濡れを改善し、より平滑なコーティング、及びコーティングの欠陥の減少を可能にすることができる。
【0091】
光学層は、ベース層に直接接触させるか、又はベース層に光学的に整列させることができ、光学層が光の流れを方向付けるか又は集中させることができる寸法、形状、及び厚さにすることができる。光学層は、米国特許第7,074,463号に記載され、示されているような、多数の有用なパターンのいずれかを有し得る、構造表面又はマイクロ構造表面を有し得る。マイクロ構造表面は、フィルムの長さ又は幅に沿って延びる、複数の平行な長手方向の隆起部とすることができる。これらの隆起部は、複数個のプリズム頂点から形成することができる。これらの頂点は、先鋭形、丸形、又は平坦形若しくは切頭形とすることができる。例えば、隆起部は4〜7〜15マイクロメートルの範囲の半径に丸めることができる。
【0092】
これらとしては、環状プリズムパターン、キューブ−コーナーパターン、又は他の任意のレンズ状マイクロ構造であり得る、規則的又は不規則的なプリズムパターンが挙げられる。有用なマイクロ構造は、輝度向上フィルムとして使用するための完全内部反射フィルムとして機能し得る規則的プリズムパターンである。別の有用なマイクロ構造は、反射フィルムとして使用するための再帰反射フィルム又は再帰反射素子として機能し得るコーナーキューブプリズムパターンである。別の有用なマイクロ構造は、光学ディスプレイに使用するための光学素子として機能し得るプリズムパターンである。別の有用なマイクロ構造は、光学ディスプレイに使用するための光学回転フィルム又は光学回転素子として機能し得るプリズムパターンである。
【0093】
ベース層は、光学製品、すなわち光の流れを制御するように設計された製品での使用に好適な性質及び組成物とすることができる。ほぼいかなる材料も、その材料が、特定の光学製品に組み立てられるか又はその製品内で使用されるのに十分に光学的に透明であり、十分に構造的に強固である限り、ベース材料として使用することができる。ベース材料は、光学製品の性能が時間とともに損なわれないように十分な耐温度性及び耐経年劣化性が備わっているものを選択することができる。
【0094】
いずれの光学製品に関しての、ベース材料の具体的な化学組成及び厚さは、構築される特定の光学製品の必要条件に応じて変化し得る。すなわち、特に、強度、透明性、耐温度性、表面エネルギー、光学層への固着性に対する要求のバランスがとられる。
【0095】
有用なベース材料としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸系コポリマー又はブレンド、ポリシクロオレフィン、ポリイミド、及びガラスが挙げられる。所望により、ベース材料には、これらの物質の混合物又は組み合わせを含有させることができる。実施形態では、ベースは多層であってもよく、又は連続相中に懸濁又は分散させた、分散成分を含有してもよい。
【0096】
マイクロ構造を有する製品のようないくつかの光学製品、例えば、輝度向上フィルムの場合、好ましいベース材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、フォトグレードのポリエチレンテレフタレート、及びMELINEX(商標)PET(DuPont Films(Wilmington,Del)から入手可能)が挙げられる。
【0097】
いくつかのベース材料は、光学的に活性であり得、偏光材料として機能することができる。多くのベースはまた、本明細書においてフィルム又は基材とも呼ばれ、光学製品分野において、偏光材料として有用であることが既知である。フィルムを通過する光の偏光は、例えば、通過光を選択的に吸収するフィルム材料中に二色偏光子を含ませることによって実現することができる。光の偏光はまた、配列雲母チップのような無機材料を含ませることによって、又は、連続フィルム中に分散する光変調液晶の液滴のような、連続フィルム中に分散する不連続相によって実現することができる。代替手段として、異なる材料のマイクロファイン層からフィルムを作製することができる。フィルム内の偏光材料は、例えば、フィルムの延伸、電場又は磁場の印加、及び、コーティング技術のような方法を利用することによって、偏光配向に揃えることができる。
【0098】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号及び同5,783,120号に記載のものが挙げられる。輝度向上フィルムとの組み合わせによるこれらの偏光フィルムの使用は、米国特許第6,111,696号に記載されている。
【0099】
ベースとして使用され得る偏光フィルムの第2の実施例は、米国特許第5,882,774号に記載されたフィルムである。市販のフィルムは、3Mより、商標名DBEF(デュアル輝度向上フィルム)で販売される多層フィルムである。輝度向上フィルムにおけるこうした多層偏光光学フィルムの使用は、米国特許第5,828,488号に記載されている。
【0100】
引張り強さ、及び伸びは、国際公開第2008/121465号に記載の、規定の試験試料の調製及び試験パラメータを使用して、ASTM D882−02に従って試験することができる。
【0101】
本明細書に記載の、輝度向上フィルムの重合構造の作製に使用するのに好適な重合性樹脂組成物は、少なくとも25MPa、30MPa、35MPa、40MPa、45MPa、又は50MPaの破断点引張り強さを有する。破断点引張り強さは、一般的に約200MPaを超えない。いくつかの実施形態では、引張り強さは、少なくとも55MPa又は60MPaである。重合性樹脂組成物はまた、少なくとも1.75%又は2%の破断点伸びも有する。いくつかの実施形態では、伸びは、少なくとも2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、又は8%である。伸びは、一般に20%未満であり、いくつかの実施形態では15%を超えない。
【0102】
重合性樹脂組成物は、一般に、少なくとも35℃、40℃、又は45℃のガラス転移温度(Tg)を有する。表面改質されたナノ粒子を含有させることで、重合性樹脂組成物のTgを上昇させることができる。それゆえ、有機成分は、(すなわち、ナノ粒子を含有する)重合性樹脂組成物よりも低いTgを有し得る。重合性樹脂組成物の動的引張り係数は、典型的には、約20℃で、少なくとも1×10である。
【0103】
本明細書に記載の重合性樹脂組成物を利用することにより、得られる輝度向上フィルムは、円筒形マンドレル屈曲試験ISO 1519:2002(E)に従って測定される耐亀裂性を示し得る。ベース基材の厚さに応じて、破壊マンドレルの寸法(すなわち、輝度向上の重合構造の亀裂を生じさせるマンドレル寸法)は、6mm、5mm、又は4mm未満である。いくつかの実施形態では、3mm又は2mmのマンドレル寸法では、亀裂は認められない。
【0104】
ε表面が0.025であるときに、Dについての等式を解くことによる、異なる厚さの予備形成ベースフィルムを有するマイクロ構造フィルムに相当する破壊マンドレル。それゆえ、国際公開第WO2008/121465に記載されるように、D=1000(T/0.025−T)である。
【0105】
次に定義する用語については、別の定義が「特許請求の範囲」中、あるいは本明細書中のいずれかの場所で与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0106】
「マイクロ構造」は、本明細書では、米国特許第4,576,850号に定義され説明されている通りに使用される。それゆえ、それは、マイクロ構造を有する物品の、予め定められた所望の利用目的又は機能を、叙述する又は特徴付ける表面の構成を意味する。物品の表面における突出部及びくぼみのような不連続は、その輪郭が、マイクロ構造を通って引かれる平均中心線(中心線より上の表面輪郭によって包囲される面積の合計が、その線より下の面積の合計と等しくなるような線)から偏位することになり、その線は物品の公称面(マイクロ構造を有する)に対して本質的に平行である。例えば、1〜30cmの表面の代表的な特性長にわたって、光学顕微鏡又は電子顕微鏡によって測定したとき、前述の偏位の高さは、一般に、約+/−0.005〜+/−750マイクロメートルである。前述の平均中心線は、平面、凹面、凸面、非球面、又はそれらの組み合わせであってもよい。その偏位が、例えば、+/−0.005〜+/−0.1又は好ましくは+/−0.05マイクロメートルの低いオーダーであり、またその偏位がまれにしか、又はほとんど生じない物品、すなわち、表面にいかなる有意な不連続も含まない物品は、マイクロ構造を有する表面が本質的に「平坦」又は「平滑」な表面であるものであって、そのような物品は、例えば、精密光学素子として、又は眼用レンズのような精密光学インタフェースを有する素子として有用である。その偏位が、低いオーダーであり、かつ頻出する物品としては、反射防止マイクロ構造を有するものが挙げられる。その偏位が、例えば、+/−0.1〜+/−750マイクロメートルの高いオーダーであり、無秩序に又は規則的に、離間するか又は隣接する、同じ又は異なる、複数個の実用的な不連続を含む、マイクロ構造に起因する物品は、再帰反射プリズム状シート、マイクロ構造成形型(例えばバリアリブ調製のためのペースト成形用)、リニアフレネルレンズ、ビデオディスク、光視準プライバシーフィルム、及び輝度向上フィルムのような物品である。マイクロ構造を有する表面は、前述の低いオーダー及び高いオーダーの両方の実用的不連続を含むことができる。マイクロ構造を有する表面は、その量又は種類が、前述の物品の予め定められた所望の実用性を有意に阻害するか、あるいは悪影響を及ぼすものではない限り、異質の不連続又は非実用的な不連続を含んでもよい。
【0107】
「屈折率」とは、材料(例えば、モノマー)の絶対屈折率を指し、自由空間中の電磁放射線の速度と、その材料中の放射線の速度との比であると理解される。屈折率は、既知の方法を使用して測定でき、一般的には、Bausch and Lomb屈折計(カタログ番号33.46.10)を使用して測定される。測定される屈折率は、計器に応じて、ある程度変動し得ることが、一般的に認識されている。
【0108】
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の両方を指す。
【0109】
用語「ナノ粒子」は、本明細書において、約100nm未満の直径を有する粒子(一次粒子又は会合一次粒子)を意味するように定義される。
【0110】
「表面改質されたコロイド状ナノ粒子」とは、ナノ粒子が安定な分散体を提供するように改質された表面をそれぞれ有する、ナノ粒子を指す。
【0111】
「安定な分散体」は、本明細書において、例えば、室温(約20〜22℃)、大気圧、及び過剰な電磁力がないという周囲条件下で、一定の時間、例えば約24時間放置された後に、コロイド状ナノ粒子が疑塊しない分散体として定義される。
【0112】
「凝集」とは、互いに化学結合されている可能性がある一次粒子間の強い会合を意味する。凝集体の、より小さい粒子への分解は、達成が困難である。
【0113】
「凝塊」とは、電荷又は極性によって保持一体化されている可能性があり、より小さい構成要素に分解可能である、一次粒子間の弱い会合を指す。
【0114】
「一次粒径」は、単一の(非凝集、非凝塊)粒子の平均直径を指す。
【0115】
終端点による数値範囲の詳細説明は、その範囲内に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0116】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物の言及は、二種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0117】
特に指示がない限り、本明細書及び添付「特許請求の範囲」に使用される成分の量、性質の測定値などを表す全ての数値は、全ての例において、「約」という用語により修飾されることを理解されたい。
【0118】
本発明は、本明細書中に記載する特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、更に適切に言えば添付の特許請求の範囲の中で適正に述べるものが本発明の全態様を包含すると理解されるべきである。本明細書を検討すると、様々な修正形態、等価の方法、及び本発明を適用できる非常に多くの構造が、本発明についての当業者には容易に明らかなはずである。
【実施例】
【0119】
1.ゲイン試験法
フィルムの光学性能は、MS−75レンズ付きSpectraScan(商標)PR−650分光測色計(Chatsworth,CAの、Photo Research,Incより入手可能)を使用して測定した。拡散透過性中空ライトボックスの最上部にフィルムを配置した。ライトボックスの拡散透過及び拡散反射は、ランベルト型として説明することができる。ライトボックスは、約6mmの厚さの拡散PTFE板から作製した、約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の大きさの六面中空キューブとした。ボックスの1つの面を、サンプル表面として選択する。中空ライトボックスは、サンプル表面で測定したところ、約0.83の拡散反射率を有していた(例えば、以下に記載の測定法によって400〜700nmの波長範囲全体にわたり平均した場合、約83%)。ゲイン試験中、ボックスの底面内の約1cmの円孔を介して内部からボックスを照光した(底面はサンプル表面に対向し、光は内部からサンプル表面に向けた)。この照光は、光の方向付けに使用する光ファイバーバンドルに取り付けられた、安定化広帯域白熱光源(Marlborough MA及びAuburn,NYの、Schott−Fostec LLC製の直径約1cmのファイバーバンドル延長部付きFostec DCR−II)を使用して提供される。標準的な直線状吸収偏光子(例えばMelles Griot 03 FPG 007)を、サンプルボックスとカメラとの間に配置する。約34cm離間したライトボックスのサンプル表面にカメラの焦点を合わせ、カメラレンズから約2.5cmの位置に吸収偏光子を配置する。照光したライトボックスの輝度は、定位置に偏光子を配置してサンプルフィルムのない状態で測定したところ、150cd/mを上回っていた。サンプルフィルムがボックスに概ね接触するように、サンプルフィルムをボックスのサンプル表面に平行に配置したときに、サンプル輝度を、PR−650を使用して、ボックスのサンプル表面の平面に対して法線入射方向で測定する。ライトボックス単独で同様に測定した輝度と、このサンプル輝度を比較することによって、相対ゲインを計算する。迷光源を排除するために、全測定を黒色包囲体中で行った。反射偏光子を含むフィルムアセンブリの相対ゲインを試験した際、反射偏光子の通過軸は、この試験システムの吸収偏光子の通過軸と揃えて配置した。プリズム状フィルムについて報告される相対ゲイン値は、一般的には、吸収偏光子に最も近いフィルムのプリズム溝を、吸収偏光子の通過軸に垂直に揃えて配置した状態で得たものである。
【0120】
ライトボックスの拡散反射率は、直径15.25cm(6インチ)のSpectralon被覆積分球、安定化広帯域ハロゲン光源、及び光源用の電源を用いて測定した。これらは全て、Labsphere(Sutton,NH)から供給されている。積分球は、3つの開口ポートを有していた。1つのポート(直径2.5cm)は、入力光用であり、90度で第2の軸に沿った1つのポート(直径2.5cm)は、検出ポートとして用いられ、90度で第3の軸に沿った(すなわち最初の2つの軸に直交する)第3のポート(直径5cm)は、サンプルポートとして用いられた。約38cm離間した検出ポートにPR−650分光測色計(上記のものと同一)の焦点を合わせた。拡散反射率が約99%であるLabsphere製の較正反射標準(SRT−99−050)を用いて、積分球の反射効率を計算した。標準は、Labsphereにより較正されたものであり、NIST標準(SRS−99−020−REFL−51)が基になっている。積分球の反射効率を以下のように計算した。
【0121】
球輝度比=1/(1−R球×R標準)
この場合の球輝度比は、参照サンプルでサンプルポートを覆って検出器ポートで測定した輝度を、サンプルでサンプルポートを覆わずに検出器ポートで測定した輝度で除すことによって得られる比である。この輝度比及び較正標準の反射率(R標準)がわかれば、積分球の反射効率(R球)を計算することができる。次に、この値を以下の類似の式中で再び用いて、サンプルの反射率(この場合、PTFEライトボックスを使用)を求める。
【0122】
球輝度比=1/(1−R球×Rサンプル)
この場合には、球輝度比は、サンプルをサンプルポートに置いたときの検出器における輝度を、サンプルを用いずに測定した輝度で除すことによって得られる比として測定される。R球は上記からわかるため、Rサンプルを計算することができる。これらの反射率を4nmの波長間隔で計算し、400〜700nmの波長範囲にわたる平均として報告した。
【0123】
単一シートゲインは、垂直(又はE.T.試験機で使用するディフューザーボックスの正面に対して垂直配向)にて試験した。水平、又は交差したシート配置においては、フィルム積み重ね体のボトムシートが垂直方向にあり、トップシートがディフューザーボックスの前面に水平又は平行である。
【0124】
2.ISO 1519に記載の屈曲試験(円筒形マンドレル)を用いて、輝度向上フィルムの耐亀裂性を測定し、破壊時のマンドレル寸法を報告した。屈曲試験は、プリズム軸線をマンドレル軸に平行にして、プリズムをマンドレルから外方向に向けた状態で実施した。プリズムのフィルムを、様々な直径のマンドレル上で屈曲させた。フィルムが十分に可撓性でない場合には、この屈曲は、一般には視覚的に認められない亀裂を開始させる。次いで、このフィルムサンプルを、バッチオーブン内で、60℃にて16時間、(屈曲させずに)エージングした。亀裂が屈曲によって開始していた場合には、エージングは一般に、亀裂を拡大させ、視覚的に明白なものにさせる。次に、バックライトを使用して照光しながら、フィルムを、亀裂に関して検査した。少なくとも3つのサンプルの平均を報告する。プリズム軸をマンドレルに平行にした状態で、フィルムを屈曲させることが、プリズムをマンドレルに垂直にして、フィルムを屈曲させることよりも苛酷な試験であることが判明している。それゆえ、フィルムがこの試験条件に合格した場合には、そのフィルムは、プリズムがマンドレルに垂直な場合にも、合格することになる。
【0125】
ZrOゾル
実施例で使用したZrOゾルは、以下の特性を有していた(米国特許第7,241,437号に記載の方法に従って測定)。
【0126】
【表1】

【0127】
%C/T=一次粒径
実施例1−表面処理剤の調製
三首丸底フラスコに、温度プローブ、機械的攪拌器、及びコンデンサを取り付ける。このフラスコに、以下の試薬を投入する:無水コハク酸83.5g、Prostab 5198阻害剤0.04g、トリエチルアミン0.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート87.2g、及びSartomerによる、商標名「SR495」のヒドロキシ−ポリカプロラクトンアクリレート(nの平均は約2)28.7g。このフラスコを中程度の攪拌で混合し、80℃まで加熱して、約6時間保持する。40℃まで冷却した後、1−メトキシ−2−プロパノール200gを加え、このフラスコを1時間混合した。反応混合物は、無水コハク酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートの反応生成物(すなわち、第2の化合物)と、無水コハク酸及びヒドロキシ−ポリカプロラクトンアクリレートの反応生成物(すなわち、C〜Cのエステル繰り返し単位を有する化合物)との、赤外線及びガスクロマトグラフィー分析による81.5/18.5重量%での混合物であると判定された。
【0128】
【化9】

【0129】
重合性樹脂組成物の調製
実施例2
ZrOゾル(40.86重量%ZrO)、実施例1の表面処理剤、2−フェニル−フェニルアクリレート/PEA/SR601の50/30/20重量%ブレンド、及びProStab 5198を、実施例1と同様の方法で組み合わせた。このブレンドに、1−メトキシ−2−プロパノールを、少なくとも混合物の水分含量の100重量%に等しい量で、添加した。水及びアルコールを真空蒸留によって除去し、得られる複合樹脂分散体が、おおよそ以下となるようにした。
【0130】
実施例1の表面処理剤、13.4部
Prostab 5198、0.005部
PEA、12.0部
SR601、8.0部
2−フェニル−フェニルアクリレート、20.0部
ZrO、46.0部
0.36重量%のDarocure 1173光反応開始剤を、蒸留後の複合樹脂に添加した。
【0131】
0.40重量%のLucirin TPO光反応開始剤を、蒸留後の複合樹脂に添加した。
【0132】
最終ブレンドの屈折率は、Bausch and Lomb屈折計(カタログ番号33.46.10)を使用して、1.624と測定された。粘度は、0°の40mm平行プレートを装備した、TA Instruments(New Castle,DE)より入手可能なAR 2000レオメーターを、500マイクロメートルのギャップ、及び1000s−1の剪断速度で使用して、48℃で300cPと報告された。
【0133】
実施例3
ZrOゾル(40.8重量% ZrO、130g)、メトキシプロパノール(56g)、実施例1の表面処理剤(メトキシプロパノール中で50%の固体にて、30.4g)、2−フェニル−フェニルアクリレート(エチルアセテート中で46%の固体にて、32.6g)/PEA(8.99g)/SR601(5.99g)の50/30/20ブレンド、及びProStab 5198(0.02g)を、三首1L丸底フラスコに投入した。水及び溶媒を真空蒸留によって除去し、得られる複合樹脂分散体が、アクリレート樹脂中で約54%のZrOとなるようにした。0.2重量%のLucirin TPO及び0.36重量%のDarocure 1173を、このアクリレート樹脂に添加した。最終混合物は、1.652の屈折率、及び60℃で1922cPの粘度を有していた。
【0134】
対照
ZrOゾル(40.86重量% ZrO)、2−フェニル−フェニルアクリレート/PEA/SR601の50/30/20重量%ブレンド、及びProStab 5198を、実施例1(先行の実施例)と同様の方法で組み合わせた。このブレンドに、1−メトキシ−2−プロパノールを、少なくとも混合物の水分含量の100重量%に等しい量で、添加した。水及びアルコールを真空蒸留によって除去し、得られる複合樹脂分散体が、おおよそ以下となるようにした。
【0135】
コハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、4.86部
Prostab 5198、0.005部
コハク酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、7.16部
PEA、12.59部
SR601、8.40部
2−フェニル−フェニルアクリレート、20.99部
ZrO、46.00部
0.36重量%のDarocure 1173光反応開始剤を、蒸留後の複合樹脂に添加した。
【0136】
0.20重量%のLucirin TPO光反応開始剤を、蒸留後の複合樹脂に添加した。
【0137】
最終ブレンドの屈折率は、Bausch and Lomb屈折計(カタログ番号33.46.10)を使用して、1.625と測定された。粘度は、0°の40mm平行プレートを装備した、TA Instruments(New Castle,DE)より入手可能なAR 2000レオメーターを、500マイクロメートルのギャップ、及び1000s−1の剪断速度で使用して、25℃で584cPと報告された。
【0138】
マイクロ構造輝度向上フィルムの調製
実施例2の重合性樹脂組成物、及び対照(すなわち、対照A)を、輝度向上フィルムに調製した。Vikuiti TBEF(St.Paul,MNの3M Co.より市販)上に認められるプリズム形状パターンに類似した、公称ピッチ間隔50マイクロメートルを有する、90度プリズムの直線状の列からなる、8インチ(20.3cm)×11インチ(27.9cm)の金属製マスターを、ホットプレート上に配置し、140°F(60℃)まで加熱することができる。各重合性樹脂の4mLのビードを、使い捨てピペットを使用して、マスター成形型に個別に適用することができる。次に、Dupont Teijin Filmsより、商標名「Melinex 623」で入手可能な、5ミル(127マイクロメートル)PETを、樹脂のビード及びマスター成形型上に配置することができる。PETフィルムは、直線状プリズムがフィルムの高ゲイン軸線に対してほぼ垂直(90°+/−20°)に配向されるように方向付けた。次いで、マスター成形型、樹脂、及びPETを、樹脂がマスター成形型を完全に充填するために十分な力で、160°F(71℃)に加熱したニップロールに通過させ、同時に、いずれの混入空気も排除することができる。充填されたマスター成形型を、次いで、Fusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD)より入手可能な、600W/in(236.2W/cm)可変電源を使用する、「D−バルブ」からの紫外線放射に、50fpm(毎分15.2メートル)の線速度で2回通過させて、曝露することができる。このマイクロ構造フィルムを、次いで、マスター成形型から手作業で取り外すことができる。ベース基材上に形成されたマイクロ構造プリズム層は、約25マイクロメートルの厚さを有していた。
【0139】
実施例4及び5
実施例2の重合性樹脂、及び対照から、2つの他の輝度向上フィルムを作製した。
【0140】
実施例4及び対照Bに関しては、Vikuiti TBEF(St.Paul,MNの3M Co.より市販)上に認められるプリズム形状パターンを、Dupont Teijin Filmsより入手可能な、ベース基材としての2ミル(50.8マイクロメートル)PETと組み合わせて用いた。ベース基材上に形成されたマイクロ構造プリズム層は、約13マイクロメートルの厚さを有していた。
【0141】
実施例5及び対照Cに関しては、Vikuiti BEF−RP(St.Paul,MNの3M Co.より市販)のベース基材として入手可能なものと類似の、公称80マイクロメートルのDBEF反射偏光子を、ベース基材として使用した。ベース基材上に形成されたマイクロ構造プリズム層は、約13マイクロメートルの厚さを有していた。
【0142】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造表面を有するマイクロ構造フィルムであって、前記マイクロ構造が、有機成分と、カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む化合物を含む表面処理剤で表面改質された、少なくとも10重量%の無機ナノ粒子とを含む、重合性樹脂組成物の反応生成物を含む、マイクロ構造フィルム。
【請求項2】
前記化合物が、以下の一般式を有する、請求項1に記載のマイクロ構造フィルム。
【化1】

(式中、
nの平均は、1.1〜6であり、
L1は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子又はエステル基によって置換され、
L2は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子によって置換され、
Yは、
【化2】

であり、
Zは、C〜Cのアルキル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む、末端基である。)
【請求項3】
L2が、C〜Cのアルキル基である、請求項2に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項4】
nの平均が、1.5〜2.5である、請求項2又は3に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項5】
Zが、C〜Cのアルキル基を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項6】
Zが、(メタ)アクリレート末端基を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項7】
前記表面処理剤が、
i)少なくとも1種の脂肪族無水物と、
ii)少なくとも1種のヒドロキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレートと、の反応生成物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項8】
前記表面処理剤が、(メタ)アクリレート末端基を含む第2の化合物を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項9】
前記第2の化合物が、脂肪族無水物と、ヒドロキシルC〜Cアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって調製される、請求項8に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項10】
マイクロ構造表面を有するマイクロ構造フィルムであって、前記マイクロ構造が、有機成分と、表面処理剤で表面改質された、少なくとも10重量%の無機ナノ粒子とを含む、重合性樹脂組成物の反応生成物を含み、前記表面処理剤の90〜100重量%が、(メタ)アクリレート末端基を含む1種以上の化合物で構成され、前記表面処理剤がオルガノシラン化合物を含まない、マイクロ構造フィルム。
【請求項11】
前記マイクロ構造表面が、ベース基材上に配置され、前記フィルムは、等式D=1000(T/0.025−T)による、破壊マンドレル寸法を有し、Tは前記ベース基材の厚さである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項12】
前記フィルムが、6mm未満の破壊マンドレル寸法を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項13】
前記重合性樹脂組成物が、少なくとも1.61の屈折率を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項14】
前記重合性樹脂組成物が、少なくとも1.650の屈折率を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項15】
前記有機成分が、少なくとも1種のビフェニルモノマーを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項16】
前記有機成分が、少なくとも1種の二官能性エチレン性不飽和芳香族モノマーを更に含む、請求項15に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項17】
前記有機成分が、前記ビフェニルモノマーよりも低い屈折率を有する1種以上の単官能性(メタ)アクリレートモノマーを更に含む、請求項15又は16に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項18】
前記無機ナノ粒子の量が、40重量%〜60重量%の範囲である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項19】
前記無機ナノ粒子が、少なくとも1.68の屈折率を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項20】
前記無機ナノ粒子が、ジルコニア、チタニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項21】
前記無機ナノ粒子が、ジルコニアを含む、請求項20に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項22】
前記フィルムが、輝度向上フィルムである、請求項1〜21のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項23】
前記フィルムが、偏光フィルムである、請求項1〜22のいずれか一項に記載のマイクロ構造フィルム。
【請求項24】
少なくとも1.60の屈折率を有する無機ナノ粒子であって、前記ナノ粒子は、カルボン酸末端基、及びC〜Cのエステル繰り返し単位、若しくは少なくとも1つのC〜C16のエステル単位を含む化合物を含む、表面処理剤で表面改質される、無機ナノ粒子。
【請求項25】
前記化合物が、以下の一般式を有する、請求項24に記載の無機ナノ粒子。
【化3】

(式中、
nの平均は、1.1〜6であり、
L1は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子又はエステル基によって置換され、
L2は、C〜Cのアルキル基、アリールアルキル基、又はアリール基であり、所望により1つ以上の酸素原子によって置換され、
Yは、
【化4】

であり、
Zは、C〜Cのアルキル基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む、末端基である。)
【請求項26】
L2が、C〜Cのアルキル基である、請求項25に記載の無機ナノ粒子。
【請求項27】
nの平均が、1.5〜2.5である、請求項25又は26に記載の無機ナノ粒子。
【請求項28】
Zが、C〜Cのアルキル基である、請求項25〜27のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子。
【請求項29】
Zが、(メタ)アクリレート末端基を含む、請求項22〜28のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子。
【請求項30】
前記表面処理剤が、
i)少なくとも1種の脂肪族無水物と、
ii)少なくとも1種のヒドロキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレートと、の反応生成物を含む、請求項25〜29のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子。
【請求項31】
前記表面処理剤が、(メタ)アクリレート末端基を含む第2の化合物を更に含む、請求項24〜30のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子。
【請求項32】
前記第2の化合物が、脂肪族無水物と、ヒドロキシルC〜Cアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって調製される、請求項31に記載の無機ナノ粒子。
【請求項33】
表面処理剤で表面改質された、少なくとも1.60の屈折率を有する無機ナノ粒子であって、前記表面処理剤の90〜100重量%が、(メタ)アクリレート末端基を含む1種以上の化合物で構成され、前記表面処理剤がオルガノシラン化合物を含まない、無機ナノ粒子。
【請求項34】
チタニア、ジルコニア、又はこれらの混合物を含む、請求項24〜33のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子。
【請求項35】
ジルコニアを含む、請求項34に記載の無機ナノ粒子。
【請求項36】
有機成分及び少なくとも10重量%の請求項24〜35のいずれか一項に記載の無機ナノ粒子を含む、重合性樹脂組成物。
【請求項37】
請求項36に記載の前記重合性樹脂組成物の反応生成物を含む、光学物品。

【公表番号】特表2012−512273(P2012−512273A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540763(P2011−540763)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065352
【国際公開番号】WO2010/074862
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】