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表面処理剤組成物およびその用途
説明

表面処理剤組成物およびその用途

【課題】炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を含まず、かつ入手が容易である含フッ素単量体を用いて、表面処理剤を提供する。
【解決手段】(i)含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位、および
(ii)炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位
を有してなる含フッ素重合体を含んでなる表面処理剤組成物。含フッ素オレフィンが、一般式:CR=CR[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、一般式:C(式中、mは1〜10の整数、nは、1〜2mの整数、pは2m+1−nである)で表される炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基又は炭素数6〜18のポリフルオロアリール基である。]で示されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理剤組成物およびその用途に関する。表面処理剤組成物は、表面処理剤、例えば、撥水撥油剤、防汚剤および離型剤として良好に使用できる。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の含フッ素化合物が提案されている。含フッ素化合物には、耐熱性、耐酸化性、耐候性などの特性に優れているという利点がある。含フッ素化合物の自由エネルギーが低い、すなわち、付着し難いという特性を利用して、含フッ素化合物は、例えば、撥水撥油剤および防汚剤として使用されている。例えば、米国特許第5247008号明細書には、(メタ)アクリル酸のパーフルオロアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステルとの共重合体の水性分散物である、繊維製品、皮革、紙および鉱物基材のための仕上げ剤が記載されている。
【0003】
撥水撥油剤および防汚剤としての表面機能の発現には、表面においてパーフルオロアルキル基が安定して配向する炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から構成される重合体または共重合体が有効であるとされてきた。
しかしながら、近年、EPA(米国環境保護庁)により、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体の分解生成物が環境負荷の高いおそれのある化合物であると指摘されており、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物での撥水撥油剤または防汚剤が要望されている。
【0004】
また、(メタ)アクリル酸の(パー)フルオロアルキルエステルは、テトラフルオロエチレンなどを使用して幾つかの工程を経て製造されている。すなわち、(メタ)アクリル酸の(パー)フルオロアルキルエステルは、製造が煩雑であるので、入手が容易でないという不都合を有する。入手が容易である含フッ素単量体を用いて、表面処理剤を製造することが要望されている。
【0005】
フルオロオレフィンを用いる重合体が、例えば、特開昭49−11915号公報、特開昭61−113607号公報および特開2009−126990号公報に開示されているが、開示されている重合体は、表面処理剤として充分な性能を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5247008号明細書
【特許文献2】特開昭49−11915号公報
【特許文献3】特開昭61−113607号公報
【特許文献4】特開2009−126990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を含まず、かつ入手が容易である含フッ素単量体を用いて、表面処理剤を提供することにある。本発明の他の目的は、表面処理剤として要求される性能、例えば、撥水撥油性、防汚性、離型性、基材に対する密着性、防蝕性、風合い、耐水性、耐油性、これら性能の耐久性を有する含フッ素組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(i)含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位、および
(ii)炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位
を有してなる含フッ素重合体を含んでなる表面処理剤組成物(含フッ素組成物)を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を含まず、かつ入手が容易である単量体を用いて、表面処理剤組成物(含フッ素組成物)が得られる。含フッ素組成物は、表面処理剤として要求される性能、例えば、良好な撥水撥油性、防汚性、離型性、基材に対する密着性、防蝕性、風合い、耐水性、耐油性、これら性能の耐久性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、含フッ素組成物は、表面処理剤(例えば、撥水撥油剤、防汚剤および離型剤)として使用できる。
含フッ素組成物は、含フッ素重合体を含有する。含フッ素重合体は、含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位および炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位を有する。
【0011】
本発明においては、含フッ素重合体を構成する単量体として、含フッ素オレフィン(i)および炭化水素系ビニル(ii)を使用する。必要により非フッ素非架橋性単量体(iii)、および/または非フッ素架橋性単量体(iv)を使用してもよい。
【0012】
(i)含フッ素オレフィン
含フッ素オレフィン(i)は、フッ素原子を含有する炭素数2〜20のオレフィン(特に、モノオレフィン)であることが好ましい。含フッ素オレフィンは、炭素原子とフッ素原子の組合せ、あるいは炭素原子とフッ素原子と水素原子の組合せ、あるいは炭素原子とフッ素原子と塩素原子の組合せ、炭素原子とフッ素原子と水素原子と塩素原子の組合せからなっていてよい。
【0013】
含フッ素オレフィン(i)は、一般式:
CR=CR
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、一般式:C(式中、mは1〜10の整数、nは、1〜2mの整数、pは2m+1−nである)で表される炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基又は炭素数6〜18のポリフルオロアリール基であり、
、R、R及びRの少なくとも1つは、フッ素原子、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、一般式:C(式中、mは1〜10の整数、nは、1〜2mの整数、pは2m+1−nである)で表される炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基又は炭素数6〜18のポリフルオロアリール基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
【0014】
基、R基、R基およびR基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでも良い。パーフルオロアルキル基およびポリフルオロアルキル基の炭素数は、1〜7、例えば1〜6であることが好ましい。
【0015】
基、R基、R基およびR基の(原子ではない)例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、ジフルオロメチル基、2H-パーフルオロエチル基、3H-パーフルオロプロピル基、4H-パーフルオロブチル基、5H-パーフルオロペンチル基、6H-パーフルオロヘキシル基、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、フルオロアントラニル基などが挙げられる。
基およびR基がフッ素原子であり、R基およびR基のそれぞれが独立的に水素原子、塩素原子、フッ素原子またはポリフルオロアルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
【0016】
含フッ素オレフィン(i)の好ましい例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、CH2=CFCF3(1234yf)、CH2=CHCF3(1243zf)、CH2=CFCHF2(1243yf)、CH2=CClCF3、およびペルフルオロヘキシルエチレンが挙げられる。テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。
【0017】
(ii)炭化水素系ビニル
炭化水素系ビニル(ii)は、フッ素原子を含有しない(一般に炭素数2〜32の、特に炭素数2〜22の)オレフィン(特に、モノオレフィン)である。炭化水素系ビニル(ii)は、炭素原子および水素原子を有しており、酸素原子を有していてもよい。炭化水素系ビニル(ii)の好ましい例は、カルボン酸のビニルエステルである。カルボン酸は、炭素数1〜30、特に炭素数2〜22の(一般に飽和の)脂肪族、芳香族、(一般に飽和の)脂環族または芳香脂肪族のカルボン酸であることが好ましい。炭化水素系ビニル(ii)は、1つの2重結合を有しており、架橋性反応基を有しないことが好ましい。
【0018】
炭化水素系ビニル(ii)は、式:
CH=CH−O−C(=O)R
[式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族、芳香族、脂環族または芳香脂肪族の炭化水素基である。]
で示されるカルボン酸ビニルエステルであることが好ましい。
脂肪族、芳香族、脂環族または芳香脂肪族の炭化水素基は、炭素数1〜22の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数6〜22の芳香族基、あるいは炭素数4〜22の脂環族基または炭素数7〜22の芳香脂肪族基であることが好ましい。
【0019】
炭化水素系ビニル(ii)の好ましい具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ベヘニル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルが挙げられる。ステアリン酸ビニルが特に好ましい。
【0020】
(iii)非フッ素非架橋性単量体
非フッ素非架橋性単量体(iii)は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素非架橋性単量体(iii)は、架橋性官能基を有さない。非フッ素非架橋性単量体(iii)は、架橋性単量体(iv)とは異なり、非架橋性である。非フッ素非架橋性単量体(iii)は、好ましくは、炭素−炭素二重結合を有する非フッ素単量体である。非フッ素非架橋性単量体(iii)は、好ましくは、フッ素を含まないビニル単量体である。非フッ素非架橋性単量体(iii)は一般には、1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物である。
【0021】
好ましい非フッ素非架橋性単量体(iii)は、式:
CH=CA0−T
[式中、A0は、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、塩素原子、炭素数1〜22の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1〜22の有機基である。]
で示される化合物であってよい。
【0022】
炭素数1〜22の鎖状または環状の炭化水素基の例は、炭素数1〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜22の環状脂肪族基、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基、炭素数7〜22の芳香脂肪族炭化水素基である。
【0023】
エステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1〜22の有機基の例は、-C(=O)-O-Q および-O-C(=O)-Q(ここで、Qは、炭素数1〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜22の環状脂肪族基、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基、炭素数7〜22の芳香脂肪族炭化水素基)である。
【0024】
非フッ素非架橋性単量体(iii)の好ましい例には、例えば、エチレン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。非フッ素非架橋性単量体(iii)はこれらの例に限定されない。
【0025】
非フッ素非架橋性単量体(iii)は、アルキル基を有する(メタ)アクリレートエステルであってよい。アルキル基の炭素原子の数は1〜30であってよく、例えば、6〜30(例えば、10〜30)であってよい。例えば、非フッ素非架橋性単量体(iii)は、一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、C2n+1(n=1〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであってよい。例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートであってよい。
【0026】
非フッ素非架橋性単量体(iii)は、環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体であってよい。環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体は、(好ましくは一価の)環状炭化水素基および一価の(メタ)アクリレート基を有する化合物である。一価の環状炭化水素基と一価の(メタ)アクリレート基は、直接に結合している。環状炭化水素基としては、飽和または不飽和である、単環基、多環基、橋かけ環基などが挙げられる。環状炭化水素基は、飽和であることが好ましい。環状炭化水素基の炭素数は4〜20であることが好ましい。環状炭化水素基としては、炭素数4〜20、特に5〜12の環状脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数7〜20の芳香脂肪族基が挙げられる。環状炭化水素基の炭素数は、15以下、例えば10以下であることが特に好ましい。環状炭化水素基の環における炭素原子が、(メタ)アクリレート基におけるエステル基に直接に結合することが好ましい。環状炭化水素基は、飽和の環状脂肪族基であることが好ましい。環状炭化水素基の具体例は、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基である。(メタ)アクリレート基は、アクリレート基またはメタアクリレート基であるが、メタクリレート基が好ましい。環状炭化水素基を有する単量体の具体例としては、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート等が挙げられる。
【0027】
(iv)非フッ素架橋性単量体
本発明の含フッ素重合体は、非フッ素架橋性単量体(iv)から誘導された繰り返し単位を有していてよい。非フッ素架橋性単量体(iv)は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素架橋性単量体(iv)は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。非フッ素架橋性単量体(iv)は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、などである。
非フッ素架橋性単量体(iv)は、反応性基を有するモノ(メタ)アクリレート、(メタ)ジアクリレートまたはモノ(メタ)アクリルアミドであってよい。あるいは、非フッ素架橋性単量体(iv)は、ジ(メタ)アクリレートであってよい。
非フッ素架橋性単量体(iv)の1つの例は、ヒドロキシル基を有するビニル単量体である。
【0028】
非フッ素架橋性単量体(iv)としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノクロロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
【0029】
非フッ素非架橋性単量体(iii)および/または非フッ素架橋性単量体(iv)を共重合させることにより、撥水撥油性や防汚性およびこれらの性能の耐クリーニング性、耐洗濯性、溶剤への溶解性、硬さ、感触などの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
【0030】
含フッ素重合体において、含フッ素オレフィン(i)100重量部に対して、
炭化水素系ビニル(ii)の量が2〜500重量部、例えば5〜200重量部、特に20〜150重量部であり、
非フッ素非架橋性単量体(iii)の量が1000重量部以下、例えば0.1〜300重量部、特に1〜200重量部であり、
非フッ素架橋性単量体(iv)の量が50重量部以下、例えば30重量部以下、特に0.1〜20重量部であってよい。
あるいは、含フッ素重合体において、含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位(i)/炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位(ii)の比率が1〜80mol%/20〜99mol%、好ましくは10〜60mol%/40〜90mol%、例えば15〜40mol%/60〜85mol%であってよい。
【0031】
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に1000〜1000000、例えば2000〜500000、特に3000〜200000であってよい。含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定する。
【0032】
本発明における含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。
【0033】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、必要により窒素置換し、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0034】
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0035】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、必要により窒素置換し、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0036】
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、油溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0037】
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0038】
含フッ素重合体は、繊維などの種々の基材を表面処理するために使用できる。
含フッ素重合体は、繊維製品を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって繊維状基材(例えば、繊維製品など)に適用することができる。繊維製品に適用される溶液におけるフルオロシリコーン反応生成物の濃度は、例えば、0.5重量%〜20重量%、あるいは、1重量%〜5重量%であってよい。繊維製品が布であるときには、布を溶液に浸してよく、あるいは、布に溶液を付着または噴霧してよい。処理された繊維製品は、撥油性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
【0039】
あるいは、含フッ素重合体はクリーニング法によって繊維製品に適用してよく、例えば、洗濯適用またはドライクリーニング法などにおいて繊維製品に適用してよい。
【0040】
処理される繊維製品は、典型的には、布であり、これには、織物、編物および不織布、衣料品形態の布およびカーペットが含まれるが、繊維または糸または中間繊維製品(例えば、スライバーまたは粗糸など)であってもよい。繊維製品材料は、天然繊維(例えば、綿または羊毛など)、化学繊維(例えば、ビスコースレーヨンまたはレオセルなど)、または、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル繊維など)であってよく、あるいは、繊維の混合物(例えば、天然繊維および合成繊維の混合物など)であってよい。本発明の製造重合体は、セルロース系繊維(例えば、綿またはレーヨンなど)を疎油性および撥油性にすることにおいて特に効果的である。また、本発明の方法は一般に、繊維製品を疎水性および撥水性にする。
【0041】
あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。製造重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。
あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。製造重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。
【0042】
本発明の含フッ素組成物は、溶液、エマルション(特に、水性エマルション)またはエアゾールの形態であることが好ましい。含フッ素組成物は、含フッ素重合体(表面処理剤の活性成分)および媒体(特に、液状媒体、例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。媒体の量は、例えば、含フッ素組成物に対して、5〜99.9重量%、特に10〜80重量%であってよい。
含フッ素組成物において、含フッ素重合体の濃度は、0.01〜95重量%、例えば5〜50重量%であってよい。
【0043】
本発明の含フッ素組成物は、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。通常、該含フッ素組成物を有機溶剤または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本発明の含フッ素組成物に、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における含フッ素重合体の濃度は0.01〜10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05〜10重量%であってよい。
【0044】
本発明の含フッ素組成物(例えば、撥水撥油剤)で処理される被処理物としては、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。
【0045】
繊維製品は、繊維、布等の形態のいずれであってもよい。本発明の含フッ素組成物でカーペットを処理する場合に、繊維または糸を含フッ素組成物で処理した後にカーペットを形成してもよいし、あるいは形成されたカーペットを含フッ素組成物で処理してもよい。
本発明の含フッ素組成物は、内部離型剤あるいは外部離型剤としても使用できる。
【0046】
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、%は、特記しない限り、重量%を表わす。
試験(含フッ素重合体の分析および撥水撥油性の測定)は以下のようにして行った。
【0048】
「分子量測定1」:
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とし、SHOWA DENKO製のShodex GPC−104 (カラムLF604×2直列)を用いて測定した。尚、クロマトグラムは、標準ポリスチレンのサンプルを用いて校正した。
【0049】
「分子量測定2」:
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、HCFC225と1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ−2−プロパノールを90対10で混合したものを溶媒とし、カラムとしてTOSOH TSKguardcolumn HXL−L(6.0mmI.D.×4cm)、TOSOH TSKgel G4000HXL(7.8mmI.D.×30cm)、TOSOH TSKgel G3000HXL(7.8mmI.D.×30cm)、TOSOH TSKgel G2000HXL(7.8mmI.D.×30cm)を直列に配管したものを用いて、30℃でGPC分析により測定した。尚、クロマトグラムは、標準PMMA(ポリメチルメタアクリレート)のサンプルを用いて校正した。
【0050】
「熱的特性」:
含フッ素重合体のガラス転移温度(Tg)または結晶融点(Tm)は、熱分析計DSC(SEIKO−RDC220)にて、−50〜150℃の温度範囲で10℃/分の昇温スピードにより測定した。
【0051】
「撥水撥油性」:
含フッ素重合体の撥水撥油性評価として、水滴(表面張力72mN/m)およびn−ヘキサデカン滴(表面張力27mN/m、以下、HDと略す)の動的接触角を以下の様にして測定した。動的接触角の指標として、転落角(deg)、および前進接触角と後退接触角の差を表すヒステリシス(deg)を測定して評価した。即ち、含フッ素重合体を有機溶媒中の1%溶液とし、スピンコート法(2000rpm)でガラス基板に塗布後、乾燥して製膜した。次に、協和界面科学(株)製の接触角計(商品名「CA−VP」)を用いて、水滴20μlまたはHD滴5μlの動的接触角を測定した。測定は、JISR3257に準じ、温度15〜20℃、相対湿度50〜70%である。転落角の小さい方が、並びにヒステリシスの小さい方が、撥水撥油性に優れる。
【0052】
「シャワー撥水性」:
シャワー撥水性は、JIS−L−1092のスプレー法による撥水性No.(下記表1参照)をもって表す。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例1
300mlオートクレーブに、ステアリン酸ビニル6.0g(19mmol)、酢酸ブチル50g、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを入れて密封し、窒素置換により系内の酸素を除去した。次いで、ヘキサフルオロプロピレン8.7g(57mmol)を仕込み、徐々に温度を上げて、60℃で12時間保って重合反応を行った。室温に冷却した反応液を多量のアセトン中に投入して重合体を沈殿させ、濾取、洗浄後、真空乾燥して含フッ素重合体を得た。ヘキサフルオロプロピレンより誘導された重合単位の含有率が42mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0055】
実施例2
ヘキサフルオロプロピレンをテトラフルオロエチレン5.7g(57mmol)に変更すること以外は、実施例1と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が51mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0056】
実施例3
ステアリン酸ビニルを酢酸ビニル1.7g(19mmol)に変更すること、重合後の反応液を多量のメタノール中に投入して重合体を沈殿させること以外は、実施例1と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。ヘキサフルオロプロピレンより誘導された重合単位の含有率が34mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0057】
実施例4
ステアリン酸ビニルを酢酸ビニル1.7g(19mmol)に変更すること、重合後の反応液を多量のメタノール中に投入して重合体を沈殿させること以外は、実施例2と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が52mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0058】
実施例5
ヘキサフルオロプロピレンをクロロトリフルオロエチレン6.9g(57mmol)に変更すること以外は、実施例3と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。クロロトリフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が53mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0059】
比較例1
300mlオートクレーブに、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(CH2=CH-COO-(CH2)2-(CF2)8F)9.8g(19mmol)、HCFC225 50g、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを入れ、窒素置換により系内の酸素を除去した。次いで、徐々に温度を上げて、60℃で12時間保って重合反応を行った。室温に冷却した反応液を多量のアセトン中に投入して重合体を沈殿させ、濾取、洗浄後、真空乾燥して含フッ素重合体を得た。得られた含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0060】
比較例2
2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレートを2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(CH2=C(CH3)-COO-(CH2)2-(CF2)6F)8.4g(19mmol)に変更すること以外は、比較例1と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。得られた含フッ素重合体の分析結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

(実施例1〜5のMnは分子量測定1の方法により測定し、比較例1〜2のMnは分子量測定2の方法により測定した。表中、nd:観測されず。)
【0062】
実施例6
実施例1で得られた含フッ素重合体をメチルイソブチルケトン溶媒中の1%溶液とし、スピンコート法(2000rpm)でガラス基板に塗布後、室温で48時間真空乾燥して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0063】
実施例7
実施例2で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例6と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0064】
実施例8
実施例3で得られた含フッ素重合体をメチルイソブチルケトン溶媒中の1%溶液とし、スピンコート法(2000rpm)でガラス基板に塗布後、75℃で3分間熱処理して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0065】
実施例9
実施例4で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例8と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0066】
実施例10
実施例5で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例8と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に示す。
【0067】
比較例3
比較例1で得られた含フッ素重合体をHCFC225溶媒中の1%溶液とし、スピンコート法(2000rpm)でガラス基板に塗布後、75℃で3分間熱処理して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0068】
比較例4
比較例2で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、比較例3と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表3に、およびHD滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表4に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
実施例11
実施例1で得られた含フッ素重合体1gとメチルイソブチルケトン99gを混合して、処理液を得た。得られた処理液にPolyester布(タフタ、25cm×25cm)を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップが40%となるようにした。次いで、布を局所排気装置内で24時間室温乾燥し、更に120℃で3分間熱処理することにより、布の処理を完了した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表5に示す。
【0072】
実施例12
実施例2で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例11と同じ手順を繰り返して布を処理した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表5に示す。
【0073】
比較例5
処理液として比較例1で得られた含フッ素重合体1gとHCFC225 99gの混合液を用いること以外は、実施例11と同じ手順を繰り返して布を処理した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表5に示す。
【0074】
比較例6
比較例2で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、比較例5と同じ手順を繰り返して布を処理した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表5に示す。
【0075】
【表5】

【0076】
表3および表4から判るように、本発明の含フッ素重合体は、転落角並びにヒステリシスの測定値が低い。転落角並びにヒステリシスが小さいことは、水滴およびHD滴に対する環境応答性が小さいことを示しており、本発明の含フッ素重合体の撥水撥油性が優れていることが判る。また、表5から、繊維の撥水撥油剤用途でも本発明の含フッ素重合体の撥水撥油性が優れていることが判る。
【0077】
実施例13
300mlオートクレーブに、ステアリン酸ビニル10.0g(32mmol)、酢酸ブチル50.0g、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを入れて密封し、窒素置換により系内の酸素を除去した。次いで、テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)を仕込み、徐々に温度を上げて、60℃で12時間保って重合反応を行った。室温に冷却した反応液を多量のアセトン中に投入して重合体を沈殿させ、濾取、洗浄後、真空乾燥して含フッ素重合体を得た。テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が63mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0078】
実施例14
テトラフルオロエチレンの量を1.0g(10mmol)に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が25mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0079】
実施例15
テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)をヘキサフルオロプロピレン1.3g(9mmol)に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。ヘキサフルオロプロピレンより誘導された重合単位の含有率が12mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0080】
実施例16
テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)の含フッ素オレフィン1種をテトラフルオロエチレン8.0g(80mmol)かつヘキサフルオロプロピレン2.6g(17mmol)の含フッ素オレフィン2種に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が49mol%、かつヘキサフルオロプロピレンより誘導された重合単位の含有率が12mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0081】
実施例17
テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)をフッ化ビニリデン3.0g(47mmol)に、かつステアリン酸ビニルの量を9.5g(31mmol)に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。フッ化ビニリデンより誘導された重合単位の含有率が16mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0082】
実施例18
テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)をペルフルオロヘキシルエチレン6.7g(19mmol)に、かつステアリン酸ビニルの量を6.0g(17mmol)に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。ペルフオロヘキシルエチレンより誘導された重合単位の含有率が15mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0083】
実施例19
テトラフルオロエチレン21.0g(210mmol)をCH2=CFCF3(以下、1234yf)10.0g(88mmol)に、かつステアリン酸ビニルの量を18.0g(58mmol)に変更すること以外は、実施例13と同じ手順を繰り返し、含フッ素重合体を得た。1234yfより誘導された重合単位の含有率が51mol%であった含フッ素重合体の分析結果を表6に示す。
【0084】
【表6】

(実施例13〜19のMnは分子量測定1の方法により測定した。)
【0085】
実施例20
実施例13で得られた含フッ素重合体をメチルイソブチルケトン溶媒中の1%溶液とし、スピンコート法(2000rpm)でガラス基板に塗布後、室温で48時間真空乾燥して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0086】
実施例21
実施例14で得られた含フッ素重合体を用いること、かつメチルイソブチルケトンをトルエンに変更すること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0087】
実施例22
実施例15で得られた含フッ素重合体を用いること、かつメチルイソブチルケトンをトルエンに変更すること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0088】
実施例23
実施例16で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0089】
実施例24
実施例17で得られた含フッ素重合体を用いること、かつメチルイソブチルケトンをトルエンに変更すること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0090】
実施例25
実施例18で得られた含フッ素重合体を用いること、かつメチルイソブチルケトンをトルエンに変更すること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0091】
実施例26
実施例19で得られた含フッ素重合体を用いること以外は、実施例20と同じ手順を繰り返して製膜した。得られた塗膜について、水滴の転落角とヒステリシスを測定した結果を表7に示す。
【0092】
【表7】

【0093】
実施例27
1Lオートクレーブに、ステアリン酸ビニル38.3g(123mmol)、純水79.8g、トリプロピレングリコール13.5g、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.4g、ポリエチレングリコールラウリルエーテル3.4gを入れ、撹拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。乳化後n−ドデシルメルカプタン0.2gを添加し、密封して窒素置換により系内の酸素を除去した。さらにテトラフルオロエチレン12.3g(123mmol)を圧入充填した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.2gを添加し、10時間反応させ、本発明の含フッ素共重合体の水性分散液を得た。最後に、含フッ素共重合体の20%水性分散液になるように水で希釈した。含フッ素共重合体は、分子量Mnが25,900であって(Mnは分子量測定1の方法により測定した)、テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が9mol%であった。
【0094】
実施例28
1Lオートクレーブに、ステアリン酸ビニル11.6g(37mmol)、純水996.5g、トリプロピレングリコール3.5g、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド0.4g、ポリエチレングリコールラウリルエーテル0.9gを入れ、撹拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。乳化後、密封して窒素置換により系内の酸素を除去した。さらにテトラフルオロエチレン76.0g(760mmol)を圧入充填した。さらに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.1gを添加し、10時間反応させ、本発明の含フッ素共重合体の水性分散液を得た。最後に、含フッ素共重合体の20%水性分散液になるように水で希釈した。含フッ素共重合体は、分子量Mnが44,800であって(Mnは分子量測定1の方法により測定した)、テトラフルオロエチレンより誘導された重合単位の含有率が24mol%であった。
【0095】
実施例29
実施例27で得られた含フッ素共重合体の水性分散液1.0gを水99.0gに希釈して、処理液を得た。得られた処理液にPolyester布(タフタ、25cm×25cm)を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップが40%となるようにした。次いで、120℃で3分間乾燥し、更に170℃で1分間熱処理することにより、布の処理を完了した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表8に示す。
【0096】
実施例30
実施例28で得られた含フッ素共重合体の水性分散液を用いること以外は、実施例29と同じ手順を繰り返し、布を処理した。得られた布について、シャワー撥水試験した結果を表8に示す。
【0097】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位、および
(ii)炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位
を有してなる含フッ素重合体を含んでなる表面処理剤組成物。
【請求項2】
含フッ素オレフィンが、一般式:
CR=CR
[式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、一般式:C(式中、mは1〜10の整数、nは、1〜2mの整数、pは2m+1−nである)で表される炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基又は炭素数6〜18のポリフルオロアリール基であり、
、R、R及びRの少なくとも1つは、フッ素原子、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、一般式:C(式中、mは1〜10の整数、nは、1〜2mの整数、pは2m+1−nである)で表される炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、炭素数6〜18のパーフルオロアリール基又は炭素数6〜18のポリフルオロアリール基である。]
で表されるものである請求項1に記載の表面処理剤組成物。
【請求項3】
含フッ素オレフィンが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、CH2=CFCF3(1234yf)、CH2=CHCF3(1243zf)、CH2=CFCHF2(1243yf)、CH2=CClCF3およびペルフルオロヘキシルエチレンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の表面処理剤組成物。
【請求項4】
含フッ素オレフィンが、テトラフルオロエチレン、またはヘキサフルオロプロピレンである請求項1に記載の表面処理剤組成物。
【請求項5】
炭化水素系ビニル(ii)が、炭素数1〜30のカルボン酸から得られたカルボン酸のビニルエステルである請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項6】
炭化水素系ビニル(ii)が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ベヘニル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルおよび安息香酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項7】
炭化水素系ビニル(ii)がステアリン酸ビニルである請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項8】
含フッ素重合体が、さらに
(iii)非フッ素非架橋性単量体から誘導された繰り返し単位
を有する請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項9】
含フッ素重合体が、さらに
(iv)非フッ素架橋性単量体から誘導された繰り返し単位
を有する請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項10】
液状媒体をさらに含有する請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項11】
含フッ素重合体において、含フッ素オレフィンから誘導された繰り返し単位(i)/炭化水素系ビニルから誘導された繰り返し単位(ii)の比率が1〜80mol%/20〜99mol%である請求項1〜10のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項12】
撥水撥油剤、防汚剤または離型剤である請求項1〜11のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
【請求項13】
請求項1〜12項のいずれかに記載の表面処理剤組成物で処理することからなる、基材を処理する方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の表面処理剤組成物によって処理された繊維製品。

【公開番号】特開2013−100493(P2013−100493A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230168(P2012−230168)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】