説明

表面処理装置

【目的】 大型の電極を使用する場合や高い周波数の高周波電力を使用する場合でも、プラズマ密度が不均一化することがなく、均一な表面処理が行えるようする。
【構成】 真空容器1内に配置された電極体3に複数の電力供給箇所で高周波電力を印加し放電用ガスを放電させてプラズマを生成する。電極体3はプラズマを生成する空間に対向した表面の周縁上の任意の二点のうちの最も距離の長い二点間の距離が高周波電力の波長の四分の一よりも長い形状であり、かつ、電極体3への複数の電力供給箇所は例えば中心対称状のように均等な位置に設定される。電極体3の表面インピーダンスによる損失が小さくかつ損失が均一になり、高周波電力の波長の影響によるプラズマの不均一性も生じないので、高い密度の均一なプラズマを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願の発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置に関し、特に、高周波電力により生じさせた気体放電によってプラズマを生成するタイプの表面処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基板の表面に各種処理を施すことは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶ディスプレイ)、情報記録ディスク等の製作において盛んに行われている。表面処理の種類は、薄膜形成、エッチング、表面改質など多岐に亘るが、多くの場合、プラズマの物理的又は化学的作用を利用した表面処理が行われている。このような表面処理のためのプラズマ生成の方式には、いつかのタイプが存在するが、高密度プラズマを高効率で得る観点から、高周波電力により生じさせた気体放電を使用する方式が頻繁に採用されている。
【0003】図5は、このような高周波電力による気体放電を使用した従来の表面処理装置の構成を説明する概略図である。図5に示す表面処理装置は、排気系11を備えた真空容器1と、真空容器1内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系2と、真空容器1内の所定の位置に配置された電極体3と、この電極体3に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構4とを具備している。
【0004】電力印加機構4は、高周波を発生させる高周波電源41と、高周波電源41が発生させた高周波電力を真空容器1内の電極体3に導く導波体42と、導波体42上に配置された整合器43等から構成される。基板50は、多くの場合、プラズマが生成される空間(以下、プラズマ生成空と略称する)を挟んで電極体3に対向して配置された基板ホルダ5上に保持される。
【0005】図5の表面処理装置において、排気系11によって排気された真空容器1内に放電用ガス導入系2によって放電用ガスを導入するとともに、電力印加機構4によって電極体3に所定の高周波電力を印加する。導入された放電用ガスは電極体3に誘起された高周波の電界によって放電し、プラズマを生成する。そして、生成されたプラズマの物理的又は化学的作用によって、基板5の表面に所定の処理が施される。例えば放電用ガスとしてエッチング作用を有するガスを導入すれば、基板5の表面に所定のエッチング処理が行われることになる。尚、印加される高周波電力は、HF帯に属する13.56MHzの周波数のものが採用されることが多い。また、ECR(電子サイクロトロン共鳴)を利用してプラズマを生成する装置では、2.54GHzのマイクロ波が使用される場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような表面処理装置の一つの傾向として、処理される基板の大型化という点がある。これは、例えばLCD用の基板の場合、表示面積の大きなLCDを製作する必要から、基板が大型化する傾向がある。また、LSI用のウエハの分野でも、一枚のウエハから多くのデバイスを製作する要請上、ウエハサイズは大きくなる傾向にある。このように大型の基板の表面をプラズマによって処理する場合、基板の表面の大きさに対応した大きなプラズマ生成空間が必要になる。このことは、上記のような電極体を使用した表面処理装置では、基板の大型化に従って電極体も大きくしていかなければならないことを意味する。
【0007】しかしながら、発明者の研究によると、上述のような高周波電力を使用した装置において電極体が大きくなると、高周波電力の波長に対する電極体の大きさの相対的な関係から、生成されるプラズマの分布が不均一になり易いことが判明した。即ち、電極体のプラズマ生成空間に対向した表面(以下、前面と称す)の大きさが、高周波電力の波長よりも充分小さい場合には、高周波電力の波長に起因するプラズマ密度の不均一性の問題は生じない。しかし、電極体の前面の大きさが高周波電力の波長の四分の一の長さ(以下、λ/4)に近づくと、プラズマ密度の不均一性の問題が徐々に顕在化する。これは、電極体によってプラズマ生成空間に誘起される電界の強度が高周波電力の波長に応じた強弱の分布を有することに起因している。発明者の検討によると、電極体が大きくなり前面の大きさがλ/4を越えてしまうと、上記従来装置の構成では実用上かなり問題となるプラズマ密度不均一性となってしまう。
【0008】一方、アモルファスシリコン薄膜等を作成する表面処理の分野では、良質な薄膜を得るため、上述のようなHF帯の高周波ではなく、VHF帯の高周波の使用が提案されている(S.Oda, Plasma Sources Sci.Technol., 2 (1993) 26)。この提案によると、13.56MHzの場合と同じ大きさの電圧を144MHzの高周波で印加することによって成膜速度は13.56MHzの場合の約30倍となり、かつ膜中のSiH2結合の現象により膜質が向上し、さらにSiの微粒子の生成も防ぐことが可能であると報告されている。
【0009】しかしながら、144MHz程度のVHF帯の高周波を使用すると、上記のようなプラズマ密度の不均一性の問題は避けられなくなる。即ち、例えばTFTアクティブマトリックス型LCDを製作する際のアモルファスシリコン薄膜の作成では、500mm×600mm程度の方形な板状の電極体が使用される。一方、144MHzの高周波電力の波長は2.1m程度となり、従って、λ/4は500mm程度となる。この数字は、前記電極体の前面の大きさにほぼ等しくなる。このため、上記文献で提案されているような144MHzの高周波を従来の装置に適用した場合には、前述のように不均一なプラズマが生成されてしまう。
【0010】また一方、上記文献のようなVHF帯の高周波を使用したプラズマでは、表皮効果に起因した電極体の表面インピーダンスの問題も顕在化する。即ち、VHF帯のように周波数が高くなると、高周波電流は導体表面付近のみを流れるようになる。電流が流れる導体表面付近の領域の厚さ(以下、表皮厚み)δは、δ=√{2/(ωμ0 σ)}(但し、ω;角周波数,μ0 ;透磁率,σ;導電率)で与えられる。即ち、表皮厚みδは、ω(=2πf)の1/2乗に比例して小さくなるため、VHF波の場合、13.56MHzのHF波に比べると2/3〜1/5程度となってしまう。
【0011】このため、電極体の表面におけるジュール損が大きくなり、その結果、プラズマ生成全体の電力効率が低下するとともに、伝搬経路の長さの相違によるプラズマ密度の不均一化の問題も生じる。さらに、電極体の表面インピーダンスは、電極体の表面の荒さや汚れ等に左右され、一様な表面インピーダンスを達成することは困難である。それ故、この点でも従来の装置でのVHF波の使用は、プラズマ密度の不均一化をもたらすことになる。尚、上記のようなプラズマ密度の不均一化は、当然のことながら、基板に対する表面処理の不均一化をもたらす。
【0012】本願発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、大型の電極を使用する場合や、又は、より高い周波数の高周波電力を使用したりする場合であっても、プラズマ密度が不均一化することがなく、基板に対する均一な表面処理が行えるような装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本願の請求項1記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、真空容器内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系と、真空容器内の所定の位置に配置された電極体と、この電極体に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電極体は、その前面の周縁上の任意の二点のうちの最も距離の長い二点間の距離が、前記高周波電力の波長の四分の一よりも長い形状であり、かつ、前記電力印加機構による電極体への電力供給箇所は均等な位置に複数設定されているという構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求項2記載の発明は、上記請求項1の構成において、高周波電力の周波数は、30から300MHzのVHF帯に属しているという構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2の構成において、電力印加機構は、高周波電力を発生させる高周波電源と、高周波電源の出力を複数の電力供給箇所の数に相当する数に分岐させる分岐器と、高周波電源から分岐器への高周波電力の供給ライン上に配置された整合器と、分岐器で分岐された高周波電力を前記電力供給箇所の各々に導く分岐導波体とから構成されている。同様に上記目的を達成するため、請求項4記載の発明は、上記請求項1又は2の構成において、電力印加機構は、高周波電力を発生させる高周波電源と、高周波電源の出力を複数の電力供給箇所の数に分岐させる分岐器と、この分岐器で分岐された高周波電力を電力供給箇所の各々に導く分岐導波体と、各々の分岐導波体による高周波電力の供給ライン上にそれぞれ配置された整合器とから構成されている。同様に上記目的を達成するため、請求項5記載の発明は、上記請求項1,2,3又は4の構成において、電極体は板状の部材であり、電力供給箇所は、裏面即ちプラズマ生成空間に対向した前面とは反対側の面において当該裏面の中心に対して中心対称状又は中心を通る裏面上の線に対して線対称状に設定されているという構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求項6記載の発明は、上記請求項1,2,3又は4の構成において、電極体は、板状の電極本体とこの電極本体の周縁からプラズマ生成空間とは反対側に向けて延びるようにして設けられたスカート部から構成されており、前記電力供給箇所は、このスカート部に設定されているという構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求項7記載の発明は、上記請求項6の構成において、電力供給箇所は、電極本体の中心軸に対して中心対称状又は中心軸に垂直に交わる線に対して線対称状に設定されているという構成を有する。同様に上記目的を達成するため、請求項8記載の発明は、上記請求項1,2,3,4,5,6又は7の構成において、電極体は方形な前面を有し、プラズマを利用して処理される基板は液晶ディスプレイ用又は太陽電池用の基板であるという構成を有する。
【0014】
【実施例】以下、本願の発明の実施例を説明する。以下の説明では、表面処理装置の一例として、TFTアクティブマトリックス型LCDを製作する際に必要なアモルファスシリコン薄膜を作成する装置が想定されている。但し、本願の発明の対象が、この種の装置に限定されるものでは勿論ない。
【0015】図1は、本願発明の第一実施例の表面処理装置を説明する概略図であり、図2は、図1の装置における分岐器及び分岐導波体の構成を説明する斜視外観図である。図1に示す表面処理装置は、図5の装置と同様、排気系11を備えた真空容器1と、真空容器1内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系2と、真空容器1内の所定の位置に配置された電極体3と、電極体3に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構4とを具備している。
【0016】まず、真空容器1内の所定の位置には、処理される基板50が載置される基板ホルダ5が配置されている。処理される基板50は、550mm×650mm程度の大きさの方形なガラス基板である。
【0017】一方、本実施例における電極体3は、基板50の形状に対応した方形な板状の部材である。この板状の電極体3は、基板ホルダ5に平行に対向するように真空容器1内に配置されている。そして、対向する基板ホルダ5と電極体3によって挟まれた空間がプラズマ生成空間であり、この空間にプラズマが生成される。電極体3は、各辺が500mm角から1m角程度の長方形又は正方形の板状の部材であり、全体の厚さは60mm程度である。但し、高周波電流は電極体3の表面付近のみを流れるので、厚さとしては表皮厚み(VHF帯で20〜30μm)に相当する大きさがあれば電気的には充分である。電極体3の材質としては、ステンレス鋼等が使用されることが多い。このような電極体3は、絶縁物13を介して真空容器1の器壁に取り付けられている。即ち、図1に示すように真空容器1は上面の器壁部分に開口を有し、この開口の部分に絶縁物13を介して電極体3が取り付けられている。尚、真空容器1の器壁と絶縁物13の間及び絶縁物13と電極体3との間には不図示のシール部材が配設され、真空シールされている。
【0018】次に、このような電極体3に所定の高周波電力を印加する電力印加機構4の構成について説明する。本実施例における電力印加機構4は、所定の高周波電力を発生させる高周波電源41と、高周波電源41の出力を複数に分岐させる分岐器44と、高周波電源41から分岐器44への高周波電力の供給ライン上に配置された整合器43と、分岐器44で分岐された高周波電力を電力供給箇所の各々に導く分岐導波体45とから構成されている。
【0019】まず、本実施例における高周波電源41は、30〜300MHzのVHF帯の高周波電力を発生させるものであり、例えば前掲の文献と同様の144MHzを含む60〜150MHz程度のVHF波を発生可能なものが好適に使用される。高周波電源41の出力電力は、例えば500W程度である。
【0020】本実施例の装置では四つの電力供給箇所が設定されており、電力印加機構4の分岐器44は、上記高周波電源41の出力を四つに分岐するものが使用されている。この分岐器44は、図2に示すように、中央に配置された円柱状の接続ポート441と、この接続ポート441から放射状に延びる四本の帯板状の分岐ポート442とから構成されている。
【0021】接続ポート441は、上流側に配置された整合器43と分岐器44とを繋ぐ導波体(図2中不図示)が接続される部分である。四本の分岐ポート442は、この接続ポート441から90度間隔で放射状に延びるように配置されている。不図示の導波体と接続ポート441の接続及び接続ポート441と分岐ポート442との接続は、溶接、半田付け、ロー付け又はネジ止めなどの方法により行われる。また、接続ポート441及び分岐ポート442の材質は、ともにアルミニウム又は銅等の金属又は合金である。また尚、接続ポート441の大きさは、直径30mm、高さ30mm程度である。分岐ポート442は、幅30mm、厚さ1mm、長さ200mm程度である。
【0022】一方、本実施例における分岐導波体45は、図2に示すように円柱状の部材である。この分岐導波体45は、上記分岐ポート442に対して垂直な姿勢で配置されている。分岐導波体45は、図2に示すように、その先端部分が各々の分岐ポート442の後端に接続され、下端部分が上記電極体3の裏面に接続されている。分岐導波体45は、上記接続ポート441等と同様にアルミニウム又は銅等の金属又は合金から形成されている。寸法としては、直径20mm、高さ100mm程度である。分岐導波体45と分岐ポート442との接続及び分岐導波体45と電極体3との接続は、同様に、溶接、半田付け、ロー付け又はネジ止め等の方法により行われる。尚、本実施例では分岐導波体45がアルミニウム等であって電極体3がステンレスであることから、異種金属の接続となる。このような異種金属の溶接は一般に困難であるから、分岐導波体45の下端に所定のフランジ部を形成して、そのフランジ部を電極体3の裏面に対してネジ止めする構成が実用的である。
【0023】図2及び上記説明から明かな通り、本実施例における電力供給箇所は、電極体3の裏面の中心に対して中心対称状に設定されている。即ち、電極体3の裏面の中心を中心として正方形の各頂点上に四つ設定されている。具体的には、上記分岐器44の接続ポート441は電極体3の中心軸上に配置され、接続ポート441から45度ずつ隔てて放射状に延びる分岐ポート442は全て同じ長さものが使用されている。分岐導波体45は分岐ポート442の後端から垂直に下方に延び、電極体3の裏面に接続されている。従って、四つの電力供給箇所は、分岐ポート442の長さのほぼ2倍(400mm程度)を対角線とする正方形の各頂点の位置になる。
【0024】尚、電力供給箇所は、電極体3の中心軸からなるべく遠ざかった位置に設定されることが好ましい。これは、プラズマへの高周波電力の供給経路をなるべく短くして高周波電力の損失を小さくするためである。即ち、プラズマに供給される高周波エネルギーを大きくするためには、電極体3の部分での高周波電力の損失を小さくする必要があるが、電極体3の表面インピーダンスから、ある程度の損失は避けられない。この場合、インピーダンスの大きい部分の供給経路をできるだけ短くすれば、高周波電力の損失を小さくすることが可能となる。
【0025】一方、図2に示すような構成の場合、高周波電流は、導体の表面付近のみを流れる。従って、分岐導波体45から流入する高周波電流は電極体3の裏面を端部に向かって流れ、端面を周り込むようにして流れてから、前面31の中央に向かって流れる。従って、分岐導波体45をなるべく外側に配置して電力供給箇所が電極体3の端部に近い位置になるようにすることで、上記電力供給経路を短くすることができ、これによって電極体3の表面インピーダンスによる高周波電力の損失を極力小さくすることができる。
【0026】なお、上記の分岐器44の上流側の供給ライン上には、整合器43が配置される。整合器43は、整合器43と分岐器44とを繋ぐ不図示の導波体、分岐器44、分岐導波体45及び電極体3も含めて、整合器43から下流側の負荷全体が所定のインピーダンスになるよう調整するものである。インピーダンスの値は、印加する高周波電力の周波数に応じて変化するのは勿論である。また、高周波電源41から整合器43への高周波電力の供給ラインには同軸ケーブルが採用される。周波数が高くなると、矩形導波管等が採用される場合もある。
【0027】次に、電力印加機構4以外の構成について、簡単に説明する。まず、気体放電によるプラズマ生成のためのガスを導入する放電用ガス導入系2について説明する。放電用ガス導入系2は、放電用ガスを溜めた不図示のガスボンベと、ガスボンベ内の放電用ガスを真空容器1内に導く主配管21と、主配管21上に配置されたバルブ22や不図示のマスフローコントローラ等から構成されている。
【0028】図1に示すように、本実施例の電極体3は、内部が中空であり、前面31にガス吹き出し孔32を多数有している。図1に示すように、電極体3の裏面には、ガス導入管23の接続部33が形成されている。ガス導入管23は、アルミナ等の絶縁物で形成された短い管(不図示)を途中に挟み込むことにより絶縁した絶縁構造を有し、放電用ガス導入系2の主配管21の終端に接続される。尚、電極体3の前面31に設けられたガス吹き出し孔32は、直径0.5mm程度の小さなものであり、10〜15mm程度の間隔で設けられている。ガス吹き出し孔32が大きくなると、真空容器1内の圧力によってはガス吹き出し孔32の内側部分で放電が生じてしまう場合がある。このような放電が生じると、電極体3の前面31の表面インピーダンスが不均一になってプラズマ密度も不均一になる問題があるので、放電が生じない程度の大きさにする必要がある。この大きさは、真空容器1内の圧力にもよるが、例えば1Torr程度の圧力の場合、1mm程度以下である。
【0029】上記構成にかかる放電用ガス導入系2では、主配管21からガス導入管23を経由して電極体3の内部に放電用ガスが供給される。供給されたガスは、ガス吹き出し孔32から吹き出して、前方のプラズマ生成空間に達するようになっている。このように電極体3の前面31に設けられた多数のガス吹き出し孔32からガスを吹き出させてプラズマ生成空間にガスを供給するようにすると、プラズマ生成空間におけるガスの分布が均一になり、基板50に対する均一な表面処理に寄与できる。尚、放電用ガスとしては、表面処理の種類によって異なるが、放電によるプラズマ生成のみを行えば良い場合、典型的にはアルゴン等の不活性ガスが採用される。
【0030】一方、真空容器1に付設された排気系11は、油回転ポンプやターボ分子ポンプ等の真空ポンプ111を備えて例えば10-5Torr程度の到達圧力まで排気できるよう構成される。その他、真空容器1は基板50の出入り用のゲートバルブ12を備え、ゲートバルブ12を通して基板50を搬入搬出するための不図示の搬送系が配設されている。
【0031】次に、上記構成に係る本実施例の装置の動作を説明する。まず、不図示の搬送系が基板50をゲートバルブ12を通して真空容器1内に搬入し、基板ホルダ5上に配置する。そして、排気系11が動作して真空容器1内を10-5Torr程度まで排気し、その後放電用ガス導入系2が放電用ガスを導入する。
【0032】次に、上記電力印加機構4が動作する。即ち、高周波電源41が発生させた高周波は、供給ラインを構成する同軸ケーブルによって整合器43に導かれ、整合器43を通って分岐器44に達する。そして、分岐器44で四つに分岐された後、分岐導波体45を経て電極体3にそれぞれ印加される。印加された高周波電力は、電極体3の裏面から端面をまわって前面31に供給される。供給された高周波電力は、プラズマ生成空間に導入された放電用ガスを電離させて放電を生じさせ、この放電によってプラズマが生成される。このプラズマによって、基板ホルダ5上の基板50の表面に所定の処理が施される。
【0033】この際、前述の通り、複数の電力供給箇所が均等に設定されているので、電極体3の前面31に供給される際の高周波電力の損失が小さくなるとともに、高周波電力によって生成されるプラズマのプラズマ密度が均一になる。即ち、電力供給箇所を複数設定した結果、電極体3の前面31への電力供給経路が一つの場合に比べて小さくなり、表面インピーダンスに起因した電力損失が低減される。また電力供給箇所が均等であることから、各々の電力供給箇所から供給される高周波電力は、電極体3の前面31へのそれぞれの供給経路において均等に損失する。その結果、各々の供給経路から供給された高周波は、電極体3の前面31において均等に重畳し、均一なプラズマを生成するのに貢献する。尚、電極体3の表面の凹凸や汚れのため、表面インピーダンスの不均一性はあり得るが、電力供給経路自体が従来より短くなっているため、この表面インピーダンスの不均一性の問題は従来に比べ遥かに少ない。このように均一プラズマが得られることから、基板50の表面への処理は均一なものとなる。
【0034】また、高周波電力の波長と電極体3の前面31の大きさの相対的な関係からくるプラズマ密度の不均一性は、従来の技術の部分で説明したように、高周波電力の波長のλ/4程度よりも電極体3の前面31が大きくなった場合に生じる。色々な電極体3の形状を想定して一般的な形で表現すると、電極体3の前面31の周縁上の任意の二点のうちの最も距離の長い二点間の距離が高周波電力の波長のλ/4程度よりも長い形状ということになる。このような形状の電極体3を使用した場合、プラズマ密度の不均一性を解消する本実施例の構成の優位性が発揮される。即ち、高周波電力を分岐させて供給し電極体3の前面31で重畳させているので、電極体3の前面31の周縁上の任意の二点のうちの最も距離の長い二点間の距離がλ/4を越える場合であってもプラズマ密度の不均一性の問題が生じない。特に、本実施例の装置のようなLCD用の基板50を処理する表面処理装置では、電極体3が大型化する傾向があり、上記のような高周波電力の波長のλ/4を越える前面31を有する電極体3を採用することになり易い。従って、本実施例の構成は、このようなLCD用の基板50を処理する装置として好適なものである。
【0035】また一方、高周波電力の供給経路において発生する定在波は、プラズマに供給されないエネルギーを消費するため、効率を低下させる原因となる。従って、定在波の発生を極力抑える構成が肝要である。本実施例の装置でいうと、例えば四本の分岐導波体45のいずれか二本の配置間隔が高周波電力の波長の1/2に相当しており、その二本に同相の高周波電力が印加されている場合、その二本の分岐導波体45の接続部分の間で強い定在波が発生する恐れがある。従って、高周波電力を同相で供給する場合、すべての分岐導波体45同士の間隔が高周波電力の波長の1/2から充分外れているよう構成することが肝要である。尚、高周波電力を異なる位相でそれぞれの分岐導波体45に供給するようにすれば上記定在波の問題は無くなるが、異なる位相で高周波電力を供給するようにすることは電力供給機構の構成を複雑し、高コストになる欠点がある。
【0036】具体的な表面処理の例について説明すると、例えばCVD(気相成長)によって基板50の表面にアモルファスシリコン薄膜を作成する場合、放電用ガスとしてシラン及び水素の混合ガスを導入する。そして、混合ガスの流量を1000sccm、雰囲気圧力を1Torrに設定し、周波数100MHzの高周波電力を200W程度電極体3に印加する。シラン/水素の混合ガスのプラズマ中でシランが分解し、所定のアモルファスシリコン薄膜が基板50の表面上に堆積する。本実施例では、上述のように均一なプラズマが生成されることから、堆積するアモルファスシリコンの膜厚や膜質が均一なものとなる。尚、上述のようなLCD用の基板50に対する薄膜作成処理では、アモルファスシリコンの成膜に続いてシリコンナイトライド等の成膜を行って薄膜を積層することが頻繁に行われる。この場合には、放電用ガス導入系2は、それぞれの成膜に必要な放電用ガスを選択的に真空容器1内に導入できるよう構成される。
【0037】次に、本願発明の第二実施例について説明する。図3は、第二実施例の表面処理装置を説明する概略図である。図3に示す表面処理装置は、図1の装置と同様、排気系11を備えた真空容器1と、真空容器1内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系2と、真空容器1内の所定の位置に配置された電極体3と、この電極体3に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構4とを具備している。そして、この第二実施例における電力印加機構4も、第一実施例と同様、所定の高周波電力を発生させる高周波電源41と、高周波電源41の出力を複数に分岐させる分岐器44と、高周波電源41から分岐器44への高周波電力の供給ライン上に配置された整合器43と、分岐器44で分岐された高周波電力を前記電力供給箇所の各々に導く分岐導波体45とから構成されている。
【0038】一方、電極体3の構成は、第一実施例とは大きく異なっている。この実施例における電極体3は、円板状の電極本体34とこの電極本体34の周縁からプラズマ空間とは反対側に向けて延びるようにして設けられたスカート部35から構成されている。スカート部35は、帯板状の部材を円周状に丸めて形成した円環状の部材であり、その幅方向が電極本体34の厚さ方向になるように電極本体34の周縁に延設されている。
【0039】そして、このスカート部35に、複数の電力供給箇所が設定されている。即ち、前述と同様に例えば四つの電力供給箇所が設定され、この四つの電力供給箇所は、円環状のスカート部35の外面に均等に設定されている。即ち、1/4の円弧ずつ隔てて等間隔に設定されている。具体的には、分岐導波体45の終端が、溶接、半田付け、ロー付け又はネジ止め等の方法によりスカート部35の外面に接続されている。
【0040】このように電極体3の周縁にスカート部35を設け、このスカート部35に電力供給箇所を設定すると、電極体3の前面31に至る高周波電力の供給経路がさらに短縮され、表面インピーダンスに起因した損失やプラズマの不均一性等の問題がされに低減される。つまり、第一実施例で説明したように、前面31への電力供給経路を短縮するには、電力供給箇所を電極体3の裏面においてできるだけ周縁に近い位置にもってくることが好ましい。これを押し進めると、電極体3の周面に電力供給箇所を設定することが最適ということになるが、板状の電極体3の場合、周面に分岐導波体45を接続することは現実的に困難である。そこで、この実施例のように、スカート部35を設けてこのスカート部35に分岐導波体45を接続するようにするのである。
【0041】尚、電力供給経路を短くする意味から、分岐導波体45の接続箇所は、電極体3の前面31に可能な限り近い位置即ちスカート部35の下縁に可能な限り近い位置とすることが好ましいのは勿論である。また、電力供給箇所からスカート部35の上縁までの距離dは、スカート部35の内面への高周波の流入を防止する点で重要な寸法である。即ち、距離dを高周波電力の波長の1/4又は1/2に設定しておくと、電力供給箇所とスカート部35の上縁との間で定在波が形成されるので、上縁を回り込んでのスカート部35の内面への高周波の流入が抑制される。内面に流入する高周波はプラズマ生成には寄与せずに無駄に消費されるエネルギーであるので、これを抑制することは、エネルギー効率の向上のため重要である。
【0042】電極体3の大きさとしては、前述したLCD用の基板50を処理する場合、電極本体34の部分の大きさが例えば直径400mm程度とされる。電極本体34の厚さ、表面処理、ガス吹き出し孔32等の構成は、前述した第一実施例の電極体3と同様に構成できる。スカート部35の材質や表面処理等も、電極本体34と同様に構成される。尚、電極本体34の形状は円板でなくともよく、正方形や長方形等の方形やその他の形状でもよい。この第二実施例の装置も、第一実施例と同様に均一なプラズマを得て均一な表面処理を基板50に施すことが可能である。装置の動作やプロセスの例等は、第一実施例と同様なので説明を省略する。
【0043】次に、本願発明の第三実施例について説明する。図4は、第三実施例の表面処理装置を説明する概略図である。図4に示す表面処理装置は、前述した各実施例と同様、排気系11を備えた真空容器1と、真空容器1内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系2と、真空容器1内の所定の位置に配置された電極体3と、この電極体3に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構4とを具備している。
【0044】そして、この第三実施例における電力印加機構4は、所定の高周波電力を発生させる高周波電源41と、高周波電源41の出力を前記複数の電力供給箇所の数に分岐させる分岐器44と、分岐器44で分岐された高周波電力を前記電力供給箇所の各々に導く分岐導波体45と、各々の分岐導波体45による高周波電力の供給ライン上にそれぞれ配置された整合器43とから構成されている。即ち、高周波電力を分岐させてから整合させる点で、前述した第一第二実施例と異なっている。
【0045】この実施例の分岐導波体45としては、前述した第一実施例における分岐ポート442や分岐導波体45のような導波手段又は市販の同軸ケーブル等から適宜選択して使用することができる。また、分岐器44としては、第一実施例と同様なものを採用できる。このように、高周波電力を分岐させてから整合を取るようにすると、分岐させた各々の電力供給ラインにおいて個別にインピーダンス整合を行うことが可能となる。このため、各々の分岐導波体45自体の僅かなインピーダンスの相違や電極体3との接続部分におけるインピーダンスの相違等を補償して、最適なインピーダンス整合を達成することができる。その他の電極体3等の構成及び装置の動作等は、第一実施例の場合と同様なので説明を省略する。
【0046】次に、本願発明における複数の電力供給箇所の設定位置について補足的に説明する。本願発明において複数の電力供給箇所を設定するのは、いうまでもなく一つの電力供給箇所の場合よりもプラズマ密度を均一化させるためである。従って、請求項1における「均等な位置に」とは、一つの電力供給箇所の場合に比べてプラズマ密度が電極体3の前面31に平行な面内で均一になるような位置ということである。この位置の例として、前述したような電極体3の裏面の中心又は電極本体34の中心軸に対して中心対称状に設定する例が、前述した各実施例では採用されている。これは、電極体3又は電極本体34の形状が方形又は円形であることから、複数の電力供給箇所を中心対称状に設定して電極体3の前面31へのそれぞれの電力供給経路を等しくする構成である。
【0047】また、電極体3自体の形状が中心対称状でなかったり、周辺部分に表面インピーダンスを不均一にする部材が配設されていたりする場合は、「電極体3の前面31へのそれぞれの電力供給経路が等しくなるようにする」というだけでは、プラズマ密度の均一性が達成されない場合もあり得る。つまり、電力供給箇所からそれぞれ印加される高周波電力は、最小インピーダンスとなる経路を通って電極体3の前面31に達する。従って、各々の電力供給経路の最小インピーダンスが等しくなるように複数の電力供給箇所の位置を設定することが必要になる場合もある。
【0048】このような設定を計算上行うことが難しい場合、実験的に求めることも可能である。即ち、複数の電力供給箇所の設定を色々と変えて実験を行い、最も均一なプラズマが生成される複数の電力供給箇所の位置を、実験的に求めていくようにするのである。尚、プラズマ密度分布の測定はプローブ法等によって可能であるが、基板50に対する表面処理の進み具合の分布からプラズマ密度分布を間接的に求めるようにしても良い。表面処理の進み具合の分布(例えば、薄膜堆積速度分布)は、プラズマ密度分布以外のパラメータ(例えば、電極体3の温度やガスの流れ等)によっても影響を受けるので、電力供給箇所の位置以外のパラメータは同一にして上記実験を行うようにする。
【0049】上述した第一実施例の構成において、電極体3は、方形(正方形もしくは長方形)又は円形の板状の部材からなるとして説明したが、これに限られるものではなく、三角形その他の多角形状の板状であっても良いし、その他の形状の板状でも良い。また、箱状や柱状等の板状以外の形状であっても良い。また、電極体3が板状である場合、上記「均等な位置」の複数の電力供給箇所の例としては、「電極体3の裏面の中心に対して中心対称状又は裏面の中心を通る裏面上の線分に対して線対称状に配置する」と表現することができる。この場合、「裏面の中心」とは、一般化すれば、「『電極体が均一な密度で形成された場合の重心点』を通り当該裏面に垂直な線と当該裏面とが交わる点」と考えることができる。
【0050】また、第二実施例の構成では、円板状と説明した電極本体34の部分について上記第一実施例の電極体3とほぼ同様に考えることができる。即ち、電極本体34は、三角形その他の多角形状の板状であっても良いし、その他の形状の板状でも良い。そして、この場合、スカート部35に設定される複数の電力供給箇所の「均等な位置」の例としては、「電極本体34の中心軸に対して中心対称状又は中心軸に垂直に交わる線に対して線対称状」と表現することができる。尚、この場合の「中心軸」とは、上記「裏面の中心」と同様の意味での「中心」を通り電極本体34の板面(表面又は裏面)に垂直な線と考えることができる。
【0051】さらに、本願発明の装置は、前述したアモルファスシリコンやシリコンナイトライド等以外の薄膜の作成や、ポリシリコン等のエッチング、表面酸化又は表面窒化等の表面改質等にも使用することが可能である。例えば、本願発明の装置をエッチングに適用した場合、均一なプラズマによって均一なエッチング処理が進行するので、下地材料を削ってしまったりエッチング対象材料が残留してしまったりすることがない良質なエッチングが可能となる。また、本願発明の構成は、LSI用のウエハや太陽電池用のシリコン基板等のような大型化する傾向にある基板50に対して、本願発明は大きな効果を発揮する。さらに、基板50が大型化しなくても、VHF帯の高周波を使用する場合のように、電極体3の大きさに対して相対的に短い波長の高周波を使用する場合に、本願発明は大きな効果を発揮する。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の表面処理装置によれば、複数の電力供給箇所が均等な位置に設定されるので、電極体の前面に供給される高周波電力の分布が均一になり、この結果均一なプラズマが生成される。これによって、基板に対する均一な表面処理が可能となる。この効果は、大型の基板や相対的に短い波長の高周波を使用する場合に著しい。また、請求項2の表面処理装置によれば、上記請求項1の効果に加え、VHF帯の高周波を使用するメリットを享受しながら、均一な表面処理を行うことが可能となる。また、請求項3の表面処理装置によれば、上記請求項1又は2の効果に加え、高周波電源及び整合器が一つにまとめられているので、電力印加機構の構成が簡素となり、コスト的に安価となるという効果がある。また、請求項4の表面処理装置によれば、上記請求項1又は2の効果に加え、高周波を分岐させてから整合させるので、各々の分岐導波体自体のインピーダンスの相違等を補償して最適なインピーダンス整合を達成することが可能となるという効果が得られる。また、請求項5の表面処理装置によれば、上記請求項1,2,3又は4の効果に加え、正多角形又は円形に近似した形状の基板を処理する装置として最適な構成となるという効果が得られる。また、請求項6の表面処理装置によれば、上記請求項1,2,3又は4の効果に加え、電極体の前面への電力供給経路がさらに短縮されるので、電極体の表面インピーダンスに起因した問題をさらに低減させることができるという効果が得られる。また、請求項7の表面処理装置によれば、上記請求項6の効果に加え、スカート部の内面への高周波の流入が抑制され、エネルギー効率の点で好適な装置となるという効果が得られる。さらに、請求項8の表面処理装置によれば、上記請求項1,2,3,4,5,6又は7の効果に得て液晶ディスプレイ用の基板に対する表面処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第一実施例の表面処理装置を説明する概略図である。
【図2】図1の装置における分岐器および分岐導波体の構成を説明する斜視外観図である。
【図3】第二実施例の表面処理装置を説明する概略図である。
【図4】第三実施例の表面処理装置を説明する概略図である。
【図5】従来の表面処理装置の構成を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 真空容器
11 排気系
2 放電用ガス導入系
3 電極体
31 前面
34 電極本体
35 スカート部
4 電力印加機構
41 高周波電源
43 整合器
44 分岐器
45 分岐導波体
5 基板ホルダ
50 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 排気系を備えた真空容器と、真空容器内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系と、真空容器内の所定の位置に配置された電極体と、この電極体に高周波電力を印加して放電用ガスを放電させてプラズマを生成する電力印加機構とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電極体は、その前面即ちプラズマを生成する空間に対向した表面の周縁上の任意の二点のうちの最も距離の長い二点間の距離が、前記高周波電力の波長の四分の一よりも長い形状であり、かつ、前記電力印加機構による電極体への電力供給箇所は均等な位置に複数設定されていることを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】 前記高周波電力の周波数は、30から300MHzのVHF帯に属していることを特徴とする請求項1記載の表面処理装置。
【請求項3】 前記電力印加機構は、高周波電力を発生させる高周波電源と、高周波電源の出力を前記複数の電力供給箇所の数に相当する数に分岐させる分岐器と、高周波電源から分岐器への高周波電力の供給ライン上に配置された整合器と、分岐器で分岐された高周波電力を前記電力供給箇所の各々に導く分岐導波体とから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の表面処理装置。
【請求項4】 前記電力印加機構は、高周波電力を発生させる高周波電源と、高周波電源の出力を前記複数の電力供給箇所の数に分岐させる分岐器と、この分岐器で分岐された高周波電力を前記電力供給箇所の各々に導く分岐導波体と、各々の分岐導波体による高周波電力の供給ライン上にそれぞれ配置された整合器とから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の表面処理装置。
【請求項5】 前記電極体は板状の部材であり、前記電力供給箇所は、裏面すなわちプラズマを生成させる空間に対向した前面とは反対側の面において当該裏面の中心に対して中心対称状又は中心を通る裏面上の線に対して線対称状に設定されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の表面処理装置。
【請求項6】 前記電極体は、板状の電極本体とこの電極本体の周縁からプラズマを生成させる空間とは反対側に向けて延びるようにして設けられたスカート部から構成されており、前記電力供給箇所は、このスカート部に設定されていることを特徴とする請求項1,2,3,又は4記載の表面処理装置。
【請求項7】 前記電力供給箇所は、前記電極本体の中心軸に対して中心対称状又は中心軸に垂直に交わる線に対して線対称状に設定されていることを特徴とする請求項6記載の表面処理装置。
【請求項8】 前記電極体は方形な前記前面を有し、プラズマを利用して処理される前記基板は液晶ディスプレイ用又は太陽電池用の基板であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6及び7記載の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−325759
【公開日】平成8年(1996)12月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−156968
【出願日】平成7年(1995)5月30日
【出願人】(000227294)アネルバ株式会社 (564)