説明

表面処理鋼板、その製造方法およびそれを用いた樹脂被覆鋼板

【課題】Crを用いず、優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を有し、筋状の表面欠陥が発生することのない表面処理鋼板、その製造方法およびこの表面処理鋼板を用いた樹脂被覆鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を有し、前記耐食性皮膜上に、Zrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有する密着性皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に樹脂フィルムなどをラミネートする、または樹脂を含有する塗料を塗装することにより樹脂を被覆した後、主に缶などの容器に用いられる表面処理鋼板、特に、高温湿潤環境下において被覆された樹脂との密着性(以後、湿潤樹脂密着性と呼ぶ)に優れ、かつ被覆された樹脂が欠落しても優れた耐食性を示す表面処理鋼板、その製造方法およびこの表面処理鋼板に樹脂が被覆された樹脂被覆鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶、食品缶、ペール缶や18リットル缶などの各種金属缶には、錫めっき鋼板やティンフリー鋼板と呼ばれる電解クロム酸処理鋼板などの金属板が用いられている。なかでも、ティンフリー鋼板は、6価Crを含むめっき浴中で鋼板を電解処理することにより製造され、塗料など樹脂に対して優れた湿潤樹脂密着性を有していることに特長がある。
【0003】
近年、環境に対する意識の高まりから、世界的に6価Crの使用が規制される方向に向かっており、6価Crのめっき浴を用いて製造されるティンフリー鋼板に対してもその代替材が求められている。
【0004】
一方、各種金属缶は、従来より、ティンフリー鋼板などの金属板に塗装を施した後に、缶体に加工して製造されていたが、近年、製造に伴う廃棄物の抑制のために、塗装に代わってプラスティックフィルムなどの樹脂を被覆した樹脂被覆金属板を缶体に加工する方法が多用されるようになっている。この樹脂被覆金属板には、樹脂が金属板に強く密着していることが必要であり、特に飲料缶や食品缶として用いられる樹脂被覆金属板には、内容物の充填後にレトルト殺菌工程を経る場合があるため、高温の湿潤環境下でも樹脂が剥離することのない優れた湿潤樹脂密着性と、引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、缶の内容物などに侵されて穴開きが生ずることのない優れた耐食性とが要求されている。
【0005】
こうした要請に応じて、本発明者等は、最近、特許文献1に、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを含むイオンを含有し、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含むイオンを含有する水溶液中で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することにより、Crを用いず、極めて優れた湿潤樹脂密着性と優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造できることを提示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-155665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法で製造された表面処理鋼板には、筋状の表面欠陥が発生する場合がある。
【0008】
本発明は、Crを用いず、優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を有し、筋状の表面欠陥が発生することのない表面処理鋼板、その製造方法およびこの表面処理鋼板を用いた樹脂被覆鋼板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、特許文献1における密着性皮膜を形成するに際し、Tiの代わりにZrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有する水溶液中で陰極電解処理を施すことが効果的であることを見出した。
【0010】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を有し、前記耐食性皮膜上に、Zrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有する密着性皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板を提供する。本発明の表面処理鋼板では、密着性皮膜が、さらにリン酸類由来のPおよび/またはフェノール樹脂由来のCをその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有することが好ましい。また、密着性皮膜のZr付着量が片面あたり3〜200mg/m2であることが好ましい。
【0011】
本発明の表面処理鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Zrを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、電気量密度1〜20C/dm2で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することにより製造できる。
【0012】
本発明の表面処理鋼板は、また、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Zrを0.008〜0.07モル/l含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において、電流密度が、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りのZrが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Zrが析出する電流密度における全電気量密度が3〜20C/dm2となる電解条件で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することにより製造できる。ここで、Zrが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成およびpHに依存する値である。この製造方法では、電流密度が、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との2値に変化する電流を用いることができる。このとき、Zrが析出しない電流密度を0A/dm2にすることが好ましい。
【0013】
上記したいずれの製造方法においても、陰極電解処理に用いる水溶液が、さらにリン酸類および/またはフェノール樹脂をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含有することが好ましい。
【0014】
本発明は、また、本発明の表面処理鋼板に樹脂が被覆されている樹脂被覆鋼板を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、Crを用いず、優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を有し、筋状の表面欠陥が発生することのない表面処理鋼板を製造できるようになった。本発明の表面処理鋼板は、これまでのティンフリー鋼板の代替材として問題なく、油、有機溶剤、塗料などを内容物とする容器に樹脂被覆することなく使用できる。また、樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板とし、缶や缶蓋に加工してレトルト雰囲気に暴露しても、樹脂の剥離が生じない。また、引っかき傷などの樹脂の欠落部においても、素地であるFeの溶出が著しく少なく、耐食性にも極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】六フッ化ジルコン酸カリウム12.5g/lおよび硫酸コバルト7水和物5g/lを含むpH4の水溶液中における電流密度とZr付着量との関係を示す図である。
【図2】180°ピール試験を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1) 表面処理鋼板
本発明の表面処理鋼板には、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、この耐食性皮膜上に、Zrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有する密着性皮膜が形成されている。
【0018】
素材の鋼板としては、一般的な缶用の低炭素冷延鋼板を用いることができる
1.1) 耐食性皮膜
鋼板表面に形成された耐食性皮膜は、下地鋼板と強固に結合し、樹脂被覆鋼板とされた後に引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、鋼板に優れた耐食性を付与するために、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層の単層あるいはそれらの多層からなる皮膜とする必要がある。Ni層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量を200mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni合金層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量を60mg/m2以上とすることが好ましい。Sn層またはFe-Sn合金層の場合は、鋼板の片面あたりのSn付着量を100mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni-Sn合金層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量を50mg/m2以上、Sn付着量を100mg/m2以上とすることが好ましい。ここで、NiやSn付着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。
【0019】
こうした耐食性皮膜の形成は、含有される金属元素に応じた公知の方法で行える。
【0020】
1.2) 密着性皮膜
耐食性皮膜上に、Zrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対する質量比で0.01〜10、より好ましくは0.01〜2含有する密着性皮膜を形成することにより、優れた湿潤樹脂密着性が得られ、筋状の表面欠陥の発生を確実に防止できる。この原因は、現在のところ明らかではないが、こうした金属元素がZrを含む皮膜中に取り込まれることにより、緻密で、表面の凹凸が均一に分布した皮膜が形成されるためと考えられる。
【0021】
密着性皮膜が、さらにリン酸類由来のPおよび/またはフェノール樹脂由来のCをその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有することが好ましい。これは、密着性皮膜にリン酸類由来のPおよび/またはフェノール樹脂由来のCが含有されることにより密着性皮膜の被覆性がさらに向上し、耐食性が改善されるためである。被覆性が向上する原因は、現在のところ明らかではないが、密着性皮膜の内部に存在する水酸基、フェノール樹脂の水酸基またはリン酸類の水酸基と、耐食性皮膜表面に存在する水酸基とが脱水縮合し架橋することで、酸素原子を介して耐食性皮膜と密着性皮膜とが共有結合したことによると考えられる。
【0022】
密着性皮膜のZr付着量は、鋼板の片面あたり3〜200mg/m2であることが好ましい。これは、Zr付着量が3mg/m2以上200mg/m2以下で湿潤樹脂密着性の改善と筋状の表面欠陥の発生防止の効果が十分に得られ、200mg/m2を超えるとその効果は飽和し、コスト高となるためである。より好ましくは20〜100mg/m2である。
【0023】
密着性皮膜のCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素の合計の付着量は、鋼板の片面あたり10〜200mg/m2とすることが好ましい。こうした金属元素の合計の付着量が10mg/m2以上200mg/m2以下であれば湿潤樹脂密着性に優れ、かつ筋状の表面欠陥のない皮膜を形成できる。
【0024】
密着性皮膜は、さらにOを含有することが好ましい。Oを含有することによりZrの酸化物を主体とする皮膜となり、湿潤樹脂密着性の改善や筋状の表面欠陥の発生防止により効果的なためである。
【0025】
なお、密着性皮膜のZrやCo、Fe、Ni、V、Cu、Mn、Zn、Pの付着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。密着性皮膜のC量は、全C量をガスクロマトグラフィーにより測定した値から鋼板中に含まれるC量をバックグラウンドとして差し引くことにより求めることができる。O量については、特に規定しないが、XPS(X線光電子分光分析装置)による表面分析でその存在を確認することができる。
【0026】
密着性皮膜の形成は、Zrを0.008〜0.07モル/l、好ましくは0.02〜0.05モル/l含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10、好ましくは0.01〜2.5、さらに好ましくは0.01〜2含む水溶液中で、電気量密度1〜20C/dm2で陰極電解処理することにより可能である。Zrの濃度が0.008モル/l未満では湿潤樹脂密着性に優れ、かつ筋状の表面欠陥のない皮膜を形成できない。一方、0.07モル/lを超えると水溶液中で安定な状態で存在することが難しくなり、Zr酸化物が生成するという問題が生じる。Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素の合計濃度がモル比で0.01未満では湿潤樹脂密着性に優れ、かつ筋状の表面欠陥のない皮膜を形成できない。一方、10を超えると効果は飽和し、コスト高となる。
【0027】
Zrを含む水溶液としては、フルオロジルコニウム酸イオンを含む水溶液、またはフルオロジルコニウム酸イオンおよびフッ素塩を含む水溶液が好適である。フルオロジルコニウム酸イオンを与える化合物としては、フッ化ジルコン水素酸、六フッ化ジルコン酸アンモニウム、六フッ化ジルコン酸カリウムなどを用いることができる。フッ素塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化銀、フッ化錫などを用いることができる。特に、六フッ化ジルコン酸カリウムを含む水溶液、あるいは六フッ化ジルコン酸カリウムおよびフッ化ナトリウムを含む水溶液は、効率良く均質な皮膜を形成できるので好適である。
【0028】
また、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnを与える化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸ニッケル、硫酸銅、酸化硫酸バナジウム、硫酸亜鉛、硫酸マンガンなどを用いることができる。このとき、これらの金属元素は、その合計がZrに対するモル比で0.01〜10、好ましくは0.01〜2.5、さらに好ましくは0.01〜2となるように添加される。
【0029】
陰極電解処理においては、電流密度を5〜20A/dm2、電解時間を1〜5secとして行えばよいが、電気量密度を3〜15C/dm2とすることが好ましい。
【0030】
さらに、陰極電解処理を、電流密度が、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との間を周期的に変化する電流を用いて皮膜の成長を断続的に行うと、一定電流で連続的に電解する場合に比べてより優れた湿潤樹脂密着性が得られる。そのためには、ある程度のZr付着量を確保する必要があるが、商業ベースに乗る生産性(ラインスピード)で必要なZr付着量を確保するには、周期が0.01〜0.4秒で、1周期当りのZrが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Zrが析出する電流密度における全電気量密度が3〜20C/dm2となる電解条件で陰極電解処理を行うことが好ましい。こうした条件で電解処理を行うことにより、Zrが析出しない電流密度では、Zrの析出が起こらないというよりむしろ析出したZrの再溶解が促進されるため、より緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した皮膜が形成され、優れた湿潤樹脂密着性が得られると考えられる。
【0031】
Zrが析出しない電流密度の上限、すなわちZrが析出しない場合とZrが析出する場合の境界の電流密度は、Zrや、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含む水溶液の組成およびpHに依存する。例えば、図1には、六フッ化ジルコン酸カリウム12.5g/lおよび硫酸コバルト7水和物5g/lを含むpH4の水溶液中における電流密度とZr付着量との関係を示したが、この場合は0.8A/dm2以下ではZrの析出が起こらないことがわかる。このように、Zrが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成やpHに依存するので、用いる水溶液に応じて予め求めておく必要がある。
【0032】
Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との間を周期的に変化する電流としては、サイン曲線のように周期的に変化する交流電流や、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との2値に変化するパルス電流を用いることができる。その他、直流電流に交流電流やパルス電流を重畳した電流を用いることもできる。なお、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との2値に変化するパルス電流を用いる場合は、Zrが析出しない電流密度を0A/dm2にすることが、用いる水溶液に応じてZrが析出しない電流密度の上限を予め求める必要がなくなるので、より好ましい。
【0033】
本発明では、さらにリン酸類および/またはフェノール樹脂をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含有する水溶液中において、上記した陰極電解処理を行うことが好ましい。これは、リン酸類および/またはフェノール樹脂を含有する水溶液中において陰極電解処理を行うことにより、リン酸類由来のPおよび/またはフェノール樹脂由来のCを含有する密着性皮膜を形成でき、上記のように密着性皮膜の被覆性がさらに向上し、耐食性が改善されるためである。このとき、リン酸類を与える化合物としては、オルトリン酸や、同時に添加した金属元素のリン酸化合物でもよく、リン酸ニッケル、リン酸鉄、リン酸コバルト、リン酸ジルコニウムなどを用いることができる。フェノール樹脂としては、重量平均分子量が3000〜20000程度のものが好ましく、5000程度のものがより好ましい。また、フェノール樹脂には、アミノアルコール変性させることで水溶性を持たせてもよい。
【0034】
2) 樹脂被覆鋼板(ラミネート鋼板)
本発明の表面処理鋼板上に、樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板とすることができる。上述したように、本発明の表面処理鋼板は湿潤樹脂密着性に優れているため、この樹脂被覆鋼板は優れた耐食性と加工性を有する。
【0035】
本発明の表面処理鋼板に被覆する樹脂としては、特に限定はなく、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタラート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものを用いることができる。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤(厚さ:0.1〜5.0μm)等が好ましい。さらに熱硬化性塗料を、厚み0.05〜2μmの範囲で表面処理鋼板側、あるいはフィルム側に塗布し、これを接着剤とすることもできる。
【0036】
さらに、フェノールエポキシ、アミノ-エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性-、エポキシアミノ変性-、エポキシフェノール変性-ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン-ブタジェン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料を単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0037】
樹脂被覆層の厚みは3〜50μm、特に5〜40μmの範囲にあることが望ましい。これは、厚みが上記範囲を下回ると耐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題を生じやすいためである。
【0038】
表面処理鋼板への樹脂被覆層の形成は任意の手段で行うことができる。例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。押出コート法の場合、表面処理鋼板の上に樹脂を溶融状態で押出コートして、熱接着させることにより製造することができる。すなわち、樹脂を押出機で溶融混練した後、T-ダイから薄膜状に押し出し、押し出された溶融樹脂膜を表面処理鋼板と共に一対のラミネートロール間に通して冷却下に押圧一体化させ、次いで急冷する。多層の樹脂被覆層を押出コートする場合には、各層用の押出機を複数使用し、各押出機からの樹脂流を多重多層ダイ内で合流させ、以後は単層樹脂の場合と同様に押出コートを行えばよい。また、一対のラミネートロール間に垂直に表面処理鋼板を通し、その両側に溶融樹脂ウエッブを供給することにより、表面処理鋼板両面に樹脂被覆層を形成させることができる。
【0039】
こうした樹脂被覆鋼板は、側面継ぎ目を有するスリーピース缶やシームレス缶(ツーピース缶)に適用することができる。また、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やフルオープンタイプのイージーオープン缶蓋にも適用することができる。
【0040】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したに過ぎず、請求の範囲内において種々の変更を加えることができる。
【実施例1】
【0041】
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)の両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、次のA〜Dの方法により耐食性皮膜を形成する。
A:冷延鋼板を、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、アルカリ電解脱脂し、硫酸酸洗を施した後、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施しNi層からなる耐食性皮膜を形成する。
B:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施した後、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させた後、伸び率1.5%の調質圧延を行い、Fe-Ni合金層からなる耐食性皮膜を形成する。
C:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっきを施した後、10vol%H2+90vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させ、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗し、めっき浴bを用いてSnめっき処理を施し、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Ni-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
D:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、条件Aと同様に焼鈍、調質圧延した後、めっき浴bを用いてSnめっきを施した後、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
【0042】
C、Dの処理において、加熱溶融処理によりSnめっきの一部は合金化する。合金化せず残存した純Sn残量については、表3〜5に示す。
【0043】
次いで、鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、表2〜5に示す陰極電解処理の条件で陰極電解を行い、乾燥して密着性皮膜を形成して表面処理鋼板No.1〜33を作製する。なお、表面処理鋼板No.1、16、19、22、29は、密着性皮膜にCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnが含有されておらず、比較例である。No.30、31は耐食性皮膜を形成しておらず、比較例である。No.32、33は耐食性皮膜上に、Tiを含み、さらにVもしくはMnを含有する密着性皮膜を形成した比較例である。
【0044】
そして、密着性皮膜のZr付着量およびTi付着量は、蛍光X線分析法により、それぞれ予め含有量を化学分析して求めた検量板と比較して求める。また、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnの含有量についてはZrおよびTiと同様の蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求め、密着性皮膜に含有されるZrまたはTiに対するCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnの質量比を評価する。また、Oは、No.1〜33のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認することができる。
【0045】
また、これらの表面処理鋼板No.1〜33の両面に、延伸倍率3.1×3.1、厚さ25μm、共重合比12mol%、融点224℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタラートフィルムを用い、フィルムの二軸配向度(BO値)が150になるようなラミネート条件、すなわち鋼板の送り速度:40m/min、ゴムロールのニップ長:17mm、圧着後水冷までの時間:1秒でラミネートして、ラミネート鋼板No.1〜33を作製する。ここで、ニップ長とは、ゴムロールと鋼板が接する部分の搬送方向の長さのことである。そして、作製したラミネート鋼板No.1〜33について、下記の方法により、湿潤樹脂密着性、耐食性および筋状の表面欠陥の評価を行う。
湿潤樹脂密着性:温度130℃、相対湿度100%のレトルト雰囲気における180°ピール試験により湿潤樹脂密着性の評価を行う。180°ピール試験とは、図2の(a)に示すようなフィルム2を残して鋼板1の一部3を切り取った試験片(サイズ:30mm×100mm、表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を用い、図2の(b)に示すように、試験片の一端に重り4(100g)を付けてフィルム2側に180°折り返して30min間放置して行うフィルム剥離試験のことである。そして、図2の(c)に示す剥離長5を測定して評価し、各ラミネート鋼板について表裏二面の剥離長(n=2)の平均を求める。剥離長5は小さいほど、湿潤樹脂密着性が良好であるといえるが、剥離長5が20mm未満であれば、本発明の目的とする優れた湿潤樹脂密着性が得られていると評価する。
耐食性:ラミネート鋼板のラミネート面にカッターナイフを用い鋼板素地に達するカットを交差して施し、1.5質量%NaCl水溶液と1.5質量%クエン酸水溶液を同量ずつ混合した試験液80mlに浸漬し、55℃で9日間放置して、カット部の耐食性(表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を次のように評価し、○であれば耐食性が良好であるとする。
○:n=2とも腐食なし
×:n=2の1以上において腐食あり
筋状の表面欠陥:筋状模様の発生程度を目視で観察し、次のように評価した。
○:筋状模様が確認されない。
×:筋状模様が確認される。
【0046】
結果を表6に示す。本発明例であるラミネート鋼板No.2〜15、17、18、20、21、23〜28では、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示し、筋状の表面欠陥も認められない。これに対し、比較例であるラミネート鋼板No.1、16、19、22、29は、耐食性には問題ないが、湿潤樹脂密着性に劣っており、ラミネート鋼板No.30、31は湿潤樹脂密着性には問題ないが、耐食性に劣っている。ラミネート鋼板No.32、33は湿潤樹脂密着性や耐食性には問題ないが、表面に筋状模様が確認される。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【実施例2】
【0053】
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)の両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、上記したA〜Dの方法により耐食性皮膜を形成する。C、Dの処理において、加熱溶融処理によりSnめっきの一部は合金化する。合金化せず残存した純Sn残量については、表7〜9に示す。
【0054】
次いで、鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、表7〜9に示す陰極電解処理の条件で陰極電解を行い、乾燥して密着性皮膜を形成して表面処理鋼板No.34〜49を作製する。このとき、処理浴のpHは、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、硫酸などの酸性溶液により調整する。また、表面処理鋼板No.34〜45では、パルス電流を用い、Zrが析出しない電流密度は0A/dm2としている。一方、表面処理鋼板No.46、47では、パルス電流を用い、図1の結果に基づいて、Zrが析出しない電流密度が0A/dm2でない例(No.46)とその上限を超えた例(No.47)を挙げている。これらの表面処理鋼板のうち、No.38、45、47は、陰極電解処理の電解条件が好ましいパルス電流条件の範囲外にある。No.48、49は、Zrの代わりにTiを含む水溶液中で陰極電解処理を施す比較例である。
【0055】
そして、耐食性皮膜のNiやSn付着量や、密着性皮膜のZrやTiの付着量は、蛍光X線分析法により、それぞれ予め付着量を化学分析して求めた検量板と比較して求める。また、Co、Fe、V、Mnの付着量についてはZrやTiと同様の蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求める。また、Oは、No.34〜49のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認することができる。
【0056】
これらの表面処理鋼板No.34〜49の両面に、実施例1と同様にしてラミネート鋼板No.34〜49を作製する。そして、作製したラミネート鋼板No.34〜49について、実施例1と同様にして、湿潤樹脂密着性、耐食性および筋状の表面欠陥の評価を行う。
【0057】
結果を表10に示す。本発明例である表面処理鋼板を用いるラミネート鋼板No.34〜47では、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示し、筋状の表面欠陥も認められない。また、周期が0.01〜0.4秒で、1周期当りのZrが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Zrが析出する電流密度における全電気量密度が3〜20C/dm2となる電解条件で陰極電解処理を行うNo.34〜37、39〜44、46では湿潤樹脂密着性の剥離長が15mm以下であり、特に優れた湿潤樹脂密着性が得られる。これに対し、比較例であるラミネート鋼板No.48、49では、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示しているが、筋状の表面欠陥が認められる。
【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
【表9】

【0061】
【表10】

【実施例3】
【0062】
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)の両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、上記したA〜Dの方法により耐食性皮膜を形成する。C、Dの処理において、加熱溶融処理によりSnめっきの一部は合金化する。合金化せず残存した純Sn残量については、表11、12に示す。
【0063】
次いで、鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、表11、12に示す陰極電解処理の条件で陰極電解を行い、乾燥して密着性皮膜を形成して表面処理鋼板No.50〜60を作製する。このとき、処理浴のpHは、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、硫酸などの酸性溶液により調整する。また、表面処理鋼板No.54〜60では、パルス電流を用い、Zrが析出しない電流密度は0A/dm2としている。なお、処理浴中のフェノール樹脂には、重量平均分子量5000のフェノール樹脂を用いる。
【0064】
そして、耐食性皮膜のNiやSn付着量や、密着性皮膜のZr付着量は、蛍光X線分析法により、それぞれ予め含有量を化学分析して求めた検量板と比較して求める。また、Co、Pの含有量についてはZrと同様の蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求め、密着性皮膜に含有されるZrに対するCo、Pの質量比を評価する。また、Oは、No.50〜60のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認することができる。また、密着性皮膜のC量は全C量をガスクロマトグラフィーにより測定した値から鋼板中に含まれるC量をバックグラウンドとして差し引くことにより求める。
【0065】
これらの表面処理鋼板No.50〜60の両面に、実施例1と同様にしてラミネート鋼板No.50〜60を作製する。そして、作製したラミネート鋼板No.50〜60について、実施例1と同様にして、湿潤樹脂密着性、耐食性および筋状の表面欠陥の評価を行う。
【0066】
結果を表13に示す。本発明例であるラミネート鋼板No.50〜60では、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示し、筋状の表面欠陥も認められない。また、パルス電流を用いて陰極電解処理を行うNo.54〜60では湿潤樹脂密着性の剥離長が15mm以下であり、特に優れた湿潤樹脂密着性が得られる。なお、Zrを含む密着性皮膜には、耐食性試験後にカット部以外に点状錆が認められる場合があるが、本発明例のように、皮膜中にリン酸類由来のPやフェノール樹脂由来のCを含有させると、点状錆は全く認められない。
【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【符号の説明】
【0070】
1 鋼板
2 フィルム
3 鋼板の切り取った部位
4 重り
5 剥離長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を有し、前記耐食性皮膜上に、Zrを含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有する密着性皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
【請求項2】
密着性皮膜が、さらにリン酸類由来のPおよび/またはフェノール樹脂由来のCをその合計でZrに対する質量比で0.01〜10含有することを特徴とする表面処理鋼板。
【請求項3】
密着性皮膜のZr付着量が、鋼板の片面あたり3〜200mg/m2であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理鋼板。
【請求項4】
鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Zrを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において、電気量密度1〜20C/dm2で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
【請求項5】
鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Zrを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において、電流密度が、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りのZrが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Zrが析出する電流密度における全電気量密度が3〜20C/dm2となる電解条件で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法;ここで、Zrが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成およびpHに依存する値である。
【請求項6】
電流密度が、Zrが析出する電流密度とZrが析出しない電流密度との2値に変化する電流を用いることを特徴とする請求項5に記載の表面処理鋼板の製造方法。
【請求項7】
Zrが析出しない電流密度を0A/dm2にすることを特徴とする請求項6に記載の表面処理鋼板の製造方法。
【請求項8】
水溶液が、さらにリン酸類および/またはフェノール樹脂をその合計でZrに対するモル比で0.01〜10含有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の表面処理鋼板の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面処理鋼板に、樹脂が被覆されていることを特徴とする樹脂被覆鋼板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−62509(P2012−62509A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206515(P2010−206515)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】