説明

表面処理防眩板

【課題】 簡便に製造でき、広い面積にわたって均一な光沢を示す表面処理防眩板(1)を提供する。
【解決手段】 本発明の表面処理防眩板(1)は、60°光沢度〔G60(10)〕が50グロス以下の基板表面(10a)に表面処理膜(11)が被覆されてなる表面処理防眩面(1a)を有し、
前記60°光沢度〔G60(10)〕と、前記表面処理膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕との比〔G60(10)/t(11)〕が7.5グロス/μm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面処理防眩板に関し、詳しくは防眩性の基板表面に表面処理膜が被覆されてなる表面処理防眩面を有する表面処理防眩板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板(10)の表面(10a)に細かな凹凸を設けて防眩性を付与し、この凹凸により、外光などの写り込みを防止した防眩板は、例えば画像表示装置の最前面に配置される前面板などとして広く用いられており、例えば図1に示すように、基板表面(10a)に、傷付き防止のためのハードコート膜などの表面処理膜(11)を被覆して表面処理防眩面(1a)とした、表面処理防眩板(1)も広く用いられている〔特許文献1:特開2004−1372号公報、特許文献2:特開2003−311891号公報〕。
【0003】
従来より、このような表面処理防眩板(1)としては、表面処理防眩面(1a)の凹凸が比較的浅くて、60°光沢度〔G60(1)〕が120グロスを超えるものが使用されており、通常は60°光沢度〔G60(10)〕が50グロスを超える基板表面(10a)に表面処理膜(11)を被覆して製造されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−1372号公報
【特許文献2】特開2003−311891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、このような表面処理防眩板(1)として、表面処理防眩面(1a)の凹凸がより深くて、より低い60°光沢度〔G60(1)〕、具体的には120グロス以下の60°光沢度を示すものが求められている。このような表面処理防眩板(1)を得るには、基板(10)として、表面(10a)の凹凸がより深くて、60°光沢度〔G60(10)〕が50グロス以下のものを用い、これに、基板表面(10a)の凹凸を平滑化させないよう、できるだけ薄い膜厚、通常は3〜4μm程度の膜厚で、表面処理膜(11)を被覆すればよい。
【0006】
しかし、表面処理膜(11)は、膜厚に±0.5μm以上のムラがあるのが通常であり、基板表面(10a)の60°光沢度〔G60(10)〕が50グロス以下では、この膜厚ムラに起因して、表面処理防眩面(1a)の光沢にムラが生じ易いという問題があった。
【0007】
光沢にムラのない表面処理防眩板(1)を得るには、表面処理膜(11)の膜厚を均一にすればよいが、±0.5μm未満の均一な膜厚で表面処理膜(11)を被覆して表面処理防眩板(1)を製造することは意外に困難であり、この傾向は表面処理防眩板(1)の面積が大きくなるほど顕著である。
【0008】
そこで本発明者は、簡便に製造でき、広い面積にわたって均一な光沢を示す表面処理防眩板(1)を開発するべく鋭意検討した結果、基板表面(10a)の60°光沢度〔G60(10)〕と表面処理膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕との比〔G60(10)/t(11)〕が7.5グロス/μm以下であれば、光沢へ与える影響が小さく、膜厚に±0.5μm以上のムラがあっても、均一な光沢の表面処理防眩板(1)と為しうることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、60°光沢度〔G60(10)〕が50グロス以下の基板表面(10a)に表面処理膜(11)が被覆されてなる表面処理防眩面(1a)を有し、
前記60°光沢度〔G60(10)〕と、前記表面処理膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕との比〔G60(10)/t(11)〕が7.5グロス/μm以下であることを特徴とする表面処理防眩板(1)を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面処理膜(11)の膜厚にムラがあっても、均一でムラのない光沢を示す表面処理防眩板(1)とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、本発明の表面処理防眩板(1)は、基板(10)の表面(10a)に表面処理膜(11)が被覆されてなる。基板(10)として、通常は樹脂製のものが用いられ、具体的には、吸湿による反りが少ない点で、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂(MS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂からなるものが好ましく用いられる。
【0012】
MS樹脂とは、メタクリル酸メチルおよびスチレンを共重合させて得られる熱可塑性樹脂であって、メタクリル酸メチル単位とスチレン単位との質量比は通常20:80〜80:20、好ましくは40:60〜70:30程度である。MS樹脂は、メタクリル酸メチル、スチレン以外の単量体単位を含んでいてもよい。
【0013】
基板(10)の表面(10a)には細かな凹凸が形成されており、法線(a)から60°の方向(Li)から光を入射させたときに、その正反射方向(Lo)から測定される60°光沢度〔G60(10)〕は50グロス以下、好ましくは25グロス〜40グロス程度である。
【0014】
このような60°光沢度〔G60(10)〕を示す基板(10)は、例えば表面に凹凸を有するロールを用い、加熱溶融状態でダイから板状に押出された直後の樹脂の表面に、凹凸を設ける押出ロール転写成形法、内面に凹凸を有する金型を用いて樹脂を射出成形する方法、内面に凹凸を有するセルを用いて原料単量体を重合させる注型成形法などの方法により製造することができる。
【0015】
基板(10)は、例えば図2に示すように、熱可塑性樹脂(A)に不溶性樹脂粒子(B)を分散させて熱可塑性樹脂組成物(P)とし、これを加熱溶融状態でダイ(D)から押出したのち、表面(10a)を押圧することなく、そのまま冷却させる押出成形方法により製造することもできる。ダイ(D)から板状に押し出された熱可塑性樹脂組成物(P)は、その表面(10a)に不溶性樹脂粒子(B)による細かな凹凸が形成されて、防眩性の基板表面(10a)を形成する。
【0016】
不溶性樹脂粒子(B)とは、熱可塑性樹脂(A)と共に加熱し、熱可塑性樹脂(A)を溶融させても、自らは溶融することなく、粒子状のままで熱可塑性樹脂(A)中に分散しうる樹脂粒子(B)である。不溶性樹脂粒子(B)としては、架橋樹脂粒子が用いることができ、具体的には、基板(10)を構成する樹脂としてMS樹脂を用いた場合には、メタクリル酸メチルおよびスチレンと、ラジカル重合可能な官能基を2個以上有する多官能単量体とを共重合させて得られるものが挙げられる。
【0017】
不溶性樹脂粒子(B)の粒子径は、十分な防眩性を発揮できる点で通常10μm以上であり、本発明で規定する60°光沢度(G60)を示す防眩性表面処理板(1)が容易に得られる点で、通常20μm以下であり、粒子径の最小値と最大値との差が10μm以下、さらには4μm以下であることが好ましい。
【0018】
不溶性樹脂粒子(B)の使用量は、押出条件、特に押出し後の冷却条件により異なるが、例えば基板(10)を構成する樹脂100質量部あたり5質量部〜15質量部程度である。
【0019】
不溶性樹脂粒子(B)は、基板(10)の厚み方向にわたって均一に存在していてもよいが、不溶性樹脂粒子(B)が分散された表面層と、不溶性樹脂粒子(B)を含まないか、または表面層よりも含有量の少ない基材層とを含む多層構造とすることが、不溶性樹脂粒子(B)の使用量を削減できて好ましい。このような多層構造の基板(10)は、例えば不溶性樹脂粒子を分散させた熱可塑性樹脂組成物(P)と、不溶性樹脂粒子を含まない熱可塑性樹脂とを共押出しする多層押出成形法により、2種2層板として製造することができる。
【0020】
表面処理膜(11)は通常、かかる基板表面(10a)に表面処理剤を塗布する方法により被覆される。表面処理剤としては、例えば耐擦傷性塗料が挙げられる。耐擦傷性塗料は紫外線などのエネルギー線を照射されることにより硬化するエネルギー線硬化性のものであってもよいし、加熱されることにより硬化する熱硬化性のものであってもよい。耐擦傷性塗料としては種々のものが知られているが、例えば基板(10)を構成する樹脂としてMS樹脂を用いた場合には、分子中に芳香族環および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する硬化性化合物を含有し、芳香族環1個あたりの(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となる割合で存在する耐擦傷性塗料〔特許文献1:特開2004−1372号公報〕、
【0021】
分子中に脂環式環および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する硬化性化合物と、分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する硬化性化合物またはそのオリゴマーを含む耐擦傷性塗料〔特許文献2:特開2003−311891号公報〕などが好ましく用いられる。なお、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、メタクリロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基をいう。かかる耐擦傷性塗料は、ハードコート剤とも呼ばれており、ハードコート剤を塗布することにより、ハードコート膜として表面処理膜(11)を形成することができる。
【0022】
耐擦傷性塗料には、例えば導電性無機化合物の微粒子が分散されていてもよい。かかる微粒子の粒子径は、例えば0.1μm以下である〔特許文献1:特開2004−1372号公報、特許文献2:特開2003−311891号公報〕。このような微粒子が分散された耐擦傷性塗料を用いることで、帯電防止性の耐擦傷性膜(11)が形成されて、帯電防止性の表面処理防眩板(1)とすることができる。
【0023】
表面処理剤を基板表面(10a)に塗布する方法は特に限定されるものではなく、通常と同様の方法、例えばバーコート法、ロールコート法、ディッピング法などの塗布方法により塗布することができる。
【0024】
表面処理剤を塗布した後、表面処理剤に含まれる揮発成分を揮発させて皮膜とし、これを硬化させることにより、表面処理膜(11)を形成することができる。硬化させる方法は、表面処理剤の種類により異なり、エネルギー線硬化性の表面処理剤を用いた場合には、エネルギー線を照射すればよく、エネルギー線の強度や照射時間などは、用いた硬化性表面処理剤の種類、平均膜厚〔t(11)〕などにより適宜選択される。また熱硬化性の表面処理剤を用いた場合には加熱すればよく、加熱時間や加熱温度などは、用いた熱効果性表面処理剤の種類、平均膜厚〔t(11)〕などにより適宜選択される。硬化は、揮発成分を揮発させた後に行ってもよいし、揮発成分の揮発と同時に行ってもよい。
【0025】
表面処理膜(11)は、基板表面(10a)の60°光沢度〔G60(10)〕と平均膜厚〔t(11)〕との比〔G60(10)/t(11)〕が7.5グロス/μm以下、好ましくは7.0グロス/μm以下、通常は4.5グロス/μm以上となるように被覆される。このように表面処理膜(11)を被覆するには、例えば基板(10)として凹凸が深くて60°光沢度〔G60(10)〕がより小さなものを用い、表面処理膜(11)の膜厚を厚くすればよい。膜厚を厚くするには、例えばバーコート法、ロールコート法などの方法により表面処理剤を塗布して表面処理膜(11)を形成する場合には、表面処理剤に含まれる溶剤その他の揮発成分の含有量を少なくして粘度を上げてもよいし、防眩性基板(10)と、使用するバーまたはロールとの間の距離を適宜調節して大きくしてもよい。繰り返し表面処理剤を塗布する重ね塗りにより、膜厚を厚くしてもよい。
【0026】
本発明の表面処理防眩板(1)は、表面処理膜(11)の膜厚に±0.5μm以上のムラがあっても、光沢度のムラを生じないので、例えば表面処理剤を塗布するという通常の方法において膜厚を厚くするという簡便な方法により表面処理膜(11)を形成しても、光沢度のムラを生じない。
【0027】
本発明の表面処理防眩板(1)は、例えば陰極線管(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、発光ダイオードディスプレイなどの画像表示装置の最前面に配置される前面板として有用である。
【0028】
また、本発明の表面処理防眩板(1)は、図3に示すような、プロジェクションテレビ(2)の最前面に配置される前面板として用いることもできる。プロジェクションテレビ(2)とは、スクリーン(3)の背面側に投影機(4)から画像を映し出して表示する装置である。投影機(4)からの画像は通常、プロジェクションテレビの奥行きを短くするために、反射板(5)により反射されてスクリーン(3)に映し出される。これら投影機(4)および反射板(5)は通常、外光の影響をさけるために、筐体(図示せず)の中に納められている。
【0029】
本発明の表面処理防眩板(1)をプロジェクションテレビの前面板として用いる場合には、例えば図4に示すように、プロジェクションテレビのスクリーン(3)を構成するフィルム状のレンチキュラーレンズ(6)を貼合するための支持板(1)として用いることができる。フィルム状レンチキュラーレンズ(6)は通常、表面処理防眩面(1a)とは反対側の面(1b)に貼合される。フィルム状レンチキュラーレンズ(3)側には、通常、これ(3)と間隔を開けてフレネルレンズ(7)が配置される。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
【0031】
なお、各実施例における評価方法は以下のとおりである。
(1)60°光沢度〔G60(10)、G60(1)、グロス〕
JIS Z8741に準拠して、光沢計〔ミノルタ(株)製、「GM−268」〕を用いて測定した(単位はグロス)。
(2)表面処理膜の平均膜厚〔t(11)、μm〕
各実施例で得た防眩性基板(10)に代えて、メタクリル酸メチル単位60質量%とスチレン単位40質量%の共重合体〔住友化学(株)製、「スミペックスHS」〕を押出成形して得られ、表面が平滑なMS樹脂押出板を用いた以外は各実施例と同様に操作して、表面処理剤を塗布し、硬化させて表面処理膜(11)を形成し、この表面処理膜(11)の膜厚〔t(11)〕を瞬間マルチ測光システム〔大塚電子(株)製、「「MCPD−2000」」により測定した(単位はμm)。
(3)硬度
スチールウール0000番を荷重500gf/cm2(49kPa)で10回往復させたのちの表面処理膜(11)の傷の有無を目視で判断し、傷がないものを「○」、あったものを「×」とした。
(4)表面抵抗
ASTM D257に準拠して、表面抵抗率計〔東亜電波工業(株)製、「SM−8210」〕を用いて測定した。
(5)密着性
JIS K5400に準拠して、碁盤目テープ法により表面処理層に設けた碁盤目100目盛りあたりの剥離数として測定した。
(6)外観
光沢度のムラの有無を目視にて判定した。ムラが見られなかったものを「○」とし、見られたものを「×」とした。
【0032】
実施例1
〔防眩性の基板の調製〕
メタクリル酸メチル単位60質量%とスチレン単位40質量%の共重合体樹脂〔住友化学(株)製、「スミペックスHS」〕(A)100質量部に、架橋樹脂粒子〔メタクリル酸メチルおよびスチレンを主成分とし、エチレングリコールジメタクリレート(多官能単量体)を含む単量体の重合体、粒子径は11μm〜14μm、重量平均粒子径12.5μm、屈折率1.50〕(B)9質量部を加えて得た熱可塑性樹脂組成物(P)を表層とし、上記と同じ共重合体樹脂(A)100質量部に上記と同じ架橋樹脂粒子(B)1.3質量部を加えて得た熱可塑性樹脂組成物(P)を基材層として、加熱溶融状態で混練しながらダイ(D)から押し出して成形して、2種2層構成〔表層130μm、層厚み2.0mm〕で、表面(10a)の60°光沢度〔G60(10)〕が31グロスの基板(10)を得た。
【0033】
〔帯電防止耐擦傷性塗料の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学(株)、「NKエステルA−9530」〕20質量部、2,2’−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシ)フェニルプロパン−2−プロパノール〔共栄社化学(株)、「ライトアクリレート BP−4EA」〕25質量部、2−メチル−1−プロパノール50質量部の混合物に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャリティーケミカルズ社、「イルガキュア 184」、重合開始剤〕1.25質量部を加えて混合して、耐擦傷性塗料を調製した。
【0034】
この耐擦傷性塗料90質量部に五酸化二アンチモン分散液〔Sb25、触媒化成工業(株)、「ELECOM EC−14」、濃度20質量%、五酸化二アンチモンの粒子径は20nm〜30nm〕10質量部添加して、帯電防止耐擦傷性塗料を得た。
【0035】
〔帯電防止耐擦傷性膜の被覆〕
上記で得た基板(10)の表面(10a)に、上記で得た帯電防止耐擦傷性塗料を塗布し、乾燥後、紫外線を照射して硬化させることにより、帯電防止耐擦傷性膜(11)を被覆して、表面処理防眩板(1)を得た。
【0036】
得られた表面処理防眩板(1)の表面(10a)に形成された表面処理膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕は5.1μmであり、膜厚の振れは±1.0μmであった。この表面処理防眩板(1)の評価結果を第1表に示す。
【0037】
比較例1
帯電防止耐擦傷性塗料の塗布量を少なくした以外は実施例1と同様に操作して、表面処理防眩板(1)を得た。この表面処理防眩板(1)に形成された帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕は3.4μmであり、膜厚の振れは±1.0μmであった。評価結果を第1表に示す。
【0038】
実施例2
実施例1で用いた基板(10)に代えて、実施例1と同様に操作して得られ、表面(10)の60°光沢度〔G60(10)〕が29グロスの基板(10)を用いた以外は実施例1と同様に操作することにより、帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕が5.1μmであり、膜厚の振れが±0.1μmである帯電防止耐擦傷性膜(11)で被覆された表面処理防眩板(1)を得た。評価結果を第1表に示す。
【0039】
比較例2
帯電防止耐擦傷性塗料の塗布量を少なくした以外は実施例2と同様に操作して、表面処理防眩板(1)を得た。この表面処理防眩板(1)に形成された帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕は3.4μmであり、膜厚の振れは±1.0μmであった。評価結果を第1表に示す。
【0040】
実施例3
実施例1で用いた基板(10)に代えて、実施例1と同様に操作して得られ、表面(10)の60°光沢度〔G60(10)〕が28グロスの基板(10)を用いた以外は実施例1と同様に操作することにより、帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕が5.1μmであり、膜厚の振れが±0.1μmである帯電防止耐擦傷性膜(11)で被覆された表面処理防眩板(1)を得た。評価結果を第1表に示す。
【0041】
比較例3
帯電防止耐擦傷性塗料の塗布量を少なくした以外は実施例3と同様に操作して、表面処理防眩板(1)を得た。この表面処理防眩板(1)に形成された帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕は3.4μmであり、膜厚の振れは±1.0μmであった。評価結果を第1表に示す。
【0042】
実施例4
実施例1で用いた基板(10)に代えて、実施例1と同様に操作して得られ、表面(10)の60°光沢度〔G60(10)〕が27グロスの基板(10)を用いた以外は実施例1と同様に操作することにより、帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕が5.1μmであり、膜厚の振れが±0.1μmである帯電防止耐擦傷性膜(11)で被覆された表面処理防眩板(1)を得た。評価結果を第1表に示す。
【0043】
比較例3
帯電防止耐擦傷性塗料の塗布量を少なくした以外は実施例3と同様に操作して、表面処理防眩板(1)を得た。この表面処理防眩板(1)に形成された帯電防止耐擦傷性膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕は3.4μmであり、膜厚の振れは±1.0μmであった。評価結果を第1表に示す。














【0044】
第 1 表
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
基板(10) 表面処理防眩板(1) G60(10)/t(11)
G60(10) t(11) G60(1) 硬度 表面抵抗 密着性 外観
(グロス) (μm) (グロス) (Ω/□) (グロス/μm)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 30〜31 5.1 78〜103 ○ 1.0×1012 0 ○ 5.3
比較例1 30〜31 3.4 63〜 92 × 1.0×1012 0 × 9.1
実施例2 29 5.1 91〜 99 ○ 1.0×1012 0 ○ 5.7
比較例2 29 3.4 58〜 92 × 1.0×1012 0 × 8.5
実施例3 28 5.1 93〜 98 ○ 1.0×1012 0 ○ 5.5
比較例3 28 3.4 55〜 93 × 1.0×1012 0 × 8.2
実施例4 27 5.1 88〜101 ○ 1.0×1012 0 ○ 5.3
比較例4 27 3.4 53〜 88 × 1.0×1012 0 × 7.9
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】表面処理防眩板の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】基板の製造方法を模式的に示す図である。
【図3】表面処理防眩板を前面板として用いたプロジェクションテレビの一例を模式的に示す断面図である。
【図4】表面処理防眩板を用いたプロジェクションテレビ用スクリーンの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:表面処理防眩板(支持板)
1a:表面処理防眩面 1b:反対面
10:基板 10a:基板表面
11:表面処理層 t(11):平均膜厚
a:法線
2:プロジェクションテレビ
3:スクリーン 4:投影機 5:反射板
6:フィルム状レンチキュラーレンズ 7:フレネルレンズ
P:熱可塑性樹脂組成物
A:熱可塑性樹脂 B:不溶性樹脂粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
60°光沢度〔G60(10)〕が50グロス以下の基板表面(10a)に表面処理膜(11)が被覆されてなる表面処理防眩面(1a)を有し、
前記60°光沢度〔G60(10)〕と、前記表面処理膜(11)の平均膜厚〔t(11)〕との比〔G60(10)/t(11)〕が7.5グロス/μm以下であることを特徴とする表面処理防眩板(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−154040(P2006−154040A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341870(P2004−341870)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】