説明

表面分析方法及び装置

【課題】切削しながら表面からサブミクロンの深さにおける表面サンプルの状態を分析できる表面分析装置を提供する。
【解決手段】表面分析対象となる試料の表面を切削する切刃と、この試料から削られた表面サンプル及びこの切刃に分析光を照射可能な光源と、この分析光がこの表面サンプルに照射されて到達する面であってこの表面サンプルをバックアップするバックアップ面と、この表面サンプルからの光を通過させる光路とを備え、この試料若しくはこの切刃を相対的に移動して表面サンプルの表面からの深さを変えることができる表面分析装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面分析方法及び装置に関し、さらに詳しくは、表面サンプルをその場で分析可能な表面分析方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料表面の分析には種々の方法がある。これを深さ分解能及び空間分解能によって分類すると、図14(出典:小川俊夫監修「高分子の表面改質・解析の新展開」 第167頁、株式会社シーエムシー出版 2007年2月発行。図中矢印Aは説明のため追加。)のように示すことができる。この図においては、高分子の表面分析によく用いられる手法が、検出されるサンプルの面積的な広がり及び表面からの深さ方向に対して、簡潔にまとめられている。例えば、表層から10nmの深さではTOF−SIMS/SIMSが用いられ、10−100nmでは、ESCA(XPS)が適用可能であることが2次元的に把握できる。更に、0.5−10μmでは、顕微IRやFT−IR ATRが適用される。ここで、深さ分解能が共に同じ範囲であるのに対し、空間分解能(即ち面積的な広がり)が異なっており、同じ赤外という光を分析に用いる両方法の特徴が端的に表されている。その他の赤外光分析では、ジョンソン法(KBr微粉末を表面にまぶし溶剤を数滴つけてこすり付け測定する)や高感度反射測定法(IR−RAS)が使用できるが、いずれもこれらの深さ分解能及び空間分解能に規定される範囲を逸脱するものではない。また、10nmあたりから100μmあたりまでは、X線回折による分析が適用可能とされ、全ての分析方法をカバーしているようにも見えるが、X線回折により得られる情報は限られたものである。従って、矢印Aで示す深さ分解能の範囲において、適切な分析方法が欠けていると考えられる。
【0003】
一方、表面分析では、表面を剥ぎ取ってそれを集めて測定することが通常行われる。例えば、安全剃刀状の薄い刃体1に鋭利な刃先を形成し、刃の形成面に高反射性の金属膜を設けて採取具としての削ぎ刃を形成する。そして、この刃先で基板の表面から付着物を、採取面に付着させたままの状態で赤外分光分析し、その付着物の同定解析をする発明が開示されている(特許文献1)。ここでは、特殊コーティングが必要となるだけでなく、付着物を削り取った刃の上に付着したものを分析するため、収集した試料全体の情報が得られるのに過ぎない。
【0004】
また、測定光を透過させる材料から成る切刃を切削駆動手段に装着し、前記切刃を試料に切り込ませ、前記切刃のすくい面に切削片を削り起こして載せ、前記切削片を載せたまま前記切刃を切削駆動手段から分離し、前記切削片を前記切刃に載せたままの状態で測定光を当て、前記切削片の分析を行うことを特徴とする試料分析方法が開示されている(特許文献2)。この方法では、切刃を切削駆動手段から分離して分析するので、前記切削片を分離する方法によっては前記切刃に載せることが難しい。更に、前記切刃の移動中に前記切削片を紛失するおそれもあり、測定方法として生産性も低くなる。
【0005】
そして、試料表面を切削するのと正に同時に切削内面のデータを測定するために、測定光が、光源からダイヤモンド切刃の光入出射面を通ってダイヤモンド切刃内に入射し、ダイヤモンド切刃の先端部に照射され、ダイヤモンド切刃の先端部から出て試料の切削ポイントで反射され、ダイヤモンド切刃の先端部を通ってダイヤモンド切刃内に入射し、ダイヤモンド切刃の光入出射面から出て、光検出器で受光されることを特徴とする分析方法が開示されている(例えば、特許文献3)。この方法では、切削ポイントの情報を切削しながら測定できるが、切刃を通して測定光を導入し、切削ポイントからの反射光を前記切刃を通して検出する。このため、光の通る路の設計が複雑になり易く、切刃の設計も容易ではない。
【0006】
また、表面から数百nmのオーダーの試料を切削し、その試料を載せた切刃をFT−IR測定装置へと移動し、測定する分析方法が開示されている(例えば、非特許文献1)。この方法では、切刃を所定の位置まで移動させないと分析できないため、切削しながらの測定ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−44616号公報
【特許文献2】特開2005−114679号公報
【特許文献3】特開2005−195438号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】APPLIED SPECTROSCOPY, "Infrared SurfaceAnalysis Using a Newly Developed Thin-Sample Preparation System", Volume63, Number 1, pp. 66-72 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、表面からサブミクロンの深さの情報を得ることが望まれており、特に、表面からの深さを変化させつつその部分の情報を得ることが望まれている。しかるに、従来の分析技術では、赤外光等を用いて表面からサブミクロンの深さの特定の情報を得ることは必ずしも容易ではない。特に、深さを変化させながら、試料の構造や特性等を分析することが困難である。また、一方で切削しながら、一定の面積を持つ切削片の情報を得ることも容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような事情に鑑み、分析方法について鋭意検討したところ、表面から約100から500nmまでのサブミクロンオーダーの領域が、顕微IRやFT−IR ATRによって分析できないとされるのは、赤外光自体が分析できないのではなく、サンプリングに問題があり、これらの分析方法が適用されないことが見出された。即ち、サブミクロンの深さの試料を準備できれば、赤外光による分析は可能である。特に、切削と分析を一体的に行うことによって、特に、SIMSやESCA等のように高真空を必要としない赤外光による分析を適用すれば、切削しながら表層の分析が可能となる。更に、深さを変化させながらの切削により、深さ方向の分析が可能となる。また、測定光の光路を工夫することにより、表層から分離した切削片の分析も可能である。
【0011】
本発明において、試料の表面から切刃を侵入させ、その状態を保ったままでも分析が可能となる分析方法及び分析装置を提供できる。例えば、対象となる試料の表面を切削する切刃と、前記試料から削られた切削片及び前記切刃に分析光を照射可能な光源と、この切削片からの光を通過させる光路とを備え、前記試料若しくは前記切刃を相対的に移動して表面からの深さを変えることができる表面分析装置が提供できる。また、試料と、その表面を切削する切刃とを、前記表面及び前記切刃のすくい面が所定の角度となるように配置し、前記試料若しくは前記切刃を相対的に移動させ、前記切刃により前記表面から切削片を削り出した状態で、分析可能な分析光を前記切削片に照射し、この切削片からの光(反射光及び/又は透過光)を受光し分析を行い、前記相対的な移動から前記切削片が切削される表面からの位置の変化を求める表面分析方法を提供することができる。
【0012】
具体的には、以下のようなものを提供することができる。
(1)表面分析対象となる試料の表面サンプルを切削する切刃と、前記試料を固定する固定手段と、前記切刃の切削により得られる表面サンプルに分析光を照射可能な光源と、前記分析光が前記表面サンプルに照射されて到達する面であって前記表面サンプルをバックアップするバックアップ面と、前記分析光が照射された前記表面サンプルからのデータ光を分析可能に通過させる光路とを備え、前記固定手段及び/又は前記切刃を相対的に移動することにより、前記表面サンプルの前記試料の表面からの平均深さを調節可能なことを特徴とする表面分析装置を提供することができる。
【0013】
ここで、表面サンプルとは、前記試料の表面若しくは表層から得られるサンプルであって、表面からの深さ(算術平均深さ、サンプルの容積若しくは重量パーセントによる平均深さ等を含む)と関連付けることができるものをいう。表面サンプルは、何らかの意味で試料の内部(即ち、バルク部。以下同じ。)からの影響が制限されたサンプルをいい、例えば、赤外光による分析において、試料内部から出てくる赤外光の影響を受けずに、そのサンプル(即ち、表面サンプル)から出てくる赤外光に基づいて分析可能なサンプルであって、少なくともその試料の表面若しくは表層を含んでいるサンプルをいってよい。ここで、表層とは、最表面のコンタミや酸化被膜等の影響を少なくなるように制限することができる表面近傍の部分を意味することができる。従って、表面サンプルを前記試料から分離することは必ずしも必要ではない。
【0014】
ここで、固定手段は、試料を固定できる固定治具を含んでよい。上記する切刃は、通常の切削工具として用いられるいわゆるバイトと同様な形状をしていてもよい。切刃は、分析光及びデータ光に対して、透過若しくは反射可能な材料から構成されることが好ましい。この分析光とは、分析のために照射される光を含んでよく、いわゆる環境光として室内外の光等も含んでよい。試料に侵入する(又は挿入される)切刃の先端部には、所定の角度の刃先角を備える。この刃先角は、試料表面への侵入のし易さや、表面サンプルの作り易さを考慮した場合は、60°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、20°以下が更に好ましい。一方、刃先の加工の困難性や、刃先の欠け易さを考慮すれば、1°以上が好ましく、5°以上がより好ましく、10°以上が更に好ましい。
【0015】
(2)前記分析光は、赤外光であることを特徴とする上記(1)に記載の表面分析装置を提供することができる。
【0016】
分析光としては、波長の短いものから長いものまで特に限定されないが、赤外吸収を測定する場合は、赤外光若しくは赤外線が好ましい。赤外線は、可視光線の赤色より波長が長く(周波数が低い)、電波より波長の短い電磁波のことである。従って、ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般を指し、波長ではおよそ0.7μm〜1mmに分布する。すなわち、可視光線と電波の間に属する電磁波といえる。
【0017】
(3)前記切刃の相対的な移動軌跡は、前記試料の表面に対し所定の角度で傾斜することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の表面分析装置を提供することができる。
【0018】
ここで、移動軌跡とは、移動することにより切刃の先端が仮想的に描く線若しくは面を意味することができる。切刃は所定の刃先角を備える直線的な先端辺を備えてよく、この先端辺に対して垂直な方向に移動(相対移動を含む)する場合は、側面視において移動軌跡は線を描くことになる。相対移動は、系全体から見たときに切刃は静止していても、試料が移動することにより相対的に切刃が移動するように見える場合を含んでよい。
【0019】
(4)前記バックアップ面は、前記切刃のすくい面であることを特徴とする上記(1)から(3)いずれかに記載の表面分析装置を提供することができる。
【0020】
ここで、表面サンプルをバックアップするとは、表面サンプルの背面側に位置し、試料の内部から表面サンプルを分離することを意味してもよい。また、表面サンプルに接触可能な状態であることを意味してもよい。表面サンプルは、このバックアップ面に付着(又は接触若しくは密着)していてもよく、離間していてもよい。そして、照射する分析光から見て表面サンプルの背後にあり、試料の内部にこの分析光が届かないようにしてもよい。或いは、試料の内部からの分析可能な光がこの表面サンプルに届かないようにしてもよい。すくい面は、切刃により切削される切削片が載る面であってもよい。例えば、切刃の進行方向に発生する切削片(若しくは切屑)をすくいとるような役割をしている面を意味することができる。
【0021】
(5)前記光路は、前記切刃の内部に備えられることを特徴とする上記(1)から(4)の何れかに記載の表面分析装置を提供することができる。このとき、切刃は表面サンプルから出てくる光であるデータ光を透過可能な材料からなることが好ましい。
【0022】
ここで、データ光とは、分析対象となる試料(例えば、表面サンプル)を分析するための光であり、この試料との相互作用(例えば、吸収、増幅、反射、透過等)後、検出器や分析機器へと送られるべき光のことを意味してよい。つまり、データ光は、試料の影響により、偏光、吸収、増幅等されてよい。
【0023】
(6)前記切刃は、内部に前記光路を形成可能に、少なくとも1つの面で前記データ光を反射することを特徴とする上記(5)に記載の表面分析装置を提供することができる。また、この切刃の形状により、更に、反射を増やして、少なくとも2つの面で前記データ光を閉じ込めるように反射可能にすることもできる。ここで、データ光を閉じ込めるようにとは、切刃に入った光が切刃の外に出ないように反射されるようにという意味であってよい。1つ若しくは2つの面は、切刃の内面であって、切刃の外部(例えば、開放空間)との境界(又は界面)をなすもの(以下「切刃内面」という)のうち少なくとも1つの面を含んでよい。例えば、一旦切刃の内部に入ったデータ光がこのような第1の切刃内面で反射され、切刃内部を進行し切刃の後端側の第2の切刃内面で反射され、反射しない別の切刃内面(境界)を通過して分析に供されてもよい。反射率が低い場合は、反射の度に減衰するので、反射回数が少ない方が好ましい。
【0024】
(7)表面分析対象となる試料と、該試料の表面から侵入可能な切刃とを、相対的に移動可能に配置する配置工程と、前記試料及び/又は前記切刃を相対的に移動させ、前記切刃を前記試料の前記表面から侵入させる侵入工程と、分析可能な分析光を前記試料の前記表面から照射し、前記切刃を構成する面に到達させる照射工程と、前記切刃を構成する前記面に到達した光を受光し分析を行う分析工程と、前記相対的な移動から前記表面からの位置を算出する算出工程と、を備える表面分析方法を提供することができる。
【0025】
(8)前記分析光は、赤外光であることを特徴とする上記(7)に記載の表面分析方法を提供することができる。
【0026】
(9)前記侵入工程において、前記切刃を構成する前記面であるすくい面と前記試料の前記表面とが90度未満の侵入角を形成するように侵入させ、前記照射工程において、前記分析光を前記すくい面に略垂直に照射することを特徴とする(7)又は(8)に記載の表面分析方法を提供することができる。
【0027】
ここで、侵入角とは、表面及び切刃のすくい面がなす角を意味することもできる。切刃は、このすくい面に平行な方向に相対移動し、試料の表面に侵入することもできる。
【0028】
(10)前記表面から照射され、前記切刃を構成する前記面に到達する光は、前記切刃内部を通って、分析手段へ向かうことを特徴とする上記(7)から(9)のいずれかに記載の表面分析方法を提供することができる。
【0029】
このように、試料表面から、切刃を挿入し、挿入した状態を保ったままで該試料表面から切刃に向かって分析光をあて、その反射光及び/又は透過光を分析する方法を提供することができる。また、その切刃は、分析光の遮断材を少なくともコーティングすることができる。そして、試料断面から、切刃を挿入し、挿入した状態を保ったままで分析する方法を提供できる。このとき、その切刃を分析光の遮断材とすることもできる。そして、切刃の材質をダイヤモンドとし、そのダイヤモンドの表面を金属膜や窒化物や炭化物や酸化物でコーティングすることもできる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、表面から約100nm以上で、約1μm以下の深さの状態を分析することができる。特に、表面からの深さを変化させつつ、その部分の状態を分析可能である。そして、切削しながら、切削片自体の測定もできる。このような分析には、これまで蓄積された赤外吸光のデータを活用することも可能である。また、照射プローブを工夫すれば、顕微IRに相当する狭い面積での状態分析も、深さ方向の関数として可能である。また、試料からの光の通る路を切刃内とすることで、試料周りの空間の自由度を上げることができる。そして、その場で分析するため、分析用のサンプル作成を別途する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1つの実施例である表面分析システムの概略模式図である。
【図2】図1の切刃の部分を拡大した部分拡大模式図である。
【図3】図2の切刃部分を更に拡大しマウント部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】図1の表面分析装置を作動させた状態を示す部分概略模式図である。
【図5】本発明の別の実施例の表面分析装置の主要な構成を説明する概略模式図である。
【図6】図5の表面分析装置を作動させた状態を示す概略模式図である。
【図7】試料と切刃との相対的な位置関係を示す概略模式図である。
【図8】本発明の更に別の実施例の表面分析装置の主要な構成を説明する概略模式図である。
【図9】本発明のまた別の実施例の表面分析装置の主要な構成を説明する概略模式図である。
【図10】また別の実施例において用いられ得る切刃の(a)一部破断斜視図及び(b)BB断面図である。
【図11】本発明の別の実施例の表面分析装置において、切刃が試料に侵入した状態を示す概略模式図である。
【図12】本発明の更に別の実施例の表面分析装置において、切刃が試料に侵入した状態を示す概略模式図である。
【図13】本発明の実施例の表面分析装置を用いて試料の表面劣化を測定したときの赤外吸収スペクトルの変遷を示す模式図である。
【図14】各種表面分析法の空間・深さ分解能を示すグラフである(出典:小川俊夫監修「高分子の表面改質・解析の新展開」 第167頁、株式会社シーエムシー出版 2007年2月発行)。
【図15】本発明の別の実施例である表面分析システムの概略模式図である。
【図16】本発明のまた別の実施例である表面分析システムの概略模式図である。
【図17】本発明の更に別の実施例である表面分析システムの概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について詳しく説明するが、これは本発明を理解するために記述されるのであって、本発明の範囲を限定するものではない。同一若しくは関連する要素には同じ符号が付され、重複する説明は割愛される。
【0033】
図1から4は、本発明の1つの実施例である表面分析システムを模式的に示す。表面分析装置(分析装置自体は不図示)を含む分析システム10は、主に、光学系装置12と、切削系装置14と、試料保持系装置16と、から構成される。光学系装置12には、CCDカメラ18が備えられ、自身の照明光若しくは環境光により試料を観測することができる。また、対物レンズ20にて集光される分析光21がプローブを曲げて作られるエルボー22により鉛直下向きに曲げられ照射されるが、その分析光は分析光プローブ24により矢印の先にある光源26から導入される。この光源26としては、例えば、12500〜3800cm−1の領域はタングステン・ヨウ素ランプが、7800〜240cm−1の領域では高輝度セラミック光源を用いることができる。このような分析光プローブ24には、株式会社システムズエンジニアリング製の中赤外PIRファイバーシステムを適用することができる。
【0034】
切削系装置14は、切刃32、この切刃32を固定する切刃固定治具34、これを固定する切削系本体36、及び光学的コネクター38から構成される。切刃32は、切削片が載るすくい面相当の上面32aと、切刃固定治具34に面する下面32b(切刃32と異なるもの(空気等の流体及び固体を含む)との界面(又は境界)ということもできる)と、所定の刃先角を備える先端辺32cとを備える。そして、切刃固定治具34に固定されるマウントプレート34aの開口32eを規定する縁部32dにおいて、切刃32は接着固定される。切刃32は、試料を切削可能な硬いものであればよい。但し、分析のために光を透過させる場合は、光透過性である必要がある。この実施例においては、切刃32は、ダイヤモンド製のものであり、先端辺32cは、切刃32の全幅に渡りまっすぐ延びている。しかしながら、オプションとして、上側に丸で囲った部分拡大図のように一部突出する突出部32fを設けることができる。このとき、ベースラインである端辺32gは、先端辺32cに相当する。このような形状にすると、試料に侵入する切刃の部分が幅狭となり、侵入をより容易に行うことができる。一方、突出部32fが小さすぎると表面サンプルとして十分な広さ(面積)を得られないおそれがある。この切刃32は、縦断面が平行四辺形をしており、上面及び下面を水平にして配置した場合、図中幅方向に全体が6のサイズであるとき、2ずつ3つに分け、先端部側の上面の半分は、ダイヤモンドがむき出しの状態である。一方、後端側の半分は、反射材コーティング33(例えば、金等の金属、又は、TiN等のセラミック)が施され、更に後端側の側面も同様な反射材コーティング33がなされている。このようなコーティング材料としては、高い反射率を持つものが好ましい。例えば、オプトシリウス株式会社が販売するSpectralon(登録商標)、Spectraflect(登録商標)、Duraflect(登録商標)、Infragold(登録商標)等を市販されている例としてあげることができる。更に、切刃32の先端部の逃げ角(若しくは逃げ面)側も縦(又は前後)方向pだけダイヤモンドがむき出しとなり、残りの側面及び下面32bの縁部32dも同様な反射材コーティング33がなされている。切刃32の刃先角は45度であり、すくい面に相当する上面32aは水平に配置されている。
【0035】
尚、ここでは切刃32の材料として硬い試料もカットできるダイヤモンドを例として用いているが、それ以外のセラミックス、金属等を適宜選択して用いることができる。反射する赤外光を用いて分析する場合は、切刃材料が透光性を備える必要はなく、反射に優れるものが好ましい。一方、透過赤外光を用いて分析する場合は、反射が少なく透光性に優れるものが好ましい。例えば、透光性アルミナや単結晶アルミナ(又はサファイア)においては、可視光から波長が6.5μmの光の透光性が期待され、MgFでは波長が0.1〜7.5μm、LiFでは波長が0.1〜9μm、CaFでは波長が0.1〜12μmの光の透光性が期待される。また、Siのように可視光を透過できなくても波長が1.2〜15μmの赤外光が透過可能なものも用いてもよい。特にダイヤモンドは、0.25〜80μmと広い範囲で透光性が期待される。但し、ダイヤモンドは、4〜5.5μmあたりに吸収があるので、適宜補正を行うことが好ましい。異なる材質の切刃を用いた分析も並行して行い、補償することも可能である。また、異なる切刃材料で測定をすることにより、その材料に吸収のある波長の範囲での精度低下を補償することが可能となる。以下、切刃の材料に関して同様である。
【0036】
切刃固定治具34は、切刃32と同様分析のために光を透過させる場合は、少なくとも開口32eに対応する部分について光透過性である必要がある。例えば、中空状態となっていてよい。特に、中空ではなく、透光性の材料で詰まっている場合は、光は切刃32から切刃固定治具34へと導かれるので、切刃32の材質とほぼ等しい屈折率の材質がより好ましい。例えば、石英を用いることができる。また、界面32bに、表面の乱反射を防ぐために、屈折率を調節する液体を介在させることもできる。この切刃固定治具34の表面は、同様な反射材コーティング33がなされている。切刃固定治具34は、光学的コネクター38と共に切削系本体36に固定され、これらを通る分析用の光(データ光)はファイバーを通り光学分析装置40へと導かれる。この切削系本体36は、ゴニオメータ42に載置され、好ましい位置に回転固定される。更に、このゴニオメータ42は、XYステージに載置され、図示しないサーボモータ又はステップモータにより水平方向に移動可能となっている。
【0037】
試料保持系装置16は、試料51の表面が前記切刃32の上面に対して所定の角となるように試料51を固定する試料固定治具52を備える。この試料固定治具52は、真空チャックにより試料51を固定するが、この固定をホットメルト等の接着剤を用いて行うこともできる。この試料固定治具52を所定の角度で傾斜させて固定するハンド54は、圧電素子によりZ軸方向に駆動される圧電素子ステージ56に固定され、更に、この圧電素子ステージ56は、圧電素子によりX軸方向に駆動される圧電素子ステージ58に固定される。これらの圧電素子ステージ56、58は、後述する切刃32による切削において、深さ方向等を調整するために用いられる。そして、この圧電素子ステージ58は、更に、図示しないサーボモータ又はステップモータにより水平方向に移動可能なXステージ62に載置される。上述した切削系装置14及びここで述べた試料保持系装置16は、共にベース64上に固定され、相対位置が確定される。
【0038】
次に、図4を参照しつつ、切削しながら行う分析方法について述べる。図4では、切刃32の先端が、試料51の表面から所定の深さのところに挿入され、表面サンプルとなる切削片51aが、切刃32のすくい面に付着していることがわかる。残材51bは、ある程度の逃げ角を確保した逃げ面側にある。分析光21は、分析光プローブ24から対物レンズ20を介して切削片51aに照射される。ここで、分析光21の反射光で分析を行う場合は、切削片51aから反射される光がそのまま分析光プローブ24を逆行し、分析されればよいので、詳細な説明は割愛する。この例としては、株式会社システムズエンジニアリング製の中赤外PIRファイバーシステムを分析光プローブ24を用いた場合等である。
【0039】
さて、切削片51aに照射された分析光21は、ダイヤモンド製の切刃32内に入り、図中前方の側面において、反射材コーティング33により反射され(21a)、ほぼ水平に後端側に光が進み、後端側の側面で同様に反射材コーティング33により反射され(21b)、下面32bに対してほぼ直角に入射する。ここで、刃先角が45度であるため、すくい面から鉛直に入射した光がほぼ水平に反射されている。この角度を変える場合は、以下に述べる切刃固定治具34内の光路の確保を含めて、光の反射経路を確保することが好ましい。下面32bを超えて切刃内部から出た光は、切刃固定治具34の中空部の前方の壁面において、同様に反射材コーティング33により反射され(21c)、光学的コネクター38へと進む(21d)。この切刃固定治具34の前方の側面も同様に水平に対しほぼ45度の角度を備えるためである。
【0040】
ここで、光路が切刃32内にある場合の光の反射について考察する。切刃32内から外に光が出る場合、いわゆる入射光iは、切刃32の屈折率n1内を進み、界面に入射角θ1で入射する。切刃32外には空気があると考えると、その屈折率n2はほぼ1に等しく、屈折角θ2を持つとすると、スネルの法則より、次の式が成り立つ。
n1×sin(θ1)=n2×sin(θ2)
例えば、ダイヤモンドを用いた場合、n1=2.42、屈折角θ2=90度とすれば、臨界角θ1は、θ1=sin−1(1/2.42×sin(90))=24.4度となる。従って、25度以上(例えば、45度)の入射角では、全反射となるため、反射材コーティングをしなくてもよい場合もある。この場合は、反射角θ3=θ1となるので、適正に光路を設計することが好ましい。
【0041】
ここで、相対移動する試料51の動きについて説明する。試料51は真空チャックにより試料固定治具52に固定されているので、この試料固定治具52が矢印52aに移動した場合は、それと同じく移動する。ほぼ平行な表面及び裏面を持つ試料51の表面は、この試料固定治具52の矢印52aとほぼ平行であるので、この試料固定治具52を矢印52a方向に動かしても、切刃32の先端の位置(試料51の表面からの深さ)は変わらない。従って、すくい面に付着する切削片51aの深さは変わらないことになる。尚、矢印52a方向の移動は、Z軸方向の圧電素子ステージ56と、X軸方向の圧電素子ステージ58を連携して動かすことにより実現できる。ここで、深さを変えるためには、試料51の表面と、切刃32のすくい面とを所定の角(ごく表層を分析するためには、好ましくは60°以下であり、より好ましくは45°以下であり、更に好ましくは30°以下である。また、侵入(若しくは挿入)の容易さを考慮すれば、3°以上が好ましく、5°以上がより好ましく、7°以上が更に好ましい)とし、該表面に平行な方向よりもより後方を向く(又は上を向く)移動(例えば、水平に切刃32の先端に向かって移動)すれば、表面からの距離がより深くなり、より深い位置の材料からなる切削片51aを得ることができる。一方、該表面に平行な方向よりもより前方を向く(又は下を向く)移動(例えば、試料51がそのまま下方に鉛直に移動)すれば、表面からの距離がより浅くなり、より浅い位置の材料からなる切削片51aを得ることができる。これらの移動の詳細は、圧電素子により精密に且つ自在に行うことができるので、深さ方向に自在に切削片51aを得ることが出来ることとなる。そして、その分析結果と、この深さデータをリンクさせれば、深さ方向のプロファイリングも可能である。このような移動と深さの関係については別態様につき後述する。
【0042】
図15から17は、別の実施例となる表面分析システムをそれぞれ示す。基本構成は、図1と同じであるので、重複する部分は省略する。図15においては、切削系装置14’の切刃31は、図1の切刃32と比べ、後端部が垂直面(後端面)となっている点において異なる。また、この後端部の後端面には反射材コーティングはなされていない。光源26からの光(特に赤外光)は、プローブ24を通り、すくい面上の試料を通って、切刃31内に入り、左下側の反射材コーティング33により反射された光が、切刃31内を抜け、後端面に直接接触するプローブ25の断面からプローブ25内を通過するように配置されている。プローブ25は切削系本体36に固定されて、光学分析装置40へと、分析用の光を導く。一方、図16においては、切削系装置14’’の切刃31は、図15の切刃31と同形であるが、後端面には反射材コーティング33がなされている。光源26からの光(特に赤外光)は、プローブ24を通り、すくい面上の試料を通って、切刃31内に入り、切刃31内を抜け、左下側面に直接接触するプローブ25の断面からプローブ25内を通過するように配置されている。プローブ25は光学分析装置40へと、分析用の光を導く。
【0043】
図17においては、図15及び16の光学系を複合したもので、切削系装置14’’’の切刃31の後端面及び左下側面にプローブ25の断面が直接接触しており、それぞれのプローブ25が反射した光及び反射に及ばなかった光を光学分析装置40へと導く。このような複合システムでは、同じ試料であっても切刃31の挿入量を増加させることにより、反射光及び非反射光による分析を行うことができる。これらのようなシステムでは、図1の場合と異なり、切刃内で2回以上の反射をさせる必要がなく、分析用の光の減衰を少なくすることができる。従って、精度も向上すると期待される。
【0044】
図5及び6は、別の実施例の表面分析装置の主要な構成を説明する概略模式図である。切刃140及び試料150は、共に図示しない固定装置により、それぞれ、固定160され、また、移動170される。分析光である赤外光120は、切刃140のすくい面に照射され、切削片152の分析を行うことができる。この実施例では、刃先角がかなり鋭角的であるので、赤外光120の反射光により分析を行う方がより好ましい。まず、上述するように所定の位置関係に切刃140及び試料150が配置され、切刃140の先端が試料150の表面に食い込み、切削片152及び残材154に分離する。このとき、試料150は上述の場合と同様に圧電素子ステージにより矢印170方向に移動し、刃先は試料150の表面からより深く入り込む。従って、赤外光による分析は、より深い位置の材料の分析となる。この関係を図7の模式図で説明する。切刃140の救い面は水平であり、試料150の表面は角度αで傾斜する。ここで、矢印170方向に移動する距離をdとし、図中、切刃140の先端の食い込み位置から表面に沿った距離をXとし、切刃140の先端の表面からの距離をYとすれば、d=X・cos(α)であり、Y=X・tan(α)である。これらより、Y=d・sin(α)/cos(α)が得られる。ここで、αはほぼ1°程度であれば、cos(α)=1とみなして、Y=d・sin(α)となる。即ち、切削片152において最も深いところは、Y=d・sin(α)であり、仮に算術平均したものを平均深さとすれば、深さ<Y>=d・sin(α)/2である。
【0045】
図8は、更に別の実施例の表面分析装置の主要な構成を説明する概略模式図である。ここでは、切刃140はすくい面を水平に固定されており(矢印160)、赤外光120はすくい面に向かって照射される。試料150の表面も水平であり、この試料150がほぼ水平に移動する(170)。そのため、試料150の側面から挿入した切刃140は、深さが変わらない切削片152を削り取る。そのため同一深さの切削片152の分析を行うことができる。しかしこの場合は、逃げ角が実質的にないので、残材154が切刃140に損傷を与えるおそれがある。そこで、図9に示すように、固定を行う基板158の上に固定された試料156の右側面を左肩下がりにカットすれば、残材の影響は少なくなる。
【0046】
図10は、また別の実施例の表面分析装置に用いることができる切刃260の(a)部分破断斜視図及び(b)BB断面図を示す。この切刃260においては、先端に突出する突出部32fを備える鋭利部262が設けられ、刃先角γを持つ。その鋭利部262は、切刃先端が試料に侵入すると、その上面に試料の表面サンプルが載ることになる。鋭利部262は、境界264まで延び、すくい面となる上面266を持つ切刃260の本体へと連続する。ここで、逃げ角の基準となる下面268は共に共通し、刃先角γより大きい言わばすくい角(この実施例では45度)を形成する。この下面268とすくい面266は、45度の角度をなしている。そのため、すくい面266に垂直に入った分析光が、例えばダイヤモンド製の切刃内に入射した場合、45度の入射角で下面268を照射し、コーティングにより反射される。そして、やはり45度の反射角で切刃260内をすくい面266に対し平行に進行することができる。
【0047】
図11は、別の実施例の表面分析装置において、切刃が試料に侵入した状態を概略的に示す。切刃240は、すくい面242に平行な方向である矢印200の向きに試料150の内部に侵入する。このとき試料150の表面150aとすくい面242(又は矢印200)のなす侵入角はα1である。また、切刃240の刃先角は45度である。図示するように、試料150の表面サンプルがすくい面242上に載り(若しくは、表面サンプルがすくい面242にバックアップされ)、分析光120が照射されると、表面サンプルを透過し、切刃240内に侵入する。このとき分析光120はすくい面242に対してほぼ垂直に入射するので、切刃240内に入った光(即ち、データ光)122は、下面248に45度で当たり、45度の反射角で反射され、すくい面にほぼ平行に切刃240内を進行する。
【0048】
図12は、更に別の実施例の表面分析装置において、切刃が試料に侵入した状態を概略的に示す。切刃250は、すくい面252に平行な方向である矢印202の向きに試料150の内部に侵入する。このとき試料150の表面150aとすくい面252(又は矢印202)のなす侵入角はα2である。また、切刃250の刃先角はγである。図示するように、侵入により試料150の表面サンプルがすくい面252上に載り(若しくは、表面サンプルがすくい面252にバックアップされ)、分析光120が照射されると、表面サンプルを透過し、すくい面252で反射して、分析光120の反対方向にデータ光124として進む。このように構成するのは図11に比べ、切刃250の刃先角γは45度に比べかなり小さく、切刃250内をデータ光が通過するのは必ずしも容易ではないからである。しかしながら、刃先角γが小さいため切刃の先端の試料への侵入は容易であり、表面からの距離においてより精度の高い表面サンプルを提供することが可能である。
【0049】
図13に上述した表面分析システム10(表面分析装置を含んでよい)を用いて試料の表面劣化を測定したときの赤外吸収スペクトルを縦に並べたグラフを示す。縦軸は任意強度であり、横軸は波数を示している。サンプルCは、試料の内部から採取したものであり、サンプルBは表面サンプルのうち深いところから取ったもので、サンプルAはより表面に近いところの表面サンプルである。サンプルAが最も顕著に示すピークは、試料の劣化度合いを表す化合物の結合の伸縮振動に起因するもので、サンプルAで最も劣化が進行していることが分かる。ここで、例えば、傾斜角αが10°であるとし、サンプルAが挿入開始から相対距離dが3μmだけ移動したものであり、サンプルBが更にそこから追加の相対距離dが8μmだけ移動したものであるとすれば、それぞれの平均深さは、0.26μm及び0.69μmであるので、深さによる劣化の度合いが少なくとも定性的に把握可能であり、内部標準を用いれば、表面サンプルの量の多寡を補償可能であるので(例えば、内部標準法)、定性的な把握も可能である。
【0050】
以上、述べてきたように、本発明の表面分析装置や表面分析システムでは、切削しながら、逐次分析を行うことができ、且つ、その表面からの深さ方向を変数としてとることができる。また、特殊な形状と透過光の反射構造を供えた切刃を用いて、サブミクロンオーダーの深さ方向領域を赤外分析の評価することができ、切削できる材料であれば如何なる材料も分析の対象となり得る。例えば、1)Low−k膜やレジスト膜、有機ELなどの電子材料としての有機材料系膜とそれらに付着した異物の解析や、2)各種プラスチック及び塗膜の表層、深さ方向の解析や、3)ABS、PC、PP、PVCなどの安定剤、酸化防止剤などの深さ方向の解析を行うことができる。更に、4)耐候性試験など耐久性試験による表面から内部にかけての材料の経過時間の変化、内部添加剤の変化を調べることができ、5)これら材料の熱劣化による構造変化、耐水性試験による構造変化等の確認をすることができるだけでなく、6)植物や生体材料の表面から深さ方向の解析も可能となるので、7)食品の表層添加物などを詳細に調べることもできる。
【符号の説明】
【0051】
10 分析システム、 12 光学系装置、 14 切削系装置、
16 試料保持系装置、 21 分析光、
21a、21b、21c、21d 測定光、 24 分析光プローブ、
26 光源、 32、140 切刃、 32a すくい面、
33 反射材コーティング、 51、150 試料、
51a、152 切削片、 52 試料保持治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面分析対象となる試料の表面サンプルを切削する切刃と、
前記試料を固定する固定手段と、
前記切刃の切削により得られる表面サンプルに分析光を照射可能な光源と、
前記分析光が前記表面サンプルに照射されて到達する面であって前記表面サンプルをバックアップするバックアップ面と、
前記分析光が照射された前記表面サンプルからのデータ光を分析可能に通過させる光路とを備え、
前記固定手段及び/又は前記切刃を相対的に移動することにより、前記表面サンプルの前記試料の表面からの平均深さを調節可能なことを特徴とする表面分析装置。
【請求項2】
前記分析光は、赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の表面分析装置。
【請求項3】
前記切刃の相対的な移動軌跡は、前記試料の表面に対し所定の角度で傾斜することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面分析装置。
【請求項4】
前記バックアップ面は、前記切刃のすくい面であることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の表面分析装置。
【請求項5】
前記光路は、前記切刃の内部に備えられることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の表面分析装置。
【請求項6】
前記切刃は、内部に前記光路を形成可能に、少なくとも1つの面で前記データ光を反射することを特徴とする請求項5に記載の表面分析装置。
【請求項7】
表面分析対象となる試料と、該試料の表面から侵入可能な切刃とを、相対的に移動可能に配置する配置工程と、
前記試料及び/又は前記切刃を相対的に移動させ、前記切刃を前記試料の前記表面から侵入させる侵入工程と、
分析可能な分析光を前記試料の前記表面から照射し、前記切刃を構成する面に到達させる照射工程と、
前記切刃を構成する前記面に到達した光を受光し分析を行う分析工程と、
前記相対的な移動から前記表面からの位置を算出する算出工程と、を備える表面分析方法。
【請求項8】
前記分析光は、赤外光であることを特徴とする請求項7に記載の表面分析方法。
【請求項9】
前記侵入工程において、前記切刃を構成する前記面であるすくい面と前記試料の前記表面とが90度未満の侵入角を形成するように侵入させ、
前記照射工程において、前記分析光を前記すくい面に略垂直に照射することを特徴とする請求項7又は8に記載の表面分析方法。
【請求項10】
前記表面から照射され、前記切刃を構成する前記面に到達する光は、前記切刃内部を通って、分析手段へ向かうことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の表面分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−17696(P2011−17696A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132454(P2010−132454)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(509162115)株式会社テクノアーク (1)
【Fターム(参考)】