説明

表面形状転写樹脂シートの製造方法

【課題】樹脂シートの転写ロールへのトラレ現象を抑制し、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写できる表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、樹脂を加熱溶融状態でダイ8から連続的に押し出して連続樹脂シート2を得る押し出し工程と、連続樹脂シート2を第一押圧ロール11と第二押圧ロール12とで挟み込む第一押圧工程と、第一押圧工程の後に、連続樹脂シートを第二押圧ロール12に密着させた状態で搬送する第一搬送工程とを含み、第二押圧ロール12は、その表面に転写型22を備え、該転写型22は複数の凹溝を有し、第一搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける第二押圧ロール12に密着している領域の少なくとも一部を冷却することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートのロールへのトラレ(巻き付き)現象を抑制しつつ、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写することのできる表面形状転写樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に凹凸形状を有する樹脂シートの製造方法としては、樹脂を押出機のダイから押し出して得られる連続樹脂シートに押圧ロールの表面の転写型の形状を転写する方法が公知である(特許文献1参照)。即ち、ダイから連続的に押し出された連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込んだ後、第二押圧ロールに密着させた状態で搬送し、次いで第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に挟み込む。この時、前記第二押圧ロールの表面に転写型が設けられており、第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込んだ際に連続樹脂シートの表面に転写型の凹凸形状が転写され、このようにして表面形状転写樹脂シートが製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、押圧ロールの転写型に形成されたV字溝の深さが40μmであるのに対し、転写により形成された畝状模様の高さは2〜15μmである(引用文献1の段落0022の表1の実施例1〜4参照)から、転写率は5〜37.5%程度であって転写率は低かった。即ち、転写ロールの凹凸形状を高い転写率で転写できないという問題があった。
【0005】
本発明者は、転写ロールの温度を相当に高く設定することにより、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写できることを見出したが、この場合には、図11に示すように樹脂シートが転写ロール12に巻き付いてしまうトラレ現象を生じる問題があることが判った。特に樹脂シートの構成樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いた場合には、トラレ現象の発生が顕著であった。
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、樹脂シートの転写ロールへのトラレ(巻き付き)現象を抑制できると共に、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写することのできる表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する第一搬送工程とを含み、
前記第二押圧ロールは、その表面に転写型を備え、該転写型は複数の凹溝を有し、
前記第一搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却することを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0009】
[2]樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する第一搬送工程と、
前記第一搬送工程の後に、前記連続樹脂シートにおける前記第一押圧ロールと接触した面を第三ロールに密着させた状態で搬送する第二搬送工程とを含み、
前記第二押圧ロールは、その表面に転写型を備え、該転写型は複数の凹溝を有し、
前記第一搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却することを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0010】
[3]前記第二搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第三ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却する前項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0011】
[4]前記第二搬送工程において、前記搬送中の連続樹脂シートにおける、前記第三ロールとの接触開始位置と前記第三ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、前記第三ロールとの接触開始位置までの領域の少なくとも一部を冷却する前項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0012】
[5]前記第一搬送工程において、前記搬送中の連続樹脂シートにおける、前記第一押圧ロールとの接触位置と前記第二押圧ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、前記第二押圧ロールから剥離する位置までの領域の少なくとも一部を冷却する前項1〜4のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0013】
[6]前記樹脂がポリカーボネート樹脂である前項1〜5のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0014】
[7]前記第二押圧ロールの温度を、前記樹脂のガラス転移温度Tg(℃)に対して10℃〜50℃高い温度に設定する前項1〜6のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0015】
[8]前記転写型の凹溝の断面形状における1つの溝を形成する形成線の長さを「L」とし、前記凹溝のピッチ間隔を「P」としたとき、L/Pが1.5〜5である前項1〜7のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0016】
[9]前記転写型の凹溝の断面形状が略V字状であり、該略V字状凹溝の底の開き角度が10°〜80°である前項1〜8のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
[1]の発明では、連続樹脂シートを第一押圧ロールと、表面に転写型を備えた第二押圧ロールとで挟み込むから、転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できると共に、第一搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却するから、樹脂シートが第二押圧ロール(転写ロール)に巻き取られるトラレ現象(巻き付きトラブル)の発生を抑えることができる。
【0018】
[2]の発明では、連続樹脂シートを第一押圧ロールと、表面に転写型を備えた第二押圧ロールとで挟み込むから、転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できると共に、第一搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却するから、樹脂シートが第二押圧ロール(転写ロール)に巻き取られるトラレ現象(巻き付きトラブル)の発生を抑えることができる。また、第一搬送工程の後に、連続樹脂シートにおける第一押圧ロールと接触した面を第三ロールに密着させた状態で搬送する第二搬送工程を備えているから、反りの小さい表面形状転写樹脂シートを製造できる。
【0019】
[3]の発明では、第二搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける第三ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却するから、反りのより小さい表面形状転写樹脂シートを製造できる。
【0020】
[4]の発明では、第二搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける、第三ロールとの接触開始位置と第三ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、第三ロールとの接触開始位置までの領域の少なくとも一部を冷却するので、反りがより一層抑制された表面形状転写樹脂シートを製造できる。
【0021】
[5]の発明では、第一搬送工程において、搬送中の連続樹脂シートにおける、第一押圧ロールとの接触位置と第二押圧ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、第二押圧ロールから剥離する位置までの領域の少なくとも一部を冷却するので、トラレ現象(巻き付きトラブル)の発生をより抑制することができる。
【0022】
[6]の発明では、樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いるものであり、従来はトラレ現象を生じやすい構成であったが、本願発明ではこのような構成であっても、トラレ現象の発生を抑えることができる。
【0023】
[7]の発明では、第二押圧ロールの温度を、前記樹脂のガラス転移温度Tg(℃)に対して10℃〜50℃高い温度に設定するから、トラレ現象の発生をより一層抑制することができる。
【0024】
[8]の発明では、転写型は、L/Pの値が1.5〜5であるシャープで深い溝形状を備えていて、従来はトラレ現象を生じやすい構成であったが、本願発明ではこのような構成であっても、トラレ現象の発生を抑えることができる。
【0025】
[9]の発明では、転写型の凹溝の断面形状が略V字状であり、該略V字状凹溝の底の開き角度が10°〜80°であり、従来はトラレ現象を生じやすい構成であったが、本願発明ではこのような構成であっても、トラレ現象の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の製造方法の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図8】本発明の製造方法のさらに他の例を示す概略図である。
【図9】メルトバンクの高さの定義の説明図である。
【図10】第二押圧ロールの表面の転写型の拡大断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)である。
【図11】本発明の製造方法で製造された表面形状転写樹脂シートの一実施形態を示す断面図(図1〜8におけるV−V線の断面図)である。
【図12】(a)(b)いずれも転写型の変形例を示す拡大断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)である。
【図13】トラレ現象が生じた状態を示す概略図である。
【図14】バンクマークの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る表面形状転写樹脂シート1の製造方法について図面を参照しつつ説明する。図1に本製造方法で用いる製造装置の一例を示す。この製造装置は、ダイ8を備えた押出機7と、該押出機7の押出方向の前方位置において上下に並んで配置された第一押圧ロール11、第二押圧ロール(転写ロール)12、第三ロール13と、第一送風装置71と、第二送風装置72とを備える。前記第一押圧ロール11の直下位置に前記第二押圧ロール12が配置され、該第二押圧ロール12の直下位置に前記第三ロール13が配置されている。前記第一押圧ロール11の外周面は鏡面に形成され、前記第三ロール13の外周面は鏡面に形成されている。前記第二押圧ロール12の外周面には複数の凹溝22aが形成されている、即ち前記第二押圧ロール12は、その表面に転写型22を備えている。本実施形態では、前記第三ロール13として、押圧ロールを採用している。
【0028】
前記第二押圧ロール12の表面に設けられた転写型22の拡大断面図(第二押圧ロールの回転中心軸を含む平面で切断した拡大断面図)を図10に示す。このように前記第二押圧ロール12の表面には断面形状が略V字状の凹溝(溝の傾斜面が外に膨らむ曲面状である)22aがロール12の回転方向に沿って多数本形成されている。前記転写型22の凹溝22aは、前記押出機7のダイ8から連続的に押し出されてきた連続樹脂シート2の表面(図1で下面)に接触してこの接触した表面に断面形状が略V字状(傾斜面が外に膨らむ曲面状である)の突条部32を形成せしめる。
【0029】
前記第一送風装置71は、前記第二押圧ロール12に密着して搬送されている状態の連続樹脂シートの少なくとも一部(連続樹脂シートにおける第二押圧ロール12に密着している領域の少なくとも一部)に空気を吹き付ける装置である。
【0030】
前記第二送風装置72は、前記第三ロール13に密着して搬送されている状態の連続樹脂シートの少なくとも一部(連続樹脂シートにおける第三ロール13に密着している領域の少なくとも一部)に空気を吹き付ける装置である。
【0031】
上記製造装置を用いて表面形状転写樹脂シート1を次のようにして製造する。
【0032】
[押し出し工程]
樹脂を加熱溶融状態でダイ8から連続的に押し出して連続樹脂シート2を得る(図1参照)。
【0033】
前記樹脂を加熱溶融状態で連続的に押し出すためのダイ8としては、通常の押出成形法に用いられるのと同様の金属製のTダイ等が用いられる。ダイ8から樹脂を加熱溶融状態で押し出すには、通常の押出成形法と同様に、押出機7が用いられる。押出機7は、一軸押出機であっても良いし、二軸押出機であっても良い。樹脂は押出機7内で加熱され、溶融された状態でダイ8に送られ、押し出される。ダイ8から押し出された樹脂は、連続的にシート状となって押し出され、連続樹脂シート2となる。
【0034】
前記連続樹脂シート2は、単層でも良いし2以上の複層としても良い。連続樹脂シート2が単層の場合は、ダイ8から樹脂を加熱溶融状態で押し出す際にダイ8に1種の樹脂を供給し押し出しをすれば良く、2以上の複層の場合は、2種以上の樹脂をダイに供給し、積層した状態で共押し出しすれば良い。なお、2種以上の樹脂を積層した状態で共押し出しをするには、例えば、公知の2種3層分配型フィードブロックまたはマルチマニホールドダイを用い、これを経由してダイ8に樹脂を供給すれば良い。
【0035】
前記連続樹脂シート2の厚さFは、得られる表面形状転写樹脂シート1の用途に応じて適宜調整すれば良く、例えば光拡散板として用いる場合は連続樹脂シート2の厚さFを0.1〜3.0mmの範囲に設定するのが好ましく、中でも0.2〜2.0mmの範囲に設定するのがより好ましい。
【0036】
前記樹脂としては、特に限定されるものではないが、通常は、加熱されることにより溶融状態となる熱可塑性樹脂が用いられる。前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。なお、本発明の製造方法に適用できる範囲で、加熱されることにより硬化する熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0037】
前記樹脂に、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤等の添加剤などが添加されていても良い。
【0038】
前記光拡散剤は、無機系光拡散剤であっても良いし、有機系光拡散剤であっても良い。前記無機系光拡散剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、無機ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機化合物の粒子が挙げられる。前記無機系光拡散剤は、脂肪酸等の表面処理剤により表面処理されていても良い。
【0039】
また、前記有機系光拡散剤としては、特に限定されるものではないが、例えばスチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機化合物粒子が挙げられる。
【0040】
前記光拡散剤を添加する場合、添加される光拡散剤の屈折率と樹脂の屈折率との差の絶対値は、光拡散効果の十分な確保の観点から、通常0.02以上であり、得られる表面形状転写樹脂シートの光透過性の十分な確保の観点から、通常は0.13以下である。このように樹脂に光拡散剤を添加した場合、得られる表面形状転写樹脂シート1は、例えば光拡散板として使用できる。
【0041】
[第一押圧工程]
次に、図1に示すように、前記押出機7の押出方向の前方位置に配置された第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間に前記連続樹脂シート2を挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧する。この時、前記第二押圧ロール12の表面に転写型22が設けられているから、前記連続樹脂シート2の一方の表面に、断面形状が略V字状(傾斜面が外に膨らむ曲面状である)の突条部32が転写される(図11参照)。前記突条部32は、前記連続樹脂シート2の搬送方向(押出方向)に沿って延設される。
【0042】
前記第一押圧工程において、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間に樹脂のメルトバンク3を形成すると共に、前記メルトバンク3の高さEを、ダイ8から押し出された連続樹脂シート2の厚さFの3倍以上に設定するのが好ましい(図9参照)。このようにメルトバンク3の高さEを連続樹脂シート2の厚さFの3倍以上に設定することにより、連続樹脂シート2に転写型22の凹凸形状をより高い転写率で転写することができる。なお、前記メルトバンク3の高さEは、15mm未満であるのが好ましい。15mm以上である場合にはシートにおける転写面(突条部32が形成された面)とは反対側の面に図14に示すようなバンクマーク91が現出するので好ましくない。
【0043】
前記メルトバンク3の高さEは、メルトバンク3の最も高い位置(第二押圧ロール12の回転中心から最も遠い位置)と第二押圧ロール12の回転中心を結ぶ仮想線K(第二押圧ロール12の径方向の線)上における前記連続樹脂シート2の上面位置(シート2の厚さFに相当する部分の上面位置)からメルトバンク3の最も高い上面位置までの距離を意味するものである(図9参照)。
【0044】
なお、前記メルトバンク3の高さEは、例えば、樹脂の押出量、押出ライン速度、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間隔などを調整することにより、調整することができる。例えば、樹脂の押出量を増大させる、押出ライン速度を小さくする、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間隔を狭くする、等の手段によりメルトバンク3の高さEを大きくすることができる。また、例えば、樹脂の押出量を低減する、押出ライン速度を大きくする、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間隔を大きくする、等の手段によりメルトバンク3の高さEを小さく設定することができる。
【0045】
前記第一押圧工程において、前記第二押圧ロール12の温度を、前記連続樹脂シート2を構成する樹脂のガラス転移温度Tg(℃)に対して10℃〜50℃高い温度に設定するのが好ましい。(Tg+10)℃以上の温度に設定することで、転写型22の凹凸形状をより高い転写率で転写することができると共に、(Tg+50)℃以下の温度に設定することで、連続樹脂シート2の第二押圧ロール12へのトラレ現象(巻き付きトラブル)の発生を一層防止することができる。中でも、前記第二押圧ロール12の温度を、前記樹脂のガラス転移温度Tg(℃)に対して15℃〜35℃高い温度に設定するのがより好ましい。
【0046】
前記第一押圧ロール11の温度は、特に限定されないものの、80℃〜150℃に設定するのがよい。
【0047】
前記第一押圧ロール11及び前記第二押圧ロール12としては、通常は、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属材で構成された金属製ロールが用いられ、その直径は通常100〜500mmである。前記第一押圧ロール11及び/又は前記第二押圧ロール12として金属製ロールを用いる場合、その表面は、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていても良い。
【0048】
[第一搬送工程]
次に、前記第一押圧工程を経た連続樹脂シート2を前記第二押圧ロール12の表面に密着させた状態で搬送する(図1参照)。この第一搬送工程で、前記連続樹脂シート2は、第二押圧ロール12の回転に従動して搬送される。
【0049】
この第一搬送工程において、前記第一送風装置71から第二押圧ロール12に向けて空気を吹き付けることによって、搬送中の連続樹脂シート2における第二押圧ロール12に密着している領域の少なくとも一部を強制的に冷却する(図1参照)。
【0050】
この時、図1に示すように、搬送中の連続樹脂シート2における、第一押圧ロール11との接触位置51と第二押圧ロール12から剥離する位置52との二等分中間位置53から、第二押圧ロール12から剥離する位置52までの領域の少なくとも一部を強制的に冷却するのが好ましく、この場合には、高い転写率を確保しつつ、トラレ現象(巻き付きトラブル)の発生をより抑制することができる。
【0051】
図1に示す実施形態では、第一搬送工程での強制的冷却手法として、搬送中の連続樹脂シート2における第二押圧ロール12に密着している領域の少なくとも一部に、第一送風装置71から空気を吹き付ける手法を採用しているが、特にこのような手法に限定されるものではなく、「空気を吹き付ける」に代えて、例えば下記1)、2)等の手法を採用してもよい。なお、空気を吹き付ける場合において、該空気の温度は、0℃〜50℃であるのが好ましく、10℃〜30℃であるのがより好ましい。また、空気の吹き付け圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましい。0.1MPa以上であることで冷却によるトラレ防止効果を高めることができるし、10MPa以下であることで空気吹き付けによる樹脂シートの変形を防止できる。中でも、空気の吹き付け圧力は、0.2〜8MPaの範囲であるのがより好ましい。
1)水ミスト(水蒸気)を吹き付ける
水ミストの温度は、0℃〜50℃であるのが好ましく、10℃〜30℃であるのがより好ましい。また、水ミストの吹き付け圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましい。0.1MPa以上であることで冷却効果を高めることができるし、10MPa以下であることで水ミスト吹き付けによる樹脂シートの変形を防止できる。中でも、水ミストの吹き付け圧力は、0.2〜8MPaの範囲であるのがより好ましい。
2)冷却ロール73に接触させる(図7参照)
冷却ロール73の設定温度は、30℃〜150℃であるのが好ましく、50℃〜130℃であるのがより好ましい。
【0052】
なお、前記第一押圧ロール11、第二押圧ロール12は、温度調節機能を備え、所望の温度に調節可能であることが望ましい。
【0053】
[第二押圧工程]
次いで、前記第一搬送工程を経た連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三ロール13との間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧する。
【0054】
前記第三ロール13としては、通常は、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属材で構成された金属製ロールが用いられ、その直径は通常100〜500mmである。前記第三ロール13として金属製ロールを用いる場合、その表面は、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていても良い。前記第三ロール13は、温度調節機能を備え、所望の温度に調節可能なものであるのが望ましい。
【0055】
なお、図1に示す実施形態では、このような第二押圧工程を設けているが、該第二押圧工程は必須の工程ではない。例えば、図2、4に示すように、第二押圧ロール12と第三ロール13とが離間した状態に配置された構成の製造装置を用いて表面形状転写樹脂シート1を製造してもよい。即ち、図2、4に示す実施形態では、第二押圧ロール12と第三ロール13とが離間しているので、第三ロール13は、押圧ロールではない。
【0056】
[第二搬送工程]
次に、前記連続樹脂シート2における第一押圧ロール11と接触した面を第三ロール13の表面に密着させた状態で搬送する。この第二搬送工程で、前記連続樹脂シート2は、第三ロール13の回転に従動して搬送される。
【0057】
この第二搬送工程において、前記第二送風装置72から第三ロール13に向けて空気を吹き付けることによって、搬送中の連続樹脂シート2における第三ロール13に密着している領域の少なくとも一部を強制的に冷却するのが好ましく(図1参照)、この冷却により、反りの少ない表面形状転写樹脂シート1を製造できる。
【0058】
また、図1に示すように、搬送中の連続樹脂シート2における、第三ロール13との接触開始位置61と第三ロール13から剥離する位置62との二等分中間位置63から、第三ロール13との接触開始位置61までの領域の少なくとも一部を強制的に冷却するのがより好ましく、この場合には、反りがさらに抑制された表面形状転写樹脂シート1を製造できる。
【0059】
なお、図1に示す実施形態では、第二搬送工程での強制的冷却手法として、搬送中の連続樹脂シート2における第三ロール13に密着している領域の少なくとも一部に、第二送風装置72から空気を吹き付ける手法を採用しているが、特にこのような手法に限定されるものではなく、「空気を吹き付ける」に代えて、例えば下記3)、4)等の手法を採用してもよい。なお、空気を吹き付ける場合において、該空気の温度は、0℃〜50℃であるのが好ましく、10℃〜30℃であるのがより好ましい。また、空気の吹き付け圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましい。0.1MPa以上であることで冷却による反り防止効果を高めることができるし、10MPa以下であることで空気吹き付けによる樹脂シートの変形を防止できる。中でも、空気の吹き付け圧力は、0.2〜8MPaの範囲であるのがより好ましい。
3)水ミスト(水蒸気)を吹き付ける
水ミストの温度は、0℃〜50℃であるのが好ましく、10℃〜30℃であるのがより好ましい。また、水ミストの吹き付け圧力は、0.1〜10MPaの範囲であるのが好ましい。0.1MPa以上であることで冷却による反り防止効果を高めることができるし、10MPa以下であることで水ミスト吹き付けによる樹脂シートの変形を防止できる。中でも、水ミストの吹き付け圧力は、0.2〜8MPaの範囲であるのがより好ましい。
4)冷却ロール74に接触させる(図8参照)
冷却ロール74の設定温度は、30℃〜150℃であるのが好ましく、50℃〜130℃であるのがより好ましい。
【0060】
前記第二搬送工程での強制的冷却(空気を吹き付ける等)は、図3、5に示すように省略することもできる。また、図6に示すようにこの第二搬送工程自体を省略することもできる。
【0061】
前記第二搬送工程の後、樹脂シートを引き取ることにより、一方の面に転写型22の凹凸形状が高い転写率で転写された表面形状転写樹脂シート1(図11参照)を得る。
【0062】
本製造方法によれば、前記転写型22の凹溝22aの断面形状(第二押圧ロール12の回転中心軸を含む平面で切断した断面形状)における1つの溝22aを形成する形成線の長さを「L」とし、前記凹溝22aのピッチ間隔を「P」としたとき(図10参照)、凹溝22aがL/Pが1.5〜5であるシャープで深い形状を備えたものである場合においても、トラレ現象の発生を抑えることができる。
【0063】
このようにして得られた表面形状転写樹脂シート1は、通常、枚葉に切断されて、例えば液晶表示装置を構成するプリズムシート等として用いられる。また、樹脂として光拡散剤が添加されたものを用いた場合には、光拡散板として好適に用いることができる。
【0064】
本製造方法において、前記転写型22における凹溝22aのピッチ間隔Pは、特に限定されるものではないが、通常、30μm〜500μmに設定される。また、前記転写型22における凹溝22aの溝深さDは、特に限定されるものではないが、通常、3μm〜500μmの範囲に設定される。前記転写型22において、隣り合う凹溝は、通常、間隔dをあけて平行状に設けられる(図10参照)。これら凹溝22aのピッチ間隔P、溝深さDは、1つの転写型全体で必ずしも一定である必要はなく、隣り合う凹溝間で異なる構成であってもよい。
【0065】
前記間隔dは、得られる表面形状転写樹脂シートの用途により任意に設定すれば良いが、間隔dは、通常は、10μm以下に設定される。なお、前記間隔dが設けられていない(即ちd=0である)構成であっても良い。
【0066】
前記転写型22の断面形状としては、図10に示す略V字凹溝の他、例えば、略V字凹溝を一部に含む断面形状、略半円凹溝、略半円凹溝を一部に含む断面形状等を例示できるが、特にこのような断面形状に限定されるものではない。
【0067】
前記略V字凹溝22aの底の開き角度θ(頂角θ)は、通常、160°以下であるが、本製造方法によれば、略V字凹溝22aがその底の開き角度θが10°〜80°であるシャープな溝形状の場合でも、転写型22の凹凸形状を高い転写率で転写できる。
【0068】
前記略半円凹溝としては、例えば、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であっても良いし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であっても良い。また、上記略半円凹溝が反転した略半円凹溝を備えた形状、楕円弧状以外の曲線からなる形状を採用した場合も本願の特許請求の範囲に含むものとする。また、前記略半円凹溝としては、例えば図12(a)に示す断面形状を有した凹溝22aであってもよいし、図12(b)に示すような曲線の断面形状を有した凹溝22aであってもよい。前記「略半円凹溝」とは、このような略半円形状の断面の凹溝をも含むものとする。
【0069】
前記転写型22の作製方法としては、ステンレス鋼、鉄鋼等からなる転写ロールの表面に、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理を施した後に、そのメッキ面に対してダイヤモンドバイトや金属砥石等を用いた除去加工、レーザー加工、又はケミカルエッチングを行なう方法等が挙げられるが、これらの手法に特に限定されるものではない。
【0070】
また、前記第二押圧ロール(転写ロール)12の表面は、前記転写型22を形成した後に、例えば表面形状の精度を損なわないレベルで、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていてもよい。
【0071】
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記第一、第二、第三ロール11、12、13以外に他のロールを設けた構成の製造装置を用いて製造しても良い。前記他のロールとしては、例えば、連続樹脂シート2を第一押圧ロール11に搬送するためのガイドロール(タッチロール)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12に密着させておくためのタッチロール等が挙げられる。
【0072】
また、上記実施形態では、転写型22は、第二押圧ロール12のみに設けられていたが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば第二押圧ロール12及び第三ロール13の両方に転写型22が設けられた構成であってもよい。
【0073】
なお、本発明に係る表面形状転写樹脂シートの製造方法は、上記例示の実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0074】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0075】
(製造装置A)
図3に示す構成からなる製造装置Aを準備した。この製造装置Aは、Tダイ8を備えた押出機7と、第一押圧ロール11と、第二押圧ロール12と、第三押圧ロール13と、第一送風装置71とを備える。第一押圧ロール11及び第三押圧ロール13の表面は鏡面である。
【0076】
第二押圧ロール12は、図10に示すように、複数の凹溝22aを有した転写型22を表面に備えている。この第二押圧ロール12の表面の転写型22において、凹溝22aのピッチ間隔Pは100μm、凹溝22aの深さDは105μm、断面形状における1つの凹溝22aを形成する形成線の長さLは232μm、L/P=2.32、間隔dは5μm、角度θは51°である(図10参照)。
【0077】
<実施例1>
ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製「カリバーPC200−30」、JIS K7121−1987に準拠して測定したガラス転移温度Tg;147℃)を上記製造装置Aのスクリュー径40mmの押出機7に供給してTダイ8を経由させてダイ温度260℃でシート状に押し出すことによって厚さFが0.8mmの連続樹脂シート2を得た(押し出し工程)。
【0078】
次いで、図3に示すように、この連続樹脂シート2を上記製造装置Aの第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の間に挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧した後(第一押圧工程)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送しつつこの搬送中の連続樹脂シート2における第二押圧ロール12に密着している領域の一部に第一送風装置71からの空気を吹き付け(第一搬送工程)、次いで連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三ロール13の間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧し(第二押圧工程)、次いで連続樹脂シート2を第三押圧ロール13の外周面に密着させた状態で搬送した後(第二搬送工程)、引取速度0.91m/分で引き取ることによって、厚さSが0.8mmの表面形状転写樹脂シート1(図11参照)を得た。
【0079】
この時、第二押圧ロール12の温度を180℃、第一押圧ロール11の温度を130℃、第三押圧ロール13の温度を150℃にそれぞれ設定し、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間に樹脂のメルトバンク3を形成せしめ、該メルトバンクの高さEが6.0mmになるように調整すると共に(図9参照)、第一搬送工程における第一送風装置71からの連続樹脂シート2への空気(20℃)の吹き付け圧力を0.6MPaに設定して、表面形状転写樹脂シート1を製造した。
【0080】
なお、図3に示すように、第一搬送工程では、搬送中の連続樹脂シート2における、第一押圧ロール11との接触位置51と第二押圧ロール12から剥離する位置52との二等分中間位置53から、第二押圧ロール12から剥離する位置52までの領域の一部に、第一送風装置71から空気を吹き付けるようにした。
【0081】
<比較例1>
第一搬送工程において、第一送風装置71からの空気の吹き付けを全く行わない(図11参照)ものとした以外は、実施例2と同様にして、表面形状転写樹脂シートを製造した。
【0082】
次に、上記のようにして得られた表面形状転写樹脂シートにおける転写率、反り量、及びトラレ現象の発生の程度を下記評価法に基づいて評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【0083】
<転写率評価法>
得られた表面形状転写樹脂シートの突条部32の高さを「H」とし(図11参照)、転写型の凹溝22aの深さを「D」としたとき(図10参照)、
転写率(%)=(H/D)×100 …(1)
転写率は上記式(1)で求められる。
【0084】
<トラレ現象の発生の程度の評価法>
上記表面形状転写樹脂シートの製造の際に、連続樹脂シート2が第二押圧ロール(転写ロール)12と第三押圧ロール13とで挟圧された後に、連続樹脂シート2が第二押圧ロール12に巻き付いている時間(秒)を調べた。この巻き付き時間が長い程、図13に示すような第二押圧ロール12への巻き付き現象(トラレ現象)がより顕著に発生していると判断できる。また、巻き付き時間がより短い程、巻き付き現象の発生がより抑制されていると判断できる。この巻き付き時間が0秒である場合には、巻き付きが全く生じていない状態(図3参照)にある。
【0085】
【表1】

【0086】
表1から明らかように、本発明の製造方法で製造された実施例1の表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されていた。また、実施例1では、第二押圧ロールは、L/Pが2.32であり、深いシャープな凹凸形状を有する転写型を備えたものであるが、第二押圧ロールにシートが巻き付くトラレ現象の発生の程度は小さいものであった。
【0087】
これに対し、第一搬送工程での強制冷却を行わなかった比較例1では、第二押圧ロールにシートが巻き付くトラレ現象の発生の程度は大きいものであった(トラレ現象が顕著に生じていた)。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の製造方法で製造された表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されているから、例えばプリズムシート、光拡散板、光偏向構造板、導光板等の光学シートとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。中でも、液晶表示装置等の画像表示装置用の光学シートとして特に好適である。
【符号の説明】
【0089】
1…表面形状転写樹脂シート
2…連続樹脂シート
7…押出機
8…ダイ
11…第一押圧ロール
12…第二押圧ロール
13…第三ロール
22…転写型
22a…凹溝
51…第一押圧ロールとの接触位置
52…第二押圧ロールから剥離する位置
53…二等分中間位置
61…第三ロールとの接触開始位置
62…第三ロールから剥離する位置
63…二等分中間位置
L…凹溝の断面形状において1つの凹溝を形成する形成線の長さ
P…凹溝のピッチ間隔
θ…凹溝の底の開き角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する第一搬送工程とを含み、
前記第二押圧ロールは、その表面に転写型を備え、該転写型は複数の凹溝を有し、
前記第一搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却することを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する第一搬送工程と、
前記第一搬送工程の後に、前記連続樹脂シートにおける前記第一押圧ロールと接触した面を第三ロールに密着させた状態で搬送する第二搬送工程とを含み、
前記第二押圧ロールは、その表面に転写型を備え、該転写型は複数の凹溝を有し、
前記第一搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第二押圧ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却することを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記第二搬送工程において、搬送中の前記連続樹脂シートにおける前記第三ロールに密着している領域の少なくとも一部を冷却する請求項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記第二搬送工程において、前記搬送中の連続樹脂シートにおける、前記第三ロールとの接触開始位置と前記第三ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、前記第三ロールとの接触開始位置までの領域の少なくとも一部を冷却する請求項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記第一搬送工程において、前記搬送中の連続樹脂シートにおける、前記第一押圧ロールとの接触位置と前記第二押圧ロールから剥離する位置との二等分中間位置から、前記第二押圧ロールから剥離する位置までの領域の少なくとも一部を冷却する請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項7】
前記第二押圧ロールの温度を、前記樹脂のガラス転移温度Tg(℃)に対して10℃〜50℃高い温度に設定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項8】
前記転写型の凹溝の断面形状における1つの溝を形成する形成線の長さを「L」とし、前記凹溝のピッチ間隔を「P」としたとき、L/Pが1.5〜5である請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項9】
前記転写型の凹溝の断面形状が略V字状であり、該略V字状凹溝の底の開き角度が10°〜80°である請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−194724(P2011−194724A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64295(P2010−64295)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】