説明

表面疵検査装置

【課題】簡略な構成により、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることができないような微小凹凸疵、色調変化疵をリアルタイム検出し、帯状体がロールに巻き付いた形状であっても帯状体のエッジを適切かつ正確に認識できる疵検査装置を提供する。
【解決手段】ロール2に巻き付いた形状で移動する帯状体1の表面に帯状光L1を照射した帯状体面上の2次元照射領域LAを、帯状光の入射と対向設置して撮像する2次元撮像装置20を備え、該2次元撮像装置は、帯状体の照射領域からの反射光の中で所定の2つ以上の異なる受光角度βで特定される反射光のみの画像信号を、帯状体の搬送速度に同期させて同時に部分読み出した画素列から得られる画像信号を帯状体の長手方向に合成する画像処理装置32と、画像列からエッジ位置を算出するエッジ算出装置31を備えることで、発生する疵に合わせて複数の受光角度で精度よくリアルタイム疵検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板等の帯状体の表面の疵検査装置に関し、特に、帯状体の表面の各種の疵の検査を、撮影画像を用いて行う疵検査装置に好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属板の一つである鋼板等の帯状体の製造工程において、製品の品質を損なうおそれのある疵は製造段階で早期に発見し、当該製造工程または上工程の製造条件を変更するなどして後続の製品について疵の発生を未然に防ぐ必要がある。そのために、例えば、製造ライン中で鋼板を移動させながら疵の検査を行っている。疵の検査方法として、電磁的や光学的手法など数々の検査方法が開発されており、なかでも光学的検査方法は鋼板に非接触で表面の疵が検出可能であり、疵画像が高速で容易に得られるために広く用いられている。
【0003】
当該光学的検査方法は、通板する鋼板等の表面の被検査部を照明して、CCDカメラのような撮像装置により連続的に撮影して得られる画像信号に基づいて、鋼板等の表面の疵を検出している。一般的にこのような光学的な表面疵検査方法においては、明視野撮像を行うために鋼板への照明の入射角度と反射角度の角度差が無いまたは少ない範囲(0°〜5°程度)で撮像する正反射光学系と、暗視野撮像を行うために鋼板への照明の入射角度と反射角度の角度差が大きい範囲(20°〜70°)で撮像する散乱反射光学系(以下では、夫々「正反射光学系」又は「乱反射光学系」と記す)の2系統の光学系を用いることが多い。正反射光学系は表面の比較的大きな凹凸状の疵検出で有効であること、及び散乱反射光学系は鋼板表面の有色異物や汚れ欠陥の検出で有効であることが知られている。
【0004】
しかしながら近年では、鋼板等の製品の出荷時の品質検査や、疵の早期発見により迅速な疵発生防止対策を実施する等の観点から、鋼板等の表面の正常部である地合と比べて、色調や凹凸の僅かな違いの疵をも検出することがますます重要になっている。正反射光学系と乱反射光学系の2系統の光学系を有する表面検査方法では、撮像装置は固定、つまり撮像装置の受光角度が上記2系統の光学系を満たす受光角度範囲の中で一意に固定されているため、固定した受光角度での撮像では色調や凹凸の僅かな違いの疵の検出が難しいという問題がある。例えば、押疵等の微小凹凸疵や、鋼板表面に薄く付着する汚れでは、疵表面で起こるわずかな乱反射の違いや反射率の角度依存性、または地合の表面性状により、ある特定の受光角度でしか輝度変化を得ることできず、検出が困難になる場合が生じていた。
【0005】
そこで、撮像装置の受光角度を変化させて鋼板等の表面疵検査を行う装置として、特許文献1に開示された技術のように、2次元CCDカメラの受光部を、2次元CCD素子の画素列の走査方向が鋼板の幅方向に実質的に一致するように平らな形状の鋼板に対向配置し、相前後する2以上の時刻において当該画素列を走査して得た、鋼板の幅方向に長い特定部分の2枚以上の画像を合成して、異なる受光角度の検査画像を作成する装置が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−274325号公報
【特許文献2】特開2002−181719号公報
【特許文献3】特開2006−292593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、以下のような問題がある。
特許文献1に開示されている技術では、鋼板の幅方向に長い特定部分が搬送によって製造ライン上を移動することにともなって、当該特定部分からの散乱光について、経時的に2次元CCDカメラである撮像装置の受光角度が変化することを利用している。鋼板の特定部分を含む画像が、2次元CCDカメラで撮像している製造ライン上の撮像領域中でオーバーラップするように、2次元CCDカメラで撮像した、複数の受光角度夫々で撮影した複数枚の画像を画像合成する。したがって、異なる2枚以上の、予め設定した所定の複数の受光角度の鋼板画像を得るために、必ず当該特定部分は、撮影領域中で所定の受光角度の位置で2回以上撮影される必要がある。言い換えれば、必ず2回以上の撮影回数で、特定部分を含む2次元画像を撮像することが必要となる。このため、効率的な画像撮影ができない。また、変化量の多い受光角度を得るために、画素数の大きな2次元CCDを用いる場合には、より一層2次元CCDカメラを高フレームレート化する必要があり、高速搬送するラインへの適用が困難である。さらに、鋼板の特定部位を撮影領域中で少なくとも2回以上の複数回撮影したフレーム単位の2次元の画像データから、後工程の画像処理装置で上記の画像を合成する処理をする際には、必要の無い受光角度の部分の画像データを含めて後工程の画像処理装置に伝送し、当該所定の受光角度で撮像された特定部分の画像データ(1画素列分)のみをフレーム単位の画像データから抽出しなければならない。そのために、フレーム単位の2次元の画像データの処理では、無駄にデータ伝送時間および画像合成処理時間を要する。したがって、特許文献1に開示された技術では、鋼板の通板時にリアルタイムの疵検出を難しくする問題もあり、加えて、高速の画像処理をするための装置コストが増大するといった問題も生じていた。さらに、鋼板の形状が平らな形状の場合の疵検査を想定しているに過ぎず、搬送される鋼板のパスライン変動や、鋼板のうねり(鋼板自体の大きな凹凸形状)により受光角度が変動するため、安定した疵検出ができなくなるといった問題が生じていた。
【0008】
パスラインの変動や、鋼板のうねりを抑制するためには、鋼板に張力がかかるように、鋼板が搬送ロールに巻き付いた形状で疵検査を行うように構成すれば、上記の問題を解消できるのであるが、鋼板表面と搬送ロール表面が同時に、撮影されることから、鋼板の左右のエッジ位置を検出する必要があり上記左右のエッジ間の領域を鋼板と認識し、上記左右のエッジ検出位置の外側を搬送ロールと認識する必要性については、まったく考えられていなかった。
【0009】
鋼板が搬送ロールに巻きついた状態で撮像された画像から、疵検出を行う際には、鋼板と搬送ロールを区別する方法が行われている。これは、鋼板上での疵発生位置の特定や、鋼板以外の部分(搬送ロール表面)を全て疵候補として拾うことによって、計算機の処理が許容量を越えて処理不要となったり、鋼板上の疵発生位置情報が不正確になったりするのを解決するためである。搬送ロールと鋼板を区別する方法としては、撮像画像の画像処理あるいは別途備えたエッジ検出器より得た鋼板の左右のエッジ位置情報から左右のエッジ位置より外側を搬送ロールであると認識して撮像画像に反映する方法が一般的に行われてきた。
【0010】
鋼板の表面を撮影した画像信号に基づいてエッジ位置を検出する方法としては、例えば、特許文献2に開示された技術があり、一つの鋼板内で輝度が大きく変動しても鋼板のエッジを適切に認識することを目的に、複数の鋼板幅方向をスキャンしたデータにより構成される鋼板表面画像の1スキャンあるいは数スキャン内の輝度情報に基づいて、エッジ検出を行う閾値を鋼板幅方向の輝度平均値に応じて変化させることで、鋼板の状態に応じた鋼板エッジを検出する方法、あるいは、1スキャン分の輝度情報にローパスフィルタを通したのち、最大あるいは最小値を用いてエッジ検出閾値を算出することで、鋼板の輝度に応じた鋼板エッジを検出する方法が行われている。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示されている技術では、鋼板表面の輝度情報と搬送ロール表面の輝度情報の差が算出された場合には、鋼板エッジを検出することが可能であるが、搬送ロール表面材質としては、スチールや、ゴム、ウレタン等が使用され、さらに、搬送ロール表面は、耐久性や鋼板へのすべり防止などの観点から、溶射等による表面処理や、バフ研磨等の研磨処理により様々な表面性状(表面粗さ、色調)があるため、疵検出を目的に設定された所定の受光角度により撮影された検査画像上では、鋼板輝度と搬送ロールの輝度が同等となり、画像上から鋼板エッジが検出できない場合が生じるといった問題があった。
【0012】
また、エッジ位置情報を得るための他の方法としては、エッジ検出器を別途設置し、得られた鋼板の左右のエッジ位置情報から、左右のエッジ位置より外側を搬送ロールであると認識して撮像画像に反映することが考えられる。エッジ検出器としては、鋼板背面からの投影光を一次元ラインカメラ等で検出し、受光量からエッジ位置を算出する方式が用いられるのが一般的である。この場合、疵検査位置に隣接してエッジ検出器を設置することは、製造ラインの機器配置上の制約から困難であり、エッジ検出器を疵検査装置からある程度離れた場所に設置せざるをえないことが多い。従って、ロールに巻き付いて搬送される鋼板が蛇行をおこした場合に、エッジ検出器の位置と疵検査位置の位置との間に通板のタイムラグがあると、エッジ検出器により得られるエッジ位置と、疵検査装置の検査画像上のエッジ位置とが完全に一致しないという問題があった。また、別途エッジ検出器を設置するため、疵検査装置が高コストになるという問題もあった。
【0013】
上記の従来技術の問題に鑑みて、本発明の目的は、帯状体の正常部である地合の散乱・反射光が少なく、帯状体の表面の微小な疵によるわずかな乱反射の違いや反射率の角度依存性に適した受光角度で輝度変調を、任意に設定した複数の受光角度で効率よく撮像して、高速に画像処理して疵検出することが、複数の撮像装置を使用することなく、従来よりも簡便な装置配置で、且つ、帯状体がロールに巻き付いた形状であっても帯状体のエッジを適切にかつ正確に認識でき、従来と比べて低コストで帯状体の疵検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決する本発明の表面疵検査装置は、ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査する表面疵検査装置であって、
前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射する照明装置と、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力する、部分読み出し可能な2次元撮像装置と、
前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出するエッジ算出装置と、
前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出する疵画像処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記2次元撮像装置は、複数のCMOS撮像素子からなる2次元の画素配列を有する2次元CMOSカメラを備え、該画素配列から制御装置の指示により任意の画素列の前記列単位画像を出力するものであり、
前記制御装置は、予め設定した前記複数の垂直方向反射角度夫々に対応する前記複数の部分領域を撮像するために、前記2次元CMOSカメラの複数の画素列を指定して前記2次元撮像装置に指示し、さらに、該2次元撮像装置から入力した該複数の部分領域夫々に対応する該複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像を配列・合成して、該少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々が表した垂直方向反射角度夫々により前記帯状光照射領域を撮像したフレーム画像を構成するとともに、
前記エッジ算出装置は、前記垂直方向反射角度夫々のフレーム画像が構成される間に、前記複数の列単位画像のうちの一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出する、
ことを特徴とする。
【0016】
また、前記制御装置は、前記フレーム画像を構成するのに使用する前記少なくとも二つ以上の列単位画像に夫々対応する前記部分領域とは異なる、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度に対応する部分領域を、該フレーム画像を構成する間に一回以上撮影するために、前記2次元CMOSカメラの画素列を指定して前記2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記垂直方向反射角度に対応する部分領域に対応する列単位画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記列単位画像の輝度情報から、帯状体のエッジ位置を算出してもよい。
【0017】
また、前記制御装置は、互いに連結されて搬送された前記帯状体の連結部直後の先端部分が撮像される時点で、前記フレーム画像を構成するのに使用する前記少なくとも二つ以上の列単位画像に夫々対応する前記部分領域とは異なる、複数の垂直方向反射角度に夫々対応する複数の部分領域を撮影するために、前記2次元CMOSカメラの画素列を指定して2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記複数の垂直方向反射角度に夫々対応する複数の部分領域に夫々対応する複数の列単位画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記複数の列単位画像から、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が、予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度を決定してもよい。
【0018】
また、前記制御装置は、互いに連結されて搬送された前記帯状体の連結部直後の先端部分が撮像される時点で、上位計算機から入力される該帯状体の幅情報に応じて、該帯状体のエッジ近傍の所定の2次元領域を撮像するために、所定の行と列の画素を設定して前記2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記エッジ近傍の所定の2次元領域画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記2次元領域画像から、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が、予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度を決定してもよい。
【0019】
また、本発明の表面疵検査方法は、ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査する表面疵検査方法であって、
照明装置により、前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射するステップと、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、部分読み出し可能な2次元撮像装置により、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力するステップと、
エッジ算出装置により、前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出するステップと、
疵画像処理装置により、前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明のコンピュータプログラムは、
ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査するために、照明装置と2次元撮像装置とエッジ算出装置と疵画像処理装置とを有する表面疵検査装置を制御するコンピュータに、
前記照明装置により、前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射する処理と、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、部分読み出し可能な前記2次元撮像装置により、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力する処理と、
前記エッジ算出装置により、前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出する処理と、
前記疵画像処理装置により、前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出する処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によると、複数台の撮像手段を使用することなく、帯状体がロールに巻き付いた形状であっても、同時刻に複数の受光角度で帯状体の表面を検査することができ、発生する疵に併せて複数の受光角度が選択できることから、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることができないような疵のリアルタイム検出が可能となるとともに、エッジ検出器を付加することなく適切に帯状体のエッジを認識することができ、疵検出装置の機能低下を防止することができ、さらには、装置の小型化、廉価化が可能であるため、疵検査装置の導入が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<関連技術>
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の関連技術について説明する。
関連技術に係る表面疵検査装置は、上記従来技術とは異なり、平らな形状で移動する鋼板の表面に面状光で照射した2次元照射領域に対して面状光入射と対向配置した部分読み出し可能な2次元CMOSカメラで、照射領域からの反射光の中の所定の2つ以上の異なる受光角度で特定される反射光のみの画像信号を、鋼板の搬送速度に同期させて部分読み出しした画素列から得られる画像信号を鋼板の長手方向に合成・配列することで、同時に2つ以上の受光角度の検査画像をリアルタイムに作成する。
【0024】
この関連技術に係る表面疵検査装置は、部分読み出し可能な複数のCMOS撮像素子からなる2次元の画像配列を有する2次元CMOSカメラからなる撮像装置を備えていて、鋼板の幅方向に亘る面状光照射領域に照射された面状光照射領域内から、同時刻に複数の受光角度で検査画像を得ることができる。そのため、発生する疵に併せて任意に複数の受光角度を選択することで、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることができないような疵のリアルタイム検出に対応している。しかしながら、やはり、鋼板の形状が平らな形状の場合の疵検査を想定しているに過ぎず、搬送される鋼板のパスライン変動や、鋼板のうねり(鋼板自体の大きな凹凸形状)により受光角度が変動するため、安定した疵検出ができなくなる恐れがあった。
【0025】
この関連技術でも、鋼板が搬送ロールに巻き付いた状態で疵検査を行うように構成すれば、鋼板に張力がかかるために、パスラインの変動や、鋼板のうねりを抑制することができ特長を生かすことができる。しかし、上記従来技術同様、鋼板の左右のエッジ位置を検出する必要があり上記左右のエッジ間の領域を鋼板と認識し、上記左右のエッジ検出位置の外側を搬送ロールと認識することは、依然として難しい。
【0026】
本発明者は、このような関連技術の改善点等について鋭意研究を行った結果、複数台の撮像手段を使用することなく、帯状体がロールに巻き付いた形状であっても、同時刻に複数の受光角度で帯状体の表面を検査することができ、発生する疵に併せて複数の受光角度が選択できることから、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることができないような疵のリアルタイム検出が可能となるとともに、エッジ検出器を付加することなく適切に帯状体のエッジを認識することができ、疵検出装置の機能低下を防止することができ、さらには、装置の小型化、廉価化が可能であるため、疵検査の導入が容易な、本発明に想到した。以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
<実施形態>
図1は本発明の実施の形態の一例を示すもので、被検査体の帯状体は、複数の鋼板が、各鋼板の後端と先端とが溶接点で溶接により連結されたものである。また、図1は、その鋼板がロールに巻き付いた形状で移動しながら加工される鋼板製造ライン(以下では「鋼板ライン」と記す)に配設された表面疵検査装置の概略構成図である。
【0028】
本表面疵検査装置は鋼板1の表面の撮像領域(「帯状光照射領域」とも記す)LAを照明する照明装置10と、当該撮像領域を撮像して画像データを出力する2次元撮像装置20と、当該2次元撮像装置20を制御する制御装置30と、鋼板1のエッジを算出するエッジ算出装置31と、当該画像データを画像処理して鋼板1の表面の疵を検出する疵画像処理装置32と、検出した疵情報を画面上に表示するオペレータ疵表示装置33とからなる。さらに、鋼板ラインには鋼板の移動を検知するための、鋼板1の裏面にロール2を密着・回転させて、設定されたロール2の回転角度ごとにパルス信号を出力するロータリーエンコーダ等のセンサ(以下では「PLG40」と記す)を備えている。この表面疵検査装置は、鋼板1がロール2に巻き付いている部分を測定しており、パスライン変動による誤差を少なく検査が可能である。
【0029】
(照明装置10)
照明装置10は、蛍光灯または白熱灯からなる光源11と、光ファイバー束12と、光源から出射された光を光ファイバー内へ導く入力端13と、光ファイバー内から光を出射する出力端14とからなっている。光ファイバー束12では多数の光ファイバーが整列されていて、入力端13は光源11が近接しており、鋼板1の幅方向に平行に設置された出力端14で帯状光L1が出射される。
【0030】
図2は鋼板ライン上の鋼板面を上方から見た平面図で、照明装置10、帯状光照射面LA、及び2次元撮像装置20の平面配置を示す。図3は鋼板ラインを側面から、すなわち、ロール軸方向から見た側面図で、照明装置10、帯状光照射領域LA、及び2次元撮像装置20の側面の配置状況を示している。
【0031】
なお、本願でロールに巻き付いて湾曲した鋼板面の垂直方向とは、接平面の垂直方向を指す。図3に示すように、帯状光L1は、出力端14に備えられた図示しないロッドレンズあるいはシリンドリカルレンズでもって、鋼板1の鋼板面の垂直方向とのなす角度α(垂直方向入射角度)が、帯状光照射領域LAの各点で等しくなるように、ロール径に合わせて収束する光とされて、垂直方向入射角度αが45〜70°程度で帯状光照射領域LAに照射される。帯状光L1は均一照度で、帯状光照射領域LAの全幅にわたり、かつ鋼板1の移動方向の照射幅は2次元撮像装置20の撮像範囲を満たすように照射される。例えば、照明装置10は、180Wのハロゲンランプ1台を光源とした、ファイバー束の出力端の照明装置で、垂直方向入射角度αが45度で、鋼板表面を照射するように設定し、鋼板1上の帯状光照射領域LAは幅方向1700mm、長さ方向70mmである。光ファイバー束12の出力端14から、帯状光L1の鋼板面上の帯状光照射領域LAまでの距離は鋼板ラインの装置構成で決められるが、本実施の形態では200〜400mm程度である。なお、照明装置10は、上記した以外の例えば市販のLEDレーザ光照明装置等のその他の帯状光源を用いてもよい。
【0032】
(2次元撮像装置20)
また、鋼板上の帯状光照射領域LAを撮像する2次元撮像装置20の光軸は、鋼板1の鋼板面の垂直方向とのなす角度β(垂直方向反射角度)が例えば45度で、垂直方向入射角度αと等しくなるように、2次元撮像装置20を設置する(図3を参照のこと)。
【0033】
2次元撮像装置20は、帯状光照射領域LAを挟んで照明装置10に対向する位置にあって、鋼板1の幅方向に一台または複数台が通常は、並列に配設されている。2次元撮像装置20の台数は、鋼板1の検査幅、および撮像素子の横方向の画素数に基づいて、どの程度小さな疵を検出するかという必要とする分解能に応じて決定する。通常は鋼板ラインを通板する鋼板1は複数の種類あり、夫々の幅が1m〜3m程度であるので、これに合わせて撮像装置も通常3,4台並列に並べる。なお、2次元撮像装置20から帯状光L1の鋼板面上の帯状光照射領域LAまでの距離は、鋼板1の検査幅、撮像装置20の視野角、必要分解能等、及び設置場所近辺の他の装置配置等により決定され、通常は300〜1200mm程度である。例えば、鋼板の幅が1500mmで、2次元撮像装置は横2352画素、縦200画素を有する撮像素子からなるカメラを使用する場合、板幅方向が画素サイズ0.35mm、ライン方向の画素サイズ0.35mmの画像を得るには、カメラ1台の幅方向視野は820mmとなるように光学条件を設定すると、カメラ2台で、カメラ幅方向視野サイズは1640mmになり、板幅全域の画像をえることができる。
【0034】
2次元撮像装置20は、図4に模式的に示すように複数のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconducter)撮像素子22が受光部21上に2次元配列(行と列)された、2次元の画素配列からなる2次元CMOSカメラで構成され、その光軸は鋼板1の幅方向が撮像素子の走査方向と平行になり、かつ、鋼板1の移動方向が撮像素子の走査方向と垂直になるように向けられている。1回の撮像動作中に、異なる複数の画素の列(以下では「画素列」と記す)を任意に選択して、当該画素列の画像信号(以下では「列単位画像」と記す)を部分読み出しする手段を備えている。
【0035】
従って、CMOS撮像素子22のp列目の画素列から得られるp列単位画像と、CMOS撮像素子22のq列目の画素列から得られるq列単位画像は、同じ撮像動作中に得ることができる(ここでp、qはCMOS撮像素子22の異なる任意の2つの列番を表す)。
【0036】
本発明の実施の形態では、照明装置10の出力端14から垂直方向入射角度α傾いて照射されるように、ロール径に合わせて収束された帯状光が帯状光照射領域LAで反射され、2次元撮像装置20の受光部21上に結像して、帯状光照射領域LAが撮像される。このとき、2次元撮像装置20により、帯状光照射領域LAの内、帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域が、それぞれ異なる複数の垂直方向反射角度で撮像される。より具体的には、図2、図3に示すように、帯状光照射領域LA上の鋼板1の幅方向に長い部分領域Lpから、常に一定の垂直方向反射角度βpの反射光が、2次元撮像装置20の受光部21のCMOS撮像素子22のp列目で受光される。同様に、帯状光照射領域LA上の部分領域Lqから、常に一定の垂直方向反射角度βqの反射光が、2次元撮像装置20の受光面21のCMOS撮像素子22のq列目で受光することになる。帯状光照射領域LA上の部分領域Lp、Lq夫々とCMOS撮像素子22上のp列、q列夫々との対応関係は、予め帯状光照射領域LAを当該光学系で、CMOS撮像素子22から撮像画像を得て校正しておく。ところで、帯状光照射領域LAは2次元撮像装置20の受光部21に結像しているため、帯状光が垂直方向入射角度αで入射している部分領域Lpから、常に一定の垂直方向反射角度βpで1走査線分の画像が入射していることになることから、CMOS撮像素子の画素列を任意に選択すれば、帯状光照射領域LAの範囲内で、常に一義に垂直方向反射角度を選択することが可能である。尚、ここでは部分領域Lp、Lqを撮像する場合を説明しているが、この部分領域の個数は、複数であればよく、3以上であってもよい。
【0037】
(制御装置30)
制御装置30は、2次元撮像装置20で撮像する1枚の画像上の鋼板ライン方向の画素サイズが、1回の撮像動作の時間中に移動する鋼板の長さに等しくなるように、ライン速度に対応してPLG40から出力されるパルス信号に同期して、2次元撮像装置20が1回撮像するための撮像駆動信号を出力する。また、制御装置30は、後で詳細を記載するような処理で、画像信号を読み出すCMOS撮像素子22の複数の画素列を選択し設定する。2次元撮像装置20から1回の撮像動作中に得られる夫々の列単位画像を順次鋼板長手方向に合成してフレーム画像を作成し、順次疵画像処理装置32に出力する。
【0038】
図5は、鋼板1の疵検査をする際にCMOS撮像素子22上の2つの画素列(p列目、q列目)が選択された場合の処理の一例を説明する説明図である。図5(a)には、2次元撮像装置20のp列目の画素列とq列目の画素列により撮像された列単位画像(p列単位画像又はq列単位画像)、夫々の鋼板1上の撮像位置である部分領域(Lp又はLq)、及び、鋼板1の搬送方向を上方向へ、時間軸を右方向にして、各撮像時刻t、t+i、t+2i(ここでiは撮像に要する時間)における鋼板1の移動の様子を模式的に示す。本発明の実施形態では、制御装置30から出力される撮像駆動信号は、2次元撮像装置20が1回の撮影時間中に移動する鋼板の長さと、撮像する画像上の鋼板ライン方向の画素サイズと等しくなるように同期しているので、順次撮像動作で得られた夫々の列単位画像(p列単位画像同士又はq列単位画像同士)を図5(b)に示すように、各撮像時刻毎に順次並べて配列・合成するだけで、p列単位画像を鋼板長手方向に合成したフレーム画像Ipと、q列単位画像を鋼板長手方向に合成したフレーム画像Iqとを作成することができる。
【0039】
なお、同じ撮像動作中に得ることができる列単位画像の選択可能な画素列は、上記では2つの異なる垂直方向反射角度βpおよびβqに対応した2つのp列目の画像列とq列目の画像列を用いる場合について説明したが、異なる複数の垂直方向反射角度βに対応する画素列は、2つに制限されるものではなく、受光部21の有する画像列数まで選択が可能である。
【0040】
(エッジ算出装置31)
次に、疵検出に使用されるフレーム画像を得るために、撮像された列単位画像からエッジ検出が可能な場合のエッジ算出装置31がエッジ位置を算出する動作について説明する。制御装置30は、フレーム画像を作成する間に少なくとも一回は、エッジ算出装置31に、2次元撮像装置20により撮像されたp列単位画像またはq列単位画像を入力する。エッジ算出装置は入力したp列単位画像またはq列単位画像の輝度プロフィールから、ロール表面輝度と鋼板表面輝度の段差(以下「エッジ輝度差」とする)を探索して鋼板エッジ位置を算出し、疵画像処理装置32にエッジ位置を出力する。ここで、列単位画像の輝度範囲が0―255であるとすると、エッジ輝度差閾値Δyは例えば10以上であることを条件とすれば、鋼板エッジ位置を間違えずに検出することが可能である。
【0041】
エッジ位置を算出するには、列単位画像のエッジ輝度差を公知の技術によって探索すれば良い。例えば、列単位画像にローパスフィルタを通して高周波成分を除去した後に、隣り合った輝度値の差を順次求め最大差をエッジ輝度差とし、その位置をエッジ位置として算出する。あるいは、列単位画像のロール表面から初めてエッジ輝度差閾値Δyを超える位置を探索し、エッジ位置としても良い。
【0042】
本発明の実施の形態では、疵検出に使用する複数のフレーム画像を得るために、複数の列単位画像が選択可能であるから、選択された列単位画像から、夫々エッジ輝度差を求めておき、順次、列単位画像から算出したエッジ輝度差をエッジ輝度差閾値Δyと比較し、Δy以上の条件を満たしたエッジ輝度差の位置を選択して、エッジ位置情報として疵画像処理装置32に出力することができる。
【0043】
一例として、黒く焼付き塗装を施したスチール製ロールに鋼板が巻き付いた状態の場合について述べる。図6(a)にp列単位画像の輝度プロフィールを、図6(b)は、q列単位画像の輝度プロフィールを示す。ここで、p列単位画像は、乱反射光学系を満足する垂直方向反射角度の反射光を撮像するようにCMOS撮像素子22の画素列が選択された場合の列単位画像で、q列単位画像は、正反射光学系を満足する垂直方向反射角度の反射光を撮像するようにCMOS撮像素子22の画素列が選択された場合の列単位画像である。従って図6(a)は乱反射光学系で撮像される列単位画像の輝度プロフィール、図6(b)は正反射光学系で撮像される列単位画像の輝度プロフィールである。図6(b)では、スチール製のロール表面は検査する鋼板表面と同等の表面粗さであるため、正反射光学系で撮像される画像輝度は鋼板とロールとで同程度となる。つまり、正反射光学系で撮像される列単位画像のエッジ輝度差はエッジ輝度差閾値Δy以上にならないため、エッジ位置を選択することができない。ところが、図6(a)では、ロール表面と鋼板表面に色調の差があるので、乱反射光学系で撮像される画像輝度は輝度差が顕著に表れる。つまり、p列単位画像から求めたエッジ輝度差はエッジ輝度差閾値Δy以上となり、エッジ位置を容易に決定することが可能となる。以上から、本発明の実施の形態によれば、使用されるフレーム画像を得るために撮像された列単位画像は垂直方向反射角度が異なっているから、ロールと鋼板の輝度差が異なる列単位画像を得ることができれば、エッジ位置を選択するのに十分なエッジ輝度差の列単位画像を選択することができ、結果としてエッジ位置情報を正確に算出することが可能となる。
【0044】
次に、疵検出に使用されるフレーム画像を得るために選択された列単位画像(例えばp列単位画像及びq列単位画像)からエッジ検出ができず、且つエッジ位置を算出できる垂直方向反射角度βeが既知の場合について述べる。例えば、疵検出に必要なフレーム画像を作成するために選択され撮像される夫々の列単位画像からでは、エッジ輝度差閾値Δy以上を満たすエッジ輝度差を得ることができず、エッジ位置を求めることができない場合である。このような場合には、制御装置30は、エッジ輝度差閾値Δy以上のエッジ輝度差を得ることができる垂直方向反射角度βeに対応した部分領域Leを撮影するために、CMOS撮像素子22のe列目の画素列を選択し設定する。そして、エッジ算出装置31は、2次元撮像装置によって出力されたe列単位画像から、前述したのと同様に、エッジ位置を算出し、疵画像処理装置31に出力する。なお、制御装置30が、エッジ算出装置31に入力するe列単位画像の入力回数は、疵検査に必要な複数のフレーム画像作成の間隔、つまり図5(b)でフレーム画像Ip、Iqが作成される間隔内に1回以上あればよく、PLG40の撮像駆動信号を用いて容易に入力回数を制御することができる。また、CMOS撮像素子22の設定するe列目の画素列は、予めロール表面と、鋼板の品種に対応させて、オフライン実験や、ラインが停止している場合等で検討して決定すればよい。従って、疵検出に使用するフレーム画像を得るために選択された列単位画像からエッジが検出できない場合であっても、別途エッジ検出可能な列単位画像から精度良くエッジを検出することが可能となる。
【0045】
さらに、エッジ算出が可能な垂直方向反射角度βeをオンラインで検出する場合について述べる。本発明の実施の形態では、被検査体の複数の鋼板は、各鋼板の後端と先端とが溶接点で溶接により連結されたものであり、溶接点前後は、疵検査を行う必要性が低いことから、鋼板先頭部分で疵検出に使用されるフレーム画像を得るために選択された複数の列単位画像以外の複数の列単位画像を撮影して、最適なエッジ位置算出が可能な列単位画像を選択すればよい。具体的には、制御装置30は、溶接点検出部(図示しない)で溶接点を検出した信号(溶接点検出信号)を受けて、撮像している領域が鋼板先頭部分に切り替わった時点で、疵検出のために選択された垂直方向反射角度とは異なる複数の垂直方向反射角度βmに対応する複数の部分領域Lmを撮影するために、2次元CMOS撮像素子22に複数の画素列を設定する。そして、エッジ算出装置31は、2次元撮像装置によって出力された複数のm列単位画像から順次エッジ輝度差を算出、比較することでエッジ輝度差閾値Δy以上を満足する垂直方向反射角度βeに対応したe列単位画像を得る。なお、e列単位画像を選択するには、順次エッジ輝度差を比較する際に、エッジ輝度差閾値Δy以上を最初に満足した列単位画像を選択しても良いし、複数のエッジ輝度差閾値Δy以上を満足する列画像の中からエッジ輝度差が最大のものを選択しても良い。このようにして、2次元CMOS撮像素子22のe列目の画素列を選択することができる。
【0046】
あるいは、前述した溶接点検出信号に加えて、上位計算機(図示しない)から鋼板の幅情報も制御装置30に入力される場合には、撮像している領域が鋼板先頭部分に切り替わった時点で、制御装置30は、鋼板のエッジ近傍の所定のエッジ探索領域LE(図2)を撮像するために、2次元CMOS撮像素子22の所定の矩形領域の画素を設定するように指示する。2次元CMOS撮像素子の画素列は、2次元CMOSカメラが設置された時点で、鋼板の幅方向の何処の位置を撮影するか一義に決定されるので、矩形領域の走査方向の一辺の中心は、鋼板の幅情報から算出したエッジ位置座標に対応する画素として、矩形領域の走査方向の一辺の画素数は、鋼板のウォーク量と呼ばれる蛇行量を考慮して設定する。例えば、通常の鋼板ラインでウォーク量は±50mm程度であるので、板幅方向の画素サイズが0.35mmの場合、286画素(≒100mm/0.35mm)と設定する。また、矩形領域の走査方向に垂直な一辺の長さは、帯状光照射領域LAの鋼板の移動方向の照射幅まで任意に設定可能であるが、通常は移動方向の照射幅の半分程度に設定する。そして、エッジ算出装置31は、2次元撮像装置によって撮像され出力されたエッジ探索領域LEの画像を用いて、順次、列単位毎にエッジ輝度差を求め、エッジ輝度差閾値Δy以上を満足する垂直方向反射角度βeに対応したe列単位画像を得ることで、対応する2次元CMOS撮像素子22e列目に画素列を選択してもよい。このようにすれば、取り扱う画像サイズを小さくすることができるので、最適なエッジ位置算出に必要な列単位画像の検索が効率良く行うことができる。このように本発明の実施の形態に係る表面疵検査装置では、上記のようなエッジ算出装置31を備えることにより、撮像された列単位画像等を使用して、鋼板のエッジをより正確かつ容易に認識することができる。従って、製造ラインの機器配置状の制約などにより正確なエッジ位置を検出することが困難であった別途のエッジ検出器などを使用せずとも、正確にエッジを認識することが可能であり、かつ、このような別途のエッジ検出器が必要でないため、疵検査装置全体の製造コストを低減することも可能である。
【0047】
(動作及び効果の例等)
以上で説明したように、本発明の実施の形態では、2次元撮像装置20は、1回の撮像動作中に、制御装置30によって選択される所定の異なる複数の画素列の画像信号を読み出す手段を備えているので、CMOS撮像素子22のp列目とCMOS撮像素子22のq列目を予め制御装置30で選択しておけば、1回の撮像動作によって、垂直方向反射角度βpのp列単位画像と垂直方向反射角度βqのq列単位画像を同時に得るとともに、エッジ位置を算出するのに最適な列単位画像をも同時に得ることができる。
【0048】
制御装置30は、予め鋼板1の品種や表面性状に対応させて、どのような垂直方向反射角度(CMOS撮像素子22の読み出す画素列で一義に決定される)で鋼板を撮像すれば精度良く疵検出ができるか又はエッジ算出装置31がエッジ位置を算出できるかを、予め実験等によって検討して、鋼板1の品種等ごとに垂直方向反射角度または画素列の番号として内蔵するデータベース(図示しない)に登録する。そして、実際に鋼板ラインで検査するときに、被検査材の鋼板の品種や表面性状に適した垂直方向反射角度を、当該データベースを基に決定して、CMOS撮像素子22の読み出し画素列設定信号を2次元撮像装置20に出力して撮像を制御する。
【0049】
さらに、前述したように、制御装置30から出力される、鋼板1の移動に対応するパルス信号PLGに同期した撮像駆動信号によって、撮像動作を繰り返すので、容易に、垂直方向反射角度βpで撮像したフレーム画像(図5、Ip)と垂直方向反射角度βqで撮像したフレーム画像(図5、Iq)とを連続して鋼板長手方向全域について得られると同時に、エッジ算出装置31は、夫々のフレーム画像上の正確なエッジ位置情報を算出することができる。したがって、鋼板1の地合表面に適した任意の乱反射光学系を構築することが可能となり、疵表面で起こるわずかな乱反射の違いや反射率の角度依存性により、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることできなかった疵に対して、最適な受光角度(即ち、垂直方向反射角度)で撮像することができると同時に、リアルタイムでエッジ位置を検知することができる。
【0050】
また、図3に示すように、2次元撮像装置20の光軸が、垂直方向入射角度αとほぼ等しい垂直方向反射角度β(垂直方向入射角度との差が0°〜5°)で反射する反射光を受光する2次元撮像装置20の受光面21のCMOS撮像素子22のr列目で受光するように画素列を制御装置30で選択すれば、正反射光学系を構築することができ、凹凸性状疵が検出しやすくなる。ここで、正反射光学系を構築するために、CMOS撮像素子22のr列目を選択するのに、反射光の強度を測定し、一番強度の高い画素列を選択しても良い。なお、鋼板地合が鏡面のような場合は、正反射光学系から±1〜2°程度ずらした条件(トワイライトゾーン)を満たす画素列を選択して撮像すると、地合からの強烈な反射光が低減されて、微小凹凸性状疵の顕在化が図れるという結果が得られる。図5(b)には一例として、正反射凹凸疵(疵H)と、有色疵である異物付着(疵G)を撮影したときに得られた画像を示した。図5(b)でIpが正反射光学系で得られたフレーム画像であり(すなわち、p=rとなる例である)、Iqが乱反射光学系で得られたフレーム画像である。正反射光学系で得られた画像から、微小凹凸性状疵を、乱反射光学系から得られた画像から異物付着等の有色疵を確実に検出することができる。
【0051】
(オペレータ疵表示装置33)
オペレータ疵表示装置33は、例えばコンピュータディスプレーなどの表示装置で構成され、疵画像処理装置32から送られてくる検出した疵の疵画像および疵画像から抽出された特徴量を含む信号を重畳し、疵の画像および特徴量を表示する。ここで、例えば特徴量としては疵の種類、鋼板上の発生位置、大きさ、有害度などのデータを含んでいる。
【0052】
(疵画像処理装置32)
疵画像処理装置32は、制御装置30で複数の列単位画像から作成したフレーム画像と、エッジ算出装置31からエッジ位置情報が入力されて、当該フレーム画像に対して、シェーディング補正等の画質改善、ラベリング処理や幾何学的特徴量抽出等の画像解析などの画像処理、及び疵判定処理を行って有害疵を検出する。例えば、本出願人によって特許文献3に開示されているように、得られたフレーム画像から、抽出された疵候補画像の中から特定形状の模様を含む画像を抽出し、抽出した画像に所定の画像処理を行って有害疵を検出することにより、有害疵を検出するために行う画像処理対象を絞り込んで、高速且つ高精度で疵検出が可能であり、鋼板表面部分のみの画像処理を効率よく行うことができ、ロール上を移動している鋼板がいわゆるウォークと呼ばれる蛇行をおこしても鋼板エッジを起点に有害疵の発生位置を正確に算出することができる。
【0053】
(プログラム等)
制御装置30、エッジ算出装置31及び疵画像処理装置32は、個別の専用装置で構成されてもよいが、夫々作業者が上記の疵検出のための設定値を入力するためのキーボードやマウス等の入力装置、オペレータ疵表示装置33との入力/出力インターフェイス、画像メモリを含む内部メモリ、DVD−RAMやHDD等の外部記録装置、及びコンピュータ・ディスプレーを具備するコンピュータで構成することも出来る。制御装置30、エッジ算出装置31及び疵画像処理装置32は、夫々別個のコンピュータで構成してもよく、また、設置場所や製作費を低減するために一台で構成しても良い。さらに、鋼板等の製造ラインを統括するプロセス=コンピュータとLAN又は専用のケーブル等で接続するI/Oボードを備えて、被検査材の鋼板の種類の情報を当該プロセスコンピュータから得るようにしてもよく、又、疵検出結果を当該プロセスコンピュータに出力するようにしても良い。このようにコンピュータ等で構成した装置で、制御装置30、エッジ装置31及び疵画像処理装置32で行う上記の制御や各データ処理(情報処理)は、予め作成した疵画像測定プログラム及び疵画像処理プログラムをHDD及び内部メモリにロードして実行させる。
【0054】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、2次元撮像装置20の受光部21の画素列を選択することによって、撮像装置の数を増やすことなく、同時刻に複数の受光角度で撮像した疵画像を複数得ることができ、正反射光学系や乱反射光学系を容易に構築することができるので、所定の受光角度でしか輝度変化を得ることができないような疵のリアルタイム検出が可能となり、安価でかつ容易に鋼板上に発生する様々な疵に対応した検査ができる。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態の疵検査装置の概略を示す図である。
【図2】図1に示す実施の形態の疵検査装置の上方から見た照明装置と2次元撮像装置の配置を示す平面図である。
【図3】図1に示す実施の形態の疵検査装置の側面配置図である。
【図4】2次元撮像装置の受光部のCMOS撮像素子を模式的に示す図である。
【図5】2つの列単位画像からフレーム画像を導出する手法の概略の説明図である。
【図6】2つの列単位画像の輝度プロフィールを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 鋼板
2 ロール
10 照明装置
11 光源
12 光ファイバー束
13 光ファイバー束入力端
14 光はフィバー束出力端
20 2次元撮像装置
21 受光部
22 CMOS撮像素子
30 制御装置
31 エッジ算出装置
32 疵画像処理装置
33 オペレータ疵表示装置
40 PLG
L1 帯状光
LA 帯状光照射領域
LE エッジ算出探索領域
Lp、Lq 帯状光照射領域内の撮像位置(部分領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査する表面疵検査装置であって、
前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射する照明装置と、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力する、部分読み出し可能な2次元撮像装置と、
前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出するエッジ算出装置と、
前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出する疵画像処理装置と、
を備えることを特徴とする表面疵検査装置。
【請求項2】
前記2次元撮像装置は、複数のCMOS撮像素子からなる2次元の画素配列を有する2次元CMOSカメラを備え、該画素配列から制御装置の指示により任意の画素列の前記列単位画像を出力するものであり、
前記制御装置は、予め設定した前記複数の垂直方向反射角度夫々に対応する前記複数の部分領域を撮像するために、前記2次元CMOSカメラの複数の画素列を指定して前記2次元撮像装置に指示し、さらに、該2次元撮像装置から入力した該複数の部分領域夫々に対応する該複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像を配列・合成して、該少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々が表した垂直方向反射角度夫々により前記帯状光照射領域を撮像したフレーム画像を構成するとともに、
前記エッジ算出装置は、前記垂直方向反射角度夫々のフレーム画像が構成される間に、前記複数の列単位画像のうちの一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表面疵検査装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記フレーム画像を構成するのに使用する前記少なくとも二つ以上の列単位画像に夫々対応する前記部分領域とは異なる、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度に対応する部分領域を、該フレーム画像を構成する間に一回以上撮影するために、前記2次元CMOSカメラの画素列を指定して前記2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記垂直方向反射角度に対応する部分領域に対応する列単位画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記列単位画像の輝度情報から、帯状体のエッジ位置を算出する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記制御装置は、互いに連結されて搬送された前記帯状体の連結部直後の先端部分が撮像される時点で、前記フレーム画像を構成するのに使用する前記少なくとも二つ以上の列単位画像に夫々対応する前記部分領域とは異なる、複数の垂直方向反射角度に夫々対応する複数の部分領域を撮影するために、前記2次元CMOSカメラの画素列を指定して2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記複数の垂直方向反射角度に夫々対応する複数の部分領域に夫々対応する複数の列単位画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記複数の列単位画像から、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が、予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の表面疵検査装置。
【請求項5】
前記制御装置は、互いに連結されて搬送された前記帯状体の連結部直後の先端部分が撮像される時点で、上位計算機から入力される該帯状体の幅情報に応じて、該帯状体のエッジ近傍の所定の2次元領域を撮像するために、所定の行と列の画素を設定して前記2次元撮像装置に指示し、
前記2次元撮像装置は、前記エッジ近傍の所定の2次元領域画像を前記エッジ算出装置に出力し、
前記エッジ算出装置は、前記第2次撮像装置から入力された前記2次元領域画像から、前記ロール表面の画像輝度と前記帯状体表面の画像輝度との差が、予め設定されたエッジ輝度差閾値以上となる垂直方向反射角度を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の表面検査装置。
【請求項6】
ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査する表面疵検査方法であって、
照明装置により、前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射するステップと、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、部分読み出し可能な2次元撮像装置により、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力するステップと、
エッジ算出装置により、前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出するステップと、
疵画像処理装置により、前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出するステップと、
を含むことを特徴とする表面疵検査方法。
【請求項7】
ロールにより搬送される帯状体の、該ロールに巻き付いた部分において、該帯状体の表面の幅方向全域に帯状光を照射し、該帯状光が照射される領域である帯状光照射領域からの該帯状光の反射光を撮像し、該帯状体の表面の疵を検査するために、照明装置と2次元撮像装置とエッジ算出装置と疵画像処理装置とを有する表面疵検査装置を制御するコンピュータに、
前記照明装置により、前記帯状光の前記帯状体に対する垂直方向入射角度が、該帯状光照射領域のすべての点において、予め設定した所定の値と等しくなるように、ロール径に合わせ収束する帯状光を照射する処理と、
前記帯状光照射領域を挟んで前記照明装置と対向配置され、部分読み出し可能な前記2次元撮像装置により、前記帯状体の移動に同期して、該帯状光照射領域の内の、前記帯状体の移動方向における位置が異なる複数の部分領域を、夫々異なる複数の垂直方向反射角度で撮像して、複数の列単位画像を出力する処理と、
前記エッジ算出装置により、前記複数の列単位画像のうちの少なくとも二つ以上の列単位画像の夫々からフレーム画像が構成される間に、該複数の列単位画像のうちの少なくとも一つ以上の列単位画像からの輝度情報を用いて、前記帯状体のエッジ位置を算出する処理と、
前記疵画像処理装置により、前記フレーム画像を画像処理して、前記帯状体の表面の疵を検出する処理と、
を実行させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−25652(P2010−25652A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185520(P2008−185520)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】