説明

表面被覆金属ナノ粒子、その製造方法、およびそれを含む金属ナノ粒子ペースト

【課題】親油性溶媒中での分散性に優れ、且つ、不活性ガス雰囲気中、低温(具体的には350℃以下)での熱処理により有機被膜が容易に熱分解される表面被覆金属ナノ粒子を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子と、該金属ナノ粒子表面に配置された有機被膜とを備え、
前記有機被膜が、炭素数8以上の脂肪酸と炭素数8以上の脂肪族アミンとを含有し且つ前記脂肪酸に対する前記脂肪族アミンのモル比が脂肪族アミン/脂肪酸=0.001/1〜0.2/1であるものであることを特徴とする表面被覆金属ナノ粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面被覆金属ナノ粒子、その製造方法、およびそれを含む金属ナノ粒子ペーストに関し、より詳しくは、金属ナノ粒子の表面に有機被膜が配置された表面被覆金属ナノ粒子、その製造方法、およびそれを含む金属ナノ粒子ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の電極接合などにおいては、従来、Sn−Pb系はんだが用いられていたが、近年、環境保全の観点から、鉛フリーはんだといった新規な接合材料が求められている。また、半導体装置の小型化、高密度化に伴い、微細な配線形成が必要となり、これに対応した新規な配線形成材料が求められている。さらに、半導体素子の接合技術や微細配線形成技術においては、半導体素子への負荷を低減するために、低温での接合が可能な材料や低温での配線形成が可能な材料が求められている。
【0003】
Ag、Cu、Niなどの金属ナノ粒子は、従来から、上記のような微細配線形成用材料として注目されている。超微粒子技術入門の28〜29頁(非特許文献1)には、このような金属ナノ粒子は、粒径が20nm以下になると、その融点よりはるかに低い温度(焼結温度200℃以下)で焼結させることが可能となることが報告されている。このため、半導体素子の低温接合や微細配線の低温形成などへの応用が期待されている。
【0004】
金属ナノ粒子の製造方法としては気相法や液相法など様々な方法が提案されているが、簡便な設備で安価に且つ大量に製造できるという観点から、液相中で金属イオンを還元して金属ナノ粒子を形成させる方法が検討されている。しかしながら、金属ナノ粒子は非常に凝集しやすく、そのままの状態では上記のような低温焼結特性を十分に発現させることは困難であった。
【0005】
このため、通常、金属ナノ粒子の表面にポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールなどの高分子化合物からなる有機被膜を形成させて金属ナノ粒子の凝集を抑制している。ところが、このような高分子化合物は熱分解温度が比較的高いため、接合時や配線形成時の加熱温度を低くすると、有機被膜成分が十分に熱分解されず、接合部分や配線中に残存して接合特性や熱伝導特性、電気伝導特性が低下するといった問題があった。また、接合や配線形成は、電極材料や接合材料、配線材料の酸化を防止するため、不活性ガス雰囲気下で行なわれることが多いが、前記高分子化合物は不活性ガス雰囲気下では熱分解されにくく、配線などの電気伝導性や半導体素子などの接合強度が低下するといった問題があった。
【0006】
また、国際公開第2004/012884号(特許文献1)には、アミン化合物の存在下、またはアミン化合物と脂肪酸の共存下で金属塩を熱処理することによって分散安定性に優れた金属ナノ粒子を得る方法が開示されている。しかしながら、この金属ナノ粒子を用いても、配線などの電気伝導性や半導体素子などの接合強度は未だ十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/012884号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】一ノ瀬昇、尾崎義治、賀集誠一郎、超微粒子技術入門、オーム社、1988年7月発行、28〜29頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、親油性溶媒中での分散性に優れ、且つ、不活性ガス雰囲気中、低温(具体的には350℃以下)での熱処理により有機被膜が容易に熱分解される表面被覆金属ナノ粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、国際公開第2004/012884号に記載の方法により得られた金属ナノ粒子は、被膜中のアミン化合物の含有量が多く、その結果、接合時や配線形成時の加熱温度を低くすると、不活性ガス雰囲気下ではアミン化合物が十分に熱分解されず、接合部分や配線中に残存して接合特性や電気特性が低下することを見出した。そして、アルコール系溶媒中、炭素数8以上の脂肪酸および炭素数8以上の脂肪族アミンの共存下で、前記アルコール系溶媒に不溶な金属塩を還元せしめることによって、有機被膜中の脂肪族アミンの含有量が少ない表面被覆金属ナノ粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子は、平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子と、該金属ナノ粒子表面に配置された有機被膜とを備え、
前記有機被膜が、炭素数8以上の脂肪酸と炭素数8以上の脂肪族アミンとを含有し且つ前記脂肪酸に対する前記脂肪族アミンのモル比が脂肪族アミン/脂肪酸=0.001/1〜0.2/1であるものであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子において、前記金属ナノ粒子としては、Au、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含有するものが好ましい。また、前記有機被膜としては、不活性ガス雰囲気中、350℃以下の温度で90質量%以上熱分解されるものが好ましい。
【0013】
本発明の金属ナノ粒子ペーストは、本発明の表面被覆金属ナノ粒子と、常温で液体である脂肪族ヒドロキシ酸とを含有することを特徴とするものであり、前記脂肪族ヒドロキシ酸としては、リシノール酸が好ましい。
【0014】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法は、アルコール系溶媒中、炭素数8以上の脂肪酸および炭素数8以上の脂肪族アミンの共存下で、前記アルコール系溶媒に不溶な金属塩を還元せしめることにより、該金属のナノ粒子を形成させ、且つ該金属ナノ粒子の表面に、前記脂肪酸および前記脂肪族アミンを含有する有機被膜を形成させることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法において、前記金属塩としては、該金属の炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、また、Au、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩が好ましい。
【0016】
前記アルコール系溶媒中に存在する前記脂肪酸と前記脂肪族アミンのモル比としては、脂肪酸/脂肪族アミン=10/90〜90/10が好ましい。また、前記アルコール系溶媒としては、ポリオールが好ましく、グリコールがより好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールが特に好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、親油性溶媒中での分散性に優れ、且つ、不活性ガス雰囲気中、低温(具体的には350℃以下)での熱処理により有機被膜が容易に熱分解される表面被覆金属ナノ粒子得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1〜2および比較例1で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図2】実施例3で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図3】実施例1、実施例4〜6および比較例2で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図4】実施例1、実施例7〜10および比較例3で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図5】実施例5および実施例11〜12で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図6】実施例13〜17で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図7】実施例18で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図8】実施例16、実施例19〜21で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図9】比較例4で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図10】実施例1、実施例13および実施例22で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図11】実施例23で得られた微粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。
【図12】実施例1で得られた微粒子から抽出した有機被膜成分のIRスペクトルを示すグラフである。
【図13】実施例1および実施例5で得られた微粒子のXPS(N1sスペクトル)を示すグラフである。
【図14】実施例1および実施例5で得られた微粒子のXPS(C1sスペクトル)を示すグラフである。
【図15】実施例16、実施例19〜20および比較例4で得られた微粒子のXPS(C1sスペクトル)を示すグラフである。
【図16】実施例1で得られた微粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図17】実施例2で得られた微粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図18】実施例5で得られた微粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図19】実施例13で得られた微粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図20】比較例4で得られた微粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図21】実施例1で得られた微粒子のTG−DTA測定結果を示すグラフである。
【図22】実施例5で得られた微粒子のTG−DTA測定結果を示すグラフである。
【図23】実施例15で得られた微粒子のTG−DTA測定結果を示すグラフである。
【図24】実施例20および比較例4で得られた微粒子のTG測定結果を示すグラフである。
【図25】実施例20および比較例4で得られた微粒子のDTA測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0020】
<表面被覆金属ナノ粒子>
先ず、本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法について説明する。本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法は、アルコール系溶媒中、炭素数8以上の脂肪酸および炭素数8以上の脂肪族アミンの共存下で、前記アルコール系溶媒に不溶な金属塩を還元せしめることにより、金属ナノ粒子を形成させ、且つ、この金属ナノ粒子の表面に、前記脂肪酸および前記脂肪族アミンを含有する有機被膜を形成させるものである。
【0021】
(アルコール系溶媒)
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法においては、アルコール系溶媒中で金属塩を還元させて金属ナノ粒子を形成させる。このアルコール系溶媒は、還元反応における溶媒であるとともに、還元剤としても作用する。従って、本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法においては、NaBHやNといった還元剤を添加する必要がなく、簡素化された方法で表面被覆金属ナノ粒子を製造することが可能となる。
【0022】
また、アルコール系溶媒が還元剤として作用すると、金属塩の還元により生成した金属ナノ粒子の周囲にはアルコール系溶媒が多く存在するため、金属ナノ粒子表面に存在する脂肪族アミンが少なくなり、後述する有機被膜中の脂肪族アミンの含有量が低減されると考えられる。一方、アルコール系溶媒を使用せずに、前記脂肪酸および前記脂肪族アミンの共存下で金属塩を還元せしめると、脂肪族アミンが還元剤として作用するため、生成した金属ナノ粒子の表面には脂肪族アミンが多く存在し、有機被膜中の脂肪族アミンの含有量が増大すると考えられる。
【0023】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法に用いられるアルコール系溶媒としては、CuやNiなどの卑金属を還元するためには、沸点が200℃程度またはそれ以上の溶媒が望ましいという観点から、ポリオールが好ましく、グリコールがより好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールが特に好ましい。これらのアルコール系溶媒は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このようなアルコール系溶媒とこれに混和可能な溶媒(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフランといったエーテル類;酢酸エチル、酢酸ベンジルといったエステル類;アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなど)とを併用してもよい。
【0024】
(金属塩)
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法に用いられる金属塩は前記アルコール系溶媒に不溶なものである。このような金属塩としては、炭酸塩および水酸化物が挙げられる。これらの金属塩は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0025】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法においては、アルコール溶媒中で金属塩を熱分解して金属イオンを生成させるが、金属塩としてアルコール系溶媒に不溶なものを使用すると、溶媒中に存在する金属イオンは少量となる。このような系において金属イオンを還元すると、生成する粒子核は少量であり、金属ナノ粒子は徐々に生成するため、有機被膜は金属ナノ粒子の表面に形成されやすく、且つ安定に存在する。その結果、金属ナノ粒子の凝集を十分に抑制することが可能となる。また、金属塩を徐々に溶解させて金属ナノ粒子を形成するため、多量の溶媒を必要とせず、溶媒量を少なくすることができる。その結果、溶媒の温度を均一に保持することができ、粒子径が均一な大量の金属ナノ粒子を容易に製造することが可能となる。
【0026】
一方、アルコール系溶媒に可溶な金属塩を使用すると、溶媒中には多くの金属イオンが生成する。このような系において金属イオンを還元すると一度に多くの金属ナノ粒子が生成する。金属ナノ粒子が多量に生成すると、その表面に有機被膜が形成される前に、粒子同士が凝集するため、粒子は粗大化して沈殿する。また、Cuのように酸化されやすい金属においては、表面に有機被膜が形成されないと、酸化されやすくなる。
【0027】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法に用いられる金属塩としては、Au、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩が好ましく、Ag、CuおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩がより好ましく、安価であり、得られる金属ナノ粒子が耐エレクトロマイグレーション性に優れているという観点から、炭酸銅および水酸化銅が特に好ましい。
【0028】
(脂肪酸および脂肪族アミン)
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法に用いられる脂肪酸および脂肪族アミンは、ともに炭素数が8以上のものである。脂肪酸または脂肪族アミノの炭素数が8未満になると、金属ナノ粒子の形成時に、脂肪酸および脂肪族アミンの立体障害が十分に作用せず、また、有機被膜の熱的安定性が低下するため、金属ナノ粒子が粗大化し、平均粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子を得ることが困難となる。また、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が大きくなると、得られる金属ナノ粒子の平均粒子径が小さくなるという観点から、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数の下限としては10以上が好ましく、12以上がより好ましい。なお、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数の上限としては特に制限はないが、有機被膜成分がより低温で熱分解されるという観点から、18以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下が特に好ましい。
【0029】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法においては、前記アルコール系溶媒中、前記脂肪酸と前記脂肪族アミンの共存下で前記金属塩を還元させる。前記脂肪酸と前記脂肪族アミンとを共存させることによって、生成した金属ナノ粒子の表面には、前記脂肪酸と前記脂肪族アミンとを含有し、安定に存在する有機被膜が形成される。これにより、金属ナノ粒子の凝集を抑制することが可能となる。一方、脂肪酸のみ、あるいは脂肪族アミンのみの存在下では、有機被膜がアニオンまたはカチオンとなるため、有機被膜の安定性が低下する。その結果、金属ナノ粒子が凝集しやすくなる。また、Cuのように酸化されやすい金属においては、表面に安定な有機被膜が形成されないと、酸化されやすくなる。
【0030】
前記脂肪酸としては前記炭素数を有するものであれば特に制限はなく、飽和または不飽和の炭化水素基を有する脂肪酸が挙げられる。また、前記炭化水素基は直鎖状のものであっても、分岐状のものであってもよい。このような脂肪酸としては、例えば、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸;オレイン酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0031】
また、前記脂肪族アミンとしては前記炭素数を有するものであれば特に制限はなく、飽和または不飽和の炭化水素基を有する脂肪族アミンが挙げられる。また、前記炭化水素基は直鎖状のものであっても、分岐状のものであってもよい。このような脂肪族アミンとしては、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミンなどのアルキルアミン;オレイルアミンなどのアルケニレンアミンが挙げられる。
【0032】
アルコール系溶媒中に存在する前記脂肪酸と前記脂肪族アミンのモル比としては特に制限はないが、脂肪酸/脂肪族アミン=10/90〜90/10が好ましい。脂肪酸/脂肪族アミンが前記下限未満になると、有機被膜中の脂肪族アミンの含有量が多くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、金属ナノ粒子の粒子径が増大して平均粒子径が100nmを超過したり、また、安定に存在する有機被膜が形成されずに、金属ナノ粒子が凝集して粗大な沈殿物が生成したり、Cuのように酸化されやすい金属においては酸化される傾向にある。
【0033】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法において、前記アルコール系溶媒中の金属塩、脂肪酸および脂肪族アミンのそれぞれの濃度としては、0.001〜10mol/Lが好ましく、0.01〜1mol/Lがより好ましい。金属塩の濃度が下限未満になると、金属ナノ粒子の生成量が少なくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、金属塩の熱分解に要する時間が長くなる傾向にある。また、脂肪酸または脂肪族アミンの濃度が前記下限未満になると、金属ナノ粒子の表面に十分な有機被膜が形成されず、金属ナノ粒子が凝集したり、Cuのように酸化されやすい金属においては酸化される傾向にあり、他方、前記上限を超えると、余分な脂肪酸や脂肪族アミンを除去するための洗浄操作が煩雑となり、実用的に好ましくない。
【0034】
還元させる際の反応温度としては特に制限はないが、使用するアルコール系溶媒の沸点付近の温度(より好ましくは沸点)が好ましい。これにより、温度制御装置を使用せずに容易に溶媒の温度を均一に保持することができ、均一な粒子径を有する表面被覆金属ナノ粒子を得ることが可能となる。また、還元させる際の反応時間としては特に制限はないが、本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法によれば、1時間以内の反応時間で90%以上の高収率で大量の表面被覆金属ナノ粒子を製造することができる。
【0035】
このようにして得られる表面被覆金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子の表面が長鎖の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族アミンを含有する有機被膜で覆われたものであるため、アルコール系溶媒に不溶であり、容易に沈殿するが、ヘキサン、トルエンといった親油性溶媒に対して高い分散性を示す。従って、表面被覆金属ナノ粒子を含むアルコール系溶媒と親油性溶媒を混合して親油性溶媒中に表面被覆金属ナノ粒子を分散させ、その後、アルコール系溶媒と親油性溶媒を分離することによって、容易に表面被覆金属ナノ粒子を回収することができる。この方法によれば90%以上の回収率で表面被覆金属ナノ粒子を得ることが可能となる。
【0036】
次に、本発明の表面被覆金属ナノ粒子について説明する。本発明の表面被覆金属ナノ粒子は、平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子と、この金属ナノ粒子の表面に配置された所定の有機被膜とを備えるものである。このような表面被覆金属ナノ粒子の製造方法は特に制限されないが、上述した本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法によれば容易に製造することができる。
【0037】
(金属ナノ粒子)
本発明にかかる金属ナノ粒子は、平均粒子径が1〜100nmのものである。平均粒子径が前記範囲にあると、350℃以下の低温で焼結させることが可能となり、本発明の表面被覆金属ナノ粒子を微細配線形成用インクや接合材料などに使用することができる。一方、平均粒子径が100nmを超えると、350℃以下で焼結させることが困難となる。
【0038】
また、上述したように、本発明の表面被覆金属ナノ粒子を、本発明の製造方法により製造すると、粒子径が均一な金属ナノ粒子が得られる。このように粒子径が均一な金属ナノ粒子は、緻密な焼結組織を形成することが可能であり、高い接合強度を有する接合部、熱伝導性および電気伝導性に優れた配線や接合部を形成することができる。
【0039】
このような金属ナノ粒子としては、Au、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含有するものが好ましく、Ag、CuおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含有するものがより好ましく、安価であり、耐エレクトロマイグレーション性に優れているという観点から、Cuナノ粒子が特に好ましい。
【0040】
(有機被膜)
本発明にかかる有機被膜は、炭素数が8以上の脂肪酸と炭素数が8以上の脂肪族アミンとを含有するものである。脂肪酸または脂肪族アミンの炭素数が8未満になると、金属ナノ粒子の平均粒子径が100nmを超え、350℃以下で焼結させることが困難となる。前記脂肪酸および脂肪族アミンとしては、本発明の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法において例示したものが挙げられる。
【0041】
また、本発明にかかる有機被膜においては、前記脂肪酸に対する前記脂肪族アミンのモル比は、脂肪族アミン/脂肪酸=0.001/1〜0.2/1である。脂肪族アミンの割合が前記下限未満になると、金属ナノ粒子の表面に有機被膜が安定に存在せず、金属ナノ粒子が凝集して粗大な沈殿物が生成する。また、脂肪族アミンの還元能が十分に発現せず、Cuのように酸化されやすい金属においては、焼結させる際に酸化されやすくなる。他方、脂肪族アミンの割合が前記上限を超えると、不活性ガス雰囲気下、350℃以下の温度で有機被膜を熱分解させることが困難となり、接合部分や配線中に残存して接合特性や電気特性が低下する。また、不活性ガス雰囲気下、350℃以下の温度でより確実に有機被膜が熱分解されるという観点から、脂肪族アミン/脂肪酸(モル比)としては0.001/1〜0.15/1が好ましく、0.001/1〜0.1/1がより好ましい。
【0042】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子において、前記有機被膜としては、不活性ガス雰囲気中、350℃以下の温度で90質量%以上熱分解されるものが好ましく、94質量%以上熱分解されるものがより好ましい。熱分解される有機被膜の量が前記下限未満になると接合部分や配線中に有機被膜成分が残存し、接合特性や電気特性が低下する傾向にある。なお、前記有機被膜の熱分解率は、昇温速度20K/minで室温から500℃まで加熱した場合に、有機被膜の質量に相当する重量減少量に対する、室温から350℃までに減少した重量の割合で表されるものである。
【0043】
このように、本発明の表面被覆金属ナノ粒子においては、不活性ガス雰囲気中、350℃以下の温度で熱分解可能な有機被膜が形成されているため、基材や金属電極、前記金属ナノ粒子が、Cuなどの酸化されやすい材質により形成されたものであっても、それらを酸化させることなく、接合したり、配線を形成したりすることが可能となる。
【0044】
また、本発明の表面被覆金属ナノ粒子は、親油性の長鎖の炭化水素基を有する脂肪酸および脂肪族アミンを含有する有機被膜が金属ナノ粒子の表面を緻密に被覆したものであるため、親油性溶媒に対して容易に且つ均一に分散させることが可能である。
【0045】
<金属ナノ粒子ペースト>
本発明の金属ナノ粒子ペーストは、本発明の表面被覆金属ナノ粒子と、常温で液体である脂肪族ヒドロキシ酸とを含有するものである。このような脂肪族ヒドロキシ酸としては、炭素数8以上の脂肪族ヒドロキシ酸が好ましく、200℃で熱分解され、熱分解生成物の沸点が300℃以下であるという観点から、リシノール酸がより好ましい。このような脂肪族ヒドロキシ酸は、これと混和可能な溶剤と併用してもよい。
【0046】
本発明の表面被覆金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子の表面を炭素数8以上の脂肪酸と炭素数8以上の脂肪族アミンを含有する有機被膜で被覆したものであるため、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数によって、粒子表面の親油性が異なるものである。本発明の金属ナノ粒子ペーストに用いられる脂肪族ヒドロキシ酸は、親油性の炭化水素基と親水性のヒドロキシル基およびカルボキシル基の両方を備えるものであるため、表面被覆金属ナノ粒子表面の親油性が変化しても、良好に分散させることができ、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数に関わらず、表面被覆金属ナノ粒子が均一に分散した金属ナノ粒子ペーストを得ることが可能となる。
【0047】
一方、本発明の表面被覆金属ナノ粒子をテルピネオールなどの親水性溶媒と混合すると、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が小さい場合には、表面被覆金属ナノ粒子が均一に分散した金属ナノ粒子ペーストが得られるが、大きくなると表面被覆金属ナノ粒子と親水性溶媒とが分離する傾向にある。
【実施例】
【0048】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
(実施例1)
フラスコにエチレングリコール(HO(CHOH)300mlを入れ、これに炭酸銅(CuCO・Cu(OH)・HO)30mmolを添加したところ、炭酸銅はエチレングリコールにほとんど溶解せずに沈殿した。これに、オレイン酸(C1733COOH)30mmolおよびオレイルアミン(C1835NH)30mmolを添加した後、窒素ガスを1L/minで流しながら、198℃で1時間加熱還流させたところ、微粒子が生成した。得られた微粒子をヘキサン中に分散させて回収した後、エタノールおよびアセトンを添加して順次洗浄した後、遠心分離(3500rpm、20min)により回収し、真空乾燥(50℃、30min)を施した。
【0050】
(実施例2)
炭酸銅の代わりに水酸化銅(Cu(OH))60mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。なお、水酸化銅はエチレングリコールに溶解せず、青色コロイドが生成した。
【0051】
(実施例3)
エチレングリコールの代わりにジエチレングリコール(HO(CHO(CHOH)300mlを用い、加熱温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。なお、炭酸銅はジエチレングリコールにほとんど溶解せずに沈殿した。
【0052】
(比較例1)
炭酸銅の代わりに硫酸銅(CuSO)60mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、粗大な沈殿物が生成した。この沈殿物を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。なお、硫酸銅はエチレングリコールに溶解し、青色の溶液が生成した。
【0053】
(実施例4)
オレイン酸の代わりにドデカン酸(C1123COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにドデシルアミン(C1225NH)30mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0054】
(実施例5)
オレイン酸の代わりにデカン酸(C19COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにデシルアミン(C1021NH)30mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0055】
(実施例6)
オレイン酸の代わりにオクタン酸(C15COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにオクチルアミン(C17NH)30mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0056】
(比較例2)
オレイン酸の代わりにヘキサン酸(C11COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにヘキシルアミン(C13NH)30mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0057】
(実施例7)
オレイン酸の添加量を54mmolに、オレイルアミンの添加量を6mmolに変更した以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0058】
(実施例8)
オレイン酸の添加量を45mmolに、オレイルアミンの添加量を15mmolに変更した以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0059】
(実施例9)
オレイン酸の添加量を15mmolに、オレイルアミンの添加量を45mmolに変更した以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0060】
(実施例10)
オレイン酸の添加量を6mmolに、オレイルアミンの添加量を54mmolに変更した以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0061】
(比較例3)
オレイン酸の添加量を60mmolに変更し、オレイルアミンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、粗大な沈殿物が生成した。この沈殿物を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0062】
(実施例11)
デカン酸の添加量を45mmolに、デシルアミンの添加量を15mmolに変更した以外は実施例5と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0063】
(実施例12)
デカン酸の添加量を15mmolに、デシルアミンの添加量を45mmolに変更した以外は実施例5と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0064】
(実施例13)
炭酸銅の代わりに炭酸銀(AgCO)30mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。なお、炭酸銀はエチレングリコールにほとんど溶解せずに沈殿した。
【0065】
(実施例14)
オレイン酸の代わりにステアリン酸(C1735COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにステアリルアミン(C1817NH)30mmolを用いた以外は実施例13と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0066】
(実施例15)
オレイン酸の代わりにドデカン酸(C1123COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにドデシルアミン(C1225NH)30mmolを用いた以外は実施例13と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0067】
(実施例16)
オレイン酸の代わりにデカン酸(C19COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにデシルアミン(C1021NH)30mmolを用いた以外は実施例13と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0068】
(実施例17)
オレイン酸の代わりにオクタン酸(C15COOH)30mmolを用い、オレイルアミンの代わりにオクチルアミン(C17NH)30mmolを用いた以外は実施例13と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0069】
(実施例18)
オレイン酸の代わりにエルカ酸(C2141COOH)30mmolを用いた以外は実施例13と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0070】
(実施例19)
デカン酸の添加量を45mmolに、デシルアミンの添加量を15mmolに変更した以外は実施例16と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0071】
(実施例20)
デカン酸の添加量を15mmolに、デシルアミンの添加量を45mmolに変更した以外は実施例16と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0072】
(実施例21)
デカン酸の添加量を6mmolに、デシルアミンの添加量を54mmolに変更した以外は実施例16と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0073】
(比較例4)
フラスコに炭酸銀(AgCO)23.2mmolおよびドデシルアミン(ラウリルアミン、C1225NH)42.7mmolを入れ、これにオクタン酸(C15COOH)46.7mmolを添加して、窒素雰囲気下、150℃で5時間加熱したところ、微粒子が生成した。この微粒子を含む分散液を70℃まで冷却した後、メタノールを添加して洗浄し、ろ過により微粒子を回収し、真空乾燥(50℃、30min)させた。
【0074】
(実施例22)
炭酸銅30mmolの代わりに炭酸銅(CuCO・Cu(OH)・HO)18mmolと炭酸銀(AgCO)12mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。
【0075】
(実施例23)
炭酸銅の代わりに炭酸ニッケル(NiCO・2Ni(OH)・4HO)20mmolを用いた以外は実施例1と同様にして加熱還流させたところ、微粒子が生成した。この微粒子を実施例1と同様にして回収し、洗浄および真空乾燥を施した。なお、炭酸ニッケルはエチレングリコールにほとんど溶解せずに沈殿した。
【0076】
<金属成分の同定および金属ナノ粒子の平均粒子径測定>
得られた微粒子および粗大沈殿物について、X線回折装置(ブルカー社製「全自動多目的X線回折装置D8 ADVANCE」)を用い、X線源:CuKα線(λ=0.15418nm)、加速電圧:35kV、加速電流:40mAの条件で粉末X線回折(XRD)測定を行なった。得られたXRDスペクトルを図1〜11に示す。
【0077】
これらのXRDスペクトルから金属成分を同定した。また、実施例1〜23および比較例2および比較例4で得られた微粒子について、XRDスペクトルの最強ピーク(Cu(111)、Ag(111)またはNi(111)に相当するピーク)の半値幅からシェラーの式を用いて金属ナノ粒子の平均粒子径を求めた。これらの結果を表1〜5に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
表1〜5に示した結果から明らかなように、エチレングリコールまたはジエチレングリコールなどのグリコール中、炭素数8〜22の脂肪酸および炭素数8〜18の脂肪族アミンの共存下で、炭酸銅、水酸化銅、炭酸銀または炭酸ニッケルなどのグリコールに不溶な金属塩を還元せしめることにより、平均粒子径が3.2〜76.8nmの金属ナノ粒子が得られることが確認された(実施例1〜23)。特に、表5に示した結果から明らかなように、金属ナノ粒子として銀−銅複合金属ナノ粒子を形成させることも可能であることが確認された(実施例22)。また、Niナノ粒子を形成させることも可能であった(実施例23)ことから、Niよりも貴な金属(例えば、Sn、Pb、Bi、Cu、Ag、Pd、Pt、Au)のナノ粒子も形成可能であることが確認された。さらに、表1および表3に示した結果から明らかなように、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が多くなるに連れて金属ナノ粒子の平均粒子径が小さくなる傾向にあることがわかった。
【0084】
一方、金属塩としてグリコールに可溶な硫酸銅を用いた場合(比較例1)には、粗大な酸化銅が生成し、銅ナノ粒子を形成させることは困難であった。また、脂肪族アミンを使用しなかった場合(比較例3)にも、粗大な酸化銅が生成し、銅ナノ粒子を形成させることは困難であった。さらに、炭素数が6の脂肪酸および炭素数が6の脂肪族アミンを用いた場合(比較例2)には、銅ナノ粒子の平均粒子径を100nm以下にすることは困難であった。なお、国際公開第2004/012884号公報に記載の方法に従って、アルコール系溶媒を使用せずに、脂肪酸と脂肪族アミンの共存下で炭酸銀を還元させた場合(比較例4)には、平均粒子径が約30nmの銀ナノ粒子が形成されることがわかった。
【0085】
<有機被膜成分の分析>
実施例1〜23および比較例4で得られた微粒子を塩酸に分散させ、遊離した有機被膜成分をエタノールで抽出した後、減圧濃縮した。得られた濃縮物について、顕微赤外線分光装置(ニコレー社製「MAGNA760」)を用いて赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)を測定した。その結果、いずれの濃縮物にも、所定の脂肪酸と所定の脂肪族アミンの塩酸塩が含まれていることが確認された。なお、抽出した有機被膜成分のIRスペクトルの一例として、図12に、実施例1で得られた微粒子から抽出した有機膜成分のIRスペクトルを示す。
【0086】
また、実施例1〜23および比較例4で得られた微粒子について、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ(株)製「Quantera SXM」)を用い、X線源:単色化されたAlKα線、光電子取出角:45°、分析領域:約200μmφ、パスエネルギー:26eV、エネルギーステップ:0.1eV、エネルギー補正:285eV(C1s)の条件でX線光電子スペクトル(XPS)を測定した。その結果、いずれの微粒子においても、N1sスペクトルからアミノ基の存在が、C1sスペクトルからカルボキシル基の存在が検知された。なお、XPSの一例として、図13には、実施例1および実施例5で得られた微粒子のN1sスペクトルを、図14には、実施例1および実施例5で得られた微粒子のC1sスペクトルを示す。
【0087】
以上の結果から、実施例1〜23および比較例4で得られた微粒子は、金属ナノ粒子の表面に所定の脂肪酸と所定の脂肪族アミンを含有する有機被膜が形成されたものであることが確認された。
【0088】
そこで、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が10以下の微粒子については、得られたC1sスペクトルから、結合エネルギー287.96eV(−COOH)に対する286.37eV(−NH)の強度比を求め、これを、有機被膜中の脂肪酸に対する脂肪族アミンのモル比とした。
【0089】
一方、脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が11以上の微粒子については、−C−C−のピーク強度が強く、−C−C−のピークと−NHのピークとを波形分離することが困難であったため、以下の方法により有機被膜中の脂肪酸に対する脂肪族アミンのモル比を求めた。すなわち、得られた微粒子400mgを濃塩酸5mlに投入して24時間撹拌し、有機被膜成分を遊離させた。この塩酸溶液中の脂肪酸をクロロホルム20mlで抽出し、脂肪酸を含むクロロホルム抽出液を得た。また、クロロホルム抽出後の塩酸溶液(金属ナノ粒子と脂肪族アミンを含むもの)に1NのNaOHを滴下してpH11に調整した後、この塩酸溶液中の脂肪族アミンをクロロホルム20mlで抽出し、脂肪族アミンを含むクロロホルム抽出液を得た。その後、得られた脂肪酸を含むクロロホルム抽出液と脂肪族アミンを含むクロロホルム抽出液とを混合し、NaSOを20g添加して脱水処理を施し、さらに、蒸発器を用いて2mlに濃縮した。得られた濃縮液中の脂肪酸をガスクロマトグラフィー(GC)により、脂肪族アミンを高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)により定量して、有機被膜中の脂肪酸に対する脂肪族アミンのモル比を求めた。なお、GC分析およびLC/MS分析は以下の条件で行なった。
【0090】
(GC分析条件)
分析装置:Agilent社製「HP6890」
カラム:HP−INNOWAX(20m×0.18mm×0.18μm)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
キャリアガス:He(1.5ml/min)
注入口温度:260℃
検出器温度:260℃
注入量:1μl。
【0091】
(LC/MS分析条件)
LC分析装置:Agilent社製「1200seriesLC」
カラム:ZIC−HILIC(2.1mm×150mm×5μm)
移動相:水/アセトニトリル=5/95(0.1%蟻酸を含む)
流量:0.2ml/min
注入量:1μl
MS測定装置:Agilent社製「G6410A」
イオン化方法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
極性:正。
【0092】
表6には、実施例1、8、9、13、16、19、20および比較例4で得られた微粒子の有機被膜中の脂肪酸と脂肪族アミンとのモル比を示す。また、図15には、実施例16、実施例19、20および比較例4で得られた微粒子のC1sスペクトルを示す。
【0093】
【表6】

【0094】
表6に示した結果から明らかなように、前記実施例において得られた微粒子は、金属ナノ粒子の表面に脂肪酸1モルに対して0.001〜0.06モルの脂肪族アミンを含有する有機被膜を備える微粒子(本発明の表面被覆金属ナノ粒子)であることが確認された。また、表6に示すように、金属ナノ粒子の金属成分を変更しても、炭化水素基の炭素数を変更しても、あるいは合成時の脂肪酸/脂肪族アミンのモル比を変更しても、有機被膜中の脂肪族アミンの含有量は脂肪酸1モルに対して0.001〜0.2モルの範囲内にあるので、その他の実施例において得られた微粒子においても有機被膜中の脂肪族アミンの含有量は、脂肪酸1モルに対して0.001〜0.2モルの範囲内にあると考えられる。
【0095】
一方、国際公開第2004/012884号公報に記載の方法に従って、アルコール系溶媒を使用せずに、脂肪酸と脂肪族アミンの共存下で金属塩を還元させた場合(比較例4)には、金属ナノ粒子の表面に脂肪酸1モルに対して0.26モルの脂肪族アミンを含有する有機被膜が形成されることがわかった。
【0096】
<電子顕微鏡観察>
得られた微粒子をトルエンに分散させ、この分散液をエラスチックカーボン支持膜(高分子材料膜(15〜20nm厚)+カーボン膜(20〜25nm厚))付きCuマイクログリッド(応研商事(株)製)上に滴下した後、自然乾燥させて観察用試料を作製した。この観察用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子(株)製「JEM−2000EX」)を用いて加速電圧200kVで観察した。
【0097】
その結果、実施例1〜23で得られた微粒子(すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子)は、均一且つXRDピークから求めた金属ナノ粒子の平均粒子径にほぼ一致する粒子径を有する金属ナノ粒子を備えるものであることが確認された。例えば、図16〜17には実施例1〜2で得られた表面被覆金属ナノ粒子のTEM写真を示す。これらの結果から明らかなように、実施例1〜2で得られた表面被覆金属ナノ粒子は、粒子径が約20nmの均一なものであり、表1に示した金属ナノ粒子の平均粒子径にほぼ一致することが確認された。また、図18には実施例5で得られた表面被覆金属ナノ粒子のTEM写真を示す。この結果から明らかなように、実施例5で得られた表面被覆金属ナノ粒子は粒子径が約60nmの均一なものであり、表1に示した金属ナノ粒子の平均粒子径にほぼ一致することが確認された。さらに、図19には実施例13で得られた表面被覆金属ナノ粒子のTEM写真を示す。この結果から明らかなように、実施例13で得られた表面被覆金属ナノ粒子は粒子径が約7nmの均一なものであり、表3に示した金属ナノ粒子の平均粒子径にほぼ一致することが確認された。
【0098】
一方、図20には比較例4で得られた微粒子のTEM写真を示す。この結果から明らかなように、アルコール系溶媒を使用せずに、脂肪酸と脂肪族アミンの共存下で金属塩を還元させることにより得られた微粒子は粒子径が約20〜40nmの不均一なものであることがわかった。
【0099】
<分散性>
実施例1〜23で得られた微粒子(すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子)1mgを親油性溶媒であるトルエン10mlに添加したところ、容易に均一に分散した。一方、比較例1および比較例3で得られた粗大な沈殿物をトルエンに添加したが、均一に分散させることは困難であった。
【0100】
<熱分解特性>
得られた微粒子50mgについて、示差熱・熱重量同時測定装置(TG−DTA、(株)リガク製)を用い、100ml/minのアルゴン流通下、昇温速度20K/minで室温から500℃まで昇温してTG−DTA測定を行なった。
【0101】
その結果、実施例1〜23で得られた微粒子(すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子)においては、室温から350℃まで昇温する間に、有機被膜がほぼ完全(90質量%以上)に熱分解されることがわかった。一方、比較例4で得られた微粒子においては、350℃まで昇温しても有機被膜は十分に熱分解されなかった。例えば、図21〜23には実施例1、実施例5および実施例15で得られた表面被覆金属ナノ粒子のTG−DTA測定結果を、図24〜25には実施例20および比較例4で得られた微粒子のTG測定結果およびDTA測定結果を示す。これらの結果から明らかなように、実施例1、実施例5、実施例15および実施例20で得られた表面被覆金属ナノ粒子においては、250〜300℃において鋭い発熱ピークが見られ、500℃まで昇温する間に減少した重量(有機被膜の質量に相当)の94%以上が350℃まで昇温する間に減少した。これに対して、比較例4で得られた微粒子においては、発熱ピークがブロードとなり、350℃まで昇温する間に減少した重量は、500℃まで昇温する間に減少した重量(有機被膜の質量に相当)の87%であった。
【0102】
<ペーストの塗布性>
実施例1、実施例4〜6および実施例16で得られた微粒子(すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子)100質量部にリシノール酸またはα−テルピネオールを12質量部添加して金属ナノ粒子ペーストを作製した。得られた金属ナノ粒子ペーストを、メタルマスクを用いて直径5mmの領域に厚さ0.15mmで塗布した。塗布領域に対して均一に塗布できたものを「A」、均一に塗布できなかったものを「B」と判定した。その結果を表7に示す。
【0103】
【表7】

【0104】
表7に示した結果から明らかなように、リシノール酸を用いた場合には、有機被膜中の脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が8〜18のいずれの金属ナノ粒子ペーストであっても、良好に塗布できたのに対して、α−テルピネオールを用いた場合には、有機被膜中の脂肪酸および脂肪族アミンの炭素数が8〜10の金属ナノ粒子ペーストについては良好に塗布できるものの、炭素数が12以上になると金属ナノ粒子ペーストを均一に塗布することは困難であった。この理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、α−テルピネオールは親水性であり、親油性が比較的低い炭素数8〜10の炭化水素基を有する脂肪酸および脂肪族アミンで被覆された金属ナノ粒子とは均一に混ざりやすいが、炭素数12以上の親油性の高い炭化水素基を有する脂肪酸および脂肪族アミンで被覆された金属ナノ粒子とは均一に混ざりにくいためと推察される。
【0105】
これに対して、リシノール酸は、炭素数17の親油性の炭化水素基と親水性の官能基(ヒドロキシル基およびカルボキシル基)とを有する脂肪族ヒドロキシ酸であり、親油性が比較的低い炭化水素基を有する脂肪酸および脂肪族アミンで被覆された金属ナノ粒子ならびに親油性の高い炭化水素基を有する脂肪酸および脂肪族アミンで被覆された金属ナノ粒子のいずれとも均一に混ざりやすいためと推察される。
【0106】
<接合強度測定>
実施例1、4〜6、8、9、11〜13、15〜17、19〜21および比較例4で得られた微粒子100質量部にリシノール酸12質量部添加して金属ナノ粒子ペーストを作製した。この金属ナノ粒子ペーストを銅板(22mm×10mm、厚さ3mm)の表面にメタルマスクを用いて直径5mmの領域に厚さ0.15mmで塗布した。このペースト膜の上に銅部材(直径5mm、厚さ2mm)を配置した後、アルゴン雰囲気中、300℃または350℃で、銅部材の上部から5MPaで5分間加圧して銅板と銅部材を接合し、接合強度測定用試験片を作製した。この試験片は、各金属ナノ粒子ペーストおよび各接合温度について、それぞれ3個ずつ作製した。なお、前記銅板および銅部材としては、予め、リン酸250mlと硫酸10mlの混合溶液中で2Vの電圧を5分間印加して電界研磨処理を施して表面酸化膜を除去した後、蒸留水で洗浄したものを用いた。
【0107】
前記試験片の銅部材の側面に、銅板表面と平行な方向の荷重を剪断速度1mm/minで加え、破断時の最大荷重を測定した。この最大荷重を接合面積(直径5mm)で除し、接合強度(せん断強度)を求めた。各金属ナノ粒子ペーストおよび各接合温度について、3個の試験片の接合強度を測定し、その平均値を求めた。その結果を表8〜9に示す。
【0108】
【表8】

【0109】
【表9】

【0110】
表8〜9に示した結果から明らかなように、実施例1、4〜6、8、9、11〜13、15〜17、19〜21で得られた微粒子(すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子)を用いて銅板と銅部材とを接合した場合には、接合強度は、接合温度300℃で11.2〜34.2MPa、接合温度350℃で13.2〜32.5MPaであった。これに対して、比較例4で得られた微粒子を用いた場合には、接合強度は、接合温度300℃で5.4MPa、接合温度350℃で2.5MPaであった。本発明の表面被覆金属ナノ粒子を用いると接合強度が高くなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の表面被覆金属ナノ粒子においては、不活性ガス雰囲気下、350℃以下の温度では熱分解されにくい脂肪族アミンの有機被膜中の含有量が非常に少ないため、接合温度が300℃または350℃であっても有機被膜はほぼ完全に熱分解され、接合部分に金属ナノ粒子以外の成分が残存しにくいのに対して、比較例4で得られた微粒子においては、有機被膜中に脂肪酸1モルに対して0.2モルを超える脂肪族アミンが含まれるため、不活性ガス雰囲気下、300℃または350℃では有機被膜が十分に熱分解されず、接合部分に金属ナノ粒子以外の成分が残存するためと推察される。
【0111】
なお、リシノール酸は、200℃で下記式:
【0112】
【化1】

【0113】
で表されるようにウンデシレン酸(沸点275℃)とヘプタアルデヒド(沸点153℃)に熱分解されるため、上記のように300℃または350℃で接合すると、金属ナノ粒子ペースト中のリシノール酸は熱分解されるとともに、分解生成物も容易に揮発し、接合部分には金属ナノ粒子以外の成分は残存しにくい。このことも、前記金属ナノ粒子ペーストを用いることによって接合強度が高くなる要因の一つであると推察される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上説明したように、本発明によれば、不活性ガス雰囲気中、350℃以下での熱処理により焼結する金属ナノ粒子と、前記熱処理により容易に熱分解される有機被膜とを備える表面被覆金属ナノ粒子を得ることが可能となる。
【0115】
したがって、本発明の表面被覆金属ナノ粒子は、不活性ガス雰囲気中、低温での焼結が可能であり、半導体素子の電極接合や半導体素子を備える微細配線の形成などにおいて低温での接合や配線形成が可能な材料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜100nmの金属ナノ粒子と、該金属ナノ粒子表面に配置された有機被膜とを備え、
前記有機被膜が、炭素数8以上の脂肪酸と炭素数8以上の脂肪族アミンとを含有し且つ前記脂肪酸に対する前記脂肪族アミンのモル比が脂肪族アミン/脂肪酸=0.001/1〜0.2/1であるものであることを特徴とする表面被覆金属ナノ粒子。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子が、Au、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆金属ナノ粒子。
【請求項3】
前記有機被膜が、不活性ガス雰囲気中、350℃以下の温度で90質量%以上熱分解されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆金属ナノ粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の表面被覆金属ナノ粒子と、常温で液体である脂肪族ヒドロキシ酸とを含有することを特徴とする金属ナノ粒子ペースト。
【請求項5】
前記脂肪族ヒドロキシ酸がリシノール酸であることを特徴とする請求項4に記載の金属ナノ粒子ペースト。
【請求項6】
アルコール系溶媒中、炭素数8以上の脂肪酸および炭素数8以上の脂肪族アミンの共存下で、前記アルコール系溶媒に不溶な金属塩を還元せしめることにより、該金属のナノ粒子を形成させ、且つ該金属ナノ粒子の表面に、前記脂肪酸および前記脂肪族アミンを含有する有機被膜を形成させることを特徴とする表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記金属塩が該金属の炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記金属塩がAu、Pt、Pd、Ag、Rh、Cu、Bi、Pb、SnおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩であることを特徴とする請求項6または7に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記アルコール系溶媒中に存在する前記脂肪酸と前記脂肪族アミンのモル比が、脂肪酸/脂肪族アミン=10/90〜90/10であることを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記アルコール系溶媒がポリオールであることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか一項に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記ポリオールがグリコールであることを特徴とする請求項10に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールであることを特徴とする請求項11に記載の表面被覆金属ナノ粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−46779(P2012−46779A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188094(P2010−188094)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】