説明

被圧下における削孔装置

【課題】地下水位の変動を的確に把握してその変動を防止できるものとする。
【解決手段】地下水位以下の地盤に挿入された削孔ロッド10に削孔用の削孔液を送液する送液ポンプ20と、前記削孔液の排泥口12からの排泥を排出する排泥ポンプ21と、 前記排泥ポンプ21の排泥経路に設けた排泥圧力計23及び排泥開閉弁24と、圧力管理制御装置25とを備える。前記圧力管理制御装置25により、(1)排泥圧力計23からの圧力信号が所定圧力範囲未満のとき前記排泥ポンプ21の排泥能力を高める、(2)前記排泥圧力計23からの圧力信号が所定圧力範囲を超えるとき前記排泥ポンプ21の排泥能力を低下させ、所定の圧力範囲内にあるように圧力制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被圧下における削孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被圧下における削孔に際しては、土砂の流出を防止するために、削孔ロッドの口元にプリペンダーを設け、そのプリペンダーの出口に設けたコックを調整し、地下水位の低下や地盤の隆起を防ぐようにしている。
しかし、これでは作業者の勘に頼ることが多く信頼性が必ずしも高くなく、しかも作業者にも負担となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の解決しようとする問題点は、信頼性が高く、しかも作業者に負担をかけない被圧下における削孔装置を提供することにある。
他の課題は、地下水位の変動を的確に把握してその変動を防止できる被圧下における削孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、地下水位以下の地盤に挿入された削孔ロッドに削孔用の削孔液を送液する送液ポンプと、
前記削孔液の排泥口からの排泥を排出する排泥ポンプと、
前記排泥ポンプの排泥経路に設けた排泥圧力計及び排泥開閉弁と、
前記排泥ポンプの起動後に、
前記送液ポンプ及び排泥ポンプの起動後に、
(1)前記排泥圧力計からの圧力信号が所定圧力範囲未満のとき前記排泥ポンプの排泥能力を高める
(2)前記排泥圧力計からの圧力信号が所定圧力範囲を超えるとき前記排泥ポンプの排泥能力を低下させる
制御を行う圧力管理制御装置と、
を備えることを最も主要な特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の被圧下における削孔装置は、排泥圧力計からの圧力信号が所定圧力範囲内にあるように排泥ポンプの能力を増減する運転を行うものであるから、排泥圧力計からの圧力信号により地下水位の変動を的確に反映したものとすることができ、地盤沈下や隆起のほか、過度の地下水位の変動を抑制できるので、周囲に影響を与えることがないものとなる。また、自動化によって作業者の負担が軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明を図面に示す実施の形態に沿ってさらに詳説する。
地下水位以下の地盤Eに挿入された削孔ロッド10に削孔用の削孔液(削孔水または泥水)を送液する送液ポンプ20が連結される。削孔液は貯槽22から送液ポンプ20により送液口11を通して削孔ロッド10の内管内に送液され(たとえば40〜60リットル/ 分の送液量)、先端部から噴出される。
削孔に伴うスライムや排泥は削孔ロッド10の外管内を通って、排泥口12から排出される。排泥口12には排泥ポンプ21が連結され、その排泥ポンプ21の排泥経路に排泥圧力計23及び排泥開閉弁24が設けられている。排泥は貯槽22に返送される。
【0007】
25は圧力管理制御装置であり、これを図2のフローチャートも参照しながら説明すると次のとおりである。
まず、動作概要は次記のとおりである。ここで、図2のフローチャートにおけるpは管理圧力であり、排泥圧力計23からの圧力信号p1に対して、予め実験などの知見に基づき定めた許容範囲のアドバンテージ圧力αを加味して管理するようにする。
すなわち、排泥ポンプ12の起動後に、
(1)排泥圧力計23からの圧力信号p1が所定圧力範囲未満のとき(p1<(p−α)のとき)前記排泥ポンプ21の排泥能力を高める
(2)前記排泥圧力計23からの圧力信号が所定圧力範囲を超えるとき(p1>(p+α)のとき)前記排泥ポンプ21の排泥能力を低下させる。
【0008】
ステップの詳しいフロー例は、送液ポンプ20を起動し(ステップS1。以下「ステップ」をSと略記する。)、予め予想される送液量と削孔ロッドの流路容積などにより計算で求められる送液が排泥口12に達するであろう時間にセットした送液タイマーをONにする(S2)。その後、タイマーがタイムアップ(S3)したならば、排泥開閉弁24を開け(S4)、排泥ポンプ21を起動させる(S5)。
その起動後は、排泥圧力計23からの圧力信号に基づき判断し(S6)、所定圧力範囲未満のとき排泥ポンプ21の排泥能力を高め(S7)、排泥圧力計23からの圧力信号が所定圧力範囲を超えるとき排泥ポンプ21の排泥能力を低下させ(S8)、排泥圧力計23からの圧力信号が所定圧力範囲内のとき((p−α)<p1<(p+α)のとき)排泥ポンプ21を現在の能力のままで運転する。
そして、送液ポンプ20が停止(S8)したならば、排泥開閉弁24を閉じ(S10)かつ排泥ポンプ21を停止する(S11)。
ここで、排泥ポンプ21としては、泥水シールド等で切削残土を移送するために汎用されている渦巻きポンプなどを使用できる。
そして、排泥ポンプ21にはインバーターなどを付設し、その排泥能力を増大及び低減が可能なものであれば制限されない。
以上によって、地下水位の変動を防止しながら、削孔が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明装置例の概要図である。
【図2】制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0010】
E…地盤、10…削孔ロッド、11…送液口、12…排泥口、20…送液ポンプ、21…排泥ポンプ、23…排泥圧力計、24…排泥開閉弁、25…圧力管理制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水位以下の地盤に挿入された削孔ロッドに削孔用の削孔液を送液する送液ポンプと、
前記削孔液の排泥口からの排泥を排出する排泥ポンプと、
前記排泥ポンプの排泥経路に設けた排泥圧力計及び排泥開閉弁と、
前記送液ポンプ及び排泥ポンプの起動後に、
(1)前記排泥圧力計からの圧力信号が所定圧力範囲未満のとき前記排泥ポンプの排泥能力を高める
(2)前記排泥圧力計からの圧力信号が所定圧力範囲を超えるとき前記排泥ポンプの排泥能力を低下させる
制御を行う圧力管理制御装置と、
を備えることを特徴とする被圧下における削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−95404(P2008−95404A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279255(P2006−279255)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】