説明

被管理物品、ゲームシステム、端末装置、およびそのプログラム

【課題】商品やその包装のデザイン的な美しさを損なうことなく、その表面に情報を記すこと。
【解決手段】自身または自身を覆う包装材の表面に、自身の管理情報を表すコード列が不可視ウォーターマークとして記されているとを特徴とする被管理物品。このような構成によると、下地の部分はそのまま肉眼により認識されるが、それに重ね合わされる不可視ウォーターマーク自体は肉眼により認識されない。このため、商品そのものの名称、写真、品質保証表示などが記された部分にJANコードの不可視ウォーターマークが重ね合わせされていてもその部分が見づらくなることはなく、また、商品等の表面のデザイン的な美しさが損なわれることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被管理物品、ゲームシステム、端末装置、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品の包装などに記されているコードを光学式デバイスにより読み込み、読み込んだコードを各種データ処理に用いることが広く行われている。例えば、特許文献1には、商品に固有のJANコードを光学的に読み取り、そのJANコードと商品データベースの記録内容との照合を通じてマーケティング分析を行うシステムの開示がある。
【0003】
また、特許文献2には、児童に行わせる問題の配布とその回答の回収および評価を、問題および回答を所定のコード体系に従って管理することにより効率化したシステムの開示がある。
【特許文献1】特開平09−212745号公報
【特許文献2】特開平06−051688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムの場合、各商品またはその包装の一部をコードを記す領域として確保しなければならず、その領域には、商品の名称やその説明などのほかの情報を記すことができないという問題がある。また、JANコードなどの管理コードが商品やその包装の一部に記されていると、そのデザイン的な美しさも損なわれてしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に開示されたシステムの場合、問題を児童に提示してその回答を回収する処理を自動化したに過ぎず、児童の興味をより引き付けるような学習の機会を与えるものではない。
【0006】
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、その目的は、商品やその包装のデザイン的な美しさを損なうことなく、その表面に管理コードを記すことができるような仕組みを提供することにある。
【0007】
また、本発明の別の目的は、児童等の興味をより引きつけるような学習の機会やゲームを与える仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好適な態様である被管理物品は、自身または自身を覆う包装材の表面に、自身に関する情報が不可視ウォーターマークとして記されていることを特徴とする。
【0009】
この態様において、前記情報が自身の管理情報を表すコード列とされ、複数の上記コード列の前記不可視ウォーターマークが、前記表面に連なって記されていてもよい。
【0010】
また、前記コード列は、前記管理情報を、JAN(Japanese Article Number)コードのコード体系に従って表したコード列であってもよい。
【0011】
本発明の別の好適な態様であるゲームシステムは、不可視ウォーターマークが記されたシートを家屋等の不動産または自動車等の動産に貼付し、その不可視ウォーターマークを解読することで所定のゲームを成り立たせることを特徴とする。
【0012】
本発明の好適な態様である端末装置は、被写体を撮像してその画像データを取得する撮像手段と、上記取得された画像データを解析し、その画像データに不可視ウォーターマークが含まれているか否か判断する解析手段と、上記画像データに不可視ウォーターマークが含まれていると上記解析手段が判断したとき、その不可視ウォーターマークから得た文字列、または不可視ウォーターマークが含まれていること示すメッセージを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の別の好適な態様であるプログラムは、被写体を撮像してその画像データを取得する撮像手段および情報を表示する表示手段を有するコンピュータ装置の制御部に、上記取得された画像データを解析し、その画像データに不可視ウォーターマークが含まれているか否か判断する解析機能と、上記画像データに不可視ウォーターマークが含まれていると上記解析機能によって判断されたとき、その不可視ウォーターマークから得た文字列、または不可視ウォーターマークが含まれていることを示すメッセージを上記表示手段に表示させる表示制御機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、商品やその包装のデザイン的な美しさを損なうことなく、その表面に管理コードを記すことができる。
【0015】
また、本発明によると、児童等の興味をより引きつけるような学習の機会を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態の特徴は、店舗に陳列される各商品またはそれらの包装(以下、これらを纏めて単に「商品等」と呼ぶ)に、JAN(Japanese Article Number)の物流認識コード体系に準拠した商品ごとのコード(以下、このコードを単に「JANコード」と呼ぶ)を、不可視ウォーターマークとして記した点にある。なお、商品等は、請求項の「被管理物品」に相当する。
【0018】
なお、ウォーターマーク(Water Mark)は、電子透かしと呼ばれるもので、不可視ウォーターマークは、肉眼では認識し得ないが、特定の検出器を通すとその内容が判断(認識)できるものである。
【0019】
図1は、本実施形態にかかるPOS(Point Of Sales system)システムのハードウェア構成を示すブロック図である。このシステムは、各種商品を陳列した店舗に導入される。図1に示すように、このシステムは、複数のバーコードリーダ(「端末装置」の一部に相当)10、複数のPOS端末装置(「端末装置」の一部に相当)20、およびPOS管理サーバ装置40を備える。説明の便宜上、図1には、バーコードリーダ10とPOS端末装置20をそれぞれひとつずつ記している。バーコードリーダ10とPOS端末装置20は、店舗の商品購入カウンターにそれぞれ一対ずつ備え付けられる。一方、POS管理サーバ装置40は、店舗のバックヤードに一台備え付けられる。
【0020】
バーコードリーダ10は、スキャナ11(「撮像手段」に相当)、RS232Cインターフェース12、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、およびCPU(Central Processing Unit)15を備える。スキャナ11は、レーザダイオード、集光器、受光素子などを内蔵する。このスキャナ11は、レーザダイオードから読取対象である商品に向けて光を照射し、その反射光を受光素子により光電変換することによって画像データを取得する。つまり、商品等を撮像してその表面の画像データを取得する。このバーコードリーダ10は、商品等に記される不可視ウォーターマークを読み取ることが可能な機器である。
【0021】
ROM13には、スキャナ11を制御するためのスキャナ制御プログラム16が記憶される。RAM14は、CPU15にワークエリアを提供するとともに、スキャナ11により取得された画像データを記憶する。CPU15は、RAM14をワークエリアとして利用しつつROM13のプログラムを実行することにより、装置全体を制御する。RS232Cインターフェース12は、POS端末装置20のRS232Cインターフェース21(後述)とケーブルを介して接続されている。そして、画像データがRAM14に記憶されると、CPU15は、その画像データをRAM14から読み出し、RS232Cインターフェース12からPOS端末装置20へ伝送する。
【0022】
POS端末装置20は、バーコードリーダ10の読み込み内容を基に商品の購入代金を集計し、集計した購入代金の出納を行う。このPOS端末装置20は、RS232Cインターフェース21、ROM22、RAM23、CPU24(「解析手段」に相当)、タッチキー25、液晶ディスプレイ26(「表示手段」に相当)、レシートプリンタ27、ドロワ28、I/O(input/output)ポート29を備える。
【0023】
ROM22には、画像データを解析して不可視ウォーターマークを抽出するための解析プログラム30や、液晶ディスプレイ26、レシートプリンタ27、ドロワ28などの動作を制御するデバイス制御プログラム31が記憶される。また、ROM22には、各種商品のJANコードとそれらの管理情報とを対応付けたデータベース32が記憶される。商品の管理情報は、商品の名称や小売価格などの情報を含む。RAM23は、CPU24にワークエリアを提供するとともに、RS232Cインターフェース21から入力される画像データを記憶する。CPU24は、RAM23をワークエリアとして利用しつつROM22のプログラムを実行することにより、装置全体を制御する。
【0024】
タッチキー25は、テンキーや締めキーなどの各種キーを含む。液晶ディスプレイ26は、購入代金の清算時に小計額や釣銭などを表示する。レシートプリンタ27は、購入された商品の、商品名・商品単価・合計金額などが記されたレシートを発行する。ドロワ28は、紙幣、貨幣などを収納し、金銭授受の際に開放される。
【0025】
商品購入カウンターのオペレータがバーコードリーダ10に商品等をスキャンさせ、そのスキャンにより得られた画像データがバーコードリーダ10からPOS端末装置20に伝送されてRAM23に記憶されると、CPU24は、画像データから不可視ウォーターマークを抽出する。また、抽出した不可視ウォーターマークが示すJANコードと対応する管理情報をROM22のデータベース32から取得してRAM23に記憶する。さらに、その管理情報に含まれる小売価格をRAM23の別領域の小計額に加算する。以上の動作は、オペレータがバーコードリーダ10に商品等をスキャンさせるたびに繰り返される。
【0026】
オペレータが締めキーをタッチすると、小計額が液晶ディスプレイ26に表示される。そして、オペレータが代金を顧客から受領し、テンキーによりその金額を入力すると、CPU24によりドロワ28が開放され、代金および釣銭の出納が行われる。そして、CPU24は、小計額などが記されたレシートをレシートプリンタ27から発行する。さらに、CPU24は、RAM23に記憶した一連の管理情報をI/O(input/output)ポート29からPOS管理サーバ装置40へ伝送する。
【0027】
ここで、商品等に記されるJANコードについて詳述しておく。このJANコードは、商品等の表面の全面に渡り、不可視ウォーターマークとして繰り返し記されている。不可視ウォーターマークは、JANコードの連なりをその背景となる下地(本実施形態の場合、商品等の表面)の全面に渡って重ね合わせた画像を、ステノグラフィック符号化アルゴリズムに従って変換することにより形成される。
【0028】
このステガノグラフィック符号化アルゴリズムに従って変換した画像を商品等の表面に記した場合、下地の部分はそのまま肉眼により認識されるが、それに重ね合わされる不可視ウォーターマーク自体は肉眼により認識されない。このため、商品そのものの名称、写真、品質保証表示などが記された部分にJANコードの不可視ウォーターマークが重ね合わされていてもその部分が見づらくなることはなく、また、商品等の表面のデザイン的な美しさが損なわれることもない。
【0029】
また、商品等の全面に渡ってJANコードの不可視ウォーターマークが重ね合わされているので、商品等に対してどの方向からバーコードリーダ10をあててスキャンさせてもJANコードの不可視ウォーターマークを抽出できる。
【0030】
POS管理サーバ装置40は、ROM41、RAM42、CPU43、I/Oポート44、ハードディスク45を備える。ROM41には、各POS端末装置20から伝送される管理情報を基に売り上げ状況を集計する集計プログラム46が記憶される。RAM42は、CPU43にワークエリアを提供する。CPU43は、RAM42をワークエリアとして利用しつつROM41のプログラムを実行することにより、装置全体を制御する。ハードディスク45には、各POS端末装置20から伝送されてくる管理情報がそれらを基に集計された売り上げ状況とともに逐次記憶されていく。
【0031】
以上説明した本実施形態では、店舗における被管理物品である商品等に、JANコードが、人間の肉眼により認識し得ない不可視ウォーターマークとして記されている。よって、商品等の表面のデザイン的な美しさを損なうことなく、各商品の管理情報の特定に不可欠な情報であるJANコードをそれらの商品等の表面に埋め込むことができる。また、この不可視ウォーターマークは、商品等の表面の全面に渡って繰り返し記されている。よって、オペレータは、従来のようにバーコードの印刷位置を探すことなく、商品等の表面の任意の部分にバーコードリーダ10を当てるだけでそのJANコードを認識させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図2は、本実施形態にかかる携帯電話端末50(請求項の「端末装置」に相当)のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、この携帯電話端末50は、液晶ディスプレイ51(請求項の「表示手段」に相当)、入力キー52、無線通信ユニット53、カメラ54(請求項の「撮像手段」に相当)、I/Oポート55、CPU56(請求項の「制御部」、「解析手段」に相当)、RAM57、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)58を有する。
【0034】
液晶ディスプレイ51は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶デバイスを含む。入力キー52は、テンキーやカーソルキーなどの各種キーを有する。無線通信ユニット53は、切換スイッチ、PLL(Phase Locked Loop)、変復調回路、チャネルリンク制御回路などを有し、CDMA(Code Division Multiple Access)の通信プロトコルに従い、基地局との間で無線信号を遣り取りする。
【0035】
カメラ54は、レンズとイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いた光電変換センサである。このイメージセンサは、レンズに集光された光の受光光量を光電変換することより、被写体の画像データを取得する。
【0036】
CPU56は、RAM57をワークエリアとして利用しつつ、EEPROM58の各プログラムを実行する。EEPROM58は、通信制御プログラム59、表示制御プログラム60、カメラ制御プログラム61、解析プログラム62を記憶する。
【0037】
通信制御プログラム59は、移動パケット通信網またはインターネット上のノードに宛てたパケットを無線通信ユニット53から無線信号として発信させるとともに、無線通信ユニット53が受信した無線信号から自端末宛てのパケットを復元するためのプログラムである。表示制御プログラム60は、液晶ディスプレイ51を制御するためのプログラムである。カメラ制御プログラム61は、カメラ54による被写体の撮像、およびその撮像により得た画像データのRAM57への書き込みを制御するためのプログラムである。
【0038】
解析プログラム62は、RAM57に書き込まれた画像データから不可視ウォーターマークを抽出するためのプログラムである。CPU56は、カメラ54が被写体を撮像して得た画像データがRAM57に記憶されると、記憶された画像データを解析することにより、不可視ウォーターマークがその画像データに含まれているか否か判断する。そして、不可視ウォーターマークが含まれていると判断すると、そのことを示すメッセージを液晶ディスプレイ51に表示させる。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な動作を説明する。図3は、本実施形態の特徴的な動作を示すフローチャートである。図3に示す動作は、携帯電話端末50を児童の課外授業の支援ツールとして利用する際に実行される。この課外授業においては、所定の情報を不可視ウォーターマークとして記したシートを、授業の会場(例えば、校庭や体育館)内に複数貼付しておく。この不可視ウォーターマークは、第1実施形態と同様に、所定の情報をシートに重ね合わせた画像を、ステノグラフィック符号化アルゴリズムに従って変換することにより形成される。また、シート自体は、一見してそれが張られていると認識し得ないように、貼付する壁などと同じ色のものとすることが望ましい。そして、携帯電話端末50を携帯させた各児童に、各々の携帯電話端末50を頼りにシートの貼付された位置を探索させる。
【0040】
携帯電話端末50を携帯して会場内を徘徊する児童は、不可視ウォーターマークを記したシートが貼付されているとあたりをつけた場所に向けて、自らの携帯電話端末50を近づけ、カメラ54のシャッターキーを押下する。CPU56は、シャッターキーが押下されると(S100)、カメラ54に被写体を撮像させる(S110)。すると、その撮像の結果として得られた画像データがRAM57に記憶される。
【0041】
画像データがRAM57に記憶されると、CPU56は、その画像データを解析することにより、不可視ウォーターマークが含まれているか否か判断する(S120)。ステップS120にて不可視ウォーターマークが含まれていないと判断したCPU56は、ステップS100に戻り、シャッターキーが再び押下されるのを待つ。一方、ステップS120にて不可視ウォーターマークが含まれていると判断したCPU56は、不可視ウォーターマークが含まれていることを示すメッセージを液晶ディスプレイ51に表示させた後(S130)、ステップS100に戻る。
【0042】
以上説明した本実施形態では、課外授業の会場内の任意の場所を携帯電話端末50により撮像すると、その撮像により得られた画像データが解析され、不可視ウォーターマークが含まれているかが判断される。そして、不可視ウォーターマークが含まれていると判断されると、その旨のメッセージが液晶ディスプレイ51に表示される。よって、課外学習に参加する児童に対し、その興味をより引きつけるような学習の機会を与えることができる。
【0043】
(他の実施形態)
本発明は、種々の変形実施が可能である。
【0044】
上記第1実施形態は、本発明を、陳列された商品と商品購入カウンターとを備えた店舗に導入したものである。これに対し、飲食店などの各種サービスの提供を執り行う店舗に本発明を導入してもよい。例えば、ファミリーレストランの代金支払いカウンターでは、提供する各料理の写真とそれらの各々の管理情報を特定するためのコードとを記したメニューを備え付けておくのが一般的である。そして、代金支払い時には、顧客が飲食した料理のコードをバーコードリーダにより順次読み込ませることにより、代金の小計額を算出するようになっている。これに対し、本発明を導入した場合、各商品の写真そのものと重なるようにそれらの各商品のコードを不可視ウォーターマークとして記したメニューを代わりに準備することになる。このようにすれば、メニュー上にコードを記すためのスペースを確保する必要がなくなり、商品の写真を載せるスペースをより広く確保することができる。
【0045】
上記第1実施形態では、POS端末装置20のCPU24が商品等の画像データから不可視ウォーターマークを抽出すると、その不可視ウォーターマークが示すJANコードと対応する管理情報がROM22のデータベース32から取得され、その管理情報に含まれる小売価格の小計額が、液晶ディスプレイ26に表示されるようになっている。これに対し、抽出した不可視ウォーターマークが示すJANコードそのものを液晶ディスプレイ26に併せて表示させてもよい。また、抽出したJANコードと対応する管理情報やその管理情報に含まれる小売価格を液晶ディスプレイ26に表示させてもよい。また、UPC(Universal Product Code)コード、EAN(Europian Article Number)コード、GTIN(Global Trade Item Number)コード、ITF(Interleaved Two of Five)コード、標準物流コード(JIS-X-0502)、CODE39、NW−7コード、CODE128、EAN−128コード、などの他のコードを不可視ウォーターマークとして商品等に貼付してもよい。また、商品コードのほかに、取引相手先コード、GLN(Global Location Number)コード、企業情報、商品情報、生産者情報、商品流通情報などの情報を不可視ウォーターマークとして記してもよい。
【0046】
上記第2実施形態では、撮像により得られた画像データに不可視ウォーターマークが含まれていると携帯電話端末50が判断すると、その旨を示すメッセージが液晶ディスプレイ51に表示されるようになっている。これに対し、「おめでとう。宝が1つ見つかりました。」などの文字列を不可視ウォーターマークとしてシートに記しておき、そのシートが携帯電話端末50によって撮像されると、その画像データから抽出した不可視ウォーターマークが示す文字列そのものが液晶ディスプレイ51に表示されるようにしてもよい。また、シートではなく、第1実施形態のような特定の商品等に不可視ウォーターマークを貼付してもよい。また、不可視ウォーターマークの内容が問題として児童に提供され、その問題に対する正しい解答が入力キー52を介して入力されないと次のステージに進めないようなゲームを提供してもよい。このゲームにおいては、不可視ウォーターマークをいくつ探すことができて、その不可視ウォーターマークから得た問題に対して何問正解できたかの集計結果を競うようにするとなおよい。また、このようなゲームは、児童を対象とする必要はなく、地図を携帯して目的物を探し回るオリエンテーリングなどの大人向けのゲームにも適用できる。
【0047】
第1実施形態では、JANコードが不可視ウォーターマークとして商品等に記されていたが、この不可視ウォーターマークは商品等の金属の部分に記されていてもよい。金属への不可視ウォーターマークの記録は、UV(ultra violet ray)印刷やレーザーマーキングなどを用いて行うことができる。UV印刷は、紫外線を照射すると硬化乾燥する性質を持つUVインクを用いる記録手法である。レーザーマーキングは、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザやCO2レーザを金属に照射してその表面を削る記録手法である。発明者らによると、UV印刷により金属に記録された不可視ウォーターマークよりも、レーザーマーキングにより金属に記録された不可視ウォーターマークのほうが、携帯電話のカメラによる読み取りの感度が良好であることが確認されている。また、QRコードなどのチェックディジットがあるマークは汚れ等に極めて弱いが(汚れると読み取れない)、不可視ウォーターマークは汚れ等に極めて強いことが確認されている。また、不可視ウォーターマークを記録する金属は、その表面に照射された光を反射するものであってもよい。表面を鏡面仕上げにした金属は、光を反射してしまうため、その表面に記したQRコード等は読み取れないことが多いが、そのような鏡面仕上げの金属の表面に不可視ウォーターマークを記録した場合、携帯電話のカメラによる読み取りの感度は依然として良好であることが発明者らによって確認されている。
【0048】
商品が、プレス加工機による金型成形などの工程を経て製造される場合は、不可視ウォーターマークの刻み込まれた型をプレス加工機に搭載して金属をプレス加工などすることにより、商品の成形とその表面への不可視ウォーターマークの記録とを同時に行うようにしてもよい。また、記録の対象が金属ではなく樹脂材である場合、不可視ウォーターマークが形成された金型内に樹脂材を注入することにより、商品の成形と不可視ウォーターマークの記録とを同時に行うことができる。金属材を対象としてプレス加工を行う場合、プレス加工機は、2つの型の間に金属板を挟みこみ、両方の型を近づける方向に圧力を加えることによって、金属の外縁を所望の形状に加工する。よって、それらの型の一方又は両方の面に不可視ウォーターマークを刻み込んでおけば、圧力を加えられる際にその不可視ウォーターマークが金属板の表面の凹凸として転写されることになる。この変形例にかかる被管理物品の製造方法を概念的に示すと、「情報を示す不可視ウォーターマークの刻み込まれた型内に金属材または樹脂材を入れ、圧力を加えまたは冷却固化させることにより、その型の内部形状に応じた形状を有し且つ表面に上記情報を示す不可視ウォーターマークが記された物品を取得する工程、を有することを特徴とする被管理物品製造方法。」となる。発明者らによると、金型成形に用いる金型にその金型に関する管理情報を示す不可視ウォーターマークを記した場合も、携帯電話のカメラによる読み取りの感度は依然として良好であることが確認されている。発明者らは、金型に関する管理情報の不可視ウォーターマークを金型そのものの表面に写真印刷したものと、その不可視ウォーターマークを記録した透明フィルムを金型の表面に貼付したものの両者について、携帯電話のカメラによる読み取りを試みた。そして、いずれの場合も読み取りの感度は極めて良好であることを確認した。
【0049】
商品、または、その包装の表面に、シンボルマークを記し、そのシンボルマークの上に管理番号などの情報を不可視ウォーターマークとして記してもよい。例えば、ビールなどの酒類の商品の包装の表面に、未成年者による飲酒の防止を促すような内容のシンボルマークを記し、その上にJANコードなどの不可視ウォーターマークを記してもよい。この変形例の内容を概念的に示すと、「自身または自身を覆う包装材の表面に、上記表面の色と異なる色のマークが記され、自身に関する情報が不可視ウォーターマークとして上記マークの上に記されていることを特徴とする被管理物品」となる。また、このシンボルマークの上に記される不可視ウォーターマークは、商品そのものに関する情報を示すものである必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるPOSシステムのハードウェア構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる携帯電話端末のハードウェア構成図である。
【図3】第2実施形態の特徴的な動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10…バーコードリーダ、11…スキャナ(撮像手段に相当)、12,21…RS232Cインターフェース、12,22,41…ROM、14,23,42,57…RAM、15,24,43,56…CPU(解析手段に相当)、16…スキャナ制御プログラム、20…POS端末装置、25…タッチキー、26…液晶ディスプレイ(表示手段に相当)、27…レシートプリンタ、28…ドロワ、29,44,55…I/Oポート、30…解析プログラム、31…デバイス制御プログラム、32…データベース、40…POS管理サーバ装置、45…ハードディスク、46…集計プログラム、50…携帯電話端末(端末装置に相当)、52…入力キー、53…無線通信ユニット、54…カメラ、59…通信制御プログラム、60…表示制御プログラム、61…カメラ制御プログラム、62…解析プログラム、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身または自身を覆う包装材の表面に、自身に関する情報が不可視ウォーターマークとして記されている、
ことを特徴とする被管理物品。
【請求項2】
前記情報が自身の管理情報を表すコード列とされ、複数の上記コード列の前記不可視ウォーターマークが、前記表面に連なって記されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の被管理物品。
【請求項3】
前記コード列は、
前記管理情報を、
JAN(Japanese Article Number)コードのコード体系に従って表したコード列である、
ことを特徴とする請求項2に記載の被管理物品。
【請求項4】
不可視ウォーターマークが記されたシートを家屋等の不動産または自動車等の動産に貼付し、その不可視ウォーターマークを解読することで所定のゲームを成り立たせる、
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項5】
被写体を撮像してその画像データを取得する撮像手段と、
上記取得された画像データを解析し、その画像データに不可視ウォーターマークが含まれているか否か判断する解析手段と、
上記画像データに不可視ウォーターマークが含まれていると上記解析手段が判断したとき、その不可視ウォーターマークから得た文字列、または不可視ウォーターマークが含まれていること示すメッセージを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項6】
被写体を撮像してその画像データを取得する撮像手段および情報を表示する表示手段を有するコンピュータ装置の制御部に、
上記取得された画像データを解析し、その画像データに不可視ウォーターマークが含まれているか否か判断する解析機能と、
上記画像データに不可視ウォーターマークが含まれていると上記解析機能によって判断されたとき、その不可視ウォーターマークから得た文字列、または不可視ウォーターマークが含まれていることを示すメッセージを上記表示手段に表示させる表示制御機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−159014(P2008−159014A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43826(P2007−43826)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(506118836)デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】