説明

被覆バインダー構成単位の製造方法

バインダーの芯を被覆材料の層で被覆してなる被覆バインダー構成単位の製造法が開示される。この方法は(a)バインダー及び被覆材料を同時に押出してバインダーを被覆材料で被覆した押出物を製造する工程、及び(b)任意に押出物を被覆バインダー構成単位に造形する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆バインダー構成単位の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ビチューメンは炭化水素及びその誘導体を必須成分とする粘稠液体又は固体である。ビチューメンはトリクロロエチレンに可溶で、加熱すると徐々に軟化する。ビチューメンは種々の用途にバインダーとして使用される。ビチューメンを骨材と組合わせれば、道路の作製に使用可能なアスファルトが得られる。或いはビチューメンは、屋根葺き、床張り又は目止めのような工業的用途に使用できる。
【0003】
近年、合成バインダーも使用されている。シェルのMexphalte C(R)のような合成バインダーは、道路用に通常使用されているビチューメン(bituminous)バインダーに類似する流動学的及び機械的特性を有する。合成バインダーは通常、透明なので、容易に着色されて、着色アスファルト混合物を得るのに使用される。本明細書では用語“バインダー”は、類似の流動学的及び機械的特性を有するビチューメン材料及び合成材料の両者を包含する。本明細書では用語“アスファルト”は、バインダーと骨材との混合物を説明するのに使用される。
【0004】
ビチューメンバインダー及び合成バインダーは、十分確実に流体で使用するため、加熱状態で輸送される。しかし、これはエネルギーの使用法の点で高価となる上、厳密な安全手順を必要とする。またバインダーを長期間に亘って高温で貯蔵すると、バインダーの特性に変化が起こる可能性があり、したがって、バインダーの劣化を防止するため、貯蔵時間は通常、限られている。
【0005】
バインダーは、周囲温度で、好ましくは取扱いが容易な大きさ及び形状を有する構成単位として、輸送し貯蔵することが望ましい。本明細書で使用する用語“構成単位”とは、ペレット、ロッド、シート等の広範な種々の別個の固形物を包含する。しかし、バインダーは非常に粘着し易いので、特に長期間、周囲温度で貯蔵すると、構成単位は変形し(creep)凝集する。凝集を受けないバインダー構成単位を製造するため、多くの努力が払われている。
【0006】
米国特許第3,026,568号には溶融ビチューメンを石灰石粉末のような粉末材料を担持した空気流に噴射して、被覆ビチューメンペレットを製造する方法が記載されている。被覆の目的は、ペレットが互いに付着するのを防止するためである。この方法を工業的規模で実施するのは困難であることが証明されている。
【0007】
米国特許第5,254,385号には、重合体被覆内にビチューメンを含有するカプセル化アスファルト(ビチューメン)物品が記載されている。3面容器又は小袋を形成するため、重合体材料はヒートシールされ、容器の残りの開放面はヒートシールにより閉鎖される。カプセル化により、別々のビチューメン素子が凝集、付着又は粗大化して大きなビチューメン塊を形成するのが防止される。カプセル化方法は、遅くなり易く、また大規模に行うには恐らく非常に高価になる。
【0008】
EP 1361256には油をポリエチレンと混合し、ビチューメン材料を添加し、次いで得られた混合物を混合押出して粒状体を製造する方法が記載されている。得られた粒状体は、半連続相のポリエチレン相と不連続相のビチューメン相との混合物として説明できる。粒体の変形を防止するには、粒体中に高割合の重合体が必要であり、これによりビチューメンの特性が変化して損なわれる可能性がある、及び/又は不経済になりそうなほど、粒体の価格が上がる可能性がある。
【0009】
US 2008/0015288にはビチューメン及び重合体を含むマスターバッチ粒体の押出製造法が記載されている。粒体の粘着を防止するため、例えば押出機に直接、粘着防止剤を加えて、粒体に粘着防止剤を含有させてもよいし、或いは押出物が押出機を出て冷却する際、押出物の表面に粘着防止剤を塗布してもよい。前述と同様、粒体の変形を防止するには、粒体中に高割合の重合体が必要であり、これによりビチューメンの特性が変化して損なわれる可能性がある、及び/又は不経済になりそうなほど、粒体の価格が上がる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、周囲温度で輸送でき、しかも変形及び凝集を受けないバインダー構成単位を製造する代替方法を提供するため探求した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
したがって、本発明は、
(a)ビチューメンバインダー、又は樹脂、油及び任意に重合体を含有する合成バインダーと、被覆材料とを同時に押出して、該バインダーを被覆材料の層で被覆した押出物を生成する工程、及び
(b)任意に該押出物を被覆バインダー構成単位に造形する工程、
を含む、バインダーの芯を被覆材料の層で被覆してなる被覆バインダー構成単位の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明者らは、凝集を受けず、しかも室温で長期間に亘って輸送及び貯蔵可能な被覆バインダー構成単位の製造に使用できる同時押出法を開発した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明方法に使用できる装置を示す概略図である。
【図2】本発明方法に使用できる他の装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
被覆バインダー構成単位は、バインダーの芯を被覆材料の層で被覆して構成される。本発明の一実施態様では構成単位は、バインダーの中央芯と、被覆材料の外側層とを有するペレットである。本発明の第二の実施態様では構成単位は、ロッドの長さの一部又は全部に亘るバインダーの中央芯と、被覆材料の外側層とを有するロッドである。本発明の第三の実施態様では構成単位は、被覆材料の外側層間にバインダーの中央芯が配置されたシートである。被覆バインダー構成単位の正確な形状は変化できるが、取扱い及び輸送が容易であるような形状及び大きさであることが望ましい。ペレットは、通常、粒状材料の貯蔵、流れ及び取扱いと関連した利点を有する。
【0015】
バインダーは、ビチューメンバインダー、又はビチューメンバインダーに類似の流動学的及び機械的特性を有する合成バインダーである。バインダーの25℃での針入度(EN 1426に従って測定)は、好ましくは0〜350、更に好ましくは10〜250である。バインダーの軟化点(EN 1427に従って測定)は、好ましくは30〜140℃、更に好ましくは35〜95℃である。
【0016】
バインダーはビチューメンバインダーが好ましい。好適なビチューメンバインダーとしては、原油の蒸留で得られる残油、分解残油、天然産ビチューメン、又は各種ビチューメンのブレンドが含まれる。本発明で都合良く使用できるビチューメンバインダーの例としては、蒸留又は“直留”ビチューメン、沈殿ビチューメン、例えばプロパンビチューメン、酸化又はブローン(blown)ビチューメン、ナフテン性ビチューメン、又はそれらの混合物が含まれる。ビチューメンバインダーは、ビチューメンを融剤(flux)油、例えば芳香族、ナフテン性又はパラフィン性融剤油、又は植物油とブレンドして製造できる。ビチューメンバインダーは、該バインダーが重合体変性ビチューメンとなるような重合体も含有してよい。好適な重合体としては、熱可塑性エラストマー及びプラストマー、例えばスチレン系ブロック共重合体及び/又はエチレン−酢酸ビニルのようなオレフィン共重合体が含まれる。重合体は石油又は再生可能源(origin)から、或いはリサイクルタイヤから回収したゴムから得られる。バインダーは、重合体を、バインダーの重量に対し、好ましくは10重量%以下含有する。
【0017】
代りの実施態様では、バインダーは合成バインダーである。合成バインダーは、樹脂、油及び任意に重合体を含有する。樹脂はロジンエステルのような植物源の樹脂であってよい。或いは樹脂は石油樹脂又はクマロン−インデン樹脂であってよい。樹脂は、EP 179510に記載されるように、カルボン酸、カルボン酸無水物又はヒドロキシル基を含有するよう変性されていてよい。油は植物油又は鉱物潤滑油抽出物、例えばブライトストック抽出物であってよい。
【0018】
バインダーは充填材を含有してよい。充填材は、粒度が75μm未満であるいかなる鉱物材料であってもよい。バインダーは、充填剤をバインダーの重量に対し、20重量%以下含有してよい。
バインダーは、硫黄をバインダーの重量に対し0.01〜80重量%、更に好ましくは0.01〜50重量%の量、含有してよい。
【0019】
被覆材料は、被覆バインダー構成単位を周囲温度で貯蔵した際、この構成単位の凝集を防止する材料である。被覆材料は、被覆バインダー構成単位の美的外観を改良できる(例えば着色できる)、情報を提供できる(例えば本文(text)又は画像を印刷できる)、及び/又はバインダーの結合機能を改良できる。
【0020】
被覆材材料は好ましくは重合体、25℃での針入度が5dmm未満のビチューメン、硫黄、これら材料と充填材料とのブレンド、及びこれら材料の2種以上のブレンドである。更に好ましくは重合体又は重合体を50重量%以上含むブレンドである。重合体は、再生源(origin)であってよく、及び/又は生分解性であってよい。一実施態様では被覆材料はポリエチレン又はポリスチレンのようなポリオレフィンであるか、或いはポリオレフィンを50重量%以上含むブレンドである。好ましくは被覆材料は、ポリエチレン、又はポリオレエチレンを50重量%以上含むブレンドである。他の一実施態様では被覆材料は、熱可塑性のエラストマー又はプラストマー、或いは熱可塑性エラストマー又はプラストマーを50重量%以上含むブレンドである。この実施態様では被覆材料は、(構成単位の凝集を防止するための)被服材料として、及びバインダー配合物の一成分として使用され、バインダーから作られる製品の特性を改良する。熱可塑性エラストマー又はプラストマーは、スチレン系ブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなオレフィン性重合体、ポリウレタン又はポリエーテル−ポリエステル共重合体であってよい。
【0021】
被覆材料は被覆バインダー構成単位から作られるアスファルトの特性を強化する添加剤を含有してよい。
被覆材料の融点は、バインダーからの放出物を防止するため、好ましくは200℃未満である。
【0022】
本発明の被覆バインダー構成単位の被覆材料層は、ほぼ連続的であることが好ましく、したがって、バインダー芯の表面積の90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上は被覆材料で被覆される。
【0023】
バインダーと被覆材料との重量比は、好ましくは少なくとも5:1、更に好ましくは少なくとも10:1、最も好ましくは少なくとも30:1である。被覆材料がバインダー材料よりも高価な成分ならば、被覆材料を最小化することが望ましい。被覆材料が重合体ならば、得られるバインダー製品に好影響を与えると共に、被覆材料の量により改良特性とコストとがバランスできるように、重合体を選択してよい。被覆材料が熱可塑性エラストマー又はプラストマーである場合、バインダーと被覆材料との好適な重量比は約99:1〜9:1である。
【0024】
被覆材料層の平均厚さは好ましくは10μm以上である。被覆材料層はほぼ連続被覆が得られるように十分厚くなければならない。被覆材料層の平均厚さは、好ましくは3mm未満、更に好ましくは1mm未満、最も好ましくは0.2mm未満である。3mmを超える層厚は、被覆材料の量を最小化することが望ましい場合、好ましくない。
【0025】
被覆バインダー構成単位は、更に添加剤、例えば蝋のような軟化剤、又は蝋、ポリ燐酸及びエチレン重合体のような針入度指数増幅剤を含有してよい。しかし、好ましい実施態様では、被覆バインダー構成単位は、バインダー及び被覆材料を必須成分として構成される。
【0026】
構成単位がペレットである実施態様では、ペレットの大きさは、平均最長寸法が好ましくは200mm未満、更に好ましくは80mm未満、なお更に好ましくは50mm未満、最も好ましくは15mm未満となるような大きさが好ましい。ペレットの大きさの変動性は、本発明方法では押出し法を使用するため、少なくなりやすい。
【0027】
ペレットは輸送が比較的容易なことから(ペレット形は良好な重点密度を有する)、ほぼ円筒形又は平坦な長方形が好ましい。しかし、ペレットは球形、長円形であってもよいし、或いは不規則形であってもよい。
【0028】
構成単位がロッドである実施態様では、ロッドの大きさは、平均最長寸法が15mmを超え、更に好ましくは100mmを超え、更に好ましくは1mを超えるような大きさが好ましい。用語“ロッド”は、長さが直径より著しく大きく、例えばアスペクト比が2以上、更に好ましくは10以上、最も好ましくは20以上である形状を説明するために単に使用される。ロッドは必ずしもまっすぐである必要はなく、曲げることも巻く(coil)ことも可能である。ロッドの断面は種々の形状、例えば球形、楕円形、立方形であってよい。ロッドの平均直径は、好ましくは100mm未満、更に好ましくは80mm未満、なお更に好ましくは50mm未満、最も好ましくは15mm未満である。ロッドの直径の変化性は、本発明方法では押出し法を使用するため、小さくなりやすい。
【0029】
構成単位がシートである実施態様では、シートの大きさは、平均最長寸法が15mmを超え、更に好ましくは100mmを超えるような大きさが好ましい。用語“シート”は、寸法の2つ(長さ及び幅)が厚さよりも著しく大きいほぼ平坦な形状を説明するために単に使用される。シートの平均幅は好ましくは10mm〜1mである。シートの平均厚さは好ましくは15mm未満である。シートの幅及び厚さの変化性は、本発明方法では押出し法を使用するため、小さくなりやすい。
【0030】
本方法は、バインダー及び被覆材料を同時(co-)押出して、バインダーを被覆材料層で被覆した押出物を製造する工程を含む。押出は、所望形状のダイ中で材料を押し進め、及び/又は引き出す方法である。同時押出では、2種以上の材料が同時に押し出される。本方法では、バインダー及び被覆材料は、バインダーが被覆材料の層で被覆されるように同時に押し出される。好ましくはバインダー及び被覆材料は、得られる押出物がバインダーの中央芯とバインダーを実質的に被覆する、好ましくはバインダーの表面積の90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくはバインダーの全表面積を被覆する被覆材料の層とを有する。しかし、代りの実施態様では、得られた押出物は、バインダー材料層の片面だけを被覆する被覆材料の層を有し、バインダーの芯にバインダー材料の層を被覆してなる構成単位を作るため、更に造形が必要である。押出物上の被覆層の好ましい厚さは被覆バインダー構成単位上の被覆層の好ましい厚さと同じである。
【0031】
ペレット又はロッドを作るには、同心的に配列した内側オリフィス及び外側オリフィスを有する内側ダイ及び外側ダイを備え得た同時押出装置を用いて、同時押出を行うことが好ましい。バインダーは内側ダイに供給され、被覆材料は外側ダイに供給される。
【0032】
シートを作るには、横方向に配列した押出オリフィスを有する2個又は3個のダイを備えた同時押出装置を用いて、同時押出を行うことが好ましい。ダイが2個の場合、押出物はバインダー層上の被覆材料の層で構成され、バインダーの芯を被覆材料の層で被覆してなる構成単位を作るため、更に造形が必要である。ダイが3個の場合、バインダーは中間のダイに供給され、押出物はバインダーの層と、該バインダー層両面上の被覆材料の層とで構成される。
【0033】
バインダー及び被覆材料は、融点が著しく異なる傾向がある(被覆材料が重合体の場合、重合体の融点はバインダーの融点よりも著しく高い傾向がある)。したがって、本発明の好ましい実施態様ではダイ間の熱伝達が制御される。これはダイ間に絶縁性間隙を持たせれば実施できる。絶縁性間隙は絶縁材料で充填できる。しかし、好ましい実施態様では水のような冷却材料が絶縁間隙に循環される。米国特許第3,640,659号は、同時押出法において内側ダイと外側ダイ間で温度勾配が維持できる同時押出装置の一例を提供する。
【0034】
バインダーは垂直ホッパーから同時押出装置に供給することが好ましい。ホッパーは、バインダーが軟化点を超えて流動できるように室温より高温に加熱、維持することが好ましい。
【0035】
バインダーは、バインダーの軟化点に近い温度のダイに達するようにダイに搬送することが好ましい。ダイの前に、バインダーは、容易に流れるのに十分な流体、例えばその軟化点よりも約50℃高いが、製品の損傷を避けるため、軟化点よりも100℃を超えない高い温度の流体となるような高温が望ましい。バインダーは、単一スクリュー又はツインスクリュー押出機、ポンプ(例えばギアポンプ)、及び適切な配管又はダイの入口で圧力を発生する他のいずれかの装置を用いてダイに搬送できる。
【0036】
バインダーが複数成分のブレンド、例えば充填剤又は重合体を含むバインダーからなる場合、このブレンドは押出機、又はホッパーをダイに接続するポンプ中で実施できる。
バインダーは、なお流動可能であり、同時に押出物にとってそれ自体の形状を維持するのに十分な稠度を付与できるように、その軟化点に近い温度(好ましくは軟化点よりも100℃未満高い、更に好ましくは軟化点よりも50℃未満高い温度)でダイを出る。このような熱的条件下では、熱バインダーのこぼれ(spillage)も防止される。
【0037】
被覆材料はスクリュー又はラム押出機を用いてダイに搬送することが好ましい。被覆材料の温度及び流速は、被覆材料の性質に従って適合される。
バインダー及び被覆材料の流速は、材料の流れが安定で、かつ押出物の形状が規則的になるように、装置の能力を考慮して決定される。同時押出装置内の通常の滞留時間は、好ましくは20分未満、更に好ましくは10分未満である。
【0038】
工程(a)の押出は、連続的(不明確な長尺材料を製造する)又は半連続的(多数の短片を製造する)であってよい。本発明の一実施態様では押出は、押出物の断面(section)が被覆材料のみからなるように、例えば被覆材料の層で被覆されたバインダーの芯からなる断面があり、被覆材料のみからなる断面があるように、行ってよい。
【0039】
押出物はバインダーの中央芯、及び該バインダーを実質的に被覆する被覆材料の層を有する。この例では、押出物を更に造形する工程(b)が望ましいかも知れないが、必ずしも必要ではなく、工程(a)で製造した押出物は本発明の被覆バインダー構成単位であってよい。しかし、被覆材料の層が押出物中でバインダーを実質的に被覆していない場合、工程(b)で更なる造形が必要である。
【0040】
本発明の一実施態様では、工程(b)における押出物の造形は、押出物を好ましくはペレット、ロッド又はシートに分割することからなる。押出物の分割は、押出物を切断して実施できる。冷切断システムを使用すれば、端部は被覆されないまま非常に残りやすく、引き続き他の試剤で被覆しなければならない。熱切断は被覆材料の層を局部的に再溶融して端部をシールするので、熱切断が好ましい。(押出物に垂直な方向から)或る角度で熱切断すると、切断動作中に発生したせん断により外側層を広げてシーリングしやすくするので、なお一層好ましい。押出物の断面が被覆材料だけで構成される実施態様では、被覆材料だけで構成される断面の切断は、被覆材料がバインダーのほぼ全表面を被覆する構成単位を提供する。
【0041】
本発明の他の一実施態様では、工程(b)での押出物の造形は押出物を折り重ねて構成される。押出物がバインダー芯を被覆材料の層で被覆して構成される場合、被覆材料を2つに折り重ねると、バインダーの中央芯が両面及び一端部で被覆材料の層で被覆された構成単位を提供できる。
【0042】
本発明方法で製造した被覆バインダー構成単位は、好適には骨材と配合してアスファルトを提供する。このアスファルトは、慣用の舗装敷設法に従ってアスファルト舗装を形成するのに使用でき、或いは舗装用石又は玉石の間隙間に接合(joints)を形成するなどの接合方法に使用できる。
【0043】
図1は本発明方法で使用できる押出装置を示す。内側ダイ(1)にはバインダーが供給され、外側ダイ(2)には被覆材料、好ましくはポリエチレンのような重合体が供給される。内側ダイ(1)と外側ダイ(2)間には絶縁性間隙(3)が存在する。絶縁性間隙(3)は、好ましくは内側ダイ(1)と外側ダイ(2)間の温度勾配を維持する働きのある水冷却システムを含有する。バインダーは内側ダイ(1)を通過し、被覆材料は外側ダイ(2)を通過し、バインダーの中央芯及び被覆材料の外側被覆を有する線状押出物を供給する。
【0044】
図2は本発明方法において押出装置にバインダーを供給するのに使用できる供給システムを示す。バインダーは蓋付きホッパー(10)に供給される。バインダーが流動できるような、室温を超える温度に加熱、維持できる。底蓋(11)は、ホッパー(10)から供給システムの低部(12)までのバインダーの流れを発進させ、停止するために横方向にシフトできる。モーター(13)により配合スクリュー(14)が加熱バレル(15)の内側で回転する。
【実施例】
【0045】
本発明を実施例により説明するが、これらの実施例は本発明の制限を意図するものではない。
【0046】
実施例1
針入度50/70等級のビチューメンを低密度ポリエチレンで被覆した。ビチューメン及びポリエチレンを同時押出ダイに供給した。即ち、ビチューメンは内側ダイに供給し、ポリエチレンは外側ダイに供給した。ビチューメンは約50℃の温度でダイを出て、一方、ポリエチレンは160〜180℃の温度で処理された。得られた押出物は、厚さ100μm未満のポリエチレン層で被覆された直径約10mmのビチューメンのロッドである。
【0047】
実施例2
針入度50/70等級のビチューメンを高密度ポリエチレンで被覆した。ビチューメン及びポリエチレンを同時押出ダイに供給した。即ち、ビチューメンは内側ダイに供給し、ポリエチレンは外側ダイに供給した。ビチューメンは約50℃の温度でダイを出て、一方、ポリエチレンは180〜200℃の温度で処理された。得られた押出物は、厚さ100μm未満のポリエチレン層で被覆された直径約10mmのビチューメンのロッドである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】米国特許第3,026,568号
【特許文献2】米国特許第5,254,385号
【特許文献3】EP 1361256
【特許文献4】US 2008/0015288
【特許文献5】EP 179510
【特許文献6】米国特許第3,640,659号
【符号の説明】
【0049】
1 内側ダイ
2 外側ダイ
3 絶縁性間隙
10 蓋付きホッパー
11 底蓋
13 モーター
14 配合スクリュー
15 加熱バレル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビチューメンバインダー、又は樹脂、油及び任意に重合体を含有する合成バインダーと、被覆材料とを同時に押出して、該バインダーを被覆材料の層で被覆した押出物を生成する工程、及び
(b)任意に該押出物を被覆バインダー構成単位に造形する工程、
を含む、バインダーの芯を被覆材料の層で被覆してなる被覆バインダー構成単位の製造方法。
【請求項2】
前記バインダーがビチューメンバインダーである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バインダーが樹脂、油及び任意に重合体を含有する合成バインダーである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被覆材料が、重合体、25℃での針入度が5dmm未満のビチューメン、硫黄、これら材料と充填材とのブレンド、これら材料と繊維材料とのブレンド、及びこれら材料の2種以上のブレンドよりなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記被覆材料が重合体、又は重合体を50重量%以上含有するブレンドである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記構成単位がペレットであり、該ペレットの平均最長寸法が100mm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成単位がロッドであり、該ロッドの平均最長寸法が100mmを超え、該ロッドの平均直径が好ましくは50mm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記構成単位がシートであり、該シートの平均最長寸法が100mmを超え、該シートの平均幅が10mm〜1mであり、該シートの平均厚さが15mm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記同時押出が、同心的に配列した押出オリフィスを有する内側ダイ及び外側ダイを備えた同時押出装置を用いて行われ、前記バインダーを内側バインダーに供給し、前記被覆材料を外側ダイに供給する工程を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記内側ダイと外側ダイ間に絶縁間隙があり、冷却材が該絶縁間隙に循環される請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525155(P2011−525155A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514049(P2011−514049)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057631
【国際公開番号】WO2009/153324
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】