説明

被覆坩堝並びに被覆坩堝の作製および使用方法

溶融した半導体材料を保持し、一方向凝固工程により多結晶シリコン・インゴットを作製するための窒化ケイ素被覆坩堝と、坩堝を被覆する方法と、シリコン・インゴットおよびウェーハを作製する方法と、坩堝を被覆するための組成物と、低酸素量のインゴットおよびウェーハとに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、溶融した半導体材料を保持するための被覆坩堝に関する。特に、開示する分野は、一方向凝固工程により多結晶シリコン・インゴットを作製する際に使用する被覆坩堝に関する。他の態様として、坩堝を被覆するための方法、シリコン・インゴットおよびシリコン・ウェーハを作製するための方法、坩堝を被覆するための組成物および低酸素量のシリコン・インゴットおよびシリコン・ウェーハが挙げられる。
【0002】
ソーラーエネルギー生成のために使用される標準的な太陽電池は、多結晶シリコンを利用している。多結晶シリコンは、シリコンを坩堝で溶融して、別の坩堝又は同じ坩堝で一方向に凝固される一方向凝固(DS)工程で、通常生成される。溶融シリコンが鋳造前の凝固で一方向に凝固するように、インゴットの凝固が制御される。そのような方法で生成される多結晶シリコンは、坩堝壁での不均一な核となる部位の高い密度により、互いにラン ダムな粒子配位である結晶粒子の凝塊である。一旦、多結晶インゴットが形成されると、インゴットを切ってブロックにしてもよく、更に、ウェーハにしてもよい。標準的な単結晶シリコン製造と比較して高いスループット率、労働集約型の操作および供給コストを低くして、コストを低くできたことにより、多結晶シリコンは、単結晶シリコンよりも太陽電池に好ましいシリコン源である。
【0003】
凝固の間および凝固後、クラックを生じることなく坩堝から凝固インゴットを取り出さなければならない。標準的な坩堝は、形作られ、焼結されたシリカ又は溶融シリカ(すなわち、「石英」)、窒化ケイ素又はグラファイトから構成される。窒化ケイ素の坩堝は、再使用してもよいが、一般的に他の坩堝と比較してより高いものとなっている。坩堝は様々な被覆材料で被覆されてもよいが、これらプロセスと作製された被覆坩堝とは不十分であることが分かった。
【発明の概要】
【0004】
本発明のある態様では、溶融した半導体材料を保持するための坩堝は、底部および底部から上方に延在する側壁を有したボディを有して成る。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は内面および外面を有する。坩堝は、側壁内面の第1領域上に第1コーティングを有し、又、側壁内面の第2領域上に第2コーティングを有する。第2コーティングは、第1コーティングにはない添加剤を含んで成る。
【0005】
本発明の別の態様では、坩堝からのインゴット取り出し特性を改良するための方法が示されている。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有して成る。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は、内面および外面を有する。第1コーティング組成物は側壁の内面の第1領域に塗布(又は適用又は施)され、第2コーティング組成物は側壁の内面の第2領域に塗布される。
【0006】
本発明の別の態様では、溶融した半導体材料を保持するための坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有して成る。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は内面および外面を有する。坩堝は側壁の内面の一部にコーティングを含んで成り、そのコーティングは、窒化ケイ素およびイットリアとシリカとから選択される焼結剤(又は焼結助剤)を含んで成る。
【0007】
又、本発明の更に別の態様では、坩堝からのインゴット取り出し特性を改良するための方法が示されている。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有している。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は、内面および外面を有する。組成物は側壁の内面の一部に塗布される。その組成物は、媒体、窒化ケイ素、およびイットリアとシリカとから選択される焼結剤を含んで成る。
【0008】
本発明の別の態様では、坩堝からのインゴット取り出し特性を改良するための方法が示される。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有している。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は、内面および外面を有する。組成物は、側壁の内面の一部に塗布される。その組成物は、媒体、窒化ケイ素、分散剤および坩堝へのコーティングの付着性を高めるためのバインダーを含んで成る。
【0009】
本発明のある態様では、坩堝からのインゴットの取り出し特性を改良するために、坩堝の内面を被覆するための組成物が示されている。その組成物は、媒体、窒化ケイ素、バインダーおよび焼結剤を含んで成る。
【0010】
本発明の別の態様では、坩堝からのインゴットの取り出し特性を改良するために、坩堝の内面を被覆するための組成物が、媒体、窒化ケイ素、分散剤および坩堝へのコーティングの付着性を高めるためのバインダーを含んで成る。
【0011】
本発明のある態様では、多結晶シリコン・インゴットを作製するための方法は、被覆された坩堝内にポリ結晶シリコンを充填して、シリコン充填物を形成させることを含んで成る。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有している。底部および側壁は、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は、内面および外面を有する。坩堝は、側壁内面の第1領域上に第1コーティングを有しており、又、側壁内面の第2領域上に第2コーティングを有している。第2コーティングには、第1コーティングにはない添加剤を含んで成る。シリコン充填物を充填物の溶融温度よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成させる。このシリコン溶融物を一方向に凝固して、多結晶シリコン・インゴットを形成させる。
【0012】
更に別の態様では、多結晶シリコン・インゴットを作製するための方法は、被覆された坩堝にポリ結晶シリコンを充填して、シリコン充填物を形成することを含んで成る。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有している。底部および側壁は、充填物を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は内面および外面を有する。坩堝は、側壁内面の一部上にコーティングを有する。コーティングは、窒化ケイ素およびイットリアとシリカとから選択される焼結剤を含んで成る。シリコン充填物の溶融温度よりも高い温度まで、シリコン充填物を加熱して、シリコン溶融物を形成させる。シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成させる。
【0013】
本発明のある態様では、坩堝に多結晶シリコン・インゴットを作製するための方法が示される。坩堝は、底部および該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有している。底部および側壁はシリコン充填物を保持するためのキャビティーを規定する。側壁は内面および外面を有する。組成物は、側壁内面の一部に塗布される。組成物は、媒体、窒化ケイ素、分散剤、および坩堝へのコーティングの付着性を高めるためのバインダーを含んで成る。媒体を組成物から気化させて、側壁の内面上に窒化ケイ素のコーティングを形成させる。ポリ結晶シリコンを被覆坩堝に充填して、シリコン充填物を形成させる。シリコン充填物を、該充填物の溶融温度よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成させる。シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成させる。
【0014】
別の態様では、シリコン・インゴットは底部、頂部および高さHを有しており、又、Hは底部と頂部との間を規定する高さである。Hの約20%の高さでのインゴットの酸素濃度は、約4.5ppma以下である。
【0015】
しかし、別の態様では、多結晶シリコン・ウェーハは約2.5ppma以下の酸素濃度を有している。
【0016】
上記に示した本発明の態様に関して説明された特徴に、様々な変更がされる。又、上記に示した本発明の態様に、更なる特徴を組み入れてもよい。これらの変更点および付加した特徴は、個々に又は組み合わせてもよい。例えば、本発明の例示態様に関して、下記に説明する様々な特徴が、単独で又は組み合わせて本発明の上記に説明した態様に組み入れられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明のある態様による坩堝ボディの斜視図である。
【図2】図2は、高さHを示したある態様による坩堝の斜視図である。
【図3】図3は、凝固線Sと頂部Tとを示したある態様による坩堝ボディの斜視図である。
【図4】図4は、高さHとHとを示したある態様による坩堝の斜視図である。
【図5】図5は、従来の作製した坩堝の高さに沿った酸素濃度と本発明のある態様の工程により作製した坩堝の高さに沿った酸素濃度とを比較したグラフ図である。引用符号は、図を通じて対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
出願人は、例えば、最小の酸素源を含んで成る十分な厚さのコーティング組成物を有するシリカ坩堝のような、坩堝を被覆することによって、酸素量が低減され、それに対応して光誘起分解が低減された多結晶インゴットおよびウェーハが作製されてよいと分かった。更に、酸素を含有する焼結剤が、坩堝に塗布される様々なコーティング組成物に使用されてもよい。坩堝ボディの第1領域を、焼結剤を含まないコーティング組成物で被覆してもよく、又、坩堝ボディの第2領域を、焼結剤を含まない組成物で被覆して、酸素にさらされた坩堝の表面積を最小にしてもよい。
【0019】
コーティング組成物中の酸素量を制御することにより、標準的な加工方法や被覆と比較して、得られるインゴットは有利な酸素プロフィル(又は特性;profile)より特徴付けられることが分かった。酸素レベルを低くすると、例えばホウ素がドープされたソーラー・シリコンのような所望のインゴットが得られてもよいことが分かった。ホウ素がドープされたソーラー・シリコン中の酸素レベルが高いと、時間とともに光誘起分解に関係してくる。
【0020】
<坩堝ボディの出発材料>
図1に示される本発明の態様に使用される坩堝ボディは、概して符号5として指定される。坩堝ボディ5は、底部10および基部又は底部10から延在する側壁14を有する。坩堝ボディ5は4つの側壁14で示されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、坩堝ボディ5は4つ未満の側壁を有して成ってよく、又は4つより多い側壁を有して成ってよいことは理解されよう。又、側壁14間にあるコーナー18は、坩堝ボディの囲いを形成するために適当な角度で相互に接続されてもよく、図1に示されるようにシャープであってもよく、又は丸みがあってもよい。ある態様では、坩堝ボディは、概して円筒形状を有した1つの側壁である。坩堝ボディ5の側壁14は、内面12および外面20を有する。坩堝ボディ5は概して開いている、すなわち、ボディは蓋を有して成っていない。しかしながら、坩堝ボディ5は、本発明の範囲から逸脱することなく底部10に対向する蓋(図示せず)を有していてもよいことに留意する必要がある。
【0021】
本発明のいくつかの態様では、坩堝ボディ5は略等しい長さの4つの側壁14を有する(例えば、坩堝は概して正方形の基部10を有する)。側壁14の長さは、少なくとも約25cm、少なくとも約50cm又は少なくとも約75cmであってよい。側壁14の高さは、少なくとも約15cm、少なくとも約25cm又は少なくとも約35cmであってよい。これに関して、(基部に正方形又は長方形が使用され、又は、坩堝が円筒形状又は円形状である態様で、又は、別の形状が使用される態様で)坩堝の体積は少なくとも約0.05m、少なくとも約0.15m又は少なくとも約0.25mであってよい。更に、これに関して、上記で説明したものとは異なる坩堝形状および次元が、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよいと理解されよう。本発明の1つ又はそれよりも多い態様では、坩堝ボディ5は各々の長さが約87.7cmで、高さが約40cmである4つの側壁14を有しており、坩堝体積が約0.31mである。
【0022】
坩堝ボディ5は、半導体材料の凝固に適した任意の材料から構成されてもよい。例えば、坩堝は、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、グラファイト、これらの混合物、およびこれらの複合物から選択される材料から構成されてもよい。複合物は、例えばその上にコーティングを有するベース材料を含んで成ってよい。複合材料は、例えば窒化ケイ素で被覆されたシリカ、塩化カルシウムおよび/又は窒化ケイ素で被覆されたグラファイトを含んで成る。ある坩堝ボディ材料は、本質的に酸素混入源でない(例えば、グラファイト)が、システムを設計する際、(例えば、コスト、汚染(又はコンタミ))他の属性を考慮してもよいことに留意する必要がある。更に、この材料は、半導体材料を溶融し、又、凝固する温度に耐え得ることが好ましい。例えば、坩堝材料は、少なくとも約10時間、100時間、又はそれ以上の時間に、少なくとも約300度、少なくとも約1000度又は少なくとも更に約1580度の温度で半導体材料を溶融し、固化させることに適している。
【0023】
底部10および側壁14の厚さは、例えば、加工温度での材料強度、坩堝設計の方法、選択した半導体材料、並びに炉およびプロセス設計を含む多くの変化に応じて変えてもよい。一般的に、坩堝の厚さは約5mm〜約50mm、約10mm〜約40mm又は約15mm〜25mmであってよい。
【0024】
<コーティング組成物>
上記で説明した坩堝ボディ5の側壁14の内面12の少なくとも一部は、窒化ケイ素および1つ又はそれよりも多い添加剤を含んで成り、又、坩堝内に形成されたインゴットの酸素量を低減し、および/又は坩堝のインゴット取り出し特性を高めるために十分な厚さから成るコーティング組成物で被覆されてもよい。添加剤は、例えば1つ又はそれよりも多いバインダー、分散剤、焼結剤、媒体、希釈剤、溶剤、又はこれらの組み合わせであってよい。インゴットの取り出し特性として、冷却の間でもインゴットを取り出すことができ(すなわち、インゴットが坩堝に付着しない)、又、インゴットにクラッキングを発生させることなくインゴットを取り出すことができる。インゴットが付着しているか否かは、例えば、(1)室温でさえ坩堝からインゴットを取り出すことができないこと、(2)取り出しの際のインゴットに発生するクラッキングの量、および/又は(3)インゴットの取り出し後に、半導体材料が坩堝に固着していること、又、半導体材料が坩堝に固着している量で判断される。
【0025】
組成物は、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよく、別の態様では、少なくとも約15重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよく、更に別の態様では、少なくとも約30重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。あらゆる態様で、コーティング組成物は、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、又は約30重量%〜約40重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。ある態様では、コーティング組成物は、約37.0〜37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。本発明の開示目的のため、「コーティング組成物」又は単に「組成物」の成分含有パーセントは、坩堝ボディに塗布される材料を指し、追加の工程ステップ(例えば、媒体の気化、加熱、又は焼結等)の後形成されるコーティングその物を指さない。(「被覆坩堝」と称した下記の章で説明するように)「コーティング」の成分含有パーセントは、全ての加工工程が行われた後に坩堝ボディの一部を覆い、又、インゴット作製の間、坩堝ボディを覆う固体材料を指す。他で説明しない限り、記載されたパーセンテージは、成分若しくは説明した成分を含んで成る全組成物又は全コーティングのパーセンテージを示す。
【0026】
特定の説に縛られることなく、粒子形状で使用する際、窒化ケイ素粒子の大きさはコーティング組成物のレオロジーに影響し、又、塗布し易いか否かに影響すると言われている。ある態様では、粒子状の窒化ケイ素の平均的な呼び径は、約100μm以下であってよい。他の態様では、窒化ケイ素の平均的な呼び径は、約50μm以下、約25μm以下、又は約10μm以下であってよい。小さな粒子径を利用すると、コーティング組成物の流動性が一般に改善される。
【0027】
組成物は、窒化ケイ素が略粒子状の形のままである媒体を含んで成ってよい。一般的に、1つ又はそれよりも多い窒化ケイ素やバインダー、分散剤、焼結剤等のような添加剤は、媒体に部分的に又は完全に溶けなくてもよく、用語「媒体」、「希釈剤」および「溶剤」は交互に使用されてもよく、1つ又はそれよりも多い成分が媒体に溶けている組成物又は溶けていない組成物に、本発明の態様を限定するという意味ではないことに留意されたい。
【0028】
媒体は有機化合物を含んで成ってよく、又は、水溶性であってよい。しかしながら、水溶液中に水が存在することで、硬化被覆に酸素が生じてもよく、又、半導体インゴットの酸素レベルが増えてもよいということに留意する必要がある。すなわち、水溶液を本発明の範囲から逸脱することなく利用してもよいが、ある態様では、非水溶性媒体を使用することが望ましい。望ましくは、媒体は乾燥工程の間速やかに気化する。
【0029】
媒体はC1〜C10のアルコールを含んで成ってよく、イソプロピルアルコール又はエタノールであってよい。ある態様では、坩堝に塗布される前の全組成物の少なくとも約10重量%が媒体である。
【0030】
他の態様では、組成物は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%又は少なくとも約70重量%の媒体を含んで成ってよい。様々な他の態様では、組成物は約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、又は約45重量%〜約55重量%の媒体を含んで成ってよい。組成物は、約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成ってよい。組成物は、上記で説明するように、組成物中に全重量分率で1つ以上の媒体を含んで成ってよい。
【0031】
組成物は、コーティングと結びつく1つ又はそれよりも多いバインダー、より具体的には、坩堝ボディに、又、塗布後相互に窒化ケイ素粒子と結びつく1つ又はそれよりも多いバインダーを含んで成ってよい。一般的に、バインダーは、コーティング組成物のレオロジーを変え、又、その塗布と乾燥とを通じて媒体中の粒子の広がりを維持する。ある態様では、バインダーは媒体に溶けている。ある態様では、バインダーは、(セントルイスにある)ソルーシア製のB−76のようなポリビニル・ブチラールである。ある態様では、坩堝に塗布される前の全組成物の少なくとも約0.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は少なくとも約15重量%が、1つ又はそれよりも多いバインダーである。様々な態様では、組成物は、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約2重量%〜約8重量%の媒体を含んで成ってよい。組成物は、約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成ってよい。ある態様では、組成物は、バインダーを含んで成っていない。組成物は、上記で説明するように、組成物に全重量分率で1つ以上のバインダーを含んで成ってよい。
【0032】
コーティング組成物は分散剤を含んで成ってよい。一般的には、分散剤により、窒化ケイ素粒子が、坩堝ボディへコーティング組成物を塗布する前に、沈降しないようにすることができる。適当な分散剤により、金属の不純物がコーティング組成物に寄与しないようにし、適当な分散剤は良好な燃焼をし、又、熱サイクルの間分解する。クラックのない又は最小限のクラックがあるコーティングの乾燥が行われるように、(下記に示す)可塑剤と分散剤との組み合わせが選択されてもよい。ある態様では、分散剤は(オハイオ州のウィクリフにあるルーブリゾール社製の)SOLSPERSE20000のようなメチルオキシラン・ポリマーである。組成物は、少なくとも約0.05重量%の分散剤を含んで成ってよく、他の態様では、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%又は少なくとも約5重量%の分散剤を含んで成ってよい。様々な他の態様では、組成物は約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、又は約0.5重量%〜約2.5重量%の分散剤を含んで成る。組成物は、約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成ってよい。ある態様では、組成物は分散剤を含んでいない。上記で説明するように、組成物は、組成物総量で1つ以上の分散剤を含んで成ってよい。
【0033】
コーティング組成物は可塑剤を含んで成ってよい。一般的に、適当な可塑剤により、金属不純物がコーティング組成物に寄与せず、適当な可塑剤は良好な燃焼をし、又、熱サイクルの間分解する。クラックのない又は最小限のクラックがあるコーティングの乾燥が行われるように、可塑剤と分散剤とが選択されてもよい。例えば、可塑剤はポリエチレングリコールであってよい。ポリエチレングリコールは、商業的に利用可能な(ミシガン州のミッドランドにあるダウ・ケミカル社製の)CARBOWAX400である。コーティング組成物は、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は少なくとも約15重量%の可塑剤を含んで成ってよい。様々な態様では、組成物は、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約2重量%〜約8重量%の可塑剤を含んで成る。組成物は、約5.4重量%〜約6.8重量%の可塑剤を含んで成ってよい。ある態様では、組成物は、可塑剤を含んで成っていない。上記で説明するように、組成物は、可塑剤総量で1つ以上の可塑剤を含んで成ってよい。
【0034】
組成物は、例えばイットリア、シリカ、および/又はアルミナのような1つ又はそれよりも多い焼結剤を含んで成ってよい。焼結剤は、粒子状の形であってよく、1つ又はそれよりも多い媒体に分散(又は懸濁又は浮遊)させてもよい。焼結剤(特に、イットリア)は、坩堝ボディに塗布されたコーティングを強化し、又、一般的に坩堝ボディへの窒化ケイ素粒子の付着力、および窒化ケイ素相互の付着力を改善する。コーティング組成物は、少なくとも約0.1重量%の焼結剤(又は1つ以上使用される際の焼結剤)を含んで成り、又、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%又は少なくとも約7.5重量%の焼結剤を含んで成ってよい。
【0035】
焼結剤と窒化ケイ素との質量比は、少なくとも約1:20であってよい。他の態様では焼結剤と窒化ケイ素との質量比は、少なくとも約1:10、少なくとも約1:5、少なくとも約2:5、少なくとも約3:5、少なくとも約4:5又は少なくとも約1:1である。様々な他の態様では、焼結剤と窒化ケイ素との比は、約1:20〜約1:1又は約1:5〜約1:2である。
【0036】
コーティング組成物がイットリアを含んで成る態様では、コーティング組成物は少なくとも約0.1重量%のイットリアを含んで成ってよく、他の態様では、少なくとも約0.5重量%のイットリア、少なくとも約1重量%のイットリア、少なくとも約5重量%のイットリア、少なくとも約7.5重量%のイットリア又は少なくとも約12重量%のイットリアを含んで成ってよい。様々な他の態様では、コーティング組成物は約0.1重量%〜約40重量%のイットリア、約1重量%〜約40重量%のイットリア又は約1重量%〜約20重量%のイットリアを含んで成る。
【0037】
イットリアに代えて、又は、イットリアに加えて、組成物は、シリカおよび/又はアルミナのような焼結剤として作用する他の成分を含んで成ってよい。ある態様では、組成物は、少なくとも約0.1重量%のシリカを含んで成ってよい。又、他の態様では、組成物は、少なくとも約0.5重量%、少なくとも1重量%又は少なくとも約3重量%のシリカを含んで成る。様々な態様では、組成物は、少なくとも約0.1重量%〜約10重量%のシリカ、少なくとも約0.1重量%〜約5重量%のシリカ又は少なくとも約1重量%〜約5重量%のシリカを含んで成る。又、又は、更に、組成物は、少なくとも約0.5重量%のアルミナ、少なくとも約1重量%のアルミナ又は少なくとも約2重量%のアルミナを含んで成る。様々な態様では、組成物は、少なくとも約0.1重量%〜約10重量%のアルミナ、少なくとも約0.1重量%〜約4重量%のアルミナ又は少なくとも約1重量%〜約5重量%のアルミナを含んで成る。一般的に、イットリア、シリカ、アルミナ又は他の酸化物を焼結剤として使用して、窒化ケイ素コーティングの強度および付着力を増やす。
【0038】
媒体量は、相対的に酸化物を多く含んで成る組成物で、特に相対的にシリカおよびアルミナを多く含んで成る組成物で増えてよいことに留意する必要がある。相対的に媒体を多く有する組成物は、(実施例1に示すように)一般的に改善された流動性によって特徴付けられる。
【0039】
坩堝の被覆方法
本発明に記載されるコーティング組成物は、化学蒸着、プラズマ溶射、ブラッシング、エアゾール噴射、鋳込又はこれらの組み合わせにより坩堝ボディの内面の少なくとも一部に塗布される。この塗布は、大気圧で、又コーティング組成物の引火点下の温度で、換気フードの下で行われる。コーティング組成物を1回又は複数回塗布して、所望の厚さを得る。所望の厚さに一旦到達すると、被覆坩堝を加熱して、バインダー、媒体、分散剤等を気化し、コーティングとして窒化ケイ素および(例えば、イットリア、シリカ、アルミナ等の)酸化物添加剤を残す。又、坩堝を焼結して、コーティングの緻密化および強化を生じさせてもよい。複数回塗布される態様では、最後の塗布に加えて、1つ又はそれよりも多い中間塗布の後、坩堝は乾燥、加熱および/又は焼結されてもよいことに留意する必要がある。
【0040】
本明細書に記載するコーティング組成物は、単独で、又は坩堝の側壁の内面の少なくとも一部若しくは坩堝の側壁の全内面に用いられてもよい。坩堝が1つ以上の側壁を含んで成るならば、コーティング組成物は、1つ又はそれよりも多い側壁内面の少なくとも一部又は1つ又はそれよりも多い側壁の全内面に塗布されてもよいし、全側面の全内面に塗布されてもよい。
【0041】
図2に示されるように、例えば、コーティングは坩堝の底部から高さHまで塗布されてもよい。坩堝の底部とHとの間の距離は、側壁の高さの少なくとも約50%であってよい。他の態様では、坩堝の底部とHとの間の距離は、側壁の高さの少なくとも約70%又は側壁の高さの少なくとも約85%である。ある態様では、Hは下記の図3に説明する凝固線S付近よりも上方へ延在し、他の態様では、坩堝の頂部付近まで延在する。
【0042】
一般的に、半導体材料が坩堝内で凝固する際、坩堝内の半導体材料の体積とこれに比例する高さが変わってもよい。例えば、半導体材料が凝固する際、シリコンの体積が増える。坩堝内面の「凝固線」は、側壁(坩堝が1つ以上の側壁を有するならば複数の側壁)内面の周囲径を延在し、又、凝固したインゴットの頂部に隣接した坩堝の所望の部分又はインゴットの頂部の所望のエレベーションに対応する。坩堝の底部と凝固線との間の距離は、坩堝の底部と坩堝内で凝固したインゴットの頂部との間の距離に対応する。坩堝(例えば、凹部形状の底部を有した坩堝)の底部が外形寸法で均一ではない際、坩堝の底部と凝固線との間の距離は、側壁と接触する点での坩堝の底部から凝固したインゴットの頂部までの距離に対応する。
【0043】
底部10、頂部T、および凝固線Sは、一般的に図3に示される。一般的に、凝固線Sと坩堝側壁の頂部Tとの間の距離を、側壁の高さの約25% (すなわち、側壁が坩堝の底部と接触する部分と側壁の頂部との間の距離の約25%) 以下にして、凝固したインゴットの大きさを最大にする。他の態様では、この距離は、側壁高さの約15%以下、約10%以下、又は5%以下である。ある態様では、この距離は、側壁高さの約0.5%〜約25%である。
【0044】
坩堝の内面は、坩堝底部の内面と、坩堝の底部から少なくとも凝固線までの坩堝側壁の内面に沿って、本発明の態様のコーティング組成物で被覆されてもよい。他の態様では、坩堝の内面は、坩堝底部の内面と、坩堝側壁の内面に沿って坩堝の底部から凝固線よりも上の位置まで、本発明の態様のコーティング組成物で被覆されてもよい。内側の側壁が被覆される凝固線よりも上の距離は、側壁高さの少なくとも約0.5%、側壁高さの少なくとも約1%又は側壁高さの少なくとも約3%であってよい。
【0045】
本発明のある態様によれば、第1コーティング組成物は坩堝側壁の内面の第1領域に塗布され、第2コーティング組成物は側壁の内面の第2領域に塗布される。例えば、2つのコーティング組成物は、坩堝側壁の異なる部分に塗布されてもよい。一方のコーティング組成物は、インゴットが相対的により付着し易い側壁の部分に塗布され、他方のコーティング組成物は、側壁の他の領域に塗布されてよい。第2コーティング組成物は、第1コーティング組成物にはない添加剤を含んで成ってよい。ある態様によれば、第1コーティング組成物は、媒体、窒化ケイ素、分散剤およびバインダーを含んで成る。更に、又は、又、第2コーティング組成物は、媒体、窒化ケイ素およびアルミナ、シリカ、イットリアおよび/又は他の酸化物(例えば、ランタノイド)のような酸化物添加剤を含んで成ってよい。窒化ケイ素および/又は酸化物添加剤は、媒体中に分散されてよい。
【0046】
様々な態様では、図4に示すように、第1コーティング組成物は坩堝5の底部10から高さHまで側壁の内面に塗布されてもよく、第2コーティング組成物は高さHから高さHまで坩堝の内面に塗布されてもよい。坩堝底部とHとの間の距離は、側壁の高さの少なくとも約50%であってよく、他の態様では、側壁の高さの少なくとも約70%又は少なくとも約85%である。第2コーティング組成物が塗布されてよい坩堝の底部と高さHとの間の距離は、側壁の高さの少なくとも約60%、(例えば、Hが側壁高さの約75%以下である場合、)少なくとも約75%、又は(例えば、Hが側壁高さの約90%以下である場合、)少なくとも90%であってよい。他の態様では、Hは凝固線Sの上まで延在し、又は、(図3に示すように)坩堝の頂部T付近まで延在する。
【0047】
ある態様では、第1コーティング組成物および第2コーティング組成物は、坩堝の側壁の一部に重複して塗布されてもよい。例えば、第1コーティング組成物は、坩堝5の底部10から高さHまで塗布されてもよく、第2コーティング組成物は、上記に説明するように坩堝の底部とHとHとの間の距離である高さHよりも下方部分から高さHまで塗布されてもよい。これらの態様では、Hは凝固線Sまで、若しくは凝固線Sよりも上方まで延在してもよく、又は(図3に示す)坩堝の頂部T付近まで延在してもよい。
【0048】
第2コーティング組成物がイットリア又は他の酸化物を含んで成り、第1コーティング組成物がそのような添加剤を含んで成っていない態様では、第2コーティング組成物が塗布されるシリコン濡れ面領域の量を制限することにより、コーティングの全酸素量が、凝固したインゴット中の酸素量の減少に比例して低減されてもよい。一般的に、ある態様では、(例えば、イットリア、シリカ、および/又はアルミナ等の)酸化物添加剤含んで成っていない第1コーティング組成物は、坩堝の底部に塗布されてもよい。
【0049】
一旦コーティング組成物が坩堝の内面の一部に塗布されると、組成物を乾燥させて媒体を気化させてよい。一般的に、坩堝は、例えば、周囲空気、窒素、アルゴン又はこれらの混合物を含んで成る雰囲気下で乾燥させてもよい。周囲空気を利用する際、媒体の大部分が、約20分後に気化し、他の態様では、約30分後又は約40分後に気化する。(例えば、循環空気を使用して)換気を増やすことにより、これに比例して、乾燥の回数が減ってもよい。一般的に、コーティングが該コーティングと接触する人の指に付着しない又は材料を移動させない際、コーティングを乾燥する。
【0050】
コーティング組成物を塗布し、数回乾燥させて、コーティングの厚さを増やしてもよい。別の被覆をする前に媒体を取り除くために、コーティング組成物を塗布する際空気乾燥させてもよい。又、又は、更に、下記により詳細に説明するように、加熱させてもよい。ある態様では、コーティング組成物を塗布して、少なくとも約2回、他の態様では、少なくとも約4回又は約8回乾燥させる。様々な態様では、少なくとも約50μmの厚さが得られるまで、コーティング組成物を塗布する。他の態様では、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm又は少なくとも約750μmの厚さが得られるまで、コーティング組成物を塗布する。いくつかの態様では、約50μm〜約1000μm、約100μm〜約750μm、約250μm〜約750μmの厚さが得られるまで、コーティング組成物を塗布する。一般的に、コーティングの厚さを増やすことにより、インゴットに生じる酸素量を低減させることができ、特に、コーティング組成物が最小の酸素量を含んで成る場合、インゴットに生じる酸素量を低減させることができる。
【0051】
所望の厚さを得た後(又は坩堝内面上にある範囲以上の厚さを得た後)、バインダー、分散剤、可塑剤等を取り除くために十分な温度まで坩堝を加熱してもよい。一般的に、所望の温度が得られるまでコーティング組成物を有する坩堝を加熱することにより、加熱が行われてもよい。コーティングが5重量%以下、約3重量%以下又は約1重量%以下の残留炭素を含んで成るまで、バインダー、分散剤および/又は可塑剤が取り除かれてもよい。ある態様では、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃又は少なくとも約750℃まで坩堝を加熱して、バインダー、可塑剤および分散剤化合物を取り除く。様々な他の態様では、坩堝を少なくとも約1時間、他の態様では、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間又は約1〜約5時間加熱してもよい。ある態様では、坩堝を少なくとも約2時間少なくとも約300℃まで加熱する。気圧は、約60トル(0.08atm)〜約1atm又は約150トル(0.20atm)〜約1atmの(真空)圧力であってよい。他の態様では、大気圧よりも高い圧力として、例えば、少なくとも1atm,少なくとも2atm又は少なくとも5atmの圧力が使用される。
【0052】
例えば、窒素、ヘリウム又はアルゴンのような不活性ガスの存在の下、坩堝を加熱してもよい。又、加熱の間、周囲空気を気圧として使用してもよいが、コーティングに酸素を導かない方が良い。更に、炉の構造材料およびガス流れを制御して、当業者により正しく認識されるように、コーティングの酸化を抑制してもよい。
【0053】
坩堝の加熱に加えて、又は、坩堝の加熱の代わりに、坩堝を焼結してコーティングの密度を高くしてもよい。上記で説明するように、坩堝を加熱して、残留媒体、バインダーおよび可塑剤を取り除く態様では、残留媒体、溶剤、バインダーおよび/又は可塑剤を取り除いた後、焼結を行ってもよく、又は、1つ又はそれよりも多いこれらの成分を取り除くために更に焼結が行われてもよい。ある態様では、工程時間を最小にするために、シリコン充填物の溶融の間、焼結が行われる。焼結を実施するために、坩堝は少なくとも約1000℃、別の態様では、少なくとも約1100℃の温度まで加熱されてもよい。坩堝は、少なくとも約1時間、他の態様では、少なくとも約2時間、少なくとも3時間又は約1〜約5時間焼結されてもよい。ある態様では、坩堝は少なくとも約3時間少なくとも約1100℃の温度で焼結される。坩堝は、例えば、窒素、ヘリウム又はアルゴンのような不活性ガスの存在下で焼結されてもよい。気圧は、約60トル(0.08atm)〜約1atm又は約150トル(0.20atm)〜約1atmの(真空)圧力であってよい。他の態様では、大気圧よりも高い圧力として、例えば、少なくとも1atm,少なくとも2atm又は少なくとも5atmの圧力が使用される。異なる加熱および/又は焼結処理を実施例6で実施した後において、坩堝に残留炭素が残ったままであった。
【0054】
1つ又はそれよりも多いコーティング組成物が坩堝側壁の内面に塗布された際、(イットリア、シリカ、アルミナ等の)酸化物添加物を含んで成ってよい第2組成物を、坩堝の第2領域に塗布して、乾燥してよい。所望の厚さが得られるまで、これを繰り返してもよい。次いで、添加剤を含んで成っていない第1組成物は、坩堝の第1領域に塗布され、乾燥されてよい。第1組成物を繰り返して塗布し、乾燥して、所望の厚さを得てもよい。適応後および/又は乾燥後の第1コーティングおよび第2コーティングは、本発明の開示の範囲から逸脱することなく、坩堝の内面の一部に相互に重複させてもよい。
【0055】
被覆坩堝
上記で説明したように、コーティング組成物は、1つ又はそれよりも多いアプリケーションを使用する内面の一部又は全てに塗布され、コーティング組成物は、コーティングの種類や数、コーティングの所望の組成物に応じて様々な方法で乾燥されてもよい。一般的に、周囲温度で坩堝を乾燥することにより、媒体を気化させて、窒化ケイ素、並びにバインダー、可塑剤、分散剤、および/又は(イットリア、シリカ、アルミナ等の)酸化物添加剤を残す。坩堝を加熱することにより、残留バインダー、可塑剤および/又は分散剤を気化して、窒化ケイ素、酸化物添加剤および残留炭素を残してもよい。実施例6に示すように、少なくとも2時間400℃まで坩堝を加熱することにより、コーティング中の残留炭素濃度が、コーティングの1重量%以下まで低減されてもよい。
【0056】
坩堝の一部を被覆するために使用されるコーティング組成物が酸化物添加剤を含んで成っていない態様を含むある態様では、坩堝のコーティングは、少なくとも約90重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。他の態様では、コーティングは、少なくとも約95重量%の窒化ケイ素又は少なくとも約97.5重量%の窒化ケイ素を含んで成る。コーティングは、約1重量%以下の炭素を含んで成ってよい。表題「被覆坩堝」中で説明したコーティング組成物は、(例えば、少なくとも約300℃まで加熱する)加熱工程の後、任意には、表題「坩堝の被覆方法」中で説明した焼結工程の後のコーティングの組成物を指す。
【0057】
様々な態様では、コーティングは、坩堝側壁(ある態様では、複数の側壁)の内面の全体に渡って延在し、又は、側壁の内面の一部に渡って延在する。コーティング組成物を塗布してもよい領域に関して上記で説明し、又図2に示すように、コーティングは、坩堝底部の内面と坩堝の底部から高さHまでの側壁の内面とに渡って延在させてもよい。
【0058】
ある態様では、坩堝側壁の第1領域を覆うコーティングは、窒化ケイ素と(例えば、イットリア、シリカ又はアルミナのような酸化物添加剤と言った)多くの焼結剤とを含んで成ってよい。ある態様では、コーティングは、焼結剤に加えて、少なくとも約40重量%の窒化ケイ素、少なくとも約60重量%の窒化ケイ素又は少なくとも約80重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。
【0059】
コーティングは、少なくとも約0.5重量%のイットリアを含んで成ってよい。他の態様では、コーティングは、少なくとも約1重量%のイットリア、少なくとも約5重量%のイットリア、少なくとも約10重量%のイットリア、少なくとも約15重量%のイットリア又は少なくとも約20重量%のイットリアを含んで成ってよい。様々な態様では、コーティングは、約0.5重量%〜約25重量%のイットリア、約0.5重量%〜約20重量%のイットリア、約0.5重量%〜約10重量%のイットリア又は約1重量%〜約20重量%のイットリアを含んで成る。コーティング中のイットリアと窒化ケイ素との質量比は、少なくとも約1:20であってよく、他の態様では、少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5であってよい。
【0060】
イットリアに代えて、例えば、シリカおよび/又はアルミナのような酸化物添加剤が、又は、イットリアに加えて、例えば、シリカおよび/又はアルミナのような酸化物添加剤が、コーティング中にあってもよい。他の適当な酸化物添加剤は、酸化ランタノイドを含んで成ってよい。ある態様では、コーティングは、少なくとも約0.5重量%のシリカを含んで成る。他の態様では、コーティングは、少なくとも約1重量%のシリカ、少なくとも約5重量%のシリカ、少なくとも約10重量%のシリカ、少なくとも約15重量%のシリカ又は少なくとも約20重量%のシリカを含んで成ってよい。様々な他の態様では、コーティングは、約0.5重量%〜約25重量%のシリカ、約0.5重量%〜約20重量%のシリカ、約0.5重量%〜約10重量%のシリカ又は約1重量%〜約20重量%のシリカを含んで成る。
【0061】
坩堝のコーティングは多くのアルミナを含んで成ってよく、ある態様では、少なくとも約0.5重量%のアルミナを含んで成る。他の態様では、コーティングは、少なくとも約1重量%のアルミナ、少なくとも約5重量%のアルミナ又は少なくとも約10重量%のシリカを含んで成ってよい。様々な他の態様では、コーティングは、約0.5重量%〜約25重量%のアルミナ、約0.5重量%〜約20重量%のアルミナ、約0.5重量%〜約10重量%のアルミナ又は約1重量%〜約20重量%のアルミナを含んで成る。
【0062】
特定の態様では、坩堝側壁の内面上にあるコーティングは、窒化ケイ素、(例えば、イットリア、シリカ又はアルミナのような)焼結剤および炭素から基本的に構成されてよい。コーティング中の炭素量は、約1重量%以下の炭素であってよい。
【0063】
本発明の被覆坩堝は、坩堝側壁の内面に塗布される1つ以上のコーティングを含んで成ってよい。坩堝は、側壁内面の第1領域上に第1コーティングと側壁内面の2第領域上に第2コーティングとを含んで成ってよい。ある態様では、第2コーティングは、第1コーティングにはない例えば、イットリアのような添加剤を含んで成る。又、又は、更に、第1コーティングは、第2コーティングにはない添加剤を含んで成ってよい。
【0064】
(例えば、イットリア、シリカ又はアルミナのような)焼結剤を含んで成るコーティングは、坩堝側壁の内面全体に渡って、又は、(例えば、図4に示すようにHとHとの間の)側壁の一部に塗布されてもよい。そのようなコーティングにより、インゴットの取り出し特性が改善される。それ故、インゴットの取り出し特性を改善したい坩堝の一部分に、典型的には一方向凝固を行う部分よりも上方に位置する側壁の頂部付近の部分に、コーティングを適応してもよい。しかしながら、そのようなコーティングにより、インゴット中に酸素が導かれるおそれがあることに留意する必要がある。又、そのようなコーティングの使用を最小限にしてもよい。そのようなコーティングの量と位置とは、所望の取り出し特性とインゴットの酸素量に基づき決定されてよい。
【0065】
第1および第2コーティング組成物の塗布に関して、又、図4に関して、上記に説明するように、第1コーティングは坩堝の底部から高さHまで延在し、第2コーティングは高さH付近から高さHまで延在してもよい。被覆坩堝が2つのコーティングを含んで成る場合、第1コーティングは窒化ケイ素を含んで成ってよく、バインダー、可塑剤、分散剤等から分けられた残留炭素を含んで成ってよい。第1コーティングは、1重量%以下の炭素を含んで成ってよい。第1コーティングは、窒化ケイ素と炭素とから基本的に構成されてよい。
【0066】
第2コーティングは、窒化ケイ素と(例えば、イットリア、シリカ又はアルミナのような)焼結剤とを含んで成ってよい。第2コーティングは、少なくとも約40重量%の窒化ケイ素、少なくとも約60重量%の窒化ケイ素又は少なくとも約80重量%の窒化ケイ素を含んで成ってよい。第2コーティング中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比は、少なくとも約1:20、少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5であってよい。第2コーティングは、少なくとも約0.5%のイットリア、少なくとも約1%のイットリア、少なくとも約5%のイットリア、少なくとも約10%のイットリア、少なくとも約15%のイットリア又は少なくとも約20%のイットリアを含んで成ってよい。ある態様では、第2コーティングは、約0.5重量%〜約25重量%のイットリアを含んで成ってよい。
【0067】
第2コーティングは多くのシリカを含んで成ってよく、ある態様では、少なくとも約0.5重量%のシリカ、少なくとも約1重量%のシリカ、少なくとも約5重量%のシリカ、少なくとも約10重量%のシリカ、少なくとも約15重量%のシリカ、少なくとも約20重量%のシリカ又は約0.5重量%〜約25重量%のシリカを含んで成ってよい。又、第2コーティングは多くのアルミナを含んで成ってよく、ある態様では、少なくとも約0.5重量%のアルミナ、少なくとも約1重量%のアルミナ、少なくとも約5重量%のアルミナ、少なくとも約10重量%のアルミナ又は約0.5重量%〜約25重量%のアルミナを含んで成ってよい。
【0068】
第2コーティングは、窒化ケイ素と(例えば、イットリア、シリカおよびアルミナと言った)任意の焼結剤の組み合わせとを含んで成ってよい。第2コーティングは、窒化ケイ素、焼結剤および炭素から基本的に構成されてもよい。
【0069】
1つのみのコーティングを坩堝側壁の内面に塗布する態様、又は、複数のコーティングを坩堝側壁の内面に塗布する態様では、コーティングが1つ以上である場合、任意の又は全てのコーティングの厚さは、上記に説明する厚さに対応してもよい。
【0070】
インゴット作製方法
本発明のある態様は、シリコン・インゴットの作製に関する。特に、本発明のある態様は、シリコン・インゴットの作製方法に関する。一方向凝固工程により多結晶シリコン・インゴットを作製する態様では、ポリ結晶シリコンを被覆坩堝に充填して、シリコン充填物を形成してもよい。ポリ結晶シリコンを塗布してもよい被覆坩堝は、一般的に上記に説明したとおりである。結晶化の方法は、結晶の成長のジャーナル292のP282〜285(2006年)にある溶融物から高質のポリ結晶シリコンを得るための一方向の成長手段で、藤原らにより概して説明されている。
【0071】
一旦本発明の被覆坩堝に充填されると、シリコン充填物を溶融温度付近よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成してもよい。シリコン充填物は、少なくとも約1,410℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成し、別の態様では、少なくとも約1,450℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成してもよい。一旦シリコン溶融物を作製した場合、例えば、一方向凝固工程で溶融物を凝固してもよい。次いで、所望の太陽電池のいくつかの大きさに合う寸法を有する1つ又はそれよりも多い片に、インゴットを切ってもよい。ウェーハは、例えば、スライスされたウェーハを作製するためのワイヤーソー工法を使用して、これらの片をスライスすることにより作製されてもよい。
【0072】
一方向凝固により作製される多結晶シリコンは、坩堝壁で不均一な形成部位における高密度により、相互にランダムな粒子の配向性を有した結晶粒子の塊である。得られた多結晶シリコン・インゴットは、約1mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有していてもよい。他の態様では、多結晶シリコン・インゴットは、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する。
【0073】
シリコン・ウェーハは、例えば、ワイヤーソー工法を使用して、インゴットをスライスすることにより作製されてもよい。得られたシリコン・ウェーハは、上記で説明した多結晶インゴットのように、平均的な呼び結晶粒子を有する。
【0074】
低酸素量のインゴット
一般的に、最小限の酸素源(すなわち、イットリア、シリカ、アルミナ等)を含んで成る十分な厚さのコーティングを有する坩堝を利用することにより、又、コーティング組成物に水よりもむしろC1〜C10のアルコール媒体を利用することにより、任意には、不活性雰囲気でこれらのコーティングを焼結することにより、得られた多結晶インゴットとウェーハとは、酸素量が低減され、劣化を引き起こす光が比例して低減されることを特徴とする。
【0075】
図5を参照すると、本発明により作製されるインゴットは、バインダーと分散剤とを有するアルコール媒体中に窒化ケイ素コーティングを利用することにより、インゴットの全ての片(すなわち、インゴットの頂部から底部まで)で酸素が少ない。
【0076】
本発明の態様によるシリコン・インゴットは、底部、頂部および高さHを有していてもよい。Hはインゴットの底部と頂部との間の平均距離に相当する。図5に示すように、インゴットが成長するにつれて、インゴット中の酸素濃度は、インゴットの底部からインゴットの頂部まで減ってもよい。インゴットが成長するにつれて、インゴットの頂部と底部とは、坩堝の頂部と底部とに相当する。本明細書に説明するように、インゴットが成長するにつれて、酸素濃度の特性は、多結晶インゴットの濃度特性に及ぶ点に留意する必要がある。この点において、インゴットは、ワイヤーソー又はこれ以外により、切られるインゴットにより示されるカットマークがない。本明細書に説明するインゴットの底部と頂部とは、凝固後のインゴットの底部と頂部とに相当する。インゴットを凝固する際、インゴットは、インゴットの高さに沿った酸素濃度により特徴付けることができる。
【0077】
シリコン・インゴットは、上記で説明するように、一方向凝固工程により作製されてよい。インゴットは、約1mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子径を有する多結晶シリコンを含んで成ってよい。他の態様では、平均的な呼び結晶粒子径は、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmである。
【0078】
ある態様では、Hの約20%の高さでのインゴットの酸素濃度は、約4.5ppma以下である。他の態様では、Hの約20%の高さでのインゴットの酸素濃度は、約4.0ppma以下、約3.0ppma以下又は約2.0ppma以下である。Hの約20%の高さからHの約80%の高さまでのインゴットの酸素濃度は、約3.0ppma以下であってよく、他の態様では、約2.0ppma以下であってよい。ある特定の態様では、インゴットの底部と頂部との間のインゴットの酸素濃度は、約2.5ppma以下であり、別の態様では、約2.0ppma以下である。
【0079】
一般的に、酸素量は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を使用して測定されてもよい。例えば、酸素濃度は、任意の高さでのインゴットから2mmの厚さのスラッグを切り、FTIRにより酸素量を測定することにより測定されてもよい。
【0080】
一般的に、インゴットの形状は凝固される坩堝に対応し、ある態様では、インゴットは長方形形状であり、又は正方形形状である。
【0081】
低酸素量のウェーハ
図5から分かるように、本発明のインゴットの全高に沿った酸素濃度は、通常のインゴットにより示される最も低い酸素の濃度を下回る。従って、インゴットの全高に沿って作製されるウェーハの酸素量は、通常のインゴットから作製される全ウェーハの酸素量よりも低い値を示すであろう。本発明のある態様では、シリコン・ウェーハの酸素濃度は、約2.5ppma以下である。他の態様では、シリコン・ウェーハの酸素濃度は、約2.25ppma以下、約2ppma以下、約1.75ppma以下、約1.5ppma以下又は約1.25ppma以下である。様々な他の態様では、ウェーハの酸素量は、約0.1〜約3ppma、約0.5〜約3ppma、約0.75〜約3ppma、約1〜約3ppma、約0.75〜約2.5ppma、約0.75〜約2.25ppma、約0.75〜約2ppma又は約0.75〜約1.75ppmaである。
【0082】
ウェーハは多結晶シリコンを含んで成ってよい。平均的な呼び結晶粒子径は、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmであってよい。ある態様では、ウェーハは(正方形のウェーハを含む)長方形である。ウェーハは、本発明の範囲から逸脱することなく任意の形状により特徴付けられてもよい。
【実施例】
【0083】
実施例1:窒化ケイ素コーティング組成物での坩堝の被覆
十分に大きなビーカーにイソプロピルアルコールを所定の量はかって、下記に示す表1のコーティング組成物を準備した。分散剤(SOLSPERSE20000)、バインダー(PVB(B−76))、可塑剤(PEG(CARBOWAX400))および窒化ケイ素パウダーを各々はかった。ビーカーと媒体とをホットプレートに置いた。高せん断インペラ形式のミキサーを液体中に設けた。ビーカーに蓋をして、気化によるロスを最小限にした。媒体を攪拌しながら、60〜80℃の間の温度まで加温した。バインダーが分解して、粘着性のある粘性液体になるまで、PVBを添加し、攪拌した。(約15分)混合後、液色がよりはっきりとした状態になった。
【0084】
攪拌中、分散剤とPEGとを液体に加えた。ホットプレートを止めて、混合物を5分間攪拌した。ポリエチレン容器に、暖かい内容物を注いだ。(10mm径)の窒化ケイ素ボールミルを、微粉砕のため容器に加えた。ポリエチレンの蓋を容器の開端に取り付け、混合物の漏れ又は媒体の気化を最小限にした。
【0085】
ミリング容器を開いて、予備荷重された窒化ケイ素パウダーを加えた。容器を閉じて、60rpmの速度で回転させたミリング装置に設置した。混合物を6時間粉砕して、完全に混合させた。
【0086】
次いで、組成物を使用して、シリカ坩堝(68cm×68cm×42cm)の内面を被覆した。フォーム・アプリケーターを使用して表面を滑らかにして、塗布した。まず、組成物を坩堝の角に塗布し、次いで、垂直壁に塗布し、次いで、坩堝の底部に塗布した。相当の量の媒体を気化して、ドリップの表面をスキンさせる前に、パドリング又はドリッピングを行った。換気した場所で、室温で大気中約30〜45分間組成物を乾燥させた。組成物を3回以上乾燥と塗布を繰り返して、4層のコーティングを作製した。
【0087】
300〜400℃の温度まで2時間加熱することにより、バインダー、分散剤および可塑剤を取り除いた。次いで、1100℃の温度まで3時間坩堝を加熱して、コーティングを焼結させた。焼結前のコーティングの厚さが290μm〜325μmであったのに対し、焼結後のコーティングの厚さは、400μmであった。270kgのシリコン充填物を被覆坩堝に加えて、一方向に凝固させた。凝固したインゴットをうまく坩堝から取り出した。
【0088】
(表1)実施例1のコーティング組成物の成分の重量含有割合

【0089】
実施例2:イットリアを含んで成る窒化ケイ素コーティング組成物での坩堝の被覆
イットリアの量を増やして、表2に示される組成物1〜3を作製した。所望の窒化ケイ素と添加剤との質量比を考慮して、所望の混合物の部分をはかり分けた。窒化ケイ素とイットリアとを混合し、その媒体に、分散剤、PVB、およびPEGを順に加えた。混合物を5分間機械的に混合した。
【0090】
(表2)実施例2のコーティング組成物のコンポーネントの重量含有割合

【0091】
次いで、組成物を使用して、いくつかの坩堝の内面を被覆した。シリカ坩堝に各組成物を塗り広げて、400μmの厚さにした。被覆坩堝を3時間400℃まで加熱して、次いで、4時間1100℃まで加熱した。加熱の間、60トルのアルゴンガスを使用した。残留炭素を考慮しないと、表3に示す重量割合で、コーティングは窒化ケイ素とイットリアとを含んで成った。
【0092】
(表3)実施例2のコーティングの成分の重量含有割合

【0093】
イットリアの濃度が増加すると、コーティングの坩堝への付着力が改善した。組成物3から生成されるコーティングが、坩堝へ最も付着し易いことが分かった。
【0094】
実施例3:流動性を維持するための媒体量の調整
表4に示される組成物A〜Dを、シリカ、アルミナおよびイットリアの量を増やして作製した。組成物を作製して、実施例2に示す坩堝に塗布した。組成物が十分な流動特性を得られるまで、分散剤の量を各組成物で増やした。
【0095】
(表4)実施例3のコーティング組成物の成分の重量含有割合

【0096】
次いで、組成物を使用して、100μmの厚さまでいくつかのシリカ坩堝の内面の一部を被覆した。次いで、被覆坩堝を3時間400℃まで加熱して、次いで、4時間1100℃まで加熱した。加熱の間、60トルのアルゴンガスを使用した。残留炭素を考慮しないと、表5に示す重量割合で、コーティングは窒化ケイ素、イットリア、シリカおよびアルミナを含んで成った。
【0097】
(表5)実施例3のコーティングの成分の重量含有割合

【0098】
坩堝内面の頂部10%のみをイットリアコーティング組成物で被覆した。各坩堝の内面の残りを、表1のコーティング組成物で被覆した。
【0099】
コーティング中のイットリア、シリカおよびアルミナの量を増やすと、コーティングの坩堝への付着力が改善した。組成物Dから生成されるコーティングが、最も坩堝に付着しやすいことが分かった。
【0100】
実施例4:酸化物添加剤の無いコーティング組成物の作製と酸化物添加剤(シリカ)を含んで成るコーティング組成物の作製
コーティングの不良を避けるため(例えば、坩堝上のコーティングの連続性を確保し、ピンホールを避けるため)、表6に示される組成物を開始組成物として使用し、調整することで、適当な流動性を確保してもよい。第1コーティング組成物は、酸化物添加剤を含んで成っておらず、坩堝の低部に使用する上で適当である。第2コーティング組成物は、添加剤としてシリカを含んで成っており、坩堝の上部に使用する上で適当である。
【0101】
(表6)実施例4のコーティング組成物の成分の重量含有割合

【0102】
実施例5:商業的に利用可能なインゴットと本発明の被覆坩堝を使用して作製したインゴットとの酸素量の比較
(下記の)表7の3〜7行目より、標準的な多結晶インゴットと表1の組成物で被覆し、乾燥し、アルゴン雰囲気で焼結させたシリカ坩堝で凝固させた多結晶インゴットとの酸素量を比較した。コーティングの厚さは、400μmであった。ブリックから水平に切った2mmの厚さの材料のサンプルを、様々なインゴット凝固率(高さ)で凝固させた。図5に示すように、坩堝の高さに沿った様々な点で生じる酸素濃度のデータ点を、プロットで直線により補間した。
【0103】
実施例6:乾燥の間のコーティングの炭素量の決定
表1のコーティング組成物をいくつかのシリカ坩堝に塗布し、異なる熱処理を行った。結果は、下記の表7に示すとおりである。(可塑剤、バインダー、分散剤等を取り除くために、)熱処理を2時間以上行った。焼きぬきから焼結を2時間以上行った。
【0104】
(表7)異なる熱処理を実施した後の坩堝コーティングの残留炭素

【0105】
表7から分かるように、400℃での熱処理温度は、一般的に坩堝コーティングから炭素をほとんど取り除くには十分である。
【0106】
本発明の要素又は好ましい態様を導く際、冠詞“a”、“an” 、“the”および“said”は1つ又はそれよりも多い要素があることを意味している。用語“comprising”、“including”および“having”は、含んだという意味であり、列挙した要素以外に追加要素があってよいことを意味している。
【0107】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記装置および方法に種々の変更がされ得る。上記記載に含まれ、添付図に示される内容は、例示であって、これに限定されるものではないと解釈されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融した半導体材料を保持するための坩堝であって、
底部および該底部から上方に延在する側壁を有し、該底部および該側壁は、前記半導体材料を保持するキャビティーを規定し、また、該側壁が内面および外面を有するボディ;、
前記側壁の前記内面の第1領域上に設けられた第1コーティング;ならびに
前記側壁の前記内面の第2領域上に設けられた第2コーティング
を有して成り、
前記第2コーティングは、前記第1コーティングにはない添加剤を含んで成る、坩堝。
【請求項2】
第1コーティングは坩堝の底部から高さHまで延在し、第2コーティングはH付近から高さHまで延在する、請求項1に記載の坩堝。
【請求項3】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約50%である、請求項2に記載の坩堝。
【請求項4】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約60%、又は側壁の高さの少なくとも約75%又は少なくとも約90%である、請求項2又は3に記載の坩堝。
【請求項5】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項2又は3に記載の坩堝。
【請求項6】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項2又は3に記載の坩堝。
【請求項7】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約70%である、請求項2に記載の坩堝。
【請求項8】
坩堝底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約75%又は側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項7に記載の坩堝。
【請求項9】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項7に記載の坩堝。
【請求項10】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項7に記載の坩堝。
【請求項11】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約85%である、請求項2に記載の坩堝。
【請求項12】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項1〜11のいずれかに記載の坩堝。
【請求項13】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項12に記載の坩堝。
【請求項14】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項12に記載の坩堝。
【請求項15】
第1コーティングが窒化ケイ素を含んで成る、請求項1〜14のいずれかに記載の坩堝。
【請求項16】
第1コーティングは、窒化ケイ素と炭素とから基本的に構成される、請求項15に記載の坩堝。
【請求項17】
第1コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項15に記載の坩堝。
【請求項18】
第2コーティングが、窒化ケイ素と焼結剤とを含んで成る、請求項1〜17のいずれかに記載の坩堝。
【請求項19】
第2コーティングが、窒化ケイ素を少なくとも約40重量%、窒化ケイ素を少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%含んで成る、請求項18に記載の坩堝。
【請求項20】
第2コーティングが、焼結剤としてイットリアを少なくとも約0.5重量%、又は、焼結剤としてイットリアを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項18又は19に記載の坩堝。
【請求項21】
第2コーティングが、焼結剤としてシリカを少なくとも約0.5重量%、又は、焼結剤としてシリカを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項18〜20のいずれかに記載の坩堝。
【請求項22】
第2コーティングが、焼結剤としてアルミナを少なくとも約0.5重量%、又は、焼結剤としてアルミナを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項18〜21のいずれかに記載の坩堝。
【請求項23】
第2コーティングは、窒化ケイ素、焼結剤および炭素から基本的に構成される、請求項18〜20のいずれかに記載の坩堝。
【請求項24】
焼結剤が、イットリア、シリカ、アルミナおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項23に記載の坩堝。
【請求項25】
焼結剤がイットリアである、請求項23に記載の坩堝。
【請求項26】
焼結剤がシリカである、請求項23に記載の坩堝。
【請求項27】
第2コーティングが約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項18〜26のいずれかに記載の坩堝。
【請求項28】
第2コーティング組成物中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項18に記載の坩堝。
【請求項29】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項1〜28のいずれかに記載の坩堝。
【請求項30】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項1〜28のいずれかに記載の坩堝。
【請求項31】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項1〜28のいずれかに記載の坩堝。
【請求項32】
坩堝底部の内面が第1コーティングで被覆されている、請求項1〜31のいずれかに記載の坩堝。
【請求項33】
第1コーティングの厚さは、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm、又は約50μm〜約1000μmである、請求項1〜32のいずれかに記載の坩堝。
【請求項34】
第2コーティングの厚さは、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項1〜33のいずれかに記載の坩堝。
【請求項35】
坩堝が直方体形状である、請求項1〜34のいずれかに記載の坩堝。
【請求項36】
第1コーティングと第2コーティングとを形成するために、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物で坩堝を被覆することにより、坩堝が作製される、請求項1〜35のいずれかに記載の坩堝。
【請求項37】
第1コーティングと第2コーティングとが坩堝側壁の一部に沿って重なるように、第2コーティングがHよりも下方に延在する、請求項2、15〜36のいずれかに記載の坩堝。
【請求項38】
が凝固線Sよりも上方へ延在する、請求項37に記載の坩堝。
【請求項39】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項37又は38に記載の坩堝。
【請求項40】
第1コーティングは、重なり合うコーティングの部分の内、坩堝の側壁と第2コーティングとの間に位置する、請求項37〜39のいずれかに記載の坩堝。
【請求項41】
第2コーティングは、重なり合うコーティングの部分の内、坩堝の側壁と第1コーティングとの間に位置する、請求項37〜39のいずれかに記載の坩堝。
【請求項42】
多結晶シリコン・インゴットの作製方法であって、
請求項1〜41のいずれかに記載の坩堝にポリ結晶シリコンを充填すること、
シリコン溶融物を形成するために、シリコン充填物の溶融温度付近よりも高い温度までシリコン充填物を加熱すること、および
多結晶シリコン・インゴットを形成するために、シリコン溶融物を一方向に凝固することを含んで成る方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法により作製される多結晶シリコン・インゴット。
【請求項44】
多結晶シリコン・ウェーハを作製する方法であって、
請求項42に記載の多結晶シリコン・インゴットを作製すること、およびインゴットを切ってウェーハを作製することを含んで成る、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法により作製される多結晶シリコン・ウェーハ。
【請求項46】
坩堝のインゴット取り出し特性を向上させる方法であって、
前記坩堝が、底部と該底部から延在する側壁を有するボディを有して成り、
前記底部と前記側壁とが、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定し、
前記側壁が、内面と外面とを有し、
前記側壁の前記内面の第1領域に第1コーティング組成物を塗布すること、および
前記側壁の前記内面の第2領域に第2コーティング組成物を塗布することを含んで成る方法。
【請求項47】
第1コーティング組成物を坩堝の底部から高さHまで側壁の内面に塗布し、又、第2コーティング組成物をH付近から高さHまで坩堝の内面に塗布する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約50%である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約60%、側壁の高さの少なくとも約75%又は少なくとも約90%である、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項47又は48に記載の坩堝。
【請求項51】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項47又は48に記載の坩堝。
【請求項52】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約70%である、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約75%又は側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項52に記載の坩堝。
【請求項55】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項52に記載の坩堝。
【請求項56】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約85%である、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項57に記載の坩堝。
【請求項59】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項58に記載の坩堝。
【請求項60】
第2コーティング組成物が、第1コーティング組成物にはない添加剤を含んで成る、請求項46〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
第1コーティング組成物が媒体、窒化ケイ素およびコーティングの坩堝への付着力を高めるためのバインダーを含んで成る、請求項46〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
窒化ケイ素が媒体中に分散される微粒子である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
第1コーティング組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%の窒化ケイ素、少なくとも約30重量%の窒化ケイ素、約5重量%〜約50重量%の窒化ケイ素、約15重量%〜約50重量%の窒化ケイ素、約10重量%〜約40重量%の窒化ケイ素、約30重量%〜約40重量%の窒化ケイ素又は約37重量%〜約37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
媒体がイソプロピルアルコールである、請求項61〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
第1コーティング組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、少なくとも約30重量%の媒体、少なくとも約50重量%の媒体、少なくとも約70重量%の媒体、約10重量%〜約80重量%の媒体、約30重量%〜約70重量%の媒体、約40重量%〜約60重量%の媒体、約45重量%〜約55重量%の媒体又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項61〜65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
バインダーがポリビニル・ブチラールである、請求項61〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
第1コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダー、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項61〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記組成物が、メチルオキシラン・ポリマー分散剤を含んで成る、請求項61〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
第1コーティング組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項61〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
第1コーティング組成物が、ポリエチレングリコール可塑剤を含んで成る、請求項61〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
第1コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項61〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
第2コーティング組成物が、媒体、窒化ケイ素および焼結剤を含んで成る、請求項61〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
窒化ケイ素と焼結剤とが、媒体中に分散される微粒子である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
第2コーティング組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%、少なくとも約30重量%、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%又は約37重量%〜約37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項73又は74に記載の方法。
【請求項76】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項73〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
媒体がイソプロピルアルコールである、請求項73〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
第2コーティング組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、又は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項73〜77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
第2コーティング組成物が、ポリビニル・ブチラール・バインダーを含んで成る、請求項73〜78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
第2コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダー、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項73〜79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
第2コーティング組成物が、メチルオキシラン・ポリマー分散剤を含んで成る、請求項73〜80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
第2コーティング組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤、又は少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項73〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
第2コーティング組成物が、ポリエチレングリコール可塑剤を含んで成る、請求項73〜82のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
第2コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項73〜83のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
第2コーティング組成物が、焼結剤として少なくとも約0.1重量%のイットリア、又は焼結剤として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約12重量%、約0.1重量%〜約40重量%又は約0.1重量%〜約20重量%のイットリアを含んで成る、請求項73〜84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
第2コーティング組成物中のイットリアと窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項73〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
第2コーティング組成物が、焼結剤として少なくとも約0.1重量%のシリカ、又は焼結剤として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約5重量%又は約1重量%〜約5重量%のシリカを含んで成る、請求項73〜86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
第2コーティング組成物が、焼結剤として少なくとも約0.1重量%のアルミナ、又は焼結剤として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約4重量%又は約1重量%〜約5重量%のアルミナを含んで成る、請求項73〜87のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項46〜88のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項46〜88のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項46〜88のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
第1コーティング組成物を坩堝の底部に塗布する、請求項46〜91のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
第1コーティング組成物から媒体を気化すること、又、第2コーティング組成物から媒体を気化することを含んで成る、請求項46〜92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
第1コーティング組成物又は第2コーティング組成物を複数回塗布することを含んで成る、請求項46〜93のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
第1コーティング組成物と第2コーティング組成物とを坩堝側壁に塗布する、請求項46〜94のいずれかに記載の方法。
【請求項96】
第1コーティング組成物と第2コーティング組成物とを坩堝側壁に噴霧する、請求項46〜94のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
第1コーティング組成物と第2コーティング組成物の塗布後、少なくとも約150℃の温度まで坩堝を加熱すること、又は、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物の塗布後、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃又は少なくとも約400℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項46〜96のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項96又は97に記載の方法。
【請求項99】
第1コーティング組成物と第2コーティング組成物の塗布後、少なくとも約1000℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項46〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
第1コーティング組成物と第2コーティング組成物の塗布後、少なくとも約1100℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項46〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項99又は100に記載の方法。
【請求項102】
坩堝を、アルゴン、窒素およびヘリウムから成る群から選択される雰囲気で加熱する、請求項97〜101のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
第2コーティング組成物をH以下に塗布して、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物とを坩堝側壁の一部に重ねて塗布する、請求項47および60〜102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
が凝固線Sよりも上方へ延在する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項106】
第1コーティング組成物を、第2コーティング組成物の塗布前に塗布する、請求項103〜105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
第2コーティング組成物を、第1コーティング組成物の塗布前に塗布する、請求項103〜105のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
溶融した半導体材料を保持するための坩堝であって、
底部と該底部から延在する側壁を有するボディ、および側壁の内面の一部上にあるコーティングを含んで成り、
底部と側壁とが半導体材料を保持するためのキャビティーを規定し、
側壁が内面と外面とを有し、
コーティングが、窒化ケイ素と、イットリアとシリカとから選択される焼結剤とを含んで成る、坩堝。
【請求項109】
コーティングが、少なくとも約40重量%の窒化ケイ素、又は、少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項108に記載の坩堝。
【請求項110】
コーティングが、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%のイットリアを含んで成る、請求項108又は109に記載の坩堝。
【請求項111】
コーティングが、少なくとも約0.5重量%のシリカ、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%のシリカを含んで成る、請求項108〜110のいずれかに記載の坩堝。
【請求項112】
コーティングが、少なくとも約0.5重量%のアルミナ、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は約0.5重量%〜約25重量%のアルミナを含んで成る、請求項108〜111のいずれかに記載の坩堝。
【請求項113】
コーティングが、窒化ケイ素、焼結剤および炭素から基本的に構成される、請求項108〜110のいずれかに記載の坩堝。
【請求項114】
焼結剤が、イットリア、シリカ、アルミナおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項113に記載の坩堝。
【請求項115】
焼結剤がイットリアである、請求項113に記載の坩堝。
【請求項116】
焼結剤がシリカである、請求項113に記載の坩堝。
【請求項117】
コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項108〜116のいずれかに記載の坩堝。
【請求項118】
コーティング組成物中のイットリアと窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項108に記載の坩堝。
【請求項119】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項108〜118のいずれかに記載の坩堝。
【請求項120】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項108〜118のいずれかに記載の坩堝。
【請求項121】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項108〜118のいずれかに記載の坩堝。
【請求項122】
坩堝底部の内面がコーティングで被覆されている、請求項108〜121のいずれかに記載の坩堝。
【請求項123】
コーティングの厚さが、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項108〜122のいずれかに記載の坩堝。
【請求項124】
坩堝が直方体形状である、請求項108〜122のいずれかに記載の坩堝。
【請求項125】
コーティングは、側壁の内面の全体にわたって延在する、請求項108〜124のいずれかに記載の坩堝。
【請求項126】
コーティングは、高さHから高さHまで延在する、請求項108〜124のいずれかに記載の坩堝。
【請求項127】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約50%である、請求項126に記載の坩堝。
【請求項128】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約60%、又は側壁高さの少なくとも約75%又は少なくとも約90%である、請求項126又は127に記載の坩堝。
【請求項129】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項126又は127に記載の坩堝。
【請求項130】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項126又は127に記載の坩堝。
【請求項131】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約70%である、請求項126に記載の坩堝。
【請求項132】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約75%又は側壁高さの少なくとも約90%である、請求項131に記載の坩堝。
【請求項133】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項131に記載の坩堝。
【請求項134】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項131に記載の坩堝。
【請求項135】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約85%である、請求項126に記載の坩堝。
【請求項136】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約90%である、請求項135に記載の坩堝。
【請求項137】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項135に記載の坩堝。
【請求項138】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項135に記載の坩堝。
【請求項139】
が坩堝の付近である、請求項126に記載の坩堝。
【請求項140】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約25%、又は側壁高さの少なくとも約50%又は少なくとも約75%である、請求項139に記載の坩堝。
【請求項141】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項139に記載の坩堝。
【請求項142】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項139に記載の坩堝。
【請求項143】
坩堝を準備して、坩堝をコーティング組成物で被覆することにより、コーティングが形成される、請求項108〜142のいずれかに記載の坩堝。
【請求項144】
多結晶シリコン・インゴットの作製方法であって、
ポリ結晶シリコンを請求項108〜142のいずれかに記載の坩堝に充填すること、
シリコン充填物を、該充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで加熱すること、および
シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成することを含んで成る、方法。
【請求項145】
請求項144の方法により作製される多結晶シリコン・インゴット。
【請求項146】
請求項144に記載の方法により、多結晶シリコン・インゴットを作製し、該インゴットを切ってウェーハを生産することを含んで成る、方法。
【請求項147】
請求項146の方法により生産される多結晶シリコン・ウェーハ。
【請求項148】
坩堝のインゴット取り出し特性を向上させる方法であって、
前記坩堝が、底部と該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有して成り、
底部と側壁とが、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定し、
側壁が内面と外面とを有し、
前記方法が、組成物を側壁の内面の一部に塗布することを含んで成り、
組成物が、媒体、窒化ケイ素、およびイットリアとシリカとから選択される焼結剤を含んで成る、方法。
【請求項149】
窒化ケイ素と焼結剤とが、媒体中に分散される微粒子である、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%、少なくとも約30重量%、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%又は約37重量%〜約37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項148又は149に記載の方法。
【請求項151】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項148〜150のいずれかに記載の方法。
【請求項152】
媒体がイソプロピルアルコールである、請求項148〜150のいずれかに記載の方法。
【請求項153】
組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、又は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項148〜152のいずれかに記載の方法。
【請求項154】
組成物が、ポリビニル・ブチラールを含んで成る、請求項148〜153のいずれかに記載の方法
【請求項155】
組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダー、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項148〜154のいずれかに記載の方法。
【請求項156】
組成物が、分散剤を含んで成る、請求項148〜155のいずれかに記載の方法。
【請求項157】
分散剤が、メチルオキシラン・ポリマーである、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤、又は少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項148〜157のいずれかに記載の方法。
【請求項159】
コーティング組成物が可塑剤を含んで成る、請求項148〜158のいずれかに記載の方法。
【請求項160】
可塑剤が、ポリエチレングリコールである、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項148〜160のいずれかに記載の方法。
【請求項162】
組成物が、少なくとも約0.1重量%のイットリア、又は少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約12重量%、約0.1重量%〜約40重量%のイットリア又は約0.1重量%〜約20重量%のイットリアを含んで成る、請求項148〜161のいずれかに記載の方法。
【請求項163】
組成物中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項148〜162のいずれかに記載の方法。
【請求項164】
組成物が、少なくとも約0.1重量%のシリカ、又は少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約5重量%又は約1重量%〜約5重量%のシリカを含んで成る、請求項148〜163のいずれかに記載の方法。
【請求項165】
組成物が、少なくとも約0.1重量%のアルミナ、又は少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約4重量%又は約1重量%〜約5重量%のアルミナを含んで成る、請求項148〜164のいずれかに記載の方法。
【請求項166】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項148〜165のいずれかに記載の方法。
【請求項167】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項148〜165のいずれかに記載の方法。
【請求項168】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項148〜165のいずれかに記載の方法。
【請求項169】
コーティングを坩堝の底部に塗布する、請求項148〜168のいずれかに記載の方法。
【請求項170】
媒体を組成物から気化させることを含んで成る、請求項148〜169のいずれかに記載の方法。
【請求項171】
複数回組成物を塗布させることを含んで成る、請求項148〜170のいずれかに記載の方法。
【請求項172】
組成物を坩堝側壁に塗布する、請求項148〜171のいずれかに記載の方法。
【請求項173】
組成物を坩堝側壁に噴霧する、請求項148〜171のいずれかに記載の方法。
【請求項174】
組成物の塗布後、少なくとも約150℃、又は、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物との塗布後、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃又は少なくとも約400℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項148〜173のいずれかに記載の方法。
【請求項175】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
組成物の塗布後、少なくとも約1000℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項148〜175のいずれかに記載の方法。
【請求項177】
組成物の塗布後、少なくとも約1100℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項148〜175のいずれかに記載の方法。
【請求項178】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項176又は177に記載の方法。
【請求項179】
坩堝を、アルゴン、窒素およびヘリウムから成る群から選択される雰囲気で加熱する、請求項174〜178のいずれかに記載の方法。
【請求項180】
組成物を側壁内面全体にわたって塗布する、請求項148〜179のいずれかに記載の方法。
【請求項181】
坩堝のインゴット取り出し特性を向上させる方法であって、
前記坩堝が、底部と該底部から上方に延在する側壁を有するボディを有して成り、
底部と側壁とが、半導体材料を保持するためのキャビティーを規定し、
側壁が内面と外面とを有し、
前記方法が、組成物を側壁の内面の一部に塗布することを含んで成り、
組成物が、媒体、窒化ケイ素、分散剤、およびコーティングの坩堝への付着力を高めるためのバインダーを含んで成る、方法。
【請求項182】
窒化ケイ素が、媒体中に分散される微粒子である、請求項181に記載の方法。
【請求項183】
組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%、少なくとも約30重量%、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%又は約37重量%〜約37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項181又は182に記載の方法。
【請求項184】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項181〜183のいずれかに記載の方法。
【請求項185】
媒体が、イソプロピルアルコールである、請求項181〜183のいずれかに記載の方法。
【請求項186】
組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、又は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項181〜185のいずれかに記載の方法。
【請求項187】
バインダーがポリビニル・ブチラールである、請求項181〜186のいずれかに記載の方法。
【請求項188】
組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダー、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項181〜187のいずれかに記載の方法。
【請求項189】
分散剤が、メチルオキシラン・ポリマーである、請求項181〜188のいずれかに記載の方法。
【請求項190】
組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤、又は少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項181〜189のいずれかに記載の方法。
【請求項191】
可塑剤を含んで成る、請求項181〜190のいずれかに記載の方法。
【請求項192】
可塑剤が、ポリエチレングリコールである、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項181〜192のいずれかに記載の方法。
【請求項194】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項181〜193のいずれかに記載の方法。
【請求項195】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項181〜193のいずれかに記載の方法。
【請求項196】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項181〜193のいずれかに記載の方法。
【請求項197】
コーティングを坩堝の底部に塗布する、請求項181〜196のいずれかに記載の方法。
【請求項198】
組成物から媒体を気化させることを含んで成る、請求項181〜197のいずれかに記載の方法。
【請求項199】
複数回組成物を塗布させることを含んで成る、請求項181〜198のいずれかに記載の方法。
【請求項200】
組成物を坩堝側壁に塗布する、請求項181〜199のいずれかに記載の方法。
【請求項201】
組成物を坩堝側壁に噴霧する、請求項181〜199のいずれかに記載の方法。
【請求項202】
組成物の塗布後、少なくとも約150℃、又は、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物との塗布後、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃又は少なくとも約400℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項181〜201のいずれかに記載の方法。
【請求項203】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
組成物の塗布後、少なくとも約1000℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項181〜203のいずれかに記載の方法。
【請求項205】
組成物の塗布後、少なくとも約1100℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項181〜203のいずれかに記載の方法。
【請求項206】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項204又は205に記載の方法。
【請求項207】
坩堝を、アルゴン、窒素およびヘリウムから成る群から選択される雰囲気で加熱する、請求項202〜206のいずれかに記載の方法。
【請求項208】
組成物を側壁内面全体にわたって塗布する、請求項181〜207のいずれかに記載の方法。
【請求項209】
坩堝の内面を被覆して、坩堝のインゴット取り出し特性を改善する組成物であって、
焼結剤として、媒体、窒化ケイ素、バインダーおよび焼結剤を含んで成る、組成物。
【請求項210】
窒化ケイ素と焼結剤とが、媒体中に分散される微粒子である、請求項209に記載の組成物。
【請求項211】
コーティング組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%、少なくとも約30重量%、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%又は約37重量%〜約37.7重量%の窒化ケイ素を含んで成る、請求項209又は210に記載の組成物。
【請求項212】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項209〜211のいずれかに記載の組成物。
【請求項213】
媒体がイソプロピルアルコールである、請求項209〜211のいずれかに記載の組成物。
【請求項214】
コーティング組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、又は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項209〜213のいずれかに記載の組成物。
【請求項215】
バインダーがポリビニル・ブチラールである、請求項209〜214のいずれかに記載の組成物。
【請求項216】
コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダー、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項209〜215のいずれかに記載の組成物。
【請求項217】
メチルオキシラン・ポリマー分散剤を含んで成る、請求項209〜216のいずれかに記載の組成物。
【請求項218】
コーティング組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤、又は少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項209〜217のいずれかに記載の組成物。
【請求項219】
ポリエチレングリコール可塑剤、請求項209〜218のいずれかに記載の組成物。
【請求項220】
コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項209〜219のいずれかに記載の組成物。
【請求項221】
コーティング組成物が、焼結剤として少なくとも約0.1重量%のイットリア、又は焼結剤として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約12重量%、約0.1重量%〜約40重量%又は約0.1重量%〜約20重量%のイットリアを含んで成る、請求項209〜220のいずれかに記載の組成物。
【請求項222】
コーティング組成物中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項209〜221のいずれかに記載の組成物。
【請求項223】
コーティング組成物が、少なくとも約0.1重量%の焼結剤としてのシリカ、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約5重量%又は約1重量%〜約5重量%の焼結剤としてのシリカを含んで成る、請求項209〜222のいずれかに記載の組成物。
【請求項224】
コーティング組成物が、焼結剤として少なくとも約0.1重量%のアルミナ、又は焼結剤として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約4重量%又は約1重量%〜約5重量%のアルミナを含んで成る、請求項209〜223のいずれかに記載の方法。
【請求項225】
坩堝の内面を被覆して、坩堝のインゴット取り出し特性を改善する組成物であって、
媒体、窒化ケイ素、分散剤およびコーティングの坩堝への付着力を高めるためのバインダーを含んで成る、組成物。
【請求項226】
窒化ケイ素が、媒体中に分散される微粒子である、請求項225に記載の組成物。
【請求項227】
組成物が、少なくとも約5重量%の窒化ケイ素、又は少なくとも約15重量%、少なくとも約30重量%、約5重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%又は約37重量%〜約37.228を含んで成る、請求項225又は226に記載の組成物。
【請求項228】
媒体がC1〜C10のアルコールである、請求項225〜227のいずれかに記載の組成物。
【請求項229】
媒体がイソプロピルアルコールである、請求項225〜227のいずれかに記載の組成物。
【請求項230】
組成物が、少なくとも約10重量%の媒体、又は少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、約10重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、約45重量%〜約55重量%又は約47.9重量%〜約50.6重量%の媒体を含んで成る、請求項225〜229のいずれかに記載の組成物。
【請求項231】
バインダーがポリビニル・ブチラールである、請求項225〜230のいずれかに記載の組成物。
【請求項232】
組成物が、少なくとも約0.5重量%のバインダーを含んで成る、請求項225〜231のいずれかに記載の組成物。
【請求項233】
組成物が、少なくとも約2重量%のバインダー、又は少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約2重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約6.8重量%のバインダーを含んで成る、請求項225〜231のいずれかに記載の組成物。
【請求項234】
分散剤が、メチルオキシラン・ポリマーである、請求項225〜233のいずれかに記載の組成物。
【請求項235】
組成物が、少なくとも約0.05重量%の分散剤を含んで成る、請求項225〜234のいずれかに記載の組成物。
【請求項236】
組成物が、少なくとも約0.1重量%の分散剤、又は少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約2.5重量%又は約1.6重量%〜約2.1重量%の分散剤を含んで成る、請求項225〜234のいずれかに記載の組成物。
【請求項237】
可塑剤を含んで成る、請求項225〜236のいずれかに記載の組成物。
【請求項238】
可塑剤がポリエチレングリコールである、請求項237のいずれかに記載の組成物。
【請求項239】
コーティング組成物が、少なくとも約0.5重量%の可塑剤、又は少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約12重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%又は約5.4重量%〜約5.8重量%の可塑剤を含んで成る、請求項225〜238のいずれかに記載の組成物。
【請求項240】
多結晶シリコン・インゴットの作製方法であって、
ポリ結晶シリコンを被覆坩堝に充填して、シリコン充填物を形成すること、
前記シリコン充填物を、該充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成すること、および
前記シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成することを含んで成り、
前記坩堝が、底部と該底部から延在する側壁を有するボディを有し、
前記底部と前記側壁とが、前記充填物を保持するためのキャビティーを規定し、
前記側壁が、内面と外面とを有し、
前記坩堝が、前記側壁の前記内面の第1領域上に第1コーティングを、又、前記側壁の前記内面の第2領域上に第2コーティングを有し、
前記第2コーティングが、前記第1コーティングにはない添加剤を含んで成る、方法。
【請求項241】
第1コーティングは坩堝の底部から高さHまで延在し、第2コーティングはH付近から高さHまで延在する、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約50%である、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約60%、側壁の高さの少なくとも約75%又は少なくとも約90%である、請求項241又は242に記載の方法。
【請求項244】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項241又は242に記載の方法。
【請求項245】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項241又は242に記載の方法。
【請求項246】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約70%である、請求項241に記載の方法。
【請求項247】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約75%又は側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項246に記載の方法。
【請求項249】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項246に記載の方法。
【請求項250】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約85%である、請求項241に記載の方法。
【請求項251】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁の高さの少なくとも約90%である、請求項250に記載の方法。
【請求項252】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項251に記載の方法。
【請求項253】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項251に記載の方法。
【請求項254】
第1コーティングが窒化ケイ素を含んで成る、請求項240〜253のいずれかに記載の方法。
【請求項255】
第1コーティングは、窒化ケイ素と炭素とから基本的に構成される、請求項254に記載の方法。
【請求項256】
第1コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項254に記載の方法。
【請求項257】
第2コーティングが、窒化ケイ素と焼結剤とを含んで成る、請求項240〜256のいずれかに記載の方法。
【請求項258】
第2コーティングが、窒化ケイ素を少なくとも約40重量%、又は窒化ケイ素を少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%含んで成る、請求項257に記載の方法。
【請求項259】
第2コーティングが、焼結剤を含んで成る、請求項257又は258に記載の方法。
【請求項260】
第2コーティングが、焼結剤としてイットリアを少なくとも約1重量%、又は、焼結剤としてイットリアを少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項257〜259のいずれかに記載の坩堝。
【請求項261】
第2コーティングが、シリカを少なくとも約0.5重量%、又は、シリカを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項257〜260のいずれかに記載の方法。
【請求項262】
第2コーティングが、アルミナを少なくとも約0.5重量%、又は、アルミナを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項257〜261のいずれかに記載の方法。
【請求項263】
第2コーティングは、窒化ケイ素、焼結剤および炭素から基本的に構成される、請求項257〜260のいずれかに記載の方法。
【請求項264】
焼結剤が、イットリア、シリカ、アルミナおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項263に記載の方法。
【請求項265】
焼結剤がイットリアである、請求項263に記載の方法。
【請求項266】
焼結剤がシリカである、請求項263に記載の方法。
【請求項267】
第2コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項257〜266のいずれかに記載の方法。
【請求項268】
第2コーティング組成物中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項257に記載の方法。
【請求項269】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項240〜268のいずれかに記載の方法。
【請求項270】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項240〜268のいずれかに記載の方法。
【請求項271】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項240〜268のいずれかに記載の方法。
【請求項272】
坩堝底部の内面を第1コーティングで被覆する、請求項240〜271のいずれかに記載の方法。
【請求項273】
第1コーティングの厚さは、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項240〜272のいずれかに記載の方法。
【請求項274】
第2コーティングの厚さは、少なくとも約50μmである、又は少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項240〜273のいずれかに記載の坩堝。
【請求項275】
シリコン充填物を少なくとも約1410℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項240〜274のいずれかに記載の方法。
【請求項276】
シリコン充填物を少なくとも約1450℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項240〜274のいずれかに記載の方法。
【請求項277】
坩堝が直方体形状である、請求項240〜276のいずれかに記載の方法。
【請求項278】
インゴットは、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する、請求項240〜277のいずれかに記載の方法。
【請求項279】
ポリ結晶シリコンを坩堝に充填する前に、第1コーティング組成物と第2コーティング組成物で坩堝を被覆し、第1コーティングと第2コーティングとを形成することを含んで成る、請求項240〜278のいずれかに記載の方法。
【請求項280】
シリコン充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで、シリコン充填物を加熱する工程の間に、坩堝を焼結する、請求項240〜279のいずれかに記載の方法。
【請求項281】
第1コーティングと第2コーティングとが坩堝側壁の一部に沿って重なるように、第2コーティングがHよりも下方に延在する、請求項241および254〜279のいずれかに記載の方法。
【請求項282】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項281に記載の方法。
【請求項283】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項281又は282に記載の方法。
【請求項284】
第1コーティングが、坩堝側壁と重なるコーティングの部分内にある第2コーティングとの間に設けられる、請求項281〜283のいずれかに記載の方法。
【請求項285】
第2コーティングが、坩堝側壁と重なるコーティングの部分内にある第1コーティングとの間に設けられる、請求項281〜283のいずれかに記載の方法。
【請求項286】
請求項240〜285のいずれかに記載の方法により作製される、多結晶シリコン・インゴット。
【請求項287】
多結晶シリコン・ウェーハを作製する方法であって、
請求項240〜285のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴットを作製すること、およびインゴットを切ってウェーハを生産することを含んで成る、方法。
【請求項288】
請求項287に記載の方法により生産される多結晶シリコン・ウェーハ。
【請求項289】
多結晶シリコン・インゴットの作製方法であって、
ポリ結晶シリコンを被覆坩堝に充填して、シリコン充填物を形成すること、
前記シリコン充填物を、該充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成すること、および
前記シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成することを含んで成り、
前記坩堝が、底部と該底部から延在する側壁を有するボディを有し、
前記底部と前記側壁とが、前記充填物を保持するためのキャビティーを規定し、
前記側壁が、内面と外面とを有し、
前記坩堝が、前記側壁の前記内面の一部上にコーティングを有し、
前記コーティングが、窒化ケイ素およびイットリアとシリカとから選択される焼結剤を含んで成る、方法。
【請求項290】
コーティングが、窒化ケイ素を少なくとも約40重量%、又は窒化ケイ素を少なくとも約60重量%又は少なくとも約80重量%含んで成る、請求項289に記載の方法。
【請求項291】
コーティングが、イットリアを少なくとも約0.5重量%、又は、イットリアを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項289又は290に記載の方法。
【請求項292】
コーティングが、シリカを少なくとも約0.5重量%、又は、シリカを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項289〜291のいずれかに記載の方法。
【請求項293】
コーティングが、アルミナを少なくとも約0.5重量%、アルミナを少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%又は約0.5重量%〜約25重量%含んで成る、請求項289〜292のいずれかに記載の方法。
【請求項294】
コーティングが、窒化ケイ素、焼結剤および炭素から基本的に構成される、請求項289〜292のいずれかに記載の方法。
【請求項295】
焼結剤が、イットリア、シリカ、アルミナおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項294に記載の坩堝。
【請求項296】
焼結剤がイットリアである、請求項294に記載の坩堝。
【請求項297】
焼結剤がシリカである、請求項294に記載の坩堝。
【請求項298】
コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項289〜297のいずれかに記載の方法。
【請求項299】
コーティング中の焼結剤と窒化ケイ素との質量比が、少なくとも約1:20、又は少なくとも約1:10、少なくとも約2:5又は少なくとも約4:5である、請求項289に記載の方法。
【請求項300】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項289〜299のいずれかに記載の方法。
【請求項301】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項289〜299のいずれかに記載の方法。
【請求項302】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項289〜299のいずれかに記載の方法。
【請求項303】
坩堝底部の内面をコーティングで被覆する、請求項289〜302のいずれかに記載の方法。
【請求項304】
コーティングの厚さが、少なくとも約50μm、又は少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項289〜303のいずれかに記載の方法。
【請求項305】
坩堝が直方体形状である、請求項289〜304のいずれかに記載の方法。
【請求項306】
コーティングは、側壁の内面の全体にわたって延在する、請求項289〜305のいずれかに記載の方法。
【請求項307】
コーティングは、高さHから高さHまで延在する、請求項289〜305のいずれかに記載の方法。
【請求項308】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約50%である、請求項307に記載の方法。
【請求項309】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約60%、又は側壁高さの少なくとも約75%又は少なくとも約90%である、請求項307又は308に記載の方法。
【請求項310】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項307又は308に記載の方法。
【請求項311】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項307又は308に記載の方法。
【請求項312】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約70%である、請求項307に記載の方法。
【請求項313】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約75%又は側壁高さの少なくとも約90%である、請求項312に記載の方法。
【請求項314】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項312に記載の方法。
【請求項315】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項312に記載の方法。
【請求項316】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約85%である、請求項307に記載の方法。
【請求項317】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約90%である、請求項316に記載の方法。
【請求項318】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項316に記載の方法。
【請求項319】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項316に記載の方法。
【請求項320】
が坩堝の付近である、請求項307に記載の方法。
【請求項321】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約25%、側壁高さの少なくとも約50%又は少なくとも約75%である、請求項320に記載の方法。
【請求項322】
が凝固線S付近よりも上方へ延在する、請求項320に記載の方法。
【請求項323】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項320に記載の方法。
【請求項324】
坩堝を準備して、坩堝をコーティング組成物で被覆することにより、コーティングが形成される、請求項289〜323のいずれかに記載の方法。
【請求項325】
シリコン充填物を少なくとも約1410℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項289〜324のいずれかに記載の方法。
【請求項326】
シリコン充填物を少なくとも約1450℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項289〜325のいずれかに記載の方法。
【請求項327】
坩堝が直方体形状である、請求項289〜326のいずれかに記載の方法。
【請求項328】
インゴットは、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する、請求項289〜327のいずれかに記載の方法。
【請求項329】
シリコン充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで、シリコン充填物を加熱して、シリコン溶融物を形成する工程の間に、坩堝を焼結する、請求項289〜328のいずれかに記載の方法。
【請求項330】
坩堝内に多結晶シリコン・インゴットの作製方法であって、
前記坩堝が、底部と該底部から延在する側壁を有するボディを有して成り、
前記底部と前記側壁とが、シリコン充填物を保持するためのキャビティーを規定し、
前記側壁が、内面と外面とを有し、
前記側壁内面の一部に組成物を塗布すること、
前記組成物から媒体を気化して、前記側壁内面上に窒化ケイ素コーティングを生成させること、
ポリ結晶シリコンを被覆坩堝に充填して、前記シリコン充填物を形成すること、
前記シリコン充填物を、該充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで加熱して、シリコン溶融物を形成すること、および
前記シリコン溶融物を一方向に凝固させて、多結晶シリコン・インゴットを形成することを含んで成り、
前記組成物が、媒体、窒化ケイ素、分散剤、およびコーティングの坩堝への付着力を高めるためのバインダーを含んで成る、方法。
【請求項331】
窒化ケイ素が、媒体中に分散される微粒子である、請求項330に記載の方法。
【請求項332】
コーティングが、窒化ケイ素を少なくとも約90重量%、窒化ケイ素を少なくとも約95重量%又は少なくとも約97.5重量%含んで成る、請求項330又は331に記載の方法。
【請求項333】
コーティングが、約1重量%以下の炭素を含んで成る、請求項330〜332のいずれかに記載の方法。
【請求項334】
坩堝ボディが、シリカ、窒化ケイ素およびグラファイトから選択される材料を含んで成る、請求項330〜333のいずれかに記載の方法。
【請求項335】
坩堝ボディがシリカを含んで成る、請求項330〜333のいずれかに記載の方法。
【請求項336】
坩堝ボディがシリカから基本的に構成される、請求項330〜333のいずれかに記載の方法。
【請求項337】
坩堝底部の内面をコーティングで被覆する、請求項330〜336のいずれかに記載の方法。
【請求項338】
第1コーティングの厚さが、少なくとも約50μm、又は少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約750μm又は約50μm〜約1000μmである、請求項330〜337のいずれかに記載の方法。
【請求項339】
坩堝が直方体形状である、請求項330〜338のいずれかに記載の方法。
【請求項340】
コーティングは、側壁内面の全体にわたって延在する、請求項330〜339のいずれかに記載の方法。
【請求項341】
コーティングは、坩堝の底部から高さHまで延在する、請求項330〜340のいずれかに記載の方法。
【請求項342】
坩堝の底部とHとの間の距離が、側壁高さの少なくとも約50%、側壁高さの少なくとも約70%又は少なくとも約85%である、請求項341に記載の方法。
【請求項343】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項341に記載の方法。
【請求項344】
が凝固線Sよりも上方へ延在する、請求項341に記載の方法。
【請求項345】
が坩堝の頂部付近まで延在する、請求項341に記載の方法。
【請求項346】
シリコン充填物を少なくとも約1410℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項330〜345のいずれかに記載の方法。
【請求項347】
シリコン充填物を少なくとも約1450℃まで加熱して、シリコン溶融物を形成する、請求項330〜345のいずれかに記載の方法。
【請求項348】
坩堝が直方体形状である、請求項330〜347のいずれかに記載の方法。
【請求項349】
インゴットは、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する、請求項330〜348のいずれかに記載の方法。
【請求項350】
組成物の塗布後、少なくとも約150℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項330〜349のいずれかに記載の方法。
【請求項351】
組成物の塗布後、少なくとも約1000℃の温度まで坩堝を加熱することを含んで成る、請求項330〜350のいずれかに記載の方法。
【請求項352】
坩堝を少なくとも約1時間加熱する、請求項350又は351に記載の方法。
【請求項353】
坩堝を、アルゴン、窒素およびヘリウムから成る群から選択される雰囲気で加熱する、
請求項350〜352のいずれかに記載の方法。
【請求項354】
シリコン充填物の溶融温度付近よりも高い温度まで、シリコン充填物を加熱して、シリコン溶融物を形成する工程の間に、坩堝を焼結する、請求項330〜352のいずれかに記載の方法。
【請求項355】
底部、頂部および該底部と頂部との間に規定される高さHを有する、多結晶シリコン・インゴットであって、
の約20%の高さでの前記インゴットの酸素濃度は、約4.5ppma以下である、インゴット。
【請求項356】
酸素濃度が、概して坩堝の底部から坩堝の頂部に向かって低減している、請求項355に記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項357】
の約20%の高さでのインゴットの酸素濃度は、約4.0ppmaである、又は約3.0ppma又は約2.0ppmaである、請求項355又は356に記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項358】
の約20%の高さからHの約80%の高さまでのインゴットの酸素濃度は、約3.0ppma以下又は約2.0ppma以下である、請求項355又は356に記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項359】
インゴットの底部と頂部との間のインゴットの酸素濃度が、約2.5ppma以下又は約2.0ppma以下である、請求項355又は356に記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項360】
インゴットが、一方向凝固工程により作製された、請求項355〜359のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項361】
インゴットが、該インゴットを元々成長させたシリコンの略全てを含んで成る、請求項355〜360のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項362】
インゴットが直方体形状である、請求項355〜361のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項363】
インゴットが多結晶シリコンを含んで成る、請求項355〜362のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項364】
インゴットは、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する、請求項355〜363のいずれかに記載の多結晶シリコン・インゴット。
【請求項365】
約2.5ppma以下、約2.25ppma以下、約2ppma以下、約1.75ppma以下、約1.5ppma以下、約1.25ppma以下、約0.1〜約3ppma、約0.5〜約3ppma、約0.75〜約3ppma、約1〜約3ppma、約0.75〜約2.5ppma、約0.75〜約2.25ppma、約0.75〜約2ppma又は約0.75〜約1.75ppmaの酸素濃度を有する多結晶シリコン・ウェーハ。
【請求項366】
ウェーハが多結晶シリコンを含んで成る、請求項365に記載の多結晶シリコン・ウェーハ。
【請求項367】
ウェーハが、約1mm〜約15mm、約5mm〜約25mm又は約5mm〜約15mmの平均的な呼び結晶粒子サイズを有する、請求項365又は366に記載の多結晶シリコン・ウェーハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533507(P2012−533507A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520815(P2012−520815)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042309
【国際公開番号】WO2011/009062
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511071083)エムイーエムシー・シンガポール・プライベイト・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】MEMC SINGAPORE PTE. LTD.
【Fターム(参考)】