説明

被験者の技能評価システム

【課題】 自動化技術者等の技術者の設計能力と機構の組み立て設定能力を短時間でかつ的確に評価する。
【解決手段】 被験者3は演算部1の入力手段を介して、設定された設問に対する機構の設計行い、かつその設計内容はデータ化され、予め記憶されている当該設問の正解データと処理部6において比較評価され、設計能力が判定される。次に被験者3は自己の設計に対応した機構要素を選択して、組み立て装置6において実機を構成する。続いて、構成された実機の作動や作動精度等が実測され、この実測データから処理部6は被験者3の実機構成能力を判定し、前記設計能力の判定結果と総合して被験者3の技能の最終評価9を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被験者の技術的能力を評価するシステムに係り、特に被験者の技術的システムの設計能力及び実機の構築能力等をコンピュータにより客観的に判定評価するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今各種の技術分野において能力検定が民間或いは公共機関により主催され、検定に合格した者には所定の資格が付与される等、その能力を有する者に対して一定の評価がなされる。この場合、例えば情報処理技術者等のように所定の資格を有する者は就職等において無資格者よりも有利であるため、今後この種の能力検定システムはより多くの技術分野において実施されるようになるものと考えられる。
【0003】
ここで、例えば製品の自動製造ライン、或いはこれらのラインを構成する各種自動化機器等を設計し、或いはこの設計に基づいて所期の性能を有する自動化機器を構成する者(以下「自動化技術者」とする)に関しては能力を客観的に検定評価するシステムは事実上存在しない(その理由は以下順次説明する)。
また自動化機器とは、一定のプログラム(ソフトウエア)に基づき、目的の動作を自律的に行う装置であるとの一応の定義を与え、以下より具体的に定義する必要のある場合にはその都度説明することとする。
【0004】
自動化技術の歴史に関しては第1世代から、今後発展するであろう第4世代までに大まかに分類することができ、かつ各世代を形成する技術が本願発明の内容を成す技術評価の基礎ともなるため、以下各世代ごとの自動化技術に関して説明する。
【0005】
自動化技術を概念的に示せば以下のとおりである。
図4において、機械部品等の特定の対象物(ワーク/符号Wで示す)を、所定の位置に移動する等、対象物であるワークWに所望の操作を加える装置要素(ツール/符号Tで示す)に所定の動作を行わせる自動装置においては、ツールTに所定の動作をさせるメカニズム(符号Mで示す)、このメカニズムMに駆動力を与えるアクチュエータ(符号Aで示す)、アクチュエータAの動作を制御するコントローラ(符号Cで示す)、フィードバック制御によりこのコントローラCに所定の情報を与えるセンサ(符号Sで示す)とからなるツール駆動制御部50が構成される。
【0006】
まず第1世代においてはメカニズムMはヒンジとスライド等による不均等変換型(Mb)として構成され、この不均等型変換MbであるメカニズムMを駆動するアクチュエータAは等速回転を行うモータ、ピストンロッドが直進するだけのシリンダ等速型Aaであり、従ってこの等速型AaのアクチュエータAを制御するコントローラCはオン・オフ型Caであり、かつセンサSは不均等型変換MbのメカニズムMの動作情報(符号51で示す)を得るオン・オフ型Saとなっている。
【0007】
即ち、第1世代にあっては単純な等速動作Aaを行うアクチュエータAの動作を、クランクによる端末減速、レバー・スライダによる早戻り、トグルによる戻り防止等の動作に変換することによって機構としての巧妙性を実現しており、本発明者はこの第1世代を「円と直線の世代」として専門書等に表明している。即ち第1世代のツール駆動制御部のメカニズムM、アクチュエータA、コントローラC、センサS(以下「M・A・C・S」とする)の構成は(不均等変換型Mb)・(等速型Aa)・(オン・オフ型Ca)・(オン・オフ型Sa)、つまりM・A・C・SはMb・Aa・Ca・Saとして構成されている。
【0008】
なお、後述する第2世代以降の技術についても言えることであるが、技術が第2世代に入ることによって第1世代の技術が全て打ち捨てられるということではなく、第1世代の技術は現在でも非常に有用であり前記メカニズムMを如何に構成するかは、この第1世代を含めて自動化装置全体の巧妙性に大きく影響する要素である。
【0009】
工作機械の進歩によりカムの製作が容易になると、このカムの構成を精密かつ複雑に構成することによりメカニズムMの不均等変換Mbの巧妙性が第1世代に比較して大きく向上した第2世代となる。この第2世代におけるM・A・C・Sは、第1世代と同じMb・Aa・Ca・Saで同じであるが、メカニズムとして用いたカムによる不均等変換Mbの巧妙性が大幅に向上した。つまり第2世代は「メカニカル・カムの世代」であるといえる。
【0010】
メカニカル・カムは当然のことながらツールTの動作毎にそれぞれ専用のカムを構成する必要があるが、市場の変化により商品の多品種少量生産が進むと、工作機械によって個々にメカニカル・カムを製作する方法ではその対応が困難となる。即ち第3世代は第2世代のメカニカル・カムを「インフォーメーション・カムに変更した世代」ということができる。
【0011】
つまり、カムをもっと柔らかく作りやすくする方法が求められ、それを実現したのが第3世代である。
ここで、第2世代のメカニカル・カムの持つ機能を考察すると、「力の伝達能力」と「位置/時間情報の保有」の二つの機能を有しており、これによってツールTが所定の動作をするよう、メカニカル・カムを介してアクチュエータAの駆動力が伝達されるようになっている。
【0012】
これに対して、インフォーメーション・カムは「力の伝達」はサーボに任せ、カムは情報だけを保有するように構成されている。
情報だけを保有するように構成されたインフォーメーション・カムは実際には以下のような態様で実現されている。
(a)切り抜いた型紙のような「テンプレート・カム」
(b)画に描いただけの「ピクチャー・カム」
(c)コンピュータのメモリーに格納されている「ソフトウエア・カム」
等である。
【0013】
特にソフトウエア・カムの場合には、生産品目の切替えに際しても、キーボード入力により、或いは外部からの品種切替え信号によりコンピュータを操作して極めて短時間でカムの切替え(カム曲線の切替え)が可能になるため、自動化装置のフレキシビリティーを大幅に向上させることが可能となる。
【0014】
従って第3世代においてはメカニズムMは均等変換型Ma、アクチュエータAはステッピッグモータ等の可変速型Ab、コントローラCはこの可変速型AbのアクチュエータAを制御するための数量型Cb、センサSは数量型CbのコントローラCによる制御動作を確保するため計測値を情報として出力する計測型Sbとし、この計測情報は例えば可変速型AbのアクチュエータAの動作情報52とする。即ちM・A・C・Sを、Ma・Ab・Cb・Sbとする。
【0015】
以上、第1世代から第3世代へと自動化装置の巧妙性、フレキシビリティー等に関して性能の向上が実現されてきたが、これら3つの世代に共通する問題点がある。即ち、これらいずれの世代の装置であっても、対象であるワークW側に設定された条件が同じであること(以下「ワークの斉一性」と称する)を前提として始めて適正な動作が可能な装置であるという点である。
【0016】
例えば、対象のワークWが何れも同一形状で同一位置に配置されている等、ワークの斉一性が確保されていれば上記各世代の装置は高速度で巧妙な動作を繰り返すことが可能である。
しかしながら、ワークWの配置位置にずれが生じたり、個々のワークの形状に一部相違があったり、ツールTに対するワークWの供給が停止されるなどワークW側の条件に変化が生じた場合、つまりワークの斉一性が無くなった場合にツールTは所定の動作によるワークWの取り扱いが不適正になったり、取り扱いそのものができなくなったり、或いはワークWがないにもかかわらず所定の動作を繰り返す等の不具合が生じることになる。これはワークW側だけではなく、ツールTの磨耗等ツールT側の状態の変化によっても発生し得る問題である。
【0017】
つまり、第1世代から第3世代までの自動化装置においては同一品種の対象に対して同一の動作を繰り返すという点では全く同じであり、インフォーメーション・カムを用いる第3世代においても、カムを速やかに変更できるという点で装置のフレキシビリティーは大幅に向上しているものの、各カムに対応するツールTの動作は1対1対応であり、ワークの斉一性に頼った動作をする点では第1、第2世代と何ら変わりはない。
【0018】
このような点から、ワークWの状態を確認しかつこのワークWを扱うツールTの作動状態を検知し、ワークWの状態に合わせてツールTの作動を最適に設定制御するようツール駆動制御部50を構成するのが第4世代の装置である。
【0019】
つまり、符号53、54で示すようにワークW或いはツールTからこれらワークW或いはツールTの情報をセンサSが直接取得し、この情報に基づいてワークW或いはツールTの状態に合わせた適切な動作をツールTに行わせるよう構成するものである。第4世代の装置はワークW或いはツールTの状態に合わせてツールTの移動量や駆動方向等を決定するアルゴリズムをツール駆動制御部50のコントローラCに組み込むことにより、アクチュエータAを巧妙に制御してツールTの動作を常時最適に制御するよう構成した装置である。
【0020】
従って、ツール駆動制御部50の構成は第3世代と同様、メカニズムMは均等変換型Ma、アクチュエータAはステッピッグモータ等の可変速型Ab、コントローラCは数量型Cb、センサSは計測型Sbとし、これにワークWの状態を検知せしめる設定(矢印53)、及び/又はツールTの状態を検知せしめる設定(矢印54)をフィードバック信号として利用し、更に必要とあればメカニズムM及びアクチュエータAの作動情報51、52も利用する。
【0021】
このように、自動化技術は第1世代から第4世代へと順次進歩しており、この技術を取り扱う自動化技術者も技術進歩に伴いその数が年々増加するとともにより高い技術力が要求されるようになってきている。また企業等においても省力化、多品種少量生産、製品の均質性等の実現のため自動化技術者のニーズは今後も増加するものと考えられる。またこのような観点から、自動化技術者と称される者が実際にどの程度の技能を有するのか、雇用者である企業としては是非知りたいところであるが、現時点において、自動化技術者の技能を評価し例えば所定の資格を与えるようなシステムは存在していない。
【0022】
これは次のような理由によるものと思われる。
まず、能力検定システムを有する情報処理技術者を例にとると、基本的にはこの情報処理技術者はソフトウエアの開発・処理等、検定対象がソフトウエアにほぼ限定されるのに対して、自動化装置の場合には装置を構成する機構と、この機構を動作させるためのソフトウエアとが複雑に絡まった装置であること、また技能としては装置の設計能力の他に、実機を構成する技能、構成した実機の性能の試験及びその結果に基づく改善・修正等、自動化技術者としての技能を評価するための判断要素が非常に多く、かつ評価も複雑となる。このため処理すべき情報が膨大となり、人手による評価では評価すべき対象を予め限定せざるをえない。また評価において恣意性を排除することが難しい等、いろいろな理由により現時点では結局適切妥当な評価ができないものとして、必要性は強く感じられるものの、客観的かつ公正な自動化技術者の技能の評価は事実上不可能であると考えられていた。
【0023】
次に、自動化技術者に対して例えばメカニズムの構成を中心とした技能を評価したり、或いはメカニズムを動作させるためのソフトウエアを中心とした技能を評価したりする場合において、その評価をするのに適切な設問を選択設定する必要があり、かつ構成された実機の性能によって実機の構成能力を評価する場合には実機の性能を測定したデータの取り扱いを必要とする等、複雑多岐にわたる項目を処理し評価する必要があり、このためにはコンピュータを用いた自動処理システムが必要となるが、このようなシステムは本発明以前には全く存在していない。
【0024】
即ち、自動化技術者としては具体的には次のような多様な能力が要求される。
(1)数多くのヒンジとスライドの組合せ機構の選定・設計能力
(2)多種多様な動作特性を実現するメカニカルカムの設計能力
(3)交流モータ、直流モータ、ソレノイド等の電気系アクチュエータの駆動手法設計能力
(4)エアシリンダ、ロータリアクチュエータ等流体アクチュエータの駆動手法設計能力(5)サーボモータ、ステッピングモータ等のパルス系アクチュエータの駆動手法設計能力
(6)光電系、磁気系その他各種センサの選定・検出対象部位選定・信号機能の選定能力(7)プログラマブル・シーケンス・コントローラよにる制御入出力の設定プログンラミング能力
(8)コンピュータによる制御入出力設定、プログラミング能力
(9)上記(7)、(8)と共に入出力インターフェイス回路の設定・設計能力
【0025】
上記(1)乃至(9)に示す項目は、それぞれが一つの学問分野として成立するほどのものであり、幾つかの項目に関しては現に技術系大学や高等専門学校等においてそれぞれ独立した教育科目として取り上げられているものである。
【0026】
また、上記の(1)乃至(9)は全て目的を達成するための手段群であり、それぞれの項目の中から、目的に沿って最適なものを選定・設定或いは設計し、かつ組み合わせる能力が自動化技術者として要求される。しかし、それぞれの手段についての知識が豊富でも、目的に合わせた総合システムの構築能力が高いとは限らないのが現実である。
【0027】
以上の観点から、上記各手段のそれぞれについて独立して技術力を判定する「手段側からの能力判定」方式では、上記のように極めて多くの判断要素があり評価記述が非常に複雑となるとともに、目的に対する最適選定の組み合わせ能力が評価できないので真のシステム構築能力の判定にはならない公算が大きい。
【0028】
本発明はこの評価を、「目的側から判断する」ために、被験者に対して「目的動作特性を指定」することと、被験者が構成した実機による「目的達成レベルの確認」を行うこととをその基本構成とし、かつこの基本構成を達成するために、極めて複雑な判断要素を全てコンピュータ処理することにより、被験者の総合技術能力の判定を正確かつ容易に、しかも客観的に判定できるようにしたことに特徴がある。
【0029】
なお、前記自動化装置の構成要素のうちコントローラについて、プログラマブルシーケンサーによる単純な制御については、シーケンサーによって動作する単純な機構部を用意し、これをシーケンサで駆動するようなプログラムの構成技術能力を評価判定することは一部でおこなわれてきたが、上記記載から明らかなとおり、これは自動化技術者としての技能判定からは程遠いものである。換言すればコンピュータによるW.T.MACSの綜合自動評価システムが存在していない従来の方法ではこのような極めて限られた技能を評価するのが精一杯であるということである。
【0030】
上述のとおり本願発明と技術分野を同じくする先行技術は発見されていないが、本願発明に関連するものとして以下の特許文献を掲げておく。なお、下記特許文献3はコンピュータを用いて設計を行い、この設計内容に基づいて技術評価を行うシステムが示されている。しかし、このシステムはあくまでもコンピュータにより設計した内容を、判定評価するものであって、その設計に基づいて実際の装置、機器を構成しかつその装置、機器の性能を評価して被験者の技術力を総合的に判断するという視点は全くない。これは当該特許文献3の目的が、予め提供されている「設計用ソフトウエア」を如何に効果的に利用できるかという点、即ちこのソフトウエアの利用に関する技能を評価することを目的としているための当然の結果ともいえる。従ってこの「設計用ソフトウエア」は後述する本願発明の「設計手段」とは異なるものである。
【特許文献1】特開2002−024451
【特許文献2】特開2002−132839
【特許文献3】特開2004−110333
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
自動化技術においては、目的のワークW及びワークWに対して目的とする操作に応じた動作を行うツールT、このツールTの動作を実現するため、メカニズムM、アクチュエータA、コントローラC及びセンサSのそれぞれの群から、各要素を的確に選定しかつこれを構築することが最も重要であり、自動化技術者としての技能の評価システムはこの点を的確に評価できるものでなくてはならない。
【0032】
上記の点において、考慮しなければならいなこととして、ツールTに与える速度特性、力特性、動作サイクルタイム、移動量と移動精度・停止精度、荷重や摩擦係数の変化による特性変動、協調する他の機構の動作とのインターロックの設定及び動作のオーバーラップ設定等極めて多くの項目があり、これらの項目に関して適切に評価する必要がある。
【0033】
さらに上記項目に関する設定は単に机上の設計値だけではなく、実機を用いて実際に装置を構成し、かつこれを動作させてこれを検証しなければ、理論上の精度と実機の精度との一致、不一致は検証することができない。つまり実機を構成するための技能(実技)を判定するための実機構成用の装置と、この装置において構成された実機の性能を判定するシステムとを必要とし、かつこの実技判定システムを技能評価システムの中に組み込む必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は上述した課題を達成するために構成した、コンピュータを用いた技能判定システムであって、被験者の設計能力を判定する判定手段と、この設計内容に対応した実機を組み立てるための組み立て装置と、組み立てられた実機の性能を計測する手段と、この計測手段の計測データから被験者の実機の構成能力を判定する手段のうち少なくとも設計能力を判定する手段を有することを特徴とする技能判定システムである。
【発明の効果】
【0035】
本発明は与えられた設問に対する回答として被験者が演算装置に対して設定入力した設計データをその被験者の技能評価対象のデータとして演算装置で直接評価するよう構成されているため、人手を煩わすことなく膨大な評価データを短時間で処理することが可能となり、技能の評価を公正かつ短時間に行うことができる。
【0036】
また、演算装置における設計の他、この設計データに基づいて被験者は実機を構築し、かつこの実機の性能を評価することにより単なる設計能力のほか、実機設定構成能力の評価も可能となるため被験者の技能評価がより的確妥当なものとなる。また被験者に代わって評価者或いは中立の第三者が、被験者の設計に従って実機を構成し、目的特性に対する相違内容を表示・記録することも可能である。
【0037】
さらに、被験者によって選択された各構成要素の配置や組み合わせを演算装置において図形表示して被験者の設計内容をできるだけ言語を用いずにデータ化することにより、言語の異なる世界各国におけるこの評価システムの使用勝手を良好にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
コンピュータに画面表示された設問、及び画面表示された構成要素(部品)から設問に最適と被験者が考える構成要素を選択し、かつ画面上で構成することにより設計を行い、この画面上の設計内容を、予め設定された評価用データを用いて評価する。またこの設計内容に対応する実機(試験対象装置)を組み立て、この組み立てられた実機の性能を計測し、この計測データによりコンピュータで被験者の実機の組み立て能力を評価する。
【実施例1】
【0039】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明に係るシステムを実現する装置の構成の概要を示す。本装置は、装置本体をなす演算部1としてのコンピュータと、被験者3が演算部1において設計した内容を実際に組み立てるための組み立て装置2とを有する。
【0040】
図1により本システムの流れの概略を先ず説明する。なおこの場合図1は本システムを実行する装置の構成を示す。
【0041】
先ず、演算部1の液晶やCRT等から成る表示部(図2の符号12で示す)において、或いはハードコピーにより所定の設問が被験者3に開示される。またこの設問に対応する使用素材として前記メカニズムM、アクチュエータA、コントローラC、センサS、その他インターフェイスや接続部材等、前記設問に対応する素材のうち、メカニズムモジュール、アクチュエータ等図形表示可能なものは演算部1の表示部に表示される。より具体的には、例えばメカニズムMにあっては、レバーやロッドの種類や長さ、クランクアームの長さ等が、またアクチュエータAにあってはエアシリンダ、ステッピングモータ等のアクチュエータの種類やエアシリンダのストローク等の画像、図形、及び固有の数値を有するものはその値、可変のものはその設定可能範囲がそれぞれ表示される。
【0042】
被験者3はこれらの素材のうち、キーボード、マウス等の入力手段4を介して設計手段5により前記設問に対応して提示された構成要素を選択し、最適と考えられる要素を選択しかつ各要素を関連付け、更に数値入力することにより設計を行う(具体的な設計方法の一例を後述する)。設計が完了したならば、被験者3が設計した設計内容データ(被験者3が設計した内容を示すデータ)は処理部6において評価され、演算部1は被験者3の設計能力に関する評価を先ず行う。
【0043】
次に被験者3は設計手段5において自己の設計に用いた構成要素に対応する実物の構成要素を選択し、組み立て装置2において自己の設計に基づいた機構を実際に組み立てる(符号7)。次に組み立てた機構を実際に作動させてその作動状態や作動精度等を実測し(符号8)、その実測データが演算部1の処理部6に自動的に出力される。処理部6は予めデータ化されている実測評価用データに基づいて被験者3の実機の組み立て能力を評価する。更に前記設計能力の評価データとこの実機の組み立て能力の評価データとから最終的にこの被験者3の技能を評価する(符号9)。
【0044】
なおこの場合、被験者3は自己が設計した実機の性能を実測し、この結果例えば設計どおりの設定では最大速度が不足であるとの測定結果が出た場合、機構を設計変更してこの設計変更に基づいて更に実機を組み立て、かつ実測を行うという作業を目的どおりの性能が出るまで行う方法もある。この場合、目的どおりの性能が出るまでの設計変更回数等も技能評価を行う規準の一つとして用いる。
【0045】
図2及び図3により上記構成をより具体的に説明する。このうち図2は本システムを実施する装置の構成を、また図3は本システムの実行状態の一例を示す。
演算部1の課題データベース10には被験者3の技能(能力)を判定評価するための課題が予め設定記録されている。ここでいう課題とは、例えば「・・・・システムを構築しなさい」等の直接的な課題の他、この直接的な課題を達成するための機材、作動条件(精度)等もデータとして含まれている。
【0046】
被験者3の技能評価を実施する者は、課題設定手段11により所定の課題を選択し、かつこの選択した課題の内容及び必要な構成要素が表示手段12に表示される(図3のS1、S2)。被験者3はこの表示手段12に表示された課題を達成する機構を設計しかつこの設計内容に対応する実際の機構を構成する。この場合、例えば課題に対応して設定されたメカニズム、アクチュエータ等は「可変構成メカニズムモジーュル」等と文書による表示も可能であるが、このモジュールを構成する素材、例えば平カム、レバー、スライダ等を表示手段に図形として表示するようにしてもよい。
【0047】
先ず被験者3は入力手段4を介して設計手段5により前記課題を達成するための機構を構成する。この場合機構の構成要素が表示手段に対して図形表示されている場合には、画面上で各構成要素を所定の位置にドラッグする等の方法で表示手段12上で設計を行うよう構成することも可能である(この方法については図を用いて後述する)。特にこの様に設計内容自体を最初から図形表示するよう構成し、極力言語の使用を避けるよう構成しておけば、本システムを言語の壁を越えて世界中で利用することが可能となる。即ち、ここで言う設計手段とは、被験者3が与えられた設問に対して最適と考える機構を構成するために所定の要素を選択し、かつ選択された各要素の組み合わせを設定でき、かつその設計内容が、評価可能なように客観的にデータ化されるものであればどの様な構成でもよく、従って狭義の設計用ソフトウエアを指すものではない。
【0048】
被験者3は設計手段5を用いて、提示されたメカニズムMの群、アクチュエータAの群、センサSの群中から最適の素材を選択する(S3、S4、S5)。さらに機構全体をフィードバック制御するため、センサの設定・調整内容の指定手段16を介して設計時に選択設定されたセンサSの検出能力の内容を設定する。前記の選択は機構要素データ13のうちのメカニズムデータベース13a、アクチュエータデータベース13b、センサデータベース13cの中から被験者3が機構要素選択手段14を介して選択し、設計手段5において例えば前記の手法で設計を行う。この場合、例えば設定された課題に対応する機構要素以外は前記機構要素13から選択できないように予め設定される。但し、このように選択範囲を予め限定しないで、課題に対応する構成要素以外のもの含め、全てを選択できるようにしておけば、被験者3の設計能力をより厳しい条件で評価することができる。
【0049】
さらに、このような機構要素以外に、構成された機構を制御するコントローラブログラムを作成する手段15を介して被験者3は所定のコントローラプログラムを作成する(S6)。
【0050】
以上の方法により、所定の課題に対して被験者3は設計を行い、評価システムはこの設計内容を採点評価する(S7)。即ち、課題データベース10に格納されているそれぞれの課題に対しては正解データベース17において予め正解が入力されており、かつ評価点データベース18には課題の達成度に対応した評価点がそれぞれ格納されている。
【0051】
中央処理装置19は被験者3の設計データに対応して評価手段20において算出した得点と、クロック21から出力された設計完成までの時間から、被験者3の設計能力に関する評価を行う。この設計能力の評価までは全てコンピュータである演算部1において行われる。
【0052】
次に被験者3は設計が完了したならば、自己の設計に基づいて実際に機構を構成する(S8)。この場合、機構要素ユニット22において自己の設計に用いた機構要素をメカニズムユニット22a、アクチュエータユニット22b、センサユニット22cから選択し、組み立て装置2において実機を組み立てかつ前記コントローラを設定する。
【0053】
実機の構成が完了した時点で被験者3の作業は終了し、作業終了までの時間が中央処理装置19に出力される。また実測手段24において計測された実機の動作に関するデータ(精度、作動速度等のデータ)は評価点データベース18に出力され評価手段20を介して前記設計能力と同様の手法により実機の構成能力が採点評価される(S9、S10)。また設計能力の場合と同様、実機構成完了までの時間がクロック21から出力され、この計測結果も実機構成能力の評価に加味される。
【0054】
中央処理装置19は以上の設計能力および実機の構成能力の評価から、最終的に被験者3の自動化機器に関する能力を判定評価する(S11/図2の符号25)。
【0055】
この場合の評価規準の例を説明すれば次のとおりである。
即ち、構築された実機の動作特性が目的(課題)と異なったものであれば、その差異に応じて被験者3の得点は減点される。また実機の構築までの時間が長ければこれを減点の対象とするよう構成してもよい。この時間は、例えば図2のクロック21によりカウントされる。
【0056】
動作特性による評価検定としては、例えばポテンショメータの軸に摩擦円板を取り付けた摩擦駆動ローラ型ポテンショメータを出力端の例えばスライドテーブル(直進テーブル)面に圧接することで、出力動作特性が検出できるので、図5のような変位動作特性グラフが構成される。
【0057】
図中L1は目的変位特性を示す線図であり、L2は被験者3が構成した装置の作動による実際の変位を示す線図であり、当然のことながら線図L2がL1に近似するほど被験者3の得点が高くなる。ここでS0 は目的最大変位量を、t0 はS0 を実現する時間を示す。これに対して、S1 は被験者3が構成した装置における最大変位量を、またt1 はS1 を実現した時間を示す。
【0058】
以上の線図L1及びL2をふまえ、線図L1及びL2の各点のデータを比較することにより、例えば目的とする線図L1の最大値S0 に対し、被験者3が構築した装置の動作の最大値S1 が例えば10パーセント異なっていれば満点40点中10点の減点、装置の平均速度V1 が目的平均速度V0 に対しマイナス10パーセント異なっていれば前記満点中から5点減点等の採点方法を適用することができる。
ここで目的平均速度V0 および被験者3の装置による平均速度V1 は下記式で示されるものを言う。
0 =S0 /t0
1 =S1 /t1
【0059】
更に、別の評価手段として次のような方法がある。
被験者3が実機を組み立てるまでは上述の場合と同じであるが、その動作特性検出を行った後、必要に応じて前述したようにシステム構築設計の変更を行う。即ち、設計変更、実機の構成変更を繰り返し、最終的に目的とする動作特性を得た場合、それまでの必要時間と設計変更部品点数、及び変更プログラムのステップ数等を勘案して減点する。この場合は、最終的には必ず所期の特性を実現するので、動作特性比較による採点方法よりも判定規準を作成し易いという利点がある。つまり、この評価手段は図2における評価点データベース18の構築がより容易となるという利点がある。
【0060】
次に自動化システム構築の要素としてのメカニズムM、アクチュエータA、コントローラC、センサSの4群に関しては演算部1に対してできるだけ多種類を取り込み、かつこの各種データに対応した各々のメカニズムを組み立て可能な要素として、機構要素ユニット22を実際に用意し、被験者3が多数の要素の中から構成要素を選択することにより、機構構成時に広範囲に設定・組み合わせを行うことができるようにしておくことが必要である。
【0061】
具体的には各要素については次の機能を有する手段が構成されるようその構成・機能が用意されていることが望ましい。
〔1〕メカニズム
(a)メカニズムによる増減速手段
(b)メカニズムによる末端減速手段
(c)メカニズムによる駆動方向変換手段
(d)メカニズムによる部分速度変換手段
(e)メカニズムによる増減力手段
(f)メカニズムによる移動量変更手段・・・等
【0062】
〔2〕アクチュエータ
(a)電気動力アクチュエータ
(b)空気圧動力アクチュエータ
(c)液体圧動力アクチュエータ
(d)熱動力アクチュエータ
上記(a)乃至(d)のアクチュエータのそれぞれについての下記の出力手段
(e)回転出力
(f)直進出力
(g)揺動出力・・・等
【0063】
〔3〕コントローラ
(a)電気的コントローラ
(b)電子的コントローラ
(b)流体的コントローラ
(c)熱的コントローラ・・・等
上記各コントローラは、プログラミング可能なコントローラ或いはピン差替え等の接続変更可能な任意回路構築が可能なコントローラとして用意される。
【0064】
〔4〕センサ
(a)電気的センサ
(b)電子的センサ
(c)磁気的センサ
(d)熱的センサ
(e)光学的センサ・・・その他
上記(a)乃至(e)の各センサのそれぞれについて下記各出力を組み替え可能なセンサ或いは付属器具を用意する。
(f)オン・オフ型出力
(g)計測型出力
【0065】
以上用意された各要素を前提とした設問の構成例、配点等の具体例を以下に示す。
【0066】
〔設問1〕
下記の条件による等速往復運動を実現するシステムを構築しなさい。
【0067】
(動作の内容)
a.スタート点から目的点までのストローク量 80mm
b.目的点における停止位置精度 ±0.5mm以下
c.スタート点における停止位置精度 ±0.5mm以下
d.動作速度特性 往復とも等速型特性
e.スタート点から目的点までの移動時間 2秒±0.5秒
f.目的点からの復帰時間 2秒±0.5秒
g.出力機構 直進テーブル
h.荷重 テーブルの自重のみ
i.作動内容 (ia)スタートスイッチで作動開始
(ib)目的点で1秒停止後、自動復帰
(ic)自動復帰後直ちに終了信号を送出
【0068】
(使用機材:以下の各群から選択すること)
a.メカニズム 可変構成メカニズムモジュール群・減速ユニット 群
b.アクチュエータ 電気駆動アクチュエータ群
c.コントローラ プログラマブルシーケンスコントローラ
d.インターフェイス インターフェイスモジュール
e.センサ 磁気近接センサ
f.その他 クランプ機構、接続ケーブル等
【0069】
(A)上記設問1に対する検定システム
〔ポテンショメータ式動作特性検定システム〕 必要な素材
(a)ポテンショメータ
(b)インターフェイスユニット
(c)パーソナルコンピュータ及び専用ソフトウエア
(B)評価内容
(a)メカニズムの選定 20点
(b)アクチュエータの選定 10点
(c)コントローラプログラム構成 20点
(d)センサの設定・調整 10点
(e)出力動作特性 20点 (f)設計・構築作成時間 20点
総得点 100点
【0070】
上記各データの処理は演算部1において自動的に処理され、被験者3の技能が評価される。
【0071】
図6はコンピュータの画面上における設計方法の一例を示す。
符号30はコンピュータの画面上に表示された使用機材a乃至fを示す一覧表であって、例えば図7の如く示される。
【0072】
被験者3は上記設問に対応して必要と考える機材を選択するわけであるが、この場合例えば一覧表30に示された機材に対してマウスを移動し、かつ被験者3が所望する機材をその一覧表30の所定の欄からドラッグすることにより、この機材に対応する表示図形(アイコン)が表示され、このアイコンを表示画面の所定の位置までドラッグしかつドロップする。この作業を繰り返すことによりコンピュータの画面上で設問に対応する装置を設計する。
【0073】
図6はアイコンを用いた設計の状態を示す。図中のA、M、C、Sは前述したメカニズムM、アクチュエータA、コントローラC、センサSに対応するものである。また各アイコンの近傍にはA(リバーシブルモータ)、M(コネクティングロッド)・・・等と文字表記があるが、これは図6に示すアイコンの内容を示すものであり説明の便宜上記載したものである。従って、実際に設計を行う画面上ではこのような記載は表示されるとは限らない。但し、被験者3の利便性を考えてこれらの文字を画面表示するようにすることはもとより差し支えない。また図中符号DGはセンサ設定用のドグを、またPは被験者3が作成したプログラムを示す。さらに点線はドラッグした経路を示すが、これも説明の都合上示すものであり実際の画面にはこのような軌跡は表示されない。
【0074】
次に、前記設問1よりも高度な設問の例を以下に示す。
〔設問2〕
下記の条件による末端減速往復運動を実現するシステムを構築しなさい。
【0075】
(動作の内容)
a.スタート点から目的点までのストローク量 100mm
b.目的点における停止位置精度 ±0.5mm以下
c.スタート点における停止位置精度 ±0.5mm以下
d.動作速度特性 往復とも両端減速
e.スタート点から目的点までの移動時間 1秒±0.2秒
f.目的点からの復帰時間 1秒±0.2秒
g.出力機構 直進テーブル
h.荷重 テーブルの自重+負荷用錘り(1 個750g)
i.作動内容 (ia)スタートスイッチで作動開始
(ib)目的点で一時停止・中間停止信号を出力
(ic)復帰命令信号により、または3.5秒経過したら自動復帰
(id)中間停止以後、復帰中までにストップ入力が入ったら復帰後終了
(ie)自動復帰後直ちに終了信号を送出する
(if)ストップ入力がない場合、復帰後4秒で自動再スタート
【0076】
(使用機材:以下の各群から選定すること)
a.メカニズム 可変構成メカニズムモジュール群・減速機群
b.アクチュエータ 空気圧アクチュエータ群
c.コントローラ プログラマブルシーケンスコントローラ
d.インターフェイス インターフェイスモジュール
e.センサ 透過型光電スイッチ、近接スイッチ、リミットス イッチ等のセンサ群
f.その他 クランプ機構、接続ケーブル等
【0077】
(A)上記設問2に対する検定システム
〔ポテンショメータ式動作特性検定システム〕 必要な素材
(a)ポテンショメータ
(b)インターフェイスユニット
(c)パーソナルコンピュータ及び専用ソフトウエア
(B)評価内容
(a)メカニズムの選定 40点
(b)アクチュエータの選定 20点
(c)コントローラプログラム構成 30点
(d)センサの設定・調整 30点
(e)出力動作特性 40点 (f)設計・構築作成時間 40点
総得点 200点
【0078】
図8は、上記設問に対する被験者3の設計内容を示すもであり、図7と同様コンピュータの画面上にアイコンを配置することにより表示された状態を示す。なお、同図においてはドラッグの経路や、一覧表は省略されている。
【0079】
以上、具体的に設問の例を示したが、自動化技術に関連する技能では前述した自動化技術の第1世代から第4世代までの技術の構築能力のうちどの世代まで技術の構築能力があるかを評価するのが、自動化技術者の評価の大本となる評価規準と成り得るので、前記図2における評価点データベース18に格納されている評価点データはこの点を考慮して設定されているのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上に示した実施例は、自動化技術に関する被験者の技能を評価するシステムであるが、本願発明のシステムはこれに止まるものではなく、適切な設問データと、この設問データに対する被験者の回答データと、さらに実機の構成等の実技に対する評価データとを予め適切に設定しておけば、他の分野の評価も適切に応用実施可能である。
【0081】
また上記実施例では本システムを1台のコンピュータ内にて実行する場合を例に説明しているが、ホストコンピュータと複数の端末コンピュータとをデータリンクさせ、端末に設計手段を設け、設問はホストコンピュータから端末に出力され、被験者は各端末の設計手段を用いて当該設問に対応する設計を行い、設計データはホストコンピュータに出力されて設計能力を評価するよう構成することもできる。このようにすれば設計能力に関しては全国規模での能力判定を容易に行うことができる。さらに、このように試験が全国規模で行われるときは、実機に関する試験は所定の会場に被験者が集まり、ここで実機の組み立てや性能試験等を行い、作動データは前記ホストコンピュータに出力されるよう構成すれば、実機に関する技能の評価も合理的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のシステムを実行するための装置の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示したブロックのうち、演算部1の機能を詳細を示したブロック図である。
【図3】本発明に係るシステムの実行状態の一例を示すフロー図である。
【図4】ツールの動作を制御するツール駆動制御部の構成を概念的に示したブロック図である。
【図5】設問に対応する適正な装置の目的変位特性と、被験者が構築した装置の変位特性とを示す線図である。
【図6】コンピュータ画面上に示された設計内容の一例を示す図である。
【図7】コンピュータ画面上に表示される使用機材一覧表の一例を示す図である。
【図8】別の設問に対する設計内容をコンピュータ画面上に示した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 演算部
2 組み立て装置
3 被験者
4 入力手段
5 設計手段
6 処理部
8 組み立て装置
10 課題データベース
11 課題設定手段
12 表示手段
13 機構要素データ
14 機構要素選択手段
15 コントローラプログラム作成手段
16 センサ設定・調整内容の選定・表示手段
17 正解データベーズ
18 評価点データベース
19 中央処理装置
20 評価手段
21 クロック
22 機構要素ユニット
23 組み立て装置
24 実測手段
50 ツール駆動制御装置
51、52、53、54 フィードバック信号用検出対象部位の設定
A アクチュエータ
C コントローラ
M メカニズム
S センサ
T ツール
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置を用いて被験者の技能を評価するシステムであって、演算部と、演算部で設計された機構を実機として構成する構成要素群のうち少なくとも演算部を有し、演算部には所定の設問に対して被験者がシステム構築設計を行う設計手段と、被験者の技能を評価する手段とを有し、かつこの被験者の技能を評価する手段は、設計手段により構成された被験者の設計内容データを評価する手段と、設計内容データに基づいて被験者が実機を構成しかつこの実機の機能を実測する手段から得られる機能実測データを評価する手段のうち、少なくとも被験者の設計内容データを評価する手段を有することを特徴とする被験者の技能評価システム。
【請求項2】
演算装置を用いて被験者の技能を評価するシステムであって、演算部と、演算部で設計された機構を実機として構成する構成要素群とを有し、演算部には所定の設問に対して被験者がシステム構築設計を行う設計手段と、被験者の技能を評価する手段とを有し、かつこの被験者の技能を評価する手段は、設計手段により構成された被験者の設計内容データを評価する手段と、設計内容データに基づいて被験者が実機を構成しかつこの実機の機能を実測する手段とから成り、被験者の設計能力と、設計内容データに基づく被験者の実機構成能力とを評価することを特徴とする被験者の技能評価システム。
【請求項3】
演算装置を用いて被験者の技能を評価するシステムであって、演算部と、演算部で設計された機構を実機として構成する構成要素群とを有し、演算部には所定の設問に対して被験者がシステム構築設計を行う設計手段と、被験者の技能を評価する手段とを有し、かつこの被験者の技能を評価する手段は、設計手段により構成された被験者の設計内容データを評価する手段と、設計内容データに基づいて被験者が実機を構成しかつこの実機の機能を実測する手段と、被験者の実機構成能力を評価すると共に実測結果に基づいて被験者が設計内容を変更した変更内容データを評価する手段とを有することにより、被験者の設計能力と、これに加えて実機の機能修正能力をも評価するよう構成したことを特徴とする被験者の技能評価システム。
【請求項4】
演算装置を用いて被験者の技能を評価するシステムであって、演算部と、演算部で設計された機構を実機として構成する構成要素群とを有し、演算部には所定の設問に対して被験者がシステム構築設計を行う設計手段と、被験者の技能を評価する手段とを有し、かつこの被験者の技能を評価する手段は、設計手段により構成された被験者の設計内容データをその目的動作特性達成のために選択した技術手段および当該技術手段の組み合わせの適正度から評価する手段と、当該設計内容データに基づいて被験者が実機を構成しかつこの実機の動作における目的特性達成レベルを計測する手段とから成り、被験者の設計能力と、設計内容データに基づく被験者の実機構成能力とを評価することを特徴とする請求項2記載の被験者の技能評価システム。
【請求項5】
前記被験者の設計内容データに基づいて実機を構成する者は、評価者或いは中立の第三者であることを特徴とする請求項4記載の被験者の技能評価システム。
【請求項6】
技能評価対象は自動化技術であり、演算装置には、被験者が設計を行うためのデータとして選択使用可能な機構要素データと、コントローラプログラム作成手段と、センサ設定・調整内容を指定する手段とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の被験者の技能評価システム。
【請求項7】
前記自動化技術の評価対象は、ワークに目的の操作を加えるツールを動作させるツール駆動制御部の設計であり、ツール駆動制御部の設計に対応して演算装置にはメカニズムデータベース、アクチュエータデータベース、センサデータベースを有する機構要素データ、コントローラプログラム作成手段、センサ設定・調整内容指定手段が設けられ、被験者は設計手段を用いてメカニズム、アクチュエータ、センサの選択及びこれらの要素の構成、及びコントローラプログラムの作成及びセンサ設定・調整内容の決定により設問に対応する自動化装置を設計するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の被験者の技能評価システム。
【請求項8】
実機は、メカニズム群、アクチュエータ群、センサ群、コントローラ群の各要素群から要素ユニットを選定して組み合わせ構築可能とし、これら各要素群のうち少なくとも一つの群について被験者が複数の要素ユニットから設問に対応するユニットを選定して当該実機を構築できるよう構成されていることを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の被験者の技能評価システム。
【請求項9】
演算装置内に、或いは演算装置に接続してクロック機能が設けられ、被験者による機構の設計時間或いは実機の構成時間を計測し、かつ演算装置はこの時間を被験者の技能評価用のデータの一つとして取り扱うことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の被験者の技能評価システム。
【請求項10】
演算装置内の機構要素データにおけるメカニズムデータベース、アクチュエータデータベース、センサデータベースから選択された要素が表示部に画像表示される表示手段が設けられ、設計手段には画像表示された要素を画面上で配置することにより設計可能な機能が付加され、演算装置はこの配置された画像データを被験者の設計データとして評価するよう構成したとことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の被験者の技術評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−106154(P2006−106154A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289627(P2004−289627)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000146641)株式会社新興技術研究所 (2)
【Fターム(参考)】