説明

装身用パッド並びにその製造方法

【課題】バリエーションの豊富化を求め、多品種少量生産となっても、充分採算が見込め、ユーザ(使用者)に対してもリーズナブルに製品を提供できる新規な装身用パッドとその製造方法を提供する。
【解決手段】周縁をシールした二枚の表皮シート(密着側の表皮シート21、おもて側の表皮シート22)により形成された表皮体2に対し、その内側に充填材3を封入し、パッドとして用いる部材において、前記表皮シートのうち身体への密着側の表皮シート21は、周縁部を中心部に向かって引き寄せるプリストレスが付与されて形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容目的や安全目的、更には医療、治療目的のために利用することが適切な装身用パッド並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば美容目的の衣料等には、体型を整えたり、バストやヒップを引き立たせたりするための整形用のパッド素材が組み込まれることがあり、その製造手法等についても幾つかの技術的な提案がなされている(例えば特許文献1、2、3参照)。
ところで、この種のパッド素材については、より自然な装着感を得るために、素材そのものを含め、製品自体に種々の技術的な工夫が凝らされている。
【0003】
すなわち、この種のパッド素材は、現実には使用者ごとに体型がそれぞれ相違するため、本来なら使用者一人ひとりに最適な形状のものが提供されることが望ましい。もちろんこのような要請は、美容目的の場合に限らず、安全目的、医療・治療目的の場合にも同様に存在する。しかしながら各個人毎の体型に対応して、パッド部材を提供するには、生産効率やコスト等の面から考慮すると到底行い得ず、現実には同一規格のものをある程度の生産個数を見込んで提供する形態がほとんどである。このため、本来は多種多様に存在する体型を、例えば数種類から十数種類程度に分類し、この規格毎に見合ったパッド素材を製造し、市場に提供するのが、最適製品を得るための限界として甘受されてきた。
【特許文献1】特開平9−38124号公報
【特許文献2】特開平8−209409号公報
【特許文献3】特開2005−66163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、上述したような限界を甘受することなく、よりバリエーションの豊富化を求めるべく、多品種少量生産であっても充分採算が見込め、ユーザ(使用者)に対してもリーズナブルに提供できる新規な装身用パッドとその製造方法の開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1記載の装身用パッドは、周縁をシールした二枚の表皮シートにより形成された表皮体に対し、その内側に充填材を封入し、パッドとして用いる部材において、前記表皮シートのうち身体への密着側の表皮シートは、周縁部を中心部に向かって引き寄せるプリストレスが付与されて形成されていることを特徴として成るものである。
この発明によれば、身体への密着側の表皮シートは、中心部に向かって張るように作用しているから、比較的薄くなりがちな周縁部が反対側にカールするような現象が生ずることが抑えられ、ボディスーツ等に組み込む際の安定性が良い。
【0006】
また請求項2記載の装身用パッドは、前記請求項1記載の要件に加え、前記表皮シートのうち身体に密着しないおもて側の表皮シートは、熱可塑性を有する樹脂シートと、ニットシートとをラミネートした素材で構成されていることを特徴として成るものである。
この発明によれば、おもて側の表皮シートがニットシートで覆われるような状態となり、その装着感等が優れる。
【0007】
更にまた請求項3記載の装身用パッドは、前記請求項2記載の要件に加え、前記構成部材において適用される材料は、
(A) 前記密着側の表皮シート及びおもて側の表皮シートにおける樹脂シートには、硬度30〜90(JIS A)のウレタン樹脂を適用すること、
(B) 前記ニットシートには、伸縮性を有した合成樹脂繊維織物を適用すること、
(C) 前記充填材には、針入度100〜200〔JIS K2207(50g荷重)〕、比重0.6〜0.7である中空球形状充填剤入りのシリコーンゲルを適用すること、
の上記(A) 〜(C) の、一または複数が選択されるものであることを特徴とする。
この発明によれば、装身用パッドは、耐久性に優れ、その物理的性状等をこのような数値範囲にすることにより、より自然な装着感が得られる。
【0008】
更にまた請求項4記載の装身用パッドの製造方法は、準備工程において、
保形性を有する形保持シートと表皮シートとを仮止め状にラミネートさせた状態で、所望の型キャビティが形成された母型シートと、
この母型シートにおける型キャビティを覆うように、母型シートに一体化される密着側の表皮シートと、
型キャビティ内に注入するゲル状の充填材とを素材として用意し、
次いで、シール工程において、
前記母型シートの型キャビティ側に、密着側の表皮シートを重ねて、型キャビティ周縁をシールするとともに、一部に未シール状態の注入口を確保して、袋状の表皮体を形成し、
次いで、注入工程において、
未硬化状態の充填材を注入口から表皮体内に注入し、且つその注入量は、型キャビティ容積より少ない量とし、
次いで、硬化工程において、
前記注入口を閉鎖状態に保つとともに、表皮体内は空気を存在させず、充填材を満たした状態に保ったまま、加熱雰囲気中で注入した充填材の硬化を図り、
次いで、離型工程において、
おもて側の表皮シートと、形保持シートとの剥がし取りを行うようにしたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、保形性を有する形保持シートを利用して順次製造するので、母型シートの成形形状いかんで多くの製品形状のバリエーションを低コストで得ることができる。
【0009】
更にまた請求項5記載の装身用パッドの製造方法は、前記請求項4記載の要件に加え、前記注入工程と硬化工程との間には、空気排除工程を設け、
密着側の表皮シートを型キャビティ側に押圧し、表皮体内に残留している空気を前記注入口から外部に排除して、表皮体内を充填材で満たした状態にし、その後、充填材の硬化を図ることを特徴として成るものである。
この発明によれば、空気排除工程により表皮体内の空気を排除でき、充填材内に気泡の入らない状態の、周辺部を中心に向かって引き寄せるプリストレスが付与された製品が得られる。
【0010】
更にまた請求項6記載の装身用パッドの製造方法は、前記請求項4または5記載の要件に加え、
前記工程には、
(a) 前記準備工程とシール工程では、密着側の表皮シートに予め剥離紙を設け、この剥離紙によって補強した状態で表皮シートを母型シートに重ね、型キャビティ周縁のシールを行う剥離紙補強処理、
(b) 前記硬化工程では、注入後、一定時間、表皮体の注入口を上方に向けて、下方に充填材を偏在させる端縁部充填促進処理、
(c) 前記(b) 記載の端縁部充填促進処理を行うにあたっては、パッドの尖断面部を下方に配置する尖断面部充填促進処理、
(d) 前記注入工程では、注入口に充填材供給用のノズルを差し込んで注入を行うものであり、注入後は、このノズルを引き抜くことにより液ダレを防ぐ液ダレ防止処理、
(e) 前記硬化工程では、表皮体内に注入した充填材自体の粘性を利用して、注入口を密閉するようにした自閉鎖処理、
の上記(a) 〜(e) の一または複数の処理が組み込まれることを特徴とする。
この発明によれば、表皮体の製造段階、充填材の充填段階、充填材の硬化段階において、より適切な加工ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は前記手段をとることにより、コスト上昇を抑えながら装身用パッドの多種少量生産を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態の一例は、以下の実施例に述べるとおりであり、更にこの技術思想内において改変される実施例から得られるものである。
【実施例】
【0013】
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。なおこの説明にあたっては、まず装身用パッドについて説明し、その製造の手順を説明しながら製造方法について説明する。符号1は本発明の装身用パッドであって、このものは例えば図1に示すようにボディスーツS等のヒップ部等に組み込まれて整姿作用を行う。この装身用パッド1は袋状の表皮体2内にゲル状物質等の充填材3が充填されて構成されるものであり、この実施例では周縁部にいくに従い、厚みが薄くなるような偏平な平面視で異形卵状の形状を一例としてとるものである。
【0014】
まず完成状態の装身用パッドについて見ると、表皮体2は密着側の表皮シート21とおもて側の表皮シート22とがシール部11において、密封された袋状に形成され、その内部に充填材3が密に充填されたものである。なお装身用パッド1を断面方向に見ると、例えば図1中下方はその断面部が他に比較して鋭く尖った状態となっており、この部分を尖断面部12とするとともに、反対側の上方部は鈍断面部13として構成され、この部分にも充分に充填材3が行き渡った状態でシールされている。
【0015】
そして表皮体2における密着側の表皮シート21は、図1及び図4(b)中矢印のベクトルPで示すように、装身用パッド1の周縁部を中心側に引き寄せるようなプリストレスを有しており、自然状態でいくぶんか中央部が凹陥しているような形状をとる。もちろん充填材3自体は硬化しているとはいえ、ゲル状のものであるから充分な保形性はなく、形状や装着態様等によっては密着側の表皮シート21の中央部は凹陥せずに全体的に平面状ないしは更には周囲が垂れ下がったような状態を呈することもある。
【0016】
この装身用パッド1の素材について述べると、まず表皮体2は密着側の表皮シート21とおもて側の表皮シート22とは素材の一部を異ならせている。まず密着側の表皮シート21は、例えば厚さ100μm、硬度75(JIS A)程度のポリウレタンフィルムであり、ヒートシール性を有する。なお密着側の表皮シート21は、厚さは50〜200μmの範囲、硬度は30〜90(JIS A)の範囲で適用が可能である。このようなポリウレタンフィルムとしては、例えば日本マタイ株式会社製の製品名「エスマーURS」が適用し得る。
【0017】
またおもて側の表皮シート22は、密着側の表皮シート21と同様の樹脂シート22Aに対し、ニットシート22Bがラミネートされたものであり、おもて側の面にニットシート22Bが露出した状態でそれぞれの表皮シート21、22がシール部11において熱溶着されている。なお前記ニットシート22Bとして本実施例では一例として伸縮性を有したナイロン製繊維織物が適用される。このようなナイロン製繊維織物としては、例えば東レ株式会社製の製品名「ナイロン天竺2000」が適用し得る。
【0018】
また内部に充填される材料としては、シリコーンゲルに対し製品の軽量化のために中空球形状の充填剤が充填されたものであり、その性状は、比重が0.6〜0.7、針入度100〜200〔JIS K2207(50g荷重)〕程度の範囲のものが適しており、特に針入度145〜155〔JIS K2207(50g荷重)〕の範囲のものが好ましい。
なお前記シリコーンゲルとしては、東レ・ダウコーニング株式会社製の製品名「CF5106」を適用するもので、前記充填剤としては、例えば日本フィライト株式会社製の製品名「エクスパンセル092」が適用できる。また因みに前記シリコーンゲルは、A液とB液より構成され、使用前にこのA液、B液、充填剤を58.8:39.2:2などの比率で混合してその混合比率により上述した所望の比重及び硬度に設定するものである。
【0019】
このような装身用パッド1は、例えばボディスーツSに縫い込まれたり、ここに形成されたポケット等に収納されて用いられるほか、直接使用者の肌に密着させるような態様で使用される。
【0020】
次にこの装身用パッドの製造方法について説明する。
〔準備工程〕
準備工程は必要な素材を準備するものであり、まずおもて側の表皮シート22を供給するための母型シート25が用意される。この母型シート25は、ブランク状態では平板状のポリエチレンテレフタレート製シート等を適用した形保持シート23に対し、おもて側の表皮シート22が仮留め状態にラミネートされて供給されるものである。この仮留め状態とは、例えば手による剥離等により形保持シート23からおもて側の表皮シート22が容易に変形破損することなく剥離できる状態を言うのである。そして形保持シート23に対してのおもて側の表皮シート22のラミネート態様はおもて側の表皮シート22におけるニットシート22B側が形保持シート23側にラミネートされ、その上面に樹脂シート22Aがニットシート22Bに対してはほぼ一体にラミネートされた状態として構成される(図2(a)参照)。
【0021】
このような平板状の母型シート25の出発形状から適宜の装身用パッド1の形状に応じて凹陥した型キャビティ25Aが製造作業開始の段階で形成される。なお母型シート25における型キャビティ25Aの形成は金型4における成型キャビティ41により形成されるものであり、一例として真空成形等により平板状の母型シート25が型キャビティ25Aを具えるように変形加工される(図2(a)参照)。
【0022】
一方、密着側の表皮シート21は前記母型シート25の型キャビティ25A側を覆うように重ね合わされて用いられるものであり、密着側の表皮シート21は一例としてポリウレタンフィルム等のシートに対し剥離紙21Aを積層させ、取り扱い時に材料に対し一定の「コシ」を付与した状態とする(図2(b)参照)。
【0023】
更に表皮体2に充填される充填材3はシリコーンゲルを一例とするものであって、具体的には前述の素材を用いる(図2(c)参照)。
【0024】
〔シール工程〕
このような素材を準備した後、シール工程において母型シート25の型キャビティ25A側に密着側の表皮シート21を重ねて、型キャビティ25Aの周縁をシールして周縁シール部11Aを形成するとともに、一部に未シール状態の注入口11Bを確保して、全体として袋状の表皮体2を形成する。なおこの際、注入口11Bは尖断面部12が存在するような場合、その反対側の鈍断面部13側に開口させておくことが望ましい。
【0025】
〔注入工程〕
次いで未硬化の状態の充填材3を注入口11Bから表皮体2に注入する。この作業にあたっては、充填ノズル30からの充填材3が注入口11Bの内面に付着しないように図ることが望ましい。このため図2(c)、図3(b)に示すような充填ノズル30を用いることが好ましいものであって、充填ノズル30は、言わば二重管状に注入管31と保護管32とが組み合わされている。加えて充填材3を注入後、保護管32がとどまった状態で注入管31のみが保護管32内を更に退去するように構成することがより好ましい。
そしてこの注入量は母型シート25が構成する型キャビティ25Aの容積よりも充分少ない量とする。具体的には50%を中心に40〜60%程度の容積とすることが好ましい。
【0026】
〔端縁部充填促進処理(尖断面部充填促進処理)〕
このような状態で、更に表皮体2の内部内側周縁部に充分に充填材3が行き渡るように端縁部充填促進処理がなされる。すなわち例えば尖断面部12を下方に位置するように、図4(a)に示すように立てかけたような状態で充填材3の行き渡りを待つときには、自重により充填材3が尖断面部12の表皮体2の隙間に充分に行き渡るのである。また他の鈍断面部13等の部位を同じような処理で行い、充填材3の行き渡りを確実にすることが可能である。
なおこのような未硬化の充填材3による端縁部の充填材3による端縁部の充填促進処理は、シリコーンゲル中の中空球形状充填剤の分離が発生する前に実施する。
【0027】
〔空気排除工程〕
このような充填がなされた後、図4(b)に示すように空気排除工程において、未硬化の充填材3を下方から注入口11Bに向かって押し上げるように移動させ、表皮体2内に残留している空気を注入口11Bから外部に排除して表皮体2内を充填材3で満たした状態にするのである。なお前記密着側の表皮シート21に設けられていた剥離紙21Aは、この工程までに取り除かれる。
【0028】
〔自閉鎖処理〕図4(b)参照
このような空気排除工程の後、充填材3の硬化を図るのであるが、その際に表皮体2内の充填材3が下がって、再度注入口11Bから空気が吸入されることを防ぐ必要があるが、この作業は注入口11Bを別途ピンチ等により塞ぐほか、充填材3の粘性を利用して自閉鎖状態に処理しておくことも可能である。すなわちこの自閉鎖処理は充填材3がわずかに注入口11Bの中に押し出されるようになり、一方、充填材3自体の容量は型キャビティ25Aのキャビティ容積より少ないから、充填材3は注入口11Bにおいて負圧傾向にあり、その負圧作用が注入口11Bの部位における密着側の表皮シート21とおもて側の表皮シート22との間を密着状態に維持するように作用するものである。
【0029】
〔硬化工程〕
次いで硬化工程において、前記注入口11Bを閉鎖状態に保ったまま、加熱雰囲気中で注入した充填材3の硬化を図る。なおこの際には母型シート25側を下にした状態で保持し、密着側の表皮シート21側の上方から押圧具5により押し付けておくことが好ましい。具体的には例えば図5(a)に示すように、比較的柔軟な形なじみ性のあるウレタンシート、ウレタンパッド等の弾性パッド51をあてがい、更に充分な剛性を有する押さえ板52等を用いてこの弾性パッド51上から密着側の表皮シート21の上面を押して表皮面を均した後、弾性パッド51と押さえ板52を外す。その後、図5(b)に示すように、母型シート25端部の反り返り防止のために、再度押さえ板52のみを載せた状態で硬化を図ることが望ましい。なお硬化時間は70℃程度の加熱雰囲気中で90分程度行う。
【0030】
〔離型工程〕
このような状態で硬化した後、離型工程において製品の取り出しを行う。なお少なくとも前記硬化工程の始まる前、あるいは終了後、離型工程に至る前に、注入口11Bの部分を注入口シール部11Cとして示すようにシールして塞ぐ。そして離型工程において、前記シール部11近くを所定形状に切り抜くとともに、おもて側の表皮シート22と形保持シート23との剥がし取りを行う。もちろんユーザーの後加工の必要から縫い代を多めにとる必要がある場合、トリミング工程を行わなくても差し支えない。
【0031】
〔他の実施例〕
なお本発明の装身用パッド1は、美容目的の整姿用パッドとしての適用例を挙げて説明したが、例えば装身時のプロテクターとしての作用をするプロテクター用のパッドとしても用いられるし、また医療目的で身体表面の患部、例えば褥瘡発生時の褥瘡部位等を保護するような医療用のパッドとしても利用し得る。従ってそれらに適した適宜の形状がとり得る。例えば図6(a)に示す実施例は、いわゆるドーナツ形をしたものであり、例えば部分的な褥瘡部等の周縁部にあてがって、褥瘡部位を保護するような用い方が可能である。また同様に図6(b)に示すほぼU字形に形成したパッド等は、例えば運動競技における肩から後頸部等を保護するような用い方に適したものである。なお例えばこのような形状において、周縁シール部11Aの概念の中には、前記ドーナツ形の中心口の周縁部に設けたシール部分についても周縁シール部11Aとして理解し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の装身用パッドの使用状態及び装身用パッドの積層構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の装身用パッドの製造方法の準備工程を示す説明図である。
【図3】同上、シール工程と注入工程を示す説明図である。
【図4】同上、端縁部充填促進処理工程、空気排除工程、自閉鎖処理工程を示す説明図である。
【図5】同上、硬化工程、離型工程を示す説明図である。
【図6】本発明の装身用パッドの他の二種の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 装身用パッド
11 シール部
11A 周縁シール部
11B 注入口
11C 注入口シール部
12 尖断面部
13 鈍断面部
2 表皮体
21 密着側の表皮シート
21A 剥離紙
22 おもて側の表皮シート
22A 樹脂シート
22B ニットシート
23 形保持シート
25 母型シート
25A 型キャビティ
3 充填材
30 充填ノズル
31 注入管
32 保護管
4 金型
41 成型キャビティ
5 押圧具
51 弾性パッド
52 押さえ板
P ベクトル(プリストレス)
S ボディスーツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁をシールした二枚の表皮シートにより形成された表皮体に対し、その内側に充填材を封入し、パッドとして用いる部材において、
前記表皮シートのうち身体への密着側の表皮シートは、周縁部を中心部に向かって引き寄せるプリストレスが付与されて形成されていることを特徴とする装身用パッド。
【請求項2】
前記表皮シートのうち身体に密着しないおもて側の表皮シートは、熱可塑性を有する樹脂シートと、ニットシートとをラミネートした素材で構成されていることを特徴とする請求項1記載の装身用パッド。
【請求項3】
前記構成部材において適用される材料は、
(A) 前記密着側の表皮シート及びおもて側の表皮シートにおける樹脂シートには、硬度30〜90(JIS A)のウレタン樹脂を適用すること、
(B) 前記ニットシートには、伸縮性を有した合成樹脂繊維織物を適用すること、
(C) 前記充填材には、針入度100〜200〔JIS K2207(50g荷重)〕、比重0.6〜0.7である中空球形状充填剤入りのシリコーンゲルを適用すること、
の上記(A) 〜(C) の、一または複数が選択されるものであることを特徴とする請求項2記載の装身用パッド。
【請求項4】
準備工程において、
保形性を有する形保持シートと表皮シートとを仮止め状にラミネートさせた状態で、所望の型キャビティが形成された母型シートと、
この母型シートにおける型キャビティを覆うように、母型シートに一体化される密着側の表皮シートと、
型キャビティ内に注入するゲル状の充填材とを素材として用意し、
次いで、シール工程において、
前記母型シートの型キャビティ側に、密着側の表皮シートを重ねて、型キャビティ周縁をシールするとともに、一部に未シール状態の注入口を確保して、袋状の表皮体を形成し、
次いで、注入工程において、
未硬化状態の充填材を注入口から表皮体内に注入し、且つその注入量は、型キャビティ容積より少ない量とし、
次いで、硬化工程において、
前記注入口を閉鎖状態に保つとともに、表皮体内は空気を存在させず、充填材を満たした状態に保ったまま、加熱雰囲気中で注入した充填材の硬化を図り、
次いで、離型工程において、
おもて側の表皮シートと、形保持シートとの剥がし取りを行うようにしたことを特徴とする装身用パッドの製造方法。
【請求項5】
前記注入工程と硬化工程との間には、空気排除工程を設け、
密着側の表皮シートを型キャビティ側に押圧し、表皮体内に残留している空気を前記注入口から外部に排除して、表皮体内を充填材で満たした状態にし、その後、充填材の硬化を図ることを特徴とする請求項4記載の装身用パッドの製造方法。
【請求項6】
前記工程には、
(a) 前記準備工程とシール工程では、密着側の表皮シートに予め剥離紙を設け、この剥離紙によって補強した状態で表皮シートを母型シートに重ね、型キャビティ周縁のシールを行う剥離紙補強処理、
(b) 前記硬化工程では、注入後、一定時間、表皮体の注入口を上方に向けて、下方に充填材を偏在させる端縁部充填促進処理、
(c) 前記(b) 記載の端縁部充填促進処理を行うにあたっては、パッドの尖断面部を下方に配置する尖断面部充填促進処理、
(d) 前記注入工程では、注入口に充填材供給用のノズルを差し込んで注入を行うものであり、注入後は、このノズルを引き抜くことにより液ダレを防ぐ液ダレ防止処理、
(e) 前記硬化工程では、表皮体内に注入した充填材自体の粘性を利用して、注入口を密閉するようにした自閉鎖処理、
の上記(a) 〜(e) の一または複数の処理が組み込まれることを特徴とする請求項4または5記載の装身用パッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−312793(P2006−312793A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136218(P2005−136218)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000131223)株式会社ジェルテック (7)
【Fターム(参考)】