説明

装飾文字生成方法、装置、プログラム及び媒体

【課題】従来技術で用いられる映像への視覚効果として広く利用される装飾効果付立体文字は、対象となる文字形状の複雑度や、用意されるフォントの特性、描画サイズ等により、文字つぶれ上体を引き起こす場合があり、可読性を保証できない。
【解決手段】装飾効果付与後の文字形状について、可読性を維持するに十分なだけの輪郭線間のマージンが確保されるかについて検出を行い、確保されない場合は装飾効果を修正する手段を設けることにより、可読性の保証される装飾文字を生成することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像への特殊効果付与時に用いる、画面内への装飾効果付文字形状の生成と、生成した文字形状の映像への写し込み処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等と共に、個人ユースのパーソナルコンピュータ(以下、”パソコン”と記載)の普及が進んでいる。その結果として、従来はプロフェッショナル層中心と考えられていた、デジタルビデオカメラ等での撮像コンテンツを対象とした編集作業を、パソコン上で手軽に実現したいというニーズが高まっている。このニーズを満たすものとして、ユーザが撮影した映像コンテンツを入力として手軽に装飾効果を付与した映像作品を作成可能なパソコン用映像編集ソフトウェアが多数発売されている。これら映像編集ソフトウェアにおいては、初心者ユーザの敷居を低くする簡便な操作性と、映画やテレビ映像のようなリッチな映像効果を付与する高機能さとの、相反する2つの特徴が要求されている。
【0003】
映画やテレビの映像のようなリッチな映像効果の代表的例として、映像への立体文字挿入による装飾効果があげられる。これは、立体文字化したい文字列と、立体文字に与えたい装飾効果、画面内に文字を挿入する位置等をユーザが指定すると、ユーザが撮影した映像シーンの中にあたかも立体化された文字形状が存在するかのように、映像に立体文字形状が合成されるものである。立体文字形状は従来の平面的文字形状と比較した時、画面内配置時の傾き調整の自由度が高いことから、映像内に映っている物体に対して違和感無く配置可能なこと、また、文字自身が立体的な形状を持つため、映像に奥行感を与えられ装飾効果を向上させることができるという特徴を持つ。さらに、立体文字の側面にベベル(斜面)による膨らみ形状部付与による立体文字形状自身の装飾性向上は、立体文字形状生成装置にとって必須機能のひとつとなっている。
【0004】
図13から図16に従来のベベル付立体文字形状生成装置を備えた編集用ソフトウェアの一例として、松下電器産業株式会社のパソコン用デジタルビデオ動画編集ソフトウェア“Panasonic MotionDV STUDIO”(以下、“MDVS”と記載)での関連画面を示す。
【0005】
図13はMDVSでの文字関連の装飾を行う画面、図14はその出力結果を示す。
【0006】
図15は、従来技術を用いた立体文字形状生成装置の典型的な構成例である。文字列及びフォント種別入力器0101は、立体文字生成に必要な情報をユーザに入力させる部分である。フォント形状DB0102は、文字列とフォント名及びフォントサイズを入力することにより、文字のアウトラインデータを出力する。また、ベベル形状を指定することにより、ベベルによる膨らみ部の形状作成に関する設定パラメータも出力する。文字閉曲線導出器0103は、フォント形状DB0102が出力したアウトラインデータから、文字内のパーツごとに閉曲線としてデータの再構成等を行い、幾何演算処理可能な形式への変換を行う。文字閉曲線導出器0103では、続いて3つの閉曲線に対して、相互の包含関係を調査する。この閉曲線の包含関係情報をもとに、文字の曲線が外郭線を表すものか、穴形状を現すものかの判定を行う。閉曲線三角分割器0104は、文字閉曲線導出器0103が出力した閉曲線群に対し、三角分割処理と厚み形状付与処理を行い、ポリゴンによる立体描画可能な立体文字形状へと変換を行う。文字装飾器0105は、フォント形状DBが出力した膨らみ部の形状作成用パラメータに基づいて、立体文字形状の文字輪郭部に対し、ベベル形状を作成し、一定の膨らみ幅を持たせる。立体文字描画器0109は、文字装飾器0105で生成されたベベル付立体文字形状に対し、3次元CG描画処理を行う。この時、文字装飾器0105が生成するベベルによる膨らみ幅は、文字種や文字内の部分に拠らず一定の値となる。
【0007】
図16に、従来の実施例に於ける、ベベル効果適用による文字の可読性低下例を示す。上段にある文字はベベル効果を適用しなかった場合の立体文字形状で、下段はベベル効果を適用した立体文字形状である。ベベルを適用した場合、ベベル効果が文字内の穴部の形状を潰しており、結果として文字の可読性を落としている。これは、文字自身の複雑度やフォントの特性、画面上での描画ピクセル数を考慮せず、一意にベベル効果の膨らみ幅を決めてしまっていることに起因する。
【0008】
前述のベベル効果付立体文字形状の文字潰れ現象発生時、従来のソフトウェアにおいては、選択フォント種類やベベル効果用パラメータ等の再設定を行い、再設定結果の目視確認を繰り返すことにより、ユーザ自身が文字潰れの発生しない設定を探索する操作を要求していた。しかし、前述の通り、近年の映像編集ソフトでは簡便な操作体系が要望されており、文字潰れ現象という課題に対する自動回避の仕組み構築は、より価値の高いものとなっている。
【0009】
このように、対象となる文字形状に拠らず、文字形状を一定の幅で膨張させる従来例では、複雑な形状を持った文字において、可読性低下を招く場合があるという欠点があった。
【0010】
なお、これに関連する文献として、以下のものがある。
【特許文献1】特開2002−260008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
撮像機器とパソコンの普及により、一般ユーザが高品質な映像作品を手軽に作成したいというニーズが高まっている。このニーズに対し、装飾効果付き文字、特に映画やテレビにおいて馴染みのあるベベル効果付立体文字形状の映像への挿入効果は有効な手段である。
【0012】
しかし、立体文字形状に対するベベル効果付与は、対象となる文字、フォントの組合わせに拠っては、文字の輪郭線を膨張させるというベベル効果の特性上、文字の輪郭形状を崩し可読性が低下する場合があるという課題を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ユーザが入力した文字列、装飾情報、フォントパラメータに従い装飾効果を付与された立体文字を生成する装飾文字生成装置であって、装飾文字生成用パラメータとして文字列、フォント名、フォントサイズ、文字装飾種情報をユーザが入力する 文字列及びフォント種別入力器と、前記文字列及びフォント種別入力器にてユーザが入力した情報をもとに文字のアウトラインデータと装飾用パラメータを出力する フォント形状DBと、前記フォント形状DBから出力された文字のアウトラインデータを幾何演算処理可能な記述形態へと変換する 文字閉曲線導出器と、前記文字閉曲線導出器から出力された幾何図形構造と前記フォント形状DBから出力された文字装飾情報とをもとに文字を表す幾何図形に装飾効果を適用する 文字形状装飾器と、前記文字形状装飾器から出力された装飾付文字形状内の輪郭線間における可読性低下に繋がる干渉発生を検出する 文字装飾干渉検出器と、前記文字装飾干渉検出器における干渉検出時に、装飾付文字形状に対して干渉回避の修正を行う 干渉形状修正器と、前記文字装飾干渉検出器で干渉が認められなかった場合の前記文字形状装飾器の出力、または干渉が認められた場合の前記干渉形状修正器の出力 をもとに装飾付文字形状を描画する 文字描画器と
を具備することを特徴とする。
【0014】
これにより、装飾文字生成装置は、装飾効果による可読性低下を事前に検出することが可能となり、可読性低下を検出した場合は、装飾効果の無効化、或いは、装飾効果の適用度合いの修正を行うことで、可読性を保障された装飾付文字の生成が可能となる。
【0015】
つまり、ユーザは、いったん指定した文字列と装飾用情報とを入力すると、設定内容修正と目視確認の試行の反復を行うこと無く、文字潰れの無い文字形状を生成することが可能となる。
【0016】
また、前記装飾文字生成装置は、文字装飾干渉検出器により検出される輪郭線間の空間の広さに応じ、特に輪郭線どうしが近接している箇所に対し局所的にベベル装飾による膨らみ効果を除去する干渉形状修正器を備え、輪郭線の潰れ検出時に局所的な修正処理を行うことが可能となる。
【0017】
これにより、ベベルによる文字潰れの修正箇所を最小限に抑えられるため、ユーザは指定したベベル設定パラメータに近いベベル効果付立体文字を生成、利用することが可能となる。
【0018】
また、前記装飾文字生成装置は、輪郭線同士の干渉検出を行う際に、3次元描画のための透視変換処理後の描画状態における輪郭線間の空間の画素数に応じた文字形状の内部干渉確認を行う文字装飾干渉検出器を備え、画面上への描画時に割り当てられる画素数に応じて、文字可読性の判定を行うことを特徴とする。
【0019】
これにより、ユーザは携帯電話用等低解像度の画面出力時には文字装飾よりも可読性確保を優先、ハイビジョン画面用等高解像度の画面出力時には高精細な文字装飾を施すなどの出力先に応じた文字装飾を施された装飾効果付文字形状を生成、使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の装飾文字生成装置は、ベベル効果等を用いた装飾効果を適用させる立体文字形状の生成において、フォント形状に合わせて適応的に装飾の影響度合いを変化させることにより、立体文字自身の可読性を低下させることなく、文字への装飾効果を与える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について2例、図面を用いて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明装置の実施の形態1に係る全体構成について図1を用いて説明する。文字列及びフォント種別入力器0101は、ユーザが装飾効果を与えたい文字列、文字列に与えたい装飾効果の種類、文字列に適用したいフォントの種類等を指定する部分である。適用可能な文字装飾効果の種類としては立体文字化、縁取り化、文字サイズ、文字色等があげられる。
【0023】
フォント形状DB0102は、あらかじめ対応するフォント種と文字の組み合わせごとに、文字形状のアウトラインデータを蓄積している。文字列及びフォント種別0101でユーザが指定した文字列及びフォント種類がフォント形状DB0102に与えられると、その内容にあった文字列形状のアウトラインデータを出力する。
【0024】
文字閉曲線導出器0103は、フォント形状DB0102が出力した文字形状アウトラインデータに補間、解析処理を行い、閉曲線群で表現される文字形状の輪郭線データを生成する。
【0025】
閉曲線三角分割器0104は、閉曲線三角分割器0103で生成された文字形状の輪郭線データに三角分割処理を行い、文字形状を三角形形状の集合となるよう再構成する。続いて、三角形分割された文字形状を奥行き方向に2重化し、さらに四角形形状で構成される側面形状の追加を行い、文字形状の立体化を行う。
【0026】
文字装飾器0105は、閉曲線三角分割器0104において生成された四角形形状の集合として構成される立体文字の側面形状にユーザが文字列及びフォント種別入力器0101で指定したベベル設定情報に従い、ベベル形状と呼ばれる文字形状の側面に斜面状の膨らみ形状を追加する。
【0027】
文字描画設定保存部0106は、描画先画面の縦・横の画素数、仮想3次元空間内における立体文字形状及び、仮想カメラ、仮想ライトの座標と姿勢、画角設定といった3次元CGレンダリングに必要となる情報を保存する。
【0028】
文字装飾干渉検出器0107は、文字装飾器0105でベベル形状を付与された立体文字形状内において、ベベル形状を含む輪郭線どうしの干渉発生の検出を行う。干渉形状修正器0108は、文字装飾干渉検出器0107で文字形状内干渉が検出された場合、ベベル形状を修正して文字形状内の干渉が発生しないよう立体文字形状に修正を行う。
【0029】
立体文字描画器0109は、文字装飾器0105または干渉形状修正器0108で生成された立体文字形状と、文字描画設定部0106に保存される描画設定情報との情報を用いて3次元CGレンダリング処理を行い、立体文字を描画する。
【0030】
次に、本実施の形態1における装飾文字生成装置の動作について説明する。
【0031】
文字列及びフォント種別入力器0101は、立体文字化したい文字列と装飾情報のユーザ入力を受け取る。これらユーザ入力画面の一例を図3から図5に示す。図3は、ユーザが立体文字化したい文字列を入力している画面である。ユーザは映像コンテンツ内の任意の位置でマウスをポイントすることにより、装飾付文字を挿入することができる。図4は、文字列に適用したい文字フォント名を指定している画面である。ユーザはシステムに用意されている複数種のフォントから、フォント名称をもとに、所望するフォント種を選択することができる。図5はベベル設定と文字厚みの入力画面である。ユーザはこの画面において、立体文字の側面の形状を用意されている複数種の中から選択し、立体文字形状の厚みを設定することができる。図の例では、文字断面が4角形(なし)、8角形(普通)、楕円形(丸)等の形状となる立体文字形状から選択することができる。これら画面を通して、ユーザは文字列、文字フォント種、ベベル形状などの設定を行う。
【0032】
フォント形状DB0102は、文字列及びフォント種別入力器0101でユーザが指定した文字列とフォント種にあった文字形状のアウトラインデータを出力する。このアウトラインデータは、スプラインの制御点データであり、そのままの状態では描画することはできない。また、文字輪郭の外周部・穴部のいずれに相当するアウトラインなのかについての分類も行われていない。
【0033】
文字閉曲線導出器0103は、フォント形状DB0102で出力されたアウトラインデータにスプライン補間処理を施し、文字の輪郭線となる滑らかな閉曲線群を取得する。さらに、これら閉曲線群に対して包含関係を検査することで、各閉曲線が外周部か、もしくは穴部に相当するものかの分類を行い、次ステップ以降での幾何演算処理の前準備を行う。
【0034】
閉曲線三角分割器0104は、文字閉曲線導出器0103が出力した外周・穴判別情報付頂点列に幾何演算処理を行うことで、文字形状を三角形形状の集合体へと変換する。この変換により、3次元CGレンダリング用に用いられるポリゴンモデルへの変換が可能なデータ形態となる(図7.a)。続いて、文字列及びフォント種別入力器0101においてユーザが指定した立体文字形状の厚み分だけ、三角形形状の集合体として表現された形状を奥行き方向にオフセットをつけて2重化(図7.b)した後、文字の側面形状となる四角形形状を付加し(図7.c)、立体文字形状ポリゴンデータの生成を完了する(図7.d)。
【0035】
文字装飾器0105は、文字列及びフォント種別入力器0101で指定された内容にあわせ、立体文字形状にベベル形状を生成する。以下に、鋭角のベベル形状生成処理の一例を示す。最初に、輪郭線(外周・穴部のいずれも対象とする)上にある全頂点に対し、外向きの単位ベクトルの導出を行う(図8.a)。続いて、そのベクトルに対し一定の係数を乗じ、ベベルによる最大張り出し部の幅を求める(図8.b)。最後に、文字厚みの中間部をその幅分だけ延長した座標と文字輪郭部とを接続し、ベベル形状の生成を終了する(図8.c、図8.d)。ここでは、鋭角のベベル形状生成処理について説明したが、文字輪郭線について外向きベクトルの導出を行い、続いてそのベクトルの方向に沿い張り出し幅分を算出するという考え方を応用することにより種々のベベル効果の生成を行うことが可能である。
【0036】
文字装飾干渉検出器0107は、文字装飾器0105で生成されるベベル形状が大きく張り出したために、ベベル形状間の距離が、あらかじめ設定しておいた2段階の閾値以下とならないか判定する。ベベル形状間の距離が近くなりすぎている場合、描画先での立体文字が潰れた状態となり、可読性の低下が予想される。
【0037】
干渉形状修正器0108は、文字装飾干渉検出器0107においてベベル形状間の干渉が検出された文字に対し、文字装飾器0105で生成されたベベル形状の張り出し幅を小さくすることで、立体文字の可読性確保を図る。具体的には、文字装飾器0105でのベベル形状付与時、文字形状の外向きの単位ベクトルに定数を乗算することによりベベルの張り出し幅を導出したが、この導出時の定数をより小さい値に設定し、立体文字形状内の対象となる部分に対して再度ベベル形状の作成を行う。
【0038】
文字装飾干渉検出器における検出の結果、干渉の強さ度合いに応じて、2通りのうちいずれかのベベル形状修正処理を行う。ベベル干渉の強さとは、ベベルにより、大きく文字形状の輪郭線間で食い込みが発生している場合や、文字形状内の多数の箇所において文字潰れ減少が発生している場合を指す。
【0039】
ベベル干渉度合いが強い場合は、文字装飾器0105で生成した法線ベクトルはそのまま用い、ベベル形状幅決定のための係数を小さく設定しなおし、立体文字形状全体のベベル形状の再作成を行う。図9は、実際に干渉回避のためのベベル形状再作成を行っている例である。左図では、ベベル効果による文字構成部品の膨張の結果、文字中央部付近で輪郭線どうしの干渉が発生、可読性が低下している。右図では、文字全体に対してベベルの幅を少し薄く作成することにより、読みやすいベベル付立体文字形状を作成している。
【0040】
ベベル干渉の度合いが弱い場合においては、干渉が検出された箇所の近傍のみで、同様に、幅を小さくしたベベル形状の再作成を行う。この方法により、ユーザ指定のパラメータ設定に近いベベル形状を維持したままで、立体文字の可読性向上を行うことができる。図10に例を示す。図10左図では、ベベルにより、主に文字中央付近において文字潰れ減少が発生している。図10右図では、文字形状中央部にたいしてのみ、ベベル形状を薄く再作成している。
【0041】
なお、干渉形状修正器は、文字装飾干渉検出器において干渉を検出された文字に対して、立体文字形状側面の3次元CG描画処理用の色属性値を変更してもよい。例えば、立体文字形状の表面部を赤色、側面を橙色で描画した場合、立体文字形状表面と側面部の境界が明確となり文字の輪郭の判別が容易となる。
【0042】
なお、干渉形状修正器は、文字装飾干渉検出器において干渉を検出された文字に対して、立体文字形状側面の3次元CG描画用の仮想ライト反射属性値を変更してもよい。立体文字形状の表面部を仮想ライトに強く反射するようにし、側面部を弱く反射するようにした場合、側面部が仮想ライトに反応しにくくなり、描画先では暗めの色として描画され、表面部と側面部との色を変化させた場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0043】
(実施の形態2)
本発明装置の実施の形態2に係る全体構成について図2を用いて説明する。
【0044】
文字装飾干渉検出器0207は、文字装飾器0105で生成される立体文字形状に文字描画設定保存部0106に保存される情報を用い3次元CGレンダリング処理を行い、ベベル効果による文字可読性低下の検出を行う。
【0045】
文字列及びフォント種別入力器0101、フォント形状DB0102、文字閉曲線導出器0103、閉曲線三角分割器0104、文字装飾器0105、文字描画設定保存部0106、干渉形状修正器0108、立体文字描画器0109は、実施例1と同じ構成となる。
【0046】
次に、本実施の形態2における装飾文字生成装置の動作について説明する。
【0047】
文字列及びフォント種別入力器0101から文字装飾器0105までは、実施の形態1と同じ動作となる。
【0048】
文字装飾干渉検出器0207は、文字装飾器0105で生成される立体文字形状に文字描画設定保存部0106に保存される情報を用い3次元CGレンダリング処理を行う。前述の通り、文字閉曲線導出器0103において輪郭線を外周部と穴部の分類処理を行っているが、この穴部の内側のレンダリング後の状態を確認する。レンダリング後の状態において、穴部の内側にベベル形状のみ描画されている場合、穴内部に背景部が見えている箇所が存在しないため、穴周辺部の描画結果が同系色のみとなるため、可読性が低下していると判定する。
【0049】
可読性が低下していると判定した場合、実施の形態1の場合と同様、干渉形状修正器0108で、ベベル形状幅の縮小や、立体文字の側面色の変更、側面の仮想ライト反射属性を変更することによりベベル付与により低下した文字可読性を向上させる。
【0050】
なお、文字装飾干渉検出器は、穴部の内側のみでなく、文字輪郭線が近接している全箇所に対して、干渉の確認を行っても良い。ベベル形状による文字輪郭線同士の干渉が発生するのは、穴部形状に限らないため、より高精度に文字潰れ状態を検出することが可能となる。
【0051】
なお、可読性向上のために、文字描画設定保存部0106に保存される立体文字形状の座標と姿勢を修正してもよい。この方法が特に有効なのは、立体文字形状の仮想カメラに対して大きく角度を持った場合で、文字側面形状が大きくカメラに映りこんだことから文字正面部と側面部の境界判別が困難になっている場合である。この場合、立体文字形状とカメラの角度を浅く設定することにより、ベベル形状付与により低下した文字の可読性を向上させることが可能である。
【0052】
なお、文字装飾器は、初回にベベル情報を作成する時点において、文字描画設定保存部に保存される描画先の縦・横方向の画素数に応じ、ベベル形状作成時の幅を変化させてもよい。表現可能な画素数が限定される低解像度の画面に出力する場合においては、ベベルによる可読性低下に繋がる恐れが高いため、もともと張り出し度合いの小さいベベルを作成し、画素数の多い画面に出力する場合は3次元CGによる陰影による輝度のコントラスト効果も付与しやすいためより大きなベベル効果を付与しても一般に可読性は低下し難い。出力側の画素数に応じた、ベベル装飾の度合いを弱めた形状の作成は、可読性維持のために有効な手段となる。
【0053】
実施の形態1と実施の形態2とは、ベベル形状を付与した立体文字形状内で干渉検出を行うか、事前に実施する仮3次元CG描画処理の結果を用いて干渉検出を行うかの違いとなる。
【0054】
前者の方が演算処理の負荷自体は軽くなる一方、文字潰れの問題を検出できないケースが予想される。 同じ立体文字形状を用いて3次元CGによるレンダリング処理を行う場合であっても、描画先画面の解像度がハイビジョン品質の場合のように高精細な場合は、文字潰れが目立ちにくく、一方、携帯電話の液晶のような低解像度の場合は、より顕著に文字潰れの現象が認められる(図3)。これら状況の検出のためには、文字のモデル形状内でのすき間空間検出だけでは不十分であり、実際に3次元CGレンダリング処理を行い、出力先の画面上における立体文字形状を確認する必要がある。
【0055】
実施の形態2ではこの事項に着目し、ベベルによる膨らみ形状の仮パラメータ設定直後に、一旦、描画時の解像度において仮3次元CG描画処理を行い、その仮描画結果に基づいて文字潰れ状態の検出を行う方法となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明にかかる装飾文字生成装置は、ベベル等による装飾効果を適用させる立体文字形状の生成において、フォント形状にあわせ適応的に装飾の影響度合いを変化させることにより、立体文字自身の可読性を低下させることなく、立体文字への装飾効果を与える効果を有し、特にビデオ編集における装飾効果付文字の挿入処理に適している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1に於ける全体構成ブロック図
【図2】本発明の実施の形態2に於ける全体構成ブロック図
【図3】文字入力画面の一例を表した図
【図4】フォント種類選択画面の一例を表した図
【図5】ベベルと立体文字厚み設定画面の一例を表した図
【図6】文字形状閉曲線取得過程図
【図7】文字形状立体化過程図
【図8】ベベル作成過程図
【図9】ベベル形状縮小による干渉状態回避例を表した図
【図10】ベベル形状局所的縮小による干渉状態回復例を表した図
【図11】ベベル付立体文字の出力例と、表示サイズを1/2倍、1/3倍にした例を表した図
【図12】立体文字形状の座標と姿勢修正による可読性向上例を表した図
【図13】従来の実施例に於ける立体文字入力の設定画面を表した図
【図14】従来の実施例に於ける立体文字効果の適用結果を表した図
【図15】従来例の実施例に於ける全体構成ブロック図
【図16】従来の実施例に於けるベベル適用により可読性が低下する例を表した図
【符号の説明】
【0058】
101 文字列及びフォント種別入力器
102 フォント形状DB
103 文字閉曲線導出器
104 閉曲線三角分割器
105 文字形状装飾器
106 文字描画設定保存部
107,207 文字装飾干渉検出器
108 干渉形状修正器
109 立体文字描画器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが入力した、文字列、装飾情報、フォントパラメータに従って装飾効果を付与された文字を生成する装飾文字生成方法であって、文字装飾の結果として、可読性低下に繋がるような文字の輪郭形状間の干渉発生を検出する文字装飾干渉検出ステップと、前記文字装飾干渉検出ステップで干渉が検出された場合に、文字装飾に干渉が発生しないように修正を加える干渉形状修正ステップと、前記文字装飾干渉検出ステップで干渉が認められた場合は、前記干渉形状修正ステップの結果をもとに、装飾付文字形状を描画する文字描画ステップとを有することを特徴とする装飾文字生成方法。
【請求項2】
前記装飾効果は立体効果であることを特徴とする、請求項1に記載の装飾文字生成方法。
【請求項3】
前記立体効果は立体文字のベベル効果であることを特徴とする請求項2に記載の装飾文字生成方法。
【請求項4】
前記干渉形状修正ステップは、文字側面部の描画色または仮想ライト反射の描画属性を変更することにより、文字上面と側面との間の境界部を明確化し、可読性確保を図ることを特徴とする請求項3に記載の装飾文字生成方法。
【請求項5】
前記干渉形状修正ステップは、前記文字装飾干渉検出ステップにより検出される輪郭線間の空間の広さに応じ、文字全体のベベル装飾による膨らみ量を段階的に除去し、文字可読性確保と文字装飾との両立を図ることを特徴とする請求項3に記載の装飾文字生成方法。
【請求項6】
前記文字装飾干渉検出ステップは、描画先において文字に割当てられる画素数に応じ可読性判定の閾値を変化させ、前記干渉形状修正ステップは、ベベル装飾による膨らみ量を、描画先の画素数にあわせ段階的に除去することにより文字可読性と文字装飾との両立を図ることを特徴とする請求項3に記載の装飾文字生成方法。
【請求項7】
前記干渉形状修正ステップは、前記文字装飾干渉検出ステップにより検出される輪郭線間の空間の広さに応じ、特に輪郭線どうしが近接している箇所に対し、局所的にベベル装飾による膨らみ効果を除去することを特徴とする請求項3に記載の装飾文字生成方法。
【請求項8】
前記文字装飾干渉検出ステップは、輪郭線同士の干渉検出を行う際に、3次元描画のための透視変換処理後の描画状態での輪郭線間の空間の画素数に応じて文字形状の内部干渉確認を行うことを特徴とする請求項3に記載の装飾文字生成方法。
【請求項9】
前記干渉形状修正ステップは、前記文字装飾干渉検出ステップにおける干渉検出時、立体文字形状をカメラ方向に回転させることを特徴とする請求項8に記載の装飾文字生成方法。
【請求項10】
立体文字を移動させるアニメーション用の軌道全体に対して実施することを特徴とする請求項9に記載の装飾文字生成方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載された方法により装飾文字を生成する装飾文字生成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれかに記載された方法を含むコンピュータを動作させるプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載されたプログラムを記録した媒体。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−208648(P2006−208648A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19406(P2005−19406)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】